説明

N−ヘテロ環カルベン配位子を有する固定化可能ルテニウム触媒

本発明は、NHC配位子の2つの窒素原子の1つにSiR’(OR’)3−nを有する基を含む、一般式(I)および(II)のN−ヘテロ環カルベン配位子を有する、固定化可能ルテニウム触媒に関する。本発明は、これらの触媒の、特にオレフィンメタセシスにおけるC−C結合反応の均一触媒としての使用にも関する。さらに、本発明は、N−へテロ環カルベン配位子を有する、類似の固定化ルテニウム触媒の製造のための、出発物質としての化合物の使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)および(II)
【化1】

NHC配位子の2つの窒素原子の1つにSiR’(OR’)3−nを有する基を含有する、N−ヘテロ環カルベン配位子を含有する固定化可能ルテニウム触媒に関し、およびC−Cカップリング反応、特にオレフィンメタセシスにおける均一触媒としてのその使用に関する。さらに、本発明は、N−へテロ環カルベン配位子を含有する、類似の固定化ルテニウム触媒の製造のための、出発物質としての化合物の使用に関する。
【0002】
1.先行技術および発明の目的
N−ヘテロ環カルベン配位子を含有するルテニウム触媒の例は、例えば、WO 00/15339、WO 00/71554、WO 99/51344、EP 0721953、および例えば、Chem. Eur. J. 2001, 7, 3236; J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 2674; Organic Letters 1999, 1(6), 953 およびJ. Organomet. Chem. 2000, 606, 49に記載されている。記載された化合物において、2つの窒素原子上の置換基は、支持体にルテニウム触媒を固定化できない、純粋な炭化水素基である;それらは均一触媒として用いられる。反応生成物からの不均一触媒の分離は費用がかかり、複雑な工程であるため、触媒工程において支持体に固定化する不均一触媒を用いることは非常に有益である。これらの固定化触媒は、反応生成物から、濾過により非常に簡便に分離することができる。特に、触媒が非常に高価であり、従って次の触媒工程にリサイクルおよび再使用される場合、または触媒工程の反応生成物が、錯化合物中に存在する遷移金属で汚染されない場合には、非常に利益がある。このことは、特に医薬用途のための生成物に当てはまる。N−へテロ環配位子を含有するルテニウム触媒の、ポリスチレンなどの有機支持体上への固定化は、Angew. Chem. 2000, 112, 4062に記載されている。しかしながら、有機支持体材料は、非常に頑強な無機支持体材料と比較して多くの短所を有し、例えば、用いられる媒体に依存して、相当な膨張または収縮であり、それは予測できないほどの態様で触媒活性を低下させる。これらの触媒の無機酸化物への固定化は、BuchmeiserらによるAngew. Chem. 2000, 112, 4062、Designed Monomers and Polymers 2002, 5(2,3), 325およびAdv. Synth. Catal. 2002, 344, 712に記載されている。固定化方法は非常に複雑であり、触媒は、有機コポリマーにより無機酸化物から分離され、即ち、最終的には無機支持体に固定化される。Hoveydaらは、Angew. Chem. 2001, 113, 4381において、N−へテロ環カルベン配位子を含有するルテニウム触媒の、より小さいリンカーを含有する無機材料への固定化を報告している。しかしながら、ここでの触媒は、ベンジリデン配位子を主体としている。しかしながら、触媒的メタセシス反応中では、ベンジリデン配位子とルテニウム中心(center)との結合が壊れるため、触媒の支持体からの分離を引き起こし、反応溶液へと移動してしまう。このことは、支持体上の触媒の相当な損失(相当な触媒浸出)をもたらし、それは十分な変換を有する再使用を不可能なものにする。
【0003】
本発明の目的は、無機酸化物に固定化でき、N−へテロ環カルベン配位子を含有するルテニウム触媒を利用することであった。これらの化合物を単純な方法で製造し、無機支持体に共有結合し、適用反応のために支持体表面で十分な量が使用できるべきである。それらが、表面に強固に固定(anchore)されるべきであり、触媒浸出を示さないようにすべきである。
【0004】
2.発明の説明
目的は、一般式(I)および(II)の化合物により達成され、
【化2】

式中、
Rは、全部で30個以下の炭素原子を有するA、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、またはAHet、またはAHetAであり、ここで
Aは、直鎖状、分枝状もしくは飽和C−C20−アルキル基、シクロアルキル基、または全部で4〜30個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基を経て結合したシクロアルキル基であり、ここで、アルキル基およびシクロアルキル基の、1つのCHもしくはCH基は、N、NH、NA、Oおよび/またはSで置換されてよく、およびH原子はOA、NAおよび/またはPAで置換されてよく、
Arは、単置換もしくは多置換の、または無置換の、全部で20個以下の炭素原子を有する、フェニル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリルであり、ここで置換基は、A、Hal、OA、NA、PA、COOA、COA、CN、CONHA、NO、=NH、または=Oであることができ、
Hetは、単環式または二環式で、飽和もしくは不飽和もしくは芳香族の1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有するヘテロ環であり、それは無置換かまたは、Hal、および/またはA、OA、COOA、COA、CN、CONHA、NA、PA、NO、=NHまたは=Oで、単置換、二置換、もしくは三置換されることができ、ここで
【0005】
Halは、F、Cl、Br、またはIであり、
R’は、分子内の位置とは独立して、1〜12個の炭素原子を有するAまたはArであり、
R3は、6〜18個の炭素原子を有する、A、Ar、AAr、AArA、Het、AHet、もしくはAHetAであり、ここで、ArまたはHetに結合しないA基は、無置換または1つまたは2つ以上のZ基で置換されたアルキル、またはシクロアルキルであり、およびArは、無置換かまたは、Z基で単置換もしくは多置換された芳香族炭化水素であり、およびHetは、飽和、不飽和、または芳香族のヘテロ環であり、それはZ基で単置換もしくは多置換されてよく、および
【0006】
R1およびR2は、互いに独立して、H、Z、Hal、または1〜18個の炭素原子を有するA、Ar、AAr、Het、またはAHetであり、ここで、ArもしくはHetに結合しないA基は、無置換かまたは1つまたは2つ以上のZ基で置換されたアルキルまたはシクロアルキルであり、およびArは、無置換かまたはZ基で単置換もしくは多置換された芳香族炭化水素であり、
R4は、1〜30個の炭素原子を有するA、Ar、またはAArであり、
R5およびR6は、互いに独立して、H、A、またはArであり、ここで、AまたはArのH原子は、30個以下の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルキニルで、置換されてよく、ここで
Halは、F、Cl、Br、またはIであり、
Zは、R1、R2、およびR3の位置に独立して、N、P、OまたはS原子を含有する官能基、またはAもしくはArであり、および
Xは、それぞれ同一または異なっている、アニオン性配位子であり、それぞれRuに配位結合を形成し、および
nは、0、1、または2である。
【0007】
本発明はさらに、Z、X、およびnだけでなく、R、R’、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6が請求項2〜6に定義した通りである、一般式(I)および(II)の化合物にも関する。
【0008】
特に、本発明の目的は、以下の意味を有する一般式(I)および(II)の化合物により達成される。
【0009】
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0010】
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0011】
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0012】
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0013】
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0014】
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0015】
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0016】
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0017】
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0018】
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0019】
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0020】
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0021】
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0022】
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0023】
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0024】
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0025】
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0026】
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0027】
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0028】
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0029】
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0030】
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0031】
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
【0032】
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh。
【0033】
他の例は、P(Cy)基の代わりにPPh基を含有する上記した全ての化合物である。これらのうち、他の例は、同様に、2つのCl配位子の代わりに2つのBr配位子を含有する全ての化合物である。これらのうち、他の例は、同様に、=CHPhの代わりに=C(H)C=CMeを含有する全ての化合物である。
【0034】
特に、本発明は、一般式(I)および(II)の化合物の製造方法に関し、それは、一般式(III)
【化3】

で表されるアルコキシシリル−官能基化されたイミダゾリウム塩、または一般式(IV)
【化4】

式中、R、R’、R1、R2、およびR3は、請求項1〜7のいずれかで与えられる意味を採用することができ、およびXは、F、Cl、Br、およびIからなる群からのアニオンであることができる、
で表されるアルコキシシリル−官能基化された4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩を、
【0035】
一般式(X)
[P(R4)Ru=CR5R6 (X)
式中、R4、R5、R6、およびXは定義した通りである
で表される化合物の存在下、無水で不活性の非プロトン性有機溶媒中、金属アルコキシド(MOR)、金属水素化物(MH)、金属アミド(MNH)、および/またはアンモニアからなる群から選択される、脱プロトン化できる塩基と反応させることにより、それぞれ一般式(I)または(II)
【化5】

で表される化合物に直接変換するか、または、
【0036】
一般式(III)または(IV)の化合物を、所望により事前に精製した後、無水で不活性の非プロトン性有機溶媒中、金属アルコキシド(MOR)、金属水素化物(MH)、金属アミド(MNH)、および/またはアンモニアからなる群から選択される塩基と反応させ、一般式(V)または(VI)
【化6】

で表されるカルベンをそれぞれ与え、その後に、一般式(X)
[P(R4)Ru=CR5R6 (X)
で表される化合物と、無水で不活性な非プロトン性有機溶媒中、保護ガス雰囲気下で反応させ、それぞれ一般式(I)または(II)の化合物を与えることを特徴とする、
前記製造方法に関する。
【0037】
一般式(III)および(IV)の化合物、用いられる塩基、および一般式(X)のルテニウム化合物は、この工程において、1:1:1〜1:1.5:1.5の化学量論比の範囲で用いられ、用いられる塩基のルテニウム化合物に対する比がそれぞれ独立である。
【0038】
一般式(III)および(IV)の化合物の、一般式(I)および(II)のルテニウム化合物へのそれぞれの変換のためには、用いられる塩基が、好ましくは、カリウムt−ブトキシドKOブトキシド、または水素化カリウムKHである。この反応のために用いられる溶媒は、本発明に従って、炭化水素またはエーテルであることができる。このためには、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される溶媒またはその混合物が好ましくは用いられる。本発明に従って、一般式(III)および(IV)の化合物と一般式(X)の化合物との反応は、30分から2日間、−78〜+150℃の温度範囲で行われ、用いられる保護ガスは窒素またはアルゴンである。
【0039】
それぞれ一般式(V)および(VI)のカルベンからの、一般式(I)および(II)のルテニウム化合物の製造のための本発明の代替的方法は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される溶媒中で行われ、一般式(V)および(VI)のカルベンは、一般式(X)のルテニウム化合物に対する化学量論比1:1〜1:1.5の範囲で用いられ、反応は、30分〜2日かけて、−78〜+100℃の温度範囲で行われる。
【0040】
本発明は、一般式(I)および(II)の化合物の、有機合成および有機金属合成における触媒としての使用に関する。本発明では、一般式(I)および(II)の化合物は、有機合成および有機金属合成に対しての固定化触媒の製造のための出発物質として用いられる。特に、一般式(I)および(II)の化合物は、C−Cカップリング反応、水素化、異性化、シリル化、およびヒドロホルミル化における触媒として、または交差メタセシス(CM)、閉環メタセシス(RCM)、開環メタセシス重合(ROMP)、アクリルジエンメタセシス重合(ADMET)、およびエン−インメタセシスなどのオレフィンメタセシス反応における触媒として用いられる。
【0041】
3.発明の詳細な説明
本発明の一般式(I)および(II)の化合物は、ルテニウム原子が酸化状態2であり、中性のN−へテロ環カルベン配位子、中性のホスフィン配位子、中性のアルキリデン配位子、および2つの一価アニオンが配位子として結合したルテニウム化合物である。N−へテロ環カルベン配位子は、親構造(parent structure)としてイミダゾールまたは4,5−ジヒドロイミダゾールから誘導される、1,3−二置換イミダゾール−2−イリデンおよび1,3−二置換イミダゾリン−2−イリデンである。配位子の双方のタイプの、ヘテロ環基の2つの窒素原子の間の炭素原子は、自由電子対によりルテニウム原子に配位結合するカルベン炭素原子である。アルキリデン配位子は、ルテニウム中心に結合するカルベン炭素をも含有する。R−SiR’(OR’)3−n基は、NHC配位子の2つの窒素原子の少なくとも1つと結合し、ここでSi(OR’)3−n部は、表面に活性なOH基を有する金属酸化物と次に反応することができる。
【0042】
一般式(I)および(II)の化合物は、基本的に、2つの異なる方法で製造することができ、以下、方法Aおよび方法Bと称する。
【0043】
一般式(I)および(II)の化合物の製造は、無水で不活性の非プロトン性有機溶媒中、それぞれ一般式(III)および(IV)と、(I)および(II)の脱プロトン化を可能にする、例えば、金属アルコキシド(MOR)、金属水素化物(MH)、金属アミド(MNH)、またはアンモニアなどの塩基との反応式Eq.1およびEq.2による方法Aにより行うことができる。副生成物を分離した後、一般式(I)および(II)の化合物が得られる。
【0044】
方法A
【化7】

【0045】
一般式(I)および(II)の化合物の製造は、無水で不活性の非プロトン性有機溶媒中、それぞれ一般式(V)および(VI)と[P(R4)Ru=CR5R6との反応式Eq.3およびEq.4による方法Bにより、同じように行うことができる。副生成物を分離した後、一般式(I)および(II)の化合物が得られる。
【0046】
方法B
【化8】

【0047】
方法Bの場合において、反応は保護ガス雰囲気下でも行われる。ここでも、窒素およびアルゴンが保護ガスとして好ましい。該反応を行うために、出発物質を、無水の非プロトン性有機溶媒中に溶解されるか、懸濁させることができる。
【0048】
一般式(I)および(II)の化合物は、有機合成および有機金属合成の触媒として用いることができる。それらは、さらに固定化触媒の製造のための出発物質として役立ち、それも有機合成および有機金属合成に用いることができる。特に、それらは、C−Cカップリング反応、水素化、およびヒドロホルミル化の触媒として用いることができる。
【0049】
先行技術と比較しての、一般式(I)および(II)の化合物の利点は、存在するSiR’(OR’)3−n基を通じて支持体に共有結合として固定化することができることである。従って、それらは、用途反応において、反応溶液または反応生成物から非常に簡便に分離することができる。一般式(I)および(II)の化合物は、従って、触媒反応の触媒として、リサイクルおよび再使用することができる。このことは、用途反応、特に高価な遷移金属触媒を用いる触媒反応の工程コストの節約をもたらす。固定化することができるSiR’(OR’)3−n基が、N−ヘテロ環カルベン配位子に結合し、N−へテロ環は、P(R4)基よりも強くルテニウム原子に結合するため、触媒浸出のない固定化ルテニウム触媒を初めて入手できることが確実になる。触媒反応の間、比較的弱く結合したホスフィン配位子は、触媒的に活性なルテニウム中心から溶液に解離し、触媒的に活性な種は触媒作用の間、支持体に結合したままであり、従って、浸出による触媒損失は生じ得ない。一般式(I)および(II)の化合物は、非常に簡便、および定量的収率で入手できる。
【0050】
SiR’(OR’)3−n部位のR’は、nが0、1、または2であることができる、好ましくは0または1、非常に好ましくは0である、炭化水素基である。この炭化水素基R’は、分子内の位置に独立して異なる意味を採用することができ、直鎖状、非分枝状(直線)、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和、環状(A)、芳香族(Ar)、またはアルカリ芳香族(AArまたはAArA)であり、任意に単置換もしくは多置換されている。
AおよびArは上記意味の全てを採用することができる。
【0051】
R’は、好ましくは、1〜12個の炭素原子を有する、直鎖状、非分枝状(直線状)、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和、または環状飽和もしくは一価不飽和もしくは多価不飽和のアルキル基である。R’は、特に好ましくは、1〜7個の炭素原子を有する、直鎖状または分枝状飽和アルキル基、すなわち、アルキル基Aの付属基は以下に詳細に定義する。
【0052】
従って、R’は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−、もしくは2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−もしくは4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−、もしくは3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−もしくは2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−、もしくは1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、またはドデシルの意味を採用することができる。
【0053】
R’は、非常に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルからなる群からのC−C−アルキル基である。
しかしながら、SiR’(OR’)3−nにおいて、R’は代替的に、
アルケニル
ビニル、プロペニル、1,2−プロパジエニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、1,2−、1,4−、または1,3−ペンタジエニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、ヘキセニル、1,5−ヘキサジエニル、2−メチル−1,3−ブタジエニル、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル、またはイソペンテニル、
シクロアルケニル
シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、またはメチルシクロペンタジエニル
および
アルキニル
エチニル、1,2−プロピニル、2−ブチニル、1,3−ブタジイニル(butadiynyl)、ペンチニル、またはヘキシニル
であることができる。
【0054】
SiR’(OR’)3−n基のアルコキシ基の数が大きくなればなる程、従って、nが小さくなればなる程、固定化の後の、金属酸化物と一般式(I)および(II)の化合物との間の共有結合の数は大きくなる。
SiR’(OR’)3−n基は、炭化水素基Rを経て、ヘテロ環基の窒素原子に結合する。
【0055】
炭化水素基Rは、好ましくは、1〜30個の炭素原子を有する基である。この炭化水素基は、直鎖状、非分枝状(直線状)、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和、環状(A)、もしくは芳香族(Ar)、ヘテロ環もしくはヘテロ芳香族(Het)であることができ、任意に単置換もしくは多置換される。
【0056】
炭化水素基Rは、A、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、A−Het、またはA−Het−A基であることができ、ここで、A、Ar、およびHet基のそれぞれは、以下の意味を採用することができる。Rは、好ましくは、20個以下の炭素原子を有する、A、Ar、A−Ar、またはA−Ar−A基である。
【0057】
Aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の炭素原子、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を有する、直鎖状、非分枝状(直線状)、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和、または環状のアルキル基Aである。
【0058】
Aは、好ましくは、直鎖状または分枝状の、飽和C−C12−アルキル基、または3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、または1つもしくは2つのアルキル基を経て結合したC−C20−シクロアルキルである。
アルキレンは、Aに対して示した意味と同じ意味を有し、但し、アルキルから隣に結合する最も近いものまでに、さらなる結合が存在する。
【0059】
Aは、例えば、メチレン(−CH−)、エチレン(−C−)、プロピレン(−C−)、イソプロピレン(−C−)、ブチレン(−C−)、イソブチレン(−C−)、sec−ブチレン(−C−)、およびtert−ブチレン(−C−)からなる群、さらにはペンチレン(−C10−)、1−、2−もしくは3−メチルブチレン(−C10−)、1,1−、1,2−、もしくは2,2−ジメチルプロピレン(−C10−)、1−エチルプロピレン(−C10−)、ヘキシレン(−C12−)、1−、2−、3−、もしくは4−メチルペンチレン(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−、もしくは3,3−ジメチルブチレン(−C12−)、1−もしくは2−エチルブチレン(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピレン(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピレン(−C12−)、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピレン(−C12−)、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、またはドデシレンから選択されるアルキレン基である。
【0060】
Aは、3〜30個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、好ましくは、C〜C−シクロアルキレンであることができる。ここで、シクロアルキルは、飽和または不飽和であることができ、任意に分子内の1つまたは2つ以上のアルキル基を経てイミダゾール窒素およびSiR’(OR’)3−n基に結合する。1つまたは2つ以上のH原子は、シクロアルキレン基の他の置換基により置換されることもあり得る。
シクロアルキルは、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、3−メンチルまたはカンフル−10−イル(二環式テルペン)、デカリンまたはビシクロヘプタンであり、ここでこれらの基は、分子内の1つまたは2つのアルキル基を経て、イミダゾール窒素およびSiR’(OR’)3−n基に結合することができる。
この場合、シクロアルキルは、好ましくは、1,2−シクロプロピル、1,2−もしくは1,3−シクロブチル、1,2−もしくは1,3−シクロペンチル、または1,2−、1,3−、もしくは1,4−シクロヘキシル、さらには、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘプチルである。しかしながら、前記基は、R3のように、第2級イミダゾール窒素に、置換もしくは無置換形態で結合され得る。
【0061】
Aは、2〜20個の炭素原子を有する、不飽和アルケニルまたはアルキニル基でもあることができ、それはイミダゾール窒素またはイミダゾール炭素、およびSiR’(OR’)3−n基に結合することができる。
アルケニル基は、直鎖状、分枝状もしくは環状C−C30−アルケニル基、、好ましくは、直鎖状、分枝状もしくは環状C−C−アルケニル基、特に好ましくは、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルからなる群からの直鎖状もしくは分枝状のC−C−アルケニル基であることができる。
シクロアルケニル基は、直鎖状もしくは分枝状C−C30−シクロアルケニル基、好ましくは、C−C−シクロアルケニル基、特に好ましくは、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニル、およびメチルシクロペンタジエニルからなる群からのC−C−シクロアルケニル基であることができる。
【0062】
アルキニル基は、直鎖状もしくは分枝状C−C30−アルキニル基、好ましくは、直鎖状もしくは分枝状C−C−アルキニル基、特に好ましくは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルからなる群からの直鎖状もしくは分枝状C−C−アルキニル基であることができる。
アルケニル、シクロアルケニル、またはアルキニルが炭化水素基Rの部分である場合には、言うまでもなく、それは同じ意味を有するが、但し、アルケニルまたはアルキニルから、分子内の隣に結合する最も近いものまでに、さらなる結合が存在する。
Arは、6〜30個の炭素原子を有する、単環式または多環式芳香族炭化水素基であり、それは、単置換もしくは多置換されることもできるし、または無置換であることもできる。 Arは、好ましくは、単置換もしくは多置換の、フェニルまたはナフチルであることができ、ここで置換基は、Aの意味を採用することができ、およびArは全部で20個以下の炭素原子を有する。
アリール基は、好ましくは、C−C10−アリール基、好ましくは、フェニルまたはナフチルであることができる。アルキルアリール基はC−C18−アルキルアリール基、好ましくは、トリルまたはメシチルであることができる。
【0063】
Arは、好ましくは、置換または無置換の、フェニル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリルであり、それぞれは、A、OA、CO−AOH、COOH、COOA、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ベンジルオキシ、スルホンアミド、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、メチルスルホンアミド、エチルスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、ジメチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、またはアミノカルボニルで、単置換、二置換、三置換されて良く、ここで、Aで置換される、および/またはAに結合する場合、Arは、20個以下の炭素原子を有する。
【0064】
Arは、好ましくは、無置換または単置換もしくは多置換のフェニルであり、特に好ましくは、フェニル、o−、m−、もしくはp−トリル、o−、m−、もしくはp−エチルフェニル、o−、m−、もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−、もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−、もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−、もしくはp−シアノフェニル、o−、m−、もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−、もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−、もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−、もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−、もしくはp−クロロフェニル、o−、m−、もしくはp−メチルチオフェニル、o−、m−、もしくはp−メチルスルフィニルフェニル、o−、m−、もしくはp−メチルスルホニルフェニル、o−、m−、もしくはp−アミノフェニル、o−、m−、もしくはp−メチルアミノフェニル、o−、m−、もしくはp−ジメチルアミノフェニル、o−、m−、もしくはp−ニトロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、もしくは3,5−ジブロモフェニル、2−クロロ−3−メチル−、2−クロロ−4−メチル−、2−クロロ−5−メチル−、2−クロロ−6−メチル−、2−メチル−3−クロロ−、2−メチル−4−クロロ−、2−メチル−5−クロロ−、2−メチル−6−クロロ−、3−クロロ−4−メチル−、3−クロロ−5−メチル−、または3−メチル−4−クロロフェニル、2−ブロモ−3−メチル−、2−ブロモ−4−メチル−、2−ブロモ−5−メチル−、2−ブロモ−6−メチル−、2−メチル−3−ブロモ−、2−メチル−4−ブロモ−、2−メチル−5−ブロモ−、2−メチル−6−ブロモ−、3−ブロモ−4−メチル−、3−ブロモ−5−メチル−、または3−メチル−4−ブロモフェニル、2,4−、もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−、もしくは3,4−ジメトキシフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−、もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、4−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,4−ジクロロ−5−メチルフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、ベンゾチアジアゾール−5−イル、またはベンズオキサジアゾール−5−イル、またはナフチルである。
アリーレンは、Arに対して示した意味と同じ意味を有するが、但し、芳香族系から、隣に結合する最も近いものまでに、さらなる結合が存在する。
特に、Hetと称している基は以下の意味を採用することができる:
【0065】
Hetは、1〜4個のN、O、および/またはS原子を有する、単環式もしくは二環式で、飽和、不飽和もしくは芳香族のヘテロ環基であり、それは、無置換かまたは、Hal、および/またはA、OA、CO−AOH、COOH、COOA、COA、OH、CN、CONHA、NO、=NH、または=Oで単置換、二置換、もしくは三置換されることができ、ここで、Halは、F、Cl、Br、またはIである。
【0066】
Hetは、好ましくは、クロメン−2−オンイル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピペリジニル、1−メチルピペリジニル、インドリル、チオフェニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チエニル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チオピラニル、ピリダジニル、ピラジル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、2,1,3−ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、キノリル、イソキノリル、またはシンノリニルであり、それぞれは、無置換かまたは、Halおよび/またはAで単置換または多置換され、ここで、置換基は、A、OA、CO−AOH、COOH、COOA、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であることができる。
【0067】
Hetは、特に好ましくは、2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、1−、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソオキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、1−メチルピペリジン−4−イルもしくはピペリジン−4−イル、または2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2−、3−、4−、5−もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−もしくは4−4−H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニル、4−もしくは5−イソインドリル、5−もしくは6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、さらに好ましくは、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イル、またはクロメニル(chromenyl)である。
【0068】
ヘテロ環基は、部分的または完全に水素化されることができ、以下の意味を採用することができる:
Hetは、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、1−、2−もしくは3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−もしくは−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−もしくは−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−ピリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジニル、2−、3−もしくは4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−もしくは−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−もしくは−5−ピリミジニル、1−、2−もしくは3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−イソキノリル、または2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、さらに好ましくは、2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニル、または代替的に3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、または2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルである。
【0069】
ヘテロシクロアルキレンまたはヘテロシクロアリーレンは、Hetに対して示した意味と同じ意味を有するが、但し、ヘテロ環系から隣に結合する最も近いものまでに更なる結合が存在する。
ヘテロシクロアルキレンは、好ましくは、1,2−、2,3−もしくは1,3−ピロリジニル、1,2−、2,4−、4,5−もしくは1,5−イミダゾリジニル、1,2−、2,3−もしくは1,3−ピラゾリジニル、2,3−、3,4−、4,5−もしくは2,5−オキサゾリジニル、1,2−、2,3−、3,4−もしくは1,4−イソオキサゾリジニル、2,3−、3,4−、4,5−もしくは2,5−チアゾリジニル、2,3−、3,4−、4,5−もしくは2,5−イソチアゾリジニル、1,2−、2,3−、3,4−もしくは1,4−ピペリジニル、または1,4−もしくは1,2−ピペラジニル、さらに好ましくは、1,2,3−テトラヒドロトリアゾール−1,2−もしくは−1,4−イル、1,2,4−テトラヒドロトリアゾール−1,2−もしくは−3,5−イル、1,2−もしくは2,5−テトラヒドロテトラゾリル、1,2,3−テトラヒドロオキサジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−もしくは−1,5−イル、1,2,4−テトラヒドロオキサジアゾール−2,3−、−3,4−もしくは−4,5−イル、1,3,4−テトラヒドロチアジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−もしくは−1,5−イル、1,2,4−テトラヒドロチアジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−もしくは−1,5−イル、1,2,3−チアジアゾール−2,3−、−3,4−、−4,5−もしくは−1,5−イル、2,3−もしくは3,4−モルホリニル、または2,3−、3,4−もしくは2,4−チオモルホリニルである。
【0070】
炭化水素基Rは、特に好ましくは、20個以下の炭素原子を有する基であり、C−C12−アルキレン基、C−C10−シクロアルキレン基もしくはC−C20−シクロアルキレン基、C−C14−アリーレン基もしくは、1つまたは2つ以上のアルキル基を介して結合しているC−C20−アルキルアリーレン基の内で考慮する化合物から選択した意味を採用し、これらのうち、特に好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンからなる一組からのC−C−アルキレン鎖、−C−および−CMe−からなる一組からのC−C−アリーレン鎖、または−CH−、−CHMe−、−CHCH−、および−CHMeCH−からなる一組からのC−C−アルキルアリーレン鎖である。
【0071】
R3は、A、Ar、AAr、AArA、Het、AHet、またはAHetAの全ての意味を採用することができる炭化水素基であり、ここでH原子は、他のZ基で置換されてもよい。この炭化水素基は、直鎖状、非分枝状(直線状)、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和、環状(A)もしくは芳香族(Ar)、ヘテロ環式またはヘテロ芳香族(Het)であることができ、任意に単置換または多置換され得る。炭化水素基R3は、特に、一般式(I)および(II)の化合物のカルベン官能基に安定化作用を及ぼす基である。R3のH原子は、以下に定義する官能基Zにより置換され得る。
R3は、好ましくは、脂肪族、芳香族、またはヘテロ芳香族炭化水素基、より正確には、上記したように、脂肪族基A、上記した群からの芳香族炭化水素Ar、または上記したヘテロ環式置換基Hetである。R3は、非常に好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する、脂肪族、すなわち、直鎖状、非分枝状(直線状)、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和基、または環状脂肪族または芳香族炭化水素基である。化合物群から、フェニル、トリル、2,6−ジメチルフェニル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、またはシクロヘキシルの基は、特に好適であると証明され、製造した化合物の特に有利な性質をもたらす。
【0072】
R1およびR2は、互いに独立して、Hであることができ、または上記したHal、A、Ar、およびAArの全ての意味を採用することができ、ここでAおよびArのH原子は、官能基Zで置換されることができ、およびHalは、F、Cl、Br、またはIであることができる。R1およびR2は、特に好ましくは、R3の意味を採用することができ、またはH、Cl、またはBrである。R1およびR2は、特に好ましくは、互いに独立して、H、Cl、Br、直鎖状、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和のC−C−アルキル基であり、ここでアルキル基の1つまたは2つ以上のHはZで置換されてよい。
【0073】
上記したように、炭化水素基R、R1、R2、およびR3、特にR3のH原子は、官能基Zで置換されることができ、N、P、OまたはS原子を有することができる。それらは、アルコール、アルデヒド、カルボキシル、アミン、アミド、イミド、ホスフィン、エーテル、またはチオエーテル官能基の1つまたは2つ以上有する基であることができ、すなわち、それらは、とりわけ、OA、NHA、NAA’、PAA’、CN、NO、SA、SOA、SOA、またはSOArの意味を有する基であることができ、ここでA、A’、およびA“は、互いに独立して、定義に従ったAの意味を採用することができる。それらは、アルコール(OA)、アルデヒド、カルボキシル、アミン、アミド、イミド、ホスフィン、エーテルまたはチオエーテル官能基の1つまたは2つ以上を有する基であることができる。Z基は、好ましくは、OA、NHA、NAA’またはPAA’の意味を有する。
【0074】
したがって、R1およびR2は、例えば、SOH、F、Cl、またはヒドロキシル、アルカノイル、またはシクロアルカノイル基でもよい。
R1、R2、およびR3は、メトキシ、エトキシ、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、またはオクタデカノイルであることができる。
R1、R2、およびR3は、アシル基でもよい。R1、R2、およびR3は、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を有するアシル基であることができ、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、またはナフトイルであることができる。R1、R2、およびR3は、さらにアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルチオ、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、またはフェニルスルホニル基であることができる。
【0075】
さらに、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、アルカノイル、およびシクロアルカノイルにおけるR1、R2、およびR3基の1つ、2つまたは3つのメチレン基は、それぞれ、N、O、および/またはSで置換されてもよい。
R1、R2、およびR3の炭化水素は、従って、A、Ar、またはAArの意味を採用することができ、上記したアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、またはアルキニル基であることができ、ここで1つまたは2つ以上のH原子は上記した官能基Zで置換されてもよい。
【0076】
R4は、互いに独立して、上記したような、A、Ar、またはAArであってもよく、特に、10個までの炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、またはアリール基であることができる。R4は、好ましくは、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、またはC−C10−アリールであり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−、2−、もしくは3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−もしくは4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−もしくは3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−もしくは2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、フェニル、o−、m−もしくはp−トリル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、またはナフチルの意味を有することができる。R4は、非常に好ましくは、シクロヘキシル、シクロペンチル、イソプロピル、またはフェニルである。
【0077】
R5およびR6は、互いに独立して、H、A、またはArであることができ、ここで、AまたはArのH原子は、30個以下の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基で置換されてもよい。R5およびR6は、従って、互いに独立して、H、30個までの炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、またはアルキニルであることができる。R5およびR6は、好ましくは、H、C−C10−アルキル、C−C10−アリール、C−C10−アルケニル、またはC−C−アルキニルである。R5およびR6は、従って、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−もしくは4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−もしくは3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−もしくは2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニルおよびメチルシクロペンタジエニル、フェニル、o−、m−もしくはp−トリル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、ナフチル、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、またはヘキシニルの意味を採用することができる。R5およびR6は、非常に好ましくは、H、メチル、フェニル、例えば、ビニル、−C=CMe、または−C=CPhなどのC−C−アルケニルである。
【0078】
いずれの場合にも、Xは、電荷の等化のために、2価の正のルテニウム中心原子へ配位子として結合する一価のアニオンである。アニオンXの電気陰性度に依存して、この結合は、アニオンの電子対による配位結合となるか、またはイオン結合となる。
化合物(I)および(II)に存在する2つのアニオンは、互いに独立して、Br、Cl、I、およびFからなる群からのハロゲン化物(Hal)、シアン化物(CN)およびチオシアネート(SCN)などの擬似ハロゲン化物(pseudohalide)、アルコキシド、アリールオキシド、アルキル、アリール、カルボキシルなどであることができる。Xは、好ましくは、ハロゲン化物、非常に好ましくは、Cl、またはBrである。
【0079】
一般式(I)の化合物の製造のための出発物質として要求される、置換されたイミダゾールのイミダゾール親構造は、特許明細書US-A-6,177,575に記載された合成方法と同様にして、以下の一般反応式に従って製造することができる。
【0080】
【化9】

【0081】
一般式(II)の化合物(置換された4,5−ジヒドロイミダゾール)の親構造(VIII)は、Tetrahedron Lett. 1980, 21, 885, Chem. Ber. 1965, 98, 1342、およびDE-A-11 89 998に記載される方法により合成することができる。
【0082】
【化10】

【0083】
イミダゾール環の第2級窒素原子にシリル基が置換された一般式(III)および(IV)の化合物の製造は、一般式(VII)の置換されたイミダゾール、または一般式(VIII)の置換された4,5−ジヒドロイミダゾールを、一般式(IX)の塩素−、臭素−、またはヨウ素−含有アルコキシシランと、
Hal−R−SiR’(OR’)3−n (IX)
保護ガス雰囲気下、他の溶媒を添加することなく反応させることにより行うことができる。しかしながら、不活性で、非プロトン性の有機溶媒中で反応を行うことも可能である。
【0084】
【化11】

【0085】
用いられる一般式(VII)または(VIII)のイミダゾールの反応性に依存して、反応は、反応温度を維持して、短時間で行われるか、または何日間か必要とする。反応温度は、20〜+200℃、好ましくは、20〜100℃、非常に好ましくは、60〜100℃の範囲である。反応終了後、形成された生成物(III)および(IV)は、既知の方法で、安定な物質として純粋な形態で単離することができ、さらに方法Aによって一般式(I)および(II)の化合物に変換することができる。
【0086】
一般式(V)および(VI)の化合物は、アルコキシシリル−官能基化イミダゾリウム塩(III)またはアルコキシシリル−官能基化4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩(IV)と、好適な塩基との、不活性で非プロトン性有機溶媒中、保護ガス雰囲気下での反応(反応式Eq.8およびEq.9)により製造される。
【0087】
【化12】

【0088】
所望により、この反応は、イミダゾリウム塩(III)または4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩(IV)の製造後、事前に精製することなく直接行うことができる。この反応に好適な塩基は、無水で不活性な非プロトン性有機溶媒中の、一般式MORの金属アルコキシド、または金属水素化物MH、金属アミドMNH、およびアンモニアからなる群から選択される塩基である。塩基として、NH/NaH、または金属水素化物MH、または金属アルコキシドMORの使用が好ましい。カリウムt−ブトキシド(KOBu)、およびカリウム水素化物(KH)が、様々な反応において非常に好適であることが判明した。
【0089】
反応のために、全ての反応物を反応容器に一緒に取り入れることができる。成分の添加の順序は所望により選択することができる。一般式(III)および(IV)の出発化合物は、例えば、エーテルなどの好適な溶媒中に、予め溶解させるかまたは懸濁させることができる。用いられる保護ガスは、窒素またはアルゴンである。この反応は、−78℃〜+100℃、好ましくは−40℃〜+60℃の範囲の温度で、1分〜6時間の反応時間行うことができる。形成された一般式(V)および(VI)の生成物は、固体状副生成物の除去および揮発性成分の除去後に、抽出および再結晶による単純な方法で純粋な形態に単離することができ、あるいは、方法Bにより一般式(I)または(II)の化合物に直接変換することができる。
【0090】
一般式(I)および(II)の化合物は、まず、無水で不活性の非プロトン性有機溶媒中、一般式(III)および(IV)の化合物それぞれと、(III)および(IV)のそれぞれを脱プロトン化させることができる塩基、例えば、金属アルコキシドMOR、金属水素化物MH、金属アミドMNH、またはアンモニアとを、一般式(X)
[P(R4)Ru=CR5R6 (X)
のルテニウム化合物存在下で反応させることにより製造することができる(方法A)。
【0091】
方法A
【化13】

【0092】
用いられる塩基は、好ましくは、カリウムt−ブトキシド(KOBu)、または水素化カリウム(KH)である。成分の添加の順序は、所望により選択することができる。出発化合物は、好適な不活性溶媒に予め溶解させるか、または懸濁させることができる。用いられる溶媒は、好ましくは、純粋な炭化水素および環状エーテルである。純粋な炭化水素のうち、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、またはトルエンの使用が好ましく、ヘプタンまたはトルエンの使用が非常に好ましい。環状エーテルのうちでは、テトラヒドロフランの使用が好ましい。
用いられる保護ガス雰囲気は、窒素またはアルゴンであることができる。
遊離したP(R4)に対する捕捉剤としての、反応溶液(Eq.1および2)への塩化銅(I)の添加が、特に一般式(I)および(II)の化合物の収率を増加させるために、好ましいことが判明した。
【0093】
一般式(I)または(II)の化合物の製造のために、用いられる塩基、およびルテニウム出発化合物が、一般式(III)および(IV)の出発化合物と比較して、わずか過剰から大幅に過剰にして一般的に用いられる。一般式(III)および(IV)の、用いられる塩基およびルテニウム出発化合物に対する化学量論比は、従って、1:1:1〜1:1.5:1.5の範囲であり、ここで、用いられる塩基およびルテニウム出発化合物の、それぞれに対する化学量論比は、互いに独立している。従って、化合物(III)および(IV)の、用いられる塩基に対する化学量論比は、1:1〜1:1.5の範囲であることができ、塩基のルテニウム出発化合物に対する比、またはルテニウム出発化合物の塩基に対する比は、それぞれ独立して、1:1.5である。結果的に、一般式(III)および(IV)の化合物の、用いられる塩基およびルテニウム出発化合物に対する化学量論比1:1.5:1、または1:1:1.5も、好適な出発物質化学量論比として包含されている。化学量論比は、好ましくは、1:1:1〜1:1.2:1.2の範囲である。
【0094】
反応は、−78℃〜+150℃、好ましくは−20℃〜+100℃の温度範囲で行うことができる。反応は、非常に好ましくは、0℃〜80℃の温度範囲で行われる。
反応継続時間は、30分間〜2日間であり、好ましくは、1時間〜24時間、非常に好ましくは、1時間〜12時間である。
反応が終了し、揮発性成分が高真空で除去されたとき、生成物は、非極性で非プロトン性溶媒の抽出により分離されるか、副生成物は、濾過により生成物から分離することができる。一般式(I)および(II)の化合物は、物質として純粋な形態で単離することができるし、または再結晶もしくはRPシリカを用いたクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0095】
上記したように、一般式(I)および(II)の化合物は、一般式(V)および(VI)の化合物のそれぞれの、R4、R5、R6、およびXが上記したとおりである一般式(X)
[P(R4)Ru=CR5R6, (X)
のルテニウム化合物との、無水で非プロトン性有機溶媒中での反応によっても製造することができる(方法B)。
【0096】
方法B
【化14】

【0097】
方法Bを行うために、成分を所望の順序で添加することができる。出発化合物は、好適な不活性溶媒に予め溶解させるか、または懸濁させることができる。この目的のために用いられる溶媒は、好ましくは、純粋な炭化水素および環状エーテルである。純粋な炭化水素のうち、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、またはトルエンの使用が好ましく、ヘプタンまたはトルエンの使用が非常に好ましい。環状エーテルのうちでは、テトラヒドロフランの使用が好ましい。
用いられる保護ガス雰囲気は、窒素またはアルゴンであることができる。
遊離したP(R4)に対する捕捉剤としての、反応溶液(Eq.3および4)への塩化銅(I)の添加が、特に一般式(I)および(II)の化合物の収率を増加させるために、好ましいことが判明した。
【0098】
該反応の遂行のために、ルテニウム出発化合物を、一般式(V)または(VI)の化合物に関して、わずか化学量論過剰量で用いることが有利である。用いられる一般式(V)または(VI)の化合物の、ルテニウム出発化合物に対する化学量論比が、従って、1:1〜1:1.5、好ましくは、1:1〜1:1.2の範囲であることができる。
反応は、−78℃〜+100℃、好ましくは−20℃〜+80℃の温度範囲で行うことができる。多くの場合、0℃〜40℃の非常に好ましい温度範囲で、非常に良好な結果が達成できる。
【0099】
一般的に、反応時間は、30分間〜2日間であり、好ましくは、1時間〜24時間である。反応は、通常、1時間〜12時間で終了する。揮発性成分を高真空で除去した後、一般式(I)および(II)の化合物が、再結晶もしくはRPシリカによるクロマトグラフィー処理により、純粋な形態で得られる。
製造方法Aは、より安定な出発物質から出発し、式(I)および(II)(化合物(V)および(VI))の形成に必要な配位子がそのまま調製できるワンポット合成であるため、好ましい。
【0100】
方法AまたはBによる反応の遂行は、それ自体、難しいものではない。反応物に接触する全ての部品およびデバイスが、用いられる化学薬品に不活性であり、腐食または浸出現象を示さないプラント内で、反応を単純な方法で行うことができる。用いられるプラントが、温度制御されており、反応物および反応生成物の安全な仕込みおよび放出を提供し、反応溶液の激しい混合のための手段を有することが重要である。さらに、プラントは、不活性ガス雰囲気下での操作、および揮発性物質の安全な放出を容易にするべきである。従って、この装置が不活性ガスで覆う可能性を与える場合には、攪拌器、フィード(feed)、および任意にアウトレット(outlet)、還流コンデンサ、またはアウトフローを備えた濃縮クーラーが取り付けられたガラス装置内で、反応を行うことができる。しかしながら、所望により、ステンレススチールまたは他の好適な不活性材料でつくられ、温度制御、出発物質および生成物の仕込みおよび放出のために必要な装置を有する産業プラント内で、反応を行うこともできる。
反応は、特に反応がゆっくり進行する場合、通常、バッチ操作で行われる。
比較的大容量の一般式(I)および(II)の所望の生成物が製造され、反応される出発物質が反応性化合物である場合、連続的操作のために設計された対応するプラントで反応を行うことが適切であり得る。
【0101】
一般式(I)および(II)の化合物は、有機合成および有機金属合成の触媒として用いることができる。それらは、有機合成および有機金属合成で用いることができる固定化触媒の製造のための出発物質として役立つ。特に、それらは、C−Cカップリング反応、水素化、異性化、シリル化、およびヒドロホルミル化における触媒として用いることができる。新規化合物は、オレフィンメタセシスなどのC−Cカップリング、および水素化反応の触媒として、特に好適である。新規化合物は、交差メタセシス(CM)、閉環メタセシス(RCM)、開環メタセシス重合(ROMP)、アクリルジエンメタセシス重合(ADMET)、およびエン−インメタセシスなどのオレフィンメタセシス反応における触媒として特に有益である。
【0102】
4.例
より深い理解のため、および本発明を明確にするため、本発明の権利範囲内である例を以下に示す。しかしながら、上記した本発明の原則には一般的な妥当性があるため、これらを、本発明の権利範囲を単にこれらの例に限定することは適切でない。
【0103】
(A)触媒の製造
{1−メシチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾール−2−イリデン}(PCy)ClRu=CHPhの合成
104mg(0.24mmol)の1−メシチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリウムクロリド、168mg(0.20mmol)の(PCyClRu=CHPh、29mg(0.26mmol)のカリウム第3級ブトキシド、および5mlのトルエンを、アルゴン雰囲気下でシュレンクチューブ内に入れ、25℃で一晩攪拌する。溶液の色は、ピンクからボルドーレッド(Bordeaux red)に変化する。揮発性成分を高真空で除去する。ボルドーレッドでオイル状残留物をヘプタンに移す。形成した沈殿物を濾過により溶液から分離する。溶液の溶媒を高真空で除去し、ボルドーレッドの物質を63%の収率で得る。31P−NMR(トルエン−d):d 34.33 H−NMR(C):d 19.8(Ru=CH)
(PCyClRu=CHPhに基づき1.5等量の塩化銅(I)を添加することにより、収率を92%まで増大させることができる。
【0104】
{1−メシチル−3−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]イミダゾール−2−イリデン}(PCy)ClRu=CHPhの合成
104mg(0.24mmol)の1−メシチル−3−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]イミダゾリウムクロリド、29mg(0.26mmol)のカリウム第3級ブトキシド、および5mlのTHFを、アルゴン雰囲気下でシュレンクチューブ内に入れ、25℃で1時間攪拌する。揮発性成分を高真空で除去し、残留物をヘプタンに移す。形成した沈殿物を濾過により溶液から分離し、5mlのトルエン中に168mg(0.20mmol)の(PCyClRu=CHPhを含有するシュレンクチューブに、溶液を、カニューレを通じて導入する。混合物を一晩25℃で攪拌する。溶液の色は、ピンクからビルベリーレッドに変化する。溶媒を高真空で除去すると、ビルベリー色の物質を47%の収率で与える。31P(トルエン−d):d 36.8 H−NMR(C):d 19.7(Ru=CH)
(PCyClRu=CHPhに基づき1.5等量の塩化銅(I)を添加することにより、収率を92%に増大させることができる。
【0105】
(B)オレフィンメタセシスにおける触媒テスト
(PCyClRu=CHPhを伴うメタセシス
58.2mg(0.07mmol)の(PCyClRu=CHPh、1.06ml(7.05mmol)の1,7−オクタジエン、および45mlのCHClを、アルゴン雰囲気下での3つ口フラスコに導入する。混合物を還流し、ガスクロマトグラフィーに対するサンプルを30分毎に採る。
GC:1,7−オクタジエン:シクロへキセン比:1:379(30分)、1:456(60分)、1:623(90分)、1:693(120分)、1:695(150分)、1:696(180分)
【0106】
[1,3−(ビスメシチル)イミダゾール−2−イリデン](PCy)Cl
Ru=CHPhを伴うメタセシス
20mg(0.02mmol)の[1,3−(ビスメシチル)イミダゾール−2−イリデン](PCy)ClRu=CHPh、0.35ml(2.35mmol)の1,7−オクタジエン、および5mlのCHClを、アルゴン雰囲気下での3つ口フラスコに導入する。混合物を還流し、ガスクロマトグラフィーに対するサンプルを30分毎に採る。
GC:1,7−オクタジエン:シクロへキセン比:1:147(30分)、1:185(60分)、1:203(90分)、1:266(120分)、1:304(150分)、1:384(180分)
【0107】
{1−メシチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾール−2−イリデン}(PCy)ClRu=CHPhを伴うメタセシス
{1−メシチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾール−2−イリデン}(PCy)ClRu=CHPhを、アルゴン雰囲気下で20mlのヘプタンに溶解させ、1.3ml(0.85mmol)の1,7−オクタジエンおよび55mlのCHClを添加する。混合物を還流し、ガスクロマトグラフィーに対するサンプルを30分毎に採る。
GC:1,7−オクタジエン:シクロへキセン比:1:13(30分)、1:100(60分)、1:156(90分)、1:198(120分)、1:243(150分)、1:301(180分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)および(II)
【化1】

式中、
Rは、全部で30個以下の炭素原子を有するA、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、またはAHet、またはAHetAであり、ここで
Aは、直鎖状、分枝状もしくは飽和C−C20−アルキル基、シクロアルキル基、または全部で4〜30個の炭素原子を有する1つまたは2つ以上のアルキル基を経て結合したシクロアルキル基であり、ここで、アルキル基およびシクロアルキル基の、1つのCHもしくはCH基は、N、NH、NA、Oおよび/またはSで置換されてよく、およびH原子はOA、NAおよび/またはPAで置換されてよく、
Arは、単置換もしくは多置換の、または無置換の、全部で20個以下の炭素原子を有する、フェニル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリルであり、ここで置換基は、A、Hal、OA、NA、PA、COOA、COA、CN、CONHA、NO、=NH、または=Oであることができ、
Hetは、単環式または二環式で、飽和もしくは不飽和もしくは芳香族の1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有するヘテロ環であり、それは無置換かまたは、Hal、および/またはA、OA、COOA、COA、CN、CONHA、NA、PA、NO、=NHまたは=Oで、単置換、二置換、もしくは三置換されることができ、ここで
Halは、F、Cl、Br、またはIであり、
R’は、分子内の位置とは独立して、1〜12個の炭素原子を有するAまたはArであり、
R3は、6〜18個の炭素原子を有する、A、Ar、AAr、AArA、Het、AHet、もしくはAHetAであり、ここで、ArまたはHetに結合しないA基は、無置換または1つまたは2つ以上のZ基で置換されたアルキル、またはシクロアルキルであり、およびArは、無置換かまたは、Z基で単置換もしくは多置換された芳香族炭化水素であり、およびHetは、飽和、不飽和、または芳香族のヘテロ環であり、それはZ基で単置換もしくは多置換されてよく、および
R1およびR2は、互いに独立して、H、Z、Hal、または1〜18個の炭素原子を有するA、Ar、AAr、Het、またはAHetであり、ここで、ArもしくはHetに結合しないA基は、無置換かまたは1つまたは2つ以上のZ基で置換されたアルキルまたはシクロアルキルであり、およびArは、無置換かまたはZ基で単置換もしくは多置換された芳香族炭化水素であり、
R4は、1〜30個の炭素原子を有するA、Ar、またはAArであり、
R5およびR6は、互いに独立して、H、A、またはArであり、ここで、AまたはArのH原子は、30個以下の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルキニルで、置換されてよく、ここで
Halは、F、Cl、Br、またはIであり、
Zは、R1、R2、およびR3の位置に独立して、N、P、OまたはS原子を含有する官能基、またはAもしくはArであり、および
Xは、それぞれ同一または異なっている、アニオン性配位子であり、それぞれRuに配位結合を形成し、および
nは、0、1、または2である、
で表される化合物。
【請求項2】
一般式(I)および(II)
式中、
Rは、全部で20個以下の炭素原子を有する、A、Ar、A−Ar、A−Ar−A、Het、AHet、またはAHetAであり、
R’は、分子内の位置とは独立して、直鎖状、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和C−C−アルキル基であり、
R3は、1〜18個の炭素原子を有する、A、Ar、AAr、AArA、Het、AHet、またはAHetAであり、ここで、ArまたはHetに結合しないA基は、無置換かまたは1つまたは2つ以上のZ基で置換されたアルキルもしくはシクロアルキルであり、およびArは、無置換かまたはZ基で単置換もしくは多置換された芳香族炭化水素であり、およびHetは、Z基で単置換もしくは多置換されてよい、飽和、不飽和、または芳香族へテロ環であり、
R1およびR2は、互いに独立して、H、Hal、または直鎖状、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和のC−C−アルキル基であり、
R4は、10個までの炭素原子を有する、AまたはArであり、
R5およびR6は、互いに独立して、H、30個までの炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、またはアルキニルであり、
Halは、ClまたはBrであり、
Xは、Br、Cl、I、またはF、シアニド(CN)、チオシアニド(SCN)、アルコキシド、アリールオキシド、アルキル、アリールまたはカルボキシルであり、
ZはAであり、および
Nは0であり、
ならびにA、Ar、およびHetは、請求項1に定義したとおりである、
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般式(I)および(II)
式中、
Rは、全部で20個以下の炭素原子を有するA、Ar、A−Ar、またはA−Ar−Aであり、
Aは、直鎖状または分枝状、飽和C−C12−アルキル基、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、または1つまたは2つ以上のアルキル基を経て結合したC−C20−シクロアルキルであり、
Arは、単置換もしくは多置換または無置換のフェニルであり、ここで置換基は、Aの意味を採用することができ、およびRは全部で20個以下の炭素原子を有し、
R’は、分子内の位置とは独立して、直鎖状または分枝状の、飽和C−C−アルキル基であり、
R3は、1〜18個の炭素原子を有する、直鎖状、非分枝状(直線状)、分枝状、飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和の炭化水素基、または環状飽和、一価不飽和、多価不飽和の炭化水素基、または6〜18個の炭素原子を有し、無置換かまたはZ=Aで置換された芳香族炭化水素の意味を有するAであり、
R1およびR2は、互いに独立して、H、Cl、Br、または直鎖状、分枝状、飽和、一価不飽和、もしくは多価不飽和のC−C−アルキル基であり、
R4は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、またはC−C10−アリールであり、
R5およびR6は、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、またはC−C10−アリールであり、
XはClまたはBrであり、
ZはAであり、および
nは0であり、
ならびにAおよびArが請求項1で定義したとおりである、
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
一般式(I)および(II)
式中、
Rは、C−C12−アルキレン、C−C10−シクロアルキレン、またはC−C20−シクロアルキレン、C−C14−アリーレン、または1つまたは2つ以上のアルキル基を経て結合しているC−C20−アルキルアリーレンであり、
R’は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−、または4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−、または3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−または2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ビニル、プロペニル、1,2−プロパジエニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、1,2−、1,4−、または1,3−ペンタジエニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、ヘキセニル、1,5−ヘキサジエニル、2−メチル−1,3−ブタジエニル、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル、イソペンテニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチニル、1,2−プロピニル、2−ブチニル、1,3−ブタジニル、ペンチニル、またはヘキシニルであり、
R3は、フェニル、トリル、2,6−ジメチルフェニル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、またはシクロヘキシルであり、
R1およびR2は、SOH、F、Cl、ヒドロキシル、アルカノイル、またはシクロアルカノイルであり、
R4は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−、2−、または3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−、または2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−、または4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−、または3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−、または2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−、または1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、フェニル、o−、m−、またはp−トリル、o−、m−、またはp−エチルフェニル、o−、m−、またはp−プロピルフェニル、o−、m−、またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−、またはp−tert−ブチルフェニル、またはナフチルであり、
R5およびR6は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル(−C10−)、1,1−、1,2−、または2,2−ジメチルプロピル(−C10−)、1−エチルプロピル(−C10−)、ヘキシル(−C12−)、1−、2−、3−、または4−メチルペンチル(−C12−)、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−、または3,3−ジメチルブチル(−C12−)、1−または2−エチルブチル(−C12−)、1−エチル−1−メチルプロピル(−C12−)、1−エチル−2−メチルプロピル(−C12−)、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル(−C12−)、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニル、およびメチルシクロペンタジエニル、フェニル、o−、m−、またはp−トリル、o−、m−、またはp−エチルフェニル、o−、m−、またはp−プロピルフェニル、o−、m−、またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−、またはp−tert−ブチルフェニル、ナフチル、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、またはヘキシニルであり、
ここで、X、Z、およびnは、請求項1で与えられた意味を採用することができる、
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
一般式(I)および(II)
式中、
Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、−C−、−CMe−、−CH−、−CHMe−、−CHCH−、または−CHMeCH−であり、
R’は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチルであり、
は、フェニル、トリル、2,6−ジメチルフェニル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、またはシクロヘキシルであり、
R1およびR2は、互いに独立して、H、メトキシ、エトキシ、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、またはオクタデカノイルであり、
R4は、シクロヘキシル、シクロペンチル、イソプロピル、またはフェニルであり、
R5およびR6は、H、メチル、フェニル、ビニル、−C=CMe、または−C=CPhであり、
Xは、ClまたはBrであり、
ZはAであり、および
nは0である、
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(I)および(II)
式中、
Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、または2,4−ジメチルであり、
R’は、エチルまたはメチルであり、
R3は、メチル、i−プロピル、t−ブチル、メシチル、フェニル、シクロヘキシル、2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル、または2,4−ジメチルフェニルであり、
R1およびR2は、Hであり、
R4は、シクロヘキシルまたはフェニルであり、
R5およびR6は、フェニル、シクロヘキシル、または−C=C(CHであり、
Xは、Cl、またはBrであり、および
nは0である、
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾール−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
および
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
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{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)エチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[3−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(メチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(フェニル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(i−プロピル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−(t−ブチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)ベンジル]−3−[2,4−(ジ−i−プロピル)フェニル]イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(メシチル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリメトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh、
{1−[4−(トリエトキシシリル)−2,4−(ジメチル)フェニル]−3−(シクロヘキシル)イミダゾリン−2−イリデン}[P(Cy)]ClRu=CHPh。
【請求項8】
一般式(I)および(II)の化合物の製造方法であって、一般式(III)
【化2】

で表されるアルコキシシリル−官能基化されたイミダゾリウム塩、または一般式(IV)
【化3】

式中、R、R’、R1、R2、およびR3は、請求項1〜7のいずれかで与えられる意味を採用することができ、およびXは、F、Cl、Br、およびIからなる群からのアニオンであることができる、
で表されるアルコキシシリル−官能基化された4,5−ジヒドロイミダゾリウム塩を、
一般式(X)
[P(R4)Ru=CR5R6 (X)
式中、R4、R5、R6、およびXは請求項1の通りである
で表される化合物の存在下、無水で不活性の非プロトン性有機溶媒中、金属アルコキシド(MOR)、金属水素化物(MH)、金属アミド(MNH)、および/またはアンモニアからなる群から選択される、脱プロトン化できる塩基と反応させることにより、それぞれ一般式(I)または(II)
【化4】

で表される化合物に直接変換するか、
または、
一般式(III)または(IV)の化合物を、所望により事前に精製した後、無水で不活性の非プロトン性有機溶媒中、金属アルコキシド(MOR)、金属水素化物(MH)、金属アミド(MNH)、および/またはアンモニアからなる群から選択される塩基と反応させ、一般式(V)または(VI)
【化5】

で表されるカルベンをそれぞれ与え、
その後に、一般式(X)
[P(R4)Ru=CR5R6 (X)
で表される化合物と、無水で不活性な非プロトン性有機溶媒中、保護ガス雰囲気下で反応させ、それぞれ一般式(I)または(II)の化合物を与えることを特徴とする、
前記製造方法。
【請求項9】
一般式(III)または(IV)の化合物、用いられる塩基、および一般式(X)のルテニウム化合物を、1:1:1〜1:1.5:1.5の化学量論比の範囲で用い、用いられる塩基のルテニウム化合物に対する比がそれぞれ独立であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
KOブトキシドまたはKHが塩基として用いられることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
用いられる溶媒が、炭化水素またはエーテルであることを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
一般式(III)または(IV)の化合物と、一般式(X)のルテニウム化合物との塩基存在下での反応のために、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される溶媒、またはその混合物が用いられることを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
一般式(III)または(IV)の化合物と、一般式(X)のルテニウム化合物との反応が、30分間〜2日間、−78〜+150°Cの温度範囲で行われ、用いられる保護ガスが窒素またはアルゴンであることを特徴とする、請求項8〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
一般式(V)または(VI)の化合物と、一般式(X)のルテニウム化合物との反応が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される溶媒中で行われることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項15】
一般式(V)または(VI)のカルベンと、一般式(X)のルテニウム化合物との反応が、化学量論比1:1〜1:1.5の比であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項16】
反応が、30分間〜2日間、−78〜+100℃の温度範囲で行われることを特徴とする、請求項8、14および15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
一般式(I)および(II)の化合物の、有機合成および有機金属合成における触媒としての使用。
【請求項18】
一般式(I)および(II)の化合物の使用であって、有機合成および有機金属合成に対しての固定化触媒の製造のための出発物質としての前記使用。
【請求項19】
C−Cカップリング反応、水素化、異性化、シリル化、およびヒドロホルミル化における触媒としての、一般式(I)および(II)の化合物の使用。
【請求項20】
交差メタセシス(CM)、閉環メタセシス(RCM)、開環メタセシス重合(ROMP)、アクリルジエンメタセシス重合(ADMET)、およびエン−インメタセシスなどのオレフィンメタセシス反応における触媒としての、一般式(I)および(II)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−501814(P2007−501814A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522912(P2006−522912)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007775
【国際公開番号】WO2005/016522
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】