説明

RFパワーモジュール

【課題】多段増幅段を含むRF電力増幅回路の低パワーおよび中間パワー時における電力付加効率(PAE)の低下を軽減する。
【解決手段】RF電力増幅回路313は、前段増幅器310、後段増幅器311、制御部312を具備する。前段増幅器310はRF送信入力信号Pinに応答して、前段増幅器310の出力の増幅信号に後段増幅器311が応答する。制御部312は、出力電力制御電圧Vapcに応答して、前段増幅器310と前記後段増幅器311のアイドリング電流を制御して前段増幅器310と前記後段増幅器311の利得を制御する。出力電力制御電圧Vapcに応答して、前段増幅器310のアイドリング電流と利得とは第1の連続関数2ndAmpに従って連続的に変化して、後段増幅器311のアイドリング電流と利得とは第2の連続関数3rdAmpに従って連続的に変化する。第2の連続関数3rdAmpは、第1の連続関数2ndAmpよりも1次以上高次の関数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF電力増幅回路およびそれを使用したRFパワーモジュールに関し、特に多段増幅段を含むRF電力増幅回路の低パワーおよび中間パワー時における電力付加効率(PAE)の低下を軽減するのに有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GSM(Global System for Mobile Communications)やGPRS(General Packet Radio Service)等に代表される移動体通信システムは略全世界で使用されており、今後も利用され続けると予測されている。GSMやGPRS等の移動体通信システムでは、基地局と携帯端末機器との間の通信距離に応じて、携帯端末機器の送信出力電力を制御することが要求される。この送信出力の電力制御は、携帯端末機器に搭載されるRF電力増幅器の電力利得を制御電圧で制御することによって実現されている。
【0003】
下記特許文献1には、無線通信システムのRF電力増幅回路の多段増幅段の各段のトランジスタのゲート・バイアス電圧を出力電力制御電圧に応答して変化させることが記載されている。
【0004】
下記特許文献2には、下記特許文献1と同様に無線通信システムのRF電力増幅回路の多段増幅段の各段のトランジスタのゲート・バイアス電圧を出力電力制御電圧に応答して変化させることが記載されている。多段増幅段の各段のNチャンネルMOSトランジスタのゲート・バイアス電圧を発生するバイアス回路は、各NチャンネルMOSトランジスタとカレントミラー接続されるバイアス用トランジスタを含む。バイアス用トランジスタのゲートとドレインが接続されることによって、バイアス用トランジスタはダイオード接続されている。各バイアス用トランジスタには、PチャンネルMOSトランジスのドレインからバイアス電流が供給される。PチャンネルMOSトランジスのソースは電源電圧に接続される一方、PチャンネルMOSトランジスのゲートは演算増幅器の出力端子の電圧によって制御される。PチャンネルMOSトランジスのバイアス電流は、演算増幅器の非反転入力端子に接続された抵抗の電圧降下によって制御される。この抵抗の電圧降下は、演算増幅器の反転入力端子に供給される出力電力制御電圧によって制御される。
【0005】
下記特許文献3には、ローパワー時における電力効率を向上するために、出力レベル制御信号に応答して制御される電源電圧が供給されるRF電力増幅器の多段増幅器の最終増幅段のトランジスタのゲート・バイアス電圧を出力レベル制御信号に応じて段階的に切り換えて、ローパワー時のバイアス電圧をハイパワー時のバイアス電圧よりも低くすることが記載されている。
【0006】
また、下記特許文献2に記載のRF電力増幅回路では、バイアス電流設定用のPチャンネルMOSトランジスのドレイン電流は2乗根回路の入力端子に供給され、この2乗根回路の出力端子から生成される2乗根変換された出力電流がバイアス電流設定用の抵抗に供給される。従って、RF電力増幅回路の多段増幅段の各段のトランジスタのバイアス電流は出力電力制御電圧の2乗に比例した値となるので、出力電力制御電圧の変化に応答する送信出力電力の急峻な変化を緩和することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−193846号 公報
【特許文献2】特開2006−270670号 公報
【特許文献3】特開2005−217558号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
GSMやGPRS等の移動体通信システムでは、ディジタル変調方式にはGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)が使用され、多重化方式にはTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重アクセス)が使用されている。従って、ディジタル変調された信号は、所定の周期の矩形状パルスとして携帯端末機器に搭載されるRF電力増幅器から基地局へ送出される必要がある。また、RF電力増幅器が送信信号を送出する際のパルスの形状およびパルスの立ち上り/立ち下り時の変調スペクトルの形状は、その許容値が移動体通信システムの規格によって規格化されている。制御電圧に対する電力利得の変化率に不連続点が存在すると、この規格を逸脱するようなパルス形状となることや、変調スペクトルに不要信号が発生することが知られている。これを避けるためには、RF電力増幅器の電力利得を制御電圧の増加に対して連続的に単調増加させることが有効である。上記特許文献3に記載されたRF電力増幅器によればローパワー時の電力効率を向上することが可能であるが、最終増幅段のトランジスタのバイアス電圧が不連続的に段階的に切り換えられる。その結果、上記特許文献3に記載のRF電力増幅器では、ランプアップ時およびランプダウン時にスプリアスが発生すると言う問題が本発明者等の検討によって明らかとされた。
【0009】
本発明者等は本発明に先立って、携帯端末機器に搭載されるRF電力増幅回路の研究・開発に従事した。
【0010】
図2は、本発明に先立って本発明者等によって検討された3段増幅段のRF電力増幅回路の構成を示す図である。
【0011】
図2に示すRF電力増幅回路では、入力端子103に供給されるRF送信入力信号Pinは各段増幅器105、106、107で増幅され、出力端子104からRF送信出力信号Poutが生成される。各段増幅器105、106、107の入出力インピーダンスの変換を行ってインピーダンス不整合による送信信号の反射損失を低減させるために、各増幅トランジスタ105、106、107には受動素子で構成された整合回路(MN)108、109、110が接続されている。電源電圧Vddは、電源電圧供給端子101、101A、101B、101Cから供給される。多段増幅段のRF電力増幅器の電力利得は、端子102に供給される出力電力制御電圧Vapcを線形電圧電流変換器118が電流に変換して、この変換電流をダイオード接続されたバイアストランジスタ112、113、114に供給して、増幅トランジスタ105、106、107にアイドリング電流(バイアス電流)の値を設定することによって行われる。また低インピーダンスのダイオード接続のバイアストランジスタ112、113、114に高レベルのRF増幅信号が流入するのを軽減するため、ダイオード接続のバイアストランジスタ112、113、114に抵抗115、116、117が接続されている。
【0012】
次に、図2に示した3段増幅段のRF電力増幅回路におけるRF送信出力電力の制御機能について、説明する。
【0013】
RF送信出力電力の制御は、各増幅トランジスタ105、106、107の増幅利得が各アイドリング電流(バイアス電流)の値に依存する性質を利用して次に説明する機構で実行されるものである。
【0014】
まず出力電力制御電圧Vapcが電圧電流変換器118の入力端子102に印加されると、分圧抵抗129、130によって生成される分圧電圧が演算増幅器128の反転入力端子に供給される。すると、演算増幅器128と、PチャンネルMOSトランジスタ126と、抵抗127とで構成された回路は、分圧電圧に比例した電流をPチャンネルMOSトランジスタ126と抵抗127との直列回路に流入するように動作する。PチャンネルMOSトランジスタ126、122とNチャンネルMOSトランジスタ124、125とPチャンネルMOSトランジスタ123、119、120、121とはそれぞれカレントミラー回路を構成しており、PチャンネルMOSトランジスタ126に流れる電流のミラー比倍された電流がダイオード接続されたバイアストランジスタ112、113、114に流れるものとなる。各バイアストランジスタ112、113、114と各増幅トランジスタ105、106、107もまた、カレントミラー回路を構成しており、各ミラー比倍の電流が各増幅トランジスタ105、106、107に流れて、アイドリング電流(バイアス電流)の値が設定される。
【0015】
上述した複数のカレントミラー回路の各々のミラー比は、通常、出力電力制御電圧Vapcが最大となった際に、移動体通信システムの規格の最大出力電力Pout(max)が図2に示した3段増幅段のRF電力増幅回路によって得られるような各アイドリング電流(バイアス電流)となるように選定される。
【0016】
図3は、図2に示した本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路の3段増幅段の各増幅段の各増幅トランジスタ105、106、107に流れるアイドリング電流(バイアス電流)の電流密度Jqの出力電力制御電圧Vapcに応答する依存性を示す図である。尚、図3にて、縦軸は各増幅トランジスタに流れるアイドリング電流(バイアス電流)の電流密度Jqの値を示し、横軸は出力電力制御電圧Vapcの値を示し、出力電力制御電圧Vapcの最大値Vapc(max)に対応してアイドリング電流(バイアス電流)の電流密度の最大値Jq_maxが各増幅トランジスタに流れるものである。
【0017】
この図3に示すように、同一の出力電力制御電圧Vapcの値に応答して第1段目の増幅トランジスタ105と第2段目の増幅トランジスタ106と第3段目の増幅トランジスタ107にそれぞれ流れるアイドリング電流(バイアス電流)の電流密度Jqの値は同一の値となっている。
【0018】
一方、多段増幅段によって構成されたRF電力増幅回路においては、第1段目の増幅トランジスタ105は比較的小さなデバイス・サイズとされ、第2段目の増幅トランジスタ106は中間のデバイス・サイズとされ、最終段の第3段目の増幅トランジスタ107は比較的大きなデバイス・サイズとされている。すなわち、RF電力増幅回路では、初段増幅段から中間増幅段を介して最終増幅段まで各RF入力信号の信号レベルの増加に対応して各増幅段の増幅トランジスタのデバイス・サイズが増加され、RF電力増幅回路の電力付加効率(PAE:Power Added Efficiency)が改善される。もしも初段増幅段および中間増幅段の増幅トランジスタが最終増幅段の増幅トランジスタのような大きなデバイス・サイズを有していたとすると、各RF入力信号の小さな信号レベルと比較して必要以上に大きなアイドリング電流(バイアス電流)が初段増幅段および中間増幅段の増幅トランジスタに流れ、RF電力増幅回路の電力付加効率(PAE)が低下するものとなる。また、RF電力増幅回路の第1段目の増幅トランジスタ105と第2段目の増幅トランジスタ106と第3段目の増幅トランジスタ107の各デバイス・サイズは、RF電力増幅回路が規格の最大出力電力Pout(max)を生成する際に各増幅段の電力効率が最大となるように設定される。RF電力増幅回路の各増幅段の増幅トランジスタの各デバイス・サイズと各アイドリング電流(バイアス電流)の電流密度Jqの値を適切に設定することよって、最大出力電力Pout(max)を生成する際の各増幅段のインピーダンス不整合による信号損失が最小化されて、各増幅段の電力効率が最大化される。
【0019】
このようにRF電力増幅回路の初段、中間段、最終段の順序で各増幅段の増幅トランジスタのデバイス・サイズを増加させて最適化することによって、最大出力電力Pout(max)を生成する際のRF電力増幅回路の電力付加効率(PAE)を改善することができる。
【0020】
しかし、最大出力電力Pout(max)よりも低い出力電力PoutをRF電力増幅回路が生成する際に電力付加効率(PAE)の低下が発生することが、本発明者等の検討によって明らかとされた。この低パワー時および中間パワー時の電力付加効率(PAE)の低下の原因は、下記のように説明される。
【0021】
すなわち、RF電力増幅回路から生成される出力電力Poutが最大出力電力Pout(max)よりも低下すると、第1段目と第2段目との前段増幅段のインピーダンス不整合による信号損失が増加するので第3段目の最終増幅段の入力電圧振幅Vminが低下する。この時には、第3段目の最終増幅段のアイドリング電流(バイアス電流)の値も低下しているが、それ以上に第3段目の最終増幅段の入力電圧振幅Vminの低下が顕著となっている。従って、低パワー時および中間パワー時には第3段目の最終増幅段の電力効率が低下するので、RF電力増幅回路の電力付加効率(PAE)が低下するものである。このメカニズムは、更に下記のように詳細に説明される。
【0022】
RF電力増幅回路の第1段目と第2段目と第3段目の各増幅トランジスタがアイドリング電流(バイアス電流)の電流密度Jqにおいて正のサイクルと負のサイクルの出力信号振幅の電流密度Jcmを生成するA級動作を行っている際の各増幅トランジスタの電力効率ηは、下記(1)式によって与えられることができる。
【0023】
【数1】

【0024】
一方、各増幅トランジスタの相互コンダクタンスと入力電圧振幅とをそれぞれgmとVminとすると、各増幅トランジスタの出力信号振幅の電流密度Jcmは、下記(2)式によって与えられることができる。
【0025】
【数2】

【0026】
上記(2)式を上記(1)式に代入することによって、下記(3)式を得ることができる。
【0027】
【数3】

【0028】
上記(3)式から、第3段目の最終増幅段のアイドリング(バイアス)電流密度Jqの低下よりもその入力電圧振幅Vminの低下が顕著となると、第3段目の最終増幅段の増幅トランジスタの電力効率ηが低下することが理解される。
【0029】
本発明は、以上のような本発明に先立った本発明者等の検討の結果、なされたものである。
【0030】
従って、本発明の目的とするところは、多段増幅段を含むRF電力増幅回路の低パワーおよび中間パワー時における電力付加効率(PAE)の低下を軽減することにある。
【0031】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本願において開示される発明のうちの代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0033】
すなわち、本発明の代表的なRF電力増幅回路(313)は、前段増幅器(310)と、後段増幅器(311)と、制御部(312)とを具備する。
【0034】
前記前段増幅器(310)の入力端子はRF送信入力信号(Pin)に応答可能とされ、前記前段増幅器(310)の出力端子に生成される増幅信号に前記後段増幅器(311)の入力端子が応答可能とされる。
【0035】
前記制御部(312)は、電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(310)のアイドリング電流と前記後段増幅器(311)のアイドリング電流とを制御することによって前記前段増幅器(310)の利得と前記後段増幅器(311)の利得とを制御可能とされる(図1参照)。
【0036】
前記電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(310)の前記アイドリング電流と前記利得とは第1の連続関数(2ndAmp)に従って連続的に変化して、前記後段増幅器(311)の前記アイドリング電流と前記利得とは第2の連続関数(3rdAmp)に従って連続的に変化する。
【0037】
前記第2の連続関数(3rdAmp)は、前記第1の連続関数(2ndAmp)よりも1次以上高次の関数であることを特徴とする(図4参照)。
【発明の効果】
【0038】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。すなわち、多段増幅段を含むRF電力増幅回路の低パワーおよび中間パワー時における電力付加効率(PAE)の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明に先立って本発明者等によって検討された3段増幅段のRF電力増幅回路の構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路の3段増幅段の各増幅段の各増幅トランジスタに流れるアイドリング電流の電流密度の出力電力制御電圧に応答する依存性を示す図である。
【図4】図4は、図1に示したRF電力増幅回路の第1段増幅器と第2段増幅器と第3段増幅器の各アイドリング電流の電流密度の出力電力制御電圧に対する特性を示す図である。
【図5】図5は、変形の実施の形態である本発明の実施の形態2によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、具体的な実施の形態である本発明の実施の形態3によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図6に示した本発明の実施の形態3によるRF電力増幅回路の電流-電流連続関数生成回路に含まれる電流2乗回路の構成を示す図である。
【図8】図8は、図6に示した本発明の実施の形態3によるRF電力増幅回路の電流-電流連続関数生成回路に含まれる電流3乗回路の構成を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態4によるRFパワーモジュールの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、図1に示す本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路と図2に示す本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路の出力電力制御電圧対RF送信出力信号の特性を示す図である。
【図11】図11は、図1に示す本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路と図2に示す本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路のRF送信出力信号対電力付加効率の特性を示す図である。
【図12】図12は、図6に示した実施の形態ではRF電力増幅回路に含まれた増幅トランジスタとバイアス用トランジスタとしてのNチャンネルMOSトランジスタをHBT等のNPN型バイポーラ・トランジスタに置換した場合の本発明の他の実施の形態によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0041】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態によるRF電力増幅回路(313)は、前段増幅器(310)と、後段増幅器(311)と、制御部(312)とを具備する。
【0042】
前記前段増幅器(310)の入力端子はRF送信入力信号(Pin)に応答可能とされ、前記前段増幅器(310)の出力端子に生成される増幅信号に前記後段増幅器(311)の入力端子が応答可能とされている。
【0043】
前記制御部(312)は、制御入力端子に供給される電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(310)のアイドリング電流と前記後段増幅器(311)のアイドリング電流とを制御することによって前記前段増幅器(310)の利得と前記後段増幅器(311)の利得とを制御可能とされている(図1参照)。
【0044】
前記電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(310)の前記アイドリング電流と前記利得とは第1の連続関数(2ndAmp)に従って連続的に変化して、前記後段増幅器(311)の前記アイドリング電流と前記利得とは第2の連続関数(3rdAmp)に従って連続的に変化するものである。
【0045】
前記第2の連続関数(3rdAmp)は、前記第1の連続関数(2ndAmp)よりも1次以上高次の関数であることを特徴とする(図4参照)。
【0046】
前記実施の形態によれば、多段増幅段を含むRF電力増幅回路の低パワーおよび中間パワー時における電力付加効率(PAE)の低下を軽減することができる。
【0047】
好適な実施の形態では、前記前段増幅器(310)の増幅トランジスタのデバイス・サイズよりも前記後段増幅器(311)の増幅トランジスタのデバイス・サイズが大きく設定されている。
【0048】
所定のレベルの前記電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(310)の前記アイドリング電流の電流密度よりも前記後段増幅器(311)の前記アイドリング電流の電流密度が低く設定されることを特徴とする(図4参照)。
【0049】
前記好適な実施の形態によれば、RF電力増幅回路が低パワーおよび中間パワーのRF送信出力信号を生成する際に、前段増幅段のインピーダンス不整合による信号損失増大によって後段増幅段の入力電圧振幅の低下が後段増幅段のアイドリング電流密度の低下よりも顕著となることが軽減されることができる。
【0050】
他の好適な実施の形態では、前記電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(309)の前記アイドリング電流と前記利得とは第1の連続関数(1stAmp)としての線形特性に従って連続的に変化するものであり、
前記電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記後段増幅器(310、311)の前記アイドリング電流と前記利得とは第2の連続関数(2ndAmp、3rdAmp)としての2乗特性または3乗特性に従って連続的に変化することを特徴とする(図4参照)。
【0051】
更に他の好適な実施の形態では、前記制御部(610、620、630)は、前記電力制御電圧(Vapc)に応答して前記線形特性に従って連続的に変化する第1のバイアス電流と前記2乗特性または前記3乗特性に従って連続的に変化する第2のバイアス電流とを生成するものである。
【0052】
前記RF電力増幅回路(313)は、第1のバイアス用トランジスタ(631)と第2のバイアス用トランジスタ(632、633)とを更に具備する。
【0053】
前記第1のバイアス用トランジスタ(631)は前記前段増幅器の前記増幅トランジスタ(641)とカレントミラー接続されており、前記第2のバイアス用トランジスタ(632、633)は前記後段増幅器の前記増幅トランジスタ(642、643)とカレントミラー接続されている。
【0054】
前記制御部(610、620、630)から生成される前記第1のバイアス電流と前記第2のバイアス電流は、前記第1のバイアス用トランジスタ(631)と前記第2のバイアス用トランジスタ(632、633)とにそれぞれ供給されることを特徴とする(図6参照)。
【0055】
より好適な実施の形態では、前記制御部(610、620)はCMOSトランジスタを含むモノリシック集積回路で構成されたことを特徴とする(図6参照)。
【0056】
更により好適な実施の形態では、前記前段増幅器の前記増幅トランジスタ(641)と前記後段増幅器の前記増幅トランジスタ(642、643)と前記第1のバイアス用トランジスタ(631)と前記第2のバイアス用トランジスタ(632、633)とは、MOSトランジスタで構成されたことを特徴とする(図6参照)。
【0057】
具体的な一つの実施の形態では、前記前段増幅器の前記増幅トランジスタ(641)と前記後段増幅器の前記増幅トランジスタ(642、643)と前記第1のバイアス用トランジスタ(631)と前記第2のバイアス用トランジスタ(632、633)とは、バイポーラ・トランジスタで構成されたことを特徴とする(図12参照)。
【0058】
より具体的な一つの実施の形態は、前記MOSトランジスタはLDMOSトランジスタであることを特徴とする。
【0059】
更により具体的な一つの実施の形態は、前記バイポーラ・トランジスタはヘテロ接合バイポーラ・トランジスタであることを特徴とする。
【0060】
〔2〕本発明の別の観点の代表的な実施の形態によるRFパワーモジュールは、第1の周波数帯域のRF送信入力信号(Pin_GSM)を増幅する第1のRF電力増幅回路(911)と、第2の周波数帯域のRF送信入力信号(Pin_DCS)を増幅する第2のRF電力増幅回路(921)と、出力電力制御部(930、915)とを具備する。
【0061】
前記出力電力制御部(930、915)は、第1の電力検波器(932)と、第2の電力検波器(933)と、誤差増幅器(934)とを含むものである。
【0062】
前記第1の電力検波器(932)は、前記第1のRF電力増幅回路(911)の出力端子から生成される第1のRF送信信号のレベルを検出する。
【0063】
前記第2の電力検波器(933)は、前記第2のRF電力増幅回路(921)の出力端子から生成される第2のRF送信信号のレベルを検出する。
【0064】
前記誤差増幅器(934)は、外部制御電圧(Vramp)と前記第1の電力検波器(932)および前記第2の電力検波器(933)の検波出力電圧(Vdet)との差に応答して電力制御電圧(Vapc)を生成する(図9参照)。
【0065】
前記第1のRF電力増幅回路(911)と前記第2のRF電力増幅回路(921)の各RF電力増幅回路(313)は、前段増幅器(310)と、後段増幅器(311)と、制御部(312)とを有する。
【0066】
前記前段増幅器(310)の入力端子はRF送信入力信号(Pin)に応答可能とされ、前記前段増幅器(310)の出力端子に生成される増幅信号に前記後段増幅器(311)の入力端子が応答可能とされている。
【0067】
前記制御部(312)は、制御入力端子に供給される前記電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(310)のアイドリング電流と前記後段増幅器(311)のアイドリング電流とを制御することによって前記前段増幅器(310)の利得と前記後段増幅器(311)の利得とを制御可能とされている(図1参照)。
【0068】
前記電力制御電圧(Vapc)に応答して、前記前段増幅器(310)の前記アイドリング電流と前記利得とは第1の連続関数(2ndAmp)に従って連続的に変化して、前記後段増幅器(311)の前記アイドリング電流と前記利得とは第2の連続関数(3rdAmp)に従って連続的に変化するものである。
【0069】
前記第2の連続関数(3rdAmp)は、前記第1の連続関数(2ndAmp)よりも1次以上高次の関数であることを特徴とする(図4参照)。
【0070】
前記実施の形態によれば、多段増幅段を含むRF電力増幅回路の低パワーおよび中間パワー時における電力付加効率(PAE)の低下を軽減することができる。
【0071】
2.実施の形態の詳細
次に、実施の形態について更に詳述する。尚、発明を実施するための最良の形態を説明するための全図において、前記の図と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
【0072】
[実施の形態1]
《RF電力増幅回路の構成》
図1は、本発明の実施の形態1によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0073】
図1に示すRF電力増幅回路313には、アイドリング電流制御部312が接続されている。まず、RF電力増幅回路313は、多段接続された第1段増幅器309と第2段増幅器310と第3段増幅器311を含んでいる。第1段増幅器309の入力端子にRF送信入力信号Pinが供給され、第1段増幅器309の出力端子のRF増幅信号は第2段増幅器310の入力端子に供給され、第2段増幅器310の出力端子のRF増幅信号は第3段増幅器311の入力端子に供給され、第3段増幅器311の出力端子からはRF送信出力信号Poutが生成される。このRF電力増幅回路313でも初段の第1段増幅器309、中間段の第2段増幅器310、最終段の第3段増幅器311の順序で、各増幅段の増幅トランジスタのデバイス・サイズが増加されている。増幅トランジスタが電界効果トランジスタであればデバイス・サイズはチャンネル幅(W)とチャンネル長(L)の比(W/L)で決定される一方、増幅トランジスタがバイポーラ・トランジスタであればデバイス・サイズはエミッタ面積(AE)で決定される。
【0074】
アイドリング電流制御部312には出力電力制御電圧Vapcが供給され、アイドリング電流制御部312から生成される第1バイアス電圧と第2バイアス電圧と第3バイアス電圧とが第1段増幅器309と第2段増幅器310と第3段増幅器311とにそれぞれ供給される。アイドリング電流制御部312は、電圧-電流線形変換部301と、電圧-電流変換係数設定部302、303、304と、電流-電流2乗変換部305と、電流-電流3乗変換部306と、電流-電流2乗変換係数設定部307と、電流-電流3乗変換係数設定部308とで構成されている。
【0075】
《RF電力増幅回路の動作》
上述した構成を有する図1に示したRF電力増幅回路313は、下記のように動作する。
【0076】
第1段増幅器309の入力端子に供給されたRF送信入力信号Pinは第1段増幅器309によって増幅されて、その出力端子に第1RF増幅信号が生成される。第1RF増幅信号は第2段増幅器310によって増幅されて、その出力端子に第2RF増幅信号が生成される。第2RF増幅信号は第3段増幅器311によって増幅されて、その出力端子にRF送信出力信号Poutが生成される。
【0077】
また、出力電力制御電圧Vapcが供給されるアイドリング電流制御部312は下記のように動作することによって、3段従属接続されたRF電力増幅器313の第1段増幅器309と第2段増幅器310と第3段増幅器311の各段のアイドリング電流を制御する。
【0078】
出力電力制御電圧Vapcがアイドリング電流制御部312に供給されると、電圧-電流線形変換部301は出力電力制御電圧Vapcに比例した変換出力電流を生成する。
【0079】
電圧-電流線形変換部301の変換出力電流に応答して第1段増幅器309のアイドリング電流が所望の値に設定されるように、電圧-電流変換係数設定部302で変換係数が設定される。電圧-電流変換係数設定部302は、この変換係数に応答して、電圧-電流線形変換部301の変換出力電流を線形特性で倍増する。電圧-電流変換係数設定部302の線形特性の倍増出力電流は第1段増幅器309に供給され、第1段増幅器309の内部で線形特性の倍増出力電流は第1バイアス用トランジスタにより第1バイアス電圧に変換される。第1段増幅器309の内部で第1バイアス用トランジスタと第1段増幅トランジスタとはカレントミラー接続されているので、第1段増幅トランジスタのアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcに応答して線形特性で制御される。
【0080】
電圧-電流線形変換部301の変換出力電流に応答して第2段増幅器310のアイドリング電流が所望の値に設定されるように、電圧-電流変換係数設定部303で変換係数が設定される。電圧-電流変換係数設定部303は、この変換係数に応答して、電圧-電流線形変換部301の変換出力電流を線形特性で倍増する。電圧-電流変換係数設定部303の線形特性の倍増出力電流は電流-電流2乗変換部305に供給され、電流-電流2乗変換部305では電圧-電流線形変換部301からの変換出力電流は電流-電流2乗変換部305の2乗特性で倍増される。電流-電流2乗変換係数設定部307では、電流-電流2乗変換部305での2乗特性の変換係数が設定される。電流-電流2乗変換部305と電流-電流2乗変換係数設定部307の2乗特性の倍増出力電流は第2段増幅器310に供給され、第2段増幅器310の内部では2乗特性の倍増出力電流は第2バイアス用トランジスタにより第2バイアス電圧に変換される。第2段増幅器310の内部では第2バイアス用トランジスタと第2段増幅トランジスタはカレントミラー接続されているので、第2段増幅トランジスタのアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcに応答して2乗特性で制御される。
【0081】
電圧-電流線形変換部301の変換出力電流に応答して第3段増幅器311のアイドリング電流が所望の値に設定されるように、電圧-電流変換係数設定部304で変換係数が設定される。電圧-電流変換係数設定部304は、この変換係数に応答して、電圧-電流線形変換部301の変換出力電流を線形特性で倍増する。電圧-電流変換係数設定部304の線形特性の倍増出力電流は電流-電流3乗変換部306供給されて、電流-電流3乗変換部306では電圧-電流線形変換部301からの変換出力電流は電流-電流3乗変換部306の3乗特性で倍増される。電流-電流3乗変換係数設定部308では、電流-電流3乗変換部306での3乗特性の変換係数が設定される。電流-電流3乗変換部306と電流-電流3乗変換係数設定部308の3乗特性の倍増出力電流は第3段増幅器311に供給され、第3段増幅器311の内部では3乗特性の倍増出力電流は第3バイアス用トランジスタにより第3バイアス電圧に変換される。第3段増幅器311の内部では第3バイアス用トランジスタと第3段増幅トランジスタはカレントミラー接続されているので、第3段増幅トランジスタのアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcに応答して3乗特性で制御される。
【0082】
図4は、図1に示したRF電力増幅回路313の第1段増幅器309と第2段増幅器310と第3段増幅器311の各アイドリング電流の電流密度Jqの出力電力制御電圧Vapcに対する特性を示す図である。
【0083】
図4にて、縦軸は各増幅トランジスタに流れるアイドリング電流(バイアス電流)の電流密度Jqの値を示し、横軸は出力電力制御電圧Vapcの値を示している。図4で、実線1stAmpは初段の第1段増幅器309のアイドリング電流密度Jqを示し、粗い破線2ndAmpは中間段の第2段増幅器310のアイドリング電流密度Jqを示し、細かい破線3rdAmpは最終段の第3段増幅器311のアイドリング電流密度Jqを示している。
【0084】
図4に示すように低パワーおよび中間パワーのRF送信出力信号Poutを生成する際の同一レベルの出力電力制御電圧Vapcに応答して、初段の第1段増幅器309のアイドリング電流密度Jq(=1stAmp)が最大値を、中間段の第2段増幅器310のアイドリング電流密度Jq(=2ndAmp)が中間値を、最終段の第3段増幅器311のアイドリング電流密度Jq(=3rdAmp)が最小値を、それぞれ有するように設定されている。尚、図4の例では、最大出力電力Pout(max)を生成する際の最大レベルの出力電力制御電圧Vapc_maxに応答して、初段の第1段増幅器309のアイドリング電流密度Jq(=1stAmp)と、中間段の第2段増幅器310のアイドリング電流密度Jq(=2ndAmp)と、最終段の第3段増幅器311のアイドリング電流密度Jq(=3rdAmp)とは、略等しい最大値Jq_maxとされている。
【0085】
図4に示した図1のRF電力増幅回路313の各段のアイドリング電流密度の制御方法では、同一レベルの出力電力制御電圧Vapcに応答して、初段よりも中間段、中間段よりも最終段と、後段になるにつれてアイドリング電流密度の値が低くなるよう設定されている。従って、低パワーおよび中間パワーのRF送信出力信号Poutを生成する際に、前段増幅段のインピーダンス不整合による信号損失増大によって後段増幅段の入力電圧振幅の低下が後段増幅段のアイドリング電流密度の低下よりも顕著となることが軽減されることができる。このようにして、図1に示した本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路によれば、多段増幅段を含むRF電力増幅回路の低パワーおよび中間パワー時での電力付加効率(PAE)の低下を軽減することが可能となる。
【0086】
また、図1に示した本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路のアイドリング電流制御部312に含まれた電流-電流2乗変換部305と電流-電流3乗変換部306とは、入力電流に応答して2乗および3乗に比例して連続関数となる特性の電流をそれぞれ出力する機能を持てば良く、その回路構成は問題とされない。
【0087】
図10は、図1に示す本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路と図2に示す本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路の出力電力制御電圧Vapc対RF送信出力信号Poutの特性を示す図である。
【0088】
図10において、特性L1は図2の本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路の出力電力制御電圧Vapc対RF送信出力信号Poutの特性であり、特性L2は図1の本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路の出力電力制御電圧Vapc対RF送信出力信号Poutの特性である。
【0089】
図10の特性L2に示した図1の本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路の出力電力制御電圧Vapc対RF送信出力信号Poutの特性では、その変化特性で不連続点が存在しないことがまず理解される。次に、図10の特性L2は、図10の特性L1と比較して、出力電力制御電圧Vapcの変化に応答するRF送信出力信号Poutの急峻な変化を緩和できることが理解される。
【0090】
図11は、図1に示す本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路と図2に示す本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路のRF送信出力信号Pout対電力付加効率(PAE)の特性を示す図である。
【0091】
図11において、特性L1は図2の本発明に先立って本発明者等によって検討されたRF電力増幅回路のRF送信出力信号Pout対電力付加効率(PAE)の特性であるのに対して、特性L2は図1の本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路のRF送信出力信号Pout対電力付加効率(PAE)の特性である。
【0092】
図11の特性L2は、図11の特性L1と比較してRF送信出力信号Poutが略30dBm以下の低パワーおよび中間パワー時の電力付加効率(PAE)が改善されることが理解される。
【0093】
[実施の形態2]
《RF電力増幅回路の他の構成》
図5は、変形の実施の形態である本発明の実施の形態2によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0094】
図5に示した本発明の実施の形態2によるRF電力増幅回路が図1に示した本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路と相違するのは、図1のアイドリング電流制御部312の電圧-電流変換係数設定部303の出力とRF電力増幅回路313の第2段増幅器310との間に接続された電流-電流2乗変換部305と電流-電流2乗変換係数設定部307とが、図5のアイドリング電流制御部312では省略されていることである。
【0095】
従って、図5に示す本発明の実施の形態2によるRF電力増幅回路では、第1段増幅器309の第1段増幅トランジスタのアイドリング電流と第2段増幅器310の第2段増幅トランジスタのアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcに応答して線形特性で制御される。しかし、低パワーおよび中間パワーのRF送信出力信号Poutを生成する際の同一レベルの出力電力制御電圧Vapcに応答して、第1段増幅器309に含まれる第1段増幅トランジスタのアイドリング電流の電流密度Jqと比較して第2段増幅器310に含まれる第2段増幅トランジスタのアイドリング電流の電流密度Jqは小さな値に設定される。
【0096】
次に、図5に示した本発明の実施の形態2によるRF電力増幅回路が図1に示した本発明の実施の形態1のRF電力増幅回路と相違するのは、図1に示すアイドリング電流制御部312の電流-電流2乗変換部305と電流-電流2乗変換係数設定部307とが、図5に示したアイドリング電流制御部312では電圧-電流変換係数設定部304の出力とRF電力増幅回路313の第3段増幅器311との間に接続されていることである。
【0097】
従って、図5に示す本発明の実施の形態2によるRF電力増幅回路では、第3段増幅器311の第3段増幅トランジスタのアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcに応答して2乗特性で制御される。しかし、低パワーおよび中間パワーのRF送信出力信号Poutを生成する際の同一レベルの出力電力制御電圧Vapcに応答して、第1段増幅器309の第1段増幅トランジスタのアイドリング電流の電流密度Jqや第2段増幅器310の第2段増幅トランジスタのアイドリング電流の電流密度Jqと比較して、第3段増幅器311の第3段増幅トランジスタのアイドリング電流の電流密度Jqは小さな値に設定される。
【0098】
図5に示す本発明の実施の形態2でも、図1に示した本発明の実施の形態1と同様に低パワーおよび中間パワーのRF送信出力信号を生成する際に前段増幅段のインピーダンス不整合による信号損失増大によって後段増幅段の入力電圧振幅の低下が後段増幅段のアイドリング電流密度の低下よりも顕著となることが軽減されることができる。また、図5に示す本発明の実施の形態2は、図1に示す本発明の実施の形態1と比較して、回路が簡略化されて、回路の小型化が達成されると言う効果を有するものである。
【0099】
[実施の形態3]
《RF電力増幅回路の具体的な構成》
図6は、具体的な実施の形態である本発明の実施の形態3によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0100】
図1に示すRF電力増幅回路と同様に、図6に示すRF電力増幅回路640には、アイドリング電流制御部610、620、630が接続されている。まず、RF電力増幅回路640は、多段接続された第1段増幅器641と第2段増幅器642と第3段増幅器643を含んでいる。RF電力増幅回路640の入力端子604にはRF送信入力信号Pinが供給され、RF電力増幅回路640の出力端子605からRF送信出力信号Poutが生成され、RF電力増幅回路640の電源電圧供給端子600A、600B、600Cには電源電圧Vddが供給される。
【0101】
第1段増幅器641の入力端子には入力段入力整合回路(MN)を介してRF送信入力信号Pinが供給され、第1段増幅器641の出力端子のRF増幅信号は中間段入力整合回路(MN)を介して第2段増幅器642の入力端子に供給され、第2段増幅器642の出力端子のRF増幅信号は出力段入力整合回路(MN)を介して第3段増幅器643の入力端子に供給され、第3段増幅器643の出力端子からRF送信出力信号Poutが生成される。このRF電力増幅回路640でも初段の第1段増幅器641、中間段の第2段増幅器642、最終段の第3段増幅器643の順序で、各増幅段の増幅トランジスタのデバイス・サイズが増加されている。
【0102】
図6に示したアイドリング電流制御部610、620、630は、電圧-電流線形変換回路610と、電圧-電流線形変換係数設定回路620と、電流-電流連続関数生成回路630とによって構成されている。特に、図6の電流-電流-連続関数生成回路630は、図1のアイドリング電流制御部312の電流-電流2乗変換部305、電流-電流3乗変換部306、電流-電流2乗変換係数設定部307、電流-電流3乗変換係数設定部308と同等の動作機能を有するものである。
【0103】
図6の電圧-電流線形変換回路610は抵抗611、612、614、618、PチャンネルMOSトランジスタ613、615、617、カレントミラー回路619、演算増幅器616によって構成され、図1のアイドリング電流制御部312の電圧-電流線形変換部301と同等の動作機能を有するものである。
【0104】
図6の電圧-電流線形変換回路610では、入力端子602から供給される出力電力制御電圧Vapcが分圧抵抗611、612によって分圧され、この分圧電圧はPチャンネルMOSトランジスタ613を介して演算増幅器616の反転入力端子に供給され、演算増幅器616の出力電圧はPチャンネルMOSトランジスタ617に供給され、PチャンネルMOSトランジスタ617には出力電力制御電流Iapcが流れる。また、更に、カレントミラー回路619と、同一デバイス・サイズのPチャンネルMOSトランジスタ613、615と、オフセット抵抗614とによって、演算増幅器616の反転入力端子にオフセット電圧Voffsetが生成される。このオフセット電圧Voffsetは、抵抗614の抵抗値Roffsetとカレントミラー回路619に流れる参照電流Irefとの積となる。
【0105】
また、電圧-電流線形変換回路610の出力電力制御電流Iapcは、以下のようにして求めることができる。カレントミラー回路619の入力端子601に流れる参照入力電流Irefに応答して、PチャンネルMOSトランジスタ613、615、抵抗614にそれぞれ参照出力電流Irefを流れるので、演算増幅器616の非反転入力端子の電位V+と、反転入力端子の電位V-とはそれぞれ、下記の式(4)と式(5)とで与えられる。
【0106】
【数4】

【0107】
【数5】

【0108】
式(4)と式(5)とで、R3は抵抗618の抵抗値、Iapcは抵抗618およびPチャンネルMOSトランジスタ617に流れる電流、VSGはPチャンネルMOSトランジスタ613、615のソース-ゲート間電圧、Roffsetは抵抗614の抵抗値、Irefはカレントミラー回路619の参照出力電流、R1、R2はそれぞれ抵抗611、612の抵抗値、Vapcは入力端子602の出力電力制御電圧Vapcである。演算増幅器616は、両入力端子の電位V+、電位V-とが相互に等しくなるような出力電圧をPチャンネルMOSトランジスタ617に供給するので、式(4)と式(5)とから出力電力制御電流Iapcは次式(6)のように求められるようになり、出力電力制御電流Iapcは出力電力制御電圧Vapcに対して1次の連続関数となる。
【0109】
【数6】

【0110】
式(6)から、オフセット電圧Voffset(=Roffset・Iref)に比例した式(6)の第2項の絶対値よりも出力電力制御電圧Vapcに比例した式(6)の第1項の絶対値が大きくなる動作領域でのみ、出力電力制御電流Iapcと出力電力制御電圧Vapcが線形特性(1次の連続関数)となることが理解される。これによって、出力電力制御電圧Vapcに含まれる微弱な雑音成分によって、RF電力増幅回路から生成されるRF送信出力信号Poutが変動することが解消されるものとなる。
【0111】
電圧-電流線形変換係数設定回路620は複数のカレントミラー回路を含んでおり、RF電力増幅回路640の初段の第1段増幅器641のアイドリング電流はPチャンネルMOSトランジスタ617、624のミラー比と、NチャンネルMOSトランジスタ625、626のミラー比と、PチャンネルMOSトランジスタ627、621のミラー比との乗算で決定される。
【0112】
まず電圧-電流線形変換係数設定回路620のPチャンネルMOSトランジスタ621の出力電流は電流-電流連続関数生成回路630に含まれるゲート・ドレイン接続のバイアス用NチャンネルMOSトランジスタ631に供給される。バイアス用NチャンネルMOSトランジスタ631とRF電力増幅回路640の初段の第1段増幅器641のソース接地NチャンネルMOSトランジスタはカレントミラー接続されているので、初段の第1段増幅器641のソース接地NチャンネルMOSトランジスタのアイドリング電流はPチャンネルMOSトランジスタ621からの出力電流によって設定される。従って、初段の第1段増幅器641のアイドリング電流は、出力電力制御電圧Vapcの線形の連続関数となる。
【0113】
次に電圧-電流線形変換係数設定回路620の他のPチャンネルMOSトランジスタ623の出力電流は電流-電流連続関数生成回路630に含まれる電流2乗回路636の電流入力端子Iinに供給され、電流2乗回路636の電流出力端子Ioutから生成される入力電流の2乗に比例する出力電流は電流-電流連続関数生成回路630に含まれるゲート・ドレイン接続のバイアス用NチャンネルMOSトランジスタ632に供給される。バイアス用NチャンネルMOSトランジスタ632とRF電力増幅回路640の中間段の第2段増幅器642のソース接地NチャンネルMOSトランジスタとはカレントミラー接続されているので、中間段の第2段増幅器642のソース接地NチャンネルMOSトランジスタのアイドリング電流はPチャンネルMOSトランジスタ621の出力電流によって設定される。従って、中間段の第2段増幅器642のアイドリング電流は、出力電力制御電圧Vapcの2乗の連続関数となる。
【0114】
更に電圧-電流線形変換係数設定回路620の別のPチャンネルMOSトランジスタ622の出力電流は電流-電流連続関数生成回路630に含まれる電流3乗回路635の電流入力端子Iinに供給され、電流3乗回路635の電流出力端子Ioutから生成される入力電流の3乗に比例する出力電流は電流-電流連続関数生成回路630に含まれるゲート・ドレイン接続のバイアス用NチャンネルMOSトランジスタ633に供給される。バイアス用NチャンネルMOSトランジスタ633とRF電力増幅回路640の最終段の第3段増幅器643のソース接地NチャンネルMOSトランジスタとはカレントミラー接続されているので、最終段の第3段増幅器643のソース接地NチャンネルMOSトランジスタのアイドリング電流はPチャンネルMOSトランジスタ622の出力電流によって設定される。従って、最終段の第3段増幅器643のアイドリング電流は、出力電力制御電圧Vapcの3乗の連続関数となる。
【0115】
《電流2乗回路の構成》
図7は、図6に示した本発明の実施の形態3によるRF電力増幅回路の電流-電流連続関数生成回路630に含まれる電流2乗回路636の構成を示す図である。
【0116】
図7に示す電流2乗回路636は、電流2乗基本回路710、誤差補正回路720、電流減算回路730によって構成されている。電流2乗回路636は、入力端子702から供給される電流Iinの2乗に比例する出力電流Ioutを出力端子703から生成する機能を有している。
【0117】
電流2乗基本回路710は、略等しいチャンネル長Lpと略等しいチャンネル幅Wpとを持つ5個のPチャネルMOSトランジスタ713、714、715、716、717と略等しいチャンネル長Lnを持つ2個のNチャンネルMOSトランジスタ711、712で構成されている。NチャンネルMOSトランジスタ712のチャンネル幅Wn712は、NチャンネルMOSトランジスタ711のチャンネル幅Wn711の略2倍に設定されている。
【0118】
従って、バイアス供給端子701に供給されるバイアス電圧Vbiasに応答して、バイアス電流I0とその2倍のバイアス電流2I0とがNチャンネルMOSトランジスタ711とNチャンネルMOSトランジスタ712とにそれぞれ流れるものである。更に、カレントミラー接続された2個のPチャネルMOSトランジスタ716、717には等しい電流I1が流れ、またゲートとドレインとがダイオード接続されたPチャネルMOSトランジスタ716に接続されたPチャネルMOSトランジスタ718には電流入力端子702に供給される入力電流Iinに応答して電流I2が流れるものである。
【0119】
ダイオード接続のPチャネルMOSトランジスタ716の両端間電圧をV1として、PチャネルMOSトランジスタ718のソース・ドレイン間電圧をV2として、PチャネルMOSトランジスタ717のソース・ドレイン間電圧をV3として、5個のPチャネルMOSトランジスタ713〜717と2個のNチャンネルMOSトランジスタ711、712のしきい値電圧とチャンネル・コンダクタンスとをそれぞれVTHとβとして、電流2乗回路636の電流2乗基本回路710の出力電流をISQRとすると、次の関係が得られる。
【0120】
【数7】

【0121】
【数8】

【0122】
【数9】

【0123】
【数10】

【0124】
【数11】

【0125】
式(9)と式(11)とから、電流2乗回路636の電流2乗基本回路710の出力電流ISQRは次式(12)のように求められる。
【0126】
【数12】

【0127】
式(8)と式(9)とから、電流I1と電流I2との和は次式(12)のように求められる。
【0128】
【数13】

【0129】
式(10)と式(13)とから、電流I1と電流I2との和は次式(14)のように求められる。
【0130】
【数14】

【0131】
式(8)と式(9)とから、電流I2と電流I1との差である入力端子702の電流Iinは、次式(15)のように求められる。
【0132】
【数15】

【0133】
式(10)と式(15)とから、次式(16)が求められる。
【0134】
【数16】

【0135】
式(16)から、次式(17)が求められる。
【0136】
【数17】

【0137】
式(7)から、次式(18)が求められる。
【0138】
【数18】

【0139】
式(17)と式(18)とを式(14)に代入することによって、次式(19)が求められる。
【0140】
【数19】

【0141】
式(11)と式(19)から、電流2乗回路636の電流2乗基本回路710の出力電流ISQRは次式(20)のように求められる。
【0142】
【数20】

【0143】
この式(20)から、電流2乗基本回路710の出力電流ISQRの値はバイアス電流I0の値に反比例する一方、電流入力端子702の入力電流Iinの値の2乗に比例して連続的に変化するものであることが理解される。
【0144】
しかし、電流入力端子702の入力電流Iinが極めて小さな値となって略ゼロとなると、電流2乗基本回路710の出力電流ISQRも極めて小さな値となって略ゼロとなると、回路接続ノード718の電位が低下する。この回路接続ノード718の電位の低下によってNチャンネルMOSトランジスタ712がバイアス電流2I0を流すことが不可能となり、電流2乗基本回路710の出力電流ISQRに誤差電流成分が含まれるようになる。この誤差電流成分は、電源電圧変動依存性および温度変動依存性を含むものである。
【0145】
電流2乗回路636の誤差補正回路720および電流減算回路730は、電流2乗回路636の出力電流ISQRに含まれる誤差電流成分を補償するように動作するものである。誤差補正回路720は電流2乗基本回路710と同様に5個のPチャネルMOSトランジスタと2個のNチャンネルMOSトランジスタとによって構成されている。しかし、電流2乗基本回路710と異なり、誤差補正回路720には電流入力端子702の入力電流Iinに供給されない。
【0146】
電流減算回路730のNチャンネルMOSトランジスタ732、734によって構成されたカレントミラーに誤差補正回路720の出力の誤差補償電流が供給され、減算回路730のNチャンネルMOSトランジスタ731、733によって構成されたカレントミラーに電流2乗基本回路710の出力電流ISQRが供給される。またカレントミラーのNチャンネルMOSトランジスタ733のドレインの回路接続ノード737には、カレントミラー736とNチャンネルMOSトランジスタ732、734によって構成されたカレントミラーとを介して誤差補正回路720の出力の誤差補償電流が供給される。従って、電流2乗基本回路710の電流入力端子702の入力電流Iinが極めて小さな値となった場合の出力電流ISQRに含まれる誤差電流成分は、カレントミラーのNチャンネルMOSトランジスタ733のドレインの回路接続ノード737において誤差補正回路720の出力の誤差補償電流によってキャンセルされることができる。また、電流2乗基本回路710の電流入力端子702の入力電流Iinが大きな値となると、上記の式(20)に従った値を持つ電流2乗基本回路710の出力電流ISQRは減算回路730のカレントミラーのNチャンネルMOSトランジスタ731、733と2個のPチャネルMOSトランジスタによって構成されたカレントミラー735とを介して電流2乗回路636の出力端子703から電流2乗回路636の出力電流Ioutとして出力される。
【0147】
尚、下記参考文献1には、アナログCMOS回路を使用して上記の式(20)に従って入力電流の値の2乗に比例する出力電流を生成することが記載されている。
【0148】
[参考文献1] KLAAS. BULT et al,“A CLASS of Analog CMOS Circuits Based on the Square−Law Characteristic of an MOS Transistor in Saturation”, IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, VOL.SC−22, NO.3, JUNE 1987, PP.357−365.
【0149】
《電流3乗回路の構成》
図8は、図6に示した本発明の実施の形態3によるRF電力増幅回路の電流-電流連続関数生成回路630に含まれる電流3乗回路635の構成を示す図である。
【0150】
図8に示す電流3乗回路635は、電流2乗回路870と電流加減算回路840と電流乗算回路860とで構成されている。まず、電流3乗回路635の電流2乗回路870は、電流2乗基本回路810、誤差補正回路820、電流減算回路830によって構成されている。
【0151】
図8の電流2乗基本回路810は図7の電流2乗基本回路710と同様に、上記の式(20)に従って電流2乗基本回路810の出力電流ISQRの値はバイアス電流I0の値に反比例する一方、電流入力端子802の入力電流Iinの値の2乗に比例して連続的に変化するものとなる。尚、図8の電流2乗基本回路810のバイアス電流I0の値は、図7の電流2乗基本回路710と同様に、バイアス供給端子801に供給されるバイアス電圧Vbiasに応答して、図8の電流2乗基本回路810のNチャンネルMOSトランジスタに流れるものである。
【0152】
図8の誤差補正回路820と電流減算回路830とは図7の誤差補正回路720と電流減算回路730と同様に、電流2乗基本回路810の出力電流ISQRに含まれる誤差電流成分を補償するように動作するものである。
【0153】
図8の電流加減算回路840のNチャンネルMOSトランジスタ851、845により構成されたカレントミラーに電流2乗回路870の電流減算回路830の出力電流ISQRが供給されているので、図8の電流加減算回路840のPチャネルMOSトランジスタ846、847、848により構成されたカレントミラーにも電流ISQRが流れる。
【0154】
図8の電流3乗回路635の入力端子802から供給される入力電流Iinは、2個のNチャンネルMOSトランジスタと2個のPチャネルMOSトランジスタとを含むカレントミラー806に供給される。カレントミラー806に接続された電流加減算回路840のNチャンネルMOSトランジスタ841、842に電流Iinが流れ、電流加減算回路840のPチャネルMOSトランジスタ843、844にも電流Iinが流れる。その結果、電流加減算回路840で、NチャンネルMOSトランジスタ841、PチャネルMOSトランジスタ847の両ドレインが接続された回路接続ノード849から電流乗算回路860の入力端子805に、減算電流ISQR−Iinが流入する。また、電流加減算回路840でPチャネルMOSトランジスタ848、844の両ドレインが接続された回路接続ノード850から電流乗算回路860の入力端子804に、加算電流ISQR+Iinが流入する。
【0155】
図8の電流3乗回路635の電流乗算回路860は、6個のPチャネルMOSトランジスタ861〜863、865〜867と2個のNチャンネルMOSトランジスタ864、868とを含んでいる。この電流乗算回路860の2個のNチャンネルMOSトランジスタ864、868の両ゲートは、電流2乗基本回路810の内部でバイアス電流I0が流入するNチャンネルMOSトランジスタのゲート電圧によってバイアスされる。またこの電流乗算回路860は、上記参考文献1に記載されたアナログ電流マルチプライヤーと同様に、減算電流ISQR−Iinと加算電流ISQR+Iinとに応答して、下記の電流乗算出力電流Icubicを生成する。
【0156】
【数21】

【0157】
式(20)を式(21)に代入することによって、次式(22)が求められる。
【0158】
【数22】

【0159】
この式(22)から、図8に示した電流3乗回路635の出力電流Icubic(Iout)の値はバイアス電流I0の2乗に反比例する一方、電流入力端子802の入力電流Iinの3乗に比例して連続的に変化するものであることが理解される。
【0160】
図8で説明した電流3乗回路635は、電流2乗回路870の使用により一度2乗特性を生成して、その後、電流加減算回路840の使用により入力電流Iinの1乗(線形)特性の電流と電流2乗回路870の出力電流ISQRとの減算電流と加算電流とを生成して、電流乗算回路860の使用により減算電流と加算電流とから電流乗算出力電流Icubicを生成することで3乗特性を生成している。従って、入力電流Iinの3乗特性を生成する際に、回路構成が簡略化され回路の小型化が可能となると言う効果を有するものである。
【0161】
[実施の形態4]
《RFパワーモジュールの構成》
図9は、本発明の実施の形態4によるRFパワーモジュールの構成を示すブロック図である。
【0162】
図9に示すRFパワーモジュールは、GSM方式のローバンドとハイバンドとの2つの周波数帯域(GSM900:880MHz〜915MHzとDCS1800:1710MHz〜1785MHz)に対応するものである。従って、図9に示すRFパワーモジュールは、ローバンドのGSM900の周波数帯域に対応するRF電力送信回路910と、ハイバンドのDCS1800の周波数帯域に対応するRF電力送信回路920と、送信出力電力フィードバック回路930と、信号経路切換回路940と、出力電力制御回路915とによって構成されている。このRFパワーモジュールには、例えば、送信信号入力端子900、904にRF送信信号Pin_GSM、Pin_DCSを供給する変調回路が接続され、受信信号出力端子905、907のRF受信信号Rx_DCS、Rx_GSMを復調する復調回路が接続され、制御端子901、902、903に制御信号を生成するベースバンド信号処理半導体集積回路が接続されて、アンテナ端子906に送受信アンテナが接続されることによって、携帯電話端末が構成されるものである。
【0163】
ローバンドのGSM900の周波数帯域に対応するRF電力送信回路910はRF電力増幅器911と出力整合回路912と電力結合器913と低域通過フィルタ914と出力電力制御回路915とによって構成される一方、ハイバンドのDCS1800の周波数帯域に対応するRF電力送信回路920はRF電力増幅器921と出力整合回路922と電力結合器923と低域通過フィルタ924と出力電力制御回路915とによって構成されている。
【0164】
また、ローバンド対応のRF電力送信回路910とハイバンド対応のRF電力送信回路920とに接続された送信出力電力フィードバック回路930は、電力検波回路932、933と誤差増幅器934と回路切換器931とによって構成されている。更に、ローバンド対応のRF電力送信回路910とハイバンド対応のRF電力送信回路920とに接続された信号経路切換回路940は、アンテナスイッチ941と静電放電フィルタ942、943、944とによって構成されている。
【0165】
図9に示したRFパワーモジュールでは、GSM900の周波数帯域に対応するRF電力送信回路910に含まれるRF電力増幅器911の送信出力電力レベルとDCS1800の周波数帯域に対応するRF電力送信回路920に含まれるRF電力増幅器921の送信出力電力レベルとは、送信出力電力フィードバック回路930の誤差増幅器934に接続された出力電力制御回路915により制御される。すなわち、送信出力電力フィードバック回路930の誤差増幅器934の出力端子916の出力電力制御電圧Vapcが出力電力制御回路915の制御入力端子に供給されることにより、ローバンド対応のRF電力増幅器911およびハイバンド対応のRF電力増幅器921の送信出力電力レベルが制御されるものである。
【0166】
ローバンド対応のRF電力増幅器911およびハイバンド対応のRF電力増幅器921の各RF電力増幅器は、図1に示した本発明の実施の形態1によるRF電力増幅回路、または図5に示した本発明の実施の形態2によるRF電力増幅回路、または図6に示した本発明の実施の形態3によるRF電力増幅回路のいずれかによって構成されることが可能である。送信出力電力フィードバック回路930と出力電力制御回路915とは、ローバンド対応のRF電力送信回路910とハイバンド対応のRF電力送信回路920によって共用されることが可能であるので、RFパワーモジュールの小型化が可能となるものである。
【0167】
RF電力増幅器911、921の出力端子に接続された出力整合回路912、922は、送受信アンテナにおける負荷インピーダンス不整合によるRF送信信号の反射損失を最小化する機能を有している。電力結合器913、923は、出力整合回路912、922から供給されるRF送信信号の一部を送信出力電力フィードバック回路930へ供給する一方、残りの大部分のRF送信信号を低域通過フィルタ914、924へ供給する機能を有している。低域通過フィルタ914、924は、RF電力増幅器911、921によるRF送信信号の増幅の際に生じる高調波信号を減衰する機能を有している。電力検波回路932、933は、電力結合器913、923から供給されるRF信号電力に対応する検波出力電圧Vdetを誤差増幅器934へ供給する機能を有している。誤差増幅器934は、制御端子903から供給される外部制御電圧Vrampと電力検波回路932、933の検波出力電圧Vdetとの差を増幅して、その差が最小化されるような出力電力制御電圧Vapcを生成する機能を有している。更に、静電放電フィルタ942、943、944は、外部端子907、906、905の静電気によるRFパワーモジュールの破壊を防止して不要信号の減衰を行う機能を有している。アンテナスイッチ941は、送信動作と受信動作とを行い、更にGSM900周波数帯域の送受信動作とDCS1800周波数帯域の送受信動作とに応答してアンテナ端子906から生成あるいは供給されるRF信号の信号伝達経路を切り換える機能を有している。すなわち、GSM900周波数帯域の送信時にはRF電力送信回路910から出力されるRF信号がアンテナ端子906へ伝達され、GSM900周波数帯域の受信時にはアンテナ端子906から供給されるRF信号が受信信号出力端子907へ伝達され、DCS1800周波数帯域の送信時にはRF電力送信回路920の出力から生成されるRF信号がアンテナ端子906へ伝達され、DCS1800周波数帯域の受信時はアンテナ端子906から供給される信号が受信信号出力端子905へ伝達される機能を有している。回路切換器931は、制御端子901、902に供給される送受信動作切換信号とローバンド/ハイバンド送信周波数帯選択信号とに応答して、出力電力制御回路915と電力検波回路932、933と誤差増幅器934とアンテナスイッチ941のそれぞれの動作を切り換える機能を有している。
【0168】
この実施の形態によるRFパワーモジュールは、送信動作時には、送信信号入力端子900、904から供給されるローバンド/ハイバンドの周波数帯域のRF送信信号をRF電力送信回路910、920にて所望の出力電力レベルまで電力増幅した後に、信号経路切換回路940を介して、アンテナ端子906からRF送信信号を生成する。また送信動作時の出力電力のレベル制御は、制御端子903から供給される外部制御電圧Vrampによって誤差増幅器934の出力端子916の出力電力制御電圧Vapcを間接的に変化させることによって実行される。更に、受信動作時には、アンテナ端子906から供給されるローバンド/ハイバンドの周波数帯域のRF受信信号は、受信信号出力端子907、905へ伝達される。
【0169】
ローバンド側のGSM900の周波数帯域のRF送信信号の送信動作時には、ローバンド対応のRF電力送信回路910と送信出力電力フィードバック回路930と出力電力制御回路915とはフィードバックループを構成する。従って、制御端子903の外部制御電圧Vrampと電力検波回路932の検波出力電圧Vdetとの差が最小化されるように、出力電力制御電圧Vapcに応答して出力電力制御回路915はローバンド対応のRF電力送信回路910に含まれるRF電力増幅器911の送信出力電力レベルが制御される。その結果、電源電圧や温度変動や送受信アンテナの負荷の変動等の外部環境の変化によるローバンド対応のRF電力送信回路910の送信出力レベルの変動が軽減されることが可能となる。
【0170】
ハイバンド側DCS1800の周波数帯域のRF送信信号の送信動作時には、ハイバンド対応のRF電力送信回路920と送信出力電力フィードバック回路930と出力電力制御回路915とはフィードバックループを構成する。従って、制御端子903の外部制御電圧Vrampと電力検波回路933の検波出力電圧Vdetとの差が最小化されるように、出力電力制御電圧Vapcに応答して出力電力制御回路915はハイバンド対応のRF電力送信回路920に含まれるRF電力増幅器921の送信出力電力レベルが制御される。その結果、電源電圧や温度変動や送受信アンテナの負荷の変動等の外部環境の変化によるハイバンド対応のRF電力送信回路920の送信出力レベルの変動が軽減されることが可能となる。
【0171】
尚、図9に示したRFパワーモジュールのRF電力送信回路910、920に含まれる出力整合回路912、922と電力結合器913、923と低域通過フィルタ914、924と、送信出力電力フィードバック回路930と、信号経路切換回路940の具体的な回路構成は多種多様な構成を採用することが可能であるので、ここでは説明を省略する。
【0172】
以上、本発明者によってなされた発明を種々の実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0173】
[他の実施の形態]
例えば、図1の実施の形態では、3段構成のRF電力増幅回路にて本発明を適用した例を説明したが、本発明は前段増幅器の利得制御に対して後段増幅器の利得制御が1次以上高次の連続関数で制御されれば良いものである。また、本発明の多段構成のRF電力増幅回路は、任意の段数のRF電力増幅器を含むことができる。
【0174】
また、本発明の多段構成のRF電力増幅回路を構成する多段増幅器では、初段の第1段増幅器、中間段の第2段増幅器、最終段の第3段増幅器の順序で、出力電力制御電圧Vapcに応答して線形特性(1乗特性)、2乗特性、3乗特性および更なる高次の連続関数でそのアイドリング電流が制御されれば良いものであって、各段の増幅器の回路形式や増幅器の種類は問題とされることはない。
【0175】
例えば、図7に示した電流2乗回路736の電流2乗基本回路710のNチャンネルMOSトランジスタ712のチャンネル幅をNチャンネルMOSトランジスタ711のチャンネル幅の2倍よりも小さな比率に設定することによって、電流減算回路730のカレントミラーのNチャンネルMOSトランジスタ731、732に流れる電流にオフセット差を生成することも可能である。例えば、2倍よりも小さな比率を1.75倍とした場合には、上記式(19)の右辺第1項の2I0の1.75I0がNチャンネルMOSトランジスタ712に流れて、残りの0.25I0が電流減算回路730のNチャンネルMOSトランジスタ731に流れるものとなる。
【0176】
一方、誤差補正回路720において、電流2乗基本回路710のNチャンネルMOSトランジスタ712に対応するNチャンネルMOSトランジスタのチャンネル幅を電流2乗基本回路710のNチャンネルMOSトランジスタ711に対応するNチャンネルMOSトランジスタのチャンネル幅の2倍よりも小さな比率に設定する。その結果、上記式(19)の右辺第1項の2I0の1.75I0が電流2乗基本回路710のNチャンネルMOSトランジスタ712に対応する誤差補正回路720のNチャンネルMOSトランジスタに流れ、残りの0.25I0が電流減算回路730のNチャンネルMOSトランジスタ732に流れるものとなる。
【0177】
従って、電流減算回路730のNチャンネルMOSトランジスタ731に流入する0.25I0のオフセット電流とNチャンネルMOSトランジスタ732に流入する0.25I0のオフセット電流とは、電流減算回路730の回路接続ノード735においてキャンセルされることができる。その結果、この場合にも、上記式(20)に従った値を持つ出力電流が、図7の電流2乗回路636の出力端子703から生成されることが可能となる。
【0178】
更に、入力電流Iinの3乗よりも大きな入力電流Iinの4乗およびそれ以上の高次の連続関数に比例する出力電流を生成する場合には、下記の実施の形態を採用することが可能である。
【0179】
高次の連続関数が偶数の次数(2n乗、n =1、2、3…)の場合には、図8の本発明の実施の形態で説明した電流2乗回路870をn段縦続接続した連続関数生成回路を使用するものである。この連続関数生成回路のn段縦続接続の各段間ノードから偶数の次数の連続関数を生成することができる。
【0180】
また、高次の連続関数が奇数の次数((2n+1)乗、n =1、2、3…)の場合には、図8の本発明の実施の形態で説明した電流2乗回路870に図8の電流加減算回路840と電流乗算回路860とを接続した電流3乗回路635を使用することによって、まず3乗の連続関数を生成する。次にこの3乗の連続関数の信号を2番目の電流2乗回路870の入力端子に供給することによって、2番目の電流2乗回路870の出力端子から5乗の連続関数を生成する。次にこの5乗の連続関数の信号を3番目の電流2乗回路870の入力端子に供給することによって、3番目の電流2乗回路870の出力端子から7乗の連続関数を生成する。以下同様にして、任意の奇数の次数の連続関数を生成することができる。
【0181】
また例えば、図6や図7や図8に示した実施の形態ではRF電力増幅回路としてCMOSFET(Complementally MOSFET)を使用したモノリシック集積回路で構成されることが可能であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0182】
すなわち、図6に示した実施の形態ではRF電力増幅回路の増幅トランジスタ641、642、643、バイアス用トランジスタ631、632、633はMOSトランジスタ(MOSFET)を使用したが、それ以外にもLDMOSFET(Laterally Diffused MOSFET)、BJT(Bipolar Junction Transistor)、HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)、MESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等の他の種類のトランジスタを使用することが可能である。
【0183】
その際には、RF電力増幅回路の増幅トランジスタ641、642、643、バイアス用トランジスタ631、632、633をGaAs等の化合物半導体チップに構成する一方、RF電力増幅回路の出力電力制御回路をCMOSシリコン半導体チップに構成することによってRFパワーモジュールが形成されることが可能である。
【0184】
図12は、図6に示した実施の形態ではRF電力増幅回路に含まれた増幅トランジスタ641、642、643とバイアス用トランジスタ631、632、633としてのNチャンネルMOSトランジスタをHBT等のNPN型ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT)に置換した場合の本発明の他の実施の形態によるRF電力増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0185】
図12に示すRF電力増幅回路では、図6に示した実施の形態によるはRF電力増幅回路と同様に電圧-電流線形変換回路610の出力電力制御電流Iapcは、上記(6)式に示されるように出力電力制御電圧Vapcに対して1次の連続関数となる。従って、図12に示すRF電力増幅回路の電圧-電流線形変換係数設定回路620のPチャンネルMOSトランジスタ621の出力電流も、図6に示した実施の形態と同様に出力電力制御電圧Vapcに対して1次の連続関数となる。このPチャンネルMOSトランジスタ621の出力電流は電流-電流連続関数生成回路660の直列接続された3個のバイポーラ・トランジスタ661、662、663に入力電流として供給され、電流-電流連続関数生成回路630は従属接続された3個のバイポーラ・トランジスタ664、665、666を含んでいる。1個目のトランジスタ664のコレクタ電流は入力電流の1乗に比例するもので、2個目のトランジスタ665のコレクタ電流は入力電流の2乗に比例するもので、3個目のトランジスタ665のコレクタ電流は入力電流の3乗に比例するものである。1個目のトランジスタ664のコレクタ電流と2個目のトランジスタ665のコレクタ電流と3個目のトランジスタ665のコレクタ電流とはカレントミラーCMを介して、バイアス電圧発生回路650のベース・コレクタ接続のバイアス用トランジスタ631、632、633にそれぞれ供給される。
【0186】
従って、RF電力増幅回路640の初段の第1段増幅器の増幅トランジスタ641のアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcの1次(1乗)の連続関数となって、中間段の第2段増幅器の増幅トランジスタ642のアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcの2乗の連続関数となって、最終段の第3段増幅器の増幅トランジスタ643のアイドリング電流は出力電力制御電圧Vapcの3乗の連続関数となるものである。
【0187】
以上の実施の形態をでは主としてローバンドのGSM900、ハイバンドのDCS1800の周波数帯域に関して適用した例を説明したが、本発明はこれらに限定して適用した場合に効果が得られるものではない。すなわち、ローバンド側のGSM850やハイバンド側のPCS190などのGSMの別の周波数帯域に、本発明を適用することが可能である。
【0188】
また、本発明は、GSM以外にも、WCDMA(Wide-band Code Division Multiple Access)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(long Term Evolution)等の他の通信方式や他の周波数帯域に使用されるRF電力増幅回路に広く採用することが可能である。
【符号の説明】
【0189】
301…電流-電圧線形変換部
302〜304…電圧-電流変換係数設定部
305…電流-電流2乗変換部
306…電流-電流3乗変換部
307…電流-電流2乗変換係数設定部
308…電流-電流3乗変換係数設定部
309…第1段増幅器
310…第2段増幅器
311…第3段増幅器
312…アイドリング電流制御部
313…電力増幅器
Pin…RF送信入力信号
Pout…RF送信出力信号
Vapc…出力電力制御電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯域のRF送信入力信号を増幅する第1のRF電力増幅回路と、第2の周波数帯域のRF送信入力信号を増幅する第2のRF電力増幅回路と、出力電力制御部とを具備して、
前記出力電力制御部は、第1の電力検波器と、第2の電力検波器と、誤差増幅器とを含むものであり、
前記第1の電力検波器は、前記第1のRF電力増幅回路の出力端子から生成される第1のRF送信信号のレベルを検出して、
前記第2の電力検波器は、前記第2のRF電力増幅回路の出力端子から生成される第2のRF送信信号のレベルを検出して、
前記誤差増幅器は、外部制御電圧と前記第1の電力検波器および前記第2の電力検波器の検波出力電圧との差に応答して電力制御電圧を生成して、
前記第1のRF電力増幅回路と前記第2のRF電力増幅回路の各RF電力増幅回路は、前段増幅器と、後段増幅器と、制御部とを有して、
前記前段増幅器の入力端子はRF送信入力信号に応答可能とされ、前記前段増幅器の出力端子に生成される増幅信号に前記後段増幅器の入力端子が応答可能とされており、
前記制御部は、制御入力端子に供給される前記電力制御電圧に応答して、前記前段増幅器のアイドリング電流と前記後段増幅器のアイドリング電流とを制御することによって前記前段増幅器の利得と前記後段増幅器の利得とを制御可能とされており、
前記電力制御電圧に応答して、前記前段増幅器の前記アイドリング電流と前記利得とは第1の連続関数に従って連続的に変化して、前記後段増幅器の前記アイドリング電流と前記利得とは第2の連続関数に従って連続的に変化するものであり、
前記第2の連続関数は、前記第1の連続関数よりも1次以上高次の関数である
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のRFパワーモジュールであって、
前記前段増幅器の増幅トランジスタのデバイス・サイズよりも前記後段増幅器の増幅トランジスタのデバイス・サイズが大きく設定されており、
所定のレベルの前記電力制御電圧に応答して、前記前段増幅器の前記アイドリング電流の電流密度よりも前記後段増幅器の前記アイドリング電流の電流密度が低く設定される
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のRFパワーモジュールであって、
前記前記電力制御電圧に応答して、前記前段増幅器の前記アイドリング電流と前記利得とは第1の連続関数としての線形特性に従って連続的に変化するものであり、
前記電力制御電圧に応答して、前記後段増幅器の前記アイドリング電流と前記利得とは第2の連続関数としての2乗特性または3乗特性に従って連続的に変化する
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のRFパワーモジュールであって、
前記制御部は、前記電力制御電圧に応答して前記線形特性に従って連続的に変化する第1のバイアス電流と前記2乗特性または前記3乗特性に従って連続的に変化する第2のバイアス電流とを生成するものであり、
前記RF電力増幅回路は、第1のバイアス用トランジスタと第2のバイアス用トランジスタとを更に具備して、
前記第1のバイアス用トランジスタは前記前段増幅器の前記増幅トランジスタとカレントミラー接続されており、前記第2のバイアス用トランジスタは前記後段増幅器の前記増幅トランジスタとカレントミラー接続されており、
前記制御部から生成される前記第1のバイアス電流と前記第2のバイアス電流は、前記第1のバイアス用トランジスタと前記第2のバイアス用トランジスタとにそれぞれ供給される
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のRFパワーモジュールであって、
前記制御部はCMOSトランジスタを含むモノリシック集積回路で構成される
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のRFパワーモジュールであって、
前記前段増幅器の前記増幅トランジスタと前記後段増幅器の前記増幅トランジスタと前記第1のバイアス用トランジスタと前記第2のバイアス用トランジスタとは、MOSトランジスタで構成される
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項7】
請求項5に記載のRFパワーモジュールであって、
前記前段増幅器の前記増幅トランジスタと前記後段増幅器の前記増幅トランジスタと前記第1のバイアス用トランジスタと前記第2のバイアス用トランジスタとは、バイポーラ・トランジスタで構成される
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項8】
請求項6に記載のRFパワーモジュールであって、
前記MOSトランジスタはLDMOSトランジスタである
ことを特徴とするRFパワーモジュール。
【請求項9】
請求項7に記載のRFパワーモジュールであって、
前記バイポーラ・トランジスタはヘテロ接合バイポーラ・トランジスタである
ことを特徴とするRFパワーモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−70426(P2013−70426A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−276817(P2012−276817)
【出願日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【分割の表示】特願2009−22266(P2009−22266)の分割
【原出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.WCDMA
3.LTE
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】