説明

HMG−CoA還元酵素由来のペプチド、および、前記ペプチドを含む美容または医薬組成物

本発明は、ヒトHMG-CoA還元酵素由来の、一般式(I):


のペプチドに関する。また、本発明は、少なくとも一つの一般式(I)のペプチドを、生理的に適した媒体中に含む、美容または医薬組成物に関する。
さらに、本発明は、皮膚のバリア機能を強化する、および、表皮の分化を刺激することを意図した美容組成物における、ヒトHMG-CoA還元酵素を活性化する有効成分としてのこの新規ペプチドの使用に関する。さらに、本発明は、外部ストレスおよび皮膚の加齢の兆候を予防する、および/または、対処することを意図した、美容処理方法に適応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容および医薬分野、ならびに、さらに特に皮膚科学分野に位置する。
【0002】
本発明は、ヒト 3-ヒドロキシ-3メチル-グルタリル Co-A還元酵素(ヒトHMG-CoA還元酵素)由来のペプチド、および、さらに特に、一般式(I)のペプチド:
【0003】
【化1】

【0004】
に関する。
【0005】
また、本発明は、生理的に適した媒体中で、単独、または、少なくとも一つの他の有効成分と組み合わせて使用される、一般式(I)のペプチドを含む、美容または医薬組成物に関する。また、本発明は、皮膚のバリア機能を強化する、および表皮の分化を刺激することを意図した美容組成物中において、ヒトHMG-CoA還元酵素を活性化する有効成分としての、この新規ペプチドの使用に関する。また、本発明は、バリア機能の変化に関連する病理学的機能不全の予防または治療を意図した医薬組成物、特に皮膚科学組成物を製造するための、この新規有効成分の使用に関する。さらに、本発明は、効果的な量の有効成分または有効成分を含む組成物を、治療するべき領域に適応することによって、外部のストレスおよび皮膚の加齢の兆候を予防する、および/または、対処することを意図した、美容処理方法に適応する。
【背景技術】
【0006】
表皮の第一の機能は、外部の環境と内部の環境との間のバリアを構成することである。表皮の一番外側の層、表皮の角質層がこの機能を保障する。角質層は、その分化の最終段階における角化細胞である、柔軟性および不浸透性の両方がある薄い細胞間のつながりによって互いに密閉される角質細胞から成る。従って、角質細胞で構成される細胞の区画、および、多重膜構造に組織化された、主に脂質類で構成される細胞外の区画は、表皮の角質層内で区別される。
【0007】
ヒト表皮の角質層の脂質の含有量は、個人差がかなり著しいものの、15%コレステロールエステル、16%遊離長鎖飽和脂肪酸、32%コレステロール、および、37%セラミド類と見積もられる(Norlen L. et al. J. Invest. Dermatol. 1999; 112(1) p. 72-77)。前記脂質類は、表皮の中間層由来の角化細胞によって合成され、「層板顆粒」または「オドランド小体」と呼ばれる、特化した細胞内小器官で分泌される。特に、表皮は、コレステロール合成が非常に活性な部位である。この合成の律速段階、および、最も精巧に制御された工程は、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイムA(HMG-CoA)のメバロナートへの変換である。前記工程は、HMG-CoA還元酵素と呼ばれる、膜結合性酵素によって触媒される(E. C. 1. 1. 1. 34)。ヒトゲノム配列決定データは、HMG-CoA還元酵素に関して、第5染色体に位置するユニークな遺伝子によってコードされた、少なくとも二つのアイソフォームが存在することを示す(Luskey et al., J Biol Chem., 1985 260(18), p. 10271-7)。
【0008】
皮膚において、コレステロールは膜の流動性に関与し、特に、脂質二重層での炭化水素鎖の移動性を確保すると考えられる(Martini M. C.,Pathol. Biol. 2003, (51), p. 267-270)。従って、生理的状況において、コレステロールは恒常性を維持するために必要なレベルで合成される。一方で、皮膚のバリアにおける突然の変化の後に、コレステロール合成の著しい、および迅速な増加が観察され、この増加は、HMG-CoA還元酵素の発現および活性の増加に関連する(Menon G. K. et al., J. Lipid, Res, 1985, (26), P. 418-427)。
【0009】
HMG-CoA還元酵素の重要な役割によって、HMG-CoA還元酵素が、生物におけるコレステロールの発現を調節するための最も重要な標的となっている。従って、循環コレステロールを低くすることを目的として、HMG-CoA還元酵素を阻害することを意図したあるクラスの薬理的な化合物(スタチンと呼ばれる)が開発された。また、スタチンの阻害効果は、ヒト皮膚において明らかである。実際、局所的経路によるスタチンの実験的投与は、皮膚のバリア機能を混乱させる(Proksch E. et al., British J. Dermatol., 1993, (128), p. 473-482)。前記結果は、表皮バリア機能におけるコレステロールの重要性、および、コレステロール合成の調整におけるHMG-CoA還元酵素の中心的役割を、裏付ける。
【0010】
皮膚が加齢するにつれ、皮膚バリアの整合性は、修復に関する能力と同様に、変化する。脂質類の全般的欠乏が見られると、表皮の角質層の細胞外区画における脂質多層の減少という結果となる。前記機能的変化は、外部ストレスへの、加齢した肌の増加した感受性と相関する(Ghadially R. et al., J Clin Invest., 1995(95(5), p. 2281-90)。
【0011】
内因性の、または、光に誘導された老化と独立して、皮膚バリアにおける変化は、外部ストレスの間に生じうる。
【0012】
「外部ストレス」なる表現を、環境が作り出しうるストレスを示すと理解する。例として、例えば、汚染、UV照射、または、他の刺激性の生成物、例えば、界面活性剤、保存料、もしくは香料、または機械的ストレス、例えば、擦り傷、髭剃り、もしくは脱毛が挙げられる。汚染を、例えばディーゼル粒子、オゾン、または、重金属が原因の「外部」汚染、および、特にペンキ、接着剤、または(トルエン、スチレン、キシレン、もしくはベンズアルデヒドのような)壁紙溶剤からの放出、あるいはタバコの煙が原因になりうる「内部」汚染の、両方を指すと理解する。大気の乾燥度もまた皮膚ストレスの重要な要因である。これら外部ストレスは、皮膚の不快感、不愉快な感覚現象、例えば、引き裂くような痛み、または、掻痒、および、過度の脆弱性、および赤みさえももたらす、バリア機能の変化を生じさせる。
【0013】
本文脈において、表皮のバリア機能の変化の予防、または、表皮のバリア機能の回復を試みることが望ましい。この特定の分野において、脂質代用品、例えばセラミド類(EP 1272148、US2007576937)または特定のコレステロール誘導体(FR 2 789 312)の直接的な補給が、多く記載されている。他方で、皮膚の脂質類の合成を活性化する植物油の利用もまた、記載されている(EP 1 707 189)。美容分野において、HMG-CoA還元酵素の分子標的は、前記鍵酵素の阻害を目標として(例えば既にHMGCOA阻害特性について知られているスタチンを、アンチエイジング効果を得ることを目標として利用することにより(EP 0738510))、既に開発されている。しかし、今まで、ヒトHMG-CoA還元酵素由来のペプチドが、皮膚のバリア機能を強化し、および、表皮の分化を刺激する、興味深い活性を持つことは、記載も示唆もされていない。バリア機能の強化、および、表皮の分化を目標とする、HMG-CoA還元酵素の活性化を、この度、検討した。また、この作用によって、バリア機能に関連した、特定の病的な機能不全(過敏症の、炎症を起こした、または反応性の皮膚、アトピー性湿疹)を改善することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】E. C. 1. 1. 1. 34
【特許文献2】EP 1272148
【特許文献3】US2007576937
【特許文献4】FR 2 789 312
【特許文献5】EP 1 707 189
【特許文献6】EP 0738510
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Norlen L. et al. J. Invest. Dermatol. 1999; 112(1) p. 72-77
【非特許文献2】Luskey et al., J Biol Chem., 1985 260(18), p. 10271-7
【非特許文献3】Martini M. C.,Pathol. Biol. 2003, (51), p. 267-270
【非特許文献4】Menon G. K. et al., J. Lipid, Res, 1985, (26), P. 418-427
【非特許文献5】Proksch E. et al., British J. Dermatol., 1993, (128), p. 473-482
【非特許文献6】Ghadially R. et al., J Clin Invest., 1995(95(5), p. 2281-90
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の主な目的は、皮膚のバリア機能を強化し、表皮の分化を刺激することができる、従って、皮膚の加齢の兆候を予防し、または、外部ストレスから皮膚を守ることができる、新規有効成分を提供することである。実際、本発明者は、ヒトHMG-CoA還元酵素由来のペプチドの、美容、および治療、ならびに、特に皮膚科学における活性を立証した。
【0017】
特に、皮膚に塗布した場合に、前記ペプチドが表皮のバリア機能を強化し、表皮の分化を刺激することを立証した。これら特性を、外部ストレスに関連した皮膚組織のよりよい防御によって、および、表皮の角質層を構成する脂質類の生産の増加によって、立証した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
「HMG-CoA還元酵素を活性化する、または、ヒトHMG-CoAを活性化することができる有効成分」を、HMG-CoA還元酵素のタンパク質合成を増加させることによる(直接的、もしくは間接的な、HMG-CoA還元酵素の遺伝子発現調節による)、または、HMG-CoA還元酵素の酵素活性を増加させることによる、または、HMG-CoA還元酵素タンパク質の安定化、あるいはメッセンジャーRNA転写産物の安定化のような他の生物的工程によって、HMG-CoA還元酵素活性を増加させることができる、任意の生物的に活性なペプチドまたは誘導体であると、理解する。
【0019】
皮膚を、皮膚および粘膜を構成する、全ての被覆組織を示すと理解する。
【0020】
「局所適用」を、本発明による有効成分、または、前記成分を含む組成物を、皮膚の表面へ、または、皮膚の表面上に塗布する、または、広げる行為を示すと理解する。
【0021】
「生理的に許容可能な」を、本発明による有効成分、または、前記成分を含む組成物が、毒性、または、不耐性反応を引き起こさずに、皮膚と接触して吸収されることに関して適切であることを意味すると理解する。
【0022】
従って、本発明の第一の対象は、ヒトHMG-CoA還元酵素由来のペプチドである。
【0023】
表現「ヒトHMG-CoA還元酵素由来のペプチド」は、アミノ酸配列が、ヒトHMG-CoA還元酵素ペプチド配列に対して、部分的または全体的に類似性(analogous)または相同性(homologous)を有する、任意の、生物的に活性なペプチドフラグメントを指す。
【0024】
表現「生物的に活性な」を、「本発明による有効成分の活性の、in vivoまたはin vitroにおける活性特性を持つ」を意味すると理解する。
【0025】
本発明の特に有利な実施態様によれば、ペプチドは一般式(I)の一部または全長に対応する配列を持つ。
【0026】
一般式(I)
【0027】
【化2】

【0028】
のヒトHMG-CoA還元酵素由来のペプチド、
式中、
X1はアラニン、または、バリン、または、イソロイシンであり、
X2はロイシン、または、イソロイシン、または、任意のアミノ酸であり、
X3はメチオニン、または、セリン、または、アラニン、または、任意のアミノ酸であり、
AAは任意のアミノ酸、または、その誘導体のひとつであり、ならびに、
nおよびpは0から4の間の整数であり、
R1は、アセチル基、ベンゾイル基、トシル基、または、ベンジルオキシカルボニル基の中から選択されうる保護基によって置換された、または遊離の、N末端アミノ酸の第1級アミン官能基を示し、
R2は、C1からC20のアルキル鎖、または、NH2、NHY、もしくはNYY基(式中、Yは、C1からC4のアルキル鎖を示す)の中から選択されうる保護基によって置換された、または遊離の、C末端アミノ酸のカルボキシル官能基のヒドロキシ基を示す。
一般式(I)の前記配列は、他の化学的に等価なアミノ酸による、アミノ酸X1からX3の置換を含みうる。
【0029】
本発明の特に好ましい実施態様に従って、生物的に活性なペプチドは配列:
【0030】
【化3】

【0031】
を持つ。
【0032】
特に興味深い実施態様に従って、生物的に活性なペプチドは、配列番号4の配列に対応する。
【0033】
もう一つの特に興味深い実施態様に従って、生物的に活性なペプチドは、配列番号5の配列に対応する。
【0034】
また、本発明は、前記配列の相同な形態に関する。用語「相同な」は、本発明によれば、少なくとも50%、または、好ましくは少なくとも80%、および、さらにもっと好ましくは少なくとも90%、配列番号1から配列番号7の配列の中から選択された前記ペプチド配列と同一な、任意のペプチド配列を指す。「少なくともX%同一なペプチド配列」を、二つの配列の最適なアライメントの後に得られた、比べられるべき二つの配列のアミノ酸残基間の百分率同一性を指すと理解する。最適なアライメントを、NCBIサイトで利用できる、BLAST PまたはT BLAST Nコンピューターソフトウェアによって用いられるアルゴニズムのように、局所ホモロジーアルゴリズムを用いて得る。
【0035】
また、用語「相同な」は、化学的に等価なアミノ酸の置換によって、すなわち、同じ特性を持つ他の残基による、残基の置換によって、配列番号1から配列番号7の配列のペプチドの配列と異なるペプチドを指す。従って、通常の置換は、Ala、Val、Leu、およびIle間、Ser、およびThr間、AspおよびGluの酸残基間、AsnおよびGln間、ならびに、LysおよびArgの塩基残基間、または、PheおよびTyrの芳香族残基間で起こる。ここで、本発明において、用語「アミノ酸」は、一般式:
【0036】
【化4】

【0037】
(式中、各−Rが、独立して、水素および、1から12の間の炭素原子を持つアルキル基から選択される)を持つ任意の天然型または非天然型有機酸を示す。好ましくは、各アミノ酸の、少なくとも、一つの―R基は水素である。ここで、用語「アルキル」は、直鎖状または分枝状、置換(モノ―もしくはポリ―)または非置換、飽和、1飽和(monosaturated)(鎖中、一つの二重もしくは三重結合)または多価不飽和(鎖中、二つ以上の二重結合、二つ以上の三重結合、一つ以上の二重結合かつ一つ以上の三重結合)でありうる炭素鎖を示す。
【0038】
用語「ペプチド」は、ペプチド結合により、または、改変されたペプチド結合により連結された、二つ以上のアミノ酸の連鎖を指す。
【0039】
また、「ペプチド」を、前記の本発明の天然もしくは合成ペプチド、または、タンパク質分解もしくは合成的に得られた、少なくとも一つのそのフラグメント、あるいは、配列が部分的にもしくは全体的に前記のペプチドの配列によって構成されている、任意の天然もしくは合成ペプチドを示すと理解する。
【0040】
分解に対する抵抗性を改善するために、本発明によるペプチドの保護された形態を使用することが必要でありうる。保護の形態は明らかに生物的に適合可能な形態でなければならず、かつ、美容または医薬分野における使用に適合可能でなければならない。
【0041】
生物的に適合可能な保護の多くの形態は、熟慮されうる。それらは、例えば、アミノ末端のアシル化もしくはアセチル化、または、カルボキシ末端のアミド化もしくはエステル化のように、当業者にとって周知である。従って、本発明は、前記に定義されたような、配列番号1から配列番号7のペプチドが保護された、または非保護の形態であることによって特徴付けられた、組成物に関する。アセチル基、ベンゾイル基、トシル基、またはベンジルオキシカルボニル基による、アミノ末端における置換に基づいた保護を、利用しうる。好ましくは、C1からC4のアルキル鎖を示すYを伴うNYY基による、カルボキシ末端のヒドロキシル官能基のアミド化、または、アルキル基によるエステル化に基づいた保護を、利用する。また、ペプチドの両端を保護することも可能である。
【0042】
また、ペプチド誘導体は、プソイドペプチド結合によって相互接続された、アミノ酸およびペプチドに関する。「プソイドペプチド結合」を、「通常の」ペプチド結合と置換可能な、全てのタイプの結合を示すと理解する。
【0043】
アミノ酸のドメインにおいて、分子は、異なる光学異性体の形態で理論的に存在しうるような配置を持つ。従って、右へ偏光面が回転する(右旋光立体構造またはD-aa(右旋光体))アミノ酸(AA)の分子立体構造、および、左へ偏光面が回転する(左旋光立体構造またはL-aa(左旋光体))アミノ酸の分子立体構造が存在する。天然アミノ酸は、通常、左旋光立体構造である、従って、天然由来のペプチドはL-aa型アミノ酸のみで構成される。しかし、研究室での化学合成は、二つのあり得る立体構造を持つアミノ酸を調製することを可能にする。この基本的な物質から、ペプチド合成中、右旋光性および左旋光性の両方の光学異性体のアミノ酸を組み入れることを可能にする。従って、本発明によるペプチドを構成するアミノ酸は、L-およびD-立体構造でありうる、好ましくは、アミノ酸はL型である。従って、本発明によるペプチドはL-、D-またはDL-型である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明による一般式(I)のペプチドを、(固相もしくは均一液相における)通常の化学合成、または、酵素的合成(Kullman et al., J. Biol. Chem. 1980, 225, 8234)によって、構成要素であるアミノ酸またはその誘導体から、得うる。
【0045】
本発明によるペプチドは天然または合成由来でありうる。好ましくは、本発明により、ペプチドを化学合成によって得うる。
【0046】
本発明によれば、有効成分は単一のペプチド、ペプチドの混合物、ペプチド誘導体でありうり、および/または、アミノ酸誘導体で構成されうる。
【0047】
本発明によれば、前記ペプチドまたはペプチドの混合物を医薬として利用しうる。
【0048】
本発明の有利な実施態様によれば、本発明による有効成分を、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシル化ジエチレングリコール、または、プロポキシル化ジエチレングリコール、環式ポリオール類、白色ゼラチン、植物油、または、これら溶媒の任意の混合物のような、当業者によって通常使用される、一つまたは複数の生理的に許容可能な溶媒中に、事前に可溶化する。
【0049】
本発明のもう一つの有利な実施態様によれば、本発明による有効成分を、リポソーム類のような、美容もしくは医薬キャリアーに事前に可溶化する、または、粉末状有機ポリマー類、無機担体、例えば、タルク類、および、ベントナイト類上に吸着させ、かつ、さらに、一般的には任意の生理的に許容可能なキャリアーに可溶化、または、固定化する。
【0050】
本発明の第二の対象は、生理的に適合した媒体中に、単独で、または、少なくとも一つの他の有効成分と組み合わせて使用される、有効成分として、一般式(I)のペプチドを含む、美容、医薬、および、特に皮膚科学組成物である。
【0051】
もちろん、本発明が、一般的に哺乳類向け、および、さらに特にヒト向けであることは明らかである。
【0052】
本発明の有利な実施態様によれば、本発明による有効成分は、最終組成物の全重量に対して、約0.0005から500 ppm(parts per million)の間の濃度で、および、好ましくは約0.01から5 ppmの間の濃度で、本発明の組成物中に存在する。
【0053】
本発明による有効な組成物は、特に、ヘアケア、および、特にシャンプー、コンディショナー、トリートメントローション、スタイリングクリームもしくはゲル、または、ヘアリストラクティングローション、マスク等用の組成物から成る。本発明による美容組成物を、特に、リンスが後に続く、もしくは続かない、またはシャンプー形態である適用を実行する処理に使用しうる。従って、本発明による有効成分を、頭皮のふけ予防ケアに、有利に利用しうる。
【0054】
また、有効成分は、特に、まつげ、眉毛、または髪上に、ブラシ、またはくしによって適用される、毛髪染料またはマスカラの形態で、存在しうる。
【0055】
本発明による有効成分を、単独で、または、少なくとも一つの他の有効成分とさらに組み合わせて、美容組成物中で、または、医薬、および/もしくは、皮膚科学組成物の調製のために、利用しうることを理解する。また、有利なことに、本発明による有効な組成物は、特に、加齢と関連した疾患の予防、および/または、治療用を意図した、様々な保護的またはアンチエイジング有効成分を含む。
【0056】
本発明による組成物を、任意の適した経路によって、特に、経口で、非経口で、または、外部局所的に塗布し、かつ、それらの処方は、特に、美容または皮膚科学組成物に関して、当業者によって適合される。有利なことに、本発明による組成物は、皮膚上への局所的な投与について意図される。従って、前記組成物は、生理的に許容可能な媒体、すなわち、皮膚および表皮付属器に適合可能な媒体を含まなくてはならならず、かつ、全ての美容または皮膚科学的な形態をカバーしなくてはならない。前記組成物は、特に、クリーム、水中油型エマルジョン、または、油中水型エマルジョン、または、多層エマルジョン、溶液、懸濁液、ゲル、ミルク、ローション、スティック、あるいはパウダーの形態であり、かつ、皮膚、唇、および/または、表皮付属器上への塗布に適切である。前記組成物は、その処方に必要な添加剤、例えば、溶媒、増粘剤、希釈剤、界面活性剤、抗酸化剤、着色剤、保存料、および香料を含む。
【0057】
本発明のもう一つの実施態様によれば、組成物は、医薬用途用の経口投与に関して適切である。従って、組成物は、そのものとして消費される、または、液体、シロップ、ゲル、もしくは当業者に既知の、任意の他の形態との使用前に混合される、タブレット、カプセル、ゲルカプセル、チュアブルペースト、パウダーの形態で、特に存在しうる。前記組成物は、適した製剤添加物、例えば着色剤、甘味料、香味料、増量剤、結合剤、および保存料を含むであろう。
【0058】
前記組成物は、特に、水性溶液、含水アルコール、または、油性溶液(水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、もしくは多層エマルジョン)の形態で存在しうる。それらは、皮膚、粘膜、唇、および/または、表皮付属器上への塗布について適した、クリーム、懸濁液、あるいはパウダーの形態で存在しうる。前記組成物は、おおよそ液体でありうり、クリーム、ローション、ミルク、セラム、ポマード、ゲル、ペースト、または泡の外観である。また、それらは、スティックのような固体形態で存在しうり、または、エアロゾル形態で皮膚上に塗布しうる。それらを、ケア製品として、および/またはスキンメイクアップ製品として利用しうる。
【0059】
また、前記組成物は、意図する適応の分野において共通に利用される任意の添加物、および、それらの処方に必要とされるアジェバント、例えば、溶媒、増粘剤、希釈剤、抗酸化剤、着色剤、日焼け止め剤、セルフ・タンニング剤、顔料、増量剤、保存料、香料、香り吸収剤、美容または医薬有効成分、エッセンシャルオイル、ビタミン類、必須脂肪酸、界面活性剤、皮膜形成ポリマー等を含む。
【0060】
全ての場合において、当業者は、前記アジェバント、および、その比率が、本発明による組成物の、望ましい有利な特性を害さないように選択されることを確認する。前記アジェバントは、例えば、組成物の全重量の0.01から20%に相当しうる。本発明の組成物がエマルジョンである場合、脂肪相は、組成物の全重量に対して、5から80重量%、および、好ましくは5から50重量%を示しうる。組成物に利用される、乳化剤および共乳化剤は、対象の分野において通常利用されるものの中から、選ばれる。例えば、乳化剤および共乳化剤は、組成物の全重量に対して0.3から30重量%の比率で利用されうる。
【0061】
本発明の第三の対象は、ヒトHMG-CoA還元酵素を活性化する有効成分としての、一般式(I)のペプチドの効果的な量の、美容組成物における利用である。
【0062】
有効成分の効果的な量は、望ましい結果、つまり、表皮のバリア機能の改善、および、表皮の分化の刺激を目標とした、HMG-CoA還元酵素の活性化を得るのに必要な量に対応する。
【0063】
「皮膚のバリア機能を強化する、および、表皮の分化を刺激する」を、表皮の角質層の防御能力の改善、および、ケラチンのような生物的分化マーカーの増加を示すと理解する。
【0064】
従って、前記有効成分の特定の性質のおかげで、一般式(I)のペプチドを、皮膚のバリア機能の強化、および、表皮の分化の刺激を意図した、美容組成物において使用することができる。
【0065】
一方で、一般式(I)のペプチドを、予防的に、および/または治療的に、皮膚の老化および、さらに特に、光で誘起された加齢(光老化)の兆候に対処することを意図した美容組成物中に、有効成分として、有利に使用することができる。皮膚の加齢の兆候を、加齢が原因の皮膚および表皮付属器の外観における任意の改変、例えば、表皮の角質層の表面の粗さ、しわ、および、小じわだけでなく、改変された外観に体系的に明示されない、任意の皮膚内部の改変、例えば、真皮の菲薄化、または、紫外線(UV)照射への暴露を受けた後の、皮膚の、任意の他の内部の劣化を示すと理解する。
【0066】
本発明のもう一つの態様によれば、一般式(I)のペプチドを、全てのタイプの外部ストレスに対して皮膚を守ることを意図した、美容組成物に、有効成分として、有利に使用することができる。
【0067】
特に、本発明の対象は、髭剃りまたは脱毛のような機械的処置による皮膚へもたらすダメージを予防する、または、治療する本発明によるペプチドの効果的な量を含む、美容組成物の利用である。
【0068】
特に、本発明の対象は、極度の気候条件または、気温および湿度における突然の変化による、皮膚へもたらすダメージを予防する、または、治療する、本発明のペプチドの効果的な量を含む美容組成物の利用である。
【0069】
さらに、本発明は、バリア機能の変化、例えば、過敏症、炎症を起こした、または、敏感な皮膚、および、アトピー性湿疹によって特徴付けられた病状の予防または治療を意図した、医薬組成物の調製のための、本発明によるペプチドの利用から成る。
【0070】
さらに、本発明は、本発明によるペプチドの効果的な量を含む組成物を、治療されるべき領域に塗布することにより、外部ストレスを予防する、および/または、対処することを意図した、美容処理方法から成る。
【0071】
さらに、本発明は、本発明によるペプチドの効果的な量を含む組成物を、治療されるべき領域に塗布することにより、加齢の、および/または、光老化の皮膚の兆候を予防する、および/または、処置することを意図した、美容処理方法からなる。
【0072】
また、美容処理方法の特定の実施態様は、前記の記載に由来する。本発明の他の利点および特性は、例示するために、および、限定されない目的のために与えられた実施例を読むことで、さらに明確になる。
【実施例】
【0073】
(実施例1:配列番号5のペプチドによって処理されたヒト角化細胞における層板顆粒の超微細構造的な研究)
本研究の目標は、0.5 ppmの、配列番号5のペプチドによって処理された角化細胞を、透過電子顕微鏡で、超微細構造的な方法で研究することである。
【0074】
プロトコル:
培養下の正常ヒト角化細胞を、50 ppmの配列番号5のペプチドで、1%ストック溶液を用いて、48時間処理する(有効成分を含む培地を24時間ごとに交換する)。細胞をPBSで洗浄し、その後、カルノフスキー高張固定(Karnosky hypertonic fixation)(4% パラホルムアルデヒド、5% グルタルアルデヒドを含む0.08M リン酸バッファー)によって、1時間、雰囲気温度で、その後24時間4℃で、固定する。細胞をスクレイプすることにより支持体から剥がし、1000 rpmで5分間遠心分離する。上清を取り除き、1 M カコジル酸ナトリウムバッファーを、残留物上に積層する。細胞を2%アガーで懸濁し、その後、四酸化オスミウムによって、1時間、後固定する。次に、検体を、一連のアルコール(50から100%まで)の連続的な通過により脱水する。その後、細胞をレジンでコーティングする。重合を、約12時間、60℃で実行する。0.5 μmの準超薄切片を、ウルトラミクロトームを用いて作製する。切片を、熱で結合したスライドの上に置き、その後、トルイジンブルーで染色する。その後、スライドを再度脱水し、適した媒体でマウントする。最適な観察ゾーンを選んだ後、ブロックを望ましいサイズに再びカットし、その後、超薄切片を作製し、シルバーグレー色、および、適したサイズの切片だけを、電子顕微鏡のグリッド上にマウントし、酢酸ウラリルおよびクエン酸鉛の両方でラベルし、60または80 KVで透過電子顕微鏡により検査する。
【0075】
結果:超微細構造的研究は、ゴルジ複合体が、コントロール細胞よりも実質的により発達していることを示す。この増加は、脂質合成の増加の兆候である、層板顆粒(またはオドランド小体)の過度な産生と関連している。
【0076】
結論:0.5 ppmの配列番号5のペプチドは、正常ヒト角化細胞において、脂質合成の増加の誘導を可能にする。
【0077】
(実施例2:配列番号4のペプチドによって処理されたヒト線維芽細胞のカベオラの超微細構造的な研究)
本発明の目的は、超微細構造的なレベルにおいて、ヒト真皮線維芽細胞のカベオラを研究することである。
【0078】
プロトコル:培養下の、正常ヒト真皮線維芽細胞を、50 ppmの配列番号4のペプチドで、1%ストック溶液を用いて、48時間処理する(有効成分を含む培地を24時間ごとに交換する)。
【0079】
結果:超微細構造的な研究は、未処理のコントロール細胞と比較して、配列番号4のペプチドによって処理された細胞のカベオラの、著しい増加を示す。カベオラは、コレステロールのような分子の外在化を可能にする細胞膜の陥入であるため、これらの結果は、有効成分の効能の証拠である。
【0080】
結論:0.5 ppmの、配列番号4のペプチドは、コレステロールの外在化を伴う膜構造の増加をもたらす。
【0081】
(実施例3:配列番号5のペプチドによって処理されたヒト角化細胞の分化研究)
本研究の目的は、表皮の分化における、配列番号5のペプチドの影響を決定することである。
【0082】
プロトコル:培養下の正常ヒト角化細胞を、50 ppmの配列番号5のペプチドで、1%ストック溶液を用いて、48時間処理する(有効成分を含む培地を24時間ごとに交換する)。その後、細胞を洗浄し、冷メタノールを用いて4分間、4℃で固定する。細胞を、1:200の抗サイトパンケラチン(cytopankeratin)モノクローナル抗体存在下、1時間、雰囲気温度でインキュベートし、その後、蛍光色素「alexa 488」が結合した、1:50の二次抗体で、1時間、雰囲気温度で、暴露する。特定の媒体をマウントした後に、スライドを落射蛍光顕微鏡で観察する。
【0083】
結果:有効成分は、処理した細胞のパンケラチンの発現を増加させる。
【0084】
結論:0.5 ppmの配列番号5のペプチドは、正常ヒト角化細胞のパンケラチンの発現を増加させる。配列番号5のペプチド存在下で、細胞は分化経路を刺激される。
【0085】
(実施例4:紫外線(UVB)照射に供された皮膚細胞における配列番号5のペプチドの保護的効果の研究)
本研究の目標は、UVB照射によるストレスに供された正常ヒト角化細胞に対する、配列番号5のペプチドの保護的効果を決定することである。保護的効果の決定のために、細胞生存率試験をMTTアッセイによって実施した。
【0086】
プロトコル:正常ヒト角化細胞を、50 ppmの配列番号5のペプチドで、1%溶液を用いて24時間処理し、UVB(50 mJ/cm2)を照射し、その後、再度24時間、同濃度の配列番号5のペプチドの存在下で、培養する。未処理の、および、照射したコントロールを同じ条件下で実行する。実験の終わりに、MTT(3-[4, 5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2, 5-ジフェニルテトラゾリウム ブロミド)を0.1 mg/mlで含む溶液中で、細胞をインキュベートする。前記化合物は、生細胞によって吸収され、その後、ミトコンドリアの酵素によって、青紫色の化合物、ホルマザンへ代謝され、ホルマザンを540 nmの分光測定により解析する。そして、吸光度(O.D.)は、ミトコンドリアの酵素活性および生存細胞の数に、直接的に比例している。
【0087】
結果:MTTアッセイによる細胞生存率の評価は、配列番号5のペプチドが、UVB照射の後の細胞生存率を16%増加させることを示す。
【0088】
結論:0.5 ppmの濃度の配列番号5のペプチドは、細胞生存率を増加させ、かつ、UVB照射の毒性効果から、皮膚細胞を効果的に防御する。
【0089】
(実施例5:配列番号5のペプチドの存在下の、皮膚生検におけるHMG-CoA還元酵素の発現に関する研究)
本研究の目標は、HMG-CoA還元酵素の発現における、配列番号5のペプチドの影響を決定することである。
【0090】
プロトコル:ヒト皮膚のサンプルを、培養物における気体/液体界面に置く。50 ppmの配列番号5のペプチドを、1%ストック溶液で、局所的に塗布し、その後、サンプルを24時間、または48時間インキュベートする。
【0091】
その後、前記皮膚サンプルをホルムアルデヒドで固定し、次にパラフィンで封入する。その後、2から3 μmの切片を作製する。マイクロ波処理によって特定の部位を暴露した後に免疫標識を行い、その後、トリプシン中でインキュベートする。免疫標識を、HMG-CoA還元酵素に特異的なポリクローナルラビット抗体(Millipore、Upstate)を用いて、次に、蛍光色素を結合した二次抗体を用いて、行う。その後、皮膚切片を落射蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse E600 microscope)で検査する。
【0092】
結果:顕微鏡観察は、配列番号5のペプチドによって処理された皮膚において、表皮の上層で、未処理のコントロールに対してより強い蛍光を示す。
【0093】
結論:0.5 ppmの濃度の配列番号5のペプチドは、表皮の上層におけるHMG-CoA還元酵素の発現を刺激する。
【0094】
(実施例6:配列番号4のペプチドの存在下での、正常ヒト角化細胞における、HMG-CoA還元酵素の発現に関する研究)
本研究の目標は、正常ヒト角化細胞におけるHMG-CoA還元酵素の発現に関する、配列番号4のペプチドの影響を決定することである。
【0095】
プロトコル:培養下の正常ヒト真皮角化細胞を、50 ppmの配列番号4のペプチドで、1%ストック溶液を用いて、48時間、処理する(有効成分を含む培地は24時間ごとに交換する)。その後細胞を洗浄し、冷メタノールで4分間、4℃で固定する。細胞を、HMG-CoA還元酵素特異的なポリクローナルラビット抗体(Millipore、Upstate)存在下で、その後、蛍光色素が結合した二次抗体存在下で、インキュベートする。その後、細胞を落射蛍光顕微鏡(Nikon Eclipse microscope)で検査する。
【0096】
結果:顕微鏡の観察は、配列番号4のペプチドによって処理した細胞において、さらに強い細胞質の蛍光を示す。
【0097】
結論:0.5 ppmの濃度の配列番号4のペプチドは、正常ヒト角化細胞のHMG-CoA還元酵素の発現を刺激する。
【0098】
(実施例7:組成物の調製:)
1.日焼け防止クリーム
【0099】
【表1】

【0100】
A相およびB相の成分を、別々に70℃から75℃に熱する。B相を、A相中で撹拌して、乳化する。C相を45℃で加え、更に撹拌する。その後、D相を、温度が40℃未満の時に加える。冷却を、強力に撹拌しながら、25℃まで継続する。
【0101】
2.アンチエイジングクリーム
【0102】
【表2】

【0103】
A相を65℃-70℃で調製し、溶解する。C相を65℃-70℃に熱する。B相をA相に加えた後に、AをBへと乳化する。約45℃で、D相を加えることによって、カルボマーを中和する。その後、E相を、穏やかに撹拌しながら加え、冷却を25℃まで継続する。望まれるなら、その後F相を加える。
【0104】
3.プロテクティブデイクリーム
【0105】
【表3】

【0106】
A相を調製し、撹拌しながら75℃まで熱する。撹拌しながら、カーボポール、その後キサンタンガムを分散させることによってB相を調製する。静置する。75℃まで熱する。
【0107】
温度において、ローターステーターにより撹拌しながらAをBへと乳化する。急速に撹拌しながらC相を用いて中和する。40℃まで冷却した後にD相、その後E相を加える。冷却を穏やかに撹拌しながら継続し、F相を加える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

のヒトHMG-CoA還元酵素由来のペプチド、
式中、
X1はアラニン、または、バリン、または、イソロイシンであり、
X2はロイシン、または、イソロイシン、または、任意のアミノ酸であり、
X3はメチオニン、または、セリン、または、アラニン、または、任意のアミノ酸であり、
AAは任意のアミノ酸、または、その誘導体のひとつであり、ならびに、
nおよびpは0から4の間の整数であり、
R1は、アセチル基、ベンゾイル基、トシル基、または、ベンジルオキシカルボニル基の中から選択されうる保護基によって置換された、または遊離の、N末端アミノ酸の第1級アミン官能基を示し、
R2は、C1からC20のアルキル鎖、または、NH2、NHY、もしくはNYY基(式中、Yは、C1からC4のアルキル鎖を示す)の中から選択されうる保護基によって置換された、または遊離の、C末端アミノ酸のカルボキシル官能基のヒドロキシ基を示す。
一般式(I)の前記配列は、他の化学的に等価なアミノ酸による、アミノ酸X1からX3の置換を含みうる。
【請求項2】
ペプチドが以下の配列
【化2】

の一つに対応することを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
ペプチドが配列番号4の配列に対応することを特徴とする、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
ペプチドが配列番号5の配列に対応することを特徴とする、請求項2に記載のペプチド。
【請求項5】
ペプチドが、一つまたは複数の生理的に許容可能な溶媒、例えば、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシル化ジエチレングリコール、または、プロポキシル化ジエチレングリコール、環式ポリオール類、白色ゼラチン、植物油、または、これら溶媒の任意の混合物に、可溶化される、請求項1から4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
ペプチドが医薬として利用されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
生理的に許容可能な媒体中に、請求項1から5のいずれか一項に定義されたような、少なくとも一つのペプチドを、有効成分として、単独または少なくとも一つの他の有効成分と組み合わせて、含むことを特徴とする、美容または医薬組成物。
【請求項8】
前記ペプチドが0.0005から500 ppmの間の濃度で存在することを特徴とする、請求項7に記載の、美容または医薬組成物。
【請求項9】
前記ペプチドが0.01から5 ppmの間の濃度で存在することを特徴とする、請求項8に記載の、美容または医薬組成物。
【請求項10】
局所的投与を意図することを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の美容または医薬組成物。
【請求項11】
ヒトHMG-CoA還元酵素を活性化する有効成分としての、効果的な量の、請求項1から5のいずれか一項に定義されたようなペプチドの、請求項7から10のいずれか一項に記載の美容組成物における、使用。
【請求項12】
表皮のバリア機能を強化する、および、表皮の分化を刺激することを意図した、美容組成物を得るための、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
加齢および光老化の皮膚の兆候を予防する、および、対処することを意図した美容組成物を得るための、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
外部ストレスから皮膚を保護することを意図した美容組成物を得るための、請求項11に記載の使用。
【請求項15】
過敏症の、炎症を起こした、または反応性の皮膚、および、アトピー性湿疹のような、バリア機能の変化を特徴とする病状を予防する、または、治療することを意図した、医薬組成物を調製するために、単独または少なくとも一つの他の有効成分と組み合わせて使用される、有効成分としての、効果的な量の、請求項1から6のいずれか一項に定義されたようなペプチドの使用。
【請求項16】
有効な量の、請求項1から5のいずれか一項に定義されたようなペプチドを含む組成物を、処理されるべき皮膚に局所的に塗布することを特徴とする、外部侵襲を予防する、および/または、対処することを意図した美容処理方法。
【請求項17】
有効な量の、請求項1から5のいずれか一項に定義されたようなペプチドを含む組成物を、処理されるべき皮膚に局所的に塗布することを特徴とする、加齢および光老化の、皮膚の兆候を予防する、および/または、対処することを意図した、美容処理方法。

【公表番号】特表2012−513452(P2012−513452A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542862(P2011−542862)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001475
【国際公開番号】WO2010/072926
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511152485)アイエスピー・インヴェストメンツ・インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】