説明

ICカード発行方法

【課題】より容易に生体情報を記憶媒体に登録(記憶媒体の発行)が可能になる。
【解決手段】本発明では、生体情報ICカードの発行の発行受付装置において、利用者の生体情報の入力を受付け、この生体情報を第1のICカード(仮)に記録する。そして、この第1のICカードでは、発行が要求されているICカードの機能は達成されないようになっており、当該利用者に渡される。そして、利用者は、別途発行機関から送付される第2のICカードと第1のICカードを生体情報登録装置に持参する。生体情報登録装置では、第1のICカードと第2のICカードが対応するものか、それぞれに格納された情報を用いて確認し、確認された場合に、第1のICカードに格納された生体情報を第2のICカードに格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証を条件に施されるサービスで用いられるICカードについて、ICカード保持者の生体情報をICカードに登録する技術(すなわち、ICカードの発行方法もしくは装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IDカードを発行する技術として、特許文献1に開示される技術が提案されている。特許文献1においては、一度発行されたIDカードを再発行する際の業務を簡素化するIDカード発行システムが記載されている。このために、特許文献1においては、IDカードを再発行する際にファイリングシステムから初回発行時の顔画像データや文字情報のカード発行データを検出し、そのデータでIDカードを再発行するシステムが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−85919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、カード発行データとして顔画像データや文字情報のようなHDDや電子媒体に保存されるデータしか考慮されていない。このため、ICカードを用いた生体認証においての認証の元となる生体情報のように、要求セキュリティレベルが高く、ICカード内のみに存在することが望ましい情報については考慮されていなかった。
【0005】
例えば、生体認証ICカードにおいて生体情報を登録する際には、登録する利用者が生体情報登録端末を用いて生体認証ICカードに直接登録することが一般的であり、登録前の生体情報をHDDや電子媒体に保存することはセキュリティ上望ましくない。
【0006】
また、特許文献1においては、カード発行システムの所在地に利用者が直接赴くことが前提となっている。コストやセキュリティ等の都合によりカード発行システムの所在地に利用者が赴くことができない場合が考慮されていなかった。
【0007】
例えば、ICキャッシュカードやICクレジットカード等、金融系ICカードにおいては、ICカードの発行は印刷会社にて行われ、郵便等にて利用者の元に届く運用が一般的である。このとき、生体認証機能を持つICカードの場合、ICカードが利用者の元に届いた後にICカードに生体情報を登録するために生体情報登録窓口に赴く必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では、生体情報をICカードに登録するためのいわば仮のICカードを用いる。すなわち、金融機関(発行機関)の窓口など、生体情報ICカードの発行の受付け場所に設置された発行受付装置において、利用者の生体情報の入力を受付け、この生体情報(もしくは生体情報に対して所定の変換を施した変換情報)を第1のICカード(仮)に記録する。そして、この第1のICカードでは、発行が要求されているICカードの機能(例えば、キャッシュカード機能)は達成されないようになっており、当該利用者に渡される。そして、利用者は、別途発行機関から送付される第2のICカードと第1のICカードを生体情報登録装置に持参する。生体情報登録装置では、第1のICカードと第2のICカードが対応するものか、それぞれに格納された情報を用いて確認し、確認された場合に、第1のICカードに格納された生体情報(もしくは変換情報)を第2のICカードに格納する。この場合、第1のICカードは、第2のICカードに情報を格納させた場合、生体情報登録装置が第1のICカードを吸い込んでもよい。また、生体情報登録装置では、生体情報の入力装置がなくとも(第2の)ICカードを発行することも可能になる。
【0009】
また、本発明の適用先は、生体情報などの本人確認情報を格納可能な記憶媒体であればよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より容易に生体情報を記憶媒体に登録(記憶媒体の発行)が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本システムの構成図である。生体情報登録端末101は、ICカードI/Fデバイス102および生体情報I/Fデバイス103を持ち、生体情報I/Fデバイス103によって生体106から抽出した生体情報を生体認証ICカード104または生体情報登録ICカード105に登録する機能、および生体認証ICカード104または生体情報登録ICカード105に登録された生体情報が生体106から抽出した生体情報であることを認証する機能を持つ。生体情報I/Fデバイス103による生体106の認証方法としては、例えば指静脈、掌静脈等の静脈認証や、指紋認証、虹彩認証、顔認証等、どのような生体認証方法を行ってもよい。
【0012】
本システムにおける生体情報登録方法および生体認証方法は、生体情報登録端末101がICカードから読み出した生体情報、および生体106から抽出した生体情報を、生体情報登録端末101または生体情報I/Fデバイス103の中で照合し認証する方式でも良いし、生体情報登録端末101が生体106から抽出した生体情報をICカードに送信し、ICカードにて認証する方式でも良い。
【0013】
図2は、利用者が生体認証ICカードの申込処理を行う流れの一例を示したものである。
ここでは有人窓口での受付を想定し、生体情報登録端末の端末操作者が、利用者の本人確認を行った上で、申込書にて生体認証ICカードの申込を受け付け、申込処理を行う例とする。この例では、生体認証ICカード発行にあたって必要な個人情報等の情報は申込書に記入する前提とする。ただし、何らかの本人確認を行う前提で、端末操作者のいない無人端末での申込も可能である。また、申込書はキーボード等を介した端末へのデータ入力による電子的な申込データで代替可能である。
【0014】
まず、生体情報登録端末が申込IDを生成し画面に表示する(201)。このとき、端末操作者は申込書に申込IDを記入する。または、端末から申込IDが記載された紙を出力してもよい。または、申込書に代えて電子的な申込データを用いる場合、申込データの一項目として申込IDが記録される形でもよい。
【0015】
この申込IDは一意のIDでなければならない。例えば、申込の年月日と生体情報登録端末番号と端末ごとに連番で採番するシリアル番号を連結したものが考えられる。
【0016】
端末操作者は生体情報登録端末に生体情報登録ICカードを挿入する(202)。生体情報登録端末は、201で生成した申込IDを操作者が挿入した生体情報登録ICカードに書き込む(203)。
【0017】
例えば図5に示したデータ例の場合、ここで申込ID(502)に「YYYYMMDDTTTTNNNN」のデータが書き込まれる。生体情報登録端末は、生体から生体情報を抽出し、生体情報登録ICカードに生体情報を書き込む(204)。例えば図5に示したデータ例の場合、ここで生体データ(503)に「AAAA AAAA」のデータが書き込まれる。
【0018】
最後に、生体情報登録端末は生体情報登録ICカードを排出する(205)。
【0019】
端末操作者は、排出された生体情報登録ICカードを利用者に引き渡す。以上で利用者の生体認証ICカード申込の受付が完了する。
【0020】
生体情報登録端末は、生体情報登録ICカードと、後に発行される生体認証ICカードの対応を利用者が間違えないことを目的として、申込IDやシリアルNo.、記号、符号等を印字し、利用者に引き渡することもできる。また、利用者の識別情報や口座番号などを用いてもよい。これらを後述するカード認証情報として、用いてもよい。
【0021】
端末操作者は、利用者の生体認証ICカードを発行するために、申込書を生体認証ICカード発行端末に入力できるデータ形式に変換するためのセンタ等に送付する。申込書に代えて電子的な申込データを用いる場合、電子媒体やデータ伝送等の手段によって送付してもよい。
【0022】
図3は、図2にて申し込まれた生体認証ICカードの発行処理を行う流れの一例を示したものである。
ここでは、生体認証ICカード発行端末にて、生体情報が登録されていない生体認証ICカードが発行される想定とする。
【0023】
まず、生体認証ICカード発行端末に生体認証ICカード申込データが入力される(301)。申込データの入力形態としては、電子媒体またはネットワーク経由でのデータ入力または紙による入力等、どのような形態でもよい。
【0024】
次に、生体認証ICカード発行端末によって、申込データに応じた形で生体認証ICカードが発行される(302)。後述の図4-402の生体情報登録ICカードの正当性判定で生体認証ICカードのカード認証データを使用する場合、ここで生体認証ICカードにカード認証データが書き込まれる。例えば図6に示したデータ例の場合、ここでカード認証データ(604)に「BBBB BBBB」のデータが書き込まれる。
【0025】
また、申込データは生体情報を含まないため、発行された生体認証ICカードは生体情報が登録されていない状態である。
【0026】
生体認証ICカード発行端末によって生体認証ICカードに申込IDが書き込まれる(303)。この申込IDは図2-201で生成された一意のIDである。上記の例においては、申込IDは申込書に記入され、申込書から生成された申込データに含まれる。
【0027】
例えば、図6に示したデータ例の場合、ここで申込ID(602)に「YYYYMMDDTTTTNNNN」のデータが書き込まれる。
【0028】
最後に、生体認証ICカードは生体認証ICカード発行端末から排出される(304)。
【0029】
生体認証ICカードへの申込IDの書き込みは、生体認証ICカード発行端末以外の申込ID書き込み端末によって行ってもよい。その場合は、申込IDの書き込み(303)の前に生体認証ICカードは生体認証ICカード発行端末から排出され、申込ID書き込み端末に挿入され、申込IDを書き込まれた上で排出される。排出された生体認証ICカードは、郵送等の手段にて利用者へ引き渡される。
【0030】
図4は、図3にて利用者に引き渡された生体認証ICカードに、利用者が利用者自身の生体情報の登録処理を行う流れの一例を示したものである。ここでは、無人の生体情報登録端末にて登録処理を行う想定とする。
【0031】
まず、利用者からの生体情報登録端末に対する生体情報登録ICカードを挿入を受付ける(401)。
生体情報登録端末は、挿入された生体情報登録ICカードの正当性を判定する(402)。ICカードの正当性の判定方法としては、例えばあらかじめ生体情報登録ICカードおよび生体情報登録端末に保存されたカード認証データを鍵データとして使用するチャレンジ/レスポンス認証を行う方法がある。または、生体情報登録ICカードおよび生体認証ICカードに保存された同一のカード認証データを鍵データとして使用するチャレンジ/レスポンス認証を行う方法がある。ただしこの場合は、生体情報登録ICカードの正当性が判定されるのは生体認証ICカードの挿入後である。もしくは上述した認証用データを比較して判断してもよい。さらに、利用者からPIN入力を受付け、これと各ICカードに格納されたPINを比較して行ってもよい。
【0032】
生体情報登録ICカードの正当性判定が失敗した場合、生体情報登録端末は窓口への案内画面を表示し、処理を中止する(403)。また、生体情報登録ICカードの正当性判定が失敗した場合、窓口への案内画面を表示する前に、複数回のリトライを行うことも可能である。
【0033】
生体情報登録ICカードの正当性判定が成功した場合、生体情報登録端末は生体情報登録ICカードと利用者で生体認証を行う(404)。
【0034】
生体認証が失敗した場合、生体情報登録端末は窓口への案内画面を表示し、処理を中止する(403)。
【0035】
生体認証が成功した場合、生体情報登録端末は生体情報登録ICカードから申込IDを読み出し(406)、生体情報登録ICカードを生体情報登録端末内の保管庫に排出する(407)。
次に、生体認証ICカードを挿入する(408)。
【0036】
生体情報登録端末は生体認証ICカードから申込IDを読み出し(409)、406で生体情報登録ICカードから読み出した申込IDと一致するか照合する(410)。一致しなかった場合、生体情報登録端末は窓口への案内画面を表示し、処理を中止する(411)。一致した場合、生体情報登録端末は利用者の生体から生体情報を抽出し、生体認証ICカードに生体情報を登録する(412)。
【0037】
例えば、図6に示したデータ例の場合、ここで生体データ(603)に「AAAA AAAA」のデータが書き込まれる。
【0038】
最後に、生体情報登録端末は生体認証ICカードを排出する(412)。
なお、生体情報登録処理を行うにあたってよりセキュリティを高めるために、利用者のPIN入力による生体認証ICカード認証を行うことも可能である。その場合、PINの値は申込書に記入し、図3-301の生体認証ICカード発行時にカードに書き込まれる。
【0039】
また、ここではICカード挿入口が1つの生体情報登録端末の例を挙げたが、ICカード挿入口が2つの生体情報登録端末を使用することもできる。この場合、生体情報登録ICカードと生体認証ICカードの双方を挿入し、生体情報登録ICカードの正当性判定と申込IDの読み出し、および生体認証ICカードの申込IDの読み出しを並行して処理することで、処理の短縮化することが可能である。また、生体情報登録ICカードで生体認証を行い、成功した際に、生体から読み取った生体情報をそのまま生体認証ICカードに書き込むことで、処理の短縮化を図ることが可能である。
【0040】
図5は、本生体情報登録方式を行うために生体情報登録ICカードに保存されるデータの一覧の例である(501)。
【0041】
生体認証ICカード申込受付(図2)の前は、申込ID(502)、生体データ(503)はNULLの状態である。
【0042】
生体認証ICカード申込受付(図2)の後は、生体情報登録端末によって生成された申込IDが保存され、利用者の生体から抽出された生体データが登録されている。
【0043】
図4-402の生体情報登録ICカードの正当性判定に用いるカード認証データ(504)は、生体認証ICカード申込受付の前から固定データを保存しておくことも可能である。
【0044】
図4-402の生体情報登録ICカードの正当性判定として、生体情報登録ICカードおよび生体認証ICカードに保存されたカード認証データを鍵データとして使用したチャレンジ/レスポンス認証を行う方法を行う場合、申込受付の際に生体情報登録端末がカード認証データを生成し、生体情報登録ICカードに保存することも可能である。この場合、生成したカード認証データを申込書または申込データに含め、図3-301の生体認証ICカード発行の際に生体認証ICカードに保存する必要がある。
【0045】
図6は、本生体情報登録方式を行うために生体認証ICカードに保存されるデータの一覧の例である(601)。
【0046】
生体認証ICカード発行(図3)の前、申込ID(602)、生体データ(603)はNULLの状態である。
【0047】
生体認証ICカード発行(図3)の後は、申込書から引き継がれた申込IDが保存されている。生体情報登録(図4)の後は、利用者の生体から抽出された生体データが登録されている。
【0048】
図4-402の生体情報登録ICカードの正当性判定として、生体情報登録ICカードおよび生体認証ICカードに保存されたカード認証データを鍵データとして使用したチャレンジ/レスポンス認証を行う方法を行う場合、上記の通り、図3-301の生体認証ICカード発行の際に生体認証ICカードに保存する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施するための最良の形態である生体情報登録端末のブロック図である。
【図2】本発明の実施するための最良の形態における生体認証ICカード申込の受付処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施するための最良の形態における生体認証ICカード発行処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施するための最良の形態における生体認証ICカードへの生体情報の登録処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施するための最良の形態における生体情報登録ICカード内データを示すテーブル例である。
【図6】本発明の実施するための最良の形態における生体情報登録ICカード内データを示すテーブル例である。
【符号の説明】
【0050】
101…生体情報登録端末、102…ICカードI/Fデバイス、103…生体情報I/Fデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサービスを受ける際に利用するICカードを発行するICカード発行方法において、
前記ICカードの発行機関に設けられた発行受付装置で、前記ICカードの発行を要求する利用者から生体情報の入力を受付け、
前記発行受付装置が、前記生体情報および前記利用者もしくは前記ICカードの発行要求を識別する識別情報を、前記サービスを受ける際には利用できない仮ICカードに記録し、
前記識別情報が記録され、前記利用者に送付されたICカードと前記仮ICカードを、生体情報登録装置が受け付け、
前記生体情報登録装置が、前記仮ICカードに格納された識別情報と前記ICカードに格納された識別情報を比較し、
前記生体情報登録装置が、前記比較の結果一致すると判断した場合、前記仮ICカードに格納された前記生体情報を、前記ICカードに格納することを特徴とするICカード発行方法。
【請求項2】
請求項1に記載のICカード発行方法において、
前記生体情報登録装置は、前記ICカードに前記生体情報を格納した場合、前記仮ICカードを当該生体情報登録装置内に取り込むことを特徴とするICカード発行方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載のICカード発行方法において、
前記発行受付装置は、前記生体情報として、入力された前記生体情報に対して所定の変換を施した変換情報を、前記仮ICカードに格納し、
前記生体情報登録装置は、前記ICカードに、前記変換情報を格納することを特徴とするICカード発行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−86795(P2009−86795A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253017(P2007−253017)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】