説明

HCV阻害剤

本発明は、フラビウイルス科に属するウイルス(フラビウイルス、ペスチウイルス、およびへパシウイルスを包含する)の治療に有用な化合物に関する。本発明は、デング熱ウイルス、黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、およびHCVの治療または予防に有用な化合物を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗ウイルス剤として有用な化合物に関する。本発明は、フラビウイルス科に属するウイルス(フラビウイルス、ペスチウイルス、およびへパシウイルスを包含する)の治療に有用な化合物に関する。本発明は、デング熱ウイルス、黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、およびHCVの治療または予防に有用な化合物を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
HCVの感染は、全世界にわたりヒト肝疾患の主原因である。米国では、推定450万人のアメリカ人がHCVに慢性感染している。急性感染のわずか30%が症候性であるにすぎないが、感染者の85%超が慢性持続性感染を呈する。HCV感染の治療費は、1997年において米国では54.6億ドルであると推定されている。全世界で2億人を超える人々が慢性感染していると推定される。HCV感染は、すべての慢性肝疾患の40〜60%およびすべての肝移植の30%に関与する。米国において、すべての肝硬変、末期肝疾患、および肝癌の30%は、慢性HCV感染が原因である。CDCは、HCVが原因の死亡者数が2010年までには最小でも38,000/年に増加すると推定している。
【0003】
ウイルス表面抗原の多様性が大きく、複数のウイルス遺伝子型が存在し、かつ免疫の特異性が実証されているので、近い将来、奏効するワクチンが開発される可能性はないであろう。αインターフェロン(単独でまたはリバビリンと組み合わせて)は、慢性HCV感染の治療に供することが承認されているので、広く使用されてきた。しかしながら、この治療は、一般に、有害な副作用、すなわち、インターフェロンに起因するインフルエンザ様症状、白血球減少、血小板減少、鬱病、さらにはリバビリンにより引き起こされた貧血を伴う(Lindsay, K.L. (1997) Hepatology 26 (suppl 1): 71S-77S)。この療法は、他の5つの主要なHCV遺伝子型により引き起こされる感染と比較して、HCV遺伝子型1(先進市場においてすべてのHCV感染の約75%を構成する)により引き起こされる感染にそれほど有効でない状態が続いている。残念ながら、患者のわずか約50〜80%がこの治療に反応するにすぎず(血清HCV RNAレベルの減少および肝酵素の正常化により測定される)、治療された患者のうち、50〜70%は、治療中止の6か月以内に再発する。最近、ペグ化インターフェロンの導入により、初期反応率および持続反応率がいずれも実質的に改善され、Peg−IFNとリバビリンとの組合せ治療が、療法のゴールドスタンダードになっている。しかしながら、組合せ療法に伴って副作用を生じ、しかも遺伝子型1を有する患者の反応が損なわれることから、この疾患の管理改善の機運が高まっている。
【0004】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、1989年に分子クローニングにより最初に同定され(Choo, Q-L et al (1989) Science 244:359-362)、輸血後非A非B型肝炎(NANBH)の最も一般的な原因因子であることが今や広く認められている(Kuo, G et al (1989) Science 244:362-364)。そのゲノム構造および配列相同性に基づいて、このウイルスは、フラビウイルス科の新しい属に指定された。フラビウイルス科の他のメンバー、たとえば、フラビウイルス(たとえば、黄熱ウイルスおよびデング熱ウイルス1〜4型)やペスチウイルス(たとえば、ウシウイルス性下痢ウイルス、ボーダー病ウイルス、および古典的ブタ熱ウイルス)(Choo, Q-L et al (1989) Science 244:359-3; Miller, R.H. and R.H. Purcell (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2057-2061)のように、HCVは、正の極性の一本鎖RNA分子を含有するエンベロープウイルスである。HCVゲノムは、約9.6キロベース(kb)であり、内部リボソーム進入部位(IRES)として機能する約340塩基の長い高度保存非キャップ化5’非翻訳領域(NTR)を有する(Wang CY et al ’An RNA pseudoknot is an essential structural element of the internal ribosome entry site located within the hepatitis C virus 5’ noncoding region’ RNA- A Publication of the RNA Society. 1(5): 526-537, 1995 Jul.)。構造ウイルスタンパク質および非構造ウイルスタンパク質の両方を含む約3000アミノ酸のポリペプチドをコードする単一の長いオープンリーディングフレーム(ORF)をコードしてなる領域がこのエレメントに続く。
【0005】
細胞の細胞質内に進入すると、このRNAは、構造ウイルスタンパク質および非構造ウイルスタンパク質の両方を含む約3000アミノ酸のポリペプチドに直接翻訳される。この大きいポリペプチドは、続いて、宿主およびウイルスにコードされたプロテイナーゼを組み合わせることにより、個別の構造タンパク質および非構造タンパク質にプロセシングされる(Rice, C.M. (1996) in B.N. Fields, D.M.Knipe and P.M. Howley (eds) Virology 2nd Edition, p931-960; Raven Press, N.Y.)。長いORFの末端の終止コドンに続いて、ほぼ3つの領域、すなわち、種々の遺伝子型間で不十分に保存された約40塩基領域、可変長ポリ(U)/ポリピリミジントラクト、および「3’Xテール」とも呼ばれる高度保存98塩基エレメントよりなる3’NTRが存在する(Kolykhalov, A. et al (1996) J. Virology 70:3363-3371; Tanaka, T. et al (1995) Biochem Biophys. Res. Commun. 215:744-749; Tanaka, T. et al (1996) J. Virology 70:3307-3312; Yamada, N. et al (1996) Virology 223:255-261)。3’NTRは、チンパンジーにおいてHCV増殖に不可欠である安定な二次構造を形成すると予想され、ウイルスRNA複製の開始および調節の機能を担うと考えられる。
【発明の開示】
【0006】
以上を踏まえれば、HCVを阻害する能力に関して合成化合物または生物学的化合物を同定する必要性がかなり存在する。
【0007】
発明の概要
本発明は、式(I):
【化1】

〔式中、
nは、0、1、または2であり;tは、0または1であり;Xは、−NH−、−O−、−R10−、−OR10−、−R10O−、−R10OR10−、−NR10−、−R10N−、−R10NR10−、−R10S(O)−、または−R10S(O)10−であり;Yは、−C(O)−または−S(O)−であり;
各Rは、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、−NHR10Ay、Het、−NHHet、−NHR10Het、−OR、−OAy、−OHet、−R10OR、−NR、−NRAy、−R10NR、−R10NRAy、−R10C(O)R、−C(O)R、−CO、−R10CO、−C(O)NR、−C(O)Ay、−C(O)NRAy、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR、−C(S)NR、−R10C(S)NR、−R10NHC(NH)NR、−C(NH)NR、−R10C(NH)NR、−S(O)NR、−S(O)NRAy、−R10SONHCOR、−R10SONR、−R10SO、−S(O)、−S(O)Ay、シアノ、ニトロ、またはアジドよりなる群から選択され;
各Rは、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、−NHR10Ay、Het、−NHHet、−NHR10Het、−OR、−OAy、−OHet、−R10OR、−NR、−NRAy、−R10NR、−R10NRAy、−R10C(O)R、−C(O)R、−CO、−R10CO、−C(O)NR、−C(O)Ay、−C(O)NRAy、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR、−C(S)NR、−R10C(S)NR、−R10NHC(NH)NR、−C(NH)NR、−R10C(NH)NR、−S(O)NR、−S(O)NRAy、−R10SONHCOR、−R10SONR、−R10SO、−S(O)、−S(O)Ay、シアノ、ニトロ、またはアジドよりなる群から選択され;
各mは、独立して、0、1、または2であり;
各R10は、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、およびアルキニレンから選択され;
pおよびqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、または5から選択され;
およびRはそれぞれ、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、−R10OH、−R10(OR10、および−R10NRよりなる群から選択され;
wは、1〜10であり;
およびRはそれぞれ、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニルよりなる群から選択され;
Ayは、アリール基を表し;Hetは、5員もしくは6員のヘテロシクリル基またはヘテロアリール基を表し;環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり;ただし、A環がアリールであり、tが0であり、かつYがSOであるとき、pは0ではない〕
で示される化合物(その塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体を包含する)の投与を介してフラビウイルス科ウイルスの治療または予防を行う方法を包含する。
【0008】
好ましくは、フラビウイルス科ウイルスは、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである。より特定的には、ウイルスは、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、およびHCV症から選択されるヒト疾患に関連する。さらに、好ましくは、本方法は、HCV感染の治療または予防を目的とする。
【0009】
好ましくは、アルキルは、C〜Cアルキルであり、アルコキシは、C〜Cアルコキシであり、ハロアルキルは、C〜Cハロアルキルであり、アルキレンは、C〜Cアルキレンであり、そしてアルケニレンは、C〜Cアルケニレンである。
【0010】
一実施形態では、tは0であり、かつYは−C(O)−である。他の実施形態では、tは0であり、かつYは−S(O)−である。他の実施形態では、tは1であり、Yは−C(O)−であり、かつXは、−NH−、−O−、−R10−、または−OR10−である。他の実施形態では、tは1であり、Yは−S(O)−であり、かつXは、−NH−、−O−、−R10−、または−OR10−である。
【0011】
一実施形態では、nは1である。
【0012】
一実施形態では、pは1以上であり、かつRは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される。好ましくは、Rは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキルである。好ましくは、Rは、示されたN原子のパラ位に置換される。好ましくは、Rはハロゲンである。好ましくは、Rは、BrまたはClである。
【0013】
一実施形態では、qは1以上であり、かつRは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、Ay、Het、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される。好ましくは、Rは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、またはシアノから選択される。好ましくは、RおよびRはそれぞれ、C〜Cアルキルである。好ましくは、Rは、ハロゲン、アルキル、または−ORから選択される。好ましくは、ハロゲンは、フルオロまたはクロロであり、アルキルはメチルであり、かつ−ORはアルコキシである。
【0014】
一実施形態では、A環はアリールである。好ましくは、A環はフェニルである。好ましくは、qは1以上であり、かつRは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、Ay、Het、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される。より好ましくは、qは1以上であり、かつRは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、またはシアノから選択される。
【0015】
一実施形態では、A環はヘテロアリールである。好ましくは、ヘテロアリールはピリジルである。好ましくは、qは、0または1である。さらに、qが1であるとき、Rは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、Ay、Het、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される。より好ましくは、qが1であるとき、Rは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、またはシアノから選択される。
【0016】
一実施形態では、pは1であり、Rはハロゲンであり、nは1であり、Yは−C(O)−であり、tは0であり、環Aはヘテロアリールであり、かつqは0である。好ましくは、Rはクロロであり、かつ環Aはピリジルである。
【0017】
一実施形態では、本方法は、
【化2】

から選択される化合物(その塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体を包含する)の使用を包含する。
【0018】
本発明は、フラビウイルス科に属するウイルスの治療または予防に使用するための医薬の製造における式(I):
【化3】

〔式中、変数は、定義されるとおりである〕
で示される化合物の使用を包含する。
【0019】
好ましくは、ウイルスは、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである。さらに、好ましくは、疾患または病状は、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、またはHCV症である。さらにまた、好ましくは、病状または障害はHCV症である。
【0020】
本発明は、新規な化合物をも包含する。本発明の一態様は、以下から選択される化合物を含む。
【0021】
本発明の一態様は、
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ピラジンカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−メチル−2−ピリジンカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−5−イソオキサゾールカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フランカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3,5−ジメチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−フルオロ−2−ピリジンカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド;
N−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N’−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド;
メチル6−{[(6−クロロ−2、3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボキシレート;
6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボン酸;
1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメート;
−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,5−ピリジンジカルボキサミド;および
−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N−(2−{[2−({2−[(フェニルカルボニル)アミノ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチル)−2,5−ピリジンジカルボキサミド;
(それらの塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体を包含する)
のうちの1つ以上を含む。
【0022】
本発明の他の態様は、実施例のいずれか1つを参照して実質的に定義される上記の化合物を含む。
【0023】
本発明の他の態様は、本明細書に記載の化合物と製薬上許容される担体とを含む医薬組成物を含む。好ましくは、該化合物は、活性治療物質として使用されるものある。
【0024】
本発明の他の態様は、フラビウイルス科に属するウイルスにより引き起こされる疾患および病状の治療または予防に使用するための本明細書に記載の化合物を含む。好ましくは、ウイルスは、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである。好ましくは、疾患または病状は、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、またはHCV症である。より特定的には、病状または疾患はHCV症である。
【0025】
本発明の他の態様は、フラビウイルス科に属するウイルスの治療または予防に使用するための医薬の製造における本明細書に記載の化合物の使用を含む。好ましくは、ウイルスは、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである。好ましくは、疾患または病状は、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、またはHCV症である。より特定的には、疾患または病状はHCV症である。
【0026】
本発明の他の態様は、本明細書に記載の化合物の投与を含むフラビウイルス科に属するウイルスの治療または予防の方法を含む。好ましくは、ウイルスは、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである。好ましくは、ウイルスは、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、およびHCV症から選択されるヒト疾患に関連する。より特定的には、本方法は、HCV感染の治療または予防を目的とする。
【0027】
本明細書に記載されるように、pおよびqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、または5として定義される。当業者であればわかるであろうが、とくに、pおよび/またはqの値は、示された環上の置換可能な位置数を超えてはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
好ましい実施形態の詳細な説明
用語は、その一般に理解されている意味の範囲内で使用される。以下の定義は、定義された用語を明確にすることを意図したものであり、それに限定されるものではない。
【0029】
本明細書中で使用する場合、「アルキル」という用語は、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素(好ましくは1〜12個の炭素原子を有する)を意味する。本明細書中で使用される「アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、n−ペンチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書全体を通して使用されているように、原子(たとえば炭素原子)の好ましい個数は、たとえば、指定数の炭素原子を含有する本明細書中に定義されるアルキル基を意味する「C〜Cアルキル」という語句により表される。他の好ましい用語および範囲についても同様に、類似の語法が適用される。
【0031】
本明細書中で使用する場合、「アルケニル」という用語は、1つ以上の炭素炭素二重結合を含有する直鎖状もしくは分枝鎖状の脂肪族炭化水素を意味する。例としては、ビニル、アリルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書中で使用する場合、「アルキニル」という用語は、1つ以上の炭素炭素三重結合を含有する直鎖状もしくは分枝鎖状の脂肪族炭化水素を意味する。例としては、エチニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書中で使用する場合、「アルキレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の二価炭化水素基を意味する。本明細書中に定義されるアルキレン基は、場合により置換されていてもよい。本明細書中で使用される「アルキレン」の例としては、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書中で使用する場合、「アルケニレン」という用語は、場合により置換されていてもよい1つ以上の炭素炭素二重結合を含有する直鎖状もしくは分枝鎖状の二価炭化水素基(好ましくは1〜10個の炭素原子を有する)を意味する。例としては、ビニレン、アリレン、または2−プロペニレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書中で使用する場合、「アルキニレン」という用語は、場合により置換されていてもよい1つ以上の炭素炭素三重結合を含有する直鎖状もしくは分枝鎖状の二価炭化水素基(好ましくは1〜10個の炭素原子を有する)を意味する。例としては、エチニレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、場合により置換されていてもよい非芳香環式炭化水素環(場合によりアルキレン結合基を含んでいてもよく、それを介してシクロアルキルが結合されていてもよい)を意味する。例示的な「シクロアルキル」基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびそれらの置換体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、場合により置換されていてもよい縮合多環式炭化水素の飽和環・芳香環系、すなわち、最大数未満の非集積二重結合を有する多環式炭化水素、たとえば、飽和炭化水素環(たとえばシクロペンチル環)が芳香環(本明細書中の「アリール」環、たとえばベンゼン環)に縮合されてインダンなどのような基を形成している多環式炭化水素を包含する。
【0037】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルケニル」という用語は、1つ以上の炭素炭素二重結合を含有する場合により置換されていてもよい非芳香環式炭化水素環(場合によりアルキレン結合基を含んでいてもよく、それを介してシクロアルケニルが結合されていてもよい)を意味する。例示的な「シクロアルケニル」基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびそれらの置換体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルキレン」という用語は、二価の場合により置換されていてもよい非芳香環式炭化水素環を意味する。例示的な「シクロアルキレン」基としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルケニレン」という用語は、1つ以上の炭素炭素二重結合を含有する二価の場合により置換されていてもよい非芳香環式炭化水素環を意味する。例示的な「シクロアルケニレン」基としては、シクロプロペニレン、シクロブテニレン、シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン、シクロヘプテニレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」という用語は、1以上の不飽和度を含有しかつ1個以上のヘテロ原子をも含有する場合により置換されていてもよい単環式もしくは多環式の環系を意味する。好ましいヘテロ原子としては、N、O、および/またはS(N−オキシド、硫黄オキシド、および硫黄ジオキシドを包含する)が挙げられる。好ましくは、環は、三員〜十二員であり、完全飽和であるかまたは1以上の不飽和度を有する。そのような環は、場合により、1つ以上の他の「ヘテロ環式」環またはシクロアルキル環に縮合されていてもよい。「ヘテロ環式」基の例としては、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、およびテトラヒドロチオフェンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
本明細書中で使用する場合、「アリール」という用語は、場合により置換されていてもよいベンゼン環、または場合により置換されていてもよい縮合ベンゼン環系、たとえば、アントラセン環系、フェナントレン環系、もしくはナフタレン環系を意味する。「アリール」基の例としては、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、場合により置換されていてもよい単環式の五員〜七員芳香環を意味するか、またはそのような芳香環を2つ含む場合により置換されていてもよい縮合二環式芳香環系を意味する。これらのヘテロアリール環は、1個以上の窒素原子、硫黄原子、および/または酸素原子を含有し、この場合、N−オキシド、硫黄オキシド、および硫黄ジオキシドは、許容しうるヘテロ原子置換である。本明細書中で使用される「ヘテロアリール」基の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書中で使用する場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0044】
本明細書中で使用する場合、「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1個のハロゲンで置換された本明細書中に定義されるアルキル基を意味する。本発明に有用である分枝鎖状もしくは直鎖状の「ハロアルキル」基の例としては、1個以上のハロゲン(たとえば、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード)で独立して置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、およびt−ブチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。「ハロアルキル」という用語は、ペルフルオロアルキル基などのような置換基を包含すると解釈されるものとする。
【0045】
本明細書中で使用する場合、「アルコキシ」という用語とは、−OR基(ここで、Rは、先に定義したアルキルである)を意味する。
【0046】
本明細書中で使用する場合、「アルコキシカルボニル」という用語は、
【化4】

〔式中、Rは、本明細書中に定義されるアルキル基を表す〕
のような基を意味する。
【0047】
本明細書中で使用する場合、「アリールオキシカルボニル」という用語は、
【化5】

〔式中、Ayは、本明細書中に定義されるアリール基を表す〕
のような基を意味する。
【0048】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロアリールオキシカルボニル」という用語は、
【化6】

〔式中、Hetは、本明細書中に定義されるヘテロアリール基を表す〕
のような基を意味する。
【0049】
本明細書中で使用する場合、「ニトロ」という用語は、基−NOを意味する。
【0050】
本明細書中で使用する場合、「シアノ」という用語は、基−CNを意味する。
【0051】
本明細書中で使用する場合、「アジド」という用語は、基−Nを意味する。
【0052】
本明細書中で使用する場合、「アシル」という用語は、基RC(O)−(ここで、Rは、それぞれ本明細書中に定義されるアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである)を意味する。
【0053】
本明細書中で使用する場合、「オキソ」という用語は、基=Oを意味する。
【0054】
本明細書中で使用する場合、本明細書全体を通して、「場合により置換されていてもよい」という語句またはその変化形は、場合により存在していてもよい置換を意味し、1個以上の置換基を有する多重置換を包含する。この語句は、本明細書中に記載または特定的に図示される置換パターンの不明確さや重複と解釈されるべきものではない。そうではなく、当業者であればわかるであろうが、この語句は、添付の特許請求の範囲内に包含される自明な変更形態を提供することを包含する。
【0055】
例示的な場合により存在していてもよい置換基としては、アシル;アルキル;アルケニル;アルキニル;アルキルスルホニル;アルコキシ;アルコキシカルボニル;シアノ;ハロゲン;ハロアルキル;ヒドロキシ;ニトロ;アリール(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);ヘテロアリール(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);アリールスルホニル(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);ヘテロアリールスルホニル(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);アリールオキシ(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);ヘテロアリールオキシ(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);アリールオキシカルボニル(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);ヘテロアリールオキシカルボニル(アシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい);または−N(Rが挙げられる。ただし、Rは、存在するときはいずれも、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、もしくはヘテロアリールスルホニルから選択されるか(ただし、そのようなアリールもしくはヘテロアリールが存在するときは、それらはいずれも、1つ以上のアシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロで置換されていてもよい)、または2つのRは、連結されて環を形成してもよい(ただし、該環は、場合により追加のヘテロ原子を有していてもよく、場合により1以上の不飽和度を有していてもよく、かつ場合によりアシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホニル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、もしくはニトロでさらに置換されていてもよい)。
【0056】
式(I)で示される化合物は、2種以上の形態で結晶化可能であり(多形性として知られる特性)、そのような多形形態(「多形体」)は、式(I)の範囲内に包含される。多形性は、一般的には、温度、圧力、またはその両方の変化に対する応答として生じうる。多形性はまた、結晶化過程の変動から生じる可能性もある。多形体は、X線回折パターン、溶解度、および融点のような当技術分野で公知の種々の物理的特性により識別可能である。
【0057】
本明細書に記載の化合物のいくつかは、1個以上のキラル中心を含有するか、またはそれ以外に複数の立体異性体として存在しうる可能性がある。本発明の範囲には、立体異性体の混合物さらには精製されたエナンチオマーまたはエナンチオマー的/ジアステレオマー的に富化された混合物が包含される。本発明の範囲内には、式(I)で表される化合物の個々の異性体さらにはそれらの任意の完全平衡化混合物もしくは部分平衡化混合物もまた包含される。本発明はまた、1個以上のキラル中心が反転されている異性体との混合物としての上記の式で表される化合物の個々の異性体をも包含する。
【0058】
典型的には、本発明に係る塩は、製薬上許容される塩であるが、絶対にそうでなければならないわけではない。「製薬上許容される塩」という用語に包含される塩は、本発明の化合物の無毒の塩を意味する。本発明に係る化合物の塩は、酸付加塩を含みうる。代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、カルシウムエデテート塩、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、モノカリウムマレエート塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクトウロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド塩、トリメチルアンモニウム塩、および吉草酸塩が挙げられる。製薬上許容されない他の塩が本発明に係る化合物の調製に有用なこともあり、これらは、本発明のさらなる態様を形成するものとする。
【0059】
本明細書中で使用する場合、「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明では、式Iで示される化合物またはその塩もしくは生理学的機能性誘導体)と溶媒とにより形成される種々の化学量論組成の複合体を意味する。そのような溶媒は、本発明の目的では、溶質の生物学的活性を阻害しないものとする。好適な溶媒の非限定例としては、水、メタノール、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、使用される溶媒は、製薬上許容される溶媒である。好適な製薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、使用される溶媒は水である。
【0060】
本明細書中で使用する場合、「生理学的機能性誘導体」という用語は、哺乳動物に投与したときに本発明に係る化合物またはその活性代謝物を(直接的もしくは間接的に)提供しうる本発明に係る化合物の任意の製薬上許容される誘導体を意味する。そのような誘導体(たとえば、エステルおよびアミド)は、過度の実験を行うことなく当業者には明らかであろう。Burger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practice(生理学的機能性誘導体が教示される範囲内で、参照により本明細書に組み入れられるものとする)の教示を参照しうる。
【0061】
本明細書中で使用する場合、「有効量」という用語は、組織、系、動物、またはヒトに対して研究者や臨床医などが求めている生物学的または医学的な反応を誘発する薬剤または医薬剤の量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、そのような量を摂取していない対応する被験者と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは寛解の改善または疾患もしくは障害の進行速度の減少をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理機能を強化するのに有効な量をも包含する。治療に使用する場合、治療上有効な量の式(I)で示される化合物、さらにはその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体は、そのまま化学物質として投与可能である。このほかに、活性成分は、医薬組成物としても提供可能である。
【0062】
したがって、本発明はさらに、有効量の式(I)で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体と、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。式(I)で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体は、本明細書中に記載されるとおりである。担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤の他の成分と適合しかつ医薬組成物のレシピエントに有害でないという意味で許容しうるもでなければならない。
【0063】
本発明の他の態様によれば、式(I)で示される化合物またはその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体を、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、混合することを含む医薬製剤の調製方法もまた提供される。
【0064】
本発明に係る化合物の治療上有効な量は、いくつかの因子に依存するであろう。たとえば、レシピエントの種、年齢、および体重、治療を必要とする正確な病状およびその重症度、製剤の性質、ならびに投与経路はすべて、考慮すべき因子である。治療上有効な量は、最終的には、担当の医師または獣医師の自由裁量にゆだねることが望ましい。それとは関係なく、虚弱体質の問題を抱えているヒトを治療するための式(I)で示される化合物の有効量は、一般的には、1日あたり0.1〜100mg/kg(レシピエント(哺乳動物)の体重)の範囲内であることが望ましい。より一般的には、有効量は、1日間あたり1〜10mg/kg(体重)の範囲内であることが望ましい。したがって、70kgの成体哺乳動物の場合、1日あたりの実際量は、通常、70〜700mgであろう。この量は、1日1回の用量でまたは合計一日用量が同じになるように1日何回か(たとえば、2、3、4、5回、もしくはそれ以上)のサブ用量で、投与することが可能である。当該化合物の塩、溶媒和物、または生理学的機能性誘導体の有効量は、式(I)で示される化合物自体の有効量に対する比率として決定可能である。本明細書中で参照される他の病状を治療する場合にも、類似の投与量が適切であろう。
【0065】
医薬製剤は、ユニット用量あたり所定量の活性成分を含有するユニット製剤として提示しうる。そのようなユニットは、たとえば、治療対象の症状、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、および症状に応じて、0.5mg〜1gの式(I)で示される化合物を含有しうるが、ただし、これに限定されるものではない。好ましいユニット製剤は、先に本明細書中に列挙した1日の用量もしくはサブ用量または適切なその部分用量の活性成分を含有するものである。そのような医薬製剤は、製薬技術分野で周知の方法のいずれかにより調製可能である。
【0066】
医薬製剤は、経口(頬腔内もしくは舌下を包含する)経路、経直腸経路、経鼻経路、局所(頬腔内、舌下、もしくは経皮を包含する)経路、経膣経路、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、もしくは皮内を含む)経路などの任意の適切な経路による投与に適合化させることが可能である。そのような製剤は、製薬技術分野で公知の任意の方法により、たとえば、活性成分を担体または賦形剤と組み合わせることにより、調製可能である。一例として、ただし、本発明を限定しようとするものではないが、本発明に係る化合物が有用であると考えられる特定の病状および障害に関して、特定の経路が他の経路よりも好ましいであろう。
【0067】
経口投与に適合化される医薬製剤は、カプセル剤もしくは錠剤;粉末剤もしくは顆粒剤;溶液剤もしくは懸濁剤(それぞれ、水性もしくは非水性の液体を有する);可食性フォーム剤もしくはホイップ剤;または水中油型液状エマルジョン剤もしくは油中水型液状エマルジョン剤のような個別ユニットとして提供しうる。たとえば、錠剤またはカプセル剤の形態で経口投与に供する場合、活性薬剤成分を経口用の非毒性の製薬上許容される不活性担体(たとえば、エタノール、グリセロール、水など)と組み合わせることが可能である。一般的には、粉末剤は、本化合物を好適な微粉サイズに粉砕して適切な医薬担体(たとえば、デンプンやマンニトールなどの可食性炭水化物)と混合することにより調製される。風味剤、保存剤、分散剤、および着色剤を存在させることも可能である。
【0068】
カプセル剤は、粉末混合物、液体混合物、または懸濁混合物を調製してゼラチンまたはなんらかの他の適切なシェル材料でカプセル化することにより調製される。カプセル化の前に、流動促進剤および滑沢剤(たとえば、コロイドシリカ、タルク、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、または固体ポリエチレングリコール)を混合物に添加することが可能である。カプセルが摂取されたときの医薬の利用可能性を改善すべく、崩壊剤または可溶化剤(たとえば、寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウム)を添加することも可能である。さらに、所望または所要の場合、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に組み込むことも可能である。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖(たとえば、グルコースまたはβ−ラクトース)、コーン甘味料、天然および合成のガム(たとえば、アカシア、トラガカント、またはナトリウムアルギネート)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの製剤で有用な滑沢剤としては、たとえば、ナトリウムオレエート、ナトリウムステアレート、マグネシウムステアレート、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムアセテート、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
錠剤は、たとえば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラッグ化し、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤の形態にプレスすることにより、製剤化される。粉末混合物は、適切に細粒化された本化合物を以上に記載したような希釈剤または基剤と混合することにより調製可能である。任意成分としは、結合剤(たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、またはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(たとえば、パラフィン)、吸収促進剤(たとえば、第四級塩)、および/または吸収剤(たとえば、ベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウム)が挙げられる。粉末混合物は、シロップ、デンプン糊、アカシア粘液、またはセルロース系材料もしくは高分子材料の溶液のような結合剤と共にスクリーンに圧入貫通させることにより湿式顆粒化が可能である。顆粒化の代替手段として、粉末混合物を錠剤機に通して処理すると、その結果、顆粒に破壊される不完全に成形されたスラッグが得られる。錠剤成形ダイへの付着を回避するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加することにより、顆粒を滑沢化させることが可能である。次に、滑沢化混合物を錠剤の形態に圧縮する。本発明に係る化合物を自由流動性不活性担体と組み合わせて、顆粒化工程やスラッグ化工程に通すことなく錠剤の形態に直接圧縮することも可能である。シェラックのシーリングコート、糖質材料または高分子材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングよりなる透明または不透明な保護コーティングを提供することも可能である。異なるユニット用量を区別するために、これらのコーティングに色素を添加することが可能である。
【0070】
溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤のような経口流体剤は、所与の量が所定量の化合物を含有するように投与ユニット製剤として調製可能である。シロップ剤は、たとえば、好適に風味付けされた水溶液に本化合物を溶解させることにより調製可能であり、一方、エリキシル剤は、非毒性アルコール性媒体を用いて調製可能である。懸濁剤は、一般的には、非毒性媒体中に本化合物を分散させることにより製剤化可能である。可溶化剤および乳化剤(たとえば、エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル)、保存剤;風味添加剤(たとえばペパーミント油)、または天然甘味剤、サッカリン、もしくは他の人工甘味剤;などを添加することも可能である。
【0071】
適切であれば、経口投与に供される投与ユニット製剤をマイクロカプセル化することが可能である。放出を遅延または持続させるために、たとえば、微粒子状材料をポリマー、ワックスなどでコーティングするかまたはその中に埋め込むことにより、製剤を調製することも可能である。
【0072】
式(I)で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体は、小さいユニラメラ小胞、大きいユニラメラ小胞、およびマルチラメラ小胞のようなリポソーム送達システムの形態で投与することも可能である。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのようなさまざまなホスホリピドから形成可能である。
【0073】
式(I)で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体は、本化合物分子が結合される個別の担体としてモノクロナール抗体を用いることにより送達することも可能である。
【0074】
本化合物はまた、ターゲッティング可能な薬剤担体としての可溶性ポリマーと組み合わせることも可能である。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。さらに、本化合物は、薬剤の制御放出を達成するのに有用なクラスの生分解性ポリマー;たとえば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋型または両親媒性のブロックコポリマーに結合させることも可能である。
【0075】
経皮投与に適合化される医薬製剤は、長期間にわたりレシピエントの表皮と十分に接触した状態に保持されるように意図された個別の貼付剤として提供しうる。たとえば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)(そのような送達システムに関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に概説されているようなイオントホレシスによりパッチから送達することが可能である。
【0076】
局所投与に適合化される医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、粉末剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤、または油剤として製剤化可能である。
【0077】
眼または他の外部組織(たとえば、口および皮膚)の治療に供する場合、製剤は、局所用の軟膏剤またはクリーム剤として適用可能である。軟膏剤として製剤化する場合、活性成分は、パラフィン系軟膏基剤または水混和性軟膏基剤のいずれかと併用可能である。他の選択肢として、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を用いてクリーム剤として製剤化可能である。
【0078】
眼への局所投与に適合化される医薬製剤としては、活性成分が好適な担体とくに水性溶媒に溶解または懸濁される点眼剤が挙げられる。
【0079】
口内の局所投与に適合化される医薬製剤としては、ロゼンジ剤、香剤(pastilles)、および洗口剤が挙げられる。
【0080】
経鼻投与に適合化される医薬製剤としては、担体が固体である場合、たとえば20〜500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗末剤が挙げられる。粉末剤は、鼻呼吸する方法で、すなわち、鼻のすぐ近くに保持された粉末剤の容器から鼻道を介して迅速な吸入を行うことにより、投与される。経鼻スプレー剤または点鼻剤として投与に供される、担体が液体である好適な製剤としては、活性成分の水溶液剤または油溶液剤が挙げられる。
【0081】
吸入による投与に適合化される医薬製剤としては、種々のタイプの定量噴霧式加圧エアロゾルネブライザーまたはインサフレーターを利用することにより生成されうる微粉粒子のダスト剤またはミスト剤が挙げられる。
【0082】
経直腸投与に適合化される医薬製剤は、坐剤としてまたは浣腸剤として提供しうる。
【0083】
経膣投与に適合化される医薬製剤は、膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー製剤として提供可能である。
【0084】
非経口投与に適合化される医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および対象のレシピエントの血液と製剤が等張になるようにする溶質を含有しうる水性および非水性の無菌注射溶液剤;ならびに懸濁化剤および粘稠化剤を含みうる水性および非水性の無菌懸濁剤が挙げられる。製剤は、ユニット用量またはマルチ用量の容器(たとえば、密封されたアンプルおよびバイアル)に入れて提供可能であり、そして使用直前に無菌液体担体(たとえば注射用水)の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することが可能である。即時注射用の溶液剤および懸濁剤は、無菌の粉末剤、顆粒剤、および錠剤から調製可能である。
【0085】
先に特記した成分に加えて、製剤は、該当する製剤タイプを考慮して当技術分野で慣用される他の作用剤を含みうる。たとえば、経口投与に好適な製剤は、風味剤または着色剤を含みうる。
【0086】
本発明に係る化合物ならびにその塩、溶媒和物、およびその生理学的機能性誘導体は、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて利用可能である。式(I)で示される化合物および他の医薬活性剤は、一緒にまたは個別に投与可能であり、個別に投与する場合、投与は、同時にまたは任意の順序で逐次的に行われうる。式(I)で示される化合物および他の医薬活性剤の量ならびに投与の相対的タイミングは、所望の組合せ治療効果が達成されるように選択されるであろう。式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物、または生理学的機能性誘導体と、他の治療剤と、の組合せ投与は、(1)両化合物を含む単一の医薬組成物;または(2)それぞれが化合物の一方を含む個別の医薬組成物;の状態で併行して投与することにより組み合わされるものであってもよい。他の選択肢として、組合せは、一方の治療剤を最初に投与し他方を次に投与するかまたはその逆の順序で投与する逐次的な方法で個別に投与するものであってもよい。そのような逐次投与は、時間間隔が短かくてもよいし時間間隔が長くてもよい。
【0087】
本発明に係る化合物は、さまざまな障害および病状の治療に使用しうるので、本発明に係る化合物は、それらの障害または病状の治療または予防に有用なさまざまな他の好適な治療剤と組み合わせて使用することが可能である。治療は、ウイルス感染の性質およびタイプに依存するであろう。本発明は、さまざまな細胞傷害剤または抗ウイルス剤を含めて他の医薬療法と組み合わせることが可能である。たとえば、ただし、本発明を限定しようとするものではないが、本発明に係る化合物は、他の治療剤、たとえば、免疫療法剤(たとえばインターフェロン)、治療用ワクチン、抗繊維化剤、抗炎症剤(たとえばコルチコステロイドまたはNSAID)、気管支拡張剤(たとえば、β2アドレナリン作動性アゴニストおよびキサンチン類(たとえばテオフィリン))、粘液溶解剤、抗ムスカリン剤、抗ロイコトリエン剤、細胞接着の阻害剤(たとえばICAMアンタゴニスト)、抗酸化剤(たとえばN−アセチルシステイン)、サイトカインアゴニスト、サイトカインアンタゴニスト、肺表面活性剤、ならびに/または抗微生物剤および抗ウイルス剤(たとえばリバビリンおよびアマンチジン)と組み合わせることが可能である。本発明に係る組成物はまた、遺伝子置換療法と組み合わせて使用することが可能である。
【0088】
本発明に係る化合物は、周知の標準的合成方法を含めてさまざまな方法により製造可能である。例示的な一般的合成法を以下に明記し、次に、本発明に係る特定の化合物を実施例で調製する。
【0089】
以下に記載の実施例のいずれにおいても、所要により、合成化学の一般的原理に従って、感受性基または反応性基に対して保護基を利用する。保護基は、有機合成の標準的な方法に従って操作される(T. W. Green and P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons(保護基に関して、参照により組み入れられるものとする))。これらの基は、当業者に自明な方法を用いて、化合物合成の都合のよい段階で除去される。方法の選択ならびにそれらを実施するときの反応条件および順序は、式(I)で示される化合物の調製に矛盾しないものとする。
【0090】
当業者であれば、式(I)で示される化合物に立体中心が存在するかわかるであろう。したがって、本発明は、可能性のある立体異性体をすべて包含し、ラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマーをも包含する。化合物が単一のエナンチオマーであることが望まれる場合、立体特異的合成により、最終生成物もしくは任意の便利な中間体を分割することにより、または当技術分野で公知のキラルクロマトグラフィー法により、それを取得することが可能である。最終生成物、中間体、または出発物質の分割は、当技術分野で公知の任意の好適な方法により行うことが可能である。たとえば、Stereochemistry of Organic Compounds by E. L. Eliel, S. H. Wilen, and L. N. Mander (Wiley-Interscience, 1994)(立体化学に関して、参照により組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0091】
実験の部
略号:
これらのプロセス、スキーム、および実施例で用いられる記号および規約は、本明細書中で使用する場合、現代の科学文献、たとえば、The Journal of the American Chemical SocietyまたはThe Journal of Biological Chemistryで用いられているものと一致する。とくに、実施例中でおよび明細書全体にわたり、次の略号を用いることがある。
【0092】
g(グラム); mg(ミリグラム);
L(リットル); mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル); psi(ポンド毎平方インチ);
M(モル); mM(ミリモル);
Hz(ヘルツ); MHz(メガヘルツ);
mol(モル); mmol(ミリモル);
RT(室温); h(時間);
min(分); TLC(薄層クロマトグラフィー);
mp(融点); RP(逆相);
Tr(保持時間); TFA(トリフルオロ酢酸);
TEA(トリエチルアミン); THF(テトラヒドロフラン);
TFAA(無水トリフルオロ酢酸); CD3OD(重水素化メタノール);
CDCl3(重水素化クロロホルム); DMSO(ジメチルスルホキシド);
SiO2(シリカ); atm(気圧);
EtOAc(エチルアセテート); CHCl3(クロロホルム);
HCl(塩酸); Ac(アセチル);
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド); Me(メチル);
Cs2CO3(炭酸セシウム); EtOH(エタノール);
Et(エチル); tBu(tert−ブチル);
MeOH(メタノール)。
【0093】
とくに指示がないかぎり、温度はすべて、℃(摂氏度)単位で表される。反応はすべて、とくに記載がないかぎり、室温で行った。
【0094】
Varian VXR−300、Varian Unity−300、Varian Unity−400装置、またはGeneral Electric QE−300を用いて、H−NMRスペクトルを記録された。化学シフトは、百万分率(ppm,δ単位)で表される。結合定数は、ヘルツ(Hz)単位である。分裂パターンは、見掛けの多重度を示し、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、またはbr(広幅)として記されている。
【0095】
質量スペクトルは、大気圧化学イオン化(APCI)またはエレクトロスプレーイオン化(ESI)のいずれかを用いて、Micromass Ltd., Altricham, UK製のMicromass PlatformまたはZMD質量分析計で取得した。
【0096】
単離できないかまたはあまりにも不安定で完全な特性付けが行えない中間体の純度を確認するために、さらには反応の進行を追跡するために、分析用薄層クロマトグラフィーを使用した。
【0097】
化合物の絶対配置は、Ab Initio振動円二色性(VCD)分光法により帰属した。実験VCDスペクトルは、2000〜800cm−1で動作するBomem ChiralIRTM VCDスペクトロメーターを用いてCDCl中で取得した。モデルVCDスペクトルを計算するために、コンピュータープログラムのGaussian 98 Suiteを使用した。この実験スペクトルを(R)配置または(S)配置を有するモデル構造に対して計算されたVCDスペクトルと比較することにより、立体化学的帰属を行った。
【0098】
そのような分光法に関して、J.R. Chesseman, M.J. Frisch, F.J. Devlin and P.J. Stephens, Chem. Phys. Lett. 252 (1996) 211; P.J. Stephens and F.J. Devlin, Chirality 12 (2000) 172; および Gaussian 98, Revision A.11.4, M.J. Frisch et al., Gaussian, Inc., Pittsburgh PA, 2002が、参照により組み入れられるものとする。
【0099】
式(I)〔式中、変数は、先に定義したとおりであり、LVは、脱離基すなわちハロゲン(F、Cl、Br、I)である〕で示される化合物は、以下のスキーム1に概説される方法により適宜調製可能である。
【化7】

【0100】
一般的には、式(I)〔式中、LVは、先に定義した脱離基である(式および変数はすべて、先に定義したとおりである)〕で示される化合物の調製方法は、
a) 式(II)で示される化合物をエチルホルメートと反応させる工程と;
b) 式(III)で示される化合物を式(IV)で示されるジアゾ化合物と反応させる工程と;
c) 式(V)で示される化合物をインドール化して式(VI)で示される化合物を調製する工程と;
d) 式(VI)で示される化合物の還元的アミノ化を行って式(VII)で示される化合物を形成する工程と;
e) 式(VIII)で示される化合物との反応により化合物(VII)から式(I)で示される化合物を形成する工程;または他の選択肢として
f) 式(VII)で示される化合物と式(IX)で示される化合物との反応を介して式(I)で示される化合物〔式中、YはCOであり、XはNHである〕を形成する工程と;
を含む。
【0101】
より特定的には、式(VII)で示される化合物を式(VIII)で示される化合物と反応させることにより、式(I)〔式中、変数はすべて、先に定義したとおりである〕で示される化合物を調製することが可能である。
【0102】
【化8】

好適な溶媒中で、場合により塩基の存在下でかつ場合により加熱しながら、式(VIII)で示される化合物を式(VII)で示される化合物に添加することにより、反応を行うことが可能である。好適な溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。好適な塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。当業者であればわかるであろうが、式(VIII)で示される化合物は、市販品として入手可能であるか、または文献に記載の方法に従って調製可能である。
【0103】
【化9】

このほかに、当業者であればわかるであろうが、式(VII)で示されるアミンと式(X)で示される酸とをカップリングさせることにより、式(I)〔式中、Yは−C(O)−である〕で示される化合物を形成することも可能である。当業者に公知である任意の一連の標準的カップリング条件を、このカップリングに使用することが可能である。
【0104】
【化10】

他の選択肢として、好適な溶媒中で、場合により加熱しながら、式(VII)で示される化合物を式(IX)で示されるイソシアネート化合物で処理することにより、式(I)〔式中、Yは−CO−であり、Xは−NH−である〕で示される化合物を形成することが可能である。好適な溶媒としては、テトラヒドロフランなどが挙げられる。式(IX)で示されるイソシアネートは、市販品として入手可能であるか、または当業者であればわかる文献に記載の方法により調製可能である。
【0105】
【化11】

(VII)式で示されるアミン化合物は、式(VI)で示される化合物から形成可能である。不活性溶媒中で、場合により加熱しながら、式(VI)で示される化合物をアンモニウム塩および還元剤で処理すると、式(VII)で示されるアミンが得られる。好適な溶媒としては、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な還元剤としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適なアンモニウム塩としては、アンモニウムアセテート、アンモニウムホルメートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
式(VI)で示される化合物をヒドロキシルアミンで処理し、続いて、好適な還元剤(たとえば、水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない)で還元することにより、式(VII)で示されるアミンを形成することも可能である。
【0107】
式(VI)で示される化合物は、文献(J. Med. Chem. 1973, 16, 425 and J. Org. Chem. 1968, 32, 1265)(そのような教示の範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載されるように調製される。
【0108】
式(I)で示される化合物は、当業者が理解している方法により、式(I)で示される他の化合物に変換することが可能である。
【実施例】
【0109】
実施例
実施例1: 6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オン
【化12】

a) シクロヘキサン−1,2−ジオン(4−クロロフェニル)ヒドラゾン
濃塩酸(5mL)中の4−クロロアニリン(5.6g、44mmol)の低温(0℃)溶液に水(10mL)に溶解させた亜硝酸ナトリウム(3.0g、44mmol)を20分間かけて少しずつ添加した。混合物を0℃で30分間攪拌した。別のフラスコ中において、メタノール(30mL)中の2−(ヒドロキシメチレン)シクロヘキサノン(Organic Syntheses, Collective Vol 4, 1963, pg. 536)(5.0g、40mmol)の低温溶液を、水(25mL)中のナトリウムアセテート(8.3g、101mmol)の溶液で処理した。混合物を0℃で20分間攪拌し、ジアゾニウム塩スラリーを添加した。合わせた混合物を10〜15分間攪拌し、濾過により捕集し、エタノールで摩砕し、濾過により捕集し、黄色の固体としてシクロヘキサン−1,2−ジオン(4−クロロフェニル)ヒドラゾン(4.6g、収率49%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ9.93 (s, 1H), 7.29 (m, 4H), 2.55 (m, 2H), 2.40 (m, 2H), 1.84-1.75 (m, 4H)。
【0110】
b) 6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オン
塩酸(2mL)および酢酸(8mL)中のシクロヘキサン−1,2−ジオン(4−クロロフェニル)ヒドラゾン(2.3g、9.7mmol)の溶液を120℃で20分間加熱した。混合物をわずかに冷却し、氷水で処理した。得られた沈殿を濾過により捕集し、褐色の固体として6−クロロ−2、3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オン(1.9g、収率88%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.78 (s, 1H), 7.75 (m, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.28 (dd, 1H), 2.92 (t, 2H), 2.55 (t, 2H), 2.13 (q, 2H); MS m/z 220 (M+1)。
【0111】
実施例2: 6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン
【化13】

メタノール(9mL)中の6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オン(500mg、2.3mmol)およびアンモニウムアセテート(1.8g、23mmol)の溶液にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(720mg、11.5mmol)を添加した。60℃で15時間加熱した後、混合物を冷却し、pH=1になるまで濃塩酸で処理した。有機分を減圧下で除去し、得られた沈殿を濾過により捕集し、エチルアセテートおよびメタノールに溶解させ、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。相を分離し、有機相を濃縮し、明褐色の固体として6−クロロ−2、3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン(260mg、収率52%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.90 (s, 1H), 7.34 (m, 1H), 7.27 (d, 1H), 6.97 (dd, 1H), 3.90 (t, 1H), 2.54 (m, 2H), 2.04-1.89 (m, 2H), 1.66 (m, 1H), 1.50 (m, 1H); MS m/z 221 (M+1)。
【0112】
実施例3: 6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1オン
【化14】

実施例1に記載したのと同様な方法でブロモアニリンおよび2−(ヒドロキシメチレン)シクロヘキサノンから6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オンを調製し、褐色の固体を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.79 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 7.30, (d, 1H), 2.97 (t, 2H), 2.66 (t, 2H), 2.27 (quint, 2H); MS m/z 265 (M+1)。
【0113】
実施例4: 6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1アミン
【化15】

実施例2に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1アミンを調製し、固体を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.58 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.20 (m, 2H), 4.12 (t, 1H), 2.70 (t, 2H), 2.24 (m, 1H), 2.05 (m, 1H), 1.92 (m, 3H), 1.66 (m, 1H); MS m/z 266 (M+1)。
【0114】
実施例5: 6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オン
【化16】

実施例1に記載したのと同様な方法でp−トルイジンおよび2−(ヒドロキシメチレン)シクロヘキサノンから6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オンを調製し、黄褐色の固体を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.65 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 2.98 (t, 2H), 2.65 (t, 2H), 2.45 (s, 3H), 2.26 (quint, 2H); MS m/z 220 (M+1)。
【0115】
実施例6: 6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン
【化17】

本明細書に記載したのと同様な方法で6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンを調製し、固体を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.5 (s, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.11 (s, 1H), 6.81 (d,1H), 3.98 (t, 1H), 3.30 (s, 2H), 2.53 (t, 2H), 2.32 (s, 3H), 2.02 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.68 (m, 1H), 1.65 (m, 1H); MS m/z 201 (M+1)。
【0116】
実施例7: 2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オン
【化18】

実施例1に記載したのと同様な方法でアニリンおよび2−(ヒドロキシメチレン)シクロヘキサノンから2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オンを調製し、褐色の固体を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.6 (s, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.07 (t, 1H), 2.90 (t, 2H), 2.56 (t, 2H), 2.15 (quint, 2H); MS m/z 186 (M+1)。
【0117】
実施例8: 2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン塩酸塩
【化19】

エタノール(20mL)中の2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−オン(1.5g、8.10mmol)の溶液に、水(10mL)中のヒドロキシルアミン塩酸塩(1.13g、16.2mmol)の溶液および水(10mL)中のナトリウムアセテート(2.19g、26.7mmol)の溶液を添加した。反応混合物を還流状態で2時間加熱し、冷却し、そして濃縮した。残渣を水で希釈し、エチルアセテート(2×100mL)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、褐色の固体になるまで濃縮した。オキシムをTHF(80mL)に溶解し、水素化リチウムアルミニウム(THF中1.0M、24.3mL)を滴下した。反応系を還流状態で7時間加熱し、氷浴中で冷却した。泡立ちが停止するまで、メタノールを滴下した。混合物をNa/K酒石酸塩水溶液で希釈し、激しく15分間攪拌し、そしてエチルアセテート(2×100mL)で抽出した。抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、そして濃縮した。シリカ(2%〜5%メタノール/メチレンクロリドグラジエント)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより粗製のアミンを精製し、褐色の油として2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンを得た。油をジエチルエーテルで希釈し、HCl(ジエチルエーテル中1.0M)を添加した。得られた沈殿を濾過により捕集し、明褐色の固体として2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン塩酸塩(760mg、42%)を得た。1H-NMR (CD3OD): δ7.54 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.22 (t, 1H), 7.09 (t, 1H), 4.66 (t, 1H), 2.95-2.73 (m, 2H), 2.39-2.28 (m, 1H), 2.18-2.03 (m, 3H); MS m/z (M + 1) 170。
【0118】
実施例9: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−フェニルウレア
【化20】

ジクロロメタン(1mL)中の6−ブロモ2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン(50mg、0.19mmol)の溶液にフェニルイソシアネート(23L、0.21mmol)を添加した。混合物を室温で15時間攪拌し、得られた沈殿を濾過により捕集し、灰色の固体(収率62%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.01 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.45 (m, 2H), 7.33-7.23 (m, 4H), 7.17 (dd, 1H), 6.94 (m, 1H), 6.63 (d, 1H), 5.02 (m, 1H), 2.68 (m, 2H), 2.06 (m, 1H), 1.95-1.70 (m, 3H); MS m/z 384 (M-1)。
【0119】
実施例10: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−(4−メトキシフェニル)ウレア
【化21】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−メトキシフェニルイソシアネートからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−(4−メトキシフェニル)ウレアを調製し、灰色の固体(収率61%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.99 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.38-7.27 (m, 3H), 7.17 (dd, 1H), 6.87 (d, 2H), 6.52 (d, 1H), 5.01 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 2.67 (m, 2H), 2.04 (m, 1H), 1.94-1.76 (m, 3H); MS m/z 414 (M-1)。
【0120】
実施例11: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)ウレア
【化22】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−メトキシ−2−メチルイソシアネートからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−(4−メトキシ2−メチルフェニル)ウレアを調製し、暗褐色の固体(収率59%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.00 (s, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.32 (d, 1H), 7.17 (dd, 1H), 6.88 (d, 1H), 6.75 (m, 2H), 5.00 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 2.69 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.04 (m, 1H), 1.94-1.77 (m, 3H); MS m/z 430 (M+1)。
【0121】
実施例12: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−(3−クロロ4−メトキシフェニル)ウレア
【化23】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび3−クロロ−4−メトキシフェニルイソシアネートからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−(3−クロロ4−メトキシフェニル)ウレアを調製し、黄褐色の固体(収率42%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.98 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.73 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.25-7.14 (m, 2H), 7.08 (d, 1H), 6.63 (d, 1H), 5.01 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 2.65 (m, 2H), 2.04 (m, 1H), 1.94-1.76 (m, 3H); MS m/z 448 (M-1)。
【0122】
実施例13: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]ウレア
【化24】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−ジメチルアミノフェニルイソシアネートからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]ウレアを調製し、黄褐色の固体(収率40%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.99 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.33-7.23 (m, 3H), 7.17 (dd, 1H), 6.71 (d, 2H), 6.44 (d, 1H), 5.00 (m, 1H), 2.84 (s, 6H), 2.67 (m, 2H), 2.04 (m, 1H), 1.94-1.74 (m, 3H); MS m/z 427 (M-1)。
【0123】
実施例14A: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミド
【化25】

0℃のジクロロメタン(1mL)中の6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン(50mg、0.19mmol)およびベンゾイルクロリド(24L、0.21mmol)の溶液にジイソプロピルエチルアミン(66L、0.38mmol)を添加した。混合物を室温で15時間攪拌し、溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィー(0〜30%エチルアセテート−ヘキサン)により残渣を精製し、18mg(収率26%)の黄色の固体を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.97 (s, 1H), 7.78 (d, 2H), 7.61 (m, 1H), 7.52 (m, 1H), 7.44 (t, 2H), 7.23 (m, 1H), 7.17 (d, 1H), 6.42 (d, 1H), 5.34 (m, 1H), 2.72 (m, 2H), 2.32 (m, 1H), 2.02-1.93 (m, 3H); MS m/z 369 (M-1)。
【化26】

【0124】
実施例14B: N−[(1R)−6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ベンズアミド
【化27】

【0125】
実施例14C: N−[(1S)−6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ベンズアミド
HP1100ダイオードアレイ検出器を備えたBerger分析用SFCを用いて、N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミドを分離した。次の条件下で、すなわち、CO中30%MeOH、全流量2mL/分、2250psi、50℃、Diacel AD−Hカラム(Chiral Technologies)、4.6×250mm、5μmの条件下で、サンプルを230nmで監視し、N−[(1R)−6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ベンズアミド(実施例14B;保持時間=12.37分間)およびN−[(1S)−6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ベンズアミド(実施例14C;保持時間=16.11分間)を得た。VCD分光法によりキラリティーを帰属した。
【0126】
実施例15: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フェニルアセトアミド
【化28】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびフェニルアセチルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フェニルアセトアミドを調製し、白色の固体(収率86%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.88 (s, 1H), 7.57 (m, 1H), 7.37-7.27 (m, 3H), 7.27-7.20 (m, 3H), 7.15 (d, 1H), 5.74 (d, 1H), 5.08 (m, 1H), 3.61 (s, 2H), 2.62 (m, 2H), 2.13 (m, 1H), 1.81 (m, 2H), 1.67 (m, 1H); MS m/z 383 (M-1)。
【0127】
実施例16: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−フェニルプロパンアミド
【化29】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびヒドロシンナモイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−フェニルプロパンアミドを調製し、白色の固体(収率53%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.43 (s, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.28-7.21 (m, 5H), 7.20-7.15 (m, 2H), 5.51 (d, 1H), 5.05 (m, 1H), 3.00 (t, 2H), 2.62 (m, 2H), 2.58-2.43 (m, 2H), 2.12 (m, 1H), 1.80 (m, 2H), 1.67 (m, 1H); MS m/z 397 (M-1)。
【0128】
実施例17: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−フェニルプロプ−2−エンアミド
【化30】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびシンナモイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−フェニルプロプ−2−エンアミドを調製し、灰白色固体(収率35%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.98 (s, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.60 (m, 1H), 7.48 (m, 2H), 7.36 (m, 3H), 7.22 (dd, 1H), 7.17 (d, 1H), 6.41 (d, 1H), 5.98 (d, 1H), 5.25 (m, 1H), 2.68 (m, 2H), 2.26 (m, 1H), 1.99-1.84 (m, 3H); MS m/z 395 (M-1)。
【0129】
実施例18: ベンジル6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イルカルバメート
【化31】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびベンジルクロロホルメートからベンジル6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イルカルバメートを調製し、白色の固体(収率16%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.69 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.43-7.31 (m, 5H), 7.27-7.21 (m, 1H), 7.17 (d, 1H), 5.16 (q, 2H), 5.08 (m, 1H), 4.92 (m, 1H), 2.66 (m, 2H), 2.20 (m, 1H), 1.89 (m, 2H), 1.80 (m, 1H); MS m/z 400 (M+1)。
【0130】
実施例19: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,6−ジクロロベンズアミド
【化32】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび2,6−ジクロロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,6−ジクロロベンズアミドを調製し、白色の固体(収率25%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.80 (s, 1H), 9.18 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.52 (d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.43 (dd, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.19 (dd, 1H), 5.27 (m, 1H), 2.69 (m, 2H), 2.08-1.82 (m, 4H); MS m/z 437 (M-1)。
【0131】
実施例20: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−フルオロベンズアミド
【化33】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−フルオロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−フルオロベンズアミドを調製し、白色の固体(収率15%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.03 (s, 1H), 8.90 (d, 1H), 8.05 (m, 2H), 7.61 (d, 1H), 7.34 (d, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.17 (dd, 1H), 5.38 (m, 1H), 2.68 (m, 2H), 2.09 (m, 2H), 1.86 (m, 2H); MS m/z 387 (M-1)。
【0132】
実施例21: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−メトキシベンズアミド
【化34】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびp−アニソイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−メトキシベンズアミドを調製し、白色の固体(収率11%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.99 (s, 1H), 8.70 (d, 1H), 7.96 (d, 2H), 7.60 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.16 (dd, 1H), 7.02 (d, 2H), 5.38 (m, 1H), 2.67 (m, 2H), 2.08 (m, 2H), 1.87 (m, 2H); MS m/z 399 (M-1)。
【0133】
実施例22: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−ニトロベンズアミド
【化35】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−ニトロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−ニトロベンズアミドを調製し、橙色固体(収率32%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.11 (s, 1H), 9.24 (d, 1H), 8.36 (d, 2H), 8.19 (d, 2H), 7.62 (m, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.18 (dd, 1H), 5.41 (m, 1H), 2.69 (m, 2H), 2.10 (m, 2H), 1.89 (m, 2H); MS m/z 414 (M-1)。
【0134】
実施例23: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−クロロベンズアミド
【化36】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−クロロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−クロロベンズアミドを調製し、黄褐色の固体(収率69%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.89 (s, 1H), 7.71 (d, 2H), 7.60 (m, 1H), 7.40 (d, 2H), 7.23 (dd, 1H), 7.17 (dd, 1H), 6.36 (d, 1H), 5.30 (m, 1H), 2.69 (m, 2H), 2.29 (m, 1H), 1.96 (m, 3H); MS m/z 403 (M-1)。
【0135】
実施例24: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−メチルベンズアミド
【化37】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびp−トルイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−メチルベンズアミドを調製し、黄色の固体(収率62%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.97 (s, 1H), 7.67 (d, 2H), 7.61 (m, 1H), 7.25-7.20 (m, 3H), 7.17 (d, 1H), 6.36 (d, 1H), 5.30 (m, 1H), 2.71 (m, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.30 (m, 1H), 1.97 (m, 3H); MS m/z 383 (M-1)。
【0136】
実施例25: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化38】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−トリフルオロメチルベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを調製し、黄褐色の固体(収率63%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.83 (s, 1H), 7.89 (d, 2H), 7.70 (d, 2H), 7.61 (m, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.18 (d, 1H), 6.42 (d, 1H), 5.33 (m, 1H), 2.72 (m, 2H), 2.31 (m, 1H), 1.97 (m, 3H); MS m/z 437 (M-1)。
【0137】
実施例26: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−フルオロベンズアミド
【化39】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび3−フルオロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−フルオロベンズアミドを調製し、白色の固体(収率24%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.04 (s, 1H), 8.97 (d, 1H), 7.85-7.81 (m, 1H), 7.81-7.74 (m, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.59-7.50 (m, 1H), 7.46-7.37 (m, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.17 (dd, 1H), 5.38 (m, 1H), 2.68 (m, 2H), 2.08 (m, 2H), 1.87 (m, 2H); MS m/z 387 (M-1)。
【0138】
実施例27: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メトキシベンズアミド
【化40】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびm−アニソイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メトキシベンズアミドを調製し、橙色の固体(収率49%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.92 (s, 1H), 7.61 (m, 1H), 7.38-7.30 (m, 2H), 7.30-7.25 (m, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.17 (d, 1H), 7.08-7.02 (m, 1H), 6.39 (d, 1H), 5.32 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 2.72 (m, 2H), 2.31 (m, 1H), 1.97 (m, 3H); MS m/z 399 (M-1)。
【0139】
実施例28: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メチルベンズアミド
【化41】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびm−トルオイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メチルベンズアミドを調製し、黄褐色の固体(収率51%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.95 (s, 1H), 7.63-7.59 (m, 2H), 7.55 (m, 1H), 7.33 (m, 2H), 7.23 (m, 1H), 7.17 (d, 1H), 6.38 (d, 1H), 5.32 (m, 1H), 2.72 (m, 2H), 2.40 (s, 3H), 2.31 (m, 1H), 1.98 (m, 3H); MS m/z 383 (M-1)。
【0140】
実施例29: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フルオロベンズアミド
【化42】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび2−フルオロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フルオロベンズアミドを調製し、黄色の固体(収率57%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.91 (s, 1H), 8.15 (m, 1H), 7.62 (m, 1H), 7.50 (m, 1H), 7.30 (m, 1H), 7.23 (dd, 1H), 7.18 (d, 1H), 7.12 (m, 2H), 5.35 (m, 1H), 2.72 (m, 2H), 2.31 (m, 1H), 1.98 (m, 3H); MS m/z 387 (M-1)。
【0141】
実施例30: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−メトキシベンズアミド
【化43】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびo−アニソイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−メトキシベンズアミドを調製し、淡橙色の固体(収率67%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ9.06 (s, 1H), 8.31 (d, 1H), 8.25 (dd, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.46 (m, 1H), 7.20 (dd, 1H), 7.17 (dd, 1H), 7.10 (m, 1H), 6.96 (d, 1H), 5.31 (m, 1H), 3.91 (s, 3H), 2.72 (m, 2H), 2.31 (m, 1H), 1.98 (m, 3H); MS m/z 399 (M-1)。
【0142】
実施例31: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ニトロベンズアミド
【化44】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび2−ニトロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ニトロベンズアミドを調製し、橙色の固体(収率39%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.73 (s, 1H), 8.08 (m, 1H), 7.68 (m, 1H), 7.60 (m, 2H), 7.54 (m, 1H), 7.29-7.21 (m, 2H), 6.15 (d, 1H), 5.42 (m, 1H), 2.69 (m, 2H), 2.33 (m, 1H), 1.96 (m, 3H); MS m/z 414 (M-1)。
【0143】
実施例32: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−クロロベンズアミド
【化45】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび2−クロロベンゾイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−クロロベンズアミドを調製し、白色の固体(収率30%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.98 (s, 1H), 8.89 (d, 1H), 7.54 (dd, 2H), 7.48-7.44 (m, 1H), 7.42 (dd, 1H), 7.40-7.34 (m, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.13 (dd, 1H), 5.26 (m, 1H), 2.60 (m, 2H), 2.08-1.91 (m, 2H), 1.90-1.73 (m, 2H); MS m/z 403 (M-1)。
【0144】
実施例33: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−メチルベンズアミド
【化46】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびo−トルオイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−メチルベンズアミドを調製し、灰色の固体(収率19%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.01 (s, 1H), 8.70 (d, 1H), 7.59 (m, 1H), 7.47 (d, 1H), 7.33 (m, 2H), 7.26 (m, 2H), 7.17 (dd, 1H), 5.34 (m, 1H), 2.65 (m, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.07 (m, 2H), 1.87 (m, 2H); MS m/z 383 (M-1)。
【0145】
実施例34: N−(2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミド
【化47】

先に記載したのと同様な方法で2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン塩酸塩およびベンゾイルクロリドからN−(2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミドを調製し、淡黄色の固体(収率73%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.79 (s, 1H), 7.81-7.75 (m, 2H), 7.54-7.48 (m, 2H), 7.47-7.40 (m, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.17 (m, 1H), 7.09 (d, 1H), 6.42 (d, 1H), 5.37 (m, 1H), 2.78 (m, 2H), 2.32 (m, 1H), 2.03-1.91 (m, 3H); MS m/z 289 (M-1)。
【0146】
実施例35: N−(6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミド
【化48】

先に記載したのと同様な方法で6−メチル2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびベンゾイルクロリドからN−(6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミドを調製し、淡黄色の固体(収率81%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.63 (s, 1H), 7.81-7.75 (m, 2H), 7.54-7.48 (m, 1H), 7.47-7.40 (m, 2H), 7.28 (m, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.99 (dd, 1H), 6.40 (d, 1H), 5.36 (m, 1H), 2.75 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 2.31 (m, 1H), 2.02-1.91 (m, 3H); MS m/z 303 (M-1)。
【0147】
実施例36A: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミド
【化49】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2、3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびベンゾイルクロリドからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミドを調製し、淡黄色の固体(収率81%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ9.02 (s, 1H), 7.79-7.73 (m, 2H), 7.54-7.48 (m, 1H), 7.46-7.39 (m, 3H), 7.21 (d, 1H), 7.10 (dd, 1H), 6.45 (d, 1H), 5.32 (m, 1H), 2.72 (m, 2H), 2.30 (m, 1H), 2.01-1.90 (m, 3H); MS m/z 323 (M-1)。
【0148】
実施例36B: N−[(1R)−6−クロロ−2、3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ベンズアミド
【化50】

実施例36C: N−[(1S)−6−クロロ−2、3,4,9テトラヒドロ−1Hカルバゾール1−イル]ベンズアミド
【化51】

HP1100ダイオードアレイ検出器を備えたBerger分析用SFCを用いて、N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミドを分離した。次の条件下で、すなわち、CO中30%MeOH、全流量2mL/分、1500psi、40℃、Diacel AS−Hカラム(Chiral Technologies)、4.6×250mm、5μmの条件下で、サンプルを230nmで監視し、R−N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミド(保持時間=5.08分間)およびS−N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ベンズアミド(保持時間=7.45分間)を得た。VCD分光法によりキラリティーを帰属した。
【0149】
実施例37: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド
【化52】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびp−トルエンスルホニルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミドを調製し、黄褐色の固体(収率60%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.63 (s, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.57 (m, 1H), 7.37 (d, 2H), 7.25 (m, 1H), 7.18 (d, 1H), 4.74 (d, 1H), 4.46 (m, 1H), 2.61 (m, 2H), 2.48 (s, 3H), 2.00-1.82 (m, 2H), 1.80-1.60 (m, 2H); MS m/z 419 (M-1)。
【0150】
実施例38: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド
【化53】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびピコリノイルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミドを調製し、灰白色の固体(収率64%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.96 (s, 1H), 8.52 (m, 1H), 8.37 (d, 1H), 8.21 (m, 1H), 7.86 (m, 1H), 7.61 (m, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.22 (dd, 1H), 7.17 (d, 1H), 5.31 (m, 1H), 2.72 (m, 2H), 2.31 (m, 1H), 1.98 (m, 3H); MS m/z 370 (M-1)。
【0151】
実施例39: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ニコチンアミド
【化54】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびニコチニルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール1−イル)ニコチンアミドを調製し、白色の固体(収率54%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.02 (s, 1H), 9.08-9.00 (m, 2H), 8.69 (dd, 1H), 8.25 (m, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.53-7.43 (m, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.13 (dd, 1H), 5.35 (m, 1H), 2.64 (m, 2H), 2.04 (m, 2H), 1.84 (m, 2H); MS m/z 370 (M-1)。
【0152】
実施例40: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−クロロニコチンアミド
【化55】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび6−クロロニコチニルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−クロロニコチンアミドを調製し、白色の固体(収率48%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.04 (s, 1H), 9.12 (d, 1H), 8.88 (dd, 1H), 8.30 (dd, 1H), 7.64 (dd, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.24 (m, 1H), 7.13 (dd, 1H), 5.34 (m, 1H), 2.63 (m, 2H), 2.04 (m, 2H), 1.82 (m, 2H); MS m/z 404 (M-1)。
【0153】
実施例41: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)イソニコチンアミド
【化56】

先に記載したのと同様な方法で6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびイソニコチニルクロリドからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)イソニコチンアミドを調製し、白色の固体(収率30%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.04 (s, 1H), 9.13 (d, 1H), 8.71 (m, 2H), 7.82 (m, 2H), 7.57 (d, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.13 (dd, 1H), 5.35 (m, 1H), 2.64 (m, 2H), 2.04 (m, 2H), 1.84 (m, 2H); MS m/z 370 (M-1)。
【0154】
実施例42: N−フェニル−N’−(2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ウレア
【化57】

先に記載したのと同様な方法で2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン塩酸塩およびフェニルイソシアネートからN−フェニル−N’−(2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)ウレアを調製し、白色の固体(収率60%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.72 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.43-7.33 (m, 3H), 7.29-7.17 (m, 3H), 7.00 (m, 1H), 6.94-6.83 (m, 2H), 6.52 (d, 1H), 4.95 (m, 1H), 2.62 (m, 2H), 1.99 (m, 1H), 1.88-1.70 (m, 3H); MS m/z 304 (M-1)。
【0155】
実施例43: N−(6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−フェニルウレア
【化58】

先に記載したのと同様な方法で6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびフェニルイソシアネートからN−(6−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−フェニルウレアを調製し、白色の固体(収率82%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.57 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.42-7.34 (m, 2H), 7.20 (m, 2H), 7.17-7.11 (m, 2H), 6.87 (m, 1H), 6.82 (m, 1H), 6.51 (d, 1H), 4.92 (m, 1H), 2.58 (m, 2H), 2.32 (s, 3H), 1.97 (m, 1H), 1.87-1.70 (m, 3H); MS m/z 318 (M-1)。
【0156】
実施例44: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−フェニルウレア
【化59】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびフェニルイソシアネートからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N’−フェニルウレアを調製し、白色の固体(収率74%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.93 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.41-7.36 (m, 3H), 7.28 (d, 1H), 7.21 (m, 2H), 7.00 (dd, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.57 (d, 1H), 4.95 (m, 1H), 2.59 (m, 2H), 1.98 (m, 1H), 1.88-1.70 (m, 3H); MS m/z 338 (M-1)。
【0157】
実施例45A: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ピリジンカルボキサミド
【化60】

実施例14に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびピコリノイルクロリドからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ピリジンカルボキサミドを調製し、灰白色の固体(収率62%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.93 (s, 1H), 8.78 (d, 1H), 8.61 (m, 1H), 8.12 (m, 1H), 8.02 (m, 1H), 7.61 (m, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.26 (d, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.34 (m, 1H), 2.64 (m, 2H), 2.00 (m, 3H), 1.82 (m, 1H); MS m/z 348 (M+Na)。
【0158】
実施例45B: N−[(1R)−6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ピリジン−2−カルボキサミド
【化61】

HP1100ダイオードアレイ検出器を備えたBerger分析用SFCを用いて、N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ピリジンカルボキサミドを分離した。次の条件下で、すなわち、CO中30%MeOH、全流量2mL/分、1500psi、40℃、Diacel AS−Hカラム(Chiral Technologies)、4.6×250mm、5μmの条件下で、サンプルを230nmで監視し、N−[(1R)−6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ピリジン−2−カルボキサミド(保持時間=4.55分間)を得た;[α]D = +86; VCDおよびX線結晶解析によりR配置を確認した; 1H−NMRおよびMSは、ラセミ化合物と同一であった; 13C-NMR (DMSO-d6): δ164.1, 150.6, 149.1, 138.4, 136.4, 135.3, 128.5, 127.2, 123.7, 122.7, 121.5, 117.8, 113.4, 111.2, 44.0, 30.8, 21.5, 21.0; HR MS m/z 348.0876 (M+Na); C18H16ClN3O・1/4 H2Oに対して計算された理論値: C, 65.45; H, 5.04; N, 12.72. 観測値: C, 65.67; H, 4.91; N, 12.66. LC-UV純度検査: Waters 626ポンピングシステム、Waters 996ダイオードアレイ検出器、およびGilson 233XLオートサンプラーよりなるWaters分析用LC−UV; カラム: Waters Symmetry Shield RP18、3.9×150mm、5m; 50〜90%アセトニトリル−水(0.1%ギ酸); 合計ランタイム15分間; 流量を1.5mL/分で一定に保持; 保持時間=7.41分間。
【0159】
実施例45C: N−[(1S)−6−クロロ−2、3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ピリジン−2−カルボキサミド
【化62】

HP1100ダイオードアレイ検出器を備えたBerger分析用SFCを用いて、N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ピリジンカルボキサミドを分離した。次の条件下で、すなわち、CO中30%MeOH、全流量2mL/分、1500psi、40℃、Diacel AS−Hカラム(Chiral Technologies)、4.6×250mm、5μmの条件下で、サンプルを230nmで監視し、N−[(1S)−6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]ピリジン−2−カルボキサミド(保持時間=6.77分間;[α]=−86)を得た;1H−NMRおよびMSは、ラセミ化合物と同一であった。VCDにより立体化学を帰属した。
【0160】
実施例46A: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フルオロベンズアミド
【化63】

実施例14に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび2−フルオロベンゾイルクロリドからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フルオロベンズアミドを調製し、白色の固体(収率63%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.93 (s, 1H), 8.14 (m, 1H), 7.49 (m, 1H), 7.45 (m, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.10 (m, 3H), 5.35 (m, 1H), 2.72 (m, 2H), 2.31 (m, 1H), 1.98 (m, 3H); MS m/z 343 (M+1)。
【0161】
実施例46B: N−[(1R)−6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]−2−フルオロベンズアミド
【化64】

【0162】
実施例45C: N−[(1S)−6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]−2−フルオロベンズアミド
【化65】

HP1100ダイオードアレイ検出器を備えたBerger分析用SFCを用いて、N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フルオロベンズアミドを分離した。次の条件下で、すなわち、CO中30%MeOH、全流量2mL/分、2250psi、40℃、Diacel OJ−Hカラム(Chiral Technologies)、4.6×250mm、5μmの条件下で、サンプルを254nmで監視し、N−[(1S)−6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]−2−フルオロベンズアミド(保持時間=6.29分間)およびN−[(1R)−6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル]−2−フルオロベンズアミド(保持時間=9.32分間)を得た。
【0163】
実施例47: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキサミド
【化66】

ジクロロメタン(3.6mL)中の1−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(45mg、0.36mmol)の溶液に、6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン(95mg、0.43mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(83mg、0.43mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(54mg、0.40mmol)を添加した。5分後、トリエチルアミン(100L、0.72mmol)を添加し、反応系を室温で15時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水、1N塩酸、1N水酸化ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、そして濃縮した。分取クロマトグラフィー(10〜90%アセトニトリル水(0.1%トリフルオロ酢酸))により残渣を精製し、次に、エチルアセテートで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、43mg(収率36%)の白色の固体を得た。1H-NMR (CDCl3): δ9.21 (s, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.20 (d, 1H), 7.07 (dd, 1H), 6.60 (d, 1H), 5.25 (m, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.67 (m, 2H), 2.21 (m, 1H), 1.90 (m, 3H); MS m/z 327 (M-1)。
【0164】
実施例48: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド
【化67】

先に記載したのと同様な方法で2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸および6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドを調製し、白色の固体(収率30%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.69 (s, 1H), 7.45 (m, 2H), 7.22 (d, 1H), 7.10 (dd, 1H), 6.48 (d, 1H), 6.26 (d, 1H), 5.28 (m, 1H), 4.22 (s, 3H), 2.71 (m, 2H), 2.28 (m, 1H), 1.95 (m, 3H); MS m/z 327 (M-1)。
【0165】
実施例49: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1Hカルバゾール1−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド
【化68】

先に記載したのと同様な方法で1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸および6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドを調製し、灰白色の固体(収率20%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ8.95 (s, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.37 (m, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.07 (dd, 1H), 6.80 (m, 1H), 5.30 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 2.71 (m, 2H), 2.27 (m, 1H), 1.97 (m, 3H); MS m/z 327 (M-1)。
【0166】
実施例50: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド
【化69】

先に記載したのと同様な方法で4−イミダゾールカルボン酸および6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボキサミドを調製し、白色の固体(収率4%)を得た。1H-NMR (CDCl3): δ9.19 (s, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.17 (d, 1H), 7.05 (dd, 1H), 6.60 (d, 1H), 5.25 (m, 1H), 2.62 (m, 2H), 2.21 (m, 1H), 1.91 (m, 3H); MS m/z 313 (M-1)。
【0167】
実施例51: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド
【化70】

先に記載したのと同様な方法で1H−ピラゾール−3−カルボン酸および6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドを調製し、白色の固体(収率16%)を得た。1H-NMR (CD3OD-d4): δ7.70 (d, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.22 (d, 1H), 6.99 (dd, 1H), 6.81 (d, 1H), 5.37 (m, 1H), 2.70 (m, 2H), 2.19 (m, 1H), 2.00 (m, 3H); MS m/z 313 (M-1)。
【0168】
実施例52: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,6−ジフルオロベンズアミド
【化71】

先に記載したのと同様な方法で2,6−ジフルオロベンゾイルクロリドおよび6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1アミンからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,6−ジフルオロベンズアミドを調製し、白色の固体を得た: 1H-NMR (CDCl3): δ8.80 (s,1H), 7.60 (m, 1H), 7.35 (m, 1H), 7.23 (overlapped dd and d, 2H), 6.94 (t, 2H), 6.37 (d, 1H), 5.35 (m, 1H), 2.7 (m, 2H), 2.26 (m, 1H), 1.95 (m, 3H); MS m/z 404 (M-1)。
【0169】
実施例53: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミド
【化72】

先に記載したのと同様な方法で2−フルオロベンゼンスルホニルクロリドおよび6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミドを調製し、白色の固体を得た: 1H-NMR (CDCl3): δ8.56 (s, 1H), 8.00 (m, 1H), 7.65 (m, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.2-7.4 (m, 3H), 5.04 (d, 1H), 4.60 (m, 1H), 2.65 (m, 2H), 1.6-2.1 (m, 4H); MS m/z 421 (M-1)。
【0170】
実施例54: N−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミド
【化73】

先に記載したのと同様な方法で2,6−ジフルオロベンゼンスルホニルクロリドおよび6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1アミンからN−(6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドを調製し、白色の固体を得た: 1H-NMR (CDCl3): δ8.60 (s, 1H), 7.48-7.58 (m, 2H), 7.24 (dd, 1H), 7.18 (d, 1H), 7.04 (t, 1H), 5.31 (m, 1H), 4.73 (m, 1H), 2.62 (m, 2H), 1.7-2.1 (m, 4H)。
【0171】
実施例55: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ピラジンカルボキサミド
【化74】

2−ピペラジンカルボン酸(0.096g、0.77mmol)をジクロロメタン(2mL)およびオキサリルクロリド(0.19mL、0.27g、2.19mmol)中に懸濁させ、そしてDMF(3滴)を添加した。混合物を周囲温度で1時間攪拌し、次に、エバポレートした。残渣をジクロロメタン(3mL)/DMF(1mL)中に懸濁させ、6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン(0.15g、0.68mmol)を添加し、続いてトリエチルアミン(0.2mL、0.147g、1.46mmol)を添加した。周囲温度で18時間攪拌した後、水を添加し、そして混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を水および飽和NaHCO/水で洗浄し、脱水し(NaSO)、濃縮し、クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、0〜50%)で分離し、淡黄色の固体(0.092g、収率41%)として標記化合物を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.91 (s, 1H), 9.24 (s, 1H), 9.02 (d, 1H), 8.85 (d, 1H), 8.7 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.25 (d, 1H), 6.99 (d, 1H), 5.4 (m, 1H), 2.61 (m, 2H), 2.0 (m, 3H), 1.8 (m, 1H); MS m/z 327 (M+1)。
【0172】
実施例56: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−メチル−2−ピリジンカルボキサミド
【化75】

窒素雰囲気下でジクロロメタン(2mL)/DMF(2mL)中の6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン(0.146g、0.66mmol)および6−メチルピコリン酸(0.1、0.73mmol)の溶液にEDCI(0.28g、1.46mmol)およびDMAP(0.005g)を添加した。周囲温度で18時間後、水を添加し、そして混合物をEtOAcで抽出した。有機相を水、飽和NaHCO/水で洗浄し、脱水し(NaSO)、エバポレートし、クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン0〜40%)で分離し、灰白色の固体(0.086g、40%生成する)として標記化合物を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.96 (s, 1H), 8.66 (d, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.85 (m, 1H), 7.46 (m, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.0 (dd, 1H), 5.33 (quartet, 1H), 2.64 (m, 2H), 2.5 (s 3H), 2.03 (m, 1H), 7.98 (m, 2H), 1.8 (m, 1H); MS m/z 340 (M+1)。
【0173】
実施例57: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−5−イソオキサゾールカルボキサミド
【化76】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびイソオキサゾール−5−カルボニルクロリドからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−5−イソオキサゾールカルボキサミドを調製し、淡色の緑色固体(収率45%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ11.03 (s, 1H), 9.3 (d, 1H), 8.75 (s, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.0 (d, 1H), 5.3 (quartet, 1H), 2.63 (m, 2H), 2.05 (m, 2H), 1.82 (m, 2H); MS m/z 316 (M+1)。
【0174】
実施例58: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フランカルボキサミド
【化77】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよびフロイルクロリドからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フランカルボキサミドを調製し、灰白色の固体(収率55%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.94 (s, 1H), 8.7 (d, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.2 (s, 1H), 7.0 (d, 1H), 6.6 (s, 1H), 5.24 (m, 1H), 2.62 (m, 2H), 2.02 (m, 2H), 1.8 (m, 2H); MS m/z 315 (M+1)。
【0175】
実施例59: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3,5−ジメチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド
【化78】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−カルボニルクロリドからN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3,5−ジメチル−4−イソオキサゾールカルボキサミドを調製し、灰白色の固体(収率68%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.99 (s, 1H), 8.4 (d, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.15 (d, 1H), 7.0 (d, 1H), 5.14 (quartet, 1H), 2.62 (m, 2H), 2.5 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.02 (m, 1H), 1.99 (m, 1H), 1.8 (m, 2H); MS m/z 344 (M+1)。
【0176】
実施例60: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−フルオロ−2−ピリジンカルボキサミド
【化79】

ジクロロメタン(5mL)中の6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミン(0.15g、0.68mmol)、DIPEA(0.165mL、0.123g、0.95mmol)および2−フルオロ−6−ピリジンカルボン酸(0.115g、0.816mmol)の溶液にO−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU、0.26g、0.81mmol)を添加し、混合物を周囲温度で2時間攪拌した。水を添加し、10分後、有機相を分離し、飽和NaHCO/水で洗浄し、脱水し(NaSO)、エバポレートし、クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、0〜30%)で分離し、灰白色の固体(0.13g、収率61%)として標記化合物を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.92 (s, 1H), 8.8 (d, 1H), 8.2 (quartet, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.43 (m, 2H), 7.28 (d, 1H), 7.0 (dd, 1H), 5.37 (quartet, 1H), 2.62 (m, 2H), 2.0 (m, 3H), 1.8 (m, 1H); MS m/z 365 (M+Na)。
【0177】
実施例61: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド
【化80】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび3−メチルピコリン酸からN−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミドを調製し、灰白色の固体(収率55%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.89 (s, 1H), 8.8 (d, 1H), 8.4 (d, 1H), 7.8 (d, 1H), 7.4 (s, 2H), 7.3 (d, 1H), 7.0 (d, 1H), 5.3 (m, 1H), 2.6 (m, 5H), 1.9 (m, 4H); MS m/z 362 (M+Na)。
【0178】
実施例62: N−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N’−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド
【化81】

【0179】
A): メチル4−(14,14−ジメチル−12−オキソ−5,8,13−トリオキサ−2,11−ジアザペンタデカン−1−オイル)ベンゾエート
【化82】

先に記載したのと同様な方法で1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメート(J. Chem. Soc., Dalton Trans., 2000, 1805-1812)およびテレフタル酸メチルエステルからメチル4−(14,14−ジメチル−12−オキソ−5,8,13−トリオキサ−2,11−ジアザペンタデカン−1−オイル)ベンゾエートを調製し、無色の油(0.25g、収率64%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ8.7 (t, 1H), 8.0 (d, 2H), 7.95 (d, 2H), 6.75 (t, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.4 (m, 10H), 3.0 (m, 2H), 1.35 (s, 9H); MS m/z 411 (M+1)。
【0180】
B): 4−(14,14−ジメチル−12−オキソ−5,8,13−トリオキサ−2,11−ジアザペンタデカン−1−オイル)安息香酸
【化83】

0℃でMeOH/水(3:1、4mL)中のメチル4−(14,14−ジメチル−12−オキソ−5,8,13−トリオキサ−2,11−ジアザペンタデカン−1−オイル)ベンゾエート(0.24、0.58mmol)の溶液に水酸化リチウム一水和物(0.061g、1.45b mmol)を添加し、混合物を3.5時間で周囲温度まで加温し、そして2時間攪拌した。水を添加し、混合物を1N HCl/水でpH約3に酸性化した。混合物をEtOで抽出し、有機相を脱水し(NaSO)、濃縮し、灰白色の固体(0.20g、収率87%)として標記化合物を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ13.17 (s, 1H), 8.7 (t, 1H), 8.0 (d, 2H), 7.9 (d, 2H), 6.7 (t, 1H), 3.4 (m, 10H), 3.0 (m, 2H), 1.39 (s, 9H); MS m/z 397 (M+1)。
【0181】
C): 1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(4−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}フェニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメート
【化84】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび4−(14,14−ジメチル−12−オキソ−5,8,13−トリオキサ−2,11−ジアザペンタデカン−1−オイル)安息香酸から1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(4−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}フェニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメートを調製し、灰白色の固体(収率58%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.98 (s, 1H), 8.95 (d, 1H), 8.6 (t, 1H),8.0 (d, 2H), 7.9 (d, 2H), 7.42 (s, 1H), 7.26 (d, 1H), 7.01 (d, 1H), 6.78 (t, 1H), 5.36 (quartet, 1H), 3.4 (m, 10H), 3.0 (quartet, 2H), 2.62 (t, 2H), 2.05 (m, 2H), 1.8 (m, 2H), 1.38 (s, 9H); MS m/z 599 (M+1)。
【0182】
D): N−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N’−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド
【化85】

1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(4−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}フェニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメート(0.13g)を0℃でジクロロメタン(4mL)に溶解させ、TFA(2mL)を添加した。1時間後、溶媒をエバポレートし、残渣をクロロメタンに溶解させ、飽和NaHCO/水で洗浄し、脱水し(NaSO)、エバポレートし、クロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH/ジクロロメタン0〜5%中2M NH)で分離し、淡黄色の固体(0.041g、収率40%)として標記化合物を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.99 (s, 1H), 8.95 (d, 1H), 8.6 (t, 1H), 7.98 (d, 2H), 7.84 (d, 2H), 7.41 (s, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.0 (d, 1H), 5.35 (quartet, 1H), 3.5 (m, 6H), 3.4 (m, 2H), 3.3 (m, 2H), 2.65 (m, 4H), 2.2 (m, 2H), 2.1 (m, 2H), 1.8 (m, 2H); MS m/z 499 (M+1)。
【0183】
実施例63: メチル6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボキシレート
【化86】

先に記載したのと同様な方法で6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−アミンおよび5−(メトキシカルボニル)ピリジンからメチル6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボキシレートを調製し、黄色の固体(64%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.94 (s, 1H), 9.1 (d, 1H), 8.98 (dd, 1H), 8.5 (d, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.0 (dd, 1H), 5.35 (quartet, 1H), 3.9 (s, 3H), 2.65 (m, 2H), 2.0 (m, 3H), 1.8 (m, 1H); MS m/z 406 (M+Na)。
【0184】
実施例64: 6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボン酸
【化87】

先に記載したのと同様な方法でメチル6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボキシレートから6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボン酸を調製し、黄色の固体(98%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ13.68 (s, 1H), 10.93 (s, 1H), 9.04 (d, 1H), 8.98 (d, 1H), 8.48 (dd, 1H), 8.22 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.0 (dd, 1H), 5.38 (quartet, 1H), 2.63 (m, 2H), 2.0 (m, 3H), 1.8 (m, 1H); MS m/z 370 (M+1)。
【0185】
実施例65: 1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメート
【化88】

先に記載したのと同様な方法で6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボン酸および1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメート(J. Chem. Soc., Dalton Trans., 2000, 1805-1812)から1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメートを調製し、帯黄色の固体フォーム(収率59%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.94 (s, 1H), 8.98 (d, 1H), 8.9 (m, 2H), 8.38 (dd, 1H), 8.18 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.0 (dd, 1H), 6.73 (t, 1H), 5.34 (quartet, 1H), 3.5 (m, 6H), 3.45 (m, 2H), 3.35 (m, 2H), 3.02 (quartet, 2H), 2.62 (m, 2H), 2.0 (m, 3H), 1.8 (m, 1H), 1.38 (s, 9H); MS m/z 600 (M+1)。
【0186】
実施例66: N−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,5−ピリジンジカルボキサミド
【化89】

先に記載したのと同様な方法で1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメートからN−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,5−ピリジンジカルボキサミドを調製し、薄黄褐色の固体(収率90%)を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.94 (s, 1H), 8.98 (d, 1H), 8.9 (m, 2H), 8.38 (dd, 1H), 8.19 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.0 (dd, 1H), 3.5 (m, 10H),2.6 (m, 4H), 2.0 (m, 3H), 1.8 (m, 2H), 1.5 (m, 2H); MS m/z 500 (M+1)。
【0187】
実施例67: N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N−(2−{[2−({2−[(フェニルカルボニル)アミノ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチル)−2,5−ピリジンジカルボキサミド
【化90】

ジクロロメタン(4mL)中のN−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,5−ピリジンジカルボキサミド(0.088g、0.18mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.053mL、0.038g、0.38mmol)およびベンゾイルクロリド(0.022mL、0.026g、0.19mmol)を添加し、混合物を周囲温度で45分間攪拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和1M NaOH/水で洗浄し、脱水し(NaSO)、エバポレートし、クロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH/ジクロロメタン0〜5%)で分離し、帯黄色の固体フォーム(0.035g、収率32%)として標記化合物を得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ10.94 (s, 1H), 8.98 (d, 1H), 8.9 (m, 2H), 8.47 (t, 1H), 8.37 (dd, 1H), 8.17 (d, 1H), 7.8 (d, 2H), 7.5 (m, 4H), 7.24 (d, 1H), 7.0 (dd, 1H), 5.38 (quartet, 1H), 3.52 (m, 8H), 3.4 (m, 4H), 2.62 (m, 2H), 2.0 (m, 3H), 1.8 (m, 1H); MS m/z 605 (M+1)。
【0188】
生物学的実験およびデータ
本発明に係る化合物は、HcV感染に関連する病状および疾患の治療および/または予防に有用であると考えられる。ETレプリコン系を用いて、HCVにより媒介される活性を調べた。
【0189】
使用した材料としては、DMEM(1×液体、高グルコース);Invitrogen cat# 11965-092;100×ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(10,000単位/mL);Invitrogen cat# 15140-122;100×非必須アミノ酸溶液(10mM);Invitrogen cat# 11140-050;ウシ胎仔血清;JRH Biosciences cat# 12107-500M;ゲネチシン(50mg/mL);Invitrogen cat# 10131-035で構成された培地が挙げられる。
【0190】
ルシフェラーゼアッセイ試薬としては、Steady−Glo Luciferaseアッセイシステム、cat# E2550(Promega)が挙げられる。
【0191】
ETレプリコン系(Lohmann et al. (1999), Replication of subgenomic hepatitis C virus RNAs in a hepatoma cell line. Science 285: 110-113; Krieger et al. (2001), Enhancement of hepatitis C virus RNA replication by cell culture-adaptive mutations. J. Virol. 75: 4614-4624; and Vrolijk et al. (2003), A replicon-based bioassay for the measurement of interferons in patients with chronic hepatitis C. J. Virol. Meth. 110: 201-209(ETレプリコン系に関して、それぞれ参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい)としては、HCV遺伝子型1b株Con1レプリコンで安定にトランスフェクトされたHuh7細胞が挙げられる。このレプリコンは、ホタルルシフェラーゼを発現し、ネオマイシン遺伝子の上流に挿入されたユビキチンに対するコード領域を有し、かつ協同的にRNA複製を促進する3つの細胞培養適応性突然変異(E1202G、T1280I、およびS2197P)を有する。ET細胞系は、ReBLikon GmbH, Nach dem alten Schloss 22, 55239 Gau-Odernheim, Germanyから実施許諾を受けて取得した。
【0192】
10% FCS、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、1×非必須アミノ酸、0.5mg/mLゲネチシンを有するDMEM中、37℃、5% COで、細胞を保持する。継代のために、細胞をPBSで1回洗浄し、単層を覆うのに十分なトリプシン/ベルセン(0.05%)と共に37℃でインキュベートする。フラスコから取り出した後、細胞を数mLのDMEM+10% FBSと混合してトリプシンを不活性化させ、次に、十分な培地で適切に希釈して(通常は1/5または1/10)、新しいフラスコに移す。T225フラスコの場合、典型的には、全体積40〜50mLの細胞+培地が使用される。レプリコンRNAの密度依存的低下を防止するために、サブコンフルエント(60〜80%)レベルでET細胞系を保持する。
【0193】
Biomek 2000ワークステーション(Beckman-Coulter)を用いて、0.5log10の希釈間隔でCostar V底96ウェルプレートの最初の10ウェルにわたり化合物をDMSOで希釈する。プレートの最後の2つのカラムにDMSOのみを添加する。このマスタープレート中の薬剤の最大濃度は、典型的には2.5mMである。マルチチャネルピペッターを用いてDMEM+10% FBSを添加することにより、化合物の1/5希釈を行って、500μMの最大濃度を与えるようにする。RapidPlateワークステーション(Zymark)を用いて、5μLの希釈された化合物を黒色Costar平底96ウェルドータープレートに移す。
【0194】
約80%のコンフルエンシーになるまで細胞を増殖させてから、先に記載したようにトリプシン処理する。Levy血球計数器により細胞をカウントし、20,000細胞/mlになるように、10% FBS、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、1×NEAAを含有するDMEMで希釈する。(注:アッセイではゲネチシンを省略する)。
【0195】
マルチドロップディスペンサー(Titertek)を用いて、245μLの細胞懸濁液を上述したように作製されたドータープレートの最初11カラムに添加する。その際、1ウェルあたり5,000細胞を添加し、それぞれの化合物の最終最大濃度は10μMである。それぞれのプレートの12番目のカラムを用いて、アッセイのバックグラウンドの読取り値を生成する。37℃、5% COで、プレートを72時間インキュベートする。
【0196】
ルシフェラーゼアッセイ
室温でSteady−Glo緩衝液とSteady−Glo基質緩衝液とを混合することにより、製造業者の説明書に従ってSteady−Glo試薬を調製する。マルチチャネルアスピレーターを用いて、化合物で処理されたET細胞を含有する96ウェルプレートから培地を取り出す。マルチチャネルピペッターまたはマルチドロップディスペンサーを用いて、100μlのSteady−Glo試薬を各ウェルに添加する。完全な溶解を保障するためにプレートを室温で5分間インキュベートし、穏やかに振盪することにより混合する。
【0197】
Topcount(PE Biosystems)を用いて、1ウェルあたり1秒間の読取り時間でルシフェラーゼ活性を読み取る。RoboFitソフトウェアを用いてデータを解析しIC50曲線を生成する。
【0198】
本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載のアッセイにより測定されるように、有用なHCV活性を呈すると考えられる。本化合物のいくつかについて特定のIC50値が与えられているが、これらの値は、例示的なものとみなされるべきものである。本明細書に記載の生物学的活性アッセイを行ってデータを記録する際に変動を生じることは、当業者であればわかるであろう。以下の表1は、例示を目的として特定の値を提供する:
【表1】

【0199】
試験化合物は、遊離または塩の形態で利用した。
研究はすべて、実験動物管理の原則(NIH publication No. 85-23, 1985年改訂)および動物の使用に関するGlaxoSmithKlineの指針に適合するものであった。
【0200】
本発明の特定の実施形態が本明細書に示されているが、本発明はそれらに限定されるものではない。上記の詳細な説明は、本発明を例示するものとして提供されたものであり、なんら本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。当業者には変更形態は自明であろう。また、本発明の精神から逸脱することのない変更形態はすべて、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
nは、0、1、または2であり;
tは、0または1であり;
Xは、−NH−、−O−、−R10−、−OR10−、−R10O−、−R10OR10−、−NR10−、−R10N−、−R10NR10−、−R10S(O)−、または−R10S(O)10−であり;
Yは、−C(O)−または−S(O)−であり;
各Rは、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、
ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、−NHR10Ay、Het、−NHHet、−NHR10Het、−OR、−OAy、−OHet、−R10OR、−NR、−NRAy、−R10NR、−R10NRAy、−R10C(O)R、−C(O)R、−CO、−R10CO、−C(O)NR、−C(O)Ay、−C(O)NRAy、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR、−C(S)NR、−R10C(S)NR、−R10NHC(NH)NR、−C(NH)NR、−R10C(NH)NR、−S(O)NR、−S(O)NRAy、−R10SONHCOR、−R10SONR、−R10SO、−S(O)、−S(O)Ay、シアノ、ニトロ、またはアジド
よりなる群から選択され;
各Rは、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、
ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、−NHR10Ay、Het、−NHHet、−NHR10Het、−OR、−OAy、−OHet、−R10OR、−NR、−NRAy、−R10NR、−R10NRAy、−R10C(O)R、−C(O)R、−CO、−R10CO、−C(O)NR、−C(O)Ay、−C(O)NRAy、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR、−C(S)NR、−R10C(S)NR、−R10NHC(NH)NR、−C(NH)NR、−R10C(NH)NR、−S(O)NR、−S(O)NRAy、−R10SONHCOR、−R10SONR、−R10SO、−S(O)、−S(O)Ay、シアノ、ニトロ、またはアジド
よりなる群から選択され;
各mは、独立して、0、1、または2であり;
各R10は、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、およびアルキニレンから選択され;
pおよびqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、または5から選択され;
およびRはそれぞれ、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、−R10OH、−R10(OR10、および−R10NRよりなる群から選択され;
wは、1〜10であり;
およびRはそれぞれ、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニルよりなる群から選択され;
Ayは、アリール基を表し;
Hetは、5員もしくは6員のヘテロシクリル基またはヘテロアリール基を表し;
環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり;
ただし、A環がアリールであり、tが0であり、かつYがSOであるとき、pは0ではない〕
で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体の投与を介してフラビウイルス科ウイルスの治療または予防を行う方法。
【請求項2】
前記ウイルスが、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルスが、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、およびHCV症から選択されるヒト疾患に関連する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法がHCV感染の治療または予防を目的とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
アルキルがC〜Cアルキルであり、アルコキシがC〜Cアルコキシであり、ハロアルキルがC〜Cハロアルキルであり、アルキレンがC〜Cアルキレンであり、かつアルケニレンがC〜Cアルケニレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
tが0であり、かつYが−C(O)−である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
tが0であり、かつYが−S(O)−である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
tが1であり、Yが−C(O)−であり、かつXが、−NH−、−O−、−R10−、または−OR10−である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
tが1であり、Yが−S(O)−であり、かつXが、−NH−、−O−、−R10−、または−OR10−である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
nが1である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
pが1以上であり、かつRが、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Rが、ハロゲン、アルキル、ハロアルキルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Rが、示されたN原子のパラ位に置換される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Rがハロゲンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
RがBrまたはClである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
qが1以上であり、かつRが、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、Ay、Het、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
が、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、またはシアノから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
およびRがそれぞれC〜Cアルキルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
が、ハロゲン、アルキル、または−ORから選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
前記ハロゲンがフルオロまたはクロロであり、前記アルキルがメチルであり、かつ前記−ORがアルコキシである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記A環がアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記A環がフェニルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
qが1以上であり、かつRが、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、Ay、Het、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
qが1以上であり、かつRが、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、またはシアノから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記A環がヘテロアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ヘテロアリールがピリジルである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
qが0または1である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
qが1であるとき、Rが、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、Ay、Het、シアノ、ニトロ、またはアジドから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
qが1であるとき、Rが、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−CO、またはシアノから選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
pが1であり、Rがハロゲンであり、nが1であり、Yが−C(O)−であり、tが0であり、環Aがヘテロアリールであり、かつqが0である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
Rがクロロであり、かつ環Aがピリジルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、
【化2】

から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
フラビウイルス科に属するウイルスの治療または予防に使用するための医薬の製造における、式(I):
【化3】

〔式中、
nは、0、1、または2であり;
tは、0または1であり;
Xは、−NH−、−O−、−R10−、−OR10−、−R10O−、−R10OR10−、−NR10−、−R10N−、−R10NR10−、−R10S(O)−、または−R10S(O)10−であり;
Yは、−C(O)−または−S(O)−であり;
各Rは、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、
ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、−NHR10Ay、Het、−NHHet、−NHR10Het、−OR、−OAy、−OHet、−R10OR、−NR、−NRAy、−R10NR、−R10NRAy、−R10C(O)R、−C(O)R、−CO、−R10CO、−C(O)NR、−C(O)Ay、−C(O)NRAy、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR、−C(S)NR、−R10C(S)NR、−R10NHC(NH)NR、−C(NH)NR、−R10C(NH)NR、−S(O)NR、−S(O)NRAy、−R10SONHCOR、−R10SONR、−R10SO、−S(O)、−S(O)Ay、シアノ、ニトロ、またはアジド
よりなる群から選択され;
各Rは、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、
ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、−NHR10Ay、Het、−NHHet、−NHR10Het、−OR、−OAy、−OHet、−R10OR、−NR、−NRAy、−R10NR、−R10NRAy、−R10C(O)R、−C(O)R、−CO、−R10CO、−C(O)NR、−C(O)Ay、−C(O)NRAy、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR、−C(S)NR、−R10C(S)NR、−R10NHC(NH)NR、−C(NH)NR、−R10C(NH)NR、−S(O)NR、−S(O)NRAy、−R10SONHCOR、−R10SONR、−R10SO、−S(O)、−S(O)Ay、シアノ、ニトロ、またはアジド
よりなる群から選択され;
各mは、独立して、0、1、または2であり;
各R10は、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、およびアルキニレンから選択され;
pおよびqは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、または5から選択され;
およびRはそれぞれ、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、−R10OH、−R10(OR10、および−R10NRよりなる群から選択され;
wは、1〜10であり;
およびRはそれぞれ、同一であるかもしくは異なっていて、独立して、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニルよりなる群から選択され;
Ayは、アリール基を表し;
Hetは、5員もしくは6員のヘテロシクリル基またはヘテロアリール基を表し;
環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり;
ただし、A環がアリールであり、tが0であり、かつYがSOであるとき、pは0ではない〕
で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体の使用。
【請求項34】
前記ウイルスが、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
疾患または病状が、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、またはHCV症である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
病状または障害がHCV症である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−ピラジンカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−メチル−2−ピリジンカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−5−イソオキサゾールカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2−フランカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3,5−ジメチル−4−イソオキサゾールカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−6−フルオロ−2−ピリジンカルボキサミド;
N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−3−メチルピリジン−2−カルボキサミド;
N−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N’−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−1,4−ベンゼンジカルボキサミド;
メチル6−{[(6−クロロ−2、3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボキシレート;
6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジンカルボン酸;
1,1−ジメチルエチル[2−({2−[(2−{[(6−{[(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)アミノ]カルボニル}−3−ピリジニル)カルボニル]アミノ}エチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]カルバメート;
−[2−({2−[(2−アミノエチル)オキシ]エチル}オキシ)エチル]−N−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−2,5−ピリジンジカルボキサミド;および
−(6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−イル)−N−(2−{[2−({2−[(フェニルカルボニル)アミノ]エチル}オキシ)エチル]オキシ}エチル)−2,5−ピリジンジカルボキサミド;
から選択される化合物(その塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体を包含する)。
【請求項38】
実施例のいずれか1つを参照して実質的に上記で定義される、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
請求項37に記載の化合物と製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項40】
活性治療物質として使用するための、請求項37に記載の化合物。
【請求項41】
フラビウイルス科に属するウイルスにより引き起こされる疾患および病状の治療または予防に使用するための、請求項37に記載の化合物。
【請求項42】
前記ウイルスが、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
前記疾患または病状が、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、またはHCV症である、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
前記病状または疾患がHCV症である、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
フラビウイルス科に属するウイルスの治療または予防に使用するための医薬の製造における、請求項37に記載の化合物の使用。
【請求項46】
前記ウイルスが、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記疾患または病状が、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、またはHCV症である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記病状または障害がHCV症である、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
請求項37に記載の化合物のうちの1つ以上を投与することを含む、フラビウイルス科に属するウイルスの治療または予防の方法。
【請求項50】
前記ウイルスが、フラビウイルス、ペスチウイルス、またはへパシウイルスである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ウイルスが、デング熱ウイルス症、黄熱ウイルス症、西ナイルウイルス症、およびHCV症から選択されるヒト疾患に関連する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記方法がHCV感染の治療または予防を目的とする、請求項51に記載の方法。

【公表番号】特表2008−520673(P2008−520673A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543148(P2007−543148)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/041089
【国際公開番号】WO2006/118607
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】