説明

X線不透過ガラス、その製造方法、および、その使用

本発明は、SiO2およびYb23系に属し、必要ならば、その特性を調節するために添加剤を含有することができるX線不透過ガラスに関する。前記ガラスの製造方法およびその使用、特に歯科用ガラスの形態での使用もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線不透過ガラス、その製造方法、および、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用プラスチック組成物は、歯科分野における歯科修復用としてますます多用されてきている。これらの歯科用プラスチック組成物は、通常、有機樹脂のマトリックスおよび各種の無機フィラーを含む。有機フィラーは、主として、ガラス粉末、(ガラス)セラミックス、石英もしくは他の結晶物質(例えば、YbF3)、ゾル−ゲル物質またはアエロジル(Aerosil)を含む。
【0003】
歯科用プラスチック組成物の使用には、アマルガムに伴う有害な副作用を避けるとともに、美的な印象を向上させる意図がある。歯科用プラスチック組成物はその選択に応じて、異なる歯科修復手段に使用され、例えば、歯の充填物に使用され、またクラウン、ブリッジおよびインレーなどの固定用部材にも使用される。
【0004】
充填材はそれ自体、硬化中の樹脂マトリックスの重合反応によって引き起こされる収縮が最小になるように考慮されている。例えば、歯壁と充填物間の接着が強いと、重合による過剰な収縮は歯壁の破壊に繋がるおそれがある。接着が不十分であると、重合による過剰な収縮により、歯壁と充填物との間に、周辺隙間が形成され、二次う蝕を促進するおそれがある。さらに、フィラーには、特定の物理的および化学的要求がある。
【0005】
充填材を処理して可能な限り微細な粉末を生成することは可能なはずである。粉末が微細であればあるほど、充填物はより均一な外観を呈するようになる。同時に、充填物の研磨性が改善され、これにより、攻撃を受ける表面積が減少するだけでなく、耐摩耗性が向上し、ひいては、充填物の長寿命化に繋がる。粉末を良好に処理するためには、粉末が凝集しないことも要望される。この望ましくない現象は、特に、ゾル−ゲル法により製造された充填材で起こる。
【0006】
また、フィラーが官能性シランで被覆されていると、歯科用組成物の配合が容易になり、機械的特性が改善されるので、有利である。
【0007】
さらに、歯科用プラスチック組成物の、したがってまたフィラーの屈折率および色は、できる限り周りの健康な歯の物質と見分けがつかないよう、可能な限り天然の歯の物質と合致させるべきである。可能な限り微細に粉砕されたフィラーの粒子径もまた、この美的基準に一定の役割を演じる。
【0008】
歯科修復手段が温度変化に十分に耐えられることを保証するために、使用範囲、すなわち、通常、−30℃〜+70℃の範囲で、歯科用プラスチック組成物の熱膨張が、天然の歯の物質に合致させることもまた重要である。温度変化により引き起こされる過度に高い応力も同様に、歯科用プラスチック組成物と周りの歯の物質との間に隙間を形成し、これが、次には、二次う蝕の好ましい攻撃点を形成するおそれがある。樹脂マトリックスの高い熱膨張を補償するために、一般に、可能な限り最小の熱膨張係数を有するフィラーが使用される。
【0009】
酸、アルカリおよび水に対するフィラーの良好な耐化学薬品性や、例えば咀嚼によって引き起こされる動きの間などの負荷時における良好な機械的安定性もまた、歯科修復手段の耐用年数の長期化に貢献することができる。
【0010】
さらに、患者の治療においては、歯科修復手段をX線像で観察できることが必須である。樹脂マトリックス自身は、一般に、X線像で見えないため、フィラーが必要なX線の吸収を担わなければならない。X線を十分に吸収するこの種のフィラーは、X線不透過として記載されている。フィラーの構成成分、例えばX線不透過剤として知られているある種のガラス成分または添加物は、一般に、X線不透過に関与する。標準的なX線不透過剤は、YbF3であり、これは粉砕された結晶の形態でフィラーに添加することができる。
【0011】
歯科用プラスチック組成物は、使用の際、通常、カートリッジから窩洞へと注入され、窩洞内で成型されるため、未硬化状態では、チクソトロピー性を示すと一般に考えられている。これは、圧力が加えられると粘度は低下するが、圧力が加えられないときには寸法的に安定であることを意味する。
【0012】
歯科用プラスチック組成物では、歯科用セメントと歯科用コンポジットの区別もなされなければならない。ガラスアイオノマーセメントとしても知られる歯科用セメントの場合、フィラーと樹脂マトリックスとの化学反応によって歯科用組成物が硬化し、したがって歯科用組成物の硬化特性と、したがってその作業性は、フィラーの反応性に影響される。このため、例えばUV光を照射することによって、ラジカルによる表面硬化を先行させる硬化方法がしばしば使用される。コンポジットは、充填コンポジットとも呼ばれるが、対照的に、硬化特性が樹脂マトリックス自身の構成成分で決まり、フィラーの化学反応はそのような硬化に対して悪影響を及ぼすことが多いため、できるだけ化学的に不活性なフィラーを含有する。
【0013】
ガラスは、種々の組成を有するために、幅広い特性を有する材料の一分類であるので、歯科用組成物のフィラーとしてしばしば使用される。この種のガラスは、一般に、歯科用ガラスとして知られている。歯科用セメントにおいて使用する反応性歯科用ガラスは、例えば、独国特許出願公開第100 63 939 A1号明細書により、知られている。
【0014】
コンポジットのフィラーとして使用される化学的に不活性な歯科用ガラスは、独国特許出願公開第198 49 388 A1号明細書の主題である。そこで提案されているガラスは、Al23、ZnO、FおよびNa2Oをかなりの割合で含有しなければならず、これは耐化学薬品性に関しては逆効果である。さらに、F、ZnOおよびNa2Oの含有により、樹脂マトリックスと反応する可能性があり、これが、次には重合特性に影響を及ぼすおそれがある。独国特許出願公開第198 49 388 A1号明細書のベースとなるガラスには、X線不透過効果を得るために、ZrO2もさらなる構成成分として存在していなければならない。この種のフィラーは、特に最近のエポキシベースの歯科用組成物に対し過剰な反応性を有するため、速過ぎる制御不能な硬化が起こるおそれがある。
【0015】
独国特許出願公開第101 00 680 A1号明細書には、少なくとも2成分を含む歯科用ガラスが開示されている。これらの2成分ガラス系には、X線不透過性に影響する、SiO2、および、HfO2、TaO5、ZrO2またはLa23が高濃度に含まれている。しかしながら、SiO2およびHfO2、または、SiO2およびTa25を含む2成分ガラスのみが、溶融法で製造されており、SiO2と、ZrO2および/またはLa23とを含むガラスはゾル−ゲル法により得られている。ゾル−ゲル法は、例えばノガミ(Nogami)によりジャーナル・オブ・ノン−クリスタライン・ソリッズ(Journal of Non-Crystalline Solids)、第96巻(1985年)p.415〜423に記載されている。経済性に関しては、歯科用ガラスを比較的大量に生産するには価格が高過ぎるという欠点を有する。また、ゾル−ゲル法によって製造されたガラスは、一般に、大量の水を含み、それらをさらに加工して粉末を生成するのを困難にしている。特に、ゾル−ゲルガラス粉末は、しばしば凝集しやすい。さらに、独国特許出願公開第101 00 680 A1号明細書は、主成分のSiO2に加えて、X線不透過成分のZrO2と、さらなる構成成分のLa23、HfO2、Y23、TiO2およびAl23をも含む、三成分ガラス系を提案している。SiO2、La23およびB23を含む三成分系もまた記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの歯科用ガラスは、そのX線不透過性、加工特性、屈折率および製法の点で、あらゆる用途の歯科用ガラスとして必ずしも最適ではないという欠点を有している。したがって、本発明の目的は、コンポジット用の比較的不活性なフィラーとして適しており、特に、比較的不活性であるため、エポキシ樹脂をベースとする最新世代のフィラーの長期安定性に寄与する、X線不透過ガラスを提供することにある。これらのガラスにより、また、高価な結晶化したX線不透過剤を使用せず、アクリレートをベースとする充填用セメントを使用しない、歯科用組成物の安価な製造が可能となる。本発明のさらなる目的は、上記ガラスの経済的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的は、独立請求項によって達成される。好ましい実施形態は従属請求項により明らかになるであろう。本発明のガラスは、60〜98モル%のSiO2および0.1〜40モル%のYb23を含有し、Al23および/またはB23は全く含有しない。Yb23を含有させることによって、驚くほど良好なX線不透過性が達成され、そして、これらのガラスの屈折率が天然の歯の外観に極めて良く適合しうることが判った。本発明によるガラスは、ZrO2を40モル%以下含有してもよい。
【0018】
本発明によるガラスは、60〜98モル%のSiO2および0.1〜40モル%のYb23に加えて、0.1〜40モル%のZrO2をさらに含有することが好ましい。この第3成分を加えることによって、ガラスが安定化し、結晶化が起き難くなる。ガラスの結晶化は、それがとりわけ光学特性に影響し、充填材を天然組成物に適合させることが不可能ではないにしても、困難になることから、避けなければならない。
【0019】
さらに別の好ましい実施形態においては、本発明のガラスは、また、70〜98モル%のSiO2および0.5〜15モル%のYb23に加えて、0.5〜15モル%のZrO2を含有する。特に好ましい範囲は、70〜98モル%のSiO2、1〜15モル%のYb23、および、さらに1〜15モル%のZrO2である。
【0020】
特に好ましい実施形態では、本発明のガラスは、さらなる成分として、WO3、La23、Nb25、HfO2、Ta25、Gd23、Lu23、Sc23、Y23をそれぞれ40モル%以下の量で、および/または、F2を5モル%以下の量で含有する。F2は、YbF3をバッチに加えることによって含有させることができるが、このことから、当業者は、フッ素がガス成分の形態でガラス中に存在していないことを知るであろう。これらの重元素酸化物をさらに混合することによって、本発明のガラスのX線吸収スペクトル(個々の成分のX線吸収スペクトルを重ね合わせることによって作成される)を、異なるX線源の発光スペクトルに適合させることができる。この方法により、患者の検査に必要な照射線量を確実に低減することが可能になる。
【0021】
ガラスの高周波法(下記を参照)による溶融特性を改善するために、本発明のガラスは、アルカリ金属酸化物、LiO2、Na2Oおよび/またはK2Oをそれぞれ10モル%以下で含有してもよい。但し、その合計含量は最大で10モル%である。
【0022】
好ましい一実施形態では、本発明のガラスは、アルカリ土類金属の酸化物、MgO、CaO、SrO、BaOおよび/またはZnOをそれぞれ10モル%以下の量で含有する。但し、その合計含量は同様に最大で10モル%である。アルカリ土類金属の酸化物は、溶融特性およびガラス生成を促進し、結晶化傾向を低下させる。さらに、ZnO、SrOおよびBaOは、抗菌作用を有するとともに、X線不透過性を向上させることができる。
【0023】
本発明のガラスは、SiO2−Yb23マトリックス中にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸化物を含有するにもかかわらず、このガラスの耐化学薬品性は驚くほど良好であり、したがって、樹脂マトリックスとともに非反応性であり、それゆえ、歯科用組成物全体の耐用年数が非常に長寿命化する可能性が高いことが判った。もちろん、通常の酸化物を加えることによって、ガラスの色彩的外観を適合させることも可能である。
【0024】
結晶化傾向や溶融特性などのガラス特性を改善することができる追加成分として、本発明のガラスが、TiO2、GeO2および/またはP25をそれぞれ10モル%以下で、合計含量で最大15モル%以下で含有することができることが示されている。
【0025】
成分の数を制限することにより、不純物によるガラスの汚染の可能性が低減される。したがって、本発明の特定の用途のためのガラスは、上記酸化物成分を最大でも5種のみ含有することが好ましい場合がある。酸化物成分の選択を、最大4種まで、特に好ましくは最大3種まで制限することにより、さらに高純度とすることができる。
【0026】
本発明は、また、前記ガラスから製造されたガラス粉末を含む。ガラス粉末は、知られている方法、例えば、独国特許発明第41 00 604 C1号明細書に記載されているような方法で製造される。本発明のガラス粉末は、平均粒子径が20μm以下であることが好ましい。本発明では当然ながらより微細な粒子径も包含されるものの、0.2μmの平均粒子径を下限とすることができる。上記ガラス粉末は、フィラーとして本発明のガラスを使用するための出発物質として供される。
【0027】
好ましい一実施形態では、ガラス粉末の表面を従来の方法によりシラン化する。シラン化により、歯科用組成物のプラスチックマトリックスに対する無機フィラーの結合が改善される。
【0028】
本発明のガラスは、非常に高い融点を有しており、従来の溶融法では製造することができない。したがって、本発明の主題は、このガラスに使用できる溶融法を提供することも包含するものである。ガラスを製造するための溶融法は、一般に、要求にしたがって原料成分の混合、前処理、精製などを行うバッチ調製工程、調製された原料成分を溶融容器に導入するバッチ仕込み工程、および、実際の溶融を含む。他の方法、例えばゾル−ゲル法などは、比較的大量のガラスの製造には経済性の点から使用できない。さらに、特にSiO2およびZrO2を含み、ゾル−ゲル法により製造されたガラスの場合には、特に、粉末が凝集する危険がある。本発明の1つの方法は、高温溶融である。ガラス溶融温度は、この場合、少なくとも1500℃、好ましくは少なくとも1600℃である。
【0029】
高温溶融では、その間の温度のために、溶融容器に使用される材料に対し、特別な要求が課せられる。したがって、1つの好ましい実施形態においては、溶融容器の少なくとも一部が、固体イリジウムおよび/またはイリジウム高含有合金を含む。少なくとも95%のイリジウム含量が、この種の合金に適していることが判った。イリジウムは酸化され易いため、そのような成分を含む装置は、適切なシールドガスで少なくとも部分的にパージされなければならない。高温溶融中の溶融容器の加熱は、従来法、例えば、約8kHz〜約12kHzの周波数による誘導加熱により行われる。この種の方法とこの方法を実施するために使用される装置は、DE第103 48 466号明細書(未公開である)に、他のガラス系について広く記載されており、その開示内容は全て、本明細書に援用されるものとする。
【0030】
他の好ましい方法においては、溶融操作における高温を、少なくとも部分的に既に液化しているガラスバッチに高周波交流電磁場を導入することによって発生させる。周波数は、通常、50kHz〜2MHzの範囲である。この方法は、高周波溶融として知られている。この種の方法と対応する装置は、例えば、国際公開第01/14264 A1号パンフレット、国際公開第01/14265 A1号パンフレットおよび国際公開第03/031355 A1号パンフレットに詳しく記載されている。これらの文献に開示された内容は全て、これによって同様に、本明細書に援用されるものとする。しかしながら、高周波溶融のメカニズムが効果を発揮するのは、ある温度より高いときのみであることから、交流場がスイッチオンされる前に、従来の加熱法、例えば、バーナーの使用による加熱を行うのが通例である。
【0031】
原理的には、高周波溶融によって、所望するいかなるレベルの温度も達成することができる。2500℃までは、商業的に入手可能な実験室装置で既に到達している。さらに高い温度も、適切な変更を加えることによって実現可能である。酸素イオン伝導体である純物質のYb23およびZrO2は、交流電磁場に良好に結合することができることが判っているので、高温溶融を使用することが好ましい。非伝導性のSiO2などの他の物質が混合されると、伝導性は濃度の増加とともに、溶融物が結合しなくなるまで減少する。この組成点は正確には決められず、装置変数および溶融物の温度分布時間曲線に依存する。SiO2高含有組成物をも高周波照射を利用して溶融するためには、少量のアルカリ金属酸化物、好ましくはLi2OおよびNa2Oを10モル%以下まで加えることが適切であることが判った。低濃度でも、これらの酸化物は伝導性を大きく増大させ、したがって高周波溶融性を著しく向上させる。
【0032】
高周波溶融における交流電磁場の周波数は、溶融する体積に依存する。高周波溶融では、50kHz〜2MHzが好ましい。これに代えて、プラズマ溶融、レーザー溶融または反射炉技術(mirror furnace technology)などの方法を使用することも可能である。
【0033】
ここに記載した高温溶融に代わる方法としては、また、気体前駆体を使用する火炎加水分解法、通常、粉末を前駆体として使用するプラズマスプレー法が挙げられる。
【0034】
本発明のガラスは、主に高融点原料を含むが、これらはSiO2、Yb23およびZrO2の場合と同様に、納品状態では比較的粗い粒子であって、不活性である。これらは、通常の方法、すなわち、粉末状の商業的に入手可能な出発酸化物を混合し、溶融容器に仕込むことによって、溶融することができる。出発酸化物が不活性でかつ溶融温度が高いうえに、生成されるガラスの粘度が高いために、運動学的遅延が溶融プロセスの進行を非常に遅らせるおそれがある。言い換えると、たとえ温度が、原理的に所望のガラス組成物を出発成分の共晶点近傍で溶融するのに十分な高さであったとしても、出発酸化物そのものに対しては十分な温度ではないであろう。したがって、この場合、存在するのは大量の固体物質であり、これらは非常にゆっくりとした固体−固体反応過程により、徐々に互いに反応するだけである。この場合、物質移動が比較的長い距離にわたって生起されなければならないため、ガラスの生成は緩やかにしか進まない。ガラスの製造が経済的に成り立つだけの反応速度を達成するためには、温度を熱力学的に必要なレベルより十分に高くしなければならない。このことは、しかしながら、エネルギー経済および/または装置の面での理由から、不利および/または不可能な場合が少なくない。さらに、先の粒子径の寸法に対応する粒子径範囲では、溶融物の濃度は不均一であり、これは、たとえ撹拌してもゆっくりとしか除くことができないものである。
【0035】
本発明のガラスの原料成分の少なくとも1つがナノスケールまたは水溶性の形態であれば、溶融操作をより経済的に、すなわち、より少ないエネルギーでかつより短時間に、行うことができることが判った。ナノスケールという用語は、非常に小さい粒子径、通常、10nm〜200nmの粉末を意味するものと理解されるべきである。少なくとも1つのナノスケールの原料成分は、他の、場合により粉砕された原料成分とともに、バッチとして溶融容器に仕込むことができる。
【0036】
しかしながら、原料成分は、後述するように、バッチ調製で前処理して、未処理体または未処理粉末として知られるものを生成することが好ましい。原料成分を調製して未処理体を生成すると、バッチ仕込みに未処理体が使用されなかった場合と比較して、拡散距離が1桁超小さくなるので、溶融容器に仕込み中の固相反応が著しく促進される。また、ナノスケールの原料成分は、反応表面積の未反応体積に対する比がより好ましい値を有している。反応は極めて速く進み、同等の反応速度を得るには、約500℃〜700℃低い温度を選択することができる。その結果、あるガラス組成物は、工業規模で初めて実際に溶融することが可能となる。その上、この場合、上記の濃度の不均一性はμmの範囲ではなく、数nmの範囲(例えば約10nm)となり、その結果、均一にするための撹拌工程の速度も効率も大幅に増大する。
【0037】
上記未処理体は様々な方法で製造することができる。まず初めに、商業的に入手可能な溶解槽(原理的には、高速回転の撹拌機構、高剪断力の特別な撹拌機および温度制御装置を示す)で、溶解性成分を、所定量の溶剤、例えば水に溶解することが好ましい。その後、激しく撹拌しながら、ナノスケール成分、例えばSiO2を、粉末または予め調製しておいた懸濁液の形態で添加する。その後、他の、好ましくはナノスケールの、あるいは、大きな結晶の物質を添加する。温度は、できるだけ低く保つことが有利である。反応熱が発生するなら、冷却装置で放散させることができる。成分の分布をできるだけ均一にするための撹拌速度および撹拌時間は、得られる物質の化学組成のタイプおよび粒子径に依存する。易流動性からペースト状までの懸濁液が得られ、これを適切なサイズの型に注入および/または展延する。
【0038】
その後、型内の物質を乾燥させることができる。この目的には、標準的な乾燥機またはチャンバー炉が適している。しかしながら、乾燥はマイクロウェーブ乾燥装置で行うことが特に好ましく、この場合、100℃〜250℃の温度範囲を選択することが好ましい。これより高い温度は理論的には可能であるが、ケーキングを起こすおそれがある。乾燥にマイクロウェーブ装置を使用することによって、非常に短い乾燥時間で十分な量の乾燥未処理体が得られることが判った。さらに、通常、表面に拡散してくる溶媒中のエントレインメント効果によって引き起こされる偏析が回避される。非常に驚いたことに、マイクロウェーブ乾燥では、気体の取り込みがより少なく、したがって未処理体および/または未処理体粉末の溶融中に生じる望ましくない気泡がより少なくなることも確認された。
【0039】
この方法の好ましい構成では、懸濁液が注入され、未処理体の少なくとも一部が乾燥される型は、非濡れ性材料を含む。これに関して、テフロンを使用することが好ましい。この材料を選択した結果、乾燥温度の上限が約250℃〜300℃に制限される。さらに、テフロンは、乾燥される物質に対して可能な限り化学的に不活性である。これにより汚染が回避される。非濡れ性材料を型に使用すると、未処理体を非常に良好に型から取り出すことができることが判った。ガラスまたは金属製の乾燥容器では、未処理体の所望の高反応性によって型と反応し、これは、一方で不純物の混入をもたらし、他方では未処理体と型の間で固体ケーキングを発生させ、未処理体を型から取り出すことができなくなるか、容易には取り出すことができなくなる。
【0040】
乾燥後、未処理体は、単一の物体として、粗い破片として、または、粉砕した形態で、溶融容器に仕込まれ、バッチの一部を形成する。
【0041】
しかしながら、バッチの均一性をさらに向上させるために、未処理体を再度粉砕し、分散させた後、これまでに記載した未処理体製造の全工程を繰り返すことができる。その後に再度調製された未処理体は、成形体として知られている。粉砕中に、以前の溶融物からのカレットを再利用して加えることも可能である。
【0042】
未処理体および/または成形体を製造する際には、アルカリ金属の水酸化物を加えること、したがって塩基性媒体中で、すなわち、一般にアルカリ金属アルカリ液を使用して処理することが、一般に有利である。この場合、ナノスケールのSiO2および/または残りの固体状ナノスケール物質の溶解および再凝集過程と、水溶性化合物の水酸化物としての析出によって、成分の混合が実質的に単分子レベルで行われる。このようにして元の粒子界面が言わば消失し、焼結および溶融が容易で、かつ、良好な硬化特性を有する、非常に均質な未処理体が得られる。しかしながら、その結果、ガラスはアルカリ金属フリーではなくなる。一連のプロセスが大きく向上したことの利益が、一般的にはあまり重要でない耐化学薬品性の低下を補填するかどうかは、ユーザが状況にしたがって判断しなければならない。アルカリ金属酸化物の使用は、実際の溶融操作が高周波溶融で行われる場合、アルカリ金属酸化物が上記のように溶融物の結合容量を増大させることができることから、特に有利である。
【0043】
アルカリ金属酸化物に代えて、アンモニア水溶液を使用することも可能である。しかしながら、pHはアルカリ金属酸化物の場合ほど塩基性が強くなく、この場合、その後の前記反応はあまり顕著な形では生じない。さらに、窒素がガラス中に、例えば窒化物の形で残留するおそれがある。これらの量がたとえ少量でも、変色を引き起こすなどの不都合を生じるかどうか、特定の用途の個々の場合について考慮する必要がある。
【0044】
未処理体または成形体は、溶融容器に直接仕込まずに、焼結させることも可能である。これは、例えばチャンバー炉、トンネル炉または回転管型炉などで、700℃〜1600℃の温度で行うことができるが、未処理体または成形体が圧縮され、焼結体が形成されるという利点がある。焼結体が溶融に供されると、これは溶融物の熱伝導性を高め、それゆえ溶融特性が向上するという利点を有する。さらに、焼結により体積が小さくなり、その結果、貯蔵スペースが少なくて済み、貯蔵される材料の化学安定性も向上する。さらに、焼結体に含まれるガスは少なく、バッチの仕込みで使用する際のダストの発生も、粉末を使用する場合に比べて少ない。バッチが炭酸塩および/または硝酸塩を含む場合、これらの成分は加熱されるとガスを放出する傾向があるので、焼結を行うことが有利である。しかしながら、特に硝酸塩は、溶融容器と反応するおそれがある。未処理体または成形体を焼結すると、ガスの放出は焼結段階という早い時期で起きるため、バッチ中のガス放出成分の割合が低下し、焼結体は未処理体または成形体より長時間保存することが可能となる。これにより、生産技術における利益が生じる。さらに、バッチの仕込みとして焼結体を使用するなら、それらの予備反応は焼結過程で既に終了しているから、非常に高温に達し、一般に高価な溶融容器は、そのような予備反応を免れることができる。その上、溶融容器はこのようにして上記有害物質、例えば硝酸塩から保護される。その結果、こうしてより安価な溶融容器の使用が可能となる。
【0045】
この方法の特に好ましい一構成においては、焼結は、溶融容器へのバッチ仕込みの直前に行われる。これに対応する溶融設備では、焼結装置は溶融装置の直前に置かれる。こうして、溶融装置からの廃熱は、焼結操作工程の未処理体または成形体を反応温度にまで予熱するのに使用され、したがって、溶融容器へのバッチ仕込み中に、焼結体が保有する熱が失われることはない。
【0046】
本発明のガラスは歯科用ガラスとして使用することができる。それは、歯科修復用コンポジットのフィラーとして使用することが好ましく、実質上、化学的に不活性なフィラーが要求されるエポキシ樹脂ベースのフィラーに使用されることが特に好ましい。本発明のガラスが、歯科用組成物のX線不透過剤として使用されることも本発明の範囲に含まれる。このガラスは、高価な結晶性X線不透過剤、例えばYbF3などの代替として適している。
【0047】
本発明のガラスは、その光学特性により、光学的用途にも使用することができる。それは、実質上、化学的に不活性であるので、ディスプレー技術の用途に適しており、太陽電池の基材ガラスとして、および、生化学的用途、特に分子スクリーニング法用の基材ガラスとして適している。本発明のガラスは、また、その高い熱安定性により、ランプ用ガラス、特にハロゲンランプに使用されるガラスとしても適している。さらに、本発明のガラスは、略してPVD法として知られる物理蒸着法のターゲット物質として使用することができる。PVD法の一例を挙げれば、電子ビーム物理蒸着がある。この場合、本発明のガラスは真空容器中のターゲットとして電子ビームが照射され、それにより蒸発する。蒸気は、基材上に堆積され、基材を被覆する。
【0048】
本発明のガラスは、ガラス繊維の出発物質としても使用することができる。その優れた耐化学薬品性により、これらのガラス繊維を複合材の補強材および/またはコンクリートの補強材として使用することが、特に推奨される適用分野である。
【実施例】
【0049】
本発明のガラスの実施例を表1に示す。実施例38は、独国特許出願公開第101 00 680 A1号明細書で知られるガラスであり、その文献ではゾル−ゲル法により製造されているが、ここでは高温溶融により製造される。実施例37は、同様に、成分としてSiO2およびZrO2を含む2成分系ガラスであり、高温溶融により製造されている。実施例37および38は、本発明のガラス1〜36の比較例である。
【0050】
ガラスを製造するため、未処理体または焼結体を溶融容器に仕込んだ。溶融容器としてイリジウムを主体とするるつぼを使用し、誘導で供給される電気エネルギーにより加熱した。イリジウムを主体とするるつぼは、取り込んだ電気エネルギーを、輻射熱および直接の熱伝導により、仕込まれたバッチおよび/または溶融物に放出する。溶融温度は最高約2300℃にまで到達した。
【0051】
その後の加工のため、液体ガラスを溶融物から取り出し、ガラスの塊として固化させた。冷却したガラスの塊を、独国特許発明第41 00 604 C1号明細書に記載された方法で粉砕し、平均粒子径が最大で10μmのガラス粉末を生成した。ガラスの特性を、粉末に粉砕されていないガラスの塊の状態で測定した。ガラス1〜36はいずれも、酸、アルカリおよび水に対し優れた耐化学薬品性を有しており、可能な限り化学的に不活性である。本発明の各種ガラスの屈折率ndおよび密度Dを同様に表1に示す。
【0052】
比較例37および38は、SiO2およびZrO2のみを含有し、屈折率ndはそれぞれ1.498および1.513であり、密度Dはそれぞれ2.297g/cm3および2.357g/cm3である。
【0053】
比較すると、実施例9では、比較例37のZrO2含量の2モル%が、Yb23に置換された。この置換によって、屈折率には非常にわずかな変化しか起きていないが、密度は約6%増加している。密度はX線不透過性と相関があるので、高密度は、同時に、高いX線不透過性を意味し、これは歯科用組成物中のフィラーとして使用されるガラスの前提条件である。したがって、実施例9のガラスは、従来技術と比べて、光学特性に大きな変化はなく、X線不透過性が向上している。
【0054】
実施例8では、比較例37と比較して、SiO2含量が1.8モル%減少し、ZrO2含量が3.2モル%減少している一方、このガラスはYb23を5モル%含有している。その結果、比較例37と比べると、屈折率ではわずかに約1.7%の増加が認められただけであるが、密度は約17%増加している。したがって、実施例8のガラスもまた、本発明の目的に十分に適っている。
【0055】
ある実施例のガラスにおける密度の増加率と、その実施例のガラスの屈折率の増加率(いずれも比較例37に対する)との比を、以下、「不透過因子」F0と称する。本発明のガラスにおいては、F0が高くなればなるほど、一般に、得られる屈折率の変化と密度の増加との比はより好ましいものとなる。
【0056】
実施例23〜28は、SiO2含量を92モル%に減少させ、ZrO2含量を3モル%に減少させ、Yb23の存在下で、さらなる酸化物を4.9モル%含有させると、同様に、密度が増加することを示している。しかしながら、Nb25およびTa25の場合、屈折率も大きく増加する。不透過因子が17.0である実施例9は、屈折率の増加と密度の増加との間に極めて良好な調和が得られていることを示している。その上、実施例9は、実施例23〜28(Yb23含量が実施例9より相当に少なく、F0値は2.2〜13.0である)と比較することによって、Yb23がガラス構成成分として特に、屈折率を過剰に増加させることなく、密度を効率的に増加させ、したがってX線不透過性を効率的に増加させることを示している。
【0057】
ガラス組成物中にYb23が存在することの効果をさらに明らかにするために、実施例1および2のガラスを溶融した。これらはSiO2と比較的高含量のYb23のみを含んでいる。Yb23含量が18モル%である実施例1では、比較例37と比べて、屈折率が8.6%増加し、一方密度は64.4%上昇している。実施例2のようにYb23含量が25モル%のガラスは、比較例37のガラスより、屈折率では12.7%の増加であるが、密度では89.7%高くなる。上記実施例を実施例3および4と比較すると、ガラスの密度を可能な限り最大限増大させ、屈折率の増大を可能な限り最小限に抑える目的のためには、ZrO2よりYb23が適しているということができる。実施例3では、実施例1の半分の量のYb23がZrO2で置換された。得られたガラス3は、比較例37と比べて、ndが7.5%増加しただけであり、このことは本質的により好ましいことではあるが、密度の増加も、比較例37と比べて、わずかに41.4%である。これによって実施例3ではF0値は5.6となり、実施例1のF0値7.5よりかなり低い。同様に、実施例4では、実施例2の半分の量のYb23がZrOで置換されている。実施例2ではF0値が7.1であるが、実施例4ではF0値がわずかに5.2となっている。もちろん、屈折率の絶対的大きさも一定の役割を果たすものであるから、F0値のみが、本発明のガラスの適用可能な分野に対して、唯一の決定因子であるということはない。
【0058】
ある範囲の用途や条件に最も適した低屈折率で高X線不透過性のガラスを得るために、本発明のガラスの他の構成成分の適切な組み合わせも使用することができるが、このことは特に実施例29〜34によって示される。92モル%のSiO2、2モル%のYb23および3モル%のZrO2に加えて、これらのガラスはそれぞれもう1種の前述した酸化物を含有する。これらのガラスの屈折率は1.515〜1.553であって、密度は2.507g/cm3〜2.937g/cm3であり、その結果、F0値は3.5〜11.5となる。
【0059】
実施例35および36は、知られているX線不透過剤と同様に、フッ化物を含有するガラスである。残りの実施例との比較を可能にするため、La26およびYb26に対し等価の合成値が与えられている。実施例35は、実施例29〜34の追加の酸化物成分をLa26(等価合成値)で置換したものである。比較例37と比べると、この実施例は、屈折率が約1.4%増加し、一方密度は13.4%程度増加している。実施例35のF0はしたがって約9.8である。
【0060】
実施例36では、実施例9のYb23含量がYb26(等価合成値)で置換された。このガラスの屈折率は、比較例37のそれよりわずかに0.2%大きく、一方密度は5.3%高い。これにより、F0因子は約22.8となる。したがって、本発明のガラスにフッ素化イッテルビウムを使用することは、歯科修復用コンポジットのフィラーとして使用する場合において、ガラスの光学特性に高い要求が課せられるときに、特に有利である。
【0061】
全ての実施例は、また、屈折率および密度の設定に加え、上記のようにX線吸収バンドに関し構成成分を調整することによって、ガラスをX線源に適合させることができることを示している。
【0062】
従来技術と比較して、本発明のガラスは、とりわけB23および/またはAl23を含まないために、可能な限り化学的に不活性である。ガラスはX線不透過性が向上し、その屈折率は1.498付近の適当な範囲内で、意図する用途に適合させることができる。その結果、特に歯科用組成物のフィラーとして有用であるが、しかしながら、とりわけ純度や、また耐化学薬品性および熱安定性に高い要求を課す他の用途にもまた有用である。このガラスは、本発明の方法により、大きな工業規模で低コストで製造することができる。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の組成:
SiO2 60〜98モル%
Yb23 0.1〜40モル%
ZrO2 0〜40モル%
を有することを特徴とするX線不透過ガラス。
【請求項2】
下記の組成:
SiO2 60〜98モル%
Yb23 0.1〜40モル%
ZrO2 0.1〜40モル%
を有することを特徴とする請求項1に記載のX線不透過ガラス。
【請求項3】
下記の組成:
SiO2 70〜98モル%
Yb23 0.5〜15モル%
ZrO2 0.5〜15モル%
を有することを特徴とする請求項1または2に記載のX線不透過ガラス。
【請求項4】
下記の組成:
SiO2 70〜98モル%
Yb23 1〜15モル%
ZrO2 1〜15モル%
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項5】
さらに下記の含量:
WO3 0〜40モル%
La23 0〜40モル%
Nb25 0〜40モル%
HfO2 0〜40モル%
Ta25 0〜40モル%
Gd23 0〜40モル%
Lu23 0〜40モル%
Sc23 0〜40モル%
23 0〜40モル%
2 0〜5モル%
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項6】
さらに下記の含量:
Li2O 0〜<10モル%
Na2O 0〜<10モル%
2O 0〜<10モル%
但し、ΣLi2O+Na2O+K2O 0〜<10モル%
を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項7】
さらに下記の含量:
MgO 0〜10モル%
CaO 0〜10モル%
SrO 0〜10モル%
BaO 0〜10モル%
ZnO 0〜10モル%
但し、ΣMgO+CaO+SrO+BaO 0〜<10モル%
を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項8】
さらに下記の含量:
TiO2 0〜10モル%
GeO2 0〜10モル%
25 0〜10モル%
但し、ΣTiO2+GeO2+P25 0〜<15モル%
を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項9】
5種以下の酸化物成分を含む組成を有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項10】
4種以下の酸化物成分を含む組成を有することを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項11】
3種以下の酸化物成分を含む組成を有することを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載のX線不透過ガラス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成を有することを特徴とする平均粒子径が20μm以下のガラス粉末。
【請求項13】
その表面がシラン化処理されていることを特徴とする請求項12に記載のガラス粉末。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成を有するガラスの製造方法であって、ガラスの原料成分からのバッチの調製、バッチの仕込みおよび溶融容器での溶融を含む方法において、溶融温度が少なくとも1500℃、特に好ましくは少なくとも1600℃であることを特徴とする方法。
【請求項15】
溶融容器の少なくとも一部が、固体イリジウムおよび/またはイリジウム高含有合金を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
溶融が、高周波照射により行われることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
高周波の周波数が、50kHz〜2MHzであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ガラスの少なくとも1種の原料成分が、バッチ仕込み工程の前に、ナノスケールの粉末の形態であることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
バッチ調製において、少なくとも1種の原料成分がナノスケール粉末の形態であり、これを残りの原料成分とともに溶媒に分散および/または溶解し、型に導入した後、乾燥して未処理体を生成することを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
溶解および/または分散され、型に導入された原料成分の乾燥は、マイクロ波の作用により行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
型の少なくとも一部は、非濡れ性材料、好ましくはテフロンを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
未処理体は、単一の物体、または、粉砕した形態でバッチとして仕込まれることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
未処理体を粉砕し、溶媒に溶解および/または分散し、乾燥して成形体を生成することを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
溶媒として、アルカリ金属アルカリ液またはアンモニア水を使用することを特徴とする請求項19または23に記載の方法。
【請求項25】
未処理体および/または成形体を焼結することを特徴とする請求項19〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
溶融の廃熱の少なくとも一部が、焼結に使用されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、歯科用ガラスとしての使用。
【請求項28】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、歯科修復用コンポジットのフィラーとしての使用。
【請求項29】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、エポキシ樹脂をベースとする歯科修復用コンポジットのフィラーとしての使用。
【請求項30】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、歯科用組成物におけるX線不透過剤としての使用。
【請求項31】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、光学的用途における使用。
【請求項32】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、ディスプレー技術における使用。
【請求項33】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、太陽電池における基材ガラスとしての使用。
【請求項34】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、ランプガラスとしての使用。
【請求項35】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、生化学的用途における基材ガラスとしての使用。
【請求項36】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、PVD法におけるターゲット物質としての使用。
【請求項37】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラスの、ガラス繊維、特に強化コンクリート用ガラス繊維としての使用。

【公表番号】特表2007−526202(P2007−526202A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501130(P2007−501130)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014760
【国際公開番号】WO2005/085147
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】