説明

HIV−1カプシド形成のインヒビター:置換アリール・アミノメチル・チアゾール尿素およびその類縁物質

本願では、HIVカプシド形成を含め、ウイルス・カプシド形成の抑制剤として働く置換アリール・アミノメチル・チアゾール尿素およびそれらの類縁物質が提供される。本願で説明されるウイルス・カプシド形成抑制剤は一般に、式Iの化合物であり、式中、Aは式(a)または(b)の基であり、変数A、R、R、R、R、X、Y、Z、A、A、A、R、R、R12およびR13は、本願において定義される。かかる化合物を含む医薬組成物、およびカプシドタンパク質を有するウイルスに感染した動物を治療する方法が本願では提供される。また、本願では、HIVウイルスに感染したヒト患者を治療するためにかかる化合物を用いて、AIDSの死亡率を低下させる方法も提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国仮特許出願第60/626,902号(2004年11月11日)に対する優先権を主張する。この仮特許出願は、本明細書によってその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本願は、ウイルス・カプシド形成の抑制剤として働くと考えられる置換アリール・アミノメチル・チアゾール尿素およびそれらの類縁物質を提供する。これらの化合物のいくつかは、HIV−1を含めたHIVのカプシド形成の高活性抑制剤として働く。また、本願は、かかる化合物を含む医薬組成物、および被包性ウイルス、特にHIVに感染した患者を治療してAIDSのようなウイルス性疾患の死亡率を低下させる方法も、提供する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
レトロウイルスは、タンパク質性カプシドに包まれた一本鎖RNA粒子を含むウイルスである。このレトロウイルス科は、3つのグループから成る。すなわち、ヒト・フォーミ・ウイルスのようなスプマウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型および2型に加えてヒツジのビスナ・ウイルスのようなレンチウイルス、並びにオンコウイルスである。
【0004】
レトロウイルス粒子は、まったく同じ2個のRNA分子から構成される。各ゲノムは、陽性センス一本鎖RNA分子であり、その5’末端はキャップ構造が取られ、3’末端はポリアデニル化されている。原型C型オンコウイルスRNAゲノムは、ウイルス遺伝子の発現のために不可欠なシグナルを含むドメインによって境界を区切られたgag、polおよびenvと呼ばれる3つのオープン・リーディング・フレームを含む。gag領域は、ウイルス・カプシドの構造タンパク質をコード化する。pol領域は、ウイルスのタンパク質分解酵素をコード化するだけでなく、逆転写酵素、リボヌクレアーゼHおよびエンドヌクレアーゼ酵素の酵素活性を含め、ゲノム処理のためのタンパク質もコード化する。env領域は、ウイルス・エンベロープの糖タンパク質を指定する。レンチウイルスおよびスプマウイルスのより複雑なゲノムは、これら3つのオープン・リーディング・フレームに加えて、ゲノム発現の制御にかかわる調整タンパク質をコード化する追加的オープン・リーディング・フレームも持つ。
【0005】
AIDSは、レンチウイルス属に属する非形質転換型ヒト・レトロウイルス、HIVにより引き起こされるレトロウイルス性疾患である。HIV−1およびHIV−2と呼ばれる遺伝学的には異なるが形態的には関連のある2つのHIVが、AIDS患者から単離された。HIV−1が米国、欧州および中央アフリカにおいてAIDSに関連する最も一般的な型であるのに対して、HIV−2は、主に西アフリカにおいて類似の疾患を引き起こす。
【0006】
ほとんどのレトロウイルスと同様に、HIV−1ビリオンは球形で、宿主細胞膜から誘導された脂質エンベロープにより取り巻かれた高電子密度の円錐形の核を含む。このウイルス核は、(1)主要カプシドタンパク質p24(CA)、(2)ヌクレオカプシドタンパク質p7/p9、(3)ゲノムRNAの2つの複製、および(4)3つのウイルス酵素(タンパク質分解酵素(PR)、逆転写酵素(RT)およびインテグラーゼ)を含む。ビリオン・エンベロープの下に位置するp17と呼ばれるマトリックスタンパク質が、ウイルス核を取り巻く。2つのウイルス糖タンパク質、gp120およびgp41が、ウイルス・エンベロープに鋲のように付いており、これら2つは、細胞のHIV感染のために極めて重要である。
【0007】
その他のレトロウイルスと同様に、HIVプロウイルス・ゲノムも、様々なウイルスタンパク質をコード化するgag遺伝子、pol遺伝子およびenv遺伝子を含む。gag遺伝子およびpol遺伝子の産物が最初に翻訳され、成熟タンパク質を生み出すためにはウイルスのタンパク質分解酵素により開裂されなければならない大型の前駆タンパク質になる。
【0008】
CAは当初、55kDaのGag前駆ポリタンパク質の内部ドメインとして合成される。約4,000個のGag複製が原形質膜に集合し、未成熟ウイルス粒子を形成するために出芽する。出芽後、CAは、Gagのタンパク質分解開裂により遊離され、カプシド粒子の集合を促進する立体配座変化を引き起こす。ウイルス・ゲノムの2つの複製、および伝染力のために不可欠な酵素は、成熟ビリオンの中心の円錐形カプシドに包まれる。また、GagのCAドメインは、プロリル異性化酵素であってHIV−1伝染力のために不可欠なシャペロンタンパク質でもある宿主タンパク質CypAの、約200個の複製をひとまとめにする役割をも担う。CypAの正確な機能は分かっていないが、このタンパク質は、伝染期間中、カプシド核の分解を促進しているのではないかと推測される。
【0009】
最近のいくつかの研究により、ウイルス伝染力のためには適切なカプシド組み立てが極めて重要であることが示された。組み立てを抑制するCAの突然変異は、致命的であり、カプシド安定性を変更し複製を大幅に減衰させる突然変異は、CAを魅力的な潜在的抗ウイルス標的にする。ピコルナウイルスのカプシドタンパク質に結合してカプシド外殻の分解を抑制することにより伝染力を抑える抗ウイルス剤が開発されたが、HIVカプシドの組み立てまたは分解の抑制剤は、薬剤としてまだ開発されていない。
【0010】
HIV感染の治療に目下利用可能な薬剤は、ウイルス・ゲノムによりコード化される15個のタンパク質のうちの2つ、逆転写酵素(RT)およびHIV−1タンパク質分解酵素(PR)を標的とする。これらの薬剤は、別個に投与された場合、不完全なウイルス抑制条件下で選抜された耐性菌の急速な出現により、辛うじて有効である。ウイルス負荷の持続的減少は、RT抑制剤およびPR抑制剤が適切な組み合わせ(高活性抗レトロウイルス療法、HAART)で用いられた場合に達成できる。しかしながら、不十分な服薬遵守、抵抗力、およびその他の薬剤または食事との相互作用による不十分な抑制は、多くの患者についてHAART療法の効果を制限する重大な問題であり、薬剤耐性菌の蔓延を招く恐れが高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
AIDSは、日和見感染、二次腫瘍および神経症状をもたらす根深い免疫抑制を特徴とする。HAART療法の利用可能性にもかかわらず、AIDSに関連する死亡率および病的状態は、引き続き顕著で現行療法では解決されないままである。例えばこの病気を患う人々の死亡率を下げて生活の質を向上させることを含め、AIDSの有害事象を軽減または改善して臨床転帰を改善することができる新たな治療用の化合物および方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本願では、HIV−1ウイルスを含めたHIVウイルスを含め、レトロウイルスにより形成されるカプシドのようなウイルス・カプシドの形成抑制剤が提供される。本願で提供される抑制剤は、ウイルス・カプシドタンパク質の頂端裂に結合し、HIV−1ウイルスでは、かかる頂端裂は、へリックス1のC末端、へリックス2および4のN末端、へリックス3のC末端およびへリックス7のC末端を含む。本願で提供されるウイルス・カプシド形成抑制剤は一般に、式Iの置換アリール・アミノメチル・チアゾール尿素およびそれらの類縁物質、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩である。
【0013】
よって、本願では第1の側面において、式Iの化合物および薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0014】
【化10】

式中、Aは式(a)または(b)の基である
【0015】
【化11】

式中、
X、YおよびZは各々、別個にN、NR、S、OまたはCR’であり、X、YおよびZの少なくとも1つは、N、NR、SまたはOである。
【0016】
Rは水素、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルである。
【0017】
各R’は別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである。
【0018】
XがNRまたはCR’である場合、Xは、5〜7員の複素環を形成するためにRとひとまとめにでき、かかる環が部分不飽和環または芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、オキソ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0019】
は水素であるか、または、RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルもしくは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0020】
は水素であるか、または、RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルもしくは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0021】
または、RおよびRは、単環式もしくは二環式の複素環を形成するためにひとまとめにされ、かかる複素環が飽和環、部分不飽和環または芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0022】
または、RはXとひとまとめにされる。
【0023】
およびRは別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである。
【0024】
はNまたはCR、AはNまたはCR、AはNまたはCRであり、A、AおよびAの1つ以下が窒素である。
【0025】
は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、直鎖C−Cアルキル、直鎖C−Cアルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである。
【0026】
または、Rは、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するためにRと1つにされ、かかる環の各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0027】
およびRは別個に、
(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノまたはニトロであるか、
(ii)C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換されるか、または、
(iii)N、SおよびOから別個に選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール基である。
【0028】
または、RはRと1つにされる。
【0029】
または、RおよびRは、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するために1つにされ、かかる環の各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0030】
およびRは別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、直鎖C−Cアルキル、直鎖C−Cアルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである。
【0031】
12は水素、C−Cアルキルまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルである。
【0032】
13は、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜2個の置換基である。
【0033】
また、本願では、式Iの化合物または塩を含む医薬組成物と、少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤との組み合わせも提供される。医薬組成物は、注射液、エアゾール、クリーム、経口液、錠剤、ゲル、丸薬、カプセル、シロップもしくは経皮パッチとして、または薬学的効果のある別の形態で処方できる。
【0034】
細胞内でのウイルス・カプシド形成を抑制するための方法であって、かかる方法が、インビトロでのウイルス・カプシド形成を検出可能なほど抑制するために十分な量の式Iの化合物または塩を、ウイルスに感染した細胞に接触させ、それにより、細胞内でのウイルス・カプシド形成を抑制することを含む方法が、本願では提供される。ウイルスは、カプシドタンパク質を有するいずれのウイルスでもあることができるが、ある実施例では、HIV−1ウイルスのようなHIVウイルスを含むレトロウイルス科のウイルスである。また、カプシドタンパク質の頂端裂に検出可能なほど結合するために十分な量の式Iの化合物または塩を、カプシドタンパク質を有するウイルスに感染した細胞に接触させ、それにより、ウイルス・カプシド形成を抑制することによってウイルス・カプシド形成を抑制する方法も、本願では提供される。本願で提供されるある実施例の範囲内では、カプシドタンパク質を有するウイルスに感染した細胞は、ヒト体内に存在する。
【0035】
カプシドタンパク質を有するウイルスに感染した動物を治療する方法であって、かかる方法が、治療上有効な量の式Iの化合物または塩を動物に投与することを含む方法が、本願では提供される。ある実施例では、カプシドタンパク質を有するウイルスは、HIV−1ウイルスのようなHIVウイルスである。また、HIV−1感染またはAIDSの死亡率を下げる方法であって、かかる方法が、治療上有効な量の式Iの化合物を、HIV−1感染/AIDSを患ったヒトに投与することを含む方法も、本願では提供される。本願で提供されるある実施例では、式Iの化合物または塩は、ウイルス・カプシドタンパク質の頂端裂に結合する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(詳細な説明)
上記の通り、本発明は、式Iの置換アリール・アミノメチル・チアゾール尿素およびそれらの類縁物質を提供する。かかる化合物は、HIVウイルスおよび特にHIV−1ウイルスを含むレトロウイルスのような、ウイルス・カプシドを有するウイルス内においてウイルス・カプシドタンパク質形成を抑制するためにインビトロまたはインビボで使用でき、以下でさらに詳しく考察される通りの追加用途を有する。
【0037】
(用語)
本願では、化合物は、標準的命名法を用いて一般に説明される。不斉中心を有する化合物に関しては、(別途指定されない限り)光学異性体およびそれらの混合物のすべてが含まれることが理解されるべきである。加えて、炭素間二重結合を有する化合物は、Z形態およびE形態で生じることができ、別途指定されない限り、化合物のすべての異形体が含まれる。化合物に様々な互変異性型が存在する場合、記載の化合物は、いずれか1つの特定の互変異性体に限定されず、むしろ、すべての互変異性型を含むことが意図される。化合物の説明は、化合物内で発生する可能性のある全ての原子同位体を伴う化合物を含むことが意図される。同位体は、原子番号は同じであるが質量数が異なる原子である。限定としてではなく一般的な例として、水素の同位体は、三重水素および重水素を含み、炭素の同位体は11C、13Cおよび14Cを含む。本願では、ある種の化合物は、変数(例えばR、R、R)を含む一般式を用いて説明される。別途指定されない限り、かかる式の範囲内の各変数は、その他の変数とは別個に定義され、式中に2度以上現れる変数は、各出現時に別個に定義される。一般に、変数(例えばR、R、R)は、安定した化合物となるいずれの本願で説明された定義も持つことができる。
【0038】
本願で用いられる通りの「置換アリール・アミノメチル・チアゾール尿素およびそれらの類縁物質」という用語は、かかる化合物の鏡像異性体、ラセミ化合物および立体異性体のみならず、薬学的に許容可能なすべての塩も含め、式Iを満たす全ての化合物を含む。
【0039】
本願に記載される化合物の「薬学的に許容可能な塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギ−反応またはその他の問題もしくは合併症がなく、ヒトまたは動物の組織に接触させて用いるために適していると当業において一般的に見なされる酸性塩または塩基性塩である。かかる塩は、無機酸塩およびアミンのような塩基性残基の有機酸塩のみならず、カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩をも含む。具体的な医薬用塩は、塩酸、燐酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グルコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、蟻酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼン・スルホン酸、エタン・ジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サルチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモ酸、琥珀酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸のようなアルカン酸、HOOC−(CH)n−COOHであってnが0〜4である酸、および同種のその他の酸のような酸の塩を含むがそれらに限定されない。同様に、薬学的に許容可能な陽イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウムを含むがそれらに限定されない。当業者は、「レミングトン薬学」第17版、マック出版社、ペンシルバニア州イーストン、1418頁(1985年)に記載されたものを含め、本願で提供される化合物に関する薬学的に許容可能なさらなる塩を明確に理解するはずである。一般に、薬学的に許容可能な酸性塩または塩基性塩は、酸性部分または塩基性部分を含む親化合物から、従来のいずれの化学的方法によっても合成できる。簡単に言えば、かかる塩は、水もしくは有機溶媒の中で、またはこれら2つの混合物の中で、遊離酸または遊離塩基の形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製でき、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水溶媒の使用が望ましい。
【0040】
式Iの各化合物は、水和物、溶媒和物または非共有結合複合体として処方できるが、そうである必要はないことは明らかなはずである。加えて、様々な結晶形態および多形体も、本発明の適用範囲内に含まれる。また、本願では、式Iの化合物のプロドラッグも提供される。「プロドラッグ」は、本願で提供される化合物の構造要求事項を全面的に満たすことはできないが、患者への投与後、式Iまたは本願で提供されるその他の式の化合物を生成するためにインビボで修飾される化合物である。例えば、プロドラッグは本願で提供される通り、化合物のアシル化誘導体であることができる。プロドラッグは、対象に投与された時に開裂するいずれかの基にヒドロキシ基、アミン基またはスルフヒドリル基が結合して各々、遊離ヒドロキシ基、遊離アミノ基または遊離スルフヒドリル基を形成する化合物を含む。プロドラッグの例は、本願で提供される化合物の範囲内に含まれるアルコール官能基およびアミン官能基の、酢酸誘導体、蟻酸誘導体および安息香酸誘導体を含むがそれらに限定されない。本願で提供される化合物のプロドラッグは、親化合物に対して修飾が開裂するようなやり方で、化合物内に存在する官能基を修飾することにより調製できる。
【0041】
本願で用いられる場合、「アルキル」という用語は、表示数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素を指す。例えば、C−Cアルキル基は、1個〜約6個の炭素原子を有する。アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する基(C−Cアルキル)および1〜4個の炭素原子を有する基(C−Cアルキル)、並びにメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシルおよび3−メチルペンチルのような1〜2個の炭素原子を有する基(C−Cアルキル)を含む。「C−Cnアルキル」は、単一共有結合(C)、または1個〜約n個の炭素原子を有するアルキル基を指す。例えば、「C−Cアルキル」は、単一共有結合またはC−Cアルキル基を指す。アルキル基は、化学的に適した部分を介して関心分子内の原子に結合できる。
【0042】
同様に、「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖の炭化水素基であって、基内に少なくとも1つの不飽和炭素間二重結合が存在する基を指す。アルケニル基は、C−Cアルケニル基およびC−Cアルケニル基を含み、両基は各々、エテニル、アリルまたはイソプロペニルのような、2〜6個または2〜4個の炭素原子を有する。
【0043】
「アルキニル」は、直鎖または分岐鎖のアルキン基であって、1つ以上の不飽和炭素間結合を有し、かかる結合の少なくとも1つが三重結合である基を指す。アルキニル基は、C−Cアルキニル基およびC−Cアルキニル基を含み、両基は各々、2〜6個または2〜4個の炭素原子を有する。アルケニル基およびアルキニル基は、直鎖または分岐鎖であることができる。
【0044】
本願で用いられる通りの「アルコキシ」によって、上記の通りのアルキル基が酸素架橋を介して付着していることが表される。アルコキシ基は、C−Cアルコキシ基およびC−Cアルコキシ基を含み、両基は各々、1〜6個または1〜4個の炭素原子を有する。アルコキシ基は、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、第二ブトキシ、第三ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシおよび3−メチルペントキシを含む。
【0045】
本願で用いられる場合、「アルコキシカルボニル」という用語は、上記で定義された通りの、表示数の炭素原子を有するアルコキシ基がケト(−(C=O)−)架橋を介して付着していることを表す。アルコキシカルボニル基のアルコキシ部分は、表示数の炭素原子を有し、ケト架橋の炭素はこの数に含まれない。例えば、Cアルコキシカルボニルは、CH(CH−O−(C=O)−または(CH(CH)−O−(C=O)−という式の基を示す。
【0046】
「アルカノイル」は、上記で定義された通りのアルキル基がケト(−(C=O)−)架橋を介して付着していることを表す。アルカノイル基は、表示数の炭素原子を有し、ケト基の炭素は、数えられる炭素の中に含まれる。例えば、Cアルカノイル基は、式、CH(C=O)−を有するアセチル基である。
【0047】
「アルキルアミノ」は、一般構造が−NH(アルキル)または−N(アルキル)(アルキル)である第二または第三アミンであって、各アルキルが同一または異種であることができるものを指す。かかる基は、例えばモノ−および/またはジ−(C−Cアルキル)アミノ基を含み、かかる基内で各アルキルは、直鎖、分岐鎖または環であり、同一または異種であることができ、表示数の炭素原子、例えば1〜6個または1〜4個の炭素原子を含む。
【0048】
「シクロアルキル」基は、環員として炭素原子を含む完全飽和環基である。シクロアルキル基は、単一飽和環、例えばシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを有する3〜7員のシクロアルキル基を含む。「(シクロアルキル)C−Cnアルキル」は、シクロアルキル基が単一共有結合またはC−Cnアルキル基、例えばC−Cアルキル基を介して連結したものである。
【0049】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0050】
「ハロアルキル」は、分岐鎖または直鎖のアルキル基が1個以上のハロゲン原子で置換されたものである(例えば、「C−Cハロアルキル」基は1〜2個の炭素原子を有する)。ハロアルキル基の例は、モノ−、ジ−またはトリ−フルオロメチル、モノ−、ジ−またはトリ−クロロメチル、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−フルオロエチル、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−クロロエチル、および1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチルを含むがそれらに限定されない。代表的なハロアルキル基は、トリフルオロメチルおよびジフルオロメチルである。
【0051】
「ハロアルコキシ」は、上記で定義された通りのハロアルキル基が酸素架橋を介して付着していることを表す。「C−Cハロアルコキシ」基は、1〜2個の炭素原子を有する。
【0052】
2文字間または2記号間のものでないダッシュ(「−」)は、置換基の付着点を示すために用いられる。例えば、−CONHは、炭素原子を介して付着する。
【0053】
本願で用いられる通りの「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄または窒素である。
【0054】
「単環式または二環式の複素環基」は、1〜2個の縮合環、ペンダント環またはスピロ環を有し、かかる環の少なくとも1つは複素環である(すなわち、1つ以上の環原子がヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である)。通常、複素環は1〜4個のヘテロ原子を含み、ある実施例の範囲内では、各複素環は、環当たり1個または2個のヘテロ原子を有する。各複素環は通常、3〜8個の環員を含み(ある実施例には、4員または5員から7員の環員を有する環が記載される)、二環式の複素環は通常、2個の縮合環、ペンダント環またはスピロ環を含み、通常、全部で約9員〜約14員の環員を含む。ある複素環は、環員として硫黄原子を含み、ある実施例では、硫黄原子は酸化されてSOまたはSOになる。別途指定されない限り、複素環は、ヘテロシクロアルキル基(すなわち、各環が飽和環)、部分不飽和基またはヘテロアリール基(すなわち、基内の少なくとも1つの環が芳香環)であることができる。安定した化合物になる場合、複素環基は通常、環または置換原子を介して連結できる。N連結型複素環基は、成分窒素原子を介して連結する。ある種の複素環基は、任意に置換された4〜7員または5〜7員の基である。4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、例えばピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、アゼパニル、モルホリノ、チオモルホリノおよび1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イルを含む。かかる基は、表示の通りに置換できる。代表的な芳香族複素環は、チエニル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリルおよびチアゾリルである。
【0055】
ある実施例では、望ましい複素環は、単一飽和環、部分不飽和環または芳香族複素環を有する5〜7員の複素環であって5〜7員の環員のうち、1員または2員がN、OおよびSから別個に選択され、残りの環員は炭素である複素環である。
【0056】
ある実施例の範囲内では、複素環基は、表示の連結基を介して付着できる。例えば、本願で説明されるいくつかの実施例には、(ヘテロシクロアルキル)アルキル置換基が存在する。各事例において、複素環基は、上記の定義を持ち、上記の定義を持つ表示の連結基に共有結合する。
【0057】
本願で用いられる場合、「ヘテロアリール」は、5〜7員の単環式芳香環であって、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を1〜3個、望ましくは1〜2個含み、残りの環原子は炭素である単環式芳香環か、または、少なくとも5〜7員の芳香環を含む二環式もしくは三環式の系であって、かかる芳香環が、N、OおよびSから別個に選択されるヘテロ原子を1〜3個、望ましくは1〜2個含み、残りの環原子が炭素である系かを示す。ヘテロアリール基内のS原子とO原子の合計数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。ヘテロアリール基内のS原子とO原子の合計数が2以下であることが望ましい。芳香族複素環内のS原子とO原子の合計数が1以下であることが特に望ましい。ヘテロアリール基の例は、オキサゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾリル、ピリジジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニルピラゾリル、チオフェニル、トリアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサジアゾリル、ジヒドロゼンゾジオキシニル、フラニル、イミダゾリル、インドリルおよびイソキサゾリルを含むがそれらに限定されない。
【0058】
「ヘテロシクロアルキル」基は、上記の通りの複素環が完全飽和環であるものである。ある実施例では、望ましいヘテロシクロアルキル基は、単一飽和環を有する5〜7員のヘテロシクロアルキル基であって、5〜7員の環員のうち、1員または2員がN、OおよびSから別個に選択され、残りの環員が炭素である基である。「(ヘテロシクロアルキル)C−Cnアルキル」は、ヘテロシクロアルキル基が単一の共有結合またはC−Cnアルキル基、例えばC−Cアルキル基を介して連結したものである。
【0059】
本願で用いられる通りの「置換基」は、関心分子内の原子に共有結合した分子部分を指す。例えば、環置換基は、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、または本願で考察される通りの、環員である原子(望ましくは炭素原子または窒素原子)に共有結合したその他の基のような、部分であることができる。置換基または芳香族基は一般に、環炭素原子に共有結合する。「置換」という用語は、指定原子に関する原子価を超えないように、かつ、化学的に安定した化合物(すなわち、単離され特徴付けられ、生物学的活性について試験されることのできる化合物)が置換から生じるように、分子構造内の水素原子を置換基に置き換えることを指す。
【0060】
「有効な量」という用語は、ヒト患者または非ヒト患者に投与された時に症状の改善のような治療利益を提供するために効果的である量、例えば、ウイルス感染の症状を軽減するために効果的である量、望ましくは、HBV感染またはHIV感染の症状を軽減されるために十分である量を意味する。ある状況では、ウイルス感染を患った患者は、感染しているという症状を示さない場合がある。よって、化合物の治療上有効な量は、病気の徴候に対してプラス効果を与えるために十分な量でもあり、例えば、患者の血液、血清または組織内において、ウイルスまたはウイルス抗体の顕著な増大を防止するかまたはそれらの検出可能レベルを顕著に下げるために十分な量でもある。ウイルスまたはウイルス抗体の検出可能レベルの顕著な上昇または低下とは、スチュ−デントT検定のような、統計学的有意性に関する標準的パラメトリック検定において統計学的に有意である検出可能な変化であり、p<0.05の場合である。
【0061】
「患者」は、医学的治療を必要とするヒトまたは非ヒト動物である。医学的治療は、疾病または疾患のような既存症状の治療、または予防的治療もしくは防止治療を含むことができる。いくつかの実施例では、患者はヒト患者である。
【0062】
(HIV−1カプシド形成の抑制剤)
成熟HIV−1のCAは、カプシド核粒子の形成のために不可欠な既知のN末端βヘアピンを含む。このヘアピンの残基は高度に保存され、スプマウイルス以外のその他すべてのレトロウイルスが、類似のN末端βヘアピンを含むようである。βヘアピンの突然変異誘発研究は、βヘアピンがHIV−1カプシド核粒子のために不可欠であり、多分、分子間CA−CA相互作用に直接関与することにより機能すると思われることを示す。よって、初めからβヘアピンが、指定のカプシド形成抑制剤の標的として選ばれた。
【0063】
NMR研究は、CAのN末端ドメインに追加的結合部位(頂端裂)があることを明らかにした。この頂端裂は、へリックス1のC末端、へリックス2および4のN末端、へリックス3のC末端およびへリックス7のC末端を含む。特定の理論に束縛されたくはないが、式Iの化合物および塩の抗ウイルス特性は、これらの化合物とCAのN末端ドメインの頂端裂との相互作用によるものであると確信される。βヘアピン・ポケットと異なり、頂端裂は、成熟形態と未成熟形態との両方のCAのN末端ドメインに存在する。この頂端裂に結合する化合物は、カプシド組み立てを抑制し、抗ウイルス特性を持つ。頂端裂への抑制剤の結合により最も顕著に摂動される主鎖アミド・シグナル付きのCA残基は、「HIV配列概要」内の93種のゲノム配列の間において、厳密に保存されるか(Glu35、Val36、Val59、Gly60、His62、Gln63、Ala65、Tyr145)、または、まれにかつ控えめに置換される(括弧内は発生数:E29D(2)、K30R(1)、A31G(16)、A31N(1)、F32L(1)、SeeN(13)、G61E(1)、M144T(1))。保存された残基のほとんどは、N末端ドメインの表面に露出し、巨大分子相互作用機能の可能性を示唆する。N末端ドメインの頂端裂の残基は、インビトロでのカプシド形成時に分子間インタフェースに参加する。抑制化合物は、適切なカプシド組み立てのために必要な分子間CA−CA相互作用を抑制することにより、機械論的に機能することができる。
【0064】
残基、Trp23およびVal59は、それらがCA単量体のへリックス1、2および3の間に埋まっているという事実にもかかわらず、抑制配位子の結合時に顕著な化学的シフト変化を示す。従って、組み立て抑制剤はカプシドタンパク質の局部構造を改変し、それにより、CA−CA相互作用を拮抗的に抑制するかまたは構造の歪んだカプシド外殻の形成を促進するようである。
【0065】
カプシド組み立ての抑制は、配位子がCAに対して並はずれて高い親和性を有することを必要としない。これは、組み立てられるビリオン内のGag分子の高い局部濃度(14mM)によるものらしく、かかる濃度が、低親和性さえある配位子、例えばN−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N’−[2−[([5−[(ジメチルアミノ)−メチル]−2−フリル]−メチル)−スルファニル]エチル]尿素(CAP−1)による結合に有利に働く。
【0066】
【化12】

よって、出芽ウイルスと細胞との細胞間ゾル薬剤濃度が等しい(100μM)と控えめに仮定して、標準的な質量作用計算により、CAに結合するウイルスCAP−1分子の割合を見積もることができ、結合CAP−1の濃度([CA:CAP−1])に関する数値、94μMが得られる。これは、未成熟ビリオン(100μM用量)内のCAP−1分子の94%がGagに結合していること、および、ウイルス成熟時の核組み立てを抑制するためには、ビリオン当たり約25個という少数のGag分子への結合で十分であることを示す。
【0067】
CAと抑制剤CAP−1との間の顕著な相互作用は、Tyr145の芳香環とCAP−1のフランとの間、CAP−1の芳香環の塩素とIle37の疎水性側鎖との間の相互作用、並びに、Ser146の硫黄とヒドロキシル基との間、および、Ser33のヒドロキシル側鎖とCAP−1のフランの第5位のジメチルアミノメチル置換基の窒素との間の相互作用を含む。本願で説明されるものを含め、その他の尿素が、カプシドタンパク質との間で機能的に非常によく似た相互作用を持つ場合がある。
【0068】
配位子CAP−1およびその構造同族体の存在下での、カプシドタンパク質の多次元NMRスペクトルの検査から得られたデータは、配位子に対して潜在的に高親和性の結合部位が存在することを明らかに示す。様々な特定的相互作用および選択的相互作用が予期せず判明し、かかる部位の存在を明らかに示すだけでなく、その部位に対してどれほど極度に親和性が高い配位子が指定されたかを示唆するためにも役立つ。
【0069】
CAP−1配位子内に存在するいくつかの構造的特徴が、高親和性部位での配位子結合に関連することは自明のこととされている。分子の片側に置換フェニル基またはその他の置換アリール基があって相対的に大きい置換基を含むことが望ましい。CAP−1内では、塩素原子がこの目的に適う。しかしながら、実験データとモデル・フィッティングと組み合わせは、Br原子の使用、またはI原子の使用でさえも、結合の親和性を高める場合があったことを示唆する。また、CAP−1内における硫黄原子の相対的位置も重要である。異なる酸化状態の硫黄の使用が、本システムでの活性に役立たないことはまず間違いない。これは、スルホンまたはスルホンアミドについては真実である。
【0070】
また、本願では、上記の式Iの化合物および薬学的に許容可能な塩に加えて、下記に改めて記載される同じ一般式を有する化合物および塩、並びに、以下の条件の1つ以上を満たす式I−Aおよび式I−Bの化合物および塩も提供される。
【0071】
【化13】

i.ZはSであり、例えば、本発明は、式IIの化合物および塩を提供する。
【0072】
【化14】

ii.ZはOであり、例えば、本発明は、式IIIの化合物および塩を提供する。
【0073】
【化15】

iii.YはNであり、例えば、本発明は、式IVおよびVの化合物および塩を提供する。
【0074】
【化16】

【0075】
【化17】

iv.XはCR’であり、例えば、本発明は、式VI〜IXの化合物および塩を提供する。
【0076】
【化18】

v.ZはNであり、例えば、本発明は、式Xの化合物および塩を提供する。
【0077】
【化19】

vi.YはSまたはOであり、例えば、本発明は、式XIおよびXIIの化合物および塩を提供する。
【0078】
【化20】

vii.ZはN、Yは任意にSまたはO、XはCR’であり、例えば、本発明は、式XIIIおよびXIVの化合物および塩を提供する。
【0079】
【化21】

viii.Rは水素、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、各R’は別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである。
【0080】
ix.Rは水素またはメチルであり、各R’は別個に水素、ハロゲン、メトキシまたはメトキシである。
【0081】
x.RおよびR’は共に水素である。
【0082】
xi.RおよびRは別個に水素またはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルもしくは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0083】
xii.RおよびRは別個に水素またはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルもしくは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0084】
xiii.Rはメチルであり、RはC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルである。
【0085】
xiv.RおよびRは、単環式または二環式の複素環を形成するためにひとまとめにされ、かかる複素環が飽和環、部分不飽和環または芳香族環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0086】
xv.Rはメチルまたはエチルであり、Rはメチル、ベンジルまたは次式の基であって、
【0087】
【化22】

アスタリスク(*)が、窒素へのRの基の付着点を示すか、または、RおよびRは、ピペリジニル基、ピロリジニル基もしくはアゼチジニル基を形成するために1つにされる。
【0088】
xvi.本願において、式XVの化合物および塩が提供され、
【0089】
【化23】

式XVの範囲内では、R10およびR11は1つになってハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基を表す。
【0090】
xvii.XはNRまたはCR’であり、Rは、5〜7員の複素環を形成するためにXとひとまとめにされ、かかる複素環が、部分不飽和環または芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、オキソ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0091】
xviii.本願において、式XVIの化合物および塩が提供され、
【0092】
【化24】

10は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基を表す。
【0093】
xix.RおよびRは別個に水素、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである。
【0094】
xx.RおよびRは別個に水素またはメチルである。
【0095】
xxi.AはN、AはCR、AはCRであり、例えば、本願では、式XVIIの化合物および塩が提供される。
【0096】
【化25】

xxii.AはCR、AはN、AはCRであり、例えば、本願では、式XVIIIの化合物および塩が提供される。
【0097】
【化26】

xxiii.AはCR、AはCR、AはNであり、例えば、本願では、式XIXの化合物および塩が提供される。
【0098】
【化27】

xxiv.本願において、AがCR、AがCR、AがCRである式Iの化合物および塩が提供される。
【0099】
xxv.A〜AはNではなく、R、RおよびRは別個に水素、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシである。
【0100】
xxvi.A〜AはNではなく、R、RおよびRはすべて水素である。
【0101】
xxvii.A〜AはNではなく、RおよびRは別個に(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノまたはニトロであるか、または、(ii)C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0102】
xxviii.A〜AはNではなく、RおよびRは別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである。
【0103】
xxix.A〜AはNではなく、RおよびRは別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである。
【0104】
xxx.A〜AはNではなく、RおよびRは別個に水素、ハロゲン、シアノ、メチル、メトキシ、プロピニルまたはトリフルオロメチルである。
【0105】
xxxi.A〜AはNではなく、Rはハロゲン、Rはメチルである。
【0106】
xxxii.A〜AはNではなく、Rは、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するためにRと1つにされ、かかる環の各々が、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜2個の置換基で置換される。
【0107】
xxxiii.A〜AはNではなく、Rは、N、OおよびSから別個に選択される2または3個のヘテロ原子を有する非置換5員のヘテロアリール環を形成するためにRと1つにされる。
【0108】
xxxiv.A〜AはNではなく、Rは、非置換の1,2,5−チアゾリル環、1,2,5−オキサジアゾリル環またはイミダゾリル環を形成するためにRと1つにされる。
【0109】
xxxv.A〜AはNではなく、Rは、条件xxxii、xxxiiiまたはxxxivの通りにRと1つにされ、R、RおよびRは別個に水素、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシである。
【0110】
xxxvi.A〜AはNではなく、Rは、条件xxxii、xxxiiiまたはxxxivの通りにRと1つにされ、R、RおよびRはすべて水素である。
【0111】
xxxvii.A〜AはNではなく、RおよびRは、フェニル環か、またはN、OもしくはSから別個に選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するために1つにされ、かかる環の各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0112】
xxxviii.A〜AはNではなく、RおよびRは、フェニル環か、またはN、OもしくはSから別個に選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するために1つにされ、かかる環の各々が、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0113】
xxxix.A〜AはNではなく、RおよびRは、フェニル環、ピリジル環、チエニル環、ピロリル環、イミダゾリル環またはチアゾリル環を形成するために1つにされ、かかる環の各々が、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される。
【0114】
xl.A〜AはNではなく、R、RおよびRはすべて水素であり、
は水素、メチル、メトキシ、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、トリフルオロメチル、シアノ、アセチル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、プロプ−1−イニルまたはフラニルであり、
は水素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、メチル、メトキシ、シアノ、クロロまたはフルオロである。
【0115】
上記の条件は、式Iの安定した化合物になる限り、組み合わせることができる。例えば、本発明は、条件xix(RおよびRは別個に水素、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである)と条件xxx(RおよびRは別個に水素、ハロゲン、シアノ、メチル、メトキシ、プロピニルまたはトリフルオロメチルである)とが共に満たされる式Iの化合物を含む。
【0116】
(医薬組成物)
式Iの化合物および塩は、純化学物質として投与できるが、医薬組成物または製剤として投与されることが望ましい。これに応じて、本発明は、1つ以上の薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤、佐剤、希釈剤、賦形剤またはその他の成分と共に式Iの化合物または薬学的に許容可能な塩を含む医薬製剤を提供する。
【0117】
一般式Iの化合物は、薬学的に許容可能な非毒性の従来のキャリア、賦形剤、佐剤およびビヒクルを含む服用量単位処方で、経口投与、局所投与、非経口投与、吸入もしくは噴霧投与、舌下投与、経皮投与、口腔投与、直腸投与、点眼液としてまたはその他の手段により投与できる。
【0118】
式Iの化合物または塩を含む医薬組成物であって、かかる組成物が注射液、エアゾール、クリーム、ゲル、丸薬、カプセル、錠剤、シロップ、経皮パッチまたは点眼液として処方される組成物が、本願において提供される。
【0119】
対象化合物に加えて、本発明の組成物は、薬学的に許容可能なキャリア、1つ以上の融和性のある固体もしくは液体充填希釈剤または被包剤であって動物への投与に適したものを含むことができる。キャリアは、被治療動物への投与に適したものとなるように純度が十分に高く毒性が十分に低くなければならない。キャリアは、不活性であることができるか、または、独自の薬学的利益を持つことができる。化合物と共に用いられるキャリアの量は、化合物の単位用量当たり投与に、実用的数量の材料を提供するために十分な量である。
【0120】
例示的な薬学的に許容可能なキャリアまたはそれらの成分は、乳糖、ブドウ糖および蔗糖のような糖、トウモロコシ澱粉および馬鈴薯澱粉のような澱粉、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、エチル・セルロースおよびメチル・セルロースのようなセルロースおよびその誘導体、トラガカント粉末、麦芽、ゼラチン、タルク、ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムのような固体潤滑剤、硫酸カルシウム、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油およびトウモロコシ油のような植物油、プロピレン・グリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレン・グリコールのようなポリオール、アルギン酸、TWEENSのような乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤、着色剤、香料賦形剤、錠剤成形剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、発熱物質除去水、等張生理食塩水並びに燐酸塩緩衝溶液である。
【0121】
特に、全身投与のために薬学的に許容可能なキャリアは、糖、澱粉、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、燐酸塩緩衝溶液、乳化剤、等張生理食塩水並びに発熱物質除去水を含む。非経口投与のために望ましいキャリアは、プロピレン・グリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノールおよびゴマ油を含む。
【0122】
任意の活性剤が、医薬組成物に含まれることができ、かかる活性剤は、本発明の化合物の活性に大して干渉しない。
【0123】
薬学的に許容可能な塩、エステルまたはその他の誘導体を含め、有効濃度の本発明の化合物の1つ以上が、1つ以上の適した医薬キャリア、賦形剤、佐剤またはビヒクルと混ぜ合わされる。化合物が不十分な溶解度を示す場合、化合物の溶解度を高めるための方法が利用できる。かかる方法は、当業者には知られており、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような共溶媒の使用、トゥイーンのような界面活性剤の使用、または、重炭酸ナトリウム水溶液内での溶解を含むがそれらに限定されない。化合物の塩または化合物のプロドラッグのような化合物の誘導体も、有効な医薬組成物を処方するために使用できる。
【0124】
式Iの化合物の混合または添加により得られる混合物は、溶液、懸濁液、乳剤または同種のその他のものであることができる。得られる混合物の形態は、意図される投与モード、および選ばれたキャリアまたはビヒクルの中での化合物の溶解度を含め、いくつかの要因に左右される。治療される疾病、疾患または症状の徴候を改善するために十分な有効濃度は経験的に判断できる。
【0125】
一般式Iの化合物を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、菱形錠剤、水性もしくは油性懸濁液、分散可能な粉末もしくは顆粒、乳剤、ハードもしくはソフト・カプセル、またはシロップもしくはエレキシルとして、経口使用に適した形態であることができる。経口用に意図される組成物は、医薬組成物の製造のために当業者に知られている方法に従って調製でき、かかる組成物は、口当たりの良い薬学的に洗練された調剤を提供するために、甘味剤、香料賦形剤、着色剤および防腐剤のような1つ以上の作用剤を含むことができる。
【0126】
経口製剤は、本発明の化合物を0.1〜99%含み、通例、本発明の化合物を少なくとも約5%(重量%)は含む。いくつかの実施例は、本発明の化合物を約25%〜約50%または約5%〜約75%含む。
【0127】
(液体製剤)
本発明の化合物は、例えば水性もしくは油性懸濁液、溶液、乳剤、シロップまたはエレキシルのような、経口液体調剤に組み込まれることができる。さらに、これらの化合物を含む製剤は、使用前に水またはその他の適したビヒクルと合わさった構成にするための乾燥生成物として提示できる。かかる液体調剤は、懸濁化剤(例えばソルビトール・シロップ、メチル・セルロース、ブドウ糖/糖、シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチル・セルロース、カルボニルメチル・セルロース、ステアリン酸アルミニウム・ゲルおよび水素化食用脂乳化剤)、乳化剤(例えばレシチン、ソルビタン・モノオレエートまたはアカシア)、食用油(例えばアーモンド油、ヤシ油、シリル・エステル、プロピレン・グリコールおよびエチル・アルコール)を含むことができる非水性ビヒクル、および防腐剤(例えばメチルまたはプロピルのp−ヒドロキシベンゾアートおよびソルビン酸)のような従来の添加物を含むことができる。
【0128】
また、経口投与組成物は、液体溶液、乳剤、懸濁液、粉末、顆粒、エレキシル、チンキ、シロップおよび同種のその他のものも含む。かかる組成物の調製に適した薬学的に許容可能なキャリアは、当業ではよく知られている。経口製剤は、防腐剤、香料賦形剤、蔗糖またはサッカリンのような甘味剤、矯味剤および着色剤を含むことができる。
【0129】
シロップ、エレキシル、乳剤および懸濁液のためのキャリアの代表的な成分は、エタノール、グリセロール、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール、蔗糖液、ソルビトールおよび水を含む。シロップおよびエレキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレン・グリコール、ソルビトールおよび蔗糖と共に処方できる。かかる製剤は、緩和剤も含むことができる。
【0130】
(懸濁液)
懸濁液に関しては、代表的な懸濁化剤はメチルセルロース、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、AVICEL RC−591、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムを含み、代表的な湿潤剤はレシチンおよびポリソルベート80を含み、代表的な防腐剤はメチル・パラベンおよび安息香酸ナトリウムを含む。
【0131】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物の中に活物質を含む。かかる賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカント・ゴムおよびアカシア・ゴムであるか、分散剤もしくは湿潤剤であるか、天然型燐脂質、例えばレシチンであるか、酸化アルキレンと脂肪酸との縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレンであるか、酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールであるか、ポリオキシエチレン・ソルビトール置換物のようなヘキシトールおよび脂肪酸から誘導された部分エステルと酸化エチレンとの縮合物であるか、または、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルと酸化エチレンとの縮合物、例えばポリエチレン・ソルビトール置換物である。また、水性懸濁液は、1つ以上の防腐剤、例えばエチル、またはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾアートも含むことができる。
【0132】
油性懸濁液は、植物油、例えばピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油、または流動パラフィンのような鉱物油の中に、活性成分を懸濁することにより処方できる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチル・アルコールを含むことができる。上記のもののような甘味剤、および香料賦形剤が、口当たりの良い経口調剤を提供するために添加できる。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を添加することにより保存できる。
【0133】
(乳剤)
また、本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であることもできる。油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはピーナッツ油であるか、鉱物油、例えば流動パラフィンであるか、またはこれらの混合物であることができる。適した乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシア・ゴムまたはトラガカント・ゴム、天然型燐脂質、例えばダイズレシチン、および脂肪酸およびヘキシトールから誘導されたエステルまたは部分エステル、例えばソルビタン・モノオレエート、並びに前記部分エステルと酸化エチレンとの縮合物、例えばポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレエートである。
【0134】
(分散可能粉末)
水の添加により水性懸濁液を調製するために適した分散可能な粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の防腐剤との混合物の中で活性成分を提供する。適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、上記で説明済みのものにより例示される。
【0135】
(錠剤およびカプセル)
錠剤は通常、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、乳糖およびセルロースのような不活性希釈剤、澱粉、ゼラチンおよび蔗糖のような結合剤、澱粉、アルギン酸およびクロスカルメロースのような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクのような潤滑剤として、薬学的に親和性のある従来の佐剤を含む。二酸化珪素のような滑剤が、粉末混合物の流動特性を改善するために使用できる。FD&C染料のような着色剤が、外観のために添加できる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミントおよび果物フレーバーのような甘味剤および香料賦形剤は、チュアブル剤のために役に立つ佐剤である。カプセル(徐放性製剤および持続放出製剤を含む)は通常、上記で開示された1つ以上の固形希釈剤を含む。キャリア成分の選択はしばしば、味、費用および保管安定性のような二次的考慮事項に左右される。
【0136】
また、かかる組成物は、対象化合物が胃腸管内において望まれる局所適用箇所の近くで、または望まれる作用を延長するために様々な時期に、放出されるように従来の方法により、通常、pH被覆または時間依存被覆により被覆されることもできる。かかる服用量形態は通常、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、エチル・セルロース、ユードラギット被覆、ワックスおよびセラックの1つ以上を含むがそれらに限定されない。
【0137】
また、経口用製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、燐酸カルシウムもしくはカオリンと混ざった硬質ゼラチン・カプセル、または活性成分が水媒体もしくは油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混ざった軟質ゼラチン・カプセルとしても提示できる。
【0138】
(注射可能製剤および非経口製剤)
医薬組成物は、注射可能な無菌の水性または油性懸濁液の形態であることができる。この懸濁液は、上記の適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、既知の技術に従って処方できる。また、注射可能な無菌調剤は、非経口的に許容可能な無毒の希釈剤または溶媒に注射可能な無菌の溶液または懸濁液を入れたもの、例えば1,3−ブタンジオール溶液であることもできる。許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液を含む。加えて、無菌の不揮発性油も、溶媒または懸濁化媒体として従来的に用いられる。この目的のためには、合成のモノ−またはジ−グリセリドを含め、無刺激性の不揮発性油が使用できる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸も、注射可能物の調製に役立つ。
【0139】
式Iの化合物は、無菌媒体に入れて非経口的に投与できる。非経口投与は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、くも膜下注射または点滴の手法を含む。薬剤は、用いられるビヒクルおよび濃度に応じて、ビヒクルに懸濁または溶解できる。有利なことに、局部麻酔薬、防腐剤および緩衝剤のような佐剤はビヒクルに溶解できる。非経口投与のための組成物では、キャリアは、重量で組成物全体の少なくとも約90%を含む。
【0140】
(局所製剤)
本発明の化合物は、眼内のような皮膚膜および粘膜へのゲル、クリームおよびローションの形態での局所適用、並びに目への適用、またはくも膜下槽内もしくは脊髄内適用のような、局部または局所適用のために処方できる。本発明の局所組成物は、例えば溶液、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、乳液、クレンジング剤、保湿剤、スプレー、皮膚パッチおよび同種のその他のものを含め、いずれの形態でもあることができる。
【0141】
かかる溶液は、適切な塩を用いて約5〜7のpHの0.01%〜10%の等張液として処方できる。また、本発明の化合物は、経皮パッチとして経皮投与のためにも処方できる。
【0142】
活性化合物を含む局所組成物は、例えば水、アルコール、アロエベラ・ゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびE油、鉱物油、プロピレン・グリコール、プロピオン酸PPG−2ミリスチル並びに同種のその他のものような、当業ではよく知られている様々なキャリア材料と混合できる。
【0143】
局所用キャリア内での使用に適したその他の材料は、例えば皮膚軟化剤、溶媒、湿潤剤、増粘剤および粉末を含む。単独でか、または1つ以上の材料の混合物として使用できるこれらの種類の材料の各々の例は、次の通りである。
【0144】
ステアリル・アルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ミンク油、セチル・アルコール、イソステアリン酸イソ−プロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソ−ブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイル・アルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチル・アルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソ−プロピル、パルミチン酸イソ−プロピル、ステアリン酸イソ−プロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレン・グリコール、トリエチレン・グリコール、ラノリン、ゴマ油、ヤシ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリン・アルコール、石油、鉱物油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシルおよびミリスチン酸ミリスチルのような皮膚軟化剤;プロパン、ブタン、イソ−ブタン、ジメチル・エーテル、二酸化炭素および亜酸化窒素のような推進剤;エチル・アルコール、塩化メチレン、イソ−プロパノール、ヒマシ油、エチレン・グリコール・モノエチル・エーテル、ジエチレン・グルコール・モノブチル・エーテル、ジエチレン・グリコール・モノエチル・エーテル、ジメチル・スルホキシド、ジメチル・ホルムアミド、テトラヒドロフランのような溶媒;グリセリン、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチルおよびゼラチンのような湿潤剤;チョーク、タルク、フラー土、カオリン、澱粉、ゴム、コロイド状二酸化珪素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラ・アルキル・アンモニウム・スメクタイト、トリアルキル・アリール・アンモニウム・スメクタイト、化学的に修飾された珪酸マグネシウム・アンモニウム、有機的に修飾されたモンモリロナイト粘土、珪酸アルミニウム水和物、ヒュームド・シリカ、カルボキシビニル・ポリマー、ナトリウム・カルボキシメチル・セルロースおよびモノステアリン酸エチレン・グリコールのような粉末。
【0145】
また、本発明の化合物は、小型単層小胞体、大型単層小胞体および多層小胞体のようなリポソーム送達システムの形態でも局所投与できる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンのような様々な燐脂質から形成できる。
【0146】
(その他の製剤)
対象化合物の全身送達を成し遂げるために役立つその他の組成物は、舌下服用量、口腔内服用量および鼻服用量の形態を含む。かかる組成物は通常、蔗糖、ソルビトールおよびマンニトールのような1つ以上の可溶性充填物質、並びにアカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチル・セルロースおよびヒドロキシプロピル・メチルセルロースのような結合剤を含む。また、上記で開示された滑剤、潤滑剤、甘味剤、着色剤、酸化防止剤および香料賦形剤も含まれることができる。
【0147】
吸入のための組成物は通常、乾燥粉末として投与可能な溶液、懸濁液もしくは乳剤の形態で、または従来の推進剤(例えばジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタン)を用いてエアゾールの形態で、提供できる。
【0148】
(追加成分)
また、本発明の組成物は、任意に賦活剤も含む。賦活剤は、本発明の化合物の抗菌効果を高めるために異なるやり方で機能する多種多様な分子から選択できる。特定のクラスの賦活剤は、皮膚浸透促進剤および吸収促進剤を含む。
【0149】
また、本発明の医薬組成物は、多種多様な分子から選択される追加活性剤も含み、かかる活性剤は、本発明の化合物の抗菌効果または治療効果を高めるために異なるやり方で機能することができる。これら任意のその他の活性剤は、存在する場合には通常、約0.01%〜約15%の範囲のレベルで本発明の組成物内に用いられる。いくつかの実施例は、組成物を重量で約0.1%〜約10%含む。その他の実施例は、組成物を重量で約0.5%〜約5%含む。
【0150】
前述の実施例の全てにおいて、本発明の化合物は、単独でか、または混合物として投与でき、組成物はさらに、適応症のために適切である通りの追加の薬剤または賦形剤を含むことができる。
【0151】
(パッケージ製剤)
本発明は、パッケージ医薬製剤を含む。かかるパッケージ製剤は、式Iの化合物または塩を1つ以上含む医薬組成物を容器内に含み、HIV−1感染もしくはHIV−2感染を含めたHIV感染のようなウイルス感染を患った動物(通常ヒト患者)を治療するため、または動物のウイルス感染を防止するための、組成物の使用指示を任意に含む。ある実施例では、使用指示は、HIV−1感染を患った患者を治療するためのこの組成物の使用指示である。
【0152】
(治療方法)
本発明は、ウイルス感染のリスクがあるかまたはウイルス感染を患った動物に、1つ以上の式Iの化合物を治療上有効な量、投与することにより、ウイルス感染を防止し治療する方法を含む。ウイルス感染を治療するために本願で開示される方法は、HIV−1感染およびHIV−2感染を含めたHIV感染のようなレンチウイルス感染を含め、レトロウイルス感染を治療する方法を含む。
【0153】
カプシドタンパク質を有するウイルスは、次のものを含む。
【0154】
アレナウイルス
ブニヤウイルス、ハンタウイルス、ナイロウイルスおよびフレボウイルスのような、ブニヤウイルス科のウイルス
SARSウイルスを含めたコロナウイルス、およびトロウイルスのような、コロナウイルス科のウイルス
シストウイルス科のウイルス
マールブルグ・ウイルスおよびエボラ出血熱ウイルスを含め、フィロウイルス科のウイルス
フラビウイルス、ペスティウイルスおよびC型肝炎ウイルスのような、フラビウイルス科のウイルス。フラビウイルスは、ダニ媒介性脳炎ウイルス、黄熱病ウイルスおよびデング熱ウイルスを含む。
【0155】
B型肝炎ウイルスのような、ヘパドナウイルス科のウイルス
シンプレックスウイルス、ワリセロウイルスおよびサイトメガロウイルスのような、ヘルペスウイルス科のウイルス
インフルエンザ・ウイルスのような、オルトミクソウイルス科のウイルス
パラミクソウイルス、モービリウイルスおよびニューモウイルスのような、パラミクソウイルス科のウイルス
エンテロウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、脳心筋炎ウイルスおよびアフトウイルスのような、ピコルナウイルス
レンチウイルス、ヒト・スプマウイルスおよびオンコウイルスを含む、レトロウイルス。レンチウイルスはHIVウイルスを含む。並びに、
風疹ウイルスを含め、トガウイルス科のウイルス。
【0156】
本願には特に、HIV−1感染を防止または治療する方法、および、AIDSを治療する方法が含まれる。動物は魚類、両生類、爬虫類または鳥類であることができるが、望ましくは哺乳類である。多くの実施例では動物はヒト患者である。ヒト患者のHIV−1感染を治療する方法が特に望ましい。
【0157】
いくつかの状況では、式Iの化合物の有効な量は、ウイルス感染の徴候を軽減するために十分な量であることができる。あるいは、式Iの化合物の有効な量は、患者の組織内または体液内で検出可能なウイルスに照らしてウイルス粒子または抗体の量を顕著に減らすために十分な量であることもできる。
【0158】
また、治療方法は、インビトロでのウイルス・カプシド形成を抑制するために十分な濃度の式Iの化合物を投与することにより、HIV−1のようなウイルスに感染したかまたはAIDSを患った動物のインビボでのウイルス・カプシド形成、特にHIVカプシド形成を抑制することも含む。また、治療方法は、HIV−1に感染したヒト患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することにより、HIV−1感染および/またはAIDSの死亡率を下げることも含む。死亡率の低下は、いずれかの認められた手段形態での、死亡率の低下または生存率の上昇の測定であることができる。例えば、死亡率の低下は、式Iの化合物を投与されずその他のHIV−1感染治療も施されなかったHIV−1感染患者に比べて2年または5年長い生存率であることができる。動物に投与される化合物の「十分な濃度」によって、動物の系内において感染を防止するかまたは感染に対抗するために利用可能な化合物の濃度が表される。かかる濃度は、例えば化合物の血中濃度を検定することにより実験的に、または生物学的利用能を計算することにより理論的に確認できる。インビトロで菌の生存を抑制するために十分な化合物の量は、例えば、共に下記の通りの実施例5に示される検定または実施例6aに示される細胞保護検定のような、カプシドタンパク質に結合した化合物に関する二次元NMR検定で割り出すことができる。
【0159】
1日当たり体重1キログラム当たり約0.1mg〜約140mgの常態の服用量レベルが、上記症状の治療に役立つ(1日当たり患者当たり約0.5mg〜約7g)。単一服用量形態を生み出すためにキャリア材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療される宿主および個々の投与モードに応じて変わる。服用量単位形態は一般に、約1mg〜約500mgの活性成分を含む。
【0160】
また、服用頻度も、使用される化合物および治療される個々の病気に応じて変わる。しかしながら、ほとんどのHIV−1感染の治療のためには、1日当たり4回以下の服用計画が望ましく、1日当たり1回または2回以下の服用計画が特に望ましい。
【0161】
しかしながら、個々の患者に特定的な用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、身体全体の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路および排泄率、薬品の組み合わせ並びに治療される具体的病気の重篤度を含め、様々な要因に左右されることが理解されるはずである。
【実施例】
【0162】
(実施例1.1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素(化合物1)の調製)
(ステップ1.4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−アミン)
【0163】
【化28】

15mLのエタノールに塩酸2−アミノ−4−クロロメチルチアゾール(0.185g、1.0mモル)を入れた懸濁液に、N−メチル−N−イソプロピルアミン(3.02g、41mモル)を加える。反応混合液を4日間室温のまま放置する。炭酸カリウム水溶液に混合液を注ぎ入れた。得られた水性懸濁液をジクロロメタンを用いて抽出する。有機層をMgSO上で乾燥させ、褐色の油に濃縮させる。
【0164】
(ステップ2.1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素)
【0165】
【化29】

ジクロロメタン(0.5mL)に入れたイソシアン酸3−クロロ−4−メチルフェニル(16.7mg、0.1mモル)に、ジクロロメタン(0.5mL)に入れた4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−アミン(18mg、0.1mモル)を加える。得られた反応混合液を室温で1時間振り混ぜる。真空下で溶媒を蒸発させる。プレパラティブLCで残渣を精製し、褐色のガラス質を得る。LCMS、保持時間:1.87分、M+H+:353。
【0166】
【化30】

(実施例2.1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−p−トリル尿素トリフルオロ酢酸(化合物2)の調製)
【0167】
【化31】

まず、4−メチルアニリン(13.3mg、0.1mモル)を、トリエチルアミン(ジクロロメチレン0.25mモル中、0.5mL、0.5M)と混ぜ合わせる。ジクロロメチレン(0.5mL)にトリホスゲン(10mg、0.033mモル)を入れた室温液に、上記混合液を振り混ぜながらゆっくりと加える。得られた混合液を室温で1時間振り混ぜる。その後、ジクロロメチレン(0.5mL)に入れた4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−アミン(18mg、0.1mモル)を加える。得られた混合液を室温で1時間振り混ぜる。真空下で溶媒を蒸発させる。プレパラティブLCで残渣を精製し、褐色のガラス質を得る。LCMS、保持時間:1.65分、M+H+:319。
【0168】
(実施例3.1−(4−((アリル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)尿素トリフルオロ酢酸(化合物3)の調製)
(ステップ1.4−((アリル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−アミン)
【0169】
【化32】

N−アリル−N−メチルアミン(7.0mg、0.1mモル)、塩酸2−アミノ−4−クロロメチルチアゾール(18.5mg、0.1mモル)および炭酸カリウム(30mg、0.21mモル)をエタノール(1mL)に入れ、室温で18時間振り混ぜる。混合液を濾過し、真空下で濾液を濃縮させた。
【0170】
(ステップ2.1−(4−((アリル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)尿素トリフルオロ酢酸)
【0171】
【化33】

ジクロロメチレン(1.0mL)に入れたイソシアン酸3−クロロ−4−メチルフェニル(16.7mg、0.1mモル)を、4−((アリル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−アミンの上記残渣に加え、得られた混合液を室温で30分間振り混ぜる。真空下で溶媒を蒸発させる。プレパラティブLCで残渣を精製し、白色の綿毛様のものを得る。LCMS、保持時間:1.00分、M+H+:368。
【0172】
(実施例4.追加的な置換アリール・アミノメチル・チアゾール尿素の調製)
式Iの追加的な化合物は、下記の表で規定される。
【0173】
表Iの実施例4で報告されるLC−RT値は、HPLCカラム保持時間である。3.00分間30〜100%Bの勾配が用いられた。緩衝液Aは、水中0.1%トリフルオロ酢酸であり、緩衝液Bは、アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸であった。分析用YMCパック・プロC18カラムが2.5mL/分の流速で用いられた。すべてのHPLC/MS分析ランを、ギルソン151UV/VIS検出器を用いて220nmの波長で実行し、その後、サーモ・フィニガン探査装置MSQで質量分析を行った。このLC−MS法は、実施例1〜3で報告されたLC−MSデータを収集するためにも用いられた。
【0174】
表IIの実施例4で報告されるLC−RT値は、HPLCカラム保持時間である。2.5mL/分の流速で、A:Bが90:10の0.24分間の定組成溶離に続き、A:Bが90:10からB:Aが10:90への4分間の直線勾配溶離が用いられた。緩衝液Aは、HO中に0.1%のTFAを含み、緩衝液Bは、アセトニロリル中に0.1%のTFAを含んだ。HPLC/MS分析ランを、ギルソン151UV/VIS検出器を用いて254nmの波長で実行し、その後、サーモ・フィニガン探査装置MSQ(APCIモード)で質量分析を行った。
【0175】
生物学的データ:化合物4〜5、8〜10、13〜15、17〜18、21〜22、24〜27、29〜33、36〜39および42〜44が、実施例5で規定されるHSQC検定で試験され、HIV−1カプシドタンパク質に結合することが確認された。化合物14、15、17および38が、実施例6の細胞生死判別検定で試験され、1mM未満のKd値を示すことが判明した。
【0176】
【表1−1】

【0177】
【表1−2】

【0178】
【表1−3】

【0179】
【表1−4】

【0180】
【表1−5】

【0181】
【表1−6】

【0182】
【表1−7】

【0183】
【表1−8】

【0184】
【表2−1】

【0185】
【表2−2】

【0186】
【表2−3】

【0187】
【表2−4】

【0188】
【表2−5】

【0189】
【表2−6】

(実施例5.NMRによる配位子結合の三次元構造解析および評価)
NMR HSQCで特定されたCAP−1結合部位は、カプシドタンパク質(CA)の頂端領域にある表在性の浅いくぼみである。質量分析研究は、インビトロでのカプシド組み立て時に、カプシドの頂端領域がカプシド間インタフェースを形成することを示す。一般には、タンパク質間相互作用の抑制剤は、かなり大型で疎水性を有する必要があると信じられている。しかしながら、小型の有機分子(MW311.8)、CAP−1は、カプシド間相互作用を抑制する。さらに、質量作用計算は、ウイルス成熟時の核組み立てを抑制するためには、ビリオン当たり約25個という少数のGag分子への配位子結合で十分であることを示す。CAP−1結合がカプシドの立体配座変化を引き起こすことは自明のこととされているために、出願人は、カプシドタンパク質の頂端裂に結合する更に強力な配位子の構造ベース設計に用いるために、CAP−1結合カプシドの三次元構造を解析した。また、カプシドタンパク質配位子も、カプシド結合部位から平衡解離定数を割り出すためにNMRにより評価される。
【0190】
NMR分析のために、試験化合物のDMSO−d6濃溶液を調製する。組み換え体、15N標識付けHIV−1カプシドタンパク質および10マイクロリットルの追加試験化合物を含む水溶液について、二次元の1H−15N HSQC NMRスペクトルを求める。凍結探針を装備した600MHzのNMR計器を用いてデータを求める。NMRスペクトルの顕著な摂動を生じさせる試料は、NMRスペクトルの視覚分析または自動分析により(ワンムーン・サイエンティフィック社の「NMRビュー」ソフトウェアを用いて)容易に特定される。結合は、次のような残基の化学シフトの、カプシドタンパク質(1HNδδ>0.1ppm;15Nδδ>0.5ppm)のみを基準とした相対摂動により表示される。すなわち、いずれもへリックス束(へリックス1、2、3、4および7)の頂端かまたは頂端付近に位置するGlu29、Lys30、Ala31、Phe32、Ser33、Glu35、Val36、Val59、Gly60、Gly61、His62、Gln63、Ala65、Met144およびTyr145。
【0191】
選択されたカプシドの二次元NMRデータから、平衡解離定数を計算する。CAP−1によるカプシドの滴定時に得られた代表的な1H−15N HSQC NMRデータは、図1に示される。ほとんどのシグナルは滴定の影響を受けなかったが、シグナルの部分集合は、増加するCAP−1濃度の関数としてシフトし、部位独自の結合を示した。試験化合物の結合による摂動の化学シフト変化は、1:1の結合等温線にぴたりと合う。CAP−1は、図3、35°Cにおいて平衡解離定数(KD)が0.82±0.18mMとなる。
【0192】
(実施例6.細胞生死判別検定およびウイルス学的複製検定)
NMR HSQC結合研究により特定されたHIV−1カプシド配位子の抗ウイルス能力を評価するために、ウイルス学研究を行う。これらの化合物の抗ウイルス効果を、ウイルス複製の抑制と細胞生存率との並行研究により評価する。これらの検定で用いるためのウイルスおよび細胞は、NIHのAIDS試薬プログラムから入手できる。
【0193】
(6a.抗ウイルス効果の確認および細胞毒性の評価)
NMR HSQC研究により特定されたHIV−1カプシドの配位子を、インビトロでの細胞保護検定で試験する。細胞保護検定では、ラボ適合RF系統のHIV−1細胞およびCEM−SS細胞、またはNL4/3(受入番号M19921)系統のHIV−1細胞およびMT4細胞(NIHのAIDS試薬プログラムでの品番120)が利用される。
【0194】
CEM−SS細胞を、10%熱不活性化ウシ胎仔血清、2mmのL−グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび10μg/mLのゲンタマイシンとよく混ぜ合わせて計数し、RPMI1640媒体に再懸濁する。RPTI1640に入った連続希釈度または半連続希釈度の試験化合物を調製する(標準的6点曲線のための5希釈度)。100μLの試験化合物、または0.01μMのAZTのような対照化合物を、96ウェル・プレートの試験ウェルにピペットで移す。化合物を含む各ウェルに、50μLのCEM−SS細胞および50μLの既知MOIのウイルスを加える。また、媒体のみを含む試薬バックグラウンド・ウェル、並びに100μLのRPMI1640媒体および50μLのウイルスを含む陰性対照ウェルも調製する。
【0195】
加湿CO培養器にプレートを入れ、37°Cで6日間培養する。その後、化合物を加えたHIV−1感染細胞を培養する。通常、6点細胞生存率曲線には、100μM〜0.3μMの濃度の半対数希釈度の化合物が用いられる。化合物で処理されたモック感染細胞の生存率を測定することにより、化合物の細胞毒性を並行して割り出す。100%生存率対照には、化合物を加えない非感染細胞を用いる。化合物を加えない感染細胞は、ウイルス感染による100%細胞死に関する数値を提供する。生存細胞または生細胞の数を、Cell−Titer96(登録商標)試薬(プロメガ社、ウィスコンシン州マディソン)を用いてテトラゾリウム・ベースの比色法により定量化する。
【0196】
(6b.初期ウイルス複製の抑制)
ウイルス粒子の付着から初期遺伝子Tatの発現までの初期ウイルス複製に対する化合物の効果を、CD4陽性LTR−β−ガラクトシダーゼ発現HeLa(MAGI)細胞の表示線を用いて評価する。β−gal発現レベルを評価するために以前説明されたこの検定は、出願人の研究所において修正採用された。β−galレベルが光検出検定により定量化され、カプシド形成抑制剤で処理されていないウイルス感染細胞が最も高い発現レベルを示す。有効なカプシド形成抑制剤は、試験された濃度範囲内で50%以上、多くの事例で90%を超えて、β−gal発現を低下させる。
【0197】
MAGI細胞をトリプシン処理し、トリパン・ブルー排除法を用いて計数し、既定の濃度(通例2×104細胞/ウェル)で10%FBS補充RPMI1640に再懸濁する。細胞を37°Cで1晩培養する。
【0198】
20μg/ウェルのDEAEデキストランを加えたプレMAGI媒体の中で、ウイルスを既定のMOI/ウェルまで、通常、0.01〜1まで希釈する。
【0199】
検定プレートは、次の通りにセットアップされる。
【0200】
各薬剤は、6用量で3回繰り返して試験される。通常、6点曲線には、100μM〜0.3μMの濃度の半対数希釈度の化合物が用いられる。
【0201】
各プレートは、次のような対照ウェルを含む。
【0202】
ウイルス対照:ウイルスおよび20μg/mLの硫酸デキストランを全部で200μLのプレMAGI媒体に入れ、20μg/mLのDEAEデキストランを加えたもの。
【0203】
細胞対照:細胞を200μLのプレMAGI媒体に入れ、20μg/mLのDEAEデキストランを加えたもので、薬剤またはウイルスは含まない。
【0204】
陽性対照:細胞を100μL/ウェルのプレMAGI媒体に入れ、20μg/mLのDEAEデキストラン、50μLの調製/希釈ウイルスおよび50μLの既知活性の化合物を加えたもの。
【0205】
細胞から媒体を取り去り、20μg/mLのDEAEデキストランを加えた100μL/ウェルのプレMAGI媒体と置き換えることにより、試験化合物を含むウェルを調製する。各ウェルに、50μLの4倍濃度試験化合物を加える。ウェルごとに、追加の50μLの調製/希釈ウイルスを加える。プレートを37°Cで48時間培養する。
【0206】
48時間の培養期間後、Galスクリーニング試薬を、4°Cから除去し、使用前に室温に暖まるまで放置する。試薬が室温に達したら、Galスクリーニング基質を、Galスクリーニング緩衝液AまたはBで1:25に希釈する(各960μLにつき40μL)。
【0207】
試験化合物ウェル、細胞対照、ウイルス対照および陽性対照を含め、すべてのウェルから100μLの上澄み液を取り除いて捨てる。ウェルごとに、100μLのGalスクリーニング試薬(アプライド・バイオシステムズ、カリフォルニア州フォスターシティー)を加える。
【0208】
室温(25°C)で60〜90分間か、または一定光放射に達するまで、プレートを培養する。プレートを照度計で読み取り、0.1〜1.0秒/ウェルで測定する。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】CAP−1によるカプシドの滴定時に得られた代表的な1H−15N HSQC NMRデータ。
【図2】KDを割り出すために用いられた、添加CAP−1の関数としての化学シフト変化。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

という式を有する化合物であって、
式中、Aが以下の式(a)もしくは(b):
【化2】

であるか、または、それらの薬学的に許容可能な塩であり、
X、YおよびZが各々、別個にN、NR、SまたはCR’であって、X、YおよびZの少なくとも1つがN、NRまたはSであるか、
Rが水素、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであって、
各R’が別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであるか、
XがNRまたはCR’である場合には、Xが、5〜7員の複素環を形成するためにRとひとまとめにでき、該複素環が、部分不飽和環または芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、オキソ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換され、
が水素であるか、もしくは
がC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換されるか、または
が水素であるか、もしくは
がC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換されるか、または
およびRが、単環式または二環式の複素環を形成するためにひとまとめにされ、該複素環が飽和環、部分不飽和環または芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換されるか、または
がXとひとまとめにでき、
およびRが別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであり、
がNまたはCRであり、
がNまたはCRであり、
がNまたはCRであって、
、AおよびAの1つ以下が窒素であり、
が水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、直鎖C−Cアルキル、直鎖C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであるか、または
が、フェニル環か、もしくはN、OおよびSから別個に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するためにRと1つにされ、該環の各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換され、
およびRが別個に、
(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノまたはニトロであるか、
(ii)C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換されるか、または、
(iii)N、SおよびOから別個に選択される1個または2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール基であるか、
がRと1つにされるか、
およびRが、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するために1つにされ、該環の各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換され、
およびRが別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、直鎖C−Cアルキル、直鎖C−Cアルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであり、
12が水素、C−Cアルキルまたは(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルであり、
13が、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜2個の置換基である、化合物または塩。
【請求項2】
Aが式(a):
【化3】

の基である、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
Aが式(b):
【化4】

の基である、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項4】
【化5】

という式の、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項5】
XがCR’である、請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項6】
【化6】

という式の、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項7】
XがCR’である、請求項6に記載の化合物または塩。
【請求項8】
【化7】

という式の、請求項7に記載の化合物または塩。
【請求項9】
Rが、存在する場合には水素、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
各R’が別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項10】
Rが水素またはメチルであり、
各R’が別個に水素、ハロゲン、メトキシまたはメトキシである、請求項9に記載の化合物または塩。
【請求項11】
RおよびR’が、存在する場合には水素である、請求項10に記載の化合物または塩。
【請求項12】
およびRが別個に、
水素であるか、または、
−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項13】
およびRが別個に水素であるか、または、
−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項12に記載の化合物または塩。
【請求項14】
がメチルであり、
がC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルである、請求項13に記載の化合物または塩。
【請求項15】
およびRが、単環式または二環式の複素環を形成するためにひとまとめにされ、該複素環が飽和環、部分不飽和環または芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項16】
【化8】

という式であって、
10およびR11が1つになってハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基を表す、請求項15に記載の化合物または塩。
【請求項17】
XがNRまたはCR’であり、
が、5〜7員の複素環を形成するためにXとひとまとめにされ、該複素環が部分不飽和環または芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、オキソ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項18】
【化9】

という式であって、
10が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基を表す、請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項19】
およびRが別個に水素、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項20】
およびRが別個に水素またはメチルである、請求項19に記載の化合物または塩。
【請求項21】
、RおよびRが別個に水素、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシである、請求項1〜20のいずれかの化合物または塩。
【請求項22】
、RおよびRがすべて水素である、請求項21に記載の化合物または塩。
【請求項23】
およびRが別個に、
(i)水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノまたはニトロであるか、または、
(ii)C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであって、それらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項24】
およびRが別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである、請求項23に記載の化合物または塩。
【請求項25】
およびRが別個に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、モノ−(C−Cアルキル)アミノもしくはジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシである、請求項24に記載の化合物または塩。
【請求項26】
およびRが別個に水素、ハロゲン、シアノ、メチル、メトキシ、プロピニルまたはトリフルオロメチルである、請求項25に記載の化合物または塩。
【請求項27】
が水素であり、Rがメチルである、請求項26に記載の化合物または塩。
【請求項28】
が、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するためにRと1つにされ、該環の各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項29】
が、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するためにRと1つにされ、該環の各々が、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜2個の置換基で置換される、請求項28に記載の化合物または塩。
【請求項30】
が、N、OおよびSから別個に選択される2個または3個のヘテロ原子を有する非置換5員のヘテロアリール環を形成するためにRと1つにされる、請求項29に記載の化合物または塩。
【請求項31】
が、非置換の1,2,5−チアゾリル環、1,2,5−オキサジアゾリル環またはイミダゾリル環を形成するためにRと1つにされる、請求項30に記載の化合物または塩。
【請求項32】
、RおよびRが別個に水素、ハロゲン、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシである、請求項28〜31のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項33】
、RおよびRがすべて水素である、請求項32に記載の化合物または塩。
【請求項34】
およびRが、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するために1つにされ、該環の各々が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−(C=O)NH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、モノ−(C−Cアルキル)アミノおよびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル並びにC−Cハロアルコキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項35】
およびRが、フェニル環か、またはN、OおよびSから別個に選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5員もしくは6員のヘテロアリール環かを形成するために1つにされ、該環の各々が、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項34に記載の化合物または塩。
【請求項36】
およびRが、フェニル環、ピリジル環、チエニル環、ピロリル環、イミダゾリル環またはチアゾリル環を形成するために1つにされ、該環の各々が、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから別個に選択される0〜3個の置換基で置換される、請求項35に記載の化合物または塩。
【請求項37】
該化合物が、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−p−トリル尿素トリフルオロ酢酸、
1−(4−((アリル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)尿素トリフルオロ酢酸、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((ジメチルアミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((ジエチルアミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((ベンジル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−(((2−メトキシエチル)(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−(((2−アミノ−2−オキソエチル)(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソブチル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソペンチル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−フルオロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−ブロモ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−ヨード−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3,4−ジメチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(3−クロロ−4−シアノフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(1H−インドール−5−イル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(2−メチルベンゾ[d]チアゾール−5−イル)尿素、
1−(3−クロロフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−ブロモフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(ナフタレン−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピルアミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−メトキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((シクロブチル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(4−((シクロプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(4−((第二ブチル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(4−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
エチル6−メチル−2−(3−p−トリルウレイド)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシレート、
1−(3−(3−ヒドロキシプロプ−1−イニル)−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(4−メチル−3−(プロプ−1−イニル)フェニル)尿素、
1−(3−(ブト−1−イニル)−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−(ピペリジン−1−イルメチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(5−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(5−エチル−4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル)尿素、
1−(ベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール−4−イル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール−4−イル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)尿素、
1−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
N−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)チアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−カルボキサミド、
N−(4−(ピペリジン−1−イルメチル)チアゾール−2−イル)ベンゾ[d]チアゾール−6−カルボキサミド、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)オキサゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((アゼチジン−1−イルメチル)チアゾール−2−イル)−3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−アセチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−(ヒドロキシメチル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−(6−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)ピリジン−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)尿素、
1−(3−アセチル−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−シクロプロピル−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−5−シクロプロピルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−シクロプロピルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−(フラン−3−イル)−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−5−(フラン−3−イル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−(フラン−3−イル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)−3−(3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−((1−シクロブチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−((1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、
1−(3−クロロ−4−(フラン−3−イル)フェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素、または、
1−(3−クロロ−5−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−(4−((イソプロピル(メチル)アミノ)メチル)チアゾール−2−イル)尿素である、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項38】
少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤と組み合わせて、請求項1〜37のいずれかの化合物または塩を含む医薬組成物。
【請求項39】
前記組成物が注射液、エアゾール、クリーム、経口液、錠剤、ゲル、丸薬、カプセル、シロップまたは経皮パッチとして処方される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
細胞内でのウイルス・カプシド形成を抑制する方法であって、該方法が、インビトロでの該ウイルス・カプシドの形成を検出可能なほど抑制するために十分な量の請求項1〜37のいずれか1項に記載の化合物または塩を、カプシドタンパク質を有するウイルスに感染した細胞に接触させ、それにより、該細胞内での該ウイルス・カプシドの形成を抑制するステップを含む方法。
【請求項41】
細胞内でのウイルス・カプシド形成を抑制する方法であって、該方法が、該カプシドタンパク質の頂端裂に検出可能なほど結合するために十分な量の請求項1〜37のいずれか1項に記載の化合物または塩を、カプシドタンパク質を有するウイルスに感染した細胞に接触させ、それにより、該細胞内での該ウイルス・カプシドの形成を抑制するステップによる方法。
【請求項42】
前記ウイルスがレトロウイルスである、請求項40または請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ウイルスがHIVである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ウイルスがHIV−1である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
カプシドタンパク質を有するウイルスに感染した動物を治療するための医薬品の製造への、請求項1〜37のいずれかいずれか1項に記載の化合物または塩の使用。
【請求項46】
前記動物がヒト患者である、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
カプシドタンパク質を有する前記ウイルスがHIVである、請求項45または請求項46に記載の使用。
【請求項48】
カプシドタンパク質を有する前記ウイルスがHIV−1である、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
HIV−1感染の死亡率を下げるための医薬品の製造への、請求項1〜37のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−519862(P2008−519862A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541441(P2007−541441)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/041358
【国際公開番号】WO2006/053323
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(504378685)アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (22)
【出願人】(507154398)ユニバーシティ オブ メリーランド (1)
【Fターム(参考)】