説明

ICカード積層体、ICカード、ICカード所有者の個人情報確認システム、およびICカード所有者の個人情報確認方法

【課題】ICチップが破損した場合においてもICカード所有者の個人情報を確認することができるとともに、偽造を防止することができるICカード積層体およびICカードを提供する。
【解決手段】本発明によるICカード積層体12は、第1基材シート2aと、この第1基材シート2a上に配置され、インレット用基材7と、ICチップ8と、アンテナ9とを有するインレット6と、このインレット6上に配置された第2基材シート5aとを備えている。第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aは、ICカード1を囲む打抜線13に沿って打ち抜かれ、インレット用基材7は、この打抜線13を越えて突出する突出部10を有している。この突出部10に、打抜線13を跨ぐようにICカード1に対応するカード固有番号を表す番号識別表示部11が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打ち抜くことによりICチップを内蔵するICカードを得るためのICカード積層体、ICカード、ICカード所有者の個人情報確認システム、およびICカード所有者の個人情報確認方法に係り、とりわけ、ICチップが破損した場合においてもICカード所有者の個人情報を確認することができるとともに、偽造を防止することができるICカード積層体、ICカード、ICカード所有者の個人情報確認システム、およびICカード所有者の個人情報確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カード基材の表面に、顔写真及び文字等の情報が印刷され、これらの情報を覆うようにカード基材上に透明保護層が設けられたカードが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなカードにおいては、カード基材表面に印刷された顔写真及び文字等の情報が正規の情報として扱われる。このため、カード基材から透明保護層を剥離し、カード基材表面に印刷された顔写真及び文字等の情報を削り取り、このカード基材表面に、別の顔写真及び文字等の情報を印刷して透明保護層で覆うことにより、カードの偽造を比較的容易に行うことができるという問題がある。
【0004】
ところで、近年、運転免許証等のように、顔写真及び氏名等の個人情報を記憶させたICチップを内蔵し、表面にICチップに記憶されている情報と同一の顔写真及び氏名等の個人情報が印刷されたICカードが使用されている。このようなICカードにおいては、表面に印刷された個人情報ではなく、ICチップに記憶された個人情報が正規の個人情報として扱われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3191815号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなICカードにおいてICチップが破損した場合には、ICチップから顔写真及び氏名等の個人情報を読み出すことができない。この場合には、ICチップに記憶された個人情報に代わり、ICカード表面に印刷された顔写真及び氏名等の個人情報が正規の個人情報として扱われる。このため、故意にICチップを破損し、ICカード表面に印刷された顔写真及び氏名等の個人情報を削り取り、別の顔写真及び氏名等の個人情報を印刷することにより、カードの偽造を比較的容易に行うことができるという問題がある。
【0007】
また、ICチップが破損したICカードの所有者の顔写真及び氏名等の個人情報を確認する場合には、オペレータが、ICカードの所有者の個人情報が予め記憶されているサーバから、その所有者の個人情報を引き出して確認する作業を行っている。このため、ICチップが破損した場合、ICカード所有者の顔写真及び氏名等の個人情報を確認するために多くの時間が費やされる。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ICチップが破損した場合においてもICカード所有者の個人情報を確認することができるとともに、偽造を防止することができるICカード積層体、ICカード、ICカード所有者の個人情報確認システム、およびICカード所有者の個人情報確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、打ち抜かれることによりICカードを得るためのICカード積層体において、第1基材シートと、この第1基材シート上に配置され、インレット用基材と、このインレット用基材上に設けられたICチップと、このICチップに連結されたアンテナとを有するインレットと、このインレット上に配置された第2基材シートと、を備え、第1基材シート、インレット、および第2基材シートは、ICカードを囲む打抜線に沿って打ち抜かれ、インレット用基材は、この打抜線を越えて突出する突出部を有し、インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐようにICカードに対応するカード固有番号を表す番号識別表示部が設けられていることを特徴とするICカード積層体である。
【0010】
本発明は、第1基材シート上には、複数のインレットが配置され、第1基材シート、インレット、および第2基材シートがインレット毎に打ち抜かれて、複数のICカードが得られることを特徴とするICカード積層体である。
【0011】
本発明は、ICカード積層体に関し、第1基材シート、インレット、および第2基材シートを打抜線に沿って打ち抜いて得られ、側面に番号識別表示部が露出することを特徴とするICカードである。
【0012】
本発明は、番号識別表示部は、インレット用基材の突出部に塗装または印刷により形成されたバーコードからなることを特徴とするICカードである。
【0013】
本発明は、バーコードは、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料を塗装または印刷して形成されていることを特徴とするICカードである。
【0014】
本発明は、インレット用基材は、浸含性を有する材料により形成されていることを特徴とするICカードである。
【0015】
本発明は、インレットのアンテナから、打抜線を跨ぐように多数の細長延長部がバーコード状に延び、この多数の細長延長部が、番号識別表示部を構成することを特徴とするICカードである。
【0016】
本発明は、インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐように多数のスリットがバーコード状に形成され、この多数のスリットが、番号識別表示部を構成することを特徴とするICカードである。
【0017】
本発明は、インレット用基材の突出部の色と、第1基材シート、インレット、および第2基材シートを接合する接合材の色とが互いに異なることを特徴とするICカードである。
【0018】
本発明は、インレット用基材の突出部、並びに第1基材シート、インレット、および第2基材シートを接合する接合材のうちのいずれか一方が、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料により形成されていることを特徴とするICカードである。
【0019】
本発明は、インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐように多数の溝がバーコード状に形成され、この多数の溝が、番号識別表示部を構成することを特徴とするICカードである。
【0020】
本発明は、各溝に、突出部の色とは異なる色からなるインクが充填されて固化されていることを特徴とするICカードである。
【0021】
本発明は、インレット用基材は、打抜線の内側に所定のマージンを残して形成されていることを特徴とするICカードである。
【0022】
本発明は、インレット用基材に、貫通穴が設けられていることを特徴とするICカードである。
【0023】
本発明は、番号識別表示部は、インレットの突出部に塗装または印刷により形成されたモールス信号からなることを特徴とするICカードである。
【0024】
本発明は、番号識別表示部は、インレットの突出部に塗装または印刷により形成され、異なる2つの符号単位を組み合わせて構成された符号からなることを特徴とするICカードである。
【0025】
本発明は、打ち抜かれることによりICカードを得るためのICカード積層体において、第1基材シートと、この第1基材シート上に配置され、インレット用基材と、このインレット用基材上に設けられたICチップと、このICチップに連結されたアンテナとを有するインレットと、このインレット上に配置された第2基材シートと、を備え、第1基材シート、インレット、および第2基材シートは、ICカードを囲む打抜線に沿って打ち抜かれ、第1基材シートおよび第2基材シートのいずれか一方の内面上に、この打抜線を跨ぐように、ICカードに対応するカード固有番号を表す番号識別表示部が設けられていることを特徴とするICカード積層体である。
【0026】
本発明は、第1基材シート上には、複数のインレットが配置され、第1基材シート、インレット、および第2基材シートがインレット毎に打ち抜かれて、複数のICカードが得られることを特徴とするICカード積層体である。
【0027】
本発明は、ICカード積層体に関し、第1基材シートおよび第2基材シートを打抜線に沿って打ち抜いて得られ、側面に番号識別表示部が露出することを特徴とするICカードである。
【0028】
本発明は、打ち抜かれることによりICカードを得るためのICカード積層体において、第1基材シートと、この第1基材シート上に配置され、貫通孔を有する第2基材シートと、この第2基材シートの貫通孔に取り付けられ、ICチップを有するICモジュールと、を備え、第1基材シートおよび第2基材シートは、ICカードを囲む打抜線に沿って打ち抜かれ、第1基材シートおよび第2基材シートのいずれか一方の内面上に、この打抜線を跨ぐように、ICカードに対応するカード固有番号を表す番号識別表示部が設けられていることを特徴とするICカード積層体である。
【0029】
本発明は、第2基材シートは、複数の貫通孔を有し、第2基材シートの各貫通孔にICチップを有するICモジュールがそれぞれ取り付けられ、第1基材シートおよび第2基材シートがICモジュール毎に打ち抜かれて、複数のICカードが得られることを特徴とするICカード積層体である。
【0030】
本発明は、ICカード積層体に関し、第1基材シートおよび第2基材シートを打抜線に沿って打ち抜いて得られ、側面に番号識別表示部が露出することを特徴とするICカードである。
【0031】
本発明は、ICチップを内蔵するICカードの所有者の個人情報を確認するためのICカード所有者の個人情報確認システムにおいて、ICカードの側面に露出している番号識別表示部からカード固有番号を読み取る読取手段と、カード固有番号に対応してICチップ固有番号が予め記憶された第1データベースと、読取手段により読み取られたカード固有番号に基づいて、第1データベースから対応するICチップ固有番号を引き出す第1引出手段と、ICチップ固有番号に対応してICカード所有者の個人情報が予め記憶された第2データベースと、第1引出手段により引き出されたICチップ固有番号に基づいて、第2データベースから対応するICカード所有者の個人情報を引き出す第2引出手段と、第2引出手段により引き出されたICカード所有者の個人情報を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするICカード所有者の個人情報確認システムである。
【0032】
本発明は、ICチップを内蔵するICカードの所有者の個人情報を確認するためのICカード所有者の個人情報確認方法において、ICカードの側面に露出している番号識別表示部からカード固有番号を読み取る工程と、読み取られたカード固有番号に基づいて、カード固有番号に対応してICチップ固有番号が予め記憶された第1データベースから、対応するICチップ固有番号を引き出す工程と、引き出されたICチップ固有番号に基づいて、ICチップ固有番号に対応してICカード所有者の個人情報が予め記憶された第2データベースから、対応するICカード所有者の個人情報を引き出す工程と、引き出されたICカード所有者の個人情報を表示する工程と、を備えたことを特徴とするICカード所有者の個人情報確認方法である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ICカードの側面に、カード固有番号を表す番号識別表示部が露出されている。このことにより、番号識別表示部からカード固有番号を容易に読み取ることができ、ICチップが破損した場合においても、この読み取られた番号識別表示部が表すカード固有番号に基づいて、ICカード所有者の個人情報を得ることができる。また、この番号識別表示部は、インレットの突出部に打抜線を跨ぐように形成されている。このことにより、ICカード側面が多少削られた場合においても、番号識別表示部を露出させて、番号識別表示部が消失することを防止することができる。このため、ICカードが偽造されることを確実に防止することができる。
【0034】
また本発明によれば、ICカードの側面に露出している番号識別表示部からカード固有番号が読み取られ、この読み取られたカード固有番号に基づいて、対応するICチップ固有番号が引き出され、この引き出されたICチップ固有番号に基づいて、対応するICカード所有者の個人情報が引き出されて表示される。このことにより、ICチップが破損した場合においても、番号識別表示部からカード固有番号を読み取ることにより、このカード固有番号に対応するICチップ固有番号を引き出すことができ、ICカード所有者の個人情報を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるICカードの断面構成を示す概略図。
【図2】図2(a)は、本発明の第1の実施の形態におけるICカードを示す上面図。図2(b)は、図2(a)の側面図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態におけるICカード積層体を示す上面図。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態におけるICカードのインレットを示す上面図。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態におけるICカードの製造装置を示す概略図。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態におけるICカード所有者の個人情報確認システムを示す概略図。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態におけるICカードの断面構成を示す図。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態におけるICカードのインレットを示す図。
【図9】図9は、本発明の第3の実施の形態におけるICカードの断面構成を示す図。
【図10】図10は、本発明の第3の実施の形態におけるICカードのインレットを示す図。
【図11】図11は、本発明の第4の実施の形態におけるICカードの断面構成を示す図。
【図12】図12は、本発明の第4の実施の形態におけるICカードのインレットを示す図。
【図13】図13は、本発明の第5の実施の形態におけるICカードの断面構成を示す概略図。
【図14】図14(a)は、本発明の第5の実施の形態におけるICカードを示す上面図。図14(b)は、図14(a)の側面図。
【図15】図15は、本発明の第5の実施の形態におけるICカードのICモジュールを示す図。
【図16】図16は、本発明の第5の実施の形態におけるICカード積層体を示す上面図。
【図17】図17は、本発明の第5の実施の形態におけるICカードの第1基材シートの一部を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1乃至図6は、本発明の第1の実施の形態におけるICカード積層体、ICカード、ICカード所有者の個人情報確認システム、およびICカード所有者の個人情報確認方法を示す図である。
【0037】
<ICカード>
まず、図1によりICカード1の断面構成について説明する。ここで、ICカード1は、外部装置(リーダ・ライタ等)と非接触で通信することができ、後述するICチップ8に記憶された情報を読み取り、またはこのICチップ8へ新たな情報を書き込んだりすることができるようになっている。
【0038】
図1に示すようにICカード1は、第1基材2と、この第1基材2上に第1接合層3を介して配置され、インレット用基材7と、このインレット用基材7上に設けられたICチップ8と、各ICチップ8に連結されたアンテナ9とを有するインレット6と、このインレット6上に第2接合層4を介して配置された第2基材5とを備えている。
【0039】
このうち、第1基材2および第2基材5は、PET(ポリエチレンテレフタレート)または紙等からなっている。
【0040】
第1接合層3および第2接合層4を形成する接合材は、ホットメルト接着剤からなり、特に、反応性ホットメルト接着剤からなっていることが好ましい。この反応性ホットメルト接着剤は、湿気を吸収することにより硬化するものであり、一般的なホットメルト接着剤と比較して接着可能時間を長くとることができ、低温での塗工に適している。
【0041】
インレット6のインレット用基材7は、浸含性のある材料、例えば不織布からなり、図2(a)に示すように、第1基材および第2基材の周縁から内側に所定のマージンを残して形成されている。このことにより、第1基材2と第2基材5とがその周縁近傍においてインレット6を介在させることなく接合材によって直接接合されるため、第1基材2と第2基材5との接合力を増大させることができる。
【0042】
また、図2(a)に示すように、インレット用基材7は、突出部10を有し、この突出部10の上面に、バーコード(番号識別表示部)11が形成されている。このバーコード11は、インレット用基材7の内方から第1基材2および第2基材5の端縁に向かって延び、図2(b)に示すように、一端がICカード1の側面に露出するようになっている。なお、バーコード11は、インレット用基材7の突出部10の下面に形成するようにしても良い。
【0043】
ICチップ8は、情報を記録するためのメモリを含み、図示しない外部装置により、アンテナ9を介してICチップ8に記録された情報を読み出したり、アンテナ9を介してICチップ8に新たな情報を書き込んだりすることができるようになっている。そして、ICカード1のこのような機能を発現するための回路配線がICチップ8に書き込まれている。
【0044】
アンテナ9は、インレット用基材7上で略コイル状に形成され、ICチップ8と電気的に接続されている。また、アンテナ9は、例えば、スクリーン印刷機を用いて導電性インキをインレット用基材7上に塗布することにより、あるいはインレット用基材7上に銅またはアルミニウム等からなる導電性箔を打ち抜き転写することにより、あるいはインレット用基材7上に積層された銅またはアルミニウム等からなる導電性箔にエッチングを施して所望の形状にパターニングすること等により、インレット用基材7上に形成することができる。
【0045】
<ICカード積層体>
次に、図1、図3、および図4により、ICカード積層体12について説明する。ICカード積層体12は、多面付用の第1基材シート2aと、この多面付用の第1基材シート2a上に多数配置されたインレット6(本実施の形態においては50個)と、この多数のインレット6上に配置された多面付用の第2基材シート5aとを有している。
【0046】
このうち、多面付用の第1基材シート2aおよび多面付用の第2基材シート5aは、50個のICカードを製造可能な大きさを有している。図3における第1基材シート2aおよび第2基材シート5aは、その一例として、5列×10段のICカード1を製造可能な大きさを有している。
【0047】
これら多面付用の第1基材シート2a、インレット6、および多面付用の第2基材シート5aからなるICカード積層体12は、インレット6毎に各ICカード1を囲む打抜線13に沿って打ち抜かれて、図1および図2(a)、(b)に示す単体のICカード1が得られるようになっている。
【0048】
図4に示すように、各インレット用基材7は、各ICカード1を囲む打抜線13を越えて突出する突出部10を有している。各インレット用基材7の突出部10の上面に、打抜線13を跨ぐように各ICカード1に対応するカード固有番号を表すバーコード11が設けられている。
【0049】
このバーコード11は、インレット用基材7の突出部10に、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料を塗装または印刷して形成されている。このことにより、ICカード1側面に露出したバーコード11を専用の装置(図示せず)を用いた場合にのみ読み取ることができるようになり、バーコード11が不正に読み取られることを防止している。また、不織布に塗装または印刷によりバーコード11を形成しているため、上述の材料が不織布内部に浸含し、ICカード1の側面に露出するバーコード11の厚みを増大させることができる。このことにより、バーコード11をICカード1の側面に確実に露出させることができる。
【0050】
<ICカードの製造装置>
次に、このような構成からなるICカード1を製造するためのICカード製造装置21について説明する。
【0051】
ICカード製造装置21は、例えば、50個のICカード1を製造可能な大きさからなる枚葉状の第1基材シート2aを積層する基材積層手段22と、連続状の第2基材シート5aが巻き付けられた基材巻付手段23と、基材積層手段22から搬送される第1基材シート2aに反応性ホットメルト接着剤を塗布して第1接着剤塗布手段24とを有している。このうち第1接着剤塗布手段24は、第1基材シート2aを吸引保持するサクションロール24aと、このサクションロール24aに吸引保持された第1基材シート2aに反応性ホットメルト接着剤を塗布するダイ24bとを含んでいる。
【0052】
第1接着剤塗布手段24の下流側に、第1基材シート2a上に50個のインレット6を配置するインレット配置手段25が設けられている。このインレット配置手段25は、第1基材シート2a上に配置される各インレット6を一括して吸着保持する中間ステーション25aを有している。
【0053】
インレット配置手段25の近傍に、中間ステーション25aに保持された各インレット用基材7の突出部10に、打抜線13を跨ぐように各ICカード1に対応するカード固有番号を表すバーコード11を塗装または印刷するバーコード形成手段26が設けられている。このバーコード形成手段26は、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料を塗装または印刷してバーコード11を形成するように構成されている。
【0054】
インレット配置手段25の下流側に、基材巻付手段23から繰り出される第2基材シート5aに、反応性ホットメルト接着剤を塗布する第2接着剤塗布手段27が設けられている。この第2接着剤塗布手段27は、第2基材シート5aを案内して下流側に搬送するロール27aと、このロール27a上の第2基材シート5aに反応性ホットメルト接着剤を塗布するダイ27bとを含んでいる。
【0055】
第2接着剤塗布手段27に隣接して、第1基材シート2a上に多数のインレット6を介して第2基材シート5aを貼り合わせる貼合手段28が設けられている。この貼合手段28は、第1基材シート2a、インレット6、第2基材シート5aをニップする一対のニップロール28aからなっている。この一対のニップロール28aのうちの一方は、上述した第2接着剤塗布手段27のロール27aにより構成されている。
【0056】
第1接着剤塗布手段24とインレット配置手段25との間に、第1基材シート2aに塗布された反応性ホットメルト接着剤を加熱して保温する第1保温加熱手段29aが設けられている。また、インレット配置手段25と貼合手段28との間に、第1基材シート2aに塗布された反応性ホットメルト接着剤を加熱して保温する第2保温加熱手段29bが設けられている。
【0057】
貼合手段28の下流側に、第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを加熱しながら加圧する加熱加圧手段30が設けられている。この加熱加圧手段30は、貼り合わされた第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを加圧しながら搬送する一対のコンベア30aと、一対のコンベア30aにより搬送されている第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを加熱する加熱手段(図示せず)とを含んでいる。
【0058】
加熱加圧手段30の下流側に、加熱された第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを冷却して加圧する冷却加圧手段31が設けられている。この冷却加圧手段31は、第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを加圧しながら搬送する一対のコンベア31aと、一対のコンベア31aにより搬送されている第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを冷却する冷却手段(図示せず)とを含んでいる。
【0059】
冷却加圧手段31の下流側に、第2基材シート5aを所定の位置において切断するカッタユニット32aからなる切断手段32が設けられている。このように第2基材シート5aが切断されて枚葉状になることにより、図3に示す多面付用の第1基材シート2aと、多数のインレット6と、多面付用の第2基材シート5aとを有するICカード積層体12が得られる。
【0060】
切断手段32の下流側に、ICカード積層体12を集積する集積保管手段33が設けられている。この集積保管手段33において、ICカード積層体12は、1〜数十枚毎に、第1基材シート2aの大きさに対応する大きさを有する金属板33a(例えば、ステンレス製)を介在させて集積され、空調環境下にて1週間程度保管される。
【0061】
集積保管手段33の下流側に、ICカード積層体12の第2基材シート5a上に定形印刷を施す定形印刷手段34が設けられている。
【0062】
定形印刷手段34の下流側に、ICカード積層体12をインレット6毎に打ち抜く打抜手段35が設けられている。この打抜手段35においては、図4に示すように、インレット6の突出部10に形成されたバーコード11を裁断するように、ICカード積層体12がインレット6毎に打抜線13に沿って打ち抜かれる。このようにして、第1基材2とインレット6と第2基材5とを有し、ICカード1の側面にバーコード11が露出した単体のICカード1が得られる(図2(a)、(b)参照)。
【0063】
<ICカードの製造方法>
次に、このような構成からなるICカード1の製造方法について説明する。
【0064】
まず、図5に示すように、枚葉状の第1基材シート2aが、基材積層手段22から第1接着剤塗布手段24に搬送される。搬送された第1基材シート2aは、第1接着剤塗布手段24のサクションロール24aに吸引保持されて、この第1基材シート2aにダイ24bから反応性ホットメルト接着剤が塗布される。
【0065】
次に、この第1基材シート2aは、第1保温加熱手段29aにより第1基材シート2a上の反応性ホットメルト接着剤が加熱されて保温されながら、インレット配置手段25に搬送される。
【0066】
この間、図4に示すようなインレット用基材7が準備され、このインレット用基材7上に、略コイル状にアンテナ9が形成される。この場合、例えば、スクリーン印刷機を用いて導電性インキがインレット用基材7上に塗布される、あるいはインレット用基材7上に銅またはアルミニウム等からなる導電性箔を打抜転写することにより、あるいはインレット用基材7上に積層された銅またはアルミニウム等からなる導電性箔にエッチングを施して所定の形状にパターニングすること等により、アンテナ9が形成される。
【0067】
次に、インレット配置手段25の中間ステーション25aに、50個のインレット6が吸着保持され、バーコード形成手段26により、各インレット用基材7の突出部10に、打抜線13を跨ぐように各ICカード1に対応するカード固有番号を表すバーコード11が形成される。その後、各インレット6が第1基材シート2a上に載置される。
【0068】
次に、インレット6が載置された第1基材シート2aは、第2保温加熱手段29bにより、第1基材シート2上の反応性ホットメルト接着剤が加熱されて保温されながら、貼合手段28に搬送される。
【0069】
この間、基材巻付手段23から第2接着剤塗布手段27に第2基材シート5aが連続して繰り出される。繰り出された第2基材シート5aは第2接着剤塗布手段27のロール27aに保持されて、この第2基材シート5aにダイ27bから反応性ホットメルト接着剤が塗布される。
【0070】
次に、貼合手段28の一対のニップロール28aにより、第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aがニップされて貼り合わせられる。
【0071】
次に、貼り合わされた第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aが、加熱加圧手段30に搬送され、加熱されながら加圧される。この間、第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aが、図示しない加熱手段により加熱される。このことにより、第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを所定の厚さで平滑に接合することができる。
【0072】
次に、加熱加圧された第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aが冷却加圧手段31に搬送され、冷却されながら加圧される。この間、第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aが、図示しない冷却手段により冷却される。このことにより、第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aを、平滑性を維持しながら冷却することができる。
【0073】
次に、冷却加圧された第1基材シート2a、インレット6、および第2基材シート5aが切断手段32に搬送され、第2基材シート5aが、第1基材シート2aに対応する大きさとなるように切断される。このことにより、第2基材シート5aが切断されて枚葉状になり、多面付用の第1基材シート2aと、50個のインレット6と、多面付用の第2基材シート5aとを有するICカード積層体12(図3参照)を形成することができる。
【0074】
次に、ICカード積層体12が集積保管手段33に搬送されて、集積されて保管される。この場合、ICカード積層体12に、1〜数十枚毎に金属板33aが介在される。このことにより、各ICカード積層体12の平滑性を維持しながら保管することができる。また、この場合、空調環境下に1週間程度保管される。このことにより、第1接合層3および第2接合層4を形成する反応性ホットメルト接着剤が湿気を吸収して硬化することができる。
【0075】
次に、ICカード積層体12が定形印刷手段34に搬送され、ICカード積層体12の第2基材シート5aに定形印刷が施される。
【0076】
その後、ICカード積層体12が打抜手段35に搬送され、インレット6毎に打ち抜かれる。この場合、図4に示すように、インレット6の突出部10に形成されたバーコード11を裁断するように、ICカード積層体12がインレット6毎に打抜線13に沿って打ち抜かれる。このことにより、ICカード1の側面にバーコード11が露出した単体のICカード1を形成することができる(図2(a)、(b)参照)。
【0077】
<ICカード所有者の個人情報確認システム>
次に、このようにして得られたICカード1の所有者の個人情報を確認するICカード所有者の個人情報確認システム41について説明する。
【0078】
図6に示すように、ICチップ8を内蔵するICカード所有者の個人情報確認システム41は、ICカード1の側面に露出しているバーコード11からカード固有番号を読み取る読取手段42と、カード固有番号に対応してICチップ固有番号が予め記憶された第1データベース43と、読取手段42により読み取られたカード固有番号に基づいて、第1データベース43から対応するICチップ固有番号を引き出す第1引出手段44とを備えている。このうち、第1データベース43および第1引出手段44は、第1サーバ45内に構成されている。
【0079】
この第1サーバ45に、第2サーバ48が接続されており、この第2サーバ48は、ICチップ固有番号に対応してICカード所有者の個人情報が予め記憶された第2データベース46と、第1引出手段44により引き出されたICチップ固有番号に基づいて、第2データベース46から対応するICカード所有者の個人情報を引き出す第2引出手段47とを有している。
【0080】
第2サーバ48に、第2引出手段47により引き出されたICカード所有者の個人情報を表示する表示手段49が接続されている。
【0081】
なお、第1データベース43、第1引出手段44、第2データベース46、および第2引出手段47は、第1サーバ45および第2サーバ48のうちのいずれか一方のサーバ内に一括して構成するようにしても良い。
【0082】
<ICカード所有者の個人情報確認方法>
次に、ICカード1の所有者の個人情報を確認するICカード所有者の個人情報確認方法について説明する。
【0083】
まず、ICカード1の側面に露出しているバーコード11からカード固有番号が読取手段42により読み取られる。
【0084】
次に、読み取られたカード固有番号に基づいて、第1引出手段44によって第1データベース43からカード固有番号に対応するICチップ固有番号が引き出される。
【0085】
次に、引き出されたICチップ固有番号に基づいて、第2引出手段47によって第2データベース46からICチップ固有番号に対応するICカード所有者の個人情報が引き出される。
【0086】
その後、引き出されたICカード所有者の個人情報が表示手段49に表示される。このことにより、ICカード所有者の個人情報を確認することができる。
【0087】
このように本実施の形態によれば、ICカード1の側面に、カード固有番号を表すバーコード11が露出されている。このことにより、バーコード11からカード固有番号を容易に読み取ることができ、ICチップ8が破損した場合においても、この読み取られたカード固有番号に基づいて、ICカード所有者の個人情報を得ることができる。また、このバーコード11は、インレット用基材7の突出部10に打抜線13を跨ぐように形成されている。すなわち、バーコード11は、インレット用基材7上において、インレット用基材7の内方から第1基材2および第2基材5の端縁に向かって延びている。このことにより、ICカード1側面が多少削られた場合においても、バーコード11を露出させることができ、バーコード11が消失することを防止することができる。このため、ICカード1が偽造されることを確実に防止することができる。
【0088】
また本実施の形態によれば、ICカード1の側面に露出しているバーコード11からカード固有番号が読み取られ、この読み取られたカード固有番号に基づいて、対応するICチップ固有番号が引き出され、この引き出されたICチップ固有番号に基づいて、対応するICカード所有者の個人情報が引き出されて表示される。このことにより、ICチップ8が破損した場合においても、バーコード11からカード固有番号を読み取ることにより、このカード固有番号に対応するICチップ固有番号を引き出すことができ、ICカード所有者の個人情報を確実に得ることができる。
【0089】
なお、本実施の形態においては、ICカード積層体12が、多面付用の第1基材シート2aと、この多面付用の第1基材シート2a上に配置された50個のインレット6と、この50個のインレット6上に配置された多面付用の第2基材シート5aとを有し、このICカード積層体12がインレット6毎に打ち抜かれて、一つのICカード積層体12から50個のICカード1が得られる例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、第1基材シート2aおよび第2基材シート5aを、任意の個数のICカード1を製造可能な大きさとして、これに対応する個数のインレット6を第1基材シート2a上に配置してもよい。例えば、第1基材シート2aおよび第2基材シート5aを、1つのICカード1を製造可能な大きさとして、1つのインレット6を第1基材シート2a上に配置し、一つのICカード積層体12から1個のICカード1が得られるようにしても良い。
【0090】
また、本実施の形態においては、インレット用基材7が、打抜線13の内方に所定のマージンを残して形成されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、インレット用基材7が、このようなマージンを残すように形成することなく、第1基材2および第2基材5に対応する大きさを有し、インレット用基材7に、第1接合層3と第2接合層4を直接接合する貫通穴が設けられるようにしても良い。この場合、第1基材シート2aと第2基材シート5aとが部分的にインレット6を介在させることなく直接接合されるため、第1基材シート2aと第2基材シート5aとの接合力を増大させることができる。
【0091】
また、本実施の形態においては、インレット用基材7の突出部10上に、バーコード11が形成されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、インレット用基材7の突出部10上に、異なる2つの符号単位を組み合わせて構成された符号、例えばモールス符号(図示せず)を形成して、ICカード1の側面に露出するようにしてもよい。この場合、2つの符号単位は、短点とこの短点の3倍の長さを有する長点とからなり、モールス符号は、これら短点と長点と短点に相当する間隔とにより構成される。
【0092】
さらに、本実施の形態においては、インレット用基材7の突出部10上に、バーコード11が形成されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、第1基材シート2aの内面上(図14(b)参照)または、第2基材シート5aの内面上(図示せず)に、バーコード11を設けてもよい。この場合、インレット6のインレット用基材7は、突出部10を有することなく、略矩形状に形成してもよい。
【0093】
第2の実施の形態
次に、図7および図8により、本発明の第2の実施の形態におけるICカードについて説明する。
【0094】
図7および図8に示す第2の実施の形態におけるICカードにおいて、インレットのアンテナから、打抜線を跨ぐように多数の細長延長部がバーコード状に延び、この多数の細長延長部が、番号識別表示部を構成している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7および図8において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0095】
図7および図8に示すように、インレット6のアンテナ9から、打抜線13を跨ぐように多数の細長延長部51がバーコード状に延び、この多数の細長延長部51が、カード固有番号を表す番号識別表示部を構成している。このことにより、この多数の細長延長部51からバーコードと同様にしてカード固有番号を読み取ることができるようになっている。
【0096】
この多数の細長延長部51は、アンテナ9と共に、例えば、スクリーン印刷機を用いて導電性インキをインレット用基材7上に塗布することにより、あるいはインレット用基材7上に銅またはアルミニウム等からなる導電性箔を打ち抜き転写することにより、あるいはインレット用基材7上に積層された銅またはアルミニウム等からなる導電性箔にエッチングを施して所望の形状にパターニングすること等により、インレット用基材7上に形成することができる。なお、この多数の細長延長部51は、アンテナ9に連結されることなく、アンテナ9と分断されていても良い。
【0097】
このようにして形成されたインレット6を含むICカード積層体12をインレット6毎に打抜線13に沿って打ち抜くことにより、ICカード1の側面に、バーコード状の多数の細長延長部51を露出させることができる。
【0098】
このように本実施の形態によれば、ICカード1の側面に、カード固有番号を表す多数の細長延長部51が露出されている。このことにより、この多数の細長延長部51からカード固有番号を容易に読み取ることができ、ICチップ8が破損した場合においても、この読み取られたカード固有番号に基づいて、ICカード所有者の個人情報を得ることができる。また、この多数の細長延長部51は、インレット用基材7の突出部10に打抜線13を跨ぐように形成されている。すなわち、この多数の細長延長部51は、インレット用基材7上において、インレット用基材7の内方から第1基材2および第2基材5の端縁に向かって延びている。このことにより、ICカード1側面が多少削られた場合においても、この多数の細長延長部51を露出させることができ、多数の細長延長部51が消失することを防止することができる。このため、ICカード1が偽造されることを確実に防止することができる。
【0099】
また本実施の形態によれば、インレット用基材7上にアンテナ9を形成する際、この多数の細長延長部51を同時に形成することができる。このことにより、番号識別表示部としての多数の細長延長部51を有するICカード1を比較的短時間で製造することができる。
【0100】
第3の実施の形態
次に、図9および図10により、本発明の第3の実施の形態におけるICカードについて説明する。
【0101】
図9および図10に示す第3の実施の形態におけるICカードにおいて、インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐように多数のスリットがバーコード状に形成され、この多数のスリットが、番号識別表示部を構成している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9および図10において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0102】
図9および図10に示すように、インレット用基材7は、例えば、PET等の樹脂シートからなり、インレット用基材7の突出部10に、打抜線13を跨ぐように多数のスリット52がバーコード状に形成され、この多数のスリット52が、カード固有番号を表す番号識別表示部を構成している。
【0103】
また、インレット用基材7の突出部10の色と、第1接合層3および第2接合層4を形成する反応性ホットメルト接着剤(接合材)の色とは互いに異なっている。このことにより、この多数のスリット52からバーコードと同様にしてカード固有番号を読み取ることができるようになっている。
【0104】
なお、インレット用基材7の突出部10、並びに第1接合層3および第2接合層4を形成する接合材のうちのいずれか一方が、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料により形成されていることが好ましい。このことにより、この多数のスリット52を専用の装置(図示せず)を用いた場合にのみ読み取ることができるようになり、ICカード1の多数のスリット52からカード固有番号が不正に読み取られることを防止している。
【0105】
このようにして形成されたインレット6を含むICカード積層体12をインレット6毎に打抜線13に沿って打ち抜くことにより、ICカード1の側面に、バーコード状の多数のスリット52を露出させることができる。
【0106】
このように本実施の形態によれば、ICカード1の側面に、カード固有番号を表す多数のスリット52が露出されている。このことにより、この多数のスリット52からカード固有番号を容易に読み取ることができ、ICチップ8が破損した場合においても、この読み取られたカード固有番号に基づいて、ICカード所有者の個人情報を得ることができる。また、この多数のスリット52は、インレット用基材7の突出部10に打抜線13を跨ぐように形成されている。すなわち、この多数のスリット52は、インレット用基材7上において、インレット用基材7の内方から第1基材2および第2基材5の端縁に向かって延びている。このことにより、ICカード1側面が多少削られた場合においても、この多数のスリット52を露出させることができ、この多数のスリット52が消失することを防止することができる。このため、ICカード1が偽造されることを確実に防止することができる。
【0107】
また本実施の形態によれば、インレット用基材7の突出部10に、多数のスリット52が形成されて、番号識別表示部を構成している。このことにより、インレット6に番号識別表示部をより一層明瞭に形成することができ、ICカード1側面に、より一層明瞭に露出させることができる。
【0108】
第4の実施の形態
次に、図11および図12により、本発明の第4の実施の形態におけるICカードについて説明する。
【0109】
図11および図12に示す第4の実施の形態におけるICカードにおいて、インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐように多数の溝がバーコード状に形成され、この多数の溝が、番号識別表示部を構成している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図11および図12において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0110】
図11および図12に示すように、インレット用基材7は、例えば、PET等の樹脂シートからなり、インレット用基材7の突出部10の上面に、打抜線13を跨ぐように多数の溝53がバーコード状に形成されている。各溝53に、インレット用基材7の突出部10の色とは異なる色からなるインク54が充填されて固化され、この多数の溝53が、カード固有番号を表す番号識別表示部を構成している。このことにより、この多数の溝53からバーコードと同様にしてカード固有番号を読み取ることができるようになっている。なお、インレット用基材7の突出部10の上面ではなく、下面に、この多数の溝53を設けるようにしても良い。
【0111】
また、インレット用基材7の突出部10、および各溝53に充填されるインク54のうちのいずれか一方が、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料により形成されていることが好ましい。このことにより、この多数の溝53を専用の装置(図示せず)を用いた場合にのみ読み取ることができるようになり、ICカード1の多数の溝53からカード固有番号が不正に読み取られることを防止している。
【0112】
このように本実施の形態によれば、ICカード1の側面に、カード固有番号を表す多数の溝53が露出されている。このことにより、この多数の溝53からカード固有番号を容易に読み取ることができ、ICチップ8が破損した場合においても、この読み取られたカード固有番号に基づいて、ICカード所有者の個人情報を得ることができる。また、この多数の溝53は、インレット用基材7の突出部10に打抜線13を跨ぐように形成されている。すなわち、この多数の溝53は、インレット用基材7上において、インレット用基材7の内方から第1基材2および第2基材5の端縁に向かって延びている。このことにより、ICカード1側面が多少削られた場合においても、この多数の溝53を露出させることができ、この多数の溝53が消失することを防止することができる。このため、ICカード1が偽造されることを確実に防止することができる。
【0113】
また本実施の形態によれば、インレット用基材7の突出部10に、多数の溝53が形成されて、番号識別表示部を構成している。このことにより、インレット6に番号識別表示部をより一層明瞭に形成することができ、ICカード1側面に、より一層明瞭に露出させることができる。
【0114】
第5の実施の形態
次に、図13乃至図17により、本発明の第5の実施の形態におけるICカードについて説明する。
【0115】
図13乃至図17に示す第5の実施の形態におけるICカードは、ICチップを有するICモジュールを備えた接触型のICカードであって、第1基材の内面上にバーコードが設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図13乃至図17において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0116】
図13および図14(a)に示すICカード1は、第1基材2と、この第1基材2上に接合層59を介して配置され、貫通孔55を有する第2基材5と、第2基材5の貫通孔55に取り付けられ、ICチップ8を有するICモジュール56とを備えている。このうち、接合層59を形成する接合材は、ホットメルト接着剤からなり、特に、反応性ホットメルト接着剤からなっていることが好ましい。
【0117】
第1基材2の内面上にバーコード11が設けられ、このバーコード11は、第1基材2の内方から打抜線13(第1基材2の端縁)に向かって延び、一端がICカード1の側面に露出するようになっている(図14(b)参照)。
【0118】
図15に示すように、ICモジュール56は、ICチップ8と、このICチップ8上に設けられた基板57と、この基板57上に設けられ、ICカード1表面に露出する外部端子58とを有している。このうち外部端子58を外部装置(リーダ・ライタ等)に接触させることにより、外部装置とICチップ8とが通信可能になるように構成されている。
【0119】
次に、図16を用いて、このようなICカード1を製造するためのICカード積層体12について説明する。ICカード積層体12は、多面付用の第1基材シート2a(図3参照)と、この多面付用の第1基材シート2a上に配置され、多数(例えば、50個)の貫通孔55を有する多面付用の第2基材シート5a(図3参照)と、第2基材シート5aの各貫通孔55に取り付けられ、ICチップ8を有するICモジュール56とを有している。
【0120】
このうち、第2基材5の貫通孔55は、多面付用の第2基材5に、ICモジュール56に対応する形状となるように切削加工を施すことによって形成することができる。
【0121】
図17に示すように、多面付用の第1基材シート2aの内面上に、各ICカード1を囲む打抜線13を跨ぐように、各ICカード1に対応するカード固有番号を表すバーコード11が設けられている。このバーコード11は、第1基材シート2aの内面上に、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料を塗装または印刷して形成されている。
【0122】
これら多面付用の第1基材シート2a、および多面付用の第2基材シート5aは、ICモジュール56毎に打抜線13に沿って打ち抜かれて、第1基材2と第2基材5とICモジュール56とを備え、側面にバーコード11が露出した単体のICカード1が形成される(図14(a)、(b)参照)。
【0123】
このように本実施の形態によれば、ICカード1の側面に、カード固有番号を表すバーコード11が露出されている。このことにより、バーコード11からカード固有番号を容易に読み取ることができ、ICチップ8が破損した場合においても、この読み取られたカード固有番号に基づいて、ICカード所有者の個人情報を得ることができる。また、このバーコード11は、第1基材シート2aの内面上に打抜線13を跨ぐように形成されている。すなわち、バーコード11は、第1基材2上において、第1基材2の内方から第1基材2の端縁に向かって延びている。このことにより、ICカード1の側面が多少削られた場合においても、バーコード11を露出させることができ、バーコード11が消失することを防止することができる。このため、ICカード1が偽造されることを確実に防止することができる。
【0124】
なお、本実施の形態においては、第1基材シート2aの内面上にバーコード11が形成される例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、第2基材シート5aの内面上にバーコード11を形成しても良い。
【0125】
また、本実施の形態においては、ICカード積層体12が、多面付用の第1基材シート2aと、この多面付用の第1基材シート2a上に配置され、50個の貫通孔55を有する多面付用の第2基材シート5aと、第2基材シート5aの各貫通孔55に取り付けら、ICチップ8を有するICモジュール56とを有し、このICカード積層体12がICモジュール56毎に打ち抜かれて、一つのICカード積層体12から50個のICカード1が得られる例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、第1基材シート2aおよび第2基材シート5aを、任意の個数のICカード1を製造可能な大きさとして、これに対応する個数の貫通孔55を第2基材シート5aに形成してもよい。例えば、第1基材シート2aおよび第2基材シート5aを、1つのICカード1を製造可能な大きさとして、1つの貫通孔55を第2基材シート5aに形成し、一つのICカード積層体12から1個のICカード1が得られるようにしても良い。
【符号の説明】
【0126】
1 ICカード
2 第1基材
2a 第1基材シート
3 第1接合層
4 第2接合層
5 第2基材
5a 第2基材シート
6 インレット
7 インレット用基材
8 ICチップ
9 アンテナ
10 突出部
11 バーコード
12 ICカード積層体
13 打抜線
21 ICカード製造装置
22 基材積層手段
23 基材巻付手段
24 第1接着剤塗布手段
24a サクションロール
24b ダイ
25 インレット配置手段
25a 中間ステーション
25b バーコード塗装手段
26 バーコード形成手段
27 第2接着剤塗布手段
27a ロール
27b ダイ
28 貼合手段
28a ニップロール
29a 第1保温加熱手段
29b 第2保温加熱手段
30 加熱加圧手段
30a コンベア
31 冷却加圧手段
31a コンベア
32 切断手段
32a カッタユニット
33 集積保管手段
33a 金属板
34 定形印刷手段
35 打抜手段
41 個人情報確認システム
42 読取手段
43 第1データベース
44 第1引出手段
45 第1サーバ
46 第2データベース
47 第2引出手段
48 第2サーバ
49 表示手段
51 細長延長部
52 スリット
53 溝
54 インク
55 貫通孔
56 ICモジュール
57 基板
58 外部端子
59 接合層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち抜かれることによりICカードを得るためのICカード積層体において、
第1基材シートと、
この第1基材シート上に配置され、インレット用基材と、このインレット用基材上に設けられたICチップと、このICチップに連結されたアンテナとを有するインレットと、
このインレット上に配置された第2基材シートと、を備え、
第1基材シート、インレット、および第2基材シートは、ICカードを囲む打抜線に沿って打ち抜かれ、
インレット用基材は、この打抜線を越えて突出する突出部を有し、
インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐようにICカードに対応するカード固有番号を表す番号識別表示部が設けられていることを特徴とするICカード積層体。
【請求項2】
第1基材シート上には、複数のインレットが配置され、
第1基材シート、インレット、および第2基材シートがインレット毎に打ち抜かれて、複数のICカードが得られることを特徴とする請求項1に記載のICカード積層体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のICカード積層体に関し、第1基材シート、インレット、および第2基材シートを打抜線に沿って打ち抜いて得られ、側面に番号識別表示部が露出することを特徴とするICカード。
【請求項4】
番号識別表示部は、インレット用基材の突出部に塗装または印刷により形成されたバーコードからなることを特徴とする請求項3に記載のICカード。
【請求項5】
バーコードは、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料を塗装または印刷して形成されていることを特徴とする請求項4に記載のICカード。
【請求項6】
インレット用基材は、浸含性を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載のICカード。
【請求項7】
インレットのアンテナから、打抜線を跨ぐように多数の細長延長部がバーコード状に延び、
この多数の細長延長部が、番号識別表示部を構成することを特徴とする請求項3に記載のICカード。
【請求項8】
インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐように多数のスリットがバーコード状に形成され、
この多数のスリットが、番号識別表示部を構成することを特徴とする請求項3に記載のICカード。
【請求項9】
インレット用基材の突出部の色と、第1基材シート、インレット、および第2基材シートを接合する接合材の色とが互いに異なることを特徴とする請求項8に記載のICカード。
【請求項10】
インレット用基材の突出部、並びに第1基材シート、インレット、および第2基材シートを接合する接合材のうちのいずれか一方が、非可視光により読み取ることができる材料、磁性材料、または発光材料により形成されていることを特徴とする請求項8に記載のICカード。
【請求項11】
インレット用基材の突出部に、打抜線を跨ぐように多数の溝がバーコード状に形成され、
この多数の溝が、番号識別表示部を構成することを特徴とする請求項3に記載のICカード。
【請求項12】
各溝に、突出部の色とは異なる色からなるインクが充填されて固化されていることを特徴とする請求項11に記載のICカード。
【請求項13】
インレット用基材は、打抜線の内側に所定のマージンを残して形成されていることを特徴とする請求項3乃至12のいずれかに記載のICカード。
【請求項14】
インレット用基材に、貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項3乃至12のいずれかに記載のICカード。
【請求項15】
番号識別表示部は、インレットの突出部に塗装または印刷により形成され、異なる2つの符号単位を組み合わせて構成された符号からなることを特徴とする請求項3に記載のICカード。
【請求項16】
打ち抜かれることによりICカードを得るためのICカード積層体において、
第1基材シートと、
この第1基材シート上に配置され、インレット用基材と、このインレット用基材上に設けられたICチップと、このICチップに連結されたアンテナとを有するインレットと、
このインレット上に配置された第2基材シートと、を備え、
第1基材シート、インレット、および第2基材シートは、ICカードを囲む打抜線に沿って打ち抜かれ、
第1基材シートおよび第2基材シートのいずれか一方の内面上に、この打抜線を跨ぐように、ICカードに対応するカード固有番号を表す番号識別表示部が設けられていることを特徴とするICカード積層体。
【請求項17】
第1基材シート上には、複数のインレットが配置され、
第1基材シート、インレット、および第2基材シートがインレット毎に打ち抜かれて、複数のICカードが得られることを特徴とする請求項16に記載のICカード積層体。
【請求項18】
請求項16または17に記載のICカード積層体に関し、第1基材シートおよび第2基材シートを打抜線に沿って打ち抜いて得られ、側面に番号識別表示部が露出することを特徴とするICカード。
【請求項19】
打ち抜かれることによりICカードを得るためのICカード積層体において、
第1基材シートと、
この第1基材シート上に配置され、貫通孔を有する第2基材シートと、
この第2基材シートの貫通孔に取り付けられ、ICチップを有するICモジュールと、を備え、
第1基材シートおよび第2基材シートは、ICカードを囲む打抜線に沿って打ち抜かれ、
第1基材シートおよび第2基材シートのいずれか一方の内面上に、この打抜線を跨ぐように、ICカードに対応するカード固有番号を表す番号識別表示部が設けられていることを特徴とするICカード積層体。
【請求項20】
第2基材シートは、複数の貫通孔を有し、
第2基材シートの各貫通孔にICチップを有するICモジュールがそれぞれ取り付けられ、
第1基材シートおよび第2基材シートがICモジュール毎に打ち抜かれて、複数のICカードが得られることを特徴とする請求項19に記載のICカード積層体。
【請求項21】
請求項19または20に記載のICカード積層体に関し、第1基材シートおよび第2基材シートを打抜線に沿って打ち抜いて得られ、側面に番号識別表示部が露出することを特徴とするICカード。
【請求項22】
ICチップを内蔵するICカードの所有者の個人情報を確認するためのICカード所有者の個人情報確認システムにおいて、
ICカードの側面に露出している番号識別表示部からカード固有番号を読み取る読取手段と、
カード固有番号に対応してICチップ固有番号が予め記憶された第1データベースと、
読取手段により読み取られたカード固有番号に基づいて、第1データベースから対応するICチップ固有番号を引き出す第1引出手段と、
ICチップ固有番号に対応してICカード所有者の個人情報が予め記憶された第2データベースと、
第1引出手段により引き出されたICチップ固有番号に基づいて、第2データベースから対応するICカード所有者の個人情報を引き出す第2引出手段と、
第2引出手段により引き出されたICカード所有者の個人情報を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするICカード所有者の個人情報確認システム。
【請求項23】
ICチップを内蔵するICカードの所有者の個人情報を確認するためのICカード所有者の個人情報確認方法において、
ICカードの側面に露出している番号識別表示部からカード固有番号を読み取る工程と、
読み取られたカード固有番号に基づいて、カード固有番号に対応してICチップ固有番号が予め記憶された第1データベースから、対応するICチップ固有番号を引き出す工程と、
引き出されたICチップ固有番号に基づいて、ICチップ固有番号に対応してICカード所有者の個人情報が予め記憶された第2データベースから、対応するICカード所有者の個人情報を引き出す工程と、
引き出されたICカード所有者の個人情報を表示する工程と、を備えたことを特徴とするICカード所有者の個人情報確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−43956(P2011−43956A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191018(P2009−191018)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】