説明

COX−2の阻害剤としてピリミジン誘導体を含む組成物

本発明は、1種以上の製薬上許容される担体または賦形剤との混合物にて、固体粒子の中で、ナノ粒子形態で存在する式(I):
【化1】


の化合物(即ちCOX-2の効果的で、選択的な阻害剤)を含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミジン誘導体、それらの製造方法、それらを含む医薬組成物及び医学におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)は、最近2種類のアイソフォーム、COX-1及びCOX-2で存在することが発見された。COX-1は初めに確認された構成酵素に相当するが、COX-2はミトゲン、エンドトキシン、ホルモン、サイトカイン及び増殖因子を始めとする多くの作用剤により迅速に且つ容易に誘導可能である。COXの作用により生成するプロスタグランジンは、生理学的な且つ病理学的な両方の役割を有する。COX-1は主として消化管の完全性及び腎血流量の維持等の重要な生理学的機能を負うと一般に信じられている。対照的に、誘導可能体COX-2は、主としてプロスタグランジンの病理学的効果をつかさどると信じられており、そこでは炎症薬、ホルモン、増殖因子及びサイトカイン等の作用薬に応答して該酵素の迅速な誘導が起こる。従ってCOX-2の選択的阻害剤は、COX-1の阻害に関連する潜在的な副作用なしに、抗炎症性、抗発熱および鎮痛の特性を有するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近、本発明者らはCOX-2の効果的で、選択的な阻害剤である化合物の新規な一群を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
それゆえ本発明は、式 (I)の化合物を提供する。
【化1】

【0005】
[式中:
R1は、H、C1-6アルキル、1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキル、C3-6アルケニル、C3-6アルキニル、C3-10シクロアルキルC0-6アルキル、C4-12架橋されたシクロアルキル、A(CR4R5)nおよびB(CR4R5)nからなる群から選択され;
R2は、1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキルであり;
R3は、C1-6アルキル、NH2およびR7CONHからなる群から選択され;
R4およびR5は、HまたはC1-6アルキルから独立して選択され;
Aは、無置換の5-若しくは6-員ヘテロアリール若しくは無置換の6-員アリール、または1個以上のR6で置換された5-若しくは6-員ヘテロアリール若しくは6-員アリールであり;
R6は、ハロゲン、C1-6アルキル、1個以上のフッ素原子で置換されたC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、1個以上のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、NH2SO2およびC1-6アルキルSO2からなる群から選択され;
Bは、
【化2】

【0006】
からなる群から選択され;
R7は、H、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルOC1-6アルキル、フェニル、HO2CC1-6アルキル、C1-6アルキルOCOC1-6アルキル、C1-6アルキルOCO、H2NC1-6アルキル、C1-6アルキルOCONHC1-6アルキルおよびC1-6アルキルCONHC1-6アルキルからなる群から選択され;
nは0〜4である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表すのに用いられる。
【0008】
用語「アルキル」は、基または基の一部として直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチルまたはt-ブチル基を意味する。
【0009】
用語「5-員ヘテロアリール」は、下記から選択されるヘテロアリールを意味する:
【化3】

【0010】
用語「6-員ヘテロアリール」は、下記から選択されるヘテロアリールを意味する:
【化4】

【0011】
用語「6-員アリール」は、
【化5】

【0012】
を意味する。
【0013】
本発明は式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される誘導体の全ての異性体(例えば全ての幾何異性体、互変異性体及び光学異性体)及びそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含するということを理解すべきである。特に、環Bが対称面を有しない場合には、式(I)の化合物はその中にアスタリスク*で示したようなキラル中心を含む。さらに、式(I)中のR4とR5とが異なる場合には、それに相当する化合物はそれにより定義される不斉炭素原子のために少なくとも1個のキラル中心を含み、そしてそのような化合物は一対の光学異性体(即ち、エナンチオマー)の形態で存在することが当業者には理解されよう。
【0014】
本発明の1の態様において、 R1は、H、C1-6アルキル、1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキル、 C3-6アルケニル、 C3-6アルキニル、 C3-10シクロアルキルC0-6アルキル、 C4-12架橋されたシクロアルキルおよびB(CR4R5)nからなる群から選択され;
本発明の別の態様において、 R1は、C1-6アルキルまたは1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキルである。別の態様において、R1は、C2-6アルキル(例えば、n-ブチル)である。
【0015】
本発明の別の態様において、R1は、C3-10シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)等のC3-10シクロアルキルC0-6アルキルである。別の態様において、R1は、C3-7シクロアルキルメチル(例えば、シクロペンチルメチル)等のC3-10シクロアルキルメチルである。
【0016】
本発明の別の態様において、R1はA(CR4R5)nである。
【0017】
本発明の別の態様において、R2はCHF2、CH2FまたはCF3である。別の態様において、R2はCF3である。
【0018】
本発明の別の態様において、R3はC1-3アルキル(例えば、メチル)等のC1-6アルキルである。
【0019】
本発明の別の態様において、R4およびR5は、独立して、Hまたはメチルから選択される。別の態様において、R4およびR5は、ともにHである。
【0020】
本発明の別の態様において、Aは
【化6】

【0021】
からなる群から選択され、Aは、無置換であるかまたは1若しくは2個のR6で置換されている。
【0022】
本発明の別の態様において、R6は、ハロゲン(例えばF)、C1-3アルキル(例えばメチル)、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-3アルキル(例えばCF3)、およびC1-3アルコキシ(例えばメトキシ)からなる群から選択される。
【0023】
本発明の別の態様において、R7は、C1-6アルキル(例えばエチル)、フェニルおよびアミノメチルからなる群から選択される。
【0024】
本発明の別の態様において、nは1〜4である。
【0025】
本発明の別の態様において、nは0〜2(例えば、0)である。
【0026】
本発明は、上記のような本発明に関する特定の態様の組み合わせを全て包含することを理解すべきである。
【0027】
本発明の範囲内で、式(I)[式中、R1はC1-6アルキル(例えば、n-ブチル)であり;R2はCF3であり;R3はC1-3アルキル(例えば、メチル)等のC1-6アルキルである]の化合物の一群(グループA)が提供される。
【0028】
本発明の範囲内で、式(I)[式中、R1はC3-10シクロアルキル(例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシル)等のC3-10シクロアルキルC0-6アルキルであり; R2はCF3であり; R3はC1-3アルキル(例えば、メチル)等のC1-6アルキルである]の化合物の別の群(グループB)が提供される。
【0029】
本発明の範囲内で、式(I)[式中、R1はC3-7シクロアルキルメチル(例えば、シクロペンチルメチル)等のC3-10シクロアルキルメチルであり; R2はCF3であり;R3はC1-3アルキル(例えば、メチル)等のC1-6アルキルである]の化合物の別の群(グループC)が提供される。
【0030】
本発明の範囲内で、式(I)[式中、R1はA(CR4R5)nであり; R2はCF3であり; R3はC1-3アルキル(例えば、メチル)等のC1-6アルキルであり; R4及びR5は、独立して、H又はメチルから選択され; Aは:
【化7】

【0031】
からなる群より選択され、そしてAは無置換であるか又は1若しくは2個のR6により置換され; R6はハロゲン(例えば、F)、C1-3アルキル(例えば、メチル)、1〜3個のフッ素原子により置換されたC1-3アルキル(例えば、CF3)、及びC1-3アルコキシ(例えば、メトキシ)からなる群より選択され; そしてnは0〜2(例えば、0)である]の化合物の別の群(グループD)が提供される。
【0032】
グループDの範囲内で、式(I)[式中、R1はA(CR4R5)nであり; R2はCF3であり; R3はメチルであり; R4及びR5はともにHであり; Aは:
【化8】

【0033】
からなる群より選択され、そしてAは無置換であるか又は1若しくは2個のR6により置換され; R6はフッ素、塩素、メチル、CF3及びメトキシからなる群より選択され; そしてnは0又は1である]の化合物の別のさらなる群(グループD1)が提供される。
【0034】
好ましい態様では、本発明は以下の化合物を提供する:
2-(4-フルオロフェノキシ)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6](トリフルオロメチル)ピリミジン;
2-(4-メトキシフェノキシ)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-トリフルオロメチル)ピリミジン;
2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン;
2-[(5-クロロピリジン-3-イル)オキシ]-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン;
2-(シクロヘキシルオキシ)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン。
【0035】
さらに好ましい態様では、本発明は以下の化合物を提供する:
2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン。
【0036】
本発明の化合物、特に式(I)の化合物は医薬組成物での使用を意図しているので、該化合物はそれぞれ実質的に純粋な形態、例えば、少なくとも純度50%、より好適には少なくとも純度75%及び好ましくは少なくとも純度95%で提供されることが理解されるであろう(%はwt/wt基準である)。式(I)の化合物を含む純粋でない製剤は、医薬組成物に使用されるより純粋な形態を製造するために使用できる。本発明の中間体化合物の純度はそれ程重要ではないけれども、式(I)の化合物に関しては実質的に純粋な形態が好ましいことが容易に理解されるであろう。好ましくは、可能なときはいつでも、本発明の化合物を結晶形態で入手する。
【0037】
本発明の化合物のいくつかを有機溶媒から結晶化又は再結晶させる場合には、再結晶化の溶媒が結晶生成物中に存在していてもよい。本発明はそのような溶媒和物もその範囲内に包含する。同様に、本発明の化合物のいくつかは水を含有する溶媒から結晶化又は再結晶してもよい。かかる場合には、水和水が生成し得る。本発明は化学量論的な水和物と同様に凍結乾燥等の工程により生成され得る不定量の水を含有する化合物もその範囲内に包含する。さらに、異なる結晶化条件により異なる多形体の結晶生成物が形成され得る。本発明は式(I)の化合物の全ての多形体をその範囲内に包含する。
【0038】
本発明の化合物は、COX-2の効果的で、選択的な阻害剤である。この活性は、COX-1よりもCOX-2を選択的に阻害するその能力により例証される。
【0039】
その選択的COX-2阻害活性という観点から、本発明の化合物はヒト及び獣医学における、特にCOX-2の選択的阻害により介在される種々の症状及び疾患の痛み(慢性及び急性の両方)、熱及び炎症の治療における使用に重要である。かかる症状及び疾患は従来技術により周知であり、例えば、リウマチ熱;インフルエンザその他のウイルス性感染に関連する症状(通常の風邪等);腰痛及び首痛;頭痛;歯痛;捻挫及び筋違え;筋肉炎;交感神経依存性疼痛;滑膜炎;関節炎(例えば関節リウマチ);変性関節疾患(例えば変形関節炎);痛風及び強直性脊椎炎;腱炎;滑液包炎;皮膚関連疾患(乾癬、湿疹、火傷及び皮膚炎等);損傷(スポーツ損傷並びに外科的及び歯科的手法により生じたもの等)がある。
【0040】
本発明の化合物は神経因性疼痛の治療にも有用である。神経因性疼痛症候群は神経細胞の損傷後に現れ、その結果として生じる痛みは、もともとの損傷が治癒した後でも数ヶ月又は数年続くことがある。神経細胞の損傷は、末梢神経、後根、脊髄又は脳のある部位で起こり得る。神経因性疼痛症候群は、それらを誘発する疾患又は現象に応じて慣例的に分類される。神経因性疼痛症候群には:糖尿病性神経障害;坐骨神経症;被特異的腰痛;多発性硬化症痛;線維筋痛;HIV-関連神経障害;神経痛(疱疹後神経痛及び三叉神経痛等);及び身体的外傷、切断、癌、毒又は慢性炎症疾患により生じる痛みが含まれる。これらの症状は治療することが困難であり、そしていくつかの薬剤が限られた効能を有することは公知であるけれども、完全に痛みを抑制することはほとんど達成されない。神経障害痛の徴候は非常に異質であって、しばしば自発的にずきずきする痛み及び電撃痛又は進行中の灼熱痛のように説明されている。さらに、「ピリピリする痛み」(知覚異常及び感覚不全)、接触に対する敏感性の増大(知覚過敏)、非侵害性刺激後の有痛感覚(動的な、静的な又は熱的異痛)、侵害刺激に対する感受性の増大(熱的、冷的、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の持続有痛感覚(痛覚過敏)等の通常は無痛の感覚に関連する痛み、或いは選択的感覚経路の不在又は不足(痛覚鈍麻)がある。
【0041】
また、本発明の化合物はCOX-2の選択的阻害が介在する他の症状の治療にも有用である。
【0042】
例えば、本発明の化合物は細胞及び新生物の形質転換、及び転移性腫瘍増殖を阻害し、それゆえに結腸癌及び前立腺癌等のある種の癌疾患の治療に有用である。また、本発明の化合物は腺腫性結腸直腸のポリープ数の低減にも有用であり、従って大腸癌への進行の危険性を低減する。本発明の化合物は、HER-2/neuの過剰発現に関連する癌、特に乳癌の治療にも有用である。
【0043】
本発明の化合物は、神経細胞のフリーラジカル(つまり酸化ストレス)の生成を阻害することにより神経細胞の損傷も予防し、したがって脳卒中;癲癇;及び癲癇性発作(例えば大発作、小発作、ミオクローヌス癲癇及び部分的発作)の治療に有用である。
【0044】
本発明の化合物はプロスタノイド誘起平滑筋収縮も阻害し、したがって月経困難症及び早産の治療に有用である。
【0045】
本発明の化合物は肝疾患(炎症性肝疾患等、例えば、慢性ウイルス性B型肝炎、慢性ウイルス性C型肝炎、アルコール性肝臓損傷、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎及び肝移植拒絶)の治療にも有用である。
【0046】
本発明の化合物は炎症プロセスを阻害し、したがって喘息、アレルギー性鼻炎及び呼吸窮迫症候群;炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性大腸症候群及び潰瘍性大腸炎等の消化管疾患;並びに循環器病、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、多発性硬化症、類肉腫症、ネフローゼ症候群、Bechet症候群、多発性筋炎、歯肉炎、結膜炎及び心筋虚血等の疾患における炎症の治療に有用である。
【0047】
本発明の化合物は、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎等の眼の疾患及び眼の組織への激しい損傷の治療にも有用である。
【0048】
本発明の化合物は、痴呆、特に退行性痴呆(例えば老年痴呆、アルツハイマー病、ピック病、ハンティングトン舞踏病、パーキンソン病及びクロイツフェルト‐ヤコブ病)、及び血管性痴呆(例えば多発脳梗塞性痴呆)、並びに頭蓋内占拠性の病変、損傷、感染及びその関連疾患(例えばHIV感染)、代謝、毒素、酸素欠乏症及びビタミン欠乏に関連する痴呆等の認識障害;及び老化(特に老化関連記憶機能障害)に関連する中程度の認知障害の治療にも有用である。
【0049】
本発明の化合物は、胃運動促進剤により改善される疾患の治療にも有用である。胃運動促進剤により改善される疾患としては、腸閉塞(例えば、手術後の腸閉塞及び敗血症腸閉塞);胃食道逆流症(GORD、又は別名でGERD);糖尿病性胃不全麻痺等の胃不全麻痺;並びに非潰瘍性消化不良(NUD)及び非心臓性胸痛(NCCP)等の他の腸機能障害が含まれる。
【0050】
本発明のさらなる態様によれば、本発明者らはヒト又は獣医学での使用のための式(I)の化合物を提供する。
【0051】
本発明の別の態様によれば、本発明者らはCOX-2が介在する疾患の治療に使用するための式(I)の化合物を提供する。
【0052】
本発明のさらなる態様によれば、本発明者らは、COX-2が介在する症状を患うヒト又は動物被験体の治療方法であって、前記被験体に式(I)の化合物の有効量を投与することを含む前記方法を提供する。
【0053】
本発明のさらなる態様によれば、本発明者らは、炎症性疾患を患うヒト又は動物被験体の治療方法であって、前記被験体に式(I)の化合物の有効量を投与することを含む前記方法を提供する。
【0054】
本発明の別の態様によれば、本発明者らは、COX-2が介在する症状を治療する治療剤を製造するための式(I)で表される化合物の使用を提供する。
【0055】
本発明の別の態様によれば、本発明者らは、炎症性疾患を治療する治療剤を製造するための式(I)で表される化合物の使用を提供する。
【0056】
他に明確に言及しない限り、治療への言及は確立した症状の治療及び予防的治療の両方が含まれることを理解すべきである。
【0057】
本発明の化合物は、有利にも1種以上の他の治療薬と組み合わせて使用してもよいことが理解されるであろう。補助的療法のための好適な薬剤の例としては、トリプタン(例えば、スマトリプタン又はナラトリプタン)等の5HT1アゴニスト;アデノシンA1アゴニスト;EPリガンド;グリシンアンタゴニスト等のNMDAモジュレーター;ナトリウムチャネル阻害薬(例えば、ラモトリジン);サブスタンスPアンタゴニスト(例えば、NK1アンタゴニスト);カンナビノイド;アセトアミノフェン又はフェナセチン;5-リポキシゲナーゼ阻害剤;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD(例えば、メトトレキサート);ガバペンチン及びその関連化合物;三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン);神経細胞安定化抗癲癇薬;モノアミン作動性摂取阻害剤(例えば、ベンラファキシン);マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;iNOS又はnNOS阻害剤等の一酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害剤;腫瘍壊死因子αの放出又は作用阻害剤;モノクローナル抗体治療等の抗体治療;ヌクレオシド阻害剤(例えば、ラミブジン)又は免疫系調節剤(例えば、インターフェロン)等の抗ウイルス剤;オピオイド鎮痛薬;局所麻酔薬;カフェインを始めとする刺激薬;H2-アンタゴニスト(例えば、ラニチジン);プロトンポンプ阻害剤(例えば、オメプラゾール);制酸剤(例えば、水酸化アルミニウム又はマグネシウム;抗膨満薬(例えば、シメチコン);鬱血除去薬(例えば、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、又はレボ-デソキシエフェドリン);鎮咳薬(例えば、コデイン、ヒドロコドン、カルミフェン、カルベタペンタン、又はデキストラメトルファン);利尿薬;又は鎮静若しくは非鎮静抗ヒスタミン薬が含まれる。本発明は1種以上の他の治療剤と組み合わせでの式(I)の化合物の使用を包含することを理解すべきである。
【0058】
式(I)の化合物は、好都合に医薬組成物の形態で投与される。したがって、本発明の別の態様では、本発明者らはヒト又は獣医学での使用に適合した式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。かかる組成物は、好都合に従来の方法による1種以上の生理学的に許容される担体又は賦形剤との混合物での使用として提供されてもよい。
【0059】
当業者には理解されるであろうが、本発明の化合物は、錠剤構造その他の製剤タイプに適した粒径を得るために湿式粉砕等の公知の粉砕手順を用いて粉砕することができる。特に、乏しい生物学的利用能を示す化合物の場合に、微細粉砕(ナノ粒子)された本発明の化合物を含む製剤は、当技術分野にて公知な方法で製造することができる(例えば、国際特許出願番号WO 02/00196 (SmithKline Beecham)を参照のこと)。従って本発明は、さらなる態様において、式 (I)の化合物が微細粉砕されるかまたはナノ粒子の形態である医薬組成物を提供する。特に、本発明は2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン(当該化合物は、1種以上の製薬上許容される担体または賦形剤との混合物にて、固体粒子の中で、ナノ粒子形態で存在する)を含む医薬組成物を提供する。
【0060】
式(I)の化合物は、あらゆる好適な方法での投与のために製剤化することができる。該化合物は、例えば、局所投与若しくは吸入による投与、又は、より好ましくは、経口、経皮若しくは非経口投与のために製剤化してもよい。医薬組成物は式(I)の化合物の徐放をもたらし得るような形態であってもよい。
【0061】
経口投与の場合には、医薬組成物は許容される賦形剤と共に慣用の手法により製造される形態、例えば、錠剤(例えば舌下錠)、カプセル、粉末、溶液、シロップ又は懸濁液の形態を採ってもよい。
【0062】
経皮投与の場合には、医薬組成物は経皮イオン導入パッチ等の経皮パッチの形態で提供してもよい。
【0063】
非経口投与の場合には、医薬組成物は注射又は連続輸液 (例えば、静脈内の、血管内の又は皮下の)として提供してもよい。該組成物は油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳剤等の形態を採ってもよく、懸濁化、安定化及び/又は分散化剤等の製剤化剤を含んでいてもよい。注射による投与の場合には、これらは好ましくは保存剤の添加とともに単位用量又は複数用量提示の形態であってもよい。
【0064】
あるいは、非経口投与の場合には、活性成分は好適なビヒクルによる再構成のための粉末形態であってもよい。
【0065】
本発明の化合物は徐放性(デポー)製剤として製剤化されてもよい。そのような長期作用製剤は埋め込み(例えば、皮下に又は筋肉内に)によるか、又は筋肉内注射によって投与し得る。従って、例えば、本発明の化合物は、好適な高分子若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)又はイオン交換樹脂と共に製剤化するか、或いは、僅かに可溶性の誘導体として(例えば、僅かに可溶性の塩として)製剤化してもよい。
【0066】
上述のように、本発明の化合物は他の治療剤と組み合わせて使用することもできる。従って、さらなる態様において本発明は、さらなる治療剤とともに式(I)の化合物を含む組合せを提供する。
【0067】
上述した組み合わせは、好都合に医薬製剤の形態での使用のために提供されてもよく、したがって薬学的に許容される担体又は賦形剤とともに上記定義のような組み合わせを含む医薬製剤は本発明のさらなる態様を構成する。かかる組み合わせの個々の成分は、別々の又は組み合わせた医薬製剤で、連続的に又は同時に投与してもよい。
【0068】
式(I)の化合物を、同一の病状に対して活性な第2の治療薬と組み合わせて使用する場合、各化合物の用量はその化合物単独で使用した場合のものとは異なってもよい。適切な用量は当業者であれば容易に分かるであろう。
【0069】
ヒトの治療のための式(I)の化合物の推奨される1日用量は、0.01mg/kg〜500mg/kg、0.05mg/kg〜100mg/kg等、例えば0.1mg/kg〜50mg/kgで、そしてこれは好都合に1〜4回用量で投与してもよい。使用する正確な用量は患者の年齢及び症状や投与経路による。したがって、例えば、0.25mg/kg〜10mg/kgの1日用量が全身的投与には好適であるかもしれない。
【0070】
式(I)の化合物は、類似構造の化合物の製造に関する当技術分野で公知のあらゆる製造方法で製造することができる。
【0071】
式(I)の化合物は、式(II)のアルコールR1OH又はその保護誘導体と式(III):
【化9】

【0072】
の化合物とを反応させ、その後、必要であれば、
式(I)の化合物を別の式(I)の化合物に変換し;
及び/又は、
式(I)の化合物の保護誘導体を脱保護する
ことを含む方法により製造することができる。
【0073】
式(I)の化合物の全合成を以下のスキーム1に示すが、ここでR1及びR2は他に言及しない限り上記の式(I)で定義したとおりであり、R3はC1-6アルキルであり; THFはテトラヒドロフランであり; MTBEはメチルt-ブチルエーテルであり;アルキルは直鎖又は分枝鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル又はt-ブチル基)である。
【0074】
スキーム1を参照すると、式(I)の化合物の製造は、好都合に水素化ナトリウムの存在下で式(III)の化合物を式(II)のアルコールで処理することにより達成され得る。該反応は、好都合にTHF等の溶媒中、室温から還流温度の間で行われる。
【0075】
好都合に、スキーム1に示した酸化はペルオキシモノ硫酸カリウム(Oxone(商標)として公知)等のモノ過硫酸塩化合物を用いて行われ、反応はアルコール水溶液(例えば、メタノール水溶液)等の溶媒中で、-78℃から室温の間で行われる。
【0076】
あるいは、スキーム1に示した酸化は触媒のタングステン酸ナトリウム二水和物の存在下で過酸化水素を用いて行うことができる。この反応は酢酸等の溶媒中、室温から還流の間の温度(例えば、50℃)で行うことができる。
【0077】
スキーム1
【化10】

【0078】
スキーム1を参照すると、式(VI)のジオン類を環化して対応する式(IV)のピリミジン類を得るには、好都合に2-メチル-2-チオシュードウレア(thiopseudourea)硫酸塩等のチオロニウム塩を用いて還流下で行う。
【0079】
式(I)の化合物又はそれへの中間体の製造のためのスキーム1に記載された手順のいくつかは、置換基のいくつかには適用できない場合があることを当業者は理解されよう。
【0080】
さらに、目的とする式(I)の化合物を与えるために、記載したのとは異なる順番でスキーム1に記載した変換を行うこと又は一つ以上の変換を改変することが必要か又は望ましいかもしれない場合があることを当業者は理解されよう。
【0081】
スキーム1の1つの変形として、式(III)の化合物[式中、R3はC1-6アルキル又はNH2である]は、式(IV)A:
【化11】

【0082】
の化合物を上記の酸化条件下で酸化することにより製造することができる。式(IV)Aの化合物は、対応する式(VI)及び(VII)のスルフィド化合物に代えてスルホニル誘導体を用いることにより、スキーム1の一般的手順に従って製造することができる。
【0083】
式(I)の化合物は、前駆体として式(I)の他の化合物を用いて、相互変換により製造できることが当業者には理解されるであろう。アルキル化等の好適な相互変換は当業者に周知であり「Advanced Organic Chemistry」(Jerry March, fourth edition (Wiley, 1992);参照により本明細書に組み込まれる)等の多くの標準的な有機化学のテキストに記載されている。例えば、式(I)の化合物[式中、R1はC1-6アルキル、1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキル、C3-6アルケニル、C3-6アルキニル、C3-10シクロアルキルC0-6アルキル、C4-12架橋されたシクロアルカン、A(CR4R5)n (ただし、nはゼロではない)及びB(CR4R5)nである]は、対応する式(I)の化合物[式中、R1はHである。]のアルキル化により製造することができる。
【0084】
式(I)の化合物[式中、R3はR7CONHである]を与えるための式(I)の化合物[式中、R3はNH2である]のアシル化は、従来の方法、例えば、「Advanced Organic Chemistry」(pp 417-424;参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたような慣用のアシル化剤を用いて行うことができる。
【0085】
当業者には理解されるであろうが、式(I)の化合物の合成のあらゆる段階において、望ましくない副反応を防止するために分子内の1種以上の感受性基を保護することが必要であるか望ましいことがある。式(I)の化合物の製造において使用される保護基は、従来の方法で使用することができる。例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」(Theodora W Green and Peter G M Wuts, second edition, (John Wiley and Sons, 1991);参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたものを参照のこと。この書籍には、かかる基の除去方法についても記載されている。
【0086】
式(II)のアルコールは公知の化合物であるか、又は「Comprehensive Organic Transformations: a guide to functional group preparations」(Richard Larock (VCH, 1989);参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたような文献の方法により製造することができる。
【0087】
式(V)のチオロニウム塩は公知の化合物であるか、又はA H Owensら(Eur J Med Chem, 1988, 23(3), 295-300;参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたような文献の方法により製造することができる。
【0088】
式(VII)のアセトフェノン類は公知の化合物であるか、又は従来の化学により製造することができる。
【0089】
上記のいくつかの中間体は新規化合物であり、本明細書に記載の全ての新規な中間体は本発明のさらなる態様を形成することを理解すべきである。式(III)及び(IV)の化合物は重要な中間体であり、本発明の特別の態様を表す。
【0090】
本発明の化合物の溶媒和物(例えば、水和物)は、前記製造工程のうちの1つの後処理手順において形成し得る。
【実施例】
【0091】
以下に続く中間体及び実施例は本発明を説明するものであるが、本発明を決して限定するものではない。全ての温度は℃である。フラッシュカラムクロマトグラフィーはMerck 9385シリカを用いて行った。固相抽出(SPE)クロマトグラフィーは15mmHg真空下でVarian Mega Bond Elut (Si)カートリッジ(Anachem)を用いて行った。薄層クロマトグラフィー(Tlc)はシリカプレート上で行った。既に定義したものに加えて、以下の略語を使用する: Me, メチル; Ac, アシル; DMSO, ジメチルスルホキシド; TFA, トリフルオロ酢酸; DME,ジメトキシエタン; DCM, ジクロロメタン; NMP, N-メチルピロリドン; 及びMTBE, メチル t-ブチル エーテル。
【0092】
中間体 1
4,4,4-トリフルオロ-1-[4-(メチルチオ)フェニル]ブタン-1,3-ジオン
MTBE (125ml)に溶解したエチルトリフルオロアセテート(7.95ml、1.1eq)溶液に、メタノール(16ml、1.2eq)に溶解した25%のナトリウムメトキシドを滴下した。4-メチルチオアセトフェノン(Aldrich、10g、0.06mol)を少しずつ添加し、この混合物を室温で一晩攪拌した。2Nの塩酸(40ml)を注意深く添加し、有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)して、オレンジ色の固体を得た。オレンジ色の固体を温イソプロパノールで再結晶して、表題化合物を黄色の結晶性固体(11.25g、71%)として得た。
【0093】
MH-261
中間体2
2-(メチルチオ)-4-[4-(メチルチオ)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン
酢酸(100ml)に溶解した4,4,4-トリフルオロ-1-[4-(メチルチオ)フェニル]ブタン-1,3-ジオン(5g)と2-メチル-2-チオシュードウレア硫酸塩(5.1g、0.98eq)の混合物に酢酸ナトリウム(3g、2eq)を添加し、還流下、8時間加熱した。混合物を真空下で濃縮し、水(100ml)を加えて固体を得、濾別して表題化合物を黄色の固体(5.8g、定量的)として得た。
【0094】
MH+317
中間体3
2-(メチルスルホニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン
メタノール(500ml)に溶解した2-(メチルチオ)-4-[4-(メチルチオ)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン(5.78g)溶液に、水(200ml)に溶解したOXONE(商標)(Aldrich、56.23g、5eq)溶液を加えた。この混合物を室温で、一晩攪拌し、真空下で濃縮し、残渣を水とエチルアセテートに分液(2 x 100ml)した。合わせた有機相を乾燥し、真空下で濃縮してオフホワイト色の固体を温イソプロパノールとともに粉砕して、表題化合物を白色固体(5.6g、80%)として得た。
【0095】
MH+381
TlcSiO2酢酸エチル:シクロヘキサン(1:1)Rf0.45
実施例1
2-(4-フルオロフェノキシ)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン
無水テトラヒドロフラン(10ml)に溶解した4-フルオロフェノール(37mg、0.33mmol)の攪拌溶液に、窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(油中60%分散、13mg、0.33mmol)を加えて、得られた混合物を20℃で30分攪拌した。攪拌しながら反応混合物に、2-(メチルスルホニル)-4[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-トリフルオロメチル)ピリミジン(114mg、0.33mmol)を1回で加えて、攪拌を2時間継続した。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタンと2Nの水酸化ナトリウムに分液した。乾燥させた有機相を蒸発乾固した。残渣をクロロホルムで溶出するシリカゲルSPEカートリッジで精製して、表題化合物を無色の固体(99mg、80%)として得た。
【0096】
MH+413。
【0097】
実施例2〜10
実施例2〜10は、下記表1で示されるように、実施例1に記載した方法で製造した。
【表1】

【0098】

【0099】
実施例11
2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン
ナトリウムメトキシド(メタノールに溶解した6.6kgの30%w/w溶液)を、tert-ブチルメチルエーテル(40L)に溶解した4-(メチルチオ)アセトフェノン(5.0kg)とトリフルオロ酢酸メチル(4.25kg)の溶液に少なくとも30分かけて40±3℃にて添加した。溶液を少なくとも3時間、40±3℃で加熱した。酢酸(55L)を添加し、次いでS-メチル2-チオシュードウレア硫酸塩(5.45kg)を添加し、この混合物を約45Lまで濃縮した。混合物を約110℃で少なくとも更に8時間(一晩)加熱し、次に酢酸(20L)を添加した後、50±3℃に冷却した。水(2.5L)に溶解したタングステン酸ナトリウム二水和物(0.2kg)溶液を添加し、次いで過酸化水素(20.7kgの30%w/v溶液)を少なくとも3時間かけて温度を約50℃に維持しながら添加した。混合物を少なくとも12時間、約50℃で加熱した後、20±3℃に冷却した。続いて、水(28L)に溶解した亜硫酸ナトリウム(3.45kg)溶液を、温度を20±3℃に維持しながら少なくとも30分間かけて添加した。混合物を20±3℃にて約1時間エージングさせ、2-(メチルスルホニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジンを濾過により回収し、水(3 X 15L)で洗浄し、真空下で最大60℃にて乾燥した。収量9.96kg、理論値の90%。
【0100】
n-ブタノール(5.25L)中の2-(メチルスルホニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン(525g)の懸濁液を炭酸カリウム(210g)で20±5℃にて処理した。反応がHPLCにて完結するまで、混合物を50±5℃で一晩加熱した。あらゆる気体発生を制御するために温度を50±5℃に維持しながら酢酸(1.57L)を滴下した。続いて完全に結晶化するように50±5℃に温度を維持しながら30分間かけて水(3.67L)を添加した。次いでスラリーを20〜25℃に冷却し、少なくとも1時間エージングした。次に得られた生成物を減圧濾過し、n-ブタノール(787mL)、酢酸(236mL)および水(551mL)の混合液で洗浄し、続いて水(2 X 1.57L)で洗浄した。次に生成物を真空下で最高約50℃の温度にて乾燥させて表題化合物を得た。収量457g、理論値の88.4%。表題化合物は実施例10の化合物と同一であることがわかった。
【0101】
1H NMR(CDCl3)δ:8.33(2H、d、パラ2置換CH);8.11(2H、d、パラ2置換CH);7.70(1H、s、芳香族CH);4.54(2H、t、ブチルCH2);3.12(3H、s、スルホンCH3);1.88(2H、m、ブチルCH2);1.55(2H、m、ブチルCH2);1.01(3H、t、ブチルCH3)。
【0102】
実施例12
2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジンをナノ粒子の形態で含む医薬組成物
10%w/wの2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン(実施例11)および3.6%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する2kgバッチの水性縣濁液を、Dena DM-100ビーズミルに通した。Nylacast Nylubeから作成した単一の100mlチャンバーを、イットリウムで安定化した酸化ジルコニウムビーズ(Tosoh、Japan)を86体積%含むチャンバーと共に再循環構造(recirculation configuration)に用いた。該バッチは単一のビーズ径(0.4mm径)のビーズサンプルを用いて処理した。バッチを165分間処理した。収率は97.0%w/wであった。微細粉砕した縣濁液に15%w/wのマンニトールを加え、次いで得られた縣濁液をスプレードライして表題の医薬組成物を得た。
【0103】
スプレードライパウダー(実施例12)中の研磨媒体の汚染レベルは、ジルコニウム(Zr)が2ppm未満、イットリウム(Y)が1ppm未満であった。
【0104】
Fraunhofer評価を用いたMalvern Mastersizer Sレーザー回折ユニットを用いてレーザー回折サイズ分析(laser diffraction size analysis)で計測したとき、再構成したスプレードライパウダー生成物は中央粒径が2.4ミクロンであった。
【0105】
実施例13
2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジンをナノ粒子の形態で含む医薬組成物
20%w/wの2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン(実施例11)、1.0%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.2%w/wのラウリル硫酸ナトリウムおよび10%w/wのマンニトールを含有する5.2kgバッチの水性縣濁液を、Nylacastツインチャンバービーズミルに通した。Nylacast Nylubeから作成した2個の1000mlチャンバーをそれぞれ、イットリウムで安定化した酸化ジルコニウムビーズ(Tosoh、Japan)を86体積%含むチャンバーと共に再循環構造に用いた。該バッチは2種のビーズ径(0.8mm径、0.4mm径)のビーズサンプルを用いて処理した。バッチを120分間処理した。収率は95.0%w/wであった。次いで得られた縣濁液をスプレードライして表題の医薬組成物を得た。
【0106】
スプレードライパウダー(実施例13)中の研磨媒体の汚染レベルは、ジルコニウム(Zr)が3ppm、イットリウム(Y)が1ppm未満であった。
【0107】
Fraunhofer評価を用いたMalvern Mastersizer Sレーザー回折ユニットを用いてレーザー回折サイズ分析で計測したとき、再構成したスプレードライパウダー生成物は中央粒径が0.34ミクロン、90体積%粒子径が1.02ミクロンであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の製薬上許容される担体または賦形剤との混合物にて、固体粒子の中で、ナノ粒子形態で存在する式(I)の化合物を含む医薬組成物。
【化1】

[式中:
R1は、H、C1-6アルキル、1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキル、C3-6アルケニル、C3-6アルキニル、C3-10シクロアルキルC0-6アルキル、C4-12架橋されたシクロアルキル、A(CR4R5)nおよびB(CR4R5)nからなる群から選択され;
R2は、1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキルであり;
R3は、C1-6アルキル、NH2およびR7CONHからなる群から選択され;
R4およびR5は、独立して、HまたはC1-6アルキルから選択され;
Aは、無置換の5-若しくは6-員ヘテロアリール若しくは無置換の6-員アリール、または1個以上のR6で置換された5-若しくは6-員ヘテロアリール若しくは6-員アリールであり;
R6は、ハロゲン、C1-6アルキル、1個以上のフッ素原子で置換されたC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、1個以上のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、NH2SO2およびC1-6アルキルSO2からなる群から選択され;
Bは、
【化2】

からなる群から選択され;
R7は、H、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルOC1-6アルキル、フェニル、HO2CC1-6アルキル、C1-6アルキルOCOC1-6アルキル、C1-6アルキルOCO、H2NC1-6アルキル、C1-6アルキルOCONHC1-6アルキルおよびC1-6アルキルCONHC1-6アルキルからなる群から選択され;および
nは、0〜4である]
【請求項2】
1種以上の製薬上許容される担体または賦形剤との混合物にて、固体粒子の中で、ナノ粒子形態で存在する2-ブトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジンを含む医薬組成物。

【公表番号】特表2006−509754(P2006−509754A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554500(P2004−554500)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013344
【国際公開番号】WO2004/048344
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】