説明

DP2受容体アンタゴニストの皮膚用製剤

哺乳動物における皮膚科学の疾患、障害、又は疾病の処置又は予防に使用するための局所製剤が本明細書に記載される。本明細書開示の局所製剤は、皮膚投与のために調製されるDP受容体アンタゴニスト化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2009年7月31日に出願された「DP受容体アンタゴニストの皮膚用製剤」という名称の米国仮特許出願第61/081,344号の優先権を主張するものであり、該仮特許出願は全体として引用することで本明細書に組み入れられる。
【0002】
DP受容体アンタゴニスト化合物を含む、哺乳動物の皮膚への局所投与のための医薬組成物と、皮膚疾患または疾病の処置または予防で該組成物を使用する方法が本明細書に記載されている。
【背景技術】
【0003】
皮膚疾患または疾病は、限定されないが、皮膚炎、乾癬、湿疹、蕁麻疹、酒さ、熱傷、瘢痕、および、皮膚ムチン沈着症(mucinoses)を含む。特定の例においては、皮膚の疾病は、プロスタグランジンD及び/又はサイトカインの過剰産生に由来する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロスタグランジンは、多種多様な活性の範囲を有し、炎症においてよく認識された役割を持つ。プロスタグランジンD(PGD)は、皮膚疾患または疾病と関連する局所的な組織損傷及び/又は炎症及び/又は感染症に応じて、肥満細胞、マクロファージおよびTh2リンパ球によって生産される。PGDは、トロンボキサン型プロスタノイド(TP)受容体、PGD受容体(DP、同様にDPとしても知られている)、および、TH2細胞(CRTH2;同様にDPとしても知られている)上で発現される化学遊走物質受容体ホモログ分子を含む多くの受容体に結合する。Th2リンパ球では、IL−4、IL−5およびIL−13サイトカイン産生が刺激される。これらサイトカインは、ほんの一例ではあるが、炎症および/または好酸球動員を含む、多くの生物学的作用に結びつけられてきた。DP受容体アンタゴニスト化合物の局所投与は、皮膚の疾病または疾患を処置するか予防するために使用される。哺乳動物の任意の皮膚部位に投与されたDP受容体アンタゴニストの局所的の皮膚用製剤は、DP依存性またはDP媒介性の疾病または疾患を予防するか、改善するか、または処置するために使用される。
【0005】
特定の実施形態では、皮膚疾患または疾病(すなわち、表皮、真皮、及び/又は皮下組織の異常な状態)を処置するための局所製剤が本明細書に記載されている。特定の実施形態では、皮膚免疫疾患または疾病(例えば、自己免疫疾患または疾病(例えば湿疹、乾癬))、皮膚増殖性疾患または疾病(例えば、黒色腫)、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触、瘢痕、熱傷(例えば、第1度、第2度、第3度、または、第4度)、皮膚ムチン沈着症、皮膚の炎症性疾患または疾病、または、それらの組み合わせを処置または予防するための局所製剤が本明細書に記載されている。幾つかの実施形態において、本明細書で開示される局所製剤は、治療上有効な量のDP受容体アンタゴニスト化合物を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触の前後に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、身体的な外傷(例えば、外科手術)の前後に投与される。
【0006】
幾つかの実施形態において、皮膚の疾患または疾病の処置に有効な量のDP受容体アンタゴニストと、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スティック、膜、パッチ、または、創傷被覆を提供するために少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む局所製剤が本明細書で提供され、ここで、局所製剤は哺乳動物の皮膚への投与に適している。
【0007】
幾つかの実施形態において、皮膚のDP受容体に拮抗するのに有効な量のDP受容体アンタゴニストと、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スティック、膜、パッチ、または、創傷被覆を提供するために少なくとも1つの適切な薬学的に許容可能な賦形剤を含む局所製剤が、本明細書で提供される。
【0008】
幾つかの実施形態において、皮膚の疾患または疾病は、瘢痕、皮膚炎、増殖性疾患または疾病、肥満細胞症疾患または疾病、熱傷、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触、または、炎症性疾患または疾病である。幾つかの実施形態において、皮膚の疾患または疾病は、アトピー性皮膚炎、水疱性障害、膠原病、乾癬、乾癬の病変、接触性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、肥大性の瘢痕、ケロイド瘢痕形成、硬皮症、項部息肉性毛嚢炎(Folliculitis keloidalis nuchae)、川崎病、シェーグレンラルソン症候群、グロヴァー病、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、第4度熱傷、皮膚ムチン沈着症、日光角化症、扁平上皮癌、または、黒色腫である。
【0009】
幾つかの実施形態において、皮膚の疾患または疾病は皮膚炎である。1つの実施形態では、皮膚の疾患または疾病は、湿疹である。1つの実施形態では、皮膚の疾患または疾病は、蕁麻疹(uticaria)である。1つの実施形態では、皮膚の疾患または疾病は、乾癬である。
【0010】
幾つかの実施形態において、皮膚の疾患または疾病は外科手術に起因する。幾つかの実施形態において、皮膚の疾患または疾病は皮膚ムチン沈着症である。
【0011】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、式(I)、式(II)、式(III)または式(IV)の化合物、または、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、代謝産物、または、そのプロドラッグである。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、式(I)の化合物、または、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、代謝産物、またはそのプロドラッグである。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、本明細書に開示されたDP受容体アンタゴニストである。
【0012】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の局所製剤は、第2の治療剤をさらに備える。幾つかの実施形態において、第2の治療剤は、抗生物質、抗真菌薬、ステロイド抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、肥満細胞安定剤、シクロスポリン、または、ロイコトリエンモジュレータである。幾つかの実施形態において、第2の治療剤は、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)インヒビター、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)インヒビター、および、ロイコトリエン受容体アンタゴニストから選択されるロイコトリエンモジュレータである。
【0013】
また、上記の治療上有効な量の局所製剤を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、プロスタグランジンD依存性の、または、プロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病を処置する方法も、本明細書で提供されている。
【0014】
また、上記の治療上有効な量の局所製剤を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の皮膚のDP受容体に拮抗する方法が本明細書で提供されている。
【0015】
幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性のまたはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は、瘢痕、皮膚炎、増殖性疾患または疾病、肥満細胞疾患または疾病、熱傷、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触、または、炎症性疾患または疾病である。
【0016】
方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性のまたはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は、アトピー性皮膚炎、水疱性障害、膠原病、乾癬、乾癬の病変、接触性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、肥大性の瘢痕、ケロイド瘢痕形成、硬皮症、項部息肉性毛嚢炎、川崎病、シェーグレンラルソン症候群、グロヴァー病、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、第4度熱傷、皮膚ムチン沈着症、日光角化症、扁平上皮癌、または、黒色腫である。
【0017】
方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は、皮膚炎である。方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は、アトピー性皮膚炎またはアレルギー性皮膚炎である。方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は湿疹である。方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は蕁麻疹(uticaria)である。方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は乾癬である。方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は外科手術に起因する。方法の幾つかの実施形態において、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は皮膚ムチン沈着症である。
【0018】
また、上記の治療上有効な量の局所製剤を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物のDP受容体アンタゴニスト化合物の皮膚の濃度を増加させる方法が、本明細書で提供される。方法の幾つかの実施形態において、哺乳動物は、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病の少なくとも1つの症状を有する。方法の幾つかの実施形態において、皮膚科学疾患または疾病は外科手術に起因する。方法の幾つかの実施形態において、局所製剤は、外科手術の前に投与される。方法のある実施形態において、局所製剤は、外科手術の後に投与される。方法の幾つかの実施形態において、局所製剤は刺激物質及び/又はアレルゲンとの接触の前に投与される。方法の幾つかの実施形態において、局所製剤は刺激物質及び/又はアレルゲンとの接触の後に投与される。
【0019】
1つの態様では、DP受容体アンタゴニストを含む本明細書に記載の治療上有効な量の局所製剤を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物のそう痒を処置または予防するための方法が提供される。幾つかの実施形態において、そう痒は、本明細書に記載の疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、そう痒は、本明細書に記載のPGD依存性またはPGD媒介性の疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、そう痒は、刺激物質、アレルゲン、または、それらの組み合わせとの接触によって引き起こされる。幾つかの実施形態において、そう痒は、皮膚炎、湿疹、蕁麻疹または乾癬の症状である。幾つかの実施形態において、そう痒は、アトピー性皮膚炎またはアレルギー性皮膚炎の症状である。
【0020】
1つの態様では、DP受容体アンタゴニストを含む本明細書に記載の治療上有効な量の局所製剤を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の発疹の処置または予防のための方法が提供される。幾つかの実施形態において、発疹は、本明細書に記載の疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、発疹は、本明細書に記載のPGD依存性またはPGD媒介性の疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、発疹は、刺激物質、アレルゲン、または、それらの組み合わせとの接触によって引き起こされる。幾つかの実施形態において、発疹は皮膚炎、湿疹、蕁麻疹または乾癬の症状である。幾つかの実施形態において、発疹はアトピー性皮膚炎またはアレルギー性皮膚炎の症状である。
【0021】
1つの態様では、DP受容体アンタゴニストを含む本明細書に記載の治療上有効な量の局所製剤を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の皮膚炎症の処置または予防のための方法が本明細書で提供される。幾つかの実施形態において、皮膚炎症は、本明細書に記載の疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、皮膚炎症は、本明細書に記載のPGD依存性またはPGD媒介性の疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、皮膚炎症は、刺激物質、アレルゲン、または、それらの組み合わせとの接触によって引き起こされる。幾つかの実施形態において、皮膚炎症は皮膚炎、湿疹、蕁麻疹または乾癬の症状である。幾つかの実施形態において、皮膚炎症はアトピー性皮膚炎またはアレルギー性皮膚炎の症状である。
【0022】
1つの態様では、DP受容体アンタゴニストを含む本明細書に記載の治療上有効な量の局所製剤を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の疱疹、赤み、腫脹(swelling)、痂皮形成(scabbing)、落屑(scaling)、または、それらの組み合わせの処置または予防のための方法が、本明細書で提供される。幾つかの実施形態において、疱疹、赤み、腫脹、痂皮形成、落屑、または、その組み合わせは、本明細書に記載の疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、疱疹、赤み、腫脹、痂皮形成、落屑、または、その組み合わせは、本明細書に記載のPGD依存性またはPGD媒介性疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、疱疹、赤み、腫脹、痂皮形成、落屑、または、その組み合わせは、刺激物質、アレルゲン、または、それらの組み合わせとの接触によって引き起こされる。幾つかの実施形態において、疱疹、赤み、腫脹、痂皮形成、落屑、または、その組み合わせは、皮膚炎、湿疹、蕁麻疹または乾癬の症状である。幾つかの実施形態において、疱疹、赤み、腫脹、痂皮形成、落屑、または、その組み合わせは、アトピー性皮膚炎またはアレルギー性皮膚炎の症状である。
【0023】
1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物の使用は、皮膚への適用のための局所製剤の製造中である。1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物および第2の治療剤(例えば、FLAPインヒビター化合物)の組み合わせの使用は、皮膚への適用のための局所製剤の製造中である。
【0024】
1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物の使用は、哺乳動物の皮膚疾患または疾病の処置または予防においてである。1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物の使用は、哺乳動物の皮膚疾患または疾病の処置または予防においてであり、ここで、DP受容体アンタゴニスト化合物は、哺乳動物の皮膚への局所投与に適した形状である。
【0025】
1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物の使用は、皮膚の疾患または疾病の処置のための局所製剤の製造中である。1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物および第2の治療剤(例えば、FLAPインヒビター化合物)の使用は、皮膚の疾患または疾病の処置のための局所製剤の製造中である。
【0026】
本明細書に記載の化合物、方法、および、組成物の他の目的、特徴、および、利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、当然のことながら、本開示の精神および範囲内での様々な変化および修正は、この詳細な説明から当業者に明白となるため、詳細な説明と特定の例は特定の実施形態を示しているが、単なる例示目的として与えられたものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】マウスの亜慢性の煙モデル(mouse subchronic smoke model)のBALFに存在する全ての細胞、好中球、および、リンパ球(lymhocytes)の数に対する、単独でのまたはFLAPインヒビターと組み合わせた、DP受容体の拮抗作用の効果を示す。
【図2】BALFのムチンの存在に対する、単独でのまたはFLAPインヒビターと組み合わせた、DP受容体アンタゴニストの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
プロスタグランジンD(PGD)は、シクロオキシゲナーゼとPGDシンターゼによるアラキドン酸の代謝に由来する酸性脂質である。PGDは、アレルギー性炎症及び/又は感染だけでなく、局所的な組織損傷にも応答して、肥満細胞、マクロファージ、および、TH2リンパ球により生成される。PGDは、皮膚で様々な生物学的作用を及ぼし、これらは瘢痕、ムチン沈着症および炎症性の効果を含む。
【0029】
DPの活性化は、TH2リンパ球、好酸球、および、好塩基球の走化性及び活性化に関連付けられる。PGDはDP受容体と結合し、細胞内カルシウムレベルのGi依存性の上昇と、環状AMPの減少を介して、その作用の多くを媒介する。Th2リンパ球では、IL−4、IL−5およびIL−13サイトカイン産生は、DP受容体の活性化によって刺激される。これらサイトカインは、ほんの一例ではあるが、免疫グロブリンEの生成、粘液の分泌及び/又は蓄積、および、好酸球動員を含む多くの生物学的作用において結びつけられてきた。
【0030】
DP受容体は、一例として、免疫疾患または疾病(例えば、自己免疫疾患または疾病(例えば、湿疹、乾癬))、増殖性疾病(例えば、黒色腫)、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触、肥満細胞疾患または疾病、瘢痕(例えば、外傷(例えば、外科手術)後の瘢痕)、熱傷、皮膚ムチン沈着症、皮膚に影響を与える炎症性疾患または疾病、または、それらの組み合わせを含む、PGD依存性またはPGD媒介性の皮膚疾患、障害、または、疾病の処置のための標的を提供する。
【0031】
プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚の疾患または疾病の処置または予防で使用するために、哺乳動物の皮膚への局所投与に適した医薬品の製造中でのDP受容体アンタゴニスト化合物の使用が本明細書で開示されている。
【0032】
本明細書には、局所投与に適切な医薬組成物、処置するための方法、局所製剤を処方するための方法、生産するための方法、製造するための方法、DP受容体アンタゴニスト化合物を用いる治療戦略が記載されている。
【0033】
特定の実施形態では、皮膚科学的な疾病または疾患を処置または予防するために、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む局所製剤が本明細書で記載されている。1つの態様では、哺乳動物へのDP受容体アンタゴニスト化合物の局所投与は、DP受容体アンタゴニスト化合物の体内吸収を最小限にする。1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所投与は、皮膚疾病の局所的な処置を可能にする。1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物による皮膚の疾病の局所的な処置は、DP受容体アンタゴニスト化合物の全身投与に関連した起こり得る副作用を低減する。
【0034】
1つの態様では、皮膚科学の疾病はPGD及び/又はサイトカインの過剰産生の結果である。1つの態様では、皮膚科学の疾患または疾病は、皮膚科学の免疫疾患または疾病、皮膚科学の増殖性疾病、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触に起因する皮膚科学の疾患または疾病、皮膚科学の肥満細胞疾患または疾病、熱傷、皮膚ムチン沈着症、皮膚に影響を与える炎症性疾患または疾病、または、それらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。アレルゲン及び/又は刺激物質は、限定されないが、ウルシオール(uruishol)、アルコール、キシレン、テレビン、エステル、アセトン、ケトンを含む。皮膚科学の免疫障害は、湿疹、乾癬を含むが、これに限定されない。皮膚科学の免疫障害は、黒色腫を含むが、これに限定されない。皮膚科学の肥満細胞障害は、ケロイド瘢痕、肥厚性瘢痕、及び/又はにきび瘢痕の形成のような瘢痕を含む繊維芽障害を含むが、これに限定されない。皮膚科学の熱傷異常は、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、または、第4度熱傷を含むが、これらに限定されない。
【0035】
特定の実施形態では、慢性的な疱疹障害、乾癬、皮膚炎(例えば、接触またはアトピー性)、湿疹、蕁麻疹、酒さ、瘢痕(すなわち、瘢痕(例えば、ケロイド瘢痕または肥厚性瘢痕)の形成)、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、第4度熱傷、皮膚ムチン沈着症及び/又は黒色腫を処置するために、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む局所製剤が本明細書に記載されている。幾つかの実施形態において、本明細書で開示される局所製剤は、治療上有効な量のDP受容体アンタゴニストを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される局所製剤は、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触の前後に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される局所製剤は、身体外傷(例えば、外科手術)の前後に投与される。1つの態様では、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む、本明細書に開示された局所製剤は、外科手術後の瘢痕の形成を処置および予防するために局所的に投与される。当然のことながら、局所製剤は怪我の部位に適用される。
【0036】
特定の例においては、プロスタグランジンD及び/又はサイトカインは、瘢痕および/または好酸球の移動に関与する。1つの態様では、DP受容体の活性の抑制は、好酸球の活性及び/又は移動を抑制し、及び/又は、瘢痕を処置する。特定の例においては、DP受容体の活性の抑制は、皮膚の間質腔へのムチンの堆積を減らす、または、抑制する。
【0037】
1つの態様では、PGDは、本明細書に記載の皮膚科学の疾患または疾病の病因に関係する。幾つかの例においては、DP受容体とのPGDの結合の阻害は、サイトカインの産生の減少をもたらす。幾つかの例において、サイトカインの産生の減少は、炎症及び/又は繊維症及び/又はムチン沈着症の減少をもたらす。
【0038】
(皮膚科学疾患または疾病)
特定の実施形態では、皮膚科学の疾患または疾病(例えば、皮膚病)を処置するための局所製剤が本明細書に記載される。本明細書で使用されているように、皮膚科学の疾患または疾病は、表皮、真皮、及び/又は皮下組織の任意の異常な状態を含んでいる。特定の例では、皮膚科学の疾患または疾病は、免疫疾患または疾病(例えば、自己免疫疾患または疾病)、増殖性疾患または疾病、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触、肥満細胞疾患または疾病、瘢痕、熱傷、皮膚ムチン沈着症、炎症性疾患または疾病、または、その組み合わせによって引き起こされる。皮膚科学の疾患または疾病は、限定されないが、慢性的な疱疹(水疱性)障害、乾癬、皮膚炎(例えば、接触またはアトピー性)、湿疹、蕁麻疹、酒さ、瘢痕(すなわち、瘢痕(例えば、ケロイド瘢痕または肥厚性瘢痕)の形成)、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、第4度熱傷、皮膚ムチン沈着症及び/又は黒色腫を含んでいる。
【0039】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、アレルゲン及び/又は刺激物質との接触の前後に投与される。
【0040】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の疾患または疾病のいずれかを処置または予防することは、疾患または疾病の少なくとも1つの症状の重症度を軽減するか、または、その発生を予防する。幾つかの実施形態において、皮膚科学の疾患または疾病は、皮膚の上層の炎症を伴う。幾つかの実施形態において、皮膚の上層の炎症は、そう痒、疱疹、赤み、腫脹、滲出(oozing)、痂皮形成、および、落屑を引き起こす。幾つかの実施形態において、皮膚の上層の炎症は、発疹、疱疹、面皰、開いた潰瘍(open sores)、滲出、痂皮形成、および、落屑をもたらす。
【0041】
(皮膚炎)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を治療するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は皮膚炎である。本明細書で使用されているように、皮膚炎は、皮膚の炎症性疾病を意味する。特定の例においては、皮膚炎は急性で、原因薬物(offending agent)(例えば、ウルシオール)との接触に起因する。特定の例においては、皮膚炎は慢性で、過敏症に起因する。
【0042】
皮膚炎の種類は、海綿状皮膚炎(刺激性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、熱誘発性皮膚炎、および、薬物誘発性皮膚炎)、アレルギー性接触皮膚炎(接触皮膚炎は外部の化合物、保存剤、香水、または、植物によるものである)、脂漏性皮膚炎(脂漏性皮膚炎も頭部粃糠疹として知られている)、発汗異常性皮膚炎(また汗疱として知られている)、小水疱性皮膚炎または水疱性皮膚炎(薬物反応または自動免疫疾患によって引き起こされる。例としては、スティーブンス・ジョンソン症候群(Steven Johnson Syndrome)、水疱性多形紅斑、水疱性類天疱瘡、および、尋常性天疱瘡を含んでいる)を含むが、これらに限定されない。
【0043】
特定の例では、皮膚炎(例えば、慢性または急性)の症状は、免疫系の異常に起因する。特定の例では、皮膚炎(例えば、慢性または急性)の症状は、血管および毛細管から、表皮、真皮、及び/又は皮下組織への血漿の滲出に起因する。特定の例においては、サイトカインは、皮膚炎に関連した炎症を引き起こす。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、皮膚炎に関連したサイトカインの濃度を低下させる。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、皮膚炎に関連する血管と毛細管からの血漿の滲出を減少させる。特定の例において、DP受容体の拮抗作用は皮膚炎を処置する。
【0044】
幾つかの実施形態において、皮膚炎はアトピー性皮膚炎またはアレルギー性皮膚炎である。幾つかの実施形態において、皮膚炎はアトピー性皮膚炎である。幾つかの実施形態において、皮膚炎はアレルギー性皮膚炎である。
【0045】
(乾癬)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は乾癬である。特定の例では、乾癬の症状は、表皮、真皮、及び/又は皮下組織へのサイトカインの流入に起因する。特定の例においては、サイトカインは炎症とその後の乾癬を引き起こす。特定の例においては、DP活性を抑制することは、乾癬に関連したサイトカインの濃度を低下させる。特定の例においては、DP受容体の拮抗作用は乾癬を処置する。
【0046】
(湿疹)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は湿疹である。本明細書で使用されているように、湿疹は表皮の炎症である。この持続的な皮膚状態の症状は、炎症(例えば、赤み)、皮膚浮腫(腫脹)、そう痒および乾燥、痂皮形成、剥離、疱疹、ひび、滲出、または、出血の1以上によって特徴づけられる乾燥と再発する皮膚の発疹を含む。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、湿疹に関連したサイトカインの濃度を低下させる。特定の例では、DP受容体の活性を抑制する湿疹に関連した炎症を減らす。特定の例では、DP受容体の拮抗作用は湿疹を処置する。
【0047】
(蕁麻疹)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は蕁麻疹である。特定の例では、蕁麻疹は過敏症または別の免疫不全に起因する。特定の例では、蕁麻疹の症状は、表皮、真皮、及び/又は皮下組織の中へのサイトカインの流入に起因する。特定の例においては、サイトカインは、蕁麻疹に関連した炎症及び/又は過敏症を引き起こす。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、蕁麻疹に関連したサイトカインの濃度を低下させる。特定の例においては、DP受容体の拮抗作用は蕁麻疹を処置する。
【0048】
幾つかの実施形態において、蕁麻疹は丘疹状蕁麻疹である。
【0049】
(1型過敏症)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、1型過敏症(または即時型過敏症)を処置または予防するために哺乳動物に投与される。1型過敏症は、刺激物質、または、アレルゲン、または、その組み合わせに対する曝露によって引き起こされたアレルギー反応である。曝露は食物摂取、吸入、注射または直接接触による。1型過敏症の非限定的な例は、アレルギー性皮膚炎、蕁麻疹、および、食物アレルギーを含んでいる。
【0050】
(そう痒)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、哺乳動物のそう痒を処置または予防するために投与される。幾つかの実施形態において、そう痒は、本明細書に開示された疾患または疾病の任意の症状である。幾つかの実施形態において、そう痒は、刺激物質、アレルゲンまたはそれらの組み合わせとの接触の結果である。幾つかの実施形態において、そう痒は、本明細書に開示されたPGD依存性またはPGD媒介性の疾患または疾病(例えば、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹など)の結果である。幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、刺激物質、アレルゲン、または、それらの組み合わせとの接触に関連するそう痒を減らす。幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚炎、乾癬、または、蕁麻疹に関連するそう痒を減らす。
【0051】
(水疱性疾患または疾病)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は水疱性の疾患または疾病である。特定の例では、水疱性の疾患または疾病は、疱疹(すなわち皮膚の上層の細胞間での液体の蓄積)の形成を特徴とする。特定の例においては、水疱性の疾患または疾病は、免疫疾患または疾病である。特定の例においては、PGD及び/又はサイトカインは、疱疹の形成を媒介する(例えば、毛細管から皮膚の上層まで血漿の滲出を誘発する)。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、水疱性の疾患または疾病に関連したサイトカインの濃度を低下させ、さらに、水疱性の疾患または疾病を処置する。水疱性の疾患または疾病は、限定されないが、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、粘膜類天疱瘡、線状IgA水疱性疾患、ヘルペス状皮膚炎、および、後天性表皮水泡症を含んでいる。
【0052】
(酒さ)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は酒さである。本明細書で使用されているように、酒さは、毛細血管拡張性紅斑酒さ(erythematotelangiectatic rosacea)(ETR)、丘疹膿疱性酒さ、及び/又は、瘤腫性酒さ(Phymatous rosacea)を指す。特定の例においては、DP受容体へのPGDの結合を阻害または減少することは、酒さを処置する。
【0053】
(皮膚潰瘍)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は皮膚潰瘍である。本明細書で使用されているように、潰瘍は、表皮の分解、および、往々にして、真皮およびさらには皮下脂肪の一部の分解によって特徴付けられた皮膚の疾患または疾病である。特定の例においては、潰瘍は壊死組織の領域である。特定の例においては、潰瘍は免疫系機能障害に起因する。特定の例においては、潰瘍は、限定されないが、好中球の不適切な機能などの免疫系の機能障害に起因する。特定の例においては、PGD及び/又はサイトカインは好酸球のための走化性物質である。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、皮膚潰瘍に関連したサイトカインの濃度を低下させる。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、皮膚潰瘍に関連した好酸球の走化性を低下させる。特定の例においては、DP受容体の拮抗作用は皮膚潰瘍を処置する。
【0054】
(瘢痕)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は瘢痕である。本明細書で使用されているように、瘢痕は、瘢痕の形成を指す。1つの態様では、瘢痕は、肥厚性瘢痕あるいはケロイド瘢痕、または、ざ瘡に由来する瘢痕である。特定の例では、瘢痕は、炎症(例えば、サイトカイン及び/又はコラーゲンの過剰産生)に起因する線維組織の領域である。特定の例においては、瘢痕は感染の結果である(例えば、ざ瘡)。特定の例においては、サイトカインは、瘢痕に関連した炎症を調節する。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、肥満細胞の活動及び/又は瘢痕に関連したサイトカインの過剰産生を低下させるか、または、抑制する。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、瘢痕に関連したサイトカインの濃度を低下させる。特定の例においては、DP受容体の拮抗作用は瘢痕を処置する。
【0055】
(熱傷)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は熱傷である。本明細書で使用されているように、熱傷は、熱、感冒、電気、化学物質、光(例えば、紫外線暴露によって引き起こされた日焼け)、放射線、または、摩擦によって引き起こされた皮膚の損傷または破壊を指す。1つの態様では、熱傷は、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、または、第4度熱傷である。特定の例では、熱傷は瘢痕の形成をもたらす。いくつかの例において、熱傷は炎症をもたらす。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、瘢痕及び/又は炎症に関連した肥満細胞及び/又は好酸球の活性を抑制する。特定の例においては、DP受容体とのPGDの結合を阻害することは、瘢痕及び/又は炎症に関連したサイトカインの濃度を低下させる。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、熱傷に関連した瘢痕及び/又は炎症を処置する。
【0056】
(皮膚ムチン沈着症)
幾つかの実施形態において、本明細書に開示された局所製剤は、皮膚科学の疾患または疾病を処置するために投与され、皮膚科学の疾患または疾病は皮膚ムチン沈着症である。皮膚ムチン沈着症は、ムチンが皮膚に蓄積する疾患または疾病を指す。幾つかの実施形態において、ムチンの蓄積は、皮膚の間質腔と毛包に生じる。特定の例においては、ムチン沈着症は肥満細胞の障害に起因する。肥満細胞によって放出されたPGD及び/又はサイトカインは、繊維芽細胞からのムチンの合成を上方制御する。特定の例においては、ムチンの堆積は、皮膚病変内外(例えば、全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、及び/又は亜急性皮膚エリテマトーデスに関連する皮膚病変での)丘疹または小瘤を引き起こす。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、ムチン及び/又はムチン沈着症(mucinoses)の堆積に関連した肥満細胞及び/又は繊維芽細胞の活動を抑制する。特定の例においては、DP受容体へのPGDの結合を阻害することは、ムチン沈着症に関連するサイトカインの濃度を低下させる。特定の例においては、DP受容体の活性を抑制することは、皮膚ムチン沈着症を処置または予防する。
【0057】
皮膚ムチン沈着症は、限定されないが、全身性粘液水腫、前脛骨粘液水腫、網状紅斑性ムチン沈着症、浮腫性硬化症、硬化性粘液水腫、丘疹性ムチン沈着症、末端持続性の丘疹性ムチン沈着症(acral persistent papular mucinosis)、限局性ムチン沈着症、指趾粘液嚢腫(digital mucous cyst)、粘液嚢腫、皮膚の粘液腫、幼時の皮膚ムチン沈着症、母斑ムチン沈着症、ムチン性脱毛症(毛包性ムチン沈着症)、ムコ多糖症、デゴス病、皮膚筋炎、環状肉芽腫、ジェスナーのリンパ球性皮膚浸潤、エリテマトーデス(lupus erythematosus)、全身性エリテマトーデス(SLE)に関連する丘疹結節性ムチン沈着症、粘液水腫性苔癬、甲状腺異常ムチン沈着症(甲状腺疾患に関連したムチン沈着症)、網状紅斑性ムチン沈着症、末端持続性ムチン沈着症、若年性皮膚ムチン沈着症、幼時の皮膚ムチン沈着症、皮膚の有毒油ムチン沈着症、神経障害に関連する皮膚ムチン沈着症、蕁麻疹様ムチン沈着症、遺伝的なムチン性組織球増殖症、および、原発性のムチン性皮膚(皮脂腺および汗腺)癌などの疾患または疾病で観察される。
【0058】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の局所製剤は、第2の治療剤(例えば、FLAPインヒビター化合物などのロイコトリエンモジュレータ)と組み合わせたDP受容体アンタゴニストを含み、本明細書に記載されるプロスタグランジンD媒介性またはプロスタグランジンD依存性の疾患または疾病の任意の処置のために皮膚に投与される。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物と第2の治療剤の効果は相加的なものであり、すなわち、DP受容体アンタゴニスト化合物と第2の治療剤の組み合わせの投与は、いずれかの化合物のみの投与よりも大きな治療効果を提供する。
【0059】
(DP受容体アンタゴニスト)
1つの態様では、本明細書に開示された医薬組成物は、少なくとも1つのDP受容体アンタゴニスト化合物を含む。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、国際特許出願番号PCT/US09/35174号(名称:プロスタグランジンD受容体アンタゴニスト)、国際特許出願番号PCT/US08/82056号(名称:「PGD受容体のアンタゴニスト」)、国際特許出願番号PCT/US08/82082号(名称:「PGD受容体アンタゴニスト」)、国際特許出願PCT/US0932495号(名称:プロスタグランジンD受容体のN、N−非置換アミノアルキルビフェニル アンタゴニスト)、国際特許出願PCT/US09/32499(名称:「プロスタグランジンD受容体のN,N−非置換アミノアルキルビフェニル アンタゴニスト」)、国際特許出願PCT/US09/33961(名称:「プロスタグランジンD受容体アンタゴニストとしての環状ジアリールエーテル化合物」)、国際特許出願PCT/US09/38291(名称:「プロスタグランジンD受容体のアミノアルキルフェニル アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/078,311号(名称:「プロスタグランジンD受容体のヘテロアルキル アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/101,074号(名称:「プロスタグランジンD受容体のヘテロアリール アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/054,093号(名称:「プロスタグランジンD受容体の三環式アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/107,638号(名称「プロスタグランジンD受容体の三環式アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/075,242号(名称「プロスタグランジンD受容体のシクロアルカン(Cycloaklane)[B]インドール アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/101,964号(名称「プロスタグランジンD受容体のヘテロアリールアンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/103,872号(名称「プロスタグランジンD受容体のヘテロアルキル ビフェニル アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/115,259号(名称「プロスタグランジンD受容体の複素環のアンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/112,044号(名称「プロスタグランジンD受容体のシクロアルカン[B]アザインドール アンタゴニスト」)、米国仮特許出願61/147,437号(名称「プロスタグランジンD受容体アンタゴニストとしてのインドリジン(Indolozine)化合物」)、米国仮特許出願61/025,597号、米国仮特許出願61/110,496号、米国出願12/362,439号、国際特許出願PCT/US09/49621号、国際特許出願PCT/US09/49631号、米国出願12/497,343号、国際特許出願PCT/US09/58655号、国際特許出願PCT/US09/58663号、米国出願12/568,571号、国際特許出願PCT/US09/44219号、国際特許出願PCT/US09/48327号、国際特許出願PCT/US09/59256号、国際特許出願PCT/US09/59891号、国際特許出願PCT/US09/64630号、国際特許出願PCT/US09/63439号、国際特許出願PCT/US09/63438号、米国出願第12/613,424号、国際特許出願PCT/US2010/22145号で開示される化合物、または、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、代謝産物、プロドラッグ、または、それらのN−オキシドから選択され、各々の開示はそのような化合物の引用によって組み込まれる。
【0060】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、ラマトロバン、AMG009、AMG853、WO 09/085177の化合物14、AZD1981、AZD8075、AZD5985、ARRY−005、ARRY−006、ARRY−063、ODC9101(OC459)、OC499、OC1768、OC2125、OC2184、QAV680、MLN6095、ACT−129968、ADC3680、SAR398171、S555739、AP768、[2’−(3−ベンジル−1−エチル−ウレイドメチル)−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル]酢酸、{3−[2−tert−ブチルスルファニルメチル−4−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−フェノキシ]−4−メトキシ−フェニル}−酢酸、TM30642、TM30643、TM30089、TM27632、および、TM3170、{2’−[((N−シクロプロパンカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル}−酢酸、[2’−[((N−シクロプロパンカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−4’−(6−エトキシ−ピリジン−3−イル)6−メトキシ−ビフェニル−3−イル]酢酸、(5−{2−[(N−ベンジルオキシカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−4−トリフルオロメチル−フェニル}−ピリジン−3−イル)−酢酸、または、{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール(indol)−5−イル}−酢酸、または、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、代謝産物、プロドラッグ、または、そのN−オキシドである。
【0061】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、式(I)の構造を有する化合物、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、または、それらのプロドラッグであり、
【0062】
【化1】

【0063】
ここで、Rは、H、ハロゲン、−CN、−OH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、または、C−Cヘテロアルキルであり、
は、H、ハロゲン、−CN、−NO、-OH、−OR13、−SR12、−S(=O)R12、−S(=O)12、−NHS(=O)12、−C(=O)R12、−OC(=O)R12、−CO13、−OCO13、−CH(R13、−N(R13、−C(=O)N(R13、−OC(=O)N(R13、−NHC(=O)NH(R13)、−NHC(=O)R12、−NHC(=O)OR12、−C(OH)(R13、−C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、または、C−Cヘテロアルキルであって、
または、Rは、C−C10シクロアルキル、置換または非置換のC−C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のナフチル、置換または非置換の単環式ヘテロアリール、または、置換または非置換の二環式ヘテロアリールであり、Rが置換される場合、Rは1または2のR21基で置換され、
20は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−CHOC−Cアルキル、−CHO−(置換または非置換のフェニル)、−CH(CH)−O−(置換または非置換のフェニル)、−C(CH−O−(置換または非置換のフェニル)、−CHOCH−(置換または非置換のフェニル)、−OC−Cアルキル、−OCH−(置換または非置換のフェニル)、−OCH(CH)−(置換または非置換のフェニル)、−NR16−Cアルキル、−NR16−CH−(置換または非置換のフェニル)、あるいは、−NR16−CH(CH)−(置換または非置換のフェニル)であり、ここで、R20のフェニルが置換される場合、フェニルは1または2のR21基で置換され、
各々のR21は、ハロゲン、−OH、−OC−Cアルキル、C−Cアルキル、および、−CFから独立して選択され、
16は、HまたはC−Cアルキルであり、
11はC−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、または、C−Cシクロアルキルであり、
12は、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、または、C−Cフルオロアルキルであり、
各々のR13は、H、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、および、C−Cフルオロアルキルから独立して選択される。
【0064】
幾つかの実施形態において、R11は、−CH、−CHCH、−CF、−CHCF、シクロプロピル、シクロブチル、または、シクロペンチルである。幾つかの実施形態において、R11は、−CHCH、または、−CHCFである。幾つかの実施形態において、R11は、−CHCHである。
【0065】
幾つかの実施形態において、Rは、H、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OR13、−SR12、−S(=O)R12、−S(=O)12、−NHS(=O)12、−C(=O)R12、−OC(=O)R12、−CO13、−OCO13、−N(R13、−C(=O)N(R13、−OC(=O)N(R13、−NHC(=O)NH(R13)、−NHC(=O)R12、−NHC(=O)OR12、−C(OH)(R13、−C1−C4アルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、または、C−Cヘテロアルキルであり、R12はC−Cアルキルであり、各々のR13は、H、および、C−Cアルキルから独立して選択される。幾つかの実施形態において、RはH、−CF、−COH、Br、−NH−C(=O)−CH、−NH−C(=O)−OCH、−NH−SOCH、−SCH、−SOCH、−NH−(C=O)−CH、−NH−SO−CH、または、−C(CH−(OH)である。
【0066】
幾つかの実施形態において、R20は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−CHOC−Cアルキル、−CHO−(置換または非置換のフェニル)、−CH(CH)−O−(置換または非置換のフェニル)、C(CH−O−(置換または非置換のフェニル)、CHOCH−(置換または非置換のフェニル)、−OC−Cアルキル、−O−CH−(置換または非置換のフェニル)、−O−CH(CH)−(置換または非置換のフェニル)、−NR16−Cアルキル、−NR16−CH−(置換または非置換のフェニル)、あるいは、−NR16−CH(CH)−(置換または非置換のフェニル)であり、ここで、R20のフェニルが置換される場合、フェニルは1または2のR21基で置換される。
【0067】
幾つかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、−OH、−CH、−OCH、−CF、又は−OCFであり、Rは、H、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−S(=O)CH、−NHS(=O)CH、−C(=O))CH、−OC(=O)CH、−COH、−COCH、−COCHCH、−NH、−C(=O)NH、−NHC(=O)CH、−CH、−CF、−OCF、−OCH、−CHOH、又は−C(CHOHである。
【0068】
幾つかの実施形態において、R20は、−CH、−CHCH、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHOCH、−CHO−(置換または非置換のフェニル)、−CH(CH)−O−(置換または非置換のフェニル)、−C(CH−O−(置換または非置換のフェニル)、−CHOCH−(置換または非置換のフェニル)であり、R20のフェニルが置換されている場合、該フェニルは1又は2のR21基で置換されている。
【0069】
幾つかの実施形態において、各R21は、F、Cl、Br、−OH、−OCH、−OCHCH、−CHCH、−CH及び−CFから独立して選択される。幾つかの実施形態において、各R21は、F、Cl、Br、−OH、−OCH、−CH及び−CFから独立して選択される。
【0070】
幾つかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、−CH、−OCH、−CF又は−OCFである。Rは、ハロゲン、−CH、−CF、−OCF又は−OCHである。
【0071】
幾つかの実施形態において、R20は、−CH、−CHCH、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHOCH、−CHO−(置換または非置換のフェニル)、−CH(CH)−O−(置換または非置換のフェニル)、−C(CH−O−(置換または非置換のフェニル)、−CHOCH−(置換または非置換のフェニル)であり、R20のフェニルが置換されている場合、該フェニルは0、1又は2のR21基で置換されている。
【0072】
幾つかの実施形態において、R20は、−CH、シクロプロピル、−CHOCH、−CHO−(置換または非置換のフェニル)、−CHOCH−(置換または非置換のフェニル)であり、R20のフェニルが置換されている場合、フェニルは1又は2のR21基で置換されている。幾つかの実施形態において、R20は、シクロプロピルである。
【0073】
幾つかの実施形態において、R20は、−OC−Cアルキル,−O−CH−(置換または非置換のフェニル)又は−O−CH(CH)−(置換または非置換のフェニル)であって、R20のフェニルが置換されている場合、該フェニルは1又は2のR21基で置換されている。
【0074】
幾つかの実施形態において、R20は、−O−CH−(置換または非置換のフェニル)であり、R20のフェニルが置換されている場合、該フェニルは1又は2のR21基で置換されている。
【0075】
幾つかの実施形態において、R20は、−NR16−Cアルキル,−NR16−CH−(置換または非置換のフェニル)又は−NR16−CH(CH)−(置換または非置換のフェニル)であり、R20のフェニルが置換されている場合、該フェニルは1又は2のR21基で置換されており、R16は、H、−CH、又は−CHCHである。
【0076】
幾つかの実施形態において、R20は、−NH−CH−(置換または非置換のフェニル)であり、R20のフェニルが置換されている場合、該フェニルは1又は2のR21基で置換されている。幾つかの実施形態において、R20は、−NH−CH−フェニルである。
【0077】
幾つかの実施形態において、Rは、F、Cl、Br、−CH、−OCH、−CF又は−OCFである。
【0078】
幾つかの実施形態において、Rは、F、Cl、Br、−CH、−CF、−OCF又は−OCHである。
【0079】
幾つかの実施形態において、R11は、−CH、−CHCH又は−CHCFである。
【0080】
幾つかの実施形態において、各R21は、F、Cl、Br、−OH、−OCH、−CH及び−CFから独立して選択される。幾つかの実施形態において、各R21は、F、Cl、Br、−OH、−OCH、−OCHCH、−CH及び−CFから独立して選択される。幾つかの実施形態において、各R21は、F、Cl及びBrから独立して選択される。
【0081】
幾つかの実施形態において、Rは、−OCHである。幾つかの実施形態において、Rは、−CFである。
【0082】
幾つかの実施形態において、R11は、−CH又は−CHCHである。幾つかの実施形態において、R11は、−CHCHである。
【0083】
幾つかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、−OH、−CH、−OCH、−CF又は−OCFである。
【0084】
幾つかの実施形態において、R11は、シクロプロピル、シクロブチル又はシクロペンチルである。
【0085】
幾つかの実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、チオモルホリニル、又はフェニル、ナフチル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル及びキノキサリニルから選択される置換または非置換の基であり、Rが置換されている場合、Rは1又は2のR21基で置換されている。
【0086】
幾つかの実施形態において、Rは、フェニル、ナフチル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル及びキノキサリニルから選択される置換または非置換の基であり、Rが置換されている場合、Rは1又は2のR21基で置換されている。
【0087】
幾つかの実施形態において、Rは、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリニル及びイソキノリニルから選択される置換または非置換の基であり、Rが置換されている場合、Rは1又は2のR21基で置換されている。
【0088】
幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のピリジニルであり、Rが置換されている場合、Rは1又は2のR21基で置換されている。
【0089】
幾つかの実施形態において、Rは、F、Cl、Br、−CH、−OCH、−CF又は−OCFであり、R11は、−CH、−CHCH、又は−CHCFである。
【0090】
幾つかの実施形態において、Rは、−OCHであり、R11は、−CH又は−CHCHである。
【0091】
幾つかの実施形態において、Rは、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル及びイソキノリニルから選択される置換または非置換の基であり、Rが置換されている場合、Rは1又は2のR21基で置換されている。
【0092】
幾つかの実施形態において、Rは、シクロプロピル、フェニル、ピロリジン−1−イル、ピラゾール−1−イル、1H−ピラゾール−4−イル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、オキサゾール2−イル、ピリジン−2−イル、6−エトキシ−ピリジン−3−イル、5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−メトキシ−ピリミジン−2−イル又はキノリン−7−イルである。
【0093】
幾つかの実施形態において、Rは、ピラゾール−1−イル、1H−ピラゾール−4−イル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、オキサゾール2−イル、ピリジン−2−イル、6−エトキシ−ピリジン−3−イル、5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−メトキシ−ピリミジン−2−イル又はキノリン−7−イルである。
【0094】
幾つかの実施形態において、Rは、置換または非置換のピリジン−2−イル、置換または非置換のピリジン−3−イル又は置換または非置換のピリジン−4−イルであり、Rが置換されている場合、Rは1又は2のR21基で置換されている。幾つかの実施形態において、Rは、ピリジン−2−イル、6−エトキシ−ピリジン−3−イル、5−フルオロ−ピリジン−2−イル又は5−メトキシ−ピリミジン−2−イルである。幾つかの実施形態において、Rは、ピリジン−2−イル、6−メチル−ピリジン−3−イル、6−エチル−ピリジン−3−イル、6−メトキシ−ピリジン−3−イル、6−エトキシ−ピリジン−3−イル、5−フルオロ−ピリジン−2−イル、5−メチル−ピリジン−2−イル、5−エチル−ピリジン−2−イル、5−メトキシ−ピリミジン−2−イル又は5−エトキシ−ピリミジン−2−イルである。幾つかの実施形態において、R5は、6−エトキシ−ピリジン−3−イルである。
【0095】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、[2’−(3−ベンジル−1−エチル−ウレイドメチル)−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル]−酢酸、(2’−[(N−シクロプロパンカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル}−酢酸、[2’−[(N−シクロプロパンカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−4’−(6−エトキシ−ピリジン−3−イル)−6−メトキシ−ビフェニル−3−イル]−酢酸、或いはそれらの薬学的に許容可能な塩、それらの薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそれらのプロドラッグである。
【0096】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、式(II)の構造を有する化合物、それらの薬学的に許容可能な塩、それらの薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそれらのプロドラッグである。
【0097】
【化2】

【0098】
ここで、R、R及びRの各々は独立的に、H、F、Cl、Br、I、−CN、−OR12、−C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ又はC−Cヘテロアルキルであり、
は、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−OH、−O(C−Cアルキル)、−S(=O)12、−N(C−Cアルキル)S(=O)12、−NHS(=O)12、−S(=O)N(R13、−C(=O)R12、−CO(C−Cアルキル)、−NH、−C(=O)NH(R13)、−C(=O)N(R13、−OC(=O)NH(R13)、−OC(=O)N(R13、−N(C−Cアルキル)C(=O)N(R13、−NHC(=O)N(R13、−NHC(=O)NH(R13)、−N(C−Cアルキル)C(=O)R12、−NHC(=O)R12、−NH−C−Cアルキル−C(=O)R12、−N(C−Cアルキル)C(=O)OR12、−NHC(=O)OR12、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、C−Cヘテロアルキル、置換または非置換のC−C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、又はN、O又はSから選択される0〜3のヘテロ原子を含む置換または非置換の単環式又は二環式ヘテロアリールであり、
11は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cヘテロアルキル、置換または非置換のフェニル、N、O又はSから選択される0〜3のヘテロ原子を含む置換または非置換の単環式又は二環式ヘテロアリール、置換または非置換の−C−Cアルキル−フェニル、−C−Cアルキレン−N(R17、−C−Cアルキレン−C(=O)O−R17又は−C−Cアルキレン−C(=O)N(R17であり、R17は、H又はC−Cアルキルであり、
12は、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、C−Cフルオロアルキル、置換または非置換のC−C10シクロアルキル、置換または非置換のC−C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、N、O又はSから選択される0〜3のヘテロ原子を含む置換または非置換の単環式ヘテロアリール、置換または非置換の−C−Cアルキル−C−C10シクロアルキル、置換または非置換の−C−Cアルキル−フェニル、又は置換または非置換の−C−Cアルキル−(N、O又はSから選択される0〜3のヘテロ原子を含む単環式ヘテロアリール)であり、
各R13は、H、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、C−Cフルオロアルキル、置換または非置換のC−C10シクロアルキル、置換または非置換のC−C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、N、O又はSから選択される0〜3のヘテロ原子を含む置換または非置換の単環式ヘテロアリール、置換または非置換の−C−Cアルキル−C−C10シクロアルキル、置換または非置換の−C−Cアルキル−C−C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換の−C−Cアルキル−フェニル及び置換または非置換の−C−Cアルキル−(N、O又はSから選択される0〜3のヘテロ原子を含む単環式ヘテロアリール)から独立して選択され、或いは、
同じN原子に付いた2つのR13基はN原子とともに取り込まれ、R13基は該N原子に付いて置換または非置換のC−C10ヘテロシクロアルキルを形成し、
Yは、−S−、−S(=O)−又は−S(=O)−である。
【0099】
幾つかの実施形態において、Rは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−S(=O)12、−N(C−Cアルキル)S(=O)12、−NHS(=O)12、−S(=O)N(R13、−C(=O)R12、−CO(C−Cアルキル)、−NH、−C(=O)NH(R13)、−C(=O)N(R13、−N(C−Cアルキル)C(=O)N(R13、−NHC(=O)N(R13、−NHC(=O)NH(R13)、−N(C−Cアルキル)C(=O)R12、−NHC(=O)R12、−NH−C−Cアルキル−C(=O)R12、−N(C−Cアルキル)C(=O)OR12、−NHC(=O)OR12、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、C−Cヘテロアルキル、置換または非置換のC−C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、又はN、O又はSから選択される0〜3のヘテロ原子を含む置換または非置換の単環式ヘテロアリールである。
【0100】
幾つかの実施形態において、R11は、イソプロピル、tert−ブチル、−CHCF、−CHCOH、−CHCHN(CH、フェニル、4−クロロフェニル、ベンジル、フェネチル、チアゾール−2−イル、5−メチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル、ピリジン−2−イル、又はキノリン−2−イルである。
【0101】
幾つかの実施形態において、Rは、−NO、−N(C−Cアルキル)S(=O)12、−NHS(=O)12、−N(R13、−N(C−Cアルキル)C(=O)N(R13、−NHC(=O)N(R13、−N(C−Cアルキル)C(=O)R12、−NHC(=O)R12、−NH−C−Cアルキル−C(=O)R12、−N(C−Cアルキル)C(=O)OR12、又は−NHC(=O)OR12である。
【0102】
幾つかの実施形態において、Rは、−N(C−Cアルキル)C(=O)R12又は−NHC(=O)R12である。
【0103】
幾つかの実施形態において、R、R及びRの各々は、H、F、Cl、Br、I、−CN、−OCH、−CH、−CHCH、−CHCH、−CHF、−CF、−OCHF又は−OCFから独立して選択される。
【0104】
幾つかの実施形態において、RはHである。幾つかの実施形態において、RはHである。
【0105】
幾つかの実施形態において、Rは、H、ハロゲン、−CN、−OH、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ又はC−Cヘテロアルキルであり、Rは、−NR13S(=O)12、−S(=O)N(R12)(R13)、−N(R12)(R13)、−C(=O)N(R12)(R13)、−NHC(=O)N(R12)(R13)、−NR13C(=O)R12又は−NR13C(=O)OR12であり、R11は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cヘテロアルキル、C−Cシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のナフチル、置換または非置換の5員環ヘテロアリール、置換または非置換の6員環ヘテロアリール、又は−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)であり、
12は、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のナフチル、置換または非置換のベンジル、置換または非置換の6員環ヘテロアリール、又は−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)であり、R13は、H又はC−Cアルキルであり、或いは同じN原子に付いたR12及びR13はN原子とともに取り込まれ、R12及びR13は該N原子に付いて置換または非置換のC−Cヘテロシクロアルキルを形成する。
【0106】
幾つかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、−OH、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、又はC−Cアルコキシである。
【0107】
幾つかの実施形態において、R11は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、又は−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)である。
【0108】
幾つかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、−OCH、−CH、−CHCH、−CHCH、−CHF、−CF、−OCHF、又は−OCFである。
【0109】
幾つかの実施形態において、R12は、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のベンジル、又は−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)であり、R13は、H又は−CHである。
【0110】
幾つかの実施形態において、Rは、−NR13S(=O)12、−N(R12)(R13)、−C(=O)N(R12)(R13)、−NHC(=O)N(R12)(R13)、−NR13C(=O)R12、又は−NR13C(=O)OR12である。
【0111】
幾つかの実施形態において、R11は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、置換または非置換のフェニル、又は−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)である。
【0112】
幾つかの実施形態において、Rは、F、Cl、Br、−OCH、−CH、−CHCH、−CHCH、−CHF、−CF、−OCHF、又は−OCFである。幾つかの実施形態において、Rは−OCHである。
【0113】
幾つかの実施形態において、Rは、−NR13C(=O)R12である。
【0114】
幾つかの実施形態において、R12は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、又は置換または非置換のベンジルである。
【0115】
幾つかの実施形態において、R11は、−CHCH、−CH(CH、−C(CH、−CHCF、置換または非置換のフェニル、−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)である。
【0116】
幾つかの実施形態において、R12は、−CH(CH、−C(CH、−CHCH(CH、−CHC(CH、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、置換または非置換のフェニル、又は置換または非置換のベンジルである。
【0117】
幾つかの実施形態において、R11は、−CHCH、−CH(CH、−C(CH、又は−CHCFであり、R12は、−CH(CH、−C(CH、−CHCH(CH、−CHC(CH、又は置換または非置換のフェニルであり、R13はHである。
【0118】
幾つかの実施形態において、Rは、F、Cl、−OCH、−CF、又は−OCFであり、R11は、−C(CHであり、R12は、−C(CHであり、R13はHである。
【0119】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、{3−[2−tert−ブチルスルファニルメチル−4−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−フェノキシ]−4−メトキシ−フェニル}−酢酸、又はその薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそのプロドラッグである。
【0120】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、式(III)の構造を有する化合物、その薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物、そのN−オキシド、又はそのプロドラッグである。
【0121】
【化3】

【0122】
ここで、
各Rは、H及び−CHから独立して選択され、
各Rは、H、ハロゲン、−CN、−OH、−OR12、−N(R13、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、及びC−Cヘテロアルキルから独立して選択される。
は、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OR12、−SR12、−S(=O)R12、−S(=O)12、−NHS(=O)12、−N(C−Cアルキル)S(=O)12、−S(=O)N(R13、−C(=O)R12、−OC(=O)R12、−CO13、−OCO13、−N(R13、−C(=O)N(R13、−OC(=O)N(R13、−NHC(=O)N(R13、−N(C−Cアルキル)C(=O)N(R13、−NHC(=O)R12、−N(C−Cアルキル)C(=O)R12、−NHC−Cアルキル−C(=O)R12、−C−Cアルキル−N(R13、−C−Cアルキル−NHC(=O)R12、−C−Cアルキル−NHS(=O)12、−NHC(=O)OR12、−N(C−Cアルキル)C(=O)OR12、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、C−Cヘテロアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、及び置換または非置換のヘテロシクロアルキルから選択され、
10は、−C(=O)R14、−C(=O)OR15、又は−C(=O)N(R16であり、
14は、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cヘテロアルキル、又はC−Cシクロアルキルであり、或いは、
14は、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の−C−Cアルキル−アリール、又は置換または非置換の−C−Cアルキル−ヘテロアリールであり、
15は、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cヘテロアルキル、又はC−Cシクロアルキルであり、或いは、
15は、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の−C−Cアルキル−アリール、又は置換または非置換の−C−Cアルキル−ヘテロアリールであり、
各R16は独立的に、H、−CN、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cヘテロアルキル、又はC−Cシクロアルキルであり、又は同じN原子に付いた2つのR16はN原子とともに取り込まれ、2つのR16は該N原子に付いて任意に置換されたヘテロシクロアルキルを形成し、又は各R16は独立的に、H、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の−C−Cアルキル−アリール、又は置換または非置換の−C−Cアルキル−ヘテロアリールであり、
11は置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の−C−Cアルキル−アリール、又は置換または非置換の−C−Cアルキル−ヘテロアリールであり、又は
11は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、又はC−Cヘテロアルキルである。
【0123】
幾つかの実施形態において、各Rは、H、ハロゲン、−CN、−OH、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、又はC−Cアルコキシであり、Rは、H、ハロゲン、−CN、テトラゾリル、−OH、−SR13、−S(=O)R12、−S(=O)12、−NHS(=O)12、−C(=O)R12、−OC(=O)R12、−CO13、−N(R13、−C(=O)N(R13、−NHC(=O)R12、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、又はC−Cヘテロアルキルであり、R10は、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)C−Cフルオロアルキル、−C(=O)C−Cシクロアルキル、−C(=O)(置換または非置換のフェニル)、−C(=O)(1又は2のN原子を含む置換または非置換の6員環ヘテロアリール)、−C(=O)C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)、−C(=O)−C−Cアルキル−(1又は2のN原子を含む置換または非置換の6員環ヘテロアリール)、−C(=O)C−Cアルキル−O−C−Cアルキル、−C(=O)−O−C−Cアルキル、−C(=O)−O−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)、−C(=O)−NR16−Cアルキル、又は−C(=O)−NR16−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)であり、R11は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、又は置換または非置換のベンジルであり、R12は、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、又はC−Cフルオロアルキルであり、各R13は、H、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、C−Cフルオロアルキル、又は置換または非置換のベンジルから独立して選択され、R16は、H又はC−Cアルキルであり、各置換されたフェニル又は置換されたヘテロアリールは、1又は2のRで置換されており、各Rは、ハロゲン、−OH、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、及びC−Cアルコキシから独立して選択される。
【0124】
幾つかの実施形態において、R10は、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)C−Cシクロアルキル、−C(=O)C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)、−C(=O)−C−Cアルキル−(1又は2のN原子を含む置換または非置換の6員環ヘテロアリール)、−C(=O)−O−C−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)、又は−C(=O)−NR16−Cアルキル−(置換または非置換のフェニル)である。
【0125】
幾つかの実施形態において、R10は、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)C−Cシクロアルキル、−C(=O)CH−(置換または非置換のフェニル)、−C(=O)−CH−(1又は2のN原子を含む置換または非置換の6員環ヘテロアリール)、−C(=O)−O−CH−(置換または非置換のフェニル)、又は−C(=O)−NHCH−(置換または非置換のフェニル)である。幾つかの実施形態において、R10は、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)C−Cシクロアルキル、−C(=O)CH−(置換または非置換のフェニル)、−C(=O)−O−CH−(置換または非置換のフェニル)、又は−C(=O)−NHCH−(置換または非置換のフェニル)である。幾つかの実施形態において、R10は、−C(=O)−O−CH−(置換または非置換のフェニル)である。幾つかの実施形態において、R10は、−C(=O)CH、−C(=O)CHCH、−C(=O)シクロプロピル、−C(=O)CHOCH、又は−C(=O)CHOCHCHである。
【0126】
幾つかの実施形態において、各Rは、H、F、Cl、Br、I、−CN、−OH、−OCH、−OCHCH、−CH、−CHCH、−CF、−CHF、−CHF、及び−OCFから独立して選択される。
【0127】
幾つかの実施形態において、Rは、H、−CF、−COH、Br、−NH−C(=O)−CH、−NH−C(=O)−OCH、−NH−SOCH、−SCH、−SOCH、−NH−(C=O)−CH、−NH−SO−CH、又は−C(CH−(OH)である。幾つかの実施形態において、Rは、F、Cl、−CH、−CF、−OCF、又は−OCHである。幾つかの実施形態において、Rは−CFである。
【0128】
幾つかの実施形態において、R11はC−Cアルキルである。幾つかの実施形態において、R11は−CHCHである。
【0129】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、(5−{2−[(N−ベンジルオキシカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−4−トリフルオロメチル−フェニル}−ピリジン−3−イル)−酢酸、又はその薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそのプロドラッグである。
【0130】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、式(IV)の構造を有する化合物、その薬学的に許容可能な溶媒和物、その薬学的に許容可能な塩、そのN−オキシド、又はそのプロドラッグである。
【0131】
【化4】

【0132】
ここで、
は、L−Xであり、LはC−Cアルキルであり、Xは、COH、又は−CO(C−Cアルキル)であり、
各Rは、H、ハロゲン、−CN、−OH、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、及びC−Cアルコキシから独立して選択され、
は、H又は−CHであり、
は、H又はC−Cアルキルであり、
12は、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cヘテロアルキル、任意に置換されたC−C10シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された−C−Cアルキル−シクロアルキル、任意に置換された−C−Cアルキル−フェニル、又は任意に置換された−C−Cアルキル−ヘテロアリールである。
【0133】
幾つかの実施形態において、R12は、C−Cアルキル、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたナフチル、又は0−3のN原子を含む任意に置換されたヘテロアリールである。
【0134】
幾つかの実施形態において、R12は、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたナフチル、0−3のN原子を含む任意に置換された単環式ヘテロアリール、又は0−3のN原子を含む任意に置換された二環式ヘテロアリールである。
【0135】
幾つかの実施形態において、各Rは、H、F、Cl、Br、I、−CN、−OH、−OCH、−CH、及び−CFから独立して選択される。幾つかの実施形態において、各RはHである。
【0136】
幾つかの実施形態において、Lは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、又は−CHCH−である。幾つかの実施形態において、Lは、−CH−又は−CHCH−である。幾つかの実施形態において、Lは−CH−である。幾つかの実施形態において、Lは−CHCH−である。
【0137】
幾つかの実施形態において、R12は置換または非置換のフェニルであり、R12が置換されている場合、該R12は、F、Cl、Br、I、−CN、−NH、−OH、−NH(CH)、−N(CH、−CH、−CF、−OCH、及び−OCFから選択される1又は2の基で置換されている。幾つかの実施形態において、R12は置換または非置換のフェニルであり、R12が置換されている場合、該R12は、F、Cl、Br、I、−CN、−NH、−OH、−NH(CH)、−N(CH、−CH、−CF、−OCH、及び−OCFから選択される1の基で置換されている。幾つかの実施形態において、R12は4−フルオロフェニルである。
【0138】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−5−イル}−酢酸、(R)−{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−5−イル}−酢酸、(S)−{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−5−イル}−酢酸、又はその薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそのプロドラッグである。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−5−イル}−酢酸、又はその薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそのプロドラッグである。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、(R)−{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−5−イル}−酢酸、又はその薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそのプロドラッグである。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニストは、(S)−{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−5−イル}−酢酸、又はその薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物、又はそのプロドラッグである。
【0139】
様々な変更形態に関して、上述の基の任意の組み合わせが、本明細書で考慮される。本明細書を通じて、基とそれらの置換基は、安定した部分と化合物を提供するため当業者により選択される。
【0140】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物は、薬学的に許容可能な塩及び/又は薬学的に許容可能な溶媒和物として本明細書に記載の製剤に含まれている。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物は、薬学的に許容可能な塩として本明細書に記載の製剤に含まれている。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物は、遊離酸形状または遊離塩基形状で本明細書に記載の製剤に含まれている。
【0141】
幾つかの実施形態において、本明細書記載のDP受容体アンタゴニスト化合物は、1以上の立体中心を備えており、各中心は、R又はS配置のどちらかで独立的に存在している。本明細書に示される化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー及びエピマーの形状を全て含むと共に、その適切な混合物を含む。
【0142】
(併用療法)
1つの態様において、本明細書に開示された医薬組成物および薬学的方法は、追加の治療剤を含んでいる。1つの態様において、追加の治療剤は、DP受容体アンタゴニスト化合物以外の治療剤である。
【0143】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含んでいる本明細書に開示された皮膚用製剤は、次のものから選ばれた治療剤で(別々にまたは同じ製剤において)共同投与される:抗生物質(例えば硫酸ポリミキシンB/バシトラシン亜鉛、ポリミキシンB/ネオマイシン/グラミシジン、ポリミキシンB/トリメトプリム、ポリミキシンB/バシトラシン、フルオロキノロン(例えばシプロフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン)、アミノグリコシド(例えばトブラマイシン、アジスロマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、バシトラシン);抗菌剤(Fungal Agents)(例えばアムホテリシンB、イトラコナゾール(intraconazole)、フルコナゾール、ボリコナゾール);ステロイド抗炎症剤(例えば酢酸フルオロメトロン、酢酸プレドニゾロン、ロテプレドノールエタボネート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロンナトリウム、リメキソロン、酢酸フルオロメトロン);非ステロイド性の抗炎症剤(例えばネパフェナク、ケトロラックトロメタミン、ブロムフェナク、ジクロフェナクナトリウム、ケトロラックトロメタミン、フマル酸ケトチフェン);抗ヒスタミン剤(例えばフマル酸エメダスチン、塩酸オロパタジン、塩酸エピナスチン、塩酸アゼラスチン、フマル酸ケトチフェン);抗ウイルス剤(例えばアシクロビル、ビダラビン、トリフルリジン);肥満細胞安定化薬(例えばロドキサミドトロメタミン、ネドクロミルナトリウム、クロモリンナトリウム、ペミロラストカリウム)、シクロスポリンおよびロイコトリエンモジュレータ(例えば5−LOインヒビター、FLAPインヒビター化合物、LTAヒドロラーゼインヒビター、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えばCysLT受容体アンタゴニスト(BLTRアンタゴニスト))。
【0144】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含んでいる本明細書に開示された皮膚用製剤は、抗生物質と共に(別々にまたは同じ製剤において)共同投与される。抗生物質は、限定されないが、硫酸ポリミキシンB/バシトラシン亜鉛およびポリミキシンB/ネオマイシン/グラミシジン、ポリミキシンB/トリメトプリム、ポリミキシンB/バシトラシン、フルオロキノロン(例えばシプロフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン)、アミノグリコシド(例えばトブラマイシン、アジスロマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、バシトラシン)を含んでいる。
【0145】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含んでいる本明細書に開示された皮膚用製剤は、抗真菌薬と共に(別々にまたは同じ製剤において)共同投与される。抗真菌薬は、限定されないが、アムホテリシンB、イトラコナゾール(intraconazole)、フルコナゾール、ボリコナゾールを含む。
【0146】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含んでいる本明細書に開示された皮膚用製剤は、ステロイド抗炎症剤と共に(別々にまたは同じ製剤において)共同投与される。ステロイド抗炎症剤は、限定されないが、ベタメタゾン、プレドニゾン、アルクロメタゾン、アルドステロン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレゾニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デオキシコルチコステロン、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルトン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハルメタゾン、ヒドロコルチゾン/コルチゾール、アセポン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニソロン、メチルプレドニソロンアセポネート、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン/プレドニゾロン、リメキソロン、チクソコルトール、トリアムシノロン及びウロベタゾールを含んでいる。
【0147】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む本明細書開示の皮膚用製剤は、非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID)と共に(別々に又は同じ製剤において)共同投与される。NSAIDは、以下のものを含むが、これらに限定されない。即ち、アスピリン、サリチル酸、ゲンチシン酸、サリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸コリン、サリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル、カルプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、フルロビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブトン(nabutone)、ケトロラク、ケトロラクトロメタミン、ナプロキセン、オキサプロジン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、COX−2特異的インヒビター(セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、CS−502、JTE−522、L−745,337及びNS398を含むが、これらに限定されない)を含む。
【0148】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む本明細書開示の皮膚用製剤は、抗ヒスタミン剤と共に(別々に又は同じ製剤において)共同投与される。抗ヒスタミン剤は、アンレキサノクス、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン(efletirizine)、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン(noberastine)、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト(picumast)、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、及びトリプロリジンを含むが、これらに限定されない。
【0149】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む本明細書開示の皮膚用製剤は、抗ウイルス剤と共に(別々に又は同じ製剤において)共同投与される。抗ウイルス剤は、アシクロビル、ビダラビン、トリフルリジンを含むが、これらに限定されない。
【0150】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む本明細書開示の皮膚用製剤は、肥満細胞安定化薬と共に(別々に又は同じ製剤において)共同投与される。肥満細胞安定化薬は、ロドキサミド、トロメタミン、ネドクロミルナトリウム、クロモリンナトリウム、ペミロラストカリウムを含むが、これらに限定されない。
【0151】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む本明細書開示の皮膚用製剤は、シクロスポリンと共に(別々に又は同じ製剤において)共同投与される。
【0152】
1つの態様において、DP受容体アンタゴニスト化合物を含む本明細書開示の皮膚用製剤は、ロイコトリエンモジュレータと共に(別々に又は同じ製剤において)共同投与される。ロイコトリエンモジュレータは、5−リポキシゲナーゼインヒビター(5−LO)インヒビター、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)インヒビター化合物、LTAヒドロラーゼインヒビター、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、CysLT受容体アンタゴニスト、BLTRアンタゴニスト)を含むが、これらに限定されない。
【0153】
幾つかの実施形態において、第2の治療剤は、CysLT/CysLTデュアル(dual)受容体アンタゴニスト、及びCysLTの受容体アンタゴニストから選択されたロイコトリエン受容体アンタゴニストである。CysLT受容体アンタゴニストは、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト(prankulast)、及びそれらの誘導体又はアナログを含むが、これらに限定されない。
【0154】
幾つかの実施形態において、第2の治療剤は、本明細書に開示又は当業者に知られているFLAPインヒビター化合物から選択される、FLAPインヒビター化合物である。幾つかの実施形態において、FLAPインヒビターは、米国特許出願第11/538,762号(米国第7,405,302号として発行);米国特許出願第12/131,828号;米国特許出願第11/553,946号(2007/0105866として公表);米国特許出願第11/925,841号;米国特許出願第12/089,706号;米国特許出願第12/089,707号;米国特許出願第12/092,570号;米国特許出願第11/744,555号(2007/0219206として公表);米国特許出願第11/746,010号(2007/0225285として公表);米国特許出願第11/745,387号(2007/0244128として公表);米国特許出願第12/257,876号;米国特許出願第61/055,887号;米国特許出願第61/055,899号;国際特許出願PCT/US07/86188;WO07/047207;WO07/056021;WO07/056220;WO07/056228;国際特許出願PCT/US08/62310;国際特許出願PCT/US08/062793;国際特許出願PCT/US08/62580;国際特許出願PCT/US2008/052960;国際特許出願PCT/US08/81190;国際特許出願PCT/US08/76225;に記載の化合物から選択され、それらの各々は、その全体において引用によって本明細書に組み込まれる。
【0155】
幾つかの実施形態において、FLAPインヒビターである第2の治療剤は、以下のものから選択される。即ち、MK886(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−(4−クロロ−ベンジル)−5−イソプロピル−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸としても知られる);MK591(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−(4−クロロ−ベンジル)−5−(キノリン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸としても知られる);及びDG031(BAY X1005;シクロペンチル−[4−(キノリン−2−イルメトキシ)−フェニル]−酢酸としても知られる)、化合物A(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物B(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピラジン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物C(3−{5−((S)−1−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−イルメトキシ)−3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−1H−インドール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物D(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−ベンジル]−5−(ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物E(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(6−エトキシ−ピリジン−3−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物F(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ベンジル]−5−(キノリン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物G(2−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イルメチル]−2−エチル−酪酸);化合物H(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−ベンジル]−5−(5−メチル−ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物I(3−[5−((S)−1−アセチル−ピロリジン−2−イルメトキシ)−3−tert−ブチルスルファニル−1−(4−クロロ−ベンジル)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸);化合物J(3−[3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ベンジル]−5−(ピリジン−2−イルメトキシ)−1H−インドール−2−イル]−2,2−ジメチル−プロピオン酸)、化合物K(3−{5−((S)−1−アセチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−イルメトキシ)−3−tert−ブチルスルファニル−1−[4−(5−エトキシ−ピリミジン−2−イル)−ベンジル]−1H−インドール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオン酸)、又はそれらの薬学的に許容可能な塩又はN−オキシドから選択される。
【0156】
別の態様において、FLAPインヒビターは、米国特許第4,929,626号;第4970215号;第5,081,138号;第5,095,031号;第5,204,344号;第5,126,354号;第5,221,678号;第5,229,516号;第5,272,145号;第5,283,252号;第5,288,743号;第5,292,769号;第5,304,563号;第5,399,699号;第5,459,150号;第5,512,581号;第5,597,833号;第5,668,146号;第5,668,150号;第5,691,351号;第5,714,488号;第5,783,586号;第5,795,900号;及び第5,843,968号に記載の化合物から選択され、その各々は、そのようなFLAPインヒビターの開示のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0157】
1つの態様において、本明細書記載のDP受容体アンタゴニスト化合物は、本明細書記載の任意の皮膚疾患又は疾病の処置のための第2の治療剤化合物と組み合わせて使用される。いくつかの例において、本明細書記載の任意の皮膚用製剤における第2の治療剤化合物に対するDP受容体アンタゴニスト化合物の量の比率は、約10:1から約1:10までである。いくつかの例において、本明細書記載の任意の皮膚用製剤における第2の治療剤化合物に対するDP受容体アンタゴニスト化合物の量の比率は、約10:1、約8:1、約6:1、約5:1、約4:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:4、約1:5、約1:6、約1:8、又は約1:10である。
【0158】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物及び追加の治療剤は、同じ医薬組成物内にある。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物及び追加の治療剤は、別々の医薬組成物内にある。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物及び追加の治療剤は、DP受容体アンタゴニスト化合物が局所的に投与され、追加の治療剤が、同じ経路又は異なる経路によって投与される(例えば経口投与)、別々の医薬組成物内にある。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物及び追加の治療剤は、同時に投与される。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物及び追加の治療剤は、異なる時間に投与される。
【0159】
(化合物の更なる形態)
幾つかの実施形態において、治療剤(例えば、DP受容体アンタゴニスト及び/又は第2の治療剤)は、薬学的に許容可能な塩として医薬組成物の中に存在する。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、治療剤を酸と反応させることにより得られる。いくつかの他の実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、治療剤を塩基と反応させることにより得られる。幾つかの実施形態において、治療剤は、本明細書記載の医薬組成物の調製において、薬学的に許容可能な塩として使用される。他の実施形態において、治療剤は、本明細書記載の医薬組成物の製品において、遊離酸又は遊離塩基形態として使用される。薬学的に許容可能な塩のタイプは、以下のものを含むがこれらに限定されない。即ち、(1)薬学的に許容可能な:無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタリン酸など;又は有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−2−エン(ene)−1−カルボン酸、グルコペプトン酸、4,4′−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸、3−フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、ターシャリブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸等を化合物の遊離塩基形態と反応させることにより形成される酸付加塩;(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、マグネシウム、又はカルシウム)、又はアルミニウムイオンによって置換される際に形成される塩を含む。いくつかの場合において、治療剤は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン等であるが、これらに限定されない有機塩基と反応される。他の場合において、治療剤は、アルギニン、リジン等であるが、これらに限定されないアミノ酸と共に塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物を用いて塩を形成するのに用いられる許容可能な無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、本明細書開示の化合物の薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩である。
【0160】
幾つかの実施形態において、本明細書開示の治療剤は、1以上の立体中心を備え、各々の中心は、R又はS配置のどちらかに独立して存在する。本明細書に示される化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー及びエピマーの形状を全て含むと共に、それらの適切な混合物を含む。
【0161】
幾つかの実施形態において、本明細書開示の治療剤の部位は、様々な代謝反応に対し感受性があり、それゆえ、代謝反応の部位での適切な置換基の取り込みは、代謝経路を少なくする、最小限にする、又は除去する。具体的な実施形態において、代謝反応に対する芳香環の感受性を減らす又は除去する適切な置換基は、ほんの一例として、ハロゲン、重水素又はアルキル基である。
【0162】
幾つかの実施形態において、本明細書記載の化合物は、同位体的に(例えば、放射性同位体を用いて)、又は別の他の手段により標識化され、この手段には、発色団又は蛍光部分、生物発光標識、又は化学発光標識が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、同位体で標識化された化合物であり、1以上の原子が、通常は自然に見つかる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されるという事実を別にすれば、この化合物は、本明細書で提示される様々な式及び構造において列挙されたものと同じである。幾つかの実施形態において、1以上の水素原子は重水素で置換される。幾つかの実施形態において、本明細書記載の化合物上の代謝部位は、重水素化される。幾つかの実施形態において、重水素での置換は、例えば、インビボでの半減期の増加、又は必要投与量の減少などの、より優れた代謝的安定性から結果として生じる、特定の治療上の利点を与える。
【0163】
(特定の化学用語)
特に明記しない限り、明細書と請求項を含む、本出願において使用される次の用語は、以下の定義を有する。明細書及び添付の請求項内で使用される通り、単数形「a」、「an」及び「the」は、その文脈が他に明確に指示していない限り、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。本出願において、「又は」、或いは「及び」の使用は、特に明記しない限り「及び/又は」を意味する。更に、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限はない。
【0164】
「アルコキシ」は、(アルキル)O−を表し、ここで、アルキルは本明細書に定義されている通りである。
【0165】
「アルキル」は、脂肪族炭化水素基を表す。アルキルは飽和している、又は不飽和であり得る。1つの態様において、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルからから選択される。
【0166】
「シクロアルキル」は、単環式又は非芳香族ラジカルを指し、ここで、環を形成する原子の各々(即ち、骨格原子)は、炭素原子である。シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、および、シクロヘキシルを含む。
【0167】
「ハロ」、「ハロゲン」又は「ハライド」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0168】
「フルオロアルキル」は、1以上の水素原子がフッ素原子により置換されるアルキルを指す。1つの態様において、フルオロアルキルは、−CF、−CHF、−CHF、−CHCF及びCFCFから選択される。
【0169】
「フルオロアルコキシ」は、(フルオロアルキル)O−を指し、ここで、フルオロアルキルは本明細書に定義される通りである。
【0170】
「ヘテロアルキル」は、アルキルの1以上の骨格原子が炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素(例えば、NH又はNアルキル)、硫黄、又はそれらの組み合わせから選択されるアルキル基を指す。1つの態様において、ヘテロアルキルは、アルキルの骨格原子の1つが酸素、窒素又は硫黄であるアルキル基を指す。別の態様において、ヘテロアルキルは、アルキルの骨格原子の1つが酸素であるアルキル基を指す。
【0171】
「6員環ヘテロアリール」は、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びトリアジニルを含む。
【0172】
「アリール」は、フェニル又はナフタレニルを指す。幾つかの実施形態において、アリールはフェニルである。
【0173】
用語「ハロアルキル」は、1以上の水素原子が1以上のハロゲン原子により置換されるアルキル基を指す。1つの態様において、ハロアルキルはC−Cハロアルキルである。
【0174】
用語「ヘテロアリール」、又はその代わりに「複素芳香族」は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1以上の環へテロ原子を含むアリール基を指す。芳香族複素環基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。上述の基に由来するように、前述の基は、それらが可能な場合にはC−付加又はN−付加である。1つの態様において、ヘテロアリールはC―C10ヘテロアリールである。別の態様において、ヘテロアリールはC―Cヘテロアリールである。いくつかの場合において、ヘテロアリールは環内に少なくとも一つのN原子を含む。いくつかの場合において、ヘテロアリールは環内に1又は2つのN原子を含む。いくつかの場合において、ヘテロアリールは、環にO、NおよびSから選択された1〜4つのヘテロ原子を含む。1つの態様において、単環式ヘテロアリールはC―Cヘテロアリールである。1つの態様において、二環式ヘテロアリールはC―C10ヘテロアリールである。
【0175】
「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロ脂環式」基は、窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキルの例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、オキサゾリジノニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアセピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、及びキノリジニルである。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、オキサゾリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、及びインドリニルから選択される。用語「ヘテロ脂環式」はまた、炭水化物の環状形態をすべて含み、炭水化物は、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖を含むが、これらに限定されない。1つの態様において、ヘテロシクロアルキルはC―C10へテロシクロアルキルである。別の態様において、ヘテロシクロアルキルはC―C10へテロシクロアルキルである。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環にO、S及びNから選択された1又は2つのヘテロ原子を含む。
【0176】
用語「任意に置換される」又は「置換される」は、参照した基が、ハロゲン、−OH、−CN、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cフルオロアルコキシ、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、及びC−Cヘテロアルキルから個々に独立して選択された1以上の追加の基で置換され得るということを意味する。いくつかの場合において、置換基が、ハロゲン、−OH、−OC−Cアルキル、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、C−Cフルオロアルキル及び−OC−Cフルオロアルキルから選択された1以上の置換基で置換される。例えば、幾つかの実施形態において、参照した置換基は、ハロゲン、−OH、−CN、−CH、−CHCH、−CF、−OCH、−OCHCH、及び−OCFから選択された少なくとも1つの基で置換される。幾つかの実施形態において、参照した置換基は、1又は2の前述の基で置換される。
【0177】
「プロドラッグ」は、インビボで親薬物へと変換される薬剤を指す。いくつかの状況において、プロドラッグが親薬物より投与するのが容易であるため、プロドラッグは頻繁に有用である。プロドラッグは例えば、経口投与により生物利用が可能となることがある一方で、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、親薬物を越える、医薬組成物において改善された溶解度を有する。制限の無い、プロドラッグの例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与され、その後代謝的にカルボン酸に加水分解される化合物を含む、カルボン酸の化合物である。幾つかの実施形態において、プロドラッグはアルキルエステルプロドラッグである。幾つかの実施形態において、プロドラッグはC−Cアルキルエステルプロドラッグである。幾つかの実施形態において、プロドラッグはメチルエステル又はエチルエステルプロドラッグである。更なるプロドラッグの例は、ペプチドが代謝されて活性部分を現す酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であり得る。プロドラッグは一般的に薬物前駆体であり、この薬物前駆体は、被験体に投与して引き続き吸収された後、代謝経路による変換などのいくつかの過程を介して、活性な、又はより活性な種へと変換される。プロドラッグの中には、活性を和らげ、及び/又は薬物に溶解度或いはいくつかの他の特性を加える、プロドラッグ上に存在する化学基を有するものもある。一旦化学基がプロドラッグから開裂、及び/又は変更されると、活性な薬物が生じる。いくつかの状況において、プロドラッグは親薬物よりも投与しやすいため、しばしば役に立つ。特定の実施形態において、本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、経口投与により生物利用が可能となる一方で、親薬物はそうではない。更に、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、親薬物を越える、医薬組成物において改善された溶解度を有する。プロドラッグがインビボで代謝され、本明細書に明記される誘導体を生成する、本明細書に記載の化合物のプロドラッグの形態は、請求の範囲内に含まれる。実際、本明細書に記載の化合物の中には、別の誘導体又は活性化合物のプロドラッグであるものもある。
【0178】
用語「個体」、「患者」又は「被験体」は互換的に使用され、任意の哺乳動物を指す。幾つかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、チンパンジーのような非ヒト霊長類、および他の類人猿およびサル種である。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ又はブタのような家畜である。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、ウサギ、イヌ又はネコのような家畜である。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、ラット、マウス及びモルモットのようなげっ歯類などを含む、実験動物である。
【0179】
用語「処置する(treat)」、「処置している(treating)」又は「処置(treatment)」、及び本明細書で使用されるような他の文法上の同等物は、障害、疾患又は疾病及び/又は障害、疾患又は疾病の症状の発病を軽減する、弱める、阻害する、縮小する、改善する、遅らせること、障害、疾患又は疾病及び/又は障害、疾患又は疾病の症状の進行を阻止すること、及び/又は障害、疾患又は疾病及び/又は障害、疾患又は疾病の症状の後退を引き起こすことを含む。用語は、疾患又は疾病の予防療法も含む。用語は、任意の治療効果を達成することを更に含む。治療効果は、処置される根本的な障害又は疾患又は疾病の根絶又は緩和、及び/又は根本的な障害又は疾患又は疾病に関連した1以上の生理的な症状の根絶又は緩和を意味し、その結果、改善が個体において観察される。
【0180】
用語「予防する(prevent)」、「予防している(preventing)」又は「予防(prevention)」、及び本明細書で使用される他の文法上の同等物は、障害、疾患又は症状の進行を阻害すること(阻止する又は止めること)、及び/又は障害、疾患又は疾病の更なる進行を阻害すること(阻止する又は止めること)を含む。これら用語は、予防法を含むように意図される。予防的な効果に関して、組成物は、特定の障害、疾患又は疾病を進行する危険性のある個体に、又は障害、疾患又は疾病の1以上の生理的な症状を報告する個体に、障害、疾患又は症状の再発生の危険性のある個体に投与される。
【0181】
本明細書で使用されるように、用語「効果的な量」又は「治療上効果的な量」は、所望の結果、例えば、処置されている疾患、障害又は疾病の1以上の症状をある程度まで和らげることを達成するために投与される薬剤(例えば、DP受容体アンタゴニスト化合物)の量を指す。特定の例において、結果は、障害、疾患又は疾病の少なくとも1つの兆候、症状、又は原因の減少及び/又は軽減、或いは生物系の任意の他の所望の改変である。
【0182】
(局所製剤)
幾つかの実施形態において、本明細書開示の局所製剤は、局所効果(即ち皮膚に限定される効果)のため、皮膚へのDP受容体アンタゴニスト化合物の送達を促進する。特定の例において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所投与は、DP受容体アンタゴニスト化合物の全身投与に関連する副作用を減少する又は除去する。
【0183】
局所製剤は、軟膏、クリーム、ローション、溶液、ペースト、ゲル、スティック、リポソーム、ナノ粒子、パッチ、包帯及び創傷被覆を含むが、これらに限定されない。
【0184】
(クリーム及びローション)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤はクリームの形状である。特定の例において、クリームは、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョン内で分散したDP受容体アンタゴニスト化合物を含む、半固体の(例えば、柔らかい固体又は濃い液体の)製剤である。本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は、ローションの形態である。特定の例において、ローションは、流動性の乳剤(例えば、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョン)である。幾つかの実施形態において、ローション及び/又はクリームの疎水性の成分は、動物性(例えば、ラノリン、タラ肝油及び竜涎香)、植物性(例えば、ベニバナ油、ヒマシ油、やし油、綿実油、ニシン油、パーム核油、パーム油、落花生油、ダイズ油、菜種油、アマニ油、米ぬか油、マツ油、ゴマ油又はヒマワリ種子油)又は石油(例えば、鉱油、又はワセリン)に由来する。
【0185】
特定の例において、ローション及びクリームは、皮膚科学の疾患又は疾病に対する「乾燥」効果があり(例えば、障害から染み出たいくつか又は全ての流体は、軟膏において混和性である)、従って、流体の滲出によって特徴付けられた、皮膚科学の疾患又は疾病に役立つ。
【0186】
(軟膏)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は、軟膏の形態である。特定の例において、軟膏は体温で柔らかくなる又は溶ける半固形製剤である。特定の例において、軟膏は、皮膚を再水和し、従って、水分の損失によって特徴付けられた、皮膚科学の疾患又は疾病に役立つ。
【0187】
(ペースト)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は、ペーストの形態である。特定の例において、ペーストは少なくとも20%の固体を含む。特定の例において、ペーストは体温で流れない軟膏である。特定の例において、ペーストは皮膚を再水和し、従って、水分の損失によって特徴付けられた、皮膚科学の疾患又は疾病に役立つ。特定の例において、ペーストはそれらが適用される領域に対する保護コーティングとして機能する。
【0188】
(ゲル)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は、ゲルの形態である。特定の例において、ゲルは、液体内で分散した大きな有機分子の分散液から成る半固体の(又は半剛体の)系である。特定の例において、ゲルは水溶性であり、温水又は食塩水を使用して除去される。特定の例において、ゲルは皮膚を再水和し、従って、水分の損失によって特徴付けられた、皮膚科学の疾患又は疾病に役立つ。
【0189】
(スティック)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は、スティックの形態である。特定の例において、スティックは体温で溶ける固体の剤形である。幾つかの実施形態において、スティックは、ろう、ポリマー、樹脂、堅い塊に融合された乾燥した固体、及び/又は融合した結晶を含む。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤は、止血鉛筆(即ち、(1)それらが結晶水を失い、融解されるまで結晶を熱すること、(2)融解した結晶を注ぎ、それらを固くすることにより調合されるスティック)の形状である。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤は、スティックの形状であり、ここで、スティックはろう(例えば、ろうは溶かされ、ろうがスティックの形状で凝固する適切な型へ注がれる)を含む。
【0190】
幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤はスティックの形状であり、ここで、スティックは融解基部(melting base)(即ち、体温で柔らかくなる基部)を含む。融解基部の例は、ろう、油、ポリマー及びゲルを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤はスティックの形状であり、ここで、スティックは湿潤基部(moisten base)(即ち、水分の追加によって活性化される基部)を含む。
【0191】
(パッチ)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤はパッチを介して投与される。幾つかの実施形態において、本明細書開示の局所製剤は、ポリマー又は接着剤内で溶解及び/又は分散される。幾つかの実施形態において、パッチは、DP受容体アンタゴニスト化合物の連続、パルス、又はオンデマンド送達のために構築される。
【0192】
(創傷被覆)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は創傷被覆で(又はそれを介して)投与される。創傷被覆は、ガーゼ、透明膜包帯、ヒドロゲル、ポリウレタンフォーム包帯、ヒドロコロイド及びアルギン酸塩を含むが、これらに限定されない。特定の例において、創傷被覆は、(1)創傷内の水分を維持する、(2)半透性である、(3)半閉塞性である、(4)自己分解創面切除(autolytic debridement)を許容する、(5)外部の汚染物質から予防する、(6)滲出した流体を吸収する、及び/又は(7)創傷の視覚化を可能にする。
【0193】
(皮膚科学の賦形剤)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は浸透促進剤を含む。浸透促進剤は、ヒアルロニダーゼ(例えばPH−20)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテル、ラウレス−9、ドデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(PLE)、Tween80、ノニルフェノキシポリエチレン(NP−POE)、ポリソルベート、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、オレイン酸、カプリル酸、モノグリセリドおよびジグリセリド、ラウリン酸、アシルコリン、カプリル酸、アシルカルニチン、カプリン酸ナトリウム、EDTA、クエン酸、サリチル酸、DMSO、スルホン酸デシルメチル、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロパンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びアルキルグリコシド(例えば、ドデシルマルトシド)を含むが、これらに限定されない。
【0194】
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤はゲル化(又は濃縮)剤を含む。幾つかの実施形態において、本明細書開示の局所製剤は更に、約0.1%から約5%まで、より好ましくは約0.1%から約3%まで、及び最も好ましくは約0.25%から約2%までのゲル化剤を含む。特定の実施形態において、本明細書開示の局所製剤の粘度は、約100〜約500,000cP、約100cP〜約1,000cP、約500cP〜約1,500cP、約1,000cP〜約3,000cP、約2,000cP〜約8,000cP、約4,000cP〜約10,000cP、約10,000cP〜約50,000cPの範囲である。
【0195】
ゲルの局所製剤の調製で使用するための適切なゲル化剤は、以下のものを含むがこれらに限定されない。即ち、セルロース、セルロース誘導体、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース)、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸)、ケイ酸塩、デンプン、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、パラフィン、ワセリン、アカシア(アラビアゴム)、カンテン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒバマタ、ベントナイト、カルボマー、カラギーナン、カルボポール、キサンタン、セルロース、微結晶性セルロース(MCC)、セラトニア、ツノマタ、デキストロース、ファーセレラン、ゼラチン、ガチゴム、グアーガム、ヘクトライト、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、ハチミツ、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、アラヤゴム、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 200−4500)、トラガカントゴム、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、オキシポリゼラチン、ペクチン、ポリゲリン、ポビドン、プロピレンカーボネート、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(PVM/MA)、ポリ(メタクリル酸メトキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メトキシエトキシエチル)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)、二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン(PVP:ポビドン)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0196】
ゲルは、単相系又は二相系を含む。単相ゲルは、分散した高分子と液体との間に明らかな境界が存在しない様式で、液体全体に均一に分布する有機高分子からなる。いくつかの単相ゲルは、合成高分子(例えば、カルボマー)又は天然ゴム(例えば、トラガカント)から調製される。幾つかの実施形態において、単相ゲルは、一般的に水性であるが、アルコールおよび油を使用しても作られる。二相ゲルは、小さな別個の粒子のネットワークからなる。
【0197】
ゲルはまた、疎水性又は親水性であると分類することができる。特定の実施形態において、疎水性ゲルの基は、ポリエチレンを有する液体パラフィン、または、コロイド状シリカでゲル化した脂肪油、またはアルミニウム石鹸もしくは亜鉛石鹸からなる。対照的に、疎水性ゲルの基は通常、水、グリセロール、または適切なゲル化剤(例えば、トラガカント、デンプン、セルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、ケイ酸アルミニウムマグネシウム)でゲル化したプロピレングリコールから成る。
【0198】
皮膚から膜への適応の際、液体及びゲルとして適応される製剤の使用のために最も適切な薬剤は、水溶液へ組み込まれた時、熱可逆性ゲルを形成すると知られているポリオキシプロピレンとポリオキシエチレンで構成されるポリマーを含むが、これに限定されない。これらポリマーは、体温に近い温度で液体状態からゲル状態へと変化する能力を有し、それゆえ、有用な製剤をゲル及び/又は膜として患部に適用することを可能にする。体温でゲル化し、本明細書記載のゲル及び/又は膜で使用されるポリマーの例は、ポロクサマー(例えば、PLURONICS F68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)、及びF127(登録商標)であり、それは酸化エチレンと酸化プロピレンのブロックコポリマーである)を含むが、これに限定されない。液体状態からゲル状態への相転移は、溶液中のポリマー濃度及び成分に依存する。
【0199】
幾つかの実施形態において、本明細書開示の製剤及び組成物は、皮膚のペイントとして投与される。本明細書で使用されるように、ペイント(塗膜形成要素としても知られている)は、溶媒、モノマー又はポリマー、活性薬剤、及び任意に1以上の薬学的に許容可能な賦形剤で構成される溶液である。組織への適用後、溶媒は、モノマー又はポリマー、及び活性薬剤で構成される薄いコーティングを後に残して蒸発する。コーティングは、活性薬剤を保護し、その活性薬剤を適用部位で固定化された状態に維持する。これにより、失われる活性薬剤の量は減少し、対照的に個体の皮膚の患部に送達される量は増加する。非限定的な例として、ペイントは、コロジオン(例えば、弾性コロジオン、USP)、及び糖類シロキサンコポリマーおよび架橋剤を含む溶液を含む。コロジオンは、ピロキシリン(ニトロセルロース)を含むエチルエーテル/エタノール溶液である。適用後、エチルエーテル/エタノール溶液は、ピロキシリンの薄膜を残して蒸発する。糖類シロキサンコポリマーを含む溶液において、糖類シロキサンコポリマーは、溶媒の蒸発が糖類シロキサンコポリマーの架橋結合を始めた後、コーティングを形成する。
【0200】
いくつかの例において、本明細書記載の局所製剤は、粘着剤(例えば、ポリアルキルオキサゾリンポリマー)を含み、皮膚の患部への接着膜の適用を可能にする。
【0201】
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は皮膚軟化剤を含む。皮膚軟化剤は以下のものを含むが、これらに限定されない。即ち、ヒマシ油エステル、ココアバターエステル、ベニバナ油エステル、綿実油エステル、トウモロコシ油エステル、オリーブ油エステル、タラ肝油エステル、アーモンド油エステル、アボカド油エステル、ヤシ油エステル、ゴマ油エステル、スクアレンエステル、ククイ油エステル(kikui oil esters)、ダイズ油エステル、アセチル化モノグリセリド、エトキシ化モノステアリン酸グリセリン、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸メチル、デシロレート(decyloleate)、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸メチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ラウリル乳酸、乳酸ミリスチル、及び乳酸セチル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、及びオレイン酸オレイル、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、オレイルアルコール、リシノレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、2−オクチルドデカニルアルコール、ラノリン及びラノリン誘導体、蜜ろう、鯨ろう、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、カルナウバろう、カンデリラろう、レシチン、及びコレステロールを含む。
【0202】
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は、研磨剤、吸収剤、固化防止剤、収れん薬、芳香油、香水、皮膚コンディショニング剤(skin−conditioning agent)、皮膚治癒剤、皮膚保護薬(例えば、日焼け止め、又は紫外線吸収剤或いは飛散剤(scattering agent))、皮膚無痛化剤(skin soothing agent)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0203】
本明細書開示の医薬局所製剤は、任意の適切な方法で調製される。任意の適切な技術、担体、及び/又は賦形剤は、本明細書開示のDP受容体アンタゴニスト化合物との使用のために熟慮される。本明細書記載の医薬局所製剤の要約については、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995)」;「Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975」;「Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980」;及び「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Eighth Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 2004), Muller, R.H. et al. Advanced Drug Delivery Reviews 59 (2007) 522-530」を参照し、これらはこのような開示のための引用により本明細書に組み込まれる。
【0204】
幾つかの実施形態において、本明細書記載の任意の皮膚用製剤は、製剤の約0.1から約50重量%、約0.1から約25重量%、約0.1から約10重量%、約0.1から約5重量%、又は約0.1から約1重量%の間のDP受容体アンタゴニストを含む。
【0205】
(投薬)
本明細書に開示されるものは、特定の実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤であり、ここで、局所製剤は予防的な及び/又は治療上の処置のために投与される。特定の例において、この使用に関して効果的な量は、疾患、障害又は疾病の重症度及び経過、以前の治療、個体の健康状態及び薬物に対する反応、及び処置する医師の判断に依存する。
【0206】
幾つかの実施形態において、皮膚科学の疾患又は疾病が改善しない場合、本明細書開示の局所製剤は、慢性的に(即ち、個体の生命が続く間を含む長期間の間)投与される。幾つかの実施形態において、皮膚科学の疾患又は症状が改善する場合、本明細書開示の局所製剤は連続的に与えられ;代わりに、投与される活性薬剤の投与量は、一時的に減少されるか、一定時間の間一時的に停止させられる(即ち、「休薬期間」)。幾つかの実施形態において、休薬期間は2日から1年の間続き、その中にある全ての整数を含む。幾つかの実施形態において、休薬期間中の投与量の減少は、約10%から約100%までであり、その中にある全ての整数を含む。
【0207】
幾つかの実施形態において、皮膚科学の疾患又は疾病が改善する場合、本明細書開示の局所製剤は維持量として投与される。幾つかの実施形態において、皮膚科学の疾患又は疾病が改善する場合、本明細書開示の局所製剤は、減少した頻度で、又は減少した投与量で投与される。
【0208】
1つの実施形態において、本明細書開示の局所製剤は、DP受容体アンタゴニスト化合物の制御放出のために調製される。幾つかの実施形態において、DP受容体アンタゴニスト化合物は、15分、又は30分、又は1時間、又は4時間、又は6時間、又は12時間、又は18時間、又は1日、又は2日、又は3日、又は4日、又は5日、又は6日、又は7日、又は10日、又は12日、又は14日、又は18日、又は21日、又は25日、又は30日、又は45日、又は2ヶ月、又は3ヵ月、又は4ヶ月、又は5ヶ月、又は6ヶ月、又は9ヶ月、又は1年を越える期間にわたって放出される。
【0209】
(実施例)
以下の実施例は説明に役立つものであり、本明細書記載の製剤及び方法の範囲を制限しない。
【0210】
(実施例1:DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤)
DP受容体アンタゴニスト化合物の局所製剤を、DP受容体アンアゴニスト化合物をプロピレングリコール、トランスクトール(transcutol)及び水と混合することにより調合する。1つの態様において、局所製剤は、75%のプロピレングリコール、15%のトランスクトール、10%の水の溶液中にDP受容体アンタゴニスト化合物(10mg/mL)を含む。
【0211】
(実施例2:DP受容体アンタゴニスト化合物のローション製剤)
DP受容体アンタゴニスト化合物(15g)をエタノールと混合する。Tween80(5mL)を加える。Carbopol 974を1Lの水の中に分散し、エタノール混合物を水性の混合物にゆっくりと加える。混合物を撹拌し、量を精製水で1500mLにまで調節する。
【0212】
(実施例3:DP受容体アンタゴニスト化合物のヒドロゲル製剤)
DP受容体アンタゴニスト化合物(150g)、ベンジルアルコール(40mL)、及びグリセリンを、約3200mLの精製水に加える。混合物へとPluronic F127(45g)をゆっくり加える。リン酸塩緩衝液でpHを7.0に調節する。精製水を加え、量を4000mLにする。最後に、ゲルを形成するまでトロラミンを加える(液滴)。
【0213】
(実施例4:DP受容体アンタゴニスト化合物のスティック製剤)
溶かされた蜜ろう(300g)、ココアバター(50g)、パラフィン(125g)およびラノリン(50g)の混合物を、DP受容体アンタゴニスト化合物(50g)とワセリン(180g)の混合物に加える。混合物を40分間撹拌し、型へ注ぐ。
【0214】
(実施例5:DP/CRTH2結合アッセイ)
化合物がヒトDP受容体に結合する能力を、[H]PGDを使用した放射リガンド結合アッセイを介して評価する。組み換え型ヒトDPを安定して発現するHEK293細胞を、1mMのDTTを含む10mMのHepes、7.4内で再懸濁し、溶解し、75,000xgで遠心分離して、細胞膜をペレット状にする(pellet)。細胞膜を、およそ5mgのタンパク質/mlに対し、1mMのDTTを含む10mMのHepes、7.4及び10%のグリセロール中に再懸濁する。細胞膜(2−10μgのタンパク質/ウェル)を、室温で60分間、アッセイ緩衝液(50mMのHepes、10mMのMnCl、1mMのEDTA、プラス又はマイナス0.2%のヒト血清アルブミン、pH7.4)中で1nMの[H]PGD及び試験化合物と共に、96−ウェルプレート内でインキュベートする。反応を、Whatman GF/Cガラス繊維フィルタプレートを通した急速濾過法によって終了する。フィルタプレートを室温で30分間、0.33%のポリエチレンイミン(polythylenimine)に予め浸し、その後、回収する前に洗浄緩衝液(Wash Buffer)(50mMのHepes、0.5MのNaCl、pH7.4)内で洗浄した。回収後、フィルタプレートを1mlの冷たい洗浄緩衝液で3回洗浄し、その後乾燥した。シンチラント(Scintillant)をその後プレートに加え、フィルター上に保持された放射活性をPackard TopCount(Perkin Elmer)で測定する。特異的な結合を、10μMのPGDの存在下における、非特異的な結合を引いた合計の放射活性結合として決定する。IC50を、薬物滴定曲線のGraphPadプリズム分析を使用して測定した。
【0215】
(実施例6:DP結合アッセイ)
化合物がヒトDP受容体に結合する能力を、DP選択的合成リガンド[H]BWA868Cを使用する放射リガンド細胞膜結合アッセイを介して評価する。包装されたヒト血小板(Biological Specialty Corporation)を、6容量のHepes/HBSS緩衝液(ハンクス平衡塩溶液(HBSS)中10mMのHepes、1mMのDTT)内で再懸濁し、溶解し、75,000xgで遠心分離して、細胞膜をペレット状にした。細胞膜を、およそ12mgのタンパク質/mlまでHepes/HBSS緩衝液内で再懸濁した。細胞膜(20μgのタンパク質/ウェル)を、室温で60分間、アッセイ緩衝液(50mMのHepes、10mMのMnCl、1mMのEDTA、プラス又はマイナス0.2%のヒト血清アルブミン、pH7.4)中で2nMの[H]BWA868C及び試験化合物と共に、96−ウェルプレート内でインキュベートする。反応を、Whatman GF/Cガラス繊維フィルタプレートを通した急速濾過法によって終了する。フィルタプレートを室温で30分間、0.33%のポリエチレンイミン(polethylenimine)に予め浸し、その後、回収する前に洗浄緩衝液(50mMのHepes、0.5MのNaCl、pH7.4)内で洗浄した。回収後、フィルタプレートを1mlの冷たい洗浄緩衝液で3回洗浄し、その後乾燥した。シンチラントをその後プレートに加え、フィルター上に保持された放射活性をPackard TopCount(Perkin Elmer)で測定する。特異的な結合を、10μMのBW A868Cの存在下において、非特異的な結合を引いた合計の放射活性の結合として決定する。IC50を、薬物滴定曲線のGraphPadプリズム分析を使用して測定した。
【0216】
実施例5および実施例6において試験された化合物に関する代表的なデータを、以下の表に示す。
【0217】
(表1:代表的な生物学データ)
【0218】
【表1】

【0219】
(実施例7:ウサギ創傷治癒及び肥厚性瘢痕モデル)
麻酔後、耳の創傷を10の若い成体のメスのNew Zealandウサギに作り、動物1匹当たり合計8の創傷のため片耳1つ当たり4つの創傷を作る。創傷を7mmの生検パンチを使用して作り、創傷が軟骨を露出するように作った。解剖顕微鏡を、各々の創傷における表皮、真皮及び軟骨膜の完全な除去を確実にするために使用する。肥厚性瘢痕モデルに関しては、隆起性瘢痕を結果として生じるのは、軟骨膜層の除去及び欠陥の表皮再形成におけるその後の遅れである。各々の創傷は独立して治癒し、個別のサンプルと考える。
【0220】
2つの処置グループを、創傷治癒の初期段階及び後期段階を研究するために調べる。初期の処置グループ(n=15のウサギ、120の創傷)を、創傷後0、1、2、3、4、5、6および7日目に局所ビヒクル製剤を使用して、0.05−1.5重量%の局所製剤(溶液、クリーム、軟膏又はゲル)として処方される試験化合物又はプラセボで処置し、創傷後28日目で回収する。後期の処置グループ(n=15のウサギ、120の創傷)を、創傷後7、8、9、10、11、12、13および14日目に局所ビヒクル製剤を使用して、0.05−1.5重量%の局所製剤(溶液、クリーム、軟膏又はゲル)として処方される試験化合物又はプラセボで処置し、創傷後28日目で回収する。各々のグループにおける創傷の半分を、活性化合物で処置し、残りの半分をプラセボで処置する。各々の創傷を、滅菌包帯(Tegaderm;3M)で覆い、包帯を各々の処置後に毎日変え、必要に応じ、創傷が肉眼的検査にて再上皮化した状態で現れるまで行う。感染、乾燥又は壊死の証拠がある場合、創傷を分析から除外する。
【0221】
各々の研究の終わりに、創傷を、周囲の創傷を受けていない組織の5−mmのマージンを回収する。瘢痕を二等分し、各々の創傷の半分を4%の中性緩衝ホルムアルデヒド(neutral−buffered formaldehyde)内で固定し、脱水し、パラフィンに埋め込み、4−μmの切片に切断し、マッソントリクロム(Masson’s trichrome)又はシラスレッド(sirrus red)で染色する。各々の創傷の他の半分を液体窒素中で冷凍保存し(flash frozen)、RNA抽出のため貯蔵する。
【0222】
(組織学分析)
光顕微鏡検査法を各々の組織の切片及び創傷治癒の程度を調べるために使用し、瘢痕肥大を盲検方法においてメモリ付のレンズレチクルで測定する。創傷治癒のパラメータ:関連のある測定は、肉芽組織の内殖量及び高さ、創傷の上皮化、及び創傷閉鎖である。各々のパラメータを2度評価し、結果を平均化する。
【0223】
瘢痕肥大のパラメータ:瘢痕隆起インデックス(scar elevation index)を、「Lu et al, J. Am. Coll. Surg., 2005, 201, p391-397」に記載のとおりに測定する。値を盲検方法で2度測定し、結果を平均化した。
【0224】
(実施例8:経皮投与後の急性の刺激性及び皮膚浸透に関して試験するためのラット擦過皮膚(abraded skin)モデル)
オスのSprague Dawleyラット(1つのグループ当たりn=3)の背中を擦過し(abraded)、体表面積のおよそ20%を露出する。削られた皮膚を穏やかに磨耗し、その後75%のプロピレングリコール、15%のトランスクトール、10%の水を含む製剤における試験化合物の10mg/mLの溶液の2mLを磨耗した皮膚に適用する。投与の部位を24時間塞ぎ、その後、皮膚から余分な材料(もしあれば)を浄化する。血漿サンプルを、2、4、24及び72時間で各々のラットから取り出す。
【0225】
紅斑の視覚分析、浮腫又は他の皮膚の発見物を、その後24、48及び72時間で投薬する前に記録する。スコアリングはDraizeプロトコルに従う。0のDraizeスコアは、製剤の刺激性を示さない。化合物の血漿レベルを24時間で記録する。
【0226】
(実施例9:ムチンレベルでのDPアンタゴニストの効果)
BALB/cマウスをグループに分け、24時間(0日目)ケージ内に慣れさせた。対照グループを空気中に暴露し、試験グループを8日間(1日目から8日目まで)、1日当たり7つのフィルター無しのタバコから煙を出すために暴露した。マウスをグループに分け、1日目に化合物の投与を始め、13日目まで投与する。14日目に、気管支肺胞洗浄液(BALF)を、細胞、サイトカイン、ケモキネス(例えば、KC、MIP−2、IL−6)、ムチン、及び/又はタンパク質の流入に関して試験する。肺の組織学的検査も調べる。1つのグループは、DP受容体アンタゴニスト5−{2−[(N−ベンジルオキシカルボニル−N−エチル−アミノ)メチル]−4−トリフルオロメチル−フェニル}−ピリジン−3−イル)−酢酸(化合物1;10mg/kg、1日4回(qd))での処置を受け、第2のグループは、FLAPインヒビター化合物H(3−(3−(tert−ブチルチオ)−1−(4−(6−メトキシピリジン−3−イル)ベンジル)−5−((5−メチルピリジン−2−イル)メトキシ)−1H−インドール−2−イル)−2,2−ジメチルプロパノン酸)(30mg/kg、1日2回(b.i.d.))で処置を受け;及び第3のグループは、DP受容体アンタゴニスト化合物1(10mg/kg、1日4回)及びFLAPインヒビター化合物H(30mg/kg、1日2回)の組み合わせで処置を受けた。
【0227】
図1は、BALF中に存在する総細胞、好中球及びリンパ球(lymhocyte)の数に対する、DP受容体拮抗作用とFLAPインヒビターの効果を示す。図2は、BALFのムチンの存在に対するDP受容体アンタゴニストとFLAPインヒビターの組み合わせの効果を示す。マウスの亜慢性の煙モデルにおいて、BALF中のムチン分泌に対するDP受容体アンタゴニスト化合物とFLAPインヒビター化合物の組み合わせの効果は付加的であり、即ち、化合物1と化合物Hの組み合わせは、各々の化合物単独以上にBALF中のムチンの量を減らした。1つの態様において、皮膚へのDP受容体アンタゴニストの局所投与の効果は、それ単独又はFLAP阻害化合物と組み合わせても、BALF中で観察されるような皮膚組織において同様の効果(例えば、機構的に期待される)を有する。
【0228】
(実施例10:マウス皮膚感作モデル)
「Boehme et al, Internat. Immunol., 2009, 21(1), p1-17」に記載の手順を使用して、マウスに麻酔をかけ、背面の皮膚を削った。PBS又はPBS中の1%のオバルブミン(分画VI)溶液に浸したガーゼ(1X1cm)を、露出した肌表面に置く。ガーゼを、バイオ閉塞性(bioocclusive)包帯(例えば、IV3000 MPV 透明包帯)を使用する場所に保持し、3日後、ガーゼを4日間適所に維持された新しいガーゼパッチと取り替え、その結果、総感作期間は7日となる。マウスは2週間の間隔を有し、その後、7日のパッチプロトコルを第2の2週間の間隔で繰り返し、その後、第3の7日のパッチプロトコルを実行する。最後の3回目の感作後のその日(50日目)、マウスを犠牲にし、血清及びパッチを適応した皮膚を分析のために集めた。マウスに、第2及び第3の感作期間の間毎日、ビヒクル又はビヒクル中のDPアンタゴニスト化合物のいずれかを経口投薬する。パッチを適応した皮膚をmRNA、及びサイトカインとケモカインレベルに関し、組織学的検査によって調べた。
【0229】
(実施例11:イヌのアトピー性皮膚炎の処置に対するDP受容体アンタゴニスト化合物の効果)
「Nuttall et al, Vet Dermatol., 2009, 20(3), 191-198」に記載のプロトコルを修正して続けた。イヌのアトピー性皮膚炎(AD)程度及び重症度指数(CADESI−03)>又は=50であるイヌを、スプレーとしてビヒクル溶液又は薬液(n=15、各々のグループ)のいずれかを受けるために無作為に割り当てる。動物は、28日間1日に1回、10cm離れた距離から2回のスプレーを受ける。処置される領域は100cmである。CADESIスコア、そう痒症および所有者の満足度(5ポイントの尺度を使用して)は、28日目で評価される。血液学及び薬物の血漿濃度を、基線で、及び7日目、14日目、21日目及び28日目に測定する。
【0230】
(実施例12:アトピー性皮膚炎の処置に対するDP受容体アンタゴニスト化合物の効果)
これは、アトピー性皮膚炎を患う被験体の処置において局所的に適用されたDP受容体アンタゴニストの安全性、効果及び耐性を評価する、二重盲検、プラセボ対照の、無作為化された研究である。
【0231】
被験体は、インフォームフドコンセントの同意を読み署名することで、このプロトコルに進んで従わなければならない。除外基準は、急性の全身性の病気の診断;疑わしい皮膚のウイルス、菌又は細菌感染;重篤な肝臓病又は腎機能障害;前30日以内の全身処置及び前30日以内の局所処置を含む。妊娠中の又は授乳中の女性は除外され、出産の可能性のある女性は、文書化された陰性尿妊娠検査を行わなければならず、研究の期間中に医学的に証明された避妊の形態を実行しなければならない。
【0232】
7つの疾患の徴候の評価に基づく、臨床的に診断されたアトピー性皮膚炎を患う200人の患者を、プラセボグループと薬物により処置されたグループ(薬物療法に対し無作為化された5:3:プラセボ)へ任意に割り当てる。7つの疾患の徴候(浸潤、落屑、紅斑、苔癬化、小胞疹、丘疹及び擦過創)に、4ポイントの尺度:不在(0)、軽度(1)、中度(2)及び重度(3)を使用して、ランキングを各々与える。疾患の重症度を、7つの臨床的徴候に関する総スコアによって決定し、研究の登録に≧6のスコアを必要とする。薬物により処置されたグループは、臨床的に許容可能で安全な局所製剤(溶液、クリーム、軟膏又はゲル)において0.05〜1.5重量%の間の適切な濃度に処方された、DP受容体アンタゴニスト化合物の皮膚投与を受ける。プラセボグループは、活性薬剤を欠く同じ局所製剤を受ける。患者は、位置の基準、関与の程度及び徴候の重症度に基づいて体表面のおよそ15%をカバーする処置領域で14日間、毎日1回処置を受ける。処置を顔、手、鼠径部または腋窩では除外する。後に続く研究訪問を、3日、7日及び14日間予定する。
【0233】
(臨床評価)
7つの疾患の徴候(浸潤、落屑、紅斑、苔癬化、小胞疹、丘疹および擦過創)を、4ポイントの尺度を使用して、ランキングを各々与える。主な効果の評価は、3、7および14日目に測定された合計の重症度のスコアにおける基線からの変化に基づく。薬物療法の効果も、調査者が以下の尺度:除去された(cleared)(1)、大変良い(2)、良い(3)、まあ良い(4)、悪い(5)、効果無し(6)、悪化(7)を使用して、全体的な改善に基づいて14日目に評価する。患者はまた、適応の容易さ、香りの不足、及び皮膚の感覚に関する質問に答え、最後の訪問にて自己評価を提供する。患者と調査者はまた、大変良い(1)、良い(2)、まあ良い(3)、又は悪い(4)に基づいた効果の評価を個々に提供する。
【0234】
本明細書記載の実施例及び実施形態は、例示目的のためのものであり、当業者に提示される様々な変化又は修正が、本出願及び添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる。本明細書に使用されたセクションの表題は、組織的な目的だけのためであり、記載された主題を制限すると解釈されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DP受容体アンタゴニストと、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スティック、膜、パッチ、または、創傷被覆を提供するための少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む局所製剤であって、
前記局所製剤が哺乳動物の皮膚への投与に適していることを特徴とする局所製剤。
【請求項2】
DP受容体アンタゴニストは、式(I)の構造を有する化合物、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、または、それらのプロドラッグであり、
【化1】

ここで、Rは、H、ハロゲン、−CN、−OH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、または、C−Cヘテロアルキルであり、
は、H、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OR13、−SR12、−S(=O)R12、−S(=O)12、−NHS(=O)12、−C(=O)R12、−OC(=O)R12、−CO13、−OCO13、−CH(R13、−N(R13、−C(=O)N(R13、−OC(=O)N(R13、−NHC(=O)NH(R13)、−NHC(=O)R12、−NHC(=O)OR12、−C(OH)(R13、−C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−Cフルオロアルコキシ、C−Cアルコキシ、または、C−Cヘテロアルキルであって、
または、Rは、C−C10シクロアルキル、置換または非置換のC−C10ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のフェニル、置換または非置換のナフチル、置換または非置換の単環式ヘテロアリール、または、置換または非置換の二環式ヘテロアリールであり、Rが置換される場合、Rは1または2のR21基で置換され、
20は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−CHOC−Cアルキル、−CHO−(置換または非置換のフェニル)、−CH(CH)−O−(置換または非置換のフェニル)、−C(CH−O−(置換または非置換のフェニル)、−CHOCH−(置換または非置換のフェニル)、−OC−Cアルキル、−OCH−(置換または非置換のフェニル)、−OCH(CH)−(置換または非置換のフェニル)、−NR16−Cアルキル、−NR16−CH−(置換または非置換のフェニル)、あるいは、−NR16−CH(CH)−(置換または非置換のフェニル)であり、ここで、R20のフェニルが置換される場合、フェニルは1または2のR21基で置換され、
各々のR21は、ハロゲン、−OH、−OC−Cアルキル、C−Cアルキル、および、−CFから独立して選択され、
16は、HまたはC−Cアルキルであり、
11はC−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、または、C−Cシクロアルキルであり、
12は、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、または、C−Cフルオロアルキルであり、
各々のR13は、H、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、および、C−Cフルオロアルキルから独立して選択されることを特徴とする請求項1に記載の局所製剤。
【請求項3】
DP受容体アンタゴニストは、ラマトロバン、AMG009、AMG853、WO 09/085177の化合物14、AZD1981、AZD8075、AZD5985、ARRY−005、ARRY−006、ARRY−063、ODC9101(OC459)、OC499、OC1768、OC2125、OC2184、QAV680、MLN6095、ACT−129968、ADC3680、SAR398171、S555739、AP768、[2’−(3−ベンジル−1−エチル−ウレイドメチル)−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル]酢酸、{3−[2−tert−ブチルスルファニルメチル−4−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−フェノキシ]−4−メトキシ−フェニル}−酢酸、TM30642、TM30643、TM30089、TM27632、および、TM3170、{2’−[(N−シクロプロパンカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−6−メトキシ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル}−酢酸、[2’−[(N−シクロプロパンカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−4’−(6−エトキシル−ピリジン−3−イル)6−メトキシ−ビフェニル−3−イル]酢酸、(5−{2−[(N−ベンジルオキシカルボニル−N−エチル−アミノ)−メチル]−4−トリフルオロメチル−フェニル}−ピリジン−3−イル)−酢酸、または、{8−[(4−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−メチル−アミノ]−6,7,8,9−テトラヒドロ−ピリド[3,2−b]インドール−5−イル}−酢酸、または、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒和物、または、それらのプロドラッグであることを特徴とする請求項1に記載の局所製剤。
【請求項4】
局所製剤が、哺乳動物におけるプロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病の処置に使用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の局所製剤。
【請求項5】
プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は、瘢痕、熱傷、皮膚ムチン沈着症、皮膚に影響を与える炎症性疾患または疾病、皮膚の増殖性疾患または疾病、炎症性疾患または疾病、肥満細胞媒介性の疾患または疾病、Th2リンパ球媒介性の疾患または疾病、感染症、または、それらの組み合わせであることを特徴とする請求項4に記載の局所製剤。
【請求項6】
プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、水疱性障害、膠原病、乾癬、乾癬の病変、接触性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、肥大性の瘢痕、ケロイド瘢痕形成、硬皮症、項部息肉性毛嚢炎、川崎病、シェーグレンラルソン症候群、グロヴァー病、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、第4度熱傷、皮膚ムチン沈着症、日光角化症、扁平上皮癌、または、黒色腫であることを特徴とする請求項4に記載の局所製剤。
【請求項7】
局所製剤が、皮膚炎、湿疹、乾癬、または、皮膚ムチン沈着症の処置に使用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の局所製剤。
【請求項8】
局所製剤が哺乳動物における皮膚のムチン濃度を低下させるために使用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の局所製剤。
【請求項9】
局所製剤が、哺乳動物におけるそう痒の処置または予防に、哺乳動物における発疹の処置または予防に、哺乳動物における皮膚の炎症の処置または予防に使用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の局所製剤。
【請求項10】
局所製剤が、哺乳動物の疱疹、赤み、腫脹、痂皮形成、落屑、または、それらの組み合わせの処置または予防に使用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の局所製剤。
【請求項11】
第2の治療剤をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の局所製剤。
【請求項12】
哺乳動物における皮膚の疾患または疾病の処置または予防でのDP受容体アンタゴニスト化合物の使用。
【請求項13】
DP受容体アンタゴニスト化合物は哺乳動物の皮膚への局所投与に適した形状であることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
皮膚の疾患または疾病が、プロスタグランジンD依存性またはプロスタグランジンD媒介性の皮膚疾患または疾病であることを特徴とする請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
皮膚の疾患または疾病が、瘢痕、熱傷、皮膚ムチン沈着症、皮膚に影響を与える炎症性疾患または疾病、皮膚の増殖性疾患または疾病、炎症性疾患または疾病、肥満細胞媒介性の疾患または疾病、Th2リンパ球媒介性の疾患または疾病、感染症、または、それらの組み合わせであることを特徴とする請求項12または13に記載の使用。
【請求項16】
皮膚の疾患または疾病が、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、水疱性障害、膠原病、乾癬、乾癬の病変、接触性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、肥大性の瘢痕、ケロイド瘢痕形成、硬皮症、項部息肉性毛嚢炎、川崎病、シェーグレンラルソン症候群、グロヴァー病、第1度熱傷、第2度熱傷、第3度熱傷、第4度熱傷、皮膚ムチン沈着症、日光角化症、扁平上皮癌、または、黒色腫であることを特徴とする請求項12または13に記載の使用。
【請求項17】
皮膚の疾患または疾病が、皮膚炎、湿疹、乾癬、または、皮膚ムチン沈着症であることを特徴とする請求項12または13に記載の使用。
【請求項18】
DP受容体アンタゴニスト化合物が、哺乳動物における皮膚のムチン濃度を低下させるために使用されることを特徴とする請求項12または13に記載の使用。
【請求項19】
DP受容体アンタゴニスト化合物が、哺乳動物におけるそう痒の処置または予防に、哺乳動物における発疹の処置または予防に、哺乳動物における皮膚の炎症の処置または予防に使用されることを特徴とする請求項12または13に記載の使用。
【請求項20】
DP受容体アンタゴニスト化合物が、哺乳動物の疱疹、赤み、腫脹、痂皮形成、落屑、または、それらの組み合わせの処置または予防に使用されることを特徴とする請求項12または13に記載の使用。
【請求項21】
第2の治療剤をさらに含むことを特徴とする請求項12乃至20のいずれか1つに記載の使用。
【請求項22】
第2の治療剤が、抗生物質、抗真菌薬、ステロイド抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、肥満細胞安定剤、シクロスポリン、または、ロイコトリエンモジュレータであることを特徴とする請求項21に記載の使用。
【請求項23】
第2の治療剤が、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)インヒビター、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)インヒビター、および、ロイコトリエン受容体アンタゴニストから選択されるロイコトリエンモジュレータであることを特徴とする請求項21に記載の使用。

【図2】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−500979(P2013−500979A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523016(P2012−523016)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/043599
【国際公開番号】WO2011/014588
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(510209672)パンミラ ファーマシューティカルズ,エルエルシー. (17)
【Fターム(参考)】