説明

RFIDタグ感知システム及び感知用発光タグ

【課題】選択されたRFIDタグを目視で感知することが可能なRFIDタグ感知システム及び感知用発光タグの提供。
【解決手段】RFIDタグ感知システムSは、RFIDタグ1とリーダ/ライタ2と感知用発光タグ3とから構成される。感知用発光タグ3の発光タグ用アンテナ30がRFIDタグ用アンテナ10との電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取る。タグ選択感知手段が受け取った自タグの選択可の信号によりRFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことを検知する。受光手段がリーダ/ライタ2から照射された光を受光する。光−電気変換手段が受光した光を電気エネルギーに変換する。RFIDタグ1が自タグの選択可の信号を送信したとき、発光手段を電気エネルギーを用いて発光させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダ/ライタにより選択されたRFID(Radio Frequency Identification)タグを目視で感知可能にするRFIDタグ感知システム及び感知用発光タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線ICタグは、離れた所からタグ情報を読み取ることができるという利点があるが、リードした無線ICタグがどれかという識別を確実に行うには、無線ICタグ近くで読み取りを行う必要があり、この点が無線ICタグを倉庫管理などに適用するには工数低減のネックとなっており、特に、電波の拡散の大きいUHF帯では重要な問題である。
【0003】
従来、発振装置と、探索対象物毎に取り付けられるタグとを有し、探索対象物を探索する探索システムにおいて、発振装置は、電磁波を放射する電磁波放射手段を備え、タグは、発振装置から放射される電磁波が所定周波数を有する場合に電磁誘導により共振する共振回路と、共振回路が共振した場合に供給される起電力により起動し、探索者に対して所定の通知を行う通知手段とを備えた探索システムが特許文献1に開示されている。
【0004】
また、RFIDタグの発信する電波を受信するためのアンテナと、アンテナが受信した電波の電波強度を検出する電波強度検出手段と、電波強度検出手段の検出した電波強度に基づいて、電波強度が極大値を示したことを検知する極大値検知手段と、極大値検知手段が電波強度の極大値を検知したことを通知する通知手段とを備えたRFIDタグ探索装置が特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2004−101483号公報
【特許文献2】特開2004−354351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されたものは、タグの発する光,音により識別するので、タグが高価となった。
【0006】
また、特許文献2に開示されたものでは、電波の強度をもとに位置情報を求めてRFIDタグを識別するため、作業性が悪く、精度が悪かった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、RFIDタグのRFIDタグ用アンテナと電磁結合している発光タグ用アンテナを持つ感知用発光タグを設け、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されてレスポンス状態になったことを発光タグ用アンテナを通して感知用発光タグのタグ選択感知手段で検知すると共に、リーダ/ライタの光照射手段より感知用発光タグに光を照射し、この光を感知用発光タグ内の光−電気変換手段で電気エネルギーに変換させ、RFIDタグが自タグの選択可の信号を送信したとき、この電気エネルギーを用いて、選択されたRFIDタグのみに電磁結合した感知用発光タグの発光手段を発光させ、選択されたRFIDタグを目視で感知することが可能なRFIDタグ感知システム及び感知用発光タグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のRFIDタグ感知システムは、RFIDタグと、前記RFIDタグからのデータの読み出し及び前記RFIDタグへのデータの書き込みを行うリーダ/ライタと、前記RFIDタグが前記リーダ/ライタにより選択されたことを感知して発光する感知用発光タグとから構成され、前記リーダ/ライタにて選択されたRFIDタグを目視で感知可能にするシステムであって、前記RFIDタグが、リーダ/ライタからの送信電波の受信及びリーダ/ライタへの反射電波の送信を行うRFIDタグ用アンテナと、RFIDタグ固有の識別情報が格納されたRFIDチップとを備え、リーダ/ライタからの送信電波に対して自タグの選択可の信号を送信し、そして、前記リーダ/ライタが、RFIDタグへのタグ選択電波の送信及びRFIDタグからの反射電波の受信を行うリーダ/ライタ用アンテナと、前記感知用発光タグに光を照射する光照射手段と、光の照射の制御を行う光照射制御手段とを備えており、前記感知用発光タグが、前記RFIDタグ用アンテナとの電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取る発光タグ用アンテナと、受け取った自タグの選択可の信号によりRFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを検知するタグ選択感知手段と、前記リーダ/ライタから照射された光を受光する受光手段と、受光した光を電気エネルギーに変換する光−電気変換手段と、RFIDタグが自タグの選択可の信号を送信したとき、電気エネルギーを用いて発光する発光手段とを備えたことを特徴とする構成を有するものである。
【0009】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記RFIDタグと上記感知用発光タグとが、分離可能に取付けられている。
【0010】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記RFIDタグのRFIDタグ用アンテナと上記感知用発光タグの発光タグ用アンテナとを重ね合わせることにより、前記RFIDタグと前記感知用発光タグとの電磁結合が行われている。
【0011】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記RFIDタグと上記感知用発光タグとが、アンテナ部分で接続されている。
【0012】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記リーダ/ライタが、感知用発光タグに照射する光にレーザ光を用いる。
【0013】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記リーダ/ライタが、感知用発光タグに照射するレーザ光の代わりに赤外線を用いる。
【0014】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記リーダ/ライタが、光照射を面内で走査する光照射走査手段を備えている。
【0015】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記リーダ/ライタが、上記RFIDタグが貼着されている製品にバーコードも貼り付けられている場合、感知用発光タグにレーザ光を照射するレーザ光発生装置と前記バーコードを読み取るバーコードリーダのレーザ光発生装置とを兼用するようになっている。
【0016】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記リーダ/ライタと上記感知用発光タグにレーザ光を照射する上記レーザ光発生装置とが、別体とされている。
【0017】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記感知用発光タグが、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを表示する液晶素子を備えている。
【0018】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記リーダ/ライタが、照射するレーザ光を変調する手段を備えており、上記感知用発光タグが、発光素子と、レーザ光と他の光とを区別する手段と、前記発光素子の発光を制御する手段とを備えている。
【0019】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記感知用発光タグが、検知機器に応答する場合、発光素子の発光と同時に検知用電波を出力する手段を備えている。
【0020】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記感知用発光タグが、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを記憶する手段と、リーダ/ライタがレーザ光を照射した時、前記記憶に従って発光素子の発光を制御する手段とを備えている。
【0021】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記感知用発光タグが、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことの記憶を行うか行わないかを、照射するレーザ光の変調情報に従って行うことが可能な手段を有する。
【0022】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記感知用発光タグが、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことの記憶を呼び出し/消去する手段を備えている。
【0023】
本発明のRFIDタグ感知システムは、上記感知用発光タグが、発光した光あるいは受光した光を光ファイバで任意の位置に導くようになっている。
【0024】
本発明の感知用発光タグは、RFIDタグのRFIDタグ用アンテナとの電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取る発光タグ用アンテナと、受け取った自タグの選択可の信号によりRFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを検知するタグ選択感知手段と、リーダ/ライタから照射された光を受光する受光手段と、受光した光を電気エネルギーに変換する光−電気変換手段と、RFIDタグが自タグの選択可の信号を送信したとき、電気エネルギーを用いて発光する発光手段とを備えたことを特徴とする構成を有するものである。
【発明の効果】
【0025】
以上に述べたように、本発明によれば、RFIDタグのRFIDタグ用アンテナと電磁結合している発光タグ用アンテナを持つ感知用発光タグを設け、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されてレスポンス状態になったことを発光タグ用アンテナを通して感知用発光タグのタグ選択感知手段で検知すると共に、リーダ/ライタの光照射手段より感知用発光タグに光を照射し、この光を感知用発光タグ内の光−電気変換手段で電気エネルギーに変換させ、RFIDタグが自タグの選択可の信号を送信したとき、この電気エネルギーを用いて、選択されたRFIDタグのみに電磁結合した感知用発光タグの発光手段を発光させ、選択されたRFIDタグを目視で感知することが可能なRFIDタグ感知システム及び感知用発光タグを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0027】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、RFIDタグ1と、RFIDタグ1からのデータの読み出し及びRFIDタグ1へのデータの書き込みを行うリーダ/ライタ2と、RFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことを感知して発光する感知用発光タグ3とから構成され、リーダ/ライタ2にて選択されたRFIDタグ1を目視で感知可能にするシステムである。
【0028】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、RFIDタグ1が、リーダ/ライタ2からの送信電波の受信及びリーダ/ライタ2への反射電波の送信を行うRFIDタグ用アンテナ10と、RFIDタグ固有の識別情報が格納されたRFIDチップ11とを備えている。
【0029】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、RFIDタグ1が、リーダ/ライタ2からの送信電波に対して自タグの選択可の信号を送信するようになっている。
【0030】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、リーダ/ライタ2が、RFIDタグ1へのタグ選択電波の送信及びRFIDタグ1からの反射電波の受信を行うリーダ/ライタ用アンテナ20と、感知用発光タグ3に光を照射する光照射手段と、光の照射の制御を行う光照射制御手段とを備えている。
【0031】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、感知用発光タグ3が、RFIDタグ用アンテナ10との電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取る発光タグ用アンテナ30と、受け取った自タグの選択可の信号によりRFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことを検知するタグ選択感知手段と、リーダ/ライタ2から照射された光を受光する受光手段と、受光した光を電気エネルギーに変換する光−電気変換手段と、RFIDタグ1が自タグの選択可の信号を送信したとき、電気エネルギーを用いて発光する発光手段とを備えている。
【0032】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、RFIDタグ1と感知用発光タグ3とが、分離可能に取付けられている。
【0033】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、RFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10と感知用発光タグ3の発光タグ用アンテナ30とを重ね合わせることにより、RFIDタグ1と感知用発光タグ3との電磁結合が行われている。
【0034】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、RFIDタグ1と感知用発光タグ3とが、アンテナ部分で接続されている。
【0035】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、リーダ/ライタ2が、感知用発光タグ3に照射する光にレーザ光を用いる。
【0036】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、リーダ/ライタ2が、感知用発光タグ3に照射するレーザ光の代わりに赤外線を用いる。
【0037】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、リーダ/ライタ2が、光照射を面内で走査する光照射走査手段を備えている。
【0038】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、リーダ/ライタ2が、RFIDタグ1が貼着されている製品にバーコードも貼り付けられている場合、感知用発光タグ3にレーザ光を照射するレーザ光発生装置とバーコードを読み取るバーコードリーダのレーザ光発生装置とを兼用するようになっている。
【0039】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、リーダ/ライタ2と感知用発光タグ3にレーザ光を照射するレーザ光発生装置とが、別体とされている。
【0040】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、感知用発光タグ3が、RFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことを表示する液晶素子を備えている。
【0041】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、リーダ/ライタ2が、照射するレーザ光を変調する手段を備えており、感知用発光タグ3が、発光素子31と、レーザ光と他の光とを区別する手段と、発光素子31の発光を制御する手段とを備えている。
【0042】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、感知用発光タグ3が、検知機器に応答する場合、発光素子31の発光と同時に検知用電波を出力する手段を備えている。
【0043】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、感知用発光タグ3が、RFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことを記憶する手段と、リーダ/ライタ2がレーザ光を照射した時、記憶に従って発光素子31の発光を制御する手段とを備えている。
【0044】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、感知用発光タグ3が、RFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことの記憶を行うか行わないかを、照射するレーザ光の変調情報に従って行うことが可能な手段を有している。
【0045】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、感知用発光タグ3が、RFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことの記憶を呼び出し/消去する手段を備えている。
【0046】
本発明のRFIDタグ感知システムSは、感知用発光タグ3が、発光した光あるいは受光した光を光ファイバで任意の位置に導くようになっている。
【0047】
本発明の感知用発光タグは、RFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10との電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取る発光タグ用アンテナ30と、受け取った自タグの選択可の信号によりRFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことを検知するタグ選択感知手段と、リーダ/ライタ2から照射された光を受光する受光手段と、受光した光を電気エネルギーに変換する光−電気変換手段と、RFIDタグ1が自タグの選択可の信号を送信したとき、電気エネルギーを用いて発光する発光手段とを備えている。
【0048】
図1は、本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムを示す構成図、図2は、本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムの構成を示すブロック図である。
RFIDタグ感知システムSは、図1に示すように、電源を内蔵しないパッシブ型のRFIDタグ1とリーダ/ライタ2と感知用発光タグ3とから構成されている。
【0049】
RFIDタグ1は、図1及び図2に示すように、リーダ/ライタ2からの送信電波の受信及びリーダ/ライタ2への反射電波の送信を行うRFIDタグ用アンテナ10と、RFIDタグ固有の識別情報を格納しているRFIDチップ11とを備えている。
【0050】
RFIDタグ1は、リーダ/ライタ2からの送信電波に対して自タグの選択可/選択不可の信号を送信する。
【0051】
リーダ/ライタ2は、図1及び図2に示すように、RFIDタグ1への送信電波となるタグ選択電波の送信及びRFIDタグ1からの反射電波の受信を行うリーダ/ライタ用アンテナ20と、RFIDタグ1からのデータの読み出し及びRFIDタグ1へのデータの書き込みを行うリード/ライト部21と、感知用発光タグ3にレーザ光を照射する光照射手段であるレーザ照射部22と、レーザ光の照射を制御する光照射制御手段であるレーザ照射制御回路23とを備えている。
【0052】
感知用発光タグ3は、図1及び図2に示すように、RFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10との電磁結合で自タグの選択可/選択不可の信号を受け取る発光タグ用アンテナ30と、受け取った自タグの選択可/選択不可の信号によりRFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたこと又は選択されなかったことを検知するタグ選択感知手段であるタグ選択感知部32と、リーダ/ライタ2のレーザ照射部22から照射されたレーザ光を受光する受光手段である受光部33と、受光したレーザ光を電気エネルギーに変換する光−電気変換手段である光−電気変換部34と、RFIDタグ1が自タグの選択可の信号を送信したとき、電気エネルギーを用いて発光する発光手段である発光部35と、発光部35の発光を制御する発光制御手段である制御部36とを備えている。
【0053】
RFIDタグ1と感知用発光タグ3とは、図1に示すように、分離することができる。
【0054】
RFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10と感知用発光タグ3の発光タグ用アンテナ30とを重ね合わせることにより、RFIDタグ1と感知用発光タグ3とが電磁結合されている。
【0055】
RFIDタグ1は、対象物となる製品に貼着される。
【0056】
RFIDタグ1のRFIDチップ11には、RFIDタグ固有の識別情報として製品を識別する製品識別情報を格納しても良い。
【0057】
感知用発光タグ3は、発光タグ用アンテナ30をRFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10に電磁結合して製品に貼着される。
【0058】
図3は、本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムにおける感知用発光タグの発光の原理を説明する発光原理説明図である。
感知用発光タグ3は、図3に示すように、RFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10に電磁結合した発光タグ用アンテナ30より得られる信号をバッファして内部回路に伝えるための信号バッファ回路37と、信号バッファ回路37でバッファされた信号を復調する信号復調回路38と、発光素子31の発光の有無を判断する発光有無判断部39と、発光素子31の発光の制御信号を発生する制御信号発生部40と、発光素子31の電気回路の開閉を行うスイッチ41と、リーダ/ライタ2が照射するレーザ光を電気エネルギーに変換する光−電気変換部34としての光−電気変換素子42と、この電気エネルギーを用いて発光する発光部35としての発光素子31とを備えている。
【0059】
以下、感知用発光タグの発光の原理について図3を用いて説明する。
まず、感知用発光タグ3の信号バッファ回路37は、RFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10に電磁結合した発光タグ用アンテナ30より得られる信号として自タグの選択可/選択不可の信号をバッファしてアンテナ回路と内部回路を電気的に分離すると共に、内部回路に信号を伝送する。
【0060】
感知用発光タグ3の信号バッファ回路37が、自タグの選択可の信号として図3に示すRFIDレスポンス有りの場合の波形のアナログ信号S1を信号復調回路38に出力すると、信号復調回路38がRFIDレスポンス有りの場合の波形のアナログ信号S1をデジタル信号S2に復調して、復調したデジタル信号S2を発光有無判断部39に出力する。
【0061】
次いで、発光有無判断部39がデジタル信号S2から発光素子31の発光有りと判断し、その後、制御信号発生部40がデジタル信号S2に基づいて発光素子31の発光を制御する制御信号S3を生成し、生成した制御信号S3をスイッチ41に出力することにより、光−電気変換素子42がレーザ光を変換した電気エネルギーを用いて制御信号S3の発光期間Tだけ発光素子31を発光させることができる。
【0062】
また、感知用発光タグ3の信号バッファ回路37が、自タグの選択不可の信号として図3に示すRFIDレスポンス無しの場合の波形のアナログ信号S11を信号復調回路38に出力すると、信号復調回路38がRFIDレスポンス無しの場合の波形のアナログ信号S11をデジタル信号S12に復調して、復調したデジタル信号S12を発光有無判断部39に出力する。
【0063】
次いで、発光有無判断部39がデジタル信号S12から発光素子31の発光無しと判断し、その後、制御信号発生部40がデジタル信号S12に基づいて発光素子31の発光を制御する制御信号S13を生成し、生成した制御信号S13をスイッチ41に出力するので、発光素子31は発光しない。
【0064】
図4は、本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムにおけるリーダ/ライタによるRFIDタグの選択状態を示す説明図である。
リーダ/ライタ2が、図4に示すように、複数のRFIDタグ1a,1b,1c,1dのレーザ光照射エリア50にレーザ光を照射し、レーザ光を変換した電気エネルギーを用いて、選択されたRFIDタグ1cのRFIDタグ用アンテナに電磁結合した発光タグ用アンテナを持つ感知用発光タグ3の発光部35のみを発光させる。
【0065】
次に、本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムにおけるRFIDタグのリーダ/ライタによる選択時の処理について説明する。
まず、利用者が目視で感知したいRFIDタグ1をリーダ/ライタ2により選択すると、リーダ/ライタ2のリーダ/ライタ用アンテナ20がRFIDタグ1へのタグ選択電波の送信及びRFIDタグ1からの反射電波の受信を行い、RFIDタグ1がリーダ/ライタ2からの送信電波に対して自タグの選択可の信号を送信する。
【0066】
また、リーダ/ライタ2のレーザ照射部22が感知用発光タグ3にレーザ光を照射する。
【0067】
そして、感知用発光タグ3の発光タグ用アンテナ30がRFIDタグ1のRFIDタグ用アンテナ10との電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取RFIDタグ用アンテナ10に電磁結合した発光タグ用アンテナ30より自タグの選択可/選択不可の信号を受け取り、感知用発光タグ3のタグ選択感知部32が受け取った自タグの選択可/選択不可の信号によりRFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたこと又は選択されなかったことを検知する。
【0068】
さらに、感知用発光タグ3の受光部33がリーダ/ライタ2のレーザ照射部22から照射されたレーザ光を受光すると、感知用発光タグ3の光−電気変換部34が受光したレーザ光を電気エネルギーに変換し、RFIDタグ1が自タグの選択可の信号を送信したとき、感知用発光タグ3の発光部35がこの電気エネルギーを用いて発光し、感知用発光タグ3の制御部36が発光部35の発光の制御を行う。
【0069】
感知用発光タグ3の発光部35を発光させることにより、利用者がリーダ/ライタ2により選択されたRFIDタグ1を離れた所から目視で確実に特定することができる。
【0070】
本発明のRFIDタグ感知システムは、RFIDタグ1のアンテナ部(RFIDタグ用アンテナ10)と電磁結合しているアンテナ部(発光タグ用アンテナ30)を持つ感知用発光タグ3を設け、この感知用発光タグ3にてRFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されてレスポンス状態になったことをアンテナ部(発光タグ用アンテナ30)を通して感知用発光タグ3内のタグ選択感知部32で検知すると共に、リーダ/ライタ2より感知用発光タグ3にレーザ光を照射し、このレーザ光を感知用発光タグ3内の光−電気変換部34で電気エネルギーに変換させ、この電気エネルギーを用いて感知用発光タグ3の発光部35を発光させて、RFIDタグ1がリーダ/ライタ2により選択されたことを感知している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムを示す構成図。
【図2】本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムにおける感知用発光タグの発光の原理を説明する発光原理説明図。
【図4】本発明の実施例に係るRFIDタグ感知システムにおけるリーダ/ライタによるRFIDタグの選択状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0072】
1,1a,1b,1c,1d RFIDタグ
2 リーダ/ライタ
3 感知用発光タグ
10 RFIDタグ用アンテナ
11 RFIDチップ
20 リーダ/ライタ用アンテナ
21 リード/ライト部
22 レーザ照射部(光照射手段)
23 レーザ照射制御回路(光照射制御手段)
30 発光タグ用アンテナ
31 発光素子
32 タグ選択感知部(タグ選択感知手段)
33 受光部(受光手段)
34 光−電気変換部(光−電気変換手段)
35 発光部(発光手段)
36 制御部(発光制御手段)
37 信号バッファ回路
38 信号復調回路
39 発光有無判断部
40 制御信号発生部
41 スイッチ
42 光−電気変換素子
50 レーザ光照射エリア
S RFIDタグ感知システム
S1 アナログ信号
S2 デジタル信号
S3 制御信号
S11 アナログ信号
S12 デジタル信号
S13 制御信号
T 発光期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグと、前記RFIDタグからのデータの読み出し及び前記RFIDタグへのデータの書き込みを行うリーダ/ライタと、前記RFIDタグが前記リーダ/ライタにより選択されたことを感知して発光する感知用発光タグとから構成され、前記リーダ/ライタにて選択されたRFIDタグを目視で感知可能にするシステムであって、
前記RFIDタグは、リーダ/ライタからの送信電波の受信及びリーダ/ライタへの反射電波の送信を行うRFIDタグ用アンテナと、RFIDタグ固有の識別情報が格納されたRFIDチップとを備え、リーダ/ライタからの送信電波に対して自タグの選択可の信号を送信し、そして、前記リーダ/ライタは、RFIDタグへのタグ選択電波の送信及びRFIDタグからの反射電波の受信を行うリーダ/ライタ用アンテナと、前記感知用発光タグに光を照射する光照射手段と、光の照射の制御を行う光照射制御手段とを備えており、前記感知用発光タグは、前記RFIDタグ用アンテナとの電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取る発光タグ用アンテナと、受け取った自タグの選択可の信号によりRFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを検知するタグ選択感知手段と、前記リーダ/ライタから照射された光を受光する受光手段と、受光した光を電気エネルギーに変換する光−電気変換手段と、RFIDタグが自タグの選択可の信号を送信したとき、電気エネルギーを用いて発光する発光手段とを備えたことを特徴とするRFIDタグ感知システム。
【請求項2】
上記RFIDタグと上記感知用発光タグとは、分離可能に取付けられている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項3】
上記RFIDタグのRFIDタグ用アンテナと上記感知用発光タグの発光タグ用アンテナとを重ね合わせることにより、前記RFIDタグと前記感知用発光タグとの電磁結合が行われている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項4】
上記RFIDタグと上記感知用発光タグとは、アンテナ部分で接続されている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項5】
上記リーダ/ライタは、感知用発光タグに照射する光にレーザ光を用いる請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項6】
上記リーダ/ライタは、感知用発光タグに照射するレーザ光の代わりに赤外線を用いる請求項1または5に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項7】
上記リーダ/ライタは、光照射を面内で走査する光照射走査手段を備えている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項8】
上記リーダ/ライタは、上記RFIDタグが貼着されている製品にバーコードも貼り付けられている場合、感知用発光タグにレーザ光を照射するレーザ光発生装置と前記バーコードを読み取るバーコードリーダのレーザ光発生装置とを兼用する請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項9】
上記リーダ/ライタと上記感知用発光タグにレーザ光を照射する上記レーザ光発生装置とは、別体とされている請求項8に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項10】
上記感知用発光タグは、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを表示する液晶素子を備えている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項11】
上記リーダ/ライタは、照射するレーザ光を変調する手段を備えており、上記感知用発光タグは、発光素子と、レーザ光と他の光とを区別する手段と、前記発光素子の発光を制御する手段とを備えている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項12】
上記感知用発光タグは、検知機器に応答する場合、発光素子の発光と同時に検知用電波を出力する手段を備えている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項13】
上記感知用発光タグは、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを記憶する手段と、リーダ/ライタがレーザ光を照射した時、前記記憶に従って発光素子の発光を制御する手段とを備えている請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項14】
上記感知用発光タグは、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことの記憶を行うか行わないかを、照射するレーザ光の変調情報に従って行うことが可能な手段を有する請求項13に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項15】
上記感知用発光タグは、RFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことの記憶を呼び出し/消去する手段を備えている請求項1または13に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項16】
上記感知用発光タグは、発光した光あるいは受光した光を光ファイバで任意の位置に導く請求項1に記載のRFIDタグ感知システム。
【請求項17】
RFIDタグのRFIDタグ用アンテナとの電磁結合で自タグの選択可の信号を受け取る発光タグ用アンテナと、受け取った自タグの選択可の信号によりRFIDタグがリーダ/ライタにより選択されたことを検知するタグ選択感知手段と、リーダ/ライタから照射された光を受光する受光手段と、受光した光を電気エネルギーに変換する光−電気変換手段と、RFIDタグが自タグの選択可の信号を送信したとき、電気エネルギーを用いて発光する発光手段とを備えたことを特徴とする感知用発光タグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−171088(P2007−171088A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371828(P2005−371828)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000233491)日立電子サービス株式会社 (394)
【Fターム(参考)】