説明

PCカード

【課題】 外部と信号を送受するコネクタ部の厚さ方向の大きさにも関わらず、重なって並設された2つのPCカードスロットに同時に使用できるPCカードを提供すること。
【解決手段】 カードスロット側コネクタ20と、エレクトロニクス回路部が内蔵されたカード部11と、カードスロット側コネクタ20とは逆側に設けられ外部との信号の送受を行う外部接続用のコネクタ部12とを備えるPCカードであり、外部接続用のコネクタ部12とカード部11とは分離可能であり、外部接続用のコネクタ部の厚さはカード部11の厚さよりも大であり、カード部11の主面の一方と、外部接続用のコネクタ部12の一面は略同一面上にあるPCカードである。また、外部接続用のコネクタ部12の方向を反転してカード部11と接続しても、反転前と同じ信号をカード部11との間で送受できる電気的接続回路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルコンピュータに搭載されたPCカードスロットに差し込んで使用するPCカードに関する。
【背景技術】
【0002】
PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)のインターフェースによるPCカードは従来から多様な用途に使用されている。たとえば特許文献1に開示された技術はノイズ対策を強化したPCカードの例である。
【0003】
従来、この種のPCカードのうち、外部と信号を送受するコネクタ部分が大型化したものでは、2スロットのPCカードスロットを搭載しているコンピュータのPCカードスロットの、たとえば下段に差し込んだ場合、上段は使用できなくなっていた。また、上段に差し込んだ場合、下段には上段に差し込んだPCカードにぶつからない程度の厚さのPCカードしか差し込めないといった状況があった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−290588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すでに説明したように、従来技術では、外部と信号を送受するコネクタ部分がPCカードとして一体であり、2スロットの両方を使うとき、使用できるPCカードのコネクタ部分の大きさに制約があった。
【0006】
この状況にあって、本発明の課題は外部と信号を送受するコネクタの厚さ方向の大きさにも関わらず、重なって並設された2つのPCカードスロットに同時に使用できるPCカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、従来は、外部との信号を接続するコネクタがPCカードとして一体であった部分を、外部との信号を接続をするコネクタ部と、主なエレクトロニクス回路が内蔵されたカード部とに分離可能にし、外部との信号を接続するコネクタ部の方向を入れ換えることを可能とすることで、2スロットのPCカードスロットを搭載したパーソナルコンピュータのPCカードスロットに、外部との信号を接続するコネクタ部分が大きなPCカードを2枚同時に差し込むことができ、これまで外形上の制約で同時に使用できなかったPCカードを使用可能にする。
【0008】
すなわち、本発明のPCカードは、カードスロット側コネクタと、エレクトロニクス回路部が内蔵されたカード部と、前記カードスロット側コネクタとは逆側に設けられ外部との信号の送受を行う外部接続用コネクタとを備えるPCカードにおいて、前記外部接続用コネクタと前記カード部とは分離可能であり、前記外部接続用コネクタの厚さ方向の寸法は前記カード部の厚さよりも大であり、前記カード部の主面の一方と、前記外部接続用コネクタの外形の一面とは略同一面上にあることを特徴とする。
【0009】
また、前記外部接続用コネクタ部の方向を反転して前記カード部と接続しても、反転前と同じ信号をカード部との間で送受できる電気的接続回路を有するとよい。
【0010】
そして、前記外部接続用コネクタ部とカード部とは嵌合機構及びロック機構を有するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部との信号を接続するコネクタ部と、主なエレクトロニクス回路が内蔵されたカード部とを分離可能に構成し、2スロットのPCカードスロットを搭載したパーソナルコンピュータのPCカードスロットに外部との信号を接続するコネクタ部が大きなPCカードを2枚差し込んでも使用できるPCカードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施の形態でのカード部とコネクタ部の嵌合状態を、その一部を切り開いて示す平面図である。11はエレクトロニクス回路が内蔵されたカード部であり、12は、カード部11が外部との信号の接続を行うための外部コネクタ17を備えるコネクタ部であり、20はコンピュータとの接続用のカードスロット側コネクタである。また、13及び14は、それぞれカード部11側及びコネクタ部12側に備えられ互いに接続する接続用コネクタである。さらに、15は、カード部11とコネクタ部12との嵌合のロック機構であり、カード部11側の溝151と、コネクタ部12側のかぎ状爪152からなる。また、16はロック機構15においてロックされた嵌合状態を解除するための押し込みノブであり、17はコネクタ部12から外部への接続を行う外部コネクタ、181はエレクトロニクス回路及び接続用コネクタ13を実装するカード部11側のプリント基板であり、182は接続用コネクタ14、外部コネクタ17などを実装又は搭載するコネクタ部12側のプリント基板である。
【0013】
図2は、本実施の形態のカード部11とコネクタ部12の嵌合状態を示し、側面からの部分断面図で描かれている。図2(a)はカード部の接続部を断面で表した部分断面図、図2(b)はカード部及びコネクタ部の接続部を断面で表した部分断面図である。
【0014】
図3は、図2の場合とコネクタ部12の上下方向を入れ換えたときの、カード部11との嵌合状態を側面から示し、図3(a)はカード部の接続部を断面で表した部分断面図、図3(b)はカード部及びコネクタ部の接続部を断面で表した部分断面図である。このように、カード部11を固定したままで、コネクタ部12の上下方向を入れ換えても、入れ換え前と同じ信号をカード部11との間で送受できる電気的接続回路が形成されている。
【0015】
図4は、カード部11の構造詳細図を示す。図4(a)は部分拡大図を伴う左側面図、図4(b)は平面図、図4(c)は正面図である。カード部11はプリント基板181と、外部接続用のコネクタ部12への接続用のコネクタ接触片221を備える接続用コネクタ13と、エレクトロニクス回路などを保持するフレーム19とからなる。またフレーム19には外部接続用のコネクタ部12との嵌合を行う溝151が設けられ、この溝151は、左右対称(図面では上下対称)の位置に存在する。また、接続用コネクタ13のコネクタ挿入方向に極性はない。
【0016】
図5は、コネクタ部12の構造詳細図を示し、図5(a)は平面図、図5(b)は部分拡大図を伴う側面図、図5(c)は部分断面を含む正面図、図5(d)は正面図である。コネクタ部12にはプリント基板182、カード部11との接続用コネクタ14、外部との接続用の外部コネクタ17及びコネクタ部を構成するのに必要な部材を保持する構造部21で構成する。構造部21にはカード部11との嵌合をロックするかぎ状爪152及び嵌合のロックを解除する押し込みノブ16を有する。また、かぎ状爪152は左右対称の位置に存在し、カード部11との接続用コネクタ14ではコネクタ接触片222はコネクタ挿入方向に極性がないように形成されている。
【0017】
カード部11とコネクタ部12の嵌合の経過を図6、図7、図8で説明する。図6はカード部11とコネクタ部12の嵌合前の状態を示す平面図であり、接続部の付近を切り開いて示した。
【0018】
図7はカード部11とコネクタ部12の嵌合途中過程を示す平面図であり、嵌合部付近の様子を示す部分拡大図を伴う。その嵌合途中においてコネクタ部12のかぎ状爪152は、カード部11の溝151の滑らかな部分により案内される。さらにコネクタ部12を押し込むと溝151に、かぎ状爪152が案内されロック状態となる。図8はそのロック状態を示す平面図であり、接続部付近は切り開いて示され、左側には嵌合部の拡大図を伴う。
【0019】
次に、コネクタ部12をカード部11からロックを解除し分離する過程を図9、図10、図11で説明する。図9はカード部11とコネクタ部12が嵌合しロックされた状態を示す他の平面図であり、接続部付近は切り開いて示され、左側には嵌合部と押し込みノブの拡大図を伴う。
【0020】
図10はロックが解除された状態を示す平面図であり、接続部付近は切り開いて示され、嵌合部の部分拡大図を伴っている。コネクタ部12に設けられた押し込みノブ16を押すことでかぎ状爪152が溝151から外れる。
【0021】
図11は押し込みノブ16を押したまま嵌合を解除して分離する途中過程を示す平面図であり、かぎ状爪152は完全に溝151から解除される。なお、図11は接続部付近を切り開いて示され、左側に嵌合部の部分拡大図を伴う。
【0022】
図12に本実施の形態でのPCカードの2つをコンピュータに実装する例を示す。図12(a)は2スロットのPCスロットを示す斜視図であり、図12(b)は2つのPCカードを実装した状態を示す斜視図である。図12(a)にはパーソナルコンピュータ23に厚さ方向に並設された2つのカードスロット24を示した。また、図12(b)のように、本発明ではカード部11の下面又は上面がそれぞれコネクタ部12の下面又は上面にほぼ一致しているので、外部接続用のコネクタ部12の厚さ(高さ)がカード部11の厚さより大であるにもかかわらず、2つのPCカードが同時に使用可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態でのカード部とコネクタ部の嵌合状態を示す平面図。
【図2】本発明の一実施の形態でのカード部とコネクタ部の嵌合状態を側面から示し、図2(a)はカード部の接続部を断面で表した部分断面図、図2(b)はカード部及びコネクタ部の接続部を断面で表した部分断面図。
【図3】図2に対しコネクタ部の上下方向を入換えたときの、カード部との嵌合状態を側面から示し、図3(a)はカード部の接続部を断面で表した部分断面図、図3(b)はカード部及びコネクタ部の接続部を断面で表した部分断面図。
【図4】本発明の一実施の形態でのカード部の構造詳細図であり、図4(a)は部分拡大図を伴う左側面図、図4(b)は平面図、図4(c)は正面図。
【図5】本発明の一実施の形態でのコネクタ部の構造詳細図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は部分拡大図を伴う右側面図、図5(c)は部分断面を含む正面図、図5(d)は正面図。
【図6】本発明の一実施の形態でのカード部とコネクタ部の嵌合前の状態を示す平面図。
【図7】本発明の一実施の形態でのカード部とコネクタ部の嵌合途中過程を示す平面図。
【図8】本発明の一実施の形態でのカード部とコネクタ部のロック状態を示す平面図。
【図9】本発明の一実施の形態でのカード部とコネクタ部が嵌合しロックされた状態を示す他の平面図。
【図10】本発明の一実施の形態でのロックが解除された状態を示す平面図。
【図11】本発明の一実施の形態での嵌合を解除して分離する途中過程を示す平面図。
【図12】本発明の一実施の形態でのPCカードの2つをコンピュータに実装する例を示し、図12(a)は2スロットのPCスロットを示す斜視図、図12(b)は2つのPCカードを実装した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0024】
11 カード部
12 コネクタ部
13,14 接続用コネクタ
15 ロック機構
16 押し込みノブ
17 外部コネクタ
19 フレーム
20 カードスロット側コネクタ
21 構造部
23 パーソナルコンピュータ
24 カードスロット
151 溝
152 かぎ状爪
181,182 プリント基板
221,222 コネクタ接触片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードスロット側コネクタと、エレクトロニクス回路部が内蔵されたカード部と、前記カードスロット側コネクタとは逆側に設けられ外部との信号の送受を行う外部接続用コネクタとを備えるPCカードにおいて、前記外部接続用コネクタと前記カード部とは分離可能であり、前記外部接続用コネクタの厚さ方向の寸法は前記カード部の厚さよりも大であり、前記カード部の主面の一方と、前記外部接続用コネクタの外形の一面とは略同一面上にあることを特徴とするPCカード。
【請求項2】
請求項1記載のPCカードにおいて、前記外部接続用コネクタ部の方向を反転して前記カード部と接続しても、反転前と同じ信号をカード部との間で送受できる電気的接続回路を有することを特徴とするPCカード。
【請求項3】
請求項1又は2記載のPCカードにおいて、前記外部接続用コネクタ部とカード部とは嵌合機構及びロック機構を有することを特徴とするPCカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−236090(P2006−236090A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51170(P2005−51170)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】