説明

ひずみ計測方法及びひずみ計測システム

【課題】測定対象物の表面に発生するひずみを、直接測定すること無く離れた位置から簡易に、かつ、高精度に計測可能なひずみ計測方法及びひずみ計測システムを提供する。
【解決手段】ひずみ計測システム1は、測定対象物2の表面の計測対象領域Sを正面から撮像する第1撮像装置3と、測定対象物2の側面を撮像する第2撮像装置5と、第1撮像装置3及び第2撮像装置5により撮像された画像に基づいて測定対象物2に発生するひずみを算出する計測装置10と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の表面のひずみを計測するひずみ計測方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラやビデオカメラ等の撮像装置やひずみゲージを用いて、測定対象物の表面に発生するひずみを計測する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、測定対象物の曲面上に、3つのマークをそれぞれが正三角形の頂点位置となるように付設し、測定対象物の変形前及び変形後のマークを撮像装置で2カ所から撮像して、測定対象物のひずみを算出する方法が開示されている。
【0004】
また、図14に示すように、ゲージ本体内に抵抗体となる細い金属線51が折り返し状態で配置されているひずみゲージ50を測定対象物の表面に取り付けて、測定対象物の変形に応じて抵抗体である金属線51の抵抗値変化から測定対象物のひずみを算出する方法が用いられている。
【0005】
さらに、特許文献2には、測定対象物の表面に格子を取り付けて、その格子の変位量をモレアひずみ計及び格子ひずみ計で計測することにより、測定対象物のひずみを算出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−231104号公報
【特許文献2】特開昭59−193303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のひずみ計測方法では、測定対象物の表面に、3つのマークを正確に付設しなければならないため、マークの付設に時間がかかるという問題点があった。
【0008】
また、ひずみゲージを用いたひずみ計測方法では、金属線の劣化によって温度ドリフトが生じてしまい正確な抵抗値を示さない場合があるという問題点があった。そして、計測値はひずみゲージ本体の長さに依存するため、ひずみゲージ本体の長さよりも小さくて局所的に生じるひずみを正確に測定できないという問題点があった。さらに、ひずみゲージは、接着剤で取り付けているため、測定対象物が繰り返し変形すると、測定対象物から離れてしまう場合があるという問題点があった。
【0009】
そして、特許文献2に記載のひずみ計測方法では、格子を大量の接着剤で測定対象物に強固に取り付けた場合は、格子の変位量が大きくなり、少量の接着剤で取り付けた場合は、格子の変位量が小さくなる等の格子の接着程度によって変位量が異なるため、取り付け作業に技術を要し、専門の作業員を手配しなければならないという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、測定対象物の表面に発生するひずみを、直接測定すること無く離れた位置から簡易に、かつ、高精度に計測可能なひずみ計測方法及びひずみ計測システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、測定対象物の表面のひずみを計測するひずみ計測方法であって、
測定対象物に形状及び外寸の異なる目印を不規則に記す目印付け工程と、
前記目印が記された前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を撮像装置で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程にて撮像した前記変形前の画像を複数のエリアに分割し、ここで分割した各エリアと最も良い相関関係を示す位置を、画像解析法によって前記撮像工程にて撮像した前記変形後の画像に対して特定するとともに、各エリアの移動量を算出することにより、前記測定対象物の表面の変位量を前記変形後の画像の各エリア毎に算出する変位量算出工程と、
前記変形後の画像の各エリアからひずみを算出する算出対象エリアを選択し、ここで選択した算出対象エリアを中心点として所定の距離だけ離れた点対称となる2つの前記エリアにおけるそれぞれの前記変位量に基づいて、変形後の前記2つの前記エリア間の距離を算出し、前記算出対象エリアのひずみを算出するひずみ算出工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、目印の形状及び外寸はそれぞれ異なるものなので、手間をかけることなく短時間で目印を測定対象物に記すことができる。
また、撮像装置で測定対象物の表面を撮像し、この撮像した画像に基づいてひずみを算出するため、測定対象物から離れていてもひずみを算出することができる。すなわち、測定対象物が高温内や危険地域内に存在している場合でも、測定対象物のひずみを算出することができる。
さらに、ひずみは、算出対象エリアから所定の距離だけ離れた2つのエリアの各変位量に基づいて算出されるため、正確なひずみを算出することができる。
【0013】
また、本発明において、前記測定対象物の表面と前記撮像装置との間の距離の違いによって生じる見掛けひずみを算出し、ここで算出した見掛けひずみを、前記エリア毎に算出されたひずみに加算または減算して補正する補正工程をさらに備えることとしてもよい。
【0014】
本発明によれば、測定対象物が撮像装置に近接または離間する方向へ傾斜している場合や測定対象物が変形前後で撮像装置に近接または離間する方向へ移動した場合でも、見掛けひずみを算出して補正するので、現実に即した正確なひずみを算出することができる。
【0015】
また、本発明において、前記撮像工程において、
前記測定対象物の表面を鏡に映し、この鏡に映った前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を前記撮像装置で撮像することとしてもよい。
【0016】
本発明によれば、鏡を介して測定対象物の表面を撮像することができるので、撮像装置で直接、測定対象物を撮像できない場合でも、測定対象物の表面を撮像することができる。
【0017】
また、本発明において、前記所定の距離は、任意に変更可能であることとしてもよい。
【0018】
本発明によれば、所定の距離を任意に変更可能なので、ひずみを測定するための測定区間(ゲージ長)を自由に調整することが可能となる。すなわち、微少区間のひずみを検出したいときは、測定区間を短くし、長い区間のひずみを算出したいときは、測定区間を長くすることができる。これによって、算出対象エリアのひずみを正確に計測することができる。
【0019】
また、本発明において、前記目印は、吹き付けられた塗料であることとしてもよい。
【0020】
本発明によれば、スプレーで塗料を吹き付けるだけなので、従来の目印を記す場合と比べて、時間と手間を大幅に低減することができる。
【0021】
また、本発明において、前記目印は、付着した粉末マーキング剤であることとしてもよい。
【0022】
本発明によれば、チョーク等で線をひくだけなので、従来の目印を記す場合と比べて、時間と手間を大幅に低減することができる。
【0023】
本発明は、測定対象物の表面のひずみを計測するためのひずみ計測システムであって、
形状及び外寸の異なる目印が不規則に記された測定対象物と、
前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置にて撮像された前記変形前及び変形後の画像を格納した記憶部と、
前記撮像装置にて撮像した前記変形前の画像を複数のエリアに分割し、ここで分割した各エリアと最も良い相関関係を示す位置を、画像解析法によって前記撮像装置にて撮像した前記変形後の画像に対して特定するとともに、各エリアの移動量を算出することにより、前記測定対象物の表面の変位量を前記変形後の画像の各エリア毎に算出する処理と、
前記変形後の画像の各エリアからひずみを算出する算出対象エリアを選択し、ここで選択した算出対象エリアを中心点として所定の距離だけ離れた点対称となる2つの前記エリアにおけるそれぞれの前記変位量に基づいて、変形後の前記2つの前記エリア間の距離を算出し、前記算出対象エリアのひずみを算出する処理と、を実行する演算部と、
を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、目印の形状及び外寸はそれぞれ異なるものなので、手間をかけることなく短時間で目印を測定対象物に記すことができる。
また、撮像装置で測定対象物の表面を撮像し、この撮像した画像に基づいてひずみを算出するため、測定対象物から離れていてもひずみを算出することができる。すなわち、測定対象物が高温内や危険地域内に存在している場合でも、測定対象物のひずみを算出することができる。
さらに、ひずみは、算出対象エリアから所定の距離だけ離れた2つのエリアの各変位量に基づいて算出されるため、正確なひずみを算出することができる。
【0025】
また、本発明において、前記演算部は、
前記測定対象物の表面と前記撮像装置との間の距離の違いによって生じる見掛けひずみを算出し、ここで算出した見掛けひずみを、前記エリア毎に算出されたひずみに加算または減算して補正する処理を実行することとしてもよい。
【0026】
本発明によれば、測定対象物が撮像装置に近接または離間する方向へ傾斜している場合や測定対象物が変形前後で撮像装置に近接または離間する方向へ移動した場合でも、見掛けひずみを算出して補正するので、現実に即した正確なひずみを算出することができる。
【0027】
また、本発明において、前記撮像装置の撮像条件を入力するための入力部を更に備え、
前記演算部は、
前記入力部より入力された撮像条件にて前記測定対象物を前記撮像装置で撮像する処理を実行することとしてもよい。
【0028】
本発明によれば、演算部で撮像条件を設定する操作が可能なので、遠隔操作で撮像装置の撮像条件を設定することができる。
【0029】
また、本発明において、前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を投影可能な鏡を更に備え、
前記鏡に映った前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を前記撮像装置で撮像することとしてもよい。
【0030】
本発明によれば、鏡を介して測定対象物の表面を撮像することができるので、直接、測定対象物を撮像できない場合でも、測定対象物の表面を撮像することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、測定対象物の表面に発生するひずみを、直接測定すること無く離れた位置から簡易に、かつ、高精度に計測可能なひずみ計測方法及びひずみ計測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)、(b)は、本発明の第一実施形態にかかるひずみ計測システムの概略配置図である。
【図2】本発明の第一実施形態にかかるひずみ計測システムの概略構成図である。
【図3】変形前後の画像をそれぞれ複数のエリアに分割した状態を示す図である。
【図4】ターゲット画像と比較用画像とを比較する方法の一例を示す図である。
【図5】ターゲット画像と比較用画像との相関程度を説明するための概略図である。
【図6】変位量からひずみを算出する方法を示す概念図である。
【図7】測定対象物が、第1撮像装置に対して近接する方向へ傾斜している状態を示す図である。
【図8】測定対象物が、第1撮像装置に対して離間する方向へ変形した状態を示す図である。
【図9】X軸方向のひずみεxtのデータテーブルの一例を示す図である。
【図10】X軸方向のひずみεxtの分布図の一例を示す図である。
【図11】ひずみ算出の処理フロー例を示す図である。
【図12】目印を測定対象物に記した状態を示す図である。
【図13】本発明の第二実施形態にかかるひずみ計測システムの概略配置図である。
【図14】一般的なひずみゲージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは特に記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0034】
図1(a)及び図1(b)は、それぞれ本発明の第一実施形態にかかるひずみ計測システム1の概略配置の正面図及び側面図である。また、図2は、本発明の第一実施形態にかかるひずみ計測システム1の概略構成図である。
【0035】
これらの図に示すように、本実施形態にかかるひずみ計測システム1は、測定対象物2の表面の計測対象領域Sを正面から撮像する第1撮像装置3と、測定対象物2の側面を撮像する第2撮像装置5と、第1撮像装置3及び第2撮像装置5により撮像された画像4(4a〜4d)に基づいて測定対象物2に発生するひずみを算出する計測装置10と、を備えている。
【0036】
第1撮像装置3は、測定対象物2の正面側に配置されて、測定対象物2のひずみを算出するための画像4a、4bを撮像する。また、第2撮像装置5は、測定対象物2の側面側に配置されて、測定対象物2の傾斜角度や変位量を計測するための画像4c、4dを撮像する(詳細は後述する)。
【0037】
第1撮像装置3及び第2撮像装置5は、いわゆるデジタルカメラであって、CCD、CMOS等の撮像素子3c、5cを有するカメラ本体3a、5aと、撮像素子3c、5c上に被写体の像を結像させるレンズ3b、5bと、から構成されている。
なお、本実施形態では、第1撮像装置3及び第2撮像装置5共にデジタルカメラを用いたが、これに限定されるものではなく、デジタルビデオカメラやスキャナー等を用いてもよい。
【0038】
計測装置10は、第1撮像装置3及び第2撮像装置5によって撮像された画像4を取り込むI/F部と、I/F部に取り込まれた画像4を格納するハードディスクドライブなど不揮発性の記憶部11と、RAMなどの不揮発性のメモリ12と、記憶部11に保持しているプログラム等をメモリ12に読み出して実行するCPUなどの演算部13と、キーボードやマウス等の入力部14と、ディスプレイやプリンタ等の出力部15と、を備えている。計測装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータを適用できる。
【0039】
計測装置10によるひずみの算出処理は、記憶部11に格納されている画像4及び各種プログラム11a〜11dを演算部13が読み出して実行することで実現される。
【0040】
記憶部11には、測定対象物2を撮像し、撮像された画像4を記憶部11に格納する撮像プログラム11aと、この撮像プログラム11aにより撮像された画像4から測定対象物2の変位量を算出する変位量算出プログラム11bと、この変位量算出プログラム11bにより算出された変位量に基づいてひずみを算出するひずみ算出プログラム11cと、このひずみ算出プログラム11cにより算出されたひずみを補正するひずみ補正プログラム11dと、が格納されている。
【0041】
次に、撮像プログラム11a、変位量算出プログラム11b、ひずみ算出プログラム11c、補正プログラム11dがそれぞれ実行する処理について説明する。
【0042】
<撮像プログラム11aが実行する処理について>
演算部13は、第1撮像装置3及び第2撮像装置5の撮像範囲、撮像距離、焦点距離等の撮像条件に関する値をそれぞれ入力部14でユーザから受け付け、ここで受け付けた各値に第1撮像装置3及び第2撮像装置5の設定を変更する処理を実行する。
続いて、演算部13は、第1撮像装置3及び第2撮像装置5に対して撮像を実行する撮像信号を送信する。この撮像信号を受信した第1撮像装置3及び第2撮像装置5により撮像が実行され、測定対象物2の表面及び側面を撮像した画像4a〜4dが取得される。取得された画像4a〜4dは、I/F部16を介して全て記憶部11に格納される。
演算部13は、測定対象物2の変形前及び変形後にそれぞれ測定対象物2を撮像する処理を実行する。これにより、変形前の画像4a、4c及び変形後の画像4b、4dが取得される。
【0043】
<変位量算出プログラム11bが実行する処理について>
演算部13は、変形前の画像4a及び変形後の画像4bを記憶部11から読み出して、変形前の画像4aと変形後の画像4bとを比較照合し、計測対象物の表面の変位量を算出する処理を実行する。
【0044】
変位量の算出には、変形前の画像4a及び変形後の画像4bの輝度値分布から変位量を算出可能なデジタル画像相関法を用いた。
【0045】
具体的には、図3に示すように、まず、変形前の画像4a及び変形後の画像4bをそれぞれ複数のエリアEij(例えば、36×36ピクセル)に分割する。
次に、変形前の画像4aの複数のエリアEijから1つのエリアEij(例えば、エリアE22)を選択する。以下、変形前の画像4aのエリアEijから選択された1つのエリアEijをターゲット画像4aaという。
また、変形後の画像4bについて上記エリアEijよりもやや大きい切出し区間(例えば、72×72ピクセル)を指定して比較用画像4bbを抽出する。なお、切り出し区間の大きさは、エリアEijの大きさと無関係に設定可能であり、演算部13等の処理能力に応じて適宜、設定する。
【0046】
図4は、ターゲット画像4aaと比較用画像4bbとを比較する方法の一例を示す図である。また、図5は、ターゲット画像4aaと比較用画像4bbとの相関程度を説明するための概略図である。以下の説明において、図4に示すように、図中左右方向をX軸方向、図中上下方向をY軸方向として説明を行う。
【0047】
図4に示すように、演算部13は、比較用画像4bbにターゲット画像4aaを重ね合わせてターゲット画像4aaの位置を上下左右にずらしながら、ターゲット画像4aaと最も良い相関を得る位置を比較用画像4bbより特定する。相関の程度は、図5に示すように、相関関数S=f(x、y)の値が小さくなるほど輝度値分布の相関程度は高くなり、位置検出の精度は高くなる。実際の変位量は、1ピクセルの大きさよりも小さい場合があるため、1ピクセル以下の解像度で変位量を検出できるように、スプライン関数等を利用して輝度値分布を内挿補間し、関数Sが最小となる位置座標及びX軸方向、Y軸方向及びXY方向(X軸からY軸へ向かって45°傾斜した向き)への各変位量(Δx、Δy、Δxy)をそれぞれ算出する。
【0048】
上述した比較用画像4bbにターゲット画像4aaを重ね合わせる処理を全てのエリアEijに対して繰り返し実施して、変形後の画像4b全体における各エリアEij毎のX軸方向、Y軸方向及びXY方向への変位量(Δx、Δy、Δxy)をそれぞれ算出する。
【0049】
続いて、演算部13は、算出した各変位量(Δx、Δy、Δxy)をメモリ12に格納する。なお、算出した各変位量(Δx、Δy、Δxy)を記憶部11に格納することとしてもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、画像解析法として、デジタル画像相関法を用いた場合について説明したが、この手法に限定されるものではなく、一般的な画像解析法を用いてもよい。
【0051】
<ひずみ算出プログラム11cが実行する処理について>
図6は、変位量からひずみを算出する方法を示す概念図である。
図6に示すように、演算部13は、X軸方向、Y軸方向及びXY方向への各変位量(Δx、Δy、Δxy)をメモリ12から読み出して、変形後の画像4bからひずみを算出する算出対象エリアEij(例えば、E44)選択し、ここで選択した算出対象エリアEij(例えば、E44)を中心点として所定の距離Lだけ離れた点対称となる2つのエリアEij(例えば、X軸方向を算出する場合E14、E74)におけるそれぞれの変位量(Δx、Δy、Δxy)に基づいて、算出対象エリアEij(例えば、E44)のひずみを算出する処理を実行する。ここで、算出対象エリアEijを中心点として点対称の位置に存在する上記2つのエリアEij間の距離を評点間距離GLとする。上記2つのエリアEijは算出対象エリアEijに対して点対称位置に存在するので、評点間距離GLは、上記所定の距離Lの2倍となる。
【0052】
演算部13は、評点間距離GLの値をキーボード等の入力部14でユーザから受け付けて、算出対象エリアEijにおけるX軸方向、Y軸方向及びXY方向の各ひずみ(εx、εy、εxy)を算出する処理を実行する。
【0053】
以下に、各ひずみ(εx、εy、εxy)の算出方法について説明する。
【0054】
−−−X軸方向のひずみを算出する場合−−−
図6に示すように、エリアEij(例えば、E44)のX軸方向のひずみεxを算出する場合は、ユーザにて設定された評点間距離GLに基づいて、X軸方向へ±0.5GL離れた両エリアEij(例えば、E14、E74)の変位量よりひずみεxを算出する。ひずみεxは、以下の(1)式より算出する。
εx=(Δx(x+0.5GL、y)− Δx(x−0.5GL、y))/GL
・・・(1)式
ここで、εx:各エリアEijにおけるX軸方向のひずみ、Δx:各エリアEijにおけるX軸方向への変位量、GL:評点間距離である。
【0055】
−−−Y軸方向のひずみを算出する場合−−−
また、図6に示すように、エリアEij(例えば、E44)のY軸方向のひずみεyを算出する場合は、評点間距離GLに基づいて、Y軸方向へ±0.5GL離れた両エリアEij(例えば、E41、E47)の変位量よりひずみεyを算出する。ひずみεyは、以下の(2)式より算出する。
εy=(Δy(x、y+0.5GL)− Δy(x、y−0.5GL))/GL
・・・(2)式
ここで、εy:各エリアEijにおけるY軸方向のひずみ、Δy:各エリアEijにおけるY軸方向への変位量である。
【0056】
−−−XY方向のひずみを算出する場合−−−
さらに、エリアEijのXY方向のひずみεxyを算出する場合は、評点間距離GLに基づいて、XY方向へ±0.5GL離れた両エリアEijの変位量よりひずみεxyを算出する。ひずみεxyは、以下の(3)式より算出する。
εxy=(Δxy(x+0.5GL、y+0.5GL)− Δxy(x−0.5GL、y−0.5GL))/GL ・・・(3)式
ここで、εxy:各エリアEijにおけるXY方向のひずみ、Δxy:各エリアEijにおけるXY方向への変位量である。
【0057】
続いて、演算部13は、上記(1)式、(2)式、(3)式によりそれぞれ算出されたX軸方向、Y軸方向及びXY方向の各ひずみ(εx、εy、εxy)をメモリ12に格納する。なお、記憶部11に格納することとしてもよい。
【0058】
<ひずみ補正プログラム11dが実行する処理について>
さて、上述した画像処理法を利用して変形前の画像4a及び変形後の画像4bから各ひずみ(εx、εy、εxy)を算出すると、誤差を含む場合がある。そこで、演算部13は、ひずみ算出プログラム11cにより算出したひずみを補正する処理を実行する。
【0059】
以下に、誤差を含む場合の補正方法について説明する。具体的には、(i)測定対象物2が第1撮像装置3に近接または離間する方向へ傾斜している場合、(ii)測定対象物2が第1撮像装置3に近接または離間する方向へ移動した場合の補正方法について説明する。
【0060】
まず、上記(i)の場合の補正方法について説明する。
【0061】
図7は、測定対象物2が、第1撮像装置3に対して近接する方向へ傾斜している状態を示す図である。なお、説明をわかり易くするために、ここでは、板状の測定対象物2の上端側が下端側よりも第1撮像装置3側へ向かって傾斜している場合について説明する。
本図に示すように、測定対象物2が第1撮像装置3に対して近接する方向へ傾斜している場合は、この傾斜によって測定対象物2が、例えば、Y軸方向について縮小して撮像されるため、見掛けひずみεαが生じてしまう。この見掛けひずみεαは、次式(4)にて算出される。
εα=1−cosα ・・・(4)式
ここで、εα:見掛けひずみ、α:測定対象物2の傾斜角である。
傾斜角αは、第2撮像装置5で撮像した変形前後の側面画像4c、4dから読み取る。読み取った値をキーボード等の入力部14でユーザから受け付けて、演算部13が、見掛けひずみεαを算出する処理を実行する。
【0062】
続いて、演算部13は、ひずみ算出プログラム11cにて作成されたY軸方向のひずみεyをメモリ12から読み出して、上記(4)式により算出された見掛けひずみεαを、ひずみεyから減算することにより、補正されたひずみεytが算出される。補正されたひずみεytは、次式(5)にて算出される。
εyt=εy−εα ・・・(5)式
【0063】
なお、本説明では、Y軸方向のひずみεyを補正する場合について説明したが、X軸方向のひずみεxについても同様に補正を実行する。
【0064】
次に、上記(ii)の場合の補正方法について説明する。
【0065】
図8は、測定対象物2が第1撮像装置3に対して離間する方向へ変形した状態を示す図である。なお、説明をわかり易くするために、ここでは、板状の測定対象物2の上端側が下端側よりも第1撮像装置3から離間する方向へ反るように変形している場合について説明する。
本図に示すように、測定対象物2が第1撮像装置3に対して離間する方向へ変形すると、これらの変形によって測定対象物2が、例えば、Y軸方向について縮小して撮像されるため、見掛けひずみεdが生じてしまう。この見掛けひずみεdは、次式(6)にて算出される。
εd=ΔD/D ・・・ (6)式
ここで、εd:見掛けひずみ、ΔD:面外変位量、D:撮像距離である。
面外変位量ΔDは、第2撮像装置5で撮像した変形前後の側面画像4c、4dから読み取る。読み取った値をキーボード等の入力部14でユーザから受け付けて、演算部13が、見掛けひずみεdを算出する処理を実行する。
【0066】
続いて、演算部13は、ひずみ算出プログラム11cにて作成されたY軸方向のひずみεyをメモリ12から読み出して、上記(6)式により算出された見掛けひずみεdを、ひずみεyから減算することにより、補正されたひずみεytが算出される。補正されたひずみεytは、次式(7)にて算出される。
εyt=εy−εd ・・・(7)式
【0067】
なお、本説明では、Y軸方向のひずみεyを補正する場合について説明したが、X軸方向のひずみεxについても同様に補正を実行する。
【0068】
演算部13は、上記(i)、(ii)による補正を変形後の図面4bの各エリアEijに対してそれぞれ実施する。なお、補正の必要の有無、及び上記(i)、(ii)のどちらの補正方法を実施するかは適宜、決定することができる。
【0069】
なお、上記(i)及び(ii)では、測定対象物2の傾斜角度及び変位量を第2撮像装置5で撮像した画像4c、4dを利用して計測する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、人が測定対象物2を直接、測定してもよい。
【0070】
続いて、演算部13は、補正されたX軸方向、Y軸方向及びXY方向の各ひずみ(εxt、εyt、εxyt)に基づいて、ひずみデータテーブル11e、11g、11iをそれぞれ作成する。
また、補正されたX軸方向、Y軸方向及びXY方向の各ひずみ(εxt、εyt、εxyt)の分布図11f、11h、11jをそれぞれ作成する。
すなわち、X軸方向のひずみデータテーブル11e及びひずみ分布図11fと、Y軸方向のひずみデータテーブル11g及びひずみ分布図11hと、XY方向のひずみデータテーブル11i及びひずみ分布図11jと、を作成する。
【0071】
続いて、演算部13は、作成された各ひずみデータテーブル11e、11g、11i及び各ひずみ分布図11f、11h、11jにエリアEijの位置情報を対応付けて、記憶部11に格納する。各ひずみデータテーブル11e、11g、11i及び各ひずみ分布図11f、11h、11jの詳細については後述する。
なお、各ひずみデータテーブル11e、11g、11i及び各ひずみ分布図11f、11h、11jをメモリ12に格納することとしてもよい。
【0072】
ここで、X軸方向、Y軸方向及びXY方向の各ひずみ(εx、εy、εxy)がそれぞれ算出されているので、最大主ひずみ、最小主ひずみ、最大主せん断ひずみをそれぞれ算出してもよい。
【0073】
次に、記憶部11に格納されている各ひずみデータテーブル11e、11g、11i及び各ひずみ分布図11f、11h、11jについて、X軸方向のひずみデータテーブル11e及びひずみ分布図11fを例に説明する。
【0074】
図9は、X軸方向のひずみデータテーブル11eの一例を示す図である。
本図に示すように、X軸方向のひずみデータテーブル11eは、ひずみεxtを変形後の画像4bのエリアEij番号に対応させたテーブルとなる。なお、エリアEij番号は、計測作業を行う前に予めユーザによって入力部14を介して入力される。
なお、ひずみデータテーブル11g、11iもひずみデータテーブル11eと同様の形式で、記憶部11に格納されている。
【0075】
図10は、X軸方向のひずみ分布図11fの一例を示す図である。
本図に示すように、X軸方向のひずみ分布図11fは、ひずみεxtを変形後の画像4bのエリアEij番号に対応させたコンターマップとなる。なお、エリアEij番号は、計測作業を行う前に予めユーザによって入力部14を介して入力される。
なお、ひずみ分布図11h、11jもひずみ分布図11fと同様の形式で、記憶部11に格納されている。
【0076】
最後に、演算部13は、各ひずみデータテーブル11e、11g、11i及び各ひずみ分布図11f、11h、11jを出力部15に送信し、出力部15のモニタに各ひずみデータテーブル11e、11g、11i及び各ひずみ分布図11f、11h、11jを表示する。
【0077】
(ひずみ算出の処理フロー)
次に、上述した構成からなるひずみ計測システム1を用いて、測定対象物2の表面に発生するひずみを算出するための処理フローについて、図11を参照して説明する。
【0078】
図11は、ひずみを算出する処理フローの一例を示す図である。
本図に示すように、まず、測定対象物2の測定対象領域に、スプレーなどにより塗料を不規則に吹き付ける目印付け工程を実施する(ステップs10)。
図12は、スプレーにより目印付けした例を示すものであり、スプレーにより吹き付けられるので、形状及び外寸はそれぞれ異なっており、配列も不規則になる。なお、本実施形態では、スプレーで塗装を吹き付けて目印を記したが、これに限定されるものではなく、チョークで粉末マーキング剤を測定対象物2の表面に付着させてもよい。
【0079】
また、目印付け工程と並行して、測定対象物2を撮像するための第1撮像装置3及び第2撮像装置5を所定の位置に設置し、動かないように固定する設置工程を実施する(ステップs15)。
第1撮像装置3及び第2撮像装置5を設置し、吹き付けた塗料が十分に乾燥したら撮像条件設定工程(ステップs20)へ移行する。
【0080】
次に、撮像条件設定工程(ステップs20)では、ひずみ計測システム1の演算部13が、第1撮像装置3及び第2撮像装置5の撮像条件に関する「撮像範囲」、「撮像距離」、「焦点距離」等の各値を入力部14でユーザから受け付ける。なお、第1撮像装置3及び第2撮像装置5の撮像条件は、それぞれ異なるものとしても良いし、全く同じものにしてもよい。
第1撮像装置3及び第2撮像装置5の撮像条件を設定したら変形前画像撮像工程(ステップs30)へ移行する。
【0081】
変形前画像撮像工程(ステップs30)では、演算部13が、第1撮像装置3及び第2撮像装置5に撮像信号を送信する。第1撮像装置3及び第2撮像装置5は、撮像信号を受信し、撮像条件設定工程(ステップs20)で設定した撮像条件で変形前の測定対象物2の表面及び側面をそれぞれ撮像する。
撮像された変形前の画像4a、4cは共に、演算部13によりI/F部16を介して記憶部11に格納される。その後、所定期間が経過したり、測定対象物2に所定の荷重を付与したら、変形後画像撮像工程(ステップs40)へ移行する。
【0082】
変形後画像撮像工程(ステップs40)では、演算部13が、第1撮像装置3及び第2撮像装置5に撮像信号を送信する。第1撮像装置3及び第2撮像装置5は、撮像信号を受信し、撮像条件設定工程(ステップs20)で設定した撮像条件で変形後の測定対象物2の表面及び側面をそれぞれ撮像する。
撮像された変形後の画像4b、4dは共に、演算部13によりI/F部16を介して記憶部11に格納される。変形後の測定対象物2の表面及び側面を撮像したら、変位量算出工程(ステップs50)へ移行する。
【0083】
変位量算出工程(ステップs50)では、演算部13が、変形前の画像4a及び変形後の画像4bを記憶部11から読み出して、変位量算出プログラムを実行することにより、X軸方向、Y軸方向、及びXY方向への変位量(Δx、Δy、Δxy)をそれぞれ算出する。
算出された各変位量(Δx、Δy、Δxy)は、演算部13によりメモリ12に格納される。なお、記憶部11に格納することとしてもよい。
各変位量(Δx、Δy、Δxy)を算出したら、ひずみ算出工程(ステップs60)へ移行する。
【0084】
ひずみ算出工程(ステップs60)では、演算部13が、変位量算出工程(ステップs50)で算出した各変位量(Δx、Δy、Δxy)をメモリ12から読み出して、ひずみ算出プログラム11cを実行することにより、X軸方向、Y軸方向、及びXY方向のひずみ(εx、εy、εxy)をそれぞれ算出する。
算出された各ひずみ(εx、εy、εxy)は、演算部13によりメモリ12に格納される。なお、記憶部11に格納することとしてもよい。
各ひずみ(εx、εy、εxy)を算出したら、補正工程(ステップs70)へ移行する。
【0085】
補正工程(ステップs70)では、演算部13が、ひずみ算出工程(ステップs60)にて算出した各ひずみ(εx、εy、εxy)をメモリ12から読み出して、補正プログラム11dを実行することにより、X軸方向、Y軸方向、及びXY方向の補正された各ひずみ(εxt、εyt、εxyt)がそれぞれ算出される。
補正された各ひずみ(εxt、εyt、εxyt)は、エリアEij番号が付されたひずみデータテーブル11e、11g、11i及びひずみ分布図11f、11h、11iとして記憶部11に格納される。なお、メモリ12に格納することとしてもよい。
これらの各ひずみ(εxt、εyt、εxyt)を算出したら、出力工程(ステップs80)へ移行する。
【0086】
出力工程(ステップs80)では、演算部13が、各ひずみデータテーブル11e、11g、11i及び各ひずみ分布図11f、11h、11jを記憶部11から読み出して、出力部15へ送信し、これらを出力部15のモニタに表示する。
【0087】
上述した構成からなるひずみ計測システム1によれば、目印の形状及び外寸はそれぞれ異なるものなので、手間をかけることなく短時間で目印を測定対象物2に記すことができる。例えば、スプレーで塗料を吹き付けたり、チョークで線を引いたりすることにより、従来の目印を記す場合と比べて、時間と手間を大幅に低減することができる。
【0088】
また、第1撮像装置3で測定対象物2の表面を撮像し、この撮像した画像4a、4bに基づいてひずみを算出するため、測定対象物2から離れていてもひずみを算出することができる。すなわち、測定対象物2が高温内や危険地域内に存在している場合でも、測定対象物2のひずみを算出することができる。
【0089】
そして、評点間距離GLの距離を任意に変更可能なので、ひずみを測定するための測定区間(ゲージ長)を自由に調整することが可能となる。したがって、微少区間のひずみを検出したいときは、評点間距離GLの距離を短くし、長い区間のひずみを算出したいときは、評点間距離GLの距離を長くすることができる。これによって、算出対象エリアEijのひずみを正確に計測することができる。
【0090】
さらに、見掛けひずみεα、εdを算出して補正するので、現実に即した正確なひずみ(εxt、εyt、εxyt)を算出することができる。
【0091】
また、演算部13で第1撮像装置3及び第2撮像装置5の撮像条件を設定する操作が可能なので、遠隔操作で第1撮像装置3及び第2撮像装置5の撮像条件を設定することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、変位量算出プログラム11bとひずみ算出プログラム11cとを分けて実行した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、これらを1つのプログラムとし、連続して実行してもよい。
【0093】
また、本実施形態では、ひずみ算出プログラム11cと補正プログラム11dとを分けて実行した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、これらを1つのプログラムとし、連続して実行してもよい。
【0094】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
以下の説明において、第一実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
【0095】
図13は、本発明の第二実施形態にひずみ計測システム21の概略配置図である。
本図に示すように、本実施形態にかかるひずみ計測システム21は、第1撮像装置3と、ひずみを算出する計測装置10と、鏡22と、ライト23と、を備えている。
鋼管24が既設構造物25に固定されていて、鋼管24への挿入口が狭いため、第1撮像装置3を鋼管24内に挿入できない場合は、鋼管24内に鏡22及びライト23を設置して、鋼管24の内周面をライト23で照らしながら鏡22に映し、この鏡22に映った鋼管24の内周面を撮像する。
上述した構成からなるひずみ計測システム21によれば、第一実施形態で説明した効果に加えて、鋼管24内が高温で第1撮像装置3を挿入できない場合等でも、鋼管24の内周面を撮像することが可能になる。すなわち、撮像装置で直接、測定対象物2を撮像できない場合でも、測定対象物2の表面を撮像することができる。
【0096】
なお、上述した各実施形態では、鋼材のひずみを測定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、コンクリート構造物、岩盤、石材、石膏、プラスチック材料にも本願発明は適用可能である。
【0097】
さらに、本願発明は、コンクリートなどの材料でひずみ計測にばらつきが生じ易い場合、測定対象物2が凹凸形状または柔らかい材料であるためにひずみゲージを取り付けにくい場合、測定対象物2が微小であるためにひずみゲージを取り付けにくい場合、ひずみ変化が大きい部位のひずみ分布を緻密に測定したい場合等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 ひずみ計測システム
2 測定対象物
3 第1撮像装置
3a カメラ本体
3b レンズ
3c 撮像素子
4 画像
4a 変形前の画像
4aa ターゲット画像
4b 変形後の画像
4bb 比較用画像
4c 変形前の側面画像
4d 変形後の側面画像
5 第2撮像装置
5a カメラ本体
5b レンズ
5c 撮像素子
10 計測装置
11 記憶部
11a 撮像プログラム
11b 変位量算出プログラム
11c ひずみ算出プログラム
11d 補正プログラム
11e X軸方向のひずみデータテーブル
11f X軸方向のひずみ分布図
11g Y軸方向のひずみデータテーブル
11h Y軸方向のひずみ分布図
11i XY方向のひずみデータテーブル
11j XY方向のひずみ分布図
12 メモリ
13 演算部
14 入力部
15 出力部
16 I/F部
21 ひずみ計測システム
22 鏡
23 ライト
24 鋼管
25 既設構造物
E エリア
GL 評点間距離
S 計測対象領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の表面のひずみを計測するひずみ計測方法であって、
測定対象物に形状及び外寸の異なる目印を不規則に記す目印付け工程と、
前記目印が記された前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を第1撮像装置で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程にて撮像した前記変形前の画像を複数のエリアに分割し、ここで分割した各エリアと最も良い相関関係を示す位置を、画像解析法によって前記撮像工程にて撮像した前記変形後の画像に対して特定するとともに、各エリアの移動量を算出することにより、前記測定対象物の表面の変位量を前記変形後の画像の各エリア毎に算出する変位量算出工程と、
前記変形後の画像の各エリアからひずみを算出する算出対象エリアを選択し、ここで選択した算出対象エリアを中心点として所定の距離だけ離れた点対称となる2つの前記エリアにおけるそれぞれの前記変位量に基づいて、変形後の前記2つの前記エリア間の距離を算出し、前記算出対象エリアのひずみを算出するひずみ算出工程と、
を備えることを特徴とするひずみ計測方法。
【請求項2】
前記測定対象物の表面と前記第1撮像装置との間の距離の違いによって生じる見掛けひずみを算出し、ここで算出した見掛けひずみを、前記エリア毎に算出されたひずみに加算または減算して補正する補正工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のひずみ計測方法。
【請求項3】
前記撮像工程において、
前記測定対象物の表面を鏡に映し、この鏡に映った前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を前記第1撮像装置で撮像することを特徴とする請求項1または2に記載のひずみ計測方法。
【請求項4】
前記所定の距離は、任意に変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のひずみ計測方法。
【請求項5】
前記目印は、吹き付けられた塗料であることを特徴とする特徴とする請求項1に記載のひずみ計測方法。
【請求項6】
前記目印は、付着した粉末マーキング剤であることを特徴とする請求項1に記載のひずみ計測方法。
【請求項7】
測定対象物の表面のひずみを計測するためのひずみ計測システムであって、
形状及び外寸の異なる目印が不規則に記された測定対象物と、
前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を撮像する第1撮像装置と、
前記第1撮像装置にて撮像された前記変形前及び変形後の画像を格納した記憶部と、
前記第1撮像装置にて撮像した前記変形前の画像を複数のエリアに分割し、ここで分割した各エリアと最も良い相関関係を示す位置を、画像解析法によって前記第1撮像装置にて撮像した前記変形後の画像に対して特定するとともに、各エリアの移動量を算出することにより、前記測定対象物の表面の変位量を前記変形後の画像の各エリア毎に算出する処理と、
前記変形後の画像の各エリアからひずみを算出する算出対象エリアを選択し、ここで選択した算出対象エリアを中心点として所定の距離だけ離れた点対称となる2つの前記エリアにおけるそれぞれの前記変位量に基づいて、変形後の前記2つの前記エリア間の距離を算出し、前記算出対象エリアのひずみを算出する処理と、を実行する演算部と、
を備えることを特徴とするひずみ計測システム。
【請求項8】
前記演算部は、
前記測定対象物の表面と前記第1撮像装置との間の距離の違いによって生じる見掛けひずみを算出し、ここで算出した見掛けひずみを、前記エリア毎に算出されたひずみに加算または減算して補正する処理を実行することを特徴とする請求項7に記載のひずみ計測システム。
【請求項9】
前記第1撮像装置の撮像条件を入力するための入力部を更に備え、
前記演算部は、
前記入力部より入力された撮像条件にて前記測定対象物を前記第1撮像装置で撮像する処理を実行することを特徴とする請求項7または8に記載のひずみ計測システム。
【請求項10】
前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を投影可能な鏡を更に備え、
前記鏡に映った前記測定対象物の変形前及び変形後の表面を前記第1撮像装置で撮像することを特徴とする請求項7〜9のうち何れか一項に記載のひずみ計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−132786(P2012−132786A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285174(P2010−285174)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】