説明

LED発光装置、及びLED発光装置を備えた照明装置

【課題】照明光として適切な明るさを確保しながら、サーカディアンリズムを正常に維持したり、周囲の環境に対する生体リズムの整合性を確保したりすることが可能なLED発光装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2LEDが発する白色光を合成して放射する発光装置であって、第1LEDは、430nm〜490nmの範囲にピーク波長を有する光を発する第1半導体発光素子と、第1半導体発光素子が発した光の一部を波長変換した光と第1半導体発光素子が発して透過する光とを合成して白色光を放射する第1波長変換部材とを備え、第2LEDは、360nm〜420nmの範囲にピーク波長を有する光を発する第2半導体発光素子と、第2半導体発光素子が発した光を波長変換して白色光を放射する第2波長変換部材とを備える。そして、第1LEDの白色光は第2LEDの白色光に比べ、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを用いたLED発光装置、及びこのLED発光装置を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを用いたLED発光装置は、さまざまな照明装置や表示装置などの光源として従来より広く用いられている。また、LEDチップなどの半導体発光素子から異なる色を発光する複数種類のLEDを組み合わせ、それぞれの発光色を合成して所望の放射色を得るようにしたLED発光装置も開発され使用されている。例えば、青色光、緑色光及び赤色光を発する3種類のLEDを組み合わせ、各LEDに供給される駆動電流を調整して、各LEDから発せられた光を合成することによって所望の白色光を得るようにしたLED発光装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
元来、半導体発光素子自体の発光スペクトル幅は比較的狭いため、半導体発光素子自体から発する光をそのまま照明に用いた場合、一般的な照明において重要となる演色性が低下するという問題がある。そこで、このような問題を解消すべく、半導体発光素子が発する光を蛍光体などの波長変換部材によって波長変換してから発光するようにしたLEDが開発され、このようなLEDを組み合わせたLED発光装置が、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2のLED発光装置では、青色光を発する半導体発光素子を用いた青色LEDと、青色発光素子に、この青色発光素子が発した青色光で励起されて緑色光を発する緑色蛍光体を組み合わせた緑色LEDと、青色発光素子に、この青色発光素子が発した青色光で励起されて赤色光を発する赤色蛍光体を組み合わせた赤色LEDとが用いられている。そして、これら青色LED、緑色LED及び赤色LEDがそれぞれ発する光の合成によって優れた演色性を有すると共に色を変化させることが可能な照明光を得るようにしている。
【0004】
ところで、サーカディアンリズム(概日リズム)に強い関連があるホルモンとしてメラトニンが知られている。サーカディアンリズムは約1日を周期とする生体リズムであり、睡眠覚醒リズムや体温変化などがこのサーカディアンリズムに従って生じると考えられている。そして、メラトニンが多く分泌されると、睡眠の誘発や体温の低下が生じ、メラトニンの分泌量が低下すると、覚醒状態に導かれることが明らかとなっている。従って、メラトニンの分泌が正しく行われなくなるとサーカディアンリズムが乱れ、睡眠の質が低下したり健康に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
【0005】
メラトニンの分泌は、460nm付近にピーク波長を有する青色光により影響を受け、このような青色光を受光することによってメラトニンの分泌が抑制されることも判っている。上述したようなLED発光装置においては、光源の1つに青色光を発する半導体発光素子を用いた青色LEDそのものを用いている。半導体発光素子の発光スペクトルは、一般的に狭い波長領域に集中したものとなるため、このような青色LEDを用いたLED発光装置の放射光には、メラトニンの分泌を抑制する青色光の成分が多く含まれている。このため、このようなLED発光装置を室内照明などに用いた場合、特に夜間などにおいてメラトニンの分泌が抑制され、睡眠が阻害されるといった問題が生じるおそれがある。そこで、メラトニンの分泌を抑制する青色光の放射を抑制または遮断することにより、このような問題を解決するようにした光源装置が特許文献3により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−4839号公報
【特許文献2】特開2007−122950号公報
【特許文献3】特開2010−147333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3の光源装置では、メラトニンの分泌抑制効果がある青色光成分の放射を抑制または遮断することにより、メラトニンの分泌抑制による睡眠障害などの問題を解消するようにしているので、夜間に用いる照明装置の光源としては適している。しかしながら、メラトニンの分泌抑制効果が高い青色光成分の放射が常に抑制または遮断されるので、一般的に覚醒状態を維持する必要性が高くなる昼間などにおける照明のための光源としては不向きである。このため、例えば特許文献3の照明装置のような単一種類の光源のみを用いて青色光成分を増大させて昼間の照明に適した照明光を得るためには、照明装置が放射する照明光の全光束を増大させなければならない。従って、時間帯などに応じて照明光に含まれる青色光成分を可変できるようにすると、今度は照明光として適切なレベルの明るさを維持できないといった問題が生じる。このように、特許文献3の照明装置のような単一種類の光源のみを有する照明装置に対し、照明光として適切な明るさを確保しながら、サーカディアンリズムを正常に維持したり、周囲の環境に対する生体リズムの整合性を確保したりするという点で、更なる改善が求められている。
【0008】
また、夜間と昼間とで青色光成分を変化させるために、照明光の色温度や色調を変化させるようにした場合には、照明光に対して違和感や好ましくない感覚を覚えるおそれがある。従って、このような場合にも更なる改善が必要となる。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、照明光として適切な明るさを確保しながら、サーカディアンリズムを正常に維持したり、周囲の環境に対する生体リズムの整合性を確保したりすることが可能なLED発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のLED発光装置は、第1LEDが発する白色光と第2LEDが発する白色光とを合成して得られる合成光を放射するLED発光装置であって、前記第1LEDは、430nm〜490nmの波長範囲にピーク波長を有する光を発光する第1半導体発光素子と、前記第1半導体発光素子が発した光の一部を波長変換して得られた光と、前記第1半導体発光素子が発して波長変換されずに透過する光とを合成して白色光を放射する第1波長変換部材とを備え、前記第2LEDは、360nm〜420nmの波長範囲にピーク波長を有する光を発する第2半導体発光素子と、前記第2半導体発光素子が発した光の全部または一部を波長変換して白色光を放射する第2波長変換部材とを備え、前記第1LEDが放射する白色光は前記第2LEDが放射する白色光に比べ、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きいことを特徴とする。
【0011】
このように構成されたLED発光装置によれば、第1半導体発光素子から発せられた430nm〜490nmの波長範囲にピーク波長を有する光と、第1波長変換部材により波長変換されて放射される光とを合成した白色光が、第1LEDから放射される。一方、第2LEDからは、第2半導体発光素子から発せられた360nm〜420nmの波長範囲にピーク波長を有する光を第2波長変換部材により波長変換して得られる白色光が放射される。
【0012】
第2LEDから放射される白色光は、第2波長変換部材により波長変換して得られたものなので、そのスペクトルは、特定の波長領域だけに飛び抜けて大きな強度のピークが生じるようなことがなく、比較的起伏の少ないものとなる。これに対し、第1LEDでは第1半導体発光素子から発せられた光をそのまま合成に用いているので、第1LEDから放射される白色光のスペクトルは、第2LEDの白色光のスペクトルに比べ、430nm〜490nmの波長範囲に大きなピークを有したものとなる。このとき、第1LEDが放射する白色光は、第2LEDが放射する白色光に比べ、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度を大きくしているので、メラトニンの分泌抑制効果がある波長領域においては、第2LEDの白色光に比べ、第1LEDの白色光の方が高エネルギを有していることになる。
【0013】
LED発光装置では、このような第1LEDからの白色光と第2LEDからの白色光とを合成して放射するようにしているので、例えば第1LEDからの白色光の強度を高めると共に第2LEDからの白色光の強度を低めれば、メラトニンの分泌抑制効果が高い波長領域の分光成分のエネルギ強度が増大するので、メラトニンの分泌抑制効果が高まる。一方、第2LEDからの白色光の強度を高めると共に第1LEDからの白色光の強度を低めれば、メラトニンの分泌抑制効果が高い波長領域の分光成分のエネルギ強度が減少するので、メラトニンの分泌が抑制されにくくなる。
【0014】
また、このようなLED発光装置において、前記第1波長変換部材が放射する白色光の色温度と、前記第2波長変換部材が放射する白色光の色温度とは実質的に同一であるのが好ましい。なお、ここでいう実質的に同一の色温度とは、色温度の差異が視覚的に認められない程度であることをいい、具体的には、CIE(1976)L*u*v*表色系における、それぞれの白色光の色差ΔEuvが0.02以下であるのが好ましい。
【0015】
上述のLED発光装置において具体的に、前記第1波長変換部材は、前記第1半導体発光素子が発した光を波長変換して黄色、橙色、赤橙色、並びに赤色及び緑色のいずれかを放射する蛍光体を有し、前記蛍光体が放射する光と、前記第1半導体発光素子が発して前記第1波長変換部材を透過する光とを合成して白色光を放射するようにしてもよい。
【0016】
また、上述のLED発光装置において具体的に、前記第2波長変換部材は、前記第2半導体発光素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する赤色蛍光体と、前記第2半導体発光素子が発した光を波長変換して緑色光を放射する緑色蛍光体と、前記第2半導体発光素子が発した光を波長変換して青色光を放射する青色蛍光体とを有し、前記赤色蛍光体が放射する赤色光、前記緑色蛍光体が放射する緑色光、及び前記青色蛍光体が放射する青色光を合成して白色光を放射するようにしてもよい。
【0017】
上述のいずれかのLED発光装置が具体的には、前記第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子が実装される基板と、前記第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子を取り囲んで前記基板上に設けられる壁部材と、前記壁部材の内側の領域を、前記第1半導体発光素子が配置される第1領域と、前記第2半導体発光素子が配置される第2領域とに分割する仕切り部材とを更に備え、前記第1波長変換部材は前記第1領域内に収容され、前記第2波長変換部材は前記第2領域内に収容されるようにしてもよい。
【0018】
この場合、前記第1領域には1または複数の前記第1半導体発光素子が配置され、前記第2領域には1または複数の第2半導体発光素子が配置されていてもよい。
【0019】
また、このようなLED発光装置の具体的な構成に代え、LED発光装置が、複数の前記第1半導体発光素子及び複数の第2半導体発光素子が実装される基板を更に備え、前記第1波長変換部材は前記複数の第1半導体発光素子のそれぞれに対して設けられ、前記第2波長変換部材は前記複数の第2半導体発光素子のそれぞれに対して設けられるようにしてもよい。
【0020】
この場合、前記複数の第1半導体発光素子及び複数の第2半導体発光素子は、互いに混在するように前記基板上に分散配置されているのが好ましい。
【0021】
上述したいずれかのLED発光装置は、光源として照明装置に適用することが可能である。この場合、この照明装置は、上述のLED発光装置と、前記第1半導体発光素子に供給する第1駆動電流と、前記第2半導体発光素子に供給する第2駆動電流とを制御する駆動制御手段と備える。
【0022】
このように構成される照明装置では、駆動制御手段が第1半導体発光素子に供給する第1駆動電流と、第2半導体発光素子に供給する第2駆動電流とを制御することにより、第1LEDからの白色光の強度及び第2LEDからの白色光の強度が制御される。即ち、照明装置から放射される白色光によって得られるメラトニンの分泌抑制効果が駆動制御手段によって調整される。
【0023】
このような照明装置において具体的に、前記駆動制御手段は、そのときの時刻に応じて前記第1駆動電流と前記第2駆動電流との比率を制御するようにしてもよい。
【0024】
或いは、前記駆動制御手段は、前記第1LEDからの白色光の強度と前記第2LEDからの白色光の強度との比率を変化させるための操作部材を備え、前記操作部材の操作位置に応じて前記第1駆動電流と前記第2駆動電流との比率を制御するようにしてもよい。
【0025】
また、前記駆動制御手段は、予め設定されたパターンに従い、時間の経過と共に前記第1駆動電流と前記第2駆動電流との比率を制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のLED発光装置によれば、第1LEDが放射する白色光は、第2LEDが放射する白色光に比べ、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きいので、第1LEDからの白色光の強度と第2LEDからの白色光の強度とを調整することにより、LED発光装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果の強弱を調整可能とするLED発光装置を得ることができる。しかも、単一種類の光源からの白色光のみを用いて、この波長領域の強度を調整する場合に比べ、メラトニンの分泌抑制効果の強弱を調整する際に、LED発光装置が放射する光の全光束の変動を低く抑えることができる。従って、このような調整を行う際の、照明光の明るさの変動に起因する違和感をなくし、適切な明るさの照明光を維持することが可能となる。
【0027】
従って、このようなLED発光装置を照明装置に適用し、駆動制御手段が第1半導体発光素子に供給する第1駆動電流と、第2半導体発光素子に供給する第2駆動電流とを制御すれば、第1LEDからの白色光の強度と第2LEDからの白色光の強度とが制御され、適切な明るさの照明光を確保しつつ、照明装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果の強弱を変化させることができる。これにより、覚醒状態を維持する必要がある場合には、照明装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果を強める一方、睡眠を促したり、精神的にリラックスした状態を得たりする必要がある場合には、照明装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果を弱めることが可能となる。この結果、サーカディアンリズムを正常に維持したり、周囲の環境と生体リズムとの間の整合性を確保したりことが可能となる。
【0028】
また、このようなLED発光装置において、第1波長変換部材が放射する白色光の色温度と、第2波長変換部材が放射する白色光の色温度とを実質的に同一とすれば、照明装置に適用して上述のようにそれぞれの白色光の強度を変化させた場合に、色温度の変動に起因した違和感を覚えるようなことがなくなり、適切な明るさの確保と相俟って、照明光の変化を実感することなくサーカディアンリズムを正常に維持したり、生体リズムを整えたりすることが可能となる。
【0029】
更に、このようなLED発光装置において、壁部材と仕切り部材とにより基板上の第1半導体発光素子と第2半導体発光素子とを別個に取り囲み、第1半導体発光素子が配置される第1領域に第1波長変換部材を収容すると共に、第2半導体発光素子が配置される第2領域に第2波長変換部材を収容するようにした場合には、LED発光装置の取り扱いが容易となり、複数のLED発光装置を組み合わせて用いる場合などにおいて特に有利である。
【0030】
特に、第1及び第2半導体発光素子をそれぞれ複数用いる場合は、このようにしてLED発光装置を構成することにより、その効果が顕著なものとなり、製造コストの低減効果も大きくなる。
【0031】
一方、それぞれ複数の第1及び第2半導体発光素子を基板に実装し、複数の第1半導体発光素子のそれぞれに対して第1波長変換部材を設けると共に、複数の第2半導体発光素子のそれぞれに対して第2波長変換部材を設けるようにした場合、第1及び第2半導体発光素子のレイアウトの自由度が増す。
【0032】
この場合、特に、複数の第1半導体発光素子及び複数の第2半導体発光素子を、互いに混在するように基板上に分散配置すれば、第1及び第2LEDのそれぞれから発せられる白色光の合成を更に良好に行うことができる。
【0033】
上述したようなLED発光装置を照明装置に適用した場合、駆動制御手段は、そのときの時刻に応じて第1駆動電流と第2駆動電流との比率を制御するようにすれば、例えば昼間は、照明装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果を強めて覚醒状態を維持する一方、夜間には照明装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果を弱めて睡眠状態に誘導することにより、サーカディアンリズムを正常に維持することができる。
【0034】
また、第1及び第2LEDからのそれぞれの白色光の強度の比率を変化させるための操作部材の操作位置に応じ、駆動制御手段が第1駆動電流と第2駆動電流との比率を制御するようにした場合には、次のような効果が得られる。即ち、周囲の環境などに合わせ、使用者の意志によって、覚醒状態を維持する必要があると判断する場合には、照明装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果を強める一方、睡眠状態への誘導や、精神的なリラックスが必要であると判断する場合には、照明装置から放射される白色光によるメラトニンの分泌抑制効果を弱めることが可能となる。
【0035】
予め設定されたパターンに従い、時間の経過と共に、駆動制御手段が第1駆動電流と第2駆動電流との比率を制御するようにした場合には、照明装置を用いる場所や環境に応じてパターンを適切に設定することにより、手動操作で照明装置から放射される白色光の成分を調整することなく、上述したような効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施例に係るLED発光装置の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のLED発光装置の概略平面図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿う断面を模式的に示すLED発光装置の概略断面図である。
【図4】第1実施例において、第1LED及び第2LEDのそれぞれから放射される白色光のスペクトルを示すグラフである。
【図5】図1のLED発光装置を適用した照明装置の電気回路構成の概略を示す回路図である。
【図6】図5の電気回路構成における各トランジスタの作動状態、及び各半導体発光素子の駆動電流の一例を示すタイムチャートである。
【図7】図5の電気回路構成における各トランジスタの作動状態、及び各半導体発光素子の駆動電流の別例を示すタイムチャートである。
【図8】図5の電気回路構成における各トランジスタの作動状態、及び各半導体発光素子の駆動電流の更なる別例を示すタイムチャートである。
【図9】駆動制御部が実行する発光制御のフローチャートである。
【図10】発光制御で用いる制御マップにおける時刻と比率t1/t0との関係の一例を示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施例に係るLED発光装置の第1LEDを模式的に示す概略断面図である。
【図12】本発明の第2実施例に係るLED発光装置の第2LEDを模式的に示す概略断面図である。
【図13】図11及び図12の第1及び第2LEDの配置の一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、以下の説明に用いる図面は、いずれも本発明によるLED発光装置などを模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っている場合があり、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていないことがある。更に、以下の説明で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
【0038】
<第1実施例>
(LED発光装置の全体構成)
図1は本発明の第1実施例に係るLED発光装置1の全体構成を模式的に示す斜視図、図2はLED発光装置1の概略平面図、図3は図2中のIII−III線に沿う断面を模式的に示すLED発光装置1の概略断面図である。ここでは、まずLED発光装置1の全体構成について、これら図1〜図3を用いて詳細に説明する。
【0039】
LED発光装置1は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有したアルミナ系セラミックからなる基板2の発光素子実装面2aに実装された4個の第1半導体発光素子3と、4個の第2半導体発光素子4とを備えている。更に、基板2の発光素子実装面2aには、これら第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4を取り囲むように、環状且つ円錐台形状のリフレクタ(壁部材)5が設けられている。そして、このリフレクタ5の内側は、仕切り部材6によって第1領域7と第2領域8とに分割されている。リフレクタ5及び仕切り部材6は、樹脂、金属、セラミックなどで形成することができ、接着剤などを用いて基板2に固定される。リフレクタ5及び仕切り部材6に導電性を有する材料を用いることも可能であり、この場合は、後述する配線パターンに対して電気的な絶縁性を持たせるための処理が必要となる。
【0040】
なお、本実施例における第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4の数は一例であって、必要に応じて増減可能であり、それぞれを1個ずつとすることも可能であり、また両者で数を異ならせることも可能である。また、基板2の材質についても、アルミナ系セラミックに限定されるものではなく、様々な材質を適用可能であって、例えば、セラミック、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いてもよい。或いは、基板2の発光素子実装面2aにおける光の反射性を良くしてLED発光装置1の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いるのが好ましい。更に、銅製基板やアルミ製基板などのような金属製基板を用いて放熱性を向上させることも可能である。但し、この場合には、電気的絶縁を間に介して基板に配線パターンを形成する必要がある。
【0041】
また、上述したリフレクタ5及び仕切り部材6の形状も一例を示すものであって、必要に応じて様々に変更可能である。例えば、予め成形したリフレクタ5及び仕切り部材6に代えて、ディスペンサなどを用い、基板2の発光素子実装面2aにリフレクタ5に相当する環状壁部(壁部材)を形成し、その後に仕切り部材6に相当する仕切り壁(仕切り部材)を形成するようにしてもよい。この場合、これら環状壁部及び仕切り壁部に用いる材料には、例えばペースト状の熱硬化性樹脂材料またはUV硬化性樹脂材料などがあり、無機フィラーを含有させたシリコーン樹脂が好適である。
【0042】
図1及び図2に示すように、リフレクタ5内の第1領域7には、4個の第1半導体発光素子3が仕切り部材6の延設方向と平行に一列に配置され、リフレクタ5内の第2領域8には、第1半導体発光素子3の配列方向と同方向に4個の第2半導体発光素子4が一列に配置されている。なお、図2では、便宜上リフレクタ5及び仕切り部材6を破線で示している。
【0043】
基板2の発光素子実装面2aには、第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4のそれぞれに駆動電流を供給するための2つの配線パターン9及び10が、図2に示すように形成されている。配線パターン9は、その一方の端部に外部接続用の接続端子9aが形成されており、他方の端部側には、図2に示すように仕切り部材6の延設方向と平行に第1半導体発光素子実装部9bが延設されている。そして、接続端子9aはリフレクタ5の外側に位置する一方、第1半導体発光素子実装部9bはリフレクタ5内の第1領域7に配置されている。また、配線パターン9には、リフレクタ5内の第2領域8に位置する中間部分から分岐し、仕切り部材6の延設方向と平行に延びる第2半導体発光素子実装部9cが設けられている。
【0044】
一方、配線パターン10は、その一方の端部に外部接続用の接続端子10aが形成されており、他方の端部側には、図2に示すように配線パターン9の第1半導体発光素子実装部9bと平行に第1半導体発光素子実装部10bが延設されている。そして、接続端子10aはリフレクタ5の外側に位置する一方、第1半導体発光素子実装部10bはリフレクタ5内の第1領域7に配置されている。また、配線パターン10には、リフレクタ5内の第2領域8に位置する中間部分から分岐し、配線パターン9の第2半導体発光素子実装部9cと平行に延びる第2半導体発光素子実装部10cが設けられている。
【0045】
4個の第1半導体発光素子3は、配線パターン9の第1半導体発光素子実装部9bと配線パターン10の第1半導体発光素子実装部10bとの間に、極性方向を同じにして互いに並列に接続されている。また、4個の第2半導体発光素子4は、配線パターン9の第2半導体発光素子実装部9cと配線パターン10の第2半導体発光素子実装部10cとの間に、極性方向を同じにして互いに並列に接続されている。
【0046】
より具体的には、第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4のそれぞれは、駆動電流供給用の2つの電極(図示省略)を基板2側の面に有している。そして、各第1半導体発光素子3は、その一方の電極(p電極)が配線パターン9の第1半導体発光素子実装部9bに接続されると共に、その他方の電極(n電極)が配線パターン10の第1半導体発光素子実装部10bに接続されている。また、各第2半導体発光素子4は、その一方の電極(p電極)が配線パターン10の第2半導体発光素子実装部10cに接続されると共に、その他方の電極(n電極)が配線パターン9の第2半導体発光素子実装部9cに接続されている。
【0047】
このような第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4の実装、並びに両電極の配線パターン9及び10への接続は、フリップチップ実装を採用し、図示しない金属バンプを介し、共晶ハンダを用いて行っている。なお、第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4の基板2への実装方法は、これに限定されるものではなく、これら半導体発光素子の種類や構造などに応じて適切な方法を選択可能である。例えば、第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4をそれぞれ上述したような基板2の所定位置に接着固定した後、第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4のそれぞれの電極をワイヤボンディングで対応する配線パターンに接続するダブルワイヤボンディングを採用してもよいし、一方の電極を上述のように配線パターンに接合すると共に、他方の電極をワイヤボンディングで配線パターンに接続するシングルワイヤボンディングを採用してもよい。
【0048】
図3に示すように、リフレクタ5内の第1領域7には、第1蛍光部材(第1波長変換部材)11が4個の第1半導体発光素子3をそれぞれ覆うようにして収容され、リフレクタ5内の第2領域8には、第2蛍光部材(第2波長変換部材)12が4個の第2半導体発光素子4をそれぞれ覆うようにして収容されている。第1蛍光部材11は、第1半導体発光素子3が発する光によって励起され、第1半導体発光素子3が発する光とは異なる波長の光を放射する第1蛍光体13と、この第1蛍光体13を分散させて保持する第1充填材14とからなる。また、第2蛍光部材12は、第2半導体発光素子4が発する光によって励起され、第2半導体発光素子4が発する光とは異なる波長の光を放射する第2蛍光体15と、この第2蛍光体15を分散させて保持する第2充填材16とからなる。
【0049】
従って、本実施例においては、4個の第1半導体発光素子3及びこれらを覆う第1蛍光部材11が第1LED17を形成し、4個の第2半導体発光素子4及びこれらを覆う第2蛍光部材12が第2LED18を形成する。このように、複数個の第1半導体発光素子3を第1蛍光部材11と組み合わせると共に、複数個の第2半導体発光素子4を第2蛍光部材12と組み合わせてLED発光装置1に設けることにより、LED発光装置1の取り扱いが容易となり、複数のLED発光装置1を組み合わせて用いる場合などに有利となる。特に、本実施例のように、製造コストも低減され、第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4をそれぞれ複数個用いる場合には、その効果が顕著なものとなり、製造コストの低減効果も大きくなる。
【0050】
(半導体発光素子)
本実施例において第1半導体発光素子3には、460nmのピーク波長を有した青色光を発するLEDチップを用いる。具体的には、このようなLEDチップとして、例えばInGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップがある。なお、第1半導体発光素子3の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。メラトニンの分泌抑制効果が最も強くなるのは460nm付近(464nm)にピーク波長を有する光であることが判っているので、本実施例において第1半導体発光素子3が発する光のピーク波長は、430nm〜490nmの波長範囲内にあるのが好ましく、440nm〜480nmの波長範囲内にあるのがより好ましい。
【0051】
また、第2半導体発光素子4は、405nmのピーク波長を有した近紫外光を発するLEDチップを用いる。具体的には、このようなLEDチップとしても、InGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップなどが好ましい。なお、第2半導体発光素子4の種類や発光波長特性もこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。本実施例において第2半導体発光素子4が発する光のピーク波長は、360nm〜420nmの波長範囲内にあるのが好ましい。
【0052】
(蛍光部材)
第1蛍光部材11には、第1半導体発光素子3が発する青色光の一部を波長変換して黄色光を放射する黄色蛍光体を第1蛍光体13として用い、この第1蛍光体13が第1充填材14によって分散保持されている。そして、第1充填材14中の第1蛍光体13の密度を調整することにより、第1半導体発光素子3が発した青色光は部分的に第1蛍光部材11を透過して、第1蛍光部材11から放射されるようになっている。より具体的には、第1蛍光体13が放射する黄色光と、第1蛍光体13によって波長変換されずに第1蛍光部材11を透過する青色光とが合成され、予め定められた色温度の白色光が第1LED17から放射されるように、第1蛍光体13の密度の調整によって、第1蛍光体13が放射する黄色光の強度と第1蛍光部材11における青色光の透過率とを調整している。
【0053】
一方、第2蛍光部材12には、第2半導体発光素子4が発する近紫外光の全部または一部を波長変換する第2蛍光体15として、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が第2充填材16によって分散保持されている。第2半導体発光素子4が発する近紫外光の全部または一部は、これら赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体によってそれぞれ赤色光、緑色光及び青色光に波長変換され、これら3種の光が合成された白色光が第2LED18から放射されるようになっている。
【0054】
より具体的には、第2蛍光部材12における赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体のそれぞれの密度及び混合比率を調整することにより、第2LED18から放射される白色光の色温度が、第1LED17から放射される白色光の色温度と実質的に同一となるようにしている。白色光の色温度は、LED発光装置1の使用目的に応じて設定され、例えば屋内の照明光として一般的に昼白色に相当する5000Kに設定されている。なお、ここでいう実質的に同一の色温度とは、両白色光の色温度の差異が視覚的に認められない程度であることをいい、具体的には、CIE(1976)L*u*v*表色系における、それぞれの白色光の色差ΔEuvが0.02以下であるのが好ましい。
【0055】
これら第1蛍光体13として適用可能な黄色蛍光体、並びに第2蛍光体15として適用可能な赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体の具体例について、それぞれ以下に示す。
【0056】
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、黄色蛍光体として例えば、YAl12:Ce、(Y,Gd)Al12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)SiO:Eu、(Ca,Sr)Si:Eu、α−サイアロン、LaSi11:Ceが好ましい。
【0057】
(赤色蛍光体)
赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上で、通常は780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、赤色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)・1,10−フェナントロリン錯体などのβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、KSiF:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、(La,Y)S:Eu、KSiF:Mnがより好ましい。
【0058】
(橙色蛍光体)
発光ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上で、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲にある橙色蛍光体は、黄色蛍光体または赤色蛍光体に代えて好適に用いることができる。このような橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Ceなどがある。
【0059】
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は500nm以上、好ましくは510nm以上、より好ましくは515nm以上で、通常は550nm未満、好ましくは542nm以下、より好ましくは535nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、緑色蛍光体として例えば、Y(Al,Ga)12:Ce、CaSc:Ce、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−サイアロン)、(Ba,Sr)Si12:N:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
【0060】
(青色蛍光体)
青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上で、通常は500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは470nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、青色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)SiO:Eu、(Ba,Ca,Sr)MgSi:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO(Cl,F):Eu、BaMgSi:Euがより好ましく、Sr10(POCl:Eu、BaMgAl1017:Euが特に好ましい。
【0061】
(充填材)
第1蛍光体13を分散保持する第1充填材14、及び第2蛍光体15を分散保持する第2充填材16は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが用いられるが、特に第2充填材16については、第2半導体発光素子4から発せられる近紫外光に対して十分な透明性と耐久性とを有した材料を用いるのが好ましい。これらの充填材として具体的には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレンやスチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、エチルセルロースやセルロースアセテートやセルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などがあげられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマーもしくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合してなる溶液またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料やガラスを用いることができる。
【0062】
(発光スペクトル)
上述したように、第1蛍光部材11に分散配置される第1蛍光体13と、第2蛍光部材12に分散配置される第2蛍光体15とは、相違する波長変換特性を有しているため、第1LED17から放射される白色光と、第LED18から放射される白色光とではスペクトルが相違している。図4は、これら第1LED17及び第2LED18からそれぞれ放射される白色光の全光束を同一とした場合における、それぞれの白色光のスペクトルの一例を示すグラフである。図4においては、第1LED17から放射される白色光のスペクトルを実線で示すと共に、第2LED18から放射される白色光のスペクトルを破線で示している。
【0063】
第1LED17から放射される白色光は、第1半導体発光素子3が発して第1蛍光部材11を透過する青色光と、第1蛍光体13が波長変換して放射した黄色光とを合成することによって得られる。第1半導体発光素子3の発光波長領域は一般的に狭いので、第1LED17から放射される白色光のスペクトルには、図4に実線で示すように、第1半導体発光素子3が発する青色光のピーク波長を中心として、際立って突出したピークが存在する。従って、第1LED17から放射される白色光は、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域において大きいエネルギ強度を有している。
【0064】
一方、第2LED18から放射される白色光は、第2蛍光体15である赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体のそれぞれが波長変換して放射した赤色光、緑色光及び青色光を合成することによって得られる。これら蛍光体の個々の発光波長領域は第1半導体発光素子3のような半導体発光素子に比べると広いため、第2LED18から放射される白色光のスペクトルには、図4に破線で示すように、比較的起伏が少なく、特定の波長領域に際立って大きなピークが生じるようなことはない。
【0065】
従って、第1LED17から放射される白色光は、第2LED18から放射される白色光に比べ、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きくなっている。即ち、より具体的には、第1LED17から放射される白色光は、第2LED18から放射される白色光に比べ、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域の分光成分の全光束あたりのエネルギ強度が大きくなっており、図4の例では、445nm〜480nmの波長領域における分光成分のスペクトル強度比が約2倍となっている。
【0066】
第1LED17及び第2LED18のそれぞれから、このようなスペクトルの白色光を放射することにより、これらの白色光を合成してLED発光装置1から放射される白色光は、第1LED17からの白色光の強度と、第2LED18からの白色光の強度との比率に応じ、メラトニンの分泌抑制効果が高まる波長領域の分光成分のエネルギ強度が増減することになる。即ち、屋内などの照明に用いる照明装置の光源として、このLED発光装置1を用い、第1LED17からの白色光の強度と、第2LED18からの白色光の強度との比率を調整するようにすれば、必要に応じてメラトニンの分泌抑制効果の強弱を調整することが可能となる。
【0067】
(照明装置の電気回路構成)
そこで、本実施例において、上述したLED発光措置1を光源に適用した照明装置の一例について詳細に説明する。ここでは、まず照明装置100の電気回路構成について、図5に基づき説明する。図5は、LED発光装置1を適用した照明装置100の電気回路構成の概略を示す回路図である。図5に示すように、照明装置100は、複数のLED発光装置1と、これらLED発光装置1に駆動電流を供給して発光を制御するための駆動ユニット(駆動制御手段)101とを備えている。なお、LED発光装置1の数は、照明装置100に求められる照明光の特性や、LED発光装置1の発光特性に応じて適宜定められるものであり、場合によっては単一のLED発光装置1のみを用いてもよい。
【0068】
各LED発光装置1においては、前述したとおり、接続端子9aと接続端子10aとの間に、4個の第1半導体発光素子3が極性を同じくし、アノードを接続端子9a側としてて互いに並列に接続されている。更に、接続端子9aと接続端子10aとの間には、4個の第2半導体発光素子4が極性を同じくし、カソードを接続端子9a側として互いに並列に接続されている。従って、第1半導体発光素子3と第2半導体発光素子4とは、互いに極性を逆にして接続端子9aと接続端子10aとの間に接続されていることになる。
【0069】
駆動ユニット101は、4つのトランジスタQ1、Q2、Q3及びQ4によって構成されるフルブリッジタイプの駆動回路を有する。そして、駆動電源102の正極には、トランジスタQ1のコレクタが電流調整用の抵抗R1を介して接続されると共に、トランジスタQ2のコレクタが電流調整用の抵抗R2を介して接続されている。また、駆動電源102の負極にはトランジスタQ3及びQ4のエミッタが接続されている。一方、駆動回路の一方の出力側となるトランジスタQ1のエミッタとトランジスタQ3のコレクタとの接続部が、各LED発光装置1の基板2に設けられた接続端子9aに接続されている。また、駆動回路の他方の出力側となるトランジスタQ2のエミッタとトランジスタQ4のコレクタとの接続部が、各LED発光装置1の基板2に設けられた接続端子10aに接続されている。
【0070】
抵抗R1は、各LED発光装置1における第1半導体発光素子3のそれぞれに流れる駆動電流を適正な大きさ(例えば、半導体発光素子1個あたり60mA)に調整するために設けられている。また、同様に抵抗R2は、各LED発光装置1における第2半導体発光素子4のそれぞれに流れる駆動電流を適正な大きさ(例えば、半導体発光素子1個あたり60mA)に調整するために設けられている。
【0071】
そして、本実施例では、第1半導体発光素子3のみに連続的に電流を流したときに個々のLED発光装置1から放射される第1LED17からの白色光の全光束、即ち第1LED17から得られる白色光の全光束の上限と、第2半導体発光素子4のみに連続的に電流を流したときに個々のLED発光装置1から放射される第2LED18からの白色光の全光束、即ち第2LED18から得られる白色光の全光束の上限とが、製品バラツキなどを考慮して予め設定された許容範囲内で実質的に等しくなるように、これら抵抗R1及びR2の値が定められている。このような設定を行うことにより、第1LED17から放射される白色光の方が、第2LED18から放射される白色光に比べ、図4に示すように、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域の分光成分の全光束あたりのエネルギ強度が大きくなるようにしている。
【0072】
なお、抵抗R1及びR2の挿入位置は、これに限定されるものではなく、例えば、1つの駆動ユニット101に接続されるLED発光装置1の数が多く、抵抗R1及び2で調整する電流値が大きくなる場合など、状況に応じて個々のLED発光装置1に電流調整用の抵抗を設けるようにしてもよい。また、第1半導体発光素子3と第2半導体発光素子4とで同じ大きさの駆動電流が許容される場合には、抵抗R1及び2を共用するようにしてもよい。
【0073】
4つのトランジスタQ1〜Q4は、いずれもそれぞれのベース信号に応じてオン状態とオフ状態とに切り換え可能であって、それぞれのベースは、このような切り換えを制御するための駆動制御部103に接続されている。駆動制御部103は、トランジスタQ2及びQ3を共にオフ状態としている間にトランジスタQ1及びQ4をオン状態とする一方、トランジスタQ1及びQ4を共にオフ状態としている間にトランジスタQ2及びQ3をオン状態とするようにそれぞれのベース信号を出力する。
【0074】
そして、トランジスタQ1及びQ4が共にオン状態になると、駆動電源102の正極が抵抗R1及びトランジスタQ1を介して各LED発光装置1の接続端子9aに接続されると共に、駆動電源102の負極がトランジスタQ4を介して各LED発光装置1の接続端子10aに接続される。従って、この場合には各LED発光装置1において第1半導体発光素子3にのみ順方向電流が流れることにより、第1半導体発光素子3のみが発光する。
【0075】
電流の供給によって第1半導体発光素子3から発せられた青色光の一部は、第1半導体発光素子3と同じくリフレクタ5内の第1発光領域7に配置された第1蛍光部材11に分散保持されている第1蛍光体13によって波長変換され、第1蛍光体13から黄色光が放射される。このとき、第1半導体発光素子3から発せられ、第1蛍光体13によって波長変換されずに第1蛍光部材11を透過した青色光と、第1蛍光体13から放射された黄色光とが合成され、所定の色温度(例えば5000K)の白色光が第1LED17から放射される。
【0076】
一方、トランジスタQ2及びQ3が共にオン状態になると、駆動電源102の正極が抵抗R2及びトランジスタQ2を介して各LED発光装置1の接続端子10aに接続されると共に、駆動電源102の負極がトランジスタQ3を介して各LED発光装置1の接続端子9aに接続される。従って、この場合には各LED発光装置1において第2半導体発光素子4にのみ順方向電流が流れることにより、第2半導体発光素子4のみが発光する。
【0077】
電流の供給によって第2半導体発光素子4から発せられた近紫外光は、第2半導体発光素子4と同じくリフレクタ5内の第2発光領域8に配置された第2蛍光部材12に分散保持されている第2蛍光体15によって波長変換され、第1LED17から放射される白色光と実質的に同じ色温度の白色光が第2LED18から放射される。このとき第2LED18から放射される白色光の全光束は、上述のようにして第1半導体発光素子3のみが発光した場合に第1LED17から放射される白色光の全光束と実質的に等しくなる。
【0078】
このように駆動ユニット101は、当該駆動ユニット101に接続されている各LED発光装置1の第1半導体発光素子3に供給する第1駆動電流と、第2半導体発光素子4に供給する第2駆動電流とを独立して制御できるように構成されている。そして、トランジスタQ1及びQ4のオン状態とトランジスタQ2及びQ3のオン状態とを交互に切り換える場合に、一方のオン状態の時間を長くすると共に、他方のオン状態の時間を短くしていくと、オン状態の時間を短くした方の半導体発光素子は駆動電流が不足して発光しなくなる。
【0079】
従って、例えば、トランジスタQ2及びQ3のオン状態の時間を短くして、第2半導体発光素子4が発光可能な大きさの第2駆動電流が第2半導体発光素子4に供給されなくなると、第1LED17からの白色光のみが各LED発光装置1から放射される。一方、トランジスタQ1及びQ4のオン状態の時間を短くして、第1半導体発光素子3が発光可能な大きさの第1駆動電流が第1半導体発光素子3に供給されなくなると、第2LED18からの白色光のみが各LED発光装置1から放射される。また、トランジスタQ1及びQ4のオン状態とトランジスタQ2及びQ3のオン状態とを調整し、それぞれ第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4が発光可能な大きさの第1及び第2駆動電流がそれぞれ第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4に供給されると、第1LED17から放射される白色光と第2LED18から放射される白色光との合成光が各LED発光装置1から放射される。
【0080】
図6は、上述したような各トランジスタQ1〜Q4の作動状態、及び各半導体発光素子の駆動電流の一例を示すタイムチャートである。なお、図6では1つのLED発光装置1の接続端子9aに流入する電流を用い、当該LED発光装置1における4個の第1半導体発光素子3に流れる電流及び4個の第2半導体発光素子4に流れる電流をそれぞれ示しているので、これら第1半導体発光素子3に流れるトータルの電流I1は正の値で示され、第2半導体発光素子4に流れるトータルの電流I2は、−I2として負の値で示されている。
【0081】
図6に示すように、トランジスタQ1及びQ4が共にオン状態となると、各LED発光装置1において4個の第1半導体発光素子3にトータルの電流I1が流れ、それぞれの第1半導体発光素子3が青色光を発する。一方、トランジスタQ2及びQ3が共にオン状態となると、各LED発光装置1において4個の第2半導体発光素子4にトータルの電流I2が流れ、それぞれの第2半導体発光素子4が近紫外光を発する。このようなオン状態の切り換えは、それぞれの半導体発光素子の発光の切り換えに伴うLED発光装置1からの放射光のちらつきが気にならない程度の周期t0(例えば20ms)で行われ、図6に示す例では、トランジスタQ1及びQ4のオン期間t1の方が、トランジスタQ2及びQ3のオン期間t2より長く設定されている(例えば、t1=14ms及びt2=6ms)。
【0082】
このように、トランジスタQ1及びQ4のオン状態と、トランジスタQ2及びQ3のオン状態とを交互に切り換えた場合、第1半導体発光素子3の1個あたりの第1駆動電流Id1及び第2半導体発光素子4の1個あたりの第2駆動電流Id2は、下記式(1)及び(2)で表される。
Id1=(t1/t0)・(I1/4) ・・・ (1)
Id2=(t2/t0)・(I2/4) ・・・ (2)
【0083】
従って、トランジスタQ1及びQ4のオン期間t1とトランジスタQ2及びQ3のオン期間t2との比率t1/t2の変化に応じて、第1駆動電流Id1と第2駆動電流Id2との比率Id1/Id2が変化する一方で、1つの周期t0における第1駆動電流Id1と第2駆動電流Id2との和は一定とになる。このため、これらオン期間t1及びt2の比率t1/t2を変化させることにより、各LED発光装置1から放射される白色光の全光束がほぼ一定に保持された状態で、第1LED17から放射される白色光の強度と、第2LED18から放射される白色光の強度との比率が変化する。従って、比率t1/t2を変化させれば、各LED発光装置1から合成により得られる白色光は、全光束及び色温度を実質的に一定に保ちながら、前述したように、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域における分光成分のエネルギ強度が変化することになる。
【0084】
図7は、上述したような各トランジスタQ1〜Q4の作動状態、及び各半導体発光素子の駆動電流の別例を、図6と同様に示すタイムチャートである。図7の例では、図6の例に比べ、トランジスタQ1及びQ4のオン期間t1が短くなり、これに対応してトランジスタQ2及びQ3のオン期間t2が長くなっている。従って、オン期間t1とオン期間t2との比率t1/t2は、図6の例の方が図7の例より大きくなり、図6の例において各LED発光装置1から合成により得られる白色光の方が、図7の例において各LED発光装置1から合成により得られる白色光に比べ、第1蛍光部材11から放射される白色光の強度が増大し、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域における全光束あたりの分光成分のエネルギ強度が増大することになる。
【0085】
図6及び図7の例では、いずれも周期t0において第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4のいずれか一方に必ず連続的に電流を流すようにした。しかしながら、周期t0において第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4のいずれにも電流が流れない期間を設けることも可能である。即ち、例えば、周期t0のうち、期間t1では第1半導体発光素子3に断続的に電流を流し、期間t2では第2半導体発光素子4に断続的に電流を流すことも可能である。この場合、このように断続的に電流を流すため、トランジスタQ1がオン状態にある間、トランジスタQ4はオン状態に維持されるのではなく、所定周期(例えば2.5ms)でオン・オフ動作を繰り返し、トランジスタQ3も同様に、トランジスタQ2がオン状態にある間に、所定周期でオン・オフ動作を繰り返すように、駆動制御部103がトランジスタQ1〜Q4にベース信号を送る。
【0086】
図8は、このようにしてトランジスタQ3及びQ4をオン・オフ動作させた場合の、トランジスタQ1〜Q4の作動状態、及び各半導体発光素子の駆動電流の一例を、上述した図6及び図7と同様に示すタイムチャートである。図8の例では、トランジスタQ1及びQ2のオン・オフ周期t0が上述した図6及び図7の例と同じく20msであり、トランジスタQ1のオン期間t1及びトランジスタQ2のオン期間t2は、図6の例と同じになっている(例えば、t1=14ms及びt2=6ms)。そして、トランジスタQ1がオン状態にある間のトランジスタQ4のオン期間、即ち電流I1のパルス幅と、トランジスタQ2がオン状態にある間のトランジスタQ3のオン期間、即ち電流I2のパルス幅とを同一のt3とし、このパルス幅t3、即ちパルスのデューティ比を増減させるようにしている。
【0087】
期間t1における電流I1のパルスの数をn1、期間t2における電流I2のパルスの数をn2とすると、前述した式(1)及び(2)から明らかなように、第1半導体発光素子3の第1駆動電流Id1及び第2半導体発光素子4の第2駆動電流Id2は、下記式(3)及び(4)によって表される。
Id1=(n1・t3/t0)・(I1/4) ・・・ (3)
Id2=(n2・t3/t0)・(I2/4) ・・・ (4)
【0088】
従って、パルス幅t3を変更することにより第1駆動電流Id1及び第2駆動電流Id2の大きさを同じ割合で同一方向に増減することができる。なお、パルス幅t3を最大限拡大しパルスのデューティ比を100%とすれば、上述した図6及び図7の例と同様に、期間t1では常に第1半導体発光素子3に電流が流れ、期間t2では常に第2半導体発光素子4に電流が流れることになる。
【0089】
上記式(3)及び(4)から明らかなように、期間t1における電流I1のパルス数n1、及び期間t2における電流I2のパルス数n2を一定とすれば、パルス幅t3を変更しても第1駆動電流Id1と第2駆動電流Id2との比率Id1/Id2は一定となる。一方、周期t0を一定としてトランジスタQ1のオン期間t1及びトランジスタQ2のオン期間t2を変更すれば、パルス数n1及びn2は一方が増大し他方が減少するので、第1駆動電流Id1と第2駆動電流Id2との比率Id1/Id2が変化することになる。従って、トランジスタQ1のオン期間t1とトランジスタQ2のオン期間t2との比率t1/t2の変更により、図6及び図7の例と同様に、LED発光装置1から合成により得られる白色光は、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域における光の強度を調整することが可能となる。また、パルス幅t3、即ちパルスのデューティ比を変更することで、LED発光装置1から合成により得られる白色光の全光束を変更することが可能となる。
【0090】
なお、上述した図8の例のようにトランジスタQ3及びQ4を断続的にオン・オフさせる代わりに、期間t1の一部の期間においてトランジスタQ4を連続的にオン状態とすると共に期間t1の残部の期間では連続的にオフ状態とし、期間t2の一部の期間においてトランジスタQ3を連続的にオン状態とすると共に期間t2の残部の期間では連続的にオフ状態としてもよい。この場合、トランジスタQ1についてはトランジスタQ4と同様にオン・オフさせてもよいし、トランジスタQ2についてはトランジスタQ3と同様にオン・オフさせてもよい
【0091】
また、図6〜図8の例では、いずれも駆動制御部103のベース信号によって4つのトランジスタQ1〜Q4をそれぞれオン・オフ作動させるようにしたが、これに代えて駆動制御部103からのベース信号によりこれらトランジスタQ1〜Q4に流れる電流も併せて制御するようにしてもよい。この場合は電流調整用の抵抗R1及びR2が不要となる。また、抵抗R1及びR2に代えてそれぞれ定電流回路を挿入し、駆動制御部103のベース信号によって4つのトランジスタQ1〜Q4をそれぞれオン・オフ作動させるようにしてもよい。
【0092】
(照明装置の発光制御)
上述のように、本実施例の照明装置100では、LED発光装置1から放射される白色光において、メラトニンの分泌抑制効果を高める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域における分光成分のエネルギ強度を調整することができるので、このような調整を適切に行うべく、駆動ユニット101の駆動制御部103が発光制御を実行する。駆動制御部103には、発光制御を実行或いは停止するためのメインスイッチ104、及び発光制御においてモードを指定するためのモードスイッチ(操作部材)105が接続されている。なお、本実施例においてモードスイッチ105は、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域における光の強度に関し、LED発光装置1から放射される白色光の調整を自動的に行うモード1のほか、固定的に設定された2つの状態のいずれかに切り換えるためのモード2及び3を選択することができるようになっている。
【0093】
駆動制御部103は、メインスイッチ104がオフ位置からオン位置に操作されると、図9に示すフローチャートに従い、所定の制御周期で発光制御を実行する。そして、メインスイッチ104がオン位置からオフ位置に操作されると、それまで実行していた発光制御を終了する。
【0094】
メインスイッチ104の操作により発光制御を開始すると、駆動制御部103は、モードスイッチ105の位置に基づき、モード1が選択されているか否かをステップS1において判定する。使用者がモードスイッチ105を操作し、モード1を選択している場合、駆動制御部103はステップS1の判定によって処理をステップS2に進め、自らが内蔵している時刻取得用のタイマ103aにより、そのときの時刻(以下、現在時刻という)tpを取得する。なお、このような現在時刻の取得を可能とするため、メインスイッチ104がオフ位置にある場合であっても、駆動制御部103はタイマ103aのカウントを継続している。
【0095】
駆動制御部103は、上述の駆動ユニット101における、トランジスタQ1〜Q4のオン・オフ周期t0に対するトランジスタQ1のオン期間t1の比率t1/t0を、1日の時刻に対応させ、予め制御マップの形で、自身が内蔵するメモリ103bなどの記憶装置に記憶している。そして、駆動制御部103はステップS2からステップS3へと処理を進めると、この制御マップから、ステップS2で取得した現在時刻tpに対応する比率t1/t0の値Dpを読み出し、その制御周期で用いる比率t1/t0として設定する。
【0096】
なお、ここでオン期間t1とオン期間t2との比率t1/t2を用いずに、周期t0に対するオン期間t1の比率t1/t0を用いているのは、次のような理由による。即ち、周期t0が固定値であるので、制御マップから読み出した値からオン期間t1及びt2を求める際に、比率t1/t2を用いる場合に比べて比率t1/t0を用いる場合の方が幾分演算が簡単になるからである。従って、比率t1/t0に代えて比率t1/t2を用いて発光制御を行うことも可能であるほか、比率t2/t0を用いて発光制御を行うことも可能である。即ち、予め定めた周期t0に対しオン期間t1とt2とが定まるようなパラメータであれば、どのようなものを用いてもよい。
【0097】
図10は、ステップS3において用いる制御マップにおける、時刻と比率t1/t0との関係の一例を示すグラフである。図10に示す例では、1日の始まりとなる深夜0:00から早朝5:00頃にかけて、比率t1/t0の値が最小のDminとなり、その後は徐々に増大するようになっている。そして、時刻が9:00頃になると、比率t1/t0の値は最大のDmaxとなり、その後は夕方の17:00頃まで最大値Dmaxを維持する。更にその後は、比率t1/t0の値が徐々に減少し、夜間の21:00頃になると、1日の終了となる24:00まで最小値Dminとなる。ステップS2で取得した現在時刻が、例えば図10にtpで示す時刻であったとすると、ステップS3において駆動制御部103は、この現在時刻tpに対応して図10に示された値Dpを、その制御周期で用いる比率t1/t0として設定する。
【0098】
なお、制御マップにおける比率t1/t0の最小値Dminは、発光制御においてトランジスタQ1のオン期間t1を最小にする比率t1/t0である。本実施例では、このときにトランジスタQ1を介して各LED発光装置1の第1半導体発光素子3に供給される第1駆動電流の大きさでは、前述したように、第1半導体発光素子3が発光することができないようなオン期間t1となるように最小値Dminを設定している。一方、制御マップにおける比率t1/t0の最大値Dmaxは、発光制御においてトランジスタQ1のオン期間t1を最大にする比率t1/t0であり、これに対応してトランジスタQ2のオン期間t2が最小となる。本実施例では、このときにトランジスタQ2を介して各LED発光装置1の第2半導体発光素子4に供給される第2駆動電流の大きさでは、前述したように、第2半導体発光素子4が発光することができないようなオン期間t2となるように最大値Dmaxを設定している。そして、比率t1/t0が最小値Dminより大きく且つDmaxより小さい場合には、各LED発光装置1における第1半導体発光素子3及び第2半導体発光素子4がいずれも発光可能な大きさの第1及び第2駆動電流が供給されるようになっている。
【0099】
ステップS3で比率t1/t0の値をDpに設定すると、駆動制御部103は処理をステップS4に進め、ステップS3で設定した比率t1/t0と、予め設定されている周期t0とから、トランジスタQ1のオン期間t1及びトランジスタQ2のオン期間t2を求める。そして、求められたオン期間t1及びt2に基づき、駆動制御部103はトランジスタQ1〜Q4のオン・オフを制御する。具体的には、前述したように、トランジスタQ1及びQ4が、周期t0のうち期間t1だけオン状態とされ、残りの期間t2はオフ状態とされる。一方、トランジスタQ2及びQ3は、トランジスタQ1及びQ4がオン状態となる期間t1でオフ状態とされ、トランジスタQ1及びQ4がオフ状態となる期間t2でオン状態とされる。
【0100】
なお、使用者の操作により各LED発光装置1が放射する白色光の全光束を調整するための光束調整部材(図示省略)が駆動制御部103に設けられている場合には、光束調整部材で設定された全光束に応じ、前述したように、トランジスタQ4が期間t1においてパルス幅t3で断続的にオン・オフ動作すると共に、トランジスタQ3が期間t2においてパルス幅t3で断続的にオン・オフ動作するように、駆動制御部103がトランジスタQ3及びQ4を制御する。なお、以下では全光束が最大に設定され、トランジスタQ1及びQ4が同期してオン・オフ動作すると共に、トランジスタQ2及びQ3が同期してオン・オフ動作するものとして説明を行う。
【0101】
ステップS4におけるこのようなトランジスタQ1〜Q4のオン・オフ制御は、次の制御周期でステップS4に処理が進むまで継続して行われる。駆動制御部103は、ステップS4で上述したような制御処理を行うと、その制御周期を終了し、次の制御周期で再びステップS1から処理を開始する。ステップS1では、上述したようにモードスイッチ105の位置に基づき、モード1が選択されているか否かを判定するので、モードスイッチ105によってモード1が選択されている限りは、制御周期毎にステップS2で取得した現在時刻tpに対応し、ステップS3及びS4の処理によって自動的にトランジスタQ1〜Q4のオン期間が調整されることになる。
【0102】
モードスイッチ105によりモード1が選択された場合、駆動制御部103が上述したようにして発光制御を行うことにより、時間の進行に伴って、比率t1/t0が図10に示すパターンに従って変化することになる。そして、比率t1/t0の値が最小値Dminとなった場合、上述したように、トランジスタQ1及びQ4のオン期間t1が発光制御において最小となり、各LED発光装置1の第1半導体発光素子3は発光しない。これに伴ってトランジスタQ2及びQ3のオン期間t2は発光制御において最大となるので、各LED発光装置1の第2半導体発光素子4のみが発光し、第2LED18からの白色光のみが各LED発光装置1から放射され、照明装置100の照明光となる。
【0103】
前述したように、第2LED18から放射される白色光は、第1LED17から放射される白色光に比べると、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域の分光成分の全光束あたりのエネルギ強度が小さく、他の波長領域の分光成分のエネルギ強度と比べて際立った違いは生じていない。このため、このような白色光を照明装置100の照明光とすることにより、メラトニンの分泌が抑制されにくくなって、安眠や精神的なリラックスに適した照明が得られる。そこで本実施例では、モード1が選択されている場合に、図10に基づき上述したように、夜間の時間帯になると比率t1/t0の値を最小値Dminとするようにしている。
【0104】
一方、比率t1/t0の値が最大値Dmaxとなった場合、上述したように、トランジスタQ1及びQ4のオン期間t1が発光制御において最大となり、これに伴ってトランジスタQ2及びQ3のオン期間t2が発光制御において最小となるので、各LED発光装置1の第2半導体発光素子4は発光しない。従って、各LED発光装置1の第1半導体発光素子3のみが発光し、第1LED17からの白色光のみが各LED発光装置1から放射され、照明装置100の照明光となる。
【0105】
前述したように、第1蛍光部材11から放射される白色光は、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域の分光成分が大きなエネルギ強度を有している。このため、このような白色光を照明装置100の照明光とすることにより、メラトニンの分泌が抑制され、覚醒状態に適した照明が得られる。そこで本実施例では、モード1が選択されている場合、図10に基づき上述したように、朝方と夕方とを除く昼間の時間帯には、比率t1/t0の値を最大値Dmaxとするようにしている。
【0106】
また、朝方においては、夜間における睡眠状態から徐々に覚醒状態へと移行させるために、メラトニンの分泌抑制効果を徐々に強めるのが好ましい。そこで本実施例では、モード1が選択されている場合、図10に示すように朝方において、比率t1/t0を徐々に増大させることにより、各LED発光装置1から放射される白色光において、第2LED18からの白色光の強度に対する第1LED17からの白色光の強度の比率を徐々に高めるようにしている。
【0107】
更に、夕方から夜間にかけては、覚醒状態から徐々に睡眠を促す状態へと移行させるため、メラトニンの分泌抑制効果を徐々に弱めるのが好ましい。そこで本実施例では、モード1が選択されている場合、図10に示すように夕方から夜間において、比率t1/t0を徐々に減少させることにより、各LED発光装置1から放射される白色光において、第2LED18からの白色光の強度に対する第1LED17からの白色光の強度の比率を徐々に低めるようにしている。
【0108】
このように、モード1では、第1LED17からの白色光の強度と、第2LED18からの白色光の強度との比率を調整し、図10に示すような予め設定したパターンに従い、メラトニンの分泌抑制効果を強めたり弱めたりすることによって、夜間には安眠に適した照明を得ることができると共に、昼間には覚醒状態に適した照明を得ることができるようになる。従って、サーカディアンリズムを正常に維持することが可能となる。
【0109】
また、第1LED17からの白色光と、第2LED18からの白色光とでは、それぞれにおいて最大限得られる全光束を実質的に同一とすると共に色温度を実質的に同一としているので、上述したような発光制御によって第1LED17からの白色光の強度と、第2LED18からの白色光の強度との比率を変えても、照明光における明るさの変動や色温度の変動に起因した違和感を覚えるようなことがなく、照明光の変化を実感することなくサーカディアンリズムを正常に維持することが可能となる。
【0110】
なお、第1LED17からの白色光と、第2LED18からの白色光との比率の変化のさせ方は、図10のパターンに限定されるものではなく、様々に設定することが可能である。例えば、図10のパターンでは比率t1/t0を変化させる場合に直線的な変化を採用したが、曲線的に変化させてもよい。また、夜間や昼間に比率t1/t0が一定となる期間も含めて曲線的な変化を適用し、より滑らかに比率t1/t0を変化させるようにしてもよい。更に、比率t1/t0は最小値Dminまで減少させなくてもよいし、最大値Dmaxまで増大させなくてもよい。更にまた、照明装置100の使用目的によっては、図10のように夜間にt1/t0を減少させる一方で昼間にt1/t0を増大させるようなパターンでなくてもよい。或いは、照明装置100を使用する地域によって、朝方、昼間、夕方、夜間などの基準となる時刻を変更するようにしてもよい。
【0111】
次に、発光制御においてモード1が選択されなかった場合について説明する。即ち、使用者がモードスイッチ105を操作し、モード1以外のモードを選択している場合、駆動制御部103は、発光制御のステップS1における判定により、処理をステップS5に進め、モードスイッチ105で選択されているモードがモード2であるか否かを判定する。ここで、モード2が選択されているとすると、駆動制御部103はステップS5の判定により処理をステップS6に進める。
【0112】
ステップS6において駆動制御部103は、予めメモリ103bなどの記憶装置に記憶している第1所定値D1を比率t1/t0の値として設定し、ステップS4に処理を進める。この第1所定値D1は、図10における最小値Dminよりもむしろ最大値Dmaxに近い値に設定されるものであり、本実施例では最大値Dmaxそのものを第1所定値D1としている。
【0113】
ステップS4では、設定された比率t1/t0の値に基づき、上述したようにしてトランジスタQ1〜Q4の制御が行われるが、本実施例では、比率t1/t0の値が最大値Dmaxとなっているので、各LED発光装置1において第2半導体発光素子4は発光せずに第1半導体発光素子3のみが発光する。この結果、第1LED17からの白色光のみが各LED発光装置1から放射され、照明装置100の照明光となる。従って、照明装置100の照明光は、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域の分光成分が大きなエネルギ強度を有している白色光となり、覚醒状態に適した照明が得られることになる。
【0114】
ステップS4におけるトランジスタQ1〜Q4の制御は、前述したように次の制御周期でステップS4に処理が進むまで継続して行われる。駆動制御部103は、ステップS4で上述したような制御処理を行うと、その制御周期を終了し、次の制御周期で再びステップS1から処理を開始する。駆動制御部103は、モードスイッチ105の位置に基づいて、モード1が選択されているか否かをステップS1で判定し、モード2が選択されているか否かをステップS2で判定するので、モードスイッチ105によってモード2が選択されている限りは、ステップS6で第1所定値D1が設定された比率t1/t0に基づいて、制御周期毎にステップS4においてトランジスタQ1〜Q4の上述した制御が行われることになる。
【0115】
一方、モードスイッチ105によりモード3が選択されている場合、駆動制御部103はステップS5の判定により処理をステップS6に進める。ステップS6において駆動制御部103は、予めメモリ103bなどの記憶装置に記憶している第2所定値D2を比率t1/t0の値として設定し、ステップS4に処理を進める。この第2所定値D2は、図10における最大値Dmaxよりもむしろ最小値Dminに近い値に設定されるものであり、本実施例では最小値Dminそのものを第2所定値D2としている。
【0116】
ステップS4では、設定された比率t1/t0の値に基づき、上述したようにしてトランジスタQ1〜Q4の制御が行われるが、本実施例では比率t1/t0の値が最小値Dminとなっているので、各LED発光装置1において第1半導体発光素子3は発光せず、第2半導体発光素子4のみが発光する。この結果、第2LED18からの白色光のみが各LED発光装置1から放射され、照明装置100の照明光となる。従って、照明装置100の照明光は、メラトニンの分泌が抑制されにくい白色光となり、安眠や精神的なリラックスに適した照明が得られることになる。
【0117】
この場合も、ステップS4におけるトランジスタQ1〜Q4の制御は、次の制御周期でステップS4に処理が進むまで継続して行われる。駆動制御部103は、ステップS4で上述したような制御処理を行うと、その制御周期を終了し、次の制御周期で再びステップS1から処理を開始する。駆動制御部103は、モードスイッチ105の位置に基づき、モード1が選択されているか否かをステップS1で判定し、モード2が選択されているか否かをステップS2で判定するので、モードスイッチ105によってモード3が選択されている限りは、ステップS7で第2所定値D2が設定された比率t1/t0に基づいて、制御周期毎にステップS4においてトランジスタQ1〜Q4の上述した制御が行われることになる。
【0118】
このように、モードスイッチ105によってモード2またはモード3を選択することにより、照明装置100の照明光を、覚醒状態に適した白色光と、睡眠や精神的なリラックスに適した白色光とのいずれか希望する方に切り換えることが可能となる。従って、照明装置100で照明を行う際の環境に合わせてモードスイッチ105を操作し、覚醒状態を維持するのに適した照明光を得たい場合にはモード2を選択する一方、安眠や精神的なリラックスに適した照明光を得たい場合にはモード3を選択すればよい。この結果、生体リズムを周囲の環境に整合させることができる。
【0119】
また、この場合も、第1LED17からの白色光と、第2LED18からの白色光とでは、それぞれにおいて最大限得られる全光束を実質的に同一とすると共に色温度を実質的に同一としているので、モード2とモード3との間の切り換えだけではなく、モード1からモード2またはモード3への切り換え時においても、照明光に明るさや色温度の変動に起因した違和感を覚えるようなことがない。従って、照明光の変化を実感することなく生体リズムを周囲の環境に整合させることが可能となる。
【0120】
なお、本実施例では第1所定値D1を最大値Dmaxとすると共に、第2所定値D2を最小値Dminとしたが、第1所定値D1及び第2所定値D2は、これらに限定されるわけではなく、照明装置100の使用目的や環境、使用者の要望などに応じて、調整することが可能であり、第1所定値D1を最大値Dmax寄りの値とすると共に、第2所定値D2を最小値Dmin寄りの値とすればよい。
【0121】
また、本実施例では、モード2及びモード3の2種類の照明光に切り換えるようにしたが、モードスイッチ105により選択可能なモードの数を増やしてもよいし、操作つまみやスライダなどの調整部材を本発明の操作部材の1つとして設け、調整部材の位置に応じて連続的に、第1LED17からの白色光の強度と第2LED18からの白色光の強度との比率を変更できるようにしてもよい。即ち、モードの数を増やした場合には、選択可能なモードの数だけ、最小値Dminから最大値Dmaxまでの間でそれぞれ異なる比率t1/t0の値を予め設定し、選択されたモードに対応する比率t1/t0の値をステップS4で用いればよい。また、連続的に変化させる場合には、調整部材の下限位置に最小値Dminなどのような比率t1/t0の下限値を割り当てる一方、調整部材の上限位置に最大値Dmaxなどのような比率t1/t0の上限値を割り当て、調整部材の位置に応じて、これら下限値から上限値までの間で連続的に比率t1/t0の値を設定するようにすればよい。
【0122】
(第1蛍光体の変形例)
上述した第1実施例では、第1半導体発光素子3が発する青色光の一部を波長変換して黄色光を放射する黄色蛍光体を第1蛍光体13として用いた。しかし、前述したように、黄色蛍光体に代えて、第1半導体発光素子3が発する青色光の一部を波長変換して橙色光または赤橙色光を放射する橙色蛍光体を第1蛍光体13として用いることも可能である。この場合、第1半導体発光素子3が発した青色光の一部が、橙色蛍光体によってそれぞれ波長変換され、橙色蛍光体から橙色光または赤橙色光が放射される。そして、第1半導体発光素子3から発せられ、橙色蛍光体によって波長変換されずに第1蛍光部材11を透過した青色光と、橙色光または赤橙色光とが合成された白色光が、第1LED17から放射される。この場合も、第1蛍光体13として用いる橙色蛍光体のそれぞれの密度及び混合比を調整することにより、第1LED17から放射される白色光の色温度は、第2LED18から放射される白色光の色温度と実質的に同一とする。
【0123】
また、第1実施例の黄色蛍光体に代えて、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを第1蛍光体13として用い、第1充填材14によって分散保持することにより第1蛍光部材11を形成するようにしてもよい。この場合、第1半導体発光素子3が発した青色光の一部が、赤色蛍光体及び緑色蛍光体によってそれぞれ波長変換され、これら蛍光体からそれぞれ赤色光及び緑色光が放射される。そして、第1半導体発光素子3から発せられ、赤色蛍光体及び緑色蛍光体のいずれにも波長変換されずに第1蛍光部材11を透過した青色光と、これら赤色光及び緑色光とが合成された白色光が、第1LED17から放射される。この場合も、第1蛍光体13として用いる赤色蛍光体及び緑色蛍光体のそれぞれの密度及び混合比を調整することにより、第1LED17から放射される白色光の色温度は、第2LED18から放射される白色光の色温度と実質的に同一とする。
【0124】
このように、橙色蛍光体、或いは赤色蛍光体と緑色蛍光体とを第1蛍光体13として用いる場合も、第1半導体発光素子3から発せられて第1蛍光部材11を透過した青色光を用いて白色光を得ている。このため、第1実施例の場合と同様に、第1LED17から放射される白色光のスペクトルには、第1半導体発光素子3が発する青色光のピーク波長を中心として際立って突出したピークが存在する。従って、本変形例においても、第1LED17から放射される白色光は、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域の分光成分が大きなエネルギ強度を有している。
【0125】
この結果、本変形例においても、第1LED17から放射される白色光の方が、第2LED18から放射される白色光に比べ、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きくなるように、第1LED17から得られる白色光の全光束の上限と、第2LED18から得られる白色光の全光束の上限とを設定すれば、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、本変形例で用いる橙色蛍光体、赤色蛍光体及び緑色蛍光体の具体例は、上述した第1実施例において、具体的な蛍光体として例示したとおりである。
【0126】
(第2蛍光体の変形例)
上述した実施例では、第2半導体発光素子4が発する近紫外光の全部または一部を波長変換する第2蛍光体15として、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を用いた。しかし、これら3種の蛍光体に代えて、赤色蛍光体と青緑色(シアン色)蛍光体とを第2蛍光体15として用い、第2充填材16によって分散保持することにより第2蛍光部材12を形成するようにしてもよい。この場合、第2半導体発光素子4が発する近紫外光の全部または一部は、これら赤色蛍光体及び青緑色蛍光体によってそれぞれ赤色光及び青緑色(シアン色)光に波長変換され、これら赤色光及び青緑色光が合成された白色光が第2LED18から放射される。この場合も、第2蛍光体15として用いる赤色蛍光体及び青緑色蛍光体のそれぞれの密度及び混合比を調整することによって、第2LED18から放射される白色光の色温度は、第1LED17から放射される白色光の色温度と実質的に同一とする。
【0127】
このように、赤色蛍光体と青緑色蛍光体とを混合した第1蛍光体13を用いる場合も、これら蛍光体の発光波長領域は、第1半導体発光素子3のような半導体発光素子に比べると広い。このため、第1実施例の場合と同様に、第2LED18から放射される白色光のスペクトルには比較的起伏が少なく、特定の波長領域に際立って大きなピークが生じるようなことはない。従って、第1LED17から放射される白色光の方が、第2LED18から放射される白色光に比べ、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域である445nm〜480nmの波長領域の分光成分の全光束あたりのエネルギ強度が大きくなるように、第1LED17から得られる白色光の全光束の上限と、第2LED18から得られる白色光の全光束の上限とを設定すれば、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0128】
本変形例で用いる赤色蛍光体の具体例は、上述した実施例において、第2蛍光体15に適用可能な蛍光体として例示したとおりである。また、青緑色蛍光体としては、(Ba,Ca,Mg)10(POCl:Eu2+(ピーク波長483nm)などのハロ燐酸塩系蛍光体、2SrO・0.84P・0.16B:Eu2+(ピーク波長480nm)などの燐酸塩系蛍光体、SrSi・2SrCl:Eu2+(ピーク波長490nm)などのケイ酸塩系蛍光体、BaAl13:Eu2+(ピーク波長480nm)、BaMgAl1627:Eu2+,Mn2+(ピーク波長450nm,515nm)、SrMgAl1017:Eu2+(ピーク波長480nm程度)、SrAl1425:Eu2+(ピーク波長480nm程度)などのアルミン酸塩系蛍光体、BaSi:Eu2+(ピーク波長480nm程度)などの酸窒化物系蛍光体などがある。
【0129】
更に別の変形例として、第2蛍光体15として青色蛍光体と黄色蛍光体とを用い、第2充填材16によって分散保持することにより第2蛍光部材12を形成することも可能である。この場合、第2半導体発光素子4が発する近紫外光の全部または一部は、これら青色蛍光体及び黄色蛍光体によってそれぞれ青色光及び黄色光に波長変換され、これら青色光及び黄色光が合成された白色光が第2LED18から放射される。この場合も、第2蛍光体15として用いる青色蛍光体及び黄色蛍光体のそれぞれの密度及び混合比を調整することにより、第2LED18から放射される白色光の色温度は、第1LED17から放射される白色光の色温度と実質的に同一とする。
【0130】
このように、青色蛍光体と黄色蛍光体とを混合した第1蛍光体13を用いる場合も、これら蛍光体の発光波長領域は、第1半導体発光素子3のような半導体発光素子に比べると広い。このため、上述した実施例と同様に、第2蛍光部材12から放射される白色光のスペクトルには比較的起伏が少なく、特定の波長領域に際だって大きなピークが生じるようなことはない。従って、第1LED17から放射される白色光の方が、第2LED18から放射される白色光に比べ、メラトニンの分泌抑制効果を強める460nm付近の波長領域を含む445nm〜480nmの波長領域の分光成分の全光束あたりのエネルギ強度が大きくなるように、第1LED17から放射される白色光の全光束の上限と、第2LED18から放射される白色光の全光束の上限とを設定すれば、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、ここで用いる青色蛍光体及び黄色蛍光体の具体例は、上述した第1実施例において具体的な蛍光体として例示したとおりである。
【0131】
<第2実施例>
上述した第1実施例では、本発明の第1LEDと第2LEDとを一体化してLED発光装置1を構成した。しかしながら、本発明のLED発光装置1を構成する第1LED及び第2LEDは、このような構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて様々な構成のものを用いることが可能である。そこで、第1実施例とは異なる第1LED及び第2LEDの構成例を本発明の第2実施例として以下に説明する。なお、上述した実施例と同様の部材については、同じ符号を適用するものとして詳細な説明は省略する。
【0132】
図11は本実施例に係る第1LED201を模式的に示す概略断面であり、図12は本変形例に係る第2LED301を模式的に示す概略断面である。なお、第1LED201と第2LED301とは、後述するように、使用する蛍光体及び半導体発光素子が相違するものの、構造自体は実質的に同様となっている。そこで、構造については第1LED201を中心として説明を行い、第1LED201と第2LED301とで相違する点についてはそれぞれを説明するものとする。
【0133】
図11に示すように、本実施例の第1LED201では、基板202に第1半導体発光素子203が実装される。但し、本実施例では、基板202の基板本体202aに、放熱性に優れた金属製基板を用いている。この金属製基板としては、アルミ製基板や銅製基板など、放熱性に優れたものを用いるのが好ましいが、中でも、コスト、軽量性及び放熱性の観点からアルミ製基板が好適である。そして、このような金属製の基板本体202aを用いることから、第1半導体発光素子203が実装される基板202の面には、電気絶縁層202bを基板本体202aとの間に介在させて配線パターン209及び配線パターン210が形成されている。なお、基板本体202aの材質は、このような金属製基板に限定されるものではなく、前述した実施例のLED発光装置1と同様に、電気的絶縁性に優れて良好な放熱性を有したアルミナ系セラミックなどの電気的絶縁性を有する材料を用いてもよい。
【0134】
前述した実施例のLED発光装置1における第1半導体発光素子3と同じく、第1半導体発光素子203は、460nmのピーク波長を有した青色光を発するLEDチップである。このようなLEDチップとして、例えば、InGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップなどがある。なお、第1半導体発光素子203の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップを用いることができる。本実施例において第1半導体発光素子203が発する光のピーク波長は、前述した第1実施例のLED発光装置1における第1半導体発光素子3と同じく、430nm〜490nmの波長範囲内にあるのが好ましく、440nm〜480nmの波長範囲内にあるのがより好ましい。
【0135】
第1半導体発光素子203は、駆動電流を供給するための2つの電極のうちの一方(例えばp電極)を上面に有すると共に、他方(例えばn電極)を下面に有し、上面の電極が金属ワイヤ203aによって配線パターン209に接続されると共に、下面の電極が共晶ハンダ203bを用いて配線パターン210に直接的に接続されている。なお、基板202への第1半導体発光素子203の実装方法は、これに限定されるものではなく、第1半導体発光素子203に設けられる電極の位置などに応じて適切は方法を選択可能である。例えば、第1半導体発光素子203を基板202の所定位置に接着固定した後、第1半導体発光素子203の上面側に位置する2つの電極を、金属ワイヤによって基板202の配線パターン209及び210と接続するダブルワイヤボンディングや、前述した第1実施例のように、第1半導体発光素子203の下面側に位置する2つの電極を、金属バンプを介して配線パターン209及び210と接続するフリップチップ実装などを採用することが可能である。
【0136】
一方、第2LED301に設けられる第2半導体発光素子303は、前述した第1実施例のLED発光装置1における第2半導体発光素子4と同じく、405nmのピーク波長を有した近紫外光を発するLEDチップであって、例えば、InGaN半導体が発光層に用いられるGaN系LEDチップなどがある。なお、第2半導体発光素子303の種類や発光波長特性も、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、様々なLEDチップなどの半導体発光素子を用いることができる。本実施例において第2半導体発光素子303が発する光のピーク波長は、360nm〜420nmの波長範囲内にあるのが好ましい。なお、第2半導体発光素子303は、上述したような基板202への第1半導体発光素子203の実装と同様の方法で基板302に実装される。また、基板302は、上述した基板202と同様に構成されており、基板202と一体的に構成されるのが好ましい。但し、基板302と基板202とは、それぞれ別体で設けられてもよい。
【0137】
図11に示すように、基板202に実装された第1半導体発光素子203に対し、第1蛍光部材(第1波長変換部材)211が設けられる。第1蛍光部材211は、例えばディスペンサを用い、第1半導体発光素子203を覆うようにして設けられる。一方、図12に示すように、基板302に実装された第2半導体発光素子303に対し、第2蛍光部材(第2波長変換部材)311が設けられる。第2蛍光部材311も、例えばディスペンサを用い、第2半導体発光素子303を覆うようにして設けられる。
【0138】
第1蛍光部材211は、前述の第1実施例におけるLED発光装置1の第1蛍光部材11と同様に構成され、第1半導体発光素子203が発する青色光の一部を波長変換して黄色光を放射する第1蛍光体213が第1充填材214内に分散保持されている。また、第2LED301における第2蛍光部材311も、前述の実施例におけるLED発光装置1の第2蛍光部材12と同様に構成され、第2半導体発光素子303が発する近紫外光を波長変換して白色光を放射する第2蛍光体313が第2充填材314内に分散保持されている。
【0139】
このようにして構成される第1LED201及び第2LED301を組み合わせてLED発光装置を構成することにより、前述した第1実施例と同様にして、第1蛍光部材211からの白色光の強度と、第2蛍光部材311からの白色光の強度との比率を調整することで、メラトニンの分泌抑制効果を強めたり弱めたりすることが可能なLED発光装置が得られる。従って、前述の第1実施例と同様に、このLED発光装置を駆動ユニット101と組み合わせて照明装置を構成すれば、前述した実施例の照明装置100と同様の効果を得ることができる。
【0140】
特に、本実施例の場合には、個々の半導体発光素子にそれぞれ別個の蛍光部材を設けるようにしているので、第1LED201及び第2LED301のレイアウトの自由度が増し、照明装置に関して設置スペースの大きさ、形状、位置などに制限がある場合においても、その様な制限に柔軟に対応して高密度に第1LED201及び第2LED301を配置することが可能である。特に、第1LED201と第2LED301とを混在させて分散配置すれば、第1LED201及び第2LED301のそれぞれから発せられる白色光の合成を更に良好に行うことができる。
【0141】
このような分散配置の一例を図13に示す。図13の例では、図13の横方向の列で見た場合に、第1LED201と第2LED301とが交互に配列され、隣り合う2つの列では各列の方向に各発光源の半径分ずつ位置がずれているので、第1LED201及び第2LED301を高密度に配置しながら、両者が放射する白色光を良好に合成できるようになっている。なお、第1LED201及び第2LED301の配置は、これに限定されるものではなく、必要に応じて様々に変更可能である。また、第1LED201及び第2LED301の形状も、これに限定されるものではなく、必要に応じて様々に変更可能である。
【0142】
なお、第1LED201及び第2LED301においても、前述した実施例における第1蛍光体13及び第2蛍光体15の変形例を同様に適用することが可能である。即ち、第1LED201においては、黄色蛍光体に代えて、橙色蛍光体、或いは赤色蛍光体と緑色蛍光体とを第1蛍光体213に用いてもよい。また、第2LED301においては、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体に代えて、赤色蛍光体及び青緑色蛍光体、或いは青色蛍光体及び黄色蛍光体を第2蛍光体313として用いてもよい。
【0143】
以上で本発明の各実施例及びその変形例に係る擬似窓装置についての説明を終えるが、本発明はこれら実施例及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することのない限り、様々に変更することが可能である。
【0144】
例えば、第1実施例では、第1LED17から放射される白色光の色温度と、第2LED18から放射される白色光の色温度とを実質的に同一としたが、視覚的に認識可能な程度に異ならせてもよい。この場合、それぞれの白色光の強をの比率を変化させたり、いずれか一方から他方へと切り換えた場合に、色温度の変化を実感することによって、メラトニンの分泌抑制効果の強弱を変化させるように照明光の切り換えがあったことを積極的に知らせることができる。即ち、照明装置から放射されている照明光が覚醒状態に適したものと、安眠や精神状態のリラックスに適したものとの間で切り換えられたことを積極的に知らせるのが好ましい場合には、このような照明装置が有効である。
【0145】
また、第1実施例では、第1LED17から得られる白色光の全光束の上限と、第2LED18から得られる白色光の全光束の上限とを実質的に同じにすることで、第1LED17が放射する白色光の強度と、第2LED18が放射する白色光の強度との比率を調整する際の、明るさの変動やに起因した違和感をなくすようにした。しかしながら、第1LED17が放射する白色光の全光束の上限と、第2LED18が放射する白色光の全光束の上限とを相違するようにすることも可能である。この場合も、第1LED17が放射する白色光の方が、第2LED18が放射する白色光に比べ、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きくなるように、第1LED17が放射する白色光の全光束の上限と、第2LED18が放射する白色光の全光束の上限とをそれぞれ設定すれば、第1LED17が放射する白色光の強度と、第2LED18が放射する白色光の強度との比率を調整することにより、前述した第1実施例と同様に、覚醒状態に適した照明光と、安眠や精神状態のリラックスに適した照明光との間での調整が可能となる。
【0146】
この場合には、第1LED17から得られる白色光の全光束の上限と、第2LED18から得られる白色光の全光束の上限とが相違するので、第1LED17が放射する白色光の強度と、第2LED18が放射する白色光の強度との比率の調整に伴い、照明光の明るさが変動することになる。しかし、第1LED17が放射する白色光は、第2LED18が放射する白色光に比べて、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きいので、単一種類の光源のみを用いて、この波長領域の強度を調整する場合に比べれば、LED発光装置1が放射する光の全光束の変動を低く抑えることができる。従って、この場合にも、第1LED17からの白色光の強度と第2LED18からの白色光の強度とを調整する際の、照明光の明るさの変動に起因する違和感をなくすことが可能であり、適切な明るさの照明光を確保することができる。
【符号の説明】
【0147】
1 LED発光装置
2 基板
3 第1半導体発光素子
4 第2半導体発光素子
5 リフレクタ(壁部材)
6 仕切り部材
11 第1蛍光部材(第1波長変換部材)
12 第2蛍光部材(第2波長変換部材)
17 第1LED
18 第2LED
100 照明装置
101 駆動ユニット(駆動制御手段)
105 モードスイッチ(操作部材)
201 第1LED
202 基板
203 第1半導体発光素子
211 第1蛍光部材(第1波長変換部材)
301 第2LED
302 基板
303 第2半導体発光素子
311 第2蛍光部材(第2波長変換部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1LEDが発する白色光と第2LEDが発する白色光とを合成して得られる合成光を放射するLED発光装置であって、
前記第1LEDは、
430nm〜490nmの波長範囲にピーク波長を有する光を発光する第1半導体発光素子と、
前記第1半導体発光素子が発した光の一部を波長変換して得られた光と、前記第1半導体発光素子が発して波長変換されずに透過する光とを合成して白色光を放射する第1波長変換部材とを備え、
前記第2LEDは、
360nm〜420nmの波長範囲にピーク波長を有する光を発する第2半導体発光素子と、
前記第2半導体発光素子が発した光の全部または一部を波長変換して白色光を放射する第2波長変換部材とを備え、
前記第1LEDが放射する白色光は、前記第2LEDが放射する白色光に比べ、全光束あたりの445nm〜480nmの波長領域の分光成分のエネルギ強度が大きい
ことを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記第1波長変換部材が放射する白色光の色温度と、前記第2波長変換部材が放射する白色光の色温度とは実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記第1波長変換部材は、前記第1半導体発光素子が発した光を波長変換して黄色、橙色、赤橙色、並びに赤色及び緑色のいずれかの発光色の光を放射する蛍光体を有し、前記蛍光体が放射する光と、前記第1半導体発光素子が発して前記第1波長変換部材を透過する光とを合成して白色光を放射することを特徴とする請求項1または2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記第2波長変換部材は、前記第2半導体発光素子が発した光を波長変換して赤色光を放射する赤色蛍光体と、前記第2半導体発光素子が発した光を波長変換して緑色光を放射する緑色蛍光体と、前記第2半導体発光素子が発した光を波長変換して青色光を放射する青色蛍光体とを有し、前記赤色蛍光体が放射する赤色光、前記緑色蛍光体が放射する緑色光、及び前記青色蛍光体が放射する青色光を合成して白色光を放射することを特徴とする請求項1または2に記載のLED発光装置。
【請求項5】
前記第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子が実装される基板と、
前記第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子を取り囲んで前記基板上に設けられる壁部材と、
前記壁部材の内側の領域を、前記第1半導体発光素子が配置される第1領域と、前記第2半導体発光素子が配置される第2領域とに分割する仕切り部材と
を更に備え、
前記第1波長変換部材は前記第1領域内に収容され、前記第2波長変換部材は前記第2領域内に収容されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED発光装置。
【請求項6】
前記第1領域には1または複数の前記第1半導体発光素子が配置され、前記第2領域には1または複数の第2半導体発光素子が配置されることを特徴とする請求項5に記載のLED発光装置。
【請求項7】
複数の前記第1半導体発光素子及び複数の第2半導体発光素子が実装される基板を更に備え、
前記第1波長変換部材は前記複数の第1半導体発光素子のそれぞれに対して設けられ、
前記第2波長変換部材は前記複数の第2半導体発光素子のそれぞれに対して設けられる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED発光装置。
【請求項8】
前記複数の第1半導体発光素子及び複数の第2半導体発光素子は、互いに混在するように前記基板上に分散配置されていることを特徴とする請求項7に記載のLED発光装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のLED発光装置と、
前記第1半導体発光素子に供給する第1駆動電流と、前記第2半導体発光素子に供給する第2駆動電流とを制御する駆動制御手段と
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項10】
前記駆動制御手段は、そのときの時刻に応じて前記第1駆動電流と前記第2駆動電流との比率を制御することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記駆動制御手段は、前記第1LEDからの白色光の強度と前記第2LEDからの白色光の強度との比率を変化させるための操作部材を備え、前記操作部材の操作位置に応じて前記第1駆動電流と前記第2駆動電流との比率を制御することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項12】
前記駆動制御手段は、予め設定されたパターンに従い時間の経過と共に前記第1駆動電流と前記第2駆動電流との比率を制御することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−64860(P2012−64860A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209296(P2010−209296)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】