説明

PHS構内無線システム及びパラメータ変更方法

【課題】 従来のPHS構内無線システムは、パラメータ変更に手間がかかり稼働率が低下するという問題点があったが、本発明は、システム稼働率を低下させることなく、パラメータの変更を迅速に適用し、システムとしてのサービス向上や信頼性向上を図ることができるPHS構内無線システム及びパラメータ変更方法を提供する。
【解決手段】 ブラウザ機能を有するPHS端末1がサーバ8に接続しして変更データを入力してパラメータ変更補助手段80に送信し、パラメータ変更補助手段80が変更データを管理コンソール5に送信し、管理コンソール5が運用パラメータ記憶部31を変更し、PHS端末1がパラメータ変更補助手段80からの応答を受けて自己のパラメータを変更するPHS構内無線システム及びパラメータ変更方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PHS方式の携帯端末を用いたPHS構内無線システムに係り、特にシステムパラメータとPHS端末のパラメータを簡単に変更できるPHS構内無線システム及びパラメータ変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(ARlB標準28に定めるパーソナルハンディフォンシステム)方式の構内無線システムは、免許が不要な無線電話システムとして、オフィス内や工場内で採用されている。
従来のPHS構内無線システムについて、図5を使って説明する。図5は、従来のPHS構内無線システムの構成ブロック図である。
従来のPHS構内無線システムは、図5に示すように、PHS方式の携帯端末であるPHS端末1′と、構内の各所に配置されて無線でPHS端末1′と接続するための基地局(図ではBS:Base Station)2と、PHS構内無線システム全体を制御する統合制御装置(図ではCS:Control System)3と、構内用の電話交換機システムである構内交換機(図では、PBX:Private Branch eXchange)4と、PHS構内無線システムの保守管理を行う為の管理コンソール5′と、システムパラメータの記憶媒体であるメモリカード6と、PHS端末1′へのパラメータ書き込みを専門に行う専用書込用端末7とから構成されている。
【0003】
従来のPHS構内無線システムの各部について、パラメータ変更に関する部分を中心に説明する。
PHS端末1′は、PHS方式の携帯端末であり、その内部に自己の携帯端末の番号(PS番号)や識別子(PSID)等のパラメータ(PHSパラメータ)を記憶しているPHSパラメータ記憶部10を有している。
専用書込用端末7は、PHS端末1′のPHSパラメータを書き込み、又は変更するための専用端末であり、通常は、システム保守員等だけが取り扱うことができる端末である。
【0004】
基地局2は、構内の各所に配置されてPHS端末1′と無線通信するための一般的な基地局である。
統合制御装置3は、PHS構内無線システム全体を制御する装置であり、管理下のPHS端末1′の番号(PS番号)や識別子(PSID)等のパラメータ(システムパラメータ)を記憶しているシステムパラメータ記憶部30と、運用用のシステムパラメータを記憶する運用パラメータ記憶部31とを有している。そして、統合制御装置3では、立ち上げ時にシステムパラメータ記憶部30からシステムパラメータを運用パラメータ記憶部31にローディングして(図5では、点線矢印で記載)、運用パラメータ記憶部31内のパラメータを実際のシステム運用に用いるようになっている。
【0005】
交換機4は、会社、工場等の構内で内線電話同士の接続や、外部の加入者電話網やISDN回線などの公衆回線への接続を行う一般的な交換機である。
管理コンソール5′は、統合制御装置3と有線接続されて保守員室などの固定された場所に設置され、PHS構内無線システムの保守管理を行う保守端末であり、保守員のみが操作することができるものである。
特に、システムパラメータの設定、変更に関しては、統合制御装置3の電源をOFF/ONすることなくリアルタイムに変更できるオンラインパラメータ変更手段50′と、統合制御装置3の電源をOFF/ONすることで変更されたデータを運用に適用できるオフラインパラメータ変更手段51とを有している。
【0006】
具体的に、オフラインパラメータ変更手段51では、内蔵するハードディスクにシステムパラメータを記憶していて、管理コンソール5′の入力部(図示せず)からの入力によってハードディスク内のデータを変更できるようになっている。そして、ハードディスク内に記憶されたデータをメモリカード6に格納することによって、統合制御装置3へ変更データを媒体伝送できるようになっている。そして、このメモリカード6を統合制御装置3に装着してシステムパラメータ記憶部30にダウンロードし、その後統合制御装置3で電源のOFF/ONを行うことによって、変更されたデータがシステムパラメータ記憶部30から運用パラメータ記憶部31にローディングされ(図5では、点線矢印で記載)、運用されるものである。
【0007】
また、オンラインパラメータ変更手段50′では、保守員のみが操作するという前提で、運用上支障のない一部のパラメータについて、直接統合制御装置3の運用パラメータ記憶部31に変更を加える(図5では、点線矢印で記載)手段である。
【0008】
次に、従来のPHS構内無線システムにおけるパラメータ変更動作について説明する。
従来のPHS構内無線システムにおいてシステムパラメータを変更する場合には、通常は保守員の操作によって、管理コンソール5′のオフラインパラメータ変更手段51で変更操作が行われて管理コンソール5′内のハードディスク上のシステムパラメータが変更され、更に変更されたシステムパラメータがメモリカード6に書き込まれる。
そして、メモリカード6を統合制御装置3に装着して、メモリカード6内のシステムパラメータデータがシステムパラメータ記憶部30にダウンロードされて記憶され、統合制御装置3の電源をOFF/ONすることによって、システムパラメータ記憶部30内のシステムパラメータデータが運用パラメータ記憶部31にローディングされて、PHS構内無線システムの運用に用いられる。すなわち、システムパラメータの変更が運用に適用されることになる。又は、メモリカード6内のシステムパラメータデータが、統合制御装置3の電源をOFF/ONすることによって、直接運用パラメータ記憶部31にローディングされて、PHS構内無線システムの運用に用いられる。
また、別のシステムパラメータ変更方法として、運用に支障のない一部のパラメータに関しては、管理コンソール5′のオンラインパラメータ変更手段50′から直接統合制御装置3の運用パラメータ記憶部31内に変更を加えることもできる。この場合には、そのままシステムを継続運用しながら、変更したシステムパラメータを運用に適用させることができる。
【0009】
また、従来のPHSパラメータの変更動作としては、保守員の管理の元で専用書込用端末7を用いてPHS端末1′内のPHSパラメータ記憶部10に記憶されているPHSパラメータデータを変更するようになっていた。
【0010】
具体例として、例えば、PHSのPS番号を変更する場合の手順としては、PHS端末1′を利用者から預かり、まずPS番号変更対象のPHS端末1′に対して専用書き込み用端末7でPHSパラメータ記憶部10内のパラメータのPS番号を新しいPS番号に変更し、保守員が管理コンソール5′でシステムパラメータのPS番号の変更を行い、変更されたシステムパラメータをメモリカード6に格納し、統合制御装置3のシステムパラメータ記憶部30にメモリカード6から変更されたシステムパラメータをダウンロードし、統合制御装置3の電源をOFF/ONすることによって、変更されたパラメータが運用パラメータ記憶部31にローディングされてシステム側で新しいPS番号が使用可能となる。
この時、統合制御装置3の電源をOFF/ONするのでPHS構内無線システム全体が一旦ダウンすることになる。
【0011】
尚、パラメータ変更に関する従来技術としては、2001(平成13)年4月6日公開の特開2001−95052号「移動通信端末を用いた無線通信システム」(出願人:株式会社日立国際電気、発明者:梶原守雄)がある。
この従来技術は、主装置に接続された保守端末から主装置を通じて一括して各BS内の着信設定情報を変更するメッセージを送信し、BSはそれに着信設定情報を付加してエリア内に発信し、エリア内のPHSはこれを受信して、着信モードの切替を行う無線通信システムであり、これにより、サービスエリア内のPHSの着信設定を一斉に変更できるものである。
【0012】
【特許文献1】2001−95052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のPHS構内無線システム及びパラメータ変更方法では、システムパラメータの変更と同期するタイミイングでPHSパラメータとは別々に異なる方法で変更しなければならないので、PHS端末1′を利用者から預かって、システムパラメータの変更と同期するタイミイングでPHSパラメータを変更するか、又は、変更のタイミングを合わせられない場合には、しばらくPHS端末1′側のパラメータとシステムパラメータの整合性がとれず、PHS端末1′が使用できない期間ができてしまうという問題点があった。
【0014】
また、従来のパラメータ変更方法では、システムパラメータの変更がある度に統合制御装置3の電源をOFF/ONしなければ運用に適応されないので、運用を中断しなければならず、システム稼働率が低下して、システムとしてのサービス低下や信頼性低下を招くことになるという問題点があった。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、パラメータ変更手順を一元化し、運用を中断せずに適用できるようにして、システム稼働率を低下させることなく、パラメータの変更を迅速に適用し、システムとしてのサービス向上や信頼性向上を図ることができるPHS構内無線システム及びパラメータ変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、PHS構内無線システムにおいて、
入力されるシステムパラメータの変更データに従って運用中のシステムパラメータを変更するシステムパラメータ変更手段と、
システムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を提供し、入出力画面に従って受信したシステムパラメータの変更データをシステムパラメータ変更手段に出力し、変更データの送信元に応答を返すパラメータ変更補助手段と、
パラメータ変更補助手段が提供する入出力画面を表示し、システムパラメータの変更データを入力してパラメータ変更補助手段に送信し、パラメータ変更補助手段からの応答を受けて、変更したシステムパラメータに対応する自己のパラメータを変更するPHS端末とを有するものなので、
PHS端末からパラメータ変更補助手段の提供するシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を用いて変更データを入力することで、運用中のシステムパラメータを変更し、更に自己のパラメータを変更することができる。
【0017】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、パラメータ変更方法において、
ブラウザ機能を有するPHS端末が、サーバに接続してシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を記述したハイパーテキスト情報を閲覧し、変更データを入力してサーバに送信し、サーバが、受信した変更データを管理コンソールに送信して、PHS端末に応答を返送し、変更データを受信した管理コンソールが統合制御装置の運用中のシステムパラメータを変更し、PHS端末が、サーバからの応答を受けて、変更したシステムパラメータに対応する自己のパラメータを変更するものなので、
PHS端末からサーバに接続してシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を用いて変更データを入力することで、運用中のシステムパラメータを変更し、更に自己のパラメータを変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パラメータ変更補助手段がシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を提供し、PHS端末がパラメータ変更補助手段が提供する入出力画面を表示し、システムパラメータの変更データを入力してパラメータ変更補助手段に送信し、パラメータ変更補助手段が受信したシステムパラメータの変更データをシステムパラメータ変更手段に出力してPHS端末に応答を返し、システムパラメータ変更手段が入力されるシステムパラメータの変更データに従って運用中のシステムパラメータを変更し、PHS端末がパラメータ変更補助手段からの応答を受けて、変更したシステムパラメータに対応する自己のパラメータを変更するPHS構内無線システムとしているので、PHS端末からパラメータ変更補助手段の提供するシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を用いて変更データを入力することで、運用中のシステムパラメータを変更し、更に自己のパラメータを変更することにより、パラメータ変更手順を一元化し、運用を中断せずに適用できるようにして、システム稼働率を低下させることなく、パラメータの変更を迅速に適用し、システムとしてのサービス向上や信頼性向上を図ることができる効果がある。
【0019】
本発明によれば、ブラウザ機能を有するPHS端末が、サーバに接続してシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を記述したハイパーテキスト情報を閲覧し、変更データを入力してサーバに送信し、サーバが、受信した変更データを管理コンソールに送信して、PHS端末に応答を返送し、変更データを受信した管理コンソールが統合制御装置の運用中のシステムパラメータを変更し、PHS端末が、サーバからの応答を受けて、変更したシステムパラメータに対応する自己のPHSパラメータを変更するパラメータ変更方法としているので、PHS端末からシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を用いて変更データを入力することで、運用中のシステムパラメータを変更し、更に自己のパラメータを変更することにより、パラメータ変更手順を一元化し、運用を中断せずに適用できるようにして、システム稼働率を低下させることなく、パラメータの変更を迅速に適用し、システムとしてのサービス向上や信頼性向上を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0021】
本発明に係るPHS構内無線システム及びパラメータ変更方法は、パラメータ変更補助手段がシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を提供し、PHS端末がパラメータ変更補助手段が提供する入出力画面を表示し、システムパラメータの変更データを入力してパラメータ変更補助手段に送信し、パラメータ変更補助手段が受信したシステムパラメータの変更データをシステムパラメータ変更手段に出力してPHS端末に応答を返し、システムパラメータ変更手段が、入力されるシステムパラメータの変更データに従って運用中のシステムパラメータを変更し、PHS端末がパラメータ変更補助手段からの応答を受けて、変更したシステムパラメータに対応する自己のパラメータを変更するものなので、PHS端末からパラメータ変更補助手段の提供するシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を用いて変更データを入力することで、運用中のシステムパラメータを変更し、更に自己のパラメータを変更することができるものである。
【0022】
尚、本発明の実施の形態における各手段と図1の各部との対応を示すと、パラメータ変更補助手段は、サーバ8のパラメータ変更補助手段80に相当し、システムパラメータ変更手段は、統合制御装置の運用パラメータ記憶部31及び管理コンソール5のオンラインパラメータ変更手段50に相当している。
【0023】
まず、本発明に係るPHS構内無線システムの構成について図1を使って説明する。図1は、本発明に係るPHS構内無線システムの構成ブロック図である。尚、図5と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
【0024】
本発明のPHS構内無線システム(本システム)は、従来のPHS構内無線システムと同様の部分として、PHS端末1と、基地局(図ではBS)2と、統合制御装置(図ではCS)3と、構内交換機(図では、PBX)4と、管理コンソール5とから構成され、更に本発明の特徴部分として、サーバ8が設けられている。
【0025】
次に、本システムの各部について説明するが、基地局2及び構内交換機4は、従来のそれと全く同様であるので、ここでは説明を省略し、特徴部分についてパラメータ制御に関する部分を中心に説明する。
本発明のPHS端末1は、従来と同様にPHS方式の携帯端末であり、その内部に自己の携帯端末の番号(PS番号)や識別子(PSID)等のパラメータ(PHSパラメータ)を記憶しているPHSパラメータ記憶部10を有している点は同様である。
【0026】
ブラウザ手段11は、WEBサーバ上のHTML文書をリンクしながら閲覧し、場合によって入力データをWEBサーバに送信し、また表示内容を受信して表示部(図示せず)に表示する一般的なHTMLブラウザ機能を実現するものである。
特に本発明では、後述するサーバ8上に記憶されているシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を提供するパラメータ変更補助手段80を実現するHTML文書を閲覧するためにブラウザ手段11が使われるようになっている。
【0027】
ここで、サーバ8上のパラメータ変更補助手段80を利用してパラメータを変更するための操作手順について、図2を使って説明する。図2は、本発明のPHS端末1で行うパラメータ変更操作手順の流れを示すフローチャート図である。
本発明のPHS端末1で行うパラメータ変更操作手順は、まずサーバ8へ接続する(100)。これは、一般的なWEBサーバへの接続であり、接続後にログインのためのパスワード入力が求められて、入力されるパスワードに対応付けて予め使用可能な機能や変更可能なパラメータなどが制限されている。具体的には、PHS構内無線システムの保守員であれば制限範囲は広いものであるが、一般ユーザであるならば当該ユーザに関連する項目のみの狭い制限範囲になる。
【0028】
そして、メニューの中でパラメータ変更メニューを選択し(102)、変更データを入力し(104)、入力された変更データをサーバ8に送信し(106)、サーバ8からの応答データを受信し(108)、応答が正常(OK)であるか判断し(110)、OKでないならば(No)処理102に戻り、OKであるならば(Yes)後述すするPHSパラメータ変更手段12を起動して自己のPHSパラメータを書き換え(112)、パラメータ変更の操作を終了する。
尚、変更データは、処理104の入力時に、一時記憶しておき、処理112の自己のPHSパラメータの書き換えに使用しても良いし、サーバ8からの応答データ中に変更データを含めるようにして、当該応答データ中の変更データを処理112の自己のPHSパラメータの書き換えに使用しても良い。
【0029】
具体的な操作例としては、図3に示すように、サーバ8に接続すると、(a)のようにパスワード入力が要求され、パスワードが入力されると、(b)のようにパラメータに関して各種メニューが表示されて選択可能となり、例えば、システムパラメータに関するメニュー(システム設定)を選択すると、(c)のように各種パラメータの選択画面となり、例えば、(d1)のようにシステム構成をシングルか二重化で切り替えることができる。
また、PS番号を選択すると、(d2)のように任意のPS(PSID)に対応するPS番号を入力して変更することができる。図3は、PHS端末1からのパラメータ変更操作画面例を示す説明図である。
【0030】
PHSパラメータ変更手段12は、PHSパラメータ記憶部10に記憶されている自己のPHSパラメータを変更する手段であり、通常ブラウザ手段11を介して自己に関するシステムパラメータを変更した直後に起動されて、自己のPHSパラメータを変更するようになっている。
変更データは、上述したブラウザ手段11を用いてシステムパラメータの変更データ入力時に一時的に記憶しておくようにしても良いし、又は、上述したブラウザ手段11を用いてシステムパラメータの変更データを入力し、サーバ8に送信後のサーバ8からの応答データ中に変更データを含めるようにして、当該応答データ中の変更データに従って自己のPHSパラメータを変更するようにしてもよい。
【0031】
統合制御装置3は、基本的には従来と同様で、PHS構内無線システム全体を制御する装置であり、管理下のPHS端末1の番号(PS番号)や識別子(PSID)等のパラメータ(システムパラメータ)を記憶しているシステムパラメータ記憶部30と、運用用のシステムパラメータを記憶する運用パラメータ記憶部31とを有している。そして、統合制御装置3では、立ち上げ時にシステムパラメータ記憶部30からシステムパラメータを運用パラメータ記憶部31にローディング(図PHS端末1では点線矢印で記載)して、運用パラメータ記憶部31内のパラメータを実際のシステム運用に用いるようになっている。
但し、本発明では、運用中にも管理コンソール5によって変更可能なパラメータの範囲が広げられている。
【0032】
サーバ8は、WEBサーバの役割を果たし、LANを介して統合制御装置3及び基地局2及び各PHS端末1で構成されるPHS構内無線システムと接続されて、PHS端末1に対してWEB環境を提供するものである。尚、サーバ8の機能は統合制御装置3内で実現するようにしても構わない。
そして、特に本発明のサーバ8では、PHS端末1からのシステムパラメータ変更を補助するパラメータ変更補助手段80を有している。
【0033】
パラメータ変更補助手段80は、システムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を提供し、入出力画面に従って受信したシステムパラメータの変更データを管理コンソール5のオンラインパラメータ変更手段50に出力し、画面提供先に応答を返す手段である。
具体的にパラメータ変更補助手段80は、システムパラメータの変更について、予めパスワードとそれに対応する使用可能な機能や表示、変更可能なパラメータの範囲を記憶しておいてパスワード管理を行う。具体的には、PHS構内無線システムの保守員であれば制限範囲は広いものであるが、一般ユーザであるならば当該ユーザに関連する項目のみの狭い制限範囲になる。
そして、システムパラメータの表示・変更の為の入出力画面に従ってPHS端末1で入力されたパスワードに対応する制限範囲のパラメータについて、システムパラメータの表示・変更の為の入出力画面をPHS端末1に閲覧提供し、PHS端末1からの要求に応じて現設定値を出力して表示させたり、入力された変更データを受信して、管理コンソール5へ変更データを送信し、PHS端末1に対して変更データの送信完了を示す応答データを返送するものである。
【0034】
サーバ8のパラメータ変更補助手段80の具体的な処理の流れについて、図4を使って説明する。図4は、本発明のサーバ8のパラメータ変更補助手段80の処理例を示すフローチャート図である。
サーバ8のパラメータ変更補助手段80は、PHS端末1から接続されてリンクが張られると動作を開始し、まずログイン処理を行う(200)。ログイン処理は、図3(a)に示したようなパスワード入力画面をPHS端末1に送信して表示させ、PHS端末1で入力されたパスワードを受け取って、当該パスワードに予め対応付けられている制限範囲を特定するものである。
【0035】
そして、機能のメニューをPHS端末1に送信して表示させ、PHS端末1で入力された選択入力を受け取り(201)、選択されたメニューがパラメータ変更であるか判断し(202)、パラメータ変更でないなら(No)選択されたメニューの処理を行う(204)がここでは詳細は省略する。
【0036】
パラメータ変更が選択されたら(Yes)、変更データ入力画面をPHS端末1に送信して表示させ、PHS端末1で入力された変更データを受け取り(210)、受け取った変更データを管理コンソール5のオンラインパラメータ変更手段50に送信し(212)、PHS端末1へ応答データを送信して(214)、処理を終了する。
【0037】
管理コンソール5は、従来と同様に統合制御装置3と有線接続されて固定された場所に設置され、PHS構内無線システムの保守管理を行う保守端末であり、保守員のみが操作することができるものである。
そして、本発明の管理コンソール5は、LANを介してサーバ8と接続され、パラメータ変更補助手段80から変更データを受けて、オンラインでシステムパラメータの変更を行うオンラインパラメータ変更手段50を設けている。
【0038】
オンラインパラメータ変更手段50は、パラメータ変更補助手段80から変更データを受信すると、統合制御装置3のシステムパラメータ記憶部30の内容を書き換えて変更すると共に、運用パラメータ記憶部31の内容も書き換えて変更する。すなわち、統合制御装置3の電源OFF/ONをすることなく、パラメータ変更を運用に適応する事になる。
【0039】
次に、本発明のPHS構内無線システムにおけるパラメータ変更動作について、PS番号を変更する例で図1、図3を使って説明する。
本発明のPHS構内無線システムにおけるパラメータ変更は、PHS端末1からブラウザ手段11を使ってサーバ8のパラメータ変更補助手段80に接続し、図3(a)の画面でパスワード入力が成されて、変更可能なパラメータが特定される。
そして、PHS端末1で図3(b)(c)(d2)とPS番号設定画面へ遷移し、PHS端末1のPS番号、PSID等必要な変更データが入力されて、サーバ8のパラメータ変更補助手段80に送信され、パラメータ変更補助手段80からLANで接続された管理コンソール5のオンラインパラメータ変更手段50へPS番号の変更データが送信され、オンラインパラメータ変更手段50から統合制御装置3内のシステムパラメータ記憶部30及び運用パラメータ記憶部31のシステムパラメータ(PS番号)の変更が行われる。
【0040】
そして、パラメータ変更補助手段80では、オンラインパラメータ変更手段50への変更データ送信後、PHS端末1に送信完了を示す応答データが送信され、PHS端末1では応答データを受信後に、PHSパラメータ変更手段12が起動されて、PHSパラメータ記憶部10に記憶されている自己のPHSパラメータ(PS番号)が変更され、システムパラメータ及びPHSパラメータの双方が変更されて、変更後のPS番号で運用が行われるようになる。
なお、PHSパラメータ変更手段12で行われる変更の変更データは、PHS端末1で変更データ入力時に一時記憶しておいても良いし、オンラインパラメータ変更手段50からの応答データ中に変更データを含めるようにして、当該応答データ中の変更データに従ってPHSパラメータ記憶部10に記憶されている自己のPHSパラメータ(PS番号)を変更するようにしても構わない。
【0041】
本発明の実施の形態にかかるPHS構内無線システムによれば、PHS端末1からサーバ8に接続してパラメータの変更データを入力し、サーバ8を介して管理コンソール5で統合制御装置3の運用パラメータ記憶部31を変更してシステムパラメータを変更するので、統合制御装置3の電源OFF/ONを行うことなくシステムパラメータの変更を運用に適応することができ、システム稼働率を低下させることなく、システムパラメータの変更を迅速に適用し、システムとしてのサービス向上や信頼性向上を図ることができる効果がある。
【0042】
そして、システムパラメータの変更に続いてPHS端末1からPHSパラメータ記憶部10に記憶されている自己のPHSパラメータを変更するので、従来のようにPHSシステムの保守端末(専用書込用端末7)のある場所まで足を運ばなくてもPHSパラメータを変更することができ、変更直後にその設定でPHS端末を使用できるようになりPHSパラメータの変更を迅速に適用し、システムとしてのサービス向上を図ることができる効果がある。
また、システムパラメータの変更とPHSパラメータの変更とを一連の流れで行い、システムパラメータの変更データを用いてPHSパラメータの変更も行うため、2つのパラメータ変更作業の整合性を保ち、システム保守作業のミスを軽減し、作業効率を向上できる効果がある。
【0043】
PHS端末1からシステムパラメータを変更する際に、パスワード管理によって表示・変更できるパラメータを制限するので、保守員も一般ユーザも同様の手順で、役割に応じたパラメータを変更することができ、セキュリティを損なうことなく、保守操作を簡易化できる効果がある。
【0044】
また、従来は、保守作業が管理コンソール5′からしか行えないため、管理コンソール5′設置場所に待機していなければならなかったが、本発明では保守員のパスワードを入力することによってPHS端末1から保守作業が行えるため、保守作業の効率を向上できる効果がある。
【0045】
また、PHS端末1からユーザのパスワードを入力することによって、当該ユーザに関するパラメータの変更をユーザ自身で行うことができるので、パラメータ変更のためにPHS端末1を使用できない期間を短縮して、サービス向上を図ることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、パラメータ変更手順を一元化し、運用を中断せずに適用できるようにして、システム稼働率を低下させることなく、パラメータの変更を迅速に適用し、システムとしてのサービス向上や信頼性向上を図ることができるPHS構内無線システム及びパラメータ変更方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るPHS構内無線システムの構成ブロック図である。
【図2】本発明のPHS端末で行うパラメータ変更操作手順の流れを示すフローチャート図である。
【図3】PHS端末からのパラメータ変更操作画面例を示す説明図である。
【図4】本発明のサーバのパラメータ変更補助手段の処理例を示すフローチャート図である。
【図5】従来のPHS構内無線システムの構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1、1′...PHS端末、 2...基地局、 3...統合制御装置、 4...構内交換機、 5、5′...管理コンソール、 6...メモリカード、 7...専用書込用端末、 8...サーバ、 10...PHSパラメータ記憶部、 11...ブラウザ手段、 12...PHSパラメータ変更手段、 30...システムパラメータ記憶部、 31...運用パラメータ記憶部、 50,50′...オンラインパラメータ変更手段、 51...オフラインパラメータ変更手段、 80...パラメータ変更補助手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるシステムパラメータの変更データに従って運用中のシステムパラメータを変更するシステムパラメータ変更手段と、
システムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を提供し、前記入出力画面に従って受信したシステムパラメータの変更データを前記システムパラメータ変更手段に出力し、前記変更データの送信元に応答を返すパラメータ変更補助手段と、
前記パラメータ変更補助手段が提供する入出力画面を表示し、システムパラメータの変更データを入力して前記パラメータ変更補助手段に送信し、前記パラメータ変更補助手段からの応答を受けて、前記変更したシステムパラメータに対応する自己のパラメータを変更するPHS端末とを有することを特徴とするPHS構内無線システム。
【請求項2】
複数のPHS端末と、前記PHS端末と無線通信を行う基地局と、システムパラメータを記憶し前記システムパラメータを用いてシステムを運用する統合制御装置と、前記統合制御装置に接続されて前記システムパラメータの変更を行う管理コンソールとを有するPHS構内無線システムであって、
前記管理コンソールが、入力されるシステムパラメータの変更データに従って前記統合制御装置の運用中のシステムパラメータを変更するオンラインシステムパラメータ変更手段を有する管理コンソールであり、
前記統合制御装置及び前記管理コンソールとLAN接続され、システムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を記述したハイパーテキスト情報のファイル群を記憶して前記PHS端末に閲覧可能とし、前記入出力画面に従って前記PHS端末から受信したシステムパラメータの変更データを前記管理コンソールのオンラインパラメータ変更手段に出力し、前記PHS端末に応答を返すパラメータ変更補助手段を具備するサーバを設け、
前記PHS端末が、ハイパーテキストブラウザ機能を具備し、前記サーバに接続して前記ハイパーテキスト情報を閲覧し、システムパラメータの表示及び変更データの入力を行うブラウザ手段と、前記パラメータ変更補助手段からの応答を受けて前記変更したシステムパラメータに対応する自己のパラメータを変更するPHSパラメータ変更手段とを有するPHS端末であることを特徴とするPHS構内無線システム。
【請求項3】
パラメータ変更補助手段を統合制御装置内に設けることを特徴とする請求項2記載のPHS構内無線システム。
【請求項4】
PHS端末のブラウザ手段が、システムパラメータの表示及び変更データの入力を行う前にパスワードの入力を行うPHS端末であり、
パラメータ変更補助手段が、パスワードとそれに対応するパラメータの表示・変更可能範囲を予め記憶し、前記PHS端末から入力されるパスワードに応じてパラメータの表示・変更できる範囲を制御する機能を有する手段であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のPHS構内無線システム。
【請求項5】
ブラウザ機能を有するPHS端末が、サーバに接続してシステムパラメータの表示・変更の為の入出力画面を記述したハイパーテキスト情報を閲覧し、変更データを入力して前記サーバに送信し、前記サーバが、受信した変更データを管理コンソールに送信して、前記PHS端末に応答を返送し、前記変更データを受信した管理コンソールが統合制御装置の運用中のシステムパラメータを変更し、前記PHS端末が、前記サーバからの応答を受けて、前記変更したシステムパラメータに対応する自己のパラメータを変更することを特徴とするパラメータ変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−199644(P2008−199644A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70476(P2008−70476)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【分割の表示】特願2001−291326(P2001−291326)の分割
【原出願日】平成13年9月25日(2001.9.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】