説明

AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV関連感染症の改善又はその治療用化合物及びそのような化合物を含む組成物、そのような疾患及び感染症の治療方法及びそのような化合物及び組成物の製造方法

本発明は、一つ以上の一般式Iの化合物:


(式中、点線は単結合又は二重結合を表し;R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は一般式:


により表される基を表す)
又はそれらの塩又は水和物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与することにより、後天性免疫不全症候群(AIDS)及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連感染症を治療する方法を提供する。また、本発明は、細胞成長阻害性を有する一方でそのような細胞に低毒性である、そのような化合物のSエナンチオマー型及びそのような化合物の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症の治療用化合物、及びそのような化合物を含有する組成物に関する。また、本発明は、そのような疾患及び感染症の治療方法及びそのような化合物及び組成物の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
免疫系の疾患は、そのような疾患が人間性に関わり得る、かなり痛烈な影響を及ぼすため、大きな脅威を引き起こす。免疫系の疾患の例としては、後天性免疫不全症候群(AIDS)がある。レトロウイルス選定(designated)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、AIDSの原因病原体であり、免疫系の進行性破壊及び中枢神経系及び末梢神経系の変性を含む複合疾患である。AIDSは、近年、人を襲う最も致命的な疾患の一つであり、流行性という程度にまで達している。世界中で1800万人を超える人々がHIVに感染していると推定されている。AIDSは、123を超える国々で報告されている。
【0003】
近年、多くの薬剤及び薬剤コンビネーションは、AIDSの治療及びコントロールのために入手可能である。AIDS及びHIV+関連感染症に有効な強力な化合物を確認するために、継続的な調査が行われている。AIDSを治療及びコントロールするための方法及び化合物の代表的な例は、例えば、米国特許第6,180,634号;第6,120,772号;第6,040,434号;第6,015,796号;第5,905,077号;第5,888,511号;第5,846,978号;第5,811,462号;第5,747,540号;第5,744,906号;第5,631,088号;第5,504,065号;第5,491,166号;第5,475,136号;第5,430,064号;第5,413,999号;第5,229,368号;第5,162,499号;第5,108,993号;第5,059,592号及び第5,028,995号に開示されている。
免疫系の疾患は、主要な社会問題を生じている。AIDS及び他のウイルス性疾患に関連する疫学的統計によると、そのような疾患の罹患率の一層の増加が示され、世界的及び地域的健康機関は、そのような疾患のコントールのために有効かつ容易に適用可能な手段が提供及び実行されなければ、大規模な破滅的結末がもたらされると予測している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症の治療、予防及びコントロールに有効な強力な化合物を開発することが当技術分野に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症等の改善又はそれらの治療用化合物及びそのような化合物を含む組成物を提供する。また、本発明は、そのような化合物及び組成物の製造方法及びそのような疾患又は感染症を治療又はコントロールする方法を提供する。
従って、本発明の一つの態様により、以下の一般式Iの構造により表される化合物を、その治療を必要とする患者に投与することにより、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールする方法を提供する:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、点線は単結合又は二重結合を表す)。
ある態様において、R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示してもよい:
【0008】
【化2】

【0009】
{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである);また
A-Bは以下の一般式により表される基である}:
【0010】
【化3】

【0011】
ある態様において、mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよい。
或いは、mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよい。
Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよい。
ある態様において、nは整数の1〜200、具体的には1〜100であってもよい。
従って、特にXは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)O、Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよく、mは0又は1、nは0〜50であってもよいが、好ましくは、mとnは共に0ではない。より好ましくは、nは整数の1〜50であってもよい。
【0012】
ある態様において、nは整数の5〜75であってもよい。例えば、nは、5、6、7、8、10、11、12、13、15、16、17、18、20、25、30、33、34、35、40、45、50、60、65、68、69、70又は75であってもよい。好ましくは、nは、7、12、17、34又は69である。
ある態様において、R1は、-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3又は-CH(OR4)CH3であってもよい。
或いは、R1は以下のものであってもよい:
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R5は、H又はOHである)。従って、ある態様において、R1は、フェニル又は以下のものであってもよい:
【0015】
【化5】

【0016】
ある態様において、R2は、-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3又は-H(OR4)CH3であってもよい。
或いは、R2は以下のものであってもよい:
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、R5は、H又はOHである)。従って、ある態様において、R2はフェニル又は以下のものであってもよい:
【0019】
【化7】

【0020】
従って、本発明のさらなる態様において、一般式IIの構造により表される化合物を、その治療を必要とする患者に投与することにより、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールする方法を提供する:
【0021】
【化8】

【0022】
{式中、点線は単結合又は二重結合を示し;また
R5及びR5'は、互いに独立して、H、OH又はOR6である(式中R6は、線状又は分岐C1-C4アルキルである)}。
前述のように、mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよく、
又は、mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよい。
Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよい。
ある態様において、nは整数の1〜200、具体的には1〜100であってもよい。
従って、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)O、Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであってもよく、mは0又は1、nは0〜50であってもよいが、好ましくは、mとnは共に0ではない。より好ましくは、nは整数の1〜50であってもよい。
【0023】
ある態様において、nは整数の5〜75であってもよい。例えば、nは、5、6、7、8、10、11、12、13、15、16、17、18、20、25、30、33、34、35、40、45、50、60、65、68、69、70又は75であってもよい。好ましくは、nは、7、12、17、34又は69である。
ある態様において、mは0であってもよい。また、Xは-CH2O、mは1であってもよい。
【0024】
従って、本発明は、一般式IIIの構造により表される化合物を、その治療を必要とする患者に投与することにより、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールする方法を包含する:
【0025】
【化9】

【0026】
(式中、点線、R5、R5'、Z及びnは、一般式I及びIIに関して前記したものと同様の意味を有する)。
ある態様において、Zは、-CH(CH3)CH2Oであってもよく、従って、本発明は、一般式IVの構造により表される化合物を、その治療を必要とする患者に投与することにより、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールする方法を包含する:
【0027】
【化10】

【0028】
(式中、点線、R5、R5'、Z及びnは、一般式I及びIIに関して前記したものと同様の意味を有する)。
ある態様において、R5はHである。ある態様において、R5はOHである。
ある態様において、R5'はHである。ある態様において、R5'はOHである。
ある態様において、nは整数の1〜20である。ある態様において、nは整数の10〜20である。ある態様において、nは17である。また、nは整数の1〜10、好ましくは5〜10、例えばn=
7であってもよい。
また、本発明は、一般式I、II、III及びIVの構造により表される化合物の塩又は水和物を含む。
本発明の具体的な態様において、一般式Aの化合物を、その治療を必要とする患者に投与することにより、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールする方法を提供する:
【0029】
【化11】

【0030】
(式中、Rはp単位を有するポリアルキレングリコールポリマーであり、pは整数の1〜100である)。
ある態様において、ポリアルキレングリコールポリマーは、ポリイソプロピレングリコールであってもよい。
pは整数の5〜75であってもよい。例えば、pは、5、6、7、8、10、11、12、13、15、16、17、18、20、25、30、33、34、35、40、45、50、60、65、68、69、70又は75であってもよい。好ましくは、pは、7、12、17、34又は69である。
さらに、本発明は、一般式B、C、D、E又はFの化合物を、その治療を必要とする患者に投与することにより、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールする方法を提供する:
【0031】
【化12】

【0032】
(式中、R及びpは、一般式Aに関して示したものとそれぞれ同じ意味を有する)。
本発明の異なる態様において、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E又はFの一つ以上の化合物を含む、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールするための組成物を提供する。従って、ある態様において、本発明は、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E又はFの一つ以上の化合物を活性成分として、一つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤又はアジュバントと一緒に含む、ウイルス性疾患を治療、予防又はコントロールするための医薬組成物を提供する。ある態様において、本発明の医薬組成物は、一般式I又はIIの一つ以上の化合物を含んでいてもよい。
【0033】
本発明の他の態様において、AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症の治療、予防又はコントロール方法であって、その方法が、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E又はFの一つ以上の化合物及び/又は一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E又はFの一つ以上の化合物を含む医薬組成物を、その治療を必要とする患者に投与することを含む前記方法を提供する。一般的に、一般式I又はIIの一つ以上の化合物を使用してもよい。
さらに他の態様において、本発明は、AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症の治療、予防又はコントロールのための薬剤製造における、前記定義の一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E又はFの一つ以上の化合物の使用を包含する。
【0034】
本発明のさらに他の態様において、AICDを誘導し、アポトーシスを誘導し、ケモカインレセプターを阻害し、悪性転移を阻害するか、又は線維症又は異常線維芽細胞増殖を阻害する方法であって、その方法が、それぞれ、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E又はFの一つ以上の化合物及び/又は一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E又はFの一つ以上の化合物を含む医薬組成物を、その治療を必要とする患者に投与することを含む前記方法を提供する。ある態様において、一般式I又はIIの一つ以上の化合物を使用する。本発明の前記化合物を、化合物分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて好適に投与してもよい;そのようなキャリヤーの例はDMSOである。
【0035】
ある態様において、本発明の化合物は、N-シンナモイル-D,L-フェニルアラニノール、N-[1-ヒドロキシメチル-2-(1H-インドール-3-イル)-エチル]-3-フェニル-プロピオンアミド、N-[1-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチル]-3-(4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオンアミド、N-(1-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチル)-3-(1H-インドール-3-イル)-プロピオンアミド、N-(1-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチル)-3-フェニル-プロピオンアミド、N-[1-ヒドロキシメチル-2-(4-ヒドロキシフェニル)-エチル]-3-フェニル-プロピオンアミド、又はN-[1-ヒドロキシメチル-2-(1H-イミダゾール-4-イル)-エチル]-3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオンアミドを除外してもよい。
【0036】
本発明の異なる態様によると、一般式A〜Fの化合物のS-エナンチオマー型は、それらの態様が、有用な細胞分裂阻害特性を示すと同時に、そのような細胞の阻害を達成するために要求される濃度レベルで動物細胞に毒性をほとんど又は全く示さないことが見いだされたという点において、特に好都合かも知れない。
従って、本発明の特定の態様において、以下のような一般式A'、B'、C'、D'、E'又はF'の化合物を提供する:
【0037】
【化13】

【0038】
【化14】

【0039】
(式中、*により示されるキラル中心は、S-エナンチオマーコンホメーションであり、Rは、p単位を有するポリアルキレングリコールポリマーを示し、pは整数の1〜100である。好ましくはRは、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールであり、pは整数の1〜20である。特に好ましくは、pが7又は17の化合物である。)
本発明の具体的な態様において、(S)2-N(3-O-ポリプロピレングリコール)プロピルベンゼン)-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピルアミド(AV 61S、p=7)及び(S)2-N(3-O-(ポリプロピレングリコール)-1-プロピル-4-ヒドロキシベンゼン)-3-フェニルプロピルアミド(AV 74S、p=7)を提供する。
【0040】
例えば前記のようなAIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症の治療、予防又はコントロールのため、又は免疫アレルギー性又は自己免疫疾患の治療又は予防のため、又はPCT/IB2003/04993(その内容は参考文献としてここに含まれるものとする)に記載されるようなヒト又は動物の器官又は組織の移植拒絶の治療、予防又はコントロールのための療法による、ヒト又は動物の身体の治療方法において、前記定義の一般式A'、B'、C'、D'、E'又はF'の前記化合物を使用してもよい。
本発明の異なる態様において、以下の工程を含む前記一般式A'、D'又はE'の化合物の製造方法を提供する:
(i) 一般式Vの化合物を提供する工程:
【0041】
【化15】

【0042】
(式中、*により示されるキラル中心は、S-エナンチオマーであり、一般式Vの前記化合物は、少なくとも一つのヒドロキシフェニル基を含む);
(ii) 一般Vの前記化合物を、前記化合物上のフェニルヒドロキシ基を保護するのに適した保護剤と反応させる工程;
(iii) アルキルヒドロキシ基のアルカリ金属塩を形成する工程;
(iv) 前記アルカリ金属塩を、脱離基を含むポリアルキレングリコールと反応させる工程;及び
(v) その後、前記フェニルヒドロキシ基を脱保護し、一般式A'、D'又はE'の前記化合物を得る工程。
【0043】
好ましくは、一般式Vの前記化合物は、フェニル基及びヒドロキシフェニル基、例えば4-ヒドロキシフェニル基を含む。
前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールであってもよい。
工程(ii)の好ましい保護剤は、ジ-tert-ブチルジカルボネートであるが、ペプチド合成に使用するために当業者に公知のいずれかの他の保護基を使用してもよい。
工程(iii)において形成されるアルカリ金属塩は、例えば一般式Vの(保護)化合物とナトリウムエトキシド又はカリウムエトキシドの反応により得られるカリウム塩又はナトリウム塩であってもよい。
工程(iv)の好ましい脱離基は、メシル(メタンスルホニル)であるが、他の好適な脱離基は当業者に公知である。
一般式Vの前記化合物は、以下の一般式Xの化合物を
【0044】
【化16】

【0045】
一般式Yの化合物とカップリングさせることにより形成してもよい:
【0046】
【化17】

【0047】
(式中、X及びYの少なくとも一方は、ヒドロキシフェニル基を含む)。
【0048】
ある態様において、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をカップリング剤として使用してよいが、他の好適なカップリング剤は公知であり、ペプチド合成の当業者に入手可能である。
一般式Xの前記化合物は、3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸及びヒドロ桂皮酸から選ばれてもよい。前記一般式Yの化合物は、L-チロシノール塩酸塩及び3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸から選ばれてもよい。
【0049】
本発明による一般式A'、D'又はE'の化合物の製造方法は、他の可能な方法、例えばPCT/IB2003/004993に記載されるものと比較して、驚くほど高収率を示すことが見い出された。特に、一般式A'、D'又はE'の前記化合物の収率は、少なくとも20質量%又は30質量%であってもよく、いずれかの他の生成物(類)又は残留物のほとんどは、実質的に未反応のポリアルキレンオキシドである。ある態様において、40質量%以上の収率が得られてもよい。一般的に、所望の化合物の収率は、pの値がより低いほど、より高いかも知れないことが見い出された。特に好ましいpの値は7である。他の好ましい値は17である。
【0050】
従って、本発明のさらに他の態様によると、一般式A'、D'又はE'の化合物(Rとpは前記定義の通りである)少なくとも20質量%を含む組成物を提供する。前記組成物は、さらに、副生成物として未反応ポリアルキレングリコールを含んでいてもよい。ある態様において、前記組成物は、約30質量%又は40質量%より多く、好ましくは50質量%より多く、より好ましくは75質量%より多く、例えば約80質量%又は約85質量%の前記化合物を含んでいてもよい。
【0051】
特に規定しない限り、本明細書に使用する全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここに記載したものと同様又は対応する方法及び材料は、本発明の実施又は試験に使用することが可能であるが、好適な方法及び材料を単に例として以下に記載する。ここに述べた全ての公開物、特許出願、特許及び他の参考文献は、全体としてここに含まれるものとする。抵触した場合、定義を含む本明細書は、調整されると考えられる。さらに、材料、方法及び例は、単に説明のためのものであり、制限しようとするものではない。
【0052】
以下の詳細な説明がより良好に理解され、当技術分野へのこの貢献がより良好に評価されるために、前記記載は、本発明のかなり広く重要な特徴を示している。本発明の他の目的及び特徴は、添付の図面と共に考察される以下の詳細な説明から明らかとなると思われる。図面は、説明のために単にデザインされたものであり、添付の特許請求の範囲にみなされる本発明の範囲を定義するものではないと理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本明細書において、「アルキル」基は、飽和脂肪族炭化水素、例えば直鎖、分岐鎖及び環状のアルキル基を指す。本発明のある態様において、アルキル基は、炭素数1〜4であってもよい。例えば、アルキル基はメチル基であってもよい。或いは、アルキル基はエチル基であってもよい。或いは、アルキル基はプロピル基であってもよい。また、アルキル基はブチル基であってもよい。アルキル基は、置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及びチオアルキルから選ばれる一つ以上の基により置換されていてもよい。
【0054】
本発明の化合物を得るための合成方法論は、以下の実施例セクションに詳細に開示されている。しかし、本発明の化合物をいずれかの可能な合成方法により製造してもよいこと、並びに、別に規定する場合を除いて、実験内容セクションに記載の合成に決して限定されないということは、当業者に自明と考えられる。本発明の化合物を、化学的規則により可能ならば、さらに修飾してもよい。そのような修飾としては、様々な置換基の添加(例えば、ヒドロキシル化、カルボキシル化、メチル化等)、エナンチオマーの産生、酸-又は塩基付加塩の製造等が挙げられる。他の修飾としては、ポリアルキレングリコールポリマーの添加が挙げられる。
【0055】
本発明によると、本発明の化合物を、ポリアルキレングリコール(PAG)複合体として合成してもよい。複合体に使用される一般的なポリマーとしては、ポリ(エチレングリコール)(PEG)(又はポリ(エチレンオキシド)(PEO)としても公知である)及びポリプロピレングリコール(ポリイソプロピレングリコールを含む)が挙げられる。溶解性及び安定性を増強し、分子の血中半減期を延長するために、そのような複合体を使用してもよい。
その最も一般的な形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)、例えばPEGは、各末端がヒドロキシル基で終止する線状ポリマーである:
HO-CH2CH2O-(CH2CH2O)q-CH2CH2-OH
【0056】
前記ポリマー、α-、ω-ジヒドロキシポリ(エチレングリコール)は、HO-PEG-OHとして表され、記号-PEG-は以下の構造単位を表すと理解される:
-CH2CH2O-(CH2CH2O)q-CH2CH2-
(式中、qは一般的に、約4〜約10,000である)。PEGは、一般的に、メトキシ-PEG-OH又はmPEGとして使用され、一方の末端は比較的不活性なメトキシ基であるが、他方の末端は容易に化学的修飾を受けるヒドロキシ基である。さらに、それらの化学的性質においてPEGに密接に関連する異なるアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド)のランダム又はブロックコポリマーは、その多くの適用において、PEGと置換され得る。
【0057】
PAGsは、水及び多くの有機溶媒への可溶性、毒性の欠如及び免疫性の欠如という特性を一般的に有するポリマーである。PAGsの一つの用法は、不溶性分子にポリマーを共有結合し、得られるPAG-分子「複合体(conjugate)」を可溶性にすることである。例えば、水不溶性薬物のバクリタキセルは、PEGに結合すると、水溶性となることが示されている。Greenwaldら、J.Org.Chem.,60:331〜336(1995年)を参照されたい。
【0058】
本発明のポリアルキル化合物は、一般的に、モノマー単位1〜500を含んでいてもよい。本発明の他のPAG化合物は、モノマー単位1〜200を含んでいてもよい。本発明のさらに他のPAG化合物は、モノマー単位1〜100を含んでいてもよい。例えば、ポリマーは、1、10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100のモノマー単位を含んでいてもよい。本発明の幾つかの化合物は、モノマー単位5〜75又は1〜50のポリマーを含んでいてもよい。例えば、ポリマーは、2、3、5、6、7、8、10、11、12、13、15、16、17、18、20、25、30、33、34、35、40、45、50、60、65、68、69、70又は75のモノマー単位を含んでいてもよい。好ましくはm又はnは、7、12、17、34又は69である。ポリマーは、線状又は分岐であってもよい。
【0059】
PAG成分の添加により修飾された化合物が、様々な数のモノマー単位を有するポリマーの混合物を含んでいてもよいということは理解されるべきである。一般的に、PAG-修飾化合物(例えば、PAG-複合体)の合成では、複合体中のポリマー当たりのモノマー単位数のポアソン分布での分子数を導くと考えられる。従って、N=7モノマー単位のポリマーを有すると記載される化合物は、N=7モノマー単位を有すると記載されている数の実際のポリマーだけでなく、分布のピークでの分子数が7であるものをいう。所定の数のモノマー単位の分布は、例えば、核磁気共鳴(NMR)又は質量分析(MS)により測定することができる。
【0060】
本出願の全体を通して、従来の用語は、以下及び当業者に公知の好適なテキストブック中に記載されるような異性体を示すために使用される(例えば、「Principles in Biochemistry」、Lehninger(版)、99〜100頁、Worth Publishers, Inc.(1982年)、ニューヨーク、NY;「Organic Chemistry」、Morrison and Boyd、第三版、第4章、Allyn and Bacon,Inc.、ボストン、MA(1978年)を参照されたい)。
前記のように、本発明の一定の化合物は、特定の幾何異性体又は立体異性体の形態において存在してもよい。反対に明記される場合を除いて、本発明は、全てのそのような化合物、例えばシス-及びトランス-異性体、R-及びS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物及びそれらの他の混合物であって本発明の範囲内に入るものを包含する。追加の不斉炭素原子は、置換基、例えばアルキル基に存在してもよい。全てのそのような異性体、並びにそれらの混合物は、本発明に包含される。
【0061】
四つの異なる置換基を含む炭素原子は、キラル中心と呼ばれる。キラル中心は、二つの異なる異性体型を生じ得る。これらの形態は、一つの例外(それらが平面偏光の回転を生じることが可能な方向)を除いて、全て同様の物理的特性を有する。これらの化合物は、「光学活性」と呼ばれ、即ち、化合物は、一方向又は他方向に平面偏光を回転することが可能である。
炭素に結合する四つの異なる置換基は、空間において二つの異なる配置を占めることが可能である。これらの配置は、互いに重ね合わせられる鏡像ではなく、光学異性体、エナンチオマー又は立体異性体と呼ばれる。所定の化合物のある立体異性体の溶液は、左に平面偏光を回転させると考えられ、左旋異性体と呼ばれる[(-)と表示される];化合物の他の立体異性体は、同じ範囲であるが右に平面偏光を回転させると考えられ、右旋異性体と呼ばれる[(+)と表示される]。
【0062】
R S系は、化合物が二つ以上のキラル中心を含む場合に不明確となることを避けるために見い出された。一般的に、その系は、原子番号減少順、又は最も小さいか最も低いランクの基が観察者から直接離れて示している場合は価数(valance density)の減少順で、不斉炭素原子周りの四つの異なる置換原子をランク付けするようにデザインされている。異なるランキングは当技術分野によく知られており、Lehningerの99頁に記載されている。ランク順の減少が時計回りでみられるならば、キラル中心周りの配置はRと呼ばれ;もしランク順の減少が反時計回りならば、配置はSと呼ばれる。したがって、各キラル中心は、この系を使用して呼称される。
【0063】
例えば、もし本発明の化合物の特定のエナンチオマー、例えばSエナンチオマーが望ましいならば、不斉合成により製造されるか又はキラル補助基での誘導により製造してもよく、そこでは得られるジアステレオマー混合物は分離され、その補助基は切断され純粋な所望のエナンチオマーが提供される。また、分子が塩基性官能基、例えばアミノ基又は酸性官能基、例えばカルボキシル基を含む場合、ジアステレオマー塩は好適な光学活性酸又は塩基で形成され、その後、当技術分野に公知の分別結晶化又はクロマトグラフィ手段により、このようにして形成されたジアステレオマーの分割及びその後の純粋なエナンチオマーの回収が行われる。
【0064】
本発明の組成物及び医薬組成物は、純粋な形態又は部分的に純粋な形態において、本発明の一つ以上の化合物を含んでいてもよい。同様に、本発明の方法は、化合物が純粋な形態又は部分的に純粋な形態において、一つ以上の化合物の使用を含む。
ある態様において、本発明の組成物は、本発明の少なくとも一つの化合物、即ち一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E、F、A'、B'、C'、D'、E'及びF'の構造により表される一つ以上の化合物を含んでいてもよい。ある態様において、本発明の組成物は、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E、F、A'、B'、C'、D'、E'及びF'の構造により表される少なくとも二つの化合物の混合物を含んでいてもよい。ある態様において、本発明の組成物は、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E、F、A'、B'、C'、D'、E'又はF'の構造により表される化合物の少なくとも五つの化合物の混合物を含んでいてもよい。ある態様において、本発明の組成物は、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E、F、A'、B'、C'、D'、E'及びF'の構造により表される化合物の少なくとも十の混合物を含んでいてもよい。
【0065】
驚くべきことに、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E、F、A'、B'、C'、D'、E'及びF'の構造により表される一つ以上の化合物が、AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症に対して有効であることが見い出された。従って、ある態様において、本発明は、ヒト並びに獣医適用のAIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症の治療、予防又はコントロールの方法を提供する。ある態様において、前記方法は、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E、F、A'、B'、C'、D'、E'及びF'の構造により表される一つ以上の化合物を被験者に投与することを含んでいてもよい。ある態様において、その方法は、一般式I、II、III、IV、A、B、C、D、E、F、A'、B'、C'、D'、E'及びF'の構造により表される一つ以上の化合物を含む医薬組成物を被験者に投与することを含んでいてもよい。
【0066】
また、本発明の化合物は、AIDS及びHIV+関連感染症の治療に有用であると考えられることが見い出された。以下の実施例に記載する実験において、本発明の化合物は、インビトロで活性であることが示された。ケモカインレセプターCXCR4を含む結合実験において、その標的細胞へのHIV-1 T指向性のエントランスに最も重要なレセプターであるこのレセプターの機能を妨げることにより、本発明の化合物は活性を示した。ケモカインレセプター阻害が重要であるか又は望ましい他の状態の治療も企図されている。例えば、悪性転移のコントロール及び/又は予防は、癌治療において非常に重要であり、望ましい。ケモカインレセプターCXCR4(及びCXCR3の範囲まで)は、細胞遊走に関連し、場合によっては、悪性細胞の移動において最も顕著かつ重要なレセプターであるため、このレセプターの機能を妨げる本発明の化合物は、そのような細胞の移動をコントロール/予防することに貢献するかも知れない。
【0067】
また、本発明の化合物は、アポトーシスの誘導及び/又はAICDの誘導を企図している。本発明の化合物は、前記PCT/IB03/04993に記載のように、アポトーシスに対して一定の条件下、阻害作用を発揮することが、本発明により見い出された。しかし、PCT/IB03/04993によると、本化合物は、より親水性のキャリヤー、例えば水含有キャリヤーにおいて投与される。驚くべきことに、化合物分子のミセル形成又はファンデルワールス力を最小化する少量のキャリヤー、例えばDMSOに溶解される場合、本発明の化合物は免疫応答の進行を増進すると考えられ、それは、活性化後細胞死(AICD)の特性であるリンパ球増殖及びアポトーシス作用の増強により証明されることが見い出された。理論に拘束されることが望まれるわけではないが、DMSO(又はミセル形成を阻害すると考えられる他の薬剤)の作用は、増殖が阻害される「AVミセル」中に化合物がある場合よりも、化合物の異なる挙動(即ち、増殖、その後のアポトーシス)を可能にすると信じられている。
【0068】
線維症又は異常型線維芽細胞増殖の阻害方法は、また、本発明の範囲内である。線維症又は異常型線維芽細胞増殖の予防は、肝硬変の治療又は予防において重要であり、例えば、本発明の化合物は、実施例に示すような線維芽細胞増殖において阻害作用を発揮し得る。例えば、本発明の化合物は、このことに関して有用と考えられる。
投与方法は、当業者に公知である。制限されるわけではないが、投与方法としては、非経口、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、鼻腔内、皮下、腹膜内又は脳室内又は直腸内が挙げられる。投与方法及び手段は、例えば、米国特許第5,693,622号;第5,589,466号;第5,580,859号;及び第5,566,064号から、当業者に公知であり、それらは全体として参考文献としてここに含まれるものとする。
【0069】
さらに、本発明は、活性成分として本発明の一つ以上の化合物を、医薬的に許容され得る一つ以上の賦形剤と一緒に含む医薬組成物を提供する。ここに使用する場合、「医薬組成物」は、免疫-アレルギー疾患、自己免疫疾患及び器官又は組織移植拒絶の治療に有用な好適な賦形剤及び/又はキャリヤーと一緒に、治療有効量の本発明の一つ以上の化合物を意味する。ここに使用する「治療有効量」とは、所定の状態及び投与措置に治療効果を提供する量をいう。そのような組成物は、前記のいずれか一つの方法により投与することができる。
【0070】
本発明のさらなる態様は、本発明の他の化合物とのコンビネーションにおいて、本発明の化合物を包含する。本発明の化合物は、抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤等とのコンビネーションにおいて投与してもよい。さらに、本発明の化合物は、前記のように化学療法剤、例えばアルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤又は細胞障害性抗生物質とのコンビネーションにおいて投与してもよい。一般的に、そのようなコンビネーションにおける使用に、公知の治療剤の近年入手可能な投与形態が好適と考えられる。
【0071】
コンビネーション療法(又は「コセラピー(co-therapy)」は、本発明の化合物と、これらの治療剤の相互作用から有益な効果を提供することを目的とする特定の治療措置の一部としての少なくとも第二の薬剤の投与を含む。コンビネーションの有益な効果としては、治療剤のコンビネーションから得られる薬物動態学的又は薬力学的相互作用が挙げられるが、それらに制限されない。コンビネーションにおけるこれらの治療剤の投与は、一般的に、所定の期間(通常、選択されるコンビネーションにより、分、時間、日又は週)に渡って行われる。一般的ではないが、「コンビネーション療法」は、これらの二つ以上の治療剤を別々の単独療法措置の一部として投与することを含むことを意図し、それは偶発的及び任意に本発明のコンビネーションとなる。
【0072】
「コンビネーション療法」は、連続的な方法におけるこれら治療剤の投与(即ち、各治療剤は、異なる時間において投与される)、並びにこれらの治療剤又は少なくとも二つの治療剤の実質的な同時投与を含むことを意図する。実質的な同時投与は、例えば、固定比の各治療剤を有する単一のカプセル又は治療剤のそれぞれ単一カプセルの複数を被験者に投与することにより行うことができる。
各治療剤の逐次又は実質的な同時投与は、いずれかの好適な経路、例えば経口経路、静脈内経路、筋肉内経路及び粘膜組織を通る直接吸収により効果を及ぼすことができるが、それらに限定されない。治療剤は、同じ経路又は異なる経路により投与できる。例えば、選択されるコンビネーションの第一の治療剤は、静脈内注入により投与してもよいが、一方、コンビネーションの他の治療剤は、経口的に投与してもよい。また、例えば、全ての治療剤を経口的に投与してもよいか、又は全ての治療剤を静脈内注入により投与してもよい。治療剤が投与される順序は、きわめて厳密ではない。
【0073】
「コンビネーション療法」は、また、前記治療剤の、他の生理学的活性成分及び非薬物療法(例えば外科的又は放射線治療)とのコンビネーションにおける投与を含むことができる。さらに、コンビネーション療法が非薬物治療を含む場合、治療剤及び非薬物治療のコンビネーションの共同作用から有益な効果が達成される限り、非薬物治療はいずれの好適な時間において行われてもよい。例えば、好適な場合には、非薬物治療が治療剤の投与から時間的に、恐らく数日又は数週間空いた場合に、有益な効果をさらに達成する。
【0074】
本発明の化合物及び他の薬理学的活性剤は、同時、逐次又はコンビネーションにおいて患者に投与されてもよい。本発明のコンビネーションを使用する場合、本発明の化合物及び他の薬理学的活性剤は、同じ医薬的に許容され得るキャリヤー中にあり、従って同時に投与されてもよいことは、明らかである。それらは、別々の医薬キャリヤー、例えば従来の経口投与形態であって同時に摂取されるものであってもよい。さらに、用語「コンビネーション」は、化合物が別々の投与形態において提供され、逐次的に投与される場合も指す。
本発明の組成物及びコンビネーション療法は、下記のような様々な医薬賦形剤、例えば安定化剤、キャリヤー及び/又はカプセル化製剤とのコンビネーションにおいて投与されてもよい。
【0075】
ある態様において、本発明の組成物は、経口又は非経口投与形態、例えば裸錠、被覆錠、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、分散剤又はサスペンジョンとして配合される。ある態様において、本発明の組成物は、静脈内投与用に配合されてもよい。ある態様において、本発明の化合物は、経皮投与用に軟膏、クリーム又はゲル形態において配合される。ある態様において、本発明の化合物は、鼻腔適用のためにエアロゾル又はスプレーとして配合される。ある態様において、本発明の組成物は、液体投与形態において配合される。好適な液体投与形態の例としては、水中の溶液又はサスペンジョン、医薬的に許容され得る脂肪及び油、アルコール又は他の有機溶媒、例えばエステル、エマルジョン、シロップ又はエリキシル、溶液及び/又はサスペンジョンが挙げられる。
【0076】
好適な賦形剤及びキャリヤーは、固形物又は液体であることが可能であり、そのタイプは、使用される投与のタイプに基づいて一般的に選択される。また、リポソームは、組成物を送達するために使用されてもよい。好適な固形物キャリヤーの例としては、ラクトース、サッカロース、ゼラチン及び寒天が挙げられる。経口投与形態は、好適な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、流動化剤(flow-inducing agent)、及び溶融化剤を含んでいてもよい。液体投与形態は、例えば、好適な溶剤、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、増粘剤及び溶融化剤を含んでいてもよい。また、非経口及び静脈内投与形態は、注入のタイプ又は選択される送達系と適合するような鉱物及び他の材料を含むと考えられる。
さらに、本発明を以下の実施例セクションにおいて説明する。このセクションは本発明の理解を助けるために示したものであり、いかなる場合にも、以下の特許請求の範囲に記載の本発明を制限することを意図するものでもそのように解釈されるべきでものでもない。
【実施例】
【0077】
実施例1:化合物の合成
本発明の化合物は、以下のように合成し、特性化した。
AV23
【0078】
【化18】

【0079】
シクロヘキサン30ml中の4mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.66g及び塩化チオニル4mlを、2時間還流した。蒸発により黄色固形物を得、それに4mM フェニルアラニンエチルエステルHCl 0.9g、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン1mlを加えた。室温での2時間の攪拌後、水及びKOHを加えてpHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により淡黄色粘性油を得た。それをすりつぶし、エタノールで再結晶し、0.25g 18% 白色固形物、mp-213を得た。
NMR CDCl3 7.30-6.9(9H,m)、4.20(2H,q,J=7.0 Hz)、3.30(1H,m) 3.10(2H,t,J=7.2Hz) 2.90(2H,m)、2.60(2H,t,J=7.2Hz)、1.35(3H,t,J=7.0Hz)。
MS-341M+,10%)、277(15)、194(20)、165(M-フェネチルエステル、100%)、149(65)m/e。
AV24
【0080】
【化19】

【0081】
シクロヘキサン30ml中の4mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.66g及び塩化チオニル4mlを、2時間還流した。蒸発により淡(light)黄色固形物を得、それに4.1mM フェネチルアミン0.5g、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.6mlを加えた。
室温での2時間の攪拌後、水及びKOHを加えてpHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により粘性油を得た。それをエタノールで再結晶し、0.3g 白色固形物、28%、mp-165を得た。
NMR アセトンd6 7.35-6.75(9H,m)、3.40(2H,q,J=7.1 Hz)、2.90(2H,t,J=7.2 Hz)2.75(2H,t,J=7.2Hz)、2.42(2H,t,J=7.1Hz)。フェネチルアミン-NMR アセトンd6 7.2(5H,m)、2.96(2H,t,J=7.2Hz)、2.75(2H,t,J=7.2Hz)。
MS-269(M+,100%)、178(M-ベンジル)m/e。
AV26
【0082】
【化20】

【0083】
シクロヘキサン30ml中の4mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.66g及び塩化チオニル4mlを、1.5時間還流した。蒸発により淡黄色固形物を得、それに4.1mM ヒスチジンアミン0.5g、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.5mlを加えた。室温での2時間の攪拌後、水及びKOHを加えてpHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により粘性油を得た。それをエタノールで再結晶し、0.15g 白色固形物、15%、mp-245を得た。
NMR アセトンd6 7.35-(6H,m)、3.42(2H,q,J=7.1 Hz)、2.93(2H,t,J=7.2 Hz)、2.73(2H,t,J=7.2Hz)、2.45(2H,t,J=7.1Hz)。
MS-259(M+,17%)、239(25)、213(18)、194(100%)、185(37)m/e。
AV27
【0084】
【化21】

【0085】
DLフェニルアラニン3.2g、エチレングリコール20ml及び塩化チオニル7mlを2時間還流した。前記操作により1.3gの油を得、それをAV28の合成に使用した。
NMR アセトンd6 7.35-(5H,m)、4.50、3.27、2.90(3H,12ラインABX)、4.32(2H,t,J=7.0 Hz)、3.76(2H,t,J=7.0Hz)。
AV28
【0086】
【化22】

【0087】
シクロヘキサン30ml中の6mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸1g及び塩化チオニル5mlを、1.5時間還流した。蒸発により淡黄色固形物を得、それにジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン1ml中のAV27 1.2gを加えた。室温での2時間の攪拌後、水及びKOHを加えてpHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により粘性油を得た。それをエタノールで再結晶し、白色固形物0.18g、8%、mp-224を得た。
NMR アセトンd6 7.35-6.8(9H,m)、3.73-2.50(12H、m)。
AV29
【0088】
【化23】

【0089】
シクロヘキサン30ml中の1.3mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.22g及び塩化チオニル2mlを、1.5時間還流した。蒸発により淡黄色固形物を得、それにジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.3ml中の1.4mMトリプタミン0.2gを加えた。室温での1.5時間の攪拌後、水及びKOHを加えてpHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により粘性油を得た。それをエタノールで再結晶し、白色固形物 0.11g、27%、mp-136を得た。
NMR アセトンd6 7.36(2H,d,J=7.8 Hz)、7.0(8H,m)、3.48(2H,q,J=7.1 Hz)、3.05(2H,t,J=7.1Hz)、2.88(2H,t,J=7.1Hz)、2.52(2H,t,J=7.1Hz)。
AV30
【0090】
【化24】

【0091】
シクロヘキサン30ml中の1.3mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.22g及び塩化チオニル2mlを、1.5時間還流した。蒸発により淡黄色固形物を得、それにジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.3ml中の1.5mMチラミン0.2gを加えた。室温での2時間の攪拌後、水及びKOHを加えてpHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により粘性油を得た。それをエタノールで再結晶し、白色固形物 85mg、23%を得た。
NMR アセトンd6 7.36(4H,ABq,J=8.8 Hz)、7.20(4H,Abq,J=8.6Hz)、3.48(2H,q,J=7.1Hz)、3.05(2H,t,J=7.1Hz)、2.88(2H,t,J=7.1Hz)、2.52(2H,t,J=7.1Hz)。
AV32
【0092】
【化25】

【0093】
A.メタノール40ml及びHCl 10滴中の4-ヒドロキシ桂皮酸0.8gを12時間還流した。前記操作により、油0.6g、収率68%を得た。
NMR CDCl3 7.02、6.75(4H,Abq,J=8.6 Hz)、3.66(3H,s)、2.86(2H,t,J=7.4Hz)、2.60(2H,t,J=7.4Hz)。
B.工程A由来の3.3mMエステル0.6g及び4.2mMエタノールアミン0.26gを100℃で3時間、開放管中で加熱した。クロマトグラフィーにより、回収エステル0.3g、その後アミドを得た。粘性油をアセトン-塩化メチレンですりつぶし、ろ過し、白色固形物160mg、収率23%、mp-102を得た。
NMR アセトンd6 8.10(1H,s,OH)、7.03、6.74(4H,Abq,J=8.8 Hz)、3.90(1H,t,J=5.2Hz、NH)、3.54(2H,q,J=7.1Hz)、3.28(2H,t,J=7.1Hz)。
2.80(2H,t,J=8.2Hz)、2.41(2H,t,J=8.2Hz)。
AV33
【0094】
【化26】

【0095】
ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン1.5ml中の6mMヒドロ桂皮酸0.9g及び6当量のトリホスゲン0.6gを室温で10分間攪拌し、フェネチルアミン0.7gを加えた。室温で2時間後、操作(HCl)により粘性油を得、ヘキサン-塩化メチレンで再結晶し、白色固形物166mg、11%、mp-91を得た。
NMR アセトンd6 7.35(10H,m)、3.40(2H,q,J=7.2Hz)、2.90(2H,t,J=7.4Hz)、2.74(2H,t,J=7.2Hz)、2.46(2H,t,J=7.4Hz)。
AV34
【0096】
【化27】

【0097】
フェネチルアミンの代わりに同量のチラミンを使用して、AV33と同様に製造した。クロマトグラフィ及びベンゼン-ヘキサンでのすりつぶしにより、白色固形物220mg、14%、mp-98を得た。
NMR アセトンd6 7.25(5H,m)、6.96、6.75(4H,Abq,J=8.4Hz)、3.43(2H,q,J=6.8Hz)、2.94(2H,t,J=7.6Hz)、2.65(2H,t,J=6.8Hz)、2.42(2H,t,J=7.6Hz)。
AV35
【0098】
【化28】

【0099】
プロピオン酸インドール及びトリプタミンから3mMで、AV33と同様に製造した。クロマトグラフィ及びエタノールでのすりつぶしにより、白色固形物162mg、16%、mp-142を得た。
NMR アセトンd6 7.57(2H,d,J=7.8Hz)、7.36(2H,d,J=7.8Hz)、7.0(8H,m)、3.48(2H,q,J=7.1Hz)、3.05(2H,t,J=7.1Hz)、2.88(2H,t,J=7.1Hz)、2.52(2H,t,J=7.1Hz)。
AV38
【0100】
【化29】

【0101】
プロピオン酸インドール及びフェネチルアミンから2mMで、AV33と同様に製造した。クロマトグラフィ及びエタノールでのすりつぶしにより、白色粘性油状固形物220mg、37%を得た。
NMR アセトンd6 7.57(2H,d,J=7.8Hz)、7.25-6.97(9H,m)、3.44(2H,q,J=7.1Hz)、3.10(2H,t,J=7.1Hz)、2.66(2H,t,J=7.1Hz)、2.51(2H,t,J=7.1Hz)。
AV43
【0102】
【化30】

【0103】
ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン1ml中の6mMヒドロ桂皮酸0.9g及び6当量のトリホスゲン0.6gを室温で10分間攪拌し、エタノールアミン0.6gを加えた。室温で2時間後、操作(HCl)により粘性油を得、ヘキサンでの再結晶により白色固形物124mg、11%、mp-91を得た。
NMR アセトンd6 7.30(5H,m)、3.63(2H,t,J=5.2Hz)、3.36(2H,q,J=5.2Hz)、2.97(2H,t,J=7.3Hz)、2.50(2H,t,J=7.3Hz)。
AV45
【0104】
【化31】

【0105】
トリホスゲン法を用い、6mMプロピオン酸インドール、AV27から、AV28と同様に製造した。
NMR CDCl37.95(1H(br.s)、7.57(2H,d,J=8.0Hz)、7.36-6.90(9H,m)、4.36(2H,t,J=7.1Hz)、4.17(2H,q,J=7.0Hz)、3.5-2.8(7H,m)。
AV46
【0106】
【化32】

【0107】
3.9mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.65g、エチレングリコール15ml及び塩化チオニル5mlを3時間還流した。操作により油0.5g、61%を得た。
NMR アセトンd6 7.02、6.76(4H,ABq,J=8.6Hz)、4.28(2H,t,J=7.1Hz)、3.63(2H,t,J=7.1Hz)、2.85、2.63(4H,m)。
AV48
【0108】
【化33】

【0109】
プロピオン酸インドール及びチラミンから、3mMで、AV33と同様に製造した。クロマトグラフィ及びエタノール-ヘキサンでのすりつぶしにより、桃白色固形物120mg、13%を得た。
NMR アセトンd6 7.57(2H,d,J=7.8Hz)、7.25-6.97(8H,m)、3.44(2H,q,J=7.1Hz)、3.10(2H,t,J=7.1Hz)、2.66(2H,t,J=7.1Hz)、2.51(2H,t,J=7.1Hz)。
AV49
【0110】
【化34】

【0111】
エタノール20ml中の5mM ヒドロ桂皮酸アルデヒド0.7g及び5mMチラミン0.7gにNaBH40.4gを加え、反応物を1時間還流した。操作により粘性油0.7g、収率55%を得た。
NMR アセトンd6 7.35(5H,m)、7.15、6.85(4H,ABq,J=8.6Hz)、2.85(2H,t,J=6.7Hz)、2.70(6H,m)、1.80(2H,quin,J=7.2Hz)。
【0112】
実施例2:ポリアルキレングリコール化合物の合成
好適なアルコール化合物(例えば、実施例1に記載の化合物の一つ、又はそれらのヒドロキシル化誘導体)の製造、及びその後の、所定の長さのポリアルキレングリコール(PAG)ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリプロピレングリコール(PPG))とアルコールの結合により、ポリアルキレングリコール化合物を一般的に合成した。
【0113】
化合物1、フェニルアラニノール
32mM LiAlH4 1.2gを、乾燥エーテル50ml中の10mMフェニルアラニンエチルエステルHCl 2.3gに加えた。室温での2時間の攪拌後、水及びKOHを加え、反応生成物を酢酸エチルで抽出した。蒸発後、化合物1 0.8g、淡黄色油を得た。
【0114】
【化35】

【0115】
化合物1を静置して結晶化した。Mp-70。
NMR CDCl37.30(5H,m)、3.64(1H,dd,J=10.5,3.8Hz)、3.40(1H,dd,J=10.5,7.2Hz)、3.12(1H,m)、2.81(1H,dd,J=13.2,5.2Hz)、2.52(1H,dd,J=13.2,8.6Hz)。
NMR アセトンd6 7.30(5H,m)、3.76(1H,dt)、3.60(1H,m)3.30(1H,t)、2.85(2H,m)。
Helv. Chim, Acta, 31,1617(1948年)。Biels-E3,第13巻、1757頁。
【0116】
化合物2、チロシノール
【化36】

【0117】
乾燥エーテル50ml中に12mM L-チロシンエチルエステルHCl 3gを含む溶液に、32mM LiAlH4 1.2gを加えた。室温で3時間攪拌した後、水及びKOHを加え、反応物を酢酸エチルで抽出した。蒸発により、淡黄色油1.1g、収率54%を得、静置して結晶化した、mp-85。
NMR CDCl37.20(4H,AB,q,J=8.6Hz)、3.50(2H,m)、3.20(1H,m)、2.81(2H,m)。
NMR チロシンエチルエステル遊離塩基CDCl37.0、6.56(4H,AB,q,J=8.8Hz)、4.20(2H,q,J=7.0Hz)、3.70、3.0、2.80(3H,12ライン ABXm)、1.28(3H,t,J=7.0Hz)。
JACS, 71,305(1949年)。Biels。-E3、第13巻、2263頁。
【0118】
化合物3、トリプトファノール
【化37】

【0119】
乾燥エーテル50ml中に12.9mM L-トリプトファンメチルエステルHCl 3gを含む溶液に、32mM LiAlH4 1.2gを加えた。室温で6時間攪拌した後、水及びKOHを加え、反応物を酢酸エチルで抽出した。蒸発により、淡黄色油1.23g、収率50%を得た。静置して結晶化した。Mp-65。
NMR CDCl37.30(5H,m)、3.64(1H,dd,J=10.5,3.8Hz)、3.40(1H,dd,J=10.5,7.2Hz)、3.12(1H,m)、2.81(1H,dd,J=13.2,5.2Hz)、2.52(1H,dd,J=13.2,8.6Hz)。
J.Het.Chem,13,777(1976年)。Biels。-E5,22,第12巻、90頁。
【0120】
化合物4、AV22
シクロヘキサン30ml中の4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.66g及び塩化チオニル4mlを2時間還流した。蒸発後、白色固形物を得、それに、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.4ml中の化合物1の油(4.3mM)0.65gを加えた。室温で2時間攪拌後、水及びKOHを加え、pHを中性にした。反応生成物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により化合物4の淡黄色粘性油0.8gを得た。この生成物の部分をすりつぶし、エタノールから再結晶し、白色固形物を得た。Mp-149。
NMR CDCl37.30-6.9(9H,m)、3.50(2H,m)3.30(2H,t,J=7.2Hz)、2.90(3H,m)、2.60(2H,t,J=7.2Hz)。
【0121】
【化38】

【0122】
化合物5、AV57
【化39】

【0123】
シクロヘキサン30ml中の5mMヒドロ桂皮酸0.75g及び塩化チオニル4mlを、2時間還流した。蒸発により、白色固形物を得、それに、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.5ml中の5.5mMフェニルアラニノール0.83gを加えた。室温で3時間攪拌した後、水及びKOHを加え、pHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により黄色粘性油0.57g、収率40%を得た。
NMR CDCl37.40-7.10(10H,m)、3.60(2H,m)、3.35(2H,t,J=7.2Hz)、2.95(3H,m)、2.50(2H,t,J=7.2Hz)。
【0124】
化合物6、AV58
【化40】

【0125】
シクロヘキサン30ml中の4mM 4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸0.66g及び塩化チオニル4mlを、3時間還流した。蒸発により、淡黄色固形物を得、それに、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.5ml中の4.3mMチロシノール0.72gを加えた。室温で3時間攪拌した後、水及びKOHを加え、pHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により淡黄色粘性油0.53g、収率42%を得た。
NMR CDCl37.30、7.20(8H,2 ABq,J=8.6Hz)、3.40(2H,m)、3.30(2H,t,J=7.2Hz)、2.90(3H,m)、2.60(2H,t,J=7.2Hz)。
【0126】
化合物7 AV59
【化41】

【0127】
シクロヘキサン30ml中の3mM ヒドロ桂皮酸0.45g及び塩化チオニル3mlを、2時間還流した。蒸発により、淡黄色固形物を得、それに、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.4ml中の3.5mMトリプトファノール0.66gを加えた。室温で3時間攪拌した後、水及びKOHを加え、pHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により粘性油0.61g、収率63%を得た。
NMR CDCl37.50-7.05(10H,m)、3.65(2H,m)、3.32(2H,t,J=7.3Hz)2.92(3H,m)、2.53(2H;t,J=7.3Hz)。
【0128】
化合物8、AV72
【化42】

【0129】
シクロヘキサン30ml中の3mM ヒドロ桂皮酸0.45g及び塩化チオニル3mlを、2時間還流した。蒸発により、淡黄色固形物を得、それに、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.4ml中の3.5mMチロシノール0.58gを加えた。室温で2.5時間攪拌した後、水及びKOHを加え、pHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により淡黄色粘性油0.57g、収率63%を得た。
NMR CDCl37.40-7.10(9H,m)、3.60(2H,m)、3.35(2H,t,J=7.2Hz)2.95(3H,m)、2.50(2H,t,J=7.2Hz)。
【0130】
化合物9、AV73
【化43】

【0131】
シクロヘキサン30ml中の2mM 3-プロピオン酸インドール0.38g及び塩化チオニル2mlを、2時間還流した。蒸発により、淡黄色固形物を得、それに、ジクロロメタン30ml及びトリエチルアミン0.3ml中の2.6mMフェニルアラニノール0.4gを加えた。室温で2.5時間攪拌した後、水及びKOHを加え、pHを中性にし、反応物をジクロロメタンで抽出した。蒸発により桃色固形物0.47g、収率75%を得た。
NMR CDCl37.58(1H,d,J=8.0Hz)、7.40(1H,d,J=8.0Hz)、7.30-6.9(8H,m)、3.50(2H,m)、3.30(2H,t,J=7.5Hz)2.95(3H,m)、2.70(2H,t,J=7.5Hz)。
【0132】
化合物10
化合物4(AV22)0.3g、トリフェニルホスフィン0.8g及びジアゾカルボン酸エチル0.55gを、ジクロロメタン60ml中のポリ(プロピレングリコール)(平均分子量約1000)1gに加えた。室温で2時間攪拌した後、蒸発及びクロマトグラフィにより、粘性油として一般式VIIの化合物10、0.65gを得た。
【0133】
【化44】

【0134】
フェニルアラニノールから合成した追加の化合物
これらの化合物としては、以下の一般式により表されるものが挙げられる:
【0135】
【化45】

【0136】
また、この化合物を一般式Aとして示すことができる(式中、Rはポリプロピレングリコールポリマーであり、nは、ポリマー中のポリプロピレンモノマーの総数である)。
【0137】
【化46】

【0138】
AV61:
R=PPG(ポリプロピレングリコール) n=7 MW-706
AV22(1mM)0.3g、3mMトリフェニルホスフィン0.8g及び3.2mMジアゾカルボン酸エチル0.55gを、ジクロロメタン60ml中のポリ(プロピレングリコール)(平均モル質量424、n=7)1gに加えた。室温で4時間攪拌した後、蒸発及びクロマトグラフィにより、粘性油0.55g、収率73%を得た。
NMR CDCl37.30-6.9(9H,m)、4.1-3.0(m)、2.60(2H,t,J=7.2Hz)、1.2-1.1(m)。
【0139】
AV62
R=PPG n=12 MW-996
AV22 0.2gから前記のように製造し、0.3g収率46%を得た。
AV60
R=PPG n=17 MW-1286
AV22 0.1gから前記のように製造し、0.2g収率48%を得た。
AV63
R=PPG n=34 MW-2274
AV22 0.1gから前記のように製造し、0.25g収率34%を得た。
AV132
【0140】
【化47】

【0141】
(ラセミ)チロシノールの代わりにL(-)チロシノールを使用して、AV72の方法により製造し、前記化合物及び非定量不純物を得た。プロピレングリコールによる攻撃からフェノール環の開環を保護するために、好適な保護スキームを使用することは、不純物の量を低減すると考えられる。
AV133
【0142】
【化48】

【0143】
(ラセミ)フェニルアラニノールの代わりにD(+)フェニルアラニノールを使用して、AV22の方法により製造し、前記化合物及び非定量不純物を得た。プロピレングリコールによる攻撃からフェノール環の開環を保護するために、好適な保護スキームを使用することは、不純物の量を低減すると考えられる。
AV134
【0144】
【化49】

【0145】
(ラセミ)フェニルアラニノールの代わりにL(+)フェニルアラニノールを使用して、AV22の方法により製造し、前記化合物及び非定量不純物を得た。プロピレングリコールによる攻撃からフェノール環の開環を保護するために好適な保護スキームを使用することは、不純物の量を低減すると考えられる。
AV136
【0146】
【化50】

【0147】
R=PPG n=1
AV22及びAV133から前記のように製造し、化合物又はその異性体及び非定量不純物を得た。プロピレングリコールによる攻撃からフェノール環の開環を保護するために好適な保護スキームを使用することは、不純物の量を低減すると考えられる。
AV137
【0148】
【化51】

【0149】
R=PPG n=1
AV22及びAV134から前記のように製造し、化合物又はその異性体及び非定量不純物を得た。プロピレングリコールによる攻撃からフェノール環の開環を保護するために好適な保護スキームを使用することは、不純物の量を低減すると考えられる。
化合物5、AV57から合成した化合物
【0150】
【化52】

【0151】
AV86
R=PPG n=7 MW-690
AV57 0.22gから前記のように製造し、0.25g収率47%を得た。
AV87
R=PPG n=17 MW-1270
AV57 0.2gから前記のように製造し、0.33g収率33%を得た。
【0152】
化合物9、AV73から合成した化合物
【0153】
【化53】

【0154】
AV76
R=PPG n=7 MW-729
AV73 0.22gから前記のようにAV61と同様に製造し、0.23g収率47%を得た。
AV77
R=PPG n=34 MW-2297
AV73 0.2gから前記のように製造し、0.35g収率25%を得た。
【0155】
チロシノールから合成した化合物
化合物6、AV58から合成した化合物
【0156】
【化54】

【0157】
AV64
R=PPG n=7 MW-722
AV58 0.2gから前記のように製造し、0.21g収率46%を得た。
AV65
R=PPG n=17 MW-1302
AV58 0.23gから前記のように製造し、0.28g収率29%を得た。
【0158】
化合物8、AV72から合成した化合物
【0159】
【化55】

【0160】
AV74
R=PPG n=7 MW-706
AV72 0.22gから前記のようにAV61と同様に製造し、0.26g収率50%を得た。
AV75
R=PPG n=34 MW-2274
AV72 0.2gから前記のように製造し、0.35g収率23%を得た。
AV131
R=PPG n=69 MW-4307
AV72 0.2g及びポリ(プロピレングリコール(平均モル質量4,000)から前記のように製造した。
AV135
【0161】
【化56】

【0162】
R=PPG n=1
AV72及びAV132から、AV74と同様に製造し、化合物又はその異性体及び非定量不純物を得た。プロピレングリコールによる攻撃からフェノール環の開環を保護するために好適な保護スキームを使用することは、不純物の量を低減すると考えられる。
トリプトファノールから合成した化合物
化合物7、AV59から合成した化合物
【0163】
【化57】

【0164】
AV81
R=PPG n=7 MW-729
AV59 0.22gから前記のようにAV61と同様に製造し、0.26g収率53%を得た。
AV82
R=PPG n=34 MW-2297
AV59 0.2gから前記のように製造し、0.35g収率41%を得た。
【0165】
実施例3:(S)2-N(3-O-ポリプロピレングリコール)プロピルベンゼン-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピルアミド(AV61S、n=7)の合成
試薬及び器具
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)、アルドリッチ、カタログ番号15,726-0;N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、アルドリッチ、カタログ番号D8-000-2;炭酸カリウム、アルドリッチ、カタログ番号46,781-2;L-フェニルアラニノール、Fluka、カタログ番号78100;3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、Fluka、カタログ番号56190;L-チロシノール塩酸塩、アルドリッチ、カタログ番号46-999-8;ヒドロ桂皮酸、アルドリッチ、カタログ番号13,523-2;塩化メタンスルホニル、アルドリッチ、カタログ番号47,125-9;ポリ(プロピレングリコール)Mn=425、アルドリッチ、カタログ番号20,230-4;ポリ(プロピレングリコール)Mn=1000、アルドリッチ、カタログ番号20,232-0。THF及びアセトニトリルを、使用前に、少なくとも48時間、KOHペレット上で乾燥させた。塩化メタンスルホニル(塩化メシル)及びピリジンを使用前に蒸留した。TLC試験を、アルミニウムプレート上のMerck's 60F254シリカゲルで行った。カラムクロマトグラフィー分離を、メルクの珪藻土60シリカゲルで行った。UVランプ(λ=254nm)を使用し、TLCプレート上のUV吸収スポットを検出した。プロトンNMR試験をBruker's Avance 500及びAvance 200器具で行った。小さい分子量分子の質量スペクトル分析を、Bruker's Esquire 300plus質量スペクトロメーターで行い、Bruker's MALDI-TOF(reflexIV)質量スペクトロメーターでPPG-含有分子の分析を行った。クロマトトロン(chromatotron)の使用は、良好にコントロールされたクロマトグラフィー分離に推奨される。
【0166】
1(S異性体)の合成
【化58】

【0167】
3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸(0.2g、1.2mmol)、L-フェニルアラニノール(0.18g、1.2mmol)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.16g、1.2mmol)及びTHF(5mL)をマグネチックスターラーを装備した丸底フラスコに入れた。そのフラスコを氷水浴中で冷却し、THF3mL中のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.26g、1.26mmol)の予冷液を、反応混合物中に滴下して導入した。反応混合物を、低温でさらに1時間、その後室温でさらに2時間攪拌した。形成した白色沈殿をろ過し、ろ液を蒸発乾固した。残渣を酢酸エチル10mL中に溶解し、有機層を1M HClで2回、飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回、水で1回洗った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、紙でろ過し、その最初の容量の約四分の一まで蒸発させた。残留溶液を冷却し、形成した結晶沈殿物を減圧濾過により回収し、1を0.24g(67%)得た。
【0168】
2(S異性体)の合成
【化59】

【0169】
1(0.1g、0.33mmol)、炭酸カリウム(0.069g、0.5mmol、細かく粉砕したもの)及びTHF(3mL、KOHペレット上で乾燥した)を、マグネチックスターラー及びCaCl2乾燥チューブを装備した丸底フラスコに入れた。混合物を氷塩浴(-10℃)上で冷却し、THF(乾燥)2mL中のジ-tert-ブチルジカルボネート(0.066g、0.30mmol)の予冷溶液を滴下して入れた。その混合物を氷温で1時間、その後室温で2日間攪拌した。その後、反応混合物を蒸発させ、水(5mL)を入れ、生成物を酢酸エチル10mLで2回抽出した。合わせた抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、紙でろ過し、溶媒を除去した。その油状残渣を少量のn-ヘキサンですりつぶし、形成した固形物を減圧濾過により回収した(収量0.12g、90.1%)。また、油状残渣を酢酸エチルとヘキサンの1:1混合物中に溶解し、生成物を再結晶することが可能である。
【0170】
3(S異性体)の合成
【化60】

【0171】
a. PPGのメシル化
PPG425106mg(0.25mmol)を90モル%の塩化メシル(26mg、2滴)及び0.4mmolピリジン(31.6mg、2滴)と反応させ、モノメシル化PPG(A)を提供した。PPG、塩化メシル及びピリジンを合わせた後、メシル化反応を、攪拌しながら0℃で30分間行い、その後室温でさらに60分間続けた。混合の間、反応混合物は無色から乳白色に変化した。その後、混合物を塩化メチレン5mLに溶解し、有機層を1M HCl溶液で2回、その後1M NaOH溶液で2回、水で1回洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、溶媒を除去した。
【0172】
b. 2のナトリウム活性化
0.1gの2(0.25mmol)を無水エタノール5mLに溶解し、その後無水エタノール中のナトリウム-エトキシド等モル量(過剰の無水エタノールとナトリウム原子0.25mgを反応させることにより予め調製した)と反応させた。合わせた溶液のエタノールを全体的に乾燥するまで蒸発させ、2(B)のナトリウム塩を生成した。
【0173】
c. AとBの反応
Aを、水酸化カリウム-乾燥アセトニトリル5mLに溶解し、その溶液を、マグネチックスターラーを含む丸底フラスコに入れた。Bの乾燥アセトニトリル溶液5mLをフラスコに入れ、その後、触媒量(微かに結晶)のヨウ化カリウムを入れた。還流冷却器及びその上部に調整したガスバブラーを反応容器に連結し、反応混合物を窒素雰囲気下、24時間攪拌しながら還流した。その後、反応混合物を紙でろ過し、溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル2mLに溶解し、その後、溶出液に酢酸エチルを使用したシリカゲルカラムを通過させた。Rf=0.55でのTLC(酢酸エチルでの溶出)UV吸収スポットにより、所望の生成物3(異なるPPGサブユニット長を含む分子の混合物)を含むが、未反応PPGも含むことが分かった。他の画分は、未反応メシル化PPG及び二重(doubly)メシル化PPGを含んでいた。
【0174】
4(AV61S)の合成
【化61】

【0175】
40mgの3を、塩化メチレン3mLに溶解し、トリフルオロ酢酸(TFA)10滴を加えた。その混合物をホットプレート上で穏やかに加熱し、一方同時に、反応混合物に窒素ガス流を向けることにより溶媒及びTFAを除去した。残渣は、標的生成物4(異なる長さのPPGサブユニット及び未反応PPG鎖を含有する分子の混合物)を含有する油状生成物であった。
【0176】
実施例4:(S)2-N(3-O-(ポリプロピレングリコール)-1-プロピル-4-ヒドロキシベンゼン)-3-フェニルプロピルアミド(AV74S、n=7)の合成
5(S異性体)の合成
【0177】
【化62】

【0178】
ヒドロ桂皮酸(36.8mg、0.24mmol)、L-チロシノール塩酸塩(0.05g、0.24mmol)、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.033g、0.24mmol)、重炭酸ナトリウム(84mg、1mmol)及びTHF(5mL)を、マグネチックスターラーを装備した丸底フラスコに入れた。そのフラスコを氷水浴中で冷却し、THF3mL中のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(53mg、0.26mmol)の予冷溶液を反応混合物に滴下して入れた。反応混合物を低温でさらに1時間、その後室温で2時間攪拌した。形成した白色沈殿物を紙でろ過し、炉液を蒸発乾固した。残渣を酢酸エチル10mLに溶解した。(この段階で生じるかもしれない沈殿物は濾過して除かなければならない)。澄明な有機ろ液を、1M HClで2回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で2回、その後水で1回洗った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、紙で濾過した。TLCにより、三つのUV吸収スポット(酢酸エチル溶出)が示され、一つはRf=0.55、二つ目はRf=0.35、三つめはRf=0.05であった。プロトンNMR(メチルスルホキシド)は、Rf=0.35でのスポットが化合物5であることを示した。この成分をシリカゲルカラム(酢酸エチルでの溶出)で分離し、25mgの5(収率:35%)を得た。また、全く純粋な化合物5(収率85%)は、塩化メチレンから反応混合物を再結晶することにより得ることができる。
【0179】
6(S異性体)の合成
【化63】

【0180】
化合物2の合成と同様に行った(収率:73%)。
【0181】
7(S異性体)の合成
【化64】

【0182】
化合物3の合成と同様に行った。反応混合物をシリカゲルカラム(溶出:酢酸エチル)でクロマトグラフ化し、UV吸収スポット(Rf=0.43、酢酸エチル溶出)を含む画分は、7(異なるサイズのPPG鎖を含む分子の混合物)を、未反応PPG鎖及び未反応メシル化PPG鎖と一緒に含むことが、MALDI-TOF質量スペクトロメーターにより証明された。
【0183】
8(AV74S)の合成
【化65】

【0184】
化合物4の合成と同様に行った。
PPG1000鎖(n=17)を含む化合物4(AV61S)及び8(AV74S)の類似体(それぞれAV60S及びAV78S)を、PPG425含有対応物に所定の同様の合成経路を使用して製造した。
PPG1000類似体のTLCデータ:
AV61S(AV60S)のPPG1000類似体:Rf=0.40でのスポット(溶出液:酢酸エチル)。
AV74S(AV78S)のPPG1000類似体:Rf=0.43でのスポット(溶出液:酢酸エチル)。
【0185】
実施例5:AV化合物のCXCR4及びCXCR3阻害効果
ずれ流動(shear flow)実験
可溶性のアフィニティ精製された7ドメインヒトVCAM-1、sVCAM-1と、ケモカインSDF-1(CXCR4用リガンド)又はMig(CXCR3用リガンド)を、コーティング培地(pH8.5の20mM重炭酸ナトリウム含有PBSバッファー)中で混合し、ポリスチレンプレート(60×15mmペトリ皿、Becton Dickinson、リンカンパーク、NJ)上、4℃で一晩、10μl滴として吸着させた。その後、そのプレートを洗い、ヒト血清アルブミン、HSA(20mg/m PBS)で、4℃で2時間ブロックした。SDF-1及びMigを接着質と共に固定化するために、リガンド(VCAM-1)を、活性(2μg/ml)又は加熱変性SDF-1又はMig及びHSA(2mg/ml)の存在下で被覆し、洗い、上記のように急冷した。被覆接着質を有するポリスチレンプレートを、逆相コントラスト顕微鏡(Diaphot 300、ニコン)のステージに乗せた平行プレートフローチャンバー(260μm間隙)中の低いウォールとして構築し、結合媒体で広く洗った。全ての実験は37℃で行った。処理(0.1、1、10μg/mlのAV61、63、75、77)及び未処理T細胞を、結合培地で希釈し、106細胞/mlで、自動シリンジポンプ(Harvard Apparatus、ネーティック、MA)によりチャンバーに灌流した。全ての実験を、ロングインテグレーションカメラLIS-700 CCD(Applitech、ホロン、イスラエル)及びSVHS微速度ビデオレコーダー(AG-6730パナソニック)によりビデオテープに記録した。ヒトT細胞を基質上で1分間蓄積させ、その後流速を22dyn/cm2に増した。接着質と相互作用する細胞の全記録イメージを、個々の細胞をコンピュータ追跡することにより分析及び定量化した。各実験で得られた結果を、ビデオテープに録画した細胞の全数により標準化した。
【0186】
図1A〜1C(CXCR4)及び図2A〜2D(CXCR3)に示す実験結果から分かるように、本発明の化合物は、これらサイトカインレセプターの阻害に有効であり、例えば、このレセプターの機能を妨げることによりHIV及びAIDSの治療に有用と考えられる。このレセプターはその標的細胞へのHIV-1 T指向性のエントランスとして最も重要なレセプターである。
【0187】
実施例6:AICDへのAV化合物の効果
T細胞を、同意(consenting)正常ヒトドナーの軟膜(BC)(Hadassah Hospital Blood Bank)から単離した。BCプレパレーションを、ヘパリン10U/mLを含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)で1:4希釈した。末梢血単核細胞を、Ficoll/Paque密度遠心分離により分離した。単球及びB細胞を、それぞれ、プラスチック粘着及びナイロンウールカラムへの通過により枯渇させた。小さなTリンパ球は、不連続なパーコール勾配のペレットから収集した。細胞は、FACS分析により>80%CD3+であることが見い出された。細胞を、様々な濃度の化合物及び/又はフィトヘマグルチニン(PHA)(1μg/ml)T細胞マイトジェンの存在下で培養した。増殖を、96穴平底マイクロタイタープレートの各穴中、1×105細胞を培養することにより測定した。化合物の添加の48時間及び7日後、1μCi3[H]チミジンを、各穴に加え、培養物をさらに24時間インキュベートした。サンプルを収集し、取り込まれる放射能を測定した。化合物での7日間のインキュベーションにより、PHA単独に対するPHA刺激T細胞増殖の明らかな上昇が導かれた。
【0188】
PHA(フィトヘマグルチニン)処理ヒト末梢血単核球細胞(PMBCs)におけるAV63、AV75、AV77、AV131及びポリプロピレングリコール(コントロールとしての「PPG-34」、MW 2000)の効果を、キャリヤーとしてDMSOを使用して調査した。AV63実験のデータを、図5B及び6Aに示した。AV75実験のデータを、図3A、4A及び6Bに示した。AV77実験のデータを図5A及び6Cに示した。PPG-34実験のデータを、図3C及び4Bに示した。AV131実験のデータを図3B、3D、4C及び7Aに示した。AV77実験のデータを図5A及び6Cに示した。
前記図に示し、実験の結果から分かるように、驚くべきことに、本発明の化合物は、リンパ球増殖及びアポトーシス作用(活性化後細胞死(AICD)の特性である)の増強を示した。
【0189】
実施例7:AV化合物の線維症阻害効果
線維芽細胞増殖に対するAV化合物の効果を調査した。チミジン(TdR)導入実験を行い、ヒト包皮線維芽細胞(HFF)に対する結合AV分子の効果を測定した。
方法:[3H]チミジン(TdR)導入の定量化
コントロール:細胞培養培地
インヒビター:コントロールに対して>50%cpmの低下(薬物ドキソルビシン)
【0190】
方法
HFFを、DMEM培地+1%Na-ピルベート、1%Pen/Srep、1%L-Glu、1%非必須アミノ酸及び10%FBS中に培養した。細胞を、96穴プレート中、5×103/穴でプレーティングした。細胞を播種した一日後に抽出物を加えた。細胞を4日間インキュベートした。実験の終了2日前に、[3H]-チミジン(1mCi/穴)を加えた。TdR-1:50(1ml中20ml)(NEN 6.7Ci/mmol Batch 3106446由来のNET-027 チミジン[メチル-3H])細胞を、変性剤及びシンチレーション液を加えることにより収集し、1分/サンプルで計測した。
【0191】
使用した化合物(AV61、AV63、AV74、AV75、AV76、AV77、AV81及びAV82)を培地中に再懸濁し、図に示した濃度に希釈した。コントロールは:1)ネガティブ培地 2)ポジティブ-10^-5Mドキソルビシンであった。
実験データを図8及び9に示した。実験結果から分かるように、本発明の化合物は線維芽細胞増殖の有効なインヒビターである。
【0192】
実施例8:AV化合物選択的インデックス
AV61で得られた抗-HIV-1結果は、HIV-1(IIIB株)に対して、純粋な基質の15.6μg/ml及び125μg/mlと同様に低いEC50及びCC50を示し、MTT-アッセイにより測定した場合、8より高い選択的指数及び100%程度の高さの%PRを生じた。
以下の実験方法を使用した。MT-4細胞を、10%(v/v)熱失活したウシ胎児血清(FCS)、2mM L-グルタミン、0.1%重炭酸ナトリウム及び20μg/mlゲンタマイシン(Life Technologies、Merelbeke、ベルギー)を補足したRPMI 1640培地(Life Technologies、Merelbeke、ベルギー)中で成長させた。細胞を、空気中5%CO2の加湿雰囲気中、37℃に維持した。3〜4日ごとに、3×105細胞/mlで細胞を播種した。
【0193】
完全な細胞変性効果(CPE)が現れた直後、400 CCID50でHIVに感染させた4×105 MT-4細胞/mlの培養上清から、HIV-IIIB株のストックを得た。上清のウイルス力価を、Reed and Muench エンドポイント希釈方法を使用して、MT-4細胞中で測定した。ウイルスストックを一定分量取り、使用するまで-70℃で貯蔵した。
【0194】
平底96穴プラスチックマイクロタイタートレイ(Nunc、ロスキレ、デンマーク)を、Titertek Multidropディスペンサー(ICN Biomedicals-Flow Laboratories)を使用して、完全培地100mlで充填した。AV61の貯蔵溶液(10×最終試験濃度)を25μl容量で、2シリーズのトリプリケート(triplicate)穴に加え、HIV-及び模擬感染細胞に対するそれらの効果の同時評価を可能にした。段階5倍希釈物をBiomek 2000 ロボット(ベックマン、フラートン、CA)を使用して、マイクロタイタートレイに直接作成した。未処理コントロール及び模擬感染細胞サンプルが含まれていた。100 CCID50のHIV 50μl又は培地を、マイクロタイタートレイのHIV感染又は模擬感染部分のいずれかに加えた。指数関数的に成長するMT-4細胞を、140xgで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。MT-4細胞を、Titertek Multidropディスペンサーのオートクレーブ可能な予製カセット(dispensing cassette)と連結したフラスコ中、6×105細胞/mlで再懸濁した。穏やかな磁器攪拌下、その後、容量50μlをタイクロタイタートレイの穴に移した。外側の列の穴に、培地200μlを充填した。細胞培養物を、空気中5%CO2の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。全インキュベーション期間中、細胞は、試験化合物と接触したままであった。感染の5日後、模擬及びHIV感染細胞の生存度を、下記のMTT方法により分光光度的に測定した。
【0195】
MTTアッセイは、分光光度的に測定可能なブルーホルマザンに対する、代謝的活性細胞のミトコンドリアデヒドロゲナーゼによる黄色3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)(Sigma Chemical Co.、セントルイス、MO)の還元に基づいている。
【0196】
各マイクロタイター穴に、リン酸緩衝生理食塩水中のMTT溶液(7.5mg/ml)20μlを、Titertek Multidropを使用して加えた。そのトレイを5%インキュベーター中、37℃で1時間さらにインキュベートした。その後、ホルマザン結晶を含有するMT-4細胞クラスターを動かすことなしに、Biomek2000ロボットを使用して、固定量の培地(150μl)を各カップから移動した。ホルマザン結晶の可溶化は、Biomek2000ロボットを使用して、酸性化イソプロパノール(溶媒500ml当たり濃HCl 2ml)中の10%(v/v)Triton X-100 100μlを加えることにより達成した。ホルマザン結晶の完全な溶解は、トレイをプレートシェーカーに10分間置いた後に得られた(ICN Biomedicals Flow Laboratories)。最終的に、吸光度は、二つの波長(540及び690nm)で、8チャンネルコンピュータ制御Titertek Microplateリーダー及びスタッカー(Multiskan MCC、ICN Biomedicals-Flow Laboratories)で読んだ。690nmで測定した吸光度は、540nmでの吸光度から自動的に引かれ、非特異的吸収の影響を排除した。ブランクは、MT-4細胞、ウイルス及び化合物を除く全ての試薬を含む第一のカラム穴を有するマイクロタイタートレイ上で直接行った。全てのデータは、3つの穴の最小の平均値を示した。
【0197】
50%細胞毒性濃度(CC50)は、模擬感染コントロールサンプルの吸光度(OD540)を50%低減する化合物の濃度として定義した。HIV感染細胞において化合物により達成される保護パーセントを、以下の式により計算した:
((ODT)HIV-(ODC)HIV)/((ODC)mock-(ODC)HIV)
(%で表した)
式中、(ODT)HIVは、HIV感染細胞において試験化合物の所定濃度で測定した光学密度である;(ODC)HIVは、コントロールの未処理HIV感染細胞について測定した光学密度である;(ODC)mockは、コントロールの未処理模擬感染細胞について測定した光学密度である;また、全てのO.D.値は、540nmで測定した。前記式により50%保護を達成する濃度を、50%有効濃度(EC50)と定義した。
【0198】
AV61は、HIV-1(IIIB株)に対して、EC50及びCC50が純粋な基質の15.6μg/ml及び125μg/ml程度と低く、MTT-アッセイにより測定した場合、選択的指数が8より高く、%PRが100%程度に高いことを、その結果は示した。
【0199】
実施例9:PHA-活性化PBMCsに対するAV61S及びPPG7の効果
図10は、PHA-活性化PBMCsに対するAV61Sの阻害効果を調査した実験結果を示している。ヒトPBMCsを、血液バンクから調製し、スタンダード96穴プレートにおいて穴当たり105細胞濃度でプレートアウトした。PHAを10μg/mlの濃度で、AV61S又はPPG-7(共にPBS中)と一緒に、AV61Sは50μg/ml、1μg/ml、100ng/ml、1ng/ml及び100pg/mlの濃度で、PPG-7は50μg/ml、1μg/ml及び10ng/mlの濃度で、各穴に加えた。その後、細胞を7日間インキュベートした。[3H]-チミジン(NEN6.7Ci/mmol Batch 3106446由来のNET-027チミジン[メチル-3H])を、1mCi/穴の濃度で、プレーティングの48時間後、各穴に加えた;2番目の量を、実験の終了18時間前に各穴に加えた。その後、細胞を収集し、1分/サンプルについて計数した。
コントロールは、培地単独及びCsA(エタノール1ml中1mg)であった。
図10から分かるように、コントロールに対して60%阻害が、AV61S 50μg/ml濃度で示された。
【0200】
実施例10:PHA活性化PBMCsに対するAV61S、AV61R、AV74S及びAV74Rの効果
化合物AV61S、AV61R及びAV74S及びAV74Rを別々に使用して、実施例9を繰り返した。各場合、試験化合物を、DMSOに希釈し、最終濃度0.25%にした。実験の終了18時間前に、[3H]-チミジン(NEN6.7Ci/mmol Batch 3106446由来のNET-027チミジン[メチル-3H])の単回投与量を各穴に加えた。
図11A及び11Bは、AV61S及びAV61Rに関する結果を示し、図12A及び12Bは、AV74S及びAV74Rに相当する結果を示している。そこから分かるように、AV61Sは、100μg/ml濃度で、コントロールに対して約97%の阻害効果を示し、50μg/mlで約49%を示した。AV61Rは、有意な活性の低減を示し、即ち、100μg/mlで74%、50μg/mlで42%阻害した。
AV74S及びAV74Rに関する結果は、化合物のSとRのエナンチオマー間に一層著しい差異を示した。図12Aから分かるように、AV74Sは100μg/mlで、コントロールに対して100%阻害を示し、50μg/mlで81%を示した。図12Bに示すように、AV74Rは、100μg/ml以下で、活性化PBMCsの阻害を示さなかった。
【0201】
実施例11:アラマーブルー試薬によるPBMC細胞に対するAV化合物の毒性
前記実施例9及び10において、100μg/ml及び50μg/ml(61S)及び100μg/ml、50μg/ml及び25μg/ml(74S)の濃度で試験した場合、分子AV61S及びAV74SはPBMCsに阻害効果を示す(AV74Rは効果がなかったが、AV61Rはわずかに効果があった)ことが立証された。アラマーブルーでの予試験により、阻害効果は、「殺傷」効果よりも分子の抗増殖活性によるものであることが示された。より詳細にこのことをチェックするために、本実験を行った:
ヒトPBMC細胞を血液バンクから得て、濃度105細胞/穴で、標準的な96穴プレートにプレートアウトした。DMSO 100μg/ml、50μg/ml、25μg/ml、10μg/ml及び1μg/ml中、異なる希釈でPHA(10μg/ml)及びAV61S(又はAV74S)を、各穴に同時に加えた。細胞を24時間インキュベートした。
24時間後、アラマーブルー試薬を、穴の全容量の10%まで加えた。
コントロールは、培地単独及びCsA(1mg/1mlEtOH)であった。
各穴の内容を、アラマーブルーの添加の1時間、3時間及び6時間後に、当業者に公知の方法の蛍光で分析し、PBMCsの生存度を測定した。結果を図13A〜13Cに示す。
【0202】
実施例12:アラマーブルー試薬によるPBMC細胞に対するAV化合物の毒性
アラマーブルーにより染色する48時間前に細胞をインキュベートしたことを除いて、実施例9を繰り返した。結果を図14A〜14Cに示す。
図13A〜13C及び図14A〜14Cに示すように、シクロスポリン(CsA)と同じ活性及び毒性パターンを有する100μg/mlのAV74S以外は、分子の非毒性効果がアラマーブルー染色により確認された。AV61S及びAV74Sでの全ての他の濃度は、抗増殖効果を示した。
【0203】
実施例13:トリパンブルー試薬によるPBMC細胞に対するAV化合物の毒性
アラマーブルーの代わりにトリパンブルー試薬を各場合において使用し、実施例11及び12を繰り返した。アラマーブルーを使用して得られたものを確認した結果を、それぞれ図15A及び15Bに示した。
【0204】
対応物(EQUIVALENTS)
当業者は、本明細書に記載の具体的な方法に対する多くの対応物を、単に日常的な実験を用いて認識又は確認することができると考えられる。そのような対応物は、本発明の範囲内と考えられる。様々な置換、変更及び修飾は、本発明の意図及び範囲からはずれることなしに、本発明に行われてもよい。他の態様、利点及び修飾は、本発明の範囲内である。すべての参考文献の内容、発行された特許、本出願に記載された公開特許出願は、参考文献としてここに含まれるものとする。それらの特許、出願及び他の文献の好適な成分、工程及び方法は、本発明及びその態様に選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】実施例5に記載の実験から得られたデータを示している。
【図2】実施例5に記載の実験から得られたデータを示している。
【図3】実施例6に記載の実験から得られたデータを示している。
【図4】実施例6に記載の実験から得られたデータを示している。
【図5】実施例6に記載の実験から得られたデータを示している。
【図6】実施例6に記載の実験から得られたデータを示している。
【図7】実施例6に記載の実験から得られたデータを示している。
【図8−1】実施例7に記載の実験から得られたデータを示している。
【図8−2】実施例7に記載の実験から得られたデータを示している。
【図9−1】実施例7に記載の実験から得られたデータを示している。
【図9−2】実施例7に記載の実験から得られたデータを示している。
【図10】実施例9に記載の実験から得られたデータを示している。
【図11】実施例10に記載の実験から得られたデータを示している。
【図12】実施例10に記載の実験から得られたデータを示している。
【図13】実施例11に記載の実験から得られたデータを示している。
【図14】実施例12に記載の実験から得られたデータを示している。
【図15】実施例13に記載の実験から得られたデータを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式Iの化合物又はそれらの塩又は水和物を含む組成物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与することを含む、ウイルス性疾患の治療、予防又はコントロール方法:
【化1】

[式中、点線は単結合又は二重結合を表し;
R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示す:
【化2】

{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;
R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである)};
A-Bは以下の一般式により表される基であり:
【化3】

Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであり;また
mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであるか、又は、
mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oである。]
【請求項2】
R1が-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3又は-CH(OR4)CH3である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1が以下のものである、請求項1に記載の方法:
【化4】

(式中、R5は、H又はOHである。)
【請求項4】
R1がフェニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
R1が以下のものである、請求項1に記載の方法:
【化5】

【請求項6】
R2が-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3又は-CH(OR4)CH3である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R2が以下のものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法:
【化6】

(式中、R5は、H又はOHである。)
【請求項8】
R2がフェニルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
R2が以下のものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法:
【化7】

【請求項10】
A-Bが以下の式により表される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法;
【化8】

【請求項11】
Xが-CH2Oである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
Zが-CH(CH3)CH2Oである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
mが0である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
mが1である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
nが整数の1〜500である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
nが整数の1〜200である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
nが整数の5〜75である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
nが整数の69である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
nが整数の1〜20である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
nが整数の7である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
nが整数の10〜20である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
nが整数の17である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記キャリヤーがDMSOである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
以下の一般式Iの化合物又はそれらの塩又は水和物を含む組成物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与することを含む、AICDの誘導方法:
【化9】

[式中、点線は単結合又は二重結合を表し;
R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示す:
【化10】

{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;
R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである)};
A-Bは以下の一般式により表される基であり:
【化11】

Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであり;また
mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであるか、又は、
mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oである。]
【請求項25】
前記キャリヤーがDMSOである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
以下の一般式Iの化合物又はそれらの塩又は水和物を含む組成物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与することを含む、アポトーシスの誘導方法:
【化12】

[式中、点線は単結合又は二重結合を表し;
R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示す:
【化13】

{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;
R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである)};
A-Bは以下の一般式により表される基であり:
【化14】

Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであり;また
mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであるか、又は、
mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oである。]
【請求項27】
前記キャリヤーがDMSOである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
以下の一般式Iの化合物又はそれらの塩又は水和物を、その治療を必要とする被験者に投与することを含む、HIV/AIDSの治療方法:
【化15】

[式中、点線は単結合又は二重結合を表し;
R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示す:
【化16】

{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;
R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである)};
A-Bは以下の一般式により表される基であり:
【化17】

Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであり;また
mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであるか、又は、
mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oである。]
【請求項29】
前記化合物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記キャリヤーがDMSOである、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
以下の一般式Iの化合物又はそれらの塩又は水和物を、その治療を必要とする被験者に投与することを含む、ケモカインレセプターの阻害方法:
【化18】

[式中、点線は単結合又は二重結合を表し;
R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示す:
【化19】

{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;
R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである)};
A-Bは以下の一般式により表される基であり:
【化20】

Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであり;また
mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであるか、又は、
mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oである。]
【請求項32】
前記ケモカインレセプターが、CXCR4及びCXCR3から選ばれる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ケモカインレセプターの前記阻害が、前記ケモカインレセプターを有する細胞へのHIVの侵入を防ぐ、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与する、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記キャリヤーがDMSOである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
以下の一般式Iの化合物又はそれらの塩又は水和物を、その治療を必要とする被験者に投与することを含む、悪性転移の調整方法:
【化21】

[式中、点線は単結合又は二重結合を表し;
R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示す:
【化22】

{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;
R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである)};
A-Bは以下の一般式により表される基であり:
【化23】

Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであり;また
mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであるか、又は、
mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oである。]
【請求項37】
前記化合物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記キャリヤーがDMSOである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
以下の一般式Iの化合物又はそれらの塩又は水和物を、その治療を必要とする被験者に投与することを含む、線維症又は異常型線維芽細胞増殖の阻害方法:
【化24】

[式中、点線は単結合又は二重結合を表し;
R1及びR2は同じでも異なっていてもよく、互いに独立して-CH2OH、-CH2OR4、-CH(OH)CH3、-CH(OR4)CH3又は以下の一般式により表される基を示す:
【化25】

{式中、R4は、線状又は分岐C1-C4アルキルであり;
R5は、H、OH又はOR6であり(R6は線状又は分岐C1-C4アルキルである)};
A-Bは以下の一般式により表される基であり:
【化26】

Zは、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであり;また
mは整数の0又は1、nは整数の1〜500、Xは、O、-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oであるか、又は、
mは1、nは整数の0〜500、Xは-CH2O、-CH2CH2O、-CH(CH3)CH2O又は-CH2CH(CH3)Oである。]
【請求項40】
前記化合物を、前記化合物の分子のミセル形成又はファン・デル・ワールス引力を最小にするキャリヤーにおいて投与する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記キャリヤーがDMSOである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
以下の一般式の化合物又はそれらの異性体:
【化27】

【請求項43】
以下の一般式の化合物又はそれらの異性体:
【化28】

【請求項44】
以下の一般式の化合物又はそれらの異性体:
【化29】

【請求項45】
以下の一般式A'、B'、C'、D'、E'又はF'の化合物:
【化30】

【化31】

(式中、*により示されるキラル中心は、S-エナンチオマーコンホメーションであり、Rは、p単位を有するポリアルキレングリコールポリマーを示し、pは整数の1〜100である。)
【請求項46】
Rが、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
pが整数の1〜20である、請求項45又は46に記載の化合物。
【請求項48】
pが7である、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
pが17である、請求項47に記載の化合物。
【請求項50】
(S)2-N(3-O-ポリプロピレングリコール)プロピルベンゼン)-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピルアミド(p=7)。
【請求項51】
(S)2-N(3-O-(ポリプロピレングリコール)-1-プロピル-4-ヒドロキシベンゼン)-3-フェニルプロピルアミド(p=7)。
【請求項52】
療法によるヒト又は動物の身体の治療方法における使用のための、請求項45〜51のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項53】
AIDS及び他のウイルス性疾患及びHIV+関連感染症の治療、予防又はコントロール用医薬の製造における使用のための、請求項45〜51のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項54】
免疫アレルギー性又は自己免疫疾患の治療又は予防用、又はヒト又は動物の器官又は組織の移植拒絶の治療、予防又はコントロール用医薬の製造における使用のための、請求項45〜51のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項55】
以下の工程を含む前記一般式A'、D'又はE'の化合物の製造方法:
(i) 一般式Vの化合物を提供する工程:
【化32】

(式中、*により示されるキラル中心は、S-エナンチオマーであり、一般式Vの前記化合物は、少なくとも一つのヒドロキシフェニル基を含む);
(ii) 一般Vの前記化合物を、前記化合物上のフェニルヒドロキシ基を保護するのに適した保護剤と反応させる工程;
(iii) アルキルヒドロキシ基のアルカリ金属塩を形成する工程;
(iv) 前記アルカリ金属塩を、脱離基を含むポリアルキレングリコールと反応させる工程;及び
(v) その後、前記フェニルヒドロキシ基を脱保護し、一般式A'、D'又はE'の前記化合物を得る工程。
【請求項56】
一般式Vの前記化合物が、フェニル基及びヒドロキシフェニル基を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
一般式Vの前記化合物が、4-ヒドロキシフェニル基を含む、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールである、請求項55〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
工程(ii)における保護剤が、ジ-tert-ブチルジカルボネートである、請求項55〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
工程(iii)において形成されるアルカリ金属塩が、カリウム塩又はナトリウム塩である、請求項55〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
工程(iii)において形成される前記アルカリ金属塩が、一般式Vの(保護)化合物とナトリウムエトキシド又はカリウムエトキシドの反応により得られる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
工程(iv)の前記脱離基が、メシル(メタンスルホニル)である、請求項55〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
一般式Vの前記化合物が、以下の一般式Xの化合物を
【化33】

一般式Yの化合物とカップリングさせることにより形成される、請求項55〜62のいずれか1項に記載の方法:
【化34】

(式中、X及びYの少なくとも一方は、ヒドロキシフェニル基を含む。)
【請求項64】
N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をカップリング剤として使用する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
一般式Xの前記化合物が、3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸及びヒドロ桂皮酸から選ばれる、請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
一般式Yの前記化合物が、L-チロシノール塩酸塩及び3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸から選ばれる、請求項63〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
pが7である、請求項55〜66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
pが17である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
請求項45〜51のいずれか1項に記載の化合物を少なくとも20質量%含む組成物。
【請求項70】
前記組成物が、副生成物として未反応ポリアルキレングリコールをさらに含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記組成物が、前記化合物を約30質量%より多く含む、請求項69又は70に記載の組成物。
【請求項72】
前記組成物が、前記化合物を約40質量%より多く含む、請求項69又は70に記載の組成物。
【請求項73】
前記組成物が、前記化合物を約75質量%より多く含む、請求項69又は70に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−531717(P2007−531717A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504513(P2007−504513)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001160
【国際公開番号】WO2005/092305
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505123907)ニュー エラ バイオテック リミテッド (3)
【Fターム(参考)】