X線CT撮影装置
【課題】自装置とは異なるX線撮影装置で取得した被写体のX線画像データをインポートし、そのX線画像をスカウトビューとして利用する。
【解決手段】自装置M10とは異なるX線撮影装置M20のX線検出器21で取得した被写体oのX線画像データと、該X線画像データの属性情報とをインポートするための画像データ入力手段と、そのX線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示したX線画像に対する関心領域rの指定操作を受け付ける表示操作手段と、X線画像に対する関心領域rの指定と、属性情報に基づいて、被写体oと、X線発生器11、X線検出器21とを相対的に移動させて、関心領域rの局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えた。
【解決手段】自装置M10とは異なるX線撮影装置M20のX線検出器21で取得した被写体oのX線画像データと、該X線画像データの属性情報とをインポートするための画像データ入力手段と、そのX線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示したX線画像に対する関心領域rの指定操作を受け付ける表示操作手段と、X線画像に対する関心領域rの指定と、属性情報に基づいて、被写体oと、X線発生器11、X線検出器21とを相対的に移動させて、関心領域rの局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者の顎顔面、特に歯列弓の所望の場所に関心領域を指定し、その関心領域を局所CT撮影する場合には、事前に撮影した歯列弓の全体的なパノラマ画像や顎顔面の2方向透視画像をスカウトビューとして表示し、そのX線画像上で関心領域を指定することが可能になっている。そのような技術の先行例として、次の特許文献1には、自装置において、スカウトビューとすべきパノラマ画像を撮影することが可能なX線CT撮影装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−144137公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大規模病院等、パノラマ撮影が可能なX線撮影装置を既に保有している環境に、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置として、パノラマ撮影も可能な装置を導入すると、前者の装置と、後者の装置の両方で、パノラマ撮影のためのX線検出器を備えることになって、費用がかさんでしまう。
また、近時、そのような大規模病院等では、院内LAN等によって複数のX線撮影装置を相互に接続することも行われており、撮影を行おうとするX線撮影装置において、他のX線撮影装置で撮影したX画像データを院内LANによって受信して表示することは可能になっているが、他のX線撮影装置で撮影したX線画像を、別のX線CT撮影装置においてスカウトビューとして利用することはできなかった。
本発明は、このような問題の解決を課題とし、他のX線撮影装置で取得した被写体のX線画像データをインポートし、そのX線画像をスカウトビューとして利用する新規な構成のX線CT撮影装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の第1の発明は、自装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データと、該X線画像データの属性情報とをインポートするための画像データ入力手段と、前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、前記X線画像に対する前記関心領域の指定と、前記属性情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の第2の発明は、自装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器を装着可能な装着手段と、装着された前記X線検出器によるX線撮影で取得した被写体のX線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、前記X線画像に対する前記関心領域の指定に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う撮影制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の第3の発明は、自装置とは異なるX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データをインポートするための画像データ入力手段と、前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示エリアに適合させて表示し、表示したX線画像に対する関心領域の指定を受け付ける表示操作手段と、指定された前記関心領域の前記表示エリアにおける位置座標を変換規則に従って、3次元座標情報に変換する座標処理手段と、前記3次元座標情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う撮影制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記表示操作手段は、前記変換規則を選択するための操作を受け付けることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項3において、前記表示操作手段は、前記X線画像を前記所定の表示エリアに適合させるために、画像の拡大縮小操作を受け付けることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記スカウトビューは、被写体のパノラマ画像であることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記スカウトビューは、被写体の2方向透視画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の第1の発明では、他のX線撮影装置からインポートしたXに対する関心領域の指定と、X線画像データと共にインポートした属性情報に基づいて、被写体と、X線発生器、X線検出器とを相対的に移動させ、関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段を備えている。この属性情報は、少なくともインポートされるX線画像データにおける特定の位置の2次元位置を局所CT撮影のための3次元位置座標に変換することを可能とする情報を含んでいる。従って、本X線CT撮影装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データをスカウトビューに用いても、撮影位置が正確に決定されるという効果がある。
ここに、属性情報としては、画像の種別、画像サイズ、撮影装置の機種等が考えられるが、被写体に応じて選択した撮影パターンの識別情報に代表される撮影情報を含めておくことが望ましい。なお、X線CT撮影装置製造元と、スカウトビューとすべきX線画像を撮影するX線撮影装置の製造元が同一であれば、属性情報を単純なコードとしてもよい。また、X線画像データ、属性情報は、1つのファイルにまとめられていても、それぞれ独立したファイルであってもよい。
【0012】
請求項2に記載の第2の発明では、他のX線撮影装置のX線検出器を装着可能な装着手段を備えているので、本X線CT撮影装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器であってもスカウトビュー取得のために利用することができ、X線CT撮影装置と、他のX線撮影装置とを院内LAN等で接続しておく必要がない。もちろん、装着した他のX線撮影装置のX線検出器の内部に取り込まれ、保存されたX線画像データをスカウトビュー用にインポートするように構成することは可能である。
【0013】
請求項3に記載の第3の発明では、X線画像のみをインポートし、関心領域の位置を、変換規則に従って、3次元座標情報に変換するが、変換規則は、請求項4に記載しているように、操作によって選択するようにしても、デフォルトの変換規則を常に選択するようにしてもよい。この構成では、X画像の属性データをインポートしなくて済むので、必要な属性情報が得られないX線撮影装置で撮影したX線画像データでもスカウトビューとして利用することができる。
【0014】
特に請求項5に記載の発明では、スカウトビューとして表示したX線画像の拡大縮小操作が可能なので、撮影したX線画像での被写体の画像の広がり具合が異なっていても、被写体の画像の広がり具合を調整することにより、関心領域の位置座標を、局所CT撮影のための3次元位置座標に変換する際の誤差を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、患者の顎顔面、特に歯列弓に設定した関心領域を局所CT撮影するX線CT撮影装置を例として説明するが、本発明によるX線CT撮影装置は、対象が顎顔面に限られるものではなく、例えば、顎関節、内耳部を対象としてもよい。また、人体ではなく、例えば樹脂製品の非破壊検査を行うなどの工業的用途にも応用できる。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明を適用したX線CT撮影装置M10の基本構成を説明する機能ブロック図である。X線CT撮影装置M10は、X線CT撮影装置本体M11と、X線CT撮影装置本体M11を制御し、撮影したX線画像を表示する機能を有したX線CT画像表示装置M12とで構成されている。
一方、X線撮影装置M20は、X線CT撮影装置M10と同様に、X線撮影装置本体M21と、X線撮影装置本体M21を制御する機能を有したX線画像表示装置M22とで構成され、院内LAN等によって、X線撮影装置M20に接続されている。
【0017】
X線CT撮影装置本体M11は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体oとされる顎顔面を保持する被写体保持手段40と、支持手段30ないし被写体保持手段40を駆動する駆動部60と、撮影装置本体制御部70とを備えており、撮影装置本体制御部70には操作パネル74が付加されている。そして、操作パネル74、あるいはX線CT画像表示装置M12からの指令に従って、歯顎顔面の一部を局所CT撮影する機能を有しており、各種指令や座標データ等を表示装置M2から受信する一方、撮影した画像データをX線CT画像表示装置M12に送信する。
更に、本発明の特徴として、X線撮影装置M20等の外部機器から歯顎顔面の全体的なパノラマ画像、あるいは2方向透視画像を属性情報と共にインポートして、局所CT撮影すべき関心領域rを指定するためのスカウトビューとして表示する機能を備えている。
上述のパノラマ画像、2方向透視画像は共にX線画像データの1例である。電子的信号の形でインポートする場合のほか、従来のフィルムに撮像したX線画像や紙面にハードコピーされたX線画像などの形でインポート場合も考えられる。後者の場合は、例えばX線CT画像表示装置M12側でコンピュータやワークステーションに接続したスキャナーでX線画像をスキャンして電子的信号の形に変換して表示する構成が考えられる。
【0018】
2方向透視画像は、支持手段30が回転角A°の状態で撮影した被写体oのX線透視画像p#31と、支持手段30が回転角A°とは異なる回転角B°の状態で撮影した被写体oのX線透視画像p#32からなる。別の回転角の状態での透視画像を更に得てもよく、2以上の複数の方向からの透視画像であればよい。
本出願人の出願に係る特開2004−329293に開示されるX線CT撮影装置の構成は、2方向透視画像をスカウトビューとして用いる例の1つである。
【0019】
X線発生部10は、X線コーンビームCBを照射するX線管等からなるX線発生器11と、X線コーンビームCBの広がりを規制するスリット等からなる照射野制御手段12とで構成される。
X線検出部20は、2次元的に広がったCCDセンサ等からなるX線検出器21を設けたカセット22を自在に着脱できる装着手段として構成されている。このカセット22のように、X線検出器21と一体になってX線CT撮影装置本体またはX線撮影装置本体に装着される、X線画像データをX線CT撮影装置本体またはX線撮影装置本体に出力可能な部分を、本願ではX線検出ユニットと呼ぶ。従って、他のX線撮影装置において、スカウトビューすべきX線画像を撮影し、そのX線画像データを記憶したカセット22を装着すれば、そのカセット22から、X線画像データや属性データをインポートすることも可能である。
X線検出部20は、必ずしもカセット22を着脱できる構造にしなくともよい。
要はX線画像データがアウトポートできる態様になっていればよく、X線検出器21がX線検出部20に固定され、着脱できない構造である場合も考えうる。
また、例えば、X線撮影装置M20にはCT撮影機能がなく、X線CT撮影装置M10には例えばパノラマ撮影機能または2方向透視画像の撮影機能が無いという例も考えうる。
この場合、スカウトビューとなるX線画像データの取得はX線撮影装置M20で行い、X線CT撮影装置M10側でこのスカウトビューを用いて局所CT撮影を行うという分担が可能である。
【0020】
駆動部60は、支持手段30の旋回軸30cないし被写体保持手段40を協働して水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yと、支持手段30ないし被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zと、支持手段30を回転させる旋回用モータ60rとを備えており、本発明においては、被写体oと、X線発生器11、X線検出器21とを相対的に移動させて、局所CT撮影の目標部位である関心領域rをX線発生器11、X線検出器21の旋回中心とする撮影位置に位置制御するための位置制御手段を構成する。
この位置付けは、支持手段30の旋回軸30cをX軸、Y軸、Z軸の3方向に移動させることによって行われる。
【0021】
なお、図1に示した例では、駆動部60が支持手段30と被写体保持手段40の双方を駆動する構成を示しているが、例えばZ軸モータ60zが支持手段30に対しても被写体保持手段40に対しても1つずつ設けられるようにすると、Z軸モータ60zが2つ必要になる。そのような重複を避けるため、次のように、X軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60z、旋回用モータ60rのそれぞれ1つずつが支持手段30と被写体保持手段40のいずれかに割り振られて設けられる構成にすれば、必要最小限の装備で被写体oに対する支持手段30のX軸、Y軸、Z軸の3方向の相対的移動、相対的回転が実現できる。
【0022】
構成例1…支持手段30の旋回軸30cを水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60zのみ設け、被写体保持手段40を移動させる駆動部は設けない。
構成例2…支持手段30の旋回軸30cを水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
構成例3…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
構成例4…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60z、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yのみ設ける。
構成例5…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60z、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yのみ設ける。
構成例6…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
以上の構成例の他に、様々な構成例が考えられる。
例えば、上記構成例1〜6は被写体保持手段40を回転させない例であり、被写体oが人間や動物である場合に「めまい」などを起こさせないので好適であるが、被写体oが材料や機械などである場合は被写体保持手段40を旋回用モータ60rで回転させるようにしてもよい。
また、上記構成例1〜6はX軸モータ60x、Y軸モータ60yが一組になって支持手段30と被写体保持手段40のいずれかに設けられ、既存のX−Y機構を用いることができる例であるが、例えばX軸モータ60x、Y軸モータ60yのうち一方を支持手段30の旋回軸30cの移動に用い、他方を被写体保持手段40の移動に用いるようにしてもよい。むろん、X軸モータ60x、Y軸モータ60y、旋回用モータ60r、Z軸モータ60zの少なくともいずれかが、支持手段30と被写体保持手段40の双方を移動させる構成でもよく、支持手段30に対して1つ、被写体保持手段40に対しても1つ合計2つ設けられてもよい。
【0023】
撮影装置本体制御部70は、局所CT撮影の制御を行う撮影制御手段として機能するもので、駆動部60を制御する制御プログラムを含んだ各種制御プログラムを実行するCPU71と、X線発生部10を制御するX線発生部制御手段72と、X線検出部20を制御するX線検出部制御手段73とを備えている。撮影装置本体制御部70に付加された操作パネル74は、小型液晶パネルや複数の操作釦で構成されている。
【0024】
X線CT画像表示装置M12は、例えばコンピュータやワークステーションで構成され、表示装置本体80には、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示手段88や、キーボード、マウス等で構成された操作手段86が付加されている。表示手段88および操作手段86は、X線撮影装置M20等の外部装置からインポートしたX線画像データをスカウトビューとして表示し、表示したX線画像に対する関心領域rの指定操作を受付ける表示操作手段として機能する。もちろん、表示手段88に表示された文字や画像の上でのマウスでのポインタ操作等を通じて、撮影指令等の各種指令を与えることが可能である。なお、表示手段88はタッチパネルで構成することもできるが、この場合は、操作手段86を兼ねることになる。
【0025】
表示装置本体80は、各種プログラムを実行するCPU81と、ハードディスク等で構成され、各種撮影データや画像等を記憶する記憶手段82と、座標計算を行う座標処理手段83と、局所CT撮影データから局所CT画像を画像生成手段84と、例えばネットワーク通信手段で構成された画像データ入力手段85とを備えている。この画像データ入力手段85を通じて、スカウトビューとして表示すべき被写体oのX線画像データとその属性情報とが、X線撮影装置M20等からインポートされる。
画像データ入力手段85の態様はX線画像データのインポートの態様にしたがって、様々である。
例えばX線画像データがCD−ROMに記録されている場合はコンピュータやワークステーションのCD−ROM読み取り機構が画像データ入力手段85であり、院内LANを通してインポートする場合はその回線やポートなどが画像データ入力手段85であり、前述のようにフィルムに撮像したX線画像や紙面にハードコピーされたX線画像などをスキャナーでスキャンする場合はそのスキャナーが画像データ入力手段85である。
本願においては、画像データ入力手段85は画像データの属性情報をインポートする手段でもあるので、後述のように、属性情報を、操作手段86を用いて操作入力する場合は、操作手段86が画像データ入力手段85の一部を成すことになる。
座標計算手段は、指定された関心領域rの、スカウトビューとして表示されたX線画像における位置座標を、属性情報に基づいて、局所CT撮影のための3次元位置座標に変換して、局所CT撮影を行うべき撮影対象領域を決定する。
【0026】
X線撮影装置M20を構成するX線撮影装置本体M21は本発明に係る機能として、患者の顎顔面の全体的なパノラマ画像あるいは2方向透視画像を撮影する機能を有しており、X線画像表示装置M22は、X線撮影装置本体M21を制御する機能を有する。
X線撮影装置M20の内部構成は図示していないが、基本的には、X線CT撮影装置M10と同様の構成要素を有している。X線撮影装置M20はCT撮影機能が無いものでもよく、スカウトビューとなるX線画像の撮影ができればよい。例えば、パノラマ画像撮影と2方向透視画像撮影のいずれかのみしか撮影できないものでもよい。
【0027】
X線撮影装置M20が、パノラマ画像撮影の可能な装置である場合、X線発生部は、患者の顎顔面を走査撮影するために、幅が狭い細隙X線ビームを照射するようになっており、X線検出部は、その細隙X線ビームを受けるX線検出器を備える。X線検出器は、X線検出部に対して着脱自在のカセットに形成されてもよい。X線検出器をX線検出部に対して着脱自在の構造とした場合、後述するようにそのX線検出器をX線CT撮影装置M10のX線CT撮影装置本体M11に装着してX線撮影に用いる構成もありうる。
なお、X線撮影装置M20は、X線CT画像撮影装置M10にX線画像データと、その属性情報とをエクスポートする外部装置の一例として示したものに過ぎず、外部装置は、例えば、複数のX線撮影装置が撮影したX線画像データを集約して蓄積する画像蓄積装置としてもよい。
【0028】
X線撮影装置M20がエクスポートするX線画像には、パノラマ画像、2方向透視画像などの種別がある。また、その属性情報としては、画像の種別、画像サイズ、撮影装置の機種等が考えられるが、X線撮影装置M20が、そのX線画像を撮影するために選択した撮影パターンの識別情報等の撮影情報を含めておいてもよい。なお、X線CT撮影装置M10の製造元と、X線撮影装置M20の製造元が同一であれば、属性情報を単純なコードとしてもよい。また、X線画像データ、属性情報は、1つのファイルにまとめられていても、それぞれ独立したファイルであってもよい。
【0029】
パノラマ画像の撮影は、被写体保持手段40によって、患者の顎顔面を所定の位置に保持した状態で行われるが、患者の顎顔面、歯列弓DAの大きさや形状には個人差がある。
理想的には患者ごとの歯列弓DAの大きさ、形状を把握して、各歯列弓のパノラマ断層に該当する部分すなわち歯列弓モデルdmを設定すればよいのであるが、実際には患者ごとに歯列弓DAを測定することは煩瑣である。そのため、一般的な形状の歯列弓を想定し、その歯列弓のパノラマ断層に該当する部分を一般的な歯列弓モデルdmとして設定してもよい。多数の人は概ね一般的な歯列弓モデルdmを想定してパノラマ撮影しても特に差支えなく撮影できる。
もっとも、サイズをそれぞれ異ならせた複数の3次元的な歯列弓モデルを仮定して、それぞれの歯列弓モデルに対して最適化した撮影パターン(X線発生器11、X線検出器21の軌道データや、それらの移動速度等)を予め用意しておき、撮影時に、患者に対して最適な撮影パターンを選択するようにして、一般的な歯列弓モデルdmのバリュエーションを増やしてもよい。この場合、所定の位置にある患者の顎顔面を、選択した撮影パターンに従って撮影することになるので、これから得られたパノラマ画像では、歯列弓DAの各部の像は、予め予測された位置、つまり対応した歯列弓モデルを撮影したとして計算される位置に、誤差が生ずるとしても、実際の歯列弓DAと歯列弓モデルとの差分程度の誤差で分布する。
【0030】
図13(a)は、被写体保持手段40と被写体oとの位置関係を説明するための斜視図、図13(b)は、被写体保持手段40と歯列弓モデルdmとの位置関係を説明する斜視図である。
【0031】
X線発生器11およびX線検出器21は、図においてチンレスト40aで示される被写体保持手段40に被写体oである患者の顎が載置された状態で、患者の歯列弓のパノラマ断層に該当する部分すなわち歯列弓モデルdmの断層画像が撮影できるように移動軌跡が設定されている。従って、歯列弓モデルdmは、被写体保持手段40に対し、3次元空間中の固定的な位置を占めている。患者は、図示のようにチンレスト40aに顎を載置することで被写体保持手段40に固定され、良好にパノラマ断層の撮影ができる。X線CT撮影装置M10でパノラマ撮影が可能である場合、パノラマ断層の位置すなわち歯列弓モデルdmはX線CT撮影装置本体M11に対する3次元空間中に特定されるので、歯列弓モデルdmの位置は、3次元的な座標の座標情報として把握できる。
このことは、X線撮影装置M20でパノラマ撮影を行う場合、X線撮影装置M20においても同様である。X線撮影装置本体M21の存在する3次元空間において、X線撮影装置M20用の歯列弓モデルdmの位置は、3次元的な座標の座標情報として把握できる。
【0032】
図2は、パノラマ撮影の方法を説明する平面図で、歯列弓DAに対するX線発生器11とX線検出器21の位置関係は、歯列弓DAを挟んでX線発生器11とX線検出器21が旋回することにより左顎にX線照射する位置から前歯中央にX線照射する位置まで位置LC1、LC2、LC3の順に変位していく。なお、曲線ENは、X線細隙ビームNBの軌跡によって描かれた包絡線であり、X線発生器11とX線検出器21は、歯列弓DAを間に挟んだ状態で支持手段30が移動する旋回軸30c、旋回軸30cの延長線30c1を中心に旋回しつつ変位していく。パノラマ撮影では、歪みを防止する目的で、歯列弓DAの被撮影部分と、X線発生器11、X線検出器21との距離を一定に保つ必要があるため、X線発生器11、X線検出器21の旋回中心は撮影が進行するに従って逐次移動するが、歯列弓DAの形状によってその軌跡は異なる。従って、例えば歯列弓DAのサイズ、形状が異なれば、それぞれの歯列弓DAに対応する3次元歯列弓モデル毎に軌道データを最適化した個別の撮影パターンが必要とされる。
【0033】
図11はパノラマ撮影の様子を模式的に示した図である。
照射野制御手段12には撮影の目的ごとに異なるスリットが設けてあり、X線ビームBを横切って変位し、用いるスリットの選択ができる。図示の状態ではX線ビームBを細隙X線ビームNBになるよう規制する細長いスリットが選択されている。細隙X線ビームNBは歯列弓DAを透過してX線検出器21のX線検出面で検出される。
【0034】
なお、2方向透視画像に関しても、複数の歯列弓モデル毎に、その形状に最適化した撮影パターンを予め用意しておき、撮影時に、患者に対して最適な撮影パターンを選択すれば、透視画像において歯列弓DAの各部の像が予め予測された位置に広がることになる。
【0035】
X線CT撮影装置M10は、X線撮影装置M20がエクスポートしたパノラマ画像や2方向透視画像等のX線画像データと、その属性情報とをインポートし、そのX線画像をスカウトビューとして用いるが、以下、インポートしたX線画像をスカウトビューとして使用する位置付け方法の原理を説明する。
【0036】
X線撮影装置M20では、上述のような1つまたは複数の歯列弓モデルdmを基にX線撮影を行っている。例えば、サイズをそれぞれ異ならせた複数の歯列弓モデルを仮定して、それぞれの歯列弓モデルに対して最適化した撮影パターンを選択して撮影を行っているが、X線撮影装置M20で用いている歯列弓モデルdmのサイズ、形状が属性情報により特定できれば、スカウトビューとして表示したX線画像における歯列弓DAの像に対して指定する2次元位置座標をX線CT撮影装置本体M11における3次元位置座標(3次元座標情報)に変換できる。
X線撮影装置M20で用いている歯列弓モデルdmと同じ歯列弓モデルdmをX線CT撮影装置M10にも導入し、患者の歯列弓DAを、インポートした属性情報によって特定される3次元歯列弓モデルで代表することにより処理するようにしてもよい。
すなわち、座標処理手段83は、スカウトビューとして表示したX線画像における歯列弓DAの像への位置指定を、3次元的な歯列弓モデルを2次元に展開または投影した平面像への位置指定とみなすことにより、その位置指定された点を、X線CT撮影装置本体M11における3次元位置座標に変換して特定する。
すなわち、指定された関心領域rのX線画像における2次元位置座標を、属性情報に基づいて選択した変換規則に従って、局所CT撮影のための3次元位置座標に変換して特定する。
今、指定された関心領域rの中心部分の座標(関心領域rを点で指定する場合はその点の座標である)を変換して特定した局所CT撮影のための3次元位置座標を、座標Pc(xc、yc、zc)で示すことにする。
座標処理手段83は、局所CT撮影を行うべき対象となる領域すなわち撮影対象領域が座標Pc(xc、yc、zc)の周辺であることを決定する。この場合関心領域rがなるべく撮影対象領域に含まれるよう、撮影対象領域の中心が座標Pc(xc、yc、zc)に来ることが望ましい。
前記駆動部60のX軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60zの駆動により、被写体oないし被写体保持手段40に対し、支持手段30が相対的に移動し、これにより被写体oないし被写体保持手段40に対してX線発生器11、X線検出器21が相対的に移動して、局所CT撮影開始位置に来る。次いで、座標Pc(xc、yc、zc)を中心にX線発生器11、X線検出器21が旋回して局所CT撮影を行う。
すなわち、支持手段30は位置制御手段として機能する駆動部60の位置制御により位置付けされ、撮影対象領域の局所CT撮影を行う。
X線撮影装置M20で用いている歯列弓モデルdmと同じ歯列弓モデルdmをX線CT撮影装置M10にも導入して用いる場合は、X線CT撮影装置M10の歯列弓モデルdmにおける3次元位置座標に変換するが、この変換規則は、歯列弓モデルに対して一意なので、歯列弓モデルdmのサイズ、形状が異なる場合はそれぞれの歯列弓モデル毎に準備しておく必要がある。
【0037】
従って、歯列弓モデル毎に、関心領域rのX線画像における2次元的な位置座標を、当該歯列弓モデルにおける3次元位置座標に変換する変換規則を、関数、あるいは参照テーブルとして予め準備しておけば、属性情報に含まれた撮影情報、つまり撮影パターンの識別情報に基づいて、最適な変換規則を選択することができる。
なお、関心領域rの歯列弓モデルにおける3次元位置座標は、歯列弓モデルに設定した原点に対するオフセットとして算出することができる。
そして、局所CT撮影の準備段階で、その歯列弓モデルの原点が所定の位置となるように、被写体保持手段40によって被写体oを位置付けし、かつ、X線発生器11、X線検出器21の旋回中心点が、算出されたオフセットの位置となるように、X線発生器11、X線検出器21を位置付けする。
【0038】
図12は局所CT撮影の様子を模式的に示した図である。
図示の状態ではX線ビームBがX線コーンビームCBになるよう規制する正方形または略正方形のスリットが選択されている。
X線コーンビームCBは歯列弓DAを透過してX線検出器21のX線検出面で検出される。
X線コーンビームCBでCT撮影される領域(撮影対象領域)は、図示のrrで示される略円筒形の領域である。前述のX軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60zの駆動により、被写体oを支持手段30に相対的に位置付け、関心領域rと領域rrが重なるようにして局所CT撮影する。
図示の例では、局所CT撮影用の正方形または略正方形のスリットが、照射野制御手段12において異なる高さで設けられている。このスリットを選択することにより、X線検出器21の検出面に対する局所CT撮影用のX線コーンビームCBの旋回軸30cと平行な方向への照射方向を変更することができる。
この構成は、被写体保持手段40に対する支持手段30の高さが変わらない構造のX線CT撮影装置の場合でも、被写体oの中の高さの異なる部位の局所CT撮影を可能にする。
【0039】
スカウトビューに2方向透視画像を用いる場合、必ずしも歯列弓モデルdmは必要ない。
2方向透視画像の一方で指定された特定位置の2次元座標、他方で指定された特定位置の2次元座標があれば空間的3次元座標は特定するからである。ただし、関心領域rのX線画像における2次元的な位置座標をX線CT撮影装置本体M11における3次元位置座標に変換する変換規則は必要である。
【0040】
ここで、属性情報と変換規則の定め方の例を述べる。
X線CT撮影装置M10において、X線撮影装置M20で撮影したパノラマ画像に対しては、ある変換規則R1が準備されているとする。そこにX線撮影装置M20で撮影したパノラマ画像がX線CT撮影装置M10にインポートされてくるとする。この場合、属性情報としては、画像がパノラマ画像であることと、撮影した装置がX線撮影装置M20であることが含まれていれば足りる。X線CT撮影装置M10側では、この属性情報に基づいて、変換規則R1を選択する。
X線CT撮影装置M10において、別のX線撮影装置で撮影した画像に関する変換規則が準備されていない場合でも、X線画像と共に変換規則自体が属性情報としてインポートされてくれば、インポートされた変換規則に基づいて3次元位置座標の変換が可能である。
【0041】
3次元位置座標の変換には、必ずしもその都度幾何学的な演算をしなくともよい。
例えば、スカウトビューに上で指定される位置の2次元位置座標とX線CT撮影装置本体M11側でCT撮影のために関心領域rに対して支持手段30を相対的に位置付けするための3次元位置座標とを対応付けしたテーブルを準備する構成も可能である。
この場合、例えば、スカウトビューに上で指定される位置の座標が(xa、ya)という特定の2次元位置座標である場合は、CTの撮影対象領域中心(撮影対象領域)の座標がX線CT撮影装置本体M11において(xa´、ya´、za´)という特定の3次元位置座標となるよう、支持手段30を移動制御する。同様に、2次元位置座標(xb、yb)に対しては、3次元位置座標(xb´、yb´、zb´)、2次元位置座標(xa、yb)に対しては、3次元位置座標(xa´、yb´、zb´)…のように定めたテーブルを準備する。
【0042】
次いで、本発明の別の構成を説明する。上記構成では、X線CT撮影装置M10は、X線画像データと、その属性情報とをインポートしていたが、X線画像データのみをインポートするようにしてもよい。
この構成では、画像データ入力手段85は、外部装置等からX線画像データをインポートし、表示手段88はそのX線画像をスカウトビューとして所定の表示エリアに適合させて表示し、操作手段86は表示したX線画像に対する関心領域rの指定を受け付け、座標処理手段は、指定された関心領域rの表示エリアにおける位置座標を、予め選択した変換規則に従って、被写体oの局所CT撮影のための3次元座標に変換して、局所CT撮影を行うべき撮影対象領域を決定する。そして、オペレータが、操作手段86で属性情報を操作入力するようにしてもよい。この場合、その操作入力された属性情報から、変換規則を選択することができる。
【0043】
また、X線CT撮影装置M10では、属性情報を入力せずに、デフォルトの変換規則を常に使用するようにしてもよい。このとき、任意のX線撮影装置M20で撮影したX線画像における歯列弓DAの各部の像の広がり具合は一様ではないので、表示エリア内に歯列弓DAの像が望ましい状態に広がるように、操作手段86では、X線画像の拡大縮小操作を受け付けることが望ましい。なお、表示エリアでは、顎骨の基準輪郭線等を、X線画像にオーバーレイ表示させれば、それを拡大縮小の目安にできる。このように、デフォルトの変換規則に従って、関心領域rの位置座標を、デフォルトの歯列弓モデルにおける3次元位置座標に変換した場合、実際の歯列弓DAと、歯列弓モデルとの不一致により、最終的な位置付けに誤差が予測されるが、関心領域rが充分な広がりを有していれば、実用上は大きな問題にはならない。
【0044】
図3は、上記原理に基づいた処理手順をより具体的に示したフローチャートである。
この手順では最初に、X線画像データと属性情報とをインポートする処理(A)か、X線画像データをインポートし属性情報は操作入力する処理(B)か、X線画像データをインポートしデフォルトの変換規則を使用する処理(C)かの選択を受け付けて判別している(101、102)。
(A)が選択された場合と、(B)が選択された場合とでは、属性情報をインポートする(104)か、操作入力する(112)かという点に相違があるだけで、それ以外は共通した手順になっており、インポートまたは操作入力された属性情報に基づいて変換規則を選択する(105)。
これに対して(C)が選択された場合には、デフォルトの変換規則を使用する点(114)と、表示したX線画像に対する拡大縮小操作を行うことができるところ(116)に特徴がある。
【0045】
図4は、フローチャートのステップ(106)または(115)において、スカウトビューとして表示されたパノラマ画像の例で、実際には3次元的に湾曲した歯列弓DAが、平面的に展開表示されている。このパノラマ画像1上には、オペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示されており、関心領域rは、それらの交点の位置に指定される。関心領域rは、この図では四角形の枠として示されているが、これは、実際には円柱形状の関心領域rを横から見たときの輪郭線を表したものである。
この四角形の枠が、CT撮影の対象領域の大きさと一致またはほぼ一致していれば、どの範囲がCT撮影されるか目視確認できるので、更に至便である。
図4においては、関心領域rの指定を表示画像上のカーソル操作で行っているが、他の例としては、歯牙の箇所別の指定ができる入力手段を準備し、スカウトビューを観察して局所CT撮影が必要と考えられる箇所の歯牙の指定ができるようにする構成も考えられる。例えば表示されたパノラマ画像を観察し、局所CT撮影が必要と判断される歯牙が右上の一番奥であれば、歯列弓のうち、右上一番奥に予め付されたコードの入力やスイッチのONを行う構成である。
【0046】
図5は、フローチャートのステップ(106)または(115)において、スカウトビューとして表示された2方向透視画像の例で、正面、側面の2つのX線透視画像に、それぞれにオペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示されており、関心領域rは、それらの交点の位置に指定される。ここに関心領域rは、上記と同様に、円柱形状を横から見たときの輪郭線が四角形の枠として示されている。
この四角形の枠が、局所CT撮影の対象領域の大きさと一致またはほぼ一致していれば至便である点は上記と同様である。
図5においては、関心領域rの指定を表示画像上のカーソル操作で行っているが、他の例としては、歯牙の箇所別の指定ができる入力手段を準備し、スカウトビューを観察して局所CT撮影が必要と考えられる箇所の歯牙の指定ができるようにする構成も考えられる。これは図4の場合と同様である。
【0047】
図6は、フローチャートのステップ(110)において実行する局所CT撮影の方法を示す平面図である。このとき、支持手段30の旋回軸30cは、ステップ(108)において変換された3次元位置座標に従って、ステップ(109)においてよって位置付けされている。局所CT撮影中、X線発生器11、X線検出器21は、静止した旋回軸30cの延長線30c1の周りを円軌道に従って旋回する。
局所CT撮影(局所照射X線CT撮影、部分CTX線撮影)は、被写体oの一部の部位のCT撮影を行うものであり、CT画像の再構成に必要な、常にX線ビームを照射する箇所すなわちCT撮影対象部位が被写体oの一部である撮影である。X線照射方向の前後にCT撮影対象部位以外の部位が存在しても支障なくCT撮影対象部位のCT画像再構成が可能である。局所CT撮影については、本出願人の出願に係る特開2000−139902公報や、特開平10−225455記載の構成を用いることができる。
局所CT撮影によると、被写体oのうち、必要最小限の部分にのみX線照射してCT撮影が可能であるので、被写体の全体にX線照射するCT撮影に比べて被曝X線量を飛躍的に抑えられるという長所がある。
【0048】
図7は、局所CT撮影により得られたCT画像の例で、公知の手順を用いてCT撮影データから生成した互いに直交したX断層面、Y断層面、Z断層面の断層面画像と、ボリューム画像とが表示されている。
ここで、カーソルxc、yc、zcのいずれかが移動操作されたときには、対応した断層面画像を、カーソルxc、yc、zcの移動後の位置における断層面画像に変更表示する。
【0049】
ここで、属性情報と変換規則との関連を説明する。
変換規則は、特に定められた形式はなく、様々な態様の規則が考えられる。例えば、幾何学的な関数である場合も、前述のテーブルの例のように、特定の位置と、特定の位置とを対応付けた場合もあり得る。
もちろん、X線画像データがパノラマ画像のデータである場合と、2方向透視画像のデータである場合とでは、X線画像上で指定される点ないし位置の2次元位置座標と、変換後の3次元位置座標との対応関係が全く異なるので、別の変換規則によらなければならない。
なお、歯列弓DAのサイズ、形状が同じであっても、X線CT撮影装置M10が用いる歯列弓モデルdmとX線撮影装置M20が用いる歯列弓モデルdmのサイズ、形状が微妙に異なることはありうる。
仮に、X線CT撮影装置M10が用いる歯列弓モデルdmとX線撮影装置M20が用いる歯列弓モデルdmとがサイズ、形状において異なる場合であっても、適切な変換規則を用いる限り、上述のように2次元的な位置座標の3次元位置座標への変換が可能である。
【0050】
属性情報によってスカウトビューとなるX線画像の取得に用いられた歯列弓モデルdmのサイズ、形状、位置が特定され、この特定された歯列弓モデルdmに適合する変換規則が選択されるという例は、属性情報と変換規則との典型的な組合せ例である。
また、上述の記載から理解されるように、属性情報とは、少なくともインポートされるX線画像データにおける特定の位置の2次元位置を局所CT撮影のための3次元位置座標に変換することを可能とする情報であり、その目的が達成できるのであればよい。
属性情報も特に定められた形式はなく、様々な態様の情報が考えられる。例えば、上述のように撮影パターンが属性情報である場合もあり、断層の形状が属性情報となる場合もあり、X線撮影装置の製造番号が属性情報となる場合もあり得る。
また、パノラマ撮影には大人用、子供用、顎関節用など、断層のサイズや形状、位置が異なるタイプ別の撮影があるが、このタイプごとにコードを付しておき、インポートされるX線画像がどのタイプのパノラマ撮影であるかを示すコードが属性情報としてインポートされる場合もある。
また、例えばパノラマ撮影に用いたセンサがTDI制御のCCDセンサである場合、TDIクロックの周波数や支持手段(旋回アーム)30の旋回角度ごとの旋回速度も属性情報となり得る。
また、上述のように変換規則自体が属性情報となる場合もあり得る。
上記構成の基本思想は、次のとおりである。
X線撮影装置M20で撮影された被写体oの部位opのX線撮影装置本体M21における空間的3次元位置座標例えばPm2(xm2、ym2、zm2)が特定できれば、同じ被写体oをX線CT撮影装置本体M11に固定した場合に、部位opのX線CT撮影装置本体M11における空間的3次元位置座標例えばPm1(xm1、ym1、zm1)も特定できる。
X線撮影装置M20で撮影した被写体oのX線画像データがある場合、そのX線画像データ上に示される部位opのX線撮影装置本体M21における空間的3次元位置座標Pm2は、X線画像データがパノラマ画像である場合は、X線撮影装置M20において撮影に用いた歯列弓モデルdmの情報と撮影されたパノラマ画像における2次元位置座標の指定があれば特定できる。また、3次元位置座標Pm2は、X線画像データが2方向透視画像である場合は、X線撮影装置M20において撮影された2方向透視画像のそれぞれにおける2次元位置座標の指定があれば特定できる。
その同じ被写体oをX線CT撮影装置本体M11に固定した場合、部位opのX線CT撮影装置本体M11における空間的3次元位置座標Pm1も特定できるので、座標Pm1を目標とする局所CT撮影が可能である。
Pm2と座標Pm1との対応は演算してもよいし、予めテーブル化しておいてもよい。
【0051】
ここで、本発明を適用したX線CT撮影装置M10のより具体的な例を説明する。
図8(a)、図8(b)はそれぞれ、X線CT撮影装置本体M11の正面図と、側面図である。X線CT撮影装置本体M11は、旋回用モータ60rを内蔵した旋回アームとして構成され、かつその両端にX線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体oである人体の頭部を固定するホルダを備えたシート状に形成された被写体保持手段40とを備えており、この支持手段30、被写体保持手段40は、アーチ状に形成された固定フレーム90に変位可能に取り付けられている。
X線CT撮影装置本体M11は、ワークステーション等で構成されたX線CT画像表示装置M12に通信ケーブルを介して接続され、双方向の通信が可能になっている。
支持手段30は、チェーン駆動部61により、図8(a)の縦方向の矢印で示すように上下に昇降可能な昇降フレーム91を介して、固定フレーム90に取り付けられており、その昇降フレーム91には、支持手段30の旋回軸30cを、図8(a)と図8(b)の横方向の矢印で示すように左右前後に水平移動させるXYテーブル62が内蔵されている。
被写体保持手段40は、図8(a)の縦方向の矢印で示すように上下に昇降可能な昇降手段63によって底部を下方から支持されており、固定フレーム90の底部には、その昇降手段63を、図8(a)、図8(b)の横方向の矢印で示すように左右前後に水平移動させるXYテーブル64が内蔵されている。
固定フレームの支柱部には、液晶モニタ、小型液晶パネル等で構成された表示手段88´や、複数の操作釦等で構成された入力手段74´を設けた操作パネル74が取り付けられている。
なお、旋回用モータ60r、チェーン駆動部61、XYテーブル62のX軸モータ60x、Y軸モータ60y、昇降手段63、XYテーブル64のX軸モータ60x、Y軸モータ60yは、駆動部60を構成している。
以上の構成により、被写体oが同一である限り、X線CT撮影装置M10とは異なるX線撮影装置M20のX線検出器21で取得したX線画像データであっても、スカウトビューとして利用できる。
【0052】
以上は、X線撮影装置M10とは異なるX線撮影装置M20のX線検出器21で取得した被写体oのX線画像データをインポートする場合の例であるが、次に述べるのは、X線撮影装置M10に、X線撮影装置M20のX線検出器21が装着可能となっている場合の例である。
図14(a)は、X線CT撮影装置M10に設けたX線検出部20の概略構造図で、このX線検出部20は、X線検出器21を形成するカセット22を交換可能に装着できるようにしている。
図14(b)、(c)、(d)は、交換可能に装着される3種類のカセット22の側面図であり、図14(e)、(f)、(g)は、交換可能に装着される3種類のカセット22の正面図である。ここに図14(a)〜(g)のカセット22は、X線検出器21の一例である。
X線検出部20には、X線検出器21を備えたカセット22を着脱自在に装着できるよう、装着部20xが備えられている。図示の例では装着部20xはカセット22の上下の辺が挿脱される溝からなる装着手段である。
装着部20xには、パノラマ撮影用のX線センサ(X線検出器)21Aを備えたパノラマ用カセット22A、CT撮影用のX線センサ(X線検出器)21Bを備えたCT撮影用カセット22Bが着脱交換自在である。カセット22Bは照射野制御手段12に規制された局所CT撮影用のX線コーンビームCBの照射野よりもはるかに広い検出面を備えている。
このカセット22Bの検出面を用いて前述の2方向透視画像の撮影も可能である。
2方向透視画像の撮影の場合、図11、12に示す照射野制御手段12のスリットのうち、もっとも広い正方形または略正方形のスリットが選択される。
【0053】
カセット22Bの代わりに、局所CT撮影用のX線コーンビームCBの照射野と略一致する程度の狭い検出面のX線センサ(X線検出器)21Cを備えた局所CT撮影専用のカセット22Cを装着してもよい。
X線CT撮影装置M10は、X線CT撮影装置M10用のカセット22Aでパノラマ撮影をすることもできるが、X線撮影装置M20用の図示しないパノラマ撮影用カセット22A´を装着してパノラマ撮影をすることもできる。X線撮影装置M20用の広い検出面のX線検出器を備えた図示しない2方向透視画像撮影用カセット22B´を装着して2方向透視画像撮影ができるようにしてもよい。
【0054】
図10は、X線CT撮影装置M10のX線検出部20が、X線撮影装置M20用のX線検出器21を装着できる構造になっている場合の処理手順を具体的に示したフローチャートである。
この手順では、ステップ(1010)で示すように、X線CT撮影装置M10用のX線検出器を装着するか、X線撮影装置M20用のX線検出器を装着するかで処理が分かれる。X線検出器21はカセット22に設けられるので、具体的には、スカウトビューにパノラマ画像を使用する場合は、カセット22Aを装着するか、カセット22A´を装着するかで分かれることになる。スカウトビューに2方向透視画像を使用する場合はカセット22Bを装着するか、カセット22B´を装着するかで分かれる。
図示のフローチャートは、スカウトビューにパノラマ画像を使用するものとし、カセット22Aを装着するかカセット22A´を装着するかで処理が分かれている。
カセット22の装着は手動で行っても、図示しない送り機構等を用いて自動的に行ってもよい。
ステップ(1020)、(2020)において、いずれのカセット22を装着するかで、それぞれ制御モードが選択される。
ステップ(1030)ではカセット22Aによるパノラマ撮影用の軌跡、例えば細隙X線ビームNBの移動軌跡またはX線発生器11とX線検出器21の移動軌跡が選択される。
ステップ(1050)ではカセット22Aでパノラマ撮影を行うべく、パノラマ撮影用のスリットが選択され、被写体oと支持手段(旋回アーム)30の相対的位置付けが行われる。
ステップ(1060)、(1070)でパノラマ撮影とパノラマ画像の表示を行う。
パノラマ画像はスカウトビューとして表示手段88等に表示される。
ステップ(1080)において、術者は表示されたパノラマ画像の上で関心領域rの指定を行う。
ステップ(1090)において、カセット22Aで撮影したパノラマ画像用に準備された変換規則にしたがって、関心領域rの位置座標が計算される。
ステップ(1100)において、局所CT撮影用にカセット22Bを装着する。
カセット22の装着は手動で行っても、図示しない送り機構等を用いて自動的に行ってもよい。局所CT撮影用に、スリットが選択される。
カセット22Bによる局所CT用の軌跡、例えばX線コーンビームCBの移動軌跡またはX線発生器11とX線検出器21の移動軌跡が選択される。
カセット22Bで関心領域rの局所CT撮影を行うべく、被写体oと支持手段(旋回アーム)30の相対的位置付けが行われる。
ステップ(1110)から(1130)において、局所CT撮影から画像再構成、表示まで行われる。
一方、ステップ(2030)ではカセット22A´によるパノラマ撮影用の軌跡、例えば細隙X線ビームNBの移動軌跡またはX線発生器11とX線検出器21の移動軌跡が選択される。
ステップ(2050)ではカセット22A´でパノラマ撮影を行うべく、パノラマ撮影用のスリットが選択され、被写体oと支持手段(旋回アーム)30の相対的位置付けが行われる。
ステップ(2060)、(2070)でパノラマ撮影とパノラマ画像の表示を行う。
パノラマ画像はスカウトビューとして表示手段88等に表示される。
ステップ(2080)において、術者は表示されたパノラマ画像の上で関心領域rの指定を行う。
ステップ(2090)において、カセット22A´で撮影したパノラマ画像用に準備された変換規則にしたがって、関心領域rの位置座標が計算される。
ステップ(1100)以降は前述と同じである。
【0055】
このフローチャートでは、スカウトビューとしてパノラマ画像を撮影する場合を中心に説明したが、2方向透視画像を撮影する場合も同様である。
その場合は、図10図示のステップ(1020)、(1030)、(1050)の「カセット22A」が「カセット22B」に、ステップ(2020)、(2030)、(2050)の「カセット22A´」が「カセット22B´」に替わり、それぞれのカセット22を用いて支持手段30の回転角を変更して撮影し、表示された2方向透視画像の上で関心領域rを指定する。
【0056】
図9は、本発明を適用したX線CT撮影装置M10の別例である。
このX線CT撮影装置本体M11は、図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、旋回用モータ60rを内蔵した旋回アームとして構成され、かつその両端にX線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30を備えている。
基台91´に立設した支柱90´に対し、支持手段30を垂下した、上部フレーム91aと下部フレーム91bを前方に突出した略コの字形状の昇降フレーム91が図示しない昇降機構で昇降可能に設けられ、昇降フレーム91には図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、支持手段30の回転軸を水平移動させる図示しないXYテーブル62が内蔵されている。
下部フレーム91bは、被写体oである人間の頭部を左右から固定するイヤロッド、顎を固定するチンレストなどからなる被写体保持手段40を備える。
図9に示したX線CT撮影装置本体M11は、防X線室100内に収容され、防X線室100の壁の外側には、図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、小型液晶パネルを設けた操作パネル74が取り付けられている。
また、図9に示したX線CT撮影装置本体M11は、図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、X線CT画像表示装置M12を備え、通信ケーブルによってデータを送受信する構成になっている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明を適用したX線CT撮影装置の基本構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】パノラマ撮影の方法を説明する平面図である。
【図3】局所CT撮影ための本発明による処理手順を説明するフローチャートである。
【図4】スカウトビューとされるパノラマ画像の例である。
【図5】スカウトビューとされる2方向透視画像の例である。
【図6】局所CT撮影の方法を示す平面図である。
【図7】局所CT撮影により得られたCT画像の例である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ、本発明を適用したX線CT撮影装置の正面図と、側面図である。
【図9】本発明を適用したX線CT撮影装置の別例の斜視図である。
【図10】他のX線撮影装置用のX線検出器を装着できる実施例による処理手順を示したフローチャートである。
【図11】パノラマ撮影の様子を示した模式図である。
【図12】局所CT撮影の様子を示した模式図である。
【図13】(a)、(b)はそれぞれ、被写体保持手段と被写体との位置関係を説明するための斜視図、被写体保持手段と歯列弓モデルとの位置関係を説明する斜視図である。
【図14】(a)は、X線検出部の概略構造図で、(b)〜(d)は、交換可能に装着される3種類のカセットの側面図、(e)〜(g)はその側面図の各々に対応した正面図である。
【符号の説明】
【0058】
11 X線発生器
20 装着手段(X線検出部)
21 X線検出器
30 支持手段
60 位置制御手段(駆動部)
70 撮影制御手段(撮影装置本体制御部)
83 座標処理手段
85 画像データ入力手段
86、88 表示操作手段(操作手段、表示手段)
M10 X線CT撮影装置
M20 他のX線撮影装置
o 被写体
r 関心領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者の顎顔面、特に歯列弓の所望の場所に関心領域を指定し、その関心領域を局所CT撮影する場合には、事前に撮影した歯列弓の全体的なパノラマ画像や顎顔面の2方向透視画像をスカウトビューとして表示し、そのX線画像上で関心領域を指定することが可能になっている。そのような技術の先行例として、次の特許文献1には、自装置において、スカウトビューとすべきパノラマ画像を撮影することが可能なX線CT撮影装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−144137公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、大規模病院等、パノラマ撮影が可能なX線撮影装置を既に保有している環境に、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置として、パノラマ撮影も可能な装置を導入すると、前者の装置と、後者の装置の両方で、パノラマ撮影のためのX線検出器を備えることになって、費用がかさんでしまう。
また、近時、そのような大規模病院等では、院内LAN等によって複数のX線撮影装置を相互に接続することも行われており、撮影を行おうとするX線撮影装置において、他のX線撮影装置で撮影したX画像データを院内LANによって受信して表示することは可能になっているが、他のX線撮影装置で撮影したX線画像を、別のX線CT撮影装置においてスカウトビューとして利用することはできなかった。
本発明は、このような問題の解決を課題とし、他のX線撮影装置で取得した被写体のX線画像データをインポートし、そのX線画像をスカウトビューとして利用する新規な構成のX線CT撮影装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の第1の発明は、自装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データと、該X線画像データの属性情報とをインポートするための画像データ入力手段と、前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、前記X線画像に対する前記関心領域の指定と、前記属性情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の第2の発明は、自装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器を装着可能な装着手段と、装着された前記X線検出器によるX線撮影で取得した被写体のX線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、前記X線画像に対する前記関心領域の指定に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う撮影制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の第3の発明は、自装置とは異なるX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データをインポートするための画像データ入力手段と、前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示エリアに適合させて表示し、表示したX線画像に対する関心領域の指定を受け付ける表示操作手段と、指定された前記関心領域の前記表示エリアにおける位置座標を変換規則に従って、3次元座標情報に変換する座標処理手段と、前記3次元座標情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う撮影制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記表示操作手段は、前記変換規則を選択するための操作を受け付けることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項3において、前記表示操作手段は、前記X線画像を前記所定の表示エリアに適合させるために、画像の拡大縮小操作を受け付けることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記スカウトビューは、被写体のパノラマ画像であることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記スカウトビューは、被写体の2方向透視画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の第1の発明では、他のX線撮影装置からインポートしたXに対する関心領域の指定と、X線画像データと共にインポートした属性情報に基づいて、被写体と、X線発生器、X線検出器とを相対的に移動させ、関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段を備えている。この属性情報は、少なくともインポートされるX線画像データにおける特定の位置の2次元位置を局所CT撮影のための3次元位置座標に変換することを可能とする情報を含んでいる。従って、本X線CT撮影装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データをスカウトビューに用いても、撮影位置が正確に決定されるという効果がある。
ここに、属性情報としては、画像の種別、画像サイズ、撮影装置の機種等が考えられるが、被写体に応じて選択した撮影パターンの識別情報に代表される撮影情報を含めておくことが望ましい。なお、X線CT撮影装置製造元と、スカウトビューとすべきX線画像を撮影するX線撮影装置の製造元が同一であれば、属性情報を単純なコードとしてもよい。また、X線画像データ、属性情報は、1つのファイルにまとめられていても、それぞれ独立したファイルであってもよい。
【0012】
請求項2に記載の第2の発明では、他のX線撮影装置のX線検出器を装着可能な装着手段を備えているので、本X線CT撮影装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器であってもスカウトビュー取得のために利用することができ、X線CT撮影装置と、他のX線撮影装置とを院内LAN等で接続しておく必要がない。もちろん、装着した他のX線撮影装置のX線検出器の内部に取り込まれ、保存されたX線画像データをスカウトビュー用にインポートするように構成することは可能である。
【0013】
請求項3に記載の第3の発明では、X線画像のみをインポートし、関心領域の位置を、変換規則に従って、3次元座標情報に変換するが、変換規則は、請求項4に記載しているように、操作によって選択するようにしても、デフォルトの変換規則を常に選択するようにしてもよい。この構成では、X画像の属性データをインポートしなくて済むので、必要な属性情報が得られないX線撮影装置で撮影したX線画像データでもスカウトビューとして利用することができる。
【0014】
特に請求項5に記載の発明では、スカウトビューとして表示したX線画像の拡大縮小操作が可能なので、撮影したX線画像での被写体の画像の広がり具合が異なっていても、被写体の画像の広がり具合を調整することにより、関心領域の位置座標を、局所CT撮影のための3次元位置座標に変換する際の誤差を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、患者の顎顔面、特に歯列弓に設定した関心領域を局所CT撮影するX線CT撮影装置を例として説明するが、本発明によるX線CT撮影装置は、対象が顎顔面に限られるものではなく、例えば、顎関節、内耳部を対象としてもよい。また、人体ではなく、例えば樹脂製品の非破壊検査を行うなどの工業的用途にも応用できる。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明を適用したX線CT撮影装置M10の基本構成を説明する機能ブロック図である。X線CT撮影装置M10は、X線CT撮影装置本体M11と、X線CT撮影装置本体M11を制御し、撮影したX線画像を表示する機能を有したX線CT画像表示装置M12とで構成されている。
一方、X線撮影装置M20は、X線CT撮影装置M10と同様に、X線撮影装置本体M21と、X線撮影装置本体M21を制御する機能を有したX線画像表示装置M22とで構成され、院内LAN等によって、X線撮影装置M20に接続されている。
【0017】
X線CT撮影装置本体M11は、X線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体oとされる顎顔面を保持する被写体保持手段40と、支持手段30ないし被写体保持手段40を駆動する駆動部60と、撮影装置本体制御部70とを備えており、撮影装置本体制御部70には操作パネル74が付加されている。そして、操作パネル74、あるいはX線CT画像表示装置M12からの指令に従って、歯顎顔面の一部を局所CT撮影する機能を有しており、各種指令や座標データ等を表示装置M2から受信する一方、撮影した画像データをX線CT画像表示装置M12に送信する。
更に、本発明の特徴として、X線撮影装置M20等の外部機器から歯顎顔面の全体的なパノラマ画像、あるいは2方向透視画像を属性情報と共にインポートして、局所CT撮影すべき関心領域rを指定するためのスカウトビューとして表示する機能を備えている。
上述のパノラマ画像、2方向透視画像は共にX線画像データの1例である。電子的信号の形でインポートする場合のほか、従来のフィルムに撮像したX線画像や紙面にハードコピーされたX線画像などの形でインポート場合も考えられる。後者の場合は、例えばX線CT画像表示装置M12側でコンピュータやワークステーションに接続したスキャナーでX線画像をスキャンして電子的信号の形に変換して表示する構成が考えられる。
【0018】
2方向透視画像は、支持手段30が回転角A°の状態で撮影した被写体oのX線透視画像p#31と、支持手段30が回転角A°とは異なる回転角B°の状態で撮影した被写体oのX線透視画像p#32からなる。別の回転角の状態での透視画像を更に得てもよく、2以上の複数の方向からの透視画像であればよい。
本出願人の出願に係る特開2004−329293に開示されるX線CT撮影装置の構成は、2方向透視画像をスカウトビューとして用いる例の1つである。
【0019】
X線発生部10は、X線コーンビームCBを照射するX線管等からなるX線発生器11と、X線コーンビームCBの広がりを規制するスリット等からなる照射野制御手段12とで構成される。
X線検出部20は、2次元的に広がったCCDセンサ等からなるX線検出器21を設けたカセット22を自在に着脱できる装着手段として構成されている。このカセット22のように、X線検出器21と一体になってX線CT撮影装置本体またはX線撮影装置本体に装着される、X線画像データをX線CT撮影装置本体またはX線撮影装置本体に出力可能な部分を、本願ではX線検出ユニットと呼ぶ。従って、他のX線撮影装置において、スカウトビューすべきX線画像を撮影し、そのX線画像データを記憶したカセット22を装着すれば、そのカセット22から、X線画像データや属性データをインポートすることも可能である。
X線検出部20は、必ずしもカセット22を着脱できる構造にしなくともよい。
要はX線画像データがアウトポートできる態様になっていればよく、X線検出器21がX線検出部20に固定され、着脱できない構造である場合も考えうる。
また、例えば、X線撮影装置M20にはCT撮影機能がなく、X線CT撮影装置M10には例えばパノラマ撮影機能または2方向透視画像の撮影機能が無いという例も考えうる。
この場合、スカウトビューとなるX線画像データの取得はX線撮影装置M20で行い、X線CT撮影装置M10側でこのスカウトビューを用いて局所CT撮影を行うという分担が可能である。
【0020】
駆動部60は、支持手段30の旋回軸30cないし被写体保持手段40を協働して水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yと、支持手段30ないし被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zと、支持手段30を回転させる旋回用モータ60rとを備えており、本発明においては、被写体oと、X線発生器11、X線検出器21とを相対的に移動させて、局所CT撮影の目標部位である関心領域rをX線発生器11、X線検出器21の旋回中心とする撮影位置に位置制御するための位置制御手段を構成する。
この位置付けは、支持手段30の旋回軸30cをX軸、Y軸、Z軸の3方向に移動させることによって行われる。
【0021】
なお、図1に示した例では、駆動部60が支持手段30と被写体保持手段40の双方を駆動する構成を示しているが、例えばZ軸モータ60zが支持手段30に対しても被写体保持手段40に対しても1つずつ設けられるようにすると、Z軸モータ60zが2つ必要になる。そのような重複を避けるため、次のように、X軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60z、旋回用モータ60rのそれぞれ1つずつが支持手段30と被写体保持手段40のいずれかに割り振られて設けられる構成にすれば、必要最小限の装備で被写体oに対する支持手段30のX軸、Y軸、Z軸の3方向の相対的移動、相対的回転が実現できる。
【0022】
構成例1…支持手段30の旋回軸30cを水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60zのみ設け、被写体保持手段40を移動させる駆動部は設けない。
構成例2…支持手段30の旋回軸30cを水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
構成例3…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
構成例4…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60z、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yのみ設ける。
構成例5…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、支持手段30を昇降させるZ軸モータ60z、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60yのみ設ける。
構成例6…支持手段30を回転させる旋回用モータ60r、被写体保持手段40を水平移動させるX軸モータ60x、Y軸モータ60y、被写体保持手段40を昇降させるZ軸モータ60zのみ設ける。
以上の構成例の他に、様々な構成例が考えられる。
例えば、上記構成例1〜6は被写体保持手段40を回転させない例であり、被写体oが人間や動物である場合に「めまい」などを起こさせないので好適であるが、被写体oが材料や機械などである場合は被写体保持手段40を旋回用モータ60rで回転させるようにしてもよい。
また、上記構成例1〜6はX軸モータ60x、Y軸モータ60yが一組になって支持手段30と被写体保持手段40のいずれかに設けられ、既存のX−Y機構を用いることができる例であるが、例えばX軸モータ60x、Y軸モータ60yのうち一方を支持手段30の旋回軸30cの移動に用い、他方を被写体保持手段40の移動に用いるようにしてもよい。むろん、X軸モータ60x、Y軸モータ60y、旋回用モータ60r、Z軸モータ60zの少なくともいずれかが、支持手段30と被写体保持手段40の双方を移動させる構成でもよく、支持手段30に対して1つ、被写体保持手段40に対しても1つ合計2つ設けられてもよい。
【0023】
撮影装置本体制御部70は、局所CT撮影の制御を行う撮影制御手段として機能するもので、駆動部60を制御する制御プログラムを含んだ各種制御プログラムを実行するCPU71と、X線発生部10を制御するX線発生部制御手段72と、X線検出部20を制御するX線検出部制御手段73とを備えている。撮影装置本体制御部70に付加された操作パネル74は、小型液晶パネルや複数の操作釦で構成されている。
【0024】
X線CT画像表示装置M12は、例えばコンピュータやワークステーションで構成され、表示装置本体80には、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる表示手段88や、キーボード、マウス等で構成された操作手段86が付加されている。表示手段88および操作手段86は、X線撮影装置M20等の外部装置からインポートしたX線画像データをスカウトビューとして表示し、表示したX線画像に対する関心領域rの指定操作を受付ける表示操作手段として機能する。もちろん、表示手段88に表示された文字や画像の上でのマウスでのポインタ操作等を通じて、撮影指令等の各種指令を与えることが可能である。なお、表示手段88はタッチパネルで構成することもできるが、この場合は、操作手段86を兼ねることになる。
【0025】
表示装置本体80は、各種プログラムを実行するCPU81と、ハードディスク等で構成され、各種撮影データや画像等を記憶する記憶手段82と、座標計算を行う座標処理手段83と、局所CT撮影データから局所CT画像を画像生成手段84と、例えばネットワーク通信手段で構成された画像データ入力手段85とを備えている。この画像データ入力手段85を通じて、スカウトビューとして表示すべき被写体oのX線画像データとその属性情報とが、X線撮影装置M20等からインポートされる。
画像データ入力手段85の態様はX線画像データのインポートの態様にしたがって、様々である。
例えばX線画像データがCD−ROMに記録されている場合はコンピュータやワークステーションのCD−ROM読み取り機構が画像データ入力手段85であり、院内LANを通してインポートする場合はその回線やポートなどが画像データ入力手段85であり、前述のようにフィルムに撮像したX線画像や紙面にハードコピーされたX線画像などをスキャナーでスキャンする場合はそのスキャナーが画像データ入力手段85である。
本願においては、画像データ入力手段85は画像データの属性情報をインポートする手段でもあるので、後述のように、属性情報を、操作手段86を用いて操作入力する場合は、操作手段86が画像データ入力手段85の一部を成すことになる。
座標計算手段は、指定された関心領域rの、スカウトビューとして表示されたX線画像における位置座標を、属性情報に基づいて、局所CT撮影のための3次元位置座標に変換して、局所CT撮影を行うべき撮影対象領域を決定する。
【0026】
X線撮影装置M20を構成するX線撮影装置本体M21は本発明に係る機能として、患者の顎顔面の全体的なパノラマ画像あるいは2方向透視画像を撮影する機能を有しており、X線画像表示装置M22は、X線撮影装置本体M21を制御する機能を有する。
X線撮影装置M20の内部構成は図示していないが、基本的には、X線CT撮影装置M10と同様の構成要素を有している。X線撮影装置M20はCT撮影機能が無いものでもよく、スカウトビューとなるX線画像の撮影ができればよい。例えば、パノラマ画像撮影と2方向透視画像撮影のいずれかのみしか撮影できないものでもよい。
【0027】
X線撮影装置M20が、パノラマ画像撮影の可能な装置である場合、X線発生部は、患者の顎顔面を走査撮影するために、幅が狭い細隙X線ビームを照射するようになっており、X線検出部は、その細隙X線ビームを受けるX線検出器を備える。X線検出器は、X線検出部に対して着脱自在のカセットに形成されてもよい。X線検出器をX線検出部に対して着脱自在の構造とした場合、後述するようにそのX線検出器をX線CT撮影装置M10のX線CT撮影装置本体M11に装着してX線撮影に用いる構成もありうる。
なお、X線撮影装置M20は、X線CT画像撮影装置M10にX線画像データと、その属性情報とをエクスポートする外部装置の一例として示したものに過ぎず、外部装置は、例えば、複数のX線撮影装置が撮影したX線画像データを集約して蓄積する画像蓄積装置としてもよい。
【0028】
X線撮影装置M20がエクスポートするX線画像には、パノラマ画像、2方向透視画像などの種別がある。また、その属性情報としては、画像の種別、画像サイズ、撮影装置の機種等が考えられるが、X線撮影装置M20が、そのX線画像を撮影するために選択した撮影パターンの識別情報等の撮影情報を含めておいてもよい。なお、X線CT撮影装置M10の製造元と、X線撮影装置M20の製造元が同一であれば、属性情報を単純なコードとしてもよい。また、X線画像データ、属性情報は、1つのファイルにまとめられていても、それぞれ独立したファイルであってもよい。
【0029】
パノラマ画像の撮影は、被写体保持手段40によって、患者の顎顔面を所定の位置に保持した状態で行われるが、患者の顎顔面、歯列弓DAの大きさや形状には個人差がある。
理想的には患者ごとの歯列弓DAの大きさ、形状を把握して、各歯列弓のパノラマ断層に該当する部分すなわち歯列弓モデルdmを設定すればよいのであるが、実際には患者ごとに歯列弓DAを測定することは煩瑣である。そのため、一般的な形状の歯列弓を想定し、その歯列弓のパノラマ断層に該当する部分を一般的な歯列弓モデルdmとして設定してもよい。多数の人は概ね一般的な歯列弓モデルdmを想定してパノラマ撮影しても特に差支えなく撮影できる。
もっとも、サイズをそれぞれ異ならせた複数の3次元的な歯列弓モデルを仮定して、それぞれの歯列弓モデルに対して最適化した撮影パターン(X線発生器11、X線検出器21の軌道データや、それらの移動速度等)を予め用意しておき、撮影時に、患者に対して最適な撮影パターンを選択するようにして、一般的な歯列弓モデルdmのバリュエーションを増やしてもよい。この場合、所定の位置にある患者の顎顔面を、選択した撮影パターンに従って撮影することになるので、これから得られたパノラマ画像では、歯列弓DAの各部の像は、予め予測された位置、つまり対応した歯列弓モデルを撮影したとして計算される位置に、誤差が生ずるとしても、実際の歯列弓DAと歯列弓モデルとの差分程度の誤差で分布する。
【0030】
図13(a)は、被写体保持手段40と被写体oとの位置関係を説明するための斜視図、図13(b)は、被写体保持手段40と歯列弓モデルdmとの位置関係を説明する斜視図である。
【0031】
X線発生器11およびX線検出器21は、図においてチンレスト40aで示される被写体保持手段40に被写体oである患者の顎が載置された状態で、患者の歯列弓のパノラマ断層に該当する部分すなわち歯列弓モデルdmの断層画像が撮影できるように移動軌跡が設定されている。従って、歯列弓モデルdmは、被写体保持手段40に対し、3次元空間中の固定的な位置を占めている。患者は、図示のようにチンレスト40aに顎を載置することで被写体保持手段40に固定され、良好にパノラマ断層の撮影ができる。X線CT撮影装置M10でパノラマ撮影が可能である場合、パノラマ断層の位置すなわち歯列弓モデルdmはX線CT撮影装置本体M11に対する3次元空間中に特定されるので、歯列弓モデルdmの位置は、3次元的な座標の座標情報として把握できる。
このことは、X線撮影装置M20でパノラマ撮影を行う場合、X線撮影装置M20においても同様である。X線撮影装置本体M21の存在する3次元空間において、X線撮影装置M20用の歯列弓モデルdmの位置は、3次元的な座標の座標情報として把握できる。
【0032】
図2は、パノラマ撮影の方法を説明する平面図で、歯列弓DAに対するX線発生器11とX線検出器21の位置関係は、歯列弓DAを挟んでX線発生器11とX線検出器21が旋回することにより左顎にX線照射する位置から前歯中央にX線照射する位置まで位置LC1、LC2、LC3の順に変位していく。なお、曲線ENは、X線細隙ビームNBの軌跡によって描かれた包絡線であり、X線発生器11とX線検出器21は、歯列弓DAを間に挟んだ状態で支持手段30が移動する旋回軸30c、旋回軸30cの延長線30c1を中心に旋回しつつ変位していく。パノラマ撮影では、歪みを防止する目的で、歯列弓DAの被撮影部分と、X線発生器11、X線検出器21との距離を一定に保つ必要があるため、X線発生器11、X線検出器21の旋回中心は撮影が進行するに従って逐次移動するが、歯列弓DAの形状によってその軌跡は異なる。従って、例えば歯列弓DAのサイズ、形状が異なれば、それぞれの歯列弓DAに対応する3次元歯列弓モデル毎に軌道データを最適化した個別の撮影パターンが必要とされる。
【0033】
図11はパノラマ撮影の様子を模式的に示した図である。
照射野制御手段12には撮影の目的ごとに異なるスリットが設けてあり、X線ビームBを横切って変位し、用いるスリットの選択ができる。図示の状態ではX線ビームBを細隙X線ビームNBになるよう規制する細長いスリットが選択されている。細隙X線ビームNBは歯列弓DAを透過してX線検出器21のX線検出面で検出される。
【0034】
なお、2方向透視画像に関しても、複数の歯列弓モデル毎に、その形状に最適化した撮影パターンを予め用意しておき、撮影時に、患者に対して最適な撮影パターンを選択すれば、透視画像において歯列弓DAの各部の像が予め予測された位置に広がることになる。
【0035】
X線CT撮影装置M10は、X線撮影装置M20がエクスポートしたパノラマ画像や2方向透視画像等のX線画像データと、その属性情報とをインポートし、そのX線画像をスカウトビューとして用いるが、以下、インポートしたX線画像をスカウトビューとして使用する位置付け方法の原理を説明する。
【0036】
X線撮影装置M20では、上述のような1つまたは複数の歯列弓モデルdmを基にX線撮影を行っている。例えば、サイズをそれぞれ異ならせた複数の歯列弓モデルを仮定して、それぞれの歯列弓モデルに対して最適化した撮影パターンを選択して撮影を行っているが、X線撮影装置M20で用いている歯列弓モデルdmのサイズ、形状が属性情報により特定できれば、スカウトビューとして表示したX線画像における歯列弓DAの像に対して指定する2次元位置座標をX線CT撮影装置本体M11における3次元位置座標(3次元座標情報)に変換できる。
X線撮影装置M20で用いている歯列弓モデルdmと同じ歯列弓モデルdmをX線CT撮影装置M10にも導入し、患者の歯列弓DAを、インポートした属性情報によって特定される3次元歯列弓モデルで代表することにより処理するようにしてもよい。
すなわち、座標処理手段83は、スカウトビューとして表示したX線画像における歯列弓DAの像への位置指定を、3次元的な歯列弓モデルを2次元に展開または投影した平面像への位置指定とみなすことにより、その位置指定された点を、X線CT撮影装置本体M11における3次元位置座標に変換して特定する。
すなわち、指定された関心領域rのX線画像における2次元位置座標を、属性情報に基づいて選択した変換規則に従って、局所CT撮影のための3次元位置座標に変換して特定する。
今、指定された関心領域rの中心部分の座標(関心領域rを点で指定する場合はその点の座標である)を変換して特定した局所CT撮影のための3次元位置座標を、座標Pc(xc、yc、zc)で示すことにする。
座標処理手段83は、局所CT撮影を行うべき対象となる領域すなわち撮影対象領域が座標Pc(xc、yc、zc)の周辺であることを決定する。この場合関心領域rがなるべく撮影対象領域に含まれるよう、撮影対象領域の中心が座標Pc(xc、yc、zc)に来ることが望ましい。
前記駆動部60のX軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60zの駆動により、被写体oないし被写体保持手段40に対し、支持手段30が相対的に移動し、これにより被写体oないし被写体保持手段40に対してX線発生器11、X線検出器21が相対的に移動して、局所CT撮影開始位置に来る。次いで、座標Pc(xc、yc、zc)を中心にX線発生器11、X線検出器21が旋回して局所CT撮影を行う。
すなわち、支持手段30は位置制御手段として機能する駆動部60の位置制御により位置付けされ、撮影対象領域の局所CT撮影を行う。
X線撮影装置M20で用いている歯列弓モデルdmと同じ歯列弓モデルdmをX線CT撮影装置M10にも導入して用いる場合は、X線CT撮影装置M10の歯列弓モデルdmにおける3次元位置座標に変換するが、この変換規則は、歯列弓モデルに対して一意なので、歯列弓モデルdmのサイズ、形状が異なる場合はそれぞれの歯列弓モデル毎に準備しておく必要がある。
【0037】
従って、歯列弓モデル毎に、関心領域rのX線画像における2次元的な位置座標を、当該歯列弓モデルにおける3次元位置座標に変換する変換規則を、関数、あるいは参照テーブルとして予め準備しておけば、属性情報に含まれた撮影情報、つまり撮影パターンの識別情報に基づいて、最適な変換規則を選択することができる。
なお、関心領域rの歯列弓モデルにおける3次元位置座標は、歯列弓モデルに設定した原点に対するオフセットとして算出することができる。
そして、局所CT撮影の準備段階で、その歯列弓モデルの原点が所定の位置となるように、被写体保持手段40によって被写体oを位置付けし、かつ、X線発生器11、X線検出器21の旋回中心点が、算出されたオフセットの位置となるように、X線発生器11、X線検出器21を位置付けする。
【0038】
図12は局所CT撮影の様子を模式的に示した図である。
図示の状態ではX線ビームBがX線コーンビームCBになるよう規制する正方形または略正方形のスリットが選択されている。
X線コーンビームCBは歯列弓DAを透過してX線検出器21のX線検出面で検出される。
X線コーンビームCBでCT撮影される領域(撮影対象領域)は、図示のrrで示される略円筒形の領域である。前述のX軸モータ60x、Y軸モータ60y、Z軸モータ60zの駆動により、被写体oを支持手段30に相対的に位置付け、関心領域rと領域rrが重なるようにして局所CT撮影する。
図示の例では、局所CT撮影用の正方形または略正方形のスリットが、照射野制御手段12において異なる高さで設けられている。このスリットを選択することにより、X線検出器21の検出面に対する局所CT撮影用のX線コーンビームCBの旋回軸30cと平行な方向への照射方向を変更することができる。
この構成は、被写体保持手段40に対する支持手段30の高さが変わらない構造のX線CT撮影装置の場合でも、被写体oの中の高さの異なる部位の局所CT撮影を可能にする。
【0039】
スカウトビューに2方向透視画像を用いる場合、必ずしも歯列弓モデルdmは必要ない。
2方向透視画像の一方で指定された特定位置の2次元座標、他方で指定された特定位置の2次元座標があれば空間的3次元座標は特定するからである。ただし、関心領域rのX線画像における2次元的な位置座標をX線CT撮影装置本体M11における3次元位置座標に変換する変換規則は必要である。
【0040】
ここで、属性情報と変換規則の定め方の例を述べる。
X線CT撮影装置M10において、X線撮影装置M20で撮影したパノラマ画像に対しては、ある変換規則R1が準備されているとする。そこにX線撮影装置M20で撮影したパノラマ画像がX線CT撮影装置M10にインポートされてくるとする。この場合、属性情報としては、画像がパノラマ画像であることと、撮影した装置がX線撮影装置M20であることが含まれていれば足りる。X線CT撮影装置M10側では、この属性情報に基づいて、変換規則R1を選択する。
X線CT撮影装置M10において、別のX線撮影装置で撮影した画像に関する変換規則が準備されていない場合でも、X線画像と共に変換規則自体が属性情報としてインポートされてくれば、インポートされた変換規則に基づいて3次元位置座標の変換が可能である。
【0041】
3次元位置座標の変換には、必ずしもその都度幾何学的な演算をしなくともよい。
例えば、スカウトビューに上で指定される位置の2次元位置座標とX線CT撮影装置本体M11側でCT撮影のために関心領域rに対して支持手段30を相対的に位置付けするための3次元位置座標とを対応付けしたテーブルを準備する構成も可能である。
この場合、例えば、スカウトビューに上で指定される位置の座標が(xa、ya)という特定の2次元位置座標である場合は、CTの撮影対象領域中心(撮影対象領域)の座標がX線CT撮影装置本体M11において(xa´、ya´、za´)という特定の3次元位置座標となるよう、支持手段30を移動制御する。同様に、2次元位置座標(xb、yb)に対しては、3次元位置座標(xb´、yb´、zb´)、2次元位置座標(xa、yb)に対しては、3次元位置座標(xa´、yb´、zb´)…のように定めたテーブルを準備する。
【0042】
次いで、本発明の別の構成を説明する。上記構成では、X線CT撮影装置M10は、X線画像データと、その属性情報とをインポートしていたが、X線画像データのみをインポートするようにしてもよい。
この構成では、画像データ入力手段85は、外部装置等からX線画像データをインポートし、表示手段88はそのX線画像をスカウトビューとして所定の表示エリアに適合させて表示し、操作手段86は表示したX線画像に対する関心領域rの指定を受け付け、座標処理手段は、指定された関心領域rの表示エリアにおける位置座標を、予め選択した変換規則に従って、被写体oの局所CT撮影のための3次元座標に変換して、局所CT撮影を行うべき撮影対象領域を決定する。そして、オペレータが、操作手段86で属性情報を操作入力するようにしてもよい。この場合、その操作入力された属性情報から、変換規則を選択することができる。
【0043】
また、X線CT撮影装置M10では、属性情報を入力せずに、デフォルトの変換規則を常に使用するようにしてもよい。このとき、任意のX線撮影装置M20で撮影したX線画像における歯列弓DAの各部の像の広がり具合は一様ではないので、表示エリア内に歯列弓DAの像が望ましい状態に広がるように、操作手段86では、X線画像の拡大縮小操作を受け付けることが望ましい。なお、表示エリアでは、顎骨の基準輪郭線等を、X線画像にオーバーレイ表示させれば、それを拡大縮小の目安にできる。このように、デフォルトの変換規則に従って、関心領域rの位置座標を、デフォルトの歯列弓モデルにおける3次元位置座標に変換した場合、実際の歯列弓DAと、歯列弓モデルとの不一致により、最終的な位置付けに誤差が予測されるが、関心領域rが充分な広がりを有していれば、実用上は大きな問題にはならない。
【0044】
図3は、上記原理に基づいた処理手順をより具体的に示したフローチャートである。
この手順では最初に、X線画像データと属性情報とをインポートする処理(A)か、X線画像データをインポートし属性情報は操作入力する処理(B)か、X線画像データをインポートしデフォルトの変換規則を使用する処理(C)かの選択を受け付けて判別している(101、102)。
(A)が選択された場合と、(B)が選択された場合とでは、属性情報をインポートする(104)か、操作入力する(112)かという点に相違があるだけで、それ以外は共通した手順になっており、インポートまたは操作入力された属性情報に基づいて変換規則を選択する(105)。
これに対して(C)が選択された場合には、デフォルトの変換規則を使用する点(114)と、表示したX線画像に対する拡大縮小操作を行うことができるところ(116)に特徴がある。
【0045】
図4は、フローチャートのステップ(106)または(115)において、スカウトビューとして表示されたパノラマ画像の例で、実際には3次元的に湾曲した歯列弓DAが、平面的に展開表示されている。このパノラマ画像1上には、オペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示されており、関心領域rは、それらの交点の位置に指定される。関心領域rは、この図では四角形の枠として示されているが、これは、実際には円柱形状の関心領域rを横から見たときの輪郭線を表したものである。
この四角形の枠が、CT撮影の対象領域の大きさと一致またはほぼ一致していれば、どの範囲がCT撮影されるか目視確認できるので、更に至便である。
図4においては、関心領域rの指定を表示画像上のカーソル操作で行っているが、他の例としては、歯牙の箇所別の指定ができる入力手段を準備し、スカウトビューを観察して局所CT撮影が必要と考えられる箇所の歯牙の指定ができるようにする構成も考えられる。例えば表示されたパノラマ画像を観察し、局所CT撮影が必要と判断される歯牙が右上の一番奥であれば、歯列弓のうち、右上一番奥に予め付されたコードの入力やスイッチのONを行う構成である。
【0046】
図5は、フローチャートのステップ(106)または(115)において、スカウトビューとして表示された2方向透視画像の例で、正面、側面の2つのX線透視画像に、それぞれにオペレータの移動操作に応じて移動する水平カーソルhcと、垂直カーソルvcとが重ねて表示されており、関心領域rは、それらの交点の位置に指定される。ここに関心領域rは、上記と同様に、円柱形状を横から見たときの輪郭線が四角形の枠として示されている。
この四角形の枠が、局所CT撮影の対象領域の大きさと一致またはほぼ一致していれば至便である点は上記と同様である。
図5においては、関心領域rの指定を表示画像上のカーソル操作で行っているが、他の例としては、歯牙の箇所別の指定ができる入力手段を準備し、スカウトビューを観察して局所CT撮影が必要と考えられる箇所の歯牙の指定ができるようにする構成も考えられる。これは図4の場合と同様である。
【0047】
図6は、フローチャートのステップ(110)において実行する局所CT撮影の方法を示す平面図である。このとき、支持手段30の旋回軸30cは、ステップ(108)において変換された3次元位置座標に従って、ステップ(109)においてよって位置付けされている。局所CT撮影中、X線発生器11、X線検出器21は、静止した旋回軸30cの延長線30c1の周りを円軌道に従って旋回する。
局所CT撮影(局所照射X線CT撮影、部分CTX線撮影)は、被写体oの一部の部位のCT撮影を行うものであり、CT画像の再構成に必要な、常にX線ビームを照射する箇所すなわちCT撮影対象部位が被写体oの一部である撮影である。X線照射方向の前後にCT撮影対象部位以外の部位が存在しても支障なくCT撮影対象部位のCT画像再構成が可能である。局所CT撮影については、本出願人の出願に係る特開2000−139902公報や、特開平10−225455記載の構成を用いることができる。
局所CT撮影によると、被写体oのうち、必要最小限の部分にのみX線照射してCT撮影が可能であるので、被写体の全体にX線照射するCT撮影に比べて被曝X線量を飛躍的に抑えられるという長所がある。
【0048】
図7は、局所CT撮影により得られたCT画像の例で、公知の手順を用いてCT撮影データから生成した互いに直交したX断層面、Y断層面、Z断層面の断層面画像と、ボリューム画像とが表示されている。
ここで、カーソルxc、yc、zcのいずれかが移動操作されたときには、対応した断層面画像を、カーソルxc、yc、zcの移動後の位置における断層面画像に変更表示する。
【0049】
ここで、属性情報と変換規則との関連を説明する。
変換規則は、特に定められた形式はなく、様々な態様の規則が考えられる。例えば、幾何学的な関数である場合も、前述のテーブルの例のように、特定の位置と、特定の位置とを対応付けた場合もあり得る。
もちろん、X線画像データがパノラマ画像のデータである場合と、2方向透視画像のデータである場合とでは、X線画像上で指定される点ないし位置の2次元位置座標と、変換後の3次元位置座標との対応関係が全く異なるので、別の変換規則によらなければならない。
なお、歯列弓DAのサイズ、形状が同じであっても、X線CT撮影装置M10が用いる歯列弓モデルdmとX線撮影装置M20が用いる歯列弓モデルdmのサイズ、形状が微妙に異なることはありうる。
仮に、X線CT撮影装置M10が用いる歯列弓モデルdmとX線撮影装置M20が用いる歯列弓モデルdmとがサイズ、形状において異なる場合であっても、適切な変換規則を用いる限り、上述のように2次元的な位置座標の3次元位置座標への変換が可能である。
【0050】
属性情報によってスカウトビューとなるX線画像の取得に用いられた歯列弓モデルdmのサイズ、形状、位置が特定され、この特定された歯列弓モデルdmに適合する変換規則が選択されるという例は、属性情報と変換規則との典型的な組合せ例である。
また、上述の記載から理解されるように、属性情報とは、少なくともインポートされるX線画像データにおける特定の位置の2次元位置を局所CT撮影のための3次元位置座標に変換することを可能とする情報であり、その目的が達成できるのであればよい。
属性情報も特に定められた形式はなく、様々な態様の情報が考えられる。例えば、上述のように撮影パターンが属性情報である場合もあり、断層の形状が属性情報となる場合もあり、X線撮影装置の製造番号が属性情報となる場合もあり得る。
また、パノラマ撮影には大人用、子供用、顎関節用など、断層のサイズや形状、位置が異なるタイプ別の撮影があるが、このタイプごとにコードを付しておき、インポートされるX線画像がどのタイプのパノラマ撮影であるかを示すコードが属性情報としてインポートされる場合もある。
また、例えばパノラマ撮影に用いたセンサがTDI制御のCCDセンサである場合、TDIクロックの周波数や支持手段(旋回アーム)30の旋回角度ごとの旋回速度も属性情報となり得る。
また、上述のように変換規則自体が属性情報となる場合もあり得る。
上記構成の基本思想は、次のとおりである。
X線撮影装置M20で撮影された被写体oの部位opのX線撮影装置本体M21における空間的3次元位置座標例えばPm2(xm2、ym2、zm2)が特定できれば、同じ被写体oをX線CT撮影装置本体M11に固定した場合に、部位opのX線CT撮影装置本体M11における空間的3次元位置座標例えばPm1(xm1、ym1、zm1)も特定できる。
X線撮影装置M20で撮影した被写体oのX線画像データがある場合、そのX線画像データ上に示される部位opのX線撮影装置本体M21における空間的3次元位置座標Pm2は、X線画像データがパノラマ画像である場合は、X線撮影装置M20において撮影に用いた歯列弓モデルdmの情報と撮影されたパノラマ画像における2次元位置座標の指定があれば特定できる。また、3次元位置座標Pm2は、X線画像データが2方向透視画像である場合は、X線撮影装置M20において撮影された2方向透視画像のそれぞれにおける2次元位置座標の指定があれば特定できる。
その同じ被写体oをX線CT撮影装置本体M11に固定した場合、部位opのX線CT撮影装置本体M11における空間的3次元位置座標Pm1も特定できるので、座標Pm1を目標とする局所CT撮影が可能である。
Pm2と座標Pm1との対応は演算してもよいし、予めテーブル化しておいてもよい。
【0051】
ここで、本発明を適用したX線CT撮影装置M10のより具体的な例を説明する。
図8(a)、図8(b)はそれぞれ、X線CT撮影装置本体M11の正面図と、側面図である。X線CT撮影装置本体M11は、旋回用モータ60rを内蔵した旋回アームとして構成され、かつその両端にX線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30と、被写体oである人体の頭部を固定するホルダを備えたシート状に形成された被写体保持手段40とを備えており、この支持手段30、被写体保持手段40は、アーチ状に形成された固定フレーム90に変位可能に取り付けられている。
X線CT撮影装置本体M11は、ワークステーション等で構成されたX線CT画像表示装置M12に通信ケーブルを介して接続され、双方向の通信が可能になっている。
支持手段30は、チェーン駆動部61により、図8(a)の縦方向の矢印で示すように上下に昇降可能な昇降フレーム91を介して、固定フレーム90に取り付けられており、その昇降フレーム91には、支持手段30の旋回軸30cを、図8(a)と図8(b)の横方向の矢印で示すように左右前後に水平移動させるXYテーブル62が内蔵されている。
被写体保持手段40は、図8(a)の縦方向の矢印で示すように上下に昇降可能な昇降手段63によって底部を下方から支持されており、固定フレーム90の底部には、その昇降手段63を、図8(a)、図8(b)の横方向の矢印で示すように左右前後に水平移動させるXYテーブル64が内蔵されている。
固定フレームの支柱部には、液晶モニタ、小型液晶パネル等で構成された表示手段88´や、複数の操作釦等で構成された入力手段74´を設けた操作パネル74が取り付けられている。
なお、旋回用モータ60r、チェーン駆動部61、XYテーブル62のX軸モータ60x、Y軸モータ60y、昇降手段63、XYテーブル64のX軸モータ60x、Y軸モータ60yは、駆動部60を構成している。
以上の構成により、被写体oが同一である限り、X線CT撮影装置M10とは異なるX線撮影装置M20のX線検出器21で取得したX線画像データであっても、スカウトビューとして利用できる。
【0052】
以上は、X線撮影装置M10とは異なるX線撮影装置M20のX線検出器21で取得した被写体oのX線画像データをインポートする場合の例であるが、次に述べるのは、X線撮影装置M10に、X線撮影装置M20のX線検出器21が装着可能となっている場合の例である。
図14(a)は、X線CT撮影装置M10に設けたX線検出部20の概略構造図で、このX線検出部20は、X線検出器21を形成するカセット22を交換可能に装着できるようにしている。
図14(b)、(c)、(d)は、交換可能に装着される3種類のカセット22の側面図であり、図14(e)、(f)、(g)は、交換可能に装着される3種類のカセット22の正面図である。ここに図14(a)〜(g)のカセット22は、X線検出器21の一例である。
X線検出部20には、X線検出器21を備えたカセット22を着脱自在に装着できるよう、装着部20xが備えられている。図示の例では装着部20xはカセット22の上下の辺が挿脱される溝からなる装着手段である。
装着部20xには、パノラマ撮影用のX線センサ(X線検出器)21Aを備えたパノラマ用カセット22A、CT撮影用のX線センサ(X線検出器)21Bを備えたCT撮影用カセット22Bが着脱交換自在である。カセット22Bは照射野制御手段12に規制された局所CT撮影用のX線コーンビームCBの照射野よりもはるかに広い検出面を備えている。
このカセット22Bの検出面を用いて前述の2方向透視画像の撮影も可能である。
2方向透視画像の撮影の場合、図11、12に示す照射野制御手段12のスリットのうち、もっとも広い正方形または略正方形のスリットが選択される。
【0053】
カセット22Bの代わりに、局所CT撮影用のX線コーンビームCBの照射野と略一致する程度の狭い検出面のX線センサ(X線検出器)21Cを備えた局所CT撮影専用のカセット22Cを装着してもよい。
X線CT撮影装置M10は、X線CT撮影装置M10用のカセット22Aでパノラマ撮影をすることもできるが、X線撮影装置M20用の図示しないパノラマ撮影用カセット22A´を装着してパノラマ撮影をすることもできる。X線撮影装置M20用の広い検出面のX線検出器を備えた図示しない2方向透視画像撮影用カセット22B´を装着して2方向透視画像撮影ができるようにしてもよい。
【0054】
図10は、X線CT撮影装置M10のX線検出部20が、X線撮影装置M20用のX線検出器21を装着できる構造になっている場合の処理手順を具体的に示したフローチャートである。
この手順では、ステップ(1010)で示すように、X線CT撮影装置M10用のX線検出器を装着するか、X線撮影装置M20用のX線検出器を装着するかで処理が分かれる。X線検出器21はカセット22に設けられるので、具体的には、スカウトビューにパノラマ画像を使用する場合は、カセット22Aを装着するか、カセット22A´を装着するかで分かれることになる。スカウトビューに2方向透視画像を使用する場合はカセット22Bを装着するか、カセット22B´を装着するかで分かれる。
図示のフローチャートは、スカウトビューにパノラマ画像を使用するものとし、カセット22Aを装着するかカセット22A´を装着するかで処理が分かれている。
カセット22の装着は手動で行っても、図示しない送り機構等を用いて自動的に行ってもよい。
ステップ(1020)、(2020)において、いずれのカセット22を装着するかで、それぞれ制御モードが選択される。
ステップ(1030)ではカセット22Aによるパノラマ撮影用の軌跡、例えば細隙X線ビームNBの移動軌跡またはX線発生器11とX線検出器21の移動軌跡が選択される。
ステップ(1050)ではカセット22Aでパノラマ撮影を行うべく、パノラマ撮影用のスリットが選択され、被写体oと支持手段(旋回アーム)30の相対的位置付けが行われる。
ステップ(1060)、(1070)でパノラマ撮影とパノラマ画像の表示を行う。
パノラマ画像はスカウトビューとして表示手段88等に表示される。
ステップ(1080)において、術者は表示されたパノラマ画像の上で関心領域rの指定を行う。
ステップ(1090)において、カセット22Aで撮影したパノラマ画像用に準備された変換規則にしたがって、関心領域rの位置座標が計算される。
ステップ(1100)において、局所CT撮影用にカセット22Bを装着する。
カセット22の装着は手動で行っても、図示しない送り機構等を用いて自動的に行ってもよい。局所CT撮影用に、スリットが選択される。
カセット22Bによる局所CT用の軌跡、例えばX線コーンビームCBの移動軌跡またはX線発生器11とX線検出器21の移動軌跡が選択される。
カセット22Bで関心領域rの局所CT撮影を行うべく、被写体oと支持手段(旋回アーム)30の相対的位置付けが行われる。
ステップ(1110)から(1130)において、局所CT撮影から画像再構成、表示まで行われる。
一方、ステップ(2030)ではカセット22A´によるパノラマ撮影用の軌跡、例えば細隙X線ビームNBの移動軌跡またはX線発生器11とX線検出器21の移動軌跡が選択される。
ステップ(2050)ではカセット22A´でパノラマ撮影を行うべく、パノラマ撮影用のスリットが選択され、被写体oと支持手段(旋回アーム)30の相対的位置付けが行われる。
ステップ(2060)、(2070)でパノラマ撮影とパノラマ画像の表示を行う。
パノラマ画像はスカウトビューとして表示手段88等に表示される。
ステップ(2080)において、術者は表示されたパノラマ画像の上で関心領域rの指定を行う。
ステップ(2090)において、カセット22A´で撮影したパノラマ画像用に準備された変換規則にしたがって、関心領域rの位置座標が計算される。
ステップ(1100)以降は前述と同じである。
【0055】
このフローチャートでは、スカウトビューとしてパノラマ画像を撮影する場合を中心に説明したが、2方向透視画像を撮影する場合も同様である。
その場合は、図10図示のステップ(1020)、(1030)、(1050)の「カセット22A」が「カセット22B」に、ステップ(2020)、(2030)、(2050)の「カセット22A´」が「カセット22B´」に替わり、それぞれのカセット22を用いて支持手段30の回転角を変更して撮影し、表示された2方向透視画像の上で関心領域rを指定する。
【0056】
図9は、本発明を適用したX線CT撮影装置M10の別例である。
このX線CT撮影装置本体M11は、図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、旋回用モータ60rを内蔵した旋回アームとして構成され、かつその両端にX線発生部10とX線検出部20とを対向させて支持した支持手段30を備えている。
基台91´に立設した支柱90´に対し、支持手段30を垂下した、上部フレーム91aと下部フレーム91bを前方に突出した略コの字形状の昇降フレーム91が図示しない昇降機構で昇降可能に設けられ、昇降フレーム91には図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、支持手段30の回転軸を水平移動させる図示しないXYテーブル62が内蔵されている。
下部フレーム91bは、被写体oである人間の頭部を左右から固定するイヤロッド、顎を固定するチンレストなどからなる被写体保持手段40を備える。
図9に示したX線CT撮影装置本体M11は、防X線室100内に収容され、防X線室100の壁の外側には、図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、小型液晶パネルを設けた操作パネル74が取り付けられている。
また、図9に示したX線CT撮影装置本体M11は、図8(a)、図8(b)に示したX線CT撮影装置本体M11と同様、X線CT画像表示装置M12を備え、通信ケーブルによってデータを送受信する構成になっている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明を適用したX線CT撮影装置の基本構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】パノラマ撮影の方法を説明する平面図である。
【図3】局所CT撮影ための本発明による処理手順を説明するフローチャートである。
【図4】スカウトビューとされるパノラマ画像の例である。
【図5】スカウトビューとされる2方向透視画像の例である。
【図6】局所CT撮影の方法を示す平面図である。
【図7】局所CT撮影により得られたCT画像の例である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ、本発明を適用したX線CT撮影装置の正面図と、側面図である。
【図9】本発明を適用したX線CT撮影装置の別例の斜視図である。
【図10】他のX線撮影装置用のX線検出器を装着できる実施例による処理手順を示したフローチャートである。
【図11】パノラマ撮影の様子を示した模式図である。
【図12】局所CT撮影の様子を示した模式図である。
【図13】(a)、(b)はそれぞれ、被写体保持手段と被写体との位置関係を説明するための斜視図、被写体保持手段と歯列弓モデルとの位置関係を説明する斜視図である。
【図14】(a)は、X線検出部の概略構造図で、(b)〜(d)は、交換可能に装着される3種類のカセットの側面図、(e)〜(g)はその側面図の各々に対応した正面図である。
【符号の説明】
【0058】
11 X線発生器
20 装着手段(X線検出部)
21 X線検出器
30 支持手段
60 位置制御手段(駆動部)
70 撮影制御手段(撮影装置本体制御部)
83 座標処理手段
85 画像データ入力手段
86、88 表示操作手段(操作手段、表示手段)
M10 X線CT撮影装置
M20 他のX線撮影装置
o 被写体
r 関心領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置において、
前記X線CT撮影装置とは異なるX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データと、該X線画像データの属性情報とをインポートするための画像データ入力手段と、
前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、
前記X線画像に対する前記関心領域の指定と、前記属性情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたX線CT撮影装置。
【請求項2】
X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置において、
前記X線CT撮影装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器を装着可能な装着手段と、装着された前記X線検出器によるX線撮影で取得した被写体のX線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、
前記X線画像に対する前記関心領域の指定に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたX線CT撮影装置。
【請求項3】
X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置において、
前記X線CT撮影装置とは異なるX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データをインポートするための画像データ入力手段と、
前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示エリアに適合させて表示し、表示したX線画像に対する関心領域の指定を受け付ける表示操作手段と、
指定された前記関心領域の前記表示エリアにおける位置を、変換規則に従って、3次元座標情報に変換する座標処理手段と、
前記3次元座標情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたX線CT撮影装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記表示操作手段は、前記変換規則を選択するための操作を受け付けることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記表示操作手段は、前記X線画像を前記所定の表示エリアに適合させるために、画像の拡大縮小操作を受け付けることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記スカウトビューは、被写体のパノラマ画像であることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記スカウトビューは、被写体の2方向透視画像であることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項1】
X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置において、
前記X線CT撮影装置とは異なるX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データと、該X線画像データの属性情報とをインポートするための画像データ入力手段と、
前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、
前記X線画像に対する前記関心領域の指定と、前記属性情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたX線CT撮影装置。
【請求項2】
X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置において、
前記X線CT撮影装置とは異なる他のX線撮影装置のX線検出器を装着可能な装着手段と、装着された前記X線検出器によるX線撮影で取得した被写体のX線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示し、表示した前記X線画像に対する関心領域の指定操作を受け付ける表示操作手段と、
前記X線画像に対する前記関心領域の指定に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたX線CT撮影装置。
【請求項3】
X線発生器とX線検出器とを対向配置させた支持手段を、前記X線発生器と前記X線検出器との間に配置した被写体に対して相対的に旋回させて、局所CT撮影を行うX線CT撮影装置において、
前記X線CT撮影装置とは異なるX線撮影装置のX線検出器で取得した被写体のX線画像データをインポートするための画像データ入力手段と、
前記X線画像データをスカウトビューであるX線画像として表示エリアに適合させて表示し、表示したX線画像に対する関心領域の指定を受け付ける表示操作手段と、
指定された前記関心領域の前記表示エリアにおける位置を、変換規則に従って、3次元座標情報に変換する座標処理手段と、
前記3次元座標情報に基づいて、前記被写体と、前記X線発生器、前記X線検出器とを相対的に移動させて、前記関心領域の局所CT撮影を行う位置制御手段とを備えたX線CT撮影装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記表示操作手段は、前記変換規則を選択するための操作を受け付けることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記表示操作手段は、前記X線画像を前記所定の表示エリアに適合させるために、画像の拡大縮小操作を受け付けることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記スカウトビューは、被写体のパノラマ画像であることを特徴とするX線CT撮影装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記スカウトビューは、被写体の2方向透視画像であることを特徴とするX線CT撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−5984(P2009−5984A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171173(P2007−171173)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
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