説明

α−ハロシクロプロピルカルボキシ化合物およびα−アルキルシクロプロピルカルボキシ化合物ならびにそれらの使用

本発明により、新規なα−ハロ−シクロプロピルカルボキシ化合物、およびα−アルキル−シクロプロピルカルボキシ化合物、ならびに、様々な神経学的疾患または神経学的障害、特にてんかんの処置におけるこれらの化合物および関連する化合物の使用が提供される。また、本発明により、このような化合物を調製するためのプロセス、このような化合物を含む医薬組成物、医薬品を調製するためのこのような化合物の使用もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロプロパンカルボン酸の新規な誘導体、該誘導体を含む医薬組成物、および、様々な治療的適用におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは発作障害とも呼ばれており、再発性であり、また、非誘発的である、注意または眠気の反復的消失によるか、あるいは、発作またはひきつけと呼ばれる意識喪失を伴う重篤な痙攣によるかのどちらかによって特徴づけられる中枢神経系(CNS)の慢性的障害である。発作は、脳における不規則な過度なニューロン活動または同時的ニューロン活動に起因すると考えられる一過性の症状であると見なされる。この治らない、それにもかかわらず、典型的には治療により制御される医学的状態に、人口の約0.5%が罹患しており、ところが、人口の約1.5%〜5.0%が、年齢に関係なく、その生涯において発作を経験し得る。
【0003】
長期に及ぶ発作は、てんかん重積持続状態(SE)(これは、持続性発作の、生命にかかわる脳の状態である)の発症につながることがある。SEは、広義には、その患者が、発作と発作との間で30分超にわたって意識を取り戻さない1つの連続した発作または一連の再発性発作として定義することができる。5分が、ニューロンに対する修復不能な損傷を引き起こすには十分であると考えられており、SEの場合、発作がその時間までに自発的に終結するとは考えられない。てんかんを患うことが知られている患者においては、SEが、処置に十分に従わないこと(薬物投与計画を十分に守らないこと)、アルコール離脱および/または代謝障害によってもたらされ得るか、または悪化し得る。最初に現れる症候として、SEは脳腫瘍または脳膿瘍を示す場合がある。SEはまた、様々な神経剤(有機ホスファート類)によって、例えば、サリン、XVおよびソマンによって引き起こされることが報告された。
【0004】
てんかんの処置は、典型的には、抗痙攣剤または抗てんかん薬物(AED)の経口投与からなる。この対症療法的処置は、将来の発作の回数および重篤度を低下させることを目的とする。AEDの効力は、いずれかの特定のAEDに対する患者の応答に依存し、そのようなAEDは結果的には発作のタイプおよび重篤度に従って選択される。てんかん患者の一部は、ある1つのAEDに対して良好に応答することが知られており、他のAEDには良好に応答しない場合があるか、または、他のAEDによって状態を悪化さえさせる場合がある。てんかん状態が、AEDの使用に対して応答しないようであるとき、それは「不応性てんかん」と呼ばれ、不応性てんかんは典型的には、発作を生じさせている異常な脳細胞を除くための脳手術によって、または、発作の回数を低下させることを助ける迷走神経刺激装置(これは胸に埋め込まれる)によって処置される。
【0005】
現在、4つの主要なAEDがてんかんの処置のために使用される:フェニトイン(米国ではDilantin(登録商標)として、英国ではEpanutin(登録商標)として上市される);カルバマゼピン(Biston、Calepsin、Carbatrol、Epitol、Equetro、Finlepsin、Sirtal、Stazepine、Tegretol、Telesmin、Timonilの商品名で販売される);フェノバルビタール(フェノバルビトンまたはLuminal(登録商標)としても知られている);およびバルプロ酸(VPA)。
【0006】
しかしながら、てんかん患者の約75%のみが、現在使用されているAEDに対して応答するにすぎない。さらに、これらの広く使用されているAEDは、それらの使用を制限するいくつかの希な重篤な有害な副作用(例えば、催奇性)を引き起こすことが示されている。従って、てんかん事例のかなりの部分において、また、特に、これらのAEDが慢性的なてんかん状態のための主たる処置として反復的に投与されるときには、それらに関連する有害な影響は有益効果対有害作用のバランスを崩し、また、それらに関連する有害な影響により、患者には、救済がほとんどないか、または全くないことがもたらされる。
【0007】
てんかん重積持続状態は、典型的には、ベンゾジアゼピン類(例えば、ジアゼパム、クロナゼパム、ロラゼパム、フェノバルビタール、フェニトインおよびロラゼパム)により処置される。フェニトインおよびそのプロドラッグのホスフェニトイン、ならびに、他のヒダントイン誘導体もまた、SEを処置するために使用され、これらは典型的には、ベンゾジアゼピン、フェノバルビタールまたはバルビツール酸と同時投与される。主としてバルビツール酸昏睡の誘発によって、ベンゾジアゼピン類またはヒダントイン類が選択肢とならないならば、バルビツール酸類(例えば、フェノバルビタール、セコバルビタール、チオペンタールまたはペントバルビタール)が、SEを処置するために今日、依然として使用される。昏睡を引き起こす薬剤のその点に関して、バルビツール酸類が効果的でないか、または、何らかの他の理由で使用できない場合、全身麻酔剤(例えば、プロポホルおよびリドカイン)が使用される。
【0008】
バルプロ酸(VPA、化合物I、図1参照)は、作用スペクトルが広い抗てんかん性のCNS活性薬剤であり、てんかんの処置において抗痙攣性の気分安定化薬物として依然として使用されている上記AEDの1つである[1]。バルプロ酸はまた、他のCNS関連状態の処置において、例えば、双極性障害[1]、神経障害性疼痛、ミオクローヌス、統合失調症の処置において使用されており、また、片頭痛予防[2、3]のために使用されている。
【0009】
VPAは、様々な機構の組合せによって、例えば、膜安定剤として、また、高まったGABAシグナル伝達をもたらすGABAトランスアミナーゼ阻害を介して、また、NMDA受容体媒介のグルタミン酸興奮を低下させるセロトニン作動性阻害剤として作用すると考えられる[5〜7]。原理的には、マルチレベルでのそのような作用は、低下した副作用を伴う非常に好都合な、有望な改善された効力である。それにもかかわらず、VPAの臨床的使用は、その利用を出産可能年齢の女性において、また、小児において制限する2つの希な、それにもかかわらず、潜在的には生命にかかわる副作用によって、すなわち、催奇性および肝毒性によって大幅に制限される。VPAの催奇性はその親化合物に関連する[8]が、その肝毒性は、末端の二重結合を有する肝毒性代謝産物(具体的には、4−エン−VPA)への生体変換から生じる[9]。
【0010】
従って、広範囲の努力が、改善された活性および/または低下した副作用を示すVPAの治療活性な誘導体に向けられている。
【0011】
VPAの治療活性な誘導体には、抗痙攣配合物において使用されるその塩(バルプロ酸ナトリウム)、ならびに、抗痙攣剤および気分安定剤として使用されるバルプロアートセミナトリウムが含まれる。アルキル鎖の1つが3個の炭素ほど長いVPAの同族体、すなわち、アルンド酸((R)−(−)−2−プロピルオクタン酸、これはONO−2506としても知られている)が現在、脳卒中を処置する可能性について、同様にまた、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病およびパーキンソン病を含む他の神経変性疾患を処置する可能性について臨床開発中である[4]。
【0012】
一連のVPA−アミドアナログおよびその誘導体が一連の構造(薬物動態学/薬力学)活性関係の研究によって開発され、催奇性および肝毒性を回避しながら、改善された抗痙攣活性を示すことが見出された[10〜13]。これらのVPAアミド誘導体のいくつかはまた、神経障害性疼痛[14、15]および双極性障害[16、17]の動物モデルにおいて活性であった。
【0013】
2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(TMCA、化合物II、図1参照)は、弱い抗痙攣活性を有することが示されたVPAの環状アナログである。しかしながら、TMCAの毒性作用は抗痙攣剤としてのその有益な活性に陰を落としている[10、14]。
【0014】
公開番号第20060004098号を有する米国特許出願は、神経障害性疼痛、片頭痛、精神医学的障害および/またはニューロン変性を処置するための様々なVPA様誘導体化合物およびTMCA誘導体化合物の使用を教示する。
【0015】
米国特許第5880157号は、てんかんを処置するために特に意図されるTMCAのエステル誘導体、ならびに、該エステル誘導体を調製するためのプロセス、および、該エステル誘導体を含む医薬調製物を開示する。
【0016】
公開番号第20050131069号を有する米国特許出願は、N−ヒドロキシアルキル−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミドの誘導体、該誘導体を含有する医薬組成物、その調製方法、ならびに、てんかん、神経学的障害、情動障害および精神病性障害を処置するためのその使用、また、痛みおよび片頭痛を処置するためのその使用を教示する。
【0017】
公開番号第20060148861号を有する米国特許出願は、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミドの誘導体、該誘導体を含有する医薬組成物、ならびに、精神病性障害、神経変性疾患、てんかんおよび痛みを処置するためのその使用を教示する。この特許出願の教示によれば、TMCAの対応するアミド、すなわち、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物III、図1参照)、および、そのN−メチル誘導体、すなわち、N−メチル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物IV、図1参照)が、作用スペクトルの広い抗痙攣活性を有し、一方で、催奇性影響およびおそらくは肝毒性影響を誘発しないことが見出された[10、11]。その後の研究において、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニルウレア(化合物V、図1参照)が最も有望な化合物であり、最大電気ショック(MES)試験における保護指数、すなわち、TD50対ED50比が、VPAについて測定された1.6と比較して18.5であることが見出された[13]。
【0018】
VPAとは異なり、TMCA(化合物II)、ならびに、VPAのテトラメチルシクロプロピルアミドアナログ、すなわち、化合物III、化合物IVおよび化合物Vは、2つの第四級炭素をカルボニルに対してβ位に有しており、従って、VPAとは対照的に、これらの誘導体は、末端の二重結合を有する肝毒性代謝産物への生物変換を受けることができない[10〜13]。これらの化合物は、脊髄神経結紮ラットモデルにおいて神経障害性疼痛のための治療剤としてVPAよりも強力であることが見出された[14]。最も有望なアナログである化合物IVはさらに、非神経毒性であること、非鎮静性であること、および、GABApentin(Neurontin(登録商標)、神経障害性疼痛を処置するための現時点での主要な薬物)と同等に強力であることが見出された。
【0019】
米国特許第6960687号は、N−(ヒドロキシ置換)−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミドの誘導体、ならびに、該誘導体を含有する医薬組成物、その調製方法、ならびに、てんかん、神経学的障害、情動障害および精神病性障害を処置するためのその使用、また、痛みおよび片頭痛を処置するためのその使用を教示する。
【0020】
TMCAのN−メトキシ誘導体、すなわち、N−メトキシ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物VI、図1参照)、および、TMCAの1,3,4−チアジアゾール−2−スルホンアミド誘導体、すなわち、N−(1,3,4−チアジアゾール−2−スルホンアミド)−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物VII、図1参照)が、有望な抗痙攣活性を、最大電気ショック(MES)において、また、ラットにおける皮下メトラゾール注射(scMet)誘発性発作モデルにおいて有することが示された。これらの研究において、化合物VIは、腹腔内注射されたラットでの発作モデルにおいて測定されたとき、MES試験での57mg/kgのED50値、および、scMet試験での9.8mg/kgのED50値を示した。この化合物は、VPAよりも催奇性が低いことが見出された[Okada他、Birth Defect Research(Part B)、77:227〜233(2006)]。化合物VIIは、腹腔内注射されたマウスモデルにおける17mg/kgの良好なMES−ED50値、および、経口処置されたラットモデルにおける9.2mg/kgの良好なMES−ED50値を示し、また、500mg/kgの用量で神経毒性がないことが見出された。しかしながら、VPA誘発の催奇性についてのマウスモデルにおける分析では、化合物VIIは催奇性であることが示された(未発表の結果)。
【0021】
α−フッ素化VPAおよび非フッ素化VPAを比較する近年の研究において、α−フッ素化は、有害な肝毒性活性が大きく低下した化学構造をもたらすことが示された[18、19]。他の研究、例えば、Hoffmann,H.M.R.他[Ang.Chem.、1982、94(1)、79〜80]およびWulff,J.M.他[Ang.Chem.、1985、97(7)、597〜9]などに記載される研究では、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のα−ブロモ誘導体のいくつかの調製が報告される。Likhotvorik,I.他[J.Am.Chem.Soc.、2001、123、6061〜6068]、Tippmann,E.M.他[Org.Lett.、26(5)、2003]、Tippmann,E.M.他[J.Am.Chem.Soc.、126(9)、18、2004、5751]およびMartinu,T.他[J.Org.Chem.、2004、69、7359〜7362]は、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸のα−フルオロ誘導体、α−ブロモ誘導体およびα−クロロ誘導体のいくつかの調製を報告する。それにもかかわらず、それらの治療活性は記載もされず、示唆および試験もされなかった。
【0022】
従って、非常に多くの研究が治療活性なVPA誘導体に関してこれまで行われているが、VPA治療に関連する制限を克服する有効な誘導体は未だ発見されていない。2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド類が、これに関して有望な候補として見出された一方で、改善された効果を示すであろうその誘導体が依然として求められている。
【0023】
従って、上記の制限を有しない、シクロプロピルカルボキシ化合物の新規な誘導体が必要であることが広く認識されており、そのような新規な誘導体を有することは非常に好都合であると考えられる。
【発明の概要】
【0024】
本発明者らは、今回、新規な種類のα−置換されたシクロプロピルカルボキシ化合物、より具体的には、新規なα−ハロ置換シクロプロピルカルボキシ化合物およびα−アルキル置換シクロプロピルカルボキシ化合物を設計し、それらを成功裏に調製し、実施している。
【0025】
従って、本発明の1つの態様によれば、一般式Iを有する化合物:

そのエナンチオマー、プロドラッグ、水和物、溶媒和物または医薬的に許容され得る塩が提供される:
式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;および
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;ならびに
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される;
ただし、Xがハライドであるとき、YはOであり、AはNまたはOであり、DおよびDの1つまたは複数が、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、上記の一般式Iを有する化合物を調製するプロセスが提供され、該プロセスは、一般式IIを有する化合物:

(式中、
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;および
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルからなる群から選択される)
をハロゲン化剤またはアルキル化剤と反応させることにより、一般式IIIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである)
を得ること;および
一般式IIIを有する化合物を、一般式IVを有する化合物:

(式中、
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;および
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される;
ただし、Xがハライドであるとき、YはOであり、AはNまたはOであり、DおよびDの1つまたは複数が、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される)
と反応させること
によって行われる。
【0027】
以下に記載される本発明のいくつかの実施形態におけるさらなる特徴によれば、ハロゲン化剤はN−ハロベンゼンスルホンイミドである。
【0028】
以下に記載される本発明のいくつかの実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、アルキル化剤は、アルキルハライド、アルキルスルホネートおよびアルキレンイミンからなる群から選択される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、上記の一般式Iを有する化合物を調製するための代替プロセスが提供され、該代替プロセスは、一般式Vを有する化合物:

(式中、
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである)
を、一般式VIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;および
X’はハライドである)
と反応させることにより、一般式VIIを有する化合物:

を得ること;
および、一般式VIIを有する化合物を変換することにより、本明細書に示される一般式IIIを有する化合物を得ること;ならびに
一般式IIIを有する化合物を、本明細書に示される一般式IVを有する化合物と反応させること
によって行われ、
ただし、Xがハライドであるとき、YはOであり、AはNまたはOであり、DおよびDの少なくとも1つは、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される。
【0030】
記載された実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、本明細書に示される化合物を調製する代替プロセスにおける、一般式Vを有する化合物と一般式VIを有する化合物との間における反応は、アルコキシド−アルコール混合物の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、この混合物は、tert−ブトキシドおよびtert−ブタノールの混合物である。
【0031】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に示される化合物を調製する代替プロセスにおける、一般式VIIを有する化合物の変換は、ブチルリチウムおよび二酸化炭素の存在下で行われる。
【0032】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に示される化合物を調製するプロセスはさらに、一般式IIIを有する化合物を、一般式IVを有する化合物と反応させる前に、一般式IIIを有する化合物をその反応性カルボン酸誘導体に変換することを含む。
【0033】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、反応性カルボン酸誘導体はアシルハライドである。
【0034】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書に示される化合物を調製するプロセスはさらに、一般式IIを有する化合物をハロゲン化剤またはアルキル化剤と反応させる前に、一般式IIを有する化合物をそのエステルに変換すること、および、その反応に続いて、エステルを加水分解して、それにより、一般式IIIを有する化合物を得ることを含む。
【0035】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、DおよびDの一方または両方がカルボニルを含み、該カルボニルはさらにアミンを含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、DおよびDの一方または両方は、一般式IXを有する成分である:

式中、
nは0〜20の整数であり、いくつかの実施形態によれば、nは0である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミドおよびアルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択され、いくつかの実施形態によれば、RおよびRはそれぞれが独立して、水素またはアルキルである。他の実施形態によれば、D、RおよびRの1つまたは複数がメチルである。
【0036】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、DおよびDの一方または両方がアルコキシである。
【0037】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、DおよびDの一方または両方がチアジアゾール−スルホンアミドである。
【0038】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、Dは5−イル−1,3,4−チアジアゾール−2−スルホンアミドである。
【0039】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、DまたはDのどちらかまたは両方がヘテロアリールを含み、いくつかの実施形態によれば、スルホンアミドにより置換されたヘテロアリールを含み、他の実施形態によれば、DまたはDは、一般式Xを有する成分である:

式中、Rはアルキルであり、いくつかの実施形態によれば、Rはメチルである。
【0040】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、DおよびDの一方または両方がアリール−スルホンアミドである。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、YはOであり、AはNであり、他の実施形態によれば、Dは水素である。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、R〜Rのそれぞれがメチルである。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、Xはハライドであり、他の実施形態によれば、該ハライドはフルオライドである。
【0044】
本発明のさらに別の態様によれば、有効成分として、一般式VIIIを有する化合物:

そのエナンチオマー、プロドラッグ、水和物、溶媒和物または医薬的に許容され得る塩を含み、かつ、医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物が提供され、
式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;および
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される。
【0045】
以下に記載される本発明の実施形態におけるさらなる特徴によれば、本明細書に示される医薬組成物は包装材に詰められ、神経学的疾患または神経学的障害の処置における使用のために、包装材の中または表面において印刷で特定される。
【0046】
本発明のさらに別の態様によれば、神経学的疾患または神経学的障害を処置する方法が提供され、該方法は、その処置の必要性のある対象に、一般式VIIIを有する化合物の治療有効量を投与することによって行われる。
【0047】
本発明のさらに別の態様によれば、医薬品の調製における、一般式VIIIを有する化合物の使用が提供される。いくつかの実施形態によれば、医薬品は、神経学的疾患または神経学的障害を処置するためのものである。
【0048】
以下に記載される本発明の実施形態におけるさらなる特徴によれば、神経学的疾患または神経学的障害は、てんかん、痙攣および発作障害、てんかん重積持続状態、化学的に誘発される発作障害または痙攣障害、痙性、骨格筋痙縮、不穏下肢症候群、不安、ストレス、多発性硬化症、脳卒中、頭部外傷、脊髄神経傷害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンティングトン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、神経障害性疼痛、求心路遮断性疼痛、ミオクローヌス、統合失調症、片頭痛、頭痛および双極性障害からなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、神経学的疾患または神経学的障害はてんかんである。
【0049】
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、治療有効量は約0.1mg/kg体重〜約100mg/kg体重の範囲である。
【0050】
本発明は、てんかんおよび他の神経学的障害を処置するための治療剤としての、当該技術分野において知られている他のシクロプロピルカルボキシ化合物よりはるかに優れた独自のかつ新規の特徴を有するα−ハロ置換シクロプロピルカルボキシ化合物およびα−アルキル置換シクロプロピルカルボキシ化合物を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
【0051】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0052】
用語「含む(comprising)」は、最終結果に影響しない他の工程および成分が加えられ得ることを意味する。この用語は、用語「からなる(consisting of)」および用語「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
【0053】
表現「から本質的になる」は、さらなる成分および/または工程が、主張される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がさらなる成分および/または工程を含み得ることを意味する。
【0054】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0055】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0056】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【図1】図1は、背景技術における推定される抗痙攣剤として試験されたバルプロ酸およびその誘導体のいくつかの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、新規なα−ハロ置換シクロプロパンカルボキシ化合物およびα−アルキル置換シクロプロパンカルボキシ化合物、ならびに、それらを調製するプロセスに関する。本発明はさらに、α−ハロ置換シクロプロパンカルボキシ化合物およびα−アルキル置換シクロプロパンカルボキシ化合物を含有する医薬組成物、ならびに、神経学的疾患および障害(例えば、てんかん)の処置におけるその使用に関する。
【0059】
本発明の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。
【0060】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるまたは実施例によって例示される構成要素の配置および構造の細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
【0061】
上記で議論されたように、バルプロ酸ならびにそのいくつかの誘導体およびアナログは、てんかんならびに他の中枢神経系(CNS)の疾患および障害の処置におけるそれらの有益な治療効果のために広く知られている。何十年間にわたって、研究者は、より強力な抗てんかん薬物(AED)への新しい経路を見出そうとしてバルプロ酸の基本構造を操作している。
【0062】
これらの研究により、膨大な数の化合物およびそれらの調製プロセスが生み出され、それらの中には、バルプロ酸のアナログと見なされるテトラメチルシクロプロパンカルボン酸(TMCA)の一群がある。
【0063】
有害な副作用が全くないか、またはより軽微である、強力で、それにもかかわらず、より安全なAEDを求めた研究において、本発明者らは、置換基をシクロプロパン環のα位に含む、シクロプロピルカルボキシ化合物の一連の誘導体を調製することによって、新規な、調査されていない経路を設計している。
【0064】
下記の実施例の節において明らかにされるように、本発明を実施に移しているとき、いくつかのα−ハロ置換シクロプロピルカルボキシ化合物およびα−アルキル置換シクロプロピルカルボキシ化合物が調製され、動物モデルにおいてそれらの抗痙攣活性について成功裏に試験された。
【0065】
従って、本発明の1つの態様によれば、一般式Iを有する化合物:

が提供される:
式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜10個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;および
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;ならびに
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミド(これらの用語は本明細書中で定義される)または非存在からなる群から選択される;
ただし、Xがハライドであるとき、YはOであり、AはNまたはOであり、DおよびDの少なくとも1つは、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される。
【0066】
およびDのそれぞれが独立して、DおよびDの性質ならびにAの原子価に依存して、単結合または二重結合を介してAに結合し得ることが本明細書では留意される。従って、例えば、AがNであり、Dが非存在である場合、Dは二重結合を介して窒素に結合することができる。
【0067】
置換基(X、Y、A、D、DおよびR〜R)のそれぞれが示された位置に存在させられる実現可能性が、置換基の結合価および化学的適合性、置換された位置、ならびに、他の置換基に依存することがさらに留意される。従って、本発明は、任意の位置についての実現可能な置換基のすべてを包含することが意図される。
【0068】
従って、本明細書に記載される化合物は、シクロプロパン環のα位においてハライドまたはアルキルによって置換される、バルプロ酸(VPA)の活性なTMCAアナログに基づく。
【0069】
本明細書で使用される交換可能に示される用語「ハロ」および「ハライド」は、フッ素、塩素、臭素、または沃素の原子を記載し、本明細書においてフッ化物、塩化物、臭化物および沃化物とも示される。
【0070】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む脂肪族炭化水素を記載する。いくつかの実施形態によれば、アルキル基は1個〜10個の炭素原子、他の実施形態によれば、1個〜4個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜10個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの10個までの炭素原子を含むということを意味する。アルキルは置換または非置換でありうる。置換されている場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドであることができ、これらの用語は本明細書中下記で定義される。
【0071】
本明細書で使用される用語「アルキル」はまた、飽和または不飽和の炭化水素を包含するので、この用語はアルケニルおよびアルキニルをさらに包含する。
【0072】
用語「アルケニル」は、本明細書中に定義されるように、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和なアルキルを記載する。アルケニルは、本明細書において上記に記載されるような1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。
【0073】
用語「アルキニル」は、本明細書中に定義されるように、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合からなる不飽和アルキルを示す。アルキニルは、本明細書において上記に記載されるような1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、Xがアルキルであるとき、アルキルは、1個〜10個の炭素原子を有する低級アルキルであり、他の実施形態によれば、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルである。いくつかの実施形態によれば、Xがアルキルであるとき、アルキルは飽和アルキルであり、他の実施形態によれば、飽和した非置換のアルキル(例えば、メチル)である。
【0075】
シクロプロパン環はさらに、上記の式IにおいてR〜Rによって表されるアルキルによって置換される。R、R、RおよびRは、同じまたは異なることが可能であり、それぞれが独立して、1個〜10個の炭素原子を有するアルキルである。いくつかの実施形態によれば、R〜Rのそれぞれが、1個〜10個の炭素原子を有する低級アルキルであり、他の実施形態によれば、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルである。さらに他の実施形態によれば、R〜Rのそれぞれがメチルである。上記で議論されたように、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンはバルプロ酸のアナログであり、従って、バルプロ酸に対して構造的に類似しており、従って、類似する治療活性を示す。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態によれば、Xはハライドであり、他の実施形態によれば、Xはフルオライドである。
【0077】
さらに、VPAおよびTMCAに類似して、一緒になってカルボキシ成分の一部を構成するように、Yは、O(酸素原子)、S(イオウ原子)またはNRであることが可能であり、かつ、Aは、O、SまたはN(窒素原子)であることが可能である。
【0078】
表現「カルボキシ成分」は、本明細書で定義されるような、カルボキシレートの誘導体またはアナログである化学的成分をまとめて記載するために本明細書で使用され、本明細書で定義されるようなYおよびAの実現可能な化学的組合せのすべて(例えば、アミド、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、チオアミド、イミドまたはN−置換イミド、チオイミドおよびアミジンなど、これらの用語は本明細書で定義される通りである)を包含する。
【0079】
従って、本明細書に記載される化合物は、交換可能に「シクロプロピルカルボキシ化合物」または「シクロプロパンカルボキシ化合物」として示される。しかしながら、これらの化合物はまた、「シクロプロピルカルボニル化合物」および「シクロプロパンカルボニル化合物」として示すことができ、従って、これらは上記の一般式Iにおける−C=Y成分をそれらの名称において表しており、−C=Y成分は、上記の式Iにおける−A(D)(D)成分によってさらに置換され得る。
【0080】
置換基(R1〜4、R、X、Y、A、DおよびD)のそれぞれが示された位置に存在させられる実現可能性が、置換基の結合価および化学的適合性、置換された位置、ならびに、他の置換基に依存することが当業者によって理解される。従って、本発明は、任意の位置についての実現可能な置換基のすべてを包含することが意図される。例えば、AがOまたはSである場合、Dは非存在であり、Dは本明細書で定義される通りである。AがNである場合、DおよびDの一方が二重結合を介してAに結合する場合(そのような場合、DおよびDの他方は非存在である)を除いて、DおよびDの両方が存在する。
【0081】
YおよびAがともにOであるとき、化合物は、本明細書で定義されるようにカルボキシレートである。
【0082】
本明細書で使用される用語「カルボキシレート」は−C(=O)−O−R’を示し、式中、R’は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ脂環、アリールまたはヘテロアリール(これらの用語は本明細書で定義される通りである)からなる群から選択される。
【0083】
YがOであり、AがNであるとき、化合物は、本明細書で定義されるようにアミドである。
【0084】
用語「アミド」は−C(=O)−NR’R’’を示し、式中、R’は本明細書で定義される通りであり、R’’は、R’について定義される通りである。
【0085】
YがNであり、AがOであるとき、化合物は、本明細書で定義されるようにイミドである。
【0086】
本明細書で使用される用語「イミド」は−C(=NR’)−O−R’’基を示し、式中、R’およびR’’は本明細書で定義される通りである。
【0087】
YおよびAがともにNであるとき、化合物は、本明細書で定義されるようにアミジンである。
【0088】
本明細書で使用される用語「アミジン」は−C(=NR’)−NR’’R’’’基を示し、式中、R’およびR’’は本明細書で定義される通りであり、R’’’は、R’について定義される通りである。
【0089】
YがOまたはSであり、Aがそれに対応してSまたはOであるとき、化合物は、本明細書で定義されるようにチオカルボキシレートである。
【0090】
本明細書で使用される用語「チオカルボキシレート」は−C(=O)−S−R’を示し、式中、R’は本明細書で定義される通りである。R’がアルキルであるとき、チオカルボキシレートはチオカルボキシレート−S−アルキルエステルとして示され、また、基が−C(=S)−O−R’であるとき、チオカルボキシレートはチオカルボキシレート−O−アルキルエステルとして示される。
【0091】
YおよびAがともにSであるとき、化合物は、本明細書で定義されるようにジチオカルボキシレートである。
【0092】
本明細書で使用される用語「ジチオカルボキシレート」は−C(=S)−S−R’を示し、式中、R’は本明細書で定義される通りである。
【0093】
YがSであり、AがNであるとき、化合物はチオアミドであり、また、YがNであり、AがSであるとき、化合物はチオイミドであり、これらの用語は本明細書で定義される通りである。
【0094】
用語「チオアミド」は−C(=S)−NR’R’’を示し、式中、R’は本明細書で定義される通りであり、R’’は、R’について定義される通りである。
【0095】
用語「チオイミド」は−C(=NR’)−SR’’を示し、式中、R’およびR’’は本明細書で定義される通りである。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態において、YはOであり、上記式において−C(=Y)−A−によって定義されるカルボキシ成分は、アミド、チオカルボキシレートまたはエステルである。他の実施形態によれば、YはOであり、AはNであり、カルボキシ成分はアミドである。
【0097】
本発明の実施形態によれば、Xがハライドであり、YがOであり、AがOまたはNである化合物(すなわち、TMCAのエステル誘導体またはアミド誘導体である化合物)で、さらに、DおよびDが、水素、メチルまたは他の低級アルキルである化合物は、本発明のこの態様の範囲から除外される。上記のように、そのような化合物は以前に調製されている。それにもかかわらず、これらの化合物はどれも、治療剤に関連しては記載または試験がされなかった。従って、これらの化合物は本発明の他の態様からは除外されない。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、DおよびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミドおよびアルキル−チアジアゾール−スルホンアミド(これらの用語は本明細書で定義される通りである)からなる群から選択されるか、または、非存在である。
【0099】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。シクロアルキルは、1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、アミド、チオアミド、カルバメート、およびウレアであることができ、これらの用語は本明細書中で定義される。
【0100】
用語「複素脂環」は、窒素、酸素およびイオウのような1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を示す。環はまた、1個または複数個の二重結合を有することができる。しかしながら、環は完全共役のπ電子系を有しない。本明細書の上記に記載されるように、1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。複素脂環の代表例は、限定されないが、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノなどを含む。
【0101】
用語「アリール」は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。アリール基は、本明細書の上記に記載されるように、1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。
【0102】
用語「ヘテロアリール」は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)を記載する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、本明細書の上記に記載されるように、1つ以上の置換基によって置換されていても置換されていなくてもよい。代表例は、チアジアゾール、ピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンなどである。
【0103】
本明細書で使用される用語「アミン」は、−NR’R’’基を記載し、ここでR’およびR’’は独立して水素、アルキル、シクロアルキル、複素脂環、アリール、またはヘテロアリールであり、これらの用語は本明細書中下記で定義される。
【0104】
本明細書で使用される用語「ヒドロキシル」は、−OH基を示す。
【0105】
用語「ヒドロキシアルキル」は、−R’−OH基を記載し、ここでR’は本明細書で定義される通りである。
【0106】
本明細書で使用される用語「チオヒドロキシ」は、−SH基を示す。
【0107】
用語「チオアルコキシ」は、−SR’基を記載し、ここでR’は本明細書で定義される通りである。
【0108】
用語「チオヒドロキシアルキル」は、−R’−SH基を記載し、ここでR’は本明細書で定義される通りである。
【0109】
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハロゲン化物によってさらに置換された、上記で定義されるアルキル基を記載する。
【0110】
用語「カーボネート」は、−OC(=O)−NR’R’’を記載し、ここでR’およびR’’は本明細書で定義される通りである。
【0111】
用語「ウレア」は、−NR’C(=O)−NR’’R’’’を記載し、ここでR’およびR’’は本明細書で定義される通りであり、R’’’はR’およびR’’について定義される通りである。
【0112】
上記で議論されたように、研究は、VPAおよびTMCAならびにそれらのアナログのカルボキシ部分が特定の置換基によってさらに置換された場合に、改良された治療効果が達成されたことを示した。これらの置換基は、アルコキシ、カルボニル、および特にスルホンアミドの種々の誘導体を含む。
【0113】
ここで、いくつかの実施形態において、DおよびDの少なくとも1つは、アルコキシ、カルボニル、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択され、これらの用語は本明細書で定義される通りである。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、DおよびDの少なくとも1つはアルコキシである。
【0115】
用語「アルコキシ」は、−OR’基を記載し、ここでR’は本明細書で定義される通りである。
【0116】
本明細書で使用される用語「カルボニル」または「ケトン」は、−(C=O)−R’を記載し、ここでR’は本明細書で定義される通りである。
【0117】
いくつかの実施形態によれば、DおよびDの少なくとも1つはアミノ置換カルボニルである。
【0118】
本明細書で使用される表現「アミノ置換カルボニル」は、R’が、本明細書で定義されるようにアミンによってさらに置換されるアルキル、シクロアルキルまたはヘテロ脂環、アリールまたはヘテロアリール(これらの用語は本明細書で定義される通りである)である本明細書で定義されるようなカルボニル基を表す。
【0119】
限定されない一例において、DおよびDの少なくとも1つは、一般式IXを有するアミノ置換カルボニルである:

式中、
nは0〜20の整数である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミドおよびアルキル−チアジアゾール−スルホンアミド(これらの用語は本明細書で定義される通りである)からなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、RおよびRはそれぞれが独立して、水素およびアルキルであり、他の実施形態によれば、RおよびRはそれぞれが水素およびメチルである。
【0120】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、DおよびDの少なくとも1つはスルホンアミドであり、他の実施形態によれば、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミドおよびアルキル−アリール−スルホンアミドの1つまたは複数である。さらに他の実施形態によれば、DおよびDの少なくとも1つはアリール−スルホンアミドである。
【0121】
用語「スルホンアミド」は、−S(=O)−NR’R’’を記載し、ここでR’およびR’’は本明細書で定義される通りである。
【0122】
用語「アルキル−スルホンアミド」は、−R’−S(=O)−NR’R’’’を示し、ここでR’およびR’’は本明細書で定義される通りであり、R’’’はR’およびR’’について定義される通りである。
【0123】
用語「アリール−スルホンアミド」は、−アリール−S(=O)−NR’R’’を示し、ここでR’およびR’’は本明細書で定義される通りである。
【0124】
用語「アルキル−アリール−スルホンアミド」は、−R’−アリール−S(=O)−NR’R’’’を示し、ここでR’およびR’’は本明細書で定義される通りであり、R’’’はR’およびR’’について定義される通りである。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態によれば、DまたはDの少なくとも1つはヘテロアリールであり、他の実施形態によれば、チアジアゾールである。
【0126】
VPAアナログおよびTMCAアナログに関する上記研究において、チアジアゾールと、それらのカルボキシ成分の置換基の1つとしてのスルホンアミドとの組合せは、非常に活性な化合物をもたらした。従って、本発明のいくつかの実施形態によれば、DまたはDの少なくとも1つは、チアジアゾール−スルホンアミドおよびアルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される。
【0127】
本明細書で使用される用語「チアジアゾール−スルホンアミド」は、スルホンアミドにより置換されたチアジアゾール(これらの用語は本明細書で定義される通りである)を示し、従って、いくつかの実施形態によれば、スルホンアミド置換基はチアゾールの5位において結合する。
【0128】
本明細書で使用される用語「アルキル−チアジアゾール−スルホンアミド」は−R’−チアジアゾール−スルホンアミドを示し、R’は本明細書で定義される通りである。いくつかの実施形態によれば、R’はチアジアゾールの3位に結合し、スルホンアミド置換基はチアジアゾールの5位に結合する。
【0129】
限定されない一例において、DおよびDの一方が非存在であり、他方が、一般式Xによって表されるような、二重結合を介してAに結合するチアジアゾール−スルホンアミドである:

式中、Rはアルキルである。いくつかの実施形態によれば、Rはメチルである。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態によれば、Dは水素であり、Dは上記される通りである。
【0131】
下記の表1は、本発明のいくつかの実施形態による例示的なα−ハロシクロプロピルカルボキシ化合物およびα−アルキルシクロプロピルカルボキシ化合物を示す。
【0132】
本発明の実施形態はさらに、本明細書に記載される化合物の任意のエナンチオマー、プロドラッグ、溶媒和物、水和物および/または医薬的に許容され得る塩を包含する。
【0133】
本明細書で使用される用語「エナンチオマー」は、互いの完全な反転/鏡映(鏡像)によってのみその片方に関して重ねることができる化合物の立体異性体を示す。エナンチオマーは、右手および左手のように互いに参照されるので、「掌性」を有すると言われる。エナンチオマーは、それ自体が掌性を有する環境(例えば、すべての生体系)に存在するときを除いて、同一の化学的性質および物理的性質を有する。
【0134】
用語「プロドラッグ」は、活性な化合物(活性な親薬物)にインビボで変換される薬剤を示す。プロドラッグは典型的には、親薬物の投与を容易にするために有用である。プロドラッグは、例えば、親薬物が経口投与による生物学的利用能を有しなくとも、経口投与による生物学的利用能を有する場合がある。プロドラッグはまた、医薬組成物において、親薬物と比較して、改善された溶解性を有する場合もある。プロドラッグはまた、多くの場合、インビボでの活性な化合物の持続された放出を達成するために使用される。プロドラッグの限定されない一例が、エステル(「プロドラッグ」)として投与される、1つまたは複数のカルボン酸成分を有する本発明の化合物である。そのようなプロドラッグはインビボで加水分解され、それにより、遊離化合物(親薬物)をもたらす。選択されたエステルはプロドラッグの溶解度特性および加水分解速度の両方に影響を及ぼし得る。
【0135】
用語「溶媒和物」は、溶質(本発明の化合物)および溶媒によって形成され、それにより、溶媒が溶質の生物学的活性を妨害しない、変化し得る化学量論(例えば、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサなど)を有する複合体を示す。好適な溶媒には、例えば、エタノールおよび酢酸などが含まれる。
【0136】
用語「水和物」は、溶媒が水である、上記で定義されるような溶媒和物を示す。
【0137】
表現「医薬的に許容され得る塩」は、親化合物の溶解度特性を改変するために、および/または、親化合物による生物に対する何らかの著しい刺激を軽減するために典型的には使用され、一方で、投与された化合物の生物学的な活性および性質を妨げない、親化合物の荷電化学種およびその対イオンを示す。医薬的に許容され得る塩の限定されない一例がカルボキシレートアニオンおよびカチオン(例えば、アンモニウム、ナトリウムおよびカリウムなど、これらに限定されない)である。
【0138】
さらに、本発明によれば、下記の実施例の節において一般的手順1のもとで記載され、また、明らかにされるように、上記に示される化合物を調製するプロセスが提供される。このプロセスは一般には、上記で定義されるようなX置換基をシクロプロパンカルボン酸化合物のα位に導入し、得られたα−置換のシクロプロパンをその所望されるカルボキシル誘導体に変換することによって行われる。
【0139】
したがって、出発物質として、下記の一般式IIによって表される、好適なシクロプロピルカルボキシ化合物が提供される:

【0140】
所望されるX、すなわちハライドまたはアルキルに応じて、一般式IIを有する化合物は、ハロゲン化剤またはアルキル化剤とそれぞれ反応させられ、それによって一般式IIIを有する化合物が得られる:

【0141】
Xがハライドである場合、一般式IIを有する化合物は、ハロゲン化剤と反応させられる。
【0142】
本明細書で用いられる表現「ハロゲン化剤」は、本明細書で定義されるハライドを所定の反応化合物上の指定された位置に置くことができる化学試薬を示す。
【0143】
この目的のために一般的に使用されるハロゲン化剤の例は、限定されないが、N−フルオロベンゼンスルホンイミドおよび1−フルオロピリジニウムトリフラートのようなフッ素化剤、ClおよびN−クロロスクシンイミドのような塩素化剤、Br、N−ブロモスクシンイミド、および1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインのような臭素化剤、IおよびN−ヨードスクシンイミドのような沃素化剤を含む。いくつかの実施形態によれば、ハロゲン化剤は、ベンゼンスルホニルハライド(N−ハロベンゼンスルホンイミド)である。
【0144】
Xがアルキルである場合、一般式IIを有する化合物は、アルキル化剤と反応させられる。
【0145】
本明細書で用いられる表現「アルキル化剤」は、本明細書で定義されるアルキルを所定の反応化合物上の指定された位置に置くことができる化学試薬を示す。
【0146】
公知のアルキル化剤の例は、限定されないが、アルキルスルホネート、アルキレンイミン、ホスゲン、メチルトシラートのようなアルキルトシラート、メチルトリフラートのようなアルキルトリフラート、臭化メチルおよび沃化メチルのようなアルキルハライド、トリメチルオキソニウム、テトラフルオロボレート、ジアルキルサルフェート、アルモキサン、トリアルキルアルミニウムおよびトリス(トリアルキルイル)アルミニウムを含む。
【0147】
アルモキサンの非限定的な例は、メチルアルモキサン(MAO)、テトラ(イソブチル)アルモキサン(TIBAO)、テトラ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルモキサン(TIOAO)、テトラ−(2,3−ジメチルブチル)アルモキサン(TDMBAO)およびテトラ−(2,3,3−トリメチルブチル)アルモキサン(TTMBAO)を含む。
【0148】
トリアルキルアルミニウムアルキル化剤およびトリス(トリアルキルイル)アルミニウムアルキル化剤の非限定的な例は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリス(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルミニウム(TIOA)、トリス(2−メチル−プロピル)アルミニウム(TIBA)、トリス(2,3,3−トリメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ペンチル)アルミニウム、およびトリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ブチル)を含む。
【0149】
本発明のいくつかの実施形態によれば、−C(=Y)−OHによって表される、一般式IIを有する化合物に存在するカルボキシ成分は、ハロゲン化剤またはアルキル化剤との反応の前に保護される。いくつかの実施形態によれば、カルボキシ成分はそのエステル(これは本明細書で定義される通りである)に変換される。エステルは、ハロゲン化剤またはアルキル化剤との反応の後で加水分解してカルボン酸に戻すことができる。
【0150】
一般式IIIを有する化合物に到達することを、代わりの経路によって達成することができる。従って、本発明の別の態様によれば、上記の一般式Iを有する化合物を調製するための代替プロセスが提供される。
【0151】
このプロセスは、一般式Vを有する化合物:

(式中、
〜Rは本明細書で定義される通りである)
を、一般式VIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;および
X’はハライドである)
と反応させることにより、一般式VIIを有するシクロプロパン誘導体化合物:

を得ることによって行われる。
【0152】
その後、このシクロプロパン誘導体化合物は、本明細書に示される一般式IIIを有する酸化合物へと変換される。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態によれば、このシクロプロパン誘導体化合物を形成するための反応はアルコキシド−アルコール混合物の存在下で行われる。
【0154】
本明細書で使用される表現「アルコキシド−アルコール混合物」は、R−O基の形態での有機アルコキシドと、R−OHの形態での対応するアルコールとの混合物を示す(式中、Rは、本明細書で定義されるアルキルである)。アルコキシド−アルコール混合物は、シクロプロパン誘導体化合物の形成を典型的にもたらす、反応混合物からヒドロハロゲン(hydrohalogenic)酸を取り出すための有機合成(例えば、アルケンと、ハロホルム(トリハロメタン)との間における環化反応)における塩基性試薬混合物として広く使用される。本発明のいくつかの実施形態によれば、このアルコキシド−アルコール混合物は、tert−ブトキシドおよびtert−ブタノールの混合物である。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態によれば、一般式VIIを有する化合物の変換が、ブチルリチウムおよび二酸化炭素の存在下で行われる。
【0156】
本明細書に示される化合物を調製するためのこの代替プロセスの詳述かつ例示的記載が下記の実施例の節において一般的手順2のもとで示される。
【0157】
一般式IIIを有する化合物が形成されると、一般式Iを有する化合物への変換が様々なプロセスで行われ、それらの多くが、テトラメチルシクロプロパンカルボン酸を様々なテトラメチルシクロプロピルカルボキシ誘導体に変換することを取り扱う技術分野において記載される[10〜17、20〜26]。
【0158】
簡単に記載すると、シクロプロパンカルボン酸化合物を様々なそのカルボキシ誘導体に変換することを、本明細書において上で詳述されるように、カルボキシレートを、アミド、エステル、イミドなど、および、それぞれの置換された誘導体に変換することを一般には目的とする様々な簡便な化学反応または複雑な化学反応によって行うことができる。
【0159】
本発明のこの態様の1つの例示的な実施形態によれば、一般式IIIを有する化合物(カルボン酸)を、カルボキシ成分が、例えば、アミドである一般式Iを有する化合物に変換することが、一般式IIIを有する化合物をカルボン酸の反応性形態に変換することによって行われる。カルボキシ成分のそのような反応性形態の代表的な例には、限定されないが、カルボキシル−ハライドまたはアシル−ハライド、カルボキシル−無水物またはアシル−無水物、および、カルボン酸エステルなどが含まれる。いくつかの実施形態によれば、カルボン酸の反応性形態はアシル−ハライドである。
【0160】
本明細書で使用される用語「カルボキシ−ハライド」または「アシル−ハライド」は、−(C=Y)−X’を示し、ここで、Yは本明細書で定義される通りであり、X’はハライドである。
【0161】
本明細書で使用される用語「カルボキシ−無水物」または「アシル−無水物」は、−(C=Y)−O−(C=O)−R’を示し、ここで、YおよびR’は本明細書で定義される通りである。
【0162】
本明細書で使用される用語「カルボン酸エステル」は、−(C=Y)−O−R’を示し、ここで、YおよびR’は本明細書で定義される通りである。
【0163】
いくつかの実施形態において、一般式IIIを有する化合物は、一般式IVを有する化合物:

(式中、
Aは、D、およびDは、本明細書の上記で定義される通りである)
と反応させられる。
【0164】
一般式IVを有する化合物は、一般式IIIを有する化合物またはその活性化形態とのその反応のとき、所望される置換基をDおよびDに関して有する化合物がもたらされるように選択される。
【0165】
別の一例について、所望される化合物が化合物2(下記の表1を参照のこと)であるとき、一般式IVを有する対応する化合物はメチルアミンである。
【0166】
別の一例について、所望される化合物が化合物3(下記の表1を参照のこと)であるとき、一般式IVを有する対応する化合物はウレアである(ウレアはホルムアミド−アミンと見なすことができる)。
【0167】
さらに別の一例について、所望される化合物が化合物6(下記の表1を参照のこと)であるとき、一般式IVを有する対応する化合物は5−アミノ−[1,3,4]チアジアゾール−2−スルホン酸アミドである。
【0168】
本明細書において上で議論されたように、本発明者らは、本発明のα−置換シクロプロピルカルボキシ化合物が、バルプロ酸およびTMCAと比較して、少なくとも類似する治療活性、好ましくは改善された治療活性を示すであろうと想定しており、従って、これらの化合物は、例えば、可能性のある抗てんかん薬物として開発された。本発明を実施に移しているとき、下記の実施例の節において明らかにされるように、本明細書に示される例示的な化合物が、ほとんどの場合には用量依存的な様式で非常に活性であることが実際に見出されたように、抗痙攣剤について試験されたことが実際に示された。
【0169】
これらの化合物によって示される治療活性に基づき、本発明の別の態様によれば、一般式VIII:

(式中、
Xはハライドであるか、または、本明細書で定義される1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜10個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;および
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;ならびに
およびDはそれぞれが独立して、本明細書で定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、およびアルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される)
において表される、α−ハロまたはα−アルキル置換されたシクロプロピルカルボキシ化合物、ならびにその本明細書で定義されるエナンチオマー、水和物、溶媒和物または医薬的に許容され得る塩の、医薬品の調製における使用が提供される。
【0170】
いくつかの実施形態によれば、医薬品は、神経学的疾患または神経学的障害を処置するためのものである。
【0171】
従って、本発明の別の態様によれば、神経学的疾患または神経学的障害を処置する方法が提供される。この方法は、その必要性のある対象に、上記の一般式VIIIで示されるようなα−ハロ置換シクロプロピルカルボキシ化合物またはα−アルキル置換シクロプロピルカルボキシ化合物の治療有効量を投与することによって行われる。
【0172】
本明細書で使用される用語「処置する」および用語「処置」には、状態の進行を取り消すこと、または、実質的に阻害すること、または、遅くすること、または、逆向きにすること、あるいは、状態の臨床的症状または審美的症状を実質的に改善すること、あるいは、状態の臨床的症状または審美的症状の出現を実質的に防止することが含まれる。
【0173】
本明細書で使用される表現「神経学的疾患または神経学的障害」は、脳および脊髄(すなわち、中枢神経系(CNS))、末梢神経および脳神経(PNS)(すなわち、末梢神経系)、または、自律神経系および筋骨格系の構成成分の1つにおける遺伝的機能不全または後天的機能不全を示す。これらの疾患および障害が、様々な行動症状、運動症状、形態醜形(奇形、異常)、神経障害性疼痛および認知障害、ならびに、他の生理学的症状において現れる。本発明の関連では、神経学的疾患および神経学的障害には、精神医学的な疾患および障害、ならびに、神経変性性の疾患および障害が含まれる。
【0174】
本発明の1つの例示的な実施形態によれば、神経学的障害は、電気的なニューロン活動の異常な同調を生じさせる脳における何らかの異常な電気放電に関連する発作を含む。発作は、てんかんに起因する場合があり、また、てんかんに関連しない場合がある。
【0175】
例えば、非てんかん性発作が化学的作用因によって引き起こされ得る。本明細書で使用される表現「化学的に誘発される痙攣および/または発作障害」は、外因性の物質または化学物質に対する一時的または長期間の暴露によって引き起こされる発作、例えば、トキシン(例えば、破傷風トキシン(テタノスパスミン)、ボツリン、テトロドトキシン、バトラコトキシン、マウロトキシン、アギトキシン、カリブドトキシン、マルガトキシン、スロトキシン、スキラトキシン、ヘフトキシン、カルシセプチン、タイカトキシンおよびカルシクルジン)、アルカロイド(例えば、エフェドリンアルカロイド、フェネチルアミン類、アンフェタミン類、トリプタミン類、メスカリン、シロシビンおよびピロカルピン)、神経剤および有機ホスファート(例えば、タブン(GAS)、サリン(GB)、ソマン(GD)、シクロサリン(GF)、GV、VE、VG、VM、VX、Novichok剤、肺薬剤、クロロピクリン(PS)、ホスゲン(CG)およびジホスゲン(DP)など)および薬物(例えば、アミノフィリンまたは局所麻酔剤、ならびに、抗うつ剤など)に対する一時的または長期間の暴露によって引き起こされる発作を示す。
【0176】
てんかんを伴わない他の発作には、フィブリル痙攣に至る発熱、代謝障害(例えば、低血糖症、低ナトリウム血症または低酸素症)、食物離脱(例えば、GHBおよびその誘導体、ならびに、ベンゾジアゼピン類、エタノールおよびバクロフェン)、子癇、両耳鼓動脳波エンターテインメントによって誘発される発作が含まれるが、これらに限定されない。他の発作が下記において列挙される。
【0177】
従って、神経学的疾患および神経学的障害の例には、限定されないが、変化した精神状態、脳障害、昏迷および昏睡、発熱(フィブリル痙攣)、脳性麻痺、脳血管性疾患(例えば、一過性虚血性発作および脳卒中)、脱髄性疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群および慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP))、てんかんおよび発作障害、頭痛障害(例えば、片頭痛、群発性頭痛および緊張性頭痛)、脳の感染症(脳炎)、脳髄膜の感染症(髄膜炎)、脊髄の感染症(脊髄炎)、運動障害(例えば、パーキンソン病、ハンティングトン病、片側バリスム、チック障害およびジル・ド・ラ・トゥレット症候群における運動障害)、CNS新生物(脳腫瘍)、脊髄腫瘍、PNS腫瘍、睡眠障害、発話障害および言語障害、脊髄障害(例えば、腫瘍、感染症、外傷、奇形(例えば、骨髄瘤、髄膜骨髄瘤、繋留脊髄)、脳、脊髄およびPNSに対する外傷性傷害、末梢神経の障害、筋肉の障害(筋障害)および神経筋接合部の障害、求心路遮断疼痛(これはまた、幻痛、有痛性感覚脱失または除神経性疼痛とも呼ばれる)、PNSの様々な感染症(例えば、ボツリヌス中毒)が含まれる。
【0178】
精神医学的疾患および精神医学的障害の例には、限定されないが、精神病性の障害または疾患、例えば、統合失調症、不安障害、解離性障害、人格障害、気分障害(例えば、うつ病)、情動障害(単極性障害および双極性障害を含む)、境界性障害、および、精神疾患または精神障害が含まれる。
【0179】
神経変性疾患および神経変性障害の例には、限定されないが、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細管拡張性運動失調、バッテン病(これはまた、シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病として知られている)、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケーン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンティングトン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体認知症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳性運動失調タイプ3)、多発性硬化症、多系統萎縮症(MSA)、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、レフスム病、サンドホフ病、シルダー病、統合失調症、シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病(これはまた、バッテン病として知られている)、脊髄小脳性運動失調(変化する特徴を有する多発タイプ)、脊髄性筋萎縮症およびスティール・リチャードソン・オルゼウスキー病が含まれる。
【0180】
神経学的疾患または神経学的障害は、本発明のいくつかの実施形態によれば、てんかん、痙攣および発作障害、てんかん重積持続状態、化学的に誘発される痙攣および/または発作障害、フィブリル痙攣状態、代謝障害、食物離脱症状、痙性、骨格筋痙攣、不穏下肢症候群、不安、ストレス、多発性硬化症、脳卒中、頭部外傷、脊髄神経傷害、(ALS)、パーキンソン病、ハンティングトン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、神経障害性疼痛、ミオクローヌス、統合失調症、片頭痛、頭痛、ならびに、双極性障害からなる群から選択される。本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される化合物は、てんかんを処置するために利用される。
【0181】
本発明のさらなる実施形態によれば、本明細書に記載される化合物は、神経障害性疼痛、幻痛、片頭痛、統合失調症および双極性障害を処置するために利用される。
【0182】
本明細書で使用される表現「治療有効量」は、処置されている状態の症状の1つまたは複数をある程度緩和する、投与され続けられる化合物の量を表す。
【0183】
下記の実施例の節において明らかにされるように、本発明の化合物の例示的な治療有効量は約0.1mg/kg体重〜約100mg/kg体重の間の範囲である。
【0184】
本明細書を通して使用される用語「約」は±10%を示す。
【0185】
本明細書に記載される方法および使用のいずれかにおいて、本発明の実施形態のα−ハロ置換シクロプロピルカルボキシ化合物またはα−アルキル置換シクロプロピルカルボキシ化合物は、それ自体で、または、いくつかの実施形態によれば、医薬的に許容され得る担体をさらに含む医薬組成物の一部としてそのどちらでも利用することができる。
【0186】
従って、本発明のさらなる態様によれば、上記で定義されるような一般式VIIIを有する1つまたは複数の化合物と、医薬的に許容され得る担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0187】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に示される化合物と、他の化学的成分(例えば、生理学的に許容され得るまたは生理学的に好適な担体および賦形剤など)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
【0188】
本明細書中以降、用語「医薬的に許容され得る担体」は、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された化合物の生物学的な活性および性質を妨げない担体または希釈剤を示す。担体の非限定的な例は、プロピレングリコール、生理食塩水、エマルション、および有機溶媒と水の混合物、ならびに固体(例えば、粉末)担体およびガス状担体である。
【0189】
本明細書において、用語「賦形剤」は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0190】
薬物の配合および投与のための技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出されることができ、これは参考として本明細書中に組み込まれる。
【0191】
本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用されることができる調製物への有効成分の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得る担体を使用して従来の様式で配合されることできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。投与量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化しうる。正確な配合、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(例えば、Finglら、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照のこと)。
【0192】
医薬組成物は、局所または全身の処置または投与の選択、および処置されるべき領域に依存して1つまたは複数のいずれかの経路での投与のために配合されることができる。投与は、吸入によって経口的に行われるか、または例えば、点滴、または腹膜内注射、皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射によって非経口的に行われるか、または局所的(眼内投与、膣内投与、直腸投与、鼻内投与を含む)に行われる。
【0193】
局所投与用の処方物としては、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、座剤、ドロップ、液体、スプレー、および粉末を挙げることができるが、これらに限定されない。従来の医薬的担体、水溶液、粉末、または油性基剤、および増粘剤などが必要である場合があり、またそれらが望ましい場合もある。
【0194】
経口投与用の組成物としては、粉末、顆粒、懸濁液、または水溶液または非水性媒体の溶液、サシェ、ピル、キャップレッツ、カプセル、または錠剤が挙げられる。増粘剤、希釈剤、香料、分散助剤、乳化剤、または結合剤が望ましい場合もある。
【0195】
非経口投与用の処方物としては、滅菌溶液を挙げることができるが、これらに限定されない。これには、緩衝液、希釈剤、および他の適切な添加物を含めることもできる。徐放組成物は、治療のために予想される。
【0196】
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている患者、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存する。
【0197】
本発明の組成物は、所望されるならば、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA(米国食品医薬品局)承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、限定されないが、ブリスターパックまたは加圧容器(吸入用)など)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用担体に配合された本発明の化合物を含む組成物もまた、上で詳述されたように、神経学的疾患または障害を処置するために調製され、適切な容器に入れられ、かつ標識され得る。
【0198】
従って、本発明の実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、包装材に詰められ、上で定義されるような神経学的疾患または障害の処置における使用のために、前記包装材の中または表面において印刷で特定される。
【0199】
本明細書に示される方法、使用、および組成物のいずれかのさらなる実施形態によれば、本発明の化合物は神経学的疾患および障害を処置するために一般的に使用される他の有効成分と組み合わせられることができる。
【0200】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0201】
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なお、これらの実施例によって本発明は限定されない。
【0202】
実施例1
化学合成
材料および方法:
2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(TMCA)をSigma−Aldrichから得た。
【0203】
N−フルオロベンゼンスルホンイミドをFluorochem(英国)から購入した。
【0204】
他の化学薬品、溶媒および試薬をSigma−Aldrichから購入した。
【0205】
融点を、Buchi530キャピラリー融点装置を使用して測定した。
【0206】
薄層クロマトグラフィ(TLC)分析を、プレコートされたシリカゲル/アルミニウムシートのKieselgel60F254(Merck)を使用して行った。
【0207】
NMR測定を、VarianマーキュリーシリーズNMR300分光計を使用して行った。
【0208】
GC−MS測定を、Hewlett−Packard msエンジン(HP5989A)単四重極、MS分光計、HP7673オートサンプラ、HP MS−DOS ChemstationおよびHP−5MSキャピラリーカラム(0.25μm×15m×0.25mm)を備えるHP5890 SEIES II GCを使用して行った。
【0209】
α−ハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−ハロ−TMCA)の調製−一般的手順1:
α−ハロ−TMCAを調製するための一般的合成経路が下記のスキーム1に示される:

【0210】
スキーム1において認められ得るように、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(TMCA)のエチルエステルが、この酸を触媒量の硫酸の存在下で1:15の過剰な比率でのエチルアルコールと還流することによって調製される。その後、未反応のアルコールを減圧下で除き、反応混合物を100mlのヘキサンに溶解し、水酸化ナトリウムおよびブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過する。有機溶媒を蒸発させ、エステル(典型的には、無色の液体として得られる)を真空蒸留によってさらに精製する。
【0211】
リチウムジイソプロピルアミン(LDA、0.032モル)の溶液を、ジイソプロピルアミンを新たに蒸留されたテトラヒドロフラン(水素化カルシウム上で蒸留されたTHF)に窒素下で溶解することによって調製する。反応混合物を−15℃に冷却し、ブチルリチウム(BuLi、0.032モル)を、撹拌しながら、また、混合物の温度を−15℃で維持しながら反応混合物にゆっくり加える。得られた混合物を、その後、さらに10分間、撹拌および冷却し、その後、さらに10分間撹拌しながら0℃に加温する。その後、反応混合物を再び−15℃に冷却し、TMCAエチルエステル(0.03モル)を乾燥THFに溶解して、反応混合物に加え、混合物を40分間撹拌する。
【0212】
その後、温度を約−8℃に上げ、乾燥THFに溶解された1.5当量のハロベンゼンスルホンイミド試薬を反応混合物に加える。
【0213】
反応混合物をさらに30分間撹拌し、その間、α−ハロ−TMCAエチルエステルの形成をGC−MSによってモニターする。反応が完了すると、有機溶媒を減圧下で除き、典型的には油状の残渣を酢酸エチルに分散させ、ブフナー漏斗で2回ろ過する。漏斗内の固体をヘキサンにより2回洗浄する。ヘキサン洗液および酢酸エチルろ液を一緒にし、水、HCl(1N)およびブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過する。溶媒を蒸発させて、α−ハロ−TMCAエチルエステルを典型的には黄色オイルとして得る。
【0214】
α−ハロ−TMCAエチルエステルを、水:エタノール混合物(1:1、v/v)において水酸化カリウム(0.045モル)を使用して対応する酸に加水分解する。その間、加水分解の進行をGC−MSによってモニターする。反応が完了すると、エタノールを蒸発させ、残留する水溶液をヘキサンにより洗浄し、有機画分を捨てる。水溶液を冷却し、HCl(1N)を使用してpH1にゆっくり酸性化し、その後、酢酸エチルにより3回抽出する。有機抽出液を一緒にし、5%重炭酸ナトリウム溶液により3回洗浄し、一緒にした重炭酸ナトリウム溶液をpH1に酸性化し、酢酸エチルにより抽出する。有機画分を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させて、α−ハロ−TMCAを典型的には白色粉末として得る。
【0215】
得られたα−ハロ−TMCAの化学構造を分光学的方法(NMR、GC−MS)によって確認し、生成物の純度をTLCおよび元素分析によって評価する。全プロセスの典型的な収率は約50%である。
【0216】
α−ハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−ハロ−TMCA)の調製−一般的手順2:
α−ハロ−TMCAを調製するための別の一般的合成経路が下記のスキーム2に示される:

【0217】
スキーム2において認めら得るように、2,3−ジメチル−2−ブテンが、tert−ブタノール中、カリウムtert−ブトキシドの存在下、0℃でハロホルム化合物(例えば、クロロホルムまたはヨードホルム)と反応する。反応混合物を一晩撹拌し、室温に加温する。溶媒を減圧下で除き、石油エーテルに溶解した反応混合物を水およびブラインにより3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過する。溶媒を減圧下で除いて、1,1−ジハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンを白色固体として得る。
【0218】
得られた1,1−ジハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンを、その後、新たに蒸留されたテトラヒドロフラン(THF、水素化アルミニウムリチウム上で蒸留されたもの)に窒素雰囲気下で溶解し、反応混合物を−78℃に冷却する。乾燥THF(1:1、v:v)で希釈されたブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)を滴加し、反応混合物を30分間撹拌する。その後、二酸化炭素を反応混合物に2時間吹き込み、その後、反応混合物を室温にする。THFを減圧下で蒸発させ、反応混合物を石油エーテルに溶解し、重炭酸ナトリウム(5%)により3回洗浄する。水相を一緒にし、氷浴で冷却し、1N HClを使用してpH1に酸性化し、その後、ジクロロメタンにより抽出する。有機画分を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、α−ハロ−TMCAを典型的には白色粉末として得る。
【0219】
得られたα−ハロ−TMCAの化学構造を分光学的方法(NMR、GC−MS)によって確認し、生成物の純度をTLCおよび元素分析によって評価する。全プロセスの典型的な収率は約40%である。
【0220】
α−ブロモ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−ブロモ−TMCA)の調製:
α−ブロモ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸を、ブロモホルム(CHBr)を使用して、本明細書において上で示される一般的手順2に従って調製した。
【0221】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.24〜1.26(12H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=220(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、96:4)、保持係数が0.6である単一スポット;
化学分析(C13BrO):計算値−C:43.46、H:5.93、Br:36.14;実測値−C:43.73、H:6.05、Br:36.46;および
融点:157〜160℃。
【0222】
α−クロロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−クロロ−TMCA)の調製:
α−クロロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸を、クロロホルムを使用して、本明細書において上で示される一般的手順2に従って調製した。
【0223】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.24〜1.28(12H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=176(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、96:4)、保持係数が0.6である単一スポット;
化学分析(C13ClO):計算値−C:54.40、H:7.42、Cl:20.07;実測値−C:54.49、H:7.61、Cl:19.67;
融点:157〜159℃。
【0224】
α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−フルオロ−TMCA)の調製:
α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸を、N−フルオロベンゼンスルホンイミドを使用して、本明細書において上で示される一般的手順に従って調製した。
【0225】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.20〜1.26(18H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=160(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、97:3)、保持係数が0.4である単一スポット;
化学分析(C13FO):計算値−C:59.98、H:8.18、F:12.04;実測値−C:59.8、H:8.01、F:12.04;
融点:121〜123℃。
【0226】
α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物1)の調製:

【0227】
α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−フルオロ−TMCA)を本明細書において上記されるように調製した。
【0228】
塩化チオニル(0.085モル)を無水ジクロロメタン(6ml)に溶解し、この溶液を、ジクロロメタン(60ml)に溶解されたα−フルオロ−TMCA(0.056モル)に0℃で滴加した。反応混合物を一晩撹拌し、その後、溶媒および過剰の塩化チオニルを減圧下での蒸留によって除去した。
【0229】
得られたα−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボニルクロリドを乾燥アセトニトリルに溶解し、25%水酸化アンモニウムの撹拌および冷却された水:アセトニトリル(1:1、v/v)溶液にゆっくり加えた。アミド化反応をGC−MSによってモニターし、反応が完了すると、有機溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、HCl(1N)およびブラインにより洗浄した。有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を石油エーテルから再結晶して、99℃の融点を有する白色の結晶を得た。全体の収率が76%であった。生成物の化学構造を分光学的方法(NMR、GC−MS)によって決定した。
【0230】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.277〜1.16(18H),5.43(1H)6.3(1H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=159(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、97:3)、保持係数が0.3である単一スポット;
化学分析(C14FNO):計算値−C:60.35、H:8.86、N:8.80、F:11.93;実測値−C:60.34、H:8.93、N:8.69、F:12.14。
【0231】
N−メチル−α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物2)の調製:

【0232】
α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボニルクロリド(α−フルオロ−TMC−Cl、0.017モル)を本明細書において上記されるように調製し、無水ジクロロメタンに溶解し、このジクロロメタン溶液をメチルアミンの撹拌および冷却されたTHF溶液(2M、10ml)に滴加した。反応の進行をGC−MSによってモニターし、反応が完了すると、有機溶媒を減圧下で蒸発させ、生成物を酢酸エチルに溶解し、水、HCl(1N)およびブラインにより洗浄した。有機画分を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0233】
黄色がかったオイルとして生成物を得た。全体の収率が94%であった。生成物の化学構造を分光学的方法(NMR、GC−MS)によって決定した。
【0234】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.07〜1.27(18H),2.87(3H)6.43(1H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=173(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、97:3)、保持係数が0.18である単一スポット;
化学分析(C16FNO):計算値−C:62.40、H:9.31、N:8.09、F:10.97;実測値−C:62.38、H:9.48、N:7.79、F:11.17。
【0235】
α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニルウレア(化合物3)の調製:

【0236】
α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボニルクロリド(α−フルオロ−TMC−Cl、0.018モル)を本明細書において上記されるように調製し、アセトニトリル(7ml)に溶解した。
【0237】
ウレア(0.045モル)を乾燥アセトニトリル(40ml)に溶解して、1時間還流し、α−フルオロ−TMC−Clをこれに滴加した。反応混合物を加熱し、さらに2時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、クロロホルム(40ml)を残留するオイル状残渣に加えた。得られた固体を、ブフナー漏斗を使用して真空ろ過し、酢酸エチルに溶解し、水により洗浄した。有機画分を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発させて、232℃の融点を有する白色粉末を得た。生成物の化学構造を分光学的方法(NMR、GC−MS)によって決定した。
【0238】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.206〜1.271(18H),5.179(1H)8.068〜8.293(2H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=202(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、96:4)、保持係数が0.45である単一スポット;
化学分析(C15FN):計算値−C:53.45、H:7.48、N:13.85、F:9.39;実測値−C:53.52、H:7.63、N:13.74、F:9.18。
【0239】
α−アルキル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−アルキル−TMCA)の調製−一般的手順:
リチウムジイソプロピルアミン(LDA、1.1当量)の溶液を、窒素下でジイソプロピルアミンをTHF(水素化カルシウム上で新たに蒸留されたもの)に溶解することによって調製する。反応混合物を−15℃に冷却し、ブチルリチウム(BuLi)を、撹拌しながら、また、混合物の温度を−15℃で維持しながら反応混合物にゆっくり加える。得られる混合物を、その後、さらに10分間、撹拌および冷却し、その後、さらに10分間撹拌しながら0℃に加温する。その後、反応混合物を再び−15℃に冷却し、TMCAエチルエステル(1当量)を乾燥THFに溶解して、反応混合物に加える。
【0240】
40分間撹拌した後、反応混合物の温度を約−8℃に上げ、乾燥THFに溶解された1.5当量のヨウ化アルキルを反応混合物に加える。
【0241】
反応混合物を撹拌し、その間、α−アルキル−TMCAエチルエステルの形成をGC−MSによってモニターする。反応が完了すると、有機溶媒を減圧下で除き、典型的には油状の残渣を酢酸エチルに分散させ、ブフナー漏斗で2回ろ過する。漏斗内の固体をヘキサンにより2回洗浄する。ヘキサン洗液および酢酸エチルろ液を一緒にし、水、HCl(1N)およびブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過する。
【0242】
α−アルキル−TMCAエチルエステルを、水:エタノール混合物において水酸化カリウム(1.5当量)を使用して対応する酸に加水分解する。
【0243】
1,2,2,3,3−ペンタメチルシクロプロパンカルボキサミドまたはα−メチル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物4)の調製:

【0244】
α−メチル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−メチル−TMCA)を、ヨウ化メチルをアルキル化剤として使用して、本明細書において上記される一般的手順に従って調製する。
【0245】
α−ブロモ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物5)の調製:

【0246】
α−ブロモ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−ブロモ−TMCA)を本明細書において上記されるように調製した。
【0247】
塩化チオニル(0.025モル)を無水ジクロロメタン(4ml)に溶解し、この溶液を、ジクロロメタン(10ml)に溶解されたα−ブロモ−TMCA(0.012モル)に0℃で滴加した。反応混合物を一晩撹拌し、その後、溶媒および過剰の塩化チオニルを減圧下での蒸留によって除去した。
【0248】
得られたα−ブロモ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボニルクロリドを乾燥ジクロロメタンに溶解し、25%水酸化アンモニウムの撹拌および冷却された水:ジクロロメタン(1:1、v/v)溶液(20ml)にゆっくり加えた。アミド化反応をGC−MSによってモニターし、反応が完了すると、有機溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、1NのHClの水溶液およびブラインにより洗浄した。有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を酢酸エチル−石油エーテルから再結晶して、152℃の融点を有する白色結晶を得た。全体の収率が40%であった。生成物の化学構造を光学的方法(NMR、GC−MS)によって決定した。
【0249】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.25〜1.26(12H),5.8〜6.3(2H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=219(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、96:4)、保持係数が0.83である単一スポット;
化学分析(C14BrNO):計算値−C:43.65、H:6.41、N:6.35、Br:36.3;実測値−C:43.86、H:6.51、N:6.35、Br:36.39。
【0250】
α−クロロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物9)の調製:

【0251】
α−クロロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボン酸(α−クロロ−TMCA)を本明細書において上記されるように調製した。
【0252】
塩化チオニル(0.02モル)を無水ジクロロメタン(4ml)に溶解し、この溶液を、ジクロロメタン(5ml)に溶解されたα−クロロ−TMCA(0.01モル)に0℃で滴加した。反応混合物を一晩撹拌した。
【0253】
得られたα−クロロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボニルクロリドを乾燥ジクロロメタンに溶解し、25%水酸化アンモニウムの撹拌および冷却された水:ジクロロメタン(1:1、v/v)溶液(20ml)にゆっくり加えた。アミド化反応をGC−MSによってモニターし、反応が完了すると、有機溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、1NのHClの水溶液およびブラインにより洗浄した。有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を酢酸エチルから再結晶して、128℃の融点を有する白色の結晶を得た。全体の収率が85%であった。生成物の化学構造を分光学的方法(NMR、GC−MS)によって決定した。
【0254】
H−NMR(300MHz、CDCl、TMS):δ=1.22〜1.30(12H),5.43〜6.23(2H)ppm;
MS−EI:m/z(%)=175(M);
TLC(ジクロロメタン:メタノール、96:4)、保持係数が0.67である単一スポット;
化学分析(C14ClNO):計算値−C:54.70、H:8.03、N:7.97、Cl:20.18;実測値−C:54.77、H:8.15、N:7.85、Cl:19.91。
【0255】
本明細書において上記される手順を使用して、α−ハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシ化合物およびα−アルキル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシ化合物のさらなる誘導体が調製され、N−アミド成分において種々の基により置換される(例えば、米国特許第5880157号および同第6960687号、ならびに、公開番号第20050131069号、同第20060004098号および同第20060148861号を有する米国特許出願、ならびに、M.Bialer他、Pharm.Res.13:284〜289(1996)(これらのすべては、本明細書に全体が記載されるかのようにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるTMCAアミドアナログおよびVPAアミドアナログ)。
【0256】
例示的なα−ハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシ化合物およびα−アルキル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシ化合物が下記において表1に示される。
【0257】




【0258】
実施例2
インビボ活性
抗痙攣活性アッセイ:
本実施形態のα−ハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシ化合物を、マウスおよびラットにおけるいくつかのてんかんモデルにおいて、化学的および電気的に誘発される痙攣に対して保護するそれらの能力について試験した。
【0259】
最初のモデルでは、最大電気ショック発作試験(MES)を、部分発作型および全身発作型のてんかん(治療抵抗性てんかん患者の間における一般的なてんかん)に対する抗てんかん剤についての効力を示すために使用した。第2のモデルでは、皮下メトラゾール試験(scMet)を、発作閾値を測定するために使用し、発作閾値および欠神発作に対する薬剤についての効力を示すための標準的スクリーニング手法として使用した。
【0260】
本明細書に示される実施例において続けられたこれらのモデルおよび生物学的活性プロトコルはこの技術分野において記載されている[27]。
【0261】
簡単に記載すると、最大電気ショック発作(MES)アッセイでは、発作の拡大を防止する薬物の能力が測定され、従って、このアッセイは、全身性強直間代発作のモデルであると見なされる。アッセイを、50mAおよび60Hzの過最大電流をマウスにおいて0.2秒間使用して、また、150mAおよび60Hzの過最大電流をラットにおいて0.2秒間使用して行った。電流を、強直性の後肢伸展を生じさせるために角膜電極によって被験体に送達した。強直性の後肢伸展を示さない動物を、試験された化合物によって正の影響を受けたと見なした。
【0262】
皮下メトラゾール発作閾値試験(scMet)アッセイでは、薬剤が発作閾値を上昇させることができるかが測定され、このアッセイは、全身性欠神発作のモデルであると見なされる。アッセイを、強直性発作をすべての動物モデル(ラットおよびマウス)の少なくとも97%において誘発する痙攣剤(メトラゾール)の85mg/kgを皮下注射することによって行った。
【0263】
第3のモデルでは、海馬キンドリングアッセイ[27、28]を、抑制困難な発作タイプ(焦点性発作および複雑部分発作)を処置するために効果的である新しい薬物候補、同様にまた、双極性障害を処置するための気分安定剤として効果的であり得る化合物を特定するために使用し[28]、それに記載されるプロトコルに従って行った。
【0264】
簡単に記載すると、この試験を、ラットの海馬に埋め込まれた双極性の刺激電極を使用することによって行い、ラットに、記載された方法に従ってキンドリングを生じさせた[29]。電極埋め込み後1週間で、ラットを、動物が完全にキンドリングを引き起こすまで、1日おきに6時間、30分毎に10秒間の200μAおよび50Hzの繰り返される閾値を超える刺激により刺激した。動物が、安定したステージ5の発作を呈するとき、動物を、完全にキンドリングを引き起こしたと見なした。行動的発作を下記の判定基準(「発作スコア」)に従ってスコア化した:ステージ1−口および顔面のクローヌス;ステージ2−ステージ1+点頭;ステージ3−ステージ2+前肢クローヌス;ステージ4−ステージ3+後ろ足立ち;およびステージ5−ステージ4+繰り返される後ろ足立ちおよび転倒。
【0265】
第4のモデルでは、化合物を、6Hz(32mA)の発作を雄マウスへのその腹腔内投与後に阻止するその能力について試験した。この試験は、強直間代発作および全身性ミオクローヌス発作に対する新しい薬物候補の有効性を測定するために使用され、治療抵抗性の部分発作の処置についての治療抵抗性のためのモデルであると見なされる。
【0266】
簡単に記載すると、精神運動発作(6Hz)アッセイでは、誘発される精神運動発作に対する被験体の抵抗性が測定される。アッセイを、試験化合物により前処理されたマウスにおいて行った。処理後の様々な時間で、個々の被験体を、精神運動発作を生じさせるために角膜電極を介して送達される3秒間の6Hzでの32mAの十分な電流、または、3秒間の6Hzでの44mAの十分な電流により攻撃した。電流によって影響を受けなかった動物を、試験された化合物によって正の影響を受けたと見なした。従って、この試験において活性であることが見出された化合物は、治療抵抗性発作を処置するための有望な新規な薬物候補であると見なされる。
【0267】
第5のモデルでは、てんかんのピロカルピンモデルを、発作閾値を測定するために使用し、また、てんかん重積持続状態(SE)の発作に対して本明細書に示される化合物の効力を示すための標準的スクリーニング手法として使用した。本明細書に示される実施例において続けられたこれらのモデルおよび生物学的活性プロトコルはこの技術分野において記載されている[30]。このモデルは、神経剤誘発発作の開始および早期発現の両方がコリン作動性であり、その後、てんかん重積持続状態に進行する再発性発作活動を強化するために働く他の神経伝達系の漸増が続くので、多くの特徴を神経剤誘発発作と共有する。
【0268】
簡単に記載すると、ピロカルピン誘導てんかんモデル(PIE)は、自発性の発作を14日〜15日の潜伏期の後で被験体において誘発する、コリン作動性薬剤であり、また、ムスカリン様アゴニストであるピロカルピンの全身投与からなる。この技術分野で示される実験では、脳の構造的損傷が自発性再発性発作につながることが明らかにされた。発作の特徴はヒトの部分てんかんと類似する。ラットにおいて、行動変化(無動症、顔面自動症、後ろ足立ち、唾液過多、咀嚼顎運動および転倒を伴う前肢クローヌスからなる辺縁系発作)およびEEG変化(海馬における著しいシータ律動および孤立スパイク、海馬および皮質における活動の同期化、EEG発作、てんかん重積持続状態)を観察および記録することができる。
【0269】
齧歯類におけるこのモデルの適用は、脳の海馬領域および皮質領域の両方における胎児の単調な発作間活動の誘発を引き起こす。臨床的な症状発現には、様々な症状が12時間に至るまで持続する完全なSEに急速に進行する運動失調、無動症および顔面自動症が含まれる。この保護活性を、初期の定性的スクリーニングにおいて観測される保護のレベルに依存して、電気記録変化と密接に相関させることができ、この化学痙攣剤を使用する一連の評価を、候補化合物の特定の薬理学的特徴を評価するために用いることができる。具体的には、ラットにおけるピロカルピンの全身投与の影響は、3つの異なった期間、すなわち、(a)徐々に高まって肢のてんかん重積持続状態になり、24時間持続する急性期、(b)4日から44日にまで及ぶ、EEGおよび行動の正常化が進む沈黙期、および(c)自発性再発性発作(SRS)を伴う慢性期に分けることができる、続いて起こる行動変化および電気記録変化を促進させる。長期の期間中に観測されるSRSの主要な特徴はヒトの複雑部分発作の特徴と類似し、動物あたり1週間に2回〜3回再発する。従って、この実験法は、ヒトの状態を模倣するてんかんモデルとして役立つ。
【0270】
抗痙攣活性アッセイの結果:
メジアン有効用量(ED50)は、投薬を受ける被験体の50パーセントにおいて特徴的な効果を生じさせるための、統計学的技術によって予測される薬物用量である。α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物1)のED50(これはこの化合物の抗痙攣活性を示す)を、その様々な用量を投与し、処置に応答した動物の割合を測定することによって、ラットのscMetモデル、海馬キンドリングモデル、ピロカルピンSEモデルにおいて、また、マウスにおける6Hzモデル(32mA、44mA)において求めた。表2は、化合物1のED50が評価されたscMetラットモデルにおいて得られた実験結果を示す。
【0271】

【0272】
表2に示されるように、ラットへの経口投与の後、化合物1のED50が6mg/kgとして評価され、95%信頼区間(CI)が3.6mg/kg〜9.5mg/kgであった。
【0273】
比較のために、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボニルウレア(TMC−ウレア)は、ラットscMetモデルにおいて測定されたとき、92mg/kgのED50を、50mg/kg〜151mg/kgの95%信頼区間(CI)を伴って示し[13]、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニルグリシンアミドは、250mg/kgの用量で不活性であることが見出された(250mg/kgを超えるED50)[Bialer他、Pharm.Res.13(2):284〜289、1996]。
【0274】
表3は、様々なラットモデルおよびマウスモデルにおいて得られる化合物1の計算されたED50を示す。
【0275】

【0276】
表4は、ラットのMESモデルおよびscMetモデルにおいて試験されたα−メチル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物4)の抗痙攣活性を示す。化合物4のED50は定量的に決定されなかったが、50mg/kg未満であることが推定された。
【0277】

【0278】
神経毒性アッセイ:
様々な神経毒性アッセイが、ニューロンの死を有害に中断させ得るか、または、引き起こし得る推定される神経毒物、および、神経系の他の部分を損ない得る推定される神経毒物の、神経系の正常な活動に対する影響を評価するために設計される。メジアン神経学的毒性用量(TD50)が神経毒性の定量化のために使用される。
【0279】
神経毒性の研究を、White,H.S.他、「General principles−Discovery and preclinical development of antiepileptic drugs」、第5版、Levy RH、Mattson RH、Meldrum BS、Perucca E(編);Antiepileptic drugs;Lippincott−Raven;Philadelphia:2002、36頁〜48頁に記載されるプロトコルに従って行った。
【0280】
本実施形態のα−ハロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシ化合物の神経毒性を、経口投与によってこれらの化合物により処置されたラットにおいて評価し、最小の神経毒性を評価する「歩行および姿勢」アッセイで観察した。神経毒性の研究を、White H.S.他、General principles−Discovery and preclinical development of antiepileptic drugs、Antiepileptic Drugs、第5版、RH Wilkins、Philadelphia、2002、36頁〜48頁に記載されるプロトコルに従って行った。
【0281】
神経毒性アッセイの結果:
保護指数(PI)が、TD50とED50との比率として定義される(PI=TD50/ED50)。PIは、神経毒性と抗てんかん活性との間における有益な分離を示すために使用され、従って、安全域と見なすことができる。すなわち、PIが大きいほど、薬学的プロフィルが神経毒性および効能用量に関してより良好である。
【0282】
ラットへの経口投与の後での化合物1のTD50は、117mg/kgであることが見出された。
【0283】
比較のために、TMC−ウレアのTD50はラットへの経口投与の後で538mg/kgであり、N−メチル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミドは163mg/kgのTD50(CI=138mg/kg〜179mg/kg)を有する[N.Isoherranen他、Epilepsy、43(2):115〜126、2002]。VPAは280mg/kgのTD50値を示し、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニルグリシンアミドは、500mg/kgを超えるTD50を示す[Bialer他、Pharm.Res.13(2):284〜289、1996]。
【0284】
従って、保護指数(TD50/ED50)は、N−メチル−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミドについては2であり、VPAについては0.6であり、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニルグリシンアミドについては6.1を超え、TMC−ウレアについては18.5であり、α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物1)については19.5である。
【0285】
これらの結果は、α−フルオロ−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキサミド(化合物1)(本実施形態による例示的な新規な化合物)が、てんかんを処置するための薬物としての大きい可能性を有することを明瞭に示している。
【0286】
明確にするため別個の実施形態で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0287】
本発明はその特定の実施形態によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で言及した刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許または特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【0288】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iを有する化合物:

そのエナンチオマー、プロドラッグ、水和物、溶媒和物または医薬的に許容され得る塩:
式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;および
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;ならびに
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される;
ただし、Xがハライドであるとき、YはOであり、AはNまたはOであり、DおよびDの少なくとも1つは、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を調製するプロセスであって、
一般式IIを有する化合物:

(式中、
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;および
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルからなる群から選択される)
をハロゲン化剤またはアルキル化剤と反応させることにより、一般式IIIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである)
を得ること;および
前記一般式IIIを有する化合物を、一般式IVを有する化合物:

(式中、
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;および
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される;
ただし、Xがハライドであるとき、YはOであり、AはNまたはOであり、DおよびDの少なくとも1つは、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される)
と反応させることにより、請求項1に記載の化合物を得ること
を含むプロセス。
【請求項3】
前記ハロゲン化剤は、N−ハロベンゼンスルホンイミドである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アルキル化剤は、アルキルハライド、アルキルスルホネートおよびアルキレンイミンからなる群から選択される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物を調製するためのプロセスであって、
一般式Vを有する化合物:

(式中、
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである)
を、一般式VIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;および
X’はハライドである)
と反応させることにより、一般式VIIを有する化合物:

を得ること;
および、前記一般式VIIを有する化合物を変換することにより、一般式IIIを有する化合物:

(式中、
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;および
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびシクロアルキルからなる群から選択される)
を得ること;ならびに
前記一般式IIIを有する化合物を、一般式IVを有する化合物:

(式中、
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;および
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される;
ただし、Xがハライドであるとき、YはOであり、AはNまたはOであり、DおよびDの少なくとも1つは、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、ウレア、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される)
と反応させることにより、請求項1に記載の化合物を得ること
を含むプロセス。
【請求項6】
前記一般式Vを有する化合物と前記一般式VIを有する化合物との反応は、アルコキシド−アルコール混合物の存在下で行われる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アルコキシド−アルコール混合物は、tert−ブトキシドおよびtert−ブタノールの混合物である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記一般式VIIを有する化合物の前記変換は、ブチルリチウムおよび二酸化炭素の存在下で行われる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
前記一般式IIIを有する化合物を、前記一般式IVを有する化合物と反応させる前に、前記一般式IIIを有する化合物をその反応性カルボン酸誘導体に変換することを含む、請求項2または5に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応性カルボン酸誘導体はアシルハライドである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記一般式IIを有する化合物を前記ハロゲン化剤またはアルキル化剤と反応させる前に、前記一般式IIを有する化合物をそのエステルに変換すること、および、前記反応に続いて、前記エステルを加水分解して、それにより、前記一般式IIIを有する化合物を得ることを含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項12】
有効成分として、一般式VIIIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;および
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される)、
そのエナンチオマー、プロドラッグ、水和物、溶媒和物または医薬的に許容され得る塩を含み、かつ、医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
包装材に詰められ、神経学的疾患または神経学的障害の処置における使用のために、前記包装材の中または表面において印刷で特定される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記神経学的疾患または神経学的障害は、てんかん、痙攣、発作障害、てんかん重積持続状態、化学的に誘発される発作障害または痙攣障害、発熱性フィブリル痙攣、代謝障害、食物離脱状態、痙性、骨格筋痙縮、不穏下肢症候群、不安、ストレス、多発性硬化症、脳卒中、頭部外傷、脊髄神経傷害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンティングトン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、神経障害性疼痛、求心路遮断性疼痛、ミオクローヌス、統合失調症、片頭痛、頭痛および双極性障害からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記神経学的疾患または神経学的障害はてんかんである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
神経学的疾患または神経学的障害を処置する方法であって、その処置の必要性のある対象に、一般式VIIIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;および
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される)、
そのエナンチオマー、プロドラッグ、水和物、溶媒和物または医薬的に許容され得る塩の治療有効量、および、医薬的に許容され得る担体を投与すること
を含む方法。
【請求項17】
前記神経学的疾患または神経学的障害は、てんかん、痙攣、発作障害、てんかん重積持続状態、化学的に誘発される発作障害または痙攣障害、発熱性フィブリル痙攣、代謝障害、食物離脱状態、痙性、骨格筋痙縮、不穏下肢症候群、不安、ストレス、多発性硬化症、脳卒中、頭部外傷、脊髄神経傷害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンティングトン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、神経障害性疼痛、求心路遮断性疼痛、ミオクローヌス、統合失調症、片頭痛、頭痛および双極性障害からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記神経学的疾患または神経学的障害はてんかんである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記治療有効量は、約0.1mg/kg体重〜約100mg/kg体重の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
医薬品の調製における、一般式VIIIを有する化合物:

(式中、
Xはハライドであるか、または、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
〜Rはそれぞれが独立して、1個〜20個の炭素原子を有するアルキルである;
Yは、NR、OおよびSからなる群から選択される;
Aは、O、NおよびSからなる群から選択される;
は、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;および
およびDはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミド、アルキル−チアジアゾール−スルホンアミドまたは非存在からなる群から選択される)、
そのエナンチオマー、プロドラッグ、水和物、溶媒和物または医薬的に許容され得る塩、および医薬的に許容され得る担体の使用。
【請求項21】
前記医薬品は、神経学的疾患または神経学的障害を処置するためのものである、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記神経学的疾患または神経学的障害は、てんかん、痙攣、発作障害、てんかん重積持続状態、化学的に誘発される発作障害または痙攣障害、発熱性フィブリル痙攣、代謝障害、食物離脱状態、痙性、骨格筋痙縮、不穏下肢症候群、不安、ストレス、多発性硬化症、脳卒中、頭部外傷、脊髄神経傷害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンティングトン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、神経障害性疼痛、求心路遮断性疼痛、ミオクローヌス、統合失調症、片頭痛、頭痛および双極性障害からなる群から選択される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記神経学的疾患または神経学的障害はてんかんである、請求項21に記載の使用。
【請求項24】
およびDの少なくとも1つはカルボニルを含み、前記カルボニルはさらにアミンを含む、請求項1〜23のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項25】
およびDの少なくとも1つは、一般式IXを有する成分:

(式中、
nは0〜20の整数である;および
およびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオヒドロキシアルキル、アリールオキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、アミド、チオアミド、カルバメート、アルキル−スルホンアミド、アリール−スルホンアミド、アルキル−アリール−スルホンアミド、チアジアゾール−スルホンアミドおよびアルキル−チアジアゾール−スルホンアミドからなる群から選択される)
である、請求項24に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項26】
nは0である、請求項25に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項27】
およびRはそれぞれが独立して、水素またはアルキルである、請求項24に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項28】
、RおよびRの少なくとも1つはメチルである、請求項24に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項29】
およびDの少なくとも1つはアルコキシである、請求項1〜23のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項30】
およびDの少なくとも1つはチアジアゾール−スルホンアミドである、請求項1〜23のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項31】
は5−イル−1,3,4−チアジアゾール−2−スルホンアミドである、請求項30に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項32】
またはDはヘテロアリールを含む、請求項1〜23のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項33】
前記ヘテロアリールはスルホンアミドにより置換される、請求項32に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項34】
またはDは、一般式Xを有する成分:

(式中、Rはアルキルである)
である、請求項33に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項35】
はメチルである、請求項34に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項36】
およびDの少なくとも1つはアリール−スルホンアミドである、請求項1〜23のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項37】
YはOであり、
AはNである
請求項1〜36のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項38】
は水素である、請求項37に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項39】
〜Rのそれぞれがメチルである、請求項1〜36のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項40】
Xはハライドである、請求項1〜36のいずれかに記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。
【請求項41】
前記ハライドはフルオライドである、請求項40に記載の化合物、プロセス、組成物、方法、または使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−519287(P2010−519287A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550767(P2009−550767)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000217
【国際公開番号】WO2008/102348
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(309038764)イッサム リサーチ ディベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム リミテッド (6)
【Fターム(参考)】