説明

アクセスポイント用装置

【課題】アクセスポイントを利用する利用者に不信感を極力与えないようにすること。
【解決手段】インターネット網8への接続サービス機関10aとの常時接続通信を行う常時接続通信手段25と、利用者が携行可能とされた端末装置1、16との間において、少なくともIPパケットデータを無線データ通信により送受する無線データ通信手段23、
該無線データ通信手段23にて受信したIPパケットデータを接続サービス機関10aに中継するとともに、該接続サービス機関10aから受信したIPパケットデータを無線データ通信手段23を介して端末装置1、16の中継する中継手段21と、無線データ通信手段23における端末装置1、16との通信状態に関する通信状態情報と、不特定多数の公衆に提供する提供情報を、不特定多数の公衆が目視可能に表示する大型情報表示手段5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN等の無線データ通信機能を有する携帯無線端末との間において、無線データ通信を実施することにより、該携帯無線端末のオープンコンピュータネットワークであるインターネット網への接続を可能とするアクセスポイント用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線データ通信技術、特には、データの多重化や多値符号化技術の向上とともに、スペクトラム拡散方式に代表されるように高周波技術の向上により、無線LAN等の高速のデータ通信機能を備えたノートパソコンや、通常の無線通話に使用する無線通信に加えて、他の機器との無線によるデータ通信機能を備えた携帯電話機が実用化されてきている。
【0003】
これらデータ通信機能を備えた携行可能な端末装置の増加に伴い、これらの端末装置とのデータ通信機能を有するアクセスポイントを街頭に多数設置することで、外出先や市中においても、オープンコンピュータネットワークであるインターネット網に、これらの端末装置を接続する公衆無線LANサービスが提供されてきている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−203329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、アクセスポイントにおけるデータ通信速度には上限があるので、多数の利用者端末が同時にアクセスする場合において、アクセスポイントが存在するにもかかわらず、アクセスできない利用者が発生する場合があり、特に、近年では、これら無線LANによるインターネットプロトコル通信に、音声データを含むパケットを送受して音声通話を可能とするVoIP(Voice over Internet Protocol)が利用される場合があり、このようなVoIP通信を実施する場合には、ある程度の伝送速度(伝送容量)が得られないと、良好な通話が不能となるので、これらの伝送速度(伝送容量)以上の空きがないと、アクセスポイントを使用したVoIP通信ができない場合があり、この場合には、利用者は、どうしてアクセスポイントを利用できないのかが解らず、サービスを利用する利用者に不信感を与えてしまう場合があるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、アクセスポイントを利用する利用者に不信感を与えてしまうことを極力回避することのできるアクセスポイント用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のアクセスポイント用装置は、
無線データ通信機能を有するとともに利用者が携行可能とされた端末装置(携帯電話機1、ノートパソコン16)をインターネット網(8)へ接続するために街頭に設置されるアクセスポイント用装置(電子看板a,b…)であって、
前記インターネット網への接続サービス機関(ISP10a)との常時接続通信を行う常時接続通信手段(通信モデム25)と、
前記端末装置との間において、少なくともインターネットプロトコル(IP)パケットデータを無線データ通信により送受する無線データ通信手段(無線LANモジュール23)と、
前記無線データ通信手段にて前記端末装置から受信したインターネットプロトコル(IP)パケットデータを前記常時接続通信手段により前記接続サービス機関に中継するとともに、該接続サービス機関から前記常時接続通信手段にて受信したインターネットプロトコル(IP)パケットデータを、前記無線データ通信手段を介して前記端末装置に中継する中継手段(制御部21;中継処理)と、
前記無線データ通信手段における前記端末装置との通信状態に関する通信状態情報を生成する通信状態情報生成手段(制御部21)と、
不特定多数の公衆に提供する提供情報を記憶する公衆提供情報記憶手段(フラッシュメモリ42)と、
前記公衆提供情報記憶手段に記憶されている提供情報並びに前記通信状態情報生成手段にて生成された通信状態情報を、不特定多数の公衆が目視可能に表示する大型情報表示手段(電子掲示板装置5)と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、大型情報表示手段、例えば、既存の電光掲示板等に無線データ通信手段が設けられて、該無線データ通信手段における端末装置との通信状態情報が表示されるようになるので、これらアクセスポイント用装置を利用者が、その時点の通信状態情報を把握できるようになるので、利用者に不信感を与えてしまうことを極力回避することができるとともに、これら通信状態情報とともに表示される提供情報を、利用者の視界に入れることで、提供情報への注目も喚起できる。
【0008】
本発明の請求項2に記載のアクセスポイント用装置は、請求項1に記載のアクセスポイント用装置であって、
前記インターネット網(8)に接続され、前記提供情報を管理する管理装置(管理コンピュータ15)から更新情報を受信したときに、該受信した更新情報に基づいて前記公衆提供情報記憶手段(フラッシュメモリ42)に記憶している提供情報を更新する提供情報更新手段(制御マイコン(MPU)41;更新処理)を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、アクセスポイント用装置に出向くことなく、管理装置において提供情報を更新でき、例えばニュース等の最新の提供情報を、ほぼリアルタイムに提供することができる。
【0009】
本発明の請求項3に記載のアクセスポイント用装置は、請求項1または2に記載のアクセスポイント用装置であって、
前記通信状態情報が前記無線データ通信手段(無線LANモジュール23)を介してのアクセスの可・不可の情報を含み、前記大型情報表示手段(電子掲示板装置5)は、前記通信状態情報に含まれるアクセスの可・不可の情報に基づいて、アクセス可・不可を識別可能に表示することを特徴としている。
この特徴によれば、利用者は、アクセスする前であっても、アクセスの可・不可を、簡便に識別することができる。
【0010】
本発明の請求項4に記載のアクセスポイント用装置は、請求項3に記載のアクセスポイント用装置であって、
前記大型情報表示手段は、前記提供情報と前記通信状態情報とを個別の表示領域(広告表示領域5a、通信状況情報表示領域5b)に表示するとともに、前記通信状態情報の表示領域の背景色(赤、青)により前記アクセス可・不可を識別可能に表示することを特徴としている。
この特徴によれば、通信状態情報の表示領域の背景色により前記アクセス可・不可を、視力の低い利用者であっても感覚的に認識できるようになり、利用者の利便性を向上できるばかりか、これらアクセス可・不可の識別に注視するあまり、提供情報へに注意力が低下することも極力防止することができる。
【0011】
本発明の請求項5に記載のアクセスポイント用装置は、請求項1〜4のいずれかに記載のアクセスポイント用装置であって、
前記常時接続通信手段(通信モデム25)は、前記アクセスポイント用装置に電力を供給する電力線を通じて、前記接続サービス機関(ISP10a)との常時接続通信(高速電力線通信(PLC))を行うことを特徴としている。
この特徴によれば、常時接続通信を行うための通信ケーブルを電源線とは別に敷設する必要がなく、これらアクセスポイント用装置を設置する際の手間を低減できる。
【0012】
本発明の請求項6に記載のアクセスポイント用装置は、請求項1〜5のいずれかに記載のアクセスポイント用装置であって、
前記提供情報が、広告情報であることを特徴としている。
この特徴によれば、提供情報を広告情報とすることで、これら広告への利用者の注目を喚起できるので、広告効果を向上できる。
【0013】
本発明の請求項7に記載のアクセスポイント用装置は、請求項1〜6のいずれかに記載のアクセスポイント用装置であって、
外部機器を接続するための外部インターフェイス部(外部インターフェイス(I/F)26)を備え、該外部インターフェイス部から入力される前記外部機器からのデータを、前記常時接続通信手段(通信モデム25)を介して前記インターネット網(8)上の所定アドレスに対して送信可能とされていることを特徴としている。
この特徴によれば、外部インターフェイス部に外部機器、例えば、気象測定器や監視カメラ等を設置することで、これら気象測定器から入力される気象データや、監視カメラから入力される映像データを、インターネット網上の所定アドレスに対して送信できるようになり、多彩なサービスにもアクセスポイント用装置を利用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明のアクセスポイント用装置が適用された本実施例のデータ通信システムの構成を示す図である。
【0016】
本実施例のデータ通信システムは、図1に示すように、無線データ通信機能を有する端末装置となる携帯電話機1やノートパソコン16と、インターネット網8への常時接続サービスを提供する接続サービス機関(インターネットサービスプロバイダ;ISP)10a,10b…に設置された各種のサーバコンピュータ11〜13と、携帯電話機1やノートパソコン16をISP10a,10b…を介してインターネット網8に接続する通常のアクセスポイント9a、9b…や、本発明のアクセスポイント用装置が適用されたアクセスポイントとなる電子看板a、b…とから主に構成されている。
【0017】
これら通常のアクセスポイント9a、9b…は、駅や地下街等の公衆が利用可能な施設等に設置されることで、該アクセスポイント9a、9b…と、該アクセスポイント9a、9b…が接続されているISP10a,10b…を通じて、携帯電話機1やノートパソコン16はインターネット網8上の各種のサーバにアクセスできるようになっているとともに、これらアクセスポイントを通じてデータ通信可能であって、VoIP機能を有する携帯電話機1やノートパソコン16間において、VoIP通話を実施できるようになっている。
【0018】
そして、各ISP10a,10b…には、図1に示すように、各アクセスポイント(電子看板a、b…を含む)との常時接続データ通信を行うための通信装置14に加えて、主として各ISP10a,10b…への接続を制御する接続制御サーバ13や、携帯電話機1からのVoIP発呼に関する制御処理を行う呼制御サーバ11や、公衆回線網6への接続管理を行うゲートウェイサーバ12が設けられており、これら各サーバコンピュータ11、12、13が各ISP10a,10b…内において比較的高速のデータ通信が可能に接続されている。
【0019】
この本実施例に用いた接続制御サーバ13には、各アクセスポイント(電子看板a、b…を含む)を通じてインターネット網8への接続を許可する携帯電話機1やノートパソコン16の情報、例えば、携帯電話機1やノートパソコン16に搭載されている無線データ通信機器に固有とされたMACアドレス等の情報が記憶され、利用登録されたMACアドレスの携帯電話機1やノートパソコン16のみの接続(アクセス)を許諾するように制御しているとともに、VoIP通話を許諾する携帯電話機1に固有に付与された端末識別情報である携帯端末IDが記憶されており、後述するように、各アクセスポイント(電子看板a、b…を含む)から、携帯電話機1から受信した発呼パケットデータに含まれる携帯端末IDを含む認証要求を受信した際に、該携帯端末IDが登録されているか否かを認証し、該認証結果をアクセスポイント(電子看板a、b…を含む)に返信することで、予め利用登録された携帯電話機1のみが、VoIP通話を利用できるように制御する。
【0020】
また、本実施例に用いたゲートウェイサーバ12は、VoIPパケットが送受されるIP通信網と、携帯電話機1が接続される携帯電話回線網や一般電話機7が接続される一般回線網から成る公衆回線網6とを相互接続するためのゲートウェイ機能を有しており、公衆回線網6から、携帯電話機1に付与されたVoIP電話番号による該携帯電話機1への通話を接続したり、携帯電話機1から公衆回線網6に接続されている一般電話機7や他の携帯電話機1への携帯電話回線網を介しての通話を接続する。
【0021】
次に、本実施例に用いた呼制御サーバ11について簡潔に説明すると、該呼制御サーバ11は、携帯電話機1等からの発呼に応じて、呼び出し制御を行うためのサーバであって、電子看板a、b…やアクセスポイント9a,9b…から発呼パケットを受信すると、該発呼パケットに含まれる通話相手先の電話番号(VoIP電話番号)に対応するグローバルIPアドレスを特定し、該特定したグローバルIPアドレスに呼出要求を中継することでVoIP通話を開始させるための処理を実施するとともに、通話終了に応じてVoIP通話を終了させるための処理を実施するものである。
【0022】
また、各ISP10a,10b…は、インターネット網8を介して相互にデータ通信可能に接続されているとともに、これらインターネット網8には、電子看板a、b…に表示する広告やニュース等のコンテンツを管理する管理会社に設置された管理コンピュータ15が接続されており、管理コンピュータ15は、インターネット網8並びにISP10aを介して、各電子看板a、b…にアクセス可能とされている。
【0023】
ここで、本実施例に用いた電子看板a、b…について説明すると、電子看板a、b…は、図2に示すように、例えば、ビルの屋上等に不特定多数の公衆が目視できるように設置されており、各種の広告映像を表示可能とされた大型のLEDディスプレイから成る電子掲示板装置5と、電子掲示板装置5に表示する映像に伴う音声を出力可能なスピーカ3とを有しているとともに、電子掲示板装置5の両側端上部位置には、携帯電話機1やノートパソコン16との間において電波を送受するためのアンテナ28が立設されている。
【0024】
本実施例の電子看板a、b…の構成は、図3に示すように、電子掲示板装置5並びにスピーカ3に接続されて、これら電子掲示板装置5の表示制御や、スピーカ3からの出力音の制御を行う看板制御装置4と、該看板制御装置4と接続されるとともに、ISP10aに常時接続された通信ユニット2とから主に構成されている。
【0025】
まず、本実施例に用いた通信ユニット2について説明すると、通信ユニット2は、アクセスポイントとしての機能を司る部分であり、ISP10aに設置されている通信装置14との間において、電子看板a、b…の電力を供給する電力線を通じた常時接続データ通信を実施する本発明における常時接続通信手段となる通信モデム25と、携帯電話機1やノートパソコン16に搭載されている無線LANモジュール(図示略)との間において無線データ通信を行う本発明における無線データ通信手段となる無線LANモジュール23と、看板制御装置4との間における有線データ通信を実施する通信部24と、外部機器を接続するための外部インターフェイス(I/F)26と、時刻情報やカレンダ情報並びにタイマ情報を出力可能なリアルタイムクロック(RTC)27と、制御部21が実施する各種処理内容が記述された制御プログラムをはじめとする各種のデータを記憶する記憶部22や、これらの各部に図3に示すように接続されることで前記制御プログラムに基づいて通信ユニット2の動作を制御する制御部21とで構成されている。
【0026】
本実施例に用いた通信モデム25は、OFDM変調方式による高速電力線通信(PLC)を実施可能なモデムとされており、電子看板a、b…を成す該通信ユニット2に電力を供給する電力線を通じて通信装置14との間において、比較的高速のデータ通信が可能とされており、これら電力線を通じた高速電力線通信(PLC)により、ISP10aと通信ユニット2とが常時接続されている。
【0027】
このように高速電力線通信(PLC)を使用することは、これら電子看板a、b…を設置する場合において、ISP10aと通信ユニット2とを常時接続するための通信ケーブル等を個別に配線する必要がなく、設置工事等を簡略化できるとともに、地震等の災害時等においてこれら電子看板a、b…により避難情報等を提供する場合に、電力線が切断されずに電力供給がなされているにもかかわらず、通信ケーブルに切断等の不具合を生じて情報提供できなくなる等の問題を回避できるようになることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら常時接続するための通信方式としては、光ケーブルを利用した光通信方式を利用したり、災害時の運用を考慮して衛生通信を利用した通信方式としても良い。
【0028】
また、本実施例では、これらISP10aと通信ユニット2とを高速電力線通信(PLC)によってのみ接続するようにしているが、非常時における通信を確保するために、これら高速電力線通信(PLC)に加えて、衛生通信をバックアップの常時接続通信手段として併用するようにしても良い。
【0029】
また、通信部24は、有線により看板制御装置4とデータ通信するための専用化されたインターフェイスであり、これら通信部24における通信方式としては、通常の有線LANに使用されている、例えば、IEEE802.3u規格の通信方式を好適に使用することができる。
【0030】
本実施例の外部インターフェイス(I/F)26は、通信ユニット2に外部機器を接続するための部位であり、例えば、これら接続する外部機器の動作電力を供給できるUSB(Universal Serial Bus)規格のインターフェイスを好適に利用することができる。
【0031】
また、本実施例において用いた無線LANモジュール23は、ISMバンドである2.4GHz帯におけるスペクトラム拡散通信方式にて携帯電話機1やノートパソコン16とデータ通信を行う部位であり、これら無線LANモジュール23としては、無線LAN規格であるIEEE802.11bや、IEEE802.11gに準拠したものを好適に使用することができ、これら無線LANモジュール23は、複数の携帯電話機1やノートパソコン16と同時並行的にデータ通信を実施できるようになっている。
【0032】
また、本実施例の通信ユニット2における制御部21は、該通信ユニット2に接続されている看板制御装置4や外部機器、並びに無線LANモジュール23を介してデータ通信可能に接続されている携帯電話機1やノートパソコン16を、通信モデム25並びにISP10aを介してインターネット網8に接続するための中継処理を実施する。
【0033】
つまり、看板制御装置4や外部機器から送信されるインターネットプロトコル(IP)パケットデータをISP10aに対して通信モデム25を通じて中継するとともに、該ISP10aから送信されてくるインターネットプロトコル(IP)パケットデータを、該IPパケットデータに含まれるIPアドレス先の看板制御装置4や外部機器に中継することで、これら看板制御装置4や外部機器がインターネット網8に接続された各種のコンピュータ(管理コンピュータ15を含む)とのデータの授受が可能とされている。
【0034】
また、制御部21は、前記無線LANモジュール23を介して携帯電話機1やノートパソコン16の無線LANモジュールとの間において、インターネットプロトコル(IP)パケットデータを送受する。具体的には、携帯電話機1やノートパソコン16から送信されるインターネットプロトコル(IP)パケットデータをISP10aに対して通信モデム25を通じて中継するとともに、該ISP10aから送信されてくるインターネットプロトコル(IP)パケットデータを、該IPパケットデータに含まれるIPアドレス先の携帯電話機1やノートパソコン16に中継することで、これら携帯電話機1やノートパソコン16がインターネット網8に接続された各種のコンピュータや、ISP10aや他のISP10b・・・に接続されたアクセスポイントに接続された他の携帯電話機1やノートパソコン16とのデータの授受が可能とされており、該制御部21における中継処理によって、本発明における中継手段が形成されている。
【0035】
尚、本実施例の制御部21は、無線LANモジュール23と無線データ通信を実施中の携帯電話機1やノートパソコン16、つまり、当該電子看板aにアクセス中の携帯電話機1やノートパソコン16のアクセス開始時間からの経過時間を、それぞれの端末の識別情報、具体的には、VoIPパケットが送受されている場合であれば、VoIP通話における050で始まる電話番号、通常のIPパケットが送受されている場合であれば、MACアドレスに対応づけて管理する接続監視処理を実施しており、利用形態がVoIPパケットが送受されているVoIP通話である場合には、最大利用時間が所定時間(例えば5分)を超過していないかを監視しており、これら所定時間を超過した場合には、アクセスを終了することで、1人の利用者が、長い時間に亘って継続してアクセスポイントである電子看板a,bを占有することを防止できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらVoIP通話に利用時間制限を設けることなく、通常の無線LANの利用形態と同様に、無制限に利用できるようにしても良いし、逆に、無線LANの利用形態に時間制限を設けるようにしても良い。
【0036】
次に、本発明のアクセスポイント用装置を成し、通信ユニット2に接続された看板制御装置4の構成について説明すると、本実施例の看板制御装置4には、前述した電子掲示板装置5が接続されて、該電子掲示板装置5を成すLEDディスプレイを制御マイコン(MPU)41からの表示要求に応じて駆動制御する表示制御ユニット44と、前述したスピーカ3が接続され、制御マイコン(MPU)41からの出力要求(出力音のデータを含む)に応じてスピーカ3から出力する音を生成、増幅して出力する音声出力制御ユニット45と、時刻情報やカレンダ情報を出力可能なリアルタイムクロック(RTC)46と、電子掲示板装置5に表示する広告映像等の提供情報データ並びにスピーカ3から出力する音声データとこれら広告を表示するスケジュールデータ並びに制御マイコン(MPU)41が行う制御内容が記述された制御プログラム等を記憶するフラッシュメモリ42と、通信ユニット2とのデータ通信を行う通信部43と、これら各部に接続されて看板制御装置4の動作を制御する制御マイコン(MPU)41とから構成されている。
【0037】
このように、本実施例のフラッシュメモリ42には、電子掲示板装置5に表示することで不特定多数の公衆に提供する広告映像等の提供情報データ並びにスピーカ3から出力する音声データが記憶されており、該フラッシュメモリ42によって本発明における公衆提供情報記憶手段が形成されている。尚、本実施例では、記憶装置としてフラッシュメモリ42を利用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら記憶装置としては、ハードディスク等の不揮発性にデータを記憶可能な装置であれば、好適に使用することができる。
【0038】
また、本実施例の表示制御ユニット44は、図示しないVRAMを有しており、これらVRAMに電子掲示板装置5に表示するフレーム映像データを展開することで、電子掲示板装置5に動画等を表示できるようになっている。
【0039】
また、本実施例の音声出力制御ユニット45には、デジタルデータから音声を再生する図示しない音声再生回路や、該再生された音声を増幅する増幅回路を含んでおり、高音質の音声を、比較的大音量にてスピーカ3から出力できるようになっている。
【0040】
ここで、本実施例の制御マイコン(MPU)41が実施する更新処理について、図4に基づいて説明すると、前述したように、看板制御装置4は管理コンピュータ15とデータ通信可能とされており、該管理コンピュータ15から更新情報の受信に応じて、フラッシュメモリ42に記憶されているスケジュールデータや広告データ等を更新する。
【0041】
具体的には、図4に示すように、例えば、電子看板aにて提供する広告を変更したい場合には、管理コンピュータ15において、更新対象となる電子看板aを選択するとともに、新たに提供したい広告の広告データ(映像データ、音声データ)を入力する。
【0042】
そして、該広告の提供(表示)を実施する広告スケジュールを入力した後、図示しない送信のメニューを選択入力することで、管理コンピュータ15からは、これら入力された広告データ(映像データ、音声データ)並びに広告スケジュールデータを含む更新情報が、電子看板aの看板制御装置4に割り当てられているIPアドレスに対して送信される。
【0043】
そして、この更新情報の受信に応じて制御マイコン(MPU)41は、まず、受信した更新データをフラッシュメモリ42に一時記憶するとともに、該受信した更新データに含まれる広告スケジュールデータに基づいて、フラッシュメモリ42に記憶されているスケジュールデータを更新する広告スケジュールデータ更新処理を実施した後、該更新後のスケジュールデータ並びにRTC46から出力される時刻情報とに基づいて、更新後のスケジュール、つまり、管理コンピュータ15にて入力されたスケジュールにおけるタイミングにて、管理コンピュータ15にて入力された新たな広告の提供が実施される。
【0044】
つまり、本実施例の制御マイコン(MPU)41が実施する更新処理において、インターネット網8に接続され、本発明の提供情報を管理する管理コンピュータ15(管理装置)から更新情報を受信したときに、該受信した更新情報に基づいてフラッシュメモリ42(公衆提供情報記憶手段)に記憶している提供情報を更新しており、該更新処理を実施する制御マイコン(MPU)41によって本発明における提供情報更新手段が形成されている。
【0045】
尚、本実施例の更新情報には、臨時ニュースや災害時情報等の緊急に提供する必要がある場合のスケジュールとして緊急スケジュールが含まれる場合があり、これら緊急スケジュールを含む更新情報を受信した場合に制御マイコン(MPU)41は、該更新情報に含まれる表示(映像)データ並びに音声データの提供を、その時点のスケジュールに優先して実施する。
【0046】
ここで、本実施例の電子掲示板装置5に、通信ユニット2における、携帯電話機1やノートパソコン16との通信状態情報が表示される流れについて、図5〜図7に基づいて説明する。
【0047】
尚、本実施例の通信ユニット2は、通信における各種の設定を、設定を行う設定用端末においてリモートにて実施するための通信設定画面(HTMLページ)を配信して、設定を受付けるサーバ機能を備えており、看板制御装置4からの通信状況情報送信要求(リクエスト)の受信に応じて、該通信状況情報を含む通信状況情報ページ(HTMLページ)を返信する。
【0048】
まず、本実施例の看板制御装置4は、所定時間毎、例えば、1秒毎に、通信状況情報送信要求(リクエスト)を通信ユニット2に送信する。
【0049】
この通信状況情報送信要求(リクエスト)の受信に応じて制御部21は、無線LANモジュール23と無線データ通信を実施している端末装置、つまり、携帯電話機1やノートパソコン16の接続数、並びに各接続している携帯電話機1やノートパソコン16の接続時間、さらには、これら携帯電話機1やノートパソコン16との通信が通信上限に占める比率である通信負荷(トラヒック)情報、並びに通信負荷(トラヒック)が、上限値に近い所定値以上であって、それ以上、VoIP通話によるアクセスが不可とされているアクセス混雑時において、最大利用時間の残時間がもっとも少ない利用者の時間情報である空き待機時間情報とを特定する。
【0050】
そして、これら特定した通信負荷(トラヒック)情報、接続時間情報、空き待機時間情報等に基づいて、その時点における通信状況情報ページ(HTMLページ)、具体的には、通信負荷(トラヒック)が所定値未満であるアクセス非混雑時である場合には、図6に示すように、アクセスが可能であることを示す背景色が青であって、通信負荷(トラヒック)の状況を示す棒状グラフと、アクセス制限がないことを示すメッセージとを含む通信状況情報ページ(HTMLページ)を生成して返信し、通信負荷(トラヒック)が所定値未満であるアクセス非混雑時である場合には、図7に示すように、アクセスが不可であることを示す背景色が赤であって、通信負荷(トラヒック)の状況を示す棒状グラフと、利用制限の対象であるVoIP通話を利用している各携帯電話機1のVoIP電話番号の下4桁の番号に対応づけて、当該携帯電話機1が利用制限されるまでの残り時間を示す棒状グラフと、前記特定した空き待機時間情報に基づく秒数とを含む通信状況情報ページ(HTMLページ)を生成して返信する。
【0051】
そして、制御マイコン(MPU)41は、これら返信されてきた通信状況情報ページ(HTMLページ)を、図6並びに図7に示すように、広告表示領域5a(広告以外の提供情報も表示される)と区別された、電子掲示板装置5に向かって右部に形成された通信状況情報表示領域5bに、該返信されてきた通信状況情報ページ(HTMLページ)を逐次更新表示することで、1秒毎に更新されたその時点の通信状況情報が、通信状況情報表示領域5bに表示されことで、該電子看板aを利用(アクセス)している利用者や、これから利用しようとしている利用者が、当該電子看板aの通信状態を確認でき、アクセス可・不可を、アクセスの前後にかかわらず識別できるようになるので、これら利用者における不信感の発生を回避できるとともに、これら通信状況情報表示領域5bに表示される通信状況情報を、利用者は目視により確認しようとするので、その視線内に広告表示領域5aの広告等の映像が入るようにできるので、これら広告への注目を喚起でき、よって、広告効果を向上させることができる。
【0052】
尚、本実施例では通信状況情報表示領域5bを、電子掲示板装置5に向かって右部に形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら通信状況情報表示領域5bの配置形態は、適宜に選択すれば良く、表示される広告に応じて、逐次変更するようにしても良い。
【0053】
また、これら通信状況情報表示領域5bに表示される通信状況情報の内容も、図6や図7に示す通信不可や色によるアクセス可・不可の情報や、各携帯電話機1のアクセス残時間の棒状グラフ等に限定されるものではなく、これら通信状況情報の内容等は、適宜に選択すれば良い。
【0054】
以上、本実施例によれば、アクセスポイント用装置となる電子看板a,b…にいちいち出向くことなく、管理装置である管理コンピュータ15において提供情報を更新でき、例えばニュース等の最新の提供情報を、ほぼリアルタイムに提供することができる。
【0055】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0056】
例えば、前記実施例では、本発明における大型情報表示手段となる電子掲示板装置5をLEDディスプレイにて形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら大型情報表示手段としては、ビルの壁面や屋上、または、駅や公衆施設等において、通行人等が目視にて表示を認識できるものであれば良く、大型のプラズマ表示装置であったり、大型の液晶表示装置であったり、投影型の液晶表示装置であっても良いし、自発光しない反射型の表示装置であっても良い。
【0057】
また、前記実施例においては、音声出力を実施するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音声出力を実施しない構成としても良い。
【0058】
また、前記実施例においては、アクセスの可・不可を通信状況情報表示領域5bの背景色にて報知するようにしており、このようにすることで、広告表示領域5aへの利用者の注目を喚起できるとともに、感覚的にアクセスの可・不可を利用者が判別できるようになることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの報知をその他の手段、例えば、アクセス可能時には、特定の音声、例えば、小鳥のさえずり音等を出力することで報知しても良い。
【0059】
また、前記実施例では、広告表示領域5aに広告映像を表示する例を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これら電子看板a,b…が設置されているビルが所属する地域や商店街が管理するパソコン等から、本実施例の管理コンピュータ15に電子看板a,b…の表示する告知情報等を送信するようにして、これら管理コンピュータ15に送信した告知情報等を電子看板a,b…の表示するようにしても良い。
【0060】
また、前記実施例では、外部インターフェイス(I/F)26を有する構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら外部インターフェイス(I/F)26を有しない構成としても良い。
【0061】
また、前記実施例では、看板制御装置4と通信ユニット2とを個別に設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら看板制御装置4と通信ユニット2とを合体した単一の装置にて本発明のアクセスポイント用装置を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のアクセスポイント用装置が適用されたデータ通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に用いたアクセスポイント用装置が設置されたビルを示す外観図である。
【図3】本発明の実施例におけるアクセスポイント用装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施例に用いた管理コンピュータ15と看板制御装置4との間における、更新時のデータ授受の状況を示す図である。
【図5】本実施例に用いた通信ユニット2と看板制御装置4との間におけるデータ授受状況を示す図である。
【図6】本実施例に用いた電子掲示板装置5における表示状態(アクセス非混雑時)を示す図である。
【図7】本実施例に用いた電子掲示板装置5における表示状態(アクセス混雑時)を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 携帯電話機
2 通信ユニット
3 スピーカ
4 看板制御装置
5 電子掲示板装置
5a 広告表示領域
5b 通信状況情報表示領域
8 インターネット網
10a インターネットプロバイダ
10b インターネットプロバイダ
11 呼制御サーバ
12 ゲートウェイサーバ
13 接続制御サーバ
14 通信装置
15 管理コンピュータ
16 ノートパソコン
21 制御部
22 記憶部
23 無線LANモジュール
24 通信部
25 通信モデム
28 アンテナ
41 制御マイコン(MPU)
42 フラッシュメモリ
43 通信部
44 表示制御ユニット
45 音声出力制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線データ通信機能を有するとともに利用者が携行可能とされた端末装置をインターネット網へ接続するために街頭に設置されるアクセスポイント用装置であって、
前記インターネット網への接続サービス機関との常時接続通信を行う常時接続通信手段と、
前記端末装置との間において、少なくともインターネットプロトコル(IP)パケットデータを無線データ通信により送受する無線データ通信手段と、
前記無線データ通信手段にて前記端末装置から受信したインターネットプロトコル(IP)パケットデータを前記常時接続通信手段により前記接続サービス機関に中継するとともに、該接続サービス機関から前記常時接続通信手段にて受信したインターネットプロトコル(IP)パケットデータを、前記無線データ通信手段を介して前記端末装置に中継する中継手段と、
前記無線データ通信手段における前記端末装置との通信状態に関する通信状態情報を生成する通信状態情報生成手段と、
不特定多数の公衆に提供する提供情報を記憶する公衆提供情報記憶手段と、
前記公衆提供情報記憶手段に記憶されている提供情報並びに前記通信状態情報生成手段にて生成された通信状態情報を、不特定多数の公衆が目視可能に表示する大型情報表示手段と、
を備えることを特徴とするアクセスポイント用装置。
【請求項2】
前記インターネット網に接続され、前記提供情報を管理する管理装置から更新情報を受信したときに、該受信した更新情報に基づいて前記公衆提供情報記憶手段に記憶している提供情報を更新する提供情報更新手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のアクセスポイント用装置。
【請求項3】
前記通信状態情報が前記無線データ通信手段を介してのアクセスの可・不可の情報を含み、前記大型情報表示手段は、前記通信状態情報に含まれるアクセスの可・不可の情報に基づいて、アクセス可・不可を識別可能に表示することを特徴とする請求項1または2に記載のアクセスポイント用装置。
【請求項4】
前記大型情報表示手段は、前記提供情報と前記通信状態情報とを個別の表示領域に表示するとともに、前記通信状態情報の表示領域の背景色により前記アクセス可・不可を識別可能に表示することを特徴とする請求項3に記載のアクセスポイント用装置。
【請求項5】
前記常時接続通信手段は、前記アクセスポイント用装置に電力を供給する電力線を通じて、前記接続サービス機関との常時接続通信を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクセスポイント用装置。
【請求項6】
前記提供情報が、広告情報であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアクセスポイント用装置。
【請求項7】
外部機器を接続するための外部インターフェイス部を備え、該外部インターフェイス部から入力される前記外部機器からのデータを、前記常時接続通信手段を介して前記インターネット網上の所定アドレスに対して送信可能とされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアクセスポイント用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−193378(P2008−193378A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25189(P2007−25189)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(500327636)株式会社ブレインズ (11)
【Fターム(参考)】