CB1アンタゴニストおよび逆アゴニスト
本発明は、本発明の化合物を投与する工程を含む、肥満、神経性食欲不振、または神経性過食症を治療する方法に関するものである。本発明はさらに、本発明の化合物を投与する工程を含む、メタボリックシンドロームの処置方法に関するものである。本発明の特定の実施形態において、この方法はこのような処置が必要な哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその塩あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。別の実施形態において、このノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2006年2月21日に出願された表題「TREATMENT OF OBESITY AND EATING DISORDERS WITH NORFLUOXETINE」の米国仮出願第60/775493号、2006年4月6日に出願された表題「CB1 ANTAGONISTS AND INVERSE AGONISTS」の米国仮出願第60/790064号、2006年6月30日に出願された表題「CB1 ANTAGONISTS AND INVERSE AGONISTS」の米国仮出願第60/817835号、および2006年10月13日に出願された表題「TREATMENT OF OBESITY AND EATING DISORDERS WITH NORFLUOXETINE」の米国仮出願第60/851676号の利益を主張する。上記の出願の教示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
肥満
国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES III,1988〜1994))によると、米国の男女3人に1人から2人に1人が過体重である。米国では、20歳以上の男性の60パーセント、女性の51パーセントが過体重または肥満のどちらかである。加えて米国では高いパーセンテージの子供が過体重または肥満である。
【0003】
肥満は複雑な原因の状況である。ますます多くの証拠が、肥満は自己制御の単純な問題ではなく、食欲調節およびエネルギー代謝を含む複雑な障害であることを示唆している。加えて、肥満は集団当たりの罹患率および死亡率の上昇に関連する各種の状況と関連している。肥満の病因は決定的には確立されていないが、遺伝的、代謝的、生化学的、文化的および心理社会的因子が寄与すると考えられている。一般に肥満は、過剰な体脂肪が個体を健康上のリスクにさらす状況として説明されてきた。
【0004】
肥満が罹患率および死亡率の上昇と関連している強力な証拠がある。疾患リスク、たとえば心血管疾患リスクおよび2型糖尿病リスクは、上昇するボディマスインデックス(BMI)とは無関係に上昇する。実際にこのリスクは、24.9を超えるBMIの各ポイントで、女性では心臓病のリスクの5パーセントの上昇として、男性では心臓病のリスクの7パーセントの上昇として数量化されている(非特許文献1;非特許文献2)。加えて、肥満者の減量が重要な疾患リスク因子を低下させるという実質的な証拠がある。過体重成人および肥満成人両方での初期体重の10%などのわずかな減量でさえ、高血圧症、高脂血症および高血糖症などのリスク因子の低下と関連している。
【0005】
食餌および運動は体重増加を減少させる簡単なプロセスを与えるが、過体重者および肥満者は、効果的に減量するためにこれらの因子を十分に制御できないことが多い。薬物療法が利用可能である;包括的な体重減少プログラムの一部として使用されうる複数の減量薬が食品医薬品局によって承認されている。しかしながらこれらの薬物の多くは深刻な副作用を有する。低侵襲的な方法が失敗して、患者が高リスクで肥満関連罹患率および死亡率に瀕しているときに、減量手術は臨床的に深刻な肥満を持つ慎重に選択された患者では選択肢である。しかしながらこれらの処置は高リスクであり、限定された数の患者のみでの使用に適している。
【0006】
減量したいと思うのは肥満対象だけではない。体重が推奨範囲内の、たとえば推奨範囲の上部の人々は、体重を減量したい、体重を理想体重に近づけたいと思っているかもしれない。それゆえ過体重および肥満対象における効果的な減量を生じさせるために使用されうる薬剤への要求が残存している。
【0007】
摂食障害
神経性過食症(「神経由来の雄ウシ様空腹感」)は、1970年代初期に精神障害として確認されたが、当時のより認識されていた摂食障害の神経性食欲不振の「悪い」変形と見なされた。摂食障害研究での続いての発展は、多くの神経性食欲不振患者が過食であるか、過食になりうるが、神経性過食症は明確な一連の臨床的に定義された症状および挙動を伴う別個の障害であることを示している。神経性食欲不振障害は一般に、深刻なカロリー摂取制限によって通常もたらされる、最小限の正常体重を維持することの個体による拒絶によって特徴付けられる。対照的に、神経性過食症および過食症関連摂食障害は一般に、反復される過食の発症と、続いての不適切で不健康な代償行為、たとえば自己誘発嘔吐;下剤、利尿剤、または他の薬剤の誤用;絶食または過剰な運動によって特徴付けられる。
【0008】
神経性過食症は病因が未知であるが、集団の比較的大部分に影響を及ぼす。Diagnostic and Statistical Manual of Eating Disorders,4thed.,(DSM−IV)は、神経性過食症の罹患率が思春期および若年成人女性集団で1%〜3%であり、男性集団では罹患率がその10分の1であることを報告している。これらの集団での過食症型摂食障害の罹患率に関する信頼できる統計はないが、率は神経性過食症と同様か、またはそれ以上であると考えられる。神経性過食症は、米国、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、日本、ニュージーランドおよび南アフリカを含む大半の先進工業国でほぼ同様の頻度で発生することが報告されている。それゆえ先進工業国の女性集団では、神経性過食症は、1.5%の率で発生する統合失調症および1.3%の率で発生する大うつ病性障害などの、他の主要な精神障害と少なくとも同じくらい一般的である。
【0009】
神経性過食症の本質的な特徴は、過食および体重増加を予防する不適切な補償方法を伴う、知覚の混乱および体形および体重への高レベルの没頭である。他の特徴的な行為は、神経性過食症の診断をもたらす身体的および心理的症状と同様に当分野で既知であり、DSM−IVの545〜550頁に詳説されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。
【0010】
神経性過食症の診断基準は非常に明確である;神経性過食症の診断では、個体は特定の行為および心理的症状を所定の頻度で示す必要がある。不規則な摂食習慣を行う個体はしばしばこれらのDSM−IV基準を満足しないが、過食と、続いての補償行為および過度の体形への没頭を含む、神経性過食症と診断された個体に一般的な行為および思考パターンを示す。これらの個体は、特定不能過食症型摂食障害(摂食障害N.O.S.)を有するとしてDMS−IVによって定義されている。過食症型摂食障害N.O.S.を定義する具体的な臨床基準は当分野で周知であり、DSM−IVの550頁に詳載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。
【0011】
神経性過食症または過食症型摂食障害N.O.S.の発症の平均年齢は、青年期後期および小児期早期である。罹患している人々の圧倒的大部分、約98%は若年女性である。症例の高いパーセンテージで、乱れた摂食行為が数年にわたって持続する。神経性過食症の回復率は、38%〜46%と報告されている。神経性過食症の長期結果は不明であるが、事例証拠は再発が一般的であることを示唆している。
【0012】
摂食障害個体の早期の疫学的および家族研究は、このような障害と気分障害との間の明らかな関連を証明した。この初期の観察は、臨床および生理学的データによってさらに強化されている。たとえば神経性過食症と診断された個体の研究は、大うつ病性障害を含む、第I軸精神障害の併存診断を高い頻度で示した。さらに摂食障害の病態生理学的ベースへの研究は、摂食障害個体のセロトニン作動性系の混乱に関わり、神経伝達物質系も気分障害で役割を果たすと考えられている。神経性過食症および過食症型摂食障害N.O.S.と気分および不安障害との複数の関連のために、神経性過食症および過食症型摂食障害N.O.S.に対して考案された処置方法の大半は、これらの疾患のために開発された処置手法から開発されたか、または処置手法に関連している。実際に、科学文献の簡潔な調査は、神経性過食症および過食症型摂食障害N.O.S.は気分または不安障害として臨床的に定義されないが、それらは抗うつ薬、たとえばフルオキセチン、イミプラミンおよびトラゾドンによって頻繁に処置されることを明らかにしている。副作用を誘発しない用量で神経性過食症を処置する必要性が残存している。
【0013】
食物への食欲の欠如または消失として定義される食欲不振(Dorland’s Illustrated Medical Dictionary,24 edition,W.B.Saunders Company,Philadelphia,1965)は、多くの病因を有する。それは一般に体質的な障害、全身的な健康障害および栄養失調の状態である悪液質に関連付けられる。食欲不振および悪液質に関連付けられた状況の一般的な例は、神経性食欲不振、ある感染性疾患、および悪性腫瘍である。
【0014】
神経性食欲不振は、主に13〜30歳の年齢範囲の女性(94〜96%)が罹患する深刻な精神障害である。1%(非特許文献3)〜3%(非特許文献4)の若年女性が罹患しうる。本状況による罹患率および死亡率は考慮すべきである。診断から2年間で4〜6%は死亡して、50%のみが正常な体重を達成している。多数の内分泌および代謝異常が存在して、その大半が栄養失調に二次的であると考えられている。状況の深刻な合併症は、脊柱および末梢骨の両方を含みうる骨粗鬆症である。現在、神経性食欲不振には特別な処置はないが、多くの手法が試されてきた(非特許文献5)。食欲不振の改善された処置が必要である。
【0015】
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドローム(「シンドロームX」、「代謝不全症候群」、「肥満症候群」、および「リーベン症候群」としても既知)がますます大きな問題として出現した。たとえばメタボリックシンドロームは、米国で次第に一般的になってきている。米国で約4700万人の成人がメタボリックシンドロームを有すると推定されている。
【0016】
メタボリックシンドロームは一般に、インスリン抵抗性の原発性疾患からすべて生じる、またはそれに関連する代謝障害の一群である。したがってメタボリックシンドロームは時には、「インスリン抵抗性症候群」と呼ばれる。インスリン抵抗性は、体がインスリンを効率的に使用できず、体組織がインスリンに正常に応答しない障害を特徴とする。結果として、インスリンレベルは、体がインスリンに対する抵抗性を克服しようという試みにおいて上昇するようになる。上昇したインスリンレベルは、直接または間接的に他の代謝異常に至る。
【0017】
一部の人々は遺伝的にインスリン抵抗性への傾向があるが、他の人々はインスリン抵抗性に至る因子を獲得する。獲得された因子、たとえば過剰な体脂肪および運動不足はインスリン抵抗性を、より広範には臨床的メタボリックシンドロームを誘発する。インスリン抵抗性とメタボリックシンドロームの本関係のために、本シンドロームの基礎となる原因は肥満、運動不足および遺伝的因子と考えられる。実際にインスリン抵抗性およびメタボリックシンドロームを持つ大半の人々は、中心性肥満(腹部およびその周囲に過剰な脂肪組織)を有する。インスリン抵抗性と代謝リスク因子との分子レベルでの生物学的機構は、まだ十分に理解されておらず、複雑であると思われる。
【0018】
メタボリックシンドロームは通例、1)中心性肥満;2)アテローム性異脂肪血症(動脈壁にプラーク蓄積を生成させる主に高トリグリセリド(「TG」)および低HDLコレステロール(本明細書では互換的に「HDL」と呼ばれる)を含む、血中脂肪障害);3)血圧上昇;4)インスリン抵抗性および耐糖能異常(体がインスリンまたは血糖を適正に使用できない);5)プロトロンビン状態(たとえば血中の高フィブブリノゲンまたはプラスミノゲン活性化因子阻害物質);および6)炎症誘発性状態(たとえば血中の高感受性C反応性タンパク質の上昇)を含む代謝リスク因子の群を特徴とする。The National Cholesterol Education Program(NCEP)Adult Treatment Panel(ATP)IIIガイドラインは、メタボリックシンドロームを次の5つの臨床パラメータによって定義している:a)男性は102cm、女性は88cmを超える腰囲;b)150mg/dlを超えるトリグリセリドレベル;c)男性では40mg/dl未満の、女性では50mg/dl未満のHDLコレステロール;d)130/85mmHg以上の血圧;およびe)110mg/dlを超える空腹時血糖値。
【0019】
しかしながら米国心臓協会によれば、メタボリックシンドロームを診断するために十分に認められた基準はない。一部のガイドラインは、メタボリックシンドロームが4つの一般的な因子:肥満;糖尿病;高血圧;および高脂質を含むことを示唆している。上のNCEP ATP IIIガイドラインによれば、これらの5つの因子のうち少なくとも3つが、メタボリックシンドロームの医学的診断を満足している。
【0020】
各因子の個々のリスクまたは蔓延について完全な合意はないが、メタボリックシンドロームは当業者によって一般に合意されているように、個体に著しい健康上のリスクを引き起こす。メタボリックシンドロームに関連する1つの因子を有する人は、残りの因子の1つ以上を有するために高まったリスクを有する。より多くの因子が存在するほど、人の健康に対するリスクは大きくなる。因子が群、たとえばメタボリックシンドロームとして存在するとき、心血管疾患および早死のリスクは非常に高い。
【0021】
たとえばメタボリックシンドロームを有する人は、冠状動脈性心疾患、動脈壁へのプラーク蓄積に関連する他の疾患(たとえば脳卒中および末梢血管疾患)、前立腺癌、および2型糖尿病のより高いリスクに瀕している。糖尿病が発生するときに、心血管合併症の高いリスクが上昇することも既知である。
【0022】
一般にメタボリックシンドロームに罹患している患者は、ライフスタイルの変更、たとえば運動の増加および健康食への変更を指示される。運動および食餌プログラムの目標は、年齢および身長について計算した「理想」体重の20%以内に体重を減少させることである。
【0023】
一部の症例では、食餌および運動計画には脂質異常、凝固障害、および高血圧の処置が補足される。たとえばメタボリックシンドロームの患者は通例、血管内で血栓をより容易に形成させるいくつかの凝固障害を有する。これらの血栓は、心臓発作を発症させる増悪因子であることが多い。メタボリックシンドロームを持つ患者は、このような凝血事象を解決するのに特に役立つ毎日のアスピリン療法を定められることが多い。さらに高血圧はメタボリックシンドロームを持つ人々の半分以上に存在し、インスリン抵抗性の状況では、高血圧は特に重要なリスク因子である。一部の研究は、糖尿病患者の高血圧を上手に処置することが相当な量の死亡および心臓病のリスクを低下させうることを示唆している。加えて、患者は特にLDLコレステロール(本明細書では互換的に「LDL」と呼ぶ)を低下させて、トリグリセリドレベルを低下させ、HDLレベルを上昇するために処置されている。本シンドロームの増加する蔓延を考慮すると、メタボリックシンドロームのさらなる効果的な処置への必要性が残存している。
【非特許文献1】Kenchaiahら、N.Engl.J.Med.(2002)347:305
【非特許文献2】Massie,N.Engl.J.Med(2002)347:358
【非特許文献3】Crispら、128 Br.J.Psychiatry(1976)549
【非特許文献4】Ballotら、59 S.Afr.Med.J.(1981)992
【非特許文献5】Piazza,Piazza & Rollins Compr.Psychiatry(1980)21:177−189
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0024】
(要旨)
本発明は、哺乳類の肥満を処置する方法に関するものである。本発明はさらに、肥満に関連する代謝性リスク因子、たとえば高血圧、糖尿病および異脂肪血症を最小限に抑える方法に関する。一実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその塩あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0025】
本発明は、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は神経性食欲不振の処置が必要な哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0026】
本発明は、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法にも関する。一実施形態において、方法は神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害の処置が必要な哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0027】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、D2アゴニストと併用して投与される。
【0028】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、またはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害の処置のために、ブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与される。
【0029】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0030】
別の態様において、本発明は、抗精神病治療の必要な患者の肥満を治療する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者の肥満を処置する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。
【0031】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つまたはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0032】
本発明は、哺乳類の前立腺癌を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は前立腺癌の処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明は、哺乳類の肥満を処置する方法に関するものである。本発明はさらに、肥満に関連する代謝性リスク因子、たとえば高血圧、糖尿病および異脂肪血症を最小限に抑える方法に関する。一実施形態において、方法は、このような処置が必要な哺乳類に式1〜6のいずれか1つの化合物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0034】
本発明は、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は、神経性食欲不振の処置が必要な哺乳類に式1〜6のいずれか1つの化合物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0035】
本発明は、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法にも関する。一実施形態において、方法は、神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害の処置が必要な哺乳類に式1〜6のいずれか1つの化合物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0036】
ノルフルオキセチンの有効量が肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に投与される本発明の方法のある実施形態において、対象(たとえば哺乳類、好ましくはヒト)に投与される化合物(たとえばノルフルオキセチン)の治療的有効量(用量)が1mg/日〜100mg/日、1mg/日〜60mg/日、1mg/日〜40mg/日、またはなお1mg/日〜10mg/日の範囲であろうことが考慮される。一般に、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のための治療的有効用量は、大うつ病性障害または強迫性障害の処置のための治療的有効用量よりも少ない。
【0037】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、D2アゴニストと併用して投与される。
【0038】
ある実施形態において、上記のようなアゴニストまたはアンタゴニスト(たとえばドーパミンアゴニスト)は、完全または部分アゴニストまたはアンタゴニストのどちらかでありうる。
【0039】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0040】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをメチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、またはアポモルフィンと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。
【0041】
別の態様において、本発明は、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。
【0042】
本明細書で使用するように、別途指摘しない限り、薬物の一般名は化学化合物ならびにその医薬的に許容される塩およびエナンチオマー形を表すために使用される。たとえば「ブプロピオン」という用語は、いずれの酸添加塩、遊離塩基、ラセミ混合物、ならびに精製された(R)および(S)エナンチオマーを含むために使用されるであろう。
【0043】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0044】
ある実施形態において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをブプロピオンと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のために(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、方法は、モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む。
【0045】
(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンおよびブプロピオンは、1:1〜20:1の、2:1〜20:1の、4:1〜20:1の、あるいはなお6:1〜20:1の範囲のモル比で投与される。
【0046】
(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩および塩酸ブプロピオンは、1:1〜20:1の、4:1〜20:1の、6:1〜20:1の、あるいはなお10:1〜20:1の範囲の重量比で投与される。
【0047】
(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、塩酸(R)−ノルフルオキセチンおよび塩酸ブプロピオンは、1:1〜20:1の、2:1〜20:1の、4:1〜20:1の、あるいはなお6:1〜20:1の範囲の重量比で投与される。
【0048】
肥満の処置のために(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、哺乳類は禁煙も行っていない。
【0049】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをモキソニジンまたはその医薬的に許容される塩と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。
【0050】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0051】
別の態様において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、D2アゴニストと併用して投与される。
【0052】
ある実施形態において、上記のようなアゴニストまたはアンタゴニスト(たとえばドーパミンアゴニスト)は、完全または部分アゴニストまたはアンタゴニストのどちらかでありうる。
【0053】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0054】
別の態様において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、またはアポモルフィンと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、ブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与される。メタボリックシンドロームに関連する障害の処置または予防のために、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストがブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与されるある実施形態において、障害は肥満ではない。
【0055】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0056】
ある実施形態において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをブプロピオンと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置または予防のために(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、方法はモキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む。
【0057】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0058】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストの治療用量は、MC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与されるときに、単独で投与されるときの治療用量で必要な用量よりも少ない。ある実施形態において、MC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストとの治療用量は、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与されるときに、単独で投与されるときの治療用量で必要な用量よりも少ない。
【0059】
別の態様において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをモキソニジンまたはその医薬的に許容される塩と併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。
【0060】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0061】
本発明は、哺乳類の前立腺癌を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は前立腺癌の処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。ノルフルオキセチンの有効量が前立腺癌の処置に投与される本発明の方法のある実施形態において、対象(たとえば哺乳類、好ましくはヒト)に投与される化合物(たとえばノルフルオキセチン)の治療的有効量(用量)が1mg/日〜100mg/日、1mg/日〜60mg/日、1mg/日〜40mg/日、またはなお1mg/日〜10mg/日の範囲であろうことが考慮される。一般に、前立腺癌の処置のための治療的有効用量は、大うつ病性障害または強迫性障害の処置のための治療的有効用量よりも少ない。
【0062】
別の態様において、本発明は、抗精神病治療の必要な患者の肥満を処置する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者の肥満を処置する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。
【0063】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0064】
CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者に投与される本発明の方法のある実施形態において、抗精神病薬はいずれかの適切な抗精神病薬より選択される。適切な抗精神病薬としては、これに限定されるわけではないが、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、アリピプラゾール、トリフルオペラジン、フルペンチキソール、ロキサピン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、フルフェナジン、デカノアート、チオリダジン、またはその医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0065】
ある実施形態において、本発明はノルフレオキセチンによる処置方法に関する。ある実施形態において、治療調製物はノルフルオキセチンの主に1つのエナンチオマーを供給するために濃縮されうる。エナンチオマー濃縮混合物はたとえば、1つのエナンチオマーを少なくとも60molパーセント、またはさらに好ましくは少なくとも75、90、95、またはなお99molパーセント含みうる。ある実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)エナンチオマーが濃縮されている。ある実施形態において、(R)−ノルフルオキセチンは(S)−エナンチオマーを実質的に含まず、ここで実質的に含まないとは、問題の物質がたとえば組成物または化合物混合物中の(R)−エナンチオマーの量と比較して10%未満、または5%未満、または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満を構成することを意味する。たとえば組成物または化合物混合物が(R)−エナンチオマー98グラムおよび(S)−エナンチオマー2グラムを含有する場合、98molパーセントの(R)−エナンチオマーおよびわずか2%の(S)−エナンチオマーを含有すると言われる。ある実施形態において、ノルフルオキセチンは、ノルフルオキセチンの塩あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物として提供される。
【0066】
フルオキセチンは、2つのエナンチオマー形のラセミ化合物である。初期の報告は、セロトニン取り込み担体との相互作用に関連するような各エナンチオマーの生物および薬理学的活性が、本質的に同じであることが見出されたことを引用した;Robertsonら、J.Med.Chem.,31,1412(1988)およびそこで引用された参考文献を参照。ノルフルオキセチン[3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)3−フェニルプロピルアミン]は、フルオキセチンの代謝産物であり、モノアミン取り込み、特にセロトニンを遮断することが既知である。米国特許第4,313,896号を参照。ノルフルオキセチンはフルオキセチンの代謝産物であるため、本化合物がフルオキセチンの投与時に見られる生物活性の一部に寄与することが考えられる。
【0067】
フルオキセチンおよびノルフルオキセチンはどちらも、CB1受容体に対して機能活性を示す。(S)−フルオキセチンはCB1の逆アゴニストであり、(R)−フルオキセチンはCB1のアンタゴニストである。ノルフルオキセチンのラセミ化合物は、CB1のアンタゴニストである。提案によって制限されたくはないが、本カンナビノイド活性は、肥満および/または摂食障害の処置のためにこれらの化合物の有用性を媒介しうる。
【0068】
本発明の方法に適切な化合物としては、一般式1によって表される化合物が挙げられる:
【0069】
【化6】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成し;
Xは、置換または非置換メチレンを表す。
【0070】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式2によって表される化合物が挙げられる:
【0071】
【化7】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成する。
【0072】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式3によって表される化合物が挙げられる:
【0073】
【化8】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、置換または非置換メチレンを表し;
R3は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表し;
R5は、置換または非置換C1〜6アルキル、アシル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、または複素環を表し、R5が置換または非置換ヘテロアリールまたは複素環であるときに、指示された(*)炭素に結合された原子が炭素原子であるという条件である。
【0074】
本発明の方法に適切な化合物としては、一般式4によって表される化合物が挙げられる:
【0075】
【化9】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0076】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式5によって表される化合物が挙げられる:
【0077】
【化10】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
A’は、置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0078】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式6によって表される化合物が挙げられる:
【0079】
【化11】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0080】
ある実施形態において、式6の化合物は、構造6aまたは7を有する:
【0081】
【化12】
本発明は、これらの化合物の精製調製物を含む、ある新規化合物にも関する。たとえば本発明は、式1の化合物を提供する:
【0082】
【化13】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成し;
Xは、置換または非置換メチレンを表す。
【0083】
ある実施形態において、R1は水素であり、R2は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルである。
【0084】
ある実施形態において、Aは置換アリール環である。ある実施形態において、Aはp−トリフルオロメチルフェニルである。
【0085】
ある実施形態において、式1の化合物は、構造1aを有する:
【0086】
【化14】
ある実施形態において、化合物は一般式2によって表されうる:
【0087】
【化15】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成する。
【0088】
ある実施形態において、R1は水素であり、R2は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルである。
【0089】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリールである。
【0090】
ある実施形態において、式2の化合物は、構造2aまたは2bを有する:
【0091】
【化16】
ある実施形態において、化合物は一般式3によって表されうる:
【0092】
【化17】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、置換または非置換メチレンを表し;
R3は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表し;
R5は、置換または非置換C1〜6アルキル、アシル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、または複素環を表し、R5が置換または非置換ヘテロアリールまたは複素環であるときに、指示された(*)炭素に結合された原子が炭素原子であるという条件である。
【0093】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリール環である。
【0094】
ある実施形態において、Xは非置換メチレンである。
【0095】
ある実施形態において、R3は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルを表す。
【0096】
ある実施形態において、R4は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルを表す。
【0097】
ある実施形態において、R5は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはエチルを表す。
【0098】
ある実施形態において、式3の化合物は、構造3aまたは3bを有する:
【0099】
【化18】
ある実施形態において、化合物は一般式4によって表されうる:
【0100】
【化19】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0101】
ある実施形態において、R4はHである。
【0102】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリール環である。
【0103】
ある実施形態において、Xは非置換メチレンである。
【0104】
ある実施形態において、式4の化合物は、構造4aを有する:
【0105】
【化20】
ある実施形態において、化合物は一般式5によって表されうる:
【0106】
【化21】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
A’は、置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0107】
ある実施形態において、R4はHである。
【0108】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリール環である。
【0109】
ある実施形態において、Xは非置換メチレンである。
【0110】
ある実施形態において、式5の化合物は、構造5aを有する:
【0111】
【化22】
ある実施形態において、本発明の化合物はラセミ化合物でありうる。ある実施形態において、本発明の化合物は1つのエナンチオマーが濃縮されていることがある。たとえば本発明の化合物は、30%ee、または40%ee、または50%ee、または60%ee、または70%ee、または80%ee、または90%ee超、あるいはなお95%ee以上を有しうる。ある実施形態において、本発明の化合物は1つ以上のジアステレオマーが濃縮されていることがある。たとえば本発明の化合物は、30%de、または40%de、または50%de、または60%de、または70%de、または80%de、または90%de超、あるいはなお95%de以上を有しうる。
【0112】
本発明の一態様は、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の有効量と、1つ以上の医薬的に許容される担体とを含む、ヒト患者での使用に、または動物用途に適切な医薬組成物を提供する。ある実施形態において、医薬組成物は肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置または予防するのに使用するためでありうる。ある実施形態において、製薬調製物はヒト患者での使用に、または動物用途に適切である十分に低い発熱活性を有する。ある実施形態において、製薬調製物は、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の有効量を含む。たとえば本発明は、医薬的に許容される賦形剤および1mg〜10mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンを含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない。
【0113】
本発明は、医薬的に許容される担体と、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と、次の少なくとも1つ:MC4のアゴニスト;MC4のアロステリック増強剤;ドーパミン再取り込み阻害薬;ノルエピネフリン再取り込み阻害薬;ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬;MAO−B阻害薬;ドーパミンD1アゴニスト;ドーパミンD2アゴニスト;ドーパミンD3アゴニスト;ドーパミンD4アゴニスト;またはドーパミンD5アゴニスト;とを含む医薬組成物にも関する。ある実施形態において、医薬組成物は肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置または予防に使用するためでありうる。ある実施形態において、製薬調製物はヒト患者での使用に、または動物用途に適切である十分に低い発熱活性を有する。
【0114】
本発明はさらに、医薬的に許容される担体と、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と、次の少なくとも1つ:ブプロピオン;メチルフェニデート;シブトラミン;セルトラリン;ベンラフェキシン;アトモキセチン;アミネプチン;ベンズトロピン;レボキセチン;ラサギリン;セレギリン;デプレニル;ラザベミド;キンピロール;タリペキソール;スマニロール;ブロモクリプチン;ロピニロール;プラミペキソール;レボドパ;アマンタジン;ペルゴリド;フェノルドパム;カベルゴリン;ロチゴチン;リスリド;7−OH DPAT;SKF−38393;アポモルフィン;あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体とを含む医薬組成物にも関する。ある実施形態において、医薬組成物は肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置または予防に使用するためでありうる。
【0115】
ある実施形態において、製薬調製物はヒト患者での使用に、または動物用途に適切である十分に低い発熱活性を有する。
【0116】
本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、本明細書で開示するいずれの疾患の処置のための薬剤の製造に使用されうる。
【0117】
本明細書で使用するように、「肥満」という用語は、動物における過体重および過剰脂肪組織量の両方を含む。肥満個体は、≧30kg/m2のボディマスインデックスを有する個体である。動物は通例ヒトであるが、本発明は非ヒト哺乳類の処置も含む。本発明の方法で提供されるような肥満の処置は、「肥満」と定義される個体の処置だけでなく、処置せずに放置した場合に肥満の発症に至りうる体重増加のある個体の処置も考慮する。
【0118】
本発明の化合物は、CB1受容体に対する機能的アンタゴニスト活性を有しうる。「機能的アンタゴニスト」は、完全アンタゴニスト、逆アゴニスト、またはアロステリックアテニュエータでありうる。提案によって制限されたくはないが、本CB1活性は、肥満または摂食障害の処置のためにこれらの化合物の有用性を媒介しうる。
【0119】
「医療提供者」という用語は、医療サービスを人、共同体などに提供する個人または組織を指す。「医療提供者」の例としては、医師、病院、継続介護退職者専用住宅地、高度看護施設、亜急性介護施設、クリニック、多専門クリニック、独立外来センター、在宅医療機関、および保険維持機構が挙げられる。
【0120】
「水和物」という用語は、本明細書で使用するように、親化合物と水との結合によって形成された化合物を指す。
【0121】
「代謝産物」という用語は、正常な生理学的状況下で親化合物の代謝によって産生される化合物を含むものである。たとえばN−メチル基は開裂して、対応するN−デスメチル代謝産物を産生しうる。本発明の好ましい代謝産物としては、その親化合物と同様の活性を示す代謝産物(たとえば肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に適切である代謝産物)が挙げられる。
【0122】
「溶媒和物」という用語は、本明細書で使用するように、溶媒和によって形成された化合物(たとえば溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの結合によって形成された化合物)を指す。
【0123】
「処置する」という用語は、予防的および/または治療学的処置を含む。「予防的または治療学的」処置という用語は、当分野で認識されており、被処置者への対象組成物の1つ以上の投与を含む。望ましくない状況(たとえば被処置動物の疾患または他の望ましくない状態)の臨床的顕在化前にそれが投与される場合、処置は予防的である(すなわちそれは被処置者が望ましくない状況を発症するのを阻止する)が、望ましくない状況の顕在化後にそれが投与される場合、処置は治療的である(すなわちそれは既存の望ましくない状況またはその副作用を減少、緩和または安定化させるものである)。
【0124】
「アシル」という用語は当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)−、好ましくはアルキルC(O)−で表される基を指す。
【0125】
「アシルアミノ」という用語は当分野で認識されており、アシル基によって置換されたアミノ基を指し、たとえば式ヒドロカルビルC(O)NH−によって表されうる。
【0126】
「アシルオキシ」という用語は当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O−、好ましくはアルキルC(O)O−で表される基を指す。
【0127】
「アルコキシ」という用語は、酸素がそれに結合されたアルキル基、好ましくは低級アルキル基を指す。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどを指す。
【0128】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基によって置換されたアルキル基を指し、一般式アルキル−O−アルキルによって表されうる。
【0129】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用するように、少なくとも1個の二重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含むものであり、その後者はアルケニル基の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルケニル部分を指す。このような置換基は、1個以上の二重結合に含まれるまたは含まれない1個以上の炭素上に発生しうる。その上、このような置換基は、安定性が禁制的である場合を除いて、下で述べるようにアルキル基について考慮されるすべての置換基を含む。たとえば、1個以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が考慮される。
【0130】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基のラジカルを指す。好ましい実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、主鎖に30個以下の炭素原子(たとえば直鎖ではC1〜C30、分岐鎖ではC3〜C30)、さらに好ましくは20個以下を含む。同様に好ましいシクロアルキルは、その環構造に3〜10個の炭素原子、さらに好ましくは環構造に5、6または7個の炭素を有する。
【0131】
その上、「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、明細書、実施例、および請求項を通じて使用されるように、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むものであり、その後者は、炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。このような置換基としてはたとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(たとえばカルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル)、チオカルボニル(たとえばチオエステル、チオアセテート、またはチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、あるいは芳香族またはヘテロ芳香族部分が挙げられる。炭化水素鎖上で置換された部分は適切な場合、それ自体が置換されうる当業者によって理解されるであろう。たとえば置換アルキルの置換基としては、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホナートおよびホスフィナートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホナートを含む)、およびシリル基の置換および非置換形はもちろんのこと、エーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシラート、およびエステルを含む)、−CF3、−CNなども挙げられる。例示的な置換アルキルを下で説明する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF3、−CNなどによってさらに置換されうる。
【0132】
「Cx−y」という用語は、化学部分、たとえばアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシと併せて使用されるときに、x〜y個の炭素を鎖中に含有する基を含むものである。たとえば「Cx−yアルキル」という用語は、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルなどのハロアルキル基を含む、x〜y個の炭素を鎖中に含有する直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキル基を含む、置換または非置換飽和炭化水素基を指す。C0アルキルは、基が末端位置にある水素であり、内部ならば結合である。「C2−yアルケニル」および「C2−yアルキニル」という用語は、上記のアルキルと長さ、考えられる置換が類似しているが、少なくとも1個の二重または三重結合をそれぞれ含む置換または非置換不飽和脂肪族基を指す。
【0133】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で使用するように、少なくとも1個のアルキル基によって置換されたアミノ基を指す。
【0134】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で使用するように、アルキル基によって置換されたチオール基を指し、一般式アルキルS−によって表されうる。
【0135】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用するように、少なくとも1個の三重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方を含むものであり、その後者はアルキニル基の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキニル部分を指す。このような置換基は、1個以上の三重結合に含まれるまたは含まれない1個以上の炭素上に発生しうる。その上、このような置換基は、安定性が禁制的である場合を除いて、上で述べるようにアルキル基について考慮されるすべての置換基を含む。たとえば、1個以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が考慮される。
【0136】
「アミド」という用語は、本明細書で使用するように、基
【0137】
【化23】
を指し、式中、R9およびR10はそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表し、あるいはR9およびR10はそれらが結合された窒素原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0138】
「アミン」および「アミノ」という用語は当分野で認識されており、非置換および置換アミンの両方ならびにその塩、たとえば
【0139】
【化24】
によって表されうる部分を指し、式中、R9、R10およびR10’はそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表し、あるいはR9およびR10はそれらが結合された窒素原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0140】
「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、1個のアミノ基によって置換されたアルキル基を指す。
【0141】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用するように、1個のアリール基によって置換されたアルキル基を指す。
【0142】
「アリール」という用語は、本明細書で使用するように、環の各原子が炭素である置換または非置換単環芳香族基を含む。好ましくは、環は5〜7員環、さらに好ましくは6員環である。「アリール」という用語は、環の少なくとも一方が芳香族であり、たとえばもう一方の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルである2個の隣接する環と2個以上の炭素が共通である、2個以上の環式環を有する多環式環系も含む。アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
【0143】
「カルバメート」という用語は当分野で認識されており、基
【0144】
【化25】
を指し、式中、R9およびR10は独立して、水素またはヒドロカルビル基、たとえばアルキル基を指し、あるいはR9およびR10は(複数の)介在原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0145】
「炭素環」、「カルボシクリル」、および「炭素環式」という用語は、本明細書で使用するように、環の各原子が炭素である非芳香族飽和または不飽和環を指す。好ましくは、炭素環の環は3〜10個の原子、さらに好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0146】
「カルボシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、炭素環基によって置換されたアルキル基を指す。
【0147】
「カーボネート」という用語は当分野で認識されており、R9がヒドロカルビル基を表す基−OCO2−R9を指す。
【0148】
「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用するように、式−CO2Hによって表される基を指す。
【0149】
「エステル」という用語は、本明細書で使用するように、R9がヒドロカルビル基を表す基−C(O)OR9を指す。
【0150】
「エーテル」という用語は、本明細書で使用するように、酸素を通じて別のヒドロカルビル基に結合されたヒドロカルビル基を指す。したがってヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル−O−でありうる。エーテルは対称または非対称のどちらかでありうる。エーテルの例としては、これに限定されるわけではないが、複素環−O−複素環およびアリール−O−複素環が挙げられる。エーテルとしては、一般式アルキル−O−アルキルによって表されうる「アルコキシアルキル」基が挙げられる。
【0151】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用するようにハロゲンを意味して、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0152】
「ヘトアラルキル」および「ヘテロアラルキル」という用語は、本明細書で使用するように、ヘタリール基によって置換されたアルキル基を指す。
【0153】
「ヘテロアリール」および「ヘタリール」という用語は、置換または非置換芳香族単環構造、好ましくは5〜7員環、さらに好ましくは5〜6員環を含み、環構造は少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、さらに好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール」および「ヘタリール」という用語は、環の少なくとも一方がヘテロ芳香族であり、たとえばもう一方の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルである2個の隣接する環と2個以上の炭素が共通である、2個以上の環式環を有する多環式環系も含む。ヘテロアリール基としてはたとえば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。
【0154】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用するように、炭素または水素以外のいずれの元素の原子も意味する。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、および硫黄である。
【0155】
「ヘテロシクリル」および「複素環」、および「複素環式」という用語は、置換または非置換非芳香族環構造、好ましくは3〜10員環、さらに好ましくは3〜7員環を含み、環構造は少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、さらに好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロシクリル」および「複素環式」という用語は、環の少なくとも一方が複素環式であり、たとえばもう一方の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルである2個の隣接する環と2個以上の炭素が共通である、2個以上の環式環を有する多環式環系も含む。ヘテロシクリル基としてはたとえば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
【0156】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、複素環基によって置換されたアルキル基を指す。
【0157】
「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書で使用するように、=Oまたは=S置換基を持たない炭素原子を通じて結合され、通例少なくとも1個の炭素−水素結合および主に炭素主鎖を有するが、場合によりヘテロ原子を含みうる基を指す。それゆえメチル、エトキシエチル、2−ピリジル、およびトリフルオロメチルなどの基が本出願の目的のためにヒドロカルビルと見なされるが、アセチル(結合炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(炭素ではなく、酸素を通じて結合される)などの置換基は見なされない。ヒドロカルビル基としては、これに限定されるわけではないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびその組合せが挙げられる。
【0158】
「ヒドロキシルアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、ヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を指す。
【0159】
「低級」という用語は、化学部分、たとえばアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシと併せて使用したときに、置換基中に10個以下の、好ましくは6個以下の非水素原子がある基を含むものとする。「低級アルキル」はたとえば10個以下の、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基を指す。ある実施形態において、本明細書で定義したアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、それらが単独で出現しようと、またはヒドロアルキルおよびアラルキルの詳説(その場合、たとえばアリール基中の原子は、アルキル置換基中の炭素原子をカウントするときにカウントされない)でのように他の置換基と組合されて出現しようと、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである。
【0160】
「ポリシクリル」、「多環」、および「多環式」という用語は、2個以上の原子が2個の隣接する環と共通である、たとえば環が「縮合環」である、2個以上の環(たとえばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)を指す。多環の環それぞれは、置換または非置換でありうる。ある実施形態において、多環の各環は環中に3〜10個の、好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0161】
「置換された」という用語は、主鎖の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有する部分を指す。「置換」または「によって置換された」は、このような置換が置換原子および置換基の許容原子価と一致しており、置換がたとえば転位、環化、脱離などによる変換を自発的に受けない安定な化合物を生じるという暗黙の条件を含む。本明細書で使用するように「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を含むことが考慮される。広範な態様において、許容可能な置換基としては、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。許容可能な置換基は、適切な有機化合物について1つ以上で、同じまたは異なりうる。本発明の目的では、窒素などのヘテロ原子は水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満足する本明細書に記載した有機化合物のいずれの許容される置換基も含みうる。このような置換基としては、本明細書に記載したいずれの置換基、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(たとえばカルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル)、チオカルボニル(たとえばチオエステル、チオアセテート、またはチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、あるいは芳香族またはヘテロ芳香族部分が挙げられる。炭化水素鎖上で置換された部分は適切な場合、それ自体が置換されうる当業者によって理解されるであろう。
【0162】
「非置換の」として特に指摘しない限り、本明細書での化学部分への言及は置換された変形を含むとして理解される。たとえば「アリール」基または部分への言及は、置換および非置換の変形の両方を暗黙的に含む。
【0163】
「サルフェート」という用語は当分野で認識されており、基−OSO3H、またはその医薬的に許容される塩を指す。
【0164】
「スルホンアミド」という用語は当分野で認識されており、一般式
【0165】
【化26】
によって表される基を指し、式中、R9およびR10は独立して、水素またはヒドロカルビル、たとえばアルキル基を指し、あるいはR9およびR10は(複数の)介在原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0166】
「スルホキシド」という用語は当分野で認識されており、R9がヒドロカルビル基を表す基−S(O)−R9を指す。
【0167】
「スルホナート」という用語は当分野で認識されており、基SO3H、またはその医薬的に許容される塩を指す。
【0168】
「スルホン」という用語は当分野で認識されており、R9がヒドロカルビル基を表す基−S(O)2−R9を指す。
【0169】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、チオール基によって置換されたアルキル基を指す。
【0170】
「チオエステル」という用語は、本明細書で使用するように、R9がヒドロカルビル基を表す基−C(O)SR9または−SC(O)R9を指す。
【0171】
「チオエーテル」という用語は、本明細書で使用するように、酸素が硫黄によって置換されたエーテルと同じである。
【0172】
「尿素」という用語は当分野で認識されており、一般式
【0173】
【化27】
によって表され、式中、R9およびR10は独立して、水素またはヒドロカルビル、たとえばアルキルを指し、あるいはどちらかのR9の出現はR10および(複数の)介在原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0174】
本発明のある化合物は、特に幾何または立体異性形で存在しうる。本発明は、本発明の範囲に含まれるようなシスまたはトランス異性体、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、そのラセミ混合物、およびその他の混合物を含めて、このようなすべての化合物を考慮する。追加の不斉炭素原子は、アルキル基などの置換基に存在しうる。このようなすべての異性体は、その混合物と同様に本発明に含まれるものとする。
【0175】
実質的に異性体に関して純粋な化合物を調製する方法が当分野で既知である。たとえば本発明の化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、不斉合成によって、または得られたジアステレオマー混合物が分離され、補助基は開裂して純粋な所望のエナンチオマーを提供するキラル補助基による誘導によって調製されうる。あるいは分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩が適切な光学活性酸または塩基によって形成され、当分野で周知の分別結晶またはクロマトグラフィー手段によるこのように形成されたジアステレオマーの分割と、純粋なエナンチオマーの続いての回収が続く。あるいはエナンチオマー濃縮混合物および純粋なエナンチオマー化合物は、キラル中心での立体配置を不変のままにするか、またはその完全反転を生じるかのどちらかの反応と組合せて、エナンチオマーについて純粋な合成中間体を使用することによって調製されうる。特定の立体中心を反転させる、または不変のままにする技法、および立体異性体の混合物を分割する技法は当分野で周知であり、特定の状況に適切な方法を選択することは十分に当業者の能力の範囲内である。概してFurnissら(eds.),Vogel’s Encyclopedia of Practical Organic Chemistry 5thEd.,Longman Scientific and Technical Ltd.,Essex,1991,pp.809−816;およびHeller,Acc.Chem.Res.23:128(1990)を参照。
【0176】
投与される(複数の)活性剤(たとえば本発明の化合物)の量は、患者、投与経路および求める結果によって変化しうる。特定の患者に対する最適な投与計画は、当業者によってただちに決定されうる。
【0177】
本発明の化合物は、それが必要な個体に投与されうる。ある実施形態において、個体はヒト、または非ヒト哺乳類などの哺乳類である。個体に投与するとき、本発明の化合物は、たとえば本発明の化合物および医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物として投与されうる。医薬的に許容される担体は当分野で周知であり、たとえば水または生理的緩衝食塩水などの水溶液あるいはグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油または注射用有機エステルなどの他の溶媒またはビヒクルが挙げられる。好ましい実施形態において、このような医薬組成物がヒトへの投与用であるとき、水溶液は発熱物質を含まないか、または実質的に発熱物質を含まず、あるいは十分に低い発熱物質活性を有する。賦形剤は、たとえば薬物の放出を遅延させるために、または1つ以上の細胞、組織または臓器を選択的にターゲティングするために選択されうる。医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、スプリンクルカプセル剤、顆粒剤、粉剤、シロップ剤、坐剤、注射剤などの投薬単位形でありうる。組成物は経皮送達系、たとえば皮膚パッチとしても存在しうる。
【0178】
「十分に低い発熱物質活性」という用語は、医薬調製物に関して、調製物が投与された対象において有害作用(たとえば刺激、発熱、炎症、下痢、呼吸困難、内毒素性ショックなど)を引き起こす量の発熱物質を含有しない調製物を指す。たとえば該用語は、たとえばリポ多糖類(LPS)などの内毒素を含まない、または実質的に含まない調製物を含むものである。
【0179】
医薬的に許容される担体は、たとえば本発明の化合物の吸収を安定または上昇させるように作用する生理学的に許容される薬剤を含有しうる。このような生理学的に許容される薬剤としては、たとえばグルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質あるいは他の安定剤または賦形剤が挙げられる。医薬的に許容される担体の選択は、生理学的に許容される薬剤を含めて、たとえば組成物の投与経路によって変わる。医薬組成物(調製物)はまた、たとえば本発明の化合物を中に包含することができる、リポソームまたは他のポリマーマトリクスでありうる。リポソームはたとえば、リン脂質または他の脂質より構成され、作製および投与が比較的簡単である非毒性で生理学的に許容され、代謝可能な担体である。
【0180】
「医薬的に許容される」という句は、正常な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、あるいは他の問題または合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織との接触での使用に適切であり、合理的な利益/リスク比と釣り合っている化合物、物質、組成物および/または投薬形を指すために本明細書で利用される。
【0181】
「医薬的に許容される担体」という句は、本明細書で使用するように、医薬的に許容される物質、組成物またはビヒクル、たとえば液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質を意味する。各担体は、調合物の他の成分と適合性であり、患者に有害でないという意味で「許容」されねばならない。医薬的に許容される担体として作用しうる物質の一部の例としては:(1)糖、たとえばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、たとえばコーンスターチおよびジャガイモデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、たとえばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、たとえばココアバターおよび坐剤用ワックス;(9)油、たとえばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、たとえばプロピレングリコール;(11)ポリオール、たとえばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール;(12)エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム; (15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張性食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;および(21)医薬調合物で利用される他の非毒性適合性物質が挙げられる。
【0182】
本発明の化合物を含有する医薬組成物(調製物)は、たとえば経口(たとえば水性または非水性液剤または懸濁剤中などの水薬、錠剤、ボーラス、粉剤、顆粒剤、舌への塗布用ペースト);舌下;経肛門、経直腸または経膣(たとえばペッサリー、クリームまたはフォームとして);非経口(たとえば滅菌液剤または懸濁剤などの、筋肉内、静脈内、皮下または髄腔内を含む);経鼻;腹腔内;皮下;経皮(たとえば皮膚に貼付けされるパッチとして);および局所(たとえば皮膚に塗布されるクリーム、軟膏またはスプレーとして)を含む、多数の投与経路によって対象に投与されうる。化合物は吸入用にも調合されうる。ある実施形態において、本発明の化合物は滅菌水に簡単に溶解または懸濁されうる。適切な投与経路およびそれに適した組成物の詳細は、たとえば米国特許第6,110,973、5,763,493、5,731,000、5,541,231、5,427,798、5,358,970および4,172,896号はもちろんのこと、そこで引用される特許に見出されうる。最も好ましい投与経路は経口経路である。
【0183】
本発明の調合物は単位投薬形で好都合に存在し、調剤分野で周知のいずれの方法によっても調製されうる。単回投薬形態を産生するために担体物質と組合されうる活性成分の量は、処置される非処置者、特定の投与方式に応じて変化するであろう。単回投薬形態を産生するために担体物質と組合されうる活性成分の量は一般に、治療効果を生じる化合物の量であろう。一般に100パーセントのうち、この量は活性成分の約1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10〜約30パーセントの範囲におよぶであろう。
【0184】
これらの調合物および組成物を調製する方法としては、本発明の化合物を担体および、場合により1つ以上の副成分と結合させる工程を含む。一般に調合物は、本発明の化合物を液体担体、または微粉化固体担体、あるいは両方と均質および密接に結合させて、次に必要ならば生成物を成形することによって調製される。
【0185】
経口投与に適切な本発明の調合物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、菱形錠(フレーバーベース、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントを使用)、粉剤、顆粒剤の形で、あるいは水性または非水性液体中の液剤または懸濁剤として、あるいは水中油型または油中水型液体エマルジョンとして、あるいはエリキシル剤またはシロップ剤として、あるいはトローチ剤として(不活性ベース、たとえばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムを使用)および/またはマウスウォッシュなどとしてであり、それぞれ本発明の化合物の規定量を活性成分として含有する。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤またはペースト剤としても投与されうる。
【0186】
経口投与用の本発明の固体投薬形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、粉剤、顆粒剤など)において、活性成分は、少なくとも1つの不活性な医薬的に許容される賦形剤、または担体、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウム、および/または次のいずれか:(1)充填剤または増量剤、たとえばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸;(2)結合剤、たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアラビアゴム;(3)保湿剤、たとえばグリセロール;(4)崩壊剤、たとえば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、たとえばパラフィン;(6)吸収促進剤、たとえば4級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、たとえばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;(8)吸収剤、たとえばカオリンおよびベントナイト粘土;(9)潤滑剤、たとえばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物;ならびに(10)着色料と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤も含みうる。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤はもちろんのこと、高分子量ポリエチレングリコールなども使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセルのフィラーとしても利用されうる。
【0187】
錠剤は、場合により1つ以上の副成分を用いて圧縮または成形によって作製されうる。圧縮錠剤は、結合剤(たとえばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(たとえばナトリウムデンプングリコラートまたは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤または分散化剤を使用して調製されうる。成形錠剤は、適切な機械で不活性液体希釈剤によって湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって作製されうる。
【0188】
本発明の医薬組成物の錠剤、および他の固体投薬形、たとえば糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤は場合により刻み目が入れられるか、または腸溶コーティングおよび医薬調合分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルによって調製されうる。それらはたとえば所望の放出プロフィールを与えるための各種の比でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを使用して、その中の活性成分の遅延または制御放出を提供するためにも調合されうる。それらはたとえば、細菌保持フィルタを通じた濾過によって、または使用直前に滅菌水または一部の他の滅菌注射用媒体に溶解させることができる滅菌固体組成物の形で滅菌剤を包含させることによって、滅菌されうる。これらの組成物は場合により乳白剤も含有することがあり、それらが活性成分のみをまたは優先的に消化管のある部分において、場合により遅延方式で放出する組成物でもありうる。使用されうる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。活性成分は、適切な場合は、上記の賦形剤の1つ以上を用いたマイクロカプセル化形でもありうる。
【0189】
本発明の化合物の経口投与用の液体投薬形としては、医薬的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体投薬形は、たとえば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物などの、当分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有しうる。
【0190】
不活性希釈剤以外に、経口組成物は湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味料、着香料、着色料、香料および保存料などのアジュバントも含みうる。
【0191】
懸濁剤は活性成分に加えて、懸濁化剤、たとえばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物を含有しうる。
【0192】
経直腸、経膣または経尿道投与用の本発明の医薬組成物の調合物は、本発明の1つ以上の化合物をたとえばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチラートを含む1つ以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製されうる、そして室温にて固体であるが、体温にて液体であり、したがって直腸または膣腔にて溶融して活性化合物を放出する、坐剤として提供されうる。
【0193】
あるいはまたは加えて、組成物はカテーテル、ステント、ワイヤ、または他の管腔内器具による送達のために調合されうる。このような器具による送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸、または小腸への送達に特に有用でありうる。
【0194】
経膣投与に適切である本発明の調合物としては、当分野で適切であることが既知の担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー調合物も挙げられる。
【0195】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の投薬形としては、粉剤、スプレー剤、軟膏、ペースト剤、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチ剤または吸入剤が挙げられる。活性化合物は滅菌条件下で医薬的に許容される担体、および要求されうるいずれの保存料、緩衝剤、または噴霧剤と混合されうる。
【0196】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは本発明の活性化合物に加えて、賦形剤、たとえば動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物を含有しうる。
【0197】
粉剤およびスプレー剤は本発明の化合物に加えて、賦形剤、たとえばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有しうる。スプレー剤は加えて、通例の推進剤、たとえばクロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素、たとえばブタンおよびプロパンを含有しうる。
【0198】
経皮パッチは、本発明の化合物の体への制御送達を提供するさらなる利点を有する。このような投薬形は、化合物を適切な媒体に溶解または分散させることによって作製されうる。皮膚での化合物の流量を増加させるために、吸収促進剤も使用されうる。このような流量の速度は、速度制御膜を提供することによるか、または化合物をポリマーマトリクスまたはゲルに分散させることによってのどちらかで制御されうる。
【0199】
眼用調合物、眼用軟膏、粉剤、液剤なども本発明の範囲内であるとして考慮される。
【0200】
「非経口投与」および「非経口的に投与される」という句は、本明細書で使用するように、通常は注射による経腸および局所投与以外の投与様式を意味して、制限なく静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内および胸骨内注射および輸液を含む。
【0201】
非経口投与に適切な本発明の医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、調合物を対象とするレシピエントの血液と等張性にする溶質あるいは懸濁化剤または増粘剤を含有しうる、1つ以上の医薬的に許容される滅菌等張性水性または非水性液剤、分散剤、懸濁剤またはエマルジョン、あるいは使用直前に滅菌注射用液剤または分散剤に再構成されうる滅菌粉剤と組合された本発明の1つ以上の化合物を含む。
【0202】
本発明の医薬組成物で利用されうる適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油、たとえばオリーブ油、および注射用有機エステル、たとえばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性はたとえば、レシチンなどのコーティング物質の使用によって、分散剤の場合には要求される粒径の維持によって、そして界面活性剤の使用によって維持されうる。
【0203】
これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散化剤などのアジュバントも含有しうる。微生物の作用の予防は、各種の抗菌剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含によって確実にされうる。等張剤、たとえば糖、塩化ナトリウムなどを組成剤中に含めることが所望でありうる。加えて、注射用製薬形の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延する薬剤の包含によって引き起こされうる。
【0204】
一部の場合では、薬物の効果を延長させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが所望である。このことは、不十分な水溶性を有する結晶性またはアモルファス物質の液体懸濁剤の使用によって実現されうる。そして薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、次いで溶解速度は結晶サイズおよび結晶形に依存しうる。あるいは非経口投与薬物形の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成されうる。
【0205】
注射用デポー形は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーで主題化合物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製されうる。薬物のポリマーに対する比および利用された特定のポリマーの性質によって、薬物放出速度が制御されうる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用調合物は、薬物を体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に捕捉することによっても調製される。
【0206】
本発明の化合物が薬剤としてヒトまたは動物に投与されるときに、それらはそれ自体で、または医薬的に許容される担体と組合された、たとえば0.1〜99.5%(さらに好ましくは0.5〜90%)の活性成分を含有する医薬組成物として投与されうる。
【0207】
本発明の活性化合物の動物飼料への添加は好ましくは、有効量の活性化合物を含有する適切な飼料プレミックスを調製することと、プレミックスを完全配給量に包含させることによって達成される。
【0208】
あるいは活性成分を含有する中間濃縮物または飼料サプリメントを飼料にブレンドすることができる。このような飼料プレミックスおよび完全配給量を調製および投与する方法は、参考書(たとえば“Applied Animal Nutrition”,W.H.Freedman and CO.,San Francisco,U.S.A.,1969または“Livestock Feeds and Feeding”O and B books,Corvallis,Ore.,U.S.A.,1977)に記載されている。
【0209】
導入方法も再装填式器具または生分解性器具によって供給されうる。タンパク質性生物薬剤を含む薬物の制御送達のための各種の低速放出ポリマー器具が近年開発され、生体内で試験されている。生分解性および非分解性ポリマーの両方を含む多様な生体適合性ポリマー(ハイドロゲルを含む)を使用して、特定の標的部位での化合物の持続放出のためのインプラントを形成できる。
【0210】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者に対する毒性を伴わずに、特定の患者、組成物、および投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るために変化させることができる。
【0211】
選択した投薬レベルは、利用した本発明の特定の化合物、あるいはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与経路、投与時間、利用される特定の化合物の排泄速度、処置期間、利用された特定の化合物と組合せて使用される他の薬物、化合物および/または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状況、全身の健康状態および以前の病歴を含む多様な因子、ならびに医学分野で周知の同様の因子に応じて変化するであろう。
【0212】
当分野の通常の技能を有する医師または獣医師は、要求される医薬組成物の有効量をただちに決定および処方できる。たとえば医師または獣医師は、医薬組成物で利用された本発明の化合物の開始用量を所望の治療効果を達成するために要求される用量よりも低いレベルで開始して、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることができる。
【0213】
一般に本発明の化合物の適切な1日用量は、治療効果を生じるのに有効な最低用量である化合物の量であろう。このような有効用量は一般に、上記の因子に依存するであろう。
【0214】
所望ならば、活性化合物の有効1日用量は、場合により単位投薬形での、1日を通じて適切な間隔で個別に投与される1、2、3、4、5、6個以上のサブ用量として投与されうる。本発明のある実施形態において、活性化合物は1日に2または3回投与されうる。好ましい実施形態において、活性化合物は1日1回投与されるであろう。
【0215】
本処置を受ける患者は、霊長類、特にヒト、およびウマ、ウシ、ブタおよびヒツジなどの他の哺乳類;ならびに家禽およびペットを含む、必要とするいずれかの動物である。
【0216】
ある実施形態において、本発明の化合物は単独で使用されうるか、または別の種類の治療剤と併用して投与されうる。本明細書で使用するように、「併用投与」という句は、先に投与された治療化合物体内でなお有効である間に第2の化合物が投与されるような、2つ以上の別の治療化合物の投与のいずれの形も指す。(たとえば2つの化合物は患者内で同時に有効であり、これは2つの化合物の相乗効果を含みうる)。たとえば異なる治療剤は、同じ調合物で投与されうるか、あるいは同時にまたは連続的に別個の調合物で投与されうるかのどちらかである。それゆえこのような治療を受ける個体は、異なる治療化合物の併用効果から恩恵を受けることができる。
【0217】
ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、MC4のアゴニストと併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、MC4のアロステリック増強剤と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ドーパミン再取り込み阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、MAO−B阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与されうる。本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と併用して投与されうる化合物としては、これに限定されるわけではないが、ブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体が挙げられる。
【0218】
ある実施形態において、前立腺癌に罹患している哺乳類にノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の有効量を投与する工程を含む前立腺癌を処置する方法は、ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)を化学療法剤と併用して投与する工程を含む。ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と併用して投与されうる化学療法剤としては:アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンプトセシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロマイド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられる。
【0219】
多くの併用療法が癌処置のために開発されている。ある実施形態において、ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は併用治療と併用して投与されうる。ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と併用して投与されうる併用療法の例が表1に挙げられる。
【0220】
表1:癌処置用の例示的な併用療法
【0221】
【表1−1】
【0222】
【表1−2】
【0223】
【表1−3】
【0224】
【表1−4】
【0225】
【表1−5】
ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、癌処置の非化学的方法と併用して投与されうる。ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、放射線療法と併用して投与されうる。ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、外科手術と、サーモアブレーションと、集束超音波療法と、または凍結療法と併用して投与されうる。
【0226】
本発明の化合物は対象(たとえば哺乳類、好ましくはヒト)に治療的有効量(用量)で投与されるであろうことが考慮される。「治療的有効量」とは、所望の治療効果(たとえば肥満または摂食障害の処置)を誘発するのに十分である化合物の濃度を意味する。化合物の有効量は対象の体重、性別、年齢、および病歴に従って変わるであろうことが一般に理解される。有効量に影響する他の因子としては、これに限定されるわけではないが、患者の状態の重症度、処置される障害、化合物の安定性、そして所望ならば本発明の化合物と共に投与される別の種類の治療剤が挙げられる。薬剤の複数回の投与によって、より多い総用量が送達されうる。有効性および投薬量を決定する方法は、当業者に既知である(Isselbacherら(1996)Harrison’s Principles of Internal Medicine 13ed.,1814−1882、参照により本明細書に組み入れられている)。
【0227】
本明細書で使用するように、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、本発明の化合物の医薬的に許容される塩を含む。本発明の化合物の医薬的に許容される塩は、たとえば水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどとの各種の溶媒和物としても存在しうる。このような溶媒和物の混合物も調製されうる。一般に溶媒和形は、非溶媒和形と同等であり、本発明の範囲内に含まれる。このような溶媒和物の源は、結晶化の溶媒からであるか、調製または結晶化の溶媒に固有であるか、またはこのような溶媒に付随的でありうる。本発明のある化合物は、複数の結晶または立体異性形で存在しうる。一般にすべての物理形は、本発明によって考慮される用途について同等であり、本発明の範囲内であるものとする。
【0228】
「医薬的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載する化合物に見出される特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的に酸性の官能基を含有するとき、塩基添加塩は、このような化合物の中性形に純粋な、または適切な不活性溶媒中の十分な量の所望の塩基を接触させることによって得られる。医薬的に許容される塩基添加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、またはマグネシウム塩、あるいは同様の塩が挙げられる。
【0229】
本発明の化合物が比較的に塩基性の官能基を含有するとき、酸添加塩は、このような化合物の中性形に純粋な、または適切な不活性溶媒中の十分な量の所望の酸を接触させることによって得られる。医薬的に許容される酸添加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸などの無機酸に由来するものはもちろんのこと、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸に由来する塩も挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(たとえばBergeら、“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19)を参照。本発明のある具体的な化合物は、化合物を塩または酸添加塩のどちらかに変換させる塩基性および酸性官能基の両方を含有しうる。
【0230】
化合物の中性形は好ましくは、塩に塩基または酸を接触させて、親化合物を在来の方法で単離することによって再生される。化合物の親形は、ある物理的特性、たとえば極性溶媒への溶解度が各種の塩と異なるが、そうでなければ塩は本発明の目的で化合物の親形と同等である。
【0231】
詳細な例として、本発明は、ノルフルオキセチンの医薬的に許容される酸添加塩、たとえば(R)−ノルフルオキセチンを含む。ノルフルオキセチンはアミンであるため、本来は塩基性であり、したがって多くの無機または有機塩基と反応して医薬的に許容される酸添加塩を形成する。このような塩を形成するために一般に利用される酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸はもちろんのこと、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、ならびに関連する無機酸および有機酸も挙げられる。それゆえこのような医薬的に許容される塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオアート、ヘキシン−1,6−ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホナート、ナフタレン−2−スルホナート、マンデル酸塩、馬尿酸塩、グルコン酸塩、ラクトビオン酸塩、酒石酸塩および同様の塩が挙げられる。好ましい医薬的に許容される酸添加塩としては、塩酸および臭化水素酸などの鉱酸によって形成された酸添加塩、およびフマル酸、酒石酸およびマレイン酸などの有機酸によって形成された酸添加塩が挙げられる。ある実施形態において、酒石酸は(D)−酒石酸であり、得られた塩は(D)−酒石酸塩である。ある実施形態において、医薬的に許容される塩は(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である。
【0232】
ノルフルオキセチンの医薬的に許容される酸添加塩は通例、ノルフルオキセチンに当モルまたは過剰量の酸を反応させることによって形成される。反応物質は一般にジエチルエーテルまたはベンゼンなどの相互溶媒中で化合され、塩は通常、約1分〜10日以内に溶液から沈殿して、濾過によって単離されうる。
【0233】
実質的に異性体に関して純粋な化合物を調製する方法が当分野で既知である。たとえば本発明の化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、不斉合成によって、または得られたジアステレオマー混合物が分離され、補助基は開裂して純粋な所望のエナンチオマーを提供するキラル補助基による誘導によって調製されうる。あるいは分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩が適切な光学活性酸または塩基によって形成され、当分野で周知の分別結晶またはクロマトグラフィー手段によるこのように形成されたジアステレオマーの分割と、純粋なエナンチオマーの続いての回収が続く。あるいはエナンチオマー濃縮混合物および純粋なエナンチオマー化合物は、キラル中心での立体配置を不変のままにするか、またはその完全反転を生じるかのどちらかの反応と組合せて、エナンチオマーについて純粋な合成中間体を使用することによって調製されうる。特定の立体中心を反転させる、または不変のままにする技法、および立体異性体の混合物を分割する技法は当分野で周知であり、特定の状況に適切な方法を選択することは十分に当業者の能力の範囲内である。概してFurnissら(eds.),Vogel’s Encyclopedia of Practical Organic Chemistry 5th Ed.,Longman Scientific and Technical Ltd.,Essex,1991,pp.809−816;およびHeller,Ace.Chem.Res.23:128(1990)を参照。
【0234】
ノルフルオキセチンは当分野で一般に既知の多数の方法のいずれかによって調製されうる。たとえばノルフルオキセチンのラセミ化合物を作製するための複数の方法が文献に与えられている(米国特許第4,313,896号)。ノルフルオキセチンのラセミ化合物は次に、所望ならばその(S)および(R)成分に標準方法によって分離されうる。特にノルフルオキセチンは、エナンチオマー的に純粋なキラル誘導体化剤と反応され、ジアステレオマー誘導体の異なる物理化学特性に基づいて分離されて、次にノルフルオキセチンの2つの独立したエナンチオマーに変換されうる。この誘導体化を実施する1つの特に好ましい方法は、フルオキセチンが1−(1−ナフチル)エチルイソシアナートの光学活性形と反応してフルオキセチンの尿素誘導体を形成する、Robertsonら、J.Med.Chem.,31,1412(1988)に記載されている方法に類似している。ノルフルオキセチンジアステレオマー尿素の同様の混合物は、高圧液体クロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーに分離されうる。次に個々のジアステレオマーはそれぞれ、ノルフルオキセチンの個々のエナンチオマーに加水分解されうる。
【0235】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムはもちろんのこと、着色料、離型剤、コーティング剤、甘味料、着香料および香料、保存料ならびに抗酸化剤も組成物中に存在しうる。
【0236】
医薬的に許容される抗酸化剤の例としては:(1)水溶性抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、たとえばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファトコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、たとえばクエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0237】
ある実施形態において、本発明は:
a)1mg〜60mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの用量をそれぞれ含む1つ以上の単回投薬形態と;
b)上記のような化学療法剤の1つ以上の単回投薬形態と;
c)(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンおよび化学療法剤の投与についての説明書と;
を含むキットを提供する。
【0238】
本発明は:
a)1mg〜60mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの用量および医薬的に許容される賦形剤をそれぞれ含む1つ以上の単回投薬形態と;
b)肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のための単回投薬形態を投与するための説明書と;
を含むキットを提供する。
【0239】
本発明は:
a)本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)を含む第1の製薬調合物と;
b)次の少なくとも1つ:MC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストを含む、第2の製薬調合物と;
c)第1および第2の製薬調合物の投与についての説明書と;
を含むキットを提供する。
【0240】
本発明は:
a)本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)を含む第1の製薬調合物と;
b)次の少なくとも1つ:ブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体を含む、第2の製薬調合物と;
c)第1および第2の製薬調合物の投与についての説明書と;
を含むキットを提供する。
【0241】
ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載するような調合物またはキットを製造することと、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置に調合物またはキットを使用する利点を医療提供者に販売することとによって、製薬事業を実施する方法に関する。
【0242】
ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載するような調合物またはキットを販売する流通網を用意することと、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置するための調合物を使用するための説明資料を患者または医師に提供することとによって、製薬事業を実施する方法を提供する。
【0243】
ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載するような調合物またはキットを販売する流通網を用意することと、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置するための調合物を使用するための説明資料を患者または医師に提供することとによって、製薬事業を実施する方法に関する。
【0244】
ある実施形態において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に投与される本発明の化合物(たとえば式1〜6の1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の適切な調合物および投薬量を決定することと、動物における有効性および毒性について確認された調合物の治療プロファイリングを実施することと、許容される治療プロフィールを有するとして確認された調製物を販売する流通網を用意することとによって、製薬事業を実施する方法を含む。ある実施形態において、方法は、医療提供者に調製物を販売するための販売グループを用意することも含む。
【0245】
ある実施形態において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に投与される本発明の化合物(たとえば式1〜6の1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の適切な調合物および投薬量を決定することと、第三者に調合物のさらなる開発および販売の権利を許可することとによって、製薬事業を実施する方法に関する。
【実施例】
【0246】
本発明はここで概して説明されており、本発明のある態様および実施形態の例証の目的のためだけに含まれており、本発明を制限するものではない次の実施例への参照により、本発明がより容易に理解されるであろう。
【0247】
(実施例1)
アッセイの開発:
Gタンパク質GqΔGiキメラのcDNAをPCRによって産生して、pcDNA/hygro+ベクター(Invitrogen)のポリリンカー領域内へ挿入した。CHO細胞系におけるGqΔGiキメラタンパク質の安定な発現は、ハイグロマイシン選択の下で産生された。ヒトカンナビノイド1(CB1)cDNAをpcDNA3.1/(+)ベクター(Invitrogen)のポリリンカー領域内へ挿入して、DNAをリポフェクタミン試薬(Invitrogen)を用いてGqΔGi/CHO細胞系内へ導入した。GqΔGiキメラタンパク質によってCB受容体を安定して発現する細胞系は、ハイグロマイシンおよびG418による二重選択によって産生された(Coward,P.ら、1999.Chimeric G proteins allow a high−throughput signaling assay of Gi−coupled receptors.Anal Biochem.270:242−8)。
【0248】
細胞系の最適化は、応答と併せて我々の新規な自動直接サンプル注入システム(DSIS, ‘Direct mixing and injection for high throughput fluidic systems’Patent Application Number 20050249635)を使用する独自の方法によって実施した。細胞内Ca2+(Ca2+i)レベルは、Ca2+キレート蛍光プローブを使用して測定した。ここで我々は単一励起(UV励起源)、デュアルエミッションプローブ、Indo−1(Invitrogen/Molecular Probes)を使用した。
【0249】
図1Aは、Indo−1を装填した細胞の点プロットを示し、アゴニストの添加によって見られる高いCa2+i放出と比較してベースラインにおける低いCa2+i放出を示している。Ca2+iレベルが上昇して、410nmから525nm放出の比が安定した指標を与えたときに、染料装填の程度と基本的には無関係に、Indo−1放出(410nm/525nm)はそれぞれ増加および減少した。我々は、単一細胞系の細胞集団内の個々の細胞の本質的な異質性を利用して、それを選択基準として与えることにより所望の機能アッセイ応答を探求した。この細胞進化手法を使用して、形質移入GPCRタンパク質を所望の機能アッセイ読取値と連結する細胞のサブセットを選択した。楕円は、選別基準として設定されうるゲートの種類を表す。図1Bは、DSISを通過するときの細胞を示す点プレートであり、Indo−1放出を時間(x軸)に対する比(y軸)として示した。ここで我々は、Ca2+iの上昇を伴う2−AGに応答したCB1細胞を選別した。サンプル1および2は、3がアゴニストの存在時(点線長方形)に見られる応答を示す間にベースラインレベルにある。
【0250】
CB1細胞は事前に24〜48時間平板培養して、〜80%コンフルエントでトリプシンによって収集した。細胞を次に遠心分離して、ハイブリドーマ培地に2回再懸濁して、終了時濃度は1x106細胞/mLであった。Indo−1 2μMを添加して、細胞を室温にて回転装置で1時間インキュベートした。細胞を2回洗浄して、ハイブリドーマ培地で2x106細胞/mLの濃度で再懸濁した。CB1アゴニストの2−アラキドニルグリセロール(2−AG、Tocris#1298)を、CB1細胞のEmax濃度の4倍である濃度で調製した。2−AG 20μLを384ウェルプレートの8列に入れた。プローブ装填細胞を次にDSISの細胞懸濁システムに置いて、それらを懸濁状態で維持するために絶えず振とうした。2−AGプレートもDSIS−FACSに移した。
【0251】
選別アッセイを実施するために、DSISは細胞60μLを384ウェルプレート内の2−AGのウェル1個に添加した。これは40μL/秒の注入速度で実施され、このことは細胞を化合物と混合した。サンプルを次にMoFloサイトメータ(Dako−Cytomation)に注入した。Summitソフトウェアを用いて、Indo−1プローブの410nmおよび525nm放出の比を示す点プロットを使用して高いCa2+i応答を示す細胞のゲートを設定した。細胞を各回、45秒間にわたってサイトメータに注入した。本プロセスはすべての細胞が選別されるまで繰り返し継続した。選別基準に合格した細胞を、FBS 2mLを含有する5mL収集管内へ偏向させた。選別が完了したら、細胞を新しい組織培養フラスコに移し、選別された集団を増殖させた。新たな選別されたCB1集団は次に、試験のために調製され、Indo−1を装填され、Ca2+i応答について分析された。70%を超える応答率を有する細胞系が発生されるまで、完全な選別手順を反復した。CB1細胞系では、初期応答率は12%であり、選別3回後に細胞の75%まで上昇した。選別した細胞の集団を収集することに加えて、MoFloサイトメータのサイクロンアダプタは、単一細胞をクローン分別のために96ウェルプレートの各ウェル内に選別した。得られた個々のクローン集団を次にCa2+i応答についてアッセイした。80%のCa2+i応答率を持つ1つのクローンCB1集団を次のスクリーニングアッセイのために選択した。
【0252】
CB1アロステリック調節因子スクリーニング
スクリーニングプロセスは、CB1(クローン)発現細胞系および対照細胞系(CHO GqΔGi細胞)の両方を同時にアッセイした。これは1つの集団をトラッカー染料によって染色することによって実施した。本明細書で使用した系は、ビオチンにコンジュゲートされたリン脂質であるビオチン−X DHPE(Invitrogen/Molecular Probes)による初期処置より構成されていた。リン脂質部分は、ビオチンを細胞表面に露出させたまま細胞膜中へ挿入した。これにストレプトアビジンにコンジュゲートされたAlexa染料による二次処置を続けた。集合を次にそのそれぞれの蛍光シグナチャによって識別した。
【0253】
CB1細胞および対照細胞は事前に24〜48時間平板培養して、〜80%コンフルエントでトリプシンによって収集した。細胞を次に遠心分離して、ハイブリドーマ培地に2回再懸濁して、終了時濃度は1x106細胞/mLであった。両方の細胞系は次にIndo−1 2μMを3μg/mLビオチン−X DHPEと共に装填して、次に室温にて回転装置で1時間インキュベートした。細胞を2回洗浄して、ハイブリドーマ培地で1x106細胞/mLの濃度で再懸濁した。次にCB1細胞系にAlexa 488−ストレプトアビジン(Invitrogen/Molecular Probes)2μg/mlを加えた。細胞を室温にて振とう器でさらに30分間インキュベートした。両方の細胞系を遠心分離して、ハイブリドーマ培地で2回洗浄し、最終再懸濁5x105細胞/mLであった。
【0254】
化合物のNovasiteライブラリを96ウェルV底プレート(Falcon)に設定した。各プレートはカラム2〜11に位置する80の化合物を保持していた。化合物を最初にDMSOに溶解させて、次にPBSで希釈した。最終アッセイプレートは50μM化合物(PBS+1% DMSO中)を20μL/ウェルで有した。カラム1および12はPBS+1% DMSOを含有し、バックグラウンドおよび対照ウェルとして使用された。
【0255】
プローブ装填CB1および対照細胞混合物をDSISの細胞懸濁システムに置いて、それらを懸濁状態で維持するために絶えず振とうした。アロステリック調節因子をスクリーニングするために、我々は受容体の天然リガンドのEC50濃度を対照応答として使用した。毎日、2−AGの新たな一定分量を使用して、用量/応答判定プレートを調製した。30μMから開始して、次に半対数間隔で1nMまで希釈して、10個の2−AG濃度を使用した。それらはプレート内でこれらの濃度の5倍であった。この初期判定のために、DSISをアゴニストモードに設定した。スクリーニングアッセイはCyAnサイトメータ(Dako−Cytomation)で実施した。DSISは細胞80μLを用量/応答プレートの第1のウェルに添加して、混合物を13秒間インキュベートして、次にCyAnに注入した。これを各ウェルについて反復した。DSISソフトウェアのNVSサンプラーはタイミングファイルを記録して、CyAnソフトウェアのSummitはデータファイルを記録した。これらの2つのファイルを次に我々の専用ソフトウェアのNVSアナライザでコンパイルおよび分析して、各濃度に応答した細胞のパーセントを決定した。EC50を決定する非線形回帰曲線適合のために、データをGraphPAD Prismに移した。アロステリックスクリーンを設定するために、用量/応答アッセイに使用したのと同じ一定分量からEC50の5倍の濃度で2−AG 5mLを調製した。
【0256】
アロステリックスクリーニングアッセイは、プリインキュベーションによってアンタゴニストモードに設定したDSISを用いて実施した。細胞を配置して、2−AG(5xEC50)を適切なバイアルホルダーに添加して、最初の化合物プレートを配置した。各プレートを2つのセグメント、列1〜4、次に列5〜8で実験した。各プレートおよびセグメントは各実験の開始時に入力する個別のコードを有していた。本スクリーンのパラメータは、細胞60μLを化合物ウェルに添加した後の2分間のインキュベーションを含んでいた。2−AG 20μLを次にウェルに添加すると、別の13秒間のインキュベートがあった。次に細胞混合物を45秒間の問合せのためにCyAnに注入した。カラム1のウェルは化合物を有さず、アゴニストを与えなかった。これが我々のバックグラウンドまたはベースライン測定値であった。カラム12のウェルは化合物を有さなかったが、2−AGのEC50濃度を与えた。これらは化合物が増強または減弱効果を有するかどうかを判定するために使用する対照ウェルであった。続くプレートはそれに応じてスクリーニングした。
【0257】
分析:
スクリーンが完了したときに、NVSアナライザを使用してデータファイルおよびタイミングファイルを分析した。データをコンパイルしたら、それを我々のActiviyBaseデータベースシステムにエクスポートして、SARgenクエリーツールを最終分析、ヒット検出およびフォーマッティングに使用した。各プレートの対照ウェルの平均応答を決定して、そのセグメントの化合物ウェルをその平均と比較した。対照の平均の±25%を超える反応を誘発した化合物をヒットと判定した。対照細胞系に影響を及ぼしたいずれの化合物もリストから削除した。
【0258】
検証:
1次スクリーンからヒットとして判定された化合物を2次スクリーン用の新たなプレート中に入念に選んだ。これは上のEC50判定で概説したように、DSISをアゴニストモードで使用して実施した。対照およびCB1細胞は、1次スクリーニングアッセイに使用したのと同じプロトコルを使用して調製した。DSISは細胞懸濁物をウェルに添加して、次に分析のために混合物を直接CyAnに移した。これは認知された増強または減弱が化合物のアゴニスト活性のためかどうかを判定するために実施した。我々はCB1受容体のアロステリックアテニュエータ/アンタゴニストを探していたので、我々のヒットリストは1次スクリーンで減弱効果を示した化合物より構成され、2次スクリーンでのアゴニスト応答が不足していた。これらの化合物を次に用量−応答実験で使用した。2−AG用量−応答判定プレートを上で概説したように調製して、興味のある化合物を用いて、または用いずに実験した。図2は、化合物7を用いた、または用いない2−AGに対するCB1、CB2およびCHO対照細胞の用量応答曲線を与える。化合物7は、アロステリックアテニュエータまたはアンタゴニストを示す、CB1への2−AG応答の右方移動を誘発した。CB2受容体保持細胞では効果は見られなかった。この点で、データがCB2受容体よりもCB1受容体に対して潜在的なアテニュエータまたはアンタゴニスト活性および選択性を示したので、化合物7をさらなる検証のために選択した。
【0259】
解離動力学アッセイは、96ウェル・プレート・フォーマットでヒトCB1受容体を安定して発現するCHO−k1細胞膜を使用して、50mM Tris−HCl、pH 7.4、3mM MgCl2、1mM EDTA、0.2% BSAを含有する結合緩衝液中で非選択的カンナビノイド受容体アゴニスト([3H]CP 55,940)(0.75nM)によって実施した。CB1受容体膜(10μg/ウェル)を100μl結合緩衝液中の0.75nM[3H]CP55,940によって、室温で2時間インキュベートした。解離は、異なる濃度の化合物(化合物7)の非存在下または存在下で、結合緩衝液中の未標識CP55,940(10μM)100μlの添加によって開始した。解離は室温にて指定時間にわたって実施した。非特異性結合を判定するために、10μM未標識CP55,940の存在下での実験も実施した。結合は冷結合緩衝液の添加によって終了させて、サンプリングマニホールドを用いてWhatman GF/Bガラスファイバフィルタで濾過した。フィルタを冷結合緩衝液で6回洗浄して、一晩空気乾燥させた。シンチレーション液の添加後に、放射能をTopCounter(PerkinElmer)で定量した。特異性結合は、10μM未標識CP55,940の存在下および非存在下での結合の差として定義した。図3は、化合物7が[3H]CP55,940の解離速度に対して効果を持たないことを示す。これは化合物がアンタゴニストまたは逆アゴニストのどちらかであるが、アロステリック調節因子でないことを示した。
【0260】
[35S]GTPγS結合アッセイは、96ウェルScintiPlate(PerkinElmer)においてヒトCB1受容体を安定に発現するCHO−k1細胞膜を用いて実施した。膜(12.5μg/ウェル)を結合緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、100mM NaCl、3mM MgCl2、0.2mM EDTA、0.2% BSAおよび10μM GDP)中の化合物7によって30℃にて30分間プレインキュベートして、次に各種の濃度のアゴニスト(WIN55212−2またはCP55,940)および[35S]GTPγS(0.2nM)を最終体積200μlで加えた。反応は30℃にて60分間実施して、15分間にわたる37000rpmでのプレートの遠心分離を続けた。上清を除去した後、放射能をTopCounterで定量した。データはプログラムGraphPAD Prismを使用して非線形回帰によって分析して、図4および5に示す。図4は、CB1細胞系と共にアゴニストとしてCP55940を使用する化合物7のpA2推定がアゴニストに対するアロステリック効果を補助しないことを示す。図5は、化合物7に[35S]GTPγS結合アッセイを受けさせることによって、アンタゴニスト活性と逆アゴニスト活性との間の試験の結果を示す。結果は、化合物7が逆アゴニスト活性を示し、応答を基底レベル以下に低下させたことを示す。
【0261】
競合リガンド結合アッセイは、96ウェル・プレート・フォーマットでヒトCB1受容体を安定して発現するCHO−k1細胞膜またはマウス脳膜調製物を使用して、50mM Tris−HCl、pH7.4、3mM MgCl2、1mM EDTA、0.2% BSAを含有する結合緩衝液中で非選択的カンナビノイド受容体アゴニスト([3H]CP55,940)(0.75nM)によって実施した。受容体膜(10μg/ウェル)を、最終体積100μlの0.75nM[3H]CP55,940の添加前に、結合緩衝液中の異なる濃度の試験化合物によって室温にて30分間プレインキュベートした。結合は室温にてさらに2時間実施した。非特異性結合を判定するために、10μM未標識CP55,940の存在下での実験も実施した。結合は冷結合緩衝液の添加によって終了させて、サンプリングマニホールドを用いてWhatman GF/Bガラスファイバフィルタで濾過した。フィルタを冷結合緩衝液で6回洗浄して、一晩空気乾燥させた。シンチレーション液の添加後に、放射能をTopCounter(PerkinElmer)で定量した。特異性結合は、10μM未標識CP55,940の存在下および非存在下での結合の差として定義した。データはプログラムGraphPAD Prismを使用して非線形回帰によって分析して、図6および7に示す。図6は、化合物7がヒトおよびマウスCB1受容体に異なる結合特性を示したことを示す。[3H]CP55,940の結合は、ヒトCB1細胞膜では部分的に阻害されたが、マウス脳膜ではほぼ完全に阻害された。図7は、化合物7がマウスCB1(マウス脳膜)へのアゴニスト(CP55940)およびアンタゴニスト/逆アゴニスト(SR141716)結合の両方を阻害したことを示す。
【0262】
(実施例2)
食餌誘発肥満を示すオスCB57L/6Jマウスの体重、食物および水摂取に対する処置Xおよび処置Yの効果
本試験の目的は、処置X、塩酸R−ノルフルオキセチンおよび塩酸ブプロピオンの1:1 w:w併用と、処置Y、R−ノルフルオキセチンおよびMC4アロステリック増強剤の併用の反復投与が、高脂質食餌のために肥満を示しているCB57L/6Jマウスにおける体重ならびに日常食物および水摂取を変化させるかどうかを調査することであった。現在臨床的に使用されているシブトラミンと、肥満管理について最近規制認可を得たリモナバントを基準化合物として使用した。
【0263】
動物:
65匹のC57BL/6Jマウス(7〜8週齢)をCharles River,Margate,Kentから注文した。マウスをポリプロピレンケージにグループで収容して、高脂質食餌(D12451、脂質から供給されるKcal 45%;Research Diets,New Jersey,USA)および水道水に常時、自由に接近できるようにした。動物は、21±4℃、湿度55±20%にて、順相12時間の明暗サイクル(04:40時に点灯)で維持した。
【0264】
実験手順:
動物を高脂質食餌に16週間接触させた。この時間中に体重を毎週記録した。14週の終りに、動物をポリプロピレンケージにさらに2週間の期間(第14〜16週)にわたって1匹ずつ収容して、逆相照明(9:30〜17:30時の8時間にわたって消灯)に配置して、この期間中に部屋を赤色灯によって照明した。動物にはベースライン期間中にビヒクルを経口投薬した。体重ならびに食物および水摂取を毎日記録した。ベースライン期間の終りに向かって、動物を7グループのうちの1つに割り当てた(下の表2を参照)。ベースライン期間の完了時に、マウスにビヒクルまたは試験薬を後述のように28日間にわたって投薬した。
【0265】
表2
【0266】
【表2】
体重ならびに食物および水摂取を毎日記録した。薬物投与の後に動物を検査して、いずれの明白な挙動も記録した。すべての投薬で、午前中のセッションは、マウスのほぼ半分が消灯時に投薬されるように計時した(09:30)。
【0267】
薬物:
試験化合物は1%メチルセルロースに溶解させた。薬物は投薬の1〜2時間前に毎日新しく作製して、1〜3ml/kgの範囲の用量体積を用いて投与した。薬物用量は遊離塩基として表現した。
【0268】
データおよび統計解析:
得られた体重、食物摂取および水摂取は、平均値±平均値の標準偏差として表現され、平均値の標準偏差は統計モデルの残渣から計算した。体重データは、第1日を共変動として用いてANCOVAによって、続いて適切な比較(両側)によって解析して、対照グループからの有意差を決定した。P<0.05は、統計的に有意であると見なされた。1日の食物および水摂取データをANOVAによって解析した。
【0269】
図8は、食餌誘発肥満オスC57BL/6Jマウスの体重に対する処置X、処置Y、シブトラミンおよびリモナバントの経口投与の結果を示す。薬物処置は第1日に開始した。処置X、処置Y、およびリモナバントはすべて、Dunnettの検定によって評価されたように(p<0.001)、第29日にビヒクルと比較して統計的に有意な体重減少を示した。20mg/kgおよび40mg/kgでの処置Xの投与は、14および16%の体重減少をそれぞれ示した。これは20mg/kgで投与したシブトラミンでのわずか2%の体重減少に匹敵し、10mg/mgで投与したリモナバントの15%の体重減少に匹敵する。20mg/kgおよび40mg/kgでの処置Yの投与は、11および14%の体重減少をそれぞれ示した。
【0270】
(実施例3)
マウス食物摂取に対する試験化合物の急性的投与の効果
本試験の目的は、各種の比のブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチンの、味の良い湿式餌(wet mash)食餌を毎日与えられることに慣れさせたオスC57BL/6Jマウスにおける体重ならびに食物および水摂取に対する効果を調査することであった。リモナバントを基準化合物として使用した。動物は順相照明で維持した。試験化合物を経口投与して、次の24時間にわたって測定を実施した。すべての実験は適切なビヒクル処置対照グループを含んでいた。
【0271】
物質および方法
62匹のオスC57BL/6Jマウス(体重範囲20〜25g)はHarlan UK,Bicester,UKより注文した。マウスを21±40℃および湿度55%±20%にて、ポリプロピレンケージに個別に収容した。動物は順相明暗サイクル(19:00〜07:00時の12時間は消灯)で維持して、その時間中に部屋を赤色灯で照明した。動物を標準的なペレット状のげっ歯類食餌および水道水に常時、自由に接近できるようにした。加えて動物を、ケージ床上の皿に配置した湿式餌食餌(1部粉末固形飼料:1.5部水道水)の毎日の提示に慣れさせた。動物をこれらの条件下で、実験開始前の少なくとも10日間にわたって維持した。
【0272】
実験手順:
通例、急性的試験は毎週実施して、各試験は60匹の動物を含有していた。試験の前日に、実験動物を適切な処置グループに無作為に割り当てた。動物を秤量して、2時間の湿式餌摂取を計算した(最も近い0.1gまで)。簡単な所内データおよび統計解析を実施して、ベースラインにて処置グループ間にいずれかの有意差があるかどうかを調査した。動物を必要ならば異なるグループに再度割り当てて、いずれの有意差も解消して、グループが薬物処置前にバランスが取れるようにした。
【0273】
試験日に、動物をホームケージから短時間取り出して、秤量し、ビヒクル、試験化合物、または陽性対照のいずれかを投薬した。下の表は、試験の代表的な2週間の期間にわたって各種の処置グループを説明している。
【0274】
表3:第1週
【0275】
【表3】
表4:第2週
【0276】
【表4】
試験化合物の最大用量が以前に生体内で試験されていない場合、マウス2匹を使用するパイロット試験を最初に開始してその化合物が許容されることを試験した。
【0277】
薬物投与は、ほぼ午前9:30であった「湿式餌」の提示の60分前に行った。薬物投与時に、食物ペレットを取り出して、水ボトルを秤量した(最も近い0.1gまで)。湿式餌および水ボトルを提示の1、2、および4時間後に秤量した。湿式餌は4時間の時点で新しい量の湿式餌と交換した。湿式餌および水ボトルの重量を6時間の時点で再秤量した。湿式餌は6時間の時点で既知の量の標準ペレットと交換した。食物ペレット、水ボトル、および動物を投薬24時間後にも秤量した。動物の異なるグループの食物および水摂取量を同時に測定した。動物を各読取時に監視して、いずれの明白な薬物誘発挙動効果を記録した。動物は、異なる処置グループにランダム化して、異なる処置間での薬物を与えない少なくとも6日間のウォッシュアウト期間の後に再使用できた(合計で最大8回まで)。
【0278】
薬物:
すべての薬物溶液を3ml/kgの投薬体積で与えた。
【0279】
処置Aは、10:1重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0280】
処置Bは、1:4重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0281】
処置Cは、1:6重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0282】
処置Dは、1:10重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0283】
データおよび統計解析:
結果(0、24時に体重(g);24時間にわたる体重変化(g);1、2、4、6および24時ならびに1〜2時、2〜4時、4〜6時の間の食物および水摂取)は、平均値±平均値の標準偏差として表した。食物および水摂取はgで表した。利用した正確な統計方法は、得られたデータによって変わった;しかしながらマウスの異なるグループの食物および水摂取と体重との間の統計的比較は通常、分散分析と、続く複数回の比較試験(両側)によって行った。P<0.05は、統計的に有意であると見なされた。
【0284】
図9は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Aと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。**はp<0.01を表す;そして***はP<0.001を表す。
【0285】
図10は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Aと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析によって解析した。ビヒクルに対する有意差は観察されなかった。
【0286】
図11は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Bと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を表す;**はp<0.01を表す;そして***はP<0.001を表す。処置Bは、40mg/kgで経口投薬されたときに、湿式餌摂取を著しく減少させた。処置Bが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して平均湿式餌摂取の少なくとも25%の減少が1、2、および4時間の時点で観察された。
【0287】
図12は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Bと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はP<0.001を示す。処置Bは、40mg/kgで経口投薬されたときに、24時間の体重増加を著しく減少させた。40mg/kgで経口投薬された処置Bは、24時間の体重増加をビヒクルより少なくとも200%減少させた。
【0288】
図13は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を表す;そして**はp<0.01を表す。処置Cは、湿式餌摂取に著しい観察された効果をもたらさなかった。
【0289】
図14は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での湿式餌の消費に対する効果の間隔データを示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を示す。
【0290】
図15は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)の1日食物摂取に対する効果を示す。データは一元配置分散分析によって解析した。ビヒクルに対する有意差は観察されなかった。
【0291】
図16は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)の体重に対する効果を示す。データは一元配置分散分析によって解析した。ビヒクルに対する有意差は観察されなかった。
【0292】
図17は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。**はP<0.001を示す。処置Cは、40mg/kgで経口投薬されたときに、24時間の体重増加を著しく減少させた。処置Cは、40mg/kgで経口投薬したときに、ビヒクルによって体重の変化が本質的にないことと比較して、少なくとも0.5gの平均体重の減少を示した。
【0293】
図18は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はp<0.001を示す。処置Dは、40mg/kgで経口投薬されたときに、湿式餌の消費を著しく減少させた。処置Dが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して平均湿式餌摂取の少なくとも50%の減少が1、2、および4時間の時点で観察された。処置Dが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して平均湿式餌摂取の少なくとも30%の減少が6時間の時点で観察された。
【0294】
図19は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での湿式餌の消費に対する効果の間隔データを示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を表す;**はp<0.01を表す;そして***はP<0.001を表す。
【0295】
図20は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)の1日食物摂取に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はP<0.001を示す。処置Dは、40mg/kgで経口投薬されたときに、1日食物摂取を著しく減少させた。処置Dが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して1日食物摂取の少なくとも25%の減少が観察された。
【0296】
図21は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はP<0.001を示す。処置Dは、40mg/kgで経口投薬されたときに、24時間の体重増加を著しく減少させた。40mg/kgで経口投薬された処置Dは、24時間の体重増加をビヒクルより少なくとも300%減少させた。
【0297】
(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩を単独で上に概説したプロトコルに従って投薬すると、体重増加および湿式餌摂取の減少を示したが、R−ノルフルオキセチンとブプロピオンとの併用によって見られるほどの減少ではなかった。
【0298】
参照による組み入れ
本明細書で言及したすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許それぞれが参照により組み入れられることが詳細および個別に指示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が制御する。
【0299】
等価物
本発明の詳細な実施形態が議論されたが、上の明細書は例示的であり、制限的ではない。本発明の多くの変形は、本明細書および下の請求項の検討時に当業者に明らかになるであろう。本発明の全範囲は、等価物の全範囲と共に請求項への、そしてこのような変形と共に明細書への参照によって決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0300】
【図1】図1Aは、Indo−1を装填した細胞のCa2+i放出を示す。図1Bは、2−AGに応答したCB1細胞をCa2+iの上昇と共に示す。
【図2】化合物7の潜在的なCB1アテニュエータ/アンタゴニスト活性およびCB2受容体に勝るCB1受容体の選択性を示す。
【図3】[3H]CP 55940の解離速度に対して化合物7が有する効果の不足を示す。
【図4】CP 55940をアゴニストとしてCB190細胞系と共に使用する、化合物7のpA2推定を示す。
【図5】化合物7の[35S]GTPγS結合アッセイを示す。
【図6】ヒトおよびマウスCB1受容体における化合物の結合特性を示す。
【図7】化合物7によるマウスCB1に対するアゴニストおよびアンタゴニスト結合の阻害を示す。
【図8】食餌誘発肥満マウスの体重に対する処置X、処置Y、シブトラミンおよびリモナバントの経口投与の結果を示す。
【図9】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Aおよびリモナバントの効果を示す。
【図10】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Aおよびリモナバントの効果を示す。
【図11】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Bおよびリモナバントの効果を示す。
【図12】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Bおよびリモナバントの効果を示す。
【図13】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図14】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Cおよびリモナバントの効果の中間データを示す。
【図15】痩せたオスC57BL/6Jマウスの1日食物摂取に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図16】痩せたオスC57BL/6Jマウスの体重に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図17】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図18】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Dおよびリモナバントの効果を示す。
【図19】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Dおよびリモナバントの効果の中間データを示す。
【図20】痩せたオスC57BL/6Jマウスの1日食物摂取に対する処置Dおよびリモナバントの効果を示す。
【図21】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Dおよびリモナバントの効果を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2006年2月21日に出願された表題「TREATMENT OF OBESITY AND EATING DISORDERS WITH NORFLUOXETINE」の米国仮出願第60/775493号、2006年4月6日に出願された表題「CB1 ANTAGONISTS AND INVERSE AGONISTS」の米国仮出願第60/790064号、2006年6月30日に出願された表題「CB1 ANTAGONISTS AND INVERSE AGONISTS」の米国仮出願第60/817835号、および2006年10月13日に出願された表題「TREATMENT OF OBESITY AND EATING DISORDERS WITH NORFLUOXETINE」の米国仮出願第60/851676号の利益を主張する。上記の出願の教示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
肥満
国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES III,1988〜1994))によると、米国の男女3人に1人から2人に1人が過体重である。米国では、20歳以上の男性の60パーセント、女性の51パーセントが過体重または肥満のどちらかである。加えて米国では高いパーセンテージの子供が過体重または肥満である。
【0003】
肥満は複雑な原因の状況である。ますます多くの証拠が、肥満は自己制御の単純な問題ではなく、食欲調節およびエネルギー代謝を含む複雑な障害であることを示唆している。加えて、肥満は集団当たりの罹患率および死亡率の上昇に関連する各種の状況と関連している。肥満の病因は決定的には確立されていないが、遺伝的、代謝的、生化学的、文化的および心理社会的因子が寄与すると考えられている。一般に肥満は、過剰な体脂肪が個体を健康上のリスクにさらす状況として説明されてきた。
【0004】
肥満が罹患率および死亡率の上昇と関連している強力な証拠がある。疾患リスク、たとえば心血管疾患リスクおよび2型糖尿病リスクは、上昇するボディマスインデックス(BMI)とは無関係に上昇する。実際にこのリスクは、24.9を超えるBMIの各ポイントで、女性では心臓病のリスクの5パーセントの上昇として、男性では心臓病のリスクの7パーセントの上昇として数量化されている(非特許文献1;非特許文献2)。加えて、肥満者の減量が重要な疾患リスク因子を低下させるという実質的な証拠がある。過体重成人および肥満成人両方での初期体重の10%などのわずかな減量でさえ、高血圧症、高脂血症および高血糖症などのリスク因子の低下と関連している。
【0005】
食餌および運動は体重増加を減少させる簡単なプロセスを与えるが、過体重者および肥満者は、効果的に減量するためにこれらの因子を十分に制御できないことが多い。薬物療法が利用可能である;包括的な体重減少プログラムの一部として使用されうる複数の減量薬が食品医薬品局によって承認されている。しかしながらこれらの薬物の多くは深刻な副作用を有する。低侵襲的な方法が失敗して、患者が高リスクで肥満関連罹患率および死亡率に瀕しているときに、減量手術は臨床的に深刻な肥満を持つ慎重に選択された患者では選択肢である。しかしながらこれらの処置は高リスクであり、限定された数の患者のみでの使用に適している。
【0006】
減量したいと思うのは肥満対象だけではない。体重が推奨範囲内の、たとえば推奨範囲の上部の人々は、体重を減量したい、体重を理想体重に近づけたいと思っているかもしれない。それゆえ過体重および肥満対象における効果的な減量を生じさせるために使用されうる薬剤への要求が残存している。
【0007】
摂食障害
神経性過食症(「神経由来の雄ウシ様空腹感」)は、1970年代初期に精神障害として確認されたが、当時のより認識されていた摂食障害の神経性食欲不振の「悪い」変形と見なされた。摂食障害研究での続いての発展は、多くの神経性食欲不振患者が過食であるか、過食になりうるが、神経性過食症は明確な一連の臨床的に定義された症状および挙動を伴う別個の障害であることを示している。神経性食欲不振障害は一般に、深刻なカロリー摂取制限によって通常もたらされる、最小限の正常体重を維持することの個体による拒絶によって特徴付けられる。対照的に、神経性過食症および過食症関連摂食障害は一般に、反復される過食の発症と、続いての不適切で不健康な代償行為、たとえば自己誘発嘔吐;下剤、利尿剤、または他の薬剤の誤用;絶食または過剰な運動によって特徴付けられる。
【0008】
神経性過食症は病因が未知であるが、集団の比較的大部分に影響を及ぼす。Diagnostic and Statistical Manual of Eating Disorders,4thed.,(DSM−IV)は、神経性過食症の罹患率が思春期および若年成人女性集団で1%〜3%であり、男性集団では罹患率がその10分の1であることを報告している。これらの集団での過食症型摂食障害の罹患率に関する信頼できる統計はないが、率は神経性過食症と同様か、またはそれ以上であると考えられる。神経性過食症は、米国、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、日本、ニュージーランドおよび南アフリカを含む大半の先進工業国でほぼ同様の頻度で発生することが報告されている。それゆえ先進工業国の女性集団では、神経性過食症は、1.5%の率で発生する統合失調症および1.3%の率で発生する大うつ病性障害などの、他の主要な精神障害と少なくとも同じくらい一般的である。
【0009】
神経性過食症の本質的な特徴は、過食および体重増加を予防する不適切な補償方法を伴う、知覚の混乱および体形および体重への高レベルの没頭である。他の特徴的な行為は、神経性過食症の診断をもたらす身体的および心理的症状と同様に当分野で既知であり、DSM−IVの545〜550頁に詳説されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。
【0010】
神経性過食症の診断基準は非常に明確である;神経性過食症の診断では、個体は特定の行為および心理的症状を所定の頻度で示す必要がある。不規則な摂食習慣を行う個体はしばしばこれらのDSM−IV基準を満足しないが、過食と、続いての補償行為および過度の体形への没頭を含む、神経性過食症と診断された個体に一般的な行為および思考パターンを示す。これらの個体は、特定不能過食症型摂食障害(摂食障害N.O.S.)を有するとしてDMS−IVによって定義されている。過食症型摂食障害N.O.S.を定義する具体的な臨床基準は当分野で周知であり、DSM−IVの550頁に詳載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。
【0011】
神経性過食症または過食症型摂食障害N.O.S.の発症の平均年齢は、青年期後期および小児期早期である。罹患している人々の圧倒的大部分、約98%は若年女性である。症例の高いパーセンテージで、乱れた摂食行為が数年にわたって持続する。神経性過食症の回復率は、38%〜46%と報告されている。神経性過食症の長期結果は不明であるが、事例証拠は再発が一般的であることを示唆している。
【0012】
摂食障害個体の早期の疫学的および家族研究は、このような障害と気分障害との間の明らかな関連を証明した。この初期の観察は、臨床および生理学的データによってさらに強化されている。たとえば神経性過食症と診断された個体の研究は、大うつ病性障害を含む、第I軸精神障害の併存診断を高い頻度で示した。さらに摂食障害の病態生理学的ベースへの研究は、摂食障害個体のセロトニン作動性系の混乱に関わり、神経伝達物質系も気分障害で役割を果たすと考えられている。神経性過食症および過食症型摂食障害N.O.S.と気分および不安障害との複数の関連のために、神経性過食症および過食症型摂食障害N.O.S.に対して考案された処置方法の大半は、これらの疾患のために開発された処置手法から開発されたか、または処置手法に関連している。実際に、科学文献の簡潔な調査は、神経性過食症および過食症型摂食障害N.O.S.は気分または不安障害として臨床的に定義されないが、それらは抗うつ薬、たとえばフルオキセチン、イミプラミンおよびトラゾドンによって頻繁に処置されることを明らかにしている。副作用を誘発しない用量で神経性過食症を処置する必要性が残存している。
【0013】
食物への食欲の欠如または消失として定義される食欲不振(Dorland’s Illustrated Medical Dictionary,24 edition,W.B.Saunders Company,Philadelphia,1965)は、多くの病因を有する。それは一般に体質的な障害、全身的な健康障害および栄養失調の状態である悪液質に関連付けられる。食欲不振および悪液質に関連付けられた状況の一般的な例は、神経性食欲不振、ある感染性疾患、および悪性腫瘍である。
【0014】
神経性食欲不振は、主に13〜30歳の年齢範囲の女性(94〜96%)が罹患する深刻な精神障害である。1%(非特許文献3)〜3%(非特許文献4)の若年女性が罹患しうる。本状況による罹患率および死亡率は考慮すべきである。診断から2年間で4〜6%は死亡して、50%のみが正常な体重を達成している。多数の内分泌および代謝異常が存在して、その大半が栄養失調に二次的であると考えられている。状況の深刻な合併症は、脊柱および末梢骨の両方を含みうる骨粗鬆症である。現在、神経性食欲不振には特別な処置はないが、多くの手法が試されてきた(非特許文献5)。食欲不振の改善された処置が必要である。
【0015】
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドローム(「シンドロームX」、「代謝不全症候群」、「肥満症候群」、および「リーベン症候群」としても既知)がますます大きな問題として出現した。たとえばメタボリックシンドロームは、米国で次第に一般的になってきている。米国で約4700万人の成人がメタボリックシンドロームを有すると推定されている。
【0016】
メタボリックシンドロームは一般に、インスリン抵抗性の原発性疾患からすべて生じる、またはそれに関連する代謝障害の一群である。したがってメタボリックシンドロームは時には、「インスリン抵抗性症候群」と呼ばれる。インスリン抵抗性は、体がインスリンを効率的に使用できず、体組織がインスリンに正常に応答しない障害を特徴とする。結果として、インスリンレベルは、体がインスリンに対する抵抗性を克服しようという試みにおいて上昇するようになる。上昇したインスリンレベルは、直接または間接的に他の代謝異常に至る。
【0017】
一部の人々は遺伝的にインスリン抵抗性への傾向があるが、他の人々はインスリン抵抗性に至る因子を獲得する。獲得された因子、たとえば過剰な体脂肪および運動不足はインスリン抵抗性を、より広範には臨床的メタボリックシンドロームを誘発する。インスリン抵抗性とメタボリックシンドロームの本関係のために、本シンドロームの基礎となる原因は肥満、運動不足および遺伝的因子と考えられる。実際にインスリン抵抗性およびメタボリックシンドロームを持つ大半の人々は、中心性肥満(腹部およびその周囲に過剰な脂肪組織)を有する。インスリン抵抗性と代謝リスク因子との分子レベルでの生物学的機構は、まだ十分に理解されておらず、複雑であると思われる。
【0018】
メタボリックシンドロームは通例、1)中心性肥満;2)アテローム性異脂肪血症(動脈壁にプラーク蓄積を生成させる主に高トリグリセリド(「TG」)および低HDLコレステロール(本明細書では互換的に「HDL」と呼ばれる)を含む、血中脂肪障害);3)血圧上昇;4)インスリン抵抗性および耐糖能異常(体がインスリンまたは血糖を適正に使用できない);5)プロトロンビン状態(たとえば血中の高フィブブリノゲンまたはプラスミノゲン活性化因子阻害物質);および6)炎症誘発性状態(たとえば血中の高感受性C反応性タンパク質の上昇)を含む代謝リスク因子の群を特徴とする。The National Cholesterol Education Program(NCEP)Adult Treatment Panel(ATP)IIIガイドラインは、メタボリックシンドロームを次の5つの臨床パラメータによって定義している:a)男性は102cm、女性は88cmを超える腰囲;b)150mg/dlを超えるトリグリセリドレベル;c)男性では40mg/dl未満の、女性では50mg/dl未満のHDLコレステロール;d)130/85mmHg以上の血圧;およびe)110mg/dlを超える空腹時血糖値。
【0019】
しかしながら米国心臓協会によれば、メタボリックシンドロームを診断するために十分に認められた基準はない。一部のガイドラインは、メタボリックシンドロームが4つの一般的な因子:肥満;糖尿病;高血圧;および高脂質を含むことを示唆している。上のNCEP ATP IIIガイドラインによれば、これらの5つの因子のうち少なくとも3つが、メタボリックシンドロームの医学的診断を満足している。
【0020】
各因子の個々のリスクまたは蔓延について完全な合意はないが、メタボリックシンドロームは当業者によって一般に合意されているように、個体に著しい健康上のリスクを引き起こす。メタボリックシンドロームに関連する1つの因子を有する人は、残りの因子の1つ以上を有するために高まったリスクを有する。より多くの因子が存在するほど、人の健康に対するリスクは大きくなる。因子が群、たとえばメタボリックシンドロームとして存在するとき、心血管疾患および早死のリスクは非常に高い。
【0021】
たとえばメタボリックシンドロームを有する人は、冠状動脈性心疾患、動脈壁へのプラーク蓄積に関連する他の疾患(たとえば脳卒中および末梢血管疾患)、前立腺癌、および2型糖尿病のより高いリスクに瀕している。糖尿病が発生するときに、心血管合併症の高いリスクが上昇することも既知である。
【0022】
一般にメタボリックシンドロームに罹患している患者は、ライフスタイルの変更、たとえば運動の増加および健康食への変更を指示される。運動および食餌プログラムの目標は、年齢および身長について計算した「理想」体重の20%以内に体重を減少させることである。
【0023】
一部の症例では、食餌および運動計画には脂質異常、凝固障害、および高血圧の処置が補足される。たとえばメタボリックシンドロームの患者は通例、血管内で血栓をより容易に形成させるいくつかの凝固障害を有する。これらの血栓は、心臓発作を発症させる増悪因子であることが多い。メタボリックシンドロームを持つ患者は、このような凝血事象を解決するのに特に役立つ毎日のアスピリン療法を定められることが多い。さらに高血圧はメタボリックシンドロームを持つ人々の半分以上に存在し、インスリン抵抗性の状況では、高血圧は特に重要なリスク因子である。一部の研究は、糖尿病患者の高血圧を上手に処置することが相当な量の死亡および心臓病のリスクを低下させうることを示唆している。加えて、患者は特にLDLコレステロール(本明細書では互換的に「LDL」と呼ぶ)を低下させて、トリグリセリドレベルを低下させ、HDLレベルを上昇するために処置されている。本シンドロームの増加する蔓延を考慮すると、メタボリックシンドロームのさらなる効果的な処置への必要性が残存している。
【非特許文献1】Kenchaiahら、N.Engl.J.Med.(2002)347:305
【非特許文献2】Massie,N.Engl.J.Med(2002)347:358
【非特許文献3】Crispら、128 Br.J.Psychiatry(1976)549
【非特許文献4】Ballotら、59 S.Afr.Med.J.(1981)992
【非特許文献5】Piazza,Piazza & Rollins Compr.Psychiatry(1980)21:177−189
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0024】
(要旨)
本発明は、哺乳類の肥満を処置する方法に関するものである。本発明はさらに、肥満に関連する代謝性リスク因子、たとえば高血圧、糖尿病および異脂肪血症を最小限に抑える方法に関する。一実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその塩あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0025】
本発明は、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は神経性食欲不振の処置が必要な哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0026】
本発明は、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法にも関する。一実施形態において、方法は神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害の処置が必要な哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0027】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、D2アゴニストと併用して投与される。
【0028】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、またはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害の処置のために、ブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与される。
【0029】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0030】
別の態様において、本発明は、抗精神病治療の必要な患者の肥満を治療する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者の肥満を処置する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。
【0031】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つまたはその塩、あるいは化合物またはその塩の溶媒和物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0032】
本発明は、哺乳類の前立腺癌を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は前立腺癌の処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明は、哺乳類の肥満を処置する方法に関するものである。本発明はさらに、肥満に関連する代謝性リスク因子、たとえば高血圧、糖尿病および異脂肪血症を最小限に抑える方法に関する。一実施形態において、方法は、このような処置が必要な哺乳類に式1〜6のいずれか1つの化合物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効な抗肥満用量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0034】
本発明は、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は、神経性食欲不振の処置が必要な哺乳類に式1〜6のいずれか1つの化合物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0035】
本発明は、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法にも関する。一実施形態において、方法は、神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害の処置が必要な哺乳類に式1〜6のいずれか1つの化合物の有効量を投与する工程を含む。別の実施形態において、方法はこのような処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。
【0036】
ノルフルオキセチンの有効量が肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に投与される本発明の方法のある実施形態において、対象(たとえば哺乳類、好ましくはヒト)に投与される化合物(たとえばノルフルオキセチン)の治療的有効量(用量)が1mg/日〜100mg/日、1mg/日〜60mg/日、1mg/日〜40mg/日、またはなお1mg/日〜10mg/日の範囲であろうことが考慮される。一般に、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のための治療的有効用量は、大うつ病性障害または強迫性障害の処置のための治療的有効用量よりも少ない。
【0037】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、D2アゴニストと併用して投与される。
【0038】
ある実施形態において、上記のようなアゴニストまたはアンタゴニスト(たとえばドーパミンアゴニスト)は、完全または部分アゴニストまたはアンタゴニストのどちらかでありうる。
【0039】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0040】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをメチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、またはアポモルフィンと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。
【0041】
別の態様において、本発明は、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。
【0042】
本明細書で使用するように、別途指摘しない限り、薬物の一般名は化学化合物ならびにその医薬的に許容される塩およびエナンチオマー形を表すために使用される。たとえば「ブプロピオン」という用語は、いずれの酸添加塩、遊離塩基、ラセミ混合物、ならびに精製された(R)および(S)エナンチオマーを含むために使用されるであろう。
【0043】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0044】
ある実施形態において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをブプロピオンと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のために(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、方法は、モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む。
【0045】
(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンおよびブプロピオンは、1:1〜20:1の、2:1〜20:1の、4:1〜20:1の、あるいはなお6:1〜20:1の範囲のモル比で投与される。
【0046】
(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩および塩酸ブプロピオンは、1:1〜20:1の、4:1〜20:1の、6:1〜20:1の、あるいはなお10:1〜20:1の範囲の重量比で投与される。
【0047】
(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、塩酸(R)−ノルフルオキセチンおよび塩酸ブプロピオンは、1:1〜20:1の、2:1〜20:1の、4:1〜20:1の、あるいはなお6:1〜20:1の範囲の重量比で投与される。
【0048】
肥満の処置のために(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、哺乳類は禁煙も行っていない。
【0049】
別の態様において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをモキソニジンまたはその医薬的に許容される塩と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法を提供する。
【0050】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0051】
別の態様において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、D2アゴニストと併用して投与される。
【0052】
ある実施形態において、上記のようなアゴニストまたはアンタゴニスト(たとえばドーパミンアゴニスト)は、完全または部分アゴニストまたはアンタゴニストのどちらかでありうる。
【0053】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0054】
別の態様において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、またはアポモルフィンと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、ブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与される。メタボリックシンドロームに関連する障害の処置または予防のために、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストがブプロピオンあるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体と併用して投与されるある実施形態において、障害は肥満ではない。
【0055】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0056】
ある実施形態において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをブプロピオンと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置または予防のために(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンがブプロピオンと併用して投与される本発明の方法のある実施形態において、方法はモキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む。
【0057】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0058】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストの治療用量は、MC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与されるときに、単独で投与されるときの治療用量で必要な用量よりも少ない。ある実施形態において、MC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストとの治療用量は、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与されるときに、単独で投与されるときの治療用量で必要な用量よりも少ない。
【0059】
別の態様において、本発明は、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンをモキソニジンまたはその医薬的に許容される塩と併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置または予防する方法を提供する。
【0060】
本発明の方法の好ましい実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0061】
本発明は、哺乳類の前立腺癌を処置する方法にも関するものである。一実施形態において、方法は前立腺癌の処置が必要な哺乳類にノルフルオキセチンの有効量を投与する工程を含む。あるこのような実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)−ノルフルオキセチンである。ノルフルオキセチンの有効量が前立腺癌の処置に投与される本発明の方法のある実施形態において、対象(たとえば哺乳類、好ましくはヒト)に投与される化合物(たとえばノルフルオキセチン)の治療的有効量(用量)が1mg/日〜100mg/日、1mg/日〜60mg/日、1mg/日〜40mg/日、またはなお1mg/日〜10mg/日の範囲であろうことが考慮される。一般に、前立腺癌の処置のための治療的有効用量は、大うつ病性障害または強迫性障害の処置のための治療的有効用量よりも少ない。
【0062】
別の態様において、本発明は、抗精神病治療の必要な患者の肥満を処置する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者の肥満を処置する方法であって、前記患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。
【0063】
ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、式1〜6のいずれか1つの化合物である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、リモナバント、LH−21、フルオキセチン、ノルフルオキセチン、またはその医薬的に許容される塩である。ある実施形態において、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストは、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンである。
【0064】
CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者に投与される本発明の方法のある実施形態において、抗精神病薬はいずれかの適切な抗精神病薬より選択される。適切な抗精神病薬としては、これに限定されるわけではないが、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、アリピプラゾール、トリフルオペラジン、フルペンチキソール、ロキサピン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、フルフェナジン、デカノアート、チオリダジン、またはその医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0065】
ある実施形態において、本発明はノルフレオキセチンによる処置方法に関する。ある実施形態において、治療調製物はノルフルオキセチンの主に1つのエナンチオマーを供給するために濃縮されうる。エナンチオマー濃縮混合物はたとえば、1つのエナンチオマーを少なくとも60molパーセント、またはさらに好ましくは少なくとも75、90、95、またはなお99molパーセント含みうる。ある実施形態において、ノルフルオキセチンは(R)エナンチオマーが濃縮されている。ある実施形態において、(R)−ノルフルオキセチンは(S)−エナンチオマーを実質的に含まず、ここで実質的に含まないとは、問題の物質がたとえば組成物または化合物混合物中の(R)−エナンチオマーの量と比較して10%未満、または5%未満、または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満を構成することを意味する。たとえば組成物または化合物混合物が(R)−エナンチオマー98グラムおよび(S)−エナンチオマー2グラムを含有する場合、98molパーセントの(R)−エナンチオマーおよびわずか2%の(S)−エナンチオマーを含有すると言われる。ある実施形態において、ノルフルオキセチンは、ノルフルオキセチンの塩あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物として提供される。
【0066】
フルオキセチンは、2つのエナンチオマー形のラセミ化合物である。初期の報告は、セロトニン取り込み担体との相互作用に関連するような各エナンチオマーの生物および薬理学的活性が、本質的に同じであることが見出されたことを引用した;Robertsonら、J.Med.Chem.,31,1412(1988)およびそこで引用された参考文献を参照。ノルフルオキセチン[3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)3−フェニルプロピルアミン]は、フルオキセチンの代謝産物であり、モノアミン取り込み、特にセロトニンを遮断することが既知である。米国特許第4,313,896号を参照。ノルフルオキセチンはフルオキセチンの代謝産物であるため、本化合物がフルオキセチンの投与時に見られる生物活性の一部に寄与することが考えられる。
【0067】
フルオキセチンおよびノルフルオキセチンはどちらも、CB1受容体に対して機能活性を示す。(S)−フルオキセチンはCB1の逆アゴニストであり、(R)−フルオキセチンはCB1のアンタゴニストである。ノルフルオキセチンのラセミ化合物は、CB1のアンタゴニストである。提案によって制限されたくはないが、本カンナビノイド活性は、肥満および/または摂食障害の処置のためにこれらの化合物の有用性を媒介しうる。
【0068】
本発明の方法に適切な化合物としては、一般式1によって表される化合物が挙げられる:
【0069】
【化6】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成し;
Xは、置換または非置換メチレンを表す。
【0070】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式2によって表される化合物が挙げられる:
【0071】
【化7】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成する。
【0072】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式3によって表される化合物が挙げられる:
【0073】
【化8】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、置換または非置換メチレンを表し;
R3は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表し;
R5は、置換または非置換C1〜6アルキル、アシル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、または複素環を表し、R5が置換または非置換ヘテロアリールまたは複素環であるときに、指示された(*)炭素に結合された原子が炭素原子であるという条件である。
【0074】
本発明の方法に適切な化合物としては、一般式4によって表される化合物が挙げられる:
【0075】
【化9】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0076】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式5によって表される化合物が挙げられる:
【0077】
【化10】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
A’は、置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0078】
本発明の方法の使用に適切な化合物としては、一般式6によって表される化合物が挙げられる:
【0079】
【化11】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0080】
ある実施形態において、式6の化合物は、構造6aまたは7を有する:
【0081】
【化12】
本発明は、これらの化合物の精製調製物を含む、ある新規化合物にも関する。たとえば本発明は、式1の化合物を提供する:
【0082】
【化13】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成し;
Xは、置換または非置換メチレンを表す。
【0083】
ある実施形態において、R1は水素であり、R2は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルである。
【0084】
ある実施形態において、Aは置換アリール環である。ある実施形態において、Aはp−トリフルオロメチルフェニルである。
【0085】
ある実施形態において、式1の化合物は、構造1aを有する:
【0086】
【化14】
ある実施形態において、化合物は一般式2によって表されうる:
【0087】
【化15】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成する。
【0088】
ある実施形態において、R1は水素であり、R2は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルである。
【0089】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリールである。
【0090】
ある実施形態において、式2の化合物は、構造2aまたは2bを有する:
【0091】
【化16】
ある実施形態において、化合物は一般式3によって表されうる:
【0092】
【化17】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、置換または非置換メチレンを表し;
R3は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表し;
R5は、置換または非置換C1〜6アルキル、アシル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、または複素環を表し、R5が置換または非置換ヘテロアリールまたは複素環であるときに、指示された(*)炭素に結合された原子が炭素原子であるという条件である。
【0093】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリール環である。
【0094】
ある実施形態において、Xは非置換メチレンである。
【0095】
ある実施形態において、R3は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルを表す。
【0096】
ある実施形態において、R4は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはメチルを表す。
【0097】
ある実施形態において、R5は置換または非置換C1〜6アルキル、好ましくはエチルを表す。
【0098】
ある実施形態において、式3の化合物は、構造3aまたは3bを有する:
【0099】
【化18】
ある実施形態において、化合物は一般式4によって表されうる:
【0100】
【化19】
式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0101】
ある実施形態において、R4はHである。
【0102】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリール環である。
【0103】
ある実施形態において、Xは非置換メチレンである。
【0104】
ある実施形態において、式4の化合物は、構造4aを有する:
【0105】
【化20】
ある実施形態において、化合物は一般式5によって表されうる:
【0106】
【化21】
式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
A’は、置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す。
【0107】
ある実施形態において、R4はHである。
【0108】
ある実施形態において、Aは置換または非置換アリール環である。
【0109】
ある実施形態において、Xは非置換メチレンである。
【0110】
ある実施形態において、式5の化合物は、構造5aを有する:
【0111】
【化22】
ある実施形態において、本発明の化合物はラセミ化合物でありうる。ある実施形態において、本発明の化合物は1つのエナンチオマーが濃縮されていることがある。たとえば本発明の化合物は、30%ee、または40%ee、または50%ee、または60%ee、または70%ee、または80%ee、または90%ee超、あるいはなお95%ee以上を有しうる。ある実施形態において、本発明の化合物は1つ以上のジアステレオマーが濃縮されていることがある。たとえば本発明の化合物は、30%de、または40%de、または50%de、または60%de、または70%de、または80%de、または90%de超、あるいはなお95%de以上を有しうる。
【0112】
本発明の一態様は、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の有効量と、1つ以上の医薬的に許容される担体とを含む、ヒト患者での使用に、または動物用途に適切な医薬組成物を提供する。ある実施形態において、医薬組成物は肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置または予防するのに使用するためでありうる。ある実施形態において、製薬調製物はヒト患者での使用に、または動物用途に適切である十分に低い発熱活性を有する。ある実施形態において、製薬調製物は、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の有効量を含む。たとえば本発明は、医薬的に許容される賦形剤および1mg〜10mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンを含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない。
【0113】
本発明は、医薬的に許容される担体と、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と、次の少なくとも1つ:MC4のアゴニスト;MC4のアロステリック増強剤;ドーパミン再取り込み阻害薬;ノルエピネフリン再取り込み阻害薬;ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬;MAO−B阻害薬;ドーパミンD1アゴニスト;ドーパミンD2アゴニスト;ドーパミンD3アゴニスト;ドーパミンD4アゴニスト;またはドーパミンD5アゴニスト;とを含む医薬組成物にも関する。ある実施形態において、医薬組成物は肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置または予防に使用するためでありうる。ある実施形態において、製薬調製物はヒト患者での使用に、または動物用途に適切である十分に低い発熱活性を有する。
【0114】
本発明はさらに、医薬的に許容される担体と、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と、次の少なくとも1つ:ブプロピオン;メチルフェニデート;シブトラミン;セルトラリン;ベンラフェキシン;アトモキセチン;アミネプチン;ベンズトロピン;レボキセチン;ラサギリン;セレギリン;デプレニル;ラザベミド;キンピロール;タリペキソール;スマニロール;ブロモクリプチン;ロピニロール;プラミペキソール;レボドパ;アマンタジン;ペルゴリド;フェノルドパム;カベルゴリン;ロチゴチン;リスリド;7−OH DPAT;SKF−38393;アポモルフィン;あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体とを含む医薬組成物にも関する。ある実施形態において、医薬組成物は肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置または予防に使用するためでありうる。
【0115】
ある実施形態において、製薬調製物はヒト患者での使用に、または動物用途に適切である十分に低い発熱活性を有する。
【0116】
本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、本明細書で開示するいずれの疾患の処置のための薬剤の製造に使用されうる。
【0117】
本明細書で使用するように、「肥満」という用語は、動物における過体重および過剰脂肪組織量の両方を含む。肥満個体は、≧30kg/m2のボディマスインデックスを有する個体である。動物は通例ヒトであるが、本発明は非ヒト哺乳類の処置も含む。本発明の方法で提供されるような肥満の処置は、「肥満」と定義される個体の処置だけでなく、処置せずに放置した場合に肥満の発症に至りうる体重増加のある個体の処置も考慮する。
【0118】
本発明の化合物は、CB1受容体に対する機能的アンタゴニスト活性を有しうる。「機能的アンタゴニスト」は、完全アンタゴニスト、逆アゴニスト、またはアロステリックアテニュエータでありうる。提案によって制限されたくはないが、本CB1活性は、肥満または摂食障害の処置のためにこれらの化合物の有用性を媒介しうる。
【0119】
「医療提供者」という用語は、医療サービスを人、共同体などに提供する個人または組織を指す。「医療提供者」の例としては、医師、病院、継続介護退職者専用住宅地、高度看護施設、亜急性介護施設、クリニック、多専門クリニック、独立外来センター、在宅医療機関、および保険維持機構が挙げられる。
【0120】
「水和物」という用語は、本明細書で使用するように、親化合物と水との結合によって形成された化合物を指す。
【0121】
「代謝産物」という用語は、正常な生理学的状況下で親化合物の代謝によって産生される化合物を含むものである。たとえばN−メチル基は開裂して、対応するN−デスメチル代謝産物を産生しうる。本発明の好ましい代謝産物としては、その親化合物と同様の活性を示す代謝産物(たとえば肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に適切である代謝産物)が挙げられる。
【0122】
「溶媒和物」という用語は、本明細書で使用するように、溶媒和によって形成された化合物(たとえば溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの結合によって形成された化合物)を指す。
【0123】
「処置する」という用語は、予防的および/または治療学的処置を含む。「予防的または治療学的」処置という用語は、当分野で認識されており、被処置者への対象組成物の1つ以上の投与を含む。望ましくない状況(たとえば被処置動物の疾患または他の望ましくない状態)の臨床的顕在化前にそれが投与される場合、処置は予防的である(すなわちそれは被処置者が望ましくない状況を発症するのを阻止する)が、望ましくない状況の顕在化後にそれが投与される場合、処置は治療的である(すなわちそれは既存の望ましくない状況またはその副作用を減少、緩和または安定化させるものである)。
【0124】
「アシル」という用語は当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)−、好ましくはアルキルC(O)−で表される基を指す。
【0125】
「アシルアミノ」という用語は当分野で認識されており、アシル基によって置換されたアミノ基を指し、たとえば式ヒドロカルビルC(O)NH−によって表されうる。
【0126】
「アシルオキシ」という用語は当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O−、好ましくはアルキルC(O)O−で表される基を指す。
【0127】
「アルコキシ」という用語は、酸素がそれに結合されたアルキル基、好ましくは低級アルキル基を指す。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどを指す。
【0128】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基によって置換されたアルキル基を指し、一般式アルキル−O−アルキルによって表されうる。
【0129】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用するように、少なくとも1個の二重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含むものであり、その後者はアルケニル基の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルケニル部分を指す。このような置換基は、1個以上の二重結合に含まれるまたは含まれない1個以上の炭素上に発生しうる。その上、このような置換基は、安定性が禁制的である場合を除いて、下で述べるようにアルキル基について考慮されるすべての置換基を含む。たとえば、1個以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が考慮される。
【0130】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基のラジカルを指す。好ましい実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、主鎖に30個以下の炭素原子(たとえば直鎖ではC1〜C30、分岐鎖ではC3〜C30)、さらに好ましくは20個以下を含む。同様に好ましいシクロアルキルは、その環構造に3〜10個の炭素原子、さらに好ましくは環構造に5、6または7個の炭素を有する。
【0131】
その上、「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、明細書、実施例、および請求項を通じて使用されるように、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むものであり、その後者は、炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。このような置換基としてはたとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(たとえばカルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル)、チオカルボニル(たとえばチオエステル、チオアセテート、またはチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、あるいは芳香族またはヘテロ芳香族部分が挙げられる。炭化水素鎖上で置換された部分は適切な場合、それ自体が置換されうる当業者によって理解されるであろう。たとえば置換アルキルの置換基としては、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホナートおよびホスフィナートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホナートを含む)、およびシリル基の置換および非置換形はもちろんのこと、エーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシラート、およびエステルを含む)、−CF3、−CNなども挙げられる。例示的な置換アルキルを下で説明する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF3、−CNなどによってさらに置換されうる。
【0132】
「Cx−y」という用語は、化学部分、たとえばアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシと併せて使用されるときに、x〜y個の炭素を鎖中に含有する基を含むものである。たとえば「Cx−yアルキル」という用語は、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルなどのハロアルキル基を含む、x〜y個の炭素を鎖中に含有する直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキル基を含む、置換または非置換飽和炭化水素基を指す。C0アルキルは、基が末端位置にある水素であり、内部ならば結合である。「C2−yアルケニル」および「C2−yアルキニル」という用語は、上記のアルキルと長さ、考えられる置換が類似しているが、少なくとも1個の二重または三重結合をそれぞれ含む置換または非置換不飽和脂肪族基を指す。
【0133】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で使用するように、少なくとも1個のアルキル基によって置換されたアミノ基を指す。
【0134】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で使用するように、アルキル基によって置換されたチオール基を指し、一般式アルキルS−によって表されうる。
【0135】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用するように、少なくとも1個の三重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方を含むものであり、その後者はアルキニル基の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキニル部分を指す。このような置換基は、1個以上の三重結合に含まれるまたは含まれない1個以上の炭素上に発生しうる。その上、このような置換基は、安定性が禁制的である場合を除いて、上で述べるようにアルキル基について考慮されるすべての置換基を含む。たとえば、1個以上のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が考慮される。
【0136】
「アミド」という用語は、本明細書で使用するように、基
【0137】
【化23】
を指し、式中、R9およびR10はそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表し、あるいはR9およびR10はそれらが結合された窒素原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0138】
「アミン」および「アミノ」という用語は当分野で認識されており、非置換および置換アミンの両方ならびにその塩、たとえば
【0139】
【化24】
によって表されうる部分を指し、式中、R9、R10およびR10’はそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表し、あるいはR9およびR10はそれらが結合された窒素原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0140】
「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、1個のアミノ基によって置換されたアルキル基を指す。
【0141】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用するように、1個のアリール基によって置換されたアルキル基を指す。
【0142】
「アリール」という用語は、本明細書で使用するように、環の各原子が炭素である置換または非置換単環芳香族基を含む。好ましくは、環は5〜7員環、さらに好ましくは6員環である。「アリール」という用語は、環の少なくとも一方が芳香族であり、たとえばもう一方の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルである2個の隣接する環と2個以上の炭素が共通である、2個以上の環式環を有する多環式環系も含む。アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
【0143】
「カルバメート」という用語は当分野で認識されており、基
【0144】
【化25】
を指し、式中、R9およびR10は独立して、水素またはヒドロカルビル基、たとえばアルキル基を指し、あるいはR9およびR10は(複数の)介在原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0145】
「炭素環」、「カルボシクリル」、および「炭素環式」という用語は、本明細書で使用するように、環の各原子が炭素である非芳香族飽和または不飽和環を指す。好ましくは、炭素環の環は3〜10個の原子、さらに好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0146】
「カルボシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、炭素環基によって置換されたアルキル基を指す。
【0147】
「カーボネート」という用語は当分野で認識されており、R9がヒドロカルビル基を表す基−OCO2−R9を指す。
【0148】
「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用するように、式−CO2Hによって表される基を指す。
【0149】
「エステル」という用語は、本明細書で使用するように、R9がヒドロカルビル基を表す基−C(O)OR9を指す。
【0150】
「エーテル」という用語は、本明細書で使用するように、酸素を通じて別のヒドロカルビル基に結合されたヒドロカルビル基を指す。したがってヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル−O−でありうる。エーテルは対称または非対称のどちらかでありうる。エーテルの例としては、これに限定されるわけではないが、複素環−O−複素環およびアリール−O−複素環が挙げられる。エーテルとしては、一般式アルキル−O−アルキルによって表されうる「アルコキシアルキル」基が挙げられる。
【0151】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用するようにハロゲンを意味して、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0152】
「ヘトアラルキル」および「ヘテロアラルキル」という用語は、本明細書で使用するように、ヘタリール基によって置換されたアルキル基を指す。
【0153】
「ヘテロアリール」および「ヘタリール」という用語は、置換または非置換芳香族単環構造、好ましくは5〜7員環、さらに好ましくは5〜6員環を含み、環構造は少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、さらに好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール」および「ヘタリール」という用語は、環の少なくとも一方がヘテロ芳香族であり、たとえばもう一方の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルである2個の隣接する環と2個以上の炭素が共通である、2個以上の環式環を有する多環式環系も含む。ヘテロアリール基としてはたとえば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。
【0154】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用するように、炭素または水素以外のいずれの元素の原子も意味する。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、および硫黄である。
【0155】
「ヘテロシクリル」および「複素環」、および「複素環式」という用語は、置換または非置換非芳香族環構造、好ましくは3〜10員環、さらに好ましくは3〜7員環を含み、環構造は少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、さらに好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロシクリル」および「複素環式」という用語は、環の少なくとも一方が複素環式であり、たとえばもう一方の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルである2個の隣接する環と2個以上の炭素が共通である、2個以上の環式環を有する多環式環系も含む。ヘテロシクリル基としてはたとえば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
【0156】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、複素環基によって置換されたアルキル基を指す。
【0157】
「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書で使用するように、=Oまたは=S置換基を持たない炭素原子を通じて結合され、通例少なくとも1個の炭素−水素結合および主に炭素主鎖を有するが、場合によりヘテロ原子を含みうる基を指す。それゆえメチル、エトキシエチル、2−ピリジル、およびトリフルオロメチルなどの基が本出願の目的のためにヒドロカルビルと見なされるが、アセチル(結合炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(炭素ではなく、酸素を通じて結合される)などの置換基は見なされない。ヒドロカルビル基としては、これに限定されるわけではないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびその組合せが挙げられる。
【0158】
「ヒドロキシルアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、ヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を指す。
【0159】
「低級」という用語は、化学部分、たとえばアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシと併せて使用したときに、置換基中に10個以下の、好ましくは6個以下の非水素原子がある基を含むものとする。「低級アルキル」はたとえば10個以下の、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基を指す。ある実施形態において、本明細書で定義したアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、それらが単独で出現しようと、またはヒドロアルキルおよびアラルキルの詳説(その場合、たとえばアリール基中の原子は、アルキル置換基中の炭素原子をカウントするときにカウントされない)でのように他の置換基と組合されて出現しようと、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである。
【0160】
「ポリシクリル」、「多環」、および「多環式」という用語は、2個以上の原子が2個の隣接する環と共通である、たとえば環が「縮合環」である、2個以上の環(たとえばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)を指す。多環の環それぞれは、置換または非置換でありうる。ある実施形態において、多環の各環は環中に3〜10個の、好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0161】
「置換された」という用語は、主鎖の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有する部分を指す。「置換」または「によって置換された」は、このような置換が置換原子および置換基の許容原子価と一致しており、置換がたとえば転位、環化、脱離などによる変換を自発的に受けない安定な化合物を生じるという暗黙の条件を含む。本明細書で使用するように「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を含むことが考慮される。広範な態様において、許容可能な置換基としては、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。許容可能な置換基は、適切な有機化合物について1つ以上で、同じまたは異なりうる。本発明の目的では、窒素などのヘテロ原子は水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満足する本明細書に記載した有機化合物のいずれの許容される置換基も含みうる。このような置換基としては、本明細書に記載したいずれの置換基、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(たとえばカルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル)、チオカルボニル(たとえばチオエステル、チオアセテート、またはチオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、あるいは芳香族またはヘテロ芳香族部分が挙げられる。炭化水素鎖上で置換された部分は適切な場合、それ自体が置換されうる当業者によって理解されるであろう。
【0162】
「非置換の」として特に指摘しない限り、本明細書での化学部分への言及は置換された変形を含むとして理解される。たとえば「アリール」基または部分への言及は、置換および非置換の変形の両方を暗黙的に含む。
【0163】
「サルフェート」という用語は当分野で認識されており、基−OSO3H、またはその医薬的に許容される塩を指す。
【0164】
「スルホンアミド」という用語は当分野で認識されており、一般式
【0165】
【化26】
によって表される基を指し、式中、R9およびR10は独立して、水素またはヒドロカルビル、たとえばアルキル基を指し、あるいはR9およびR10は(複数の)介在原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0166】
「スルホキシド」という用語は当分野で認識されており、R9がヒドロカルビル基を表す基−S(O)−R9を指す。
【0167】
「スルホナート」という用語は当分野で認識されており、基SO3H、またはその医薬的に許容される塩を指す。
【0168】
「スルホン」という用語は当分野で認識されており、R9がヒドロカルビル基を表す基−S(O)2−R9を指す。
【0169】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用するように、チオール基によって置換されたアルキル基を指す。
【0170】
「チオエステル」という用語は、本明細書で使用するように、R9がヒドロカルビル基を表す基−C(O)SR9または−SC(O)R9を指す。
【0171】
「チオエーテル」という用語は、本明細書で使用するように、酸素が硫黄によって置換されたエーテルと同じである。
【0172】
「尿素」という用語は当分野で認識されており、一般式
【0173】
【化27】
によって表され、式中、R9およびR10は独立して、水素またはヒドロカルビル、たとえばアルキルを指し、あるいはどちらかのR9の出現はR10および(複数の)介在原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成する。
【0174】
本発明のある化合物は、特に幾何または立体異性形で存在しうる。本発明は、本発明の範囲に含まれるようなシスまたはトランス異性体、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、そのラセミ混合物、およびその他の混合物を含めて、このようなすべての化合物を考慮する。追加の不斉炭素原子は、アルキル基などの置換基に存在しうる。このようなすべての異性体は、その混合物と同様に本発明に含まれるものとする。
【0175】
実質的に異性体に関して純粋な化合物を調製する方法が当分野で既知である。たとえば本発明の化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、不斉合成によって、または得られたジアステレオマー混合物が分離され、補助基は開裂して純粋な所望のエナンチオマーを提供するキラル補助基による誘導によって調製されうる。あるいは分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩が適切な光学活性酸または塩基によって形成され、当分野で周知の分別結晶またはクロマトグラフィー手段によるこのように形成されたジアステレオマーの分割と、純粋なエナンチオマーの続いての回収が続く。あるいはエナンチオマー濃縮混合物および純粋なエナンチオマー化合物は、キラル中心での立体配置を不変のままにするか、またはその完全反転を生じるかのどちらかの反応と組合せて、エナンチオマーについて純粋な合成中間体を使用することによって調製されうる。特定の立体中心を反転させる、または不変のままにする技法、および立体異性体の混合物を分割する技法は当分野で周知であり、特定の状況に適切な方法を選択することは十分に当業者の能力の範囲内である。概してFurnissら(eds.),Vogel’s Encyclopedia of Practical Organic Chemistry 5thEd.,Longman Scientific and Technical Ltd.,Essex,1991,pp.809−816;およびHeller,Acc.Chem.Res.23:128(1990)を参照。
【0176】
投与される(複数の)活性剤(たとえば本発明の化合物)の量は、患者、投与経路および求める結果によって変化しうる。特定の患者に対する最適な投与計画は、当業者によってただちに決定されうる。
【0177】
本発明の化合物は、それが必要な個体に投与されうる。ある実施形態において、個体はヒト、または非ヒト哺乳類などの哺乳類である。個体に投与するとき、本発明の化合物は、たとえば本発明の化合物および医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物として投与されうる。医薬的に許容される担体は当分野で周知であり、たとえば水または生理的緩衝食塩水などの水溶液あるいはグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油または注射用有機エステルなどの他の溶媒またはビヒクルが挙げられる。好ましい実施形態において、このような医薬組成物がヒトへの投与用であるとき、水溶液は発熱物質を含まないか、または実質的に発熱物質を含まず、あるいは十分に低い発熱物質活性を有する。賦形剤は、たとえば薬物の放出を遅延させるために、または1つ以上の細胞、組織または臓器を選択的にターゲティングするために選択されうる。医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、スプリンクルカプセル剤、顆粒剤、粉剤、シロップ剤、坐剤、注射剤などの投薬単位形でありうる。組成物は経皮送達系、たとえば皮膚パッチとしても存在しうる。
【0178】
「十分に低い発熱物質活性」という用語は、医薬調製物に関して、調製物が投与された対象において有害作用(たとえば刺激、発熱、炎症、下痢、呼吸困難、内毒素性ショックなど)を引き起こす量の発熱物質を含有しない調製物を指す。たとえば該用語は、たとえばリポ多糖類(LPS)などの内毒素を含まない、または実質的に含まない調製物を含むものである。
【0179】
医薬的に許容される担体は、たとえば本発明の化合物の吸収を安定または上昇させるように作用する生理学的に許容される薬剤を含有しうる。このような生理学的に許容される薬剤としては、たとえばグルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質あるいは他の安定剤または賦形剤が挙げられる。医薬的に許容される担体の選択は、生理学的に許容される薬剤を含めて、たとえば組成物の投与経路によって変わる。医薬組成物(調製物)はまた、たとえば本発明の化合物を中に包含することができる、リポソームまたは他のポリマーマトリクスでありうる。リポソームはたとえば、リン脂質または他の脂質より構成され、作製および投与が比較的簡単である非毒性で生理学的に許容され、代謝可能な担体である。
【0180】
「医薬的に許容される」という句は、正常な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、あるいは他の問題または合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織との接触での使用に適切であり、合理的な利益/リスク比と釣り合っている化合物、物質、組成物および/または投薬形を指すために本明細書で利用される。
【0181】
「医薬的に許容される担体」という句は、本明細書で使用するように、医薬的に許容される物質、組成物またはビヒクル、たとえば液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質を意味する。各担体は、調合物の他の成分と適合性であり、患者に有害でないという意味で「許容」されねばならない。医薬的に許容される担体として作用しうる物質の一部の例としては:(1)糖、たとえばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、たとえばコーンスターチおよびジャガイモデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、たとえばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、たとえばココアバターおよび坐剤用ワックス;(9)油、たとえばピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、たとえばプロピレングリコール;(11)ポリオール、たとえばグリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール;(12)エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム; (15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張性食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;および(21)医薬調合物で利用される他の非毒性適合性物質が挙げられる。
【0182】
本発明の化合物を含有する医薬組成物(調製物)は、たとえば経口(たとえば水性または非水性液剤または懸濁剤中などの水薬、錠剤、ボーラス、粉剤、顆粒剤、舌への塗布用ペースト);舌下;経肛門、経直腸または経膣(たとえばペッサリー、クリームまたはフォームとして);非経口(たとえば滅菌液剤または懸濁剤などの、筋肉内、静脈内、皮下または髄腔内を含む);経鼻;腹腔内;皮下;経皮(たとえば皮膚に貼付けされるパッチとして);および局所(たとえば皮膚に塗布されるクリーム、軟膏またはスプレーとして)を含む、多数の投与経路によって対象に投与されうる。化合物は吸入用にも調合されうる。ある実施形態において、本発明の化合物は滅菌水に簡単に溶解または懸濁されうる。適切な投与経路およびそれに適した組成物の詳細は、たとえば米国特許第6,110,973、5,763,493、5,731,000、5,541,231、5,427,798、5,358,970および4,172,896号はもちろんのこと、そこで引用される特許に見出されうる。最も好ましい投与経路は経口経路である。
【0183】
本発明の調合物は単位投薬形で好都合に存在し、調剤分野で周知のいずれの方法によっても調製されうる。単回投薬形態を産生するために担体物質と組合されうる活性成分の量は、処置される非処置者、特定の投与方式に応じて変化するであろう。単回投薬形態を産生するために担体物質と組合されうる活性成分の量は一般に、治療効果を生じる化合物の量であろう。一般に100パーセントのうち、この量は活性成分の約1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10〜約30パーセントの範囲におよぶであろう。
【0184】
これらの調合物および組成物を調製する方法としては、本発明の化合物を担体および、場合により1つ以上の副成分と結合させる工程を含む。一般に調合物は、本発明の化合物を液体担体、または微粉化固体担体、あるいは両方と均質および密接に結合させて、次に必要ならば生成物を成形することによって調製される。
【0185】
経口投与に適切な本発明の調合物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、菱形錠(フレーバーベース、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントを使用)、粉剤、顆粒剤の形で、あるいは水性または非水性液体中の液剤または懸濁剤として、あるいは水中油型または油中水型液体エマルジョンとして、あるいはエリキシル剤またはシロップ剤として、あるいはトローチ剤として(不活性ベース、たとえばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムを使用)および/またはマウスウォッシュなどとしてであり、それぞれ本発明の化合物の規定量を活性成分として含有する。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤またはペースト剤としても投与されうる。
【0186】
経口投与用の本発明の固体投薬形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、粉剤、顆粒剤など)において、活性成分は、少なくとも1つの不活性な医薬的に許容される賦形剤、または担体、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウム、および/または次のいずれか:(1)充填剤または増量剤、たとえばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸;(2)結合剤、たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアラビアゴム;(3)保湿剤、たとえばグリセロール;(4)崩壊剤、たとえば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、たとえばパラフィン;(6)吸収促進剤、たとえば4級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、たとえばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;(8)吸収剤、たとえばカオリンおよびベントナイト粘土;(9)潤滑剤、たとえばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物;ならびに(10)着色料と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤も含みうる。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤はもちろんのこと、高分子量ポリエチレングリコールなども使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセルのフィラーとしても利用されうる。
【0187】
錠剤は、場合により1つ以上の副成分を用いて圧縮または成形によって作製されうる。圧縮錠剤は、結合剤(たとえばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(たとえばナトリウムデンプングリコラートまたは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤または分散化剤を使用して調製されうる。成形錠剤は、適切な機械で不活性液体希釈剤によって湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって作製されうる。
【0188】
本発明の医薬組成物の錠剤、および他の固体投薬形、たとえば糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤は場合により刻み目が入れられるか、または腸溶コーティングおよび医薬調合分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルによって調製されうる。それらはたとえば所望の放出プロフィールを与えるための各種の比でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを使用して、その中の活性成分の遅延または制御放出を提供するためにも調合されうる。それらはたとえば、細菌保持フィルタを通じた濾過によって、または使用直前に滅菌水または一部の他の滅菌注射用媒体に溶解させることができる滅菌固体組成物の形で滅菌剤を包含させることによって、滅菌されうる。これらの組成物は場合により乳白剤も含有することがあり、それらが活性成分のみをまたは優先的に消化管のある部分において、場合により遅延方式で放出する組成物でもありうる。使用されうる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。活性成分は、適切な場合は、上記の賦形剤の1つ以上を用いたマイクロカプセル化形でもありうる。
【0189】
本発明の化合物の経口投与用の液体投薬形としては、医薬的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体投薬形は、たとえば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物などの、当分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有しうる。
【0190】
不活性希釈剤以外に、経口組成物は湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味料、着香料、着色料、香料および保存料などのアジュバントも含みうる。
【0191】
懸濁剤は活性成分に加えて、懸濁化剤、たとえばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物を含有しうる。
【0192】
経直腸、経膣または経尿道投与用の本発明の医薬組成物の調合物は、本発明の1つ以上の化合物をたとえばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチラートを含む1つ以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製されうる、そして室温にて固体であるが、体温にて液体であり、したがって直腸または膣腔にて溶融して活性化合物を放出する、坐剤として提供されうる。
【0193】
あるいはまたは加えて、組成物はカテーテル、ステント、ワイヤ、または他の管腔内器具による送達のために調合されうる。このような器具による送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸、または小腸への送達に特に有用でありうる。
【0194】
経膣投与に適切である本発明の調合物としては、当分野で適切であることが既知の担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー調合物も挙げられる。
【0195】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の投薬形としては、粉剤、スプレー剤、軟膏、ペースト剤、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチ剤または吸入剤が挙げられる。活性化合物は滅菌条件下で医薬的に許容される担体、および要求されうるいずれの保存料、緩衝剤、または噴霧剤と混合されうる。
【0196】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは本発明の活性化合物に加えて、賦形剤、たとえば動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物を含有しうる。
【0197】
粉剤およびスプレー剤は本発明の化合物に加えて、賦形剤、たとえばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有しうる。スプレー剤は加えて、通例の推進剤、たとえばクロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素、たとえばブタンおよびプロパンを含有しうる。
【0198】
経皮パッチは、本発明の化合物の体への制御送達を提供するさらなる利点を有する。このような投薬形は、化合物を適切な媒体に溶解または分散させることによって作製されうる。皮膚での化合物の流量を増加させるために、吸収促進剤も使用されうる。このような流量の速度は、速度制御膜を提供することによるか、または化合物をポリマーマトリクスまたはゲルに分散させることによってのどちらかで制御されうる。
【0199】
眼用調合物、眼用軟膏、粉剤、液剤なども本発明の範囲内であるとして考慮される。
【0200】
「非経口投与」および「非経口的に投与される」という句は、本明細書で使用するように、通常は注射による経腸および局所投与以外の投与様式を意味して、制限なく静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内および胸骨内注射および輸液を含む。
【0201】
非経口投与に適切な本発明の医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、調合物を対象とするレシピエントの血液と等張性にする溶質あるいは懸濁化剤または増粘剤を含有しうる、1つ以上の医薬的に許容される滅菌等張性水性または非水性液剤、分散剤、懸濁剤またはエマルジョン、あるいは使用直前に滅菌注射用液剤または分散剤に再構成されうる滅菌粉剤と組合された本発明の1つ以上の化合物を含む。
【0202】
本発明の医薬組成物で利用されうる適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油、たとえばオリーブ油、および注射用有機エステル、たとえばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性はたとえば、レシチンなどのコーティング物質の使用によって、分散剤の場合には要求される粒径の維持によって、そして界面活性剤の使用によって維持されうる。
【0203】
これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散化剤などのアジュバントも含有しうる。微生物の作用の予防は、各種の抗菌剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含によって確実にされうる。等張剤、たとえば糖、塩化ナトリウムなどを組成剤中に含めることが所望でありうる。加えて、注射用製薬形の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延する薬剤の包含によって引き起こされうる。
【0204】
一部の場合では、薬物の効果を延長させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが所望である。このことは、不十分な水溶性を有する結晶性またはアモルファス物質の液体懸濁剤の使用によって実現されうる。そして薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、次いで溶解速度は結晶サイズおよび結晶形に依存しうる。あるいは非経口投与薬物形の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成されうる。
【0205】
注射用デポー形は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーで主題化合物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製されうる。薬物のポリマーに対する比および利用された特定のポリマーの性質によって、薬物放出速度が制御されうる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用調合物は、薬物を体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に捕捉することによっても調製される。
【0206】
本発明の化合物が薬剤としてヒトまたは動物に投与されるときに、それらはそれ自体で、または医薬的に許容される担体と組合された、たとえば0.1〜99.5%(さらに好ましくは0.5〜90%)の活性成分を含有する医薬組成物として投与されうる。
【0207】
本発明の活性化合物の動物飼料への添加は好ましくは、有効量の活性化合物を含有する適切な飼料プレミックスを調製することと、プレミックスを完全配給量に包含させることによって達成される。
【0208】
あるいは活性成分を含有する中間濃縮物または飼料サプリメントを飼料にブレンドすることができる。このような飼料プレミックスおよび完全配給量を調製および投与する方法は、参考書(たとえば“Applied Animal Nutrition”,W.H.Freedman and CO.,San Francisco,U.S.A.,1969または“Livestock Feeds and Feeding”O and B books,Corvallis,Ore.,U.S.A.,1977)に記載されている。
【0209】
導入方法も再装填式器具または生分解性器具によって供給されうる。タンパク質性生物薬剤を含む薬物の制御送達のための各種の低速放出ポリマー器具が近年開発され、生体内で試験されている。生分解性および非分解性ポリマーの両方を含む多様な生体適合性ポリマー(ハイドロゲルを含む)を使用して、特定の標的部位での化合物の持続放出のためのインプラントを形成できる。
【0210】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者に対する毒性を伴わずに、特定の患者、組成物、および投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るために変化させることができる。
【0211】
選択した投薬レベルは、利用した本発明の特定の化合物、あるいはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与経路、投与時間、利用される特定の化合物の排泄速度、処置期間、利用された特定の化合物と組合せて使用される他の薬物、化合物および/または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状況、全身の健康状態および以前の病歴を含む多様な因子、ならびに医学分野で周知の同様の因子に応じて変化するであろう。
【0212】
当分野の通常の技能を有する医師または獣医師は、要求される医薬組成物の有効量をただちに決定および処方できる。たとえば医師または獣医師は、医薬組成物で利用された本発明の化合物の開始用量を所望の治療効果を達成するために要求される用量よりも低いレベルで開始して、所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることができる。
【0213】
一般に本発明の化合物の適切な1日用量は、治療効果を生じるのに有効な最低用量である化合物の量であろう。このような有効用量は一般に、上記の因子に依存するであろう。
【0214】
所望ならば、活性化合物の有効1日用量は、場合により単位投薬形での、1日を通じて適切な間隔で個別に投与される1、2、3、4、5、6個以上のサブ用量として投与されうる。本発明のある実施形態において、活性化合物は1日に2または3回投与されうる。好ましい実施形態において、活性化合物は1日1回投与されるであろう。
【0215】
本処置を受ける患者は、霊長類、特にヒト、およびウマ、ウシ、ブタおよびヒツジなどの他の哺乳類;ならびに家禽およびペットを含む、必要とするいずれかの動物である。
【0216】
ある実施形態において、本発明の化合物は単独で使用されうるか、または別の種類の治療剤と併用して投与されうる。本明細書で使用するように、「併用投与」という句は、先に投与された治療化合物体内でなお有効である間に第2の化合物が投与されるような、2つ以上の別の治療化合物の投与のいずれの形も指す。(たとえば2つの化合物は患者内で同時に有効であり、これは2つの化合物の相乗効果を含みうる)。たとえば異なる治療剤は、同じ調合物で投与されうるか、あるいは同時にまたは連続的に別個の調合物で投与されうるかのどちらかである。それゆえこのような治療を受ける個体は、異なる治療化合物の併用効果から恩恵を受けることができる。
【0217】
ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、MC4のアゴニストと併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、MC4のアロステリック増強剤と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ドーパミン再取り込み阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、MAO−B阻害薬と併用して投与されうる。ある実施形態において、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与されうる。本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と併用して投与されうる化合物としては、これに限定されるわけではないが、ブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体が挙げられる。
【0218】
ある実施形態において、前立腺癌に罹患している哺乳類にノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の有効量を投与する工程を含む前立腺癌を処置する方法は、ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)を化学療法剤と併用して投与する工程を含む。ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と併用して投与されうる化学療法剤としては:アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンプトセシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロマイド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられる。
【0219】
多くの併用療法が癌処置のために開発されている。ある実施形態において、ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は併用治療と併用して投与されうる。ノルフルオキセチン(たとえば(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)と併用して投与されうる併用療法の例が表1に挙げられる。
【0220】
表1:癌処置用の例示的な併用療法
【0221】
【表1−1】
【0222】
【表1−2】
【0223】
【表1−3】
【0224】
【表1−4】
【0225】
【表1−5】
ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、癌処置の非化学的方法と併用して投与されうる。ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、放射線療法と併用して投与されうる。ある実施形態において、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンは、外科手術と、サーモアブレーションと、集束超音波療法と、または凍結療法と併用して投与されうる。
【0226】
本発明の化合物は対象(たとえば哺乳類、好ましくはヒト)に治療的有効量(用量)で投与されるであろうことが考慮される。「治療的有効量」とは、所望の治療効果(たとえば肥満または摂食障害の処置)を誘発するのに十分である化合物の濃度を意味する。化合物の有効量は対象の体重、性別、年齢、および病歴に従って変わるであろうことが一般に理解される。有効量に影響する他の因子としては、これに限定されるわけではないが、患者の状態の重症度、処置される障害、化合物の安定性、そして所望ならば本発明の化合物と共に投与される別の種類の治療剤が挙げられる。薬剤の複数回の投与によって、より多い総用量が送達されうる。有効性および投薬量を決定する方法は、当業者に既知である(Isselbacherら(1996)Harrison’s Principles of Internal Medicine 13ed.,1814−1882、参照により本明細書に組み入れられている)。
【0227】
本明細書で使用するように、本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)は、本発明の化合物の医薬的に許容される塩を含む。本発明の化合物の医薬的に許容される塩は、たとえば水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどとの各種の溶媒和物としても存在しうる。このような溶媒和物の混合物も調製されうる。一般に溶媒和形は、非溶媒和形と同等であり、本発明の範囲内に含まれる。このような溶媒和物の源は、結晶化の溶媒からであるか、調製または結晶化の溶媒に固有であるか、またはこのような溶媒に付随的でありうる。本発明のある化合物は、複数の結晶または立体異性形で存在しうる。一般にすべての物理形は、本発明によって考慮される用途について同等であり、本発明の範囲内であるものとする。
【0228】
「医薬的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載する化合物に見出される特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的に酸性の官能基を含有するとき、塩基添加塩は、このような化合物の中性形に純粋な、または適切な不活性溶媒中の十分な量の所望の塩基を接触させることによって得られる。医薬的に許容される塩基添加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、またはマグネシウム塩、あるいは同様の塩が挙げられる。
【0229】
本発明の化合物が比較的に塩基性の官能基を含有するとき、酸添加塩は、このような化合物の中性形に純粋な、または適切な不活性溶媒中の十分な量の所望の酸を接触させることによって得られる。医薬的に許容される酸添加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸などの無機酸に由来するものはもちろんのこと、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸に由来する塩も挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(たとえばBergeら、“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19)を参照。本発明のある具体的な化合物は、化合物を塩または酸添加塩のどちらかに変換させる塩基性および酸性官能基の両方を含有しうる。
【0230】
化合物の中性形は好ましくは、塩に塩基または酸を接触させて、親化合物を在来の方法で単離することによって再生される。化合物の親形は、ある物理的特性、たとえば極性溶媒への溶解度が各種の塩と異なるが、そうでなければ塩は本発明の目的で化合物の親形と同等である。
【0231】
詳細な例として、本発明は、ノルフルオキセチンの医薬的に許容される酸添加塩、たとえば(R)−ノルフルオキセチンを含む。ノルフルオキセチンはアミンであるため、本来は塩基性であり、したがって多くの無機または有機塩基と反応して医薬的に許容される酸添加塩を形成する。このような塩を形成するために一般に利用される酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸はもちろんのこと、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、ならびに関連する無機酸および有機酸も挙げられる。それゆえこのような医薬的に許容される塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオアート、ヘキシン−1,6−ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホナート、ナフタレン−2−スルホナート、マンデル酸塩、馬尿酸塩、グルコン酸塩、ラクトビオン酸塩、酒石酸塩および同様の塩が挙げられる。好ましい医薬的に許容される酸添加塩としては、塩酸および臭化水素酸などの鉱酸によって形成された酸添加塩、およびフマル酸、酒石酸およびマレイン酸などの有機酸によって形成された酸添加塩が挙げられる。ある実施形態において、酒石酸は(D)−酒石酸であり、得られた塩は(D)−酒石酸塩である。ある実施形態において、医薬的に許容される塩は(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である。
【0232】
ノルフルオキセチンの医薬的に許容される酸添加塩は通例、ノルフルオキセチンに当モルまたは過剰量の酸を反応させることによって形成される。反応物質は一般にジエチルエーテルまたはベンゼンなどの相互溶媒中で化合され、塩は通常、約1分〜10日以内に溶液から沈殿して、濾過によって単離されうる。
【0233】
実質的に異性体に関して純粋な化合物を調製する方法が当分野で既知である。たとえば本発明の化合物の特定のエナンチオマーが所望される場合、不斉合成によって、または得られたジアステレオマー混合物が分離され、補助基は開裂して純粋な所望のエナンチオマーを提供するキラル補助基による誘導によって調製されうる。あるいは分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩が適切な光学活性酸または塩基によって形成され、当分野で周知の分別結晶またはクロマトグラフィー手段によるこのように形成されたジアステレオマーの分割と、純粋なエナンチオマーの続いての回収が続く。あるいはエナンチオマー濃縮混合物および純粋なエナンチオマー化合物は、キラル中心での立体配置を不変のままにするか、またはその完全反転を生じるかのどちらかの反応と組合せて、エナンチオマーについて純粋な合成中間体を使用することによって調製されうる。特定の立体中心を反転させる、または不変のままにする技法、および立体異性体の混合物を分割する技法は当分野で周知であり、特定の状況に適切な方法を選択することは十分に当業者の能力の範囲内である。概してFurnissら(eds.),Vogel’s Encyclopedia of Practical Organic Chemistry 5th Ed.,Longman Scientific and Technical Ltd.,Essex,1991,pp.809−816;およびHeller,Ace.Chem.Res.23:128(1990)を参照。
【0234】
ノルフルオキセチンは当分野で一般に既知の多数の方法のいずれかによって調製されうる。たとえばノルフルオキセチンのラセミ化合物を作製するための複数の方法が文献に与えられている(米国特許第4,313,896号)。ノルフルオキセチンのラセミ化合物は次に、所望ならばその(S)および(R)成分に標準方法によって分離されうる。特にノルフルオキセチンは、エナンチオマー的に純粋なキラル誘導体化剤と反応され、ジアステレオマー誘導体の異なる物理化学特性に基づいて分離されて、次にノルフルオキセチンの2つの独立したエナンチオマーに変換されうる。この誘導体化を実施する1つの特に好ましい方法は、フルオキセチンが1−(1−ナフチル)エチルイソシアナートの光学活性形と反応してフルオキセチンの尿素誘導体を形成する、Robertsonら、J.Med.Chem.,31,1412(1988)に記載されている方法に類似している。ノルフルオキセチンジアステレオマー尿素の同様の混合物は、高圧液体クロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーに分離されうる。次に個々のジアステレオマーはそれぞれ、ノルフルオキセチンの個々のエナンチオマーに加水分解されうる。
【0235】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムはもちろんのこと、着色料、離型剤、コーティング剤、甘味料、着香料および香料、保存料ならびに抗酸化剤も組成物中に存在しうる。
【0236】
医薬的に許容される抗酸化剤の例としては:(1)水溶性抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、たとえばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファトコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、たとえばクエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0237】
ある実施形態において、本発明は:
a)1mg〜60mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの用量をそれぞれ含む1つ以上の単回投薬形態と;
b)上記のような化学療法剤の1つ以上の単回投薬形態と;
c)(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンおよび化学療法剤の投与についての説明書と;
を含むキットを提供する。
【0238】
本発明は:
a)1mg〜60mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの用量および医薬的に許容される賦形剤をそれぞれ含む1つ以上の単回投薬形態と;
b)肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のための単回投薬形態を投与するための説明書と;
を含むキットを提供する。
【0239】
本発明は:
a)本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)を含む第1の製薬調合物と;
b)次の少なくとも1つ:MC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストを含む、第2の製薬調合物と;
c)第1および第2の製薬調合物の投与についての説明書と;
を含むキットを提供する。
【0240】
本発明は:
a)本発明の化合物(たとえば式1〜6のいずれか1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)を含む第1の製薬調合物と;
b)次の少なくとも1つ:ブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ(場合によりカルビドパと併用)、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体を含む、第2の製薬調合物と;
c)第1および第2の製薬調合物の投与についての説明書と;
を含むキットを提供する。
【0241】
ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載するような調合物またはキットを製造することと、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)の処置に調合物またはキットを使用する利点を医療提供者に販売することとによって、製薬事業を実施する方法に関する。
【0242】
ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載するような調合物またはキットを販売する流通網を用意することと、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置するための調合物を使用するための説明資料を患者または医師に提供することとによって、製薬事業を実施する方法を提供する。
【0243】
ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載するような調合物またはキットを販売する流通網を用意することと、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害(たとえば肥満、糖尿病、高血圧、および高脂血症)を処置するための調合物を使用するための説明資料を患者または医師に提供することとによって、製薬事業を実施する方法に関する。
【0244】
ある実施形態において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に投与される本発明の化合物(たとえば式1〜6の1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の適切な調合物および投薬量を決定することと、動物における有効性および毒性について確認された調合物の治療プロファイリングを実施することと、許容される治療プロフィールを有するとして確認された調製物を販売する流通網を用意することとによって、製薬事業を実施する方法を含む。ある実施形態において、方法は、医療提供者に調製物を販売するための販売グループを用意することも含む。
【0245】
ある実施形態において、本発明は、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置に投与される本発明の化合物(たとえば式1〜6の1つの化合物または(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチン)の適切な調合物および投薬量を決定することと、第三者に調合物のさらなる開発および販売の権利を許可することとによって、製薬事業を実施する方法に関する。
【実施例】
【0246】
本発明はここで概して説明されており、本発明のある態様および実施形態の例証の目的のためだけに含まれており、本発明を制限するものではない次の実施例への参照により、本発明がより容易に理解されるであろう。
【0247】
(実施例1)
アッセイの開発:
Gタンパク質GqΔGiキメラのcDNAをPCRによって産生して、pcDNA/hygro+ベクター(Invitrogen)のポリリンカー領域内へ挿入した。CHO細胞系におけるGqΔGiキメラタンパク質の安定な発現は、ハイグロマイシン選択の下で産生された。ヒトカンナビノイド1(CB1)cDNAをpcDNA3.1/(+)ベクター(Invitrogen)のポリリンカー領域内へ挿入して、DNAをリポフェクタミン試薬(Invitrogen)を用いてGqΔGi/CHO細胞系内へ導入した。GqΔGiキメラタンパク質によってCB受容体を安定して発現する細胞系は、ハイグロマイシンおよびG418による二重選択によって産生された(Coward,P.ら、1999.Chimeric G proteins allow a high−throughput signaling assay of Gi−coupled receptors.Anal Biochem.270:242−8)。
【0248】
細胞系の最適化は、応答と併せて我々の新規な自動直接サンプル注入システム(DSIS, ‘Direct mixing and injection for high throughput fluidic systems’Patent Application Number 20050249635)を使用する独自の方法によって実施した。細胞内Ca2+(Ca2+i)レベルは、Ca2+キレート蛍光プローブを使用して測定した。ここで我々は単一励起(UV励起源)、デュアルエミッションプローブ、Indo−1(Invitrogen/Molecular Probes)を使用した。
【0249】
図1Aは、Indo−1を装填した細胞の点プロットを示し、アゴニストの添加によって見られる高いCa2+i放出と比較してベースラインにおける低いCa2+i放出を示している。Ca2+iレベルが上昇して、410nmから525nm放出の比が安定した指標を与えたときに、染料装填の程度と基本的には無関係に、Indo−1放出(410nm/525nm)はそれぞれ増加および減少した。我々は、単一細胞系の細胞集団内の個々の細胞の本質的な異質性を利用して、それを選択基準として与えることにより所望の機能アッセイ応答を探求した。この細胞進化手法を使用して、形質移入GPCRタンパク質を所望の機能アッセイ読取値と連結する細胞のサブセットを選択した。楕円は、選別基準として設定されうるゲートの種類を表す。図1Bは、DSISを通過するときの細胞を示す点プレートであり、Indo−1放出を時間(x軸)に対する比(y軸)として示した。ここで我々は、Ca2+iの上昇を伴う2−AGに応答したCB1細胞を選別した。サンプル1および2は、3がアゴニストの存在時(点線長方形)に見られる応答を示す間にベースラインレベルにある。
【0250】
CB1細胞は事前に24〜48時間平板培養して、〜80%コンフルエントでトリプシンによって収集した。細胞を次に遠心分離して、ハイブリドーマ培地に2回再懸濁して、終了時濃度は1x106細胞/mLであった。Indo−1 2μMを添加して、細胞を室温にて回転装置で1時間インキュベートした。細胞を2回洗浄して、ハイブリドーマ培地で2x106細胞/mLの濃度で再懸濁した。CB1アゴニストの2−アラキドニルグリセロール(2−AG、Tocris#1298)を、CB1細胞のEmax濃度の4倍である濃度で調製した。2−AG 20μLを384ウェルプレートの8列に入れた。プローブ装填細胞を次にDSISの細胞懸濁システムに置いて、それらを懸濁状態で維持するために絶えず振とうした。2−AGプレートもDSIS−FACSに移した。
【0251】
選別アッセイを実施するために、DSISは細胞60μLを384ウェルプレート内の2−AGのウェル1個に添加した。これは40μL/秒の注入速度で実施され、このことは細胞を化合物と混合した。サンプルを次にMoFloサイトメータ(Dako−Cytomation)に注入した。Summitソフトウェアを用いて、Indo−1プローブの410nmおよび525nm放出の比を示す点プロットを使用して高いCa2+i応答を示す細胞のゲートを設定した。細胞を各回、45秒間にわたってサイトメータに注入した。本プロセスはすべての細胞が選別されるまで繰り返し継続した。選別基準に合格した細胞を、FBS 2mLを含有する5mL収集管内へ偏向させた。選別が完了したら、細胞を新しい組織培養フラスコに移し、選別された集団を増殖させた。新たな選別されたCB1集団は次に、試験のために調製され、Indo−1を装填され、Ca2+i応答について分析された。70%を超える応答率を有する細胞系が発生されるまで、完全な選別手順を反復した。CB1細胞系では、初期応答率は12%であり、選別3回後に細胞の75%まで上昇した。選別した細胞の集団を収集することに加えて、MoFloサイトメータのサイクロンアダプタは、単一細胞をクローン分別のために96ウェルプレートの各ウェル内に選別した。得られた個々のクローン集団を次にCa2+i応答についてアッセイした。80%のCa2+i応答率を持つ1つのクローンCB1集団を次のスクリーニングアッセイのために選択した。
【0252】
CB1アロステリック調節因子スクリーニング
スクリーニングプロセスは、CB1(クローン)発現細胞系および対照細胞系(CHO GqΔGi細胞)の両方を同時にアッセイした。これは1つの集団をトラッカー染料によって染色することによって実施した。本明細書で使用した系は、ビオチンにコンジュゲートされたリン脂質であるビオチン−X DHPE(Invitrogen/Molecular Probes)による初期処置より構成されていた。リン脂質部分は、ビオチンを細胞表面に露出させたまま細胞膜中へ挿入した。これにストレプトアビジンにコンジュゲートされたAlexa染料による二次処置を続けた。集合を次にそのそれぞれの蛍光シグナチャによって識別した。
【0253】
CB1細胞および対照細胞は事前に24〜48時間平板培養して、〜80%コンフルエントでトリプシンによって収集した。細胞を次に遠心分離して、ハイブリドーマ培地に2回再懸濁して、終了時濃度は1x106細胞/mLであった。両方の細胞系は次にIndo−1 2μMを3μg/mLビオチン−X DHPEと共に装填して、次に室温にて回転装置で1時間インキュベートした。細胞を2回洗浄して、ハイブリドーマ培地で1x106細胞/mLの濃度で再懸濁した。次にCB1細胞系にAlexa 488−ストレプトアビジン(Invitrogen/Molecular Probes)2μg/mlを加えた。細胞を室温にて振とう器でさらに30分間インキュベートした。両方の細胞系を遠心分離して、ハイブリドーマ培地で2回洗浄し、最終再懸濁5x105細胞/mLであった。
【0254】
化合物のNovasiteライブラリを96ウェルV底プレート(Falcon)に設定した。各プレートはカラム2〜11に位置する80の化合物を保持していた。化合物を最初にDMSOに溶解させて、次にPBSで希釈した。最終アッセイプレートは50μM化合物(PBS+1% DMSO中)を20μL/ウェルで有した。カラム1および12はPBS+1% DMSOを含有し、バックグラウンドおよび対照ウェルとして使用された。
【0255】
プローブ装填CB1および対照細胞混合物をDSISの細胞懸濁システムに置いて、それらを懸濁状態で維持するために絶えず振とうした。アロステリック調節因子をスクリーニングするために、我々は受容体の天然リガンドのEC50濃度を対照応答として使用した。毎日、2−AGの新たな一定分量を使用して、用量/応答判定プレートを調製した。30μMから開始して、次に半対数間隔で1nMまで希釈して、10個の2−AG濃度を使用した。それらはプレート内でこれらの濃度の5倍であった。この初期判定のために、DSISをアゴニストモードに設定した。スクリーニングアッセイはCyAnサイトメータ(Dako−Cytomation)で実施した。DSISは細胞80μLを用量/応答プレートの第1のウェルに添加して、混合物を13秒間インキュベートして、次にCyAnに注入した。これを各ウェルについて反復した。DSISソフトウェアのNVSサンプラーはタイミングファイルを記録して、CyAnソフトウェアのSummitはデータファイルを記録した。これらの2つのファイルを次に我々の専用ソフトウェアのNVSアナライザでコンパイルおよび分析して、各濃度に応答した細胞のパーセントを決定した。EC50を決定する非線形回帰曲線適合のために、データをGraphPAD Prismに移した。アロステリックスクリーンを設定するために、用量/応答アッセイに使用したのと同じ一定分量からEC50の5倍の濃度で2−AG 5mLを調製した。
【0256】
アロステリックスクリーニングアッセイは、プリインキュベーションによってアンタゴニストモードに設定したDSISを用いて実施した。細胞を配置して、2−AG(5xEC50)を適切なバイアルホルダーに添加して、最初の化合物プレートを配置した。各プレートを2つのセグメント、列1〜4、次に列5〜8で実験した。各プレートおよびセグメントは各実験の開始時に入力する個別のコードを有していた。本スクリーンのパラメータは、細胞60μLを化合物ウェルに添加した後の2分間のインキュベーションを含んでいた。2−AG 20μLを次にウェルに添加すると、別の13秒間のインキュベートがあった。次に細胞混合物を45秒間の問合せのためにCyAnに注入した。カラム1のウェルは化合物を有さず、アゴニストを与えなかった。これが我々のバックグラウンドまたはベースライン測定値であった。カラム12のウェルは化合物を有さなかったが、2−AGのEC50濃度を与えた。これらは化合物が増強または減弱効果を有するかどうかを判定するために使用する対照ウェルであった。続くプレートはそれに応じてスクリーニングした。
【0257】
分析:
スクリーンが完了したときに、NVSアナライザを使用してデータファイルおよびタイミングファイルを分析した。データをコンパイルしたら、それを我々のActiviyBaseデータベースシステムにエクスポートして、SARgenクエリーツールを最終分析、ヒット検出およびフォーマッティングに使用した。各プレートの対照ウェルの平均応答を決定して、そのセグメントの化合物ウェルをその平均と比較した。対照の平均の±25%を超える反応を誘発した化合物をヒットと判定した。対照細胞系に影響を及ぼしたいずれの化合物もリストから削除した。
【0258】
検証:
1次スクリーンからヒットとして判定された化合物を2次スクリーン用の新たなプレート中に入念に選んだ。これは上のEC50判定で概説したように、DSISをアゴニストモードで使用して実施した。対照およびCB1細胞は、1次スクリーニングアッセイに使用したのと同じプロトコルを使用して調製した。DSISは細胞懸濁物をウェルに添加して、次に分析のために混合物を直接CyAnに移した。これは認知された増強または減弱が化合物のアゴニスト活性のためかどうかを判定するために実施した。我々はCB1受容体のアロステリックアテニュエータ/アンタゴニストを探していたので、我々のヒットリストは1次スクリーンで減弱効果を示した化合物より構成され、2次スクリーンでのアゴニスト応答が不足していた。これらの化合物を次に用量−応答実験で使用した。2−AG用量−応答判定プレートを上で概説したように調製して、興味のある化合物を用いて、または用いずに実験した。図2は、化合物7を用いた、または用いない2−AGに対するCB1、CB2およびCHO対照細胞の用量応答曲線を与える。化合物7は、アロステリックアテニュエータまたはアンタゴニストを示す、CB1への2−AG応答の右方移動を誘発した。CB2受容体保持細胞では効果は見られなかった。この点で、データがCB2受容体よりもCB1受容体に対して潜在的なアテニュエータまたはアンタゴニスト活性および選択性を示したので、化合物7をさらなる検証のために選択した。
【0259】
解離動力学アッセイは、96ウェル・プレート・フォーマットでヒトCB1受容体を安定して発現するCHO−k1細胞膜を使用して、50mM Tris−HCl、pH 7.4、3mM MgCl2、1mM EDTA、0.2% BSAを含有する結合緩衝液中で非選択的カンナビノイド受容体アゴニスト([3H]CP 55,940)(0.75nM)によって実施した。CB1受容体膜(10μg/ウェル)を100μl結合緩衝液中の0.75nM[3H]CP55,940によって、室温で2時間インキュベートした。解離は、異なる濃度の化合物(化合物7)の非存在下または存在下で、結合緩衝液中の未標識CP55,940(10μM)100μlの添加によって開始した。解離は室温にて指定時間にわたって実施した。非特異性結合を判定するために、10μM未標識CP55,940の存在下での実験も実施した。結合は冷結合緩衝液の添加によって終了させて、サンプリングマニホールドを用いてWhatman GF/Bガラスファイバフィルタで濾過した。フィルタを冷結合緩衝液で6回洗浄して、一晩空気乾燥させた。シンチレーション液の添加後に、放射能をTopCounter(PerkinElmer)で定量した。特異性結合は、10μM未標識CP55,940の存在下および非存在下での結合の差として定義した。図3は、化合物7が[3H]CP55,940の解離速度に対して効果を持たないことを示す。これは化合物がアンタゴニストまたは逆アゴニストのどちらかであるが、アロステリック調節因子でないことを示した。
【0260】
[35S]GTPγS結合アッセイは、96ウェルScintiPlate(PerkinElmer)においてヒトCB1受容体を安定に発現するCHO−k1細胞膜を用いて実施した。膜(12.5μg/ウェル)を結合緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、100mM NaCl、3mM MgCl2、0.2mM EDTA、0.2% BSAおよび10μM GDP)中の化合物7によって30℃にて30分間プレインキュベートして、次に各種の濃度のアゴニスト(WIN55212−2またはCP55,940)および[35S]GTPγS(0.2nM)を最終体積200μlで加えた。反応は30℃にて60分間実施して、15分間にわたる37000rpmでのプレートの遠心分離を続けた。上清を除去した後、放射能をTopCounterで定量した。データはプログラムGraphPAD Prismを使用して非線形回帰によって分析して、図4および5に示す。図4は、CB1細胞系と共にアゴニストとしてCP55940を使用する化合物7のpA2推定がアゴニストに対するアロステリック効果を補助しないことを示す。図5は、化合物7に[35S]GTPγS結合アッセイを受けさせることによって、アンタゴニスト活性と逆アゴニスト活性との間の試験の結果を示す。結果は、化合物7が逆アゴニスト活性を示し、応答を基底レベル以下に低下させたことを示す。
【0261】
競合リガンド結合アッセイは、96ウェル・プレート・フォーマットでヒトCB1受容体を安定して発現するCHO−k1細胞膜またはマウス脳膜調製物を使用して、50mM Tris−HCl、pH7.4、3mM MgCl2、1mM EDTA、0.2% BSAを含有する結合緩衝液中で非選択的カンナビノイド受容体アゴニスト([3H]CP55,940)(0.75nM)によって実施した。受容体膜(10μg/ウェル)を、最終体積100μlの0.75nM[3H]CP55,940の添加前に、結合緩衝液中の異なる濃度の試験化合物によって室温にて30分間プレインキュベートした。結合は室温にてさらに2時間実施した。非特異性結合を判定するために、10μM未標識CP55,940の存在下での実験も実施した。結合は冷結合緩衝液の添加によって終了させて、サンプリングマニホールドを用いてWhatman GF/Bガラスファイバフィルタで濾過した。フィルタを冷結合緩衝液で6回洗浄して、一晩空気乾燥させた。シンチレーション液の添加後に、放射能をTopCounter(PerkinElmer)で定量した。特異性結合は、10μM未標識CP55,940の存在下および非存在下での結合の差として定義した。データはプログラムGraphPAD Prismを使用して非線形回帰によって分析して、図6および7に示す。図6は、化合物7がヒトおよびマウスCB1受容体に異なる結合特性を示したことを示す。[3H]CP55,940の結合は、ヒトCB1細胞膜では部分的に阻害されたが、マウス脳膜ではほぼ完全に阻害された。図7は、化合物7がマウスCB1(マウス脳膜)へのアゴニスト(CP55940)およびアンタゴニスト/逆アゴニスト(SR141716)結合の両方を阻害したことを示す。
【0262】
(実施例2)
食餌誘発肥満を示すオスCB57L/6Jマウスの体重、食物および水摂取に対する処置Xおよび処置Yの効果
本試験の目的は、処置X、塩酸R−ノルフルオキセチンおよび塩酸ブプロピオンの1:1 w:w併用と、処置Y、R−ノルフルオキセチンおよびMC4アロステリック増強剤の併用の反復投与が、高脂質食餌のために肥満を示しているCB57L/6Jマウスにおける体重ならびに日常食物および水摂取を変化させるかどうかを調査することであった。現在臨床的に使用されているシブトラミンと、肥満管理について最近規制認可を得たリモナバントを基準化合物として使用した。
【0263】
動物:
65匹のC57BL/6Jマウス(7〜8週齢)をCharles River,Margate,Kentから注文した。マウスをポリプロピレンケージにグループで収容して、高脂質食餌(D12451、脂質から供給されるKcal 45%;Research Diets,New Jersey,USA)および水道水に常時、自由に接近できるようにした。動物は、21±4℃、湿度55±20%にて、順相12時間の明暗サイクル(04:40時に点灯)で維持した。
【0264】
実験手順:
動物を高脂質食餌に16週間接触させた。この時間中に体重を毎週記録した。14週の終りに、動物をポリプロピレンケージにさらに2週間の期間(第14〜16週)にわたって1匹ずつ収容して、逆相照明(9:30〜17:30時の8時間にわたって消灯)に配置して、この期間中に部屋を赤色灯によって照明した。動物にはベースライン期間中にビヒクルを経口投薬した。体重ならびに食物および水摂取を毎日記録した。ベースライン期間の終りに向かって、動物を7グループのうちの1つに割り当てた(下の表2を参照)。ベースライン期間の完了時に、マウスにビヒクルまたは試験薬を後述のように28日間にわたって投薬した。
【0265】
表2
【0266】
【表2】
体重ならびに食物および水摂取を毎日記録した。薬物投与の後に動物を検査して、いずれの明白な挙動も記録した。すべての投薬で、午前中のセッションは、マウスのほぼ半分が消灯時に投薬されるように計時した(09:30)。
【0267】
薬物:
試験化合物は1%メチルセルロースに溶解させた。薬物は投薬の1〜2時間前に毎日新しく作製して、1〜3ml/kgの範囲の用量体積を用いて投与した。薬物用量は遊離塩基として表現した。
【0268】
データおよび統計解析:
得られた体重、食物摂取および水摂取は、平均値±平均値の標準偏差として表現され、平均値の標準偏差は統計モデルの残渣から計算した。体重データは、第1日を共変動として用いてANCOVAによって、続いて適切な比較(両側)によって解析して、対照グループからの有意差を決定した。P<0.05は、統計的に有意であると見なされた。1日の食物および水摂取データをANOVAによって解析した。
【0269】
図8は、食餌誘発肥満オスC57BL/6Jマウスの体重に対する処置X、処置Y、シブトラミンおよびリモナバントの経口投与の結果を示す。薬物処置は第1日に開始した。処置X、処置Y、およびリモナバントはすべて、Dunnettの検定によって評価されたように(p<0.001)、第29日にビヒクルと比較して統計的に有意な体重減少を示した。20mg/kgおよび40mg/kgでの処置Xの投与は、14および16%の体重減少をそれぞれ示した。これは20mg/kgで投与したシブトラミンでのわずか2%の体重減少に匹敵し、10mg/mgで投与したリモナバントの15%の体重減少に匹敵する。20mg/kgおよび40mg/kgでの処置Yの投与は、11および14%の体重減少をそれぞれ示した。
【0270】
(実施例3)
マウス食物摂取に対する試験化合物の急性的投与の効果
本試験の目的は、各種の比のブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチンの、味の良い湿式餌(wet mash)食餌を毎日与えられることに慣れさせたオスC57BL/6Jマウスにおける体重ならびに食物および水摂取に対する効果を調査することであった。リモナバントを基準化合物として使用した。動物は順相照明で維持した。試験化合物を経口投与して、次の24時間にわたって測定を実施した。すべての実験は適切なビヒクル処置対照グループを含んでいた。
【0271】
物質および方法
62匹のオスC57BL/6Jマウス(体重範囲20〜25g)はHarlan UK,Bicester,UKより注文した。マウスを21±40℃および湿度55%±20%にて、ポリプロピレンケージに個別に収容した。動物は順相明暗サイクル(19:00〜07:00時の12時間は消灯)で維持して、その時間中に部屋を赤色灯で照明した。動物を標準的なペレット状のげっ歯類食餌および水道水に常時、自由に接近できるようにした。加えて動物を、ケージ床上の皿に配置した湿式餌食餌(1部粉末固形飼料:1.5部水道水)の毎日の提示に慣れさせた。動物をこれらの条件下で、実験開始前の少なくとも10日間にわたって維持した。
【0272】
実験手順:
通例、急性的試験は毎週実施して、各試験は60匹の動物を含有していた。試験の前日に、実験動物を適切な処置グループに無作為に割り当てた。動物を秤量して、2時間の湿式餌摂取を計算した(最も近い0.1gまで)。簡単な所内データおよび統計解析を実施して、ベースラインにて処置グループ間にいずれかの有意差があるかどうかを調査した。動物を必要ならば異なるグループに再度割り当てて、いずれの有意差も解消して、グループが薬物処置前にバランスが取れるようにした。
【0273】
試験日に、動物をホームケージから短時間取り出して、秤量し、ビヒクル、試験化合物、または陽性対照のいずれかを投薬した。下の表は、試験の代表的な2週間の期間にわたって各種の処置グループを説明している。
【0274】
表3:第1週
【0275】
【表3】
表4:第2週
【0276】
【表4】
試験化合物の最大用量が以前に生体内で試験されていない場合、マウス2匹を使用するパイロット試験を最初に開始してその化合物が許容されることを試験した。
【0277】
薬物投与は、ほぼ午前9:30であった「湿式餌」の提示の60分前に行った。薬物投与時に、食物ペレットを取り出して、水ボトルを秤量した(最も近い0.1gまで)。湿式餌および水ボトルを提示の1、2、および4時間後に秤量した。湿式餌は4時間の時点で新しい量の湿式餌と交換した。湿式餌および水ボトルの重量を6時間の時点で再秤量した。湿式餌は6時間の時点で既知の量の標準ペレットと交換した。食物ペレット、水ボトル、および動物を投薬24時間後にも秤量した。動物の異なるグループの食物および水摂取量を同時に測定した。動物を各読取時に監視して、いずれの明白な薬物誘発挙動効果を記録した。動物は、異なる処置グループにランダム化して、異なる処置間での薬物を与えない少なくとも6日間のウォッシュアウト期間の後に再使用できた(合計で最大8回まで)。
【0278】
薬物:
すべての薬物溶液を3ml/kgの投薬体積で与えた。
【0279】
処置Aは、10:1重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0280】
処置Bは、1:4重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0281】
処置Cは、1:6重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0282】
処置Dは、1:10重量比の塩酸ブプロピオン:(R)−ノルフルオキセチン−(D)−酒石酸であった。
【0283】
データおよび統計解析:
結果(0、24時に体重(g);24時間にわたる体重変化(g);1、2、4、6および24時ならびに1〜2時、2〜4時、4〜6時の間の食物および水摂取)は、平均値±平均値の標準偏差として表した。食物および水摂取はgで表した。利用した正確な統計方法は、得られたデータによって変わった;しかしながらマウスの異なるグループの食物および水摂取と体重との間の統計的比較は通常、分散分析と、続く複数回の比較試験(両側)によって行った。P<0.05は、統計的に有意であると見なされた。
【0284】
図9は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Aと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。**はp<0.01を表す;そして***はP<0.001を表す。
【0285】
図10は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Aと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析によって解析した。ビヒクルに対する有意差は観察されなかった。
【0286】
図11は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Bと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を表す;**はp<0.01を表す;そして***はP<0.001を表す。処置Bは、40mg/kgで経口投薬されたときに、湿式餌摂取を著しく減少させた。処置Bが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して平均湿式餌摂取の少なくとも25%の減少が1、2、および4時間の時点で観察された。
【0287】
図12は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Bと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はP<0.001を示す。処置Bは、40mg/kgで経口投薬されたときに、24時間の体重増加を著しく減少させた。40mg/kgで経口投薬された処置Bは、24時間の体重増加をビヒクルより少なくとも200%減少させた。
【0288】
図13は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を表す;そして**はp<0.01を表す。処置Cは、湿式餌摂取に著しい観察された効果をもたらさなかった。
【0289】
図14は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での湿式餌の消費に対する効果の間隔データを示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を示す。
【0290】
図15は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)の1日食物摂取に対する効果を示す。データは一元配置分散分析によって解析した。ビヒクルに対する有意差は観察されなかった。
【0291】
図16は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)の体重に対する効果を示す。データは一元配置分散分析によって解析した。ビヒクルに対する有意差は観察されなかった。
【0292】
図17は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Cと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=9〜10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。**はP<0.001を示す。処置Cは、40mg/kgで経口投薬されたときに、24時間の体重増加を著しく減少させた。処置Cは、40mg/kgで経口投薬したときに、ビヒクルによって体重の変化が本質的にないことと比較して、少なくとも0.5gの平均体重の減少を示した。
【0293】
図18は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での湿式餌の消費に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はp<0.001を示す。処置Dは、40mg/kgで経口投薬されたときに、湿式餌の消費を著しく減少させた。処置Dが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して平均湿式餌摂取の少なくとも50%の減少が1、2、および4時間の時点で観察された。処置Dが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して平均湿式餌摂取の少なくとも30%の減少が6時間の時点で観察された。
【0294】
図19は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での湿式餌の消費に対する効果の間隔データを示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。*はp<0.05を表す;**はp<0.01を表す;そして***はP<0.001を表す。
【0295】
図20は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)の1日食物摂取に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はP<0.001を示す。処置Dは、40mg/kgで経口投薬されたときに、1日食物摂取を著しく減少させた。処置Dが40mg/kgで経口投薬されたときに、ビヒクルと比較して1日食物摂取の少なくとも25%の減少が観察された。
【0296】
図21は、1、3、10および40mg/kgで経口投薬された処置Dと、10mg/kgで経口投与されたリモナバントの、痩せたオスC57BL/6Jマウス(n=10)での24時間の体重変化に対する効果を示す。データは一元配置分散分析およびDunnetの検定によって解析して、対照グループに対する差を評価した。***はP<0.001を示す。処置Dは、40mg/kgで経口投薬されたときに、24時間の体重増加を著しく減少させた。40mg/kgで経口投薬された処置Dは、24時間の体重増加をビヒクルより少なくとも300%減少させた。
【0297】
(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩を単独で上に概説したプロトコルに従って投薬すると、体重増加および湿式餌摂取の減少を示したが、R−ノルフルオキセチンとブプロピオンとの併用によって見られるほどの減少ではなかった。
【0298】
参照による組み入れ
本明細書で言及したすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許それぞれが参照により組み入れられることが詳細および個別に指示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が制御する。
【0299】
等価物
本発明の詳細な実施形態が議論されたが、上の明細書は例示的であり、制限的ではない。本発明の多くの変形は、本明細書および下の請求項の検討時に当業者に明らかになるであろう。本発明の全範囲は、等価物の全範囲と共に請求項への、そしてこのような変形と共に明細書への参照によって決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0300】
【図1】図1Aは、Indo−1を装填した細胞のCa2+i放出を示す。図1Bは、2−AGに応答したCB1細胞をCa2+iの上昇と共に示す。
【図2】化合物7の潜在的なCB1アテニュエータ/アンタゴニスト活性およびCB2受容体に勝るCB1受容体の選択性を示す。
【図3】[3H]CP 55940の解離速度に対して化合物7が有する効果の不足を示す。
【図4】CP 55940をアゴニストとしてCB190細胞系と共に使用する、化合物7のpA2推定を示す。
【図5】化合物7の[35S]GTPγS結合アッセイを示す。
【図6】ヒトおよびマウスCB1受容体における化合物の結合特性を示す。
【図7】化合物7によるマウスCB1に対するアゴニストおよびアンタゴニスト結合の阻害を示す。
【図8】食餌誘発肥満マウスの体重に対する処置X、処置Y、シブトラミンおよびリモナバントの経口投与の結果を示す。
【図9】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Aおよびリモナバントの効果を示す。
【図10】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Aおよびリモナバントの効果を示す。
【図11】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Bおよびリモナバントの効果を示す。
【図12】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Bおよびリモナバントの効果を示す。
【図13】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図14】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Cおよびリモナバントの効果の中間データを示す。
【図15】痩せたオスC57BL/6Jマウスの1日食物摂取に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図16】痩せたオスC57BL/6Jマウスの体重に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図17】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Cおよびリモナバントの効果を示す。
【図18】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Dおよびリモナバントの効果を示す。
【図19】痩せたオスC57BL/6Jマウスでの湿式餌の消費に対する処置Dおよびリモナバントの効果の中間データを示す。
【図20】痩せたオスC57BL/6Jマウスの1日食物摂取に対する処置Dおよびリモナバントの効果を示す。
【図21】痩せたオスC57BL/6Jマウスの24時間体重変化に対する処置Dおよびリモナバントの効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥満に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む、哺乳類の肥満を処置する方法。
【請求項2】
神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項3】
神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項4】
前記哺乳類がヒトである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式1:
【化1】
の化合物であって、式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成し;
Xは、置換または非置換メチレンを表す、
化合物。
【請求項6】
式2:
【化2】
の化合物であって、式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成する、
化合物。
【請求項7】
式3:
【化3】
の化合物であって、式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、置換または非置換メチレンを表し;
R3は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表し;
R5は、置換または非置換C1〜6アルキル、アシル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、または複素環を表し、ただし、R5が置換または非置換ヘテロアリールまたは複素環であるときに、指示された(*)炭素に結合された原子が炭素原子であるという条件である、
化合物。
【請求項8】
式4:
【化4】
の化合物であって、式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す、
化合物。
【請求項9】
式5:
【化5】
の化合物であって、式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
A’は、置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す、
化合物。
【請求項10】
医薬的に許容される担体と、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と、次の少なくとも1つ:MC4のアゴニスト;MC4のアロステリック増強剤;ドーパミン再取り込み阻害薬;ノルエピネフリン再取り込み阻害薬;ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬;MAO−B阻害薬;ドーパミンDlアゴニスト;ドーパミンD2アゴニスト;ドーパミンD3アゴニスト;ドーパミンD4アゴニスト;またはドーパミンD5アゴニストとを含む医薬組成物。
【請求項11】
医薬的に許容される担体と、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と、次の少なくとも1つ:ブプロピオン;メチルフェニデート;シブトラミン;セルトラリン;ベンラフェキシン(venlafaxine);アトモキセチン(atomoxetine);アミネプチン(amineptine);ベンズトロピン;レボキセチン;ラサギリン(rasagiline);セレギリン;デプレニル;ラザベミド;キンピロール;タリペキソール;スマニロール(sumanirole);ブロモクリプチン;ロピニロール;プラミペキソール;レボドパ;アマンタジン;ペルゴリド;フェノルドパム;カベルゴリン;ロチゴチン;リスリド;7−OH DPAT;SKF−38393;アポモルフィン;あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンDlアゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項13】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項17】
肥満、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害、あるいは神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項18】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項22】
神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、ブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項23】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
肥満に罹患している哺乳類に、ブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体を(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満を処置する方法。
【請求項25】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物およびブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体が1:1〜20:1の範囲のモル比でそれぞれ投与される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
モキソニジン(moxonidine)またはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
肥満に罹患している哺乳類に(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効抗肥満用量を投与する工程を含み、該有効抗肥満用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、哺乳類の肥満を処置する方法。
【請求項30】
前記有効抗肥満用量が有効抗うつ用量より少ない、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効用量を投与する工程を含み、該有効用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項32】
前記有効用量が有効抗うつ用量より少ない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項34】
前記有効用量が有効抗うつ用量より少ない、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記有効用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物として提供される、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項29〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記哺乳類がヒトである、請求項12〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
a.1mg〜60mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の用量および医薬的に許容される賦形剤を各々含む1つ以上の単回投薬形態と;
b.肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のための該単回投薬形態を投与するための説明書と;
を含むキット。
【請求項41】
医薬的に許容される賦形剤および1mg〜10mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項42】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記ノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項41または42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
肥満、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含み、該有効用量が1mg/日〜10mg/日の範囲にある、哺乳類の肥満、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項45】
神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項46】
前立腺癌に罹患している哺乳類に(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効用量を投与する工程を含み、該有効用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、哺乳類の前立腺癌を処置する方法。
【請求項47】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが化学療法または放射線療法を併用して投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物として提供される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項46〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記哺乳類がヒトである、請求項44〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者の肥満を処置する方法であって、該患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法。
【請求項53】
前記1つ以上の抗精神病薬がクロザピン、オランザピン、クエチアピン(quetiapine)、リスペリドン、ジプラシドン(ziprasidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、トリフルオペラジン、フルペンチキソール、ロキサピン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、フルフェナジン、デカノアート(decanoate)、チオリダジン(thoridazine)、またはその医薬的に許容される塩より選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項58】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項62】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項63】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体と投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項67】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、ブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項68】
前記メタボリックシンドロームに関連する障害が糖尿病、高血圧、または高脂血症より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物およびブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体が1:1〜20:1の範囲のモル比でそれぞれ投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む、請求項69〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項69〜72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項75】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項78】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記哺乳類がヒトである、請求項57〜79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
肥満に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物の有効な抗肥満用量を投与する工程を含む、哺乳類の肥満を処置する方法。
【請求項2】
神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項3】
神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項4】
前記哺乳類がヒトである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式1:
【化1】
の化合物であって、式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成し;
Xは、置換または非置換メチレンを表す、
化合物。
【請求項6】
式2:
【化2】
の化合物であって、式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
R1およびR2は各出現についてそれぞれ独立して、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルであり、あるいはR1およびR2はそれらが結合されるNと一緒になって、置換または非置換5〜7員環式または複素環式環系を形成する、
化合物。
【請求項7】
式3:
【化3】
の化合物であって、式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは、置換または非置換メチレンを表し;
R3は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアシルを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表し;
R5は、置換または非置換C1〜6アルキル、アシル、C1〜6アラルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環、または複素環を表し、ただし、R5が置換または非置換ヘテロアリールまたは複素環であるときに、指示された(*)炭素に結合された原子が炭素原子であるという条件である、
化合物。
【請求項8】
式4:
【化4】
の化合物であって、式中
Aは各出現について独立して、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す、
化合物。
【請求項9】
式5:
【化5】
の化合物であって、式中
Aは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
A’は、置換アリールまたはヘテロアリール環を表し;
Xは各出現について独立して、置換または非置換メチレンを表し;
R4は、Hあるいは置換または非置換C1〜6アルキルを表す、
化合物。
【請求項10】
医薬的に許容される担体と、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と、次の少なくとも1つ:MC4のアゴニスト;MC4のアロステリック増強剤;ドーパミン再取り込み阻害薬;ノルエピネフリン再取り込み阻害薬;ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬;MAO−B阻害薬;ドーパミンDlアゴニスト;ドーパミンD2アゴニスト;ドーパミンD3アゴニスト;ドーパミンD4アゴニスト;またはドーパミンD5アゴニストとを含む医薬組成物。
【請求項11】
医薬的に許容される担体と、式1〜6のいずれか1つの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と、次の少なくとも1つ:ブプロピオン;メチルフェニデート;シブトラミン;セルトラリン;ベンラフェキシン(venlafaxine);アトモキセチン(atomoxetine);アミネプチン(amineptine);ベンズトロピン;レボキセチン;ラサギリン(rasagiline);セレギリン;デプレニル;ラザベミド;キンピロール;タリペキソール;スマニロール(sumanirole);ブロモクリプチン;ロピニロール;プラミペキソール;レボドパ;アマンタジン;ペルゴリド;フェノルドパム;カベルゴリン;ロチゴチン;リスリド;7−OH DPAT;SKF−38393;アポモルフィン;あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物、または立体異性体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンDlアゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項13】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項17】
肥満、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害、あるいは神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項18】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項22】
神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、ブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類の神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項23】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
肥満に罹患している哺乳類に、ブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体を(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満を処置する方法。
【請求項25】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物およびブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体が1:1〜20:1の範囲のモル比でそれぞれ投与される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
モキソニジン(moxonidine)またはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
肥満に罹患している哺乳類に(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効抗肥満用量を投与する工程を含み、該有効抗肥満用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、哺乳類の肥満を処置する方法。
【請求項30】
前記有効抗肥満用量が有効抗うつ用量より少ない、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効用量を投与する工程を含み、該有効用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、哺乳類の神経性過食症または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項32】
前記有効用量が有効抗うつ用量より少ない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項34】
前記有効用量が有効抗うつ用量より少ない、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記有効用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物として提供される、請求項29〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項29〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記哺乳類がヒトである、請求項12〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
a.1mg〜60mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の用量および医薬的に許容される賦形剤を各々含む1つ以上の単回投薬形態と;
b.肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害の処置のための該単回投薬形態を投与するための説明書と;
を含むキット。
【請求項41】
医薬的に許容される賦形剤および1mg〜10mgの範囲の(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項42】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記ノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項41または42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
肥満、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含み、該有効用量が1mg/日〜10mg/日の範囲にある、哺乳類の肥満、神経性過食症、特定不能過食症型摂食障害または神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項45】
神経性食欲不振に罹患している哺乳類に、ノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物の有効用量を投与する工程を含む、哺乳類の神経性食欲不振を処置する方法。
【請求項46】
前立腺癌に罹患している哺乳類に(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの有効用量を投与する工程を含み、該有効用量が1mg/日〜60mg/日の範囲にある、哺乳類の前立腺癌を処置する方法。
【請求項47】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが化学療法または放射線療法を併用して投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物として提供される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項46〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記哺乳類がヒトである、請求項44〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
1つ以上の抗精神病薬で処置されている患者の肥満を処置する方法であって、該患者にCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程を含む方法。
【請求項53】
前記1つ以上の抗精神病薬がクロザピン、オランザピン、クエチアピン(quetiapine)、リスペリドン、ジプラシドン(ziprasidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、トリフルオペラジン、フルペンチキソール、ロキサピン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、フルフェナジン、デカノアート(decanoate)、チオリダジン(thoridazine)、またはその医薬的に許容される塩より選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストをMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項58】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をMC4のアロステリック増強剤、MC4のアゴニスト、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミンおよびノルエピネフリンの両方の再取り込み阻害薬、MAO−B阻害薬、ドーパミンD1アゴニスト、ドーパミンD2アゴニスト、ドーパミンD3アゴニスト、ドーパミンD4アゴニスト、またはドーパミンD5アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項62】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項63】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、式1〜6のいずれかの化合物またはその塩、あるいは該化合物またはその塩の溶媒和物をブプロピオン、メチルフェニデート、シブトラミン、セルトラリン、ベンラフェキシン、アトモキセチン、アミネプチン、ベンズトロピン、レボキセチン、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、キンピロール、タリペキソール、スマニロール、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、レボドパ、アマンタジン、ペルゴリド、フェノルドパム、カベルゴリン、ロチゴチン、リスリド、7−OH DPAT、SKF−38393、アポモルフィン、あるいはその医薬的に許容される塩、代謝産物または立体異性体と投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項67】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、ブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体をCB1アンタゴニストまたは逆アゴニストと併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項68】
前記メタボリックシンドロームに関連する障害が糖尿病、高血圧、または高脂血症より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記CB1アンタゴニストまたは逆アゴニストが、(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物である、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物およびブプロピオンまたはその医薬的に許容される塩、あるいはブプロピオンまたはその塩の代謝産物または立体異性体が1:1〜20:1の範囲のモル比でそれぞれ投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を投与する工程をさらに含む、請求項69〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項69〜72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害に罹患している哺乳類に、モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と併用して投与する工程を含む、哺乳類の肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、または特定不能過食症型摂食障害を処置する方法。
【請求項75】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害に罹患している哺乳類に、モキソニジンまたはその医薬的に許容される塩を(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその医薬的に許容される塩、あるいは(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンまたはその塩の溶媒和物と併用して投与する工程を含む、哺乳類のメタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する障害を処置する方法。
【請求項78】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンの医薬的に許容される塩が(R)−ノルフルオキセチン(D)−酒石酸塩である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記(R)エナンチオマーが濃縮されたノルフルオキセチンが(S)−ノルフルオキセチンを実質的に含まない、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記哺乳類がヒトである、請求項57〜79のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2009−528999(P2009−528999A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556433(P2008−556433)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/004681
【国際公開番号】WO2007/102999
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508251922)アンプラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/004681
【国際公開番号】WO2007/102999
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508251922)アンプラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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