説明

BAW共振装置およびその製造方法

【課題】圧電層の結晶性を向上できるとともに共振子全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞を形成する際のエッチャントによる圧電層の浸食を防止可能なBAW共振装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】支持基板1に、PZT薄膜からなる圧電層32を有する共振子3の下部電極31および絶縁層4における支持基板1側の表面を露出させる空洞1aが形成され、絶縁層4に、空洞1aに連通するエッチングホール5が形成されている。支持基板1が、単結晶MgO基板からなる上層基板11と、単結晶Si基板からなる下層基板12とで構成され、空洞1aが、上層基板11の厚み方向の両面側から上層基板11に対してエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことで形成された開口部11aと、下層基板12の厚み方向に貫設され開口部11aに連通する貫通孔12aとで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電層の厚み方向の縦振動モードを利用する共振子を備えたBAW(Bulk Acoustic Wave)共振装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機などの移動体通信機器の分野において、2GHz以上の高周波帯で利用する高周波フィルタに適用可能なBAW共振装置として、例えば、図6に示すように、単結晶Si基板からなる支持基板1’と、支持基板1’の一表面側に形成され下部電極31’、圧電層32’、上部電極33’の積層構造を有する共振子3’と、支持基板1’の上記一表面側に形成されて支持基板1’に支持され共振子3’を保持した支持層7’とを備え、支持基板1’の上記一表面側に、共振子3’下の支持層7’における支持基板1’側の表面を露出させ圧電層32’を物理的に振動可能とするための空洞1a’が形成されるとともに、支持層7’における共振子3’の周辺部に、空洞1a’に連通する空洞形成用の4つのスリット状のエッチングホール5’が平面視矩形状の圧電層32’の外周縁の各辺に沿って形成されてなるFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)型のBAW共振装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここにおいて、支持層7’は、支持基板1’の基礎となるSi基板にボロンを高濃度ドーピングして形成した高濃度ボロンドーピング層と、支持基板1’の上記一表面側に形成したSiO膜からなる絶縁層とで構成されている。要するに、支持層7’は、空洞1a’形成時にエッチングホール5’を通してSi基板からなる支持基板1’をエッチングするためのアルカリ系のエッチング液(例えば、エチレンジアミンピロカテコール水溶液など)に対して耐性を有する材料により形成されている。
【0004】
なお、上記特許文献1には、支持基板1’の上記一表面側に共振子3’を複数個形成してフィルタ(BAWフィルタ)を構成することも記載されている。
【0005】
上述のBAW共振装置では、圧電層32’の圧電材料としてPT、PZT、AlNなどを採用し、支持基板1’の材料としてSiなどを採用しているが、UWB(Ultra Wide Band)用フィルタに応用する場合、圧電層32’の圧電材料として、帯域幅が中心周波数に対して4〜5%しか広帯域化できないAlNに比べて中心周波数に対して10%程度の帯域幅を得ることが可能なPZT系材料(例えば、PZT、PMN−PZTなど)を採用し、圧電層32’の結晶性を向上させるために支持基板1’の材料としてMgOもしくはSrTiO(:STO)を採用することが考えられる。
【0006】
また、この種のBAW共振装置と類似の構造を有する焦電型赤外線検出素子として、例えば、図7に示すように、単結晶MgO基板からなる支持基板101と、支持基板101の一表面側に形成されPt膜からなる下部電極131、PLT(チタン酸鉛)薄膜からなる強誘電体薄膜(焦電薄膜)132、NiCr膜からなる上部電極133の積層構造を有する赤外線検出部130と、支持基板101の上記一表面側に形成されて支持基板101に支持され平面視において赤外線検出部130を全周に亘って取り囲んで赤外線検出部130を保持した有機膜(例えば、ポリイミド膜)からなる絶縁層140を備えるとともに、支持基板101に、赤外線検出部130の下部電極131における支持基板101側の表面を露出させる空洞101aが形成されてなるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。ここにおいて、図7に示した焦電型赤外線検出素子の製造にあたっては、単結晶MgO基板からなる支持基板101の上記一表面側に赤外線検出部130および絶縁層140を形成してから、絶縁層140に設けたエッチングホールを通してエッチャント(例えば、濃度が10vol%、液温が80℃の燐酸)を導入し支持基板101における空洞101aの形成予定領域をエッチングすることにより、空洞101aを形成している。
【0007】
上述の図7に示した構成の焦電型赤外線検出素子をBAW共振装置に応用する場合、強誘電体薄膜132をPZT薄膜により構成するとともに、上部電極133をPt膜により構成し、下部電極131、強誘電体薄膜132、上部電極133それぞれの膜厚を適宜変更すればよい。
【特許文献1】特開平9−130199号公報
【特許文献2】特開平8−271341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図6に示した構成のBAW共振装置では、共振子3’下に支持層7’が形成されているので、当該支持層7’に起因してバルク弾性波のエネルギ損失が生じ、共振子全体の機械的品質係数(Q値)が低下してしまうという問題があった。
【0009】
また、図6に示した構成のBAW共振装置では、単結晶Si基板からなる支持基板1’の上記一表面側の支持層7’上に共振子3’が形成されており、結晶性の良好な圧電層32’を得るのが難しく、圧電層32’の結晶性の改善が望まれていた。
【0010】
また、図6に示した構成のBAW共振装置において、支持基板1’として単結晶Si基板に代えて単結晶MgO基板や単結晶STO基板を用いても、共振子3’が支持層7’上に形成されているので、結晶性の良好な圧電層32’を得るのが難しい。また、図6に示した構成のBAW共振装置において、支持基板1’として単結晶Si基板に代えて単結晶MgO基板や単結晶STO基板を用いた場合、空洞1a’を形成する際に燐酸溶液などのエッチャントによりエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うこととなるが、単結晶MgO基板のエッチング時間が長くなるとともに、空洞1a’の容積が大きくなって脆弱になってしまう。
【0011】
また、図7に示した構成において、強誘電体薄膜132をPZT薄膜とし、空洞101aを形成するためのエッチャントとして燐酸溶液を用いた場合、空洞101aを形成する際に、支持基板101の上記一表面側における下部電極131と絶縁層140との境界の隙間からエッチャントが浸入してPZT薄膜が浸食され、特性の劣化や信頼性の低下の原因となってしまう恐れがあった。
【0012】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、圧電層の結晶性を向上できるとともに共振子全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞を形成する際のエッチャントによる圧電層の浸食を防止可能なBAW共振装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、支持基板と、支持基板の一表面側に形成され下部電極と上部電極との間にPZT系材料もしくはKNN系材料からなる圧電層を有する共振子と、支持基板の前記一表面側に形成されて支持基板に支持され平面視において共振子を取り囲んで共振子を保持した絶縁層とを備え、支持基板に、共振子の下部電極および絶縁層における支持基板側の表面を露出させる空洞が形成されるとともに、絶縁層に、前記空洞に連通するエッチングホールが形成されてなり、支持基板が、互いに厚さが異なる上層基板と下層基板との積層構造を有し、支持基板において相対的に共振子に近い側にある上層基板が、単結晶MgO基板もしくは単結晶STO基板からなるとともに、相対的に共振子から遠い側にある下層基板に比べて薄く、且つ、前記空洞は、少なくとも、上層基板の厚み方向の両面側から上層基板に対してエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことで形成された開口部により構成されてなることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、支持基板の一表面側に形成され下部電極と上部電極との間に圧電層を有する共振子と、支持基板の前記一表面側に形成されて支持基板に支持され平面視において共振子を取り囲んで共振子を保持した絶縁層とを備え、支持基板に、共振子の下部電極および絶縁層における支持基板側の表面を露出させる空洞が形成されるとともに、絶縁層に、前記空洞に連通するエッチングホールが形成されているので、バルク弾性波のエネルギ損失を低減できて、共振子全体の機械的品質係数を向上でき、また、圧電層がPZT系材料もしくはKNN系材料により形成されているので、AlNやZnOにより形成されている場合に比べて、電気機械結合係数を大きくすることができ、しかも、支持基板が、互いに厚さが異なる上層基板と下層基板との積層構造を有し、支持基板において相対的に共振子に近い側にある上層基板が、単結晶MgO基板もしくは単結晶STO基板からなるので、圧電層の結晶性を向上できるとともに共振子全体の機械的品質係数を向上でき、また、上層基板が、相対的に共振子から遠い側にある下層基板に比べて薄く、且つ、前記空洞は、少なくとも、上層基板の厚み方向の両面側から上層基板に対してエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことで形成された開口部により構成されているので、前記空洞の形成に要するエッチング時間を短くでき、堅牢化が可能となり、しかも、前記空洞を形成する際のエッチャントによる圧電層の浸食を防止可能となる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記下層基板は、単結晶Si基板からなり、前記空洞は、前記開口部と、前記下層基板の厚み方向に貫設され前記開口部に連通する貫通孔とで構成されてなることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、前記開口部を形成する際に前記下層基板をエッチングストッパとして利用することができ、前記開口部の形状の再現性を高めることができるとともに前記開口部の形成に要するエッチング時間を短くできる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記下層基板は、感光性樹脂組成物の硬化物からなり、前記空洞は、前記開口部と、前記下層基板の厚み方向に貫設され前記開口部に連通する貫通孔とで構成されてなることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、前記開口部を形成する際に前記下層基板をエッチングストッパとして利用することができ、前記開口部の形状の再現性を高めることができるとともに前記開口部の形成に要するエッチング時間を短くできる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1記載のBAW共振装置の製造方法であって、前記上層基板の一表面側に前記共振子および前記絶縁層を形成した後、少なくとも前記上層基板に対して厚み方向の両面側からエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことにより前記空洞を形成することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、圧電層の結晶性を向上できるとともに共振子全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞を形成する際のエッチャントによる圧電層の浸食を防止可能なBAW共振装置を提供できる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項2または請求項3記載のBAW共振装置の製造方法であって、前記上層基板の一表面側に前記共振子および前記絶縁層を形成した後、空洞の形成にあたっては、前記支持基板における前記下層基板に前記貫通孔を形成し、その後、前記貫通孔を通してエッチャントを導入し前記上層基板に対して前記上層基板の厚さ寸法よりも小さな所定深さまでエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行ってから、前記絶縁層に前記エッチングホールを形成し、その後、前記エッチングホールおよび前記貫通孔を通してエッチャントを導入し前記上層基板に対して厚み方向の両面側からエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことで前記開口部を形成することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、圧電層の結晶性を向上できるとともに共振子全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞を形成する際のエッチャントによる圧電層の浸食を防止可能なBAW共振装置を提供できる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明において、前記共振子を形成する前に、前記上層基板を所定厚さまで薄肉化することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、前記上層基板を薄肉化する際に前記共振子が破損するのを防止することができるとともに、前記上層基板のより一層の薄肉化が可能となり、前記開口部を形成する際のエッチング時間のより一層の短縮を図れる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明では、圧電層の結晶性を向上できるとともに共振子全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞を形成する際のエッチャントによる圧電層の浸食を防止可能となるという効果がある。
【0026】
請求項4,5の発明では、圧電層の結晶性を向上できるとともに共振子全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞を形成する際のエッチャントによる圧電層の浸食を防止可能なBAW共振装置を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本実施形態のBAW共振装置は、図1に示すように、支持基板1と、支持基板1の一表面上に形成され下部電極31と上部電極33との間に圧電層32を有する共振子3と、支持基板1の上記一表面側に形成されて支持基板1に支持され平面視において共振子3を取り囲んで共振子3を保持した絶縁層4とを備えている。また、本実施形態のBAW共振装置は、支持基板1に、共振子3の下部電極31および絶縁層4における支持基板1側の表面を露出させる空洞1aがエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングにより形成されるとともに、絶縁層4に、空洞1aに連通する空洞形成用の複数(本実施形態では、2つ)のエッチングホール5が貫設されている。ここで、各エッチングホール5は、絶縁層4において共振子3の中心からの距離が等しい位置に形成されている。
【0028】
上述の共振子3は、支持基板1の上記一表面側に形成された下部電極31と、下部電極31における支持基板1側とは反対側に形成された圧電層32と、圧電層32における下部電極31側とは反対側に形成された上部電極33とを有しており、下部電極31と下部電極31直下の媒質との音響インピーダンス比を大きくすることにより支持基板1側へバルク弾性波のエネルギの伝搬を抑制するようにしてある。要するに、本実施形態のBAW共振装置は、支持基板1に空洞1aが形成されているFBARにより構成されている。
【0029】
また、本実施形態のBAW共振装置は、上述の絶縁層4に、上部電極33と圧電層32との接触面積を規定する開孔部4aが形成されており、圧電層32のうち下部電極31と上部電極33との両方と接する領域が共振領域を構成している。
【0030】
本実施形態のBAW共振装置は、圧電層32の圧電材料として、PZTを採用しており、圧電層32は、(001)配向のPZT薄膜からなる圧電薄膜により構成されている。ここで、図1には図示していないが、下部電極31と圧電層32との間に、圧電層32の配向を制御するためのシード層としてSRO層を形成することが望ましい。また、本実施形態では、圧電層32の圧電材料として、PZTを採用しているが、PZT系材料であれば、PZTに限らず、不純物を添加したPZTやPMN−PZTなどでもよく、圧電材料がAlNやZnOである場合に比べて、電気機械結合係数を大きくすることができる。また、圧電層32の圧電材料としては、PZT系材料に限らず、例えば、鉛フリーのKNN(K0.5Na0.5NbO)や、KN(KNbO)、NN(NaNbO)、KNNに不純物(例えば、Li,Nb,Ta,Sb,Cuなど)を添加したものなどのKNN系材料を用いてもよい。
【0031】
ところで、圧電層32は、平面視における全領域が下部電極31上に形成されており、圧電層32の外周線は、下部電極31の外周線よりも内側に位置している。
【0032】
また、本実施形態のBAW共振装置では、下部電極31の金属材料としてPtを採用しているが、下部電極31の材料はPtに限定するものではなく、後述の上層基板11に空洞1aの一部を構成する開口部11aを形成する際のエッチング液に対して耐性を有し、圧電層32の圧電材料との格子定数差の小さな金属材料であればよい。また、上部電極33の金属材料としてAlを採用しているが、Alに限らず、例えば、Pt、Mo、W、Ir、Cr、Ruなどを採用すれば、上部電極33の金属材料が代表的な電極材料であるAuの場合に比べて、上部電極33の機械的品質係数を高めることができ、共振子3全体の機械的品質係数を高めることが可能となる。
【0033】
また、絶縁層4の材料としては、SiOを採用しているが、SiOに限らず、例えば、Siを採用してもよい。また、絶縁層4は、単層構造に限らず、多層構造でもよく、例えば、SiOからなる第1の絶縁膜とSi膜からなる第2の絶縁膜との積層膜でもよい。
【0034】
なお、本実施形態のBAW共振装置では、共振子3の共振周波数を4GHzに設定してあり、下部電極31の厚みを100nm、圧電層32の厚みを300nm、上部電極33の厚みを100nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、共振周波数を3GHz〜5GHzの範囲で設計する場合には、圧電層32の厚みは200nm〜600nmの範囲で適宜設定すればよい。
【0035】
ところで、支持基板1は、互いに厚さが異なる上層基板11と下層基板12との積層構造を有し、支持基板1において相対的に共振子3に近い側にある上層基板11が、単結晶MgO基板からなるとともに、相対的に共振子3から遠い側にある下層基板12に比べて薄くなっている。なお、本実施形態では、上層基板11の厚さを50μm、下層基板12の厚さを300μmに設定してあるが、これらの厚さは一例であり、特に限定するものではない。
【0036】
また、支持基板1は、上述の空洞1aが、上層基板11の厚み方向の両面側から上層基板11に対してエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことで形成された開口部11aと、下層基板12の厚み方向に貫設され上層基板11の開口部11aに連通する貫通孔12aとで構成されている。
【0037】
ここにおいて、上層基板11としては、下層基板12側とは反対側の一表面が(001)面の単結晶MgO基板を用いているが、上記一表面が(001)面の単結晶STO基板を用いてもよい。また、上層基板11の上記一表面の面方位は特に限定するものではなく、圧電層32の所望の面方位に応じて適宜設定すればよい。また、下層基板12としては、単結晶Si基板を用いている。
【0038】
以上説明した本実施形態のBAW共振装置によれば、支持基板1の上記一表面側に形成され下部電極31と上部電極33との間に圧電層32を有する共振子3と、支持基板1の上記一表面側に形成されて支持基板1に支持され平面視において共振子3を取り囲んで共振子3を保持した絶縁層4とを備え、支持基板1に、共振子3の下部電極31および絶縁層4における支持基板1側の表面を露出させる空洞1aが形成されるとともに、絶縁層4に、空洞1aに連通するエッチングホール5が形成されているので、バルク弾性波のエネルギ損失を低減できて、共振子3全体の機械的品質係数を向上できる。しかも、本実施形態のBAW共振装置では、支持基板1が、互いに厚さが異なる上層基板11と下層基板12との積層構造を有し、支持基板1において相対的に共振子3に近い側にある上層基板11が、単結晶MgO基板もしくは単結晶STO基板からなるので、PZT系材料もしくはKNN系材料からなる圧電層32の結晶性を向上できるとともに共振子3全体の機械的品質係数を向上でき、また、上層基板11が、相対的に共振子3から遠い側にある下層基板12に比べて薄く、且つ、空洞1aが、上層基板11の厚み方向の両面側から上層基板11に対してエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことで形成された開口部11aと、下層基板12の厚み方向に貫設され上層基板11の開口部11aに連通する貫通孔12aとで構成されているので、空洞1aの形成に要するエッチング時間を短くでき、堅牢化が可能となり、しかも、空洞1aを形成する際のエッチャントによる圧電層32の浸食を防止可能となる。
【0039】
また、本実施形態のBAW共振装置では、下層基板12が単結晶Si基板により形成され、空洞1aが上述の開口部11aと貫通孔12aとで構成されているので、開口部11aを形成する際に下層基板12をエッチングストッパとして利用することができ、開口部11aの形状の再現性を高めることができるとともに開口部11aの形成に要するエッチング時間を短くできる。
【0040】
以下、本実施形態のBAW共振装置の製造方法について図2〜図4を参照しながら説明する。
【0041】
まず、単結晶MgO基板からなる上層基板11と単結晶Si基板からなる下層基板12とを接合する基板接合工程を行うことによって、図2(a)に示す構造を得る。なお、基板接合工程では、例えば、金属−金属(例えば、Au−Au)の常温接合や、AuSnを利用した共晶接合などにより上層基板11と下層基板12とを接合すればよいが、接合方法は特に限定するものではない。
【0042】
上述の基板接合工程の後、上層基板11を下層基板12側とは反対側の一表面側から所定厚さ(例えば、50μm程度)まで薄肉化する薄肉化工程を行うことによって、図2(b)に示す構造を得る。ここで、薄肉化工程では、例えば、CMP法などにより上層基板11を上記一表面側から薄肉化し、研磨によるダメージ層を除去するためのウェットエッチングを行えばよい。なお、上層基板11の所定厚さは、50μmに限定するものではなく、例えば、10〜100μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
【0043】
上述の薄肉化工程の後、上層基板11の上記一表面側の全面に下部電極31の基礎となる第1の金属膜(例えば、Pt膜など)31aをスパッタ法やEB蒸着法やCVD法などにより形成する第1の金属膜形成工程を行うことによって、図2(c)に示す構造を得る。
【0044】
その後、支持基板1の上記一表面側の全面に圧電層32の基礎となるPZT薄膜からなる圧電材料層32aをスパッタ法やCVD法やゾルゲル法などにより形成する圧電材料層形成工程を行うことによって、図2(d)に示す構造を得る。なお、第1の金属膜形成工程と圧電材料層形成工程との間に、圧電材料層32aの配向を制御するためのシード層としてSRO層を形成するシード層形成工程を設けてもよい。
【0045】
圧電材料層形成工程の後、圧電材料層32aの一部からなる圧電層32を形成するためにパターニングされたレジスト層(以下、第1のレジスト層と称する)61をフォトリソグラフィ技術を利用して圧電材料層32a上に形成する第1のレジスト層形成工程を行い、続いて、第1のレジスト層61をマスクとして、圧電材料層32aをエッチングすることで圧電材料層32aの一部からなる圧電層32を形成する圧電材料層パターニング工程を行うことによって、図2(e)に示す構造を得る。
【0046】
その後、第1のレジスト層61を除去し、続いて、第1の金属膜31aの一部からなる下部電極31を形成するためにパターニングされたレジスト層(以下、第2のレジスト層と称する)62をフォトリソグラフィ技術を利用して支持基板1の上記一表面側に形成する第2のレジスト層形成工程を行い、その後、第2のレジスト層62をマスクとして、第1の金属膜31aをエッチングすることで第1の金属膜31aの一部からなる下部電極31を形成する第1金属膜パターニング工程を行うことによって、図3(a)に示す構造を得る。
【0047】
その後、第2のレジスト層62を除去し、続いて、支持基板1の上記一表面側の全面に例えばSiO膜からなる絶縁層4をスパッタ法やCVD法などにより形成する絶縁層形成工程を行うことによって、図3(b)に示す構造を得る。
【0048】
その後、絶縁層4に開孔部4aを形成するためにパターニングされたレジスト層(以下、第3のレジスト層と称する)63をフォトリソグラフィ技術を利用して支持基板1の上記一表面側に形成する第3のレジスト層形成工程を行い、続いて、ドライエッチング技術を利用して絶縁層4に開孔部4aを形成する開孔部形成工程を行うことによって、図3(c)に示す構造を得る。
【0049】
その後、第3のレジスト層63を除去し、続いて、支持基板1の上記一表面側の全面に上部電極33の基礎となる第2の金属膜(例えば、Pt膜など)33aをスパッタ法やEB蒸着法やCVD法などにより形成する第2の金属膜形成工程を行うことによって、図3(d)に示す構造を得る。
【0050】
その後、第2の金属膜33aの一部からなる上部電極33を形成するためにパターニングされたレジスト層(以下、第4のレジスト層と称する)64をフォトリソグラフィ技術を利用して支持基板1の上記一表面側に形成する第4のレジスト層形成工程を行い、続いて、第4のレジスト層64をマスクとして、第2の金属膜33aをエッチングすることで第2の金属膜33aの一部からなる上部電極33を形成する第2金属膜パターニング工程を行うことによって、図3(e)に示す構造を得る。
【0051】
その後、第4のレジスト層64を除去し、続いて、支持基板1の上記一表面側の全面にレジスト層(以下、第5のレジスト層と称する)65を形成する第5のレジスト層形成工程を行ってから、支持基板1の他表面側に下層基板12の貫通孔12aを形成するためにパターニングされたレジスト層(以下、第6のレジスト層と称する)66をフォトリソグラフィ技術を利用して形成する第6のレジスト層形成工程を行い、更にその後、第6のレジスト層66をマスクとして下層基板12をドライエッチング技術によりエッチングすることで貫通孔12aを形成する貫通孔形成工程を行うことによって、図4(a)に示す構造を得る。なお、貫通孔形成工程では、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)型のドライエッチング装置を用いて下層基板12をエッチングすることにより、一般的なRIE装置を用いる場合に比べて、ドライエッチング貫通孔12aの開口サイズを小さくできるとともにエッチング時間を短縮することができる。
【0052】
上述の貫通孔形成工程の後、上述の第5のレジスト層65および第6のレジスト層66をマスクとして、貫通孔12aを通して所定のエッチャントを導入し上層基板11に対して上層基板11の厚さ寸法よりも小さな所定深さ(例えば、50μm)までエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行う第1の異方性エッチング工程を行うことによって、図4(b)に示す構造を得る。なお、上層基板11として単結晶MgO基板を採用している場合には、所定のエッチャントとして燐酸系溶液(例えば、例えば、70〜90℃程度に加熱した燐酸水溶液など)を用いればよく、上層基板11として単結晶STO基板を採用している場合には、絶縁層4の材料をSiとして、所定のエッチャントとして、例えば、液温が室温(例えば、25℃)で濃度が3wt%のフッ酸水溶液を用いればよい。
【0053】
上述の第1の異方性エッチング工程の後、第5のレジスト層65および第6のレジスト層66を除去してから、絶縁層4にエッチングホール5を形成するためにパターニングされたレジスト層(以下、第7のレジスト層と称する)67をフォトリソグラフィ技術を利用して支持基板1の上記一表面側に形成する第7のレジスト層形成工程を行い、続いて、第7のレジスト層67をマスクとして、絶縁層4をドライエッチング技術によりエッチングすることでエッチングホール5を形成するエッチングホール形成工程を行うことによって、図4(c)に示す構造を得る。なお、エッチングホール形成工程では、上層基板11をエッチングストッパとして絶縁層4にエッチングホール5を形成している。
【0054】
上述のエッチングホール形成工程の後、エッチングホール5および貫通孔12aを通して上記所定のエッチャントを導入し上層基板11に対して厚み方向の両面側からエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことで開口部11aを形成することで空洞1aを形成する第2の異方性エッチング工程を行い、続いて、第7のレジスト層を除去することによって、図4(d)に示す構造のBAW共振装置を得る。ここにおいて、第2の異方性エッチング工程では、上述の第7のレジスト層67と下層基板12とをマスクとし、絶縁層4のエッチングホール5および下層基板12の貫通孔12aを通して上記所定のエッチャントを導入する。なお、本実施形態では、上述の第1の異方性エッチング工程と第2の異方性エッチング工程とで開口部11aを形成する開口部形成工程を構成しているが、第1の異方性エッチング工程をなくして第2の異方性エッチング工程のみで開口部形成工程を構成するようことも可能である。
【0055】
上述のBAW共振装置の製造にあたっては、上述の支持基板1としてウェハを用いてウェハレベルで多数のBAW共振装置を形成した後、ダイシング工程で個々のBAW共振装置に分割すればよい。
【0056】
以上説明した本実施形態のBAW共振装置の製造方法によれば、上層基板11の一表面側に共振子3および絶縁層4を形成した後、空洞1aの形成にあたっては、支持基板1における下層基板12に貫通孔12aを形成し、その後、貫通孔12aを通して上記所定のエッチャントを導入し上層基板11に対して当該上層基板11の厚さ寸法よりも小さな上記所定深さまでエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行ってから、絶縁層4にエッチングホール5を形成し、その後、エッチングホール5および貫通孔12aを通して上記所定のエッチャントを導入し上層基板11に対して厚み方向の両面側からエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことで開口部11aを形成するようにしているので、単結晶MgO基板もしくは単結晶STO基板からなる上層基板11の上記一表面側に下部電極31と上部電極33との間に圧電層32を有する共振子3を直接形成することができるから、図6に示した構成のように支持層7’上に共振子3’を形成する製造方法を採用する場合に比べて、圧電層32の結晶性を向上できるとともに共振子3全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞1aを形成する際の上記所定のエッチャントによる圧電層32の浸食を防止可能なBAW共振装置を提供できる。
【0057】
また、本実施形態のBAW共振装置の製造方法によれば、共振子3を形成する前に、上層基板11を上記所定厚さまで薄肉化するようにしているので、上層基板11を薄肉化する際に共振子3が破損するのを防止することができるとともに、上層基板11のより一層の薄肉化が可能となり、上層基板11に開口部11aを形成する際のエッチング時間のより一層の短縮を図れる。
【0058】
また、本実施形態のBAW共振装置の製造方法では、下層基板12として、単結晶Si基板を用いているので、空洞1aとなる上記開口部を形成する際に下層基板12をマスクだけでなくエッチングストッパとしても利用することができ、開口部11aの形状の再現性を高めることができるとともに開口部11aの形成に要するエッチング時間を短くできる。
【0059】
ところで、上述のBAW共振装置では、下層基板12として単結晶Si基板を用いた例を説明したが、下層基板12は、単結晶Si基板に限らず、例えば、電気絶縁性を有する感光性樹脂組成物の硬化物により構成してもよい。なお、下層基板12用の感光性樹脂組成物としては、5〜700μm厚の厚膜に成膜が可能で、耐薬品性および耐熱性が高く、露光・現像により、高アスペクト比のパターニングが可能なもの(永久レジストと呼ばれ、露光・現像によるパターニング後に永久膜として利用可能なフォトレジスト)を用いている。ここにおけるフォトレジストとしては、例えば、化薬マイクロケム株式会社製のSU8(商品名)などがある。このように下層基板12を感光性樹脂組成物の硬化物により構成する場合には、上述の基板接合工程、第6のレジスト層形成工程、および貫通孔形成工程を行う代わりに、上層基板11において共振子3を形成する一表面側とは反対側の他表面側に感光性樹脂組成物を塗布して、リソグラフィ工程において所定のフォトマスクを介して露光することにより貫通孔12aを有する下層基板12を形成することができる。このように下層基板12を感光性樹脂組成物の硬化物により構成した場合も、上層基板11に開口部11aを形成する際に下層基板12をエッチングストッパとして利用することができ、開口部11aの形状の再現性を高めることができるとともに開口部11aの形成に要するエッチング時間を短くできる。
【0060】
また、図1に示した構成のBAW共振装置では、空洞1aが上層基板11の開口部11aと下層基板12の貫通孔12aとで構成されているが、図5に示すように、空洞1aを上層基板11の開口部11aのみにより構成するようにしてもよい。このようなBAW共振装置を製造するには、例えば、薄肉化する前の上層基板11の一表面上に共振子3および絶縁層4を形成した後、上層基板11の上記一表面側にレジスト層からなる接着層を介して単結晶Si基板からなるハンドリング用基板を張り合わせ、続いて、上層基板11を他表面側から所定厚さまで薄肉化し、その後、上層基板11に対して共振子3側とは反対側から上記所定のエッチャントを用いてエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことにより開口部11aの一部を構成し、その後、上層基板11と下層基板12とからなる支持基板1を形成し、その後、ハンドリング用基板および接着層を除去し、続いて、絶縁層4にエッチングホール5を形成してから、エッチングホール5を通して上記所定のエッチャントを導入し上層基板11に対してエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことにより開口部11aからなる空洞1aを形成すればよい。
【0061】
この場合も、上層基板11の上記一表面側に共振子3および絶縁層4を形成した後、上層基板11に対して厚み方向の両面側からエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことにより空洞1aを形成するので、圧電層32の結晶性を向上できるとともに共振子3全体の機械的品質係数を向上でき、且つ、堅牢化が可能で、しかも、空洞1aを形成する際の上記所定のエッチャントによる圧電層32の浸食を防止可能なBAW共振装置を提供できる。
【0062】
上述のBAW共振装置は、支持基板1の上記一表面側に共振子3が1個だけ形成されたものであるが、共振子3を支持基板1の上記一表面側に複数個形成して、これら複数個の共振子3が例えばラダー型フィルタを構成するように接続すれば、2GHz以上の高周波帯においてカットオフ特性が急峻で且つ帯域幅の広いフィルタ、例えば、UWB用フィルタとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態におけるBAW共振装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’概略断面図である。
【図2】同上のBAW共振装置の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図3】同上のBAW共振装置の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図4】同上のBAW共振装置の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図5】同上のBAW共振装置の他の構成例を示す概略断面図である。
【図6】従来例のBAW共振装置を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のA−A’概略断面図である。
【図7】他の従来例を示す焦電型赤外線検出素子の概略断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 支持基板
1a 空洞
3 共振子
4 絶縁層
5 エッチングホール
11 上層基板
11a 開口部
12 下層基板
12a 貫通孔
31 下部電極
32 圧電層
33 上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、支持基板の一表面側に形成され下部電極と上部電極との間にPZT系材料もしくはKNN系材料からなる圧電層を有する共振子と、支持基板の前記一表面側に形成されて支持基板に支持され平面視において共振子を取り囲んで共振子を保持した絶縁層とを備え、支持基板に、共振子の下部電極および絶縁層における支持基板側の表面を露出させる空洞が形成されるとともに、絶縁層に、前記空洞に連通するエッチングホールが形成されてなり、支持基板が、互いに厚さが異なる上層基板と下層基板との積層構造を有し、支持基板において相対的に共振子に近い側にある上層基板が、単結晶MgO基板もしくは単結晶STO基板からなるとともに、相対的に共振子から遠い側にある下層基板に比べて薄く、且つ、前記空洞は、少なくとも、上層基板の厚み方向の両面側から上層基板に対してエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングを行うことで形成された開口部により構成されてなることを特徴とするBAW共振装置。
【請求項2】
前記下層基板は、単結晶Si基板からなり、前記空洞は、前記開口部と、前記下層基板の厚み方向に貫設され前記開口部に連通する貫通孔とで構成されてなることを特徴とする請求項1記載のBAW共振装置。
【請求項3】
前記下層基板は、感光性樹脂組成物の硬化物からなり、前記空洞は、前記開口部と、前記下層基板の厚み方向に貫設され前記開口部に連通する貫通孔とで構成されてなることを特徴とする請求項1記載のBAW共振装置。
【請求項4】
請求項1記載のBAW共振装置の製造方法であって、前記上層基板の一表面側に前記共振子および前記絶縁層を形成した後、少なくとも前記上層基板に対して厚み方向の両面側からエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことにより前記空洞を形成することを特徴とするBAW共振装置の製造方法。
【請求項5】
請求項2または請求項3記載のBAW共振装置の製造方法であって、前記上層基板の一表面側に前記共振子および前記絶縁層を形成した後、空洞の形成にあたっては、前記支持基板における前記下層基板に前記貫通孔を形成し、その後、前記貫通孔を通してエッチャントを導入し前記上層基板に対して前記上層基板の厚さ寸法よりも小さな所定深さまでエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行ってから、前記絶縁層に前記エッチングホールを形成し、その後、前記エッチングホールおよび前記貫通孔を通してエッチャントを導入し前記上層基板に対して厚み方向の両面側からエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことで前記開口部を形成することを特徴とするBAW共振装置の製造方法。
【請求項6】
前記共振子を形成する前に、前記上層基板を所定厚さまで薄肉化することを特徴とする請求項4または請求項5記載のBAW共振装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−147875(P2010−147875A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323862(P2008−323862)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】