説明

p38の複素環式インヒビター

【課題】強力な、p38の活性化と関係した様々な状態の処置に有用なp38(p38−特異的インヒビターを含む)を開発すること。
【解決手段】本発明は、細胞増殖、細胞死、および細胞外刺激に対する応答に関与する哺乳動物のタンパク質キナーゼであるp38のインヒビターに関する。本発明はまた、これらのインヒビターの産生方法に関する。本発明はまた、本発明のインヒビターを含有する薬学的組成物、ならびに様々な障害の処置および予防において、これらの組成物を利用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、細胞増殖、細胞死、および細胞外刺激に対する応答に関与する哺乳動物のタンパク質キナーゼであるp38の、インヒビターに関する。本発明はまた、これらのインヒビターの生成方法に関する。本発明はまた、本発明のインヒビターを含有する薬学的組成物、ならびに様々な障害の処置および予防において、これらの組成物を利用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
タンパク質キナーゼは、細胞外信号に対する様々な細胞応答に関わる。最近、マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)のファミリーが発見された。このファミリーのメンバーは、基質がリン酸化によって活性化されるSer/Thrキナーゼである[非特許文献1]。MAPKはそれ自体が成長因子、サイトカイン、UV照射、およびストレス誘導剤を含む様々な信号で活性化される。
【0003】
1つの特に注目すべきMAPKはp38である。p38は、サイトカイン抑制性の抗炎症薬結合タンパク質(CSBP)およびRKとしてもまた公知であり、リポ多糖類(LPS)レセプターCD14を用いて形質移入され、そしてLPSを用いて誘導されたマウスのpre−B細胞から単離された。p38は単離され、そしてヒトおよびマウスにおいてそれをコードするcDNAを有するとして配列決定された。p38の活性化はリポ多糖類(LPS)、UV、アニソマイシン、または浸透圧のショックの処置のようなストレスによって、ならびにIL−1およびTNFのようなサイトカインによって刺激された細胞中で観察された。
【0004】
p38キナーゼの阻害は、IL−1およびTNFの両方の産生の遮断へと導く。IL−1およびTNFは、IL−6およびIL−8のような他の炎症誘発性のサイトカインの産生を刺激し、急性および慢性炎症性疾病ならびに閉経後の骨粗鬆症に関わっていた[非特許文献2]。
【0005】
この発見に基づき、p38は、他のMAPKと共に、白血球蓄積、マクロファージ/単球活性化、組織再吸収、発熱、急性期応答および好中球増多のような炎症性の刺激に対する細胞応答を媒介する役割を有すると思われる。さらに、p38のようなMAPKは癌、トロンビン誘導血小板凝集、免疫不全障害、自己免疫性疾患、細胞死、アレルギー、骨粗鬆症および神経変性障害に関係してきた。p38のインヒビターもまたプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2誘導の阻害を通して疼痛管理の領域に関係してきた。Il−1、IL−6、IL−8またはTNF過剰産生に関係した他の疾病は、特許文献1に示されている。
【0006】
他者はすでに特異的にMAPKを阻害する薬品の開発を試み始めている。例えば、特許文献2ではMAPK、特にp38を阻害するピラゾール化合物を記述している。しかしながら、これらのインヒビターのインビボでの有効性はまだ研究され続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第96/21654号パンフレット
【特許文献2】国際公開第95/31451号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】B.Steinら,Ann.Rep.Med.Chem.,31,pp.289−98(1996)
【非特許文献2】R.B.Kimbleら,Endocrinol.,136,pp.3054−61(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、他の強力な、p38の活性化と関係した様々な状態の処置に有用なp38(p38−特異的インヒビターを含む)の開発が、いまだ非常に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、p38の強力な阻害を示す化合物を提供することによって、この問題を解決する。
【0011】
これらの化合物は、以下の一般式を有する:
【0012】
【化23】

ここで、各QおよびQは、独立して、フェニルまたは5〜6員芳香族複素環式環系、あるいは芳香族炭化水素環式環、芳香族複素環式環、または芳香族炭素環式環と芳香族複複素式環の組み合わせを含む8〜10員二環式環系から選択される。
【0013】
複素環式環系または複素環式環は、1〜4個のヘテロ原子を含み、これらのヘテロ原子は独立して、N、O、S、SOおよびSOから選択される。
【0014】
を形成する環は1〜4個の置換基で置換され、この置換基の各々は以下から独立して選択される:ハロ;NR’、OR’、COR’もしくはCONR’で必要に応じて置換されたC〜Cアルキル;NR’、OR’、COR’もしくはCONR’で必要に応じて置換されたO−(C〜C)−アルキル;NR’;OCF;CF;NO;COR’;CONR’;SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはN=C−N(R’)
【0015】
を形成する環は4個までの置換基で必要に応じて置換され、この置換基の各々は以下から独立して選択される:ハロ;NR’、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=C−N(R’)、R、もしくはCONR’で必要に応じて置換されたC〜C直鎖または分枝アルキル;O−(C〜C)−アルキル;NR’、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=C−N(R’)、R、もしくはCONR’で必要に応じて置換されたO−(C〜C)−アルキル;NR’;OCF;CF;NO;COR’;CONR’;R;OR;NR;SR;C(O)R;C(O)N(R’)R;C(O)OR;SR’;S(O)N(R’);SCF;N=C−N(R’);またはCN。
【0016】
’は、必要に応じて1〜3個の置換基で置換された、フェニルまたは5〜6員芳香族複素環式環から選択され、この置換基の各々は、独立して、ハロゲン;NR’、OR’、COR’、CONR’、またはO−P(O)Hで必要に応じて置換されたC〜Cアルキル;必要に応じてNR’、OR’、COR’、CONR’、またはOP(O)Hで置換されたO−(C〜C)−アルキル;OCF;CF;OR;O−CO;O−P(O)H;COR’;CONR’;SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはN=C−N(R’)から選択され、ただしQ’は、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されたフェニルではない。
【0017】
R’は、水素;(C〜C)−アルキル;(C〜C)−アルケニルまたはアルキニル;フェニル、またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル;あるいはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換された5〜6員複素環式環系から選択される。
【0018】
は、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORもしくは−Jでそれぞれ必要に応じて置換された5〜8員芳香族または非芳香族炭素環式または複素環式環系;各々がR’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORまたは−Jで必要に応じて置換された、芳香族炭素環式環、芳香族複素環式環、あるいは芳香族炭素環式環と芳香族複素環式環との組み合わせを含む8〜10員二環式環系から選択される。
【0019】
は、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(Rで必要に応じて置換された(C〜C)−直鎖または分枝アルキル;あるいはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(Rで必要に応じて置換された5〜6員炭素環式または複素環式環系である。
【0020】
は、水素;Rで必要に応じて置換された(C〜C)−アルキル;それぞれRで必要に応じて置換された(C〜C)−アルケニルまたはアルキニル;フェニル、またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル;あるいはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換された5〜6員複素環式環系から選択される。
【0021】
Wは、N(R)SO−N(R;N(R)SO−N(R)(R);N(R)C(O)−OR;N(R)C(O)−N(R;N(R)C(O)−N(R)(R);N(R)C(O)−R;N(R;C(O)−R;CH(OH)−R;C(O)−N(R;C(O)−OR;J;またはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、R、SON(R、OC(O)R、OC(O)R’、OC(O)N(R、−N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(O)R、−N(R)C(O)N(R)(R)、−NC(O)OR、−OC(O)N(R)(R)もしくは−Jで必要に応じて置換された(C〜C)直鎖または分枝アルキル;N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)もしくはSON(Rで必要に応じて置換された5〜6員炭素環式また複素環式環系;あるいはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)もしくはSON(Rで必要に応じて置換された8〜10員炭素環式または複素環式環系から選択され、ただし、Wは、R置換Cアルキルではない。
【0022】
W’は、N(R)−SO−Q;N(R)−CO−Q;N(R)−C(O)−Q;N(R)(Q);C(O)−Q;CO−Q;C(O)N(R)(Q);C(Rから選択される。
【0023】
各Rは、独立して、水素、−R、−N(R、−OR、SR、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−C(O)−ORまたは−C(O)Rから選択され、ここで2つの隣接するRは、必要に応じて互いに結合し、そしてそれらがそれぞれ結合している各Yと一緒になって、4〜8員炭素環式または複素環式環を形成する。
【0024】
は、水素、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−アルケニルから選択され、これらの各々は、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)−N(R’)、−S(O)−N(R’)、−C(O)−OR’、−NSO、NSO、−C(O)N(R’)(R)、−NC(O)R、−N(R’)(R)、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N(R’)(R)、−N(R、−C(O)N=C(NH)またはRで必要に応じて置換される。
【0025】
Yは、NまたはCである。
【0026】
Zは、CH、N、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である。
【0027】
Uは、RまたはWから選択される。
【0028】
Vは、−C(O)NH、−P(O)(NH、または−SONHから選択される。
【0029】
A、BおよびCは独立して、−O−、−CHR’−、−CHR−、−NR’−、−NR−または−S−から選択される。
【0030】
Jは、D、−T−C(O)R’、または−OPOから選択される1〜3個の置換基で置換された(C〜C)直鎖または分枝アルキル誘導体である。
【0031】
Dは、以下の基:
【0032】
【化24】

から選択される。
【0033】
Tは、OまたはNHのいずれかである。
【0034】
Gは、NHまたはOHのいずれかである。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、本発明のp38インヒビターを含有する薬学的組成物を提供する。これらの組成物は、種々の障害(例えば、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、ウイルス性疾患および神経変性疾患)の処置または予防方法に利用され得る。これらの組成物はまた、細胞死および過形成を予防するための方法において有用であり、従って発作における再灌流/虚血、心臓発作、および器官低酸素症を処置または予防するために使用され得る。これらの組成物はまた、トロンビン誘発血小板凝集を予防するための方法において有用である。これらの上記の方法の各々はまた、本発明の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
これらの化合物は、以下の一般式を有する:
【0037】
【化25】

ここで、QおよびQのそれぞれが独立して、フェニルまたは5〜6員芳香族複素環式環系、あるいは芳香族炭素環式環、芳香族複素環式環または芳香族炭素環式環および芳香族複素環式環の組合せを含む8〜10員二環式環系から選択される。
【0038】
を形成する環は1〜4個の置換基で置換され、この置換基のそれぞれは以下から独立して選択される:ハロ;NR’、OR’、COR’もしくはCONR’で任意に置換されたC〜Cアルキル;NR’、OR’、COR’もしくはCONR’で任意に置換されたO−(C〜C)−アルキル;NR’;OCF;CF;NO;COR’;CONR’;SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはN=C−N(R’)
【0039】
を形成する環は4個までの置換基で任意に置換され、この置換基のそれぞれは以下から独立して選択される:ハロ;NR’、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=C−N(R’)、R、もしくはCONR’で任意に置換されたC〜C直鎖もしくは分枝アルキル;O−(C〜C)−アルキル;NR’、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=C−N(R’)、R、もしくはCONR’で任意に置換されたO−(C〜C)−アルキル;NR’;OCF;CF;NO;COR’;CONR’;R;OR;NR;SR;C(O)R;C(O)N(R’)R;C(O)OR;SR’;S(O)N(R’);SCF;N=C−N(R’);またはCN。
【0040】
’は、フェニル、あるいは1〜3個の置換基で任意に置換された5〜6員の芳香族複素環式環から選択され、そのそれぞれの置換基は、以下から独立して選択される:ハロゲン;C1−3アルキル(任意にNR’、OR’、COR’、CONR’またはO−P(O)Hで置換される);O−(C〜C)−アルキル(任意にNR’、OR’、COR’、CONR’またはO−P(O)Hで置換される);OCF;CF;OR;O−CO;O−P(O)H;COR’;CONR’;SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはN=C−N(R’);ただし、Q’は、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換されたフェニルではない。
【0041】
R’は、以下から選択される:水素;(C〜C)−アルキル;(C〜C)−アルケニルまたはアルキニル;フェニル、またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される、1〜3個の置換基で置換されたフェニル;あるいはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換された5〜6員の複素環式環系。
【0042】
は、それぞれがR’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORまたは−Jで任意に置換された5〜8員の芳香族または非芳香族炭素環式あるいは複素環式環系;あるいは、それぞれがR’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORまたは−Jで任意に置換された、芳香族炭素環式環、芳香族複素環式環あるいは芳香族炭素環式環と芳香族複素環式環の組み合わせを含む、8〜10員の二環式環系から選択される。
【0043】
は、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、またはSON(Rで任意に置換された(C〜C)−直鎖もしくは分枝アルキル;あるいはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、またはSON(Rで任意に置換された5〜6員の炭素環式または複素環式環系である。
【0044】
は、以下から選択される:水素;Rで任意に置換された(C〜C)−アルキル;それぞれがRで任意に置換された(C〜C)−アルケニルまたはアルキニル;フェニル、またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される、1〜3個の置換基で置換されたフェニル;あるいはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される、1〜3個の置換基で任意に置換された5〜6員の複素環式環系。
【0045】
Wは、以下から選択される:N(R)SO−N(R;N(R)SO−N(R)(R);N(R)C(O)−OR;N(R)C(O)−N(R;N(R)C(O)−N(R)(R);N(R)C(O)−R;N(R;C(O)−R;CH(OH)−R;C(O)−N(R;C(O)−OR;J;あるいは、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、R、SON(R、OC(O)R、OC(O)R’、OC(O)N(R、−N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(O)R、−N(R)C(O)N(R)(R)、−NC(O)OR、−OC(O)N(R)(R)、または−Jで任意に置換された(C〜C)直鎖または分枝アルキル;N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(Rで任意に置換された5〜6員の炭素環式または複素環式環系;あるいは、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(Rで任意に置換された8〜10員の炭素環式または複素環式環系;ただし、Wは、R置換Cアルキルではない。
【0046】
W’は、N(R)−SO−Q;N(R)−CO−Q;N(R)−C(O)−Q;N(R)(Q);C(O)−Q;CO−Q;C(O)N(R)(Q);C(Rから選択される。
【0047】
各Rは、独立して、水素、−R、−N(R、−OR、SR、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−C(O)−OR、または−C(O)Rから選択され、ここで2個の隣接するRは、互いに任意に結合し、そしてこれらがそれぞれ結合した各Yと一緒になって、4〜8員炭素環式または複素環式環を形成する。
【0048】
2つのR成分が、それらがそれぞれ結合しているY成分と一緒に環を形成する場合、各非縮合R成分からの末端水素が失われることは当業者に明らかである。例えば、環構造が2つのR成分(一方は
【0049】
【化26】

であり、他方は
【0050】
【化27】

である)を一緒に結合することによって形成される場合、各R成分の一方の末端水素(太字で示される)は失われる。それ故、得られる環構造の部分は、式
【0051】
【化28】

を有する。
【0052】
は、水素、(C〜C)−アルキル、または(C〜C)−アルケニルから選択され;それぞれが−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)−N(R’)、−S(O)−N(R’)、−C(O)−OR’、−NSO、−NSO、−C(O)N(R’)(R)、−NC(O)R、−N(R’)(R)、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N(R’)(R)、−N(R、−C(O)N=C(NH)またはRで任意に置換される。
【0053】
YはNまたはCである。
【0054】
Zは、CH、N、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)である。
【0055】
Uは、RまたはWから選択される。
【0056】
Vは、−C(O)NH、−P(O)(NH、または−SONHから選択される。
【0057】
A、BおよびCは、独立して−O−、−CHR’−、CHR−、−NR’−、−NR−または−S−から選択される。
【0058】
Jは、D、−T−C(O)R’、または−OPOから選択される1〜3個の置換基で置換された(C〜C)直鎖または分枝アルキル誘導体である。
【0059】
Dは、以下の基から選択される:
【0060】
【化29】

Tは、OまたはNHのいずれかである。
【0061】
Gは、NHまたはOHである。
【0062】
好ましい実施態様により、Qは1〜3個の置換基を含むフェニルまたはピリジルから選択され、ここで少なくとも1個の上記置換基がオルト位に存在し、かつ上記置換基は独立して以下から選択される:クロロ、フルオロ、ブロモ、−CH、−OCH、−OH、−CF、−OCF、−O(CHCH、NH、3,4−メチレンジオキシ、−N(CH、−NH−S(O)−フェニル、−NH−C(O)O−CH−4−ピリジン、−NH−C(O)CH−モルホリン、−NH−C(O)CH−N(CH、−NH−C(O)CH−ピペラジン、−NH−C(O)CH−ピロリジン、−NH−C(O)C(O)−モルホリン、−NH−C(O)C(O)−ピペラジン、−NH−C(O)C(O)−ピロリジン、−O−C(O)CH−N(CH、または−O−(CH−N(CH
【0063】
両方がオルト位にある、少なくとも2個の上記置換基を含むフェニルまたはピリジルが、なおより好ましい。
【0064】
好ましいQのいくつかの特定の例は以下である:
【0065】
【化30】

【化30−2】

【化30−3】

最も好ましくは、Qは以下から選択される:2−フルオロ−6−トリフルオロメチルフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−クロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−3−アミノフェニル、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−3,5−ジクロロ−4−ピリジル、2−クロロ−4,5メチレンジオキシフェニル、または2−クロロ−4−(N−2−モルホリノ−アセトアミド)フェニル。
【0066】
好ましい実施態様により、Qは0〜3個の置換基を含むフェニルまたはピリジルまたはナフチルであり、ここで各置換基は独立して以下から選択される:クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、−OCH、−OH、−NH、−CF、−OCF、−SCH、−OCH、−C(O)OH、−C(O)OCH、−CHNH、−N(CH、−CH−ピロリジンおよび−CHOH。
【0067】
好ましいQのいくつかの特定の例は以下である:
【0068】
【化31】

【化31−2】

【化31−3】

【化31−4】

非置換2−ピリジルまたは非置換フェニル。
【0069】
が以下から選択される化合物が最も好ましい:フェニル、2−イソプロピルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、2−エチルフェニル、3−フルオロフェニル、2−メチルフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、2−カルボメトキシルフェニル、2−カルボキシフェニル、2−メチル−4−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、2−ピリジル、2−メチレンヒドロキシフェニル、4−フルオロフェニル、2−メチル−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル(2−chloro−4−fluorphenyl)、2,4−ジフルオロフェニル、2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル(2−hydroxy−4−fluorphenyl)、2−メチレンヒドロキシ−4−フルオロフェニル、1−ナフチル、3−クロロ−2−メチレンヒドロキシ、3−クロロ−2−メチル、または4−フルオロ−2−メチル。
【0070】
別の好ましい実施態様により、各YはCである。
【0071】
さらにより好ましい実施態様により、各YはCであり、かつその各Y成分に結合したRおよびUは水素またはメチルから選択される。
【0072】
別の好ましい実施態様により、Wは、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、または複素環で終端する0〜4個の炭素鎖である。
【0073】
好ましいWの幾つかの特定の例は以下である:
【0074】
【化32】

【化32−2】

最も好ましくは、Wは以下から選択される:
【0075】
【化33】

Uは、Wと同様の好ましい実施態様および最も好ましい実施態様を有する。
【0076】
さらにより好ましい実施態様により、各YはCであり、そしてWおよび/またはUは水素ではない。
【0077】
いくつかの好ましい実施態様を以下の表1〜6に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

特に好ましい実施態様には以下が挙げられる:
【0084】
【化34】

特に好ましい実施態様にはまた、以下が挙げられる:
【0085】
【化35】

他の特に好ましい実施態様には以下が挙げられる:
【0086】
【化36】

他の特に好ましい実施態様には以下が挙げられる:
【0087】
【化37】

他の特に好ましい実施態様には以下が挙げられる:
【0088】
【化38】

最も好ましい実施態様には以下が挙げられる:
【0089】
【化39】

別の実施態様により、本発明は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie)を有する、上記で同定したp38のインヒビターを生成する方法を提供する。式(Ia)の代表的な合成スキームを以下に示す。
【0090】
スキーム1〜3は、Wがアミノ、カルボキシルまたはアルデヒド基のいずれかである化合物の調製を示す。各例において、特定の部分は、文献において周知の化学によって修飾され得る。例えば、最終アミノ化合物DおよびN(それぞれスキーム1および4)は、アシル化、スルホニル化またはアルキル化されて、Wの範囲内の化合物を調製し得る。全てのスキームにおいて、開始物質のL1およびL2基は、複素環式環における窒素原子に対してオルト位の脱離基を表すことが意味される。例えば、化合物Aは、2,6−ジクロロ−3ニトロピリジンであり得る。
【0091】
【化40】

スキーム1において、Wは、N(R)SO−N(R;N(R)SO−N(R)(R);N(R)C(O)−OR;N(R)C(O)−N(R;N(R)C(O)−N(R)(R);N(R)C(O)−R;またはN(Rのようなアミノ誘導体化された化合物から選択される。
【0092】
スキーム1において、Q2環は、ビアリール化合物の生成を生じる当該分野に公知の多くの反応のうち1つを利用して導入される。一例は、アリールリチウム化合物とピリジン中間体Aとの反応であり得る。あるいは、アリール金属化合物(例えば、アリールスズまたはアリールボロン酸)をPd触媒の存在下で、アリールハライド部分(中間体A)と反応させることによって生成物Bが生成され得る。次の工程において、Q1置換誘導体(例えば、フェニルアセトニトリル誘導体)を塩基(例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、LDA、リチウムヘキサメチルジシラジドまたは多数の他の非求核性塩基)で処理することによってシアノ基に対してα位が脱プロトン化され得る。これは、マスクされたアミド部分を示す。このアニオンを次いで、中間体Bと接触させると、Cが形成される。中間体Cのニトリルまたは等価の基は、次いで、加水分解されてアミドを形成し、そしてニトロ基は、還元条件に曝されて、アミン中間体Dを形成する。次いでこの中間体Dが使用され、Wによって規定される種々の官能基を、文献において周知のアシル化、スルホニル化またはアルキル化反応のような化学によって導入する。この手順の最初の2工程の位置化学に依存して、最初の2工程は逆転される必要があり得る。
【0093】
【化41】

スキーム2において、Wはカルボキシル誘導体化された化合物(例えば、C(O)−R;CH(OH)−R;C(O)−N(R;またはC(O)−OR’)から選択される。
【0094】
スキーム2は一般に、Eのようなカルボキシル中間体が出発物質であることを除いてスキーム1に記載の手順に従う。最初の2工程はスキーム1を模倣し、スキーム1で述べたように、これらの工程は特定の実施例の位置化学に依存して逆転され得る。中間体Gは、これらの最初の2工程から形成され、そしてこの物質は、述べたように加水分解され得、カルボキシル中間体Hを得る。カルボキシル基は次いで、規定されたW置換基を有するアナログを調製するために、文献からの周知の手順(例えば、アシル化、アミド化およびエステル化)に従って修飾され得る。
【0095】
【化42】

スキーム3において、Wは以下から選択される:N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、またはSON(Rで任意に置換された(C〜C)直鎖または分枝アルキル;あるいはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、またはSON(Rで任意に置換された5〜6員の炭素環式または複素環式環系;ただし、Wは、R置換Cアルキルではない。
【0096】
スキーム3において、ピリジン誘導体は、金属化され(metalated)、そしてアルデヒドを発生し得る多くの公知の求電子剤のうち一つを使用してクエンチされ、中間体Iを形成する。次いでこのアルデヒドをマスクして、ジメチルアセタールJを形成し得る。この中間体は次いで、Q1およびQ2置換基を導入するためにスキーム1および2に記載されるように実施され、中間体Lを生成する。上記のように、これら2工程は、特定の位置化学に依存して交換され得る。マスクされたアルデヒドLは、次いで、脱保護され得、そしてアルキル化および還元アミノ化のような周知の化学を使用して、規定されたW置換を用いて化合物を形成するために利用され得る。
【0097】
スキーム4〜6は、標的化合物がZ=窒素である化合物であることを除いて、スキーム1〜3と同様である。これらスキームの工程は、フェニルアセトニトリルを用いるアルキル化が、Qアミン誘導体(例えば、置換アニリン誘導体)との反応に置き換えられることを除いて、1〜3と同様である。次いで、この分子のアミド部分が、例えば、クロロスルホニルイソシアネートとのアシル化反応の際に導入される。
【0098】
【化43】

スキーム4において、Wは、以下から選択されるアミノ誘導基である:N(R)SO−N(R;N(R)SO−N(R)(R);N(R)C(O)−OR;N(R)C(O)−N(R;N(R)C(O)−N(R)(R);N(R)C(O)−R;またはN(R
【0099】
スキーム4において、中間体B(スキーム1より)を、例えば、塩基(例えば炭酸カリウム)の存在下でアニリン誘導体で処理する。さらに、パラジウム触媒を使用して、必要ならば、この一般的なタイプの反応の反応性を高め得る。次いで、得られたアミン誘導体をアシル化して中間体Mを形成する。次いで、Mのニトロ基を還元してNを形成し、次いで、このアミノ基を、スキーム1について記載したように、誘導し得る。スキーム1〜3について記載のように、Q1およびQ2置換基の導入に包含される工程は、特定の化合物の特定のレジオ化学に依存して、交換され得る。
【0100】
【化44】

スキーム5において、Wは、C(O)−R;CH(OH)−R;C(O)−(NR;またはC(O)−ORなどのカルボキシル誘導基から選択される。
【0101】
【化45】

スキーム6において、Wは、以下から選択される:N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、R、またはSON(Rで必要に応じて置換される、(C−C)直鎖または分枝アルキル;あるいは、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、またはSON(Rで必要に応じて置換される、5〜6員の炭素環または複素環の環系;但しWはR置換Cアルキルでない。
【0102】
スキーム5および6は、一般的に、上述の手順に続く。
【0103】
当業者は、スキーム1〜6が、一般式(Ib)、(Ic)、(Id)および(Ie)を有する化合物を合成するために使用され得ることを認識する。
【0104】
本発明の別の実施態様によると、本発明のp38インヒビターの活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株によりアッセイされ得る。インビトロアッセイは、活性化p38のキナーゼ活性またはATPアーゼ活性のいずれかの阻害を決定するアッセイを含む。代替のインビトロアッセイは、p38に結合するインヒビターの能力を定量し、そして結合前にインヒビターを放射標識し、インヒビター/p38複合体を単離し、そして結合した放射標識の量を決定するか、もしくは新しいインヒビターを公知の放射リガンドに結合したp38とインキュベートする競合実験を実行することで、測定され得る。
【0105】
本発明の化合物の阻害効果の細胞培養アッセイは、ネガティブコントロールで処置した細胞と比較した場合、インヒビターで処理した細胞における全血もしくはその細胞フラクションで産生されるTNF、IL−1、IL−6もしくはIL−8の量を決定し得る。これらのサイトカインのレベルは、市販のELISAの使用により決定し得る。
【0106】
本発明のp38インヒビターの阻害活性の決定に有用なインビボアッセイは、Mycobacterium butyricum誘発アジュバント関節炎を有するラットにおける、後肢浮腫の抑制である。これは、J. C. Boehmら、J. Med. Chem.、39、3929−37頁(1996)に述べられ、この開示は本明細書中で参考として援用される。本発明のp38インヒビターは、関節炎、骨吸収、内毒素ショックおよび免疫機能の動物モデルにおいて、またアッセイされ得る。これはA. M. Badgerら、J. Pharmacol. Experimental Therapeutics、279、1453−61頁(1996)に述べられており、この開示は本明細書中で参考として援用される。
【0107】
p38インヒビターもしくはその薬学的な塩は、動物もしくはヒトへ投与するための薬学的組成物に処方され得る。これらの薬学的組成物(p38−媒介状態を処置しもしくは防止するために有効なp38インヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアの量を含む)は、本発明の他の実施態様である。
【0108】
本明細書中で使用される用語「p38−媒介状態」は、p38が行う役割として公知の、任意の疾患もしくは他の有害な状態を意味する。これは、IL−1、TNF、IL−6もしくはIL−8の過剰産生により引き起こされる公知の状態を含む。このような状態には、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性疾患、感染性疾患、神経変性疾患、アレルギー、発作における再灌流/虚血、心臓発作、血管新生障害、器官低酸素症、血管過形成、心臓肥大、トロンビン誘発血小板凝集およびプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ−2に関連した状態が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0109】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得る炎症性疾患には、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギーおよび成人過呼吸症候群が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0110】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得る自己免疫性疾患には、糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬もしくは対宿主性移植片病が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0111】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得る破壊性骨障害には、骨粗鬆症、骨関節炎および多発性骨髄腫関連骨障害が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0112】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得る増殖性疾患には、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫および多発性骨髄腫が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0113】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得る血管新生障害には、固形腫瘍、眼性新生血管形成、小児血管腫(haemangiomas)が含まれる。
【0114】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得る感染性疾患には、敗血症、敗血症ショックおよび細菌性赤痢が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0115】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得るウイルス性疾患には、急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎を含む)、HIV感染、およびCMV網膜炎が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0116】
本発明の化合物により処置もしくは防止され得る神経変性疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、大脳虚血もしくは外傷性損傷により引き起こされる神経変性疾患が含まれるが、限定するものではない。
【0117】
「p38−媒介状態」はまた、発作における虚血/再灌流、心臓発作、心筋虚血、器官低酸素症、血管過形成、心臓肥大およびトロンビン誘発血小板凝集を含む。
【0118】
さらに、本発明のp38インヒビターはまた、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2(PGHS−2)のような、炎症誘発性タンパク質(またシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)と呼ばれる)の誘導性発現を阻害し得る。従って、本発明の化合物により処置され得る他の「p38−媒介状態」は、浮腫、痛覚消失、発熱および痛み(例えば、神経筋痛、頭痛、ガン痛、歯痛および関節炎痛)を含む。
【0119】
本発明のp38インヒビターにより処置もしくは防止され得る疾患はまた、疾患の原因であると考えられる、サイトカイン(IL−1、TNF、IL−6、IL−8)により慣習的に分類され得る。
【0120】
従って、IL−1−媒介疾患もしくは状態には、リウマチ性関節炎、骨関節炎、発作、内毒血症および/もしくは毒性ショック症候群、内毒素により誘発される炎症性反応、炎症性腸疾患、結核、アテローム硬化症、筋肉変性、悪液質、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹関節炎、急性滑膜炎、糖尿病、膵臓β−細胞疾患およびアルツハイマー病を含む。
【0121】
TNF−媒介疾患もしくは状態には、リウマチ性関節炎、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、痛風性関節炎および他の関節炎状態、敗血症、敗血症ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒素ショック症候群、成人過呼吸症候群、大脳マラリア、慢性肺炎症疾患、硅肺症、肺サルコイドシス(sarcoisosis)、骨吸収疾患、再灌流障害、移植片対宿主反応、同種移植拒絶、感染による発熱および筋肉痛、悪液質二次感染、AIDS、ARCもしくは悪性疾患、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎もしくは不全麻痺を含む。TNF−媒介疾患は、HIV、CMV、インフルエンザおよびヘルペスのようなウイルス性感染をまた含む;および、レンチウイルス感染のような獣医学のウイルス性感染は、ウマ伝染性貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルスまたはヒツジの慢性進行性肺炎(maedi)ウイルス;もしくは、ネコの免疫不全ウイルス、ウシの免疫不全ウイルスもしくはイヌの免疫不全ウイルスを含む、レトロウイルス感染を含むが、これらに限定するものではない。
【0122】
IL−8媒介疾患もしくは状態は、大量の(massive)好中球浸潤により特徴付けられる、乾癬、炎症性腸疾患、喘息、心臓および腎臓の再灌流傷害、成人過呼吸症候群、血栓症および糸球体腎炎のような疾患を含む。
【0123】
さらに、本発明の化合物は、IL−1もしくはTNFにより引き起こされる、もしくは悪化した状態を処置するまたは防止するために局所的に使用され得る。この状態には、炎症状態の関節、湿疹、乾癬、日焼けのような炎症性皮膚状態、結膜炎のような炎症性眼状態、不全麻痺、炎症と関連のある痛みおよび他の状態を含む。
【0124】
本発明の化合物に加えて、薬学的に受容可能な本発明の化合物の塩もまた、上記の障害を処置もしくは防止するための組成物において、使用され得る。
【0125】
本発明の化合物の、薬学的に受容可能な塩は、薬学的に受容可能な無機のおよび有機の、酸ならびに塩基から誘導されたものを含む。適切な酸の塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ(palmoate)酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩を含む。シュウ酸のような他の酸は、それ自体薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸の付加塩を得る際に、中間体として、有用な塩の調製に使用され得る。適切な塩基から誘導した塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1−4 アルキル)4+の塩を含む。本発明はまた、本明細書中に開示された化合物のいずれかの塩基性窒素含有基の四級化を想定している。水溶性または油溶性、あるいは水または油に分散性の生成物は、このような四級化により得られ得る。
【0126】
これらの薬学的組成物において使用され得る、薬学的に受容可能なキャリアには、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリドの混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベース(based)物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0127】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、噴霧吸入により、局所的に、直腸から、鼻から、口腔から、膣からもしくは移植リザーバーを介して投与し得る。本明細書中で使用する用語「非経口的」は、皮下の、静脈内の、筋肉内の、関節内の、関節滑液嚢内の、胸骨内の、クモ膜下の、肝臓内の、病変内のおよび頭蓋内の、注射もしくは注入技術を含む。好ましくは、組成物は経口的に、腹腔内にもしくは静脈内に投与される。
【0128】
本発明の組成物の無菌注射可能な形態は、水性もしくは油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って処方され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液として)中の、無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒は水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒もしくは懸濁媒体として従来通り使用されている。この目的で、任意の無刺激の不揮発性油を使用し得、これは合成のモノもしくはジグリセリドを含む。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、天然の薬学的受容可能な油(例えばオリーブ油もしくはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化型)として、注射可能物の調製に有用である。これら油の溶液もしくは懸濁液はまた、乳液および懸濁液を含む薬学的に受容可能な投薬形態の処方物に通常使用される、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤のような、長鎖のアルコール希釈液もしくは分散液を含有し得る。薬学的に受容可能な固体、液体もしくは他の投薬形態の製造において通常使用される、Tween、Spanおよび他の乳化剤もしくはバイオアベイラビリティーエンハンサーのような、他の通常使用される界面活性剤もまた、処方の目的のために使用され得る。
【0129】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態(これには、カプセル、錠剤、水性の懸濁液もしくは溶液が含まれるが、これらに限定されない)で、経口的に投与され得る。経口用途のための錠剤の場合、通常使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的に、添加される。カプセル形態の経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口用途のために必要とされる場合、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望ならば、特定の甘味料、香料または着色剤もまた添加され得る。
【0130】
あるいは、本発明の薬学的組成物は直腸投与のための座剤の形態で投与され得る。これらは、薬剤と、適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸で溶けて薬物を放出する)とを混合することにより、調製され得る。このような物質には、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0131】
特に処置の標的が、眼、皮膚もしくは下部腸管の疾患を含む、局所的な適用により容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合、本発明の薬学的組成物はまた局所的に投与され得る。適切な局所内処方物は、これらの領域または器官の各々のために容易に調製される。
【0132】
下部腸管への局所的適用は、直腸座剤処方物(上記を参照のこと)、もしくは適切な浣腸処方物においてなされ得る。局所的な経皮パッチもまた使用され得る。
【0133】
局所的適用について、薬学的組成物は、1つ以上のキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切な軟膏で、処方され得る。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液化石油、白色(white)石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水を含むが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切なローションかクリームで処方され得る。適切なキャリアには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート 60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むが、これらに限定されない。
【0134】
眼への使用に関して、薬学的組成物は等張性pH調整無菌生理食塩水中の微細化物の懸濁液としてまたは好ましくは保存剤(例えば、塩化ベンジルアルコニウム)を使用または不使用のいずれかの、等張性pH調製無菌生理食塩水中の溶液として、処方され得る。あるいは、眼への使用に関して、薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏に処方され得る。
【0135】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻用のエアロゾルもしくは吸入により、投与し得る。このような組成物は、薬学的処方における当該分野に周知の技術に従って調製され得、そしてベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを強化するための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の従来の可溶化剤または分散剤を使用した、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0136】
単一の投薬形態を作製するために、キャリア物質と組み合わされ得るp38インヒビターの量は、処置される宿主、特定の投与の様式に依存して変化する。好ましくは、インヒビターの0.01〜100mg/kg体重/日の投与量がこれらの組成物を受け取る患者に対して投与され得るように、組成物は処方されるべきである。
【0137】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、処置する医師の判断および処置される特定の疾患の重篤度を含む)に依存することを、また理解するべきである。インヒビターの量はまた、組成物中の特定の化合物に依存する。
【0138】
他の実施態様に従って、本発明は、上記の薬学的組成物の1つを、患者へ投与する工程を含む、p38−媒介状態を処置もしくは防止するための方法を提供する。本明細書中で使用される用語「患者」は、動物、好ましくはヒトを意味する。
【0139】
好ましくは、その方法は、炎症性疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、アレルギー、発作における再灌流/虚血、心臓発作、血管新生障害、器官低酸素症、血管過形成、心臓肥大およびトロンビン誘発血小板凝集から選択される状態の、処置もしくは防止のために使用される。
【0140】
他の実施態様に従って、本発明のインヒビターは、IL−1、IL−6、IL−8もしくはTNF−媒介疾患もしくは状態の、処置もしくは防止のために使用される。そのような状態は上記に記載される。
【0141】
処置もしくは防止される特定のp38−媒介状態に依存して、その状態を処置もしくは防止するために通常投与される追加の薬物が、本発明のインヒビターと共に投与され得る。例えば、増殖性疾患を処置するために、化学療法剤もしくは他の抗増殖剤が、本発明のp38インヒビターと組み合わせられ得る。
【0142】
これらの追加の薬剤は、複数の投薬レジメの1部として、p38インヒビター含有組成物とは別々に投与され得る。あるいは、これらの薬剤は単一投薬形態の1部であり得、単一組成物中のp38インヒビターと共に混合され得る。
【0143】
本明細書中に記載された発明がより十分に理解され得るように、以下の実施例が記載される。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式においても、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないと理解されるべきである。
【実施例】
【0144】
(実施例1)
(p38インヒビター化合物(6)の合成)
【0145】
【化46】

−78℃のLDA溶液(60mmol、40mL)へ、THF(30mL、乾燥)中の2,6−ジブロモピリジン(40mmol、9.48g)の溶液を滴下した。この混合物を−78℃で20分間攪拌した。ギ酸エチル(400mmol、32.3mL)を添加し、そして攪拌を−78℃で2時間続けた。飽和塩化アンモニウム(200mL)を添加し、そしてこの混合物を室温まで加温した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、そしてこの有機層を水性の酸および塩基で洗浄した。この有機層を乾燥して、そして真空下でエバポレートした。得られた物質を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、続いてn−ヘキサン中10%酢酸エチルで溶出して、(1)(32mmol、8.41g)を白色固体として得た。
【0146】
【化47】

メタノール(50mL)中の(1)(13.08mmol、3.1g)および濃硫酸(1mL)の溶液を一晩還流した。この反応混合物を冷却し、水性の塩基で中和し、そして酢酸エチルに抽出した。この有機層の乾燥およびエバポレーションにより、(2)(11.77mmol、3.63g)をオイルとして得た。
【0147】
【化48】

t−ブトキシド(2.2mmol、2mL)の溶液へ、THF(2mL、乾燥)中の2,6−ジクロロアニリン(1.0mmol、162mg)の溶液を滴下した。この混合物を室温で20分間攪拌した。THF(5mL)中の(2)(1.0mmol、309mg)の溶液を添加し、そして攪拌を3時間続けた。この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そしてこの有機層を水性の酸および塩基で洗浄した。この有機層を乾燥しそして真空下でエバポレートした。得られた物質をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、続いてn−ヘキサン中5%アセトンで溶出して、(3)(0.33mmol、128mg)を橙色固体として得た。
【0148】
【化49】

o−トリルホウ酸(0.34mmol、46mg)、および(3)(0.20mmol、80mg)を、トルエン/エタノール(5/1)混合液に溶解した。炭酸タリウム(0.5、235mg)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(10mg)をこの溶液へ添加し、そしてこのスラリーを30分間還流した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そして有機層を水性の酸および塩基で洗浄した。この有機層を乾燥し、そして真空下でエバポレートした。得られた物質をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、続いて塩化メチレン中5%メタノールで溶出して、(4)(0.17mmol、61mg)を白色固体として得た。
【0149】
【化50】

塩化メチレン(5mL)中の(4)(0.17mmol、61mg)およびクロロスルホニルイソシアネート(1mmol、141.5mg)の溶液を室温で一晩攪拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そしてこの有機層を水性の酸および塩基で洗浄した。有機層を乾燥し、そして真空下でエバポレートした。得られた物質をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、続いてn−ヘキサン中5%アセトンで溶出して、(5)(0.12mmol、46mg)を白色固体として得た。
【0150】
【化51】

水素化ホウ素ナトリウム(1.0mmol、39.8mg)をメタノール(10mL)中の(5)(0.12mmol、46mg)の溶液へ添加し、そしてこの溶液を15分間攪拌した。この反応系を水でクエンチした。次いで、この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、そしてこの有機層を水性の酸および塩基で洗浄した。この有機層を乾燥して、そして真空下でエバポレートした。得られた物質をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(6)(0.08mmol、36mg)を白色固体として得た。
【0151】
化合物6についてのスペクトルデータは以下であった:H NMR(500MHz,CDCl)δ7.90(d,1H),7.60(d,2H),7.5−7.3(m,5H),6.30(d,2H),4.5(s,2H),2.3(s,2H)。
【0152】
(p38インヒビター化合物(7)の合成)
【0153】
【化52】

アミノアルコール(500mg、1.43mmol)(これを(4)と同一の様式で調製した)をジクロロメタンに溶解した。トリエチルアミン(433mg、4.29mmol)、続いて塩化アセチル(168mg、2.15mmol)を添加した。この混合物を室温で1時間攪拌し、水へ注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。この有機抽出物を真空下でエバポレートして、そして残渣を10.0mLのトルエンに溶解した。トルエン(5.0mL)中の20%ホスゲン溶液を添加し、そしてこの溶液を2時間還流した。この溶液を冷却し、そして5.0mLの濃水酸化アンモニウムを添加し、白色固体が沈殿した。この混合物を水に注ぎ、そしてトルエンで抽出した。この有機抽出層を乾燥し(MgSO)、そして真空下でエバポレートして、205mgの尿素−アセテート(7)を白色固体として得た。
【0154】
化合物(7)についてのスペクトルデータは以下であった:
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.80(d,1H),7.62−7.50(m,2H),7.25−7.0(m,5H),6.59(d,1H),5.1(s,2H),2.12(s,3H)。HRMSは、主なピークとしてMH+434.2を示した。
【0155】
(p38インヒビター化合物(8)の合成)
【0156】
【化53】

尿素−アルコール(548mg、1.4mmol)(これを(6)と同一の様式で調製した)を、5.0mLのトルエンに溶解した。トルエン(5.0mL)中の20%ホスゲン溶液を添加し、そしてこの溶液を2時間還流した。この溶液を冷却し、そして5.0mLの濃水酸化アンモニウムを添加し、白色固体が沈殿した。この混合物を水へ注ぎ、そしてトルエンで抽出した。この有機抽出物を乾燥(MgSO)し、そして真空下でエバポレートし、284mgのカルバメート(8)を白色固体として得た。
【0157】
化合物(8)のスペクトルデータは以下であった:
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.77(d,1H),7.55−7.45(m,2H),7.15−6.95(m,5H),6.50(d,1H),5.40(br s,2H),5.00(s,2H)。HRMSは、主なピークとしてMH+435.1を示した。
【0158】
(実施例2)
(p38インヒビター化合物(16)の合成)
【0159】
【化54】

1当量の2,6−ジクロロピリジン−4−カルボン酸をTHFに溶解した。この溶液を0℃に冷却し、そして1当量のボラン硫化ジメチル錯体を添加した。この溶液を室温で12時間攪拌した。この混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。このエーテル抽出物を乾燥し、そして真空下でエバポレートし、(9)を収率93%で得た。
【0160】
【化55】

1当量の(9)を塩化メチレンに溶解した。1当量のメチルクロロメチルエーテルを添加し、続いて1当量のエチルジイソプロピルアミンを添加した。この反応系を室温で数時間攪拌し、水に注ぎ、そして水に混合しない(water−immiscible)溶媒で抽出した。この抽出物を乾燥し、そして真空下でエバポレートし、(10)を収率86%で得た。
【0161】
【化56】

1当量のカリウムt−ブトキシドを、室温で、THF中の1当量の2,6−ジクロロフェニルアセトニトリルの溶液へ添加した。この混合物を室温で30分間攪拌し、そしてTHF中のジクロロピリジン(10)の溶液を添加した。1.5時間攪拌した後、この混合物を塩化アンモニウム水溶液へ注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。この抽出物を乾燥し、そして真空下でエバポレートした。この残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、(11)を白色粉末として収率79%で得た。
【0162】
【化57】

アセタール(11)を濃塩酸と混合し、そして数時間攪拌した。この混合物を水に混合しない有機溶媒で抽出した。この抽出物を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し、そして真空下でエバポレートして(12)を得た。
【0163】
【化58】

ニトリル(12)を濃硫酸と混合し、そして数分間100℃まで加熱した。この混合物を冷却し、氷に注ぎ、そして濾過して(13)を得た。
【0164】
【化59】

1当量のクロロピリジン(13)を1,2−ジメトキシエタンに溶解した。1当量の3−クロロ−2−メチルフェニルホウ酸を添加した。1当量の炭酸ナトリウムの水溶液を、触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)と共に添加した。この混合物を数時間80℃まで加熱した。この混合物を水に注ぎ、そして水に混合しない有機溶媒で抽出した。この抽出物を乾燥し、真空下でエバポレートし、そしてフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(14)を得た。
【0165】
【化60】

1当量のアルコール(14)をTHFに溶解した。この溶液を0℃まで冷却し、そして1当量の塩化メタンスルホニルを添加し、続いて1当量のトリエチルアミンを添加した。この溶液を数時間攪拌し、水に注ぎ、そして水に混合しない溶媒で抽出した。この抽出物を乾燥して、そして真空下でエバポレートし、粗メシレート(15)を得た。
【0166】
【化61】

1当量のメタンスルホニルエステル(15)をTHFに溶解した。この溶液を0℃まで冷却し、そして1当量のN−エチルピペラジンを添加し、続いて1当量のトリエチルアミンを添加した。この溶液を数時間攪拌し、水に注ぎ、そして水に混合しない溶媒で抽出した。この抽出物を乾燥し、エバポレートし、そしてフラッシュクロマトグラフィーで精製して、純粋なアミン(16)を得た。
【0167】
化合物(16)についてのスペクトルデータは以下である:
H NMR(500MHz,CDCl)δ9.85(br s,1H),7.47(dd,1H),7.42(s,1H),7.27(m,5H),6.75(s,1H),5.95(s,1H),5.7(brs,1H),3.5(ABq,2H),2.5−2.3(m,10H),2.3(s,3H),1.2(t,3H)。
【0168】
(実施例2)
(昆虫細胞におけるp38キナーゼのクローニング)
ヒトp38キナーゼの2つのスプライシング改変体、CSBP1およびCSBP2を同定した。特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、HeLa細胞ライブラリ(Stratagene)をテンプレートとして使用するCSBP2cDNAのコード領域を増幅した。ポリメラーゼ連鎖反応生成物をpET−15bベクター(Novagen)にクローニングした。バキュロウイルス移入ベクターであるpVL−(His)6−p38を、pET15b−(His)6−p38のXbaI−BamHIフラグメントをプラスミドpVL1392(Pharmingen)の相補的部位にサブクローニングすることにより構築した。
【0169】
プラスミドpVL−(His)6−p38は、DNA配列決定および発現タンパク質のN−末端配列決定により確認されるように、p38のN−末端にインフレームで融合した23−残基のペプチド(MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMLE、ここでLVPRGSはトロンビン切断部位を表す)からなる組換えタンパク質の合成に関する。Spodoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞(ATCC)の単層培養を、T−フラスコ内27℃で、10%ウシ胎仔血清を補充したTNM−FH培地(Gibco BRL)中に維持した。対数期のSf9細胞を、リポフェクチン(Invitrogen)を使用して、Autographa califonica 核多角体ウイルス(Pharmingen)の線状ウイルスDNA、および移入ベクターpVL−(His)6−p38で同時トランスフェクトした。個々の組換えバキュロウイルスクローンを、1%低溶融アガロースを使用するプラークアッセイにより精製した。
【0170】
(実施例3)
(組換えp38キナーゼの発現および精製)
Trichoplusia ni (Tn−368) High−FiveTM細胞(Invitrogen)を、振盪フラスコ内27℃で、Excel−405タンパク質非含有培地(JRH Bioscience)の懸濁液中、増殖させた。1.5×10細胞/mlの密度の細胞を、上記の組換えバキュロウイルスで、感染多重度5で感染させた。組換えp38の発現レベルを、ウサギ抗p38抗体(Santa Cruz Biotechnology)を使用する免疫ブロットにより観察した。P38の発現レベルが最高に達した感染72時間後に、細胞集団(cell mass)を回収した。
【0171】
(His)タグ化p38を発現する細胞の冷凍細胞ペーストを、5倍容量の緩衝液A(50mMのNaHPO(pH 8.0)、200mMのNaCl、2mMのβ−メルカプトエタノール、10%のグリセロール、および0.2mMのPMSF)中で解凍した。細胞をマイクロフルイダイザー(microfluidizer)中で機械的に破壊した後、溶解物を30,000×gで30分間遠心分離した。上清を、TalonTM(Clontech)金属親和性樹脂で、2〜4mgの期待されるp38あたり1mlの樹脂の比で、4℃で3〜5時間バッチ単位で(batchwise)インキュベートした。樹脂を500×gで5分間遠心分離して沈澱させ、そして緩衝液Aでバッチ単位で穏やかに洗浄した。樹脂をスラリー状にし、そしてカラム(ほぼ2.6×5.0cm)に注ぎ入れて、緩衝液A+5mMのイミダゾールで洗浄した。
【0172】
(His)−p38を、緩衝液A+100mMのイミダゾールで溶出し、続けて2リットルの緩衝液B(50mMのHEPES(pH7.5)、25mMのβ−グリセロホスフェート、5%のグリセロール、2mMのDTT)に対して、4℃で一晩透析した。(His)タグを、1mgのp38あたり1.5ユニットのトロンビン(Calbiochem)を添加し、そして20℃で2〜3時間インキュベートすることにより除去した。トロンビンを、0.2mMのPMSFを添加することによりクエンチし、次いで全サンプルを2mlのベンズアミジンアガロース(American International Chemical)カラムにロードした。
【0173】
フラクションを通る流れを、予め緩衝液B+0.2mMのPMSFで平衡化した2.6×5.0cmのQ−セファロース(Pharmacia)カラムに、直接ロードした。p38を、緩衝液B中0.6MのNaClまでの20カラム容量の直線状の勾配で溶出させた。溶出したタンパク質のピークをプールし、そして緩衝液C(50mMのHEPES(pH7.5)、5%のグリセロール、50mMのNaCl、2mMのDTT、0.2mMのPMSF)に対して、4℃で一晩透析した。
【0174】
透析したタンパク質を、Centriprep(Amicon)で3〜4mlに濃縮し、そして2.6×100cm Sephacryl S−100HR(Pharmacia)カラムにかけた。タンパク質を、35ml/時間の流速で溶出した。主ピークをプールし、20mMのDTTに調整し、10〜80mg/mlに濃縮し、そして−70℃でアリコートに冷凍するか、または直ちに使用した。
【0175】
(実施例4)
(p38の活性化)
p38を、緩衝液B+10mMのMgCl、2mMのATP、0.2mMのNaVO中、20℃で30分間、0.5mg/mlのp38を0.005mg/mlのDD−二重変異体MKK6と合わせることにより、活性化した。次いで、活性化混合物を、1.0×10cm MonoQカラム(Pharmacia)にロードし、そして緩衝液B中1.0MのNaClまでの20カラム容量の直線状の勾配で溶出した。活性化p38は、ADPおよびATPの後から溶出した。活性化p38のピークをプールし、そして緩衝液B+0.2mMのNaVOに対して透析して、NaClを除去した。透析したタンパク質を、4.0Mのストック溶液を添加することで1.1Mのリン酸カリウムに調整し、そして1.0×10cmの予め緩衝液D(10%のグリセロール、20mMのβ−グリセロホスフェート、2.0mMのDTT)+1.1MのKHPOで平衡化したHIC(Rainin Hydropore)カラムにロードした。タンパク質を、緩衝液D+50mMのKHPOに対して20カラム容量の直線状の勾配で溶出させた。主ピークとして溶出した二重リン酸化p38をプールして、緩衝液B+0.2mMのNaVOに対して透析した。活性化p38を−70℃で保存した。
【0176】
(実施例5)
(p38阻害アッセイ)
(A.EGFレセプターペプチドのリン酸化阻害)
このアッセイを、10mMのMgCl、25mMのβ−グリセロホスフェート、10%のグリセロール、および100mMのHEPES緩衝液(pH 7.6)の存在下で行った。代表的なIC50測定について、ストック溶液を上記の成分全ておよび活性化p38(5nM)を含むように調製した。ストック溶液を、バイアルに等分割した。一定の容量のDMSOまたはDMSO中のインヒビター(反応系中のDMSOの最終濃度は5%)を、各バイアルに導入し、混合して、室温で15分間インキュベートした。EGFレセプターペプチド(KRELVEPLTPSGEAPNQALLR、p38触媒キナーゼ反応(1)におけるホスホリルアクセプター)を、200μMの最終濃度で、各バイアルに添加した。キナーゼ反応を、ATP(100μM)で開始させ、そしてバイアルを30℃でインキュベートした。30分後、反応系を等容量の10%トリフルオロ酢酸(TFA)でクエンチした。
【0177】
リン酸化ペプチドを、HPLC分析により定量した。リン酸化ペプチドの未リン酸化ペプチドからの分離は、逆相カラム(Deltapak、5μm、C18 100D、部品番号011795)で、それぞれ0.1%のTFAを含有する水およびアセトニトリルの2重勾配を用いて行った。IC50(50%の阻害を得るためのインヒビター濃度)を、インヒビター濃度に対して残存する活性の%をプロットすることにより決定した。
【0178】
(B.ATPase活性の阻害)
このアッセイを、10mMのMgCl、25mMのβ−グリセロホスフェート、10%のグリセロール、および100mMのHEPES緩衝液(pH 7.6)の存在下で行った。代表的なKi測定について、活性化p38反応のATPase活性におけるATPについてのKmを、インヒビター不在および2つの濃度でのインヒビター存在下で測定した。ストック溶液を上記の成分全ておよび活性化p38(60nM)を含むように調製した。ストック溶液を、バイアルに等分割した。一定の容量のDMSOまたはDMSO中のインヒビター(反応系中のDMSOの最終濃度は2.5%)を、各バイアルに導入し、混合して、室温で15分間インキュベートした。反応を、種々の濃度のATPを添加することにより開始させ、次いで30℃でインキュベートした。30分後、反応系を50μlのEDTA(0.1M、最終濃度)、pH 8.0でクエンチした。p38 ATPase活性の産物であるADPをHPLC分析により定量した。
【0179】
ADPのATPからの分離は、逆相カラム(Supelcosil、LC−18、3μm、部品番号5−8985)で、以下の組成の2重溶媒勾配を用いて行った:溶媒A−8mMの硫酸水素テトラブチルアンモニウム(Sigma Chemical Co.、カタログ番号T−7158)を含有する0.1Mのリン酸緩衝液、溶媒B−30%のメタノールを含む溶媒A。
【0180】
Kiを、速度データから、インヒビターおよびATP濃度の関数として決定した。
【0181】
本発明のp38インヒビターは、p38のATPase活性を阻害する。
(C.LPS刺激化PBMCにおけるIL−1、TNF、IL−6、およびIL−8産生の阻害)
インヒビターを、20mMのストックからDMSOで連続希釈した。少なくとも6つの連続希釈物を調製した。次いで、4×インヒビターストックを、4μlのインヒビター希釈物を1mlのRPMI1640培地/10%ウシ胎仔血清に添加することにより調製した。4×インヒビターストックは、80μM、32μM、12.8μM、5.12μM、2.048μM、0.819μM、0.328μM、0.131μM、0.052μM、0.021μMなどの濃度でインヒビターを含有した。4×インヒビターストックを、使用するまで37℃で予備加温した。
【0182】
新鮮なヒト血液buffy細胞を、Becton&DickinsonのVacutainer CPT(4mlの血液およびMg2+/Ca2+を含まず管を満たすのに十分なDPBSを含有する)中の他の細胞から、1500×gで15分間遠心分離することにより分離した。Vacutainer中の勾配の頂部に位置する末梢血単核球(PBMC)を除去し、そしてRPMI1640培地/10%ウシ胎仔血清で2回洗浄した。PBMCを、500×gで10分間遠心分離することにより収集した。全細胞数を、Neubauer Cell Chamberを使用して測定し、そして細胞を、細胞培養培地(10%ウシ胎仔血清で補充したRPMI1640)中、4.8×10細胞/mlの濃度に調整した。
【0183】
あるいは、抗凝固剤を含有する全血をアッセイに直接使用した。
【0184】
100μlの細胞懸濁液または全血を、96−ウェルの細胞培養プレートの各ウェルに配置した。次いで、50μlの4×インヒビターストックを細胞に添加した。最後に、アッセイにおいて50μlのリポ多糖類(LPS)作業ストック(working stock)溶液(細胞培養培地中16ng/ml)を添加し、4ng/mlのLPS最終濃度にした。ビヒクルコントロールの全アッセイ容量もまた、50μlの細胞培養培地を添加することにより、200μlに調整した。次いで、PBMC細胞または全血を、加湿した雰囲気中、37℃/5%COで一晩(12〜15時間)インキュベートした。
【0185】
翌日、細胞を振盪器で3〜5分間混合してから、500×gで5分間遠心分離した。細胞培養上清を回収し、そしてIL−1b(R & D Systems、Quantikine キット、#DBL50)、TNF−α(BioSource、#KHC3012)、IL−6(Endogen、#EH2−IL6)およびIL−8(Endogen、#EH2−IL8)のレベルについて、製造者の使用説明書に従いELISAにより分析した。ELISAデータを使用して、IC50値が導き出される用量−応答曲線を算出した。
【0186】
本発明の種々のp38インヒビターに対する、キナーゼアッセイ(「キナーゼ」;上記の小段落A)の結果、LPS−刺激化PBMC(「細胞」)におけるIL−1およびTNF、ならびに全血(「WB」)におけるIL−1、TNF、およびIL−6を、以下の表7に示す:
【0187】
【表7】

本発明の他のp38インヒビターもまた、EGFレセプターペプチドのリン酸化を阻害し、そしてLPS−刺激化PBMCにおける、または全血におけるIL−1、TNF、およびIL−6、ならびにIL−8の産生を阻害する。
【0188】
(D.IL−1刺激化PBMCにおけるIL−6およびIL−8産生の阻害)
このアッセイを、50μlのIL−1b作業ストック溶液(細胞培養培地中、2ng/ml)を(LPS)作業ストック溶液の代わりにアッセイに添加したことを除いて、上記と全く同じようにPBMCにおいて行った。
【0189】
細胞培養上清を上記に記載されるように回収し、そしてIL−6(Endogen、#EH2−IL6)およびIL−8(Endogen、#EH2−IL8)のレベルについて、製造者の使用説明書に従いELISAにより分析した。ELISAデータを使用して、IC50値が導き出される用量−応答曲線を算出した。
【0190】
(E.PBMCにおけるLPS−誘発プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2(PGHS−2、またはCOX−2)誘導の阻害)
ヒト末梢単核球(PBMC)を、新鮮なヒト血液軟膜からVacutainer CPT(Becton & Dickinson)で遠心分離することにより単離した。15×10細胞を、10%のウシ胎仔血清、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、および2mMのL−グルタミンを補充したRPMI 1640を含有する6−ウェルの組織培養皿に播種した。化合物をDMSO中0.2、2.0、および20μMの最終濃度で添加した。次いで、LPSを4ng/mlの最終濃度で添加して、酵素の発現を誘導した。最終培養容量は、10ml/ウェルであった。
【0191】
37℃、5%のCOで一晩インキュベートした後、細胞をかき集めて回収し、続いて遠心分離し、上清を除去し、そして細胞を氷冷したDPBS(Dulbecco’sリン酸緩衝化生理食塩水、BioWhittaker)で2回洗浄した。細胞を、1μlのベンゾナーゼ(MerckのDNAse)を含有する50μlの冷溶解緩衝液(20mMのTris−HCl(pH 7.2)、150mMのNaCl、1%のTriton−X−100、1%のデオキシコール酸、0.1%のSDS、1mMのEDTA、2%のアプロチニン(Sigma)、10μg/mlのペプスタチン、10μg/mlのロイペプチン、2mMのPMSF、1mMのベンズアミジン、1mMのDTT)中で、10分間氷上で溶解させた。各サンプルのタンパク質濃度を、BCAアッセイ(Pierce)および標準としてウシ血清アルブミンを使用して測定した。次いで、各サンプルのタンパク質濃度を、冷溶解緩衝液で1mg/mlに調整した。100μlの溶解液に、等容量の2×SDS PAGEローディング緩衝液を添加し、そしてサンプルを5分間煮沸した。タンパク質(30μg/レーン)を、4〜20% SDS PAGE勾配ゲル(Novex)上でサイズ分画し、続いて20%のメタノールを含むTowbin移動緩衝液(25mMのTris、192mMのグリシン)中、100mAで2時間、電気泳動法によりニトロセルロース膜上に転写した。転写後、この膜を、ブロック化緩衝液(0.1%のTween−20で補充されたDPBS中5%の無脂乾燥乳)を用いて、室温で1時間前処理し、そしてDPBS/0.1%のTween−20で3回洗浄した。膜を、ブロック化緩衝液中の抗COX−2モノクローナル抗体(Transduction Laboratories)の1:250希釈物を用いて、4℃で一晩インキュベートした。DPBS/0.1%のTween−20で3回洗浄した後、膜を、ブロック化緩衝液中、室温で1時間、マウスIgに対する西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗血清(Amersham)の1:1000希釈物とともにインキュベートした。次いで、膜を再度DPBS/0.1%のTween−20で3回洗浄した。ECL検出システム(SuperSignalTM CL−HRP Substrate System、Pierce)を使用して、COX−2の発現レベルを測定した。
【0192】
本発明者らは、本明細書中これまで、本発明の多数の実施態様を示してきたが、本発明者らの基本的な構築が、本発明の方法を利用する他の実施態様を提供するために変更され得ることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明の好適な実施形態によれば、以下の化合物などが提供される:
(項目1) 以下の式の化合物であって:
【化1】


ここで、各QおよびQは、独立して、フェニルまたは5〜6員芳香族複素環式環系、あるいは芳香族炭化水素環、芳香族複素環式環、または芳香族炭素環式環と芳香族複素環式環の組み合わせを含む8〜10員二環式環系から選択され、
を形成する環は、1〜4個の置換基で置換され、該置換基の各々は、独立して、ハロ;NR’、OR’、COR’、またはCONR’で必要に応じて置換されたC〜Cアルキル;NR’、OR’、COR’、またはCONR’で必要に応じて置換されたO−(C〜C)−アルキル;NR’;OCF;CF;NO;COR’;CONR’;SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはN=C−N(R’)から選択され、
を形成する環は、必要に応じて4個までの置換基で置換され、該置換基の各々は、独立して、ハロ;NR’、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=C−N(R’)、RもしくはCONR’で必要に応じて置換されたC〜C直鎖または分枝アルキル;O−(C〜C)−アルキル;NR’、OR’、COR’、S(O)N(R’)、N=C−N(R’)、R、もしくはCONR’で必要に応じて置換されたO−(C〜C)−アルキル;NR’;OCF;CF;NO;COR’;CONR’;R;OR;NR;SR;C(O)R;C(O)N(R’)R;C(O)OR;SR’;S(O)N(R’);SCF;N=C−N(R’);またはCNから選択され、
’は、必要に応じて1〜3個の置換基で置換された、フェニルまたは5〜6員芳香族複素環式環から選択され、該置換基の各々は、独立して、ハロゲン;NR’、OR’、COR’、CONR’、またはO−P(O)Hで必要に応じて置換されたC〜Cアルキル;必要に応じてNR’、OR’、COR’、CONR’、またはOP(O)Hで置換されたO−(C〜C)−アルキル;OCF;CF;OR;O−CO;O−P(O)H;COR’;CONR’;SR’;S(O)N(R’);SCF;CN;N(R’)C(O)R;N(R’)C(O)OR;N(R’)C(O)C(O)R;N(R’)S(O)R;N(R’)R;N(R;OR;OC(O)R;OP(O);またはN=C−N(R’)から選択され、ただしQ’は、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されたフェニルではなく、
R’は、水素;(C〜C)−アルキル;(C〜C)−アルケニルまたはアルキニル;フェニル、またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル;あるいはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換された5〜6員複素環式環系から選択され、
は、R’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORもしくは−Jでそれぞれ必要に応じて置換された5〜8員芳香族または非芳香族の炭素環式または複素環式環系;各々がR’、R、−C(O)R’、−C(O)R、−C(O)ORまたは−Jで必要に応じて置換された、芳香族炭素環式環、芳香族複素環式環、あるいは芳香族炭素環式環と芳香族複素環式環との組み合わせを含む8〜10員二環式環系から選択され、
は、N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(Rで必要に応じて置換された(C〜C)−直鎖または分枝アルキル;あるいはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)またはSON(Rで必要に応じて置換された5〜6員炭素環式または複素環式環系であり、
は、水素;Rで必要に応じて置換された(C〜C)−アルキル;それぞれRで必要に応じて置換された(C〜C)−アルケニルまたはアルキニル;フェニル、またはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルもしくはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニル;あるいはハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、メチルまたはエチルから独立して選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換された5〜6員複素環式環系から選択され、
Wは、N(R)SO−N(R;N(R)SO−N(R)(R);N(R)C(O)−OR;N(R)C(O)−N(R;N(R)C(O)−N(R)(R);N(R)C(O)−R;N(R;C(O)−R;CH(OH)−R;C(O)−N(R;C(O)−OR;J;またはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)、R、SON(R、OC(O)R、OC(O)R’、OC(O)N(R、−N(R)(R)、−C(O)N(R)(R)、−C(O)R、−N(R)C(O)N(R)(R)、−NC(O)OR、−OC(O)N(R)(R)もしくは−Jで必要に応じて置換された(C〜C)直鎖または分枝アルキル;N(R’)、OR’、COR’、CON(R’)もしくはSON(Rで必要に応じて置換された5〜6員炭素環式また複素環式環系;あるいはN(R’)、OR’、COR’、CON(R’)もしくはSON(Rで必要に応じて置換された8〜10員炭素環式または複素環式環系から選択され、ただし、Wは、R置換Cアルキルではなく、
W’は、N(R)−SO−Q;N(R)−CO−Q;N(R)−C(O)−Q;N(R)(Q);C(O)−Q;CO−Q;C(O)N(R)(Q);C(Rから選択され、
各Rは、独立して、水素、−R、−N(R、−OR、SR、−C(O)−N(R、−S(O)−N(R、−C(O)−ORまたは−C(O)Rから選択され、ここで2つの隣接するRは、必要に応じて互いに結合し、そしてそれらがそれぞれ結合している各Yと一緒になって、4〜8員炭素環式または複素環式環を形成し、
は、水素、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−アルケニルから選択され、これらの各々は、−N(R’)、−OR’、SR’、−C(O)−N(R’)、−S(O)−N(R’)、−C(O)−OR’、−NSO、−NSO、−C(O)N(R’)(R)、−NC(O)R、−N(R’)(R)、−N(R’)(R)、−C(O)R、−C(O)N(R’)(R)、−N(R、−C(O)N=C(NH)またはRで必要に応じて置換され、
Yは、NまたはCであり、
Zは、CH、N、C(OCH)、C(CH)、C(NH)、C(OH)またはC(F)であり、
Uは、RまたはWから選択され、
Vは、−C(O)NH、−P(O)(NH、または−SONHから選択され、
A、BおよびCは独立して、−O−、−CHR’−、−CHR−、−NR’−、−NR−または−S−から選択され、
Jは、D、−T−C(O)R’、または−OPOから選択される1〜3個の置換基で置換された(C〜C)直鎖または分枝アルキル誘導体であり、
Dは、以下の基:
【化2】


から選択され、
Tは、OまたはNHのいずれかであり、そして
Gは、NHまたはOHのいずれかである、化合物。
(項目2) 項目1に記載の化合物であって、ここで、Qは、クロロ、フルオロ、ブロモ、−CH、−OCH、−OH、−CF、−OCF、−O(CHCH、NH、3,4−メチレンジオキシ、−N(CH、−NH−S(O)−フェニル、−NH−C(O)O−CH−4−ピリジン、−NH−C(O)CH−モルホリン、−NH−C(O)CH−N(CH、−NH−C(O)CH−ピペラジン、−NH−C(O)CH−ピロリジン、−NH−C(O)C(O)−モルホリン、−NH−C(O)C(O)−ピペラジン、−NH−C(O)C(O)−ピロリジン、−O−C(O)CH−N(CH、または−O−(CH−N(CHから独立して選択される1〜3個の置換基を含むフェニルまたはピリジルから選択され、ここで、該置換基の少なくとも1つが、オルト位にある、化合物。
(項目3) 項目2に記載の化合物であって、ここで、Qが少なくとも2つの置換基を含み、該置換基の両方がオルト位にある、化合物。
(項目4) 項目2に記載の化合物であって、ここで、Qが、以下:
【化3】

【化3−2】

【化3−3】


から選択される、化合物。
(項目5) 項目4に記載の化合物であって、ここで、Qが、2−フルオロ−6−トリフルオロメチルフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−クロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、2,6−ジクロロ−3−アミノフェニル、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−3,5−ジクロロ−4−ピリジル、2−クロロ−4,5−メチレンジオキシフェニル、または2−クロロ−4−(N−2−モルホリノ−アセトアミド)フェニルから選択される、化合物。
(項目6) 項目1に記載の化合物であって、ここで、Qが、フェニル、ピリジルまたはナフチルから選択され、ここで、Qは必要に応じて3個までの置換基を含み、該置換基の各々は、独立して、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、−OCH、−OH、−NH、−CF、−OCF、−SCH、−OCH、−C(O)OH、−C(O)OCH、−CHNH、−N(CH、−CH−ピロリジン、および−CHOHから選択される、化合物。
(項目7) 項目6に記載の化合物であって、ここで、Qが、以下:
【化4】

【化4−2】

【化4−3】

【化4−4】


非置換2−ピリジル、または非置換フェニルから選択される、化合物。
(項目8) 項目7に記載の化合物であって、ここで、Qが、フェニル、2−イソプロピルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、2−エチルフェニル、3−フルオロフェニル、2−メチルフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、2−カルボメトキシフェニル、2−カルボキシフェニル、2−メチル−4−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、2−ピリジル、2−メチレンヒドロキシフェニル、4−フルオロフェニル、2−メチル−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル、または2−メチレンヒドロキシ−4−フルオロフェニル、1−ナフチル、3−クロロ−2−メチレンヒドロキシ、3−クロロ−2−メチル、または4−フルオロ−2−メチルから選択される、化合物。
(項目9) 各YがCである、項目1に記載の化合物。
(項目10) 項目9に記載の化合物であって、ここで、Yに結合している各RおよびUが、独立して水素またはメチルから選択される、化合物。
(項目11) 項目1に記載の化合物であって、ここで、U、WまたはUおよびWの両方が、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミドまたは複素環で終端する0〜4原子鎖である、化合物。
(項目12) 項目11に記載の化合物であって、ここで、U、W、またはUおよびWの両方が、以下:
【化5】

【化5−2】


から選択される、化合物。
(項目13) 項目12に記載の化合物であって、ここでU、W、またはUおよびWの両方が、以下:
【化6】


から選択される、化合物。
(項目14) 前記化合物が表1〜6に記載の化合物のいずれか1つから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目15) 前記化合物が、以下:
【化7】


であり、そして
Xが、H、
【化8】


から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目16) 前記化合物が、以下:
【化9】


であり、そして
Xが、NHまたはN(CHから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目17) 前記化合物が、以下:
【化10】


であり、そして
Xが、OH、NH、またはN(CHから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目18) 前記化合物が、以下:
【化11】


であり、そして
Xが、OH、NH、またはN(CHから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目19) 前記化合物が、以下:
【化12】


であり、そして
Xが、OH、NH、N(CH
【化13】


から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目20) 前記化合物が、以下:
【化14】


であり、
ここで、
【化15】


である、項目1に記載の化合物。
(項目21) 前記化合物が、以下:
【化16】


であり、
ここで、
【化17】


である、項目1に記載の化合物。
(項目22) 前記化合物が、以下:
【化18】


であり、
ここで、
【化19】


である、項目1に記載の化合物。
(項目23) 前記化合物が、以下:
【化20】


であり、
ここで、Xが、
【化21】


である、項目1に記載の化合物。
(項目24) 前記化合物が、以下:
【化22】


のうちの任意の1つから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目25) p38を阻害するのに有効な量の項目1〜24のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
(項目26) 患者における、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、神経変性疾患、アレルギー、発作における再灌流/虚血、心臓発作、血管新生疾患、器官低酸素症、血管過形成、心臓肥大、トロンビン誘発血小板凝集、またはプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ−2に関連する状態を処置または予防する方法であって、該方法が、該患者に項目25に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目27) 前記方法が、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギー、または成人呼吸窮迫症候群から選択される炎症性疾患を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目28) 前記方法が、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、または対宿主性移植片病から選択される自己免疫疾患を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目29) 前記方法が、変形性関節症、骨粗しょう症、または多発性骨髄腫関連骨障害から選択される破壊性骨障害を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目30) 前記方法が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、または多発性骨髄腫から選択される増殖性疾患を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目31) 前記方法が、敗血症、敗血症性ショック、または細菌性赤痢から選択される感染症を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目32) 前記方法が、急性肝炎感染、HIV感染、またはCMV網膜炎から選択されるウイルス性疾患を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目33) 前記方法が、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳虚血、または外傷性損傷が原因の神経変性疾患から選択される神経変性疾患を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目34) 前記方法が、発作または心筋虚血における虚血/再灌流、腎虚血、心臓発作、器官低酸素症、あるいはトロンビン誘発血小板凝集を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目35) 前記方法が、浮腫、熱、痛覚脱失症、または疼痛から選択されるプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2に関連する状態を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。
(項目36) 前記疼痛が、神経筋疼痛、頭痛、癌疼痛、歯痛、または関節痛から選択される、項目35に記載の方法。
(項目37) 前記方法が、固形腫瘍、眼球新血管形成、または小児血管腫から選択される血管新生障害を処置または予防するために使用される、項目26に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−150282(P2010−150282A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56785(P2010−56785)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【分割の表示】特願2000−548306(P2000−548306)の分割
【原出願日】平成11年5月11日(1999.5.11)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】