説明

α−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物とその用途

【課題】
優れた植物病害防除効力を有する化合物及び植物病害防除剤を提供すること

【解決手段】
式(I)


[式中、R1及びR2は、R1とR2とが一緒になって−CH=CH−X1−基、−X1−CH=CH−基、−X1−CH2−CH2−基、−CH2−X1−CH2−基、−CH2−CH2−X1−基、−X1−CH2−X2−基、−N=CH−CH=CH−基、−CH=N−CH=CH−基、−CH=CH−N=CH−基等を表し、R3はC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表し、R4はC3−C4アルキニル基を表し、X1及びX2は、同一又は相異なり硫黄原子、酸素原子又はNR5を表し、R5は、水素原子又はC1−C3アルキル基を表す。〕で示されるα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物は優れた植物病害防除効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物とその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現在までに植物病害を防除するために薬剤の開発が行われており、植物病害防除効果を有する化合物が数多く見出され、実用に供されているが必ずしもその効果が十分ではない場合もあり、新たな化合物群の探索は鋭意行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、優れた植物病害防除効力を有する化合物及び植物病害防除剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは優れた植物病害防除効力を有する化合物を見出すべく鋭意検討をした結果、下記式(1)で示されるα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物が優れた植物病害防除効力を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、式(1)

[式中、R1及びR2は、R1とR2とが一緒になって−CH=CH−X1−基、−X1−CH=CH−基、−X1−CH2−CH2−基、−CH2−X1−CH2−基、−CH2−CH2−X1−基、−X1−CH2−X2−基、−N=CH−CH=CH基、−CH=N−CH=CH基、−CH=CH−N=CH−基、−CH=CH−CH=N−基、−N=CH−CH=N−基、−N=CH−N=CH−基、−CH=N−CH=N−基、−N=N−CH=CH−基、−CH=N−N=CH−基、−CH=CH−N=N−基、−X1−CH2−CH2−X2−基、−N=CH−X1−基又は−X1−CH=N−基を表し、R3はC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表し、R4はC3−C4アルキニル基を表し、X1及びX2は、同一又は相異なり硫黄原子、酸素原子又はNR5を表し、R5は、水素原子又はC1−C3アルキル基を表す。〕で示されるα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物(以下、本発明化合物と記す。)、本発明化合物を有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤、及び本発明化合物の有効量を植物又は土壌に処理することを特徴とする植物病害の防除方法を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明化合物は優れた植物病害防除効力を有することから、植物病害防除剤の有効成分として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、
3で示される
C1−C4アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられ、
C3−C4アルケニル基としては、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基及び3−ブテニル基が挙げられ、
C3−C4アルキニル基としては、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基及び3−ブチニル基が挙げられ、
4で示される
C3−C4アルキニル基としては、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基及び3−ブチニル基が挙げられ、
5示されるC1−C3アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
【0007】
本発明化合物の態様としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
式(1)において、R3がC1−C4アルキル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R3がC1−C2アルキル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R3がメチル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R4が2−ブチニル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R4が1−メチル−2−プロピニル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R4が2−プロピニル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基、−X1−CH=CH−基、−X1−CH2−CH2−基、−CH2−X1−CH2−基、−CH2−CH2−X1−基、−N=CH−X1−基又は−X1−CH=N−基であり、X1が硫黄原子であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基、−X1−CH=CH−基、−X1−CH2−CH2−基、−CH2−X1−CH2−基、−CH2−CH2−X1−基、−N=CH−X1−基又は−X1−CH=N−基であり、X1が酸素原子であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、X1が硫黄原子であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、X1が酸素原子であるニトリル化合物;
【0008】
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、R3がC1−C4アルキル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、R3がC1−C2アルキル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、X1が硫黄原子であり、R3がC1−C4アルキル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、X1が酸素原子であり、R3がC1−C4アルキル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、X1が硫黄原子であり、R3がC1−C2アルキル基であるニトリル化合物;
式(1)において、R1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基であり、X1が酸素原子であり、R3がC1−C2アルキル基であるニトリル化合物;
【0009】
次に本発明の製造方法について説明する。
本発明化合物は、例えば以下の(製造法A)又は(製造法B)に従って製造することができる。
【0010】
製造法A
本発明化合物は、式(2)で示される化合物又は式(2)で示される化合物の塩(例えば塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩が挙げられる。)と式(3)で示される化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕
該反応は、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン等の第3級アミン類及びピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(3)で示される化合物1モルに対して塩基が通常1〜10モルの割合、式(2)で示される化合物が通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は、通常−20〜100℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、(i)反応混合物を水に注加して有機溶媒抽出し、有機層を必要に応じて酸性水(希塩酸等)、塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液等)で洗浄してから、乾燥、濃縮する、又は(ii)反応混合物に少量の水を加えてから減圧下濃縮し、得られた固体を濾集する等の後処理操作を行うことにより、本発明化合物を単離することができる。単離された本発明化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0011】
本発明化合物は、式(2)で示される化合物又は式(2)で示される化合物の塩(例えば塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩が挙げられる。)と式(4)で示される化合物とを、脱水縮合剤の存在下で反応させることにより製造することもできる。

〔式中、R1、R2、R3及びR4は前記と同じ意味を表す。〕
該反応は、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ピリジン、キノリン等の含窒素芳香族化合物及びこれらの混合物があげられる。
反応に用いられる脱水縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、WSCと記す)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド類があげられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(4)で示される化合物1モルに対して、式(2)で示される化合物が通常1〜3モルの割合であり、脱水縮合剤が通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は、通常0〜140℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、(i)反応混合物を水に注加して有機溶媒抽出し、有機層を必要に応じて酸性水(希塩酸等)、塩基性水(炭酸水素ナトリウム水溶液等)で洗浄してから、乾燥、濃縮する、又は(ii)反応混合物に少量の水を加えてから減圧下濃縮し、得られた固体を濾集する等の後処理操作を行うことにより、本発明化合物を単離することができる。単離された本発明化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0012】
参考製造法
次に、本発明中間体の製造法について説明する。
式(3)で示される化合物及び式(4)で示される化合物は、例えば下記のスキームに従って製造することができる。

〔式中、R3及びR4は前記と同じ意味を表し、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基を表し、L1は塩素原子又は臭素原子を表し、L2はハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又はp−トルエンスルホニルオキシ基を表す。〕
【0013】
工程(I−1)
式(8)で示される化合物は、式(6)で示される化合物と式(7)で示される化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
該反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素物、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン等の第3級アミン類及びピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(6)で示される化合物1モルに対して塩基が通常1〜10モルの割合、式(7)で示される化合物が通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は、通常0〜100℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を水に注加して有機溶媒抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(8)で示される化合物を単離することができる。単離された式(8)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0014】
工程(I−2)
式(10)で示される化合物は、式(8)で示される化合物と式(9)で示される化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、水及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(8)で示される化合物1モルに対して塩基が通常1〜10モルの割合、式(9)で示される化合物が通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は、通常−20〜100℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を水に注加して有機溶媒抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(10)で示される化合物を単離することができる。単離された式(10)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0015】
工程(I−3)
式(11)で示される化合物は、水素化触媒の存在下、式(10)で示される化合物と水素とを反応させることにより製造することができる。
該反応は水素雰囲気下、通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる水素化触媒としては、例えばパラジウム炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、酸化白金等の遷移金属化合物が挙げられる。
反応に用いられる水素化触媒の量は、式(10)で示される化合物1モルに対して通常0.001〜0.5モルの割合である。
該反応は、通常1〜100気圧の水素雰囲気下で行われる。
該反応は、さらに必要に応じて酸(塩酸等)を加えて行うこともできる。
該反応の反応温度は通常−20〜100℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を濾過し、濾液を有機溶媒抽出して、得られた有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(11)で示される化合物を単離することができる。単離された式(11)で示される化合物はクロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0016】
工程(I−4)
式(13)で示される化合物は、式(11)で示される化合物と式(12)で示される化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
該反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン等の第3級アミン類及びピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(11)で示される化合物1モルに対して塩基が通常1〜10モルの割合、式(12)で示される化合物が通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は、通常0〜100℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物に必要に応じて有機溶媒を加えてから濾過し、濾液を濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(13)で示される化合物を単離することができる。単離された式(13)で示される化合物は、蒸留、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0017】
工程(I−5)
式(4)で示される化合物は式(13)で示される化合物を塩基の存在下で、水と反応させることにより製造することができる。
該反応は水及び有機溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる有機溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
反応に用いられる塩基の量は、式(13)で示される化合物1モルに対して、通常1〜10モルの割合である。
該反応の反応温度は、通常0〜150℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物に酸性水(塩酸等)を加えて有機溶媒抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(4)で示される化合物を単離することができる。単離された式(4)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできるが、そのまま次の工程に用いることもできる。
【0018】
工程(I−6)
式(3)で示される化合物は、式(4)で示される化合物と塩素化剤とを反応させることにより製造することができる。
該反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩素化剤としては、例えば塩化チオニル、塩化オキサリル及びオキシ塩化リンが挙げられる。
反応に用いられる塩素化剤の量は、式(4)で示される化合物1モルに対して、通常1〜10モルの割合である。
該反応の反応温度は通常30〜150℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物をそのまま濃縮する等の後処理操作を行うことにより、式(3)で示される化合物を単離することができる。単離された式(3)で示される化合物は、通常精製することなく次の工程の反応に用いられるが、必要により蒸留等により精製することができる。
【0019】
式(2)で示される化合物は、例えばTetrahedron Letters,vol.25,No.41,pp.4583−4586,1984に記載された化合物であるか、あるいは該文献に記載された方法に準じて製造することができる。

〔式中、R1及びR2は前記と同じ意味を表す。〕
【0020】
本発明化合物が防除効力を有する植物病害としては、例えば藻菌類による植物病害が挙げられ、具体的には例えば次の病害が挙げられる。
蔬菜類、ダイコンのべと病(Peronospora brassicae)、ホウレンソウのべと病(Peronospora spinaciae)、タバコのべと病(Peronospora tabacina)、ウリ類のべと病(Pseudoperonospora cubensis)、ブドウのべと病(Plasmopara viticola)、リンゴ、イチゴ、ヤクヨウニンジンの疫病(Phytophthora cactorum)、トマト、キュウリの灰色疫病(Phytophthora capsici)、パイナップルの疫病(Phytophthora cinnamomi)、ジャガイモ、トマトの疫病(Phytophthora infestans)、タバコ、ソラマメ、ネギの疫病(Phytophthora nicotianae var. nicotianae)、ホウレンソウの立枯病(Pythium sp.)、キュウリ苗立枯病(Pythium aphanidermatum)、コムギ褐色雪腐病(Pythium sp.)、タバコ苗立枯病(Pythium debaryanum)、ダイズのPythium rot(Pythium aphanidermatum, P. debaryanum, P. irregulare, P. myriotylum, P. ultimum)。
【0021】
本発明の植物病害防除剤は本発明化合物そのものであってもよいが、通常は固体担体、液体担体、界面活性剤その他の製剤用補助剤と混合し、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、粉剤、粒剤等に製剤化されている。これらの製剤は本発明化合物を通常0.1〜90重量%含有する。
【0022】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば、カオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えば、キシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セロソルブ等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及び水が挙げられる。
【0023】
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0024】
その他の製剤用補助剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0025】
本発明の植物病害防除剤は、例えば、植物体に茎葉処理することにより当該植物を植物病害から保護するために用いられ、また、土壌に処理することにより当該土壌に生育する植物を植物病害から保護するために用いられる。
【0026】
本発明の植物病害防除剤を植物体に茎葉処理することにより用いる場合又は土壌に処理することにより用いる場合、その処理量は、防除対象植物である作物等の種類、防除対象病害の種類、防除対象病害の発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、10000m2あたり本発明化合物として通常1〜5000g、好ましくは5〜1000gである。
【0027】
乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常を水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本発明化合物の濃度は通常0.0001〜3重量%、好ましくは0.0005〜1重量%の範囲である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
【0028】
また、本発明の植物病害防除剤は種子消毒等の処理方法で用いることもできる。種子消毒の方法としては、例えば、本発明化合物の濃度が1〜1000ppmとなるように調製した本発明の植物病害防除剤に植物の種子を浸漬する方法、植物の種子に本発明化合物の濃度が1〜1000ppmの本発明の植物病害防除剤を噴霧もしくは塗沫する方法及び植物の種子が粉剤に製剤化された本発明の植物病害防除剤を粉衣する方法があげられる。
【0029】
本発明の植物病害防除方法は、通常本発明の植物病害防除剤の有効量を、病害の発生が予測される植物若しくはその植物が生育する土壌に処理する、及び/又は病害の発生が確認された植物若しくはその植物が生育する土壌に処理することにより行われる。
【0030】
本発明の植物病害防除剤は通常、農園芸用植物病害防除剤、即ち畑地、水田、果樹園、茶園、牧草地、芝生地等の植物病害を防除するための植物病害防除剤として用いられる。
【0031】
本発明の植物病害防除剤剤は他の植物病害防除剤剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物生長調節剤及び/又は肥料と共に用いることもできる。
【0032】
かかる植物病害防除剤の有効成分としては、例えば、クロロタロニル、フルアジナム、ジクロフルアニド、ホセチル−Al、環状イミド誘導体(キャプタン、キャプタホール、フォルペット等)、ジチオカーバメート誘導体(マンネブ、マンコゼブ、チラム、ジラム、ジネブ、プロピネブ等)、無機もしくは有機の銅誘導体(塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅、水酸化銅、オキシン銅等)、アシルアラニン誘導体(メタラキシル、フララキシル、オフレース、シプロフラン、ベナラキシル、オキサジキシル等)、ストロビルリン系化合物(クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ジモキシストロビン等)、アニリノピリミジン誘導体(シプロジニル、ピリメタニル、メパニピリム等)、フェニルピロール誘導体(フェンピクロニル、フルジオキソニル等)、イミド誘導体(プロシミドン、イプロジオン、ビンクロゾリン等)、ベンズイミダゾール誘導体(カルベンダジム、ベノミル、チアベンダゾール、チオファネートメチル等)、アミン誘導体(フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、スピロキサミン等)、アゾール誘導体(プロピコナゾール、トリアジメノール、プロクロラズ、ペンコナゾール、テブコナゾール、フルシラゾール、ジニコナゾール、ブロムコナゾール、エポキシコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、メトコナゾール、トリフルミゾール、テトラコナゾール、マイクロブタニル、フェンブコナゾール、ヘキサコナゾール、フルキンコナゾール、トリティコナゾール、ビテルタノール、イマザリル、フルトリアホール等)、シモキサニル、ジメトモルフ、ファモキサドン、フェナミドン、イプロヴァリカルブ、ベンチアバリカルブイソプロピル、シアゾファミド、ゾキサミド、エタボキサム、フルオピコリド、ボスカリド、フェンヘキサミド、キノキシフェン、ジエトフェンカルブ、ペンチオピラド及びアシベンゾラールSメチルが挙げられる。
【0033】
本発明化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
下記式(i)〜(xxxiv)において、R3がメチル基であり、R4が2−プロピニル基であるニトリル化合物;




前記式(i)〜(xxxiv)において、R3がエチル基であり、R4が2−プロピニル基であるニトリル化合物;
前記式(i)〜(xxxiv)において、R3がメチル基であり、R4が1−メチル−2−プロピニル基であるニトリル化合物;
前記式(i)〜(xxxiv)において、R3がエチル基であり、R4が1−メチル−2−プロピニル基であるニトリル化合物;
前記式(i)〜(xxxiv)において、R3がメチル基であり、R4が2−ブチニル基であるニトリル化合物;
前記式(i)〜(xxxiv)において、R3がエチル基であり、R4が2−ブチニル基であるニトリル化合物。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を製造例、製剤例及び試験例等によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例のみに限定されるものではない。
まず、本発明化合物の製造例を示す。
【0035】
製造例1
ベンゾ[b]チオフェン−5−カルボキサルデヒド405mg、トリメチルシリルシアニド0.4ml及びヨウ化亜鉛26mgを混合し、室温で15分間撹拌した後、ここに10%アンモニアメタノール溶液8mlを加えた。該混合液を室温で30分間撹拌後、40℃で5時間撹拌した。室温まで放冷した混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣に3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸234mg、WSC210mg及びピリジン3mlを加え、80℃で3時間攪拌した。その後、室温まで放冷した反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を5%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄して、N−{(ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−シアノメチル}−3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオンアミド(以下、本発明化合物1と記す。)200mgを得た。
本発明化合物1

1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):7.89(1H,d,J=2.0Hz)、7.87(1H,d,J=8.8Hz)、7.54(1H,s)、7.29〜7.23(1H,m)、6.91(1H,d,J=7.6Hz)、6.72〜6.69(3H,m)、6.27(1H,d,J=8.0Hz)、5.92(1H,br.s)、4.70(2H,d,J=2.4Hz)、3.81(3H,s)、2.97(2H,t,J=7.2Hz)、2.58〜2.47(3H,m)
【0036】
次に中間体の製造につき参考例として記す。
参考例1
4−ベンジルオキシ−3−メトキシベンズアルデヒド100g、ジエチルホスホノ酢酸エチルエステル120g、炭酸カリウム570g及び水570mlを混合し、還流下で20時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで放冷してから水を加えて酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をエタノールから再結晶して3−{3−メトキシ−4−(ベンジルオキシ)フェニル}アクリル酸エチルエステル58.6gを得た。
3−{3−メトキシ−4−(ベンジルオキシ)フェニル}アクリル酸エチルエステル

1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):7.60(1H,d,J=15Hz)、7.29〜7.44(5H,m)、7.06(1H,d,J=1.9Hz)、7.02(1H,dd,J=8.2Hz、1.9Hz)、6.86(1H,d,J=8.2Hz)、6.29(1H,d,J=15Hz)、5.18(2H,s)、4.25(2H,q,J=7.3Hz)、3.91(3H,s)、1.33(3H,t,J=7.3Hz)
【0037】
参考例2
3−{3−メトキシ−4−(ベンジルオキシ)フェニル}アクリル酸エチルエステル33g、5%パラジウム炭素0.3g、36%塩酸約0.05g及びエタノール200mlを混合し、水素雰囲気下で攪拌した。水素ガスの吸収が停止した後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣に、酢酸エチルと水とを加え分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、活性炭約5g及び苛性白土約5gを加えて濾過し、得られた濾液を減圧下濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄して、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル23gを得た。
3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル

1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):6.82(1H,d,J=7.7Hz)、6.67〜6.70(2H,m)、5.47(1H,s)、4.19(2H,q,J=7.2Hz)、3.87(3H,s)、2.88(2H,t,J=7.5Hz)、2.58(2H,t,J=7.5Hz)、1.24(3H,t,J=7.2Hz)
【0038】
参考例3
3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピオン酸エチル23.8g、臭化プロパルギル11.4ml、炭酸カリウム20.5g及びアセトニトリル250mlを混合し、80℃で2時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルを加えて濾過した。得られた濾液を減圧下濃縮し、3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸エチルエステル28.9gを得た。
3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸エチルエステル

1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):6.95(1H,d,J=7.7Hz)、6.72〜6.75(2H,m)、4.73(2H,d,J=2.4Hz)、4.13(2H,q,J=7.2Hz)、3.86(3H,s)、2.90(2H,t,J=7.5Hz)、2.60(2H,t,J=7.5Hz)、2.49(1H,t,J=2.4Hz)、1.24(3H,t,J=7.0Hz)
【0039】
参考例4
3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸エチルエステル28.9g、水酸化リチウム4.0g、テトラヒドロフラン300ml及び水100mlを混合し、65℃で3時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで放冷してから水を加えて減圧下濃縮した。残渣に5%塩酸を加え、クロロホルムで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄して、3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸22.7gを得た。
3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸

1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):6.96(1H,d,J=8.2Hz)、6.73〜6.75(2H,m)、4.73(2H,d,J=2.4Hz)、3.85(3H,s)、2.91(2H,t,J=8Hz)、2.67(2H,t,J=8Hz)、2.49(1H,t,J=2.4Hz)
【0040】
参考例5
3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸12.7g、塩化チオニル4.3ml、トルエン100ml及びN,N−ジメチルホルムアミド約0.05gを混合し、80℃で30分間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで放冷してから減圧下濃縮し、3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸塩化物14.6gを得た。
3−{3−メトキシ−4−(2−プロピニルオキシ)フェニル}プロピオン酸塩化物

1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):6.97(1H,d,J=8.8Hz)、6.72〜6.74(2H,m)、4.73(2H,d,J=2.4Hz)、3.87(3H,s)、3.19(2H,t,J=7.2Hz)、2.99(2H,t,J=7.2Hz)、2.49(1H,t,J=2.4Hz)
【0041】
次に製剤例を示す。部は重量部を表す。
製剤例1
本発明化合物1の50部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸マグネシウム2部及び合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより、本発明化合物1の水和剤を得る。
【0042】
製剤例2
本発明化合物1の20部とソルビタントリオレエ−ト1.5部とを、ポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28.5部と混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中に、キサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液40部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合し、本発明化合物1のフロアブル製剤を得る。
【0043】
製剤例3
本発明化合物1の2部、カオリンクレー88部及びタルク10部をよく粉砕混合することにより、本発明化合物1の粉剤を得る。
【0044】
製剤例4
本発明化合物1の5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部及びキシレン75部をよく混合することにより、本発明化合物1の乳剤を得る。
【0045】
製剤例5
本発明化合物1の2部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部及びカオリンクレ−65部をよく粉砕混合した後、水を加えてよく練り合せ、造粒乾燥することにより、本発明化合物1の粒剤を得る。
【0046】
製剤例6
本発明化合物1の10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、本発明化合物1の製剤を得る。
【0047】
次に、本発明化合物が植物病害の防除に有用であることを試験例で示す。
なお防除効果は、調査時の供試植物上の病斑の面積を目視観察し、無処理区の病斑の面積と本発明化合物処理区の病斑の面積を比較することにより評価した。
【0048】
試験例1
プラスチックポットに砂壌土を詰め、トマト(品種:ポンテローザ)を播種し、温室内で20日間生育させた。本発明化合物1を製剤例6に準じて製剤とした後、水で所定濃度(500ppm)に希釈し、希釈液をトマト葉面に充分付着するように茎葉散布した。散布後、葉面上の該希釈液が乾く程度に風乾し、トマト疫病の遊走子嚢懸濁液(懸濁液1mlあたり約10000個の遊走子嚢を含有する)を噴霧接種(植物1個体あたり約2mlの割合)した。接種後、23℃、相対湿度90%以上の条件下で1日間栽培し、ついで昼間24℃、夜間20℃の温室で4日間栽培した。その後、防除効果を調査した。
その結果、本発明化合物を供試した植物上の病斑面積は、無処理区の病斑面積の10%以下であった。
【0049】
試験例2
プラスチックポットに砂壌土を詰め、ブドウ(品種:ベリーA)を播種し、温室内で40日間生育させた。本発明化合物1を製剤例6に準じて製剤とした後、水で所定濃度(200ppm)に希釈し、希釈液をブドウ葉面に充分付着するように茎葉散布した。散布後、葉面上の該希釈液が乾く程度に風乾し、ブドウべと病の遊走子嚢懸濁液(懸濁液1mlあたり約10000個の遊走子嚢を含有する)を噴霧接種(植物1個体あたり約2mlの割合)した。接種後、23℃、相対湿度90%以上の条件下で1日間栽培し、ついで昼間24℃、夜間20℃の温室に移して6日間栽培した。その後、防除効果を調査した。
その結果、本発明化合物を供試した植物上の病斑面積は、無処理区の病斑面積の10%以下であった。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

[式中、
1及びR2は、R1とR2とが一緒になって−CH=CH−X1−基、−X1−CH=CH−基、−X1−CH2−CH2−基、−CH2−X1−CH2−基、−CH2−CH2−X1−基、−X1−CH2−X2−基、−N=CH−CH=CH−基、−CH=N−CH=CH−基、−CH=CH−N=CH−基、−CH=CH−CH=N−基、−N=CH−CH=N−基、−N=CH−N=CH−基、−CH=N−CH=N−基、−N=N−CH=CH−基、−CH=N−N=CH−基、−CH=CH−N=N−基、−X1−CH2−CH2−X2−基、−N=CH−X1−基又は−X1−CH=N−基を表し、
3はC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表し、
4はC3−C4アルキニル基を表し、
1及びX2は、同一又は相異なり硫黄原子、酸素原子又はNR5を表し、
5は、水素原子又はC1−C3アルキル基を表す。〕
で示されるα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物。
【請求項2】
1とR2とが一緒になって、−CH=CH−X1−基又は−X1−CH=CH−基である請求項1に記載のα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物。
【請求項3】
1が硫黄原子である請求項2に記載のアミド化合物。
【請求項4】
3がC1−C4アルキル基である請求項1〜3いずれか一項記載のα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物。
【請求項5】
3がC1−C2アルキル基である請求項1〜3いずれか一項記載のα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか一項記載のα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物を有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤。
【請求項7】
請求項1〜5いずれか一項記載のα−(N−アミド)縮環ベンジルニトリル化合物の有効量を植物又は植物を栽培する土壌に処理することを特徴とする植物病害の防除方法。




【公開番号】特開2006−1856(P2006−1856A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178083(P2004−178083)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】