説明

アウトリガ張出検出装置

【課題】横アウトリガボックスの張出状態を検出可能とするとともに、その検出状態の安定性を維持し得るアウトリガ張出検出装置およびこれを備えるアウトリガ装置を提供する。
【解決手段】このアウトリガ張出検出装置20は、作業車両のフレームに固定されるベース部11と、そのベース部11に突出および収容自在に内嵌する横アウトリガボックス12と、を備えるアウトリガ装置に用いられるものであり、前記ベース部11に装着されるようになっている。そして、横アウトリガボックス12の突出位置および収容位置に応じて、それぞれの位置に対応した位置に移動可能な検出ドッグ(検出部材)22と、その検出ドッグ22の移動を非接触で検出する近接センサ30と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトラック等の車両の荷台上に搭載されて用いられる入れ子式のアウトリガ装置を有する作業車両において、そのアウトリガを最大幅に張出たことを検出するのに好適に使用し得るアウトリガ張出検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入れ子式のアウトリガ装置を有する作業車両としては、例えば、ブームの先端に、質量200kg程の照明装置を取り付けた照明車がある。
この種の作業車両に装備されるアウトリガ装置は、車両のフレームに固定されるベース部を有し、そのベース部に対し突出および収容自在に横アウトリガボックスが嵌装されている。そして、この横アウトリガボックスには、その先端部にアウトリガが装備されており、さらに、その横アウトリガボックスを車幅方向に伸縮可能に取り付けられた伸縮用の油圧シリンダを備えている。
【0003】
ここで、上記照明車の例では、その使用をするときには、まず、伸縮用の油圧シリンダを用いて、横アウトリガボックスを車幅方向の両側に張り出させ、次いで、その先端部に装備されたジャッキ装置を地面に接地させて作業車両をジャッキアップすることにより、作業車両が転倒しないように安定させる。その後、ブームを起立、伸長させて照明装置を所望の位置に設定し、照明を点灯する。
【0004】
ところで、一般的には、このような伸縮用の油圧シリンダには、対応するチェック弁を設けている。そして、このチェック弁によって油圧シリンダが完全に伸長していない伸長途中の状態であっても、その位置で自動的にロック可能になっている。これにより、横アウトリガボックスの張出量を無段階に設定して所望の伸縮位置にて固定することができる。
【0005】
しかし、横アウトリガボックスは、その最大の張出位置まで確実に張り出さなければ、作業車両の安定能力を最大に発揮させて使用することができない。そのため、例えば、上述のようにブーム先端に、質量200kg程の照明装置を取り付けているような照明車では、作業者が、横アウトリガボックスを最大に張り出したとの思いこみにより、作業車両の安定性が十分に確保されないまま、ブームを起立、伸長させて照明装置を所望の位置に設定する作業への移行を防止することが望ましい。
【0006】
そこで、例えばピンなどによる位置決め手段を、ベース部から横アウトリガボックスに人の手によって挿通して相対位置を決めるように構成することも考えられる。しかし、ピンなどを挿通して相対位置を決める場合は、ベース部と横アウトリガボックスとを連通する位置にピン孔をそれぞれ設けなければ、ピンを挿通することができない。そのため、横アウトリガボックスの張出位置は、複数の段階(例えば最大、最小の二段階)の張出位置に設定するなど、その張出位置がピン孔の設定位置によって制限されることになる。このように、例えばピンなどによる位置決め手段では、途中位置で使用したい場合に、対応する設定位置を有しないこともあり、また、ピンなどを人為的に挿通する手間を要するので、その使い勝手が必ずしもよいとはいえない。
【0007】
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、アウトリガ装置に対し、その入れ子式の横アウトリガボックスの張出位置を検出するためのリミットスイッチを備えている。そして、同文献の開示例では、このリミットスイッチは、横アウトリガボックスの左右の張出量が最大となった位置にあるときに作動するように設定されており、さらに、その作動に基づいて目視可能な警告をするための警告灯を備えている。ここで、このリミットスイッチは、横アウトリガボックスの上面を直接検出するように取り付けられている(同文献での図2参照)。
【0008】
この特許文献1に記載の技術によれば、作業者は、横アウトリガボックスの左右の張出状態が最大張出位置であることを警告灯の表示から目視によって把握できるので、作業車両が不安定なままで、次の作業に移行することが防止される。
【特許文献1】実公平2−11240号公報
【特許文献2】特開平8−133680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、入れ子式のアウトリガ装置では、横アウトリガボックスは、ベース部に嵌装されているので、横アウトリガボックスとベース部との間には隙間がある。そして、この隙間によって生じるガタは意外に大きい。
ここで、例えば特許文献1に記載の技術によれば、そのリミットスイッチは、横アウトリガボックスの上面を直接検出するものなので、横アウトリガボックスとベース部との間の隙間によって生じるガタの影響によって、リミットスイッチの作動状態を安定した状態に調整することが難しいものになる。また、横アウトリガボックスの質量を考慮すると、このリミットスイッチに作用する衝撃力は大きいので、その衝撃力によってリミットスイッチが破損するおそれがある。
【0010】
一方、入れ子式ブームを有するクレーンに係る技術ではあるが、例えば特許文献2に記載の技術が開示されている。
この特許文献2に記載の技術は、クレーンの入れ子式ブームの側面に、そのブームの内筒の位置を検出する近接スイッチを備えており、この近接スイッチが、ブームの内筒に直接当接するように付勢された摺動体の内部に設けられている。これにより、ブーム側面方向でのガタが大きくても、近接スイッチの作動状態の調整を不要とすることを意図している。
【0011】
この特許文献2に記載の技術によれば、その近接スイッチによって、ブームの伸縮状態を検出可能なので、同様の構成を、そのまま上記の、横アウトリガボックスの張出状態を検出するためのスイッチに転用することも考えられる。
しかし、仮に、この特許文献2に記載の技術を転用した場合であっても、上記摺動体は、ブームの内筒に直接当接しているので、この摺動体が摩耗すれば、近接スイッチの頭部とブームとの干渉や、こすれを防止するための再調整が必要である。また、近接スイッチをブームの側面以外(例えばブーム上面や下面等)に設けるならば、この摺動体が摩耗することで、やはり上記特許文献1に記載の技術同様に、近接スイッチへの衝撃力によってスイッチが破損するおそれがあり、その検出状態の安定性を維持する上で未だ検討の余地がある。
【0012】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、横アウトリガボックスの最大張出状態を検出可能とするとともに、その検出状態の安定性を維持し得るアウトリガ張出検出装置およびこれを備えるアウトリガ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、作業車両のフレームに固定される筒状のベース部と、そのベース部に突出および収容自在に内嵌される横アウトリガボックスとを備えるアウトリガ装置に用いられるアウトリガ張出検出装置であって、前記ベース部に装着されるようになっており、前記横アウトリガボックスの最大突出位置および収容位置のそれぞれの位置に対応した位置に移動可能な検出部材と、その検出部材の移動を非接触で検出する近接センサとを備え、前記検出部材は、前記ベース部に装着される部分に形成される孔に対向する位置に回動可能に枢支されており、その回動中心から前記横アウトリガボックスに当接可能な位置まで延びる当接腕と、前記当接腕の回動とともに回動する検出腕とを一体に有して形成されており、前記横アウトリガボックスが前記収容位置にあっては当該横アウトリガボックスの上面に前記当接腕が当接することで第一の位置に位置し、前記突出位置にあっては横アウトリガボックスの孔に前記当接腕が自重により突入することで第二の位置に位置するようになっており、前記近接センサは、前記検出腕が前記第一の位置あるいは前記第二の位置のいずれかにあるときを検出位置として設定されていることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、アウトリガ張出検出装置は、近接センサを備えており、さらに、この近接センサは、検出の対象である横アウトリガボックスを直接検出せずに、検出部材の移動を非接触で検出することによって、いわば間接的に、横アウトリガボックスの突出位置および収容位置を検出するので、検出部材への衝撃力によって近接センサが破損するおそれがない。また、検出部材を介して間接的に横アウトリガボックスの移動状態を監視するので、ベース部と横アウトリガボックスとの間にガタがあっても、そのガタの影響を緩和ないしは影響を受けないように設置することが可能である。したがって、本発明によれば、アウトリガ(横アウトリガボックス)の張出状態を検出可能とするとともに、その検出状態の安定性を維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、本発明によれば、アウトリガ(横アウトリガボックス)の最大張出状態を検出可能とするとともに、最大張出状態であるか否かを作業者の目視で確認することができるので、その検出状態の安定性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は本発明に係るアウトリガ張出検出装置およびこれを備えるアウトリガ装置を装備した作業車両の一実施形態を説明する図であり、同図に示すものは、伸縮ブームの先端に照明装置を取り付けた照明車の例である。
同図に示すように、この照明車1には、運転室2の後方のフレーム3上に、直線状の箱型筒状構造で車幅方向に延びるベース部11が固設されている。そして、このベース部11上に、旋回フレーム4が設置されており、この旋回フレーム4の上部には、コラム5が設置されている。そして、このコラム5の上端にブーム6が装着されている。このブーム6は、その基端部がコラム5の先端側に枢支された基端ブーム6Aと、その基端ブーム6Aにテレスコープ状に嵌挿された先端側ブーム6Bと、を備えている。そして、先端側ブーム6Bの先端部には、およそ200kgの照明装置9が取付けられている。なお、先端側ブーム6Bの上面には、ブーム伸縮用のテレシリンダが設けられ、テレシリンダを伸縮することにより先端側ブーム6Bが伸縮可能になっている。
【0017】
さらに、この照明車1には、アウトリガ装置10が装備されている。
このアウトリガ装置10は、図1に示すように、上記箱型筒状をなすベース部11と、そのベース部11内に入れ子式に組み合わされた横アウトリガボックス12と、を備えている。横アウトリガボックス12は、ベース部11の両側にそれぞれ設けられており、ベース部11に対し、その車幅方向に突出および収容自在に内嵌されている。さらに、これらベース部11と横アウトリガボックス12との間には、車幅方向に沿って伸縮用の油圧シリンダ13がそれぞれに配設されている。この油圧シリンダ13は、そのシリンダ部がベース部11側面に固定され、そのロッド部13bの先端が横アウトリガボックス12の先端側に固定されており、この伸縮シリンダ13の伸縮動に伴って、横アウトリガボックス12が車幅方向の左右それぞれに伸縮移動されるようになっている。
【0018】
そして、各横アウトリガボックス12の端部には、ジャッキ装置15がそれぞれ垂設されている。このジャッキ装置15は、横アウトリガボックス12の先端部に固着されたアウターポスト16と、下端に接地板18を備えてアウターポスト16内に下方に伸縮自在に嵌挿されたインナーポスト17と、を備えて構成されている。そして、このインナーポスト17の伸縮は、アウターポスト16とインナーポスト17の内部に跨設された不図示のジャッキシリンダ(油圧シリンダ)によって行われ、そのジャッキシリンダを伸長させることにより、アウターポスト16に対してインナーポスト17が鉛直下向きに伸縮可能になっており、このインナーポスト17の伸長によって前記接地板18が接地し、照明車1を持ち上げて支持可能になっている。これにより、このアウトリガ装置10は、上記ブーム6を旋回動、あるいは伸縮動させる等の作業を行う際に、図示のように横アウトリガボックス12を車両側方にそれぞれ張出、その先端部に装備されたジャッキ装置15を下方にそれぞれ張出て接地することにより照明車1の作業時の安定性を向上させることができる。
ここで、上記アウトリガ装置10には、そのベース部11上面の両端近傍に、アウトリガ張出検出装置20がそれぞれ装着されている。
【0019】
以下、このアウトリガ張出検出装置20、およびこれが装着されているアウトリガ装置10について図2ないし図6を参照しつつより詳しく説明する。
図2は、図1でのアウトリガ装置の要部(符号Aの部分)を拡大して示す図であり、図3は図2でのB方向から見た矢視図である。また、図4は、図3でのアウトリガ張出検出装置の要部を拡大して示す図、図5および図6は、本発明に係るアウトリガ張出検出装置を説明する図であり、図5は横アウトリガボックスを収容位置にした状態を示しており、図6は横アウトリガボックスを突出位置にした状態を示している。なお、図2ないし図5では、アウトリガ張出検出装置内部を視認可能なように、外装カバー44を適宜の断面にてそれぞれ図示している。
【0020】
このアウトリガ張出検出装置20は、図2および図3に示すように、箱形の外装カバー44内に、横アウトリガボックス12が突出および収容される移動方向に沿って回動可能な検出ドッグ22と、その検出ドッグ22の移動を検出する非接触式の近接センサ30とを備えて構成されている。
詳しくは、ベース部11上面には、図3に示すように、矩形状の取付け板42が溶接されている。この取付け板42には、その略中央部に、円形の貫通孔38を有しており、さらに、ベース部11上面にも、この貫通孔38と同心に、貫通孔38よりも一回り小さい貫通孔34が形成されている。そして、この取付け板42上に固定板46が取り付けられている。
【0021】
この固定板46は、図4に拡大して示すように、横アウトリガボックス12の伸縮方向での収容側に基部46aを有し、この基部46aが二本の固定ボルト48で取付け板42上面に固定されている。そして、この固定板46は、同図での奥側が上方に向けて折り曲げられることで立設してなる取り付け面46bを有して形成されている。ここで、この取り付け面46bは、横アウトリガボックス12の移動方向に沿って設けられている。
【0022】
そして、上記検出ドッグ22は、この取り付け面46bに、ドッグ支軸24を介して回動可能に枢支されている。さらに、この取り付け面46bには、上記近接センサ30を装着可能な装着孔46eが板厚方向に貫通形成されている。そして、この装着孔46eに、近接センサ30が装着され、その近接センサ30の外周面に形成されている雄ねじに、装着孔46eの両側から螺合するナットで挟持されることによって固定されている。
【0023】
より詳しくは、検出ドッグ22は、図5に示すように、略L字状をなすことで二本の腕を有して形成されており、その一方の腕22b(以下、当接腕という)が、横アウトリガボックス12の上面13a(以下、横リガ上面という)と当接可能な位置まで延びており、他方の腕22a(以下、検出腕という)が、近接センサ30の検出面30aを横切る位置を回動可能にドッグ支軸24によって軸支されている。
【0024】
このドッグ支軸24は、図4に示すように、円筒状の柱部材であり、固定板46の取り付け面46b側(同図での上側)に、雌ねじ24mを有している。そして、取り付け面46bにはドッグ支軸24の雌ねじ24mに対向する位置に、取り付け孔46dが形成されており、ドッグ支軸24は、この取り付け孔46dに、取り付け面46bの反対の側からドッグ支持ボルト26で締結されている。さらに、このドッグ支軸24は、上記検出ドッグ22が装着される側(同図での下側)に、円柱状をなす柱部24hよりも小径の摺動部24sを同軸に有している。そして、この摺動部24s先端に雄ねじ24pを有することで検出ドッグ22が装着される側が段付きねじになっている。
【0025】
一方、検出ドッグ22は、その略L字状の角の部分に、この摺動部24sに僅かな隙間をもって外嵌するとともに、その軸まわりで回動可能に形成された摺動孔22dを有しており、この摺動孔22dにドッグ支軸24の摺動部22sが挿通されている。そして、摺動部24s先端の雄ねじ24p側からスラストワッシャ27が装着され、さらに固定用の二つのドッグ支持ナット28で締結されている。
【0026】
これにより、検出ドッグ22は、ドッグ支軸24の軸方向での位置が固定され、さらに、ドッグ支軸24によって、横アウトリガボックス12の移動方向とは交差する軸まわりに回動可能に枢支されている。ここで、ドッグ支軸24の柱部24hの長さは、検出ドッグ22の回動する腕が、ベース部11の貫通孔34の丁度中央に位置する長さになっている。
【0027】
そして、図5に示すように、横アウトリガボックス12が収容位置にあっては、この検出ドッグ22は、その当接腕22bが、当該横リガ上面13aと当接することで、同図での反時計方向に回動して、第一の位置に移動するようになっている。ここで、この検出ドッグ22の当接腕22bの長さLは、図4に示すように、検出ドッグ22の回動中心の位置と車両幅方向での内側(横アウトリガボックスの収容方向の側)でのベース部11の貫通孔34の端部とを結ぶ距離Laよりも長く設けている。
【0028】
さらに、横アウトリガボックス12には、図6に示すように、その横リガ上面13aに、横アウトリガボックス12が最大の突出位置において、ベース部11上面の貫通孔34に突出または収容される方向での経路上で対向する位置に、起伏をもつ部分として円形の貫通孔32が形成されている。そして、上記検出ドッグ22の当接腕22bは、横アウトリガボックス12が最大の突出位置において、この円形の貫通孔32に落ち込むことができる位置に設けられている。すなわち、検出ドッグ22の当接腕22bの長さLは、同図に示すように、横アウトリガボックス12が突出位置において、検出ドッグ22の回動中心の位置と車両幅方向での内側(横アウトリガボックスの収容方向の側)での横アウトリガボックス12の貫通孔32の端部とを結ぶ距離Lbよりも短く設けている。これにより、横アウトリガボックス12が最大の突出位置にあっては、検出ドッグ22は、その当接腕22bが、当該横アウトリガボックス12とは当接しないので、同図での時計方向に自重のみによって回動して、第二の位置に移動するようになっている。なお、検出ドッグ22の当接腕22bは、検出ドッグ22が自重によって円滑に回動可能なように、その質量を配分している。
【0029】
ここで、この第二の位置は、検出ドッグ22が貫通孔32に落ち込んだきときに、その回動中心から、同図での鉛直方向の斜め右下に所定の角度θをもたせた位置に落ち込むように設定している。本実施形態の例では、この所定の角度θは、10°に設定されている。この所定の角度θを設定するにあたり、検出ドッグ22の回動中心の位置を、車両幅方向での外側(横アウトリガボックスの突出方向の側)に設定し、さらに、ベース部11の貫通孔34の内周面に当接する位置に設けており、ベース部11の貫通孔34の内周面は、検出ドッグ22が第二の位置にあるときに、その位置を維持するように回動を制限する第二の回動制限部になっている。
【0030】
また、この第二の位置での当接腕22bの先端位置は、横リガ上面13aの裏側から僅かに下方に突き出る程度の長さに設定されていれば好ましい。当接腕22bの長さが、このような長さになっていれば、むやみに貫通孔32の孔径を大きくせずとも、横アウトリガボックス12が最大の突出位置になったときに、丁度その貫通孔32に落とし込ませることができる。なお、上記検出部材には、この検出ドッグ22が対応している。
【0031】
そして、近接センサ30は、検出ドッグ22の検出腕22aの側面に対向する方向に、その検出面30a非接触に配置されている。そして、この近接センサ30は、検出ドッグ22の検出腕22aが、前記第一の位置にあるときに非検出位置(図5参照)となり、前記第二の位置にあるときに検出位置(図6参照)となる位置に設けられている。つまり、上述のように、検出ドッグ22は、自重で横アウトリガボックス12の横リガ上面13aに形成されている貫通孔32に当接腕22bが落ち込むことで検出腕22aが近接センサ30に対向する位置に回動し、近接センサ30を作動させるようになっている。
【0032】
ここで、図7に示すように、操作パネル7には、各横アウトリガボックス12の伸縮をさせるための各横アウトリガ操作レバー8上部での目視容易な位置に、パイロットランプ50がそれぞれに対応して設置されている。そして、近接センサ30が作動すると通電し、操作パネル7上のパイロットランプ50を、警告表示として点灯させるようになっている。
【0033】
次に、上記アウトリガ装置10の作用・効果について説明する。
このアウトリガ装置10は、張出シリンダ13が全縮状態では、図2ないし図3に示すように、横アウトリガボックス12がベース部11内に格納されて、照明車1の内方側に引き込まれた状態(収容位置)にある。
今、作業者が、この収容位置から張出シリンダ13を伸張させて、そのロッド部13bが伸長を始めると、横アウトリガボックス12が車幅方向外方にそれぞれ張り出される。
【0034】
このとき、照明車1の外方側へ移動する横アウトリガボックス12の張出に伴って、ベース部11上の基端部24近傍に取り付けられたアウトリガ張出検出装置20は、図5に示すように、その検出ドッグ22の当接腕22bの先端が、横リガ上面13aに当接することで、同図での反時計方向に回動した第一の位置に移動している。そして、横アウトリガボックス12は、さらに車両側方へ移動し、その横リガ上面13aに検出ドッグ22の当接腕22bが摺接しつつ張り出される。この間、検出ドッグ22は、当接腕22bが横リガ上面13aに摺接することで第一の位置を維持しており、近接センサ30は、検出ドッグ22の検出腕22aを検出しない(非検出位置)。
【0035】
次いで、一定幅の張出が行われて、図1に示すように、横アウトリガボックス12が最大位置まで移動した状態(突出位置)となる。このとき、検出ドッグ22は、図6に示すように、その検出腕22aが、横リガ上面13aに形成されている貫通孔32に自重で落ち込む。そのため、検出ドッグ22は、同図での時計方向に回動して第二の位置に移動する。これにより、検出ドッグ22の検出腕22aは、近接センサ30の検出面30aに対向する位置に移動し、近接センサ30は、検出腕22aを検出する(検出位置)。これにより、この近接センサ30が作動し、通電することによって操作パネル7上のパイロットランプ50が点灯する。そのため、作業者は、横アウトリガボックス12の張出が完了したことを容易に知ることができる。
【0036】
その後、作業者は、ジャッキシリンダを伸張させてインナーポスト17を鉛直下向きに伸張させ、ジャッキ装置15の下端に固設された接地板18を接地させて車体2を持ち上げて支持することができる。
ここで、このアウトリガ装置10は、上述のアウトリガ張出検出装置20を備えており、このアウトリガ張出検出装置20は、その近接センサ30が、非接触式であり、さらに、この近接センサ30は、検出の対象である横アウトリガボックス12を直接検出せずに、検出部材として、検出ドッグ22の移動を非接触で検出することによって、いわば間接的に、横アウトリガボックス12の最大の突出位置を検出(含む非検出)するので、近接センサ30への衝撃力によって近接センサ30が破損するおそれがない。
【0037】
また、このアウトリガ張出検出装置20によれば、近接センサ30は、検出ドッグ22を介して間接的に横アウトリガボックス12の移動状態を監視可能なので、ベース部11と横アウトリガボックス12との間にガタがあっても、そのガタの影響を緩和ないしは影響を受けないように設置することが可能である。したがって、アウトリガの張出状態(横アウトリガボックス12の最大の突出位置を検出可能とするとともに、その検出状態の安定性を維持することができる。
【0038】
特に、このアウトリガ張出検出装置20によれば、検出ドッグ22は、横アウトリガボックス12の移動方向とは交差する軸を回動中心として回動可能に枢支されており、これにより、この検出ドッグ22の移動は、横アウトリガボックス12が突出および収容される方向に沿っての滑らかな回動として得られる。さらに、この検出ドッグ22は、横アウトリガボックス12が収容位置にあっては横リガ上面13aと当接することで第一の位置に回動し、突出位置にあっては貫通孔32に落ち込むことで横リガ上面13aとは当接せずに第二の位置に回動するようになっているので、検出ドッグ22を横アウトリガボックス12の移動に伴わせて円滑に移動させることができる。そして、近接センサ30は、検出ドッグ22の検出腕22aを、横アウトリガボックス12の移動方向とは交差する方向での検出可能な位置に、前記第一の位置を非検出とし且つ第二の位置を検出可能に、その検出面30aが設けられているので、近接センサ30を検出ドッグ22の支軸近傍に配置することができる。そのため、同装置の構成をコンパクトにすることができる。
【0039】
また、このアウトリガ張出検出装置20に設けられている検出ドッグ22は、横アウトリガボックス12が収容位置から突出位置に回動するときには、自重のみによって回動するように枢支されているので、例えば、ばねなどの付勢手段を有しない構成としつつ、検出ドッグ22を回動可能である。そのため、同装置の構成をより簡単かつコンパクトにすることができる。したがって、安価に同装置を構成可能であり、また、その故障するおそれをより低減させることができる。
また、このアウトリガ張出検出装置20によれば、上述のようにコンパクトで簡単な構成なので、対象となる作業車両でのアウトリガ装置に、そのベース部および横アウトリガボックスに簡単な追加改造(貫通孔32、34の加工、および取付け板42の装着)を施すだけで容易に後付可能である。
【0040】
また、このアウトリガ張出検出装置20によれば、検出ドッグ22の当接腕22bの長さLは、検出ドッグ22の回動中心の位置と車両幅方向での内側(横アウトリガボックスの収容方向の側)でのベース部11の貫通孔34の内周部とを結ぶ距離Laよりも長く設けている。これにより、貫通孔34の内周部が当接腕22bの回動を制限する第一の回動制限部となっており、例えば照明車1が走行時の振動で、検出ドッグ22の当接腕22bの先端が、ベース11の上面側にまで回動してしまうことがない。すなわち、検出ドッグ22が振動等によって跳ね返り、外れてしまうようなことがないので、付勢用のスプリングを設けることを不要とする構成とする上でより好適である。
【0041】
さらに、検出ドッグ22の当接腕22bの長さLは、横アウトリガボックス12が最大の突出位置にあっては、車両幅方向での内側(横アウトリガボックスの収容方向の側)での横アウトリガボックス12の貫通孔32の端部と検出ドッグ22の回動中心の位置とを結ぶ距離Lbよりも短く設けているので、横アウトリガボックス12の貫通孔32に確実に落ち込ませることができるとともに、収容方向への回動時に、貫通孔32の端部との干渉が生じないように回動させることができる。
【0042】
また、検出ドッグ22の回動中心の位置を、車両幅方向での外側(横アウトリガボックスの突出方向の側)に設定し、さらに、ベース部11の貫通孔34の内周面に当接する位置に設けており、ベース部11の貫通孔34の内周面は、検出ドッグ22が第二の位置にあるときに、その位置を維持するように回動を制限する第二の回動制限部になっているので、検出ドッグ22の当接腕22bを横リガ上面13aに対しほぼ垂直とする位置に維持し、より安定して、横アウトリガボックス12の張出状態を検出可能である。
【0043】
なお、本発明に係るアウトリガ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、検出ドッグ22は、その支軸まわりで回動することで近接センサ30の検出面を横切る構成例で説明したが、これに限定されず、例えば検出ドッグ22を横アウトリガボックス12の移動方向に沿って直線的に移動するように構成してもよい。しかし、アウトリガ張出検出装置20の構成を簡単なものとする上では、検出ドッグ22は、その支軸まわりで回動することで近接センサ30の検出面30aを横切る構成とすることは好ましい。
【0044】
また、検出ドッグ22を、その支軸まわりで回動するように支持する構成を採用する場合であっても、上記検出ドッグ22は、横アウトリガボックス12が突出および収容される方向とは直交する方向を向く軸まわりに回動可能に枢支された構成例で説明しているが、これに限定されず、突出および収容される方向に沿った範囲であれば、横アウトリガボックス12が突出および収容される方向とは交差する方向に設定可能である。しかし、横アウトリガボックス12との当接時の曲げモーメント荷重をできるだけ受けないようにする上では、上記実施形態のように、直交する方向を向く軸まわりに回動可能に枢支することが望ましい。
【0045】
また、上記実施形態では、近接センサ30は、検出ドッグ22を、横アウトリガボックスの移動方向とは交差する方向での検出可能な位置に、前記第一の位置を非検出とし、第二の位置を検出可能に設けられている例で説明したが、これに限定されず、例えば検出ドッグ22の回動する方向に沿った面の延長方向から検出するように設けてもよい。しかし、アウトリガ張出検出装置20の構成をコンパクトなものとする上では、近接センサ30を、横アウトリガボックスの移動方向とは交差する方向での検出可能な位置に設置することは好ましい。
【0046】
また、上記実施形態では、検出ドッグ22は、横アウトリガボックス12が収容位置から突出位置に回動するときには、自重のみによって回動するように枢支された構成例で説明したが、これに限定されず、例えば検出ドッグ22の支軸まわりに付勢用のスプリングを設ける構成としてもよい。しかし、検出ドッグ22の腕の長さを上述のように設定すれば、付勢用のスプリングを不要とすることができるので、アウトリガ張出検出装置20の構成をコンパクトなものとすることができる。なお、検出ドッグ22の腕の長さを上述の設定以外の設定とした場合であっても、検出ドッグ22が振動等によって跳ね返り、外れてしまうおそれがないような使用条件であれば、このような付勢用のスプリングを設けずに構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るアウトリガ装置を備えた作業車両の一実施形態を説明する図である。
【図2】図1でのアウトリガ装置の要部(符号Aの部分)を拡大して示す図である。
【図3】図2でのB方向から見た拡大図である。
【図4】図3でのアウトリガ張出検出装置の要部を拡大して示す図である。
【図5】本発明に係るアウトリガ張出検出装置を説明する図であり、同図では、横アウトリガボックスを収容位置にした状態を伸縮方向に沿った断面で示している。
【図6】本発明に係るアウトリガ張出検出装置を説明する図であり、同図では、横アウトリガボックスを突出位置にした状態を伸縮方向に沿った断面で示している。
【図7】操作パネルを説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 照明車(作業車両)
2 運転室
3 フレーム
4 旋回フレーム
5 コラム
6 伸縮ブーム
7 操作パネル
8 横アウトリガ操作レバー
9 照明装置
10 アウトリガ装置
11 ベース部
12 横アウトリガボックス
13 油圧シリンダ
15 ジャッキ装置
16 アウターポスト
17 インナーポスト
18 接地板
20 アウトリガ張出検出装置
22 検出ドッグ(検出部材)
24 ドッグ支軸(軸)
26 ドッグ支持ボルト
27 スラストワッシャ
28 ドッグ支持ナット
30 近接センサ
32 横リガ孔
34 貫通孔
38 貫通孔
42 取付け板
43 取付けボルト
44 外装カバー
46 固定板
48 固定ボルト
50 パイロットランプ(警告表示手段)
60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両のフレームに固定される筒状のベース部と、そのベース部に突出および収容自在に内嵌される横アウトリガボックスとを備えるアウトリガ装置に用いられるアウトリガ張出検出装置であって、
前記ベース部に装着されるようになっており、前記横アウトリガボックスの最大突出位置および収容位置のそれぞれの位置に対応した位置に移動可能な検出部材と、その検出部材の移動を非接触で検出する近接センサとを備え、
前記検出部材は、前記ベース部に装着される部分に形成される孔に対向する位置に回動可能に枢支されており、その回動中心から前記横アウトリガボックスに当接可能な位置まで延びる当接腕と、前記当接腕の回動とともに回動する検出腕とを一体に有して形成されており、前記横アウトリガボックスが前記収容位置にあっては当該横アウトリガボックスの上面に前記当接腕が当接することで第一の位置に位置し、前記突出位置にあっては横アウトリガボックスの孔に前記当接腕が自重により突入することで第二の位置に位置するようになっており、
前記近接センサは、前記検出腕が前記第一の位置あるいは前記第二の位置のいずれかにあるときを検出位置として設定されていることを特徴とするアウトリガ張出検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−283864(P2007−283864A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112174(P2006−112174)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(506002823)古河ユニック株式会社 (54)
【Fターム(参考)】