説明

CpGオリゴデオキシヌクレオチドによって誘発される免疫応答を変化させる方法

本明細書では、CXCL16の活性および/または発現に影響を及ぼす薬剤を使用して、DタイプCpGオリゴデオキシヌクレオチド(D ODN)の取り込みを変化させることができることが開示される。CXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤ならびにD ODNを投与することを含む、免疫応答を誘発する方法が開示される。また、CpG ODNに対する免疫応答を低下させる方法が開示される。これらの方法は、CXCL16の活性および/または発現を低下させる薬剤を投与することを含む。一つまたは複数のDタイプODNならびにCXCL16の活性および/または発現を調節する薬剤を含む組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は、免疫学の分野に関し、特に、免疫刺激性オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の取り込みを変化させるために使用することができる薬剤に関する。
【0002】
優先権主張
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2005年8月31日出願の米国特許仮出願第60/713,349号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0003】
背景
DNAは、その活性がその塩基組成および塩基修飾ならびにらせんの方向によって影響される複雑な高分子である。バクテリアDNAおよび非メチル化CpG配列を含む特定の合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、マウスB細胞による増殖および免疫グロブリン産生を誘発することができる。非メチル化CpGジヌクレオチドは、脊椎動物のゲノム中よりもバクテリアおよびウイルスのゲノム中でより頻繁に見られる。これらのモチーフの免疫認識が宿主の先天性免疫応答に寄与しうるということを研究が示唆している(Klinman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:2879, 1996(非特許文献1)、Yi et al., J. Immun. 157:5394, 1996(非特許文献2)、Liang et al., J. Clin. Invest. II 9:89, 1996(非特許文献3)、Krieg et al., Nature 374:546, 1995(非特許文献4))。
【0004】
CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、シトシンのピリミジン環がメチル化されていないCpGモチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチドである。3タイプのCpG ODN、すなわちCタイプ、KタイプおよびDタイプODNが同定されている。一般に、CpG ODNは、サイズが約8〜30塩基の範囲である。DおよびKタイプ核酸配列は、PCT公開公報番号WO98/18810A1 (特許文献1)(Kタイプ)およびPCT公開公報番号WO00/61151 (特許文献2)(Dタイプ)に記載されている。一般に、D ODNは細胞性免疫応答を刺激することができ、K ODNは体液性免疫応答を刺激することができる。
【0005】
DタイプODNおよびKタイプODNの両方を含む非メチル化CpGモチーフは、免疫細胞(たとえばB細胞、マクロファージおよび樹状細胞)で発現するToll様レセプタ9(TLR9)によって認識される。CpG DNAは細胞内/食細胞内経路によって取り込まれる。CpG ODNとTLR9との相互作用が、MyD88アダプタ分子の動員、IL-1Rキナーゼ-1および他の因子の活性化を誘発して、サイトカインの産生を生じさせるということが知られている(Latz et al., Nat. Immunol. 5:190-8, 2004(非特許文献5)を参照)。
【0006】
CpG ODNは、免疫応答を誘発するために使用することができる。したがって、CpG ODNは、多くの用途、たとえば抗原に対する免疫応答を誘発する用途、ワクチンの製造における用途およびアジュバントとしての用途を有するということが見いだされた。これらのオリゴヌクレオチドによって産生される免疫応答を変化させるために、細胞によるCpG ODNの取り込みを変化させることができることが有利であろう。本明細書では、この取り込みおよびCpG ODNによって誘発されるその後の免疫活性化を変化させる方法が開示される。
【0007】
【非特許文献1】Klinman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:2879, 1996
【非特許文献2】Yi et al., J. Immun. 157:5394, 1996
【非特許文献3】Liang et al., J. Clin. Invest. II 9:89, 1996
【非特許文献4】Krieg et al., Nature 374:546, 1995
【非特許文献5】Latz et al., Nat. Immunol. 5:190-8, 2004
【特許文献1】WO98/18810A1
【特許文献2】WO00/61151
【発明の開示】
【0008】
概要
本明細書では、CXCL16の活性および/または発現に影響を及ぼす薬剤を使用して、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、特にDタイプCpGオリゴデオキシヌクレオチド(D ODN)の取り込みを変化させることができることが開示される。したがって、CXCL16の活性および/または発現に影響を及ぼす薬剤を使用して、D ODNによって誘発される免疫応答を変化させることができる。一例では、薬剤は、CXCL16の活性および/または発現を増大させ、それによってD ODNの取り込みを増大させる。CXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤を使用して、D ODNによって誘発される免疫応答を増大させることができる。CXCL16の活性および/または発現を低下させる薬剤を使用して、D ODNによって誘発される免疫応答を低下させることができる。
【0009】
本明細書では、一つまたは複数のDタイプODNならびにCXCL16の活性および/または発現を調節する薬剤を含む特定の組成物が提供される。これらの組成物は、免疫応答、たとえば特異性抗原に対する免疫応答を誘発するのに有用である。
【0010】
添付図面を参照しながら進める、いくつかの態様に関する以下の詳細な説明から、前記および他の特徴および利点がより明らかになるであろう。
【0011】
詳細な説明
I. 用語
断りのない限り、専門用語は従来の使用法にしたがって使用される。分子生物学で一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見ることができる。
【0012】
本開示の様々な態様の審査を容易にするため、以下、特定の用語の説明を提供する。
【0013】
ADAM-10
ディスインテグリン、メタロプロテアーゼドメイン10およびMADM哺乳動物ディスインテグリンメタロプロテアーゼとしても知られる酵素であるタンパク質。ADAMタンパク質族のメンバーである。このタンパク質は、生理学的に関連のあるTNF処理酵素(TNFαコンベルターゼ、TNFα転化酵素)であることが示されている。TNFαの26kDa膜結合前駆体を開裂させて可溶性の成熟17kDa TNF形態を放出させる。
【0014】
ADAM-10は、カノニカルな亜鉛メタロプロテイナーゼモチーフを含み、タンパク質分解活性を有することが示されている。ウシ腎臓からのADAM-10は、ADAM-10を「ゼラチナーゼ」にするタイプIVコラーゲン溶解活性を有することが示された。ADAM-10は、内在性MMPインヒビタTIMP-1およびTIMP-3によって効率的に阻害されるが、TIMP-2およびTIMP-4によっては効率的に阻害されない。
【0015】
748アミノ酸タンパク質の完全長ADAM-10配列コードは予測質量で84.142kDである。グリコシル化およびシステインに富む領域がこのタンパク質を還元型SDS PAGE上では98kDで泳動させ、フリン処理された場合には60〜58kDで泳動させる。膜貫通ドメインをもたないADAM-10のより小さな691アミノ酸配列が、77.633kDの予測分子量で報告されている。ADAM-10は、通常条件下では膜固定されていると考えられる。ADAM-10の配列は、たとえば、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、GENBANK (商標)アクセッション番号AAC51766 (1997年9月26日)、AF009615 (1997年9月27日)およびCAA88463(2005年4月18日、MADAM)として見いだすことができる。
【0016】
動物
たとえば哺乳動物およびトリを含む範疇である、多細胞有脊椎生物。動物という語はヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む。同様に、「対象」という語はヒト対象および獣医学的対象を含む。
【0017】
抗原
動物に注入または吸着される組成物を含む、動物における抗体の産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物または物質。抗原は、異種免疫原によって誘発されるものを含む、特異的な体液性または細胞性免疫の産物と反応する。「抗原」という語は、すべての関連する抗原性エピトープを含む。
【0018】
「C」クラスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)
K ODNに似ており、ホスホロチオエート型ヌクレオチドのみからなるODN。通常、CクラスODNは、5'末端にTCGTCGモチーフを有し、パリンドローム配列に埋め込まれたCpGモチーフを有する。特にODNの5'部分における2'-0-メチル修飾のようなバックボーン修飾は、これらのODNのIFNα産生能力に影響を及ぼす。CクラスODNは、DおよびKタイプODNの性質を組み合わせて有する。このクラスのODNは、B細胞を刺激してIL-6を分泌させ、形質細胞様樹状細胞を刺激してインターフェロン-αを産生させる。CクラスODNはまた、IP-10産生および強いNK活性化を誘発する。
【0019】
CpGまたはCpGモチーフ
シトシンおよびそれに続く、ホスフェート結合によって連結したグアニンを有する、シトシンのピリミジン環がメチル化されていない核酸。「メチル化CpG」とは、通常はピリミジン環の5位置で起こる、ピリミジン環上のシトシンのメチル化をいう。CpGモチーフは、中央CpGをフランキングする(3'および5'側で)少なくとも一つの塩基によって包囲された非メチル化中央CpGを含む塩基のパターンである。理論によって拘束されることなく、CpGをフランキングする塩基は、活性の一部をCpGオリゴデオキシヌクレオチドに与える。CpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも約10ヌクレオチドの長さであり、非メチル化CpGを含むオリゴヌクレオチドである。CpGオリゴヌクレオチドは、DおよびKタイプオリゴデオキシヌクレオチドの両方を含む(以下参照)。CpGオリゴデオキシヌクレオチドは一本鎖である。CpGオリゴデオキシヌクレオチドは、全体的にメチル化されていないこともできるし、部分的にメチル化されていないこともできる。一つの態様では、少なくとも5' CG 3'のCがメチル化されていない。
【0020】

分化の損失、増大した増殖速度、周囲組織の浸潤を伴う特徴的な退形成を起こした、転移のおそれがある悪性新生物。たとえば、甲状腺癌は、甲状腺組織中に生じる、または甲状腺組織から生じる悪性新生物であり、乳癌は、乳房組織中に生じる、または乳房組織から生じる悪性新生物(たとえば腺管癌)である。残留癌とは、癌を減らすまたは根絶するために対象に加えられた何らかの形態の処置の後も対象中に残る癌である。転移癌とは、転移癌を誘発した最初の(原発性)癌の発生部位以外の体内の一つまたは複数の部位における癌である。
【0021】
化学療法または化学療法剤
本明細書で使用する場合、異常な細胞増殖を特徴とする疾病の処置において治療有用性を有する薬剤。そのような疾病としては、腫瘍、新生物および癌ならびに肥厚性成長を特徴とする疾病、たとえば乾癬がある。一つの態様では、化学療法剤は、固形腫瘍のような新生物を処置するために使用される薬剤である。一つの態様では、化学療法剤は放射性分子である。当業者は、使用すべき化学療法剤を容易に識別することができる(たとえば、Slapak and Kufe, Principles of Cancer Therapy, Chapter 86 in Harrison's Principles of Internal Medicine, 14th edition、Perry et al., Chemotherapy, Ch. 17 in Abeloff, Clinical Oncology 2nd ed., (著作権) 2000 Churchill Livingstone, Inc;Baltzer L, Berkery R (eds): Oncology Pocket Guide to Chemotherapy, 2nd ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 1995;Fischer DS, Knobf MF, Durivage HJ (eds): The Cancer Chemotherapy Handbook, 4th ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 1993を参照)。化学療法剤としては、5-フルオロウラシル(5-FU)、アザチオプリン、シクロホスファミド、アンチメタボライト(たとえばフルダラビン)、抗新生物薬(たとえばエトポシド、ドキソルビシン、メトトレキサートおよびビンクリスチン)、カルボプラチン、シスプラチンおよびタキサン類、たとえばタキソールをはじめとして、当業者に公知のものがある。ラパマイシンもまた、化学療法剤として使用されている。
【0022】
CXCL16
CXCL16レセプタ(CXCR6、Bonzoとも知られる)に特異的に結合するケモカイン。SR-PSOXとしても知られる。CXCL16の例示的なアミノ酸配列およびCXCL16をコード化するヌクレオチド配列が、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、GENBANK (商標)/EMBL Data Bankのアクセッション番号AF275260 (ヒトSR-PSOX、2001年1月2日)、AF277001 (ネズミSR-PSOX、2001年1月8日)およびAF277000 (ブタSR-PSOX、2001年1月8日)として記されている。また、レセプタに結合するCXCL16の変異体もこの開示に包含される。CXCL16レセプタは、マクロファージおよび樹状細胞上で発現し、約30KDaの分子量を有するタイプI膜タンパク質である。
【0023】
CXCL16は、CXCケモカインレセプタCXCR6の配位子であり、酸化低密度リポタンパク質(LDL)のスカベンジャレセプタである。CXCL16は、ケモカインドメイン、続いてグリコシル化ムチン様の柄および単一の膜貫通らせん、続いて短い細胞質テールを含むマルチドメイン分子として細胞膜上に発現する。CXCL16は、抗原提示細胞(APC)上で発現する。CXCL16は、活性化T細胞および骨髄プラズマ細胞の走化性を誘導する。細胞発現CXCL16は、タンパク質分解性開裂によって細胞膜から放出される。ディスインテグリン様メタロプロテイナーゼADAM-10がCXCL16開裂で役割を演じる。CXCL16は、IFN-γおよびTNF-αによって誘発される。
【0024】
サイトカイン
他の細胞の行動に影響を及ぼす細胞、たとえばリンパ球によって作られるタンパク質。一つの態様では、サイトカインは、細胞輸送に影響を及ぼす分子であるケモカインである。
【0025】
Dタイプオリゴデオキシヌクレオチド(D ODN)
式中、中央のCpGモチーフは、メチル化されておらず、Rは、AまたはG (プリンであり、Yは、CまたはT (ピリミジン)である、式:
5' RY-CpG-RY 3'
によって示される配列を有する、非メチル化CpGモチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチド。Dタイプオリゴデオキシヌクレオチドは非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。CpGの反転、置換またはメチル化が、Dオリゴデオキシヌクレオチドの活性を低下または抑制する。
【0026】
一つの態様では、DタイプODNは、少なくとも約16ヌクレオチドの長さであり、
式中、中央のCpGモチーフはメチル化されておらず、Puはプリンヌクレオチドであり、Pyはピリミジンヌクレオチドであり、XおよびWは任意のヌクレオチドであり、Mは0〜10の任意の整数であり、Nは4〜10の任意の整数である、式:

によって示される配列を含む。D ODN配列およびそれらの活性のさらなる詳細な説明は、参照により本明細書に組み入れられる、Verthelyi et al., J. Immunol. 166:2372-2377, 2001に見ることができる。一般に、D ODNは細胞応答を刺激することができる。たとえば、D ODNの「有効量」または「治療有効量」とは、応答を刺激するのに十分なD ODNの量である。
【0027】
エピトープ
抗原決定基。抗原性である、すなわち、特異的免疫応答を誘発する、分子上の特定の化学基またはペプチド配列である。抗体が特定の抗原性エピトープに結合する。
【0028】
機能的に等価
本明細書に記載するものと同じ結果を生じさせる、たとえばDタイプODNにおける配列変化。このような配列変化としては、欠失、塩基修飾、突然変異、標識付けおよび挿入を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0029】
免疫応答
刺激に対する免疫系の細胞、たとえばB細胞またはT細胞の応答。一つの態様では、応答は特定の抗原に特異的である(「抗原特異的応答」)。
【0030】
「免疫応答のパラメータ」とは、サイトカイン分泌(IL-6、IL-10、IFN-α等)、免疫グロブリン産生、樹状細胞成熟および免疫系細胞の増殖をはじめとする、免疫応答の特定の計測可能な局面である。当業者は、公知の実験室アッセイ法を使用してこれらのパラメータのいずれかの1つの増大を容易に判定することができる。一つの非限定的具体例では、細胞増殖を評価するために、3Hチミジンの取り込みを評価することができる。免疫応答のパラメータの「実質的」増大とは、対照に比較した場合の当該パラメータの有意な増大である。実質的な増大の非限定的具体例は、少なくとも約50%の増大、少なくとも約75%の増大、少なくとも約90%の増大、少なくとも約100%の増大、少なくとも約200%の増大、少なくとも約300%の増大および少なくとも約500%の増大である。当業者は、公知の統計学的方法を使用して有意な増大を容易に識別することができる。実質的な増大を評価するために使用される統計学的試験の一つの非限定的具体例は、D ODNに応答する試料の割合を対照に応答する試料の割合とで比較するためのZ試験の使用である。ノンパラメトリックANOVAを使用して、D ODNによって誘発される応答の大きさの差を、対照を使用して応答する試料の割合に比較することができる。この例では、p≦0.05が有意であり、免疫応答のパラメータにおける実質的増大を示す。当業者は、使用することができる他の統計学的アッセイ法を容易に識別することができる。
【0031】
感染因子
ウイルス、バクテリアおよび真菌をはじめとする、対象に感染することができる因子。
【0032】
感染性ウイルスの例は:レトロウイルス科;ピコルナウイルス科(たとえばポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(たとえば胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(たとえばウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);豚コレラウイルス(たとえばデング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(たとえばコロナウイルス);ラブドウイルス科(たとえば水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(たとえばエボラウイルス);パラミクソウイルス科(たとえばパラインフルエンザウイルス、おたふく風邪ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(たとえばインフルエンザウイルス);ブンガウイルス科(たとえばハンターンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス(出血熱ウイルス);レオウイルス科(たとえばレオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(乳頭腫、ウイルスポリオーマウイルス);アデノウイルス科(大多数のアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス (HSV)1およびHSV-2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(たとえばアフリカブタコレラウイルス);ならびに未分類の各種ウイルス(たとえば海綿状脳疾患の病因、デルタ肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠損サテライトと考えられる)、非A型、非B型肝炎の因子(クラス1=内的伝染、クラス2=非経口伝染(すなわちC型肝炎)、ノーウォークおよび関連ウイルスならびにアストロウイルス)を含む。
【0033】
感染性バクテリアの例は:ヘリコバクターピロリ;ボレリアバーグドルフェリー;レジネオラニューモフィリア;マイコバクテリア種(たとえばヒト型結核菌、トリ型結核菌、マイコバクテリウムイントラセルラーレ、カンサシ菌(M. kansaii)、マイコバクテリウムゴルドナエ);黄色ブドウ球菌、淋菌;髄膜炎菌;リステリア菌;化膿レンサ球菌(グループAストレプトコッカス);ストレプトコッカスアガラクティエ(グループBストレプトコッカス);ストレプトコッカス(ビリダンスグループ);フェカリス菌;ストレプトコッカスボビス;ストレプトコッカス(嫌気性種);肺炎連鎖球菌;病原性カンピロバクター菌種;エンテロコッカス種;ヘモフィルスインフルエンザエ;炭疽菌(Bacillus antracis);コリネバクテリウムジフテリア;コリネバクテリウム種;豚丹毒菌;ウェルシュ菌;破傷風菌;アエロゲネス菌;肺炎桿菌;パスツレラマルトシダ菌(Pasturella multocida);バクテロイデス種;有核紡錘菌;ストレプトバチルスモニリフォルミス;梅毒トレポネーマ;トレポネーマペルテヌ(Treponema pertenue);レプトスピラ;およびイスラエル放線菌を含む。
【0034】
感染性真菌の例は、クリプトコッカスネオフォルマンス;ヒストプラズマ症病原体;コクシジオイデスイミティス;ブラストミセスデルマティティジス;トラコーマ病原体;およびカンジダアルビカンスを含むが、これらに限定されない。
【0035】
他の感染性生物(たとえば原生生物)としては:マラリヤ原虫およびトキソプラズマがある。
【0036】
インターフェロンアルファ(α)
IFN-α型は、ウイルス、核酸、糖質コルチコイドホルモンおよび低分子量物質(n-ブチレート、5-ブロモデオキシウリジン)による誘導ののち、単球/マクロファージ、リンパ芽球細胞、線維芽細胞および多数の異なる細胞型によって産生される。少なくとも23種のIFN-αの変異体が公知である。個々のタンパク質は、19〜26kDaの分子量を有し、156〜166および172アミノ酸の長さを有するタンパク質からなる。
【0037】
すべてのIFN-αサブタイプは、アミノ酸位置115〜151の間に共通の保存配列領域を有するが、アミノ末端は可変性である。多くのIFN-αサブタイプは、一つまたは二つの位置だけで配列が異なる。また、天然の変異体は、カルボキシ末端で10個のアミノ酸によって切断されたタンパク質を含む。位置1/98および29/138のシステインの間にジスルフィド結合が形成されている。ジスルフィド結合29/138は、生物学的活性に不可欠であるが、1/98結合は、生物学的活性に影響を及ぼすことなく、還元することができる。
【0038】
少なくとも23種のIFN-α遺伝子がある。これらは1〜2kbの長さを有し、ヒト染色体9p22上にクラスター形成している。IFN-α遺伝子は、他の多くの真核生物遺伝子に見られるイントロン配列を含まない。構造に基づいて、クラスIおよびIIとして指定される2タイプのIFN-α遺伝子が区別される。これらは、それぞれ156〜166および172アミノ酸のタンパク質をコード化する。
【0039】
IFN-αのすべての公知のサブタイプは、適当なバイオアッセイ法において同じ抗ウイルス駆虫性、抗増殖性を示すが、相対的活性が異なるかもしれない。ヒトIFN-αはまた、ネズミ、ブタおよびウシ細胞系において強力な抗ウイルス性物質である。IFN-αのための多数のアッセイ法が記載されている。たとえば、IFN-αは、ヒトおよびウシ細胞系を使用する細胞変性効果減少試験によってアッセイすることができる。また、わずかな量のIFN-αを、このインターフェロンによって特異的に誘発されるMxタンパク質の検出によって試験することができる。また、高速検出のための二重特異性モノクロナール抗体を用いるサンドイッチELISA (2〜3時間内で10単位/mL=0.1ng/mL)が利用可能である。
【0040】
インターフェロンガンマ(γ)
IFN-γは、146のアミノ酸のサブユニットを有する二量体タンパク質である。このタンパク質は二つの部位でグリコシル化されており、pIは8.3〜8.5である。IFN-γは、23のアミノ酸の分泌シグナル配列を含む166のアミノ酸の前駆体タンパク質として合成される。20および25kDaの生物学的に活性のタンパク質の二つの分子形態が記載されている。いずれも位置25でグリコシル化されている。25kDa形態はまた、位置97でグリコシル化されている。分子量および電荷に関して天然のIFN-γに認められる違いは、異なるグリコシル化パターンによるものである。非変性条件下で認められる40〜60kDa形態はIFN-γの二量体および四量体である。ヒト遺伝子は約6kbの長さを有する。4種のエキソンを含み、染色体12q24.1にマッピングする。
【0041】
IFN-γは、高感度イムノアッセイ法、たとえばIFN-γを産生する個々の細胞の検出を可能にするELSA試験によって検出することができる。Mxタンパク質のようなIFN誘発タンパク質を計測することにより、わずかな量のIFN-γを間接的に検出することができる。IP-10の合成の誘発もまた、IFN-γ濃度を計測するために使用されている。加えて、バイオアッセイ法、たとえば2D9細胞中のインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ活性の誘発を使用するアッセイ法を使用してIFN-γを検出することもできる。
【0042】
単離
「単離された」生物学的成分(たとえば核酸、ペプチドまたはタンパク質)とは、成分が天然に存在する生物の細胞中の他の生物学的成分、すなわち他の染色体および染色体外DNAおよびRNAならびにタンパク質から実質的に分離されたもの、それらとは別に産生されたもの、またはそれらから精製されたものである。したがって、「単離」された核酸、ペプチドおよびタンパク質は、標準の精製法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。この語はまた、宿主細胞中の組み換え発現によって調製された核酸、ペプチドおよびタンパク質ならびに化学的に合成された核酸を含む。
【0043】
Kタイプオリゴデオキシヌクレオチド(K ODN):
式中、中央のCpGモチーフはメチル化されておらず、QはT、GまたはAであり、WはAまたはTであり、N1、N2、N3、N4、N5およびN6は任意のヌクレオチドである、式:
5'N1N2N3Q-CpG-WN4N5N63' (SEQ ID NO:22)
によって示される配列を有する、非メチル化CpGモチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチド。一つの態様では、QはTである。K ODN配列およびそれらの活性のさらなる詳細な説明は以下に見ることができる。一般に、K ODNは体液性応答を刺激することができる。たとえば、K ODNは、免疫グロブリン、たとえばIgMおよびIgGの産生を刺激する。K ODNはまた、とりわけ、末梢血単核細胞の増殖を刺激することができ、IL-6および/またはIL-12の発現を増すことができる。
【0044】
白血球
感染性生物および異物に対して体を防護する際に関与する、「白血球」とも呼ばれる血液中の細胞。白血球は骨髄で産生される。主に5タイプの白血球があり、二つの主要なグループ、すなわち多形核白血球(好中球、好酸球、好塩基球)および単核白血球(単球およびリンパ球)に細分される。感染が存在すると、白血球の産生が増大する。
【0045】
哺乳動物
この語はヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、「対象」はヒト対象および獣医学的対象の両方を含む。
【0046】
新生物
良性腫瘍および悪性腫瘍ならびに他の増殖性障害を含む異常な細胞増殖。
【0047】
核酸
一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかにあるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマー。断りのない限り、天然に存在するヌクレオチドと同様なやり方で核酸とでハイブリッド形成する天然ヌクレオチドの公知の類似体を含む。
【0048】
オリゴヌクレオチドまたは「オリゴ」
多数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基に、および置換ピリミジン(Py)(たとえばシトシン(C)、チミン(T)またはウラシル(U))または置換プリン(Pu)(たとえばアデニン(A)またはグアニン(G)のいずれかである置換性有機塩基に、結合した糖(たとえばリボースまたはデオキシリボース)を含む分子)。本明細書で使用する「オリゴヌクレオチド」は、オリゴリボヌクレオチド(ORN)およびオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)の両方をいう。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、オリゴヌクレオシド(すなわち、リン酸基をもたないオリゴヌクレオチド)および任意の他の有機塩基ポリマーを含む。オリゴヌクレオチドは、存在する核酸供給源(たとえばゲノムまたはcDNA)から得ることができるが、好ましくは合成(たとえば、オリゴヌクレオチド合成によって製造)される。
【0049】
「安定化したオリゴヌクレオチド」とは、インビボ分解(たとえばエキソまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して比較的耐性であるオリゴヌクレオチドである。一つの態様では、安定化したオリゴヌクレオチドは、修飾されたリン酸バックボーンを有する。安定化したオリゴヌクレオチドの一つの非限定的具体例は、ホスホチオエート修飾リン酸バックボーン(ホスフェート酸素の少なくとも1個が硫黄によって置換されている)を有する。他の安定化したオリゴヌクレオチドとしては、非イオンDNA類似体、たとえばアルキルおよびアリールホスホネート(荷電したホスホネート酸素がアルキルまたはアリール基によって置換されている)、ホスホジエステルおよび荷電酸素部分がアルキル化されているアルキルホスホトリエステルがある。また、ジオール、たとえばテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールをいずれかまたは両方の末端に含むオリゴヌクレオチドが、クレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることが示された。
【0050】
「免疫刺激性オリゴヌクレオチド」、「免疫刺激性CpG含有オリゴデオキシヌクレオチド」、「CpG ODN」とは、シトシン、グアニンジヌクレオチド配列を含み、脊椎動物免疫細胞を刺激する(たとえば分裂促進効果を有するか、サイトカイン産生を誘発する)オリゴデオキシヌクレオチドをいう。シトシン、グアニンはメチル化されていない。
【0051】
「オリゴヌクレオチド送達複合体」とは、ターゲティング手段(たとえば標的細胞(B細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞)表面とのより高いアフィニティー結合および/または標的細胞による細胞取り込みの増大を生じさせる分子)と対応した(たとえばイオン結合もしくは共有結合した、またはその中に封じ込められた)オリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチド送達複合体の例は、ステロール(たとえばコレステロール)、脂質(たとえばカチオン性脂質、ビロゾームまたはリポソーム)または標的細胞特異的結合因子(たとえば、標的細胞特異的レセプタによって認識される配位子)と対応したオリゴヌクレオチドを含む。好ましい複合体は、標的細胞による内在化の前に有意な脱共役を防ぐのに十分なほどインビボで安定でなければならない。しかし、複合体は、オリゴヌクレオチドが機能するよう、細胞内の適切な条件下、開裂可能であるか、または他のやりかたでアクセス可能であるべきである(Gursel, J. Immunol. 167:3324, 2001)。
【0052】
医薬品または薬
対象に対して適切に投与されると所望の治療または予防効果を誘発することができる化合物または組成物。医薬品としては、化学療法剤および抗感染症剤があるが、これらに限定されない。
【0053】
薬学的に許容される担体
本明細書に開示する方法および組成物で有用な薬学的に許容される担体は従来の担体である。Remington's Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)が、本明細書に開示する融合タンパク質の薬学的送達に適した組成物および調合物を記載している。
【0054】
一般に、担体の性質は、用いられる特定の投与形態に依存する。たとえば、非経口製剤は通常、薬学的かつ生理学的に許容される流体、たとえば水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール等を溶媒として含む注入可能な流体を含む。固形組成物(たとえば散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤形態)の場合、従来の非毒性固形担体は、たとえば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される薬学的組成物は、少量の非毒性補助物質、たとえば湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤およびpH緩衝剤等、たとえば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有することができる。
【0055】
「薬学的に許容される塩」に包含される塩とは、非毒性の塩をいう。一例では、塩、たとえばADAM-10のアゴニストの塩は、遊離塩基を適当な有機または無機酸と反応させることによって、あるいは、酸を適当な有機または無機塩基と反応させることによって調製される。代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸、クエン酸塩、二塩化水素化物、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモエート(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエトヨウ化物、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩がある。
【0056】
疾病を予防または処置
疾病を「予防する」とは、たとえば腫瘍またはウイルスもしくはバクテリアのような病原によって引き起こされる疾病の素因を有することが知られる人において疾病の完全な発現を抑止することをいう。知られる素因を有する人の例は、家族に糖尿病の病歴がある人または対象者をある病状に罹患しやすくする要因に暴露されたことがある人である。「処置」とは、疾病または病的状態が発現し始めたのちその徴候または症候を寛解させる治療的介在をいう。
【0057】
精製された
この語は、絶対的な純度を要求するものではない。むしろ、相対的な語として意図される。したがって、たとえば、精製されたペプチド製剤は、ペプチドまたはタンパク質が細胞内の自然な環境における場合よりも富化されているものである。好ましくは、製剤は、タンパク質またはペプチドが製剤の全ペプチドまたはタンパク質含量の少なくとも50%を占めるように精製されている。
【0058】
自己相補的核酸配列
ワトソン・クリック型塩基対を形成することができる核酸配列。DNAのデオキシリボ核酸単位に特徴的な4種の塩基は、プリン(アデニンおよびグアニン)およびピリミジン(シトシンおよびチミン)である。アデニンは2個の水素結合を介してチミンと対合し、グアニンは3個の水素結合を介してシトシンと対合する。核酸配列が、同じ核酸配列中の2個またはそれ以上の他の塩基とで水素結合を形成することができる2個またはそれ以上の塩基を配列中に含むならば、その核酸は自己相補的配列を含む。いくつかの態様では、自己相補的核酸配列は、同じ核酸配列中の3個、4個、5個、6個またはそれ以上の塩基とでそれぞれ水素結合を形成することができる3個、4個、5個、6個またはそれ以上の塩基を含む。
【0059】
治療的に有効な用量
疾病の進行を阻止する、または疾病の退行を生じさせるのに十分である、あるいは、疾病によって生じる症候、たとえば痛みまたは腫脹を緩和することができる量。
【0060】
ワクチン
感染性疾病の予防、寛解または処置のために投与される、弱毒化された微生物(バクテリアおよびウイルスを含むが、これらに限定されない)、生きた微生物、抗原または死んだ微生物の製剤。
【0061】
断りのない限り、本明細書で使用するすべての専門用語および術語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される同じ意味を有する。そうではないことが文脈から明確に示されない限り、単数の用語である「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は複数の指示対象を含む。同様に、そうではないことが文脈から明確に示されない限り、「または」は「および」を含むことを意図する。さらには、核酸またはポリペプチドに関して記されるすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズおよびすべての分子量または分子質量の値は近似値であり、説明のために提供されることが理解されなければならない。本明細書に記載されたものに類似している、またはそれらと等価である方法および材料を本開示の実施または試験で使用することができるが、適当な方法および材料を以下に記す。「からなる」とは「含む」を意味する。詳細な説明で挙げられるすべての刊行物、特許出願、特許および他の引用例が参照により本明細書に組み入れられる。矛盾が生じた場合、用語の説明を含め、本明細書が優先する。加えて、材料、方法および例は、例を示すにすぎず、限定的であることを意図しない。
【0062】
II. 具体的な態様
本明細書では、CXCL16の活性および/または発現に影響を及ぼす薬剤をDタイプオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)とともに使用することができることが開示される。本明細書では、一つまたは複数のDタイプODNならびにCXCL16の活性および/または発現を調節する薬剤を含む特定の組成物が提供される。これらの組成物は、免疫応答を誘発するのに有用である。免疫応答は、病原または腫瘍からの抗原をはじめとする対象の抗原に対する応答であることができる。
【0063】
A. Dオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)
D ODN (「A」クラスODNとしても知られる)は、K ODN (「B」クラスODNとしても知られる)および「C」クラスODNとして知られる第三のタイプのODNの両方とも構造および活性が異なる。たとえば、本明細書に開示するように、D ODNは、免疫系の細胞からのサイトカインの放出を刺激し、樹状細胞の成熟を誘発する。非限定的具体例では、D ODNは、単球および/または形質細胞様樹状細胞によるIP-10およびIFN-αの放出および産生を刺激する。
【0064】
構造に関しては、一つの態様で、D ODNにおけるCpGモチーフは、
式中、中央のCpGモチーフはメチル化されておらず、RはAまたはG (プリン)であり、YはCまたはT (ピリミジン)である、式:
5' RY-CpG-RY 3'
によって記述されている。Dタイプオリゴヌクレオチドは非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。CpGの反転、置換またはメチル化がDオリゴデオキシヌクレオチドの活性を低下または抑制する。
【0065】
一つの態様では、DタイプODNは、少なくとも約16ヌクレオチドの長さであり、
式中、中央のCpGモチーフはメチル化されておらず、Puはプリンヌクレオチドであり、Pyはピリミジンヌクレオチドであり、XおよびWは任意のヌクレオチドであり、Mは0〜10の任意の整数であり、Nは4〜10の任意の整数である、式:

によって示される配列を含む。
【0066】
領域Pu1Py2CpG Pu3Py4は、CpGモチーフと呼ばれる。領域X1X2X3は、5'フランキング領域と呼ばれ、領域X4X5X6は、3'フランキング領域と呼ばれる。ヌクレオチドがD ODN中のX1X2X3の含まれた5'であるならば、これらのヌクレオチドは、5'遠フランキング領域と呼ばれる。D ODN中のX4X5X6のヌクレオチド3'は、3'遠フランキング領域と呼ばれる。
【0067】
一つの非限定的具体例では、Py2はシトシンである。もう一つの非限定的具体例では、Pu3はグアニジンである。さらに別の非限定的具体例では、Py2はチミジンであり、Pu3はアデニンである。さらなる非限定的具体例では、Pu1はアデニンであり、Py2はチロシンである。もう一つの非限定的具体例では、Pu3はアデニンであり、Py4はチロシンである。
【0068】
一つの非限定的具体例では、Nは約4〜約8である。もう一つの非限定的具体例では、Nは約6である。
【0069】
いくつかの態様では、D ODNは、少なくとも約16ヌクレオチドの長さである。たとえば、D ODNは、約16〜約50ヌクレオチドの長さまたは約18〜約50ヌクレオチドの長さまたは約18〜約40ヌクレオチドの長さまたは約18〜約30ヌクレオチドの長さであることができる。例示的なD ODNを以下に開示する。
【0070】
D ODNは、修飾されたヌクレオチドを含むことができる。理論によって拘束されることなく、修飾されたヌクレオチドは、D ODNの安定性を高めるために含めることができる。理論によって拘束されることなく、ホスホチオエート修飾ヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼ消化に対する耐性を与えるため、ホスホチオエート修飾ヌクレオチドを組み込むことによってD ODNは「安定化」される。一つの態様では、CpGジヌクレオチドモチーフおよびその隣接するフランキング領域は、ホスホチオエートヌクレオチドではなく、ホスホジエステルを含む。一つの非限定的具体例では、配列Pu1Py2CpG Pu3Py4がホスホジエステル塩基を含む。もう一つの非限定的具体例では、配列Pu1Py2CpG Pu3Py4中の塩基のすべてがホスホジエステル塩基である。さらに別の非限定的具体例では、X1X2X3およびX4X5X6(W)M(G)Nがホスホジエステル塩基を含む。さらに別の非限定的具体例では、

がホスホジエステル塩基を含む。さらなる非限定的な例では、配列X1X2X3が多くて1個または多くて2個のホスホチオエート塩基を含む、および/または配列X4X5X6が多くて1個または多くて2個のホスホチオエート塩基を含む。さらなる非限定的な例では、X4X5X6(W)M(G)Nが少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個または少なくとも5個のホスホチオエート塩基を含む。このように、D ODNはホスホチオエート/ホスホジエステルキメラであることができる。
【0071】
本明細書で開示するように、適当な修飾を使用してD ODNをインビボでの分解(たとえばエキソまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して耐性にすることができる。一つの非限定的具体例では、オリゴデオキシヌクレオチドを分解に対してより影響をうけにくくする修飾は、非従来的塩基、たとえばイノシンおよびケシンならびにアセチル修飾、チオ修飾および同様に修飾された形態のアデニン、シチジン、グアニン、チミンおよびウリジンの包含である。他の修飾されたヌクレオチドとしては、非イオンDNA類似体、たとえばアルキルまたはアリールホスホネート(すなわち、米国特許第4,469,863号で述べられているように、荷電ホスホネート酸素がアルキルまたはアリール基で置換されている)、ホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステル(すなわち、米国特許第5,023,243号および欧州特許第0 092 574号で述べられているように、荷電酸素部分がアルキル化されている)がある。また、ジオール、たとえばテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールをいずれかまたは両方の末端に含有するオリゴヌクレオチドがまた、分解に対してより耐性であることが示された。また、Dタイプオリゴデオキシヌクレオチドは、二次構造(たとえばステムループ構造)を含むように修飾することもできる。理論によって拘束されることなく、ステムループ構造の組み込みがオリゴデオキシヌクレオチドをより効果的にすると考えられる。
【0072】
さらなる態様では、Pu1Py2およびPu3Py4は自己相補的である。もう一つの態様では、X1X2X3およびX4X5X6は自己相補的である。さらに別の態様では、X1X2X3Pu1Py2およびPu3Py4X4X5X6は自己相補的である。
【0073】
Pu1Py2およびPu3Py4が自己相補的であるD ODNの非限定的具体例は、ATCGAT、ACCGGT、ATCGAC、ACCGAT、GTCGACまたはGCCGGC (CpGを下線で示す)を含むが、これらに限定されない。理論によって拘束されることなく、自己相補的塩基配列は、CpGジヌクレオチドを頂点に有するステムループ構造を形成して免疫刺激機能を促進するのに役立つことができる。したがって、一つの非限定的具体例では、Pu1Py2およびPu3Py4が自己相補的であるD ODNは、免疫系の細胞からより高レベルのIFN-γ産生を誘発する。自己相補性はPu1Py2およびPu3Py4に限定されなくてもよい。したがって、もう一つの態様では、CpG含有六量体の各側にある3個の塩基の各側にあるさらなる塩基が自己相補的配列を形成する(上記を参照)。
【0074】
Pu1Py2およびPu3Py4が自己相補的であるが、遠フランキング領域が自己相補的ではない配列の一つの非限定的具体例は、

である。
【0075】
このオリゴデオキシヌクレオチドは、自己相補的ではない遠フランキング領域を有し、高レベルのIFN-γおよびIFN-αを誘発する。
【0076】
D ODNのもう一つの非限定的具体例は、

である。
【0077】
このD ODNは、免疫細胞からのサイトカインの産生および/または放出を誘発するのに有用であるが、自己相補的モチーフを有しない。
【0078】
一つの態様では、D ODNは、少なくとも約16ヌクレオチドの長さである。第二の態様では、D ODNは、少なくとも約18ヌクレオチドの長さである。もう一つの態様では、D ODNは、約16ヌクレオチドの長さから約100ヌクレオチドの長さである。さらに別の態様では、D ODNは、約16ヌクレオチドの長さから約50ヌクレオチドの長さである。さらなる態様では、D ODNは、約18ヌクレオチドの長さから約30ヌクレオチドの長さである。
【0079】
もう一つの態様では、D ODNは、少なくとも18ヌクレオチドの長さであり、少なくとも2個のGが分子の5'末端に含まれて、このオリゴデオキシヌクレオチドが、式:

によって示される配列を含むようになっている。
【0080】
D ODNは、さらなるGをオリゴデオキシヌクレオチドの5'末端に含むことができる。一つの具体例では、約1個または約2個のGが、上記式として示された配列を含むオリゴデオキシヌクレオチドの5'末端に含まれる。
【0081】
D ODNの例は、以下の表に示す配列を含むが、これらに限定されない。
【0082】
(表1*)

下線で示す塩基がホスホジエステルである。*はメチル化CGを示す。太文字は自己相補的配列を示す。配列識別番号は核酸配列の下に記される。
【0083】
さらなる例示的なD ODN配列は、いずれも参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第10/068,160号およびVerthelyi et al., J. Immunol. 166:2372-2377, 2001に見ることができる。D ODNは、免疫応答を誘発するために組み合わせて使用することができる。したがって、多数のD ODNを使用して免疫応答を誘発することができる。たとえば、2種、3種、4種、5種またはそれ以上のD ODNを使用して免疫応答を誘発することができる。加えて、本明細書に開示される2種またはそれ以上のD ODN CpGモチーフを含む単一のODNを生成することもできる。
【0084】
D ODNは、当技術分野で周知の数多くの手法のいずれかを使用して新規合成することができる。たとえば、オリゴデオキシヌクレオチドは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,194,388号で述べられているようにして合成することができる。D ODNは、たとえば、B-シアノエチルホスホラミダイト法またはヌクレオシドHホスホネート法を使用して合成することができる。これらの化学的方法は、市販されている多様な自動化オリゴヌクレオチド合成装置によって実施することができる。または、オリゴデオキシヌクレオチドは、既存の核酸配列(たとえばゲノムまたはcDNA)から公知の技術を使用して、たとえば制限酵素、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを使用して調製することもできるが、この方法は直接合成よりも効率が低い。
【0085】
D、KおよびC ODNによって誘発される応答は、Tol様レセプタ9 (TLR9)に依存する。TLR9をもたない細胞は、いかなる形態のCpG ODNにも応答しない。本明細書では、D ODNの最適な認識にはさらなるレセプタ、すなわちCXCL16が必要であることが開示される。このレセプタの活性の発現の変化を使用して、D ODNによって誘発される免疫応答を変化させることができる。
【0086】
免疫応答を変化させる方法
本明細書では、D ODNの取り込みを変化させる方法が開示される。D ODNの取り込みの増大を使用して、D ODNの免疫刺激活性を増大させることができる。同様に、D ODNの取り込みの低下を使用して、D ODNの免疫刺激活性を減衰させることができる。
【0087】
上記のように、D ODNは、免疫応答を生じさせるのに有用である(同じく、参照により本明細書に組み入れられるPCT公開公報WO0061151A3、WO9956755A1、WO9840100A1、WO9818810A1、WO0122990A2を参照)。D ODNの投与は、インビボまたはエクスビボ投与をはじめとするいかなる適当な方法による投与であることもできる。たとえば、D ODNは、単球および/またはナチュラルキラー細胞を刺激するために使用することもできるし、樹状細胞の成熟を誘発するために使用することもできる。さらには、D ODNは、免疫系の細胞によるサイトカイン(たとえばIP-10、IFN-αまたはIFN-γ)の産生を増大させるために使用することもできる。D ODNは、対象の抗原に対するT細胞応答を誘発するために使用することができる。D ODNはまた、病原(たとえばバクテリア性、ウイルス性または真菌性病原)に対する免疫応答を生じさせるのに有用である。D ODNは、防護的免疫応答を誘発するために使用することができる。D ODNは、腫瘍抗原に対する免疫応答を増大させるために使用することができる。したがって、D ODNは、多様な治療用途で有用であり、ワクチン製剤で使用することもできる。
【0088】
CXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤を使用して、D ODNによって誘発される一つまたは複数の免疫応答を増大させることができる。一つの態様では、D ODNの取り込みを増大させる方法が提供される。この方法は、CXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤の有効量を投与することを含む。もう一つの態様では、D ODNならびにCXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤を投与することにより、対象における免疫応答を誘発する方法が本明細書で開示される。免疫応答としては、樹状細胞の成熟の誘発もしくはナチュラルキラー細胞および/または単球の活性化を挙げることができるが、これらに限定されない。また、免疫応答として、サイトカイン、たとえばIL-10、IP-10、IFN-αまたはIFN-γの産生を挙げることができる。また、免疫応答として、抗原、たとえばバクテリア性、ウイルス性または真菌性抗原に対する免疫応答を挙げることができる。免疫応答として、腫瘍抗原に対する免疫応答を挙げることができる。
【0089】
一例では、D ODNが、CXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤とともに、自己免疫疾患を有する対象に投与される。哺乳動物に影響を及ぼす例示的な自己免疫疾患としては、リウマチ関節炎、若年性オリゴ関節炎、コラーゲン誘発性関節炎、アジュバント誘発性関節炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳髄炎、炎症性腸疾患(たとえばクローン病、潰瘍性大腸炎)、自己免疫性胃萎縮症、尋常性疱瘡、乾癬、白斑、1型糖尿病、非肥満性糖尿病、重症性筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、硬化性細胆管炎、硬化性唾液腺炎、全身性エリテマトーデス、自己免疫性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、アジソン病、全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血等がある。自己免疫疾患の非限定的具体例は、糖尿病、リウマチ関節炎、エリテマトーデスおよび多発性硬化症を含むが、これらに限定されない。
【0090】
もう一つの例では、D ODNが、CXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤とともに、対象におけるアレルギー反応を処置、予防または寛解するために投与される。アレルギーとは、物質(アレルゲン)に対する後天性過敏症をいう。アレルギー症状としては、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻風邪、枯草熱、気管支ぜん息、じんま疹、食物アレルギーおよび他のアトピー性症状がある。アレルゲンのリストは長大であり、花粉、昆虫の毒、動物のふけ、ダスト、菌類胞子および薬物(たとえばペニシリンまたはテトラサイクロンのような抗生物質)を含む。天然の動植物アレルゲンの例は、PCT公開公報WO98/18810に見ることができる。一つの態様では、D ODNは、CXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤とともに、アレルギー性ぜん息のようなアレルギー症状を処置するために対象に投与される。D ODNならびにCXCL16の取り込みおよび/または活性を増大させる薬剤はまた、抗アレルギー剤と組み合わせて投与することもできる。適当な抗アレルギー剤としては、上記の様々なアレルギー症状の処置において投与される物質があり、それらの例は、Physicians' Desk Reference (1998)に見ることができる。
【0091】
さらなる例では、D ODNは、新生物を有する対象に投与される。一つの態様では、対象は癌を有する。D ODNは、CXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤とともに投与される。D ODNならびにCXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤は、単独で投与するか、または適当な抗新生物剤、たとえば化学療法剤または放射線と組み合わせて投与するかのいずれかができる。適当な新生物としては、良性および悪性の癌がある。新生物は、いかなる起源のものであることもでき、固形腫瘍、たとえば脳、肺(たとえば小細胞および非小細胞)、卵巣、乳房、前立腺、肝臓、肺、皮膚および大腸の癌ならびに癌腫および肉腫を含むが、これらに限定されない。新生物はまた、リンパ腫または白血病であることもできる。血液学的腫瘍の例は、急性白血病(たとえば急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性顆粒球性白血病ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病)および慢性白血病(たとえば慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性慢性骨髄性白血病および慢性リンパ性白血病)をはじめとする白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(無痛性および高度形態)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄形成異常性症候群および骨髄形成異常症を含む。
【0092】
固形腫瘍、たとえば肉腫および癌腫の例は、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌腫、リンパ悪性疾患、膵癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、偏平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣腫瘍、膀胱癌およびCNS腫瘍(たとえばグリオーム、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)を含む。D ODNならびにCXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤の投与は、腫瘍負荷を減らすために使用することができる。
【0093】
さらに別の例では、任意の適当なワクチンの効力を高める方法が提供される。この方法は、D ODNを、CXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤ならびにワクチン成分とともに投与することを含む。適当なワクチンとしては、例をPhysicians' Desk Reference (1998)に見ることができるリーシュマニア、A型、B型およびC型肝炎に対するワクチン、ならびにたとえばマラリアに対するDNAワクチンがある(Klinman et al., Vaccine 17:19, 1999、McCluskie and Davis, J. Immun. 161:4463, 1998を一般に参照)。ワクチンは、サブユニットワクチンであることもできるし、弱毒化または加熱殺菌ウイルスを含むものであることもできる。
【0094】
さらなる例では、D ODNならびにCXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤は、感染因子に伴う症状を処置または寛解するために使用することができる。したがって、D ODNならびにCXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤は、感染因子に感染した対象に投与することができる。感染因子に伴う症状の非限定的具体例は、野兎病、フランセシラ、住吸血虫症、結核症、マラリアおよびレーシュマニア症である。感染因子の例は、ウイルス、バクテリア、真菌および他の生物(たとえば原生生物)がPCT公開公報WO98/18810に見ることができる。D ODNならびにCXCL16の発現および/または活性を誘発する薬剤は、適当な抗感染症剤、たとえば抗ウイルス剤、抗真菌剤または抗バクテリア剤(Physicians' Desk Reference, 1998を参照)と組み合わせて投与することができる。
【0095】
CXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤は、一つまたは複数のサイトカインであることができる。サイトカインとしてのインターフェロンγ(IFN-γ、たとえばGENBANK (登録商標)アクセッション番号AAM28885、2002年5月16日を参照)および腫瘍壊死因子α(TNF-α、たとえばGENBANK (登録商標)アクセッション番号NP_000585、2006年8月20日を参照、参照により本明細書に組み入れられる)は、単独でまたは組み合わさってのいずれかでCXCL16を誘発する。したがって、IFN-γおよび/またはTNF-αは、D ODNの取り込みを増大させるために使用することもできる。D ODNの取り込みを増大させるために、IFN-γまたはTNF-αをコード化する核酸を対象に投与することもできる。CXCL16の発現および/または活性を誘発する薬剤は、CXCL16、たとえばヒトCXCL16をコード化する核酸を含む。
【0096】
CXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤としては、ADAM-10のアンタゴニストがあるが、これに限定されない。例示的なADAM-10のアンタゴニストは、GW280264X、G1254023XまたはGM6001である。GM6001は、化学式C2OH28N4O4で示され、以下に示す構造を有する:

【0097】
GW280264X((2R,3S)-3-(ホルミル−ヒドロキシアミノ)-2-(2-メチル-1-プロピル)ヘキサン酸[(1S)-5-ベンジルオキシカルバモイルアミノ-1-(1,3-チアゾル-2-イルカルバモイル)-1-ペンチル]アミド)およびGI254023X((2R,3S)-3-(ホルミル-ヒドロキシアミノ)-2-(3-フェニル-1-プロピル)ブタン酸[(1S)-2,2-ジメチル-1-メチルカルバモイル-1-プロピル]アミド)は、米国特許第6,172,064号、米国特許第6,191,150号および米国特許第6,329,400号に記載されているように合成することができる。これらの化合物は、その単結晶または多形結晶形態、非晶質形態、単独エナンチオマー、ラセミ混合物、単独ステレオ異性体、ステレオ異性体の混合物、単独ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、溶媒和物、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、生体加水分解性エステルまたは生体加水分解性アミドとして投与することができる。これらの化合物はまた、治療に使用するために、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、生体加水分解性エステル、生体加水分解性アミド、アフィニティー試薬またはプロドラッグとして投与することもできる。
【0098】
他のMMP-2阻害剤、たとえばバチマスタットが有用である。加えて、式C18H35NO2

の阻害剤のような阻害剤。同じく有用であるものは、式C13H14N4O3S2

の阻害剤である。同じく有用であるものは、式C21H23N7O2S2

の阻害剤である。同じく有用であるものは、式C21H19NO4S:

の阻害剤である。
【0099】
さらなる薬剤を、D ODNならびにCXCL16の活性および/または発現を変化させる薬剤とともに投与することができる。これらの薬剤としては、タンパク質、抗原性エピトープ、炭化水素、脂質、分裂促進剤、抗感染剤(たとえば抗ウイルス剤、抗真菌剤または抗バクテリア剤)、化学療法剤またはワクチン(たとえば生きた、弱毒化されたまたは加熱殺菌されたワクチン)がある。さらなる薬剤は、D ODNならびにCXCL16の活性および/または発現を増大させる薬剤と同時に投与することもできるし、順に投与することもできる。
【0100】
一つの態様では、抗原提示細胞またはリンパ球をインビトロで活性化する方法が提供される。この方法は、単球または樹状細胞前駆体をインビトロでD ODNならびにCXCL16発現および/または活性を増大させる薬剤と接触させて、活性化抗原提示細胞を産生することを含む。単球または樹状細胞前駆体は、抗原の存在または非存在で、D ODNならびにCXCL16発現および/または活性を増大させる薬剤と接触させることができる。活性化された抗原提示細胞を対象に投与すると、免疫応答を誘発することができる。または、リンパ球またはナチュラルキラー細胞を、活性化抗原提示細胞とインビトロで接触させるか、活性化抗原提示細胞によって分泌されるサイトカインとインビトロで接触させるかして、活性化リンパ球または活性化ナチュラルキラー細胞を産生する。そして、活性化リンパ球またはナチュラルキラー細胞を対象に投与して免疫応答を誘発することができる。
【0101】
もう一つの態様では、D ODNの取り込みを低下させる方法が提供される。この方法は、CXCL16の活性および/または発現を低下させる薬剤を提供することを含む。一例では、D ODNの取り込みを低下させる薬剤は、イオノマイシンである。もう一つの例では、CXCL16の活性および/または発現を低下させる薬剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小さな阻害性mRNA (simRNA)またはCXCL16mRNAを開裂させるリボザイムである。当業者は、CXCL核酸配列および/またはタンパク質配列を使用してこれらの分子を容易に製造することができる。
【0102】
さらなる例では、CXCL16の活性および/または発現を低下させる薬剤は、抗体である。抗体または抗体断片は、ヒト化免疫グロブリンであることができる。一般に、ヒト化免疫グロブリンは、CXCL16またはCXCL16を調整する分子に対し、少なくとも107 M-1、たとえば少なくとも108 M-1または109 M-1のアフィニティー定数で特異的に結合する。ヒト化モノクロナール抗体から誘導された抗体の使用が、ドナー抗体の定常領域の免疫原性に伴う潜在的問題を未然に回避する。ヒト化モノクロナール抗体を製造する技術は、たとえば、Jones, et al., Nature 321:522, 1986、Riechmann, et al., Nature 332:323, 1988、Verhoeyen, et al., Science 239:1534, 1988、Carter, et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 89:4285, 1992、Sandhu, Crit. Rev. Biotech. 12:437, 1992およびSinger, et al., J. Immunol. 150:2844, 1993に記載されている。
【0103】
抗体は、無傷の分子およびその断片、たとえば、重鎖および軽鎖可変領域を含み、エピトープ決定基に結合することができるFab、F(ab')2およびFvを含む。これらの抗体断片は、それらの抗原またはレセプタに選択的に結合するための何らかの能力を保持し、以下のように定義される:(1) 抗体分子の一価の抗原結合性断片を含む断片であるFabは、酵素パパインによる全抗体の消化によって無傷の軽鎖および一つの重鎖の部分を生じさせることによって生成することができ;(2) 抗体分子の断片であるFab'は、全抗体をペプシンによって処理したのち還元させて無傷の軽鎖および重鎖の部分を生じさせることによって生成することができ;抗体分子1個あたり2個のFab'断片が得られ;(3) 全抗体を酵素ペプシンによって処理したのち還元することなく得ることがことができる抗体の断片である(Fab')2;F(ab')2は、2個のジスルフィド結合によって合わせて保持された2個のFab'断片の二量体であり;(4) 2本の鎖として発現した軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された断片であるFv;ならびに (5) 適当なポリペプチドリンカによって遺伝子的に融合した単鎖分子としてリンクされた軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された分子と定義される単鎖抗体(たとえばscFv)。
【0104】
これらの断片を製造する方法は当技術分野で公知である(たとえば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988を参照)。エピトープとは、抗体のパラトープが結合する、抗原上の抗原決定基である。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面グルーピングからなり、通常、特定の三次元構造特性および特定の電荷特性を有する。
【0105】
CXCL16活性を低下させる際には、細胞内カルシウムを増加させる薬剤が有用である。理論によって拘束されることなく、細胞内カルシウムを増加させる薬剤は、ADAM-10活性を増大させてCXCL-16の開裂の増大を生じさせるのに有用である。たとえば、架橋剤を使用して形質細胞様樹状細胞の表面上のBDCA-2レセプタを架橋させることができる。これは、細胞内カルシウム流量の増大および対応するCXCL16活性の低下を生じさせる。架橋剤で処理された形質細胞様樹状細胞は、D ODNに応答してインターフェロンαを産生することができない。
【0106】
CXCL16は、アテローム硬化症およびアルツハイマー病で役割を演じる。したがって、CXCL16レベルの低下を利用してアテローム硬化症およびアルツハイマー病の対象を処置することができる。形質細胞様樹状細胞の表面上のCXCL16の減少はまた、SLEの処置に効果を発揮することができる。したがって、本明細書では、アテローム硬化症、アルツハイマー病および全身性エリテマトーデスの対象を処置する方法が提供される。いくつかの例では、この方法は、CXCL16に特異的に結合する抗体、ADAM-10の活性を増大させる薬剤、たとえばイオノマイシンを投与することを含む。
【0107】
インビボでの使用の場合、一般に、CXCL16発現および/または活性を変化させる薬剤の治療有効量を含む薬学的組成物が対象に投与される。また、D ODNが対象に投与される。一例では、CXCL16発現および/または活性を変化させる薬剤は、D ODNと同じ組成物に含めることができる。したがって、本明細書では、CXCL16を変化させる薬剤の治療有効量およびD ODNの治療有効量を薬学的に許容される担体中に含む組成物が提供される。場合によっては、化学療法剤、抗原、弱毒化または加熱殺菌されたウイルスおよび/またはサイトカインをはじめとするさらなる治療剤を含めることもできる。しかし、CXCL16を第一の組成物に含め、D ODNを第二の組成物に含め、それら二つの組成物を順次に対象に投与することもできる。
【0108】
本開示で有用である薬学的に許容される担体および賦形剤は従来のものである。たとえば、非経口製剤は通常、薬学的および生理学的に許容される流体溶媒である注射用流体、たとえば水、生理食塩水、他の平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール等を含む。含めることができる賦形剤は、たとえば、タンパク質、たとえばヒト血清アルブミンまたは血漿製剤である。望むならば、投与される薬学的組成物はまた、少量の非毒性補助物質、たとえば湿潤剤または乳化剤、防腐剤およびpH緩衝剤等、たとえば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有することもできる。
【0109】
薬学的組成物の剤形は、選択される投与形態によって決まる。CXCL-16の発現および/または活性を増大させる薬剤ならびにD ODNは、全身投与または局所投与することができる。薬剤は、錠剤、カプセル剤(それぞれ持続放出および徐放性製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤および乳剤として経口剤形(バッカル剤形および舌下剤形を含む)で投与することができる。同様に、いずれも当業者に周知の剤形を使用して、経鼻、経眼、経耳、経直腸、局所、静脈内(大量瞬時および注入)、腹腔内、動脈内、皮下または筋内吸引形態で投与することもできる。
【0110】
たとえば、注射用流体に加えて、局所用および経口製剤を使用することもできる。局所用製剤としては、点眼剤、軟膏、スプレーなどを挙げることができる。経口製剤は、液状(たとえばシロップ剤、液剤または懸濁剤)であってもよいし、固形(たとえば散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤)であってもよい。固形組成物の場合、従来の非毒性固形担体は、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者には公知であるか、明らかであろう。
【0111】
たとえば、ADAM-10のアンタゴニストの経口用量は、指示された効果のために使用される場合、1日あたり体重1kgあたり約0.1〜2000mg/kgの範囲であり、特に1日あたり体重1kgあたり約1〜1000mg/kgの範囲である。経口投与単位は一般に、1〜約250mg、たとえば約25〜250mgの範囲で投与される。70kgの哺乳動物の場合の1日量は、たとえば化合物の約10mg〜約5gの範囲であることができる。投与計画は一般に、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置される症状の重篤度;投与経路;患者の腎・肝機能;ならびに用いられる具体的な化合物またはその塩をはじめとする多様な要因にしたがって選択される。通常の医師または獣医は、治療有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0112】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、正確な用量の個別投与に適した単位剤形で調合される。投与される活性化合物の量は、処置される対象、病気の重篤度および投与の様式に依存し、処方する臨床医の判断に委ねることが最良である。これらの制約の範囲で、投与される製剤は、処置される対象において所望の効果を達成するのに有効な量の有効成分を含有する。ADAM-10阻害剤とで使用する場合などの錠剤、カプセル剤、坐剤、注射用製剤および吸引治療用製剤の調製に関しては、たとえば米国特許第6,172,064号を参照すること。
【0113】
組成物は、選択される具体的な投与形態に依存して、適切な固形または液状の担体とで調合することができる。望むならば、開示される薬学的組成物はまた、少量の非毒性補助物質、たとえば湿潤剤または乳化剤、防腐剤およびpH緩衝剤など、たとえば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含有することもできる。開示される組成物に含めることができる賦形剤としては、フローコンディショナおよび潤滑剤、たとえばケイ酸、タルク、ステアリン酸もしくはその塩、たとえばステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウムおよび/またはポリエチレングリコールもしくはその誘導体がある。
【0114】
組成物は、たとえば注射または注入のための非経口組成物として提供することができる。そのような組成物は、一般に、開示される治療剤を、所望の純度で、単位用量注射用剤形(液剤、懸濁剤または乳剤)で、薬学的に許容される担体、たとえば、用いられる用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤中の他の成分とで適合性である担体と混合することによって調合される。加えて、開示される治療剤は、水性担体、たとえば約3.0〜約8.0のpH、好ましくは約3.5〜約7.4、3.5〜6.0または3.5〜約5.0のpHの等張緩衝液中に懸濁させることができる。有用な緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム-クエン酸およびリン酸ナトリウム-リン酸および酢酸ナトリウム/酢酸緩衝剤がある。また、有効成分は、場合によっては賦形剤とともに、凍結乾燥物の形態にあることもでき、非経口投与の前に適当な溶剤の添加によって溶液にすることもできる。たとえば非経口投与に使用されるような溶液はまた、輸液として使用することもできる。
【0115】
治療組成物は、正確な用量の個別投与に適した単位用量剤形に調合することができる。パルス用量では、大量瞬時投与が提供されたのち、CXCL16活性/D ODNに影響を及ぼす開示された薬剤が対象に投与されない期間があり、それに続き第二の大量瞬時投与がある。治療有効量の組成物は、処置期間中、単一用量または多数用量で、たとえば1日1回投与することができる。非限定的具体例では、パルス用量が1日間、1週間または1ヶ月間投与される。
【0116】
治療有効量の製剤が経皮注入または送達ののち何時間または何日かにわたって血流中に送達されるよう、貯留性または「デポー」の徐放性製剤の剤形を使用することもできる。そのような作用の長い製剤は、埋め込み(たとえば皮下または筋内)または筋内注射によって投与することができる。化合物は、適当なポリマーもしくは疎水性材料(たとえば許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂を用いて調合することもできるし、難溶性の誘導体、たとえば難溶性の塩として調合することもできる。
【0117】
ポンプによって(上記Langer; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201, 1987、Buchwald et al., Surgery 88:507, 1980、Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574, 1989を参照)またはたとえばミニポンプを使用する連続的な皮下注入によって送達することができる治療用組成物。また、静脈内バッグ液剤を使用することもできる。適切な用量を選択する際の一つの要因は、実施者によって適切であるとみなされるような、本明細書に開示される方法によって満たされる、得られる結果である。他の徐放系がLanger (Science 249:1527-33, 1990)で論じられている。
【0118】
一例では、ポンプは埋め込まれる(たとえば、米国特許第6,436,091号; 同第5,939,380号; および同第5,993,414号を参照)。埋め込み可能な薬物注入装置は、治療剤の一定かつ長期間の投与または注入を患者に提供するために使用される。そのような装置は、能動的装置または受動的装置のいずれかとして分類することができる。
【0119】
能動的な薬物またはプログラム可能な注入装置は、ポンプまたは計量供給システムを採用して薬剤を患者の系に送達する。現在利用可能なそのような能動的注入装置の一例は、Medtronic SYNCHROMED (商標)プログラマブルポンプである。対照的に、受動的注入装置はポンプを採用せず、むしろ、加圧薬物タンクに依存して対象の薬剤を送達する。そのような装置の例としてMedtronic ISOMED(商標)がある。
【0120】
特定の例では、CXCL16活性および/または発現に影響を及ぼす薬剤を含む組成物は、徐放系によって投与される。D ODNもまた、徐放系により、単独でまたはCXCL16活性および/または発現に影響を及ぼす薬剤とともに投与することができる。適当な徐放系の例は、適当なポリマー材料(たとえば成形品、たとえばフィルムまたはマイクロカプセルの形態にある半透過性ポリマーマトリックス)、適当な疎水性材料(たとえば、許容される油中のエマルション)またはイオン交換樹脂および難溶性誘導体(たとえば難溶性塩)を含む。徐放性組成物は、経口、非経口、槽内、腹腔内、局所(散剤、軟膏、ゲル、滴剤または経皮パッチとして)投与することもできるし、経口もしくは経鼻スプレーとして投与することができる。徐放性マトリックスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタメートとのコポリマー(Sidman et al., Biopolymers 22:547-556, 1983, ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)); (Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167-277, 1981; Langer, Chem. Tech. 12:98-105, 1982、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.、同書)またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)がある。
【0121】
ポリマーは、イオン制御放出に使用することができる。制御された薬物送達で使用するための種々の分解性および非分解性ポリマーマトリックスが当技術分野で公知である(Langer, Accounts Chem. Res. 26:537, 1993)。たとえば、ブロックコポリマーとしてのポロキサマー407は、低温では粘稠かつ移動性の液体として存在するが、体温では半固形ゲルを形成する。組み換えインターロイキン-2およびウレアーゼの調合および徐放にとっては効果的な溶媒であることが示された(Johnston et al., Pharm. Res. 9:425, 1992およびPec, J. Parent. Sci. Tech. 44(2):58, 1990)。または、ヒドロキシアパタイトがタンパク質の徐放のためのマイクロキャリヤとして使用されている(Ijntema et al., Int. J. Pharm. 112:215, 1994)。さらに別の局面では、リポソームが、脂質カプセル化薬物の徐放および薬物ターゲティングのために使用される(Betageri et al., Liposome Drug Delivery Systems, Technomic Publishing Co., Inc., Lancaster, PA, 1993)。治療用タンパク質の制御された送達のための数多くのさらなるシステムが公知である(たとえば、米国特許第5,055,303号; 米国特許第5,188,837号; 米国特許第4,235,871号; 米国特許第4,501,728号; 米国特許第4,837,028号; 米国特許第4,957,735号; および米国特許第5,019,369号; 米国特許第5,055,303号; 米国特許第5,514,670号; 米国特許第5,413,797号; 米国特許第5,268,164号; 米国特許第5,004,697号; 米国特許第4,902,505号; 米国特許第5,506,206号; 米国特許第5,271,961号; 米国特許第5,254,342号; および米国特許第5,534,496号)。
【0122】
免疫応答を変化させる薬剤のスクリーニング
本明細書では、D ODNによって誘発される免疫応答に影響を及ぼす薬剤のスクリーニングのためのインビトロ法が提供される。一例では、この方法は、インビトロで細胞を薬剤と接触させ、CXCL16の発現および/または活性を評価することを含む。CXCL16の発現および/または活性の増大は、その薬剤がD ODNの取り込みを増大させるのに有用であることを示す。CXCL16の発現または活性の増大はまた、その薬剤がODNによって誘発される免疫応答を増大させることを示す。CXCL16の発現または活性の低下は、その薬剤がD ODNの取り込みを低下させるのに有用であることを示す。CXCL16の発現または活性の低下はまた、その薬剤がODNによって誘発される免疫応答を低下させることを示す。
【0123】
また、免疫応答のパラメータを計測することができる。一つの態様では、サイトカイン産生を計測する。たとえば、インターフェロン-αまたはIL-6の産生を計測することができる。もう一つの態様では、タンパク質の発現、たとえばHLAの発現を評価するが、これに限定されない。
【0124】
CXCL16の発現または活性は、当業者に公知の方法によって計測することができる。たとえば、CXCL16の発現は、ポリメラーゼ連鎖反応、ウエスタンブロット法およびELISAおよびフローサイトメトリーによって計測することができる(これらの方法の詳細な説明に関しては、参照により本明細書に組み入れられるAbel et al., J. Immunol. 172:6362-6372, 2004を参照)。
【0125】
CXCL16を計測するための一つの例示的な非限定的方法が逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)である。一つの例示的な非限定的方法は、TRIzol試薬を使用して培養細胞から単離されたRNAを使用する。全RNA (1μg)をDNaseIで処理し、適当な市販のポリメラーゼを使用してcDNAに逆転写する。試料ごとに、ポリメラーゼなしの対照を平行に実施してゲノムDNA汚染の評価を可能にする。蛍光TAQMAN (商標) 5'-ヌクレアーゼアッセイ法を使用するリアルタイム定量RT-PCRによって、各cDNA試料をCXCL16およびGAPDHの発現に関して分析する。CXCL16のためのフォワードプライマ、リバースプライマおよびプローブの例示的な配列を以下に記す:

CXCL16 mRNAのレベルは、各試料の蛍光とヒトゲノムDNAの連続希釈標準の蛍光との比較によって定量することができる。
【0126】
CXCL16のELISAアッセイ法のための一つの例示的な非限定的方法は以下のとおりである。Microlon 96穴プレート(Greiner, Nurtingen, Germany)を室温で使用する。反応量は50μlであった。プレートを、50mM Na2CO3 (pH9.3)中2mg/mlヤギ抗ヒトCXCL16で夜通しコートし、リン酸緩衝食塩水(PBS-T)中0.05% TWEENで3回洗浄し、ウシ血清アルブミン(BSA)を2%含むPBS-Tで2時間ブロッキングする。プレートを乾燥させ、試料を2時間加える。1% BSAを含むPBS-T、無血清培地または細胞溶菌緩衝剤中1.25nM組み換えヒトCXCL16の9個の連続1/2希釈物として調製される標準を平行に実施する。洗浄後、PBS-T/1% BSA中200ng/mlビオチン化ウサギ抗ヒトCXCL16を各穴に加え、プレートを室温で1時間インキュベートする。洗浄後、PBS-T/1% BSA中100mU/mlストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(Roche)を1時間加える。洗浄後、色素生成性ペルオキシダーゼ基質を加える。20分間インキュベーションしたのち、1.8M H2SO4の添加によって反応を停止させたのち、光学密度(OD)を450nmで測定した。
【0127】
CXCL16発現のFACS分析の一つの例示的な非限定的方法は以下のとおりである。細胞を、0.1% BSAおよび0.01% NaN3を含有する氷冷PBS中、3×105個/mlで懸濁させ、精製ウサギ抗ヒトCXCL16またはウサギIgG対照(いずれも、0.1% BSAおよび0.01% NaN3を含むPBS中2μg/ml)とともに氷上で1時間インキュベートする。2回の洗浄ののち、細胞を二次フルオレセイン結合ヤギ抗ウサギIgGとともに氷上で1時間インキュベートする。細胞を2回洗浄した後、パラホルムアルデヒドを2%含有する氷冷PBS中に懸濁させる。そして、標識付き細胞の蛍光シグナルをフローサイトメトリーによって分析し、細胞集団の平均蛍光強度(MFI)として計算する。
【0128】
CXCL16の発現または活性を対照に比較することができる。また、適当な対照としては、標準値または薬剤の非存在でD ODNと接触した細胞がある。
【0129】
本明細書では、D ODNによって誘発される免疫応答に影響を及ぼす薬剤をスクリーニングするためのインビボ法が提供される。一例では、この方法は、薬剤を非ヒト哺乳動物、たとえばマウス、ラット、ネコ、ヒツジ、イヌ、ヤギ、ブタまたはサルに投与し、その非ヒト哺乳動物から採取した試料におけるCXCL16の発現および/または活性を評価することを含む。
【0130】
CXCL16の発現および/または活性の増大は、この薬剤がD ODNの取り込みを増大させるのに有用であることを示す。CXCL16の発現または活性の増大はまた、この薬剤がODNによって誘発される免疫応答を増大させることを示す。CXCL16の発現および/または活性の低下は、この薬剤がD ODNの取り込みを低下させるのに有用であることを示す。CXCL16の発現または活性の低下はまた、この薬剤がODNによって誘発される免疫応答を低下させることを示す。
【0131】
上記のように、CXCL16の発現または活性は、当業者に公知の任意の方法によって計測することができる。たとえば、CXCL16の発現は、ポリメラーゼ連鎖反応、ウエスタンブロット法およびELISAおよびフローサイトメトリーによって計測することができる(これらの方法の詳細な説明に関しては、Abel et al., J. Immunol. 172:6362-6372, 2004を参照)。加えて、免疫応答は、動物モデルで評価することができる。たとえば、サイトカインの産生または細胞(たとえば活性化T細胞)の数を計測することができる。
【0132】
CXCL16の発現または活性を対照に比較することができる。また、適当な対照としては、標準値がある。また、適当な対照としては、薬剤の非存在でD ODNを投与された動物から得られた細胞がある。
【0133】
以下の非限定的な実施例によって本開示を例示する。
【0134】
実施例
実施例1
硫酸デキストランがD ODN取り込みおよびシグナリングをブロックする
スカベンジャレセプタ(SR)がD ODN取り込みおよびシグナリングにおいて役割を演じるかどうかを評価するため、 硫酸デキストランおよびフコイダン(典型的なスカベンジャレセプタ配位子)がCpG ODNのpDCへの結合をブロックする能力を評価した(表2および補足図3A)
【0135】
(表2) CpG ODNによって誘発された細胞活性化に対する硫酸デキストランの効果

a 精製pDCを培地または50μg/ml硫酸デキストランとでプレインキュベート(4℃で20分)したのち、FITC結合ODN 1μMを加えた。FITC-ODNの結合を表す平均蛍光強度をフローサイトメトリーによって評価した。
b PBMCからのK」ODN誘発TNF-α産生および「D」ODN誘発IFN-α産生を、50μg/mlの硫酸デキストランの非存在または存在で、それぞれ、細胞質内染色およびELISAによって測定した。
c 精製pDCを、50μg/mlの硫酸デキストランの非存在または存在で、1μMの「K」ODNまたは3μMの「D」ODNとでインキュベートし、24時間後、HLA-DR/CD54のアップレギュレーションをフローサイトメトリーを用いて測定した。結果は、3回の独立した実験の平均±S.Dを表す。
【0136】
硫酸デキストランは、pDCに対するD ODNの結合を>50%阻害したが、K ODNの結合は阻害しなかった(p<0.001)。別のSR配位子フコイダンの存在でも同様なレベルの阻害が達成されたが、非配位子コンドロイチン硫酸では達成されなかった。これらのSR配位子はまた、D ODN誘発IFNα分泌およびHLA-DR/CD54のアップレギュレーションを>90%無効にしたが(p<0.001)(表2ならびに補足図3Bおよび3D)、K ODN誘発TNFα産生およびHLA-DR/CD54アップレギュレーションに影響を及ぼすことはできなかった(表2ならびに図3Cおよび3D)。これらの結果は、D ODNに関するSR媒介認識機構を示唆するものであった。
【0137】
実施例2
D ODNのレセプタの同定
D ODNレセプタの性質を同定するため、多数のSR (タイプA SR、CD36、CD163、MARCOおよびSR-PSOX/CXCL16)を事前にスクリーニングして、CXCL16がD ODNの認識に関与するかもしれないという証拠を得た。CXCL16は、プロフェッショナル抗原提示細胞の表面で膜貫通分子として発現した場合にSR活性を有する異例なケモカインである(Shimaoka et al., J Biol Chem. 275(52):40663-6, 2000)。初期のスクリーニングの結果に基づき、ビオチン結合CpG ODNが精製組み換えCXCL16に結合する能力を無細胞ELISAベースアッセイ法で評価し、用量依存性であり、K ODNとで見られる結合レベルよりもD ODNとの場合で有意に高い(P<0.001)ことを見いだした(図1A)。
【0138】
実施例3
D ODN結合に関するCXCL16の特異性
次に、D ODNの潜在的な結合レセプタとしてのCXCL16の特異性を、HEK293細胞中で測定した。多量のD ODNを内在化するHEK293細胞の割合は、CXCL16コード化プラスミドのトランスフェクトののち、K ODNの場合の無変化に対して、有意に>5倍増大した(p<0.05、図1B、ヒストグラム)。共焦点顕微鏡検査は、CXCL16がD ODNとは共存するが、K ODNとは共存しないことを明らかにした(図1B)。注目されることに、CXCL16表面発現のレベルは、D ODN取り込みの大きさと相関した(図1B、白い矢じりで示す細胞と黒い矢じりで示す細胞とを比較)。
【0139】
CXCL16がpDC中でD ODN特異的細胞表面レセプタとして働くかどうかを評価するため、ヒトpDCにおけるこのレセプタの発現を分析した。フローサイトメトリー試験の結果は、pDCの20〜40%(図4A)がその表面にCXCL16を発現することを示した。比較として、Uchiyamaら(Tabata S. et al., J Leukoc Biol. 77(5):777-86, 2005)は、pDCがCXCL16を産生することを記載したが、この材料の大部分が開裂し、分泌されると報告している。
【0140】
pDCがその表面にCXCL16を発現することを確認したのち、この細胞タイプへのODN結合を抗CXCL16抗体の存在で評価した。抗CXCL16抗体は、pDCへのD ODNの結合を有意に阻害した(78.39%、P<0.001、図1C)。イソタイプ対応対照は、いかなるクラスのCpG ODN結合に対しても影響を及ぼさなかった。注目すべきことに、CXCL16抗体は、pDCに対するD ODNの結合だけを特異的に阻害し、BDCA-2陰性CD123+好塩基球に対するD ODNの結合を阻害せず(図4B)、この阻害の特異性のさらなる証拠を提供した。対照的に、K ODN結合は、抗CXCL16を使用しても10.7%しか阻害することができなかった。これらの結果は、CXCL16が、D ODNの結合/取り込みには関与するが、K ODNの結合/取り込みには関与しないことを示唆する。
【0141】
実施例4
CXCL16の発現およびD ODN刺激
CXCL16を発現するpDCが、D ODN刺激に対してより応答性であることを評価するため、細胞内サイトカイン染色によってCXCL16brightまたは暗い/陰性細胞からのTNFαおよびIFNα産生を分析した(図2A)。K ODNは、pDCから有意量のTNFαを産生したが、D ODNは産生せず、全産生株の83.21±0.74%がCXCL16陰性/暗い集団にあった。対照的に、D ODNは、有意量のIFNαを誘発し、このサイトカインのほぼ全部(85.51±0.22%)がCXCL16positivepDCによって産生された。さらには、高純度の選別されたCXCL16negativepDCの刺激は、K ODNによるHLA-DR/CD86のアップレギュレーションを生じさせたが、D ODNによるそれを生じさせず、予想どおり、両ODNは、選別されたCXCL16positive+negative集団において活性を示した(図5)。興味深いことに、UV照射されたHSV-1は、D ODNで認められたものと非常に類似した活性化パターンを示した。これらの結果は、K ODNではなく、D ODNによるCXCL16positivepDCの優先的刺激を示唆する。
【0142】
さらなる研究が、DクラスODNの免疫刺激活性がCXCL16による認識を要するということを確認した。第一に、抗CXCL16抗体(Abs)がD ODN依存性IFNα産生を55.9%低下させたが(イソタイプ対照と比較した場合でp<0.005。図2B)、IP-10産生を刺激するK ODNの能力に対しては有意な影響を及ぼさなかった。第二に、溶離した単球におけるHLA-DR/CD86発現のアップレギュレーションによって明白であるように、抗CXCL16Absは、pDCを活性化するD (Kではなく)ODNの能力を有意に低下させた(図2C、1.4%に対して68.7%抑制。p.<0.001)。
【0143】
K ODNはTLR9トランスフェクトされたHEK293細胞によるNF-KBシグナリングを強力に誘発するが、D ODNは活性がかなり低い(Vollmer et al, Eur J Immunol. 34(1):251-62, 2004)。図6に見られるように、K ODNはNF-kBシグナリングを4倍近く増大させ、それに対し、二つの異なるD ODNによっては1〜1.3倍しか増大しない。それでも、TLR9を安定に発現するHEK293細胞がCXCL16で一過的にトランスフェクトされた場合、それらはD ODN刺激に対して非常に応答性になった。偽トランスフェクトされたTLR9発現細胞に比較した場合のCXCL16トラスフェクトされたTLR9発現細胞の応答が図2Dに示されている。CXCL16トランスフェクトは、CXCL16の存在で有意に高い応答(6倍、P<O.05、図2D)が達成されたDクラスを除き、CpGを含有するかどうかにかかわらず、すべてのODNに関してバックグラウンドルシフェラーゼ活性をほぼ2倍に増大させる。
【0144】
実施例5
ADAM-10
細胞表面に発現したCXCL16をメタロプロテイナーゼADAM-10によって開裂させる(Abel et al., J Immunol. 2004 172(10):6362-72, 2004、Gough et al., J Immunol. 172(6):3678-85, 2004)。以前の研究が、メタロプロテイナーゼ阻害剤GM6001による処理によって細胞表面発現CXCL16の量を増すことができることを実証した。高レベルのCXCL16を発現するpDCがD ODN刺激に対してより応答性であるという観測に基づき、ヒトPBMCをGM6001とでインキュベートしたのち、K ODNまたはD ODNとでインキュベートした。メタロプロテイナーゼ阻害剤処理がCXCL16の発現(図7)およびpDCのD ODN応答性を増大させたが(2倍、p<0.05)、K ODNで刺激された細胞に対しては影響を及ぼさなかった。
【0145】
したがって、スカベンジャレセプタCXCL16は、D ODNによって媒介される結合、取り込みおよびその後の刺激を媒介するのには主要な役割を演じるが、K ODNによって媒介されるそれらを媒介するのには主要な役割を演じない。理論によって拘束されることなく、D ODN取り込みおよび活性におけるCXCL16の役割は、他のCpG ODNクラスに比較した場合のD ODNのターゲティングおよび内在化において以前に認められた違いを説明する。
【0146】
本明細書に記載するように、高レベルのそのようなSRを発現するpDCはまた、D ODN活性化に対してももっとも応答性であった。実際に、CXCL16発現とD ODN刺激pDCによるサイトカイン(IFNα)産生との間に有意な肯定的相関関係が認められた。この観測と合致して、CXCL16の細胞表面発現を増大させたメタロプロテイナーゼ阻害剤での処理は、D ODNに対する応答性をも増大させた。最後に、CXCL16をコード化するプラスミドでトランスフェクトされたHEK293細胞が、D (Kではない)ODNに結合する能力を有意に増大させることが実証された。
【0147】
TLR9 (CpGモチーフの同族レセプタ)を発現するようにトランスフェクトされたHEK293細胞はK ODNによる刺激に応答した。この観測は、KタイプCpG ODNが取り込みまたは活性のためにCXCL16を要しないことを示唆する。対照的に、TLR9だけでトランスフェクトされたHEK293細胞は、D ODNには応答せず、CXCL16とで同時トランスフェクトされた場合に応答性になった。これらのトランスフェクト細胞の共焦点顕微鏡検査は、D ODNが、K ODNとは違い、CXCL16とで広く共存することを示した。
【0148】
K ODNではなくD ODNの、CXCL16への選択的結合は、D ODNに特有であるポリGテールによって媒介されるのかもしれない。すべてのD ODNに存在するポリGテールは、G四分子の形成およびその結果としてのより高次の三次構造の生成を可能にする(Kerkman et al, J Biol Chem. 280(9):8086-93, 2005)。これに関連して、D ODNは、そのナノ粒子形成能力により、スカベンジャレセプタCXCL16によって特異的に認識され、この高度に特異性の相互作用およびその後の内在化がこのODNの細胞下分布を変化させるかもしれないと思われる。
【0149】
ヒトpDCは、エンベロープ付きウイルスに暴露されたときに多量のIFNαを産生するということが知られている。エンベロープは宿主細胞膜に由来するため、ホスファチジルセリン(PS)がウイルスエンベロープ中に存在するかもしれない。事実、細胞外単純ヘルペスウイルス(HSV)の場合、ウイルス膜は、宿主核膜に比較して3倍高濃度のPSを含有することが示された(van Genderen et al., Virology 200(2):831-6, 1994)。PSは、CXCL16によって認識されると記された最初の分子の一つであった(Shimaoka et al., J Biol Chem. 275(52):40663-6, 2000)。したがって、ウイルスエンベロープ上で発現するPSがpDC上の膜貫通CXCL16によって認識されて、それにより、ウイルス内在化およびそれに続くIFNα産生を促進するのかもしれない。
【0150】
実施例6
癌処置
癌細胞、たとえば乳癌細胞11A-1 (Cancer Res, 55:3310-7, 1995)、Meth A肉腫細胞(DeLeo et al., J Exp Med, 146:720-34, 1977)またはMC-38 (Tan et al., J Natl Cancer Inst (Bethesda), 56:871-3, 1976)である。Meth Aを腹水腫瘍として継代接種する。細胞を収穫し、計数し、PBSで洗浄したのち使用する。1〜2×106個の11A-1、MC-38またはMeth A細胞を6週齢のBALB/cマウスに接種(左脇に皮下注射)してから4日後、小さな組織化した腫瘍結節が組織学的切片に見られる。週2回、キャリパーを用いて腫瘍を三次元的に計測する。各グループの最初のマウスが死んだところで成長曲線を打ち切る。
【0151】
従来の研究が、WTマウスp53を発現する修飾ワクチニアAnkara (MVA)による免疫感作ののちp53特異的応答を発する能力を実証していた(MVAp53、Espenschied et al., J Immunol, 170:3401-7, 2003.)。免疫感作マウスは、激しいp53特異的CTL応答を発し、小さな樹立p53過剰発現性Meth A腫瘍を拒絶することができる。
【0152】
腫瘍注入を促進するため、4、9および14日目にD ODN (または非CpG ODN対照)15nmolを腹腔内(i.p.)注射することによってマウスを処理する。マウスのグループには、CXCL16の発現を誘発する薬剤、たとえばADAM-10のアンタゴニスト、たとえばG1254023XまたはGM6001をD ODNとともに投与した(D ODN配列に関しては表1を参照)。5日目、5×107pfuのMVAp53、5×107pfuのMVApp65またはPBSの腹腔内投与によってマウスを免疫感作する。週2回、キャリパーを用いて皮下腫瘍を三次元的に計測した。
【0153】
MVAp53およびD ODNはそれぞれ別個では腫瘍成長の最小限の減弱化を生じさせるが、すべてのマウスが漸進的に致死的な腫瘍を発生させた。D ODNとMVAp53免疫感作との組み合わせが腫瘍増殖の減少を生じさせる。D ODN、MVAp53およびADAM-10のアンタゴニストの組み合わせが腫瘍成長を有意に低下させ、腫瘍負荷の減少を生じさせる。
【0154】
記載された発明の本質を逸することなく、記載された方法または組成物の正確な詳細を変形または改変することができることは明らかであろう。請求の範囲に入るそのような改変および変形をすべて特許請求する。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】図1A〜1Cは、CXCL16がD ODNを選択的に認識することを示すグラフおよびデジタル画像である。図1Aは、組み換えCXCL16へのCpG ODN結合を示す線グラフである。96穴平底ELISAプレートを0.4μg/ml抗CXCL16抗体でコートしたのち、組み換えCXCL16なしで(点線)または200ng/mlの組み換えCXCL16とともに(実線)インキュベートした。洗浄したのち、1、0.2または0.04μMのビオチン結合KまたはDオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を加えた。洗浄したのち、ホスファターゼ結合アビジンおよびそれに続いてホスファターゼ特異性比色基質を使用してODN結合を比色的に検出した。結果を三つの独立した読み値の平均±標準偏差(SD)として提示する。図1Bは、K ODNではなくD ODNがCXCL16と共存し、トランスフェクトされたHEK293細胞中でその取り込みが増強されることを示すデジタル画像およびプロットのセットである。CXCL16でトランスフェクトされたHEK293細胞を3μMのFITC結合CpG ODNとともに37℃で20分間インキュベートした。CXCL16発現(左)に関して細胞を染色し、共焦点顕微鏡を使用してODN (中間)との共存(明るい細胞、右)を測定した。フローサイトメトリーを使用して、偽トランスフェクト(黒塗りのヒストグラム)およびCXCL16トランスフェクト(暗いオープンヒストグラム)中のFITC-ODNの明るい細胞の割合を測定し、バックグラウンド染色(点線ヒストグラム)に対して示す。結果は、少なくとも6回の独立した実験を表す。図1Cは、抗CXCL16がpDCへのD ODN結合を阻害することを示す棒グラフである。抗CXCL16またはイソタイプ対応対照(各100μg/ml)の非存在または存在でFITC結合ODNのCD123/BDCA-2二重陽性pDCへの結合を測定した。取り込みの阻害率をイソタイプ対応対照との比較で測定した。結果は2回の実験の平均±SDを表す(*、P<0.05、**、P<O.01)。
【図2】図2A〜2Dは、CXCL16陽性細胞がD ODNに対して優先的に応答することを示すグラフおよびプロットである。図2Aは、CpG ODNで刺激されたpDCにおけるCXCL16発現対サイトカイン産生を示すプロットである。抹消血単核細胞(PBMC)(4×106/ml)を、ブレフェルディンA (10μg/ml)の存在中、4.5時間(TNF-α)またはIFN-αの場合は12時間(ブレフェルディンAは、8時間インキュベートしたのち加えた)対照、KまたはD ODNで刺激した。CD123+ゲート細胞からCXCL16発現の関数としてサイトカイン産生細胞を評価した。結果は3回の独立した実験を表す。図2Bは、抗CXCL16抗体がD ODN誘発サイトカイン産生を阻害することを示す棒グラフである。PBMCを25μg/mlのイソタイプ(白棒)または抗CXCL16抗体(黒棒)とで37℃で30分間プレインキュベートしたのち、K各1μMまたはD ODN 3μMで24時間刺激した。三つの異なる個体からサイトカイン産生の阻害率を計算した(*、P<0.05)。図2Cは、CpG ODNによるHLA-DRおよびCD86のアップレギュレーションに対する抗CXCL16の効果を示すプロットである。溶離した単球を抗CXCL16抗体またはイソタイプ対応対照抗体とでプレインキュベートしたのち、対照(3μM)、K (1μM)またはD (3μM) ODNで24時間刺激した。HLA-DRおよびCD86を発現する細胞の割合をフローサイトメトリーによって測定した。結果は5回の独立した実験を表す。図2Dは、CXCL16でトランスフェクトされたHEK293細胞がD ODNに対する応答性を得ることを示す結果の棒グラフである。TLR9を安定に発現するHEK293細胞をp5xNF-kBで同時トランスフェクトした。この図では、ODNごとに、偽トランスフェクト細胞中のNF-kB誘導に対するCXCL16トランスフェクト細胞中のNF-kB誘導の比を示す。すべてのODN名がX軸上に示されている。Bルシフェラーゼ+対照プラスミドまたはCXCL16。ODN処理(3μM)の24時間後、偽トランスフェクト細胞からのルシフェラーゼ単位に対するCXCL16トランスフェクト細胞からの相対ルシフェラーゼ単位を測定した。結果は4回の独立した実験の平均±SDを表す(*、P<0.05、**、P<O.01)。
【図3】図3A〜3Dは、CpG ODNの結合および活性に対するスカベンジャレポータ配位子の効果を示す棒グラフおよびプロットである。図3Aは、精製されたpDCを培地または各阻害剤50μg/mlとでプレインキュベート(4℃で20分間)したのち、FITC結合ODN 1μMを加えた場合に得られた結果の棒グラフである。フローサイトメトリーを使用してFITC-ODNの結合を表す平均蛍光強度を評価した。結果は3回の独立した実験の平均±SDを表す。図3Bは、抹消血単核細胞(PBMC)からのD ODN誘発IFN-αを示す棒グラフである。白棒:媒体;ドットの棒:コンドロイチン硫酸;右ストライプの棒:フコイダン;左ストライプの棒:硫酸デキストラン。PBMCからのIFN-αの産生(50μg/ml阻害剤の非存在または存在における)を、24時間培養物の上澄みからELISAによって測定した。図3Cは、pDC中のK ODN誘発TNF-α産生(50μg/ml硫酸デキストランの非存在または存在)を示すプロットである。TNF-α産生は、細胞質内サイトカイン染色を使用して測定した(3回の独立した実験を表すプロット)。図3Dは、精製pDCを、硫酸デキストラン50μg/mlの非存在または存在で、K各1μMまたはD ODN 3μMとでインキュベートした場合に得られた結果を示すプロットである。24時間後、フローサイトメトリーを使用してHLA-DR/CD54のアップレギュレーションを測定した。
【図4】図4A〜4Bは、CXCL16の発現を示すプロットである。図4Aは、pDCがその表面にCXCL16を発現することを示す。pDCは、BDCA-4磁気細胞分離キットを使用してPBMCから富化させた。CD123/BDCA-2二重陽性細胞上でCXCL16の発現対イソタイプ対応対照の発現を分析した。データは少なくとも5回の独立した実験を表す。図4Bは、抗CXCL16がpDCへのD ODNの結合を特異的に阻害することを示すプロットである。フローサイトメトリーを使用して、CD123ゲート細胞へのFITC結合D ODNの結合を分析した。この図は、イソタイプ対応抗体の存在では好塩基細胞(BDCA-2negative)およびpDC (BDCA-2positive)がいずれもD ODNに結合すること、ならびに抗CXCL16によってpDCへの結合だけが阻害され、好塩基細胞集団(CXCL16を発現しない)への結合は阻害されないことを示し、この抗体の特異性の証拠を提供する。
【図5】溶離した単球をpDCマーカおよびCXCL16に関して染色し、FACSAria細胞選別器を使用してBDCA-2/CD123ゲート細胞をCXCL16陰性集団またはCXCL16陽性+陰性集団に選別した場合に得られた結果のプロットのセットである。そして、得られた集団を、KおよびD ODNそれぞれ1および3μMまたは1×1O7 pfu/mlのUV不活性化HSV-1とでインキュベートした。24時間後、細胞を染色し、HLA-DR/CD86の発現をフローサイトメトリーによって評価した。
【図6】TLR9を安定に発現するHEK293細胞中のCXCL16の発現がD ODN応答性を与えることを示す棒グラフである。安定なTLR9発現性HEK293細胞を0.5μgのp5xNF-kB B-lucおよび1μgのCXCL16または対照プラスミドとで24時間同時トランスフェクトした。データは、偽トランスフェクト(白棒)およびCXCL16 (黒棒)トランスフェクトTLR9発現性HEK293細胞中ODN 3μMとで24時間インキュベーションしたのちに得られた相対ルシフェラーゼ単位を示す。
【図7】図7A〜7Bは、メタロプロテイナーゼ阻害剤GM-6001が、D ODNによって誘発されるCXCL16発現およびその後のサイトカイン産生を増強することを示すプロットおよび棒グラフである。PBMCをGM-6001 (50μM)の非存在(白棒)または存在(黒棒)で30分間プレインキュベートし、洗浄したのち、pDC上でのCXCL16発現に関して染色するか(図7Aを参照)、K 1μMまたはD ODN 3μMで24時間刺激するかした(図7B)。ELISAを使用して培養物上澄みからのサイトカイン産生(K ODNおよびIFN-αD ODNの場合のIL-6)を評価した。6種の異なるPBMCからの個々の結果を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0156】
添付の配列リストに載せた核酸およびアミノ酸配列は、37 C.F.R. 1.822で定義されている、ヌクレオチド塩基のための標準略語およびアミノ酸のための3文字コードを使用して示されている。核酸配列ごとに1本の鎖しか示さないが、相補鎖は、適宜、示されたほうの鎖の任意の引用によって含められるものと理解されよう。
SEQ ID NO:1〜17は、D ODNの核酸配列である。
SEQ ID NO:18〜20は、CXCL16プローブおよびプライマの核酸配列である。
SEQ ID NO:21は、D ODNのコンセンサス核酸配列である。
SEQ ID NO:22は、K ODNのコンセンサス核酸配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞によるDタイプオリゴデオキシヌクレオチドの取り込みを変化させる方法であって、
細胞を、CXCL16の発現または活性を変化させる薬剤の有効量と接触させ、それによってDタイプオリゴデオキシヌクレオチドの取り込みを変化させることを含む方法。
【請求項2】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
式中、中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、RがAまたはG (プリン)であり、YがCまたはT (ピリミジン)である、式:
5' RY-CpG-RY 3'
によって示される配列を有し、ならびに
オリゴデオキシヌクレオチドが少なくとも約18ヌクレオチドの長さである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
オリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項3記載の方法。
【請求項4】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、Puがプリンヌクレオチドであり、Pyがピリミジンヌクレオチドであり、XおよびWが任意のヌクレオチドであり、Mが0〜10の任意の整数であり、Nが4〜10の任意の整数である、配列

を有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
細胞を、CXCL16の発現または活性を増大させる薬剤と接触させ、それによってDタイプオリゴデオキシヌクレオチドの取り込みを増大させる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
薬剤がADAM-10のアンタゴニストである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ADAM-10のアンタゴニストがGW280264X、G1254023XまたはGM6001である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
薬剤がインターフェロンγ、腫瘍壊死因子αまたはそれらの組み合わせである、請求項6記載の方法。
【請求項10】
細胞を、CXCL16の発現または活性を低下させる薬剤と接触させ、それによってDタイプODNの取り込みを低下させる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
薬剤が、CXCL16に特異的に結合する抗体である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
CXCL16の発現または活性を低下させる薬剤が、ADAM-10の活性を増大させる薬剤である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
ADAM-10の活性を増大させる薬剤がイオノマイシンである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
Dタイプオリゴデオキシヌクレオチドの治療有効量ならびにCXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤の治療有効量を薬学的に許容される担体中に含む薬学的組成物。
【請求項15】
薬剤がADAM-10の活性および/または発現を増大させる、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
CXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤がW280264X、G1254023X、GM6001またはそれらの組み合わせを含む、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
CXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤が腫瘍壊死因子α、インターフェロンγまたはそれらの組み合わせを含む、請求項14記載の組成物。
【請求項18】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、RがAまたはG (プリン)であり、YがCまたはT (ピリミジン)である、式:
5' RY-CpG-RY 3'
によって示される配列を有し、ならびに
オリゴデオキシヌクレオチドが、少なくとも約18ヌクレオチドの長さである、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
オリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、Puがプリンヌクレオチドであり、Pyがピリミジンヌクレオチドであり、XおよびWが任意のヌクレオチドであり、Mが0〜10の任意の整数であり、Nが4〜10の任意の整数である、配列

を有する、請求項17記載の方法。
【請求項21】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
対象において免疫応答を誘発する方法であって、
Dタイプオリゴデオキシヌクレオチドの治療有効量ならびにCXCL16の発現および/または活性を増大させる薬剤の治療有効量を対象に投与し、それによって免疫応答を誘発することを含む方法。
【請求項23】
薬剤がADAM-10のアンタゴニストである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
ADAM-10のアンタゴニストがGW280264X、G1254023XまたはGM6001である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、RがAまたはG (プリン)であり、YがCまたはT (ピリミジン)である、式:
5' RY-CpG-RY 3'
によって示される配列を有し、ならびに
オリゴデオキシヌクレオチドが少なくとも約18ヌクレオチドの長さである、請求項22記載の方法。
【請求項26】
オリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、Puがプリンヌクレオチドであり、Pyがピリミジンヌクレオチドであり、XおよびWが任意のヌクレオチドであり、Mが0〜10の任意の整数であり、Nが4〜10の任意の整数である、配列

を有する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項1記載の方法。
【請求項29】
DタイプODNによって誘発される免疫応答を変化させる薬剤を同定する方法であって、
細胞を対象の薬剤と接触させることと、
CXCL16の活性の発現を評価することとを含み、
対照に比較した場合のCXCL16の活性の発現の変化が、薬剤がDタイプODNに対する免疫応答を変化させることを示す方法。
【請求項30】
対照が、薬剤と接触しない細胞である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
免疫応答を増大させる薬剤を同定する方法であって、
対照に比較した場合のCXCL16の活性の増大が、薬剤がDタイプODNに対する免疫応答を増大させることを示す、請求項29記載の方法。
【請求項32】
免疫応答を低下させる薬剤を同定する方法であって、
対照に比較した場合のCXCL16の活性の低下が、薬剤がDタイプODNに対する免疫応答を低下させることを示す、請求項29記載の方法。
【請求項33】
薬剤およびDタイプオリゴデオキシヌクレオチドによって生じる免疫応答を評価することをさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項34】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、RがAまたはG (プリン)であり、YがCまたはT (ピリミジン)である、式:
5' RY-CpG-RY 3'
によって示される配列を有し、ならびに
オリゴデオキシヌクレオチドが少なくとも約18ヌクレオチドの長さである、請求項29記載の方法。
【請求項35】
オリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが、
中央のCpGモチーフがメチル化されておらず、Puがプリンヌクレオチドであり、Pyがピリミジンヌクレオチドであり、XおよびWが任意のヌクレオチドであり、Mが0〜10の任意の整数であり、Nが4〜10の任意の整数である、配列

を有する、請求項29記載の方法。
【請求項37】
Dオリゴデオキシヌクレオチドが約18〜約50ヌクレオチドの長さである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
免疫応答のパラメータを計測することをさらに含む、請求項29記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−506122(P2009−506122A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529207(P2008−529207)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/033774
【国際公開番号】WO2007/027718
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(502006782)アメリカ合衆国 (47)
【Fターム(参考)】