説明

TIRF単分子分析および核酸を配列決定する方法

単分子の存在を分析する装置は、試料を上に配置する試料プレート(30’)を備える。一実施形態では、この装置は、試料中で蛍光を励起するのに適した2つの異なる波長の照明光を提供する2つのレーザ(46’、46”)と、バンドパスフィルタ(50’、55”)、発散レンズ(54’、54”)、視野絞り(62’)、および内部全反射対物レンズ(74’)を介して試料上に照明光を方向づける収束レンズ(66’)を含むコリメータと、照明光に応答して前記試料によって生成される蛍光像を検出する手段(34’、34”)とを備える。一実施形態では、この装置は、レーザ(38’)と、ビームスプリッタキューブ(86’)と、収束レンズ(90’)と、オートフォーカス用ダイクロイック(94’)とを含むオートフォーカスモジュールをさらに備え、それによって、試料に対する対物レンズの合焦を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に単分子の光学的な検出および分析に関し、より詳細には、内部全反射を利用した単分子の光学的な検出に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
単分子を分析することにより、研究者は核酸鎖内の塩基配列を分析することができる。これは、対象とする核酸に対する相補鎖を一度に1つの塩基ずつ構築し、どの塩基が組み込まれたかを判定することによって行う。この操作を何百もの核酸試料に対して同時に行うことによって、比較的短時間で大型ゲノムの配列を決定することができる。
【0003】
この形態の配列決定を行うために、クロマトグラフィカラムから放射性核種検出に至るまで多くの技術が使われてきた。これらの方法の大部分は、単一塩基の付加を繰り返し検出する際に難点がある。
【0004】
本発明は、複数のDNA試料への塩基の付加を一度に検出し記録するだけでなく、それを繰り返し精度よく行うための仕組みを提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
一態様では、本発明は、内部全反射蛍光(TIRF)を利用して単分子の存在を分析する装置に関する。一実施形態では、単分子分析装置は、試料が上に配置された支持部と、異なる波長の光を生成する少なくとも2つのレーザと、内部全反射(TIR)対物レンズを介して試料に光を方向づけるコリメータと、光に応答して試料中の単分子によって生成される蛍光発光を受ける受光部と、蛍光発光中の各波長を検出する検出器とを備える。別の実施形態では、この装置は、試料に対する対物レンズの合焦を維持するための合焦用レーザをさらに備える。
【0006】
一実施形態では、コリメータは、バンドパスフィルタと、バンドパスフィルタに光学的に接続された発散レンズと、発散レンズに光学的に接続されたコリメートレンズと、コリメートレンズに光学的に接続された視野絞りと、視野絞りに光学的に接続された収束レンズとを備える。別の実施形態では、受光部は、チューブレンズと、チューブレンズに光学的に接続されたバンドパスフィルタとを備える。
【0007】
別の実施形態では、支持部は、フローセルに関連づけられたステージである。別の実施形態では、カメラは、蛍光発光によって生成される画像を保存し分析するためのコンピュータに接続される。
【0008】
別の実施形態では、単分子分析装置は、第1レーザと、前記レーザに光学的に接続されたバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタに光学的に接続された少なくとも1つの第1レンズと、第2レーザと、第2レーザに光学的に接続された第2バンドパスフィルタと、第2バンドパスフィルタに光学的に接続された少なくとも1つの第2レンズと、少なくとも1つの第1レンズおよび少なくとも1つの第2レンズに光学的に接続されたダイクロイックビームコンバイナーとを備える。コリメータは、ダイクロイックビームコンバイナーに光学的に接続される。コリメータに光学的に接続された視野絞り、試料に焦点を合わるために、前記第1および第2のレーザからの光を対物レンズに通過させ、かつ前記試料からの蛍光発光を検出器に通過させる照射用ダイクロイックレンズ。カメラ用ダイクロイックフィルタは、第1カメラに第1波長の光を通過させ、第2カメラに第2波長の光を通過させるように位置決めされる。第1および第2のカメラに接続され、蛍光発光を分析するコンピュータ。
【0009】
一実施形態では、この装置は、試料を上に配置する試料プレートと、2つの波長の光を提供する1つまたは複数の光源と、前記試料上にコリメートされた規定サイズの光のスポットを生成するコリメータと、前記各波長の光により試料によって生成される蛍光像の受光部であって、非蛍光を減少させる受光部と、前記各波長の光により試料によって生成される蛍光像を検出する検出器とを備える。一実施形態では、この装置は、前記試料の蛍光像の合焦を維持する装置をさらに備える。別の実施形態では、2つの波長の光を提供する光源は2つのレーザを含む。
【0010】
別の実施形態では、コリメータは、バンドパスフィルタと、バンドパスフィルタに光学的に接続された発散レンズと、発散レンズに光学的に接続されたコリメートレンズと、コリメートレンズに光学的に接続された視野絞りと、視野絞りに光学的に接続された収束レンズとを備える。別の実施形態では、受光部は、チューブレンズと、チューブレンズに光学的に接続されたバンドパスフィルタとを備える。一実施形態では、検出器はカメラを含む。
【0011】
別の態様では、本発明は、単分子を分析する方法に関する。この方法は、試料を提供するステップと、2つの異なる波長の光を生成するステップと、内部全反射対物レンズを介して試料上に2つの異なる波長の光を方向づけるステップと、2つの異なる波長の光に応答して試料中の単分子によって生成される蛍光発光を受けるステップと、蛍光発光を検出するステップとを含む。別の態様では、本発明は、単分子を分析する方法に関する。この方法は、試料を提供するステップと、2つの異なる波長の光を生成するステップと、内部全反射対物レンズを介して試料上に2つの異なる波長の光を方向づけるステップと、2つの異なる波長の光に応答して試料中の単分子によって生成される蛍光発光を受けるステップと、蛍光発光を検出するステップとを含む。
【0012】
本発明のシステムは、好ましくは、配列決定すべき核酸二重鎖を含むスライド、アレイ、チャネル、ビーズ、気泡などとともに動作するように構成される。好ましい実施形態では、ステージは、二重鎖を担持するガラスまたは溶融石英製のスライドを収容するフローセルを支持する。好ましいスライドは、エポキシド、高分子電解質の複数の層、核酸を結合するのに適した他の被覆で被覆される。極めて好ましい実施形態では、以下で説明するように、スライドはエポキシドで被覆され、核酸はアミン結合によって直接付着される。テンプレートまたはプライマ、あるいはその両方を表面に付着させてもよい。他の実施形態では、エポキシド被覆を誘導体化して二重鎖付着の助けとする。例えば、ストレプトアビジンでエポキシドを誘導体化することができ、二重鎖(プライマまたはテンプレート、あるいはその両方)は、ストレプトアビジンに付着するビオチン末端を有し得る。あるいは、抗原/抗体対または受容体/リガンド対などの他の結合対を用いてもよい。理想的には、エポキシド表面を不動態化してバックグラウンドを減少させる。不動態化は、開いたエポキシド環に付着する分子に表面を暴露することによって実施し得る。このような分子の例には、アミン、リン酸および界面活性剤があるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
本発明のシステムは、合成によるテンプレート依存配列決定反応を実施するのに有用である。典型的には、これらの反応は、画像化する表面に二重鎖を付着させ、その後、ポリメラーゼの存在下で複数の光学的に標識されたヌクレオチド三リン酸塩に暴露することを必要とする。テンプレートの配列は、二重鎖のプライマ部分の3’末端に組み込まれた標識されたヌクレオチドの順序によって決定される。これは、以下で説明するように、リアルタイムで行うこともできるし、ステップアンドリピートモードで行うこともできる。リアルタイム分析では、組み込まれる各ヌクレオチドに異なる光学標識を付着させ、複数のレーザを使用して組み込まれたヌクレオチドを励起することが有用である。このような改変は、当業者には周知である。
【0014】
本発明の上記その他の目的、態様、特徴および利点は、以下の説明を添付の図面と併せ読むことによってより明らかになり、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
好ましい実施形態の説明
全体を概観すると、本発明には3つの主要な実施形態がある。第1の実施形態では、単分子を検出し分析するTIRFシステムにおいて複数の励起波長を蛍光プローブとともに使用する。第2の実施形態では、単分子を検出し分析するTIRFを用いる場合と用いない場合とで、単一波長をオートフォーカスとともに使用する。第3の実施形態では、単分子を検出し分析するオートフォーカス付きTIRFシステムにおいて複数の波長を蛍光プローブとともに使用する。
【0016】
図1を参照すると、この装置の全体概略図が示されている。図に示す実施形態における光学配置10は、光源14、試料部18、および信号検出部22を備える。光源14からの光は、試料部18の試料プレート30に方向づけられ、それによって試料の単分子が蛍光を発する。試料プレート30からの蛍光は、フィルタリングされ、検出部22の検出器34によって検出される。様々な特定波長の光源部14は様々な波長の光を供給することができ、それらを検出部22によって検出することができる。
【0017】
より詳細には、この実施形態では、光源14は、対象とする様々な波長に調整可能な、あるいは、対象とする様々な波長の他のレーザに交換可能なレーザ46を含む。レーザ46からの光は、レーザ46の波長を中心としたある帯域の波長を通過させるバンドパスフィルタ50を通過する。次いで、この光は、サイズ設定用コリメータを通過する。このサイズ設定用コリメータは、試料を照射するために光ビームを拡げる発散レンズ54と、ビーム経路を平行にするコリメーションレンズ58と、ビームのサイズを小さくする視野絞り62と、適切なスポットサイズを作り出す収束レンズ66とを含む。
【0018】
次いで、光は、入射ビームの方向に対して45°傾いた照射用ダイクロイック70によって反射され、TIR油浸対物レンズ74を通って試料プレート30に至る。試料プレート30は、移動可能なX−Yステージ上で位置決めされている。試料プレート30上の分子からの蛍光その他の光は、油浸対物レンズ74を通過して戻り、照射用ダイクロイック70を通り、チューブレンズ76を通過する。チューブレンズ74を通過した後で、この光は第1バンドパスフィルタ78を通過する。第1バンドパスフィルタ78は、光学配置全体を通過してきた光源46からの励起光の波長を、それがカメラ34に到達する前に、試料中の蛍光体によって生成された蛍光から除去するためのものである。
【0019】
図2も参照すると、オートフォーカス部26を含む本発明の別の実施形態が示されている。この実施形態では、オートフォーカス部26の光源38から試料プレート30によって反射されて検出器42に至る光を測定することによって、試料の蛍光画像の合焦が維持される。試料プレート30がそのX−Y位置決め装置によって移動するときにプレート上の試料の合焦を維持するために、一実施形態では赤外光源である光源38からの光は、50/50ビームスプリッタキューブ86を通過し、またそれによって反射される。50/50ビームスプリッタキューブ86によって反射された光は、収束レンズ90を通って、照射用ダイクロイック70からの光路中に、その光路に対して45°で位置決めされたオートフォーカス用ダイクロイック94に至る。オートフォーカス用ダイクロイック94で反射されたビームは、照射用ダイクロイック70およびTIR油浸対物レンズ74を通って、試料プレート30に至る。
【0020】
この光は、試料プレート30によって反射され、油浸対物レンズ74および照射用ダイクロイック70を通って戻り、オートフォーカス用ダイクロイック94によって反射される。この反射光は、収束レンズ90およびビームスプリッタキューブ86を通過して戻り、オートフォーカス用検出器42に到達する。
【0021】
図2aを参照すると、オートフォーカス部26が、ダイクロイック94および試料部18とともに示されている。この実施形態におけるオートフォーカスでは、斜めビーム動作法が用いられる。この実施形態では、光源38は、ビームスプリッタキューブ86にキューブ86の対角線からずれた角度でビームを投影する。反射ビーム40は、ダイクロイック94によって反射され、レンズ74によって試料プレート30上で結像する。試料30からの戻り光は、レンズ74によって結像してダイクロイック94に戻り、このビームはダイクロイック94によって反射されてビームスプリッタキューブ86に戻る。
【0022】
試料がレンズ74から正しい焦点位置にあると、ダイクロイック94からの反射光は、ビームスプリッタキューブ86を通過し、オートフォーカス用検出器42に当たるように角度が選択される。オートフォーカス用検出器42は、2つの隣接する光電セル検出器42aおよび42bを備える。このビームが合焦状態にあるときには、ダイクロイック94からの反射光41は、検出器42aおよび42bに等しく当たる。
【0023】
試料プレート30が(想像線で示すように)移動すると、レンズ74から試料プレート30までの経路が変化し、それによって、(想像線で示す)戻りビーム43がダイクロイック94に異なる角度で当たり、反射されて軸がずれた状態でビームスプリッタキューブ86に至る。ビーム43は、キューブ86を通過すると、2つの隣接する光電セル42aおよび42bの一方の42bに、他方の42aよりも多く当たる。そのため、光電セル42aおよび42bには、互いに異なる電圧が生じる。次いで、この電圧差を用いて、レンズ74に取り付けられた(図示しない)モータを制御してレンズまたはステージを移動させ、それによって試料30を再び合焦状態にする。試料30が合焦状態になると、これら2つの光電セル検出器42aおよび42bは等しく照明され、電圧差はほぼゼロに戻り、モータはレンズ74の移動を停止する。このように、この光学系は、試料に直交する動きを、検出器42を横切る横方向の動きに変換する。
【0024】
オートフォーカス用光源38からの光が検出器34に到達しないようにするために、試料からの光は、バンドパスフィルタ78を通過した後で、試料の蛍光波長のうち最大強度の波長を中心とするノッチを有するノッチフィルタ82を通過し、その後、検出器34に到達する。この実施形態は、すぐ前で説明したように、TIR油浸対物レンズ74を用いる場合と用いない場合とで、単一波長励起光源または多波長励起光源とともに用いることができる。
【0025】
所望の出力の多波長光源および多波長検出器は望ましい波長では容易には入手できないので、図3に、2つの異なる波長でほぼ同時測定が可能な、別光源を使用するオートフォーカス付きシステムの実施形態を示す。この実施形態では、647nmおよび532nmの異なる波長にそれぞれ設定された2つのレーザ46’および46”からビームが得られ、これらのビームは、偏向ミラー100および100’によって反射され、バンドパスフィルタ50’および50”を通る。一実施形態では、532nmのレーザ46”は2Wのレーザであり、647nmのレーザ46’は800mWのレーザである。この実施形態では、バンドパスフィルタ50’および50”はそれぞれ、647nmおよび532nmを通過させるように中心波長が設定される。
【0026】
次いで、第1のビームは、発散レンズ54’およびリレーレンズ104を通過し、その後、偏向ミラー108によって向きが変わる。同様に、第2のビームは、発散レンズ54”およびリレーレンズ104’を通過し、その後、2つのレーザ46’および46”からのビームの光路に対して45°に位置決めされたダイクロイックビーム結合器108において第1ビームと合成される。次いで、これら2つのビームは、これらのビーム経路を平行にするコリメーションレンズ58’と、ビームのサイズを小さくする視野絞り62’と、試料プレート30’のところで適切なスポットサイズを作り出す収束レンズ66’とを含むコリメータを通過する。
【0027】
次いで、これらの光ビームは、照射用ダイクロイック70’によって反射され、ニコン製の開口数1.45のTIR油浸対物レンズ74’を通って試料プレート30’に至る。試料プレート30’は、移動可能なX−Yステージ上で位置決めされる。一実施形態では、このX−Y試料ステージは、フローセル用の試料プレートを備え、そのため、システムの動作中に繰り返し試薬を流し、反応を起こさせることができる。
【0028】
試料プレート30’上の分子からの蛍光その他の光は、TIR油浸対物レンズ74’を通過して戻り、照射用ダイクロイック70’を通り、チューブレンズ76’を含む受光部を通る。チューブレンズ76’を通過した後で、これらの光ビームは、検出器用ダイクロイック112によって反射され、650nmエッジフィルタ116、ビームの楕円形状を取り除く補償プレート120、第1の700nmバンドパスフィルタ78’、および785nmノッチフィルタ82’を通り、その後、赤色光用の検出器34’に到達する。この実施形態では、検出器34はCCDカメラ34’である。
【0029】
同時に、試料からの光の一部は、検出器用ダイクロイック112によって反射され、580nmバンドパスフィルタ78”および785nmノッチフィルタ82”を通過し、その後、緑色光用の検出器34”に到達する。一実施形態では、この検出器はCCDカメラ34”である。CCDカメラ34’および34”からの画像は、(図示しない)コンピュータによって収集され、分析される。
【0030】
試料プレート30’がそのX−Y位置決め装置によって移動するときにプレート上の試料の合焦を維持するために、5mWの赤外光源38’からの785nmの赤外光は、50/50ビームスプリッタキューブ86’によって反射され、またそれを通過する。50/50ビームスプリッタキューブ86’によって反射された光は、収束レンズ90’を通って、照射用ダイクロイック70’の光路中に、その光路に対して45°傾いたオートフォーカス用ダイクロイック94’に至る。オートフォーカス用ダイクロイック94で反射された赤外ビームは、照射用ダイクロイック70’およびTIR油浸対物レンズ74’を通過して、試料プレート30’に至る。この光は、試料プレート30’によって反射され、TIR油浸対物レンズ74’を通って戻り、オートフォーカス用ダイクロイック94’によって反射される。この反射光は、収束レンズ90’および50/50ビームスプリッタキューブ34”を通過して戻り、オートフォーカス用検出器42’に到達する。
【0031】
このシステムの動作は、1つには、どちらの構成を用いるかによって決まる。しかし、このシステムの動作は、様々な形態をとり得る試料の調製とは無関係である。配列決定すべき試料DNAは、必要な場合には一本鎖にし、切断して約20bpから100bpのサイズ範囲にある小断片を生成する。断片は、ターミナルトランスフェラーゼまたは別の適切な酵素を用いてポリアデニル化する。約50bpのポリAテールが好ましい。次いで、アミノ末端化ATPを付加し、表面上のエポキシドとの直接アミン付着によってこれらの断片を試料プレート30’に付着させる。次に、付着させた断片にポリチミジンプライマをハイブリダイズさせる。
【0032】
2つのレーザ波長による構成を用いる場合、テンプレートのポリA部分中のアデニンの1つに、緑色レーザ光によって励起可能な蛍光体を付着させる。この蛍光体がレーザからの緑色光によって照射されると蛍光を発し、その位置が、適切なフィルタを備えたCCDカメラ34”によって検出され、そのため、緑色光によって励起された蛍光のみがカメラ34”に到達し得る。この蛍光による方法により、各ヌクレオチド塩基が試料プレート30’に添加された後で、試料プレート30’上の断片の位置が決まる。単一波長レーザによる構成を用いる場合、蛍光体を付着させず、組み込まれた蛍光性塩基(以下参照)により蛍光が得られ、それによって、試料プレート30’上のDNA断片の位置が決まる。
【0033】
次に、一度に1つのヌクレオチド種ずつ、プレート30’上に単一ヌクレオチドを導入する。それぞれの種は、赤色レーザ光によって励起されると蛍光を発する蛍光体を担持している。蛍光標識された各ヌクレオチド種を適切なポリメラーゼ混合物とともに試料プレート30’上に導入し、反応させた後で、試料プレートを洗浄して、プライマに組み込まれなかったヌクレオチドを除去する。プライマの3’末端に隣接するテンプレートの次のヌクレオチドに相補的なヌクレオチドだけが組み込まれることになる。
【0034】
次いで、赤色レーザ光によって試料プレート30’を照射する。最後に付加したヌクレオチドがこの鎖に組み込まれた場合、この鎖に組み込まれたヌクレオチドは蛍光を発することになる。ヌクレオチドが組み込まれなかった場合、いかなる蛍光も検出されない。この光は、赤色レーザ光によって励起された蛍光のみをCCDカメラ34’に到達させる適切なフィルタを定位置に備えたCCDカメラによって検出される。
【0035】
次に、蛍光ヌクレオチドが組み込まれた場合、蛍光体が開裂し、以下で詳細に説明するようにキャップが形成される。次いで、蛍光体が付着した次のヌクレオチド種を付加し、このサイクルを繰り返す。
【0036】
組み込まれた蛍光を書き留めて各二重鎖にどのヌクレオチドが付加されたかを常時把握することによって、付着した断片に相補的なヌクレオチド塩基の配列が決まる。この配列データと他の断片からの配列データとを組み合わせて、DNA試料全体またはゲノム全体の配列を決定することができる。
【実施例】
【0037】
本発明の単分子システムを使用して、バクテリオファージM13mp18の7249ヌクレオチドゲノムを配列決定した。精製された一本鎖ウイルス性M13mp18ゲノムDNAは、New England Biolabs社から入手した。約25μgのM13 DNAを、0.1 U Dnase I(New England Biolabs社)によって10分間37℃で消化して、平均断片サイズを40bpとした。消化したDNA断片サイズの推定は、あらかじめ成形された変性(TBE−Urea)10%ポリアクリルアミドゲル(Novagen社)上に一定分取量の消化混合物を流し、SYBR Gold(Invitrogen/Molecular Probes社)で染色することにより行った。DNase Iで消化したゲノムDNAを、YM10限外ろ過スピンコラム(Millipore社)を通してろ過して、約30ntよりも小さい小型消化産物を除去した。次いで、約20pmolのろ過したDNase I消化物を、周知の方法(Roychoudhury, R、Wu, R、1980、Terminal transferase−catalyzed addition of nucleotides to the 3’ termini of DNA、Methods Enzymol. 65(1):43〜62頁)に従ってターミナルトランスフェラーゼでポリアデニル化した。平均dAテール長は、50±5ヌクレオチドであった。次いで、ターミナルトランスフェラーゼを用いて、Cy3−dUTPで断片を標識した。その後、ジデオキシTTPで断片を末端処理した(また、ターミナルトランスフェラーゼを用いて付加した)。得られた断片を再度、YM10限外ろ過スピンコラムでろ過して遊離ヌクレオチドを除去し、−20℃のddHO中に保存した。
【0038】
オリゴを付着させるように、エポキシドを被覆したガラススライドを調製した。エポキシドで機能化した40mm径の#1.5ガラスカバースリップ(スライド)は、Erie Scientific社(米国ニューハンプシャー州Salem所在)から入手した。これらのスライドを、37℃の3×SSCに15分間浸漬することによって事前調整した。次に、500pM分取量の5’アミノ化ポリdT(50)(5’末端アミンを伴った長さ50bpのポリチミジン)を、体積を80mlとして室温で30分間、各スライドでインキュベートした。その結果、スライドには、エポキシドとの直接アミン結合によってポリ(dT50)プライマが付着した。次いで、これらのスライドをリン酸(1M)で4時間、室温で処理して表面を不活性化した。その後、これらのスライドを、配列決定に使用するまで、ポリメラーゼ洗浄緩衝液(20mM トリス、100mM NaCl、0.001% トリトン X−100、pH 8.0)中で保存した。
【0039】
配列決定では、これらのスライドを、厚さ50μmのガスケットを使用して改変FCS2フローセル(米国ペンシルバニア州Butler所在のBioptechs社)内に配置した。このフローセルを、内部全反射(TIR)対物レンズを搭載したニコン製TE−2000倒立顕微鏡を中心に構成した高効率蛍光画像化システムの一部である移動可能なステージ上に配置した。次いで、100mMのNaClを含むHEPES緩衝液でスライドを洗浄し、温度50℃にして平衡状態にした。上記で説明した一定分取量のM13テンプレート断片を3×SSCで希釈し、最終濃度を1.2nMにした。一定分取量100μlをフローセルに入れ、スライド上で15分間インキュベートした。インキュベート後、このフローセルを1×SSC/HEPES/0.1%SDSで洗浄し、次いで、HEPES/NaClで洗浄した。受動型真空装置を使用してフローセル全体にわたって流体を引き抜いた。得られたスライドは、M13テンプレート/オリグ(dT)プライマ二重鎖を含んでいた。次いで、配列決定のためにフローセルの温度を37℃に下げ、フローセルに対物レンズを接触させた。
【0040】
配列決定では、それぞれシアニン−5標識(ATPおよびGTPについては7−deaza位置に、CTPおよびUTPについてはC5位置に(PerkinElmer社))を有するシトシン三リン酸塩、グアニジン三リン酸塩、アデニン三リン酸塩、およびウラシル三リン酸塩を、20mMのトリス−HCl、pH 8.8、10mMのMgSO、10mMの(NHSO、10mMのHCl、および0.1%のトリトンX−100を含む緩衝液、ならびに100U クレノウexoポリメラーゼ(NEN)中に別々に保存した。配列決定は以下のように進めた。
【0041】
まず、最初の画像化を行って、エポキシド表面上での二重鎖の位置を求めた。M13テンプレートに付着させたCy3標識を、532nmを放射するように調整されたレーザ(Verdi V−2レーザ、コヒーレント社、米国カリフォルニア州サンタクララ所在)を使用した励起によって画像化して、二重鎖位置を定めた。各スライドごとに、このステップで画像化された単一蛍光分子だけを計数した。以下で説明するように、635nm放射レーザ(コヒーレント社)を使用してシアニン−5色素を励起することによって、組み込まれたヌクレオチドを画像化した。フローセルに5μMのCy5CTPを入れ、スライドに2分間暴露した。インキュベート後、このスライドを1×SSC/15mM HEPES/0.1% SDS/pH7.0(「SSC/HEPES/SDS」)(それぞれ体積60μlで15回)中で洗浄し、次いで、150mM HEPES/150mM NaCl/pH 7.0(「HEPES/NaCl」)(体積60μlで10回)で洗浄した。次に、30%アセトニトリルおよび脱気剤緩衝液(134μl HEPES/NaCl、24μl 100mM TroloxのMES溶液、pH6.1、10μl DABCOのMES溶液、pH6.1、8μl 2M グルコース、20μl NaI(50mMの原料水溶液)、および4μl グルコース酸化酵素)を含む酸素脱気剤を添加した。次いで、このスライドを、647nmのInova301Kレーザ(コヒーレント社)を使用して0.2秒間(500フレーム)画像化し、その後、532nmのVerdi V−2レーザ(コヒーレント社)で緑色について2秒間画像化して、二重鎖の位置を確認した。検出可能な蛍光が得られた位置を記録した。画像化の後で、フローセルをSSC/HEPES/SDS(60μl)およびHEPES/NaCl(60μl)でそれぞれ5回ずつ洗浄した。次に、フローセルに50mMのTCEPを5分間導入することによって、組み込まれたCTPからシアニン−5標識を開裂させ、その後、フローセルをSSC/HEPES/SDS(60μl)およびHEPES/NaCl(60μl)でそれぞれ5回ずつ洗浄した。残りのヌクレオチドに、50mMのヨードアセトアミドで5分間キャップを形成し、その後、SSC/HEPES/SDS(60μl)およびHEPES/NaCl(60μl)でそれぞれ5回ずつ洗浄した。上記で説明したやり方で脱気剤を再度適用し、スライドを再度画像化して、開裂/キャップ形成ステップの有効性を判定し、組み込まれていない蛍光物体を識別した。
【0042】
次いで、上記で説明した手順を、100nM Cy5dATPについて、その後、100nM Cy5dGTPについて、最後に、500nM Cy5dUTPについて実施した。この手順(ヌクレオチドへの暴露、ポリメラーゼ、洗浄、脱気剤、画像、洗浄、開裂、洗浄、キャップ形成、洗浄、脱気剤、最終画像)を、上記で説明したようにATP、GTP、およびUTPについて厳密に繰り返した。ただし、Cy5dUTPについては、2分間でなく5分間インキュベートした。普通ならチミジン三リン酸塩においてメチル基が占めている位置にCy5標識を組み込んだために、チミジンの代わりにウリジンを用いてdTTPをdUTPにした。64サイクルすべてにおいて、この段落および前の段落で説明したように(C、A、G、U)を実施した。
【0043】
64サイクルが完了した後で、画像スタックデータ(すなわち、様々な表面結合二重鎖から得られた単分子配列)をM13基準配列に位置合わせした。得られた画像データを圧縮してホモ重合体領域を縮小した。そのため、配列「TCAAAGC」は、位置合わせに使用するデータタグにおいて「TCAGC」として表されることになる。同様に、基準配列中のホモ重合体領域を縮小して位置合わせした。上記で説明した配列決定プロトコルにより、(適用する深さに応じて)98.8%〜99.96%の精度で、位置合わせされたM13配列が得られた。個々の単分子配列から得られた読取り長さの範囲は、2〜33連続ヌクレオチドであり、平均長さは、約12.6連続ヌクレオチドであった。
【0044】
上記で得られた配列を、位置合わせアルゴリズムにより、実際のM13直線配列と突き合わせた。M13上での得られた配列の配置は、得られた配列とM13の同じ長さの部分との間での最適一致法に基づいて、0、1または2個の生じ得る誤差を考慮に入れて行った。誤差がないように(すなわち、M13基準配列中の9個のmerと厳密に一致するように)得られた9個のmerをすべて、まずM13と位置合わせした。次いで、誤差が0または1の10個、11個、および12個のmerを位置合わせした。最後に、誤差が0、1または2の13個以上のmerをすべて位置合わせした。1以上の適用深さで、5066個の塩基M13縮小ゲノムのうち5001個の塩基を98.8%の精度で求めた。同様に、5以上の適用深さで、83.6%のゲノムを99.3%の精度で、10以上の適用深さで、51.9%のゲノムを99.96%の精度で求めた。平均適用深さは12.6ヌクレオチドであった。
【0045】
上記の説明は、本発明のいくつかの特定の実施形態に限定したが、変更および改変を本発明に加えて、本発明の利点の一部または全部を実現できることができることが明らかである。したがって、発明者の意図は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の一般化した実施形態の斜視概略図である。
【図2】図2は、オートフォーカスコンポーネントを含む図1の本発明の一般化した実施形態の斜視概略図である。
【図2a】図2aは、図2のオートフォーカス部の実施形態のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態の斜視概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単分子分析装置であって、
支持部であって、その上に試料が配置されている支持部と、
異なる波長の光を生成する少なくとも2つのレーザと、
前記光を内部全反射対物レンズを介して前記試料に方向づけるコリメータと、
異なる波長の前記光に応答して前記試料中の単分子によって生成される蛍光発光を受ける受光部と、
前記蛍光発光中の前記各波長を検出する少なくとも1つの検出器
とを備える単分子分析装置。
【請求項2】
前記試料に対する前記対物レンズの合焦を維持するための合焦用レーザをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記合焦用レーザは赤外レーザである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コリメータは、バンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタに光学的に接続された発散レンズと、前記発散レンズに光学的に接続されたコリメートレンズと、前記コリメートレンズに光学的に接続された視野絞りと、前記視野絞りに光学的に接続された収束レンズとを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記受光部は、チューブレンズと、前記チューブレンズに光学的に接続されたバンドパスフィルタとを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの検出器はカメラである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つのレーザは、約532nmの波長に調整された第1レーザと、約647nmの波長に調整された第2レーザとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コリメータは、視野絞りに光学的に接続された収束レンズを備え、前記視野絞りは、コリメートレンズに光学的に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記支持部は、ステージであり、前記ステージ上にフローセルが配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記フローセルは、前記試料を試薬に暴露するための注入ポートおよび排出ポートを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フローセルは、スライドをさらに備えており、前記試料を前記スライド上に配置する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記試料は核酸二重鎖を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記核酸二重鎖の少なくとも一部は、前記試料における他の核酸二重鎖から単離された状態で光学的に解像可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記単分子は、テンプレートと、前記テンプレートにハイブリダイズされるテンプレート依存合成型プライマとを備える核酸二重鎖である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記蛍光発光は、合成によるテンプレート依存配列決定の結果、前記二重鎖に組み込まれたヌクレオチドに付着した標識によって生成される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのカメラは、前記蛍光発光によって生成される画像を保存し分析するためのコンピュータに接続される、請求項6に記載の装置。
【請求項17】
単分子分析装置であって、
第1レーザと、
前記第1レーザに光学的に接続されたバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタに光学的に接続された少なくとも1つの第1レンズと、
第2レーザと、
前記第2レーザに光学的に接続された第2バンドパスフィルタと、
前記第2バンドパスフィルタに光学的に接続された少なくとも1つの第2レンズと、
前記少なくとも1つの第1レンズおよび前記少なくとも1つの第2レンズに光学的に接続されたダイクロイックビームコンバイナーと、
前記ダイクロイックビームコンバイナーに光学的に接続されたコリメータと、
前記コリメータに光学的に接続された視野絞りと、
試料に焦点を合わせるために、前記第1および第2のレーザから対物レンズに通過させ、かつ、前記試料からの蛍光発光をカメラ用ダイクロイックフィルタに通過させる照射用ダイクロイックレンズとを備え、前記カメラ用ダイクロイックフィルタは、第1カメラに第1波長の光を通過させ、第2カメラに第2波長の光を通過させ、
前記単分子分析装置はさらに、前記第1および第2のカメラに接続され、前記蛍光発光を分析するコンピュータを
備える、単分子分析装置。
【請求項18】
前記照射用ダイクロイックフィルタに光学的に接続されたチューブレンズをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
オートフォーカス用光源をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記オートフォーカス用光源は、前記照射用ダイクロイックフィルタに光学的に接続された赤外レーザである、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記対物レンズはTIRF対物レンズである、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
内部全反射を利用して単分子の存在を分析する装置であって、
試料プレートであって、その上に試料が配置される試料プレートと、
2つの波長の光を提供する光源と、
前記試料上にコリメートされた規定サイズの光のスポットを生成するサイズ設定コリメータと、
前記各波長の光により前記試料によって生成される蛍光像中の非蛍光を減少させる受光部と、
前記受光部に光学的に接続された検出器とを備え、
前記検出器は、前記各波長の光により前記試料によって生成される前記蛍光像を検出するように位置決めされる、装置。
【請求項23】
前記試料の蛍光像の合焦を維持するオートフォーカス装置をさらに備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
2つの波長の光を提供する前記光源は2つのレーザを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記試料上にコリメートされた規定サイズの光のスポットを生成する前記サイズ設定コリメータは、
バンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタに光学的に接続された発散レンズと、
前記発散レンズに光学的に接続されたコリメートレンズと、
前記コリメートレンズに光学的に接続された視野絞りと、
前記視野絞りに光学的に接続された収束レンズとを備える、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記各波長の光により前記試料によって生成される前記蛍光像を受け、非蛍光を減少させる前記受光部は、
チューブレンズと、
前記チューブレンズに光学的に接続されたバンドパスフィルタとを備える、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記各波長の光により前記試料によって生成される前記蛍光像を検出する前記検出器はカメラを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
内部全反射を利用して単分子の存在を分析する装置であって、
試料プレートであって、その上に試料が配置される試料プレートと、
2つの波長の光を提供する手段と、
前記試料上にコリメートされた規定サイズの光のスポットを生成する手段と、
前記各波長の光により前記試料によって生成される蛍光像を受け、非蛍光を減少させる手段と、
前記各波長の光により前記試料によって生成される前記蛍光像を検出する手段とを備える、装置。
【請求項29】
コリメートされた光のスポットを生成する前記手段はTIRF対物レンズを含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記試料によって生成される蛍光像に自動的に焦点を合わせる手段をさらに備える、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
単分子の存在を分析する装置であって、
試料プレートであって、その上に試料が配置される試料プレートと、
蛍光を励起する波長の光を提供する第1レーザと、
第2波長の光を提供する第2レーザと、
前記第1レーザから、前記試料上にコリメートされた規定サイズの光のスポットを生成するコリメータと、
前記コリメートされた光のスポットに応答して前記試料によって生成される蛍光像を検出する検出器と、
前記第2レーザからの光に応答して蛍光像の焦点を調整するオートフォーカスモジュールとを備える、装置。
【請求項32】
前記試料上にコリメートされた光のスポットを結像させるTIRFレンズをさらに備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
単分子の存在を分析する装置であって、
試料を保持する手段と、
蛍光を励起する波長の光を提供する手段と、
第2波長の光を提供する手段と、
蛍光を励起する波長の光を提供する前記手段から、前記試料上にコリメートされた規定サイズの光のスポットを生成する手段と、
前記試料によって生成される蛍光像を検出する手段と、
第2波長の光を提供する前記手段からの光に応答して蛍光像の焦点を調整する手段とを備える、装置。
【請求項34】
内部全反射を利用して前記試料上にコリメートされた光のスポットを結像させる手段をさらに備える、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
単分子を分析する方法であって、
試料を提供するステップと、
2つの異なる波長の光を生成するステップと、
内部全反射対物レンズを介して前記試料上に2つの異なる波長の前記光を方向づけるステップと、
2つの異なる波長の前記光に応答して前記試料中の単分子によって生成される蛍光発光を受けるステップと、
前記蛍光発光を検出するステップとを含む、方法。
【請求項36】
前記方向づけるステップは、2つの異なる波長の光をコリメートし、前記光が内部全反射対物レンズを通過した後で、ビームのサイズを小さくして試料のサイズに合わせることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記蛍光発光を検出するステップの前に、蛍光発光に自動的に焦点を合わせるステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
単分子を分析する方法であって、
試料を提供するステップと、
第1波長の光を生成するステップと、
内部全反射対物レンズを介して前記試料上に前記第1波長の前記光を方向づけるステップと、
前記第1波長の前記光に応答して前記試料中の単分子によって生成される蛍光発光を受けるステップと、
蛍光発光に自動的に焦点を合わせるステップと、
前記蛍光発光を検出するステップとを含む、方法。
【請求項39】
核酸を配列決定する方法であって、
(a)第1の光学的に検出可能な標識を含む核酸を表面に付着させるステップと、
(b)前記核酸を第1波長の光に暴露するステップと、
(c)前記第1波長の光に対する前記第1の光学的に検出可能な標識の応答に基づいて、前記核酸の位置を求めるステップと、
(d)ポリメラーゼおよび第2の光学的に検出可能な標識を含むヌクレオチドに前記核酸を暴露するステップと、
(e)組み込まれなかったヌクレオチドを除去するステップと、
(f)内部全反射を利用して前記核酸を第2波長の光に暴露するステップと、
(g)前記第2波長の光に対する前記第2の光学的に検出可能な標識の応答に基づいて、前記第2の光学的に検出可能な標識の位置を求めるステップと、
(h)前記第2の光学的に検出可能な標識を除去または不活性化するステップと、
(i)第2およびそれ以降のヌクレオチドについて、ステップ(d)から(h)を繰り返すステップとを含む、方法。
【請求項40】
前記第1の光学的に検出可能な標識を前記核酸に付着させるステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の光学的に検出可能な標識を前記核酸に付着させるステップは、Cy3−dUTP蛍光体およびターミナルトランスフェラーゼを使用して行う、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第1波長の光は532nmである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
表面に核酸を付着させるステップは、
前記表面をポリチミル化する(polythymylating)ステップと、
ターミナルトランスフェラーゼを使用して核酸をポリアデニル化するステップと、
ポリアデニル化した核酸およびポリチミル化した表面の二重鎖を形成するステップとを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記第1波長の光に対する前記第1の光学的に検出可能な標識の応答に基づいて前記核酸の位置を求めるステップは、CCDカメラで核酸の画像を観察し、画像を記録するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
核酸の画像を観察するステップは、前記第1波長の光をフィルタリングして除去するステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第2の光学的に検出可能な標識を含む前記ヌクレオチドはシアニン−5蛍光体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
第2波長の光は635nmである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
内部全反射を利用して第2波長の光に前記核酸を暴露するステップは、内部全反射対物レンズを通して前記第2波長の光を通過させるステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の光学的に検出可能な標識を除去または不活性化するステップは、
TCEPを使用して標識を除去するステップと、
ヨードアセトアミドでキャップを形成するステップとを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
核酸を配列決定する方法であって、
(a)表面に核酸を付着させるステップと、
(b)前記表面を第1波長の光に暴露するステップと、
(c)前記第1波長の光に応答して、前記表面の画像に自動的に焦点を合わせるステップと、
(d)ポリメラーゼおよび第1の光学的に検出可能な標識を含むヌクレオチドに前記核酸を暴露するステップと、
(e)組み込まれなかったヌクレオチドを除去するステップと、
(f)第2波長の光に前記核酸を暴露するステップと、
(g)前記第2波長の光に対する前記第1の光学的に検出可能な標識の応答に基づいて、前記第1の光学的に検出可能な標識の位置を求めるステップと、
(h)前記第1の光学的に検出可能な標識を除去または不活性化するステップと、
(i)第2およびそれ以降のヌクレオチドについて、ステップ(d)から(h)を繰り返すステップとを含む、方法。
【請求項51】
表面に核酸を付着させるステップは、
前記表面をポリチミル化するステップと、
ターミナルトランスフェラーゼを使用して核酸をポリアデニル化するステップと、
ポリアデニル化した核酸および前記ポリチミル化した表面の二重鎖を形成するステップとを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の光学的に検出可能な標識はシアニン−5蛍光体を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
第2波長の光は635nmである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の光学的に検出可能な標識を除去または不活性化するステップは、
TCEPを使用して標識を除去するステップと、
ヨードアセトアミドでキャップを形成するステップとを含む、請求項50に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−520975(P2008−520975A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541422(P2007−541422)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/041264
【国際公開番号】WO2006/055521
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(506390878)ヘリコス バイオサイエンシーズ コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】