説明

LEDモジュールの製造方法およびLEDモジュール

【課題】LEDモジュールの小型化および長寿命化を図ることが可能なLEDモジュールの製造方法およびLEDモジュールを提供すること。
【解決手段】リードと、上記リードの表面に搭載されたLEDチップ2と、上記リードの一部を覆い、かつ上記リードの面内方向において上記LEDチップ2を離間して囲む反射面61を有するケース6と、を備えるLEDモジュールの製造方法であって、リード1A’,1B’にLEDチップ2を搭載する工程と、LEDチップ2を搭載する工程の後に、ケース6を形成する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDモジュールの製造方法およびLEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップを備えるLEDモジュールは、様々な電子機器の光源として用いられている。特に、LEDチップからの光を反射することにより集光効果を発揮するリフレクタを備えたLEDモジュールは、高輝度タイプとして使用される。
【0003】
図29および図30は、従来のLEDモジュールの製造方法の一例を示している。この製造方法においては、まず、図29に示すように1対のリード91A,91Bを用意する。そして、金型を用いたいわゆるインサート成形の手法によって、リード91A,91Bの一部ずつを覆う樹脂製のケース93を形成する。ケース93は、リフレクタ93aを有している。次いで、図30に示すように、LEDチップ92を、リード91Aに接合する。そして、LEDチップ92の上面に設けられた2つの電極(図示略)とリード91A,91Bとをワイヤ92aによって接続する。こののちは、リード91A,91Bを必要な長さを残して切断し、ケース93から突出する部分を折り曲げるなどの工程を経て、LEDモジュールが完成する。
【0004】
しかしながら、LEDチップ92を搭載する工程においては、LEDチップ92やワイヤ92aをワイヤボンディングするキャピラリがケース93に干渉するおそれがある。このため、リフレクタ93aとLEDチップ92との間に十分な隙間を確保できるようにケース93の形状およびサイズを決定する必要がある。これは、LEDモジュールの小型化を阻害する要因となる。また、LEDチップ92を搭載する工程において、ケース93が過度に加熱されると、ケース93が変形したり変色したりするおそれがある。このため、LEDチップ92を搭載する手法として、熱を発生しにくい手法を選ばざるを得ないという制限があった。これにより、LEDチップ92の接合が不十分となり、上記LEDモジュールの長寿命化が困難となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−10591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、LEDモジュールの小型化および長寿命化を図ることが可能なLEDモジュールの製造方法およびLEDモジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供されるLEDモジュールの製造方法は、リードと、上記リードの表面に搭載されたLEDチップと、上記リードの一部を覆い、かつ上記リードの面内方向において上記LEDチップを離間して囲む反射面を有するケースと、を備えるLEDモジュールの製造方法であって、上記リードに上記LEDチップを搭載する工程と、上記LEDチップを搭載する工程の後に、上記ケースを形成する工程を有することを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップを搭載する工程の後、上記ケースを形成する工程の前に、上記LEDチップを直接覆う保護樹脂を形成する工程をさらに有する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップを搭載する工程の後、上記保護樹脂を形成する工程の前に、上記LEDチップのうち上記リードからはみ出た部分と上記リードの端面とを覆う補助樹脂を形成する工程をさらに有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護樹脂を形成する工程においては、上記リードのうち上記LEDチップが搭載された表面とは反対側の裏面の一部を覆う裏面部を有するように上記保護樹脂を形成し、上記ケースを形成する工程においては、上記保護樹脂の上記裏面部を上記ケースによって覆う。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースを形成する工程の後に、上記反射面によって囲まれた空間を埋める封止樹脂を形成する工程をさらに有する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記封止樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップは、フリップチップタイプである。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップを搭載する工程においては、共晶ボンディングの手法によって上記LEDチップを搭載する。
【0016】
本発明の第2の側面によって提供されるLEDモジュールは、リードと、上記リードの表面に搭載されたLEDチップと、上記リードを直接覆う保護樹脂と、上記リードの一部を覆い、かつ上記リードの面内方向において上記LEDチップを離間して囲む反射面を有するケースと、を備えるLEDモジュールであって、上記保護樹脂は、上記リードのうち上記LEDチップが搭載された表面とは反対側の裏面の一部を覆う裏面部を有し、上記ケースは、上記保護樹脂の上記裏面部を覆っていることを特徴としている。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保護樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記反射面によって囲まれた空間を埋めるとともに、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている封止樹脂をさらに備える。
【0019】
このような構成によれば、上記LEDチップを上記リードに搭載する際には、上記ケースは未だ形成されていない。このため、たとえば上記LEDチップをハンドリングするアームと上記ケースとが干渉するおそれがない。これにより、上記反射面と上記LEDチップとの間隔を縮小することが可能であり、上記LEDモジュールの小型化を図ることができる。
【0020】
上記LEDチップをたとえば共晶ボンディングの手法によってダイボンディングする場合であっても、上記ケースはダイボンディング作業によって熱せられることはない。このため、上記ケースが不当に変形したり変色したりするおそれが少ない。これにより、上記LEDモジュールを所望の形状とするのに適している。また、上記ケースの変色を抑制することにより、上記LEDモジュールの輝度低下を回避することができる。
【0021】
上記LEDチップをボンディングする手法を選定するにおいて、たとえばボンディング工程において生じる熱による上記ケースへの影響を考慮する必要がない。このため、ボンディング手法として、上記LEDチップを上記リードに対して適切かつ確実にボンディング可能なたとえば共晶ボンディングの手法を採用することが可能である。これは、上記LEDチップの不当な接合不足を防止するのに適しており、上記LEDモジュールの長寿命化を図るのに好適である。
【0022】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるボンディング工程を示す要部断面図である。
【図2】図1に示すLEDチップを示す要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図5】本発明に係るLEDモジュールの一例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における補助樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図14】本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における封止樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図15】本発明の第6実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における封止樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図16】本発明の第7実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における補助樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図17】本発明の第7実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂およびケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図18】本発明の第7実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における封止樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図19】本発明の第8実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図20】本発明の第8実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースおよび封止樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図21】本発明の第9実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図22】本発明の第9実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における封止樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図23】本発明の第10実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図24】本発明の第10実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図25】本発明に係るLEDモジュールの他の例を示す断面図である。
【図26】本発明の第11実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるボンディング工程を示す要部断面図である。
【図27】本発明の第11実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法における保護樹脂を形成する工程を示す要部断面図である。
【図28】本発明の第11実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図29】従来のLEDモジュールの製造方法の一例におけるケースを形成する工程を示す要部断面図である。
【図30】従来のLEDモジュールの製造方法の一例におけるボンディング工程を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1〜図5は、本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法およびこれによって製造されるLEDモジュールを示している。
【0026】
本実施形態においては、まず、図1に示すように1対のリード1A’,1B’を用意する。1対のリード1A’,1B’は、たとえばCu,Niなどの合金からなるプレート状部品である。あるいは、これらの合金にAgメッキが施されたものであってもよい。本実施形態においては、1対のリード1A’,1B’は、図示しないフレームに連結されており、いわゆるリードフレームの一部という形態で準備される。
【0027】
次いで、1対のリードフレーム1A’,1B’にLEDチップ2をダイボンディングする。図2に示すように、LEDチップ2は、いわゆるフリップチップタイプのLEDチップであり、基板21、バッファ層22、n型半導体層23、活性層24、p型半導体層25、n側電極26、p側電極27、および絶縁層28を有している。基板21は、たとえばサファイアからなり、LEDチップ2の土台となっている。バッファ層21は、基板21とn型半導体層23との格子歪みを緩和するために設けられており、たとえばGaN系半導体からなる。n型半導体層23は、バッファ層22を介して基板21に接合されており、たとえばn−GaN系半導体からなる。活性層24は、いわゆるMQW(量子井戸:multiple-quantum well)構造とされた層であり、n側電極26から供給される電子とp側電極27から供給される正孔とが再結合することにより発せられる光を増幅させるための層である。活性層24は、たとえば複数のInGaN層と複数のGaN層とが交互に積層されている。p型半導体層25は、活性層24を挟んでn型半導体層23と反対側に形成されており、たとえばp−GaN系半導体からなる。n側電極26は、n型半導体層23と導通しており、p側電極27は、p型半導体層25と導通している。n側電極26およびp側電極27は、たとえばAl、Niが積層された構造、あるいはW、Zr、Ptを含む金属層からなる。絶縁層28は、n側電極26およびp側電極27を露出させつつ、n型半導体層23およびp型半導体層25を覆っており、たとえばSiO2からなる。このようなLEDチップ2は、活性層24からたとえば青色光を発する。
【0028】
このようなLEDチップ2を1対のリード1A’,1B’にダイボンディングする手法としては、たとえば共晶ボンディングを用いる。リード1A’の表面11’に対してp側電極27を、リード1B’の表面13’に対してn側電極26を、それぞれ押し当てた状態で、1対のリード1A’,1B’とLEDチップ2とをたとえば300℃程度に加熱する。これによって生じる共晶反応によって、LEDチップ2が1対のリード1A’,1B’に接合される。
【0029】
次いで、図3に示すように、保護樹脂4を形成する。保護樹脂4の形成は、たとえば金型によってLEDチップ2と1対のリード1A’,1B’の一部ずつとを囲んだ状態で、上記金型のキャビティに樹脂材料を注入し、これを硬化させることによって行う。この樹脂材料は、たとえばLEDチップ2からの光を透過させる透明なたとえばシリコーン樹脂材料に、LEDチップ2からの光によって励起されることにより異なる波長の光を発する蛍光物質が混入されている。このような蛍光物質としては、青色光で励起されることにより黄色光を発するものや、青色光で励起されることにより赤色光を発するものと緑色光を発するものとが混合されたものを採用する。保護樹脂4は、リード1A’,1B’の裏面12’,14’を覆う裏面部41を有している。裏面部41は、1対のリード1A’,1B’から下方に突出している。
【0030】
次いで、図4に示すように、ケース6を形成する。ケース6の形成は、保護樹脂4を避けた位置において1対のリード1A’,1B’を挟み込むように金型をセットし、そのキャビティに樹脂材料を注入した後に、これを硬化させることによって行う、いわゆるインサート成形の手法によって行う。この樹脂材料としては、白色のエポキシ樹脂、または硬質シリコーン樹脂などを用いる。ケース6は、1対のリード1A’,1B’の一部ずつを覆っており、反射面61を有する形状とされている。反射面61は、LEDチップ2および保護樹脂4を、これらの四方からこれらに対して離間した位置において囲む形状とされており、LEDチップ2からの光を上方に反射する。
【0031】
次いで、1対のリード1A’,1B’を切断し、適所に対して折り曲げ加工を施す。これによって、ケース6に沿った折り曲げ形状とされた1対のリード1A,1Bが得られる。以上の工程を経ることにより、図5に示すLEDモジュールA1が得られる。1対のリード1A,1Bの表面11,13には、LEDチップ2がボンディングされている。1対のリード1A,1Bの裏面12,14は、保護樹脂4およびケース6によって覆われている。1対のリード1A,1Bのうちケース6の下方に露出した部分は、LEDモジュールA1を面実装するための実装端子15,16として用いられる。
【0032】
次に、本実施形態のLEDモジュール製造方法およびLEDモジュールA1の作用について説明する。
【0033】
本実施形態によれば、LEDチップ2をダイボンディングする際には、ケース6は未だ形成されていない。このため、たとえばLEDチップ2をハンドリングするアームとケース6とが干渉するおそれがない。これにより、反射面61とLEDチップ2との間隔を縮小することが可能であり、LEDモジュールA1の小型化を図ることができる。
【0034】
LEDチップ2をたとえば共晶ボンディングの手法によってダイボンディングする場合であっても、ケース6はダイボンディング作業によって熱せられることはない。このため、ケース6が不当に変形したり変色したりするおそれが少ない。これにより、LEDモジュールA1を所望の形状とするのに適している。また、ケース6の変色を抑制することにより、LEDモジュールA1の輝度低下を回避することができる。
【0035】
LEDチップ2をボンディングする手法を選定するにおいて、たとえばボンディング工程において生じる熱によるケース6への影響を考慮する必要がない。このため、ボンディング手法として、LEDチップ2を1対のリード1A’,1B’に対して適切かつ確実にボンディング可能なたとえば共晶ボンディングの手法を採用することが可能である。これは、LEDチップ2の不当な接合不足を防止するのに適しており、LEDモジュールA1の長寿命化を図るのに好適である。
【0036】
保護樹脂4の裏面部41は、ケース6に対してめり込んだ形態となっている。このため、保護樹脂4とケース6との接合強度を高めることが可能である。特に、保護樹脂4の主成分がシリコーン樹脂であり、ケース6の主成分が硬質シリコーン樹脂である場合、互いの接触部分がよく馴染むため、接合強度の向上に有利である。
【0037】
図6〜図28は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0038】
図6および図7は、本発明の第2実施形態に係るLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、まず、図6に示すように1対のリード1A’,1B’にLEDチップ2をダイボンディングした後に、補助樹脂3を形成する。補助樹脂3は、LEDチップ2の下面のうち1対のリード1A’,1B’の間に位置する部分と、1対のリード1A’,1B’の端面とを覆っている。補助樹脂3の材質は、透明なたとえばシリコーン樹脂材料に、LEDチップ2からの光によって励起されることにより異なる波長の光を発する蛍光物質が混入されているものであり、上述した実施形態の保護樹脂4の材質と同様のものを用いればよいが、これに限定されない。
【0039】
次いで、図7に示すように保護樹脂4を形成する。保護樹脂4の形成は、図3を参照して説明した手法と同様であるが、LEDチップ2と、1対のリード1A’,1B’の一部ずつとに加え、補助樹脂3を図示しない金型のキャビティに収容した状態でモールド成形を行う。これにより、保護樹脂4は、LEDチップ2と、1対のリード1A’,1B’の一部ずつと、補助樹脂3とを覆うものとして形成される。この後は、上述した製造方法と同様にケース6を形成する工程、および1対のリード1A,1Bを形成する工程を経ることにより、LEDモジュールが得られる。
【0040】
このような実施形態によれば、LEDチップ2と1対のリード1A’,1B’との接合を補助樹脂3が補助する格好となる。これにより、LEDチップ2が1対のリード1A,1Bから剥がれてしまうといった不具合を抑制することができる。
【0041】
図8および図9は、本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態のLEDモジュールの製造方法は、保護樹脂4の製造手法が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、図8に示すように、ポッティングの手法によって保護樹脂4を形成する。より詳しくは、1対のリード1A’,1B’にボンディングされたLEDチップ2を覆うように、液状の樹脂材料を上方から滴下する。滴下された樹脂材料は、表面張力によってドーム状となりつつ、LEDモジュール2を覆う。この状態で樹脂材料を硬化させることにより、保護樹脂4を得る。そして、図9に示すように、インサート成形によって、ケース6を形成する。
【0042】
本実施形態によっても、LEDチップ2のボンディング工程において生じる熱にケース6に曝されることがなく、LEDモジュールの高輝度化、長寿命化を図ることができる。
【0043】
図10および図11は、本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態のLEDモジュールの製造方法は、図6に示すように、補助樹脂3を形成した後に、図10に示すようにポッティングの手法によって保護樹脂4を形成する。そして図11に示すように、インサート成形によって、ケース6を形成する。
【0044】
図12〜図14は、本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、まず、図12に示すように、透明な保護樹脂4を形成する。保護樹脂4の材質としては、上記実施形態とは異なり、蛍光物質を含まない透明なたとえばシリコーン樹脂を用いる。次いで、図13に示すように、インサート成形の手法によってケース6を形成する。そして、図14に示すように、反射面61によって囲まれた空間に液状の樹脂材料を注入し、これを硬化させることにより封止樹脂5を形成する。封止樹脂5を形成するための樹脂材料としては、たとえば透明なシリコーン樹脂に蛍光物質が混入されたものを用いる。このような実施形態によれば、保護樹脂4および封止樹脂5の双方によってLEDチップ2を保護することが可能であり、LEDモジュールの長寿命化を図るのに有利である。
【0045】
図15は、本発明の第6実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、保護樹脂4の形成手法が、上述した第4実施形態と異なっており、ポッティングの手法を用いている。このような実施形態によっても、LEDモジュールの長寿命化を図ることができる。
【0046】
図16〜図18は、本発明の第7実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、図16に示すように、1対のリード1A’,1B’にLEDチップ2をダイボンディングした後に、たとえば透明なシリコーン樹脂を用いて補助樹脂3を形成する。次いで、図17に示すようにたとえば透明なシリコーン樹脂を用いて保護樹脂4を金型成形した後に、インサート成形によってケース6を形成する。そして、図18に示すように、たとえば透明なシリコーン樹脂に蛍光物質が混入された樹脂材料を用いて封止樹脂5を形成する。
【0047】
図19および図20は、本発明の第8実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、図16に示したように、補助樹脂3を形成した後に、図19に示すように、ポッティングの手法によって保護樹脂4を形成する。補助樹脂3および保護樹脂4は、いずれもたとえば透明なシリコーン樹脂からなる。そして、図20に示すように、たとえば透明なシリコーン樹脂に蛍光物質が混入された樹脂材料を用いて封止樹脂5を形成する。
【0048】
図21および図22は、本発明の第9実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、上述した第2実施形態に基づく製造方法の図6に示す補助樹脂3の形成の後に、図21に示すようにケース6の形成を行う。そして、この後に、図15に示すように封止樹脂5の形成を行う。
【0049】
図23および図24は、本発明の第10実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、図23に示すように、保護樹脂4をモールド成形によって製造する。このとき、図3を参照して説明した製造方法において形成される裏面部41は形成しない。このため、リード1A’,1B’の裏面12’,14’は、保護樹脂4から露出している。そして、図24に示すように、ケース6をインサート成形によって形成する。ケース6についても、リード1A’,1B’の裏面12’,14’を露出させる形状とされる。
【0050】
1対のリードA’,1B’のうちケース6から突出する部分を取り除くように1対のリードA’,1B’を切断すると、図25に示すLEDモジュールA2が得られる。1対のリード1A,1Bのうちケース6から露出する裏面12,14は、LEDモジュールA2を面実装するための実装端子として用いられる。
【0051】
本実施形態によっても、LEDモジュールA2の高輝度化と長寿命化とを図ることができる。また、LEDモジュールA2の薄型化を図ることができる。
【0052】
図26〜図28は、本発明の第11実施形態に基づくLEDモジュールの製造方法を示している。本実施形態においては、図26に示すように、ワイヤ29を用いてLEDチップ2をリード1B’に接合している。より詳しくは、LEDチップ2は、その上面および下面に1つずつの電極を有するタイプのLEDチップである。LEDチップ2をリード1A’の表面11’に対して、たとえば導電性ペーストを用いた手法や、共晶ボンディングの手法によってボンディングする。一方、LEDチップ2の上面にある電極とリード1B’の表面13’とをワイヤボンディングの手法によってボンディングする。
【0053】
この後は、図27に示すように、LEDチップ2およびワイヤ29を覆うように保護樹脂4を形成する。そして、図28に示すようにケース6を形成する。本実施形態に示すように、LEDチップ2としては、いわゆるフリップチップのものに限定されず、1つのワイヤ29を用いてボンディングされるもの、さらには上面に2つの電極を有し、2つのワイヤ29を用いてボンディングされるものなど、様々なタイプのLEDチップを用いることができる。
【0054】
本発明に係るLEDモジュールの製造方法およびLEDモジュールは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLEDモジュールの製造方法およびLEDモジュールの具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0055】
A1,A2 LEDモジュール
1A,1B,1A’,1B’ リード
11,11’,13,13’ 表面
12,12’,14,14’ 裏面
2 LEDチップ
3 補助樹脂
4 保護樹脂
5 封止樹脂
6 ケース
21 基板
22 バッファ層
23 n型半導体層
24 活性層
25 p型半導体層
26 n側電極
27 p側電極
28 絶縁層
29 ワイヤ
41 裏面部
61 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードと、
上記リードの表面に搭載されたLEDチップと、
上記リードの一部を覆い、かつ上記リードの面内方向において上記LEDチップを離間して囲む反射面を有するケースと、
を備えるLEDモジュールの製造方法であって、
上記リードに上記LEDチップを搭載する工程と、
上記LEDチップを搭載する工程の後に、上記ケースを形成する工程を有することを特徴とする、LEDモジュールの製造方法。
【請求項2】
上記LEDチップを搭載する工程の後、上記ケースを形成する工程の前に、上記LEDチップを直接覆う保護樹脂を形成する工程をさらに有する、請求項1に記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項3】
上記保護樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている、請求項2に記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項4】
上記LEDチップを搭載する工程の後、上記保護樹脂を形成する工程の前に、上記LEDチップのうち上記リードからはみ出た部分と上記リードの端面とを覆う補助樹脂を形成する工程をさらに有する、請求項2または3に記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項5】
上記保護樹脂を形成する工程においては、上記リードのうち上記LEDチップが搭載された表面とは反対側の裏面の一部を覆う裏面部を有するように上記保護樹脂を形成し、
上記ケースを形成する工程においては、上記保護樹脂の上記裏面部を上記ケースによって覆う、請求項2ないし4のいずれかに記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項6】
上記ケースを形成する工程の後に、上記反射面によって囲まれた空間を埋める封止樹脂を形成する工程をさらに有する、請求項1ないし5のいずれかに記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項7】
上記封止樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている、請求項6に記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項8】
上記LEDチップは、フリップチップタイプである、請求項1ないし7のいずれかに記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項9】
上記LEDチップを搭載する工程においては、共晶ボンディングの手法によって上記LEDチップを搭載する、請求項8に記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項10】
リードと、
上記リードの表面に搭載されたLEDチップと、
上記リードを直接覆う保護樹脂と、
上記リードの一部を覆い、かつ上記リードの面内方向において上記LEDチップを離間して囲む反射面を有するケースと、
を備えるLEDモジュールであって、
上記保護樹脂は、上記リードのうち上記LEDチップが搭載された表面とは反対側の裏面の一部を覆う裏面部を有し、
上記ケースは、上記保護樹脂の上記裏面部を覆っていることを特徴とする、LEDモジュール。
【請求項11】
上記保護樹脂には、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている、請求項10に記載のLEDモジュール。
【請求項12】
上記反射面によって囲まれた空間を埋めるとともに、上記LEDチップからの光によって励起されることにより上記LEDチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光体が混入されている封止樹脂をさらに備える、請求項10に記載のLEDモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−165979(P2010−165979A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8762(P2009−8762)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】