説明

6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩酸塩

本発明は、5−HT1A結合剤、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩酸塩および結晶形態、ならびにその医薬組成物、およびその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−HT1A結合剤6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩酸塩、ならびにその結晶形態、その医薬組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N−アリール−ピペラジン誘導体は、5−HT1A受容体に結合することが知られており、種々の中枢神経系(CNS)障害、例えば認知障害、不安障害およびうつ病の治療用の医薬として有用である。例えば、Childers, et al., J. Med. Chem., 2005, 48, 3467;および米国特許第6,465,482号;第6,127,357号;第6,469,007号;および第6,586,436号ならびにWO97/03982を参照のこと。これらのなかで、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリン(式I)(WO2006/135839に開示されている)を含むある種のN−アリール−ピペラジン−ピペリジン化合物は、5−HT1A受容体の活性をモジュレートすることが見出され、例えば、CNS障害の中でも特に認知の増強、不安の治療およびうつ病の治療に有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬剤化合物は、適当には、他の医薬上許容される成分と組み合わせて、所望の投与方法に適した組成物に形成される。固体処方は、薬剤化合物が、実施可能な固体状態特性、例えば熱および湿度に対する安定性、取扱いの容易さ、および固体剤形の調製を容易にする他の特性を有することを要求する。同時に、良好な生物学的利用能とも言える良好な水溶性もまた望まれる。したがって、存在する薬剤分子の、安定で、より溶解性の固体形態が必要とされている。本明細書に記載する6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩および結晶形態は、このような目的に関する。
【0004】
【化1】

【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、とりわけ、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩酸塩を提供する。
本発明はさらに、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンのモノ塩酸塩の結晶形態を提供する。
本発明はさらに、本明細書に記載の塩酸塩または結晶形態の製造方法を提供する。
本発明はさらに、本明細書に記載の塩酸塩または結晶形態を含む組成物を提供する。
本発明はさらに、治療的に有効な量の本明細書に記載の塩または結晶形態そのまたは組成物を投与することによる5−HT1A関連疾患の治療方法を提供する。
本発明はさらに、治療において用いるための本明細書に記載の塩または結晶形態、またはその組成物を提供する。
本発明はさらに、治療において用いるための医薬の製造における本明細書に記載の塩または結晶形態、またはその組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1は、単結晶X線結晶法により測定された6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩六水和物を確率楕円で示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、とりわけ、5−HT1A受容体をモジュレートすることができ、CNS障害の治療に有用な化合物6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリン(上記式Iを参照)のモノ塩酸を含む塩酸塩を提供する。本発明の塩は、結晶、アモルファスまたはその組み合わせであることができる。いくつかの具体例において、塩は、モノ塩酸塩またはトリス(塩酸)塩である。さらなる具体例において、結晶性塩酸塩は、特定の結晶形態、例えば本明細書に記載するような形態を有することを特徴とする。
【0008】
「6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩酸塩」または「本発明の塩酸塩」なる語は、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリン遊離塩基のモノ、ビス、トリスおよび他の塩を含むいずれものHCl塩を意味する。また、この用語は、例えば、セミ−、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ヘキサ−および他の水和物を含む、いずれもの塩の水和物を含む。塩の酸および水/溶媒含有量の測定方法は、当該分野で慣用的であり、例えば、元素分析、NMR、単結晶X線結晶法、電気化学的技法、熱重量分析(TGA)等を含む。
【0009】
6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩酸塩は、遊離塩基形態よりも多くの利点を有する。例えば、遊離塩基は、界面活性剤が存在したとしても水性媒体への溶解性が相対的に乏しく(約0.4μg/mL)、これは生物学的利用能が潜在的に乏しいことを示している。対照的に、塩酸塩は、遊離塩基よりも水によく溶け、遊離塩基よりも生物学的利用能が改善されている。塩酸塩の他の利点は、実質的に純粋なAPIの調製を補助し、取扱いを容易にするその結晶化度を含む。水和塩酸塩はまた、これらの調製が厳格に無水条件を必要とせず、大規模製造が容易であるという利点を有する。
【0010】
本発明の塩の調製方法は、当該分野で慣用的な種々の技法を含む。例えば、遊離塩基6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンを塩酸と溶液中で合し、ついで、塩が沈殿させる。遊離塩基および酸の相対的な量は、所望の塩に応じて変化し得る。例えば、遊離塩基と酸のモル比は、モノ塩酸塩の調製のためには約1:1、ビス(塩酸)塩に関しては約1:2、トリス(塩酸)塩に関しては約1:3である。塩は、典型的には、遊離塩基よりも極性溶媒、例えば水中により溶解するので、遊離塩基および塩酸は、新たに形成した塩を容易に溶液から沈殿させるために、極性が弱いまたは非極性溶媒系と組み合わせることができる。所望により、貧溶媒を、塩を含有する溶液に加えて、沈殿を誘発することができる。いくつかの具体例において、遊離塩基および塩酸は、アルコール、例えばメタノールを含有する溶媒と組み合わせることができる。さらなる具体例において、塩は、貧溶媒、例えばエーテルを加えることにより沈殿する。水和塩を所望する場合、塩形成の前にまたは塩形成の間に、水を溶液に加えるか、または水で溶液を作ることができる。
【0011】
本発明のさらなる態様において、単斜晶系空間群を有することにより特徴付けられる、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンのモノ塩酸塩の結晶形態を提供する。いくつかの具体例において、単斜晶系空間群は、P2(1)/c(No.14)である。さらなる具体例において、結晶形態は、単位格子パラメータ:a=14.4Å;b=7.6Å;c=28.6Å;およびベータ=107.1°を有する。さらなる具体例において、上記空間群および単位格子を有するモノ塩酸塩は、水和物、例えば六水和物である。さらなる具体例において、結晶形態は、実質的に表2に示すような原子座標および/または実質的に表3および4に示すような結合距離および結合角を有する。結晶形態の特徴の記載は、実施例において記載する。
【0012】
本発明の結晶形態の製造方法は、水溶液から6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩を沈殿されることを含む。いくつかの具体例において、水溶液は、有機溶媒、例えばアルコール(例えば、エタノール)を含有し得る。例えば、水とアルコールの比は、約1:1〜約1:10、約1:1〜約1:5、約1:1〜約1:4、または約1:3であり得る。沈殿は、溶液の温度を下げる、溶液の容積を減らす(例えば、エバポレーションにより)、貧溶媒の添加(例えば、直接、蒸気拡散により、または層拡散により)、またはこれらの組み合わせを含むいずれかの適当な方法により行うことができる。単離後、沈殿した結晶形態は、残った溶媒を除去するために乾燥に付すことができる。いくつかの具体例において、沈殿した結晶形態は、減圧下、適度に高い温度、例えば約30〜約55℃、約35〜約50℃、約40〜約50℃、または約45℃での乾燥に付すことができる。
【0013】
組成物
本発明はさらに、本発明の塩酸塩または結晶形態および1種またはそれ以上の成分を含有する組成物を提供する。いくつかの具体例において、組成物は、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98.0重量%、少なくとも約98.1重量%、少なくとも約98.2重量%、少なくとも約98.3重量%、少なくとも約98.4重量%、少なくとも約98.5重量%、少なくとも約98.6重量%、少なくとも約98.7重量%、少なくとも約98.8重量%、少なくとも約98.9重量%、少なくとも約99.0重量%、少なくとも約99.1重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.3重量%、少なくとも約99.4重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重量%、少なくとも約99.8重量%、または少なくとも約99.9重量%の塩酸塩6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンを含有する。いくつかの具体例において、塩はモノ塩酸塩またはトリス(塩酸)塩である。
【0014】
いくつかの具体例において、組成物は、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98.0重量%、少なくとも約98.1重量%、少なくとも約98.2重量%、少なくとも約98.3重量%、少なくとも約98.4重量%、少なくとも約98.5重量%、少なくとも約98.6重量%、少なくとも約98.7重量%、少なくとも約98.8重量%、少なくとも約98.9重量%、少なくとも約99.0重量%、少なくとも約99.1重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.3重量%、少なくとも約99.4重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重量%、少なくとも約99.8重量%、または少なくとも約99.9重量%の、単位格子パラメータ:a=14.4Å;b=7.6Å;c=28.6Å;およびベータ=107.1°を有する単斜晶系空間群P2(1)/c(No.14)により特徴付けられる結晶形態を有する6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩である。さらなる具体例において、空間群および単位格子を有するモノ塩酸塩は、水和物、例えば六水和物である。
【0015】
いくつかの具体例において、組成物は、少なくとも1種の本発明の塩または結晶形態および少なくとも1種の医薬上許容される担体を含有する医薬組成物である。さらなる具体例において、組成物は、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩またはトリス(塩酸塩)、またはその水和物である少なくとも1種の活性薬剤および少なくとも1種の医薬上許容される担体を含有する医薬組成物である。さらなる具体例において、組成物は、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩六水和物またはトリス(塩酸塩)二水和物である少なくとも1種の活性薬剤および少なくとも1種の医薬上許容される担体を含有する医薬組成物である。さらなる具体例において、組成物は、本明細書に記載の結晶形態を有する6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩六水和物である少なくとも1種の活性薬剤および少なくとも1種の医薬上許容される担体を含有する医薬組成物である。いくつかの具体例において、医薬組成物は、経口投与に適している。いくつかの具体例において、組成物は、持続放出剤形の形態を提供する。
【0016】
医薬上許容される賦形剤(担体)は、液体、例えば水および石油、動物性、植物性もしくは合成油を含む油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等であり得る。賦形剤は、セイライン、アカシアガム、ゼラチン、でんぷんペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等であり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤および着色剤を用いることができる。一の具体例において、賦形剤は、動物に投与される場合滅菌される。賦形剤は、製造および貯蔵条件下で安定であるべきであり、微生物の腐食作用に対して保護されるべきである。水は、化合物または化合物の医薬上許容される塩を静脈内投与する場合に特に有用な賦形剤である。セイライン溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、液体賦形剤として、特に注射可能溶液に用いることができる。また、賦形剤は、スターチ、グルコース、ラクトース、シュークロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等を含む。本発明の組成物は、所望により、また、少量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含有することができる。
【0017】
液体担体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、およびエリキシルを調製するのに用いることができる。本発明の塩および結晶形態は、医薬上許容される液体担体、例えば水、有機溶媒、両方の混合物、または医薬上許容される油または脂質中に溶解または懸濁されることができる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、フレーバー剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘性調整剤、安定化剤または浸透圧調整剤を含む他の適当な医薬添加剤を含有する。経口および非経口投与に適した液体担体の例としては、水(特に上記添加剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロースを含有するセルロース誘導体を含有する溶液を含む)、アルコール(一価アルコールおよび例えばグリセロールを含む多価アルコールを含む)およびそれらの誘導体、および油(例えば、ヤシ油)を含む。非経口投与に関して、担体はまた、油性エステル、例えばオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルであり得る。滅菌液体担体は、非経口投与用の滅菌液体形態組成物において用いられる。加圧型組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素または多の医薬上許容される推進剤であり得る。
【0018】
本発明の組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、散剤、持続放出処方、坐剤、エマルジョン、エアロゾール、スプレー、懸濁液、または他の使用に適した形態をとり得る。一の具体例において、組成物はカプセル形態である。適当な賦形剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447 1676 (Alfonso R. Gennaro, ed., 19th ed. 1995)に記載されている。
【0019】
一の具体例において、本発明の塩および結晶形態は、ヒトに経口投与するのに適した組成物として慣用的な方法で処方される。経口デリバリー用の組成物は、錠剤、ロゼンジ、バッカル形態、トローチ、水性または油性懸濁液または溶液、顆粒、散剤、エマルジョン、カプセル、シロップ、またはエリキシル等の形態であり得る。経口投与組成物は、1種またはそれ以上の剤、例えば甘味剤、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリン;フレーバー剤、例えばペパーミント油、冬緑油、またはサクラ油;着色剤;および保存剤を、口当たりがよい医薬製剤を提供するのに含んでいてもよい。散剤において、担体は微粉化固体であり得、これは、微粉化化合物または化合物の医薬上許容される塩の混合物であり得る。錠剤において、化合物または化合物の医薬上許容される塩は、適当な割合で所望の形および大きさに必要な圧搾特性を有する担体と混合される。散剤および錠剤は、99%までの塩または結晶形態を含有し得る。
【0020】
カプセルは、化合物または化合物の医薬上許容される塩と不活性充填剤および/または希釈剤、例えば医薬上許容されるでんぷん(例えば、とうもろこしでんぷん、ポテトでんぷんまたはタピオカでんぷん)、糖、人工甘味料、粉末セルロース(例えば、結晶性および微結晶セルロース)、小麦、ゼラチン、ガム等含んでいてもよい。
【0021】
錠剤処方は、慣用的な圧搾、湿式造粒法または乾式造粒法により製造することができ、医薬上許容される希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、表面修飾剤(界面活性剤を含む)、懸濁化剤または安定化剤(限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、でんぷん、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリジン、アルギン酸、アカシアガム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合シリカ、炭酸カルシウム、グリシン、シュークロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、低融点ワックスおよびイオン交換剤)を利用する。表面修飾剤は、非イオン性およびアニオン性表面修飾剤を含む。表面修飾剤の代表的な例としては、限定するものではないが、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムおよびトリエタノールアミンが挙げられる。
【0022】
錠剤またはピル形態である場合、組成物は、崩壊を遅延させるため、胃腸管に吸収されるのを遅延されるためにコートすることができ、これにより、長期間にわたって持続的な活性が与えられる。浸透活性化合物または化合物の医薬上許容される塩の周りの選択性透過性膜は、経口投与される組成物に適している。後のプラットホームにおいて、カプセルの周囲の環境からの流体は化合物により吸収され、これらは膨潤して、隙間から薬剤または薬剤組成物を放出させる。これらのデリバリープラットホームは、即時放出処方の急激なプロファイルとは反対に、本日的にゼロオーダーのデリバリープロファイルを与える。モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールのような遅延物質もまた用いることができる。経口組成物は、標準的な賦形剤、例えばマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、およびカルボン酸マグネシウムを含む。一の具体例において、賦形剤は、医薬品グレードである。
【0023】
他の具体例において、塩および結晶形態は、静脈内投与用に処方することができる。典型的には、静脈内投与用組成物は、滅菌等張性水性緩衝液を含む。要すれば、組成物は、可溶化剤を含みうる。静脈内投与用の組成物は、所望により、局所麻酔剤、例えば注射部位で痛みを減少されるリグノカインを含み得る。一般的には、成分は、別個または単位剤形中に一緒に混同して、例えば活性成分の量を表示した密封容器、例えばアンプルまたはサシェ中の凍結乾燥粉末または水不含濃縮物として提供される。塩および結晶形態を吸入により投与する場合、これらは、例えば、水滅菌医薬グレードの水またはセイラインを含有する吸入ボトルで投薬される。塩および結晶形態を注射により投与する場合、注射用滅菌水またはセイラインのアンプルを、投与前に成分と混合できるように提供する。
【0024】
他の具体例において、塩および結晶形態は、経皮パッチを用いることにより経皮投与することができる。経皮投与は体表面および上皮および粘膜組織を含む体の内壁を介する投与が含まれる。かかる投与は、本発明の塩および結晶形態をローション、クリーム、泡、パッチ、懸濁液、溶液および坐剤(例えば、直腸または膣)の形態で用いて行うことができる。
【0025】
経皮投与は、本発明の塩または結晶形態および化合物または化合物の医薬上許容される塩に不活性であり、皮膚に対して非毒性であり、薬剤を皮膚を介して血流に全身吸収さえることができる担体を含有する経皮パッチの使用により行うことができる。担体は、クリームまたは軟膏、ペースト、ゲル、または閉鎖デバイスのような多くの形態をとり得る。クリームまたは軟膏は、粘性液体または水中油型または油中水型のいずれかの半固体エマルジョンであってもよい。活性成分を含有する鉱油または親水性石油中に分散された吸収性パウダーからなるペーストもまた、適当である。種々の閉鎖デバイスは、化合物または化合物の医薬上許容される塩を血流に放出するのに用いることができ、例えば、化合物または化合物の医薬上許容される塩を担体と一緒にまたは担体無しで含有するリザーバー、または活性成分を含有するマトリックスを覆う半透膜がある。
【0026】
本発明の塩および結晶形態は、慣用的な坐剤形態で直腸または膣投与することができる。坐剤処方は、慣用的な物質、例えばココアバターおよびグリセリンから、坐剤の融点を変化させるワックスを添加して、または添加せずに製造される。水溶性坐剤基剤、例えば種々の分子量のポリエチレングリコールもまた、用いることができる。
【0027】
塩および結晶形態は、制御放出または持続放出により、または当業者に公知のデリバリーデバイスにより投与することができる。かかる剤形は、種々の割合での所望の放出プロファイルを与えるヒドロキシプロピルセルロース、他のポリマートトリクス、ゲル、透過性膜、浸透システム、多層コーティング、マイクロカプセル、リポソーム、マイクロスフェアまたはそれらの組み合わせを用いて、1種またはそれ以上の活性成分の制御または持続放出を可能にする。当業者に知られており、本明細書に記載のものを含む適当な制御または持続放出処方は、本発明の活性成分を用いるために容易に選択することができる。かくして、本発明は、経口投与に適した一の単位剤形、限定するものではないが、制御または持続放出に適した錠剤、カプセル、ゲルキャップおよびカプレットを包含する。
【0028】
一の具体例において、制御または持続放出組成物は、最小限の時間で5−HT1A関連障害の治療または予防するための最小限の量の塩または結晶形態を含む。制御または持続放出組成物の利点は、薬剤の長い活性、投与頻度の減少、および治療される動物のコンプライアンスの強化を含む。加えて、制御または持続放出組成物は、作用の開始時期または他の特性、例えば化合物または化合物の医薬上許容される塩の血中レベルに好適な影響を与え、かくして、不利なび副作用の発現を減少させることができる。
【0029】
制御または持続放出組成物は、所望の治療および予防効果を即時に与える量の化合物を最初に放出し、治療および予防効果を維持するレベルの量の化合物を長期間にわたってゆっくりと持続的に放出する。体内における化合物または化合物の医薬上許容される塩を一定のレベルを維持するために、化合物または化合物の医薬上許容される塩は、化合物または化合物の医薬上許容される塩が代謝され、体内から排出される量と置き換わるような速度で剤形から放出させることができる。活性化成分の制御または持続放出は、限定するものではないが、pHの変化、温度の変化、酵素の濃度または利用能、水の濃度または利用能、または他の生理学的な条件または化合物を含む種々の条件により刺激されうる。
【0030】
デリバリーされる塩または結晶形態の量は、5−HT1A関連障害を治療または予防するのに効果的な量である。加えて、インビトロまたはインビボアッセイは、所望により、最適な投与量範囲を同定するのに利用することができる。用いるべき正確な投与量はまた、投与経路、症状、治療する症状の重度、ならびに治療する個体に関連する種々の物理的因子に依存し、医療関係者の判断に応じて決定され得る。同様の投与量を、限定するものではないが、約2時間毎、約6時間毎、約8時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約36時間毎、約48時間毎、約72時間毎、約2週毎、約約3週毎、約約1月毎、約2月毎を含む種々の期間にわたって投与することができる。全体の治療に応じて、投与の数および頻度は、医療関係者の判断に応じて決定されるだろう。本明細書に記載の有効な投与量は、合計の投与量を意味し;すなわち、1以上の化合物を投与する場合、有効量は投与した総量に対応する。
【0031】
5−HT1A関連障害の治療または予防に有効な塩または結晶形態の量は、典型的には、1日当たり約0.001mg/kg〜約600mg/kg体重、一の具体例において、1日当たり約1mg/kg〜約600mg/kg体重、他の具体例において、1日当たり約10mg/kg〜約400mg/kg体重、他の具体例において、1日当たり約10mg/kg〜約200mg/kg体重、他の具体例において、1日当たり約10mg/kg〜約100mg/kg体重、他の具体例において、1日当たり約1mg/kg〜約10mg/kg体重、他の具体例において、1日当たり約0.001mg/kg〜約100mg/kg体重、他の具体例において、1日当たり約0.001mg/kg〜約10mg/kg体重、および他の具体例において、1日当たり約0.001mg/kg〜約1mg/kg体重の範囲だろう。
【0032】
一の具体例において、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、散剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、顆粒または坐剤として単位剤形である。かかる形態において、組成物は、適当な量の活性成分を含有する単位剤形に分けられていてもよい;単位剤形は、パッケージ化組成物、例えばパッケージ化散剤、バイアル、アンプル、予め充填されたシリンジまたは液体を含有するサシェであり得る。単位剤系は、例えば、カプセルまたは錠剤それ自体であってもよく、または適当な数のかかる組成物のパッケージ形態であってもよい。かかる単位剤形は、約0.01mg/kg〜約250mg/kgを含有し、単回投与されるか、あるいは2回またはそれ以上に分割して投与される。投与量のバリエーションは、必要に応じて、治療される患者の種、体重および症状および医薬に対する患者の応答に依存するだろう。
【0033】
一の具体例において、単位剤形は約0.01〜約1000mgである。他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約500mgであり;他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約250mgであり;他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約100mgであり;他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約50mgであり;他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約25mgであり;他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約10mgであり;他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約5mgであり;他の具体例において、単位剤形は約0.01〜約10mgである。
【0034】
いくつかの具体例において、組成物は、経口投与に適しており、および/または経口剤形を含む。
塩および結晶形態は、ヒトに用いられる前に所望の治療または予防活性について効果インビトロまたはインビボでアッセイされ得る。動物モデル系は、安全かつ有効に用いることができる。
医薬組成物は、適当な薬務、例えばRemingtons Pharmaceutical Sciences, 17th edition, ed. Alfonoso R. Gennaro, Mack Publishing Company, Easton, PA (1985)(出典明示により本明細書に組み入れる)に従って調製することができる。医薬上許容される担体は、処方の他の成分と適合し、生物学的に許容される担体である。
【0035】
医薬
本発明の塩および結晶形態は、種々の5−HT1A関連疾患または障害、例えば認知関連障害または不安関連障害の治療方法に有用である5−HT1Aモジュレーターである。
【0036】
認知関連障害の治療は、認識機能の改善または認知障害の抑制を含みうる。認識機能の改善の例としては、限定するものではないが、記憶増進および学んだ知識の保持が挙げられる。したがって、化合物は、認知関連障害を患っている患者の記憶および認知の喪失の遅延および独立した機能の保持に有用である。したがって、本発明の塩および結晶形態は、認識機能の改善に有用である。さらに、認知関連障害の例としては、痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、アルツハイマー病に付随する認知障害、軽度認識障害、および統合失調症が挙げられる。
不安関連障害の例としては、注意力欠如障害、強迫性障害、薬物依存症、薬物依存症からの離脱症状、月経前不快気分障害、社会不安障害、神経性無食欲症、および神経性大食症が挙げられる。
【0037】
本発明の塩および結晶形態は、さらにアルツハイマー病の治療に有用である。いくつかの具体例において、アルツハイマー病の治療方法は、第2の治療剤を投与することを含む。いくつかの具体例において、第2の治療剤は、抗うつ剤、抗不安剤、抗精神病剤、または認知増強剤を含む。
【0038】
本発明の塩および結晶形態は、さらに、軽度認識障害(MCI)の治療に有用である。いくつかの具体例において、MCIの治療方法は、第2の治療剤を投与することを含む。いくつかの具体例において、第2の治療剤は、抗うつ剤、抗不安剤、抗精神病剤、または認知増強剤を含む。
【0039】
本発明の塩および結晶形態は、さらにうつ病の治療に有用である。いくつかの具体例において、うつ病の治療方法は、第2の薬剤を投与することを含む。いくつかの具体例において、第2の治療剤は、抗うつ剤、抗不安剤、抗精神病剤、または認知増強剤を含む。
【0040】
本発明の塩および結晶形態は、さらに性機能不全、例えば薬剤治療(例えば、抗うつ剤、抗精神病剤、抗痙攣剤での治療に伴う性機能不全)の治療に有用である。
【0041】
ある具体例において、性機能不全に関連する薬剤治療は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(例えば、フルオキセチン、シタロプラム、シュウ酸エシタロプラム、マレイン酸フルボキサミン、パロキセチン、またはセルトラリン)、三環式抗うつ剤(例えば、デシプラミン、アミトリプチリン、アモキシピン、クロミプラミン、ドクサピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン、ドチエピン、ブトリプチリン、イプリンドール、またはロフェプラミン)、アミノケトン化合物群(例えば、ブプロピオン)に関連する。いくつかの具体例において、薬剤は、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)(例えば、フェネルジン、イソカルボキサジド、またはトラニルシプロミン)、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)(例えば、ベンラファキシン、ネファゾドン、ミルナシプラン、デュロキセチン)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI)(例えば、レボキサチン)、部分5−HT1Aアゴニスト(例えば、ブスピロン)、5−HT2A受容体アンタゴニスト(例えば、ネファゾドン)、全身性抗精神病薬、または非定型抗精神病薬である。かかる抗精神病薬の例としては、脂肪族フェノチアジン、ピペラジンフェノチアジン、ブチロフェノン、置換ベンズアミド、およびチオキサンチンが挙げられる。かかる薬剤のさらなる例としては、ハロペリドール、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、ピモジド、アリピプラゾール、およびジプラシドンが挙げられる。ある場合において、薬剤は、抗痙攣剤、例えば、フェノバルビタール、フェニトイン、ピリミドン、またはカルバマゼピンである。ある場合において、性機能不全の治療を必要とする患者は、抗うつ剤、抗精神病薬、抗痙攣薬、またはそれらの組み合わせである少なくとも2種の薬剤で治療されている。
【0042】
本発明のある具体例において、性機能不全は、ペニスの勃起不全を含む。
【0043】
いくつかの具体例において、塩または結晶形態は、薬剤治療に付随する性機能不全の動物モデル、例えば性機能不全の抗うつ剤誘発モデルでの性機能不全の動物モデルでの性機能不全を緩和するのに有効である。
【0044】
本発明の塩および結晶形態は、さらに患者の性機能の改善に有用である。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「患者」なる用語は、哺乳動物を含む動物、好ましくはマウス、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類、最も好ましくはヒトを意味する。いくつかの具体例において、患者は治療を必要とする。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「治療的に有効な量」なるフレーズは、研究者、獣医、医師または他の臨床医により考えられる、組織、系、動物、個体またはヒトにおいて、下記の1またはそれ以上:
(1)疾患の予防;例えば、疾患、症状または障害に罹りやすいが、疾患の病状または兆候が見られないまたは現れてない個体の疾患、症状または障害の防止;
(2)疾患の阻害;例えば、疾患、症状または障害の病状または兆候が見られる、または現れている個体の疾患、症状または障害の阻害(すなわち、病状および/または兆候のさらなる進行の抑止または遅延);および
(3)疾患の緩和;例えば、疾患、症状または障害の病状または兆候が見られる、または現れている個体の疾患、症状または障害の緩和(すなわち、病状および/または兆候の逆進)
を含む生物学的または医薬的応答を発揮する活性化合物または薬剤の量を意味する。
【0047】
投与、組成物および剤形
本発明の塩および結晶形態は、そのままでまたは医薬上許容される担体またはビヒクルを含む組成物の一成分として投与され得る。本発明の医薬組成物は、化合物または化合物の医薬上許容される塩および医薬上許容される担体、賦形剤、または希釈剤を混合することを含む方法を用いて調製することができる。混合は、化合物または化合物の医薬上許容される塩および医薬上許容される担体、賦形剤、または希釈剤を混合するのによく知られた方法を用いて行うことができる。
【0048】
本発明の医薬組成物は、経口投与することができる。本発明の塩および結晶形態はまた、他の経路、例えば注入またはボーラス注射、皮膚粘膜内壁(例えば、経口、直腸、膣および腸粘膜等)からの吸収により投与することができ、他の治療剤と一緒に投与することもできる。投与は、全身性または局所性であってもよい。リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセルおよびカプセルを含む種々の公知のデリバリーシステムを用いることができる。
【0049】
投与方法は、限定するものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜内、経口、舌下、大脳内、膣内、直腸投与、吸入による投与または局所、特に耳、鼻、目または皮膚への投与を含む。ある場合において、投与は、血流内への化合物または化合物の医薬上許容される塩の放出を生じさせるだろう。投与方法は、医師の判断に委ねられる。
【0050】
一の具体例において、本発明の塩および結晶形態は経口投与される。
他の具体例において、本発明の塩および結晶形態は静脈内投与される。
他の具体例において、本発明の塩および結晶形態は局所投与することが望ましい。これは、例えば、手術中の局所注入により、例えば、術後の創傷包帯と組み合わせた局所適用により、注射により、カテーテル法により、坐剤により、または埋めこみにより行うことができ、該埋めこみは、膜、例えばシアラスティック膜または繊維を含み、ポーラス、非ポーラスまたはゼリー状物質であってもよい。
【0051】
ある具体例において、本発明の塩および結晶形態は、中枢神経系、循環系または胃腸管に、髄腔内、心室内注射、傍脊椎注射、硬膜外注射、浣腸および末梢神経の近傍への注射を含む適当な経路で誘導することが望まれ得る。心室内注射は、Ommayaリザーバーのようなリザーバーに接続した心室内カテーテルにより容易に行うことができる。
【0052】
肺内投与もまた、吸入または噴霧のおよびエアロゾル剤を含む処方またはフルオロカーボンでの還流または合成肺界面活性剤を用いることにより行うことができる。ある具体例において、塩および結晶形態は、慣用的な結合剤およびトリグリセライドのような賦形剤と坐剤として処方することができる。
【0053】
他の具体例において、本発明の塩および結晶形態は、ビヒクル、特にリポソームでデリバリーすることができる(Langer, Science 249:1527-1533 (1990)およびTreat et al., Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer 317-327および353-365 (1989)を参照)。
【0054】
さらなる他の具体例において、本発明の塩および結晶形態は、制御放出システムまたは持続放出システムでデリバリーすることができる(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, vol. 2, pp. 115 138 (1984)を参照のこと)。Langer, Science 249:1527 1533 (1990)に記載されている他の制御または持続放出システムもまた用いることができる。一の具体例において、ポンプを用いることができる(Langer, Science 249:1527-1533 (1990); Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987); Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980);およびSaudek et a1., N. Engl. J Med. 321:574 (1989))。他の具体例において、ポリマー物質を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release (Langer and Wise eds., 1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance (Smolen and Ball eds., 1984); Ranger and Peppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 2:61 (1983); Levy et al., Science 228:190 (1935); During et al., Ann. Neural. 25:351 (1989);およびHoward et al., J. Neurosurg. 71:105 (1989)参照)。
【0055】
組み合わせ療法
本発明の塩および結晶形態は、治療的に有効な量の1種またはそれ以上のさらなる治療剤と組み合わせて患者に投与することができる。さらなる治療剤の効果的な量は、当業者によく知られている。他の治療剤の最適量の範囲の決定は当業者の通常の技術範囲内である。塩または結晶形態および他の治療剤は相加的に作用することができるか、または一の具体例においては相乗的である。一の具体例において、他の治療剤を動物に投与する場合、本発明の塩または結晶形態の有効量は、他の治療剤を投与しない場合の有効量よりも少ない。この場合、理論に縛られることなく、塩または結晶形態および他の治療剤は、相乗的に作用することができると考えられる。ある場合において、治療を必要とする患者は、1種またはそれ以上の他の治療剤で治療されている。ある場合において、治療を必要とする患者は、少なくとも2種の他の治療剤で治療されている。
【0056】
一の具体例において、他の治療剤は、1種またはそれ以上の以下の剤:抗うつ剤、抗不安剤、抗精神病剤、または認知増強剤から選択される。本発明の活性化合物と組み合わせて用いることができる抗うつ剤の群の例としては、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、NK−1受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO)、モノアミンオキシダーゼ可逆阻害剤(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、および非定型抗うつ剤が挙げられる。適当なノルエピネフリン再取り込み阻害剤は、三環式第三級アミンおよび三環式第二級アミンが挙げられる。適当な三環式第三級アミンおよび三環式第二級アミンは、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドクサピン、イミプラミン、トリミプラミン、ドチエピン、ブトリプチリン、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、デシプラミンおよびマプロチリンを含む。適当な選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、フルオキセチン、シトロプラム、エシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンを含む。モノアミンオキシダーゼ阻害剤の例としては、イソカルボキサジド、フェネルジン、およびトラニルシプロミンが挙げられる。適当なモノアミンオキシダーゼ可逆阻害剤は、モクロベミドを含む。本発明の使用に適当なセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤は、ベンラファキシン、ネファゾドン、ミルナシプラン、およびデュロキセチンを含む。適当なCRFアンタゴニストは、国際特許出願番号WO94/13643、WO94/13644、WO94/13661、WO94/13676およびWO94/13677に記載のものを含む。適当な非定型抗うつ剤は、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジンを含む。適当なNK−1受容体アンタゴニストは、国際特許出願WO01/77100に記載のものを含む。
【0057】
本発明の活性化合物と組み合わせて用いることができる抗不安剤は、限定するものではないが、ベンゾジアゼピンおよびセロトニン1A(5−HT1A)アゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、および副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニストを含む。適当なベンゾジアゼピンの例としては、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロルアゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、およびプラゼパムが挙げられる。適当な5−HT1A受容体アゴニストまたはアンタゴニストの例としては、ブスピロン、フレシノキサン、ジェピロンおよびイプサピロンが挙げられる。
【0058】
本発明の活性化合物と組み合わせて用いることができる抗精神病剤は、限定するものではないが、脂肪族フェノチアジン、ピペラジンフェノチアジン、ブチロフェノン、置換ベンズアミド、およびチオキサンチンを含む。かかる薬剤のさらなる例としては、限定するものではないが、ハロペリドール、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、ピモジド、アリピプラゾール、およびジプラシドンが挙げられる。ある場合において、薬剤は、抗痙攣剤、例えば、フェノバルビタール、フェニトイン、ピリミドン、またはカルバマゼピンである。
【0059】
本発明の活性化合物と組み合わせて用いることができる認知増強剤は、限定するものではないが、神経伝達物質レベルを調節する薬剤(例えば、アセチルコリンエステラーゼまたはコリンエステラーゼ阻害剤、コリン作動性受容体アゴニストまたはセロトニン受容体アンタゴニスト)、可溶性Aβアミロイド線維形成、またはアミロイド斑苦痛のレベルを調節する薬剤(例えば、γ−セクレターゼ阻害剤、β−セクレターゼ阻害剤、抗体療法および分解酵素)、および神経を全体的に保護する薬剤(例えば、酸化防止剤、キナーゼ阻害剤、カスパーゼ阻害剤、およびホルモン)が挙げられる。本発明の化合物と同時投与される他の代表的な候補薬剤は、コリンエステラーゼ阻害剤、(例えば、タクリン(COGNEX(登録商標))、ドネペジル(ARICEPT(登録商標))、リバスティグミン(EXELON(登録商標))ガランタミン(REMINYL(登録商標))、メトリホナート、フィゾスチグミン、およびヒューパジンA)、N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)アンタゴニストおよびアゴニスト(例えば、デキストロメトルファン、メマンチン、マレイン酸ジゾシルピン(MK−801)、キセノン、レマセミド、エリプロディル、アマンタジン、D−シクロセリン、フェルバメート、イフェンプロジル、CP−101606(Pfizer)、デルセミン、および米国特許第6,821,985号および第6,635,270号に記載の化合物)、アンパカイン(例えば、シクロチアジド、アニラセタム、CX−516(Ampalex(登録商標))、CX−717,CX−516、CX−614、およびCX−691(Cortex Pharmaceuticals,Inc.Irvine,CA)、7−クロロ−3−メチル−3−4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン S,S−ジオキシド(Zivkovic et al., 1995, J. Pharmacol. Exp. Therap., 272:300-309; Thompson et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:7667-7671を参照)、3−ビシクロ[2,2,1]hept−5−en−2−イル−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド−1,1−ジオキシド(Yamada, et al., 1993, J. Neurosc. 13:3904-3915);7−フルオロ−3−メチル−5−エチル−1,2,4−ベンゾチアジアジン−S,S−ジオキシド;および米国特許第6,620,808号および国際特許出願番号WO94/02475、WO96/38414、WO97/36907、WO99/51240、およびWO99/42456に記載の化合物)、ベンゾジアゼピン(BZD)/GABA受容体複合体モジュレーター(例えば、プロガビド、ゲンガビン、ザレプロン、および米国特許第5,538,956号、第5,260,331号、および第5,422,355号に記載の化合物);セロトニンアンタゴニスト(例えば、5HT受容体モジュレーター、5HT1Aアンタゴニストまたはアゴニスト(限定するものではないが、レコゾタンおよび米国特許第6,465,482号、第6,127,357号、第6,469,007号および第6,586,436号およびPCT公開番号WO97/03982に記載されている)および5−HTアンタゴニスト(限定するものではないが、米国特許第6,727,236号、第6,825,212号、第6,995,176号、および第7,041,695号));ニコチン酸(例えば、ニコチン酸);ムスカリン様薬剤(例えば、キサノメリン、CDD−0102、セビメリン、タルサクリジン、オキシブチン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロスピウムおよびダリフェナシン);モノアミンオキシダーゼ型B(MAOB)阻害剤(例えば、ラサジリン、セレギリン、デプレニール、ラザベミド、サフィナミド、クロルジリン、パルギリン、N−(2−アミノエチル)−4−クロロベンズアミド塩酸塩、およびN−(2−アミノエチル)−5(3−フルオロフェニル)−4−チアゾールカルボキサミド塩酸塩);ホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害剤(例えば、ロフルミラスト、アロフィリン、シロミラスト、ロリプラム、RO−20−1724、セオフィリン、デンブフィリン、ARIFLO、ロフルミラスト、CDP−840(トリ−アリールエタン)CP80633(ピリミドン)、RP73401(Rhone−Poulenc Rorer)、デンブフィリン(SmithKline Beecham)、アロフィリン(Almirall)、CP−77、059(Pfizer)、ピリド[2、3d]ピリダジン−5−オン(Syntex)、EP−685479(Bayer)、T−440(Tanabe Seiyaku)、およびSDZ−ISQ−844(Novartis));G蛋白質;チャンネルモジュレーター;免疫治療剤(例えば、米国特許出願番号US2005/0197356およびUS2005/0197379に記載の化合物);抗アミロイドまたはアミロイド低下剤(例えば、バピネオズマブおよび米国特許第6,878,742号または米国特許出願番号US2005/0282825またはUS2005/0282826に記載の化合物);スタチンおよびペルオキシゾーム増殖活性化受容体(PPARS)モジュレーター(例えば、ゲムフィブロジル(LOPID(登録商標))、フェノフィブラート(TRICOR(登録商標))、マレイン酸ロシグリタゾン(AVANDIA(登録商標))、ピオグリタゾン(Actos(商標))、ロシグリタゾン(Avandia(商標))、クロフィブレートおよびベザフィブラート);システイニルプロテアーゼ阻害剤;糖化最終産物に関する受容体の阻害剤(RAGE)(例えば、アミノグアニジン、ピリドキサミンカルノシン、フェナジンジアミン、OPB−9195、およびテニルセタム);直接または間接的神経向性剤(例えば、セレブロリシン(登録商標)、ピラセタム、オキシラセタム、AIT−082(Emilieu, 2000, Arch. Neurol. 57:454));ベータ−セクレターゼ(BACE)阻害剤、α−セクレターゼ、イムノフィリン、カスパーゼ−3阻害剤、Srcキナーゼ阻害剤、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)アクチベーター、AMPA(アルファ−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸)モジュレーター、M4アゴニスト、JNK3阻害剤、LXRアゴニスト、H3アンタゴニスト、およびアンギオテンシンIVアンタゴニストを含む。他の認知増強剤は、限定するものではないが、アセチル−1−カルニチン、シチコリン、ヒューパジン、DMAE(ジメチルアミノエタノール)、バコパモンニエラ抽出物、セージ抽出物、L−アルファグリセリルホスホリルクロライド、イチョウおよびイチョウ抽出物、ビンポセチン、DHA、フェニルトロピンを含む向知性薬、ピカトロピン(Creative Compounds,LLC,Scott City,MO)、ベシピルジン、リノピルジン、シボピルジン、エストロゲンおよびエストロゲン様化合物、イデベノン、T−588(Toyama Chemical,Japan)、およびFK960(Fujisawa Pharmaceutical Co.Ltd.)を含む。米国特許第5,219,857号、第4,904,658号、第4,624,954号および第4,665,183号に記載の化合物もまた、本明細書に記載のように認知増強剤として有用である。上記のメカニズムの1つまたはそれ以上で作用する認知増強剤は、本発明の範囲内に含まれる。
【0060】
一の具体例において、本発明の塩または結晶形態および認知増強剤は、相加的に作用し、または一の具体例において、相乗的に作用する。一の具体例において、認知増強剤および本発明の塩または結晶形態は、動物に同時投与される場合、本発明の塩または結晶形態塩または結晶形態の有効量は、認知増強剤を投与しない場合の有効量よりも少ない。一の具体例において、認知増強剤および本発明の塩または結晶形態を動物に同時投与する場合、認知増強剤の有効量は、本発明の塩または結晶形態を投与しない場合の有効量よりも少ない。一の具体例において、認知増強剤および本発明の塩または結晶形態は、これらを同時投与しない場合の有効量よりも少ない投与量で動物に同時投与される。これらの場合において、理論に縛られることなく、化合物または化合物の医薬上許容される塩よび認知増強剤は、相乗的に作用すると考えられる。
【0061】
一の具体例において、他の治療剤は、アルツハイマー病またはアルツハイマー病に付随する症状、例えば認知症の治療に有用な薬剤である。アルツハイマー病に有用な薬剤の例としては、限定するものではないが、ドネペジル、リバスティグミン、ガランタミン、メマンチン、およびタクリンが挙げられる。
【0062】
一の具体例において、塩または結晶形態は、少なくとも一種のさらなる治療剤と共に同時に投与される。
【0063】
一の具体例において、有効量の塩または結晶形態および有効量の少なくとも1種のさらなる治療剤を同じ組成物中に含む組成物を投与することができる。
【0064】
他の具体例において、有効量の塩または結晶形態を含む組成物および有効量の少なくとも一種のさらなる治療剤を含む別個の組成物を、同時に投与することができる。他の具体例において、有効量の塩または結晶形態は、有効量のさらなる治療剤の投与の前またはそれに続いて投与される。この具体例において、他の治療剤が治療効果を発揮する間に、塩または結晶形態を投与するか、あるいは塩または結晶形態が、5−HT1A関連障害の治療または予防において治療または予防効果を発揮する間に、他の治療剤を投与する。
【0065】
本明細書に記載の発明をさらに理解するために、以下に実施例を記載する。これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、何ら限定するものではないことは理解されるだろう。
【0066】
実施例
実施例1
6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリン(遊離塩基)の調製
工程1:6−メトキシ−8−(1−ピペラジニル)キノリン
8−アミノ−6−メトキシキノリン(150.0g、0.862mol)およびビス(2−クロロエチル)アミン(219g、1.23mol)の6部(8−アミノ−6−メトキシキノリンの重量に対するヘキサノールの容量)の1−ヘキサノール(900mL)中混合物を145℃に加熱し、21時間撹拌した。完了後、反応混合物を50〜60℃に冷却し、507gのNaOH水溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を25〜30℃に冷却し、酢酸イソプロピル(750mL)を加えた。混合物をセライトのパッドを通して濾過した。ついで、水相を分離した。有機溶液をアジピン酸(126g、0.862mol)の酢酸イソプロピル(250mL)中スラリーで処理した。得られた混合物を16時間撹拌して、6−メトキシ−8−(1−ピペラジニル)キノリンアジピン酸塩を形成した。アジピン酸塩を濾過し、酢酸イソプロピル(2×150mL)で洗浄し、窒素流により乾燥して、6−メトキシ−8−ピペラジン−1−イル−キノリン(186g、55%収率)のアジピン酸塩を約97%HPLC面積、88%強度の純度で51%の収率で得た。
【0067】
塩の精製のために、580gの粗アジピン酸塩および2.8Lのメタノールを混合し、65℃に加熱し、暗溶液を得た。この溶液にゆっくりと1.1リットルの酢酸イソプロピルを40分にわたって約63℃で加えた。混合物を約63℃で約1時間撹拌し、0〜5℃に冷却した。2時間0〜5℃に冷却した後、混合物を濾過し、300mLの酢酸イソプロピルで洗浄し、空気流で乾燥した。収量395g、68.1%の回収率。
【0068】
6−メトキシ−8−(1−ピペラジニル)キノリンのアジピン酸塩からの遊離のために、100g(0.257mol)のアジピン酸塩を2Lの反応容器に加え、ついで、500mLのジクロロメタンを加えた。この混合物に100gの水を加え、ついで、ゆっくり(約15分で)41gの50%水酸化ナトリウム溶液を加え、pHが10以下になった場合に必要に応じて水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを13〜14の範囲内に維持した。有機層を分離し、活性化塩基性酸化アルミニウムのパッド(100g、6.5cm径×3cm深さ)で濾過した。パッドを100mLの酢酸イソプロピルで2回洗浄した。ジクロロメタンを、減圧下(450〜500mmHg)で蒸留し、3×150mLのトルエンを反応容器に最終容量が約135mLになるまで加えてトルエンに置き換えた。いくらかの白色固体が蒸留後に沈殿し、固体を濾過により除去し、濾過ケークを50mLのトルエンで洗浄した(最終容量185mL、純度97.56%、溶液強度27.4%)。
【0069】
工程2:8−ブロモ−5−フルオロキノリン
機械的撹拌機、コンデンサー、熱電対、バッフルおよび窒素注入口を備えた2Lの反応容器に、228gの水、200gの2−ブロモ−5−フルオロアニリンおよび80gの4−ニトロフェノールを加えた。この混合物に、96%硫酸を20〜120℃10〜30分で加えた。混合物を135〜140℃に加熱し、194gのグリセロールを反応容器に2時間にわたって135〜145℃で加えた。混合物を添加後135〜145℃で1時間保持した。反応混合物を20〜50℃以下に冷却し、ゆっくりと1100gの水および1210gのトルエンを含む5lの反応容器に移した。2Lの反応容器を300gの水で洗浄し、洗浄液を5L反応容器に合した。5L反応容器の内容物のpHを、pH8〜10で約1233g(1370mL)水酸化アンモニウム(28〜30%NH)を添加することによりに調製した。混合物を室温にて15分間撹拌し、固体副生成物を濾過し、濾液を残した。濾過ケークを400mLのトルエンで洗浄し、すべての濾液を合し、3L反応容器に加えた。約500mlの8.5%KOH溶液を3L反応容器に加え、10分間撹拌し、水層を分離した。第2の500mlの8.5%KOH溶液を加え、混合物を15分間撹拌し、底水層を分離した。水500mLを加え、15分間撹拌し、ついで、底水層を分離した。有機層を加熱して、約100〜200mLのトルエンと共沸して水を除去した。透明な溶液が得られた。収量:約178g 8−ブロモ−5−フルオロキノリン、約75%。
【0070】
別法として、8−ブロモ−5−フルオロキノリンを、2−ブロモ−5−フルオロアニリン(100g、1.0eq)、4−ニトロフェノール(40g、0.54eq)、およびグリセロール(97g、2.0eq)を含有する暖混合物を硫酸(267mL)および水(114mL)に140〜150℃で1.5時間にわたって加えることにより調製した。初期混合物は、相対的なHPLC面積%により37.8% 4−ニトロフェノールを示した。試料は、50%の混合した出発物質を添加した直後に4.7% 4−ニトロフェノールを、全ての物質と添加した直後に5.0%を示した。収率は87.5%であり、合計の不純物は0.29%であった。より少ない(0.46eq、34g)4−ニトロフェノールを添加して、目的の中間体を適当な収率で製造した。
【0071】
工程3:1−(5−フルオロキノリン−8−イル)ピペリジン−4−オン
インペラ型撹拌機、コンデンサー、熱電対、および真空/窒素注入口を備えた5Lのジャケット円筒状反応器に、2Lの8−ブロモ−5−フルオロキノリンの15%トルエン溶液、209gの1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカンを加えた。同時に、500mLの三角フラスコにおいて、16.5g(26.5mmol)±−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニル−ホスフィン、および6.08g(6.64mmol)トリス[μ−[(1,2−η:4,5−η)−(1E,4E)−1,5−ジフェニル−1,4−ペンタジエン−3−オン]]ジパラジウムの260gのトルエン中懸濁液を調製した。この新たに作成した懸濁液を5Lの反応容器に加え、ついで、170gのトルエンで洗浄した。166gナトリウムtert−ブトキシドを反応容器に加え、ついで、430gのトルエンで洗浄した。反応容器を125mmHg未満に減圧して脱気して、ついで、窒素で満たし、3回繰り返した。ついで、混合物を50〜60℃に加熱し、1時間撹拌し、ついで、65〜75℃に加熱し、この温度で約10時間撹拌した。混合物を40〜50℃に冷却し、ついで、800gの水でクエンチした。低水層を分離し、有機層の容量を、減圧蒸留により約1.5Lにした。この残渣に、2.28kgの20%硫酸を25〜30℃で加えた。混合物を1時間撹拌し、濾過により精製し、二相の濾液を得た。水相を分離し、残した。トルエン870gを水溶液に加え、混合物を、770gの50%水酸化ナトリウム溶液をゆっくりと添加することにより中和した。低水層を分離し、600gのトルエンで抽出した。有機層を合し、反応物の容量を減圧蒸留により約1Lに減らした。残渣を室温に冷却し、480gのトルエンを加えた。混合物を45−55℃に加熱して、透明な溶液を形成し、これをセライト/チャコールパッドにより濾過して、パラジウムを除去した。濾液を減圧蒸留により約0.7Lに濃縮して、620gヘプタンと蒸留し、−15〜−5℃に冷却し、スラリーを形成した。固体を濾過により回収した。生成物を空気流で室温にて乾燥した。典型的な収率は約70%である。
【0072】
工程4:6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリン
トルエン(118g)、トリアセトキシボロヒドリドナトリウム(44.5g)を、0℃〜室温で混合した。この混合物に、予め混合した6−メトキシ−8−(1−ピペラジニル)キノリンのトルエン溶液(工程1、160g、27.4wt%、トルエン中)および1−(5−フルオロキノリン−8−イル)ピペリジン−4−オン(工程3、41g)を加えた。得られた混合物を約30℃で2〜3時間撹拌した。KOH溶液(水中443g9%)を加えて、残ったトリアセトキシボロヒドリドナトリウムをクエンチした。ヘプタン(118g)を加え、さらに生成物を沈殿させた。ついで、生成物を濾過し、エタノール(2×100ml)で洗浄した。収量68g、86%。この粗生成物(67g)を586gのジクロロメタン中に溶解し、チャコール/セライトパッドに通し、パラジウムを除去した。ジクロロメタンを蒸留し、同時に400gのエタノールをゆっくりと加えた。得られたスラリーを濾過し、エタノールで2回洗浄した(65g+100g)。生成物を55℃のオーブンで一晩乾燥した。精製回収物の収量は59.9g、89.4%であった。
【0073】
実施例2
6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩の調製
6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリン(遊離塩基)(25g、53mmol)を、不活性雰囲気下、無水メタノール(150mL)中に、機械的スターラーを備えた3首フラスコにおいて懸濁した。この懸濁液に、1Nエーテル塩酸(53mL、53mmol)を加え、透明な溶液とした。発熱は観察されなかった。溶液を、無水ジエチルエーテル(300mL)で処理するとゆっくりと結晶化が始まった。結晶を常温で16時間撹拌した。より大きなサイズの結晶は、一晩で、微結晶懸濁液に変化した。結晶を防湿下(N雰囲気下)で濾過し、60℃の減圧オーブンで1分間、窒素流下で48時間乾燥した。結晶性固体(25g、Y=93%)は、NMR評価によると0.6w%ジエチルエーテルを含有していた(Mp.>265℃)。
【0074】
実施例3
X線分析用の6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩六水和物結晶の調製
6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩(200mg;実施例2参照)を、エタノール(15mL)および水(5mL)の熱混合物に溶解した。得られた透明溶液を、6日間常温で静置した。得られた結晶を上清をデカンテーションして回収し、減圧下45℃で15時間乾燥した。
【0075】
実施例4
X線データ取得および構造精密化
実施例3に記載のように調製した6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩の単結晶(ベージュの角柱)を、シリコーングリースでグラスファイバー上に装填した。X線データを、Nonius KappaCCD回折計(放射線源:λ=0.71073ÅでのMoKα放射;900フレーム、1.0°/フレーム、40sec/deg)で取得した。所定のデータ取得および構造精密化パラメータを表1に与える。構造を直接法で解いた。全行列最小二乗精密化の間、ピペラジン−1−イウム水素原子H(16)および水の水素原子H(1wa)、H(2wa)、H(2wb)、H(2wa)、およびH(3wb)に関するXYZは、自由に変化させることができる。水のO(4w)、O(5w)、およびO(6w)上の水素原子は観察されず、精密化に含まれない。すべての他の水素原子に関するは、別個の炭素原子上にある。確率楕円および原子ラベルについては図1を参照。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
実施例5
原子座標
本発明で与えられる構造の非水素原子に関する原子座標を表2に示す。原子ラベルについては図1を参照。
【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
実施例6
結合距離および結合角
本発明で与えられる構造の非水素原子に関する結合距離および角度を表3および4に示す。原子ラベルについては図1を参照。
【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【0085】
【表8】

【0086】
【表9】

【0087】
【表10】

【0088】
【表11】

【0089】
【表12】

【0090】
【表13】

【0091】
実施例7
異方性変位パラメータ
本発明で与えられる構造の非水素原子に関する異方性変位パラメータを表5に示す。原子ラベルについては図1を参照。
【0092】
【表14】

【0093】
【表15】

【0094】
実施例8
水素座標
水素座標を表6に示す。
【表16】

【表17】

【0095】
実施例9
6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリントリス(塩酸塩)二水和物の調製
【0096】
工程1:5−フルオロ−8クロロキノリン
(5.0g)2−クロロ−5−フルオロアニリン(市販されている、6.0g)、グリセロール(6.0g)およびm−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(11.0g)の混合物に、20mLの70%硫酸を滴下した。反応温度を、2時間140℃に上げた。ついで、混合物を冷却し、氷水に注ぎ、セライトにより濾過した。濾液をNaOHで中和し、CHClで抽出した。合した有機層を無水MgSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物を、100%CHClを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに付して、3.7gの所望の生成物を黄色固体として得た;MP=74−76℃;MS(ES)m/z(相対強度):182(M+H)(100)。
【0097】
工程2:8−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4,5]デク−5−イル)−5−フルオロキノリン
5−フルオロ−8−クロロキノリン(工程1、1.12g)の20mLの無水テトラヒドロフラン中溶液に、0.085gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba)、0.085g)、ナトリウムtert−ブトキシド(0.83g)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)−ビフェニル(CYMAP、0.036g)、および1,4−ジオキソ−8−アザスピロ−4,5−デカン(1.05g)を加えた。混合物を、窒素雰囲気下で6時間還流した。ついで、反応混合物を室温に冷却し、エーテルで希釈し、セライトにより濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。ついで、粗物質を、ヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、0.700gの所望の生成物を褐色油として得た;MS(ES)m/z(相対強度):289(M+H)(100)。
【0098】
工程3:1−(5−フルオロキノリン−8−イル)ピペリジン−4−オン
8−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4,5]デク−5−イル)−5−フルオロキノリン(工程2、2.1g))の10mLの1:1テトラヒドロフラン/2NのHCl中溶液を室温にて一晩撹拌した。反応混合物を水で希釈し、1NのNaOH水溶液で塩基性化し、CHClで抽出した。合した有機層を無水MgSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、1.68gの所望の生成物を黄色固体として得、これは次の反応に用いるのに十分な純度であった;MSm/z=245[M+H]
【0099】
工程4:8−クロロ−6−ヒドロキシキノリン
機械的スターラー、還流コンデンサーを備えた500mLの3首フラスコに、順次、発煙硫酸(2.0g)、4−アミノ−3−クロロフェノール塩酸塩(6.4g、市販品)、ニトロベンゼン(2.9mL)およびホウ酸(3.0g)のグリセロール(16g)中溶液を加えた。ついで、濃硫酸(9mL)を冷却しながら滴下した。氷浴を除去し、油浴に置き換え、混合物を連続して2時間120℃に加熱し、ついで、150℃に加熱して、この温度で20時間撹拌を続けた。冷却した後、反応物を砕いた氷に加え、得られた溶液をKCOで中和した。明褐色固体として分離された生成物を濾過し、水およびヘキサンで洗浄し、減圧下(35℃)で一晩乾燥して、7g(77%)の所望の生成物を得た。MS(ES)m/z(相対強度):180(M++−H、100)
【0100】
工程5:8−クロロ−6−メトキシキノリン
3.3gの8−クロロ−6−ヒドロキシキノリン(工程4、3.3g)のジメチルホルムアミド中溶液に、KCO(3.8g)、ついで、ヨウドメタン(5.2g)を加えた。混合物を室温にて一晩撹拌した。ついで、水を加え、水性混合物をCHClで抽出した。合した有機層を無水MgSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物を、100%CHClを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2.2gの所望の生成物をベージュの固体として得た;MP=74−75℃;MS(ES)m/z(相対強度):194(M+H)(100)。
【0101】
工程6:6−メトキシ−8−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペラジノ]キノリン
8−クロロ−6−メトキシキノリン(工程5、2.7g)の無水テトラヒドロフラン中混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba)、0.064g)、ナトリウムtert−ブトキシド(1.9g)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(CYMAP、0.08g)およびtert−ブトキシカルボニルピペラジン(3.4g)を加えた。混合物を5時間窒素雰囲気下で還流した。ついで、反応物を室温に冷却し、エーテルで希釈し、セライトにより濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。粗物質を、100%CHClを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4.0gの所望の生成物をベージュの固体として得た;mp=92−93℃;MS(ES)m/z(相対強度):344(M+H)(100)。
【0102】
工程7:6−メトキシ−8−ピペラジノキノリン
6−メトキシ−8−[1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペラジノ]キノリン(工程6、4.0g)の20mLのジジオキサン中溶液に、10mLの4NのHCl/ジオキサンを加えた。混合物を室温にて一晩撹拌した。得られた沈殿を、減圧濾過により回収し、水に溶かし、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、CHClで抽出した。合した有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮して、2.8gの所望の生成物をベージュの固体として得た;MP=105−107℃;MS(ES)m/z(相対強度):244(M+H)(100)。
【0103】
工程8:5−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリン
1−(5−フルオロ−キノリン−8−イル)−ピペリジン−4−オン(工程3、0.25g、0.001mol)および6−メトキシ−8−ピペラジノキノリン(工程7、0.25g、0.001mol)を、20mLの無水メタノール中で撹拌した。1.1当量(0.07gm)のナトリウムシノボロヒドリドを加え、反応物を室温にて8時間撹拌した。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を酢酸エチル中に溶解し、水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。所望の生成物を、酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーにより得た。
【0104】
工程9:6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリン三塩酸塩二水和物
工程8の遊離塩基生成物を、メタノール性HClを用いて三塩酸塩に変換して、0.15gm(24%)の標題化合物を黄色固体として得た。Mp:200−202℃;MS(ES)m/z(相対強度):472(M+H)+(100)。
【0105】
本明細書に記載されているものに加え本発明の種々の改変は、上記記載から当業者には明らかだろう。また、かかる改変は本発明の範囲に含まれる。本明細書に示されたすべての特許、特許出願および雑誌を含む個々の引用文献は、出典明示により本明細書に組み入れる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンの塩酸塩。
【請求項2】
モノ塩酸塩またはトリス塩酸塩である、請求項1記載の塩。
【請求項3】
結晶性である、請求項1または請求項2記載の塩。
【請求項4】
水和されている、請求項1〜3いずれか1項記載の塩。
【請求項5】
六水和物または二水和物である、請求項4記載の塩。
【請求項6】
単斜晶系空間群を有する6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンのモノ塩酸塩の結晶形態。
【請求項7】
空間群P2(1)/c(No.14)を有する、請求項6記載の結晶形態。
【請求項8】
単位格子パラメータ:
a=14.4Å;
b=7.6Å;
c=28.6Å;および
ベータ=107.1°
である、請求項7記載の結晶形態。
【請求項9】
請求項6〜8いずれか1項記載の結晶形態の製造方法であって、6−メトキシ−8−[4−(1−(5−フルオロ)−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンモノ塩酸塩の水性溶液から該結晶形態を沈殿されることを含む方法。
【請求項10】
該水性溶液がアルコールを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
アルコールがエタノールである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
水:アルコールの容積比が約1:1〜約1:10である、請求項9または請求項10記載の方法。
【請求項13】
水:アルコールの容積比が約1:3である、請求項9または請求項10記載の方法。
【請求項14】
請求項9〜13いずれか1項記載の製造方法により製造される結晶形態。
【請求項15】
治療を必要とする患者における5−HT1A関連障害の治療方法であって、該患者に治療的に有効な量の請求項1〜8または請求項14のいずれか1項に記載の塩または結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項16】
5−HT1A関連障害が認知関連障害または不安関連障害である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
認知関連障害が、痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、アルツハイマー病に付随する認知障害、軽度認識障害、または統合失調症である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
不安関連障害が、注意力欠如障害、強迫性障害、薬物依存症、薬物依存症からの離脱症状、月経前不快気分障害、社会不安障害、神経性無食欲症、または神経性大食症である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
治療を必要とする患者におけるアルツハイマー病の治療方法であって、該患者に治療的に有効な量の請求項1〜8または請求項14のいずれか1項に記載の塩または結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項20】
治療を必要とする患者における軽度認識障害(MCI)の治療方法であって、該患者に治療的に有効な量の請求項1〜8または請求項14のいずれか1項に記載の化合物または結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項21】
治療を必要とする患者におけるうつ病の治療方法であって、該患者に治療的に有効な量の請求項1〜8または請求項14のいずれか1項に記載の塩または結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項22】
さらに第2の治療剤を投与することを含む、請求項15〜21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
第2の治療剤が、抗うつ剤、抗不安剤、抗精神病剤、または認知増強剤である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
第2の治療剤が選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、請求項22または23記載の方法。
【請求項25】
第2の治療剤が、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、クロナゼパム、ジアゼパム、ブスピロン、ハロペリドール、オランザピン、またはクロザピンである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
第2の治療剤がコリンエステラーゼ阻害剤である、請求項22または請求項23記載の方法。
【請求項27】
第2の治療剤が、タクリン、ドネペジル、リバスティグミン、またはガランタミンである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
治療を必要とする患者における薬物療法に付随する性機能不全の治療方法であって、該患者に治療的に有効な量の請求項1〜8または請求項14のいずれか1項に記載の塩または結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項29】
薬物療法が、抗うつ剤療法、抗精神病薬療法または抗痙攣薬療法である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
改善を必要とする患者における性機能の改善方法であって、該患者に有効量の請求項1〜8または請求項14のいずれか1項に記載の塩または結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項31】
請求項1〜8または請求項14のいずれか1項に記載の塩または結晶形態および少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む組成物。
【請求項32】
さらに第2の治療剤を含む請求項31記載の組成物。
【請求項33】
該第2の治療剤が、抗うつ剤、抗不安剤、抗精神病剤または認知増強剤である、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
該第2の治療剤が選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、請求項32または請求項33記載の組成物。
【請求項35】
該第2の治療剤が、ルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、クロナゼパム、ジアゼパム、ブスピロン、ハロペリドール、オランザピン、またはクロザピンである、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
該第2の治療剤が、コリンエステラーゼ阻害剤である、請求項32または請求項33記載の組成物。
【請求項37】
該第2の治療剤が、タクリン、ドネペジル、リバスティグミン、またはガランタミンである、請求項36記載の組成物。

【公表番号】特表2009−539854(P2009−539854A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514390(P2009−514390)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/013497
【国際公開番号】WO2007/146115
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】