説明

FETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイス用の自己整列型導電線およびこれを形成する方法

【課題】下部メタライズ線(302)に導電的に結合された横方向の金属ストラップ(326)を含む、電界効果トランジスタ(FET)ベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)デバイス用の導電線構造を提供すること。
【解決手段】金属ストラップ(326)上に磁気トンネル接合(MTJ)スタック(316)が形成され、MTJスタック(316)を覆って金属シールド(324)が形成され、金属シールド(324)は金属ストラップ(326)に対して自己整列される。上部メタライズ線(332)は金属シールド(324)に導電的に結合され、金属シールド(324)は上部メタライズ線(332)の形成時にエッチ・ストップとして働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体デバイス処理に関し、とりわけ、FETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイス用の自己整列型導電線(self−aligned conductive lines)およびこれを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気(または磁気抵抗)ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)は、コンピューティング・デバイス用の標準メモリとして、潜在的に動的ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)に取って代わることが可能な不揮発性ランダム・アクセス・メモリ技術である。MRAMを不揮発性RAMとして使用すると、最終的にシステムがオンになると同時に活動状態になる「インスタント・オン(instant on)」システムが可能となり、その結果、たとえば従来のPCがシステムの起動時にハード・ディスク・ドライブから揮発性DRAMにブート・データを転送するために必要な時間が節約される。
【0003】
磁気メモリ素子(トンネリング磁気抵抗またはTMRデバイスとも呼ばれる)は、非磁性層(バリア)によって分離され磁気トンネル接合(MTJ)に配置構成された、強磁性層を有する構造を含む。デジタル情報はメモリ素子内に格納され、磁性層における磁化ベクトルの方向として表される。より具体的に言えば、一方の磁性層(基準層とも呼ばれる)の磁気モーメントを固定またはピン固定し、他方の磁性層の磁気モーメントを基準層の固定磁化方向に対して同じ方向と反対の方向とで切り替えることができる。自由層の磁気モーメントの方向は「平行」および「逆平行」状態としても知られ、平行状態は自由層および基準層の同じ磁気整列のことであり、逆平行状態はそれらの間の相反する整列のことである。
【0004】
自由層の磁気状態(平行または逆平行)により、磁気メモリ素子は、トンネル接合バリアを横切って印加される電圧に応答して2つの異なる抵抗値を示す。したがって、TMRデバイスの特定の抵抗は自由層の磁化状態を反映し、磁化が平行の場合抵抗は「低く」、磁化が逆平行の場合は「高い」。したがって、抵抗の変化を検出することにより、MRAMデバイスは磁気メモリ素子に格納された情報を提供すること(すなわち読み取り動作)ができる。加えて、自由層を磁気的に平行または逆平行状態で整列させるために、双方向電流を特定方向に印加することによってMRAMセルが書き込まれる。
【0005】
たとえば実際のMRAMデバイスは、各セルが1水平面内の平行導電性ワード線と、別の水平面内の垂直に走る感知線との間の交差点に配置される、クロス・ポイント・セル(XPC)構成を有することが可能である。この特定の構成は、セルのレイアウトがデバイスの配列セル密度を上昇させる助けとなるという点で有利である。しかしながら、配列内の各セルがいくつかの平行なリーク経路を介して他方のセルに結合されることを考えると、クロス・ポイントMRAM配列の特定の動作に関連付けられた問題点の1つは特定セルの感知に関する。1つのクロス・ポイントで見られる抵抗は、他の行および列内のメモリ・セルの抵抗と平行してそのクロス・ポイントにあるメモリ・セルの抵抗に等しいため、正確な測定が困難な可能性がある。
【0006】
したがって、MRAMデバイスは電界効果トランジスタ(FET)ベース構成でも作成される。FETベース構成では、各MRAMセルに、MTJに加えてそれに関連するアクセス・トランジスタが含まれる。セルへのアクセス・トランジスタが非導電性状態で読み取られないように維持することによって、寄生(parasitic)デバイス電流がそれらの他のセルを通じて流れることがない。FETベース構成対XPCベース構成に伴うトレードオフは、アクセス・トランジスタおよび追加のメタライズ線(metallization line)の場所(location)に関連付けられたエリア・ペナルティ(area penalty)である。
【0007】
従来の方法で形成されたFETベースのMRAMデバイスでは、MTJは通常、MTJの底部から(バイア、メタライズ線、および接触面スタッドを介して)アクセスFETに横方向に接続される導電性金属ストラップを介して形成される。さらに、トレンチ・エッチング・ステップを使用してセルへの接続のために上部メタライズ層を形成することができるように、比較的厚い金属ハードマスクの層がMTJの頂部に形成される。金属ハードマスクが厚すぎる場合、上部メタライズ層用のトレンチを形成すると、(たとえば「マイクロトレンチング」などの現象を通じて)最終的に金属ストラップの露出となる可能性もある。次にこれがその後、形成された上部メタライズ金属フィルを金属ストラップと接触させ、それによってMTJを横切って短絡させ、メモリ素子を破壊させることになる。他方で、ハードマスクが厚すぎると上部メタライズ層とMTJとの間の距離が長くなり、それによって磁気メモリ素子の状態を切り替えるための磁場を生成するのに必要な電流レベルが上がることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
デバイスの基本規則が減少し、配線サイズが小さくなる傾向が依然として続いているため、上部メタライズ・レベルがデバイスの金属ストラップ部分と短絡するリスクを増すことなく、FETベースMRAMデバイスの上部メタライズ・レベルをMTJ素子に近づけられることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の従来技術の欠点および短所は、下部メタライズ線に導電的に結合された横方向金属ストラップを含む、電界効果トランジスタ(FET)ベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)デバイス用の自己整列型(self−aligned)の保護導電線構造によって、克服または軽減される。磁気トンネル接合(MTJ)スタックが金属ストラップ上に形成され、金属シールドがMTJスタックを覆って形成され、この金属シールドは金属ストラップに対して自己整列される。上部メタライズ線は金属シールドに導電的に結合され、金属シールドは上部メタライズ線の形成中にエッチング・ストップとして働く。
【0010】
例示的な図面を参照すると、いくつかの図面で同じ要素には同じ番号が付けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書では、磁気メモリ素子の底部に配置された導電性ストラップと共に自己整列型の金属シールドが形成される、FETベースの磁気メモリ・デバイスを形成する方法が開示される。ここでも、メモリ素子を素子の下に配設されたアクセス・トランジスタに結合するために金属ストラップが使用される。したがって金属シールドは、その後の処理ステップ、特に上部メタライズ・トレンチが磁気メモリ素子の頂部と接触するためにエッチングされるステップ中に、ストラップを保護する。こうした保護により、メモリ素子の短絡を防ぐとともに、上部メタライズ配線を頂部メモリ素子のより近くに形成できるという追加の特典が提供される。さらにその結果、メモリ素子を切り替えるのに必要な電流の量に関する要件が緩和される。
【0012】
第1に図1を参照すると、従来の方法で形成されたFETベースのMRAMデバイス100の断面図が示されている。より具体的に言えば、図1は、下部メタライズ・レベルと上部メタライズ・レベルとの間に配設されたFETベースのメモリ素子102の一部を示す。図示された例では、下部メタライズ・レベルはMRAMデバイス100の第1のメタライズ・レベル(M1)に対応し、上部メタライズ・レベルはMRAMデバイス100の第2のメタライズ・レベル(M2)に対応する。しかしながら当業者であれば、個々のメモリ素子がデバイス100の他の層の間(たとえばM2とM3の間)にも形成可能であることを理解されよう。
【0013】
図1に示されるように、メモリ素子102は、非磁性層(たとえば酸化物)を備えた下部磁性層104と、その上に形成された上部磁性層(まとめて層106として図示)とを有する、MTJスタックを含む。セル102はワード線108とビット線110との間の対応する交差部に配置されるが、XPC構成とは異なり、セル102の底部はワード線108とは電気的に直接接触していない。その代わりにセル102は金属ストラップ112の上に形成され、これがセル102と下部レベルのメタライズ線114とをスタッド116を介して相互接続する働きをする。次に線114は、関連する基板レベルからアクセス・トランジスタ(図示せず)への接触面スタッド118を介したセル102の接続を完了させる。
【0014】
上記で示したように、図1の従来型のFETベースのセル構成は、ビット線110とセル102の頂部層との間の相互接続として働く比較的厚い金属ハードマスク120(たとえばおよそ1700オングストローム(Å))を提供する。全体として122で示されるデバイス100の残りの部分は、レベル間を分離するための絶縁(たとえば誘電体)層を表す。この点で、以下でより明らかになるであろうが、図1に示されたデバイス100のM2レベル(すなわち、図の破線より上の部分)は例示の目的で90°回転されていることに留意されたい。当業者であれば、M1およびM2のメタライズ線は互いに直交しているため、M2のビット線110は実際には図1の頂部に沿って水平に配設されることになることを理解されよう。加えて図1には、下部メタライズ・レベルM1、上部メタライズ・レベルM2、および接続するバイア・スタッドV1の間の関係を示すために、デバイス100の周辺領域124も示されている。
【0015】
さらに上記で述べたように、既存の方法では、M2ビット線110を画定するために時間指定(timed)トレンチ・エッチが使用できるように、TJ素子の頂部に比較的厚い金属ハードマスク120が使用される。このエッチは、金属ハードマスク120に達した後、金属ストラップ112が露出する前に終了するように意図される。デバイスの小型化および省電力化への期待がますます高まるにつれて、配線サイズが短くなるのに応じて、対応するビット線とMTJスタックとの間の距離を短くする必要が生じる。しかしながら、不可避なエッチの不均一性およびマイクロトレンチング効果の結果として、金属ストラップとの短絡のリスクなしにM2レベルをMTJスタックの頂部に任意に近づけることはできない。マイクロトレンチング効果については、図2に示される。M2トレンチ形成のためのエッチングプロセス中に、その外縁部は縁部に沿ったチャージング効果により比較的大きなイオン・ボンバードを受ける。したがって、M2トレンチの外縁部126をさらにエッチングすると(ハードマスク120の外縁部を超えて延在する)、結果として不規則なトレンチ形状を生じさせ、外縁部でのM2と金属ストラップ112との間の隙間が少なくなる。したがって、ハードマスク120の厚みを大幅に減らすと、デバイスの短絡のリスクが増加する。
【0016】
したがって、本発明の一実施形態により、メモリ素子上に形成された追加の金属ハードマスクがメモリ素子の下の金属ストラップと同じ形状を有する、自己整列型導電線を有するFETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイスが開示される。これによって金属ハードマスクは、M2トレンチの形成がメモリ素子の頂部より下の深さに達し、金属ストラップと短絡するのを防ぐ、シールドとしての役割を果たす。したがって金属シールドは、かなり薄いMTJ金属ハードマスクを形成し、これに伴ってM2とMTJとの間の距離が短くなり、その結果、所与量のビット線電流に対してかなり強い磁場を生じさせることができる。加えてこのプロセスにより、薄いハードマスクが使用されることで、MTJハードマスク・エッチングに関して良好なパターン転送忠実度(pattern transfer fidelity)が可能となる。
【0017】
例示的な処理シーケンスが図3から図8に示される。簡略化するために、M1メタライズ・レベルより下のFETおよび他の関連するバイア/接続は省略されている。概して、図3に示された部分的に完成された構造にまでデバイスを形成する際の処理ステップは、従来の技法に従って実行することができる。特に、M1メタライズ・レベルで形成される線は、好ましくは二酸化ケイ素などの誘電体304内に画定された銅充填トレンチ302からなる。さらに、金属ダマスク模様付け(damascene)プロセスを介して、他の誘電体308内に金属ストラップ・バイア306が形成される。
【0018】
第1に、金属ストラップの形成で金属の下層310が使用される。次に、金属下層310の上に能動磁性スタック材料(集合的に312で示される)が、続いて導電性ハードマスク・キャップ層314が付着される。好ましい実施形態では、ストラップ金属下層およびハードマスク・キャップ層はタンタル(Ta)または窒化タンタル(TaN)ベースの材料である。しかしながら、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)などの他の同様の好適な材料も使用可能である。加えて、好ましくはハードマスク・キャップ層314の初期の厚さは約500Åに選択されるが、これは特定のメモリ素子設計の特定の必要性に応じて、約100Åから約1500Åの範囲内で調整することができる。既存のデバイス・プロセスは通常、非常に厚い金属ハードマスク・キャップ層(たとえば約1700Å)を利用することに留意されたい。
【0019】
本発明のプロセス・フローの例示的なプロセス・フロー実施形態は、図4に示された形で従来の処理から逸脱している。フォトレジスト(図示せず)(またはフォトレジスト・プラス好適なハードマスク)を使用して、ストラップ金属下層310を介してではなくキャップ層314および磁性スタック層312を介してエッチングすることにより、トンネル接合316が確定される。このようにしてこのフォトリソグラフィおよびエッチング・ステップは、関連するM1およびM2配線(すなわちワード線およびビット線)から磁場によって切り替えるのに好適な領域内にメモリ素子を画定する。本発明の実施形態は比較的薄い金属ハードマスク・キャップ層314を使用するため、メモリ素子画定エッチはさらに単純になり、それによってパターン転送における忠実度を上げることができる。磁性層312を介したエッチングの後、トンネル接合メモリ素子316を封入するために、誘電体膜318が付着される。
【0020】
誘電体膜318に対する誘電性材料の選択(たとえば、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、低誘電率材料など)に関して、誘電体が化学機械平坦化(CMP)またはエッチバックによる平坦化によるその後の研磨に好適である限り、かなりの柔軟性が企図される。したがって誘電性材料は、プロセスの適合性の問題とは対照的に、メモリ素子の性能を最適化するように選択することができる。誘電体付着後、CMPステップを使用し、(たとえば)ハードマスクの元の厚さ500のうちの約200Åのみを残してトンネル接合金属ハードマスク314の上の誘電体を研磨する。(異なる金属ハードマスク材料および厚さを使用する)代替の実施形態では、残す厚さはCMPの有効性に応じて変えることができる。しかしながら、金属ハードマスク材料および厚さの選択はプロセス・フローの成功に関して重要な問題ではなく、その後形成されるM2配線とメモリ素子との間に最終的に生じる間隔という点でデバイス性能に影響を与えるのみである。
【0021】
図5に示されるように、CMP研磨ステップに続いて金属「シールド」層320が付着され、さらにその後のシールド層320のパターン形成に任意の適切なハードマスク層322が使用される。好ましい実施形態では、シールド層320も厚さ約200ÅのTaまたはTaNである。しかしながら代替実施形態では、容易にエッチング可能でありながら、酸化ケイ素、窒化ケイ素、低誘電率材料などの誘電性材料をエッチングするように調節された環境にある場合は、好適なエッチ・ストップとしての役割も果たす限り、シールド材料に他の材料および厚さを利用することもできる。ここでも、M2配線とメモリ素子との間の距離に影響を与えることになるシールド層320の厚さを、最小限に維持できることが望ましい。図5にも示されるように、フォトレジストだけでは好ましくない場合、好適な厚さの誘電体膜322をシールド層320頂部のハードマスクとして使用することができる。
【0022】
次に図6を参照すると、シールドおよびマスク層を付着した後、結果として生じる金属シールド324が横方向の金属ストラップ326に重なるように維持する自己整列型様式(self−aligned fashion)で、シールド層材料320、中間誘電体318、およびストラップ金属下層材料310を介して金属ストラップの形状がパターン成形される。このパターン成形は、一般に反応性イオン・エッチングによって実施されるが、たとえば湿式化学エッチングまたはイオン・ミリングなどの他の技法によって実施することもできる。ストラップのパターン成形エッチング・ステップの後、トンネル接合メモリ素子に損傷を与えることなく、湿式化学エッチ・クリーニングまたは他の好適な乾式化学エッチ・クリーニングを実行することができる。メモリ素子はこの時点で完全に封入されるため、その後付着される層の接着性を向上させるために適用される場合のあるいかなる化学的クリーニングによっても、品質が低下することはない。
【0023】
図7に示されるように、必要であれば、シールド324の頂部を覆って(ならびにシールド324およびストラップ326の側面に沿って)封入(encapsulating)接着誘電体328の追加層が形成される。その後、上部メタライズ(M2)レベル誘電体330が付着され、これはたとえば窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、低誘電率材料など、あるいはこうした材料のうちの1つまたは複数を有する多層を含むことができる。M2レベル誘電体の付着に続き、その頂部表面をシールド324の頂部から好適な距離だけ下に平坦化するために、CMPステップが実行される。この距離は一般に、M2誘電体厚さおよびCMP研磨時間の初期の選択によって決定され、その結果、M2金属厚さが自動的に確定されることになる。
【0024】
最後に図8は、M2金属トレンチの形成およびフィル(すなわち、セル・ビット線の形成)を示す図であり、ビット線332は導電性シールド324を介してメモリ素子316の頂部と接触する。ここでも例示のために、M2トレンチは下部デバイス・レベルに対して90度回転して示されている。ビット線332とメモリ素子スタック316の頂部との間の距離は、スタック316上のTaNトンネル接合ハードマスク314の厚さ、およびシールド324の厚さによって画定されることを理解されよう。図示された実施形態では、ハードマスク314およびシールド324の合計厚さは約400から500Åであるため、ビット線332はメモリ素子316の比較的近くに配設され、それによってメモリ素子の低電流配線が容易になる。さらに、シールド324はM2トレンチに対するエッチ・トップとしての役割を果たすため、M2フィルの付着がストラップ326との接触によってメモリ素子スタック316を短絡させることはない。
【0025】
このようにして、保護上部シールド金属の使用により、エッチ・ストップを金属ストラップ326上に設定距離で首尾よく画定することで、誘電体330内でのM2トレンチのエッチングが容易になることを理解されよう。金属シールド材料、M2レベル誘電体、およびRIEプロセス・パラメータを適切に選択することで、M2トレンチ・エッチが薄いシールド金属上で鋭くストップするように、誘電体と金属シールドとの間の非常に高度な選択性が達成できる。その後M2トレンチに(たとえば、銅のダマスク模様付け技法(copper damascene technique)を介して)金属を充填することが可能であり、それによって図8に示されるような自己整列型構造が生じる。さらにこのプロセスは、磁気メモリ素子をエッチングする際に、より薄いマスク材料が使用できるという点でパターン転送忠実度を向上させる。パターン転送が向上すると結果としてメモリ素子配列の均一性が向上し、それによって生産性が向上し、より小型化することが可能となる。
【0026】
V1バイアの形成については例示的なプロセス・フローで説明していないが、これは当業者に知られた既存の技法を使用して容易に追加することができる。ここでも、M2トレンチ(および任意のV1バイア)内に金属を追加するのに先立ち、湿式または乾式の化学クリーニング・ステップを追加して、接触の信頼性および導電性を向上させることができる。シールド構造324はトンネル接合スタック316およびMTJエッチの際に形成される可能性のある何らかの側壁残余部を完全に覆うため、シールド構造324は、クリーニング・ステップ時の品質低下からトンネル接合スタック316を効果的に保護する。
【0027】
メモリ素子は、ケイ素表面に関してM1レベルとM2レベルとの間以外の場所に配置することも可能であることも理解されたい。したがって、「M1」および「M2」という用語を使用することは、メモリ素子をケイ素表面上の第1と第2の配線レベルの間の場所に限定することを意図するものではない。
【0028】
上記で開示された例示的な実施形態は磁気メモリ素子の短絡問題に関して提示されたものであるが、本明細書で説明した原理は、2、3の例を挙げると、ダイオード、強誘電性メモリ、およびオーボニクス(ovonics)などからの接触を必要とする他の半導体デバイスにも適用可能であるように企図されている。さらに例示的実施形態では、メモリ素子の直下にないバイアに接続するために水平に延在する横方向のメタル・ストラップについて説明しているが、上記のプロセス・フローは、バイアがメモリ素子の直下に含まれるデバイスにも適用可能である。
【0029】
以上、本発明について好ましい実施形態を参照しながら説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であり、その要素を等価物に置き換えることが可能であることを理解されよう。加えて、本発明に不可欠な範囲を逸脱することなくその教示に特定の状況または材料を適合させるために多くの修正も実行可能である。したがって本発明は、本発明を実施するために企図された最良の方法として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むものであることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の開示は、半導体デバイス処理の分野において、特に磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)などの半導体メモリ・デバイスの形成に対して、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の方法で形成されたFETベースのMRAMデバイスを示す断面図である。
【図2】図1のMRAMデバイスの上部メタライズ・レベル・トレンチの形成、特に「マイクロエッチング」現象を示した詳細図である。
【図3】自己整列型導電線を有するFETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイスを形成するための例示的なプロセスを示す図である。
【図4】自己整列型導電線を有するFETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイスを形成するための例示的なプロセスを示す図である。
【図5】自己整列型導電線を有するFETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイスを形成するための例示的なプロセスを示す図である。
【図6】自己整列型導電線を有するFETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイスを形成するための例示的なプロセスを示す図である。
【図7】自己整列型導電線を有するFETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイスを形成するための例示的なプロセスを示す図である。
【図8】自己整列型導電線を有するFETベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ・デバイスを形成するための例示的なプロセスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部メタライズ線に導電的に結合された横方向金属ストラップと、
前記金属ストラップ上に形成された磁気トンネル接合(MTJ)スタックと、
前記MTJスタックを覆って形成された金属シールドであって、前記金属シールドは前記金属ストラップに対して自己整列している金属シールドと、
前記金属シールドに導電的に結合された上部メタライズ線であって、前記金属シールドは前記上部メタライズ線の形成時にエッチ・ストップとして働く、上部メタライズ線と、
を有する、電界効果トランジスタ(FET)ベースの磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)デバイス用の導電線構造。
【請求項2】
前記MTJスタックが、
下部磁性層と上部磁性層との間に形成された非磁性層と、
前記上部磁性層上に形成された金属ハードマスク層と、
をさらに有し、
前記上部メタライズ線と前記上部磁性層との間の距離が、前記金属ハードマスク層および前記金属シールドの合計厚さによって確定される、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記金属ハードマスク層および前記金属シールドの前記合計厚さが、約400から約500オングストロームである、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記金属シールドが、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、プラチナ、および上記のうちの少なくとも1つを有する組み合わせ、のうちの1つを有する、請求項1に記載の構造。
【請求項5】
前記金属ハードマスク層および前記金属ストラップが、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、プラチナ、および上記のうちの少なくとも1つを有する組み合わせ、のうちの1つを有する、請求項2に記載の構造。
【請求項6】
前記下部メタライズ線がMRAMデバイスの第1のメタライズ・レベル(M1)で形成され、前記上部メタライズ線がMRAMデバイスの第2のメタライズ・レベル(M2)で形成される、請求項1に記載の構造。
【請求項7】
下部メタライズ・レベル(M1)で形成され、前記下部メタライズ線に隣接するワード線であって、前記ワード線は前記横方向の金属ストラップから電気的に絶縁され、前記ワード線は前記MTJスタックの下に配設される、ワード線をさらに有し、
前記上部メタライズ線は個々のMRAMセルのビット線を有し、前記セルは前記MTJスタックおよび前記ワード線も含む、
請求項1に記載の構造。
【請求項8】
金属下層を覆って磁性スタック層を形成するステップであって、前記金属下層は前記下部メタライズ線と導電的に接触する、形成するステップと、
前記磁性スタック層を覆って金属ハードマスク層を形成するステップと、
前記磁気トンネル接合(MTJ)スタックを形成するように、前記磁性スタック層および前記金属ハードマスク層をパターン成形するステップと、
前記MTJスタックを誘電性材料で封入するステップ、および前記誘電性材料を前記金属ハードマスクと平坦化するステップと、
前記誘電性材料および前記金属ハードマスクを覆って金属シールド層を形成するステップと、
前記金属ストラップと自己整列された前記金属シールドを形成するように、前記金属シールド層および前記金属下層をパターン成形するステップと、
前記金属シールド上に前記上部メタライズ線を形成するステップであって、前記金属シールドは前記上部メタライズ線の形成時にエッチ・ストップとして働く、形成するステップと、
を有する、請求項1の導電線構造を形成するための方法。
【請求項9】
前記金属ハードマスク層が、その上に金属シールド層を形成するのに先立って約200オングストロームの厚さに平坦化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記MTJスタックが、
下部磁性層と上部磁性層との間に形成された非磁性層と、
前記上部磁性層上に形成された前記金属ハードマスク層と、
をさらに有し、
前記上部メタライズ線と前記上部磁性層との間の距離が、前記金属ハードマスク層および前記金属シールドの合計厚さによって確定される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記金属ハードマスク層および前記金属シールドの前記合計厚さが、約400から約500オングストロームである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属ハードマスク層が、その平坦化に先立って約500オングストロームの初期厚さで付着される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属シールドが、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、プラチナ、および上記のうちの少なくとも1つを有する組み合わせ、のうちの1つを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記金属シールド層および前記金属下層の前記パターン成形ステップに続き、自己整列された前記金属シールドおよび前記金属ストラップを封入誘電体によって封入するステップと、
前記封入誘電体を覆って上部メタライズ・レベル誘電体を付着するステップと、
をさらに有する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記金属下層と下部メタライズ線との間の導電性接触が、金属ストラップ・バイアによって形成される、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−521629(P2007−521629A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504615(P2005−504615)
【出願日】平成15年6月24日(2003.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/019772
【国際公開番号】WO2005/010998
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】