説明

PDE4阻害剤としての[1,7]ナフチリジン

遊離形または塩形の式(I)
【化1】


〔式中、R、RおよびRは明細書で定義の意味を有する。〕は、ホスホジエステラーゼタイプ4が介在する疾患の処置またはTNF−α放出の下方制御または阻害に、特に閉塞性または炎症性気道疾患に有用である。該化合物を含む医薬組成物および該化合物の製造法も記載する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有機化合物、その製造および医薬としてのその使用に関する。
【0002】
一つの態様において、本発明は、遊離形または塩形の式I
【化1】

〔式中、
は10個までの炭素原子を有する1価芳香族基であり、そして
とRは、それらが結合している窒素原子と共に10個までの環原子を有し、かつ環系に1個から4個のヘテロ原子を有するヘテロ環基を意味する。〕
の化合物を提供する。
【0003】
本明細書で使用する“C−C−アルキル”なる用語は、直鎖または分枝鎖C−C−アルキルを意味し、それは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、直鎖または分枝鎖ペンチル、直鎖または分枝鎖ヘキシル、直鎖または分枝鎖ヘプチル、または直鎖または分枝鎖オクチルを意味し得る。好ましくは、C−C−アルキルはC−C−アルキルである。
【0004】
本明細書で使用する“C−C−アルキルチオ”は、チオで置換されている直鎖または分枝鎖C−C−アルキルを意味し、それは、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、直鎖または分枝鎖ペンチルチオ、直鎖または分枝鎖ヘキシルチオ、直鎖または分枝鎖ヘプチルチオ、または直鎖または分枝鎖オクチルチオであり得る。好ましくはC−C−アルキルチオはC−C−アルキルチオである。
【0005】
本明細書で使用する“C−C−アルコキシ”は直鎖または分枝鎖C−C−アルコキシを意味し、それは、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、直鎖または分枝鎖ペントキシ、直鎖または分枝鎖ヘキシルオキシ、直鎖または分枝鎖ヘプチルオキシ、または直鎖または分枝鎖オクチルオキシであり得る。好ましくは、C−C−アルコキシはC−C−アルコキシである。
【0006】
本明細書で使用する“カルボキシ−C−C−アルコキシ”は、アルキルをカルボキシで置換されている直鎖または分枝鎖C−C−アルコキシを意味し、それは、例えば、カルボキシ−メトキシ、カルボキシ−エトキシ、カルボキシ−n−プロポキシ、カルボキシ−イソプロポキシ、カルボキシ−n−ブトキシ、カルボキシ−イソブトキシ、カルボキシ−sec−ブトキシ、カルボキシ−tert−ブトキシ、直鎖または分枝鎖カルボキシ−ペントキシ、直鎖または分枝鎖カルボキシ−ヘキシルオキシ、直鎖または分枝鎖カルボキシ−ヘプチルオキシ、または直鎖または分枝鎖カルボキシ−オクチルオキシであり得る。好ましくは、カルボキシ−C−C−アルコキシはカルボキシ−C−C−アルコキシである。
【0007】
本明細書で使用する“C−C−ハロアルキル”は、1個またはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは1個、2個または3個のハロゲン原子で置換されている前記で定義のC−C−アルキルを意味する。
【0008】
本明細書で使用する“C−C−ハロアルコキシ”は、1個またはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは1個、2個または3個のハロゲン原子で置換されている前記で定義のC−C−アルコキシを意味する。
【0009】
本明細書で使用する“アシル”は、アルキルカルボニル、例えばC−C−アルキルが前記のC−C−アルキル基であり得、所望により1個またはそれ以上のハロゲン原子で置換されているC−C−アルキルカルボニル;シクロアルキルカルボニル、例えば、C−C−シクロアルキルが、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルであり得る、C−C−シクロアルキルカルボニル;フリルカルボニル、テトラヒドロフリルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニルまたはピリジルカルボニルのような、環中に窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1個または2個のヘテロ原子を有する5−または6−員ヘテロシクリルカルボニル;アリールカルボニル、例えばベンゾイルのようなC−C10−アリールカルボニル;またはアラルキルカルボニル、例えばベンジルカルボニルまたはフェニルエチルカルボニルのようなC−C10−アリール−C−C−アルキルカルボニルを意味する。
【0010】
本明細書で使用する“C−C−アルコキシカルボニル”は、その酸素原子を介してカルボニル基に結合している、前記で定義のC−C−アルコキシを意味する。
【0011】
本明細書で使用する“C−C−ハロアルコキシカルボニル”は、その酸素原子を介してカルボニル基に結合している、前記で定義のC−C−ハロアルコキシを意味する。
【0012】
本明細書で使用する“C−C−ヒドロキシアルコキシカルボニル”および“C−C−アルコキシ−C−Cアルコキシカルボニル”は、C−C−アルコキシ基が、各々ヒドロキシでまたはさらにC−C−アルコキシ基で置換されているC−C−アルコキシカルボニルを意味する。
【0013】
本明細書で使用する“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る;それは好ましくはフッ素、塩素または臭素である。
【0014】
は、例えば、所望により好ましくはシアノ、ハロゲン、カルボキシ、アミノカルボニル、C−C−ハロアルキルまたはC−C−ハロアルコキシから選択される1個またはそれ以上の電子求引性置換基、好ましくは1個または2個のこのような置換基で置換されている、および/または所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、またはRは、他の環、例えば4個までの炭素原子を有する3から8員ヘテロ環式環と縮合したフェニルであるか、または、Rは、10個までの環原子を有しかつ1個から4個までの、好ましくは窒素、酸素および硫黄から選択される環ヘテロ原子を有するヘテロ環式芳香族基、例えばフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラザニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリルまたはベンゾイミダゾリルのようなヘテロシクリル基であり得、このヘテロシクリル基は非置換であるか例えば少なくとも1個のC−C−アルキル、ハロゲンまたはC−C−アルコキシで置換されている。好ましい基Rは(a)シアノ、ハロゲン(特にフッ素または塩素)、カルボキシまたはC−C−ハロアルコキシで置換され、かつ所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニル、(b)C−C−アルコキシで置換されているフェニルおよび(c)5または6個の環原子かつ1個または2個のヘテロ原子を有する芳香族性ヘテロ環基を含む。
【0015】
それらが結合している窒素原子と共にRとRにより意味されるヘテロ環基は、例えば、所望により置換されているアゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフルフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アザシクロヘプタン−2−オン−3−イル、インドリニル、イソインドリニルまたはベンズイミダゾリニル基であり得る。好ましくは、それは6個の環原子と環内に1個または2個のヘテロ原子を有し、好ましくは飽和されており、第2のヘテロ原子は、存在する場合、好ましくは窒素または酸素である。例えば、ヘテロ環基は、6個まで、好ましくは4個、5個または6個の環原子を有し、かつ1個または2個の環へテロ原子、好ましくは1個または2個の窒素原子または1個の窒素と1個の酸素原子を有し、所望によりC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシル(好ましくは窒素、酸素または硫黄原子を環内に有する5−または6−員ヘテロシクリルカルボニル、とりわけ5−員O−ヘテロシクリルカルボニル)、アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−ハロアルコキシカルボニル、C−C−ヒドロキシアルコキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルスルホニル、または所望によりヒドロキシ、シアノ、カルボキシもしくはC−C−アルコキシカルボニルで置換されているC−C−アルキルからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、好ましくは飽和されている、ヘテロシクリル基である。
【0016】
好ましい遊離形または塩形の式Iの化合物は、式中、
がシアノ、ハロゲン、カルボキシまたは所望によりC−C−ハロアルコキシからなる群から選択される1個または2個の置換基で選択され、かつ所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、またはRがC−C−アルコキシで置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個または2個のヘテロ原子を有するヘテロ環基を意味する、
ものである。
【0017】
さらに好ましい遊離形または塩形の式Iの化合物は、式中、
が、示されるナフチリジン環のメタ位をシアノ、ハロゲン、カルボキシまたはC−C−ハロアルコキシからなる群から選択される1個または2個の置換基で置換され、かつ所望により示されるナフチリジン環のオルト位をC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、またはRが示されるナフチリジン環のメタ位をC−C−アルコキシで置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個もしくは2個の窒素原子または1個の窒素原子と1個の酸素原子を有し、所望によりヒドロキシ、カルボキシ、5−員O−ヘテロシクリルカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルスルホニルでまたは、所望によりヒドロキシ、シアノ、カルボキシもしくはC−C−アルコキシカルボニルで置換されているC−C−アルキルで置換されているヘテロシクリル基を意味する、
ものである。
【0018】
他の好ましい遊離形または塩形の式Iの化合物は、式中、
が、所望によりシアノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ、−SO−C−C−アルキル、および3個から8個の環原子を有し、その中の4個までが炭素原子であり得かつ4個までがヘテロ原子であり得るヘテロ環式環と縮合しているフェニルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個または2個のヘテロ原子を有し、所望によりカルボキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシまたはC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロ環基を意味し、該ヘテロ環基はまた所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されている、
ものである。
【0019】
さらに好ましい遊離形または塩形の式Iの化合物は、式中、
が、所望によりシアノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ、−SO−C−C−アルキル、5個または6個の環原子を有し、その中の4個までが炭素原子であり得かつ2個までがヘテロ原子であり得るヘテロ環式環と縮合しているフェニルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に、6個までの環原子を有し、かつ1個または2個の窒素原子を環内に有し、所望によりカルボキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシまたはC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロ環基を意味し、該ヘテロ環基はまた所望によりC−C−アルキルで置換されている、
ものである。
【0020】
式Iで示される化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成できる。式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸および酪酸のような脂肪族モノカルボン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸のような脂肪族ヒドロキシ酸、マレイン酸またはコハク酸のようなジカルボン酸、安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸またはトリフェニル酢酸のような芳香族性カルボン酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸または3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸のような芳香族性ヒドロキシ酸、およびメタンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸のものを含む。これらの塩は、式Iの化合物から、既知の塩形成法により製造し得る。
【0021】
酸性基、例えばカルボキシル基を有する式Iの化合物は、塩基と、特に当分野で既知の薬学的に許容される塩基と塩を形成できる;適当なこのような塩は、金属塩、特にナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩または、アンモニアまたは、エタノールアミン、ベンジルアミンもしくはピリジンのような薬学的に許容される有機アミンまたはヘテロ環式塩基との塩を含む。これらの塩は、式Iの化合物から、既知の塩形成法により製造し得る。
【0022】
式中、R、または一体となったRとRが不斉炭素原子を含む場合、遊離形または塩形の式Iの化合物は、個々の光学活性異性体形でまたはそれらの混合物として、例えば、ラセミ体またはジアステレオマー混合物として存在する。本発明は、個々の光学活性RおよびS異性体ならびにその混合物、例えば、ラセミ体またはジアステレオマー混合物の両方を包含する。
とりわけ好ましい式Iの化合物は、実施例に記載のものである。
【0023】
本発明は、また、
(i)(A)所望により保護された形の式
【化2】

〔式中、Rは前記で定義の通りであり、そしてLは脱離原子または基、例えばハロゲンまたはトリフルオロメチルスルホニルオキシのような脂肪族または芳香族性スルホニルオキシ基である。〕
の化合物と、所望により保護された形の式
【化3】

〔式中、RおよびRは前記で定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、続いて必要に応じて脱保護し;
【0024】
(B)式中、RとRが結合している窒素原子と共にC−C−アルコキシカルボニル基で置換されているヘテロシクリル基を意味する式Iの化合物を反応させてアルコキシカルボニル基をカルボキシに変換し;
(C)式中、RとRが結合している窒素原子と共にカルボキシ−C−C−アルコキシで置換されているヘテロシクリル基を意味する式Iの化合物を製造するために、式中、RとRが結合している窒素原子と共にC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロシクリル基である式Iの化合物を加水分解するか;または
(D)式中、Rが−SO−C−C−アルキルで置換されているフェニルである式Iの化合物を製造するために、式中、RがC−C−アルキルチオで置換されているフェニルを酸化し;そして
(ii)遊離形または塩形の生成物を所得する
ことを含む、遊離形または塩形の式Iの化合物の製造法も提供する。
【0025】
変法(A)は、脱離原子または基とアミンの反応に関して既知の方法を使用して、または類似の方法により、例えば実施例に記載したように行い得る。所望の反応に関与する以外の官能基の反応の可能性を最小にすることが望ましい場合、このような官能基を慣用の保護基で保護し得る。例えば、式IIIの化合物中、一体となったRとRがアミノ基を含む場合、式IIとIIIの化合物の反応後、慣用の脱保護反応により除去できるtert−ブトキシカルボニルのような保護基で保護し得る。
【0026】
変法(B)は、アルコキシカルボニル基のカルボキシ基への変換の既知の方法を使用して、例えば水性水酸化アルカリ金属との加水分解、または、実施例に後記のように同様に行い得る。
【0027】
変法(C)は、エステルのカルボン酸への加水分解の既知の方法を使用して、例えばトリフルオロ酢酸を使用してまたは、実施例に後記のように同様に行い得る。
【0028】
変法(D)は、スルファニル基のスルフィニル基への酸化の既知の方法を使用して、例えば過酸化水素もしくはオゾンを使用して、または、実施例に後記のように同様に行い得る。
【0029】
式IIの化合物は、WO98/18796に記載のようにまたはそれに準じて製造し得る。式IIIの化合物は市販であるか、または既知の方法で製造し得る。
【0030】
保護官能基または保護基に関して本明細書で言及されている場合、官能基の性質にしたがい、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, John Wiley & Sons Inc, Second Edition, 1991に記載のように、保護基を選択し得、この引用文献は保護基を水素で置換するのに適した方法も記載する。
【0031】
遊離形または塩形の式Iの化合物は、医薬として有用である。したがって、本発明はまた医薬として使用する遊離形または塩形の式Iの化合物を提供する。遊離形または塩形の式Iの化合物は、以後、“本発明の薬剤”と呼ぶことがあるが、タイプ4イソ酵素に選択的な、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)イソ酵素阻害活性を有する。本発明の薬剤は、抗炎症性、抗気道過敏性および気管支拡張性特性を有する。それはさらに免疫抑制性およびTNFα分泌阻害活性を有する。薬理学的活性は、例えば下記のような試験法で証明し得る:
【0032】
PDE4イソ酵素阻害アッセイ
クローニング:3つのイソ酵素、ヒトPDE4A、ヒトPDE4BおよびヒトPDE4Dのコード領域を含む、PDE4 cDNA構築物が側面にあるGATEWAYをPCRにより生成し、GATEWAYシャトルベクターpDONOR−201に転置する。加えて、6−ヒスチジンタグを、各構築物のPCRによりカルボキシル末端に挿入し、タンパク質精製を容易にする。配列確認に続き、PDE4構築物をGATEWAY発現ベクターpDEST−8に転置する。所期の組み換え体を選択し、大腸菌株DH10Bacに転置し、生成したbacmidを、SF21細胞にBac-To-Bac(Invitrogen Life Technologies)を使用してトランスフェクションする。所期のトランスフェクション体を選択し、タンパク質発現に使用するための高力価ウイルスストックの生成に使用する。
【0033】
PDE4発現:Sf21細胞を2×10細胞/mlの密度まで増殖させ、ヒトPDE4A、PDE4BまたはPDE4D3含有バキュロウイルスで、1の多重感染度(m.o.i.)に至るまで72時間感染させる。感染した細胞を、1,400gで4分、4℃の遠心により回収し、ペレットを−80℃で凍結する。Sf21(ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)21)昆虫細胞を、SF00無血清培地(Invitorgen Life Technologies)中、常法により3×10から3×10細胞/mlの間の密度に維持する。Sf21細胞(1×10)を100ml冷(4℃)融解緩衝液(50mM NaHPO、200mM NaCl、10mM イミダゾール)に再懸濁する。細胞を氷上で30分インキュベートし、次いで15,000gで20分、4℃で遠心する。
【0034】
PDE4精製:6ヒスチジン−タグ付けしたPDE4タンパク質を、バッチ式Ni−NTA精製ストラテジー(QIAGEN)により粗細胞融解物から単離する。N−NTA樹脂を前もって予備洗浄してエタノール保存剤を除去し、融解緩衝液で平衡化する。細胞融解物を添加し(10ml 50%Ni−NTAスラリー樹脂/50ml融解物)、ミキサー上で4℃で1−2時間穏やかに回転させる。サンプルを次いで1,000gで5分、4℃で、Denley benchtop遠心機で遠心する。上清を除去し、樹脂を50ml氷冷洗浄緩衝液(50mM NaHPO、300mM NaClおよび20mM イミダゾール)で3回洗浄し、次いで1,000gで5分、4℃で遠心する。6His−タグ付けしたタンパク質が3×5ml氷冷溶出緩衝液(50mM NaHPO、300mM NaCl、250mM イミダゾール)により溶出し、1,000gで5分、4℃の遠心により回収する。次いで、上清を貯蔵し、その後緩衝液を交換してVivaScience 20ml 5K 0.2μM遠心機を使用して濃縮する。サンプルを等分し、−20℃で貯蔵する。
【0035】
SDS−PAGE電気泳動:精製PDE4サンプルを、8−16%勾配ミニ−ゲル(Novex)を使用したSDS−PAGEで分析し、サンプルを100℃で還元サンプル緩衝液(62mM Tris−HCl pH6.8、10%グリセロール、3%SDS、5%β−メルカプトエタノール、0.02%ブロモフェノールブルー)で3分変性し、その後負荷する。Novex SeeBlueで予め染色したMW標準も負荷する。ゲルを一定25mAで流す。ゲルをGelCode Colloidal Coomassie G-250 Blue Stain Reagent(Pierce)で製造者の方法にしたがって染色する。
【0036】
ウェスタンブロット分析:サンプルを上記のようにNovex 8−16%勾配ゲルで分析する。次いでMillipore Immobilon-P PVDF膜上に、25mM Tris−HCl pH8.8、192mM グリシン、15%メタノール移動緩衝液でタンク移動法を使用して、80mAで16時間ブロットする。免疫プロービングをTTBS緩衝液(20mM Tris−HCl pH7.6、0.9%(w/v)NaCl、0.05%(v/v)Triton X−100、0.5%(w/v)カゼイン)中、1:1000希釈の抗6hisモノクローナル抗体(QIAGEN)と行い、1:10000希釈で抗マウスIgGアルカリホスファターゼコンジュゲートを二次抗体(Sigma A9919)として使用し、試薬製造業者指示の方法にしたがって錠剤(Sigma)から調製したBCIP/NBT基質でタンパク質を可視化する。
【0037】
PDE4アッセイ:アッセイは、Amersham Pharmacia Biotechシンチレーション近接アッセイ(SPA)法に基づく。酵素を、アッセイ中10−30%の総基質加水分解が得られるように、酵素希釈緩衝液(10mM Tris−HCl、pH7.51mM EDTA含有)で希釈する。酵素反応を、10μl希釈酵素を96ウェルマイクロタイタープレート中の80μl基質(0.1μCi[H]−cAMP、1μM cAMP)および10μl阻害剤溶液に添加することにより開始する。30−60分、室温でインキュベーション後、50μl PDE SPAビーズ(20mg/ml)の添加により反応を停止する。30分後、プレートを遠心し(3000g、10分)、計数する(Packard TopCount)。
【0038】
阻害剤貯蔵溶液を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に調製し、DMSO/水で希釈して0−100%阻害の範囲をカバーするための10濃度を達成する。DMSOの濃度は、アッセイを通して1%(v/v)で一定に保つ。50%阻害が起こる濃度(IC50)を、慣用法の阻害−濃度曲線から決定する。PDE4イソ酵素グループ中、本発明の薬剤は一般にPDE4A、PDE4BおよびPDE4Cと比較して、PDE4Dイソ酵素の阻害に選択性を示す。実施例1、3、12、15、37および39の化合物は、上記のアッセイにおけるPDE4Dの阻害に関して各々1nM、3.1nM、2.5nM、10.4nM、14.0nMおよび8.0nMのIC50値を有する。
【0039】
PDE4の結合をそれらが阻害することを考慮すれば、本発明の薬剤はPDE4が介在する状態、特に炎症性状態の処置に有用である。本発明の処置は対症的または予防的であり得る。
【0040】
したがって、本発明の薬剤は、例えば、組織傷害、気管支過敏症、リモデリングまたは疾患進行の減少をもたらすような、炎症性または閉塞性気道疾患の処置に有用である。本発明を適用できる炎症性または閉塞性気道疾患は、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度の喘息、中程度の喘息、重篤な喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および、細菌またはウイルス感染後に誘発された喘息を、その態様または原因にかかわりなく、含む。喘息の処置は、主要な医学的関心事の確立された患者範疇であり、現在、初期喘息患者または早期喘息患者としてしばしば同定されている“喘鳴幼児”と診断されたまたは診断可能な、喘鳴症状を示す、例えば、4歳または5歳より小さい対象の処置を包含すると理解されるべきである。(簡便のために、この特定の喘息状態を、“喘鳴幼児症候群”と呼ぶ。)
【0041】
喘息の処置における予防的効果は、例えば、急性喘息用発作または気管支収縮を伴う発作のような症候的発作の頻度または重症度の減少、肺機能の改善または気道過敏性の改善により明らかである。これは、さらに他の対症的治療、すなわち、発作が起きた場合に症候的発作を限定するまたは途中で止めるためのまたはこれを意図した、例えば抗炎症的(例えば、副腎皮質ステロイド)または気管支拡張的治療の必要性の減少により明らかとなり得る。喘息における予防的利点は、特に、“早朝発作(morning dipping)”の傾向のある対象で明らかであり得る。“早朝発作”は喘息患者のかなりの割合に共通し、午前4時から6時の間、すなわち、通常対症的喘息治療の前回の投与から一番遠い時間の喘息の発作により特徴付けられる認識されている喘息の症候群である。
【0042】
本発明を適応できる他の炎症性または閉塞性気道疾患および状態は、急性肺障害(ALI)、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、付随する慢性気管支炎または呼吸困難を含む慢性閉塞性肺(pulmonary)、気道または肺(lung)疾患(COPD、COADまたはCOLD)、気腫、ならびに他の薬剤治療、特に他の吸入薬治療の結果としての気道過敏性の発症を含む。本発明はまた、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む、どんなタイプまたは原因であれ気管支炎を含む。さらに、本発明が適応可能な炎症性または閉塞性気道疾患は、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症を含む、どんなタイプまたは原因であれ、塵肺症(しばしば気道の閉塞を伴い、慢性または急性であり、しばしば粉塵の繰り返し吸引により起こる、肺の炎症性の、一般に職業的な疾患)を含む。
【0043】
その抗炎症性活性、その気道過敏性における影響および、特に選択的タイプ4阻害剤としての、PDEイソ酵素阻害に関するそのプロフィールを考慮すれば、本発明の薬剤は閉塞性または炎症性気道疾患の処置、特に予防的処置に有用である。このように、本発明の薬剤の長期間にわたる継続したかつ定期的な投与により、閉塞性または炎症性気道疾患の結果として起こる気管支収縮または他の症候的発作の再発に対する有利な保護を提供するのに、または、このような疾患の基底状態のコントロール、軽減または回復のために有用である。
【0044】
その気管支拡張性活性を考慮して、本発明の薬剤は気管支拡張剤として、例えば慢性または急性気管支収縮の処置に、例えば閉塞性または炎症性気道疾患の対症的処置に有用である。
【0045】
TNF−α放出の選択的阻害剤としてのその活性を考慮すれば、本発明の薬剤はまたTNF−α放出の下方制御または阻害に、例えばTNF−α放出が関与するまたは仲介の役割を演じる疾患または状態、例えば望ましくない、過剰なまたは非制御のTNF−α放出が関係するまたはこれらが含まれる病因を有する疾患または状態の処置に、特に悪液質または内毒素ショックの処置およびAIDSの処置[Sharief et al, Mediators of Inflammation, 1 323-338 (1992)参照]、例えば細菌、ウイルスまたは寄生虫感染の結果のまたは体液性または他の臓器、例えば腎臓の機能の損失または低下の結果の悪液質、癌、マラリアおよび寄生虫悪液質、下垂体、甲状腺または胸腺の不全に由来する悪液質ならびに尿毒性悪液質を含むどんな原因であれ病的なTNF−α放出またはTNF−α血清レベルが関連する悪液質の処置および特にAIDS関連悪液質、すなわちHIV感染の結果のまたはそれに関連する悪液質の処置に有用である。
【0046】
本発明の方法はまた敗血症ショック、例えば、細菌感染に由来するショック状態の処置に適応できる。この点に関して、本発明は敗血症ショックならびに敗血症ショックの結果の状態またはその症状、例えばARDSの処置法を提供する。
【0047】
本発明の薬剤はさらにHIV関連の結果の疾患、例えばAIDSの処置に、例えばこのような疾患の軽減または進行の制御のために適応できる。
【0048】
PDEイソ酵素の阻害および/またはTNF−α放出阻害に関連するそのプロフィール、ならびにその免疫抑制性活性を考慮して、本発明の薬剤はまた免疫抑制剤として、例えば自己免疫疾患の処置に、特に炎症性過程が関与するまたは炎症性要素または病因を有する自己免疫疾患の処置に、または抗炎症剤として炎症性疾患の処置に、特に自己免疫性応答が関与するまたは自己免疫性要素または病因を有する炎症性疾患の処置に有用である。本発明が適応できるこのような疾患の例は、自己免疫性血液学的疾患(例えば溶血性貧血、無形成性貧血、真正赤血球性貧血および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブン−ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌性眼疾患、グレーブス病、サルコイドーシス、歯槽骨炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(I型糖尿病)、ブドウ膜炎(前部および後部)、乾性角結膜炎および春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎および糸球体腎炎(ネフローゼ症候群ありまたはなし、例えば特発性ネフローゼ症候群または微小変化ネフロパシーを含む)ならびに炎症性および/または乾癬、アトピー性皮膚炎、天疱瘡および、特に、接触性皮膚炎、例えばアレルギー性接触性皮膚炎のような過増殖性皮膚疾患を含む。
【0049】
本発明の薬剤は特に関節炎および他のリウマチ性または炎症性疾患の処置、とりわけリウマチ性関節炎の処置に有用である。
【0050】
免疫抑制剤として、本発明の薬剤はさらに移植片拒絶反応の予防に、例えば腎臓、肝臓、肺、心臓、心肺、腸、骨髄、皮膚または角膜移植に関連した、例えば同種臓器移植片などの維持に有用である。
【0051】
PDEイソ酵素の阻害に関連するそのプロフィール、特に特に選択的タイプ4阻害剤としてのそのプロフィールを考慮すれば、本発明の薬剤はさらに組織カルシウム枯渇が関与する疾患、特にカルシウム枯渇が関連する骨および関節の退行性疾患、とりわけ骨粗鬆症の処置に有用である。この点に関して、それらはさらに鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹および胃腸アレルギーのようなアレルギー性炎症性疾患の処置に;血管拡張剤として、例えばアンギナ、高血圧、虚血/再潅流傷害、鬱血性心不全および多発脳梗塞性痴呆の処置に;およびPDE4の阻害が示唆される他の状態、例えば、鬱、アルツハイマー病、パーキンソン病および卒中を含む低下した認知機能により特徴付けられる状態および疾患の処置に有用である。
【0052】
本発明の薬剤はまた抗炎症性、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または免疫抑制剤のような他の薬剤と組み合わせた共治療剤として、特に上記のような炎症性疾患、例えば閉塞性または炎症性気道疾患、自己免疫性疾患または移植片拒絶反応の処置において、例えばこのような薬剤の治療活性の強化剤としてまたはこのような薬剤の必要な投与量または可能性のある副作用を減少させる手段として有用である。本発明の薬剤は他の薬剤物質と固定された医薬組成物として混合し得、または他の薬剤物質と別々に、その前に、同時にまたは後に投与し得る。このような抗炎症剤はステロイド、特にブデソニド、ベクラメタゾン、フルチカゾン、シクレソニドまたはモメタゾンのようなグルココルチコステロイド、US5451700に記載のようなLTB4アンタゴニストならびにモンテルカストおよびザフィルカストのようなLTD4アンタゴニスト、カベルゴリン、ブロモクリプチン、ロピニロールおよび4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]−スルホニル]エチル]−アミノ]エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロンおよび薬学的に許容されるその塩(塩酸塩はViozan(登録商標)−AstraZenecaである)のようなドーパミン受容体アゴニストを含む。
【0053】
このような気管支拡張剤は、抗コリン剤または抗ムスカリン剤、特に臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムおよび臭化チオトリピウム、ならびにサルブタモール、テルブタリン、サルメテロールおよび、とりわけフォルモテロールおよび薬学的に許容されるその塩、および出典明示により本明細書に包含させるPCT国際公報WO00/75114の式Iの化合物(遊離または塩または溶媒和形)、好ましくはその実施例の化合物、とりわけ式
【化4】

の化合物およびその薬学的に許容される塩のようなベータ−2アドレノセプターアゴニストを含む。共治療的抗ヒスタミン剤は塩酸セチリジン、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン、デスロラチジン、ジフェンヒドラミンおよび塩酸フェキソフェナジンを含む。共治療的免疫抑制剤は、例えばシクロペプチド、シクロペプトリドまたはマクロライド医薬物質、例えばシクロスポリンクラスに属する薬剤、例えばシクロスポリンAまたはG、薬剤タクロリムス(FK506としても既知)、アスコマイシンおよびラパマイシンならびにそれらの種々の既知の同族体および誘導体を含む。
【0054】
本発明の薬剤とステロイド、ベータ−2アゴニストまたはLTD4アンタゴニストとの組み合わせは、例えば、COPDまたは特に喘息の処置に使用し得る。本発明の薬剤と抗コリンまたは抗ムスカリン剤、PDE4阻害剤、ドーパミン受容体アゴニストまたはLTB4アンタゴニストの組み合わせは、例えば、喘息または特にCOPDの処置に使用し得る。本発明の薬剤と免疫抑制剤の組み合わせは、前記のような免疫抑制処置を必要とする任意の疾患または状態の処置に使用し得る。
【0055】
本発明の薬剤の他の有用な共治療的組み合わせは、WO00/66123に記載のような、例えばレビジノン、シロスタミド、アミピゾン、シグアゾダン、カルベゼラン、ベモラダン、モタピゾンおよび特にミリノン、エノキシモンおよびピモペンダンのようなPDE3阻害剤との、とりわけ血管および/または気管支の急性または慢性閉塞および/または急性または慢性炎症、例えば急性閉塞性気管支炎、気管支喘息またはCOPDの処置のための組み合わせを含む。
【0056】
前記の通り、本発明はまたPDE4が介在する疾患の処置法であり、それを必要とする対象、特にヒト対象に有効量の前記の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法を提供する。他の態様において、本発明は、PDE4が介在する疾患の処置用薬剤の製造に使用するための、前記の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0057】
前記の通り、本発明はまた炎症性疾患、特に閉塞性または炎症性気道疾患の処置法であり、それを必要とする対象、特にヒト対象に、有効量の前記の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法を提供する。他の態様において、本発明は炎症性疾患、特に閉塞性または炎症性気道疾患の処置用薬剤の製造に使用するための、前記の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0058】
本発明の薬剤は任意の適当な経路で、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で;非経腸で、例えば静脈内に;例えば乾癬の処置において皮膚に局所的に;例えば鼻炎の処置において経鼻的に;または、特に閉塞性または炎症性気道疾患の処置において吸入により投与し得る。
【0059】
さらなる態様において、本発明はまた有効成分として遊離形または薬学的に許容されるその塩の形の式Iの化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物を提供する。このような組成物は慣用の希釈剤または賦形剤と製剤学の分野(galenic art)で既知の方法を使用して製造し得る。このように、経口投与形は錠剤、カプセルならびにカプセル封入またはマトリックス溶出製剤のような制御された放出製剤、浸透性システム(osmotic system)またはイオン交換樹脂製剤を含み得る。局所投与用製剤は、クリーム、軟膏、ジェルまたは経皮送達システム、例えばパッチの形を取り得る。吸入用組成物はエアロゾルまたは他の噴霧可能製剤、または乾燥粉末製剤を含み得る。
【0060】
組成物がエアロゾル製剤を含む場合、好ましくは、例えば、HFA134aまたはHFA227またはこれらの混合物のようなヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤を含み得、エタノール(20重量%まで)のような当分野で既知の1個またはそれ以上の共溶媒および/またはオレイン酸またはソルビタントリオレエートのような1個またはそれ以上の界面活性剤および/またはラクトースのような1個またはそれ以上の充填剤を含み得る。組成物が乾燥粉末を含む場合、好ましくは、例えば、10ミクロンまでの直径の式Iの化合物を、所望により、所望の粒子サイズ分布のラクトースのような希釈剤または担体と、湿気による製品の性能悪化に対する保護を助ける化合物と共に含む。組成物が噴霧可能な製剤を含む場合、好ましくは、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような共溶媒、および界面活性剤であり得る安定化剤を含む媒体に溶解または懸濁された式Iの化合物を含む。
【0061】
本発明はまた(A)吸入可能な形の遊離形またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の前記の式Iの化合物;(B)吸入可能な薬剤であり、このような吸入可能な形のこのような薬剤を吸入可能な形の薬学的に許容される担体と共に含む薬剤;(C)吸入可能な形のこのような化合物を、吸入装置と共に含む医薬製品;および(D)吸入可能な形のこのような化合物を含む吸入装置を含む。
【0062】
本発明の実施において用いる投与量は、もちろん、例えば、処置する特定の状態、所望の効果および投与の形態に依存して変化する。一般に、経口投与用の適当な一日投与量は0.5から200mgであり、一方、吸入による投与のための適当な一日投与量は0.1から10mgの範囲である。
【0063】
本発明を以下の実施例により説明する。実施例で使用する6−アミノ−8−ブロモ−1,7−ナフチリジンは、WO98/18796に記載のように製造する。
【0064】
実施例1:3−[6−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−[1,7]ナフチリジン−8−イル]−ベンゾニトリル
6−アミノ−8−(3−シアノフェニル)−1,7−ナフチリジン
THF(80ml)および2N 炭酸ナトリウム(34ml、水性)の混合物に、6−アミノ−8−ブロモ−1,7−ナフチリジン(4.007g)、トリフェニルホスフィン(0.37g)および3−シアノフェニル−ボロン酸(3.23g)を添加する。混合物をアルゴン下3回脱気し、次いでビス(ジ−ベンジリデン−アセトン)パラジウム(0)(0.4g)を添加し、混合物をさらに3回アルゴン下で脱気する。混合物を80℃でアルゴン下16時間加熱し、次いで冷却し、濾過する。混合物を酢酸エチルで希釈し、2N 水酸化ナトリウム、次いで塩水で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥後、有機層を蒸発し、エーテルに懸濁する。このようにして得た固体沈殿は表題化合物であり、これを濾取する。
M.p.182−184℃。HRMS [M+H]実測値=247.1。
【0065】
6−トリフルオロメタンスルホニル−8−(3−シアノフェニル)−1,7−ナフチリジン−化合物A
6−アミノ−8−(3−シアノフェニル)−1,7−ナフチリジン(4.058g)のジメチル−ホルムアミド(DMF)(22ml)溶液に、アルゴン下、0℃でトリフルオロメタンスルホン酸(11ml)を添加する。混合物を0℃で10分撹拌し、次いで亜硝酸ナトリウム(2.26g)をゆっくり添加する。冷却浴を次いで除去し、混合物を室温で3時間撹拌する。得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、水、2M NaOHそして再び水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空で濃縮し、10:0.5 トルエン:アセトンで溶出するカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得る。M.p.102−104℃。MS (m/e)=380。
【0066】
3−[6−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−[1,7]ナフチリジン−8−イル]−ベンゾニトリル
化合物A(201mg)をDMSO(1.2ml)に3−ピロリジノール(0.1ml)と共に溶解し、混合物を60℃で2日または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で完了するまで加熱する。冷却後、酢酸エチルを混合物に添加し、これを4回塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。25%酢酸エチルのヘキサン溶液で溶出するカラムクロマトグラフィーでの精製により、3−[6−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−[1,7]ナフチリジン−8−イル]−ベンゾニトリルを得る。
M.p.=132−133℃。TOF M.S.(ES+)317。
【0067】
実施例2:3−{6−[4−(2−シアノ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−[1,7]ナフチリジン−8−イル}−ベンゾニトリル
化合物A(202mg)をDMSO(1.2ml)に3−(1−ピペラジニル)−プロピオニトリル(171mg)と共に溶解し、混合物を60℃でHPLCで完了するまで(2日)加熱する。冷却後、酢酸エチルを混合物に添加し、これを4回塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。25%酢酸エチルのヘキサン溶液で溶出するカラムクロマトグラフィーでの精製により、3−{6−[4−(2−シアノ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−[1,7]ナフチリジン−8−イル}−ベンゾニトリルを得る。生成物を塩酸塩として、ジオキサン(5mL)に溶解し、4M HClのジオキサン(0.07ml)溶液を添加することにより単離する。得られた沈殿を濾取し、ジオキサンで洗浄する。M.p.>200℃、TOF M.S.(ES+)369。
【0068】
実施例3:1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸、リチウム塩
化合物B:1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
化合物A(286mg)をDMSO(2ml)にピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(271mg)と溶解し、混合物を60℃でHPLCで完了するまで(2日)加熱する。冷却後、酢酸エチルを混合物に添加し、これを4回塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。25%酢酸エチルのヘキサン溶液で溶出するカラムクロマトグラフィーでの精製により、1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステルを得る。HPLC(3分、30%ギ酸/水から95%ギ酸/水)保持時間=1.98分。TOF M.S.(ES+)387。
【0069】
1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸、リチウム塩
化合物B(234mg)をTHF(5.8ml)に溶解し、水酸化リチウムの1M水性溶液(785μl)を添加する。混合物を室温でHPLCで反応が完了するまで(48時間)撹拌する。酢酸エチルを次いで混合物にゆっくり固体沈殿が現れるまで添加する。この沈殿を濾取し、酢酸エチルで洗浄し、真空で乾燥する。1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸、リチウム塩を黄色固体として得る。M.p.>200℃。TOF M.S.(ES+)359。
【0070】
実施例4:3−(6−ピペラジン−1−イル−[1,7]ナフチリジン−8−イル)−ベンゾニトリル
化合物C:4−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
化合物A(250mg)をDMSO(2ml)にピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(283mg)と溶解し、混合物を60℃で2日間またはHPLCで反応が完了するまで加熱する。冷却後、酢酸エチルを混合物に添加し、これを4回塩水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。25%酢酸エチルのヘキサン溶液で溶出するカラムクロマトグラフィーでの精製により、4−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。HPLC(3分、30%ギ酸/水から95%ギ酸/水)保持時間=2.03分。
TOF M.S.(ES+)416。
【0071】
3−(6−ピペラジン−1−イル−[1,7]ナフチリジン−8−イル)−ベンゾニトリル
化合物C(210mg)をジオキサン(2ml)に溶解し、4M HClのジオキサン溶液(1ml)を滴下する。混合物を室温で24時間撹拌し、その後固体沈殿を濾取し、酢酸エチルで洗浄する。固体を真空で乾燥し、3−(6−ピペラジン−1−イル−[1,7]ナフチリジン−8−イル)−ベンゾニトリルを塩酸塩として得る。M.p.>250℃。TOF M.S.(ES+)316。
【0072】
実施例5から21
上記の適当な実施例に準じた方法で、適当な出発物質と化合物Aを使用して、式Iの以下の化合物を、質量分析特徴付けデータ(TOFMS(ES+)と共に表1に同定するように得る。各々リチウムおよび塩酸塩として得る実施例16および19の化合物以外、化合物は遊離形で得る。
【0073】
【表1】

【表2】

【0074】
実施例22 − 1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルアミン−化合物D
撹拌している6−アミノ−8−ブロモ−1,7−ナフチリジン(0.5g)のトルエン(2.5ml)、DMF(4ml)および水性KCO(2ml水中0.68g)の混合物中の溶液に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(51mg)、トリフェニルホスフィン(47mg)および3−フルオロフェニルボロン酸(0.33g)を添加する。混合物を4時間、100℃で撹拌する。混合物を酢酸エチルで希釈し、次いでCeliteTMフィルターを通して濾過する。酢酸エチル溶液を2N NaOHおよび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮して表題化合物を得る。MS:APCI 240.0 MH
【0075】
トリフルオロメタンスルホン酸8−(3−フルオロフェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルエステル−化合物E
トリフルオロメタンスルホン酸(5ml)を化合物D(0.5g)のDMF(10ml)に0℃より低い温度で滴下する。混合物を室温に暖めた後、亜硝酸ナトリウム(0.3g)をゆっくり添加する。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、水、2M 炭酸ナトリウムおよび再び水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで真空で濃縮する。酢酸エチル/ヘキサン(1:4)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得る。MS:APCI 372.9 MH
【0076】
1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
化合物E(160mg)およびピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(149mg)のDMSO(1ml)溶液を60℃で72時間加熱する。冷却後、酢酸エチルを混合物に添加し、それを次いで水および3回塩水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。25%酢酸エチルのイソヘキサン溶液で溶出するカラムクロマトグラフィーでの精製により、生成物を得る。MS:APCI 380.0 MH
【0077】
実施例23 − 1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸ナトリウム
水酸化ナトリウム(1M、0.25ml)を1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(96mg、0.25mmol)のTHF(1ml)溶液に添加する。溶液を室温で24時間撹拌し、次いで45℃で24時間加熱する。水および酢酸エチルを添加し、水性相を分離し、蒸発し、表題化合物を得る。MS:APCI 352.0 MH
【0078】
実施例24 − 1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルアミン−化合物F
撹拌している8−ブロモ−[1,7]ナフチリジン−6−イルアミン(1.70g)のトルエン(7ml)、DMF(11ml)および水性KCO(5ml水中2.31g)の混合物中の溶液に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(174mg)、トリフェニルホスフィン(158mg)および5−フルオロ−2−メトキシフェニルボロン酸(1.38g)を添加する。混合物を3.5時間、100℃で撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、Celiteを通して濾過する。酢酸エチル溶液を2N NaOHおよび水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮して表題化合物を得る。MS:APCI 270.0 MH
【0079】
トリフルオロ−メタンスルホン酸8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルエステル−化合物G
トリフルオロメタンスルホン酸(9ml)を化合物F(2.0g)のDMF(15ml)溶液に0℃より低い温度で滴下する。混合物を10℃に暖め、次いで亜硝酸ナトリウム(1.04g)をゆっくり添加する。得られた混合物を室温で2.5時間撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、水、2M 炭酸ナトリウムおよび再び水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで真空で濃縮する。酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得る。
MS:APCI 402.9 MH
【0080】
1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
化合物G(200mg)およびピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(0.17ml)のDMSO(1.5ml)溶液を60℃で70時間加熱する。冷却後、酢酸エチルを混合物に添加し、それを次いで6回水および次いで塩水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。エーテルを混合物に添加し、得られた固体を濾取する。残渣を50%酢酸エチルのイソヘキサン溶液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、生成物を得る。MS:APCI 410.1 MH
【0081】
実施例25 − 1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸カリウム
水酸化ナトリウム(2M、0.1ml)を1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(67mg、0.16mmol)のMeOH/THF(1:1、4ml)溶液に添加する。溶液を室温で48時間撹拌する。水および酢酸エチルを添加する。水性相を分離し、pH4.5に酸性化し、次いで酢酸エチルで3回抽出する。酢酸エチル抽出物を水、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、その後蒸発して、遊離酸を得る。炭酸カリウム(8.5mg)と上記酸のメタノール溶液を蒸発し、表題化合物を得る。MS:APCI 382.0 MH
【0082】
実施例26から33
適当な上記実施例に準じた方法で、適当な出発物質を使用して、式Iの以下の化合物を、質量分析特徴付けデータ(MS:APCI MH)と共に表2に同定するように得る。ナトリウム塩として得る実施例29、32および33の化合物以外、化合物は遊離形で得る。
【0083】
【表3】

【0084】
実施例34から44
上記の適当な実施例に準じた方法で、適当な出発物質と化合物Aを使用して、式Iの以下の化合物を、質量分析特徴付けデータ(MS:APCI MH)と共に表3に同定するように得る。実施例34、35、37、38、39および43(実施例3に準じた方法で製造)を遊離酸または塩、例えばアルカリ金属塩として単離する以外、化合物は遊離形で得る。
【0085】
【表4】

【表5】

【0086】
実施例36 {1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−酢酸;カリウム塩
CO(9.5mg、0.070mmol)の水(0.5ml)溶液を{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−酢酸(54mg、0.14mmol)のMeOH(4ml)溶液に添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、濾過し、濃縮する。生成物を水(×3)から凍結乾燥し、次いで40℃で真空で18時間乾燥する。エーテルでのトリチュレーションにより、無定形固体として生成物を得る。
MS (ES)観察値[M+H] 389.1601。C2220は[M+H] 389.1614必要。
【0087】
{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−酢酸
TFA(1ml)を{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−酢酸tert−ブチルエステル(200mg、0.45mmol)のCHCl(2ml)溶液に0℃で添加する。反応混合物を0℃で10分、次いで室温で1.5時間撹拌し、次いで濃縮する。残渣を酢酸エチルと水に分配し、水性層を1M KOHでpH5に調節する。水性層を酢酸エチル(×3)で抽出し、合わせた酢酸エチル抽出物を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮する。1%MeOHのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーでの精製により、生成物を得る。MS (ES)観察値[M+H] 389.05。
【0088】
{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イルオキシ}−酢酸tert−ブチルエステル
3−[6−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−[1,7]ナフチリジン−8−イル]−ベンゾニトリル(570mg、1.73mmol)のTHF(5ml)溶液をTHF(20ml)に懸濁したNaOH(鉱油中60%分散)(166mg、6.9mmol)に0℃で添加する。0℃で30分撹拌する。tert−ブチルブロモアセテート(0.51ml、3.45mmol)を添加し、反応混合物を0℃で5分、次いで室温で18時間撹拌する。さらにtert−ブチルブロモアセテート(0.25ml、1.73mmol)およびNaOH (80mg、3.3mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌する。0℃に冷却後、水(20ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(×1)で抽出する。酢酸エチル抽出物を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮する。10−20%酢酸エチルのイソヘキサン溶液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、生成物を得る。MS (ES)観察値[M+H] 445.12。
【0089】
3−[6−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−[1,7]ナフチリジン−8−イル]−ベンゾニトリル
4−ヒドロキシピペリジン(287mg、2.80mmol)および化合物A(700mg、1.85mmol)のDMSO(4ml)溶液を60℃で18時間加熱する。冷却して、反応混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、塩水(×4)で洗浄する。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮して生成物を得る。MS (ES)観察値[M+H] 331.05。
【0090】
実施例40 1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−4−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸、カリウム塩
1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−4−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(220mg、0.55mmol)のTHF(2ml)溶液に、1N KOH(0.7ml、水性)を添加する。反応混合物を次いで40℃で1.5時間撹拌する。さらに1N KOH(0.4ml)を添加し、混合物を50℃で4時間、次いで70℃で2時間撹拌する。さらに1N KOH(0.7ml)をエタノール(4ml)と共に添加し、混合物を45℃でさらに18時間撹拌する。混合物を次いで蒸発乾固し、残渣を水とDCMに分配する。水性層を分離し、これに1M HCl(水性)をもはや沈殿が現れなくなるまで(pH約3)ゆっくり添加する。水性層を次いで室温で3時間撹拌する。懸濁液を濾過し、水で洗浄する。乾燥後、この生成物を1%メタノールのDCM溶液で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、遊離酸を得る。この生成物を2:1 メタノール:水(10ml)中で撹拌し、それに1N KCOを添加する。室温で0.5時間撹拌後、溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル中でトリチュレートする。濾過により所望の生成物を得る。M.p.132−136℃;MS (ES+)観察値[M+H] 372.7。
【0091】
1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−4−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
化合物A(360mg、0.96mmol)のDMSO(3.5ml)溶液に、アルゴン下、4−メチル−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(塩酸塩)(500mg、2.4mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.42ml、3.6mmol)を添加する。反応混合物を70℃で42時間撹拌する。混合物を次いで室温に冷却し、酢酸エチルと塩水に分配する。有機層を2回塩水で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮する。9:1 イソヘキサン:酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーでの精製により、所望の生成物を無定形固体として得る。
MS (TOF ES+)401.17。
【0092】
実施例41 1−[8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸
1−[8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(134mg、0.33mmol)のTHF(1ml)溶液に水酸化ナトリウム(1M 水性溶液0.33ml)を添加する。溶液を室温で23時間撹拌し、次いで酢酸エチルと水に分配する。水性抽出物を7M HClでpH4に酸性化し、酢酸エチル(3×)で洗浄する。合わせた有機層を次いで濃縮し、表題化合物を無定形固体として得る。MS (TOF ES+)380.1107。
【0093】
1−[8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル
トリフルオロ−メタンスルホン酸8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルエステル(160mg、0.4mmol)のDMSO(1ml)溶液に、エチルイソニペコテート(138mg)を添加する。溶液を60℃で23時間撹拌し、次いで酢酸エチルと水に分配する。有機層を分離し、塩水3×で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。粗生成物を8%イソヘキサン:DCMで溶出し、極性を2%メタノール:DCMまで上昇させるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製する。生成物を無定形固体として得る。MS (ES+)408.0893。
【0094】
トリフルオロ−メタンスルホン酸8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルエステル
8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルアミン(2.05g、7.68mmol)のDMF(30ml)溶液に、0℃でトリフリック酸(20ml)をゆっくり添加する。亜硝酸ナトリウム(1.06g)を次いで15分にわたりゆっくり添加し、反応混合物を室温に暖める。23時間撹拌後、反応はHPLCにより完了する。混合物を次いで酢酸エチルで希釈し、水、2N 炭酸ナトリウムおよび塩水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮する。生成物を30%酢酸エチルのイソヘキサン溶液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。生成物を無定形固体として得る。MS (ES+)400.9948。
【0095】
8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルアミン
8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イルアミンを、化合物D(実施例22参照)に準じた方法で、3−メチルチオフェニルボロン酸を使用して製造し、生成物を得る、MS (ES+)268.04。
【0096】
実施例42 1−[8−(3−メタンスルフィニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸
実施例41(1−[8−(3−メチルスルファニル−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸)(30mg、0.07mmol)をメタノール(200μl)に溶解し、過酸化水素(11.1μl)を室温で添加する。3時間後、さらなる量の過酸化水素(15μl)を添加し、反応混合物を45℃で一晩撹拌する。混合物を次いで室温に冷却し、水で希釈し、7M HCl(1滴)で酸性化する。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、それを水および塩水で洗浄する。有機層を次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して生成物を無定形固体として得る。MS (ES+)396.1308。
【0097】
実施例44 {1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イル}−酢酸;カリウム塩
{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イル}−酢酸(160mg、0.43mmol)のメタノール(5ml)溶液に、1M KCO溶液(水性、0.215ml、0.43mmol)を添加する。溶液を室温で5分撹拌し、次いで溶媒を真空で除去する。残渣をジエチルエーテル中で2時間トリチュレートし、次いで濾過し、ジエチルエーテルで洗浄して所望の生成物を得る。M.p.158−168℃;MS (TOF ES+)404.97。
【0098】
{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イル}−酢酸
{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イル}−酢酸エチルエステル(250mg、0.62mmol)をエタノール(5ml)に2M KOH(水性、0.95ml、1.86mmol)と溶解し、混合物を45℃で0.5時間撹拌する。冷却後、混合物のpHを濃HClの滴下によりpH3に調節する。0.5時間撹拌後、得られた固体を濾過し、水で洗浄し、所望の生成物を得る。M.p.178−180℃。
【0099】
{1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−イル}−酢酸エチルエステル
化合物A(500mg、1.32mmol)をDMSO(2.5ml)中で4−ピペリジン酢酸エチルエステル(560mg、3.30mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.66ml)と70℃で20時間加熱する。混合物を次いで酢酸エチルで希釈し、塩水(3×)で洗浄する。有機層を次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過し、濃縮する。6:1 イソヘキサン:酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーでの精製により、所望の生成物を得る。
MS (AP+)401.1。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の式I
【化1】

〔式中、
は10個までの炭素原子を有する1価芳香族基であり、そして
とRは、それらが結合している窒素原子と共に10個までの環原子を有し、かつ環系に1個から4個のヘテロ原子を有するヘテロ環基を意味する。〕
の化合物。
【請求項2】
がシアノ、ハロゲン、カルボキシまたは所望によりC−C−ハロアルコキシからなる群から選択される1個または2個の置換基で置換され、かつ所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、またはRがC−C−アルコキシで置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個または2個のヘテロ原子を有するヘテロ環基を意味する、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、示されるナフチリジン環のメタ位をシアノ、ハロゲン、カルボキシまたはC−C−ハロアルコキシからなる群から選択される1個または2個の置換基で置換され、かつ所望により示されるナフチリジン環のオルト位をC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、またはRが示されるナフチリジン環のメタ位をC−C−アルコキシで置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個もしくは2個の窒素原子または1個の窒素原子と1個の酸素原子を有し、所望によりヒドロキシ、カルボキシ、5−員O−ヘテロシクリルカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルスルホニルでまたは、所望によりヒドロキシ、シアノ、カルボキシもしくはC−C−アルコキシカルボニルで置換されているC−C−アルキルで置換されているヘテロシクリル基を意味する、
請求項1記載の化合物。
【請求項4】
が、所望によりシアノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ、−SO−C−C−アルキル、および3個から8個の環原子を有し、その中の4個までが炭素原子であり得かつ4個までがヘテロ原子であり得るヘテロ環式環と縮合しているフェニルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個または2個のヘテロ原子を有し、所望によりカルボキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシまたはC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロ環基を意味し、該ヘテロ環基はまた所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されている、
請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が、所望によりシアノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ、−SO−C−C−アルキル、5個または6個の環原子を有し、その中の4個までが炭素原子であり得かつ2個までがヘテロ原子であり得るヘテロ環式環と縮合しているフェニルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に、6個までの環原子を有し、かつ1個または2個の窒素原子を環内に有し、所望によりカルボキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシまたはC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロ環基を意味し、該ヘテロ環基はまた所望によりC−C−アルキルで置換されている、
請求項4記載の化合物。
【請求項6】
3−[6−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−[1,7]ナフチリジン−8−イル]−ベンゾニトリル;
3−{6−[4−(2−シアノ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−[1,7]ナフチリジン−8−イル}−ベンゾニトリル;
1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸、リチウム塩;または
3−(6−ピペラジン−1−イル−[1,7]ナフチリジン−8−イル)−ベンゾニトリル;
1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル;
1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸ナトリウム;
1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル;または
1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸カリウム
である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
および−NRが、以下の表:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

に示される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
医薬として使用するための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
(請求項9)
PDE4が介在する状態の処置用薬剤の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
TNF−α放出の下方制御または阻害用薬剤の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
炎症性疾患の処置用薬剤の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
閉塞性または炎症性気道疾患の処置用薬剤の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
(iii)(A)所望により保護された形の式
【化2】

〔式中、Rは前記で定義の通りであり、そしてLは脱離原子または基、例えばハロゲンまたは、トリフルオロメチルスルホニルオキシのような脂肪族もしくは芳香族性スルホニルオキシ基である。〕
の化合物と、所望により保護された形の式
【化3】

〔式中、RおよびRは前記で定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、続いて必要に応じて脱保護し;
(B)式中、RとRが結合している窒素原子と共にC−C−アルコキシカルボニル基で置換されているヘテロシクリル基を意味する式Iの化合物を反応させてアルコキシカルボニル基をカルボキシに変換し;
(C)式中、RとRが結合している窒素原子と共にカルボキシ−C−C−アルコキシで置換されているヘテロシクリル基を意味する式Iの化合物を製造するために、式中、RとRが結合している窒素原子と共にC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロシクリル基である式Iの化合物を加水分解するか;または
(D)式中、Rが−SO−C−C−アルキルで置換されているフェニルである式Iの化合物を製造するために、式中、RがC−C−アルキルチオで置換されているフェニルを酸化し;そして
(iv)遊離形または塩形の生成物を取得する
ことを含む、遊離形または塩形の式Iの化合物の製造法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の式I
【化1】

〔式中、
は10個までの炭素原子を有する1価芳香族基であり、そして
とRは、それらが結合している窒素原子と共に10個までの環原子を有し、かつ環系に1個から4個のヘテロ原子を有するヘテロ環基を意味する。〕
の化合物。
【請求項2】
がシアノ、ハロゲン、カルボキシまたは所望によりC−C−ハロアルコキシからなる群から選択される1個または2個の置換基で置換され、かつ所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、またはRがC−C−アルコキシで置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個または2個のヘテロ原子を有するヘテロ環基を意味する、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、示されるナフチリジン環のメタ位をシアノ、ハロゲン、カルボキシまたはC−C−ハロアルコキシからなる群から選択される1個または2個の置換基で置換され、かつ所望により示されるナフチリジン環のオルト位をC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されているフェニルであるか、またはRが示されるナフチリジン環のメタ位をC−C−アルコキシで置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個もしくは2個の窒素原子または1個の窒素原子と1個の酸素原子を有し、所望によりヒドロキシ、カルボキシ、5−員O−ヘテロシクリルカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルスルホニルでまたは、所望によりヒドロキシ、シアノ、カルボキシもしくはC−C−アルコキシカルボニルで置換されているC−C−アルキルで置換されているヘテロシクリル基を意味する、
請求項1記載の化合物。
【請求項4】
が、所望によりシアノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ、−SO−C−C−アルキル、および3個から8個の環原子を有し、その中の4個までが炭素原子であり得かつ4個までがヘテロ原子であり得るヘテロ環式環と縮合しているフェニルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に6個までの環原子を有し、かつ環内に1個または2個のヘテロ原子を有し、所望によりカルボキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシまたはC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロ環基を意味し、該ヘテロ環基はまた所望によりC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシで置換されている、
請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が、所望によりシアノ、C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ、−SO−C−C−アルキル、5個または6個の環原子を有し、その中の4個までが炭素原子であり得かつ2個までがヘテロ原子であり得るヘテロ環式環と縮合しているフェニルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているフェニルであり、そして
とRが、それらが結合している窒素原子と共に、6個までの環原子を有し、かつ1個または2個の窒素原子を環内に有し、所望によりカルボキシ、カルボキシ−C−C−アルコキシまたはC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロ環基を意味し、該ヘテロ環基はまた所望によりC−C−アルキルで置換されている、
請求項4記載の化合物。
【請求項6】
3−[6−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−[1,7]ナフチリジン−8−イル]−ベンゾニトリル;
3−{6−[4−(2−シアノ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−[1,7]ナフチリジン−8−イル}−ベンゾニトリル;
1−[8−(3−シアノ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸、リチウム塩;または
3−(6−ピペラジン−1−イル−[1,7]ナフチリジン−8−イル)−ベンゾニトリル;
1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル;
1−[8−(3−フルオロ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸ナトリウム;
1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル;または
1−[8−(5−フルオロ−2−メトキシ−フェニル)−[1,7]ナフチリジン−6−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸カリウム
である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
および−NRが、以下の表:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

に示される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の式Iの化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、PDE4が介在する状態を処置するための医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の式Iの化合物を、抗炎症剤、気管支拡張剤または抗ヒスタミン剤である他の医薬物質と組み合わせて含む、PDE4が介在する状態を処置するための医薬組成物。
【請求項10】
()(A)所望により保護された形の式
【化2】

〔式中、Rは前記で定義の通りであり、そしてLは脱離原子または基、例えばハロゲンまたは、トリフルオロメチルスルホニルオキシのような脂肪族もしくは芳香族性スルホニルオキシ基である。〕
の化合物と、所望により保護された形の式
【化3】

〔式中、RおよびRは前記で定義の通りである。〕
の化合物を反応させ、続いて必要に応じて脱保護し;
(B)式中、RとRが結合している窒素原子と共にC−C−アルコキシカルボニル基で置換されているヘテロシクリル基を意味する式Iの化合物を反応させてアルコキシカルボニル基をカルボキシに変換し;
(C)式中、RとRが結合している窒素原子と共にカルボキシ−C−C−アルコキシで置換されているヘテロシクリル基を意味する式Iの化合物を製造するために、式中、RとRが結合している窒素原子と共にC−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルコキシで置換されているヘテロシクリル基である式Iの化合物を加水分解するか;または
(D)式中、Rが−SO−C−C−アルキルで置換されているフェニルである式Iの化合物を製造するために、式中、RがC−C−アルキルチオで置換されているフェニルを酸化し;そして
(ii)遊離形または塩形の生成物を所得する
ことを含む、遊離形または塩形の式Iの化合物の製造法。



【公表番号】特表2006−511539(P2006−511539A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560419(P2004−560419)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014263
【国際公開番号】WO2004/055013
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】