説明

MEMSデバイスの製造方法

本発明によるマイクロ電子機械(MEMS)デバイスの製造方法は、その可動構造が形成された後に、デバイスウェハのボトム側を除去する。その目的のために、この方法は、初期ボトム側を有するデバイスウェハを提供する。次いで、この方法は、そのデバイスウェハ上に、可動構造を形成し、続いて、このデバイスウェハの初期ボトム側全体を実質的に除去する。初期ボトム側全体を効率的に除去することによって、最終ボトム側が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にマイクロ電子機械システム(MEMS)に関する。より特定的には、本発明は、MEMSデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子機械システム(「MEMS」、また「MEMSデバイス」とも称される)は、ますます多くのアプリケーションで使用される特定のタイプの集積回路である。例えば、MEMSは、現在のところ、飛行機のピッチ角度を検出するジャイロスコープとして、また、自動車のエアバッグを選択的に展開する加速度計として、インプリメントされている。簡単に言えば、このようなMEMSデバイスは、典型的には、基板の上にサスペンドされた非常に脆弱な可動構造と、関連回路網(オンチップまたはオフチップ)とを有する。この関連回路網は、サスペンドされた構造の運動を感知すること、および、その感知した運動を1つ以上の外部デバイス(例えば、外部コンピュータ)へ配信することの双方を行う。外部デバイスは、感知されたデータを処理し、その測定中の特性(例えば、ピッチ角度または加速度)を計算する。
【0003】
MEMSは、比較的小さいにも関わらず、MEMSおよび他のタイプの集積回路のサイズを小さくするニーズは、それでもなお引き続き存在する。例えば、携帯電話業界において、エンジニアは、しばしば、回路網のみを有する内部の特定用途向け集積回路(ASIC)の形状を小さくしようと試みる。ASICの形状を小さくすると、望ましいことに、携帯電話の全体のサイズも対応して小さくすることに繋がり得る。こうした目的で、多数のタイプのASICの基板を薄くするために、この分野の多くでは、従来の基板の薄片化プロセス(例えば、裏面研削プロセス)が用いられている。
【0004】
望ましくないことであるが、従来技術は、MEMSデバイスに対して、同様の解を有するようには思われない。特に、従来技術の基板薄片化技術は、脆弱なMEMSの可動構造にダメージを与え得る。例えば、従来技術の裏面研削プロセス(構造を有さない集積回路で一般に使用される)では、ASICのボトム側が裏面研削プロセスに晒され得るように、ASICのトップ側が、支持表面に固定されることが要求される。しかしながら、MEMSデバイスのトップ側は、脆弱なMEMS構造を有する。したがって、裏面研削が、MEMSデバイスの基板を薄片化するために使用される場合、MEMS構造が破壊されることになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明の一局面に従うと、MEMSデバイスを製造する方法は、デバイスウェハの可動構造が形成された後に、デバイスウェハのボトム側を除去する。その目的のために、この方法は、初期ボトム側を有するデバイスウェハを提供する。次いで、この方法は、そのデバイスウェハ上に、可動構造を形成し、続いて、このデバイスウェハの初期ボトム側全体を実質的に除去する。初期ボトム側全体を効率的に除去することによって、最終ボトム側が形成される。
【0006】
初期ボトム側は、例えば、裏面研削プロセスを使用するなど、幾つかの方法によって形成され得る。代替として、ケミカルが使用され、初期ボトム側は化学エッチングされ得る。その場合、構造はケミカルから密閉される。さらに、可動構造は、デバイスウェハのトップ表面上に、または、トップ表面近くに形成され得る。一部の実施形態において、デバイスウェハは、構造を密閉するクリアランスホールを有する保護フィルムに固定される。この結果、構造は、その動作に悪影響を与え得るデブリまたは他の外部物質から保護されたまま残り得る。
【0007】
本方法は、また、キャップウェハをデバイスウェハに結合し得、こうして、構造をカプセル封入し得る。一部の実施形態において、この方法は、初期ボトム側を除去する前に、キャップウェハをシングル化する(singulate)。代替の実施形態において、初期ボトム側を除去した後に、キャップウェハをシングル化する。
【0008】
本発明の別の局面に従うと、MEMSデバイスを製造する方法は、初期ボトム側および可動構造を有するデバイスウェハを提供する。次いで、この方法は、デバイスウェハの初期ボトム側全体を実質的に除去して、最終ボトム側を形成する。可動構造の動作は、このデバイスウェハの初期ボトム側全体を実質的に除去することによって、実質的な影響を受けない。
【0009】
本発明の別の局面に従うと、MEMSデバイスを製造する方法は、初期ボトム側および可動構造を有するデバイスウェハを提供し、このデバイスウェハをクリアランスホールを有する保護フィルムに固定する。可動構造が、クリアランスホール内に密封されるような方法で、このデバイスウェハは、保護フィルムに固定される。デバイスウェハが保護フィルムに固定された後に、この方法は、デバイスウェハの初期ボトム側全体を実質的に除去して、最終ボトム側を形成する。他に方法はあるが、デバイスの初期ボトム側の実質的全体は、裏面研削プロセスまたは化学エッチングプロセスによって除去され得る。
【0010】
最終ボトム側が形成された後に、フィルムが除去され得る。次いで、最終ボトム側は、キャップウェハと結合し、実質的に完成されたMEMSデバイスを形成し得る。
【0011】
本発明の上記事項および利点は、以下の添付図面を参照するとともに、以下のさらなる本発明の記述から、より十分に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
例示的な実施形態において、MEMSデバイスを製造する方法は、MEMS構造が形成された後に、MEMS基板を薄片化する。実際、本方法は、キャップ付きMEMSデバイスでも、キャップなしMEMSデバイスのいずれでも使用され得る。他にも方法もあるが、本方法は、基板を薄片化するために、化学エッチングプロセスまたは裏面研削プロセスを使用し得る。様々な実施形態の詳細は、以下に議論される。
【0013】
図1は、一般的なMEMSデバイス10を模式的に示す。このデバイスは、本発明の例示的な実施形態に従って、製造され得る。特に、図示されたMEMSデバイス10は、基板の上にサスペンドされた可動構造(本明細書にては図示されないが、後述の援用される特許に図示)を有するデバイスウェハ11を含む。従来のプロセスも、可動構造を形成するために使用され得る。例えば、構造は、従来の表面マイクロ機械加工(「SMM」)技術によって形成され得る。当業者には知られているように、表面マイクロ機械加工技術は、基板の上に、加算プロセスおよび減算プロセスとを用いて、材料層を構築する。このような場合、MEMS構造は、シリコンウェハのトップ表面12よりわずかに上またはトップ表面12上に形成されるものと考えられ得る。
【0014】
さらなる例として、構造は、絶縁体上シリコンウェハ(「SOIウェハ」、図示せず)のトップウェハから、材料をエッチングして形成され得る。このような場合、MEMS構造は、シリコンウェハのトップ表面12と実質的同一平面またはトップ表面12の下に形成されることが考慮される。当然、他のタイプのプロセスも、MEMS構造を形成するために使用され得る。
【0015】
例示的な実施形態において、デバイスウェハ11は、トップ表面12およびボトム表面14を有することが考慮される。トップ表面12は、平坦な表面およびMEMS構造(例えば、可動質量および支持構造)を含むことが考慮される。一方、ボトム表面14は、基板のボトム表面であり得る。上述のように、MEMS製造プロセスの間、ボトム表面14(また、「最終ボトム表面14」とも称される)は、デバイスウェハ11の当初のボトム表面を薄片化して形成される。換言すれば、図1に模式的に示される最終MEMSデバイス10のボトム表面14は、この上に構造が当初形成されていた基板のボトム表面14全体を実質的に除去することで形成される。薄片化プロセスの詳細は、図2〜図8を参照しながら、以下で議論される。
【0016】
脆弱なMEMS構造を保護するために、MEMSデバイス10は、また、キャップ16を有し、このキャップ16は、ガラスボンディング層を介してデバイスウェハ11に固定されている。例示的な実施形態において、キャップ16は、環境から構造を密閉する(すなわち、キャップ16は、構造をカプセル封入する)。さらなる環境からの保護のために、従来プロセスは、またパッケージ内にMEMSデバイス10全体を実装し得る。しかしながら、上述のように、MEMSデバイス10は、キャップ16を除外し得る。この場合、MEMSデバイス10は、MEMS構造を塵埃や湿気などの環境汚染物質から十分に保護し得るために、パッケージ内にあることが好ましい。それゆえ、キャップ16を有するMEMSデバイス10の議論は、一部の実施形態のみを例示するに過ぎない。
【0017】
MEMSデバイス10は、構造を制御および/またはモニタするためのオンチップ回路網を含み得る。回路網は、コンピュータなどの外部デバイスと相互接続(図示せず)を有し、電気通信する。代替として、MEMSデバイス10は、構造のみを有し得る。このような場合、構造は、上記の目的のためにオフチップ回路網を用いて通信し得る。
【0018】
例示的な実施形態は、MEMSデバイス10を、加速度計またはジャイロスコープのような慣性力センサとしてインプリメントする。加速度計としてインプリメントされるとき、構造は、基板の上にサスペンドされた通常は安定な(可動)質量と、質量の運動を検出するための回路網(図示しないが、前述済み)とを含む。例示的なMEMS加速度計には、マサチューセッツ州NorwoodのAnalog Devices,Inc.によって市販され、特許された加速度計を含む。とりわけ、米国特許第5,939,633号を参照されたい。この特許の開示は、本明細書に、その全体を参考として援用される。
【0019】
ジャイロスコープでインプリメントされるとき、MEMSデバイス10は、基板の上にサスペンドされた振動質量と、質量の運動を作動および検出する回路網(図示しないが、前述済み)とを有する。例示的なMEMSジャイロスコープには、マサチューセッツ州NorwoodのAnalog Devices,Inc.によって市販され、特許されたジャイロスコープを含む。とりわけ、米国特許第6,505,511号を参照されたい。この特許の開示は、本明細書に、その全体を参考として援用される。
【0020】
しかしながら、慣性センサの議論は、例示的なものであり、それゆえ、本発明の様々な実施形態を制約する意図はない。したがって、様々な実施形態の原理は、圧電デバイスのような他のタイプのMEMSデバイスを製造する方法にも適用し得る。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に従って、デバイスウェハ11(また、「MEMSウェハ」とも称される)を薄片化するプロセスを模式的に示す。MEMSウェハは、MEMS構造および/または従来プロセスに従って製造された回路網を有する。プロセスは、ステップ200で開始する。このステップで、加工表面18(図3参照)は、MEMSウェハを固定するために準備される。より特定的には、予備製造ステップとして、単一のシリコンウェハ(すなわち、MEMSウェハ)は、個々のMEMSデバイスのアレイを有するように処理されることが多い。しかしながら、本発明の原理は、また、単一のMEMSデバイス10を有するMEMSウェハにも適用することに、留意すべきである。
【0022】
例示的な実施形態は、ウェハがシングル化される(singulated)前に、ウェハのボトム表面14全体を薄片化する。このようにして、本方法は、MEMSウェハのトップ面が固定され得る表面(すなわち、加工表面18)を準備する。様々な実施形態が、図3に示される加工表面18を使用する。この加工表面は、MEMS構造を受ける複数の開口部20を有する。各MEMSデバイス10は、構造と回路網との双方を含む場合、一部の実施形態では、開口部20を介する構造のみ、配置/カプセル封入し得る。代替として、回路網と構造との双方は、開口部20内にカプセル封入され得る。
【0023】
図4は、加工表面18を製造するために使用され得る例示的なフィルムフレーム22の平面図である。フレーム22は、薄い金属またはプラスチックから作成され、一般的に、周囲を有する円形状の開口部を規定する。図5に示されるように、薄いプラスチックフィルム24が、引き続いて、フレーム22に実装される。以下で議論されるように、フィルム24は、既に議論されたMEMSの製造/後述される薄膜化プロセスの全体を通じて、MEMSウェハ用のキャリアとして機能する。とりわけ、フィルム24は、約5ミルの厚さを有する「Mylar」フィルムであり得る。例示的な実施形態において、フィルム24は、一方の側の上に接着剤をコーティングされる。こうして、フィルム24を、フィルムフレーム22の表面に、および、MEMSウェハに接着することが可能になる。
【0024】
フィルム24を追加すると、フィルムフレーム22は、フィルムキャリアステーション内のパレット上に置かれ得る。フィルムキャリアステーションは、フィルム24のローラを有する。このローラは、フィルム24が、フィルムフレーム22上に容易に巻かれるように置かれる。したがって、フィルム24は、ローラから回転して外れ、フィルムフレーム22の表面上に平坦に置かれる。ゴムのローリングピンが、フィルム24に圧力を加えるために使用され、こうして、フィルム24が、フィルムフレーム表面との良好な接触および接着を強制的に行い得る。次いで、ナイフで、フィルムフレーム22の周辺の周りを切断し、余分なフィルム24を除去する。フィルム24を有するフィルムフレーム22は、「フィルムフレームアセンブリ26」であると考えられる。
【0025】
アセンブリが形成されると、フィルムフレームアセンブリ26は、穴パンチステーションに移動される。ここで、アセンブリは、フィルムフレーム22の中の開口部に一般的に対応する開口部を有するパレット上に置かれる。パンチステーションは、図3に示されるように、フィルム24の中に穴/開口部20を開けるためのパンチアセンブリを備える。パンチステーションは、ウェハ上の微細構造の相対的位置に対応してプログラマブルな所定のパターンで、フィルム24の中に穴/開口部20を開けるようにプログラムされる。パンチは、個々の微細構造よりもわずかに大きいサイズの穴/開口部20を開けるように選択される。
【0026】
加工表面18が準備されたら、この方法は、ステップ202に続く。ここで、MEMSウェハ(すなわち、事前形成されたMEMS構造)は、加工表面18に固定される。このステップにおいて、穴/開口部20が微細構造と合致するように、ウェハを穴/開口部20と位置合わせすることが重要である。この目的のために、フィルムフレームアセンブリ26は、フィルムキャリアステーションに戻され、フィルム28の第二の層(図7参照)が、好ましくは3ミルの厚さである「Mylar」フィルムが、フィルムの第一の層に接着される。フィルムの第二の層は、開口部20を有さないので、それゆえ、開口部20の一端を密封する。代替として、フィルムの第二の層は、ウェハが、フィルムフレームアセンブリ26に実装された後、追加され得る。
【0027】
MEMSウェハは、次いで、フィルムの第一の層の反対側(すなわち、開口部20が依然露出されている側)に固定される。一部の場合、ウェハ上の各MEMSデバイス10のMEMS構造は、MEMSウェハのトップ表面から突出し得、こうして、開口部20の中に拡がり得る。他の実施形態において、MEMS構造は、MEMSウェハのトップ表面12と実質的に同一面またはトップ表面12の下であり得る。
【0028】
より具体的には、このステップを実行するために、MEMSウェハは、MEMS構造を有する側が上を向くようにして、精密位置合わせ・実装ステーションのチャック上に置かれ得る。チャック上に配置された一対のカメラが、チャック上に置かれたウェハの異なるエリアの画像を取得する。これらの画像は、一対のビデオ画面または単一モニタ上の分割画面に転送される。オペレータが、ビデオ画像を観察して、所望の位置にウェハを位置合わせする。例えば、ビデオモニタは、位置合わせ目的のために使用され得る十字線を有し得る。次いで、フィルムフレームアセンブリ26は、フィルムフレームアセンブリ26の一方の表面が下を向くようにして、チャックの上のスロット内に挿入される。この実装によって、開口部20が依然露出されているフィルムの第一の層の側は、MEMSウェハのMEMS側に対して下向きとなる。
【0029】
フィルムフレームアセンブリ26が、機械の中に挿入されたとき、カメラは、フィルムの中の開口部20の画像を取得する。次いで、オペレータが、開口部20の新たな画像を観察して、MEMSウェハに対する適切な向きに開口部を位置合わせする。しかしながら、本発明の別の実施形態において、位置合わせステーションは、コンピュータ制御され得、自動的にフィルムフレームアセンブリ26の開口部20とMEMSウェハとの位置合わせを行うパターン認識ソフトウェアを含み得る。
【0030】
ローリングピンは、例示的には、フィルムをウェハに接着するために使用されない。なぜなら、ローリングピンの動作は、位置合わせを妨げ、微細構造にダメージを与え得るからである。したがって、本発明の一部の実施形態において、位置合わせ・実装ステーションは、このステーションが、密封および真空引きによって、真空を形成し得るように設計される。次いで、ウェハを含むチャックは、フィルムがMEMSウェハと容易に接着できるように、フィルムと接触するように搬送され得る。実際、一部の実施形態において、真空引き、および、フィルムとMEMSウェハとの間の接触の後に、チャンバは、大気圧に、再び加圧され得る。こうして、フィルムとウェハとの間に圧縮力を与える。このような圧縮力は、MEMSウェハのMEMS側とフィルムとの間の適切な接着を確保するはずである。
【0031】
例示的な実施形態において、MEMSウェハ輪郭の外側に、余分な開口部20はない。このような余分な開口部20が、ウェハエッジ部にあると、薄片化ステップにおいて、何らかの事情で、ウェハとテープとの間にシリコンスラリの浸透を生じ得る。このような浸透は、ウェハのクラックを招き得るので、望ましくない。
【0032】
ステップ200、202に関連するさらなる情報および本明細書で議論される様々な他のプロセスについては、マサチューセッツ州NorwoodのAnalog Devices,Inc.に付与された米国特許第5,362,681号(発明の名称:「Method For Separating Circuit Dies From a Wafer」、発明者:Carl M.Roberts、Lewis H.LongおよびPaul A.Ruggerio)を参照されたい。また、米国特許出願公開第2002/0096743号明細書(発明の名称:「Method and Device for Protecting Micro Electromechanical Systems Structures During Dicing of a Wafer」、発明者:Timothy R.Spooner、Kieran P.Harney、David S.CourageおよびJohn R.Martin)も参照されたい。上記の特許および特許出願公開の開示は、本明細書に、その全体を参考として援用する。
【0033】
MEMSウェハが、加工ウェハ18に固定された後、プロセスは、ステップ204に続く。ここで、その初期ボトム表面は、実質的に全体を除去され、最終の実質的に平面状のボトム表面14を製造する。このステップの結果、MEMSウェハの全体のプロファイルは、より薄くなる。この目的のため、プロセスのこの時点で、MEMSウェハのトップ表面12は、加工表面18にしっかりと固定される。次いで、標準プロセスが、MEMSウェハのボトム表面に適用され、最終ボトム表面14を製造し得る。一部の実施形態において、機械的薄片化には、ダイヤモンド研削砥石のような従来の裏面研削装置が適用され得る。
【0034】
他の実施形態において、初期ボトム表面は、化学エッチングプロセスのような従来技術で化学的に除去され得る。このプロセスで使用され得る例示的なケミカルには、水酸化カリウムまたは水酸化テトラメチルアンモニウムが含まれる。
【0035】
このような除去プロセス(すなわち、機械的プロセスおよび化学的プロセスの一方または双方)が用いられた場合、確実に、MEMS構造がフィルムフレームアセンブリ26中の開口部20内で十分に密封されることが重要である。このような密封によって、MEMSウェハ上の脆弱なMEMS構造にデブリがダメージを与えるのを防止しなくてはならない。したがって、密封は、シリコンダストの侵入(例えば、機械的薄片化プロセスを使用のとき)、ケミカルの浸透(例えば、化学的プロセスを使用のとき)、あるいは、その双方を防止しなくてはならない。当然、上述のように、開口部20内にMEMS構造を実装すると、脆弱なMEMS構造が、薄片化プロセスの間に破壊されないことが確実になる。
【0036】
初期ボトム表面が除去されると、プロセスは、206に進む。ここで、薄片化後プロセスが実行され得る。とりわけ、このような薄片化後プロセスには、表面の不完全性を除去するための最終ボトム表面14の研磨、および、複数の個々のMEMSデバイスを製造するためのウェハダイシングを含み得る。追加として、引き続くステップの間のハンドリング時に、ウェハ/個々のMEMSデバイスをさらに保護するために、ソーテープ(saw tape)が、最終ボトム表面14に接着され得る。フィルム24およびアセンブリ26も、また、従来プロセスによって除去され得る。例えば、テープまたはクリップは、フィルムの層を剥がし取るために使用され得る。これらの薄片化後のステップの順番は、変動し得ることに留意されるべきである。この結果得られる各MEMSデバイス10は、次いで、パッケージアセンブリ内に、ボード上に、あるいは、他の何らかの従来方式で実装され得る。
【0037】
上記の様々な実施形態は、キャップ付けの前に、MEMSウェハを薄片化するが、その理由は、とりわけ、MEMSウェハは、ウェハの湾曲から生じるボンドライン(bond−line)ストレスを低減し得るからである。この考え方にも関わらず、他の実施形態では、キャップウェハが、MEMSウェハに固定された後に、MEMSウェハを薄片化し得る。図6は、キャップウェハに結合されたMEMSウェハを薄片化するための一つのプロセスを示す。他にも利点があるが、キャップ16は、薄片化ステップの間、MEMS構造をケミカルおよび/またはシリコンのデブリから、さらに保護し得る。
【0038】
図6は、本発明の例示的な実施形態に従うキャップ付きウェハの薄片化/製造の第一の例示的プロセスを示す。このプロセスは、ステップ600で開始する。ここで、加工表面18が準備される。加工表面18は、例示的には、図2のステップ200に関して上記で議論したのと実質的に同様に準備される。ステップ200の前、最中または後に、キャップウェハは、従来プロセスに従って、(キャップウェハが、MEMSウェハに固定された後)ダイシングされ得る(ステップ202)。しかしながら、ダイシングのステップは、下に横たわるMEMSウェハをダイシングしないで、キャップウェハのみをダイシングする。その結果、キャップウェハは、効率的に、複数の個々のキャップ16をMEMSウェハ上に形成する。キャップに関するさらに詳しい情報は、米国特許出願公開第2003/0075794号を参照されたい。この特許出願の開示は、本明細書に、その全体を参考として援用する。
【0039】
MEMSウェハは、次いで、図2のステップ202と関連して上記で議論したのと同様の方法で、加工表面18に固定される(ステップ604)。そのために、図7で示すように、キャップ16のそれぞれは、フィルムフレームアセンブリ26の1つの開口部20内にフィットする。より特定的には、図7は、MEMSウェハが加工表面18に固定された後のMEMSウェハの断面図を模式的に示す。示されるように、キャップ16は、穴開きフィルムによって形成された開口部20内にフィットする。トップフィルム28と穴開きフィルム24は、一緒になって、キャップ16を密封し、キャップおよびその下に横たわるMEMS構造をデブリから保護する。他の実施形態と同様に、MEMSウェハは、構造と回路網との双方を含む場合、回路網は、開口部20内部、または、そのフィルムの下にあり得る。いずれの場合も、回路網は、環境デブリから保護されなくてはならない。
【0040】
このプロセスは、図2のプロセスと関連して以上で述べたのと同様に、初期ボトム表面の除去(ステップ606)と、薄片化後プロセスの実行(ステップ608)によって、終了する。したがって、記載の薄片化後プロセスは、MEMS製造プロセスを完了するために、行われ得る。
【0041】
発明者らは、図6のプロセスのテストを行った。そのために、半自動モードの裏面研削装置(Okamoto GNX−200)が、MEMSウェハを所望の厚さに研削するために使用された。2枚の6インチウェハが、それぞれ13ミルおよび19ミル裏面研削するために準備された。このプロセスにおいて、6インチウェハに対する初期厚さと最終厚さは、調整された。具体的には、このようなウェハを使用する標準的な厚さは、約33ミル(すなわち、28ミル+5ミルのテープ/フィルム)である。これは、キャップ付きウェハに対応するために、48ミル(すなわち、28ミル+キャップ16に対して15ミル+フィルムに対して5ミル)に変更された。ウェハは、成功裏に、裏面研削され、所望の最終厚さとなった。
【0042】
図8は、本発明の例示的な実施形態に従うキャップ付きウェハの薄片化の別のプロセスを示す。このプロセスは、ステップ800で開始する。ここで、上記で議論したのと同様に、加工表面18が準備される。しかしながら、この場合、開口部20を形成するために、フィルムに穴を開ける必要はない。次いで、キャップウェハは、加工ウェハに固定され(ステップ802)、MEMSウェハの初期ボトム表面は、上記で議論したのと同様な方法で除去される(ステップ804)。MEMSウェハが薄片化された後に、キャップウェハは、従来の方法でダイシングされる(ステップ806)。これは、加工表面18との接触部からキャップウェハを除去することと、シングル化プロセスを実行可能な切断装置(saw device)上にMEMSウェハを置くことをともなう。次いで、薄片化後プロセスがなされ(ステップ808)、こうして、プロセスが完了する。
【0043】
したがって、上述のように、従来の知見に反して、事前形成されたMEMS構造を有するMEMSウェハは、MEMSサイズを縮小する継続的なニーズに適応するように薄片化され得る。このような例示的プロセスは、脆弱で下に横たわるMEMS構造を適切に保護し、こうして、全体のプロセスを容易にする。
【0044】
上述の議論は本発明の様々な例示的な実施形態を開示しているが、当業者は、本発明の真なる範囲から逸脱することなく、本発明の一部の利点を達成する様々な修正をなし得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従って製造され得るMEMSデバイスを模式的に示す。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従って、MEMSウェハを薄片化する一般的なプロセスを示す。
【図3】図3は、加工表面の平面図を模式的に示す。この加工表面は、薄片化プロセスの間、MEMSデバイスを有するウェハに固定され得る。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施形態によって使用され得、その一部が図3に示される加工表面を形成するフィルムフレームの平面図を模式的に示す。
【図5】図5は、MEMSデバイスを固定するフィルム層を有する図4のフィルムフレームの平面図を模式的に示す。
【図6】図6は、ダイシングされたキャップウェハを有するMEMSウェハを薄片化するより具体的なプロセスを示す。
【図7】図7は、図5に示されるような穴開きフィルムを有するフレーム上にダイシングされたキャップウェハを有するMEMSウェハの断面図を模式的に示す。
【図8】図8は、ダイシングされていないキャップウェハを有するMEMSウェハを薄片化するより具体的なプロセスを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期ボトム側を有するデバイスウェハを提供することと、
該デバイスウェハ上に、可動構造を形成することと、
該可動構造が、該デバイスウェハ上に形成された後、該デバイスウェハの該初期ボトム側全体を実質的に除去することであって、除去することは、最終ボトム側を形成することであることと
を包含する、MEMSデバイスの製造方法。
【請求項2】
除去することは、前記初期ボトム側を裏面研削することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
除去することは、ケミカルを使用し、前記初期ボトム側を化学エッチングすることを含み、前記構造は、該ケミカルから密封される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスウェハは、少なくとも1つのキャップを有するトップ側を有し、該キャップは、該トップ側上に固定され、該キャップは、前記構造を実質的に密封する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
除去することは、前記デバイスウェハを、クリアランスホールを有する保護フィルムに固定することを含み、前記構造は、該クリアランスホール内に密封される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
キャップウェハを前記デバイスウェハに結合することをさらに含み、該キャップウェハは、前記構造をカプセル封入する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記初期ボトム側を除去する前に、前記キャップウェハをシングル化することをさらに包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記初期ボトム側を除去した後に、前記キャップウェハをシングル化することをさらに包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
初期ボトム側および可動構造を有するデバイスウェハを提供することと、
該デバイスウェハの該初期ボトム側全体を実質的に除去して、最終ボトム側を形成することであって、
該可動構造の動作は、該デバイスウェハの該初期ボトム側全体を実質的に除去することによって、実質的に影響を受けない、ことと
を包含する、MEMSデバイスの製造方法。
【請求項10】
除去することは、前記初期ボトム側を裏面研削することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
除去することは、ケミカルを使用し、前記初期ボトム側を化学エッチングすることを含み、前記構造は、該ケミカルから密封される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスウェハは、少なくとも1つのキャップを有するトップ側を有し、該キャップは、該トップ側上に固定され、前記構造を実質的に密封する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
除去することは、前記デバイスウェハを、クリアランスホールを有する保護フィルムに固定することを含み、前記構造は、該クリアランスホール内に密封される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
キャップウェハを前記デバイスウェハに結合することをさらに含み、該キャップウェハは、前記構造をカプセル封入する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記初期ボトム側を除去する前に、前記キャップウェハをシングル化することをさらに包含する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記初期ボトム側を除去した後に、前記キャップウェハをシングル化することをさらに包含する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
初期ボトム側および可動構造を有するデバイスウェハを提供することと、
該デバイスウェハを、クリアランスホールを有する保護フィルムに固定することであって、該可動構造は、該クリアランスホール内に密封される、ことと、
該デバイスウェハが、該保護フィルムに固定された後に、該デバイスウェハの該初期ボトム側全体を実質的に除去して、最終ボトム側を形成することであって、除去することは、該初期ボトム側の裏面研削および化学エッチングの少なくとも一方を含む、ことと
を包含する、MEMSデバイスの製造方法。
【請求項18】
前記フィルムを除去することと、
キャップウェハを前記デバイスウェハに結合することと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記初期ボトム側を除去する前に、前記キャップウェハをシングル化することをさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記初期ボトム側を除去した後に、前記キャップウェハをシングル化することをさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法に従って製造される、MEMSデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−508110(P2008−508110A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524796(P2007−524796)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/018898
【国際公開番号】WO2006/022957
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(505274818)アナログ デバイシス, インコーポレイテッド (40)
【Fターム(参考)】