説明

C型肝炎ウイルスインヒビターとしての大環状化合物

本発明は、セリンプロテアーゼ活性、特にC型肝炎ウイルス(HCV) NS3-NS4Aプロテアーゼの活性を阻害する、式Iの化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを開示する。結果的に、本発明の化合物は、C型肝炎ウイルスの生活環を障害し、抗ウイルス剤としても有用である。本発明はさらに、HCV感染に苦しむ被験体への投与のための上述の化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することによる、被験体におけるHCV感染の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年5月13日に出願された米国特許仮出願第61/177,853号の恩典を主張する。上述の出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、HCVに対して抗ウイルス活性を有し、HCV感染の治療に有用な新規なC型肝炎ウイルス(HCV)プロテアーゼインヒビター化合物に関する。より詳しくは、本発明は、大環状化合物、かかる化合物を含む組成物およびその使用方法、ならびにかかる化合物の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
HCVは、非A型、非B型肝炎の主な原因であり、先進諸国および発展途上諸国の両方において、次第に深刻な公衆衛生問題となってきている。該ウイルスは、世界中で2億人を超える人が感染していると推定されており、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している個体の数のほぼ5倍を凌ぐ。HCV感染患者は、慢性感染に苦しんでいる個体の割合が高いため、肝硬変、続いて肝細胞癌および末期の肝臓疾患を発症するリスクが高い。HCVは、西洋諸国において、肝細胞癌の最も一般的な原因であり、患者が肝臓移植を必要とする原因である。
【0004】
抗HCV治療薬の開発には大きな障壁があり、限定されないが、ウイルスの存続、宿主での複製時のウイルスの遺伝的多様性、ウイルスが薬物耐性変異体を生じる割合が高いこと、ならびにHCVの複製および病因のための再現可能な感染培養物系および小動物モデルがないことが挙げられる。ほとんどの場合、軽度の感染過程および肝臓の複雑な生物学を考慮すると、有意な副作用を有する可能性がある抗ウイルス薬は慎重に考慮しなくてはならない。
【0005】
現在利用可能なHCV感染のための承認された治療薬は2つだけである。最初の治療計画は、一般的に、3〜12ヶ月の期間の静脈内インターフェロン-α(IFN-α)を伴うが、新たに承認された第2世代治療は、IFN-αとリバビリンなどの一般的な抗ウイルスヌクレオシド模倣物での同時治療を伴う。これらの治療はどちらも、インターフェロン関連副作用という欠点ならびにHCV感染に対する有効性が低いという欠点を有する。既存の治療薬は許容性が不充分であり、有効性が期待はずれであるため、HCV感染の治療のための有効な抗ウイルス剤の開発の必要性が存在する。
【0006】
個体の大部分が慢性的に感染して無症候性であり、予後が不明である患者集団では、有効な薬物は、望ましくは、現在利用可能な治療よりも有意に低い副作用を有し得る。C型肝炎の非構造タンパク質-3(NS3)は、ウイルスポリタンパク質のプロセッシング、したがってウイルスの複製に必要とされるタンパク質分解酵素である。HCV感染に関連するウイルスバリアントの数は膨大であるにもかかわらず、NS3プロテアーゼの活性部位は、高度に保存されたままであり、したがって、その阻害は魅力的な介入方法(mode of intervention)となっている。プロテアーゼインヒビターでのHIVの治療における最近の成功は、NS3の阻害がHCVの対処における重要な標的であるという概念を支持する。
【0007】
HCVは、フラビウイルス科の型のRNAウイルスである。HCVゲノムはエンベロープを有し、およそ9600塩基対で構成された一本鎖RNA分子を含む。これは、およそ3010個のアミノ酸で構成されたポリペプチドをコードしている。
【0008】
HCVポリタンパク質は、ウイルスおよび宿主のペプチダーゼによって、種々の機能を果たす10個の別々のペプチドにプロセッシングされる。C、E1およびE2の3個の構造タンパク質がある。P7タンパク質の機能は不明であり、高度に可変性の配列で構成されている。6個の非構造タンパク質がある。NS2は、NS3タンパク質の一部分と一緒に機能する亜鉛依存性メタロプロテイナーゼである。NS3は、2つの触媒機能(NS2との関連とは別に):補因子としてNS4Aを必要とするN末端のセリンプロテアーゼ、およびカルボキシル末端のATPアーゼ依存性ヘリカーゼ機能を一体化している。NS4Aは、密接に関連しているが非共有結合性のセリンプロテアーゼの補因子である。
【0009】
NS3-NS4プロテアーゼは、ウイルスポリタンパク質の4つの部位の切断の原因である。NS3-NS4A切断は自己触媒性であり、シスで起こる。残りの3つの加水分解NS4A-NS4B、NS4B-NS5AおよびNS5A-NS5Bはすべて、トランスで起こる。NS3は、構造的にはキモトリプシン様プロテアーゼと分類されるセリンプロテアーゼである。NSセリンプロテアーゼはそれ自体がタンパク質分解活性を有するが、HCVプロテアーゼ酵素は、ポリタンパク質切断の触媒に関しては効率的な酵素ではない。NS4Aタンパク質の中央の疎水性領域はこの増強に必要とされることが示されている。NS3タンパク質とNS4Aの複合体形成は、プロセッシング事象に必要であり、すべての部位におけるタンパク質分解有効性を増強するようである。
【0010】
抗ウイルス剤の開発の一般的なストラテジーは、ウイルスの複製に必須であるウイルスにコードされた酵素、例えばNS3を不活化することである。NS3プロテアーゼインヒビターの発見に対する現在の努力は、S. Tan、A. Pause、Y. Shi、N. Sonenberg、Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies、Nature Rev. Drug Discov. 1、867-881 (2002)に概説されている。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明は、大環状化合物およびその薬学的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグ、ならびにC型肝炎感染の治療を必要とする被験体においてC型肝炎感染を治療するためのその使用方法に関する。本発明の化合物は、C型肝炎ウイルスの生活環に干渉し、抗ウイルス剤としても有用である。さらに、本発明は、HCV感染に苦しむ被験体への投与のための、前述の化合物、塩、エステルまたはプロドラッグを含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、本発明の化合物(またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグ)およびインターフェロン(例えば、α-インターフェロン、β-インターフェロン、コンセンサスインターフェロン、ペグ化インターフェロン、またはアルブミンもしくは他のコンジュゲートインターフェロン)、リバビリン、アマンタジン、別のHCVプロテアーゼインヒビター、またはHCVポリメラーゼ、ヘリカーゼもしくは内部リボソーム侵入部位インヒビターなどの別の抗HCV剤を含む医薬組成物を特徴とする。また、本発明は、本発明の医薬組成物を被験体に投与することによる被験体のHCV感染の治療方法に関する。さらに、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを、薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合せて含む医薬組成物に関する。
【0012】
本発明の一態様において、式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグが開示される:


(I)
式中、
Aは非存在であるか、または-C(O)-、-S(O)2-、-C(=N-OR1)-および-C(=N-CN)-から選択され;
Z201は非存在であるか、あるいは各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキレン、-C2〜C8アルケニレンまたは-C2〜C8アルキニレン;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキレン、例えば限定されないがハロゲン化C1〜C8アルキレン、置換C2〜C8アルケニレン、例えば限定されないがハロゲン化C2〜C8アルケニレンまたは置換C2〜C8アルキニレン、例えば限定されないがハロゲン化C2〜C8アルキニレン;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C3〜C12シクロアルキレンまたは-C3〜C12シクロアルケニレン;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C3〜C12シクロアルキレン、例えば限定されないがハロゲン化C3〜C12シクロアルキレン、および置換C3〜C12シクロアルケニレン、例えば限定されないがハロゲン化C3〜C12シクロアルケニレン;アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールから選択され;
Mは非存在であるか、あるいはO、S、SO、SO2およびNR1から選択され;
L101は非存在であるか、または各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキレン、-C2〜C8アルケニレンまたは-C2〜C8アルキニレン;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキレン、例えば限定されないがハロゲン化C1〜C8アルキレン、置換C2〜C8アルケニレン、例えば限定されないがハロゲン化C2〜C8アルケニレンまたは置換C2〜C8アルキニレン、例えば限定されないがハロゲン化C2〜C8アルキニレン;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C3〜C12シクロアルキレンまたは-C3〜C12シクロアルケニレン;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C3〜C12シクロアルキレン、例えば限定されないがハロゲン化C3〜C12シクロアルキレンおよび置換C3〜C12シクロアルケニレン、例えば限定されないがハロゲン化C3〜C12シクロアルケニレンから選択され;
Vは非存在であるか、またはO、S、S(O)、S(O)2およびNR1から選択され;ここで、R1は、各存在において、
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルもしくは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニルからなる群より選択され;
Z101は非存在であるか、またはアリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される;
Xは、
(1) 酸素;および
(2) 硫黄;
(3) NR1;ここで、R1は上記に規定のとおりである;ならびに
(4) -O-NH-
からなる群より選択され;
Yは非存在であるか、あるいは
(i) -C(=O)-、-C(=O)-NH-、-S(O)2-、-S(O)2NH-;
(ii) O、SもしくはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含有し、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C1〜C6アルキル;
(iii) O、SもしくはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含有し、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C2〜C6アルケニル;
(iv) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有し、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換され-C2〜C6アルキニル;ならびに
(v) -C3〜C12シクロアルキル、置換C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル;
からなる群より選択され;
Wは、各々、1つ以上のアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルと任意に縮合しているアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;
RおよびR’は各々、独立して、
(i) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、例えば限定されないがハロゲン化C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニル、例えば限定されないがハロゲン化C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル、例えば限定されないがハロゲン化C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C4〜C12アルキルシクロアルキルまたは置換C4〜C12アルキルシクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニル;-C4〜C12アルキルシクロアルケニルまたは置換C4〜C12アルキルシクロアルケニル;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) 水素;重水素
からなる群から選択され;
Gは、-OH、-NHS(O)2-R2、-NH(SO2)NR3R4、およびNR3R4から選択され;
R2は、
(i) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(ii) ヘテロシクロアルキル;置換ヘテロシクロアルキル;および
(iii) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニル;複素環式;置換複素環式から選択され;
R3およびR4は、独立して、
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニル;複素環式または置換複素環式から選択されるか;
あるいは、R3およびR4は、これらが結合している窒素と一緒になって複素環式または置換複素環式を形成し;
Uは非存在またはハロゲン原子、好ましくは、F、ClもしくはBrであり;
U1は非存在またはハロゲン原子、好ましくは、F、ClもしくはBrであり;
U2は非存在またはハロゲン原子、好ましくは、F、ClもしくはBrであり;
mは0、1、2または3であり;
m’は0、1、2または3であり;
ただし、Xが酸素であり、Yが非存在の場合、Wは


(QおよびTは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環式もしくは置換複素環式などの炭素環式部分もしくは複素環式部分を形成しているか;またはQおよびTは一緒になってC2〜C8-アルキレン基もしくはC2〜C8-ヘテロアルキレン基を形成している)
でないものとし;
さらに、Xが酸素であり、Yが非存在であり、Z101が非存在の場合、Wは


(R101およびR102は、独立して、
(i) 水素、ハロゲン、CN、CF3、N3、NO2、OR1、SR1、SO2R2、-NHS(O)2-R2、NH(SO2)NR3R4、NR3R4、CO2R1、COR1、CONR1R2、N(R1)COR2;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルもしくは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択され;
Q’は非存在であるか、またはアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、-O-、-S-、-NR1-、-C(O)NR1-、または-C(O)-から選択され;
T’は、
(i) 水素;
(ii) CN;
(iii) N3;
(iv) ハロゲン;
(v) -NH-N=CHR1;
(vi) アリール、置換アリール;
(vii) ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(viii) -C3〜C12シクロアルキル、置換C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル;
(ix) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有し、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C1〜C6アルキル;
(x) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有し、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C2〜C6アルケニル;および
(xi) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有し、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換された-C2〜C6アルキニル
からなる群より選択される)
でないものとする。
【0013】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を特徴とする。本発明のさらに別の態様において、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグと薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤を組み合せて含む医薬組成物が開示される。また別の態様において、本発明は、前記医薬組成物での治療を必要とする被験体におけるC型肝炎感染の治療方法である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の第1の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、上記の式Iで表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである。
【0015】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式II:


(II)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101、W Y、X、およびGは、式Iで規定のとおりである。
【0016】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式III:


(III)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、Q1は、
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルもしくは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニルからなる群より選択され;
Q2は、
(i) 水素、ハロゲン、CN、CF3、N3、NO2、OR1、SR1、SO2R2、-NHS(O)2-R2、-NH(SO2)NR3R4、NR3R4、CO2R1、COR1、CONR1R2、N(R1)COR2;ここで、R1、R2 、R3およびR4は先に規定のとおりである;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択されるか;
あるいは、Q1およびQ2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環式部分または複素環式部分を形成している。炭素環式または複素環式部分は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環式または置換複素環式から選択され得;式中、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101およびGは、式Iで規定のとおりである。
【0017】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式IV:


(IV)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、X1〜X4は、独立して、-CR5およびNから選択され、式中、R5は、独立して、
(i) 水素;ハロゲン;-NO2;-CN;N3;CF3;
(ii) -M-R4、MはO、S、NHである;
(iii) NR3R4;
(iv) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニル;
(v) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;および
(vi) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
から選択され;
式中、R3、R4、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101およびGは先に規定のとおりである。
【0018】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式V:


(V)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、Y1〜Y3は、独立して、CR5、N、NR5、SおよびOから選択され;式中、R5、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101およびGは先に規定のとおりである。
【0019】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式VI:


(VI)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101、Q1、Q2およびGは先に規定のとおりである。
【0020】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式VII:


(VII)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101、X1、X2、X3、X4およびGは先に規定のとおりである。
【0021】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式VIII:


(VIII)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101、Y1、Y2、Y3およびGは先に規定のとおりである。
【0022】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式IX:


(IX)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、Q3およびQ4は、独立して、
(i) 水素、ハロゲン、CN、CF3、N3、NO2、OR1、SR1、SO2R2、-NHS(O)2-R2、NH(SO2)NR3R4、NR3R4、CO2R1、COR1、CONR1R2、N(R1)COR2;式中、R1、R2 、R3およびR4は先に規定のとおりであり;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルもしくは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) 各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;各々、O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含有する、置換C1〜C8アルキル、置換C2〜C8アルケニルまたは置換C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択されるか;
あるいは、Q3およびQ4は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環式部分または複素環式部分を形成している。炭素環式または複素環式部分は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環式、もしくは置換複素環式から選択され得;
R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101およびGは、式Iで規定のとおりである。
【0023】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式X:


(X)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101、X1、X2、X3、X4およびGは先に規定のとおりである。
【0024】
本発明の別の態様は、単独または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式XI:


(XI)
で表される化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグであり、式中、R、R’、A、Z201、M、L101、V、Z101、Y1、Y2、Y3およびGは先に規定のとおりである。
【0025】
本発明の代表的な化合物としては、限定されないが、式XIIによる以下の化合物(表1)(式中、R、M-L、Ar2、Ar1およびGは、表1の各例に示したとおりである)が挙げられる。































































































































































【0026】
また、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を特徴とする。
【0027】
本発明の化合物は、単独の活性薬剤として投与され得るか、またはC型肝炎感染もしくはHCV感染に関連する症状を治療もしくは予防するための1つ以上の薬剤と併用され得る。本発明の化合物または化合物の組合せと併用して投与される他の薬剤としては、HCVウイルス複製を直接または間接的な機構により抑制する、HCV感染により引き起こされる疾患のための治療剤が挙げられる。これらの薬剤としては、限定されないが、宿主免疫調節薬(例えば、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、CpGオリゴヌクレオチド等)などの薬剤、または宿主細胞機能を阻害するイノシンモノホスフェート脱水素酵素(例えば、リバビリン等)などの抗ウイルス化合物が挙げられる。また、免疫機能を調節するサイトカインも含まれる。また、HCV抗原またはHCVに対する抗原アジュバントの組合せを含むワクチンも含まれる。また、宿主細胞成分と相互作用して、HCVウイルス複製の翻訳段階を開始する内部リボソーム侵入部位(IRES)を阻害することによりウイルスタンパク質合成をブロックするか、またはウイルス粒子成熟および放出を膜タンパク質のビロポリンファミリー、例えばHCV P7等に対して標的化される薬剤によりブロックする薬剤も含まれる。本発明の化合物と併用して投与される他の薬剤としては、ウイルス複製に関与するウイルスゲノムのタンパク質を標的化することによりHCVの複製を阻害する任意の薬剤または薬剤の組合せが挙げられる。これらの薬剤としては限定されないが、HCV RNA依存RNAポリメラーゼの他のインヒビター、例えばWO 0190121(A2)もしくは米国特許第6,348,587 B1号もしくはWO 0160315もしくはWO0132153に記載されるヌクレオシド型ポリメラーゼインヒビター、または非ヌクレオシドインヒビター、例えばEP 1162196 A1もしくはWO 0204425に記載されるベンゾイミダゾールポリメラーゼインヒビター、またはHCVプロテアーゼのインヒビター例えば、BILN2061などのペプチド模倣物型インヒビターなど、またはHCVヘリカーゼのインヒビターが挙げられる。
【0028】
本発明の化合物と併用して投与される他の薬剤としては、同時感染個体に対する他のウイルスの複製を阻害する任意の薬剤または薬剤の組合せが挙げられる。これらの薬剤としては、限定されないが、B型肝炎(HBV)感染により引き起こされる疾患のための治療剤、例えば、アデホビル、ラミブジンおよびテンフォビルなど、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により引き起こされる疾患のための治療剤、例えば、プロテアーゼインヒビター:リトナビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビル、アタザナビル、チプラナビル、TMC-114、ホスアンプレナビル;逆転写酵素インヒビター:ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、スタブジン、テノホビル、ザルシタビン、アバカビル、エファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、TMC-125;インテグラーゼインヒビター:L-870812、S-1360、または侵入インヒビター:エンフビルチド(T-20)もしくはT-1249などが挙げられる。
【0029】
したがって、本発明の一局面は、RNA含有ウイルスにより引き起こされる感染を治療または予防する方法に関し、該方法は、かかる治療を必要とする患者に、宿主免疫調節薬および第二の抗ウイルス剤またはその組合せからなる群より選択される1つ以上の薬剤と、治療有効量の本発明の化合物または化合物の組合せもしくは薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはその組合せを共投与する工程を含む。宿主免疫調節薬の例は、限定されないが、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、サイトカイン、ワクチンならびに抗原およびアジュバントを含むワクチンであり、前記第二の抗ウイルス剤は、ウイルス複製に関連する宿主細胞機能を阻害することまたはウイルスゲノムのタンパク質を標的化することのいずれかにより、HCVの複製を阻害する。
【0030】
本発明のさらなる局面は、RNA含有ウイルスにより引き起こされる感染を治療または予防する方法に関し、該方法は、かかる治療を必要とする患者に、肝硬変および肝臓の炎症などのHCV感染の症状を治療または緩和する薬剤または薬剤の組合せと、治療有効量の本発明の化合物または化合物の組合せもしくは薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはその組合せを共投与する工程を含む。本発明のなお別の局面は、RNA含有ウイルスにより引き起こされる感染を治療または予防する方法を提供し、該方法は、かかる治療を必要とする患者に、B型肝炎(HBV)感染により引き起こされる疾患について患者を治療する1つ以上の薬剤と、治療有効量の本発明の化合物または化合物の組合せもしくは薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはその組合せを共投与する工程を含む。B型肝炎(HBV)感染により引き起こされる疾患について患者を治療する薬剤は、例えば限定されないが、L-デオキシチミジン、アデホビル、ラミブジンもしくはテンフォビルまたはその任意の組合せであり得る。RNA含有ウイルスの例としては限定されないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。
【0031】
本発明の別の局面は、RNA含有ウイルスにより引き起こされる感染を治療または予防する方法を提供し、該方法は、かかる治療を必要とする患者に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により引き起こされる疾患について患者を治療する1つ以上の薬剤と、治療有効量の本発明の化合物または化合物の組合せもしくは薬学的に許容され得る塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはその組合せを共投与する工程を含む。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染により引き起こされる疾患について患者を治療する薬剤としては、限定されないが、リトナビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビル、アタザナビル、チプラナビル、TMC-114、ホスアンプレナビル、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、スタブジン、テノホビル、ザルシタビン、アバカビル、エファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、TMC-125、L-870812、S-1360、エンフビルチド(T-20)もしくはT-1249、またはその任意の組合せが挙げられる。RNA含有ウイルスの例としては、限定されないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。また、本発明は、患者におけるRNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルスにより引き起こされる感染の治療のための医薬の調製のための、本発明の化合物または化合物の組合せもしくは治療的に許容され得る塩形態、立体異性体、もしくは互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはその組合せ、ならびに宿主免疫調節薬および第二の抗ウイルス剤からなる群より選択される1つ以上の薬剤またはその組合せの使用を提供する。宿主免疫調節薬の例は、限定されないが、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、サイトカイン、ワクチンならびに抗原およびアジュバントを含むワクチンであり、前記第二の抗ウイルス剤は、ウイルス複製に関連する宿主細胞機能を阻害すること、またはウイルスゲノムのタンパク質を標的化することのいずれかによりHCVの複製を阻害する。
【0032】
上述または他の治療において使用する場合、本発明の化合物、または該化合物と本明細書に上述の1つ以上の薬剤との組合せは、純粋な形態、またはかかる形態が存在する場合は薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはその組合せの形態で使用され得る。代替的に、治療剤のかかる組合せは、本明細書に上述の薬剤の1つ以上と組み合わせた、治療有効量の目的の化合物もしくは化合物の組合せまたはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩の形態、ならびに薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物として投与され得る。かかる医薬組成物は、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)の複製を、前記ウイルスと前記医薬組成物とを接触させることにより阻害するために使用され得る。また、かかる組成物は、RNA含有ウイルス特にC型肝炎ウイルス(HCV)により引き起こされる感染の治療または予防に有用である。
【0033】
よって、本発明のさらなる局面は、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)により引き起こされる感染を治療または予防する方法に関し、該方法は、かかる治療を必要とする患者に、本発明の化合物または化合物の組合せまたは薬学的に許容され得る塩、立体異性体もしくは互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはその組合せ、本明細書に上述の1つ以上の薬剤および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を投与する工程を含む。
【0034】
組合せとして投与する場合、該治療剤は、同時もしくは所定の時間内に与えられる別々の組成物として調製され得るか、または該治療剤は、一単位用量形態として与えられ得る。
【0035】
かかる併用療法における使用に企図される抗ウイルス剤としては、哺乳動物におけるウイルスの形成および/または複製の阻害に有効な薬剤(化合物または生物製剤)例えば限定されないが哺乳動物におけるウイルスの形成および/または複製に必要な宿主機構またはウイルス機構のいずれかを障害する薬剤が挙げられる。かかる薬剤は、別の抗HCV剤、HIVインヒビター、HAVインヒビターおよびHBVインヒビターから選択され得る。
【0036】
他の抗HCV剤としては、C型肝炎関連症状または疾患の進行の低減または予防に有効な薬剤が挙げられる。かかる薬剤としては限定されないが、免疫調節剤、HCV NS3プロテアーゼのインヒビター、HCVポリメラーゼの他のインヒビターHCV生活環における別の標的のインヒビターおよび他の抗HCV剤、例えば限定されないがリバビリン、アマンタジン、レノビリン(levovirin)およびビラミジン(viramidine)が挙げられる。
【0037】
免疫調節剤としては、哺乳動物における免疫系の促進または増強に有効な薬剤(化合物または生物製剤)が挙げられる。免疫調節剤としては限定されないが、イノシンモノホスフェート脱水素酵素インヒビター例えばVX-497(merimepodib, Vertex Pharmaceuticals)、クラスIインターフェロン、クラスIIインターフェロン、コンセンサスインターフェロン、アシアロインターフェロン ペグ化インターフェロンおよびコンジュゲートインターフェロン、例えば限定されないが、限定されないがヒトアルブミンなどの他のタンパク質とコンジュゲートされたインターフェロンが挙げられる。クラスIインターフェロンは全て、天然および合成により生成されるクラスIインターフェロンの両方を含むI型受容体に結合するインターフェロンの群であり、クラスIIインターフェロンは全て、II型受容体に結合する。クラスIインターフェロンの例としては、限定されないが、[α]-、[β]-、[δ]-、[ω]-および[τ]-インターフェロンが挙げられ、クラスIIインターフェロンの例としては限定されないが、[γ]-インターフェロンが挙げられる。
【0038】
HCV NS3プロテアーゼのインヒビターとしては、哺乳動物におけるHCV NS3プロテアーゼの機能を阻害するのに有効な薬剤(化合物または生物製剤)が挙げられる。HCV NS3プロテアーゼのインヒビターとしては、限定されないが、WO 99/07733、WO 99/07734、WO 00/09558、WO 00/09543、WO 00/59929、WO 03/064416、WO 03/064455、WO 03/064456、WO 2004/030670、WO 2004/037855、WO 2004/039833、WO 2004/101602、WO 2004/101605、WO 2004/103996、WO 2005/028501、WO 2005/070955、WO 2006/000085、WO 2006/007700およびWO 2006/007708(全てBoehringer Ingelheimによる)、WO 02/060926、WO 03/053349、WO 03/099274、WO 03/099316、WO 2004/032827、WO 2004/043339、WO 2004/094452、WO 2005/046712、WO 2005/051410、WO 2005/054430(全てBMSによる)、WO 2004/072243、WO 2004/093798、WO 2004/113365、WO 2005/010029(全てEnantaによる)、WO 2005/037214(Intermune)およびWO 2005/051980(Schering)に記載される化合物が挙げられ、候補はVX-950、ITMN-191およびSCH 503034として同定されている。
【0039】
HCVポリメラーゼのインヒビターとしては、HCVポリメラーゼの機能の阻害に有効な薬剤(化合物または生物製剤)が挙げられる。かかるインヒビターとしては、限定されないが、HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシドおよびヌクレオシドインヒビターが挙げられる。HCVポリメラーゼのインヒビターの例としては、限定されないが、WO 02/04425、WO 03/007945、WO 03/010140、WO 03/010141、WO 2004/064925、WO 2004/065367、WO 2005/080388およびWO 2006/007693(全てBoehringer Ingelheimによる)、WO 2005/049622(Japan Tobacco)、WO 2005/014543(Japan Tobacco)、WO 2005/012288(Genelabs)、WO 2004/087714(IRBM)、WO 03/101993(Neogenesis)、WO 03/026587(BMS)、WO 03/000254(Japan Tobacco)ならびにWO 01/47883(Japan Tobacco)に記載される化合物、ならび臨床候補XTL-2125、HCV 796、R-1626およびNM 283が挙げられる。
【0040】
HCV生活環における別の標的のインヒビターとしては、HCV NS3プロテアーゼの機能の阻害によること以外のHCVの形成および/または複製の阻害に有効な薬剤(化合物または生物製剤)が挙げられる。かかる薬剤は、HCVの形成および/または複製に必要な宿主またはHCVウイルスの機構のいずれかを妨害し得る。HCV生活環における別の標的のインヒビターとしては、限定されないが、侵入インヒビター、ヘリカーゼ、NS2/3プロテアーゼおよび内部リボソーム侵入部位(IRES)から選択される標的を阻害する薬剤、ならびに限定されないがNS5Aタンパク質およびNS4Bタンパク質を含む他のウイルス標的の形成を妨害する薬剤が挙げられる。
【0041】
患者が、C型肝炎ウイルスならびに限定されないがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎ウイルス(HAV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)などの1つ以上の他のウイルスに同時に感染するということが起こり得る。従って、本発明の化合物と、HIVインヒビター、HAVインヒビターおよびHBVインヒビターの少なくとも1つを同時投与することにより、かかる同時感染を治療する併用療法も企図される。
【0042】
別の態様によれば、本発明の医薬組成物は、さらに、限定されないが、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼおよび内部リボソーム侵入部位(IRES)などのHCV生活環の他の標的のインヒビター(1つまたは複数)を含み得る。
【0043】
別の態様によれば、本発明の医薬組成物は、さらに、別の抗ウイルス、抗菌、抗真菌もしくは抗癌剤、または免疫調節薬、または別の治療剤を含み得る。
【0044】
さらに別の態様によれば、本発明は、被験体に、有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを投与することによる、かかる治療を必要とする被験体における、限定されないがC型肝炎感染などのウイルス感染の治療方法を含む。
【0045】
さらなる態様によれば、本発明は、被験体に抗HCVウイルス有効量または阻害量の本発明の医薬組成物を投与することによる、C型肝炎感染の治療を必要とする被験体におけるのC型肝炎感染の治療方法を含む。
【0046】
本発明のさらなる態様は、生物学的試料を本発明の化合物と接触させることによる、生物学的試料の治療方法を含む。
【0047】
本発明のまたさらなる局面は、本明細書に示した合成手段のいずれかを用いて本明細書に示した化合物のいずれかを作製する方法である。
【0048】
本明細書で使用されるシトクロムP450モノオキシゲナーゼインヒビターは、本発明の化合物の代謝を阻害することが予測される。したがって、シトクロムP450モノオキシゲナーゼインヒビターは、プロテアーゼインヒビターの代謝の阻害に有効な量であり得る。したがって、CYPインヒビターは、CYPインヒビターの非存在下の生物学的利用能と比較してプロテアーゼインヒビターの生物学的利用能が増大するような量で投与される。
【0049】
一態様において、本発明は、本発明の化合物の薬物動態を改善するための方法を提供する。薬物の薬物動態の改善の利点は当該技術分野において認識されている(US 2004/0091527;US 2004/0152625およびUS 2004/0091527)。従って、本発明の一態様は、CYP3A4のインヒビターおよび本発明の化合物を投与する方法を提供する。本発明の別の態様は、本発明の化合物およびアイソザイム3A4(「CYP3A4」)、アイソザイム2C19(「CYP2C19」)、アイソザイム2D6(「CYP2D6」)、アイソザイム1A2(「CYP1A2」)、アイソザイム2C9(「CYP2C9」)またはアイソザイム2E1(「CYP2E1」)のインヒビターを投与する方法を提供する。好ましい態様において、CYPインヒビターは、好ましくはCYP3A4を阻害する。関連NS3/4Aプロテアーゼの薬物動態を向上させる任意のCYPインヒビターは、本発明の方法に使用され得る。これらのCYPインヒビターとしては、限定されないが、リトナビル(WO 94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4-メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX-944およびVX-497が挙げられる。好ましいCYPインヒビターとしては、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4-メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが挙げられる。
【0050】
本発明の組合せを、患者に本発明の正しい使用を指示するパッケージ挿入物を含む単一患者パックまたはそれぞれの製剤の複数患者パックにより投与することは、本発明の望ましいさらなる特徴であることが理解されよう。
【0051】
本発明のさらなる局面に従って、パックに少なくとも本発明の化合物および本発明のCYPインヒビターならびに本発明の組合せの使用についての指示を含む情報挿入物が含まれる。本発明の代替的な態様において、医薬パックはさらに、本明細書に記載されるような1つ以上のさらなる薬剤を含む。さらなる薬剤(1つまたは複数)は、同じパックで提供されても別々のパックで提供されてもよい。
【0052】
本発明の別の局面は、それぞれの医薬成分の1つまたは複数の医薬製剤;貯蔵の間および投与前に医薬製剤(1つまたは複数)を収容するコンテナ;ならびにHCV感染の治療または予防に効果的な様式で薬物投与を行うための指示書を含む、HCV感染の治療またはHCV感染の予防において使用する患者のためのパッケージキットである。
【0053】
従って、本発明は、本発明のNS3/4AプロテアーゼインヒビターおよびCYPインヒビター(および任意にさらなる薬剤)の同時もしくは連続投与のためのキットを提供するか、またはその誘導体は従来の様式で調製される。典型的に、かかるキットは、例えば、薬学的に許容され得る担体中(および1つまたは複数の医薬製剤中)に各インヒビターの組成物および任意にさらなる薬剤(1つまたは複数)ならびに同時もしくは連続投与のための指示書を含む。
【0054】
別の態様において、自己投与のための1以上の用量形態;貯蔵中および使用前に用量形態を収容するための好ましくは密封されたコンテナ手段;ならびに患者が薬物投与を実施するための指示書を含むパッケージキットが提供される。典型的に、該指示書は、パッケージ挿入物、ラベルおよび/またはキットの他の構成要素に記載された指示書であり、用量形態(1つまたは複数)は本明細書に記載されるとおりである。それぞれの用量形態は、それぞれの用量形態が個々のセルまたは気泡中で互いに分離されるように、金属ホイル-プラスチックラミネートのシート中に個々に収容され得るか、または用量形態は、プラスチックボトルなどの1つのコンテナ中に収容され得る。本発明のキットはまた、典型的に、個々のキット成分、すなわち用量形態、コンテナ手段および使用のための記載された指示書を包含するための手段を含む。かかる包含手段は、ボール紙または紙箱、プラスチックポーチまたはホイルポーチなどの形態であり得る。
【0055】
定義
本発明の説明に使用する種々の用語の定義を以下に列挙する。これらの定義は、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される場合、具体的に限定されなければ、個々にまたは大きな群の一部としてのいずれかで用語に適用される。
【0056】
用語「ウイルス感染」は、細胞または組織へのウイルス、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)の導入をいう。一般に、ウイルスの導入は複製とも関連している。ウイルス感染は、例えば、酵素イムノアッセイを用いて、血液などの生体液の試料中のウイルス抗体力価を測定することにより決定され得る。他の適当な診断方法としては、例えば、RT-PCR、直接ハイブリッド捕捉アッセイ、核酸配列系増幅などの分子系技術等が挙げられる。ウイルスは、臓器、例えば、肝臓に感染し、疾患、例えば、肝炎、肝硬変、慢性肝臓疾患および肝細胞癌を引き起こし得る。
【0057】
用語「抗癌剤」は、癌の進行を予防または阻害し得る化合物または薬物をいう。かかる薬剤の例としては、シスプラチン、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、アムサクリン、ミトザントロン、テニパシド(tenipaside)、タキソール、コルヒチン、シクロスポリンA、フェノチアジンまたはチオキサンテレス(thioxantheres)が挙げられる。
【0058】
用語「抗真菌剤」は、本発明による3-AP、3-AMPまたは3-APおよび3-AMPのプロドラッグ以外の、真菌感染を治療するために使用され得る化合物を示すために使用するものとする。本発明による抗真菌剤としては、例えば、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、クロトリマゾール、グリセオフルビン、ナイスタチン、トルナフテート、カスポファンギン、アンホテリシンB、リポソームアンホテリシンB、およびアンホテリシンB脂質複合体が挙げられる。
【0059】
用語「抗菌剤」は、微生物によって産生される他の微生物の増殖を抑制する天然の抗生物質、ならびに殺菌活性または静菌活性のいずれかを有する、研究室で合成または修飾された薬剤、例えば、β-ラクタム抗菌剤、糖ペプチド、マクロライド、キノロン、テトラサイクリン、およびアミノグリコシドの両方をいう。一般に、抗菌剤が静菌性である場合、これは、該薬剤が、細菌の細胞増殖を本質的に停止させる(細菌を死滅させない)ことを意味し;該薬剤が殺菌性である場合、これは、該薬剤が細菌細胞を死滅させる (および細菌の死滅前に増殖を停止させ得る)ことを意味する。
【0060】
用語「免疫調節薬」は、被験体の体液性または細胞性免疫系の作用を改変することが意図される任意の物質をいう。かかる免疫調節薬としては、肥満細胞媒介性炎症のインヒビター、インターフェロン、インターロイキン、プロスタグランジン、ステロイド、コルチコステロイド、コロニー刺激因子、化学走性因子などが挙げられる。
【0061】
用語「C1〜C6アルキル」、または「C1〜C8アルキル」は、本明細書で使用する場合、それぞれ、1〜6個、または1〜8個の炭素原子を含む飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基をいう。C1〜C6アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル基が挙げられ;C1〜C8アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、オクチル基が挙げられる。
【0062】
用語「C2〜C6アルケニル」、または「C2〜C8アルケニル」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、それぞれ、2〜6個、または2〜8個の炭素原子を含む炭化水素部分由来の基を表す。アルケニル基としては、限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、ヘプテニル、オクテニルなどが挙げられる。
【0063】
用語「C2〜C6アルキニル」、または「C2〜C8アルキニル」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、それぞれ、2〜6個、または2〜8個の炭素原子を含む炭化水素部分由来の基を表す。代表的なアルキニル基としては、限定されないが、例えば、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニル、ヘプチニル、オクチニルなどが挙げられる。
【0064】
用語「C3〜C8-シクロアルキル」、または「C3〜C12-シクロアルキル」は、本明細書で使用する場合、飽和炭素環化合物が、それぞれ、3〜8個、または3〜12個の環原子を有する単環式または多環式の飽和炭素環由来の基を表す。C3〜C8-シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロオクチルが挙げられ;C3〜C12-シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。
【0065】
用語「C3〜C8-シクロアルケニル」、または「C3〜C12-シクロアルケニル」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(double)を有し、それぞれ、炭素環化合物が3〜8個、または3〜12個の環原子を有する単環式または多環式の炭素環化合物由来の基を表す。C3〜C8-シクロアルケニルの例としては、限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが挙げられ;C3〜C12-シクロアルケニルの例としては、限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが挙げられる。
【0066】
用語「アリール」は、本明細書中で使用される場合、1つまたは2つの芳香族環を有する単環式または二環式の炭素環系、 例えば、限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどをいう。
【0067】
用語「アリールアルキル」は、本明細書中で使用される場合、アリール環に結合されたC1〜C3アルキルまたはC1〜C6アルキル残基をいう。例としては、限定されないが、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。
【0068】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書中で使用される場合、5〜10個の環原子を有し、その少なくとも1つの環原子がS、OおよびNから選択され、環内に含まれる任意のNまたはSが任意に酸化され得る、単環式、二環式または三環式の芳香族基または環をいう。ヘテロアリールとしては、限定されないが、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニルなどが挙げられる。
【0069】
用語「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書中で使用される場合、ヘテロアリール環に結合されたC1〜C3アルキルまたはC1〜C6アルキル残基をいう。例としては、限定されないが、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが挙げられる。
【0070】
用語「置換された」は、本明細書中で使用される場合、化合物上の1個、2個または3個以上の水素原子を、例えば、限定されないが、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、保護ヒドロキシ、-NO2、-CN、-NH2、N3、保護アミノ、アルコキシ、チオアルコキシ、オキソ、-ハロ-C1〜C12-アルキル、-ハロ-C2〜C12-アルケニル、-ハロ-C2〜C12-アルキニル、-ハロ-C3〜C12-シクロアルキル、-NH-C1〜C12-アルキル、-NH-C2〜C12-アルケニル、-NH-C2〜C12-アルキニル、-NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NH-ヘテロシクロアルキル、-ジアルキルアミノ、-ジアリールアミノ、-ジヘテロアリールアミノ、-O-C1〜C12-アルキル、-O-C2〜C12-アルケニル、-O-C2〜C12-アルキニル、-O-C3〜C12-シクロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-ヘテロシクロアルキル、-C(O)-C1〜C12-アルキル、-C(O)-C2〜C12-アルケニル、-C(O)-C2〜C12-アルキニル、-C(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-ヘテロシクロアルキル、-CONH2、-CONH-C1〜C12-アルキル、-CONH-C2〜C12-アルケニル、-CONH-C2〜C12-アルキニル、-CONH-C3〜C12-シクロアルキル、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-CONH-ヘテロシクロアルキル、-OCO2-C1〜C12-アルキル、-OCO2-C2〜C12-アルケニル、-OCO2-C2〜C12-アルキニル、-OCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-OCO2-アリール、-OCO2-ヘテロアリール、-OCO2-ヘテロシクロアルキル、-OCONH2、-OCONH-C1〜C12-アルキル、-OCONH-C2〜C12-アルケニル、-OCONH-C2〜C12-アルキニル、-OCONH-C3〜C12-シクロアルキル、-OCONH-アリール、-OCONH-ヘテロアリール、-OCONH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)-C2〜C12-アルキニル、-NHC(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(O)-アリール、-NHC(O)-ヘテロアリール、-NHC(O)-ヘテロシクロアルキル、-NHCO2-C1〜C12-アルキル、-NHCO2-C2〜C12-アルケニル、-NHCO2-C2〜C12-アルキニル、-NHCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHCO2-アリール、-NHCO2-ヘテロアリール、-NHCO2-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルキニル、-NHC(O)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(O)NH-アリール、-NHC(O)NH-ヘテロアリール、-NHC(O)NH-ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH2、-NHC(S)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルキニル、-NHC(S)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(S)NH-アリール、-NHC(S)NH-ヘテロアリール、-NHC(S)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)NH2、-NHC(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルキニル、-NHC(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)NH-アリール、-NHC(NH)NH-ヘテロアリール、-NHC(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルキニル、-NHC(NH)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)-アリール、-NHC(NH)-ヘテロアリール、-NHC(NH)-ヘテロシクロアルキル、-C(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルキニル、-C(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-C(NH)NH-アリール、-C(NH)NH-ヘテロアリール、-C(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-S(O)-C1〜C12-アルキル、-S(O)-C2〜C12-アルケニル、-S(O)-C2〜C12-アルキニル、-S(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロシクロアルキル -SO2NH2、-SO2NH-C1〜C12-アルキル、-SO2NH-C2〜C12-アルケニル、-SO2NH-C2〜C12-アルキニル、-SO2NH-C3〜C12-シクロアルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-SO2NH-ヘテロシクロアルキル、-NHSO2-C1〜C12-アルキル、-NHSO2-C2〜C12-アルケニル、-NHSO2-C2〜C12-アルキニル、-NHSO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHSO2-アリール、-NHSO2-ヘテロアリール、-NHSO2-ヘテロシクロアルキル、-CH2NH2、-CH2SO2CH3、-アリール、-アリールアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールアルキル、-ヘテロシクロアルキル、-C3〜C12-シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、-メトキシメトキシ、-メトキシエトキシ、-SH、-S-C1〜C12-アルキル、-S-C2〜C12-アルケニル、-S-C2〜C12-アルキニル、-S-C3〜C12-シクロアルキル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-ヘテロシクロアルキル、メチルチオメチル、または-L’-R’(式中、L’は、C1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレンまたはC2〜C6アルキニレンであり、R’は、アリール、ヘテロアリール、複素環式、C3〜C12シクロアルキルまたはC3〜C12シクロアルケニルである)などの置換基で独立して置き換えることをいう。アリール、ヘテロアリール、アルキル等はさらに置換され得ることが理解されよう。一部の場合において、置換部分における各置換基は、さらに、各々、独立して、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NO2、-CN、または-NH2から選択される1つ以上の基で任意に置換されている。置換基での水素原子の少なくとも2つの置換がある場合、この2つの置換基が一緒になってシクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環式環を形成していてもよい。
【0071】
本発明によれば、本明細書に記載のアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールいずれかは、任意の芳香族基であり得る。芳香族基は置換されていても非置換であってもよい。
【0072】
また、本明細書に記載の任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル部分は、脂肪族基、脂環式基または複素環式基であり得ることは理解されよう。「脂肪族基」は、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素または他の原子の任意の組合せを含み得、任意に1つ以上の不飽和単位、例えば二重および/または三重結合を含み得る非芳香族部分である。脂肪族基は、直鎖、分岐または環式であり得、好ましくは約1〜約24個の炭素原子、より典型的には約1〜約12個の炭素原子を含み得る。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基としては例えば、ポリアルコキシアルキル、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンが挙げられる。かかる脂肪族基はさらに置換されてもよい。脂肪族基は、本明細書に記載のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基の代わりに使用され得ることは理解されよう。
【0073】
用語「脂環式」は、本明細書で使用する場合、単環式または多環式の飽和炭素環化合物由来の基を表す。例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルおよびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。かかる脂環式基はさらに置換されてもよい。
【0074】
用語「ヘテロシクロアルキル」および「複素環式」は、互換的に使用され得、非芳香族3-、4-、5-、6-もしくは7員環または二もしくは三環式基縮合系をいい、ここで(i) それぞれの環は、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含み、(ii) 各5員環は0〜1個の二重結合を有し、各6員環は0〜2個の二重結合を有し、(iii) 窒素および硫黄へテロ原子は任意に酸化されても良く、(iv) 窒素へテロ原子は任意に第四級化されてもよく、(v) 上記環のいずれかはベンゼン環に縮合されてもよく、(vi) 残りの環原子は、任意にオキソ置換されてもよい炭素原子である。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、限定されないが、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、およびテトラヒドロフリルが挙げられる。かかる複素環式基は、置換複素環式が得られるように、さらに置換されてもよい。
【0075】
本発明の種々の態様において、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、およびヘテロシクロアルキルは、一価または二価であることが意図されることは明らかであろう。したがって、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン、シクロアルキレン(cycloaklylene)、シクロアルケニレン、シクロアルキニレン、アリールアルキレン、ヘテロアリールアルキレンおよびヘテロシクロアルキレン基は、上記の定義に含まれることが意図され、適正な結合価を有する本明細書に記載の式が提供されるように適用可能である。
【0076】
用語「ヒドロキシル活性化基」は、本明細書で使用する場合、当該技術分野において、ヒドロキシル基を活性化し、該ヒドロキシル基が置換反応または脱離反応などの合成手順の間に分離されることが知られている不安定化学部分のこという。ヒドロキシル活性化基の例としては限定されないが、メシレート、トシレート、トリフレート、p-ニトロベンゾエート、ホスホネート等が挙げられる。
【0077】
用語「活性化ヒドロキシル」は、本明細書で使用する場合、上記に規定のヒドロキシル活性化基で活性化されたヒドロキシル基のことをいい、例えばメシレート、トシレート、トリフレート、p-ニトロベンゾエート、ホスホネート基が挙げられる。
【0078】
用語「保護ヒドロキシル」は、本明細書で使用する場合、上記に規定のヒドロキシル保護基で保護されたヒドロキシル基のことをいい、例えば、ベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メトキシメチル基が挙げられる。
【0079】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、本明細書で使用する場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子のことをいう。
【0080】
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、そのため絶対立体化学に関して、アミノ酸について(R)-もしくは(S)-、または(D)-もしくは(L)-と規定され得るエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体形態を生じる。本発明は、全てのかかる可能な異性体ならびにそれらのラセミ形態および光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学異性体は、それぞれの光学的に活性な前駆体から上述の手順により、またはラセミ混合物を分解することにより調製され得る。分解は、クロマトグラフィーにより、または反復結晶化により、または当業者に公知のこれらの技術のいくつかの組合せにより、分解剤の存在下で行われ得る。分解に関するさらなる詳細は、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates, and Resolutions (John Wiley & Sons, 1981)に見られ得る。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合、または他の幾何学不斉中心を含む場合、他に特定されなければ、該化合物は、EおよびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性形態も含まれることが意図される。本明細書に見られる任意の炭素-炭素二重結合の立体配置は、利便性のためだけに選択され、そのように記載がなければ特定の立体配置が指定されることは意図されず、従って本明細書において任意にトランスと示される炭素-炭素二重結合は、シス、トランスまたは任意の割合の2つの混合物であり得る。
【0081】
用語「被験体」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物をいう。したがって、被験体は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモットなどをいう。好ましくは、被験体はヒトである。被験体がヒトである場合、本明細書において、被験体を患者とも称する。
【0082】
本明細書使用される場合、用語「薬学的に許容され得る塩」は、適切な医学的判断の範囲内にあり、ヒトおよび下等動物の組織と、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答性等なしに接触における使用に適切であり、かつ妥当な益/不益比に釣り合った本発明の方法により調製される化合物の塩のことをいう。薬学的に許容され得る塩は当該技術分野において周知である。
【0083】
用語「ヒドロキシル保護基」は、本明細書で使用する場合、当該技術分野で合成手順の間の望ましくない反応に対してヒドロキシル基を保護することが公知の不安定な化学部分のことをいう。前記合成手順(1つまたは複数)の後、本明細書に上述されるヒドロキシル保護基は、選択的に除去され得る。当該技術分野において公知のヒドロキシル保護基は、一般的にT. H. Greene and P. G., S. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版、John Wiley & Sons, New York (1999)に記載される。ヒドロキシル保護基の例としては、ベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-ブロモベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2-フルフリルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t-ブチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、3-メチル-3-ブテニル、アリル、ベンジル、パラ-メトキシベンジルジフェニルメチル、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロフリル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、メタンスルホニル、パラ-トルエンスルホニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル等が挙げられる。本発明に好ましいヒドロキシル保護基は、アセチル(Acまたは-C(O)CH3)、ベンゾイル(Bzまたは-C(O)C6H5)、およびトリメチルシリル(TMSまたは-Si(CH3)3)である。Berge,et al.は、薬学的に許容され得る塩をJ. Pharmaceutical Sciences,66:1-19 (1977)に詳細に記載している。塩は、本発明の化合物の最終単離および精製の間にインサイチュで、または遊離塩官能基と適切な有機酸を反応させることにより、調製し得る。薬学的に許容され得る塩の例としては、限定されないが、非毒性酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸を用いてまたは酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩が挙げられる。他の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロホスフェート、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、ペル硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩としては、適当な場合、非毒性アンモニウム、第4級アンモニウム、およびハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩およびスルホン酸アリールなどの対イオンを用いて形成されたアミンカチオンが挙げられる。
【0084】
用語「アミノ保護基」は、本明細書で使用する場合、当該技術分野において合成手順の間の好ましくない反応に対してアミノ基を保護することが公知の不安定な化学部分のことをいう。前記合成手順(1つまたは複数)の後、本明細書に記載のアミノ保護基は選択的に除去され得る。当該技術分野において公知のアミノ保護基は、一般的にT. H. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley & Sons, New York (1999)に記載される。アミノ保護基の例としては、限定されないが、t-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得るエステル」は、インビボで加水分解し、ヒト体内で容易に分解して親化合物またはその塩を残すものを含む、本発明の方法によって形成される化合物のエステルのことをいう。適切なエステル基としては、例えば各アルキルまたはアルケニル部分が有利には6個以下の炭素原子を有している、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカンジオン酸から誘導されたものが挙げられる。特定のエステルの例としては、限定されないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルスクシン酸エステルが挙げられる。
【0086】
用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無くヒトおよびより下等動物の組織と接触した状態で使用するのに適し、合理的な益/不益比にふさわしく、かつその意図された用途のために有効である本発明の方法によって形成される化合物のプロドラッグ、ならびに可能な場合には本発明の化合物の両性イオン形態のことをいう。本明細書中で使用する「プロドラッグ」は、インビボで代謝手段(例えば加水分解)によって転換可能であり、本発明の式によって示される任意の化合物がもたらされる化合物を意味する。種々の形態のプロドラッグが当該技術分野で公知であり、例えばBundgaard, (編), Design of Prodrugs, Elsevier (1985); Widder, et al. (編), Methods in Enzymology, vol. 4, Academic Press (1985); Krogsgaard-Larsen, et al., (編). "Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development, Chapter 5, 113-191 (1991); Bundgaard, et al., Journal of Drug Deliver Reviews, 8:1-38(1992); Bundgaard, J. of Pharmaceutical Sciences, 77:285 以下参照 (1988); Higuchi and Stella (編) Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, American Chemical Society (1975); and Bernard Testa & Joachim Mayer, "Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism: Chemistry, Biochemistry And Enzymology," John Wiley and Sons, Ltd. (2002)に記載される。
【0087】
用語「アシル」は、酸、例えば、限定されないが、カルボン酸、カルバミン酸、炭酸、スルホン酸、リン酸由来の残基を含む。例としては、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族リン酸および脂肪族リン酸が挙げられる。脂肪族カルボニルの例としては、限定されないが、アセチル、プロピオニル、2-フルオロアセチル、ブチリル、2-ヒドロキシアセチルなどが挙げられる。
【0088】
用語「非プロトン性溶媒」は、本明細書で使用する場合、プロトン活性に対して比較的不活性、すなわちプロトン供与体として機能しない溶媒のことをいう。例としては、限定されないが、炭化水素、例えばヘキサンおよびトルエン、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム等、複素環式化合物、例えばテトラヒドロフランおよびN-メチルピロリジノン、ならびにエーテル、例えばジエチルエーテル、ビス-メトキシメチルエーテルが挙げられる。かかる溶媒は当業者に周知であり、個々の溶媒またはその混合物は、例えば試薬の溶解性、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの要因に依存して、特定の化合物および反応条件に好ましい。さらなる非プロトン性溶媒の記載は、有機化学の教科書または専門的な研究論文、例えばTechniques of Chemistry SeriesのOrganic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 第4版、John A. Riddick et al.編、Vol. II, John Wiley & Sons, NY, 1986に見ることができる。
【0089】
用語「プロトン生成溶媒」または「プロトン性溶媒」は、本明細書で使用する場合、プロトンを供給する傾向にあるアルコールなどの溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノール等のことをいう。かかる溶媒は当業者に周知であり、個々の溶媒またはその混合物は、例えば試薬の溶解度、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの要因に応じて特定の化合物および反応条件に好ましい。プロトン生成溶媒のさらなる記載は、有機化学の教科書または専門的な研究論文、例えばTechniques of Chemistry SeriesのOrganic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 第4版、John A. Riddick et al.、Vol. II, John Wiley & Sons, NY, 1986に見られ得る。
【0090】
本発明に構想される置換および変形の組合せは、安定な化合物の形成をもたらすもののみである。用語「安定」は、本明細書で使用する場合、製造が可能となるのに充分な安定性を有し、本明細書に詳述される目的(たとえば、治療的または予防的な被験体への投与)に有用であるのに充分な時間、化合物の完全性を維持する化合物のことをいう。
【0091】
合成される化合物は、反応混合物から分離され得、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは再結晶化などの方法によりさらに精製され得る。さらに、所望の化合物を得るために代替的な流れまたは順序で、種々の合成工程が行なわれてもよい。また、本明細書に示される、溶媒、温度、反応時間等は、例示目的のためだけであり、種々の反応条件により、本発明の所望の架橋大環状生成物が生成され得る。本明細書に記載される化合物を合成するのに有用な合成化学変換および基保護の方法論(保護および脱保護)としては、例えばR. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版, John Wiley and Sons (1991); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);およびL. Paquette, 編、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)に記載されるものが挙げられる。
【0092】
本発明の化合物は、選択的生物学特性を向上させるために、本明細書に示される合成手段を介して種々の官能性を付け加えることにより修飾され得る。かかる修飾としては、所定の生物系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的透過性を増加させ、経口利用能を増加させ、注射による投与を可能にするために溶解性を増加させ、代謝を改変させ、排出速度を改変させるものが挙げられる。
【0093】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体と共に調製された、治療有効量の本発明の化合物を含む。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る担体」は、非毒性で不活性な固形、半固形もしくは液体の充填剤、希釈剤、封入物質、または任意の種類の調製助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体として作用し得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;コーンスターチおよびポテトスターチなどのデンプン;セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースの誘導体;粉末化トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝化剤;アルギン酸;発熱源非含有水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液であり、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどのその他の非毒性の適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、調味料および香料、保存料および抗酸化剤も、調製者の判断に従って組成物中に存在し得る。本発明の医薬組成物は、経口、直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏または点眼薬として)、口内、または経口もしくは経鼻スプレーとして、ヒトおよび他の動物に投与され得る。
【0094】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸、経鼻、口内、膣内、または埋め込みレザバーで、好ましくは経口投与または注射による投与により投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルを含み得る。いくつかの場合において、該製剤のpHは、薬学的に許容され得る酸、塩または緩衝化剤により調整され得、調製化合物またはその送達形態の安定性が向上される。用語非経口としては、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、鞘内、病変内および頭蓋内の注射または輸液技術が挙げられる。
【0095】
経口投与用の液体投薬形態としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体投薬形態は、例えば、水またはその他の溶媒、可溶化剤およびエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの乳化剤ならびにそれらの混合物などの当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、調味料および香料などのアジュバントを含み得る。
【0096】
注射用調製物、例えば滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の当該技術に従って調製され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性で非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌の注射用溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。この中で、使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。また、溶媒または懸濁媒体としては、滅菌性の固定油が従来から使用されている。この目的のために、合成モノ-またはジグリセリドなどの任意の刺激の弱い固定油が使用され得る。また、注射物の調製にはオレイン酸などの脂肪酸が使用される。
【0097】
注射可能な調製物は、例えば、細菌保持フィルターを用いたろ過、または使用前に滅菌水もしくはその他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散され得る滅菌固形組成物の形態の滅菌剤を含ませることにより滅菌され得る。
【0098】
薬物の効果を長くするために、しばしば、皮下または筋内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶解性の低い結晶性物質または非結晶性物質の液体懸濁物を使用することにより達成され得る。したがって薬物の吸収速度は、薬物の溶解速度に依存し、次いで、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。注射用のデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物の微小封入マトリクスを形成して作製される。薬物対ポリマーの比率および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物の放出速度が調節され得る。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、生体組織に適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬物をトラップすることで調製される。
【0099】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは本発明の化合物と、室温では固体であるが体温では液体であるために直腸または膣内で溶解して活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性の賦形剤もしくは担体を混合することで調製され得る坐剤である。
【0100】
経口投与用の固形投与形態としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が挙げられる。かかる固形投薬形態において、活性化合物と、少なくとも1つの、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体、および/または:a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)アガー-アガー、炭酸カルシウム、ポテトスターチまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸湿剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにそれらの混合物を混合する。カプセル、錠剤、および丸薬の場合には、投薬形態には緩衝化剤も含まれ得る。
【0101】
また、同様の種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質の充填ゼラチンカプセル中で充填剤としても使用され得る。
【0102】
また、活性化合物は、1つ以上の上述の賦形剤と共に微小封入形態であり得る。錠剤、糖剤、カプセル、丸薬、および顆粒の固形投与形態は、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび医薬調製分野に周知のその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。かかる固形投薬形態において、活性化合物を、スクロース、ラクトースまたはスターチなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合し得る。かかる投薬形態はまた、通常の実務同様に、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば錠剤化潤滑剤ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微小結晶セルロースなどの他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル、錠剤および丸薬の場合、投薬形態はまた、緩衝化剤を含み得る。それらは任意に不透明化剤を含んでもよく、(1つ以上の)活性成分のみを放出する組成物であり得るか、または優先的に腸管の特定の部分で、任意に遅延様式で存在し得る。使用可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。
【0103】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与用の投薬形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが挙げられる。滅菌条件下で活性成分と、薬学的に許容され得る担体および任意に必要な保存剤または必要とされる場合は、バッファとを混合する。眼科用製剤、点耳剤、眼用軟膏、粉末および溶液も、本発明の範囲に包含されることが企図される。
【0104】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性油脂または植物性油脂、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの組み合わせなどの賦形剤を含み得る。
【0105】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、クロロフルオロヒドロカーボンなどの通常のプロペラントを含み得る。
【0106】
経皮パッチは、生体に化合物の制御送達をもたらすという付加的な利点を有する。かかる投薬形態は、適切な媒体に化合物を溶解または分散することで作製され得る。また、吸収促進剤を使用して、皮膚を通過する化合物の流入を増加することも可能である。この速度は、速度調節膜を施すかまたは化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散するかのいずれかで調節できる。
【0107】
抗ウイルス活性
本発明の化合物の阻害量または阻害用量は、約0.01mg/kg〜約500mg/kgであるか、代替的には約1〜約50mg/kgである。阻害量または阻害用量はまた、投与経路および他の薬剤との併用の可能性に応じて異なり得る。
【0108】
本発明の治療方法によると、ウイルス感染は、ヒトまたは下等動物などの被験体において、該被験体に抗C型肝炎ウイルス有効量または阻害量の本発明の化合物を、所望の結果を達成するために要する量および時間で投与することにより治療または予防される。本発明のさらなる方法は、所望の結果を達成するのに要する量および時間での、阻害量の本発明の組成物の化合物による生物学的試料の治療である。
【0109】
本発明の化合物の用語「抗C型肝炎ウイルス有効量」は、本明細書で使用する場合、生物学的試料または被験体におけるウイルス負荷を低下するのに充分な化合物の量を意味する(例えば、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%または95%のウイルス負荷の減少をもたらす)。医療分野において理解されるように、本発明の化合物の抗C型肝炎ウイルス有効量は、任意の医学的治療に適用可能な妥当な益/不益比である。
【0110】
本発明の化合物の用語「阻害量」は、生物学的試料または被験体においてC型肝炎ウイルス負荷を低下するのに充分な量を意味する(例えば、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%または95%のウイルス負荷の減少をもたらす)。前記阻害量の本発明の化合物を被験体に投与した場合、該阻害量は、医師により決定された場合に任意の医学的治療に適用可能な妥当な益/不益比となることが理解されよう。用語「生物学的試料(1つまたは複数)」は、本明細書で使用される場合、被験体への投与を目的とした生物学的起源の物質を意味する。生物学的試料の例としては、限定されないが、血液、および結晶、血小板、血球の副集団等の血液の成分;腎臓、肝臓、心臓、肺等の臓器;精子および卵;骨髄およびその成分;または幹細胞が挙げられる。従って、本発明の別の態様は、生物学的試料と本発明の化合物または医薬組成物の阻害量を接触させることによる、生物学的試料の治療方法である。
【0111】
被験体の状態が改善されたら、必要な場合は、本発明の化合物、組成物または組合せの維持用量が投与されてもよい。その後、投薬量もしくは投与頻度またはその両方は、症状の関数として、症状が所望のレベルまで緩和された場合に、改善された状態が維持されるレベルまで、低減され得、治療が停止される。しかしながら、被験体は、疾患症状の任意の再発に長期に基づいて、中間治療を必要とし得る。
【0112】
しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、適切な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者についての具体的な阻害用量は、治療対象の障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および食事;投与時間、投与経路、および使用される具体的な化合物の排出速度;治療の期間;使用される具体的な化合物と併用または同時使用される薬物;ならびに医学分野に周知の同様の要因などの種々の要因に依存する。
【0113】
単回用量または分割用量で被験体に投与される本発明の化合物の1日の総阻害用量は、例えば、0.01〜50mg/体重kg、またはより一般的には0.1〜25mg/体重kgの量であり得る。単回用量組成物は、かかる用量またはそれを複数回に分けて日用量にした量を含み得る。一般的に、本発明の治療計画は、かかる治療を必要とする患者への、単回用量または複数回用量で1日あたり約10mg〜約1000mgの本発明の化合物(1つまたは複数)の投与を含む。
【0114】
他に規定されなければ、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、当業者に一般的に知られている意味に従う。本明細書で引用される全ての公開公報、特許、公開特許出願および他の参照は、その全体において参照により本明細書に援用される。
【0115】
略語
以下のスキームおよび実施例の説明に使用され得る略語は:
ACN アセトニトリル;
BME 2-メルカプトエタノール;
BOP ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
COD シクロオクタジエン;
DAST ジエチルアミノスルファートリフルオリド;
DABCYL 6-(N-4'-カルボキシ-4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼン)-アミノヘキシル-1-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-ホスホルアミダイト;
DCM ジクロロメタン;
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;
DIBAL-H 水素化ジイソブチルアルミニウム;
DIEA ジイソプロピルエチルアミン;
DMAP N,N-ジメチルアミノピリジン;
DME エチレングリコールジメチルエーテル;
DMEM Dulbecco's改変Eagles培地;
DMF N,N-ジメチルホルムアミド;
DMSO ジメチルスルホキシド;
DUPHOS

;
EDANS 5-(2-アミノ-エチルアミノ)-ナフタレン-1-スルホン酸;
EDCIまたはEDC 塩酸1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド;
EtOAc 酢酸エチル;
HATU O(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;
Hoveyda's Cat. ジクロロ(o-イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II);
KHMDSはビス(トリメチルシリル)アミドカリウムである;
Ms メシル;
NMM N-4-メチルモルホリン;
PyBrOP ブロモ-トリ-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
Ph フェニル;
RCM 閉環複分解;
RT 逆転写;
RT-PCR 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応;
TEA トリエチルアミン;
TFA トリフルオロ酢酸;
THF テトラヒドロフラン;
TLC 薄層クロマトグラフィー;
TPPまたはPPh3 トリフェニルホスフィン;
tBOCまたはBoc tert-ブチルオキシカルボニル;および
Xantphos 4,5-ビス-ジフェニルホスファニル-9,9-ジメチル-9H-キサンテン
である。
【0116】
合成方法
本発明はまた、式Iの化合物の合成方法および作製方法を含む。本発明の化合物および方法は、本発明の化合物が調製され得る方法を図示し、本発明の例示のみを意図し限定を意図しない以下の合成スキームと組み合わせてよりよく理解されよう。開示された態様に対する種々の変更および改変は、当業者に明らかであり、限定されることなく、本発明の化学構造、置換基、誘導体、および/または方法に関連するものを含むかかる変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0117】
3種類の一般的な合成戦略を使用して式Iの大環状コア構造を構築する。3種類の一般的な合成戦略は、分子内クロスカップリング閉環反応、分子内アルキル化またはMitsunobu閉環反応および分子内アミド形成閉環反応である。
【0118】
スキーム1

【0119】
分子内クロスカップリング反応を介した大環状環1-2の合成をスキーム1に示す。前駆体1-1(式中、Xは、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの脱離基であり、Ar1およびAr2は、アリールまたはヘテロアリール環である)は、パラジウム誘導体などの遷移金属、リガンドおよび塩基の存在下で、大環状環を閉環する。同様の小環(5〜7員)閉環反応については、Karen E. Torraca, Shin-Itsu Kuwab, Stephen L. Buchwald, J. Amer. Chem. Soc. 2000, 122, 12907-12908を参照。
【0120】
スキーム2

【0121】
大環状コア1-2はまた、スキーム2に示すように、前駆体2-1の分子内アルキル化またはMituonobu反応からも作製され得る。分子内アルキル化条件が使用される場合は、Yは、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの脱離基である。分子内Mitunobu反応の場合は、Yはヒドロキシル基である。
【0122】
スキーム3

【0123】
分子内アミド形成戦略をスキーム3に示す。前駆体アミノ酸3-1を、HATU/DIPEAなどの通常のカップリング試薬に供し、所望の大環状環1-2を得る。
【0124】
スキーム4

【0125】
大環状環前駆体1-1の合成をスキーム4に例示する。市販のシス-Boc-ヒドロキシプロリンメチルエステル4-1を、Mitsunobu条件下でブロモバイアリール誘導体4-2とカップリングさせ、化合物4-3を得た。所望の化合物を形成するカルボニル酸素での結合を観察した。Mitsunobu反応についてのさらなる詳細については、O. Mitsunobu, Synthesis 1981, 1-28; D. L. Hughes, Org. React. 29, 1-162 (1983); D. L. Hughes, Organic Preparations and Procedures Int. 28, 127-164 (1996); およびJ. A. Dodge, S. A. Jones, Recent Res. Dev. Org. Chem. 1, 273-283 (1997)を参照されたい。化合物4-3は、4-1を、対応するメシレート誘導体に変換し、その後4-2と反応させることによっても作製され得る。代替的に、化合物4-3は、市販のトランス-Boc-ヒドロキシプロリン4-1aから、塩基の存在下でのブロモバイアリールクロリド4-2a(4-2から作製され得る)によるアルキル化、その後メチル化(TMSCHN2などのメチル化剤を使用)により作製される。HClなどの酸を使用した4-3の脱保護により対応するアミン4-4が得られた。アミン4-4とカルバメートアミノ酸4-5とのカップリング(カルバメートアミノ酸誘導体の調製についてはスキームxxを参照)により所望の大環状環前駆体4-6(一般構造1-1の例)を得た。
【0126】
スキーム5

【0127】
大環状環前駆体2-1の合成をスキーム5に例示する。スキーム4に記載の合成方法と同じ合成方法に従い保護バイアリール誘導体(Pは保護基)をアルコール5-2に変換する。保護基Pを除去して、5-3(構造2-1の例)を得る。ヒドロキシル基を対応するハロゲン化物またはスルホネート(メシレート、トシレートまたはトリフレート)に変換し、その後脱保護により5-3(構造2-1の例)を得る。
【0128】
スキーム6

【0129】
大環状環前駆体3-1の合成をスキーム6に例示する。アルコール6-1およびフェノール誘導体6-2は、スキーム5に記載のものと同様の化学反応に従って作製され得る。化合物6-1をイソシアネート6-2と反応させ、保護アミノ酸6-4を直接得る。6-4の脱保護により、大環状環前駆体アミノ酸6-5(構造3-1の例)が得られる。代替的に、保護アミノ酸6-4は、6-1aと6-3をカップリングして作製し得る(MitsunobuカップリングについてY=OH;アルキル化反応についてY=ハロゲン、メシレートまたはトリフレート;Pは保護基または水素である)。
【0130】
スキーム7

【0131】
カルバメートアミノ酸4-5の調製をスキーム7に示す。アルコール7-1(Lは、直接結合、アルキレンまたは置換アルキレン基であり;P'は、水素または保護基である)を、塩基の存在下でイソシアネート7-2(Pは、メチル、t-ブチルまたは他の保護基)と反応させ、その後脱保護して(P'が保護基の場合)保護アミノ酸7-3を得る。7-3の脱保護により、対応するアミノ酸7-4(化合物4-5の一般的な構造)を得る。代替的に、アルコール7-1を、ホスゲンまたはCDIおよび塩基の存在下でアミノ酸7-2aと反応させ(P'が保護基の場合は、その後脱保護を行ない)アミノ酸7-4を直接得る。
【0132】
スキーム8

【0133】
HCVプロテアーゼインヒビターとしての大環状化合物の合成をスキーム8に例示する。大環状コア化合物8-1の加水分解により、対応するカルボン酸8-2を得て、HATU/DIPEAなどの通常のカップリング試薬を使用して、これをアミノスルホンアミド8-4とカップリングさせ、大環状化合物8-6を得た。カルボン酸を反応させて、アミノ酸エステル誘導体8-3とカップリングさせ、対応するエステル誘導体を得、これを加水分解して、カルボン酸8-5を得ることができる。化合物8-6は、CDI/DBUまたは他のカップリング試薬の存在下、8-5とシクロプロピルスルホンアミドを反応させることによっても作製され得る。
【0134】
限定されないが、要約、文献、学術雑誌、公開公報、テキスト、学術論文、インターネットウェブサイト、データベース、特許および特許公開公報などの本明細書に引用される全ての参考文献は、印刷、電子的、コンピューター読み取り可能保存媒体または他の形態のいずれであっても、その全体において参照により明らかに援用される。
【実施例】
【0135】
実施例
例示のみを意図し、発明の範囲の限定を意図しない本発明の化合物および方法は、以下の実施例と関連してよりよく理解されよう。開示される態様についての種々の変更および改変は当業者にとって明白であり、限定されることなく、本発明の化学構造、置換基、誘導体、形成および/または方法に関するものを含むかかる変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0136】
実施例1. 式XII、式中R=

、M-L=

、Ar2=

、Ar1=

、R'=

、G=

の化合物
工程1A


化合物1a-1(0.53g、2.37mmol)、3-ブロモフェニルホウ酸(0.48g、2.37mmol)、トルエン(15ml)、エタノール(2ml)および水性K2CO3(2M、7ml、14mmol)の混合物に、Pd(PPh3)4(164mg、6%等量)を添加した。得られた混合物を90〜95℃で15時間攪拌して、室温に冷却し、ジクロロメタン(2x)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄して、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮してEtOAcから結晶化し、1aを白色固体として得た(0.5g)。母液を濃縮してより純度の低い所望の生成物を得た(0.3g)。
【0137】
工程1B


1a(0.48g、1.6mmol)、Boc-L-シス-ヒドロキシプロリンメチルエステル(0.432g、1.76mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.839g、3.2mmol)のTHF中の混合物に、室温でDIAD(0.62ml、3.2mmol)を滴下した。得られた混合物を室温で攪拌した。18時間後、混合物を真空下で濃縮して、残渣をクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=0%〜15%〜40%)で精製し、1bを得た(0.665g)。MS(ESI): m/e 526.87, 528.92 (M+H).
【0138】
工程1C


化合物1b(1.25mmol)のジクロロメタン(1ml)中の溶液を、4M HCl/ジオキサン5ml、20mmol)で処理した。得られた混合物を室温で1時間攪拌し、真空下で乾燥まで濃縮し、化合物1cのHCl塩を得た(100%)。MS (ESI): m/e 376.15 (M+H).
【0139】
工程1D


化合物1d-1(1.046g、5.5mmol)のジクロロメタン(30ml)中の溶液に、0℃でピリジン(2.23ml)を添加し、その後ホスゲン溶液(トルエン中、20重量%、4.4ml、8.3mmol)を滴下した。混合物を0℃で2時間攪拌し、EtOAcで希釈して、1N HCl、ブラインで洗浄して、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、乾燥まで濃縮して1dを得た(0.95g)。
【0140】
工程1E


化合物1d(0.228g、1.33mmol)および1e-1(1.4g、13.3mmol)のジクロロメタン(10ml)-DMF(2ml)中の溶液に、室温で、DBU(0.3ml、2.18mmol)を添加した。混合物を室温で16時間攪拌し、EtOAcで希釈し、水、ブラインで2回、1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)濃縮した。残渣を、勾配溶出を使用したシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン0%〜30%)で精製し、化合物1eを得た(0.303g)。
【0141】
工程1F


化合物1e(0.255g、0.93mmol)のTHF/MeOH(6ml/2.6ml)中の溶液に、0℃で水酸化リチウム水和物(0.195g、4.6mmol)、その後水(2.6ml)を添加した。混合物を室温で16時間攪拌し、0℃に静置し、混合物のpH=約3となるまで1N HClを滴下した。混合物をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して真空下で濃縮し、1fを得た(0.227g)。
【0142】
工程1G


1c(0.62mmol)、1f(1.1当量)およびDIPEA(0.54ml、5等量)のDMF(5ml)中の溶液に、0℃で部分的に(in portions)HATU(0.283g、1.2等量)を添加した。混合物を室温で16時間攪拌し、EtOAcで希釈して、水で1回、ブラインで4回洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン0%〜40%)で精製し、1gを得た(0.331g)。MS(ESI); m/z 669.88, 671.87 (M+H).
【0143】
工程1H


化合物1g(0.25g、0.347mmol)、炭酸セシウム(0.283g、0.868mmol)およびトルエン(22ml)の混合物に、5分間窒素を噴射した。酢酸パラジウム(20mg、0.087mmol)およびリガンド1h-1(43mg、0.11mmol)を添加した。混合物を90℃で24時間攪拌して、室温に冷却して、ろ過して、EtOAcで洗浄して濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン0%〜25%〜40%)で精製して、1hを得た(78g)。MS(ESI); m/z 590.27(M+H).
【0144】
工程1I


化合物1h(78mg、0.132mmol)のTHF/MeOH(4ml/2ml)中の溶液に、1N水酸化リチウム(2ml、2mmol)を添加した。混合物を室温で2時間攪拌した。ほとんどの有機溶媒を真空下で蒸発させ、得られた残渣を水で希釈してpH3〜4に酸性化した。混合物をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過して真空下で濃縮し、1iを得た(100%)。MS(ESI): m/z 790.12 (M+H).
【0145】
工程1J


1i(0.022mmol)、化合物1j(0.03mmol)およびDIPEA(0.025ml、0.14mmol)のDMF(1ml)中の溶液に、0℃でHATU(12mg、0.032mmol)を添加した。混合物を室温で1時間攪拌して、EtOAcで希釈して、半飽和水性NaClで4回洗浄した。有機層を無水MgSO4で乾燥させ、ろ過して、次いで真空下で濃縮した。残渣を分取HPLCで精製して実施例1の化合物を得た(16mg)。MS (ESI): m/z 790.12 (M+H).
【0146】
実施例2. 式XII、式中R=

、M-L=

、Ar2=

、Ar1=

、R'=

、G=

の化合物


実施例1の工程1Jに記載されるものと同じ手順で、化合物1iおよび2-1から表題の化合物を調製した。MS (ESI): m/z 812.06 (M+H).
【0147】
実施例3. 式XII、式中R=

、M-L=

、Ar2=

、Ar1=

、R'=

、G=

の化合物


実施例1の工程1Jに記載されるものと同じ手順で、化合物1iおよび3-1から表題の化合物を調製した。MS (ESI): m/z 788.10 (M+H).
【0148】
実施例4〜918の表1の式XIIの化合物は、実施例1〜3および合成方法のセクションに記載される手順に従って作製される。
【0149】
本発明の化合物は、HCV NS3プロテアーゼに対して強力な阻害特性を示す。
【0150】
本発明の化合物は、抗HCV効果について、当該技術分野に公知の方法を使用して試験され得る。適切な方法としては、全体において参照により本明細書に援用されるWO 2009/073719に記載のNS3/NS4aプロテアーゼ酵素アッセイおよび細胞系レプリコンアッセイが挙げられる。
【0151】
本発明は、その好ましい態様を参照して具体的に示され記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更がなされ得ることが当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:


(I)
(式中、
Aは非存在であるか、または-(C=O)-、-S(O)2、-C=N-OR1および-C(=N-CN)から選択され;
Z201は非存在であるか、あるいはそれぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキレン、-C2〜C8アルケニレンまたは-C2〜C8アルキニレン;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む、限定されないがハロゲン化-C1〜C8アルキレンを含む置換-C1〜C8アルキレン、限定されないがハロゲン化-C2〜C8アルケニレンを含む置換-C2〜C8アルケニレンまたは限定されないがハロゲン化-C2〜C8アルキニレンを含む置換-C2〜C8アルキニレン;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C3〜C12シクロアルキレンまたは-C3〜C12シクロアルケニレン;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む、限定されないがハロゲン化-C3〜C12シクロアルキレンを含む置換-C3〜C12シクロアルキレンまたは限定されないがハロゲン化-C3〜C12シクロアルケニレンを含む置換-C3〜C12シクロアルケニレン;アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールから選択され;
Mは非存在であるか、またはO、S、SO、SO2もしくはNR1から選択され;
L101は非存在であるか、あるいはそれぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキレン、-C2〜C8アルケニレンまたは-C2〜C8アルキニレン;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む、限定されないがハロゲン化-C1〜C8アルキレンを含む置換-C1〜C8アルキレン、限定されないがハロゲン化-C2〜C8アルケニレンを含む置換-C2〜C8アルケニレンまたは限定されないがハロゲン化-C2〜C8アルキニレンを含む置換-C2〜C8アルキニレン;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C3〜C12シクロアルキレンまたは-C3〜C12シクロアルケニレン;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む、限定されないがハロゲン化-C3〜C12シクロアルキレンを含む置換-C3〜C12シクロアルキレンまたは限定されないがハロゲン化-C3〜C12シクロアルケニレンを含む置換-C3〜C12シクロアルケニレンから選択され;
Vは非存在であるか、またはO、S、S(O)、S(O)2もしくはNR1から選択され;ここでR1は、各存在において
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択される;
Z101は非存在であるか、またはアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択され;
Xは
(1) 酸素;
(2) 硫黄;
(3) NR1;ここでR1は先に規定されたとおりである;および
(4) -O-NH-
からなる群より選択され;
Yは非存在であるか、あるいは
(i) -C(=O)-、-C(=O)-NH-、-S(O)2-、-S(O)2NH-;
(ii) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意に、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C1〜C6アルキル
(iii) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意に、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C2〜C6アルケニル
(iv) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意にハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C2〜C6アルキニル;および
(v) -C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル
からなる群より選択され;
Wは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、および置換ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され;それぞれは、任意に、1つ以上のアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル(heterocycoalkyl)と縮合しており;
RおよびR'は、それぞれ独立して
(i) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む、限定されないがハロゲン化-C1〜C8アルキルを含む置換-C1〜C8アルキル、限定されないがハロゲン化-C2〜C8アルケニルを含む置換-C2〜C8アルケニルまたは限定されないがハロゲン化-C2〜C8アルキニルを含む置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C4〜C12アルキルシクロアルキルまたは置換-C4〜C12アルキルシクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル;-C4〜C12アルキルシクロアルケニルまたは置換-C4〜C12アルキルシクロアルケニル;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) 水素;重水素
からなる群より選択され;
Gは、-OH、-NHS(O)2-R2、-NH(SO2)NR3R4およびNR3R4から選択され;
R2
(i) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(ii) ヘテロシクロアルキル;置換ヘテロシクロアルキル;および
(iii) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル;複素環式(heterocylic);置換複素環式
から選択され;
R3およびR4は、独立して
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル;複素環式または置換(substitututed)複素環式
から選択されるか;
あるいはR3およびR4は、それらが結合する窒素と共に、複素環式または置換複素環式を形成し;
Uは、非存在またはハロゲン原子、好ましくはF、ClもしくはBrであり;
U1は、非存在またはハロゲン原子、好ましくはF、ClもしくはBrであり;
U2は、非存在またはハロゲン原子、好ましくはF、ClもしくはBrであり;
mは、0、1、2または3であり;
m'は、0、1、2または3であり;
但し、Xが酸素であり、Yが非存在であるとすると、Wは、


(式中、QおよびTは、それらが結合する炭素原子と共に、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環式もしくは置換複素環式などの炭素環式部分または複素環式部分を形成するか;あるいはQおよびTは共に、C2〜C8-アルキレン基もしくはC2〜C8-ヘテロアルキレン基を形成する)
ではなく;
さらに、Xが酸素であり、Yが非存在であり、Z101が非存在であるとすると、Wは、


(式中、R101およびR102は独立して
(i) 水素、ハロゲン、CN、CF3、N3、NO2、OR1、SR1、SO2R2、-NHS(O)2-R2、-NH(SO2)NR3R4、NR3R4、CO2R1、COR1、CONR1R2、N(R1)COR2
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3-C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択され;
Q'は非存在であるか、またはアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、-O-、-S-、-NR1-、-C(O)NR1-もしくは-C(O)-から選択され;
T'は
(i) 水素;
(ii) CN;
(iii) N3
(iv) ハロゲン;
(v) -NH-N=CHR1
(vi) アリール、置換アリール;
(vii) ヘテロアリール、置換ヘテロアリール;
(viii) -C3〜C12シクロアルキル、置換-C3〜C12シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル;
(ix) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意に、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C1〜C6アルキル
(x) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意に、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C2〜C6アルケニル;
(xi) O、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含み、任意に、ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で置換される-C2〜C6アルキニル
からなる群より選択される)
ではない)
の化合物。
【請求項2】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式II:


(II)
(式中、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101、W、Y、XおよびGは請求項1で規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式III:


(III)
(式中、
Q1
(i) 水素;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含むC1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択され;
Q2
(i) 水素、ハロゲン、CN、CF3、N3、NO2、OR1、SR1、SO2R2、-NHS(O)2-R2、-NH(SO2)NR3R4、NR3R4、CO2R1、COR1、CONR1R2、N(R1)COR2;ここで、R1、R2、R3およびR4は、先に規定されたとおりである;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択されるか;
あるいは、Q1およびQ2は、それらが結合する炭素原子と共に、炭素環式部分または複素環式部分を形成し、該炭素環式部分または複素環式部分は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環式または置換複素環式から選択され得;
R、R'、A、Z2O1、M、L1O1、V、Z1O1およびGは、請求項1に規定のとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式IV:


(IV)
(式中、
X1〜X4は独立して、-CR5およびNから選択され、
ここでR5は独立して
(i) 水素;ハロゲン;-NO2;-CN;N3;CF3
(ii) -M-R4、MはO、S、NHである;
(iii) NR3R4
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む、置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル;
(v) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(vi) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル
から選択される;
R3、R4、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101およびGは、請求項1に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式V:


(V)
(式中、Y1〜Y3は独立して、CR5、N、NR5、SおよびOから選択され;R5、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101およびGは、先に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式VI:


(VI)
(式中、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101、Q1、Q2およびGは先に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式VII:


(VII)
(式中、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101、X1、X2、X3、X4およびGは、先に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式VIII:


(VIII)
(式中、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101、Y1、Y2、Y3およびGは、先に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式IX:


(IX)
(式中、
Q3およびQ4は独立して
(i) 水素、ハロゲン、CN、CF3、N3、NO2、OR1、SR1、SO2R2、-NHS(O)2-R2、-NH(SO2)NR3R4、NR3R4、CO2R1、COR1、CONR1R2、N(R1)COR2;ここで、R1、R2、R3およびR4は先に規定されたとおりである;
(ii) アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii) ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;
(iv) それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニルまたは-C2〜C8アルキニル;それぞれO、SもしくはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む置換-C1〜C8アルキル、置換-C2〜C8アルケニルまたは置換-C2〜C8アルキニル;-C3〜C12シクロアルキルまたは置換-C3〜C12シクロアルキル;-C3〜C12シクロアルケニルまたは置換-C3〜C12シクロアルケニル
からなる群より選択されるか;
あるいはQ3およびQ4は、それらが結合する炭素原子と共に、炭素環式部分または複素環式部分を形成し、該炭素環式部分または複素環式部分は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環式もしくは置換複素環式から選択され得;
R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101およびGは、先に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式X:


(X)
(式中、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101、X1、X2、X3、X4およびGは、先に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
単独であるか、または薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた、式XI:


(XI)
(式中、R、R'、A、Z201、M、L101、V、Z101、Y1、Y2、Y3およびGは、先に規定されたとおりである)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
式XII


(XII)
(式中、R、M-L、Ar2、Ar1およびGが表1:






























































































































































に示される)
の化合物から選択され、表1のいずれかに記載される請求項1記載の化合物。
【請求項13】
薬学的に許容され得る担体もしくは賦形剤と組み合わせた請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの阻害量を含む医薬組成物。
【請求項14】
被験体に請求項13記載の医薬組成物の阻害量を投与する工程を含む、被験体におけるウイルス感染の治療方法。
【請求項15】
ウイルス感染がC型肝炎ウイルスである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害量の請求項13記載の医薬組成物を供給する工程を含む、C型肝炎ウイルスの複製の阻害方法。
【請求項17】
さらなる抗C型肝炎ウイルス剤を同時に投与する工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記さらなる抗C型肝炎ウイルス剤が、α-インターフェロン、β-インターフェロン、リバビリン(ribavarin)およびアマンタジン(adamantine)からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記さらなる抗C型肝炎ウイルス剤が、C型肝炎ウイルスのヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼまたはIRESのインヒビターである、請求項16記載の方法。
【請求項20】
別の抗HCV剤をさらに含む、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項21】
インターフェロン、リバビリン、アマンタジン、別のHCVプロテアーゼインヒビター、HCVポリメラーゼインヒビター、HCVヘリカーゼインヒビターまたは内部リボソーム侵入部位インヒビターから選択される薬剤をさらに含む、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項22】
ペグ化インターフェロンをさらに含む、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項23】
別の抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤または抗癌剤または免疫調節薬をさらに含む、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項24】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼインヒビターまたはその薬学的に許容され得る塩をさらに含む、請求項13記載の組成物。
【請求項25】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ(mooxygenase)インヒビターがリトナビルである、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
抗C型肝炎ウイルス治療を必要とする患者に、シトクロムP450モノオキシゲナーゼインヒビターまたはその薬学的に許容され得る塩、および請求項1記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を共投与する方法。
【請求項27】
請求項1〜12の1つ以上に記載の化合物の製造方法であって、
(i) 分子内クロスカップリング閉環反応、分子内アルキル化またはMitsunobu閉環反応または分子内アミド結合形成閉環反応を介した、式XIII


(XIII)
(式中、R101は、-C1〜C8アルキル、-C2〜C8アルケニル、限定されないがアリールアルキルを含む置換-C1〜C8アルキルアルキルまたは置換-C2〜C8アルケニルであり;R、A、Z201、M、L101、V、Z201、W、YおよびXは、請求項1に規定されたとおりである)
の大環状カルボン酸エステルの調製;
(ii) 式XIV


(XIV)
(式中、R、A、Z201、M、L101、V、Z201、W、YおよびXは、請求項1に規定されたとおりである)
の対応するカルボン酸を得るための式XIIIの化合物の脱保護;
(iii) 式XIVの化合物と式XV


(XV)
(式中、R'およびGは、請求項1に規定されたとおりである)
の化合物の反応
を含む、方法。

【公表番号】特表2012−526812(P2012−526812A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510813(P2012−510813)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/030850
【国際公開番号】WO2010/132163
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】