アクチュエータおよび撮像装置
【課題】省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利なアクチュエータおよび撮像装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータ26は、固定側ヨーク28と、コイル30と、可動マグネット32と、ベース34などを含んで構成されている。可動マグネット32は、該可動マグネット32の揺動中心軸32Aから互いに反対方向に突出する一対の突出体36を含んで構成されている。一対の突出体36のうちの一方の突出体36Aの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの一方の磁極(N極)に着磁された第1の磁極面52Aとして形成され、一対の突出体36のうちの他方の突出体36Bの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの他方の磁極(S極)に着磁された第2の磁極面52Bとして形成されている。
【解決手段】アクチュエータ26は、固定側ヨーク28と、コイル30と、可動マグネット32と、ベース34などを含んで構成されている。可動マグネット32は、該可動マグネット32の揺動中心軸32Aから互いに反対方向に突出する一対の突出体36を含んで構成されている。一対の突出体36のうちの一方の突出体36Aの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの一方の磁極(N極)に着磁された第1の磁極面52Aとして形成され、一対の突出体36のうちの他方の突出体36Bの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの他方の磁極(S極)に着磁された第2の磁極面52Bとして形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクチュエータおよびアクチュエータを有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁力を用いて光学部材を光路中に出し入れするアクチュエータを有する撮像装置は既に提案されている。
この種のアクチュエータでは、ヨークと、ヨークに巻回されたコイルと、コイルへの通電によってヨークから出力される磁界の向きに対応した方向に揺動される可動マグネットと、ヨークとコイルを移動不能に支持するとともに、可動マグネットを揺動可能に支持するベースとを備え、シャッター羽根や固定絞りなどの光学部材は可動マグネットの揺動によって前記光路中に出し入れされるように構成されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−075145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年、撮像装置は省電力化やコンパクト化が求められており、また、光学部材、特にシャッターの高速化が求められている。
しかしながら、従来の磁力を用いたアクチュエータでは、可動マグネットが円盤状を呈していることから、可動マグネットを高速で揺動させるにも限界があり、したがって、高速で動かすには大電力を要し、あるいは、コイルを大型化せざるを得ず、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、その目的は、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利なアクチュエータおよび撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明は、揺動可能に支持された可動マグネットと、前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されていることを特徴とする。
また本発明は、鏡筒に設けられた撮像素子と、前記鏡筒の内部で被写体像を前記撮像素子に導く撮影光学系と、前記撮影光学系の光路中に光学部材を出し入れするアクチュエータとを備えた撮像装置であって、前記アクチュエータは、揺動可能に支持された可動マグネットと、前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のアクチュエータによれば、コイルへの通電電力を増大させることなく、あるいは、コイルの巻数を増大させることなく、可動マグネットを揺動させる力(トルク)を確保することができ、アクチュエータの省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となる。
また本発明の撮像装置によれば、そのようなアクチュエータを用いて撮影光学系の光路中に光学部材を出し入れするので、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
次に、本発明に係る光学装置のアクチュエータおよび撮像装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は撮像装置10を前方から見た斜視図、図2は撮像装置10を後方から見た斜視図、図3は撮像装置10の構成を示すブロック図である。
図1、図2に示すように、本実施の形態の撮像装置10はデジタルスチルカメラであり、外装を構成するケース12を有している。なお、本明細書において左右は、撮像装置10を前方から見た状態でいうものとし、また、光学系の光軸方向で被写体側を前方といい、撮像素子側を後方という。
ケース12の前面右側部寄りの箇所には撮影光学系14を収容保持する沈胴式の鏡筒16が設けられ、ケース12の前面上部寄りの箇所には閃光を発光するフラッシュ部100などが設けられている。
鏡筒16はケース12の内部に組み込まれた駆動部126(図3参照)によってケース12の前面から前方に突出した使用位置(広角状態、望遠状態、および広角乃至望遠の中間状態)とケース12の前面に収容された収容位置(沈胴状態)との間を出没するように構成されている。
ケース12の上端面には、撮像を行うためのシャッタボタン102、撮影光学系14のズームを調整するためのズーム操作スイッチ104、再生モードの切り換えなどを行なうためのモード切り換えスイッチ106、電源のオンオフを行うための電源スイッチ108が設けられ、ケース12の後面には、撮像した映像を表示するディスプレイ110、撮影、記録、映像表示などの種々の動作にまつわる操作を行うための複数の操作スイッチ112、ディスプレイ110上に表示されるメニューを選択するなどの操作を行うための制御スイッチ114などが設けられている。
【0007】
図3に示すように、鏡筒16の後部には、撮影光学系14によって結像された被写体像を撮像するCCDやCMOSセンサなどで構成された撮像素子118が配設され、撮像装置10は、撮像素子118から出力された撮像信号に基づいて画像データを生成し、メモリカードなどの記憶媒体120に記録する画像処理部122、前記画像データをディスプレイ110に表示させる表示処理部124、前記駆動部126、制御部128などを備えている。制御部128は、シャッタボタン102、ズーム操作スイッチ104、モード切替スイッチ106、電源スイッチ108、操作スイッチ112、制御スイッチ114の操作に応じて画像処理部122、表示処理部124、駆動部126を制御するものであり、制御プログラムによって動作を行うCPUを有している。
【0008】
次に、鏡筒16の概略構成について説明する。
図4は沈胴状態にある鏡筒16の断面図、図5は望遠状態にある鏡筒16の断面図である。
図4、図5に示すように、鏡筒16に収容された撮影光学系14は光学的には3群構成であり、3群は、前方から後方に向かってこの順番で配設された1群レンズ20、2群レンズ22、3群レンズ24によって構成されている。
鏡筒16は、1群レンズ20と2群レンズ22が不図示のカム機構により前記光軸方向に駆動されることによってズーミングを行い、3群レンズ24が不図示の3群レンズ用駆動機構により前記光軸方向に微小に変位されることによってフォーカッシングを行う。すなわち、1群レンズ20と2群レンズ22の変位によって焦点距離を可変し、この焦点距離の変化によって生じた合焦位置のずれを3群レンズ24の変位によって修正し適切に合焦させるように構成されている。
【0009】
本実施の形態では、2群レンズ22を保持するレンズ枠22Aに本発明に係るアクチュエータ26が取着されている。
アクチュエータ26は、単数の場合も複数の場合もあり、アクチュエータ26は光学部材を撮影光学系14の光路14A中に出し入れするように構成されている。
このような光学部材として、固定絞りやNDフィルター、シャッター羽根などが挙げられ、用いられる光学部材の数に対応してアクチュエータ26が設けられ、本実施の形態では、アクチュエータ26によりシャッター羽根を開閉する場合について説明する。
図6はアクチュエータ26の概略平面図を示す。
アクチュエータ26は、固定側ヨーク28と、コイル30と、可動マグネット32と、ベース34(図9参照)などを含んで構成されている。
【0010】
固定側ヨーク28は、光路14Aの周囲に沿って延在する内側部分38と、内側部分38よりも光路14Aと離れた側に位置し内側部分38と対向して延在する外側部分40と、それら内側部分38と外側部分40との延在方向の端部を接続する接続部分42とを有し、ベース34に取着されている。
固定側ヨーク28は、可動マグネット32を挟んで対向する第1磁極部28Aおよび第2磁極部28Bを有し、第1磁極部28Aおよび第2磁極部28Bはコイル30に通電することにより互いに異なる極性の磁極(N極、S極)が発生する箇所であり、それら磁極間に磁力線が形成される。
本実施の形態では、内側部分38に第1磁極部28Aが形成され、外側部分40に第2磁極部28Bが形成される。
なお、固定側ヨーク28は磁性を有する材料で形成され、このような材料として従来公知の様々な磁性を有する材料が使用可能である。
【0011】
図6に示すように、コイル30は、内側部分38または外側部分40の一方に巻回されている。
本実施の形態では、コイル30は接続部分42寄りの内側部分38の箇所に巻回されている。
コイル30は、ボビンに巻き線が巻回されることで形成されるのであってもよいし、ボビンを有さず融着線が巻回されることで形成されるものであってもよい。ただし、コイル30が融着線で形成されている場合には、ボビンを有するコイル30に比較して外形寸法を増大させることなくより巻数を増やすことができ固定側ヨーク28に発生させる磁界強度を高める上で有利となる。
【0012】
図6に示すように、可動マグネット32は、接続部分42と反対に位置する内側部分38の端部と外側部分40の端部との間に配置されている。
図7は可動マグネット32の斜視図である。
図7に示すように、可動マグネット32は、該可動マグネット32の揺動中心軸32Aから互いに反対方向に突出する一対の突出体36と、揺動中心軸32Aを含む箇所に位置し一対の突出体36を支持する支持部材44を含んで構成されている。
【0013】
図8は支持部材44の斜視図である。
図8に示すように、支持部材44は、ベース34から突設された支軸3410(図9参照)が挿通される軸受孔4402が貫通形成された基部4404と、基部4404から突出するアーム部4406と、アーム部4406の先端に設けられた軸4408とを含んでいる。
【0014】
図7に示すように、一対の突出体36はそれぞれ基部4404の両側面に接着などにより固定され、一対の突出体36は、第1磁極部28Aに臨む第1面3602と、第2磁極部28Bに臨む第2面3604とを有している。
一対の突出体36を構成する各突出体36A、36Bは、揺動中心軸32Aに沿った方向の寸法を有する縦と、揺動中心軸32Aと直交する方向で揺動中心軸32Aから離れる方向に沿った寸法を有する横と、縦および横と直交する方向の寸法を有する厚さを備える互いに同一形状の板状を呈し、各突出体36A、36Bの厚さ方向の両面のうちの一方の面が第1面3602を構成し、他方の面が第2面3604を構成している。
一対の突出体36はそれぞれ、第1面3602を構成する薄板状の磁石46と、第2面3604を構成する薄板状の磁石48と、それら磁石46、48の間に介在した薄板状の可動側ヨーク50とが例えば接着剤で接着されることで一体に構成されている。可動側ヨーク50は従来公知の磁性を有する材料で形成されている。
一対の突出体36のうちの一方の突出体36Aの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの一方の磁極(N極)に着磁された第1の磁極面52Aとして形成されている。したがって、この突出体36Aが可動側ヨーク50に臨む面は(S極)に着磁されている。
一対の突出体36のうちの他方の突出体36Bの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの他方の磁極(S極)に着磁された第2の磁極面52Bとして形成されている。したがって、この突出体36Bが可動側ヨーク50に臨む面は(N極)に着磁されている。
また、本実施の形態では、図7に示すように、一対の突出体36の第1面3602と第2面3604は、互いに平行する平坦面で形成されている。
一対の突出体36の各第1面3602は、同一面上を延在し、また、一対の突出体36の各第2面3604は、同一面上を延在している。
【0015】
図6に示すように、アクチュエータ26は、第1の磁極部28Aと第2の磁極部28Bを結ぶ磁力線2が第1の磁極面52Aおよび第2の磁極面52Bと交差するように構成されている。
【0016】
突出体36をより詳細に説明する。
図7に示すように、第1面3602を構成する薄板状の磁石46と第2面3604を構成する薄板状の磁石48とが可動側ヨーク50を挟んで互いに対面する箇所は、同じ極性の磁極同士が対向するため、それらの距離が近接し過ぎると、双方の磁界の作用により反発力が作用して互いの磁界が弱められる現象が発生する。
このような現象を回避するため、前記反発力をほぼ無視することができ互いの磁界を弱めあうことがない程度に、磁石46と磁石48との間の距離を確保することが好ましい。
本実施の形態では、このような距離を確保できるような外形寸法で可動側ヨーク50が形成されている。
【0017】
図9乃至図11はシャッター羽根54の動作説明図である。
可動マグネット32は、支持部材44の軸受孔4402にベース34の支軸3410が挿通されることで支軸3410を中心に揺動可能に支持されている。
シャッター羽根54は、2つの羽根体5402、5404を有している。
各羽根体5402、5404のうちの一方の羽根体5402の基部は、可動マグネット32にあるいは支軸3410に揺動可能に支持され、他方の羽根体5404の基部は、ベース34の支軸3412に揺動可能に支持されている。
そして、可動マグネット32の軸4408が一方の羽根体5402のカム溝5402Aと他方の羽根体5404のカム溝5404Aとに係合しており、可動マグネット32の揺動により2つの羽根体5402、5404が互いに光路14Aを閉塞する方向と、光路14Aを開放する方向とに揺動され、各羽根体5402、5404により光路14Aの開閉が行われる。
なお、このように2枚の羽根体5402、5404を可動マグネット32により開閉させる構成として従来公知の様々な構造を採用することができる。
例えば、2枚の羽根体5402、5404のうち一方の羽根体5402の基部を可動マグネット32に取着しておき、他方の羽根体5404の基部をベース34の支軸3412に揺動可能に支持させておき、双方の羽根体5402、5404を、ピンとカム溝を介して連結し、可動マグネット32の揺動により2つの羽根体5402、5404を互いに光路14Aを閉塞する方向と、光路14Aを開放する方向とに揺動させるようにしてもよい。
【0018】
次に動きについて説明する。
アクチュエータ26のコイル30への駆動信号の供給により、可動マグネット32が揺動し、図9乃至図11に示すように、2つの羽根体5402、5404が互いに光路14Aを閉塞する方向と、光路14Aを開放する方向とに揺動され、各羽根体5402、5404により光路14Aの開閉が行われる。
より詳細には、コイル30への通電方向を変えることにより、固定側ヨーク28から出力される磁界の向き(磁力線の向き)を反転させ、これにより第1、第2の磁極部28A、28Bに生じる磁極(N極とS極)の位置を反転させ、それら磁極と、可動マグネット32の第1の磁極面52A、第2の磁極面52Bとの間に生じる磁気的吸引力および磁気的反発力によって、可動マグネット32が所望の角度範囲内で揺動される。
なお、ベース34には不図示のストッパが設けられ、このストッパが可動マグネット32あるいは支持部材44の箇所に当接することで、可動マグネット32が揺動される角度範囲が決定される。また、コイル30への通電が停止した状態においては、固定側ヨーク28の第1、第2の磁極部28A、28Bには磁界が発生していないが、可動マグネット32の第1、第2の磁極面52A、52Bが第1、第2の磁極部28A、28Bに対して磁気的吸引力を発生することで前記ストッパに当接した状態が保持され、可動マグネット32の角度位置が保持されるようになっている。
【0019】
次に作用効果について説明する。
図12は可動マグネット32の揺動動作の説明図である。
図12に示すように、可動マグネット32の第1の磁極面52AにN極が着磁され、第2の磁極面52BにS極が着磁されている状態で、巻線への通電により固定側ヨーク28の第1磁極部28AがS極に励磁され、第2磁極部28BがN極に励磁されると、第2磁極部28Bからに第1磁極部28Aに向かって磁力線2が形成される。
磁力線2が第1の磁極面52Aおよび第2の磁極面52Bと交差することにより、一対の突出体36A、36Bのそれぞれに磁力線2に沿った方向に吸引力(反発力)F1が発生する。言い換えると、第1面3602を構成する薄板状の磁石46と、第2面3604を構成する薄板状の磁石48とのそれぞれに磁力線2に沿った方向に吸引力(反発力)F1が発生する。
吸引力(反発力)F1の大きさは、第1、第2の磁極面52A、52Bに交差する磁力線2の数に比例する。
本実施の形態では、固定側ヨーク28の第1、第2磁極部28A、28Bに臨む可動マグネット32の第1、第2面3602、3604に第1、第2の磁極面52A、52Bが形成されていることから、磁力線2が交差する第1、第2の磁極面52A、52Bの面積を確保する上で有利となり、吸引力(反発力)F1を増大させる上で有利となる。
また、本実施の形態では、第1、第2面3602、3604が互いに平行する平坦面で形成されているため、磁力線2が交差する第1、第2の磁極面52A、52Bの面積を確保する上でより有利となり吸引力(反発力)F1を増大させる上で一層有利となる。
また、この吸引力(反発力)F1により、第1、第2の磁極面52A、52Bの法線に沿った方向に作用する分力F2、すなわち、可動マグネット32を揺動中心軸32Aを中心として回転させる方向に作用する分力F2が発生する。
分力F2は第1、第2の磁極面52A、52Bの法線と磁力線2とがなす角度をθとしたとき、F2=F1cosθとなる。
したがって、可動マグネット32が揺動する角度範囲が、例えば、θ=0度を中心に±15度の範囲であれば、0.96≦cosθ≦1であることから、0.96F1≦F2≦F1となり、吸引力(反発力)F1の大半を効率よく可動マグネット32を揺動させる力として利用することができるため、コイル30への通電電力を無駄にすることなく可動マグネット32を揺動させることができる。
したがって、本実施の形態のアクチュエータ26によれば、コイル30への通電電力を増大させることなく、あるいは、コイル30の巻数を増大させることなく、可動マグネット32を揺動させる力(トルク)を確保することができ、アクチュエータ26の省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となる。
特に、本実施の形態のように、アクチュエータ26を、撮像装置のシャッター54を開閉させるために使用した場合には、シャッター54の高速化を図る上で有利となる。
【0020】
次に比較例について説明する。
図16は従来のアクチュエータの説明図、図17は従来のアクチュエータの動作説明図である。
図16に示すように、従来のアクチュエータ70は、揺動中心軸72Aを中心に揺動可能に支持された円盤状の可動マグネット72と、可動マグネット72を挟んで対向する第1磁極部74Aおよび第2磁極部74Bを有する固定側ヨーク74と、固定側ヨーク74に巻回されたコイル76とを備えている。
可動マグネット72は、揺動中心軸72Aを通る平面を挟んで一側がN極、他側がS極に着磁されており、したがって、可動マグネット72の2つの磁極面78A、78Bは揺動中心軸72Aを中心とする凸状の円筒面をなしている。
そして、コイル76への通電によって第1、第2磁極部74A、74Bの間に生じる磁界と、可動マグネット72の磁極面78A、78Bから生じる磁界との相互作用によって可動マグネット72を揺動させることで可動マグネット72に連結された部材を揺動させるように構成されている。
この場合、図17に示すように、2つの磁極面78A、78Bが円筒面であることから、磁力線2が交差する2つの磁極面78A、78Bの面積を確保する上で不利があり、吸引力(反発力)F1を確保する上で不利がある。
さらに、吸引力(反発力)F1は、2つの磁極面78A、78Bに対して磁力線2に沿った方向で作用するが、可動マグネット72を揺動中心軸72Aを中心として回転させる分力F2は、円筒面の接線4に沿った方向で作用することになる。
したがって、接線4と磁力線2とがなす角度をφとすると、分力F2=F1cosφとなり、角度φが例えば45度から15度の角度範囲であれば、0.70≦cosφ≦0.96であることから、0.70F1≦F2≦0.96F1となり、吸引力(反発力)F1を、可動マグネット72を揺動させるために効率的に利用する上で不利がある。
このようなアクチュエータ70に比較して、本実施の形態のアクチュエータ26は、磁力線2が交差する第1、第2の磁極面52A、52Bの面積を確保する上で有利であり、しかも、吸引力(反発力)F1のほぼ100%を可動マグネット32を揺動させる力(分力F2)として利用することができるため、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となっている。
【0021】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
図13は第2の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態と同一または同様の箇所、部材には同一の符号を付して説明する。
第2の実施の形態では、支持部材44を用いていない点が第1の実施の形態と異なっている。
アクチュエータ26は固定側ヨーク28を支持するベース34(図9参照)を有している。
一対の突出体36はそれぞれ、第1面3602を構成する磁石46と、第2面3604を構成する磁石48と、それら磁石46、48の間に介在した可動側ヨーク50とで構成されている。
一対の突出体36の中央に、各突出体36A、36Bの第1面3602を構成する磁石46どうしが接続されるとともに、第2面3604を構成する磁石48どうしが接続され、かつ、第1面3602を構成する磁石46と第2面3604を構成する磁石48とが接続された接続部49Aが形成されている。
接続部49Aに揺動中心軸32Aが位置している。本実施の形態では、揺動中心軸32A上に、ベース34から突設された支軸が回転可能に挿入される軸受孔3202が形成されている。なお、軸受孔3202に代え、ベース34で回転可能に支持される支軸を接続部49Aに設けるようにしてもよい。
第1面3602、第2面3604をそれぞれ構成する磁石46、48の箇所で、揺動中心軸32A寄りを除いた箇所、言い換えると、可動側ヨーク50が存在している磁石46、48の箇所は、第1の実施の形態と同様にN極、S極が着磁され、第1、第2の磁極面52A、52Bとして形成されている。なお、図13乃至図15において描かれた点線は、磁石46、48が着磁された領域の端部、すなわち、第1、第2の磁極面52A、52Bの端部を示している。
すなわち、第2の実施の形態では、支持部材44を用いておらず、一対の突出体36が一体形成されている。
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることはもちろんである。
【0022】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
図14は第3の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
第3の実施の形態では、突出体36の構成が第1の実施の形態と異なっている。
アクチュエータ26は固定側ヨーク28を支持するベース34(図9参照)を有している。
可動マグネット32は、ベース34で揺動可能に支持された支持部材44を有している。
一対の突出体36は支持部材44で支持されている。
一対の突出体36はそれぞれ、第1面3602を構成する磁石46と、第2面3604を構成する磁石48と、それら磁石46、48の間に介在し可動側ヨーク50とで構成され、支持部材44で支持された一対の突出体36の各基部に、各突出体36A、36Bの第1面3602を構成する磁石46と、第2面3604を構成する磁石48とが接続された接続部49Bが形成されている。
各突出体36A、36Bの第1面3602、第2面3604をそれぞれ構成する磁石46、48の箇所で、揺動中心軸32A寄りを除いた箇所、言い換えると、可動側ヨーク50が存在している磁石46、48の箇所は、第1の実施の形態と同様にN極、S極が着磁され、第1、第2の磁極面52A、52Bとして形成されている。
すなわち、第3の実施の形態では、各突出体36A、36Bがそれぞれ一体成形されている。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることはもちろんである。
【0023】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。
図15は第4の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
第4の実施の形態では、支持部材を用いていない点が第1の実施の形態と異なっている。
アクチュエータ26は固定側ヨーク28を支持するベース34(図9参照)を有している。
一対の突出体36はそれぞれ、各突出体36A、36Bの突出方向に延在し各突出体36A、36Bの第1面3602を構成する単一の磁石46と、各突出体36A、36Bの突出方向に延在し各突出体36A、36Bの第2面3604を構成する単一の磁石48と、それら磁石46、48の間に介在され各突出体36A、36Bの突出方向に延在する単一の可動側ヨーク50とで構成されている。
可動側ヨーク50の延在方向の中央に揺動中心軸32Aが位置している。
本実施の形態では、揺動中心軸32A上に、ベース34から突設された支軸が回転可能に挿入される軸受孔3204が形成されている。なお、軸受孔3204に代え、ベース34で回転可能に支持される支軸を可動側ヨーク50に設けるようにしてもよい。
第1面3602、第2面3604をそれぞれ構成する磁石46、48の箇所で、揺動中心軸32A寄りを除いた箇所は、第1の実施の形態と同様にN極、S極が着磁され、第1、第2の磁極面52A、52Bとして形成されている。
すなわち、第4の実施の形態では、支持部材44を用いておらず、一対の突出体36が第2の実施の形態と同様に一体形成されている。
このような第4の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることはもちろんである。
【0024】
なお、本実施の形態では、可動マグネット32に連結された部材が撮像装置10のシャッター羽根54などの光学部材である場合について説明したが、アクチュエータ26によって揺動させる光学部材は、固定絞りやNDフィルターなど従来公知の様々なものが適用可能である。
また、可動マグネット32と、この可動マグネット32に連結され可動マグネット32により揺動される部材との連結構造は、実施の形態の構造に限定されず、例えば、部材を可動マグネット32に直接接着するなど、従来公知の様々な連結構造が採用可能である。
また、本実施の形態では、撮像装置がデジタルスチルカメラである場合について説明したが、本発明はビデオカメラ、その他種々の撮像装置に適用可能である。
また、本発明のアクチュエータは、可動マグネットで部材を揺動させるものであればよく、本発明のアクチュエータは撮像装置以外の種々の機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】撮像装置10を前方から見た斜視図である。
【図2】撮像装置10を後方から見た斜視図である。
【図3】撮像装置10の構成を示すブロック図である。
【図4】沈胴状態にある鏡筒16の断面図である。
【図5】望遠状態にある鏡筒16の断面図である。
【図6】アクチュエータ26の概略平面図を示す。
【図7】可動マグネット32の斜視図である。
【図8】支持部材44の斜視図である。
【図9】シャッター羽根54の動作説明図である。
【図10】シャッター羽根54の動作説明図である。
【図11】シャッター羽根54の動作説明図である。
【図12】可動マグネット32の揺動動作の説明図である。
【図13】第2の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
【図14】第3の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
【図15】第4の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
【図16】従来のアクチュエータの説明図である。
【図17】従来のアクチュエータの動作説明図である。
【符号の説明】
【0026】
10……撮像装置、14……撮影光学系、14A……光路、26……アクチュエータ、28……固定側ヨーク、28A……第1磁極部、28B……第2磁極部、30……コイル、32……可動マグネット、36……一対の突出体、3602……第1面、3604……第2面、52A……第1の磁極面、52B……第2の磁極面、118……撮像素子。
【技術分野】
【0001】
本発明はアクチュエータおよびアクチュエータを有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁力を用いて光学部材を光路中に出し入れするアクチュエータを有する撮像装置は既に提案されている。
この種のアクチュエータでは、ヨークと、ヨークに巻回されたコイルと、コイルへの通電によってヨークから出力される磁界の向きに対応した方向に揺動される可動マグネットと、ヨークとコイルを移動不能に支持するとともに、可動マグネットを揺動可能に支持するベースとを備え、シャッター羽根や固定絞りなどの光学部材は可動マグネットの揺動によって前記光路中に出し入れされるように構成されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−075145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年、撮像装置は省電力化やコンパクト化が求められており、また、光学部材、特にシャッターの高速化が求められている。
しかしながら、従来の磁力を用いたアクチュエータでは、可動マグネットが円盤状を呈していることから、可動マグネットを高速で揺動させるにも限界があり、したがって、高速で動かすには大電力を要し、あるいは、コイルを大型化せざるを得ず、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、その目的は、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利なアクチュエータおよび撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明は、揺動可能に支持された可動マグネットと、前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されていることを特徴とする。
また本発明は、鏡筒に設けられた撮像素子と、前記鏡筒の内部で被写体像を前記撮像素子に導く撮影光学系と、前記撮影光学系の光路中に光学部材を出し入れするアクチュエータとを備えた撮像装置であって、前記アクチュエータは、揺動可能に支持された可動マグネットと、前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のアクチュエータによれば、コイルへの通電電力を増大させることなく、あるいは、コイルの巻数を増大させることなく、可動マグネットを揺動させる力(トルク)を確保することができ、アクチュエータの省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となる。
また本発明の撮像装置によれば、そのようなアクチュエータを用いて撮影光学系の光路中に光学部材を出し入れするので、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
次に、本発明に係る光学装置のアクチュエータおよび撮像装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は撮像装置10を前方から見た斜視図、図2は撮像装置10を後方から見た斜視図、図3は撮像装置10の構成を示すブロック図である。
図1、図2に示すように、本実施の形態の撮像装置10はデジタルスチルカメラであり、外装を構成するケース12を有している。なお、本明細書において左右は、撮像装置10を前方から見た状態でいうものとし、また、光学系の光軸方向で被写体側を前方といい、撮像素子側を後方という。
ケース12の前面右側部寄りの箇所には撮影光学系14を収容保持する沈胴式の鏡筒16が設けられ、ケース12の前面上部寄りの箇所には閃光を発光するフラッシュ部100などが設けられている。
鏡筒16はケース12の内部に組み込まれた駆動部126(図3参照)によってケース12の前面から前方に突出した使用位置(広角状態、望遠状態、および広角乃至望遠の中間状態)とケース12の前面に収容された収容位置(沈胴状態)との間を出没するように構成されている。
ケース12の上端面には、撮像を行うためのシャッタボタン102、撮影光学系14のズームを調整するためのズーム操作スイッチ104、再生モードの切り換えなどを行なうためのモード切り換えスイッチ106、電源のオンオフを行うための電源スイッチ108が設けられ、ケース12の後面には、撮像した映像を表示するディスプレイ110、撮影、記録、映像表示などの種々の動作にまつわる操作を行うための複数の操作スイッチ112、ディスプレイ110上に表示されるメニューを選択するなどの操作を行うための制御スイッチ114などが設けられている。
【0007】
図3に示すように、鏡筒16の後部には、撮影光学系14によって結像された被写体像を撮像するCCDやCMOSセンサなどで構成された撮像素子118が配設され、撮像装置10は、撮像素子118から出力された撮像信号に基づいて画像データを生成し、メモリカードなどの記憶媒体120に記録する画像処理部122、前記画像データをディスプレイ110に表示させる表示処理部124、前記駆動部126、制御部128などを備えている。制御部128は、シャッタボタン102、ズーム操作スイッチ104、モード切替スイッチ106、電源スイッチ108、操作スイッチ112、制御スイッチ114の操作に応じて画像処理部122、表示処理部124、駆動部126を制御するものであり、制御プログラムによって動作を行うCPUを有している。
【0008】
次に、鏡筒16の概略構成について説明する。
図4は沈胴状態にある鏡筒16の断面図、図5は望遠状態にある鏡筒16の断面図である。
図4、図5に示すように、鏡筒16に収容された撮影光学系14は光学的には3群構成であり、3群は、前方から後方に向かってこの順番で配設された1群レンズ20、2群レンズ22、3群レンズ24によって構成されている。
鏡筒16は、1群レンズ20と2群レンズ22が不図示のカム機構により前記光軸方向に駆動されることによってズーミングを行い、3群レンズ24が不図示の3群レンズ用駆動機構により前記光軸方向に微小に変位されることによってフォーカッシングを行う。すなわち、1群レンズ20と2群レンズ22の変位によって焦点距離を可変し、この焦点距離の変化によって生じた合焦位置のずれを3群レンズ24の変位によって修正し適切に合焦させるように構成されている。
【0009】
本実施の形態では、2群レンズ22を保持するレンズ枠22Aに本発明に係るアクチュエータ26が取着されている。
アクチュエータ26は、単数の場合も複数の場合もあり、アクチュエータ26は光学部材を撮影光学系14の光路14A中に出し入れするように構成されている。
このような光学部材として、固定絞りやNDフィルター、シャッター羽根などが挙げられ、用いられる光学部材の数に対応してアクチュエータ26が設けられ、本実施の形態では、アクチュエータ26によりシャッター羽根を開閉する場合について説明する。
図6はアクチュエータ26の概略平面図を示す。
アクチュエータ26は、固定側ヨーク28と、コイル30と、可動マグネット32と、ベース34(図9参照)などを含んで構成されている。
【0010】
固定側ヨーク28は、光路14Aの周囲に沿って延在する内側部分38と、内側部分38よりも光路14Aと離れた側に位置し内側部分38と対向して延在する外側部分40と、それら内側部分38と外側部分40との延在方向の端部を接続する接続部分42とを有し、ベース34に取着されている。
固定側ヨーク28は、可動マグネット32を挟んで対向する第1磁極部28Aおよび第2磁極部28Bを有し、第1磁極部28Aおよび第2磁極部28Bはコイル30に通電することにより互いに異なる極性の磁極(N極、S極)が発生する箇所であり、それら磁極間に磁力線が形成される。
本実施の形態では、内側部分38に第1磁極部28Aが形成され、外側部分40に第2磁極部28Bが形成される。
なお、固定側ヨーク28は磁性を有する材料で形成され、このような材料として従来公知の様々な磁性を有する材料が使用可能である。
【0011】
図6に示すように、コイル30は、内側部分38または外側部分40の一方に巻回されている。
本実施の形態では、コイル30は接続部分42寄りの内側部分38の箇所に巻回されている。
コイル30は、ボビンに巻き線が巻回されることで形成されるのであってもよいし、ボビンを有さず融着線が巻回されることで形成されるものであってもよい。ただし、コイル30が融着線で形成されている場合には、ボビンを有するコイル30に比較して外形寸法を増大させることなくより巻数を増やすことができ固定側ヨーク28に発生させる磁界強度を高める上で有利となる。
【0012】
図6に示すように、可動マグネット32は、接続部分42と反対に位置する内側部分38の端部と外側部分40の端部との間に配置されている。
図7は可動マグネット32の斜視図である。
図7に示すように、可動マグネット32は、該可動マグネット32の揺動中心軸32Aから互いに反対方向に突出する一対の突出体36と、揺動中心軸32Aを含む箇所に位置し一対の突出体36を支持する支持部材44を含んで構成されている。
【0013】
図8は支持部材44の斜視図である。
図8に示すように、支持部材44は、ベース34から突設された支軸3410(図9参照)が挿通される軸受孔4402が貫通形成された基部4404と、基部4404から突出するアーム部4406と、アーム部4406の先端に設けられた軸4408とを含んでいる。
【0014】
図7に示すように、一対の突出体36はそれぞれ基部4404の両側面に接着などにより固定され、一対の突出体36は、第1磁極部28Aに臨む第1面3602と、第2磁極部28Bに臨む第2面3604とを有している。
一対の突出体36を構成する各突出体36A、36Bは、揺動中心軸32Aに沿った方向の寸法を有する縦と、揺動中心軸32Aと直交する方向で揺動中心軸32Aから離れる方向に沿った寸法を有する横と、縦および横と直交する方向の寸法を有する厚さを備える互いに同一形状の板状を呈し、各突出体36A、36Bの厚さ方向の両面のうちの一方の面が第1面3602を構成し、他方の面が第2面3604を構成している。
一対の突出体36はそれぞれ、第1面3602を構成する薄板状の磁石46と、第2面3604を構成する薄板状の磁石48と、それら磁石46、48の間に介在した薄板状の可動側ヨーク50とが例えば接着剤で接着されることで一体に構成されている。可動側ヨーク50は従来公知の磁性を有する材料で形成されている。
一対の突出体36のうちの一方の突出体36Aの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの一方の磁極(N極)に着磁された第1の磁極面52Aとして形成されている。したがって、この突出体36Aが可動側ヨーク50に臨む面は(S極)に着磁されている。
一対の突出体36のうちの他方の突出体36Bの第1面3602および第2面3604はN極とS極のうちの他方の磁極(S極)に着磁された第2の磁極面52Bとして形成されている。したがって、この突出体36Bが可動側ヨーク50に臨む面は(N極)に着磁されている。
また、本実施の形態では、図7に示すように、一対の突出体36の第1面3602と第2面3604は、互いに平行する平坦面で形成されている。
一対の突出体36の各第1面3602は、同一面上を延在し、また、一対の突出体36の各第2面3604は、同一面上を延在している。
【0015】
図6に示すように、アクチュエータ26は、第1の磁極部28Aと第2の磁極部28Bを結ぶ磁力線2が第1の磁極面52Aおよび第2の磁極面52Bと交差するように構成されている。
【0016】
突出体36をより詳細に説明する。
図7に示すように、第1面3602を構成する薄板状の磁石46と第2面3604を構成する薄板状の磁石48とが可動側ヨーク50を挟んで互いに対面する箇所は、同じ極性の磁極同士が対向するため、それらの距離が近接し過ぎると、双方の磁界の作用により反発力が作用して互いの磁界が弱められる現象が発生する。
このような現象を回避するため、前記反発力をほぼ無視することができ互いの磁界を弱めあうことがない程度に、磁石46と磁石48との間の距離を確保することが好ましい。
本実施の形態では、このような距離を確保できるような外形寸法で可動側ヨーク50が形成されている。
【0017】
図9乃至図11はシャッター羽根54の動作説明図である。
可動マグネット32は、支持部材44の軸受孔4402にベース34の支軸3410が挿通されることで支軸3410を中心に揺動可能に支持されている。
シャッター羽根54は、2つの羽根体5402、5404を有している。
各羽根体5402、5404のうちの一方の羽根体5402の基部は、可動マグネット32にあるいは支軸3410に揺動可能に支持され、他方の羽根体5404の基部は、ベース34の支軸3412に揺動可能に支持されている。
そして、可動マグネット32の軸4408が一方の羽根体5402のカム溝5402Aと他方の羽根体5404のカム溝5404Aとに係合しており、可動マグネット32の揺動により2つの羽根体5402、5404が互いに光路14Aを閉塞する方向と、光路14Aを開放する方向とに揺動され、各羽根体5402、5404により光路14Aの開閉が行われる。
なお、このように2枚の羽根体5402、5404を可動マグネット32により開閉させる構成として従来公知の様々な構造を採用することができる。
例えば、2枚の羽根体5402、5404のうち一方の羽根体5402の基部を可動マグネット32に取着しておき、他方の羽根体5404の基部をベース34の支軸3412に揺動可能に支持させておき、双方の羽根体5402、5404を、ピンとカム溝を介して連結し、可動マグネット32の揺動により2つの羽根体5402、5404を互いに光路14Aを閉塞する方向と、光路14Aを開放する方向とに揺動させるようにしてもよい。
【0018】
次に動きについて説明する。
アクチュエータ26のコイル30への駆動信号の供給により、可動マグネット32が揺動し、図9乃至図11に示すように、2つの羽根体5402、5404が互いに光路14Aを閉塞する方向と、光路14Aを開放する方向とに揺動され、各羽根体5402、5404により光路14Aの開閉が行われる。
より詳細には、コイル30への通電方向を変えることにより、固定側ヨーク28から出力される磁界の向き(磁力線の向き)を反転させ、これにより第1、第2の磁極部28A、28Bに生じる磁極(N極とS極)の位置を反転させ、それら磁極と、可動マグネット32の第1の磁極面52A、第2の磁極面52Bとの間に生じる磁気的吸引力および磁気的反発力によって、可動マグネット32が所望の角度範囲内で揺動される。
なお、ベース34には不図示のストッパが設けられ、このストッパが可動マグネット32あるいは支持部材44の箇所に当接することで、可動マグネット32が揺動される角度範囲が決定される。また、コイル30への通電が停止した状態においては、固定側ヨーク28の第1、第2の磁極部28A、28Bには磁界が発生していないが、可動マグネット32の第1、第2の磁極面52A、52Bが第1、第2の磁極部28A、28Bに対して磁気的吸引力を発生することで前記ストッパに当接した状態が保持され、可動マグネット32の角度位置が保持されるようになっている。
【0019】
次に作用効果について説明する。
図12は可動マグネット32の揺動動作の説明図である。
図12に示すように、可動マグネット32の第1の磁極面52AにN極が着磁され、第2の磁極面52BにS極が着磁されている状態で、巻線への通電により固定側ヨーク28の第1磁極部28AがS極に励磁され、第2磁極部28BがN極に励磁されると、第2磁極部28Bからに第1磁極部28Aに向かって磁力線2が形成される。
磁力線2が第1の磁極面52Aおよび第2の磁極面52Bと交差することにより、一対の突出体36A、36Bのそれぞれに磁力線2に沿った方向に吸引力(反発力)F1が発生する。言い換えると、第1面3602を構成する薄板状の磁石46と、第2面3604を構成する薄板状の磁石48とのそれぞれに磁力線2に沿った方向に吸引力(反発力)F1が発生する。
吸引力(反発力)F1の大きさは、第1、第2の磁極面52A、52Bに交差する磁力線2の数に比例する。
本実施の形態では、固定側ヨーク28の第1、第2磁極部28A、28Bに臨む可動マグネット32の第1、第2面3602、3604に第1、第2の磁極面52A、52Bが形成されていることから、磁力線2が交差する第1、第2の磁極面52A、52Bの面積を確保する上で有利となり、吸引力(反発力)F1を増大させる上で有利となる。
また、本実施の形態では、第1、第2面3602、3604が互いに平行する平坦面で形成されているため、磁力線2が交差する第1、第2の磁極面52A、52Bの面積を確保する上でより有利となり吸引力(反発力)F1を増大させる上で一層有利となる。
また、この吸引力(反発力)F1により、第1、第2の磁極面52A、52Bの法線に沿った方向に作用する分力F2、すなわち、可動マグネット32を揺動中心軸32Aを中心として回転させる方向に作用する分力F2が発生する。
分力F2は第1、第2の磁極面52A、52Bの法線と磁力線2とがなす角度をθとしたとき、F2=F1cosθとなる。
したがって、可動マグネット32が揺動する角度範囲が、例えば、θ=0度を中心に±15度の範囲であれば、0.96≦cosθ≦1であることから、0.96F1≦F2≦F1となり、吸引力(反発力)F1の大半を効率よく可動マグネット32を揺動させる力として利用することができるため、コイル30への通電電力を無駄にすることなく可動マグネット32を揺動させることができる。
したがって、本実施の形態のアクチュエータ26によれば、コイル30への通電電力を増大させることなく、あるいは、コイル30の巻数を増大させることなく、可動マグネット32を揺動させる力(トルク)を確保することができ、アクチュエータ26の省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となる。
特に、本実施の形態のように、アクチュエータ26を、撮像装置のシャッター54を開閉させるために使用した場合には、シャッター54の高速化を図る上で有利となる。
【0020】
次に比較例について説明する。
図16は従来のアクチュエータの説明図、図17は従来のアクチュエータの動作説明図である。
図16に示すように、従来のアクチュエータ70は、揺動中心軸72Aを中心に揺動可能に支持された円盤状の可動マグネット72と、可動マグネット72を挟んで対向する第1磁極部74Aおよび第2磁極部74Bを有する固定側ヨーク74と、固定側ヨーク74に巻回されたコイル76とを備えている。
可動マグネット72は、揺動中心軸72Aを通る平面を挟んで一側がN極、他側がS極に着磁されており、したがって、可動マグネット72の2つの磁極面78A、78Bは揺動中心軸72Aを中心とする凸状の円筒面をなしている。
そして、コイル76への通電によって第1、第2磁極部74A、74Bの間に生じる磁界と、可動マグネット72の磁極面78A、78Bから生じる磁界との相互作用によって可動マグネット72を揺動させることで可動マグネット72に連結された部材を揺動させるように構成されている。
この場合、図17に示すように、2つの磁極面78A、78Bが円筒面であることから、磁力線2が交差する2つの磁極面78A、78Bの面積を確保する上で不利があり、吸引力(反発力)F1を確保する上で不利がある。
さらに、吸引力(反発力)F1は、2つの磁極面78A、78Bに対して磁力線2に沿った方向で作用するが、可動マグネット72を揺動中心軸72Aを中心として回転させる分力F2は、円筒面の接線4に沿った方向で作用することになる。
したがって、接線4と磁力線2とがなす角度をφとすると、分力F2=F1cosφとなり、角度φが例えば45度から15度の角度範囲であれば、0.70≦cosφ≦0.96であることから、0.70F1≦F2≦0.96F1となり、吸引力(反発力)F1を、可動マグネット72を揺動させるために効率的に利用する上で不利がある。
このようなアクチュエータ70に比較して、本実施の形態のアクチュエータ26は、磁力線2が交差する第1、第2の磁極面52A、52Bの面積を確保する上で有利であり、しかも、吸引力(反発力)F1のほぼ100%を可動マグネット32を揺動させる力(分力F2)として利用することができるため、省電力化、小型化、動作の高速化を図る上で有利となっている。
【0021】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
図13は第2の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態と同一または同様の箇所、部材には同一の符号を付して説明する。
第2の実施の形態では、支持部材44を用いていない点が第1の実施の形態と異なっている。
アクチュエータ26は固定側ヨーク28を支持するベース34(図9参照)を有している。
一対の突出体36はそれぞれ、第1面3602を構成する磁石46と、第2面3604を構成する磁石48と、それら磁石46、48の間に介在した可動側ヨーク50とで構成されている。
一対の突出体36の中央に、各突出体36A、36Bの第1面3602を構成する磁石46どうしが接続されるとともに、第2面3604を構成する磁石48どうしが接続され、かつ、第1面3602を構成する磁石46と第2面3604を構成する磁石48とが接続された接続部49Aが形成されている。
接続部49Aに揺動中心軸32Aが位置している。本実施の形態では、揺動中心軸32A上に、ベース34から突設された支軸が回転可能に挿入される軸受孔3202が形成されている。なお、軸受孔3202に代え、ベース34で回転可能に支持される支軸を接続部49Aに設けるようにしてもよい。
第1面3602、第2面3604をそれぞれ構成する磁石46、48の箇所で、揺動中心軸32A寄りを除いた箇所、言い換えると、可動側ヨーク50が存在している磁石46、48の箇所は、第1の実施の形態と同様にN極、S極が着磁され、第1、第2の磁極面52A、52Bとして形成されている。なお、図13乃至図15において描かれた点線は、磁石46、48が着磁された領域の端部、すなわち、第1、第2の磁極面52A、52Bの端部を示している。
すなわち、第2の実施の形態では、支持部材44を用いておらず、一対の突出体36が一体形成されている。
このような第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることはもちろんである。
【0022】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
図14は第3の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
第3の実施の形態では、突出体36の構成が第1の実施の形態と異なっている。
アクチュエータ26は固定側ヨーク28を支持するベース34(図9参照)を有している。
可動マグネット32は、ベース34で揺動可能に支持された支持部材44を有している。
一対の突出体36は支持部材44で支持されている。
一対の突出体36はそれぞれ、第1面3602を構成する磁石46と、第2面3604を構成する磁石48と、それら磁石46、48の間に介在し可動側ヨーク50とで構成され、支持部材44で支持された一対の突出体36の各基部に、各突出体36A、36Bの第1面3602を構成する磁石46と、第2面3604を構成する磁石48とが接続された接続部49Bが形成されている。
各突出体36A、36Bの第1面3602、第2面3604をそれぞれ構成する磁石46、48の箇所で、揺動中心軸32A寄りを除いた箇所、言い換えると、可動側ヨーク50が存在している磁石46、48の箇所は、第1の実施の形態と同様にN極、S極が着磁され、第1、第2の磁極面52A、52Bとして形成されている。
すなわち、第3の実施の形態では、各突出体36A、36Bがそれぞれ一体成形されている。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることはもちろんである。
【0023】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。
図15は第4の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
第4の実施の形態では、支持部材を用いていない点が第1の実施の形態と異なっている。
アクチュエータ26は固定側ヨーク28を支持するベース34(図9参照)を有している。
一対の突出体36はそれぞれ、各突出体36A、36Bの突出方向に延在し各突出体36A、36Bの第1面3602を構成する単一の磁石46と、各突出体36A、36Bの突出方向に延在し各突出体36A、36Bの第2面3604を構成する単一の磁石48と、それら磁石46、48の間に介在され各突出体36A、36Bの突出方向に延在する単一の可動側ヨーク50とで構成されている。
可動側ヨーク50の延在方向の中央に揺動中心軸32Aが位置している。
本実施の形態では、揺動中心軸32A上に、ベース34から突設された支軸が回転可能に挿入される軸受孔3204が形成されている。なお、軸受孔3204に代え、ベース34で回転可能に支持される支軸を可動側ヨーク50に設けるようにしてもよい。
第1面3602、第2面3604をそれぞれ構成する磁石46、48の箇所で、揺動中心軸32A寄りを除いた箇所は、第1の実施の形態と同様にN極、S極が着磁され、第1、第2の磁極面52A、52Bとして形成されている。
すなわち、第4の実施の形態では、支持部材44を用いておらず、一対の突出体36が第2の実施の形態と同様に一体形成されている。
このような第4の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることはもちろんである。
【0024】
なお、本実施の形態では、可動マグネット32に連結された部材が撮像装置10のシャッター羽根54などの光学部材である場合について説明したが、アクチュエータ26によって揺動させる光学部材は、固定絞りやNDフィルターなど従来公知の様々なものが適用可能である。
また、可動マグネット32と、この可動マグネット32に連結され可動マグネット32により揺動される部材との連結構造は、実施の形態の構造に限定されず、例えば、部材を可動マグネット32に直接接着するなど、従来公知の様々な連結構造が採用可能である。
また、本実施の形態では、撮像装置がデジタルスチルカメラである場合について説明したが、本発明はビデオカメラ、その他種々の撮像装置に適用可能である。
また、本発明のアクチュエータは、可動マグネットで部材を揺動させるものであればよく、本発明のアクチュエータは撮像装置以外の種々の機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】撮像装置10を前方から見た斜視図である。
【図2】撮像装置10を後方から見た斜視図である。
【図3】撮像装置10の構成を示すブロック図である。
【図4】沈胴状態にある鏡筒16の断面図である。
【図5】望遠状態にある鏡筒16の断面図である。
【図6】アクチュエータ26の概略平面図を示す。
【図7】可動マグネット32の斜視図である。
【図8】支持部材44の斜視図である。
【図9】シャッター羽根54の動作説明図である。
【図10】シャッター羽根54の動作説明図である。
【図11】シャッター羽根54の動作説明図である。
【図12】可動マグネット32の揺動動作の説明図である。
【図13】第2の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
【図14】第3の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
【図15】第4の実施の形態のアクチュエータ26の要部の構成を示す平面図である。
【図16】従来のアクチュエータの説明図である。
【図17】従来のアクチュエータの動作説明図である。
【符号の説明】
【0026】
10……撮像装置、14……撮影光学系、14A……光路、26……アクチュエータ、28……固定側ヨーク、28A……第1磁極部、28B……第2磁極部、30……コイル、32……可動マグネット、36……一対の突出体、3602……第1面、3604……第2面、52A……第1の磁極面、52B……第2の磁極面、118……撮像素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動可能に支持された可動マグネットと、
前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、
前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、
前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、
前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、
前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、
前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、
前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されている、
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の磁極部と前記第2の磁極部を結ぶ磁力線が前記第1の磁極面および前記第2の磁極面と交差するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記一対の突出体の前記第1面と前記第2面は、互いに平行する平坦面で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記一対の突出体の前記第1面と前記第2面は、互いに平行する平坦面で形成され、
前記一対の突出体の各第1面は、同一面上を延在し、
前記一対の突出体の各第2面は、同一面上を延在している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記一対の突出体を構成する各突出体は、前記揺動中心軸に沿った方向の寸法を有する縦と、前記揺動中心軸と直交する方向で前記揺動中心軸から離れる方向に沿った寸法を有する横と、前記縦および横と直交する方向の寸法を有する厚さを備える板状を呈し、
前記各突出体の厚さ方向の両面のうちの一方の面が前記第1面を構成し、他方の面が前記第2面を構成している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記一対の突出体を構成する各突出体は、前記揺動中心軸に沿った方向の寸法を有する縦と、前記揺動中心軸と直交する方向で前記揺動中心軸から離れる方向に沿った寸法を有する横と、前記縦および横と直交する方向の寸法を有する厚さを備え、互いに同一形状の板状を呈し、
前記各突出体の厚さ方向の両面のうちの一方の面が前記第1面を構成し、他方の面が前記第2面を構成している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記一対の突出体を構成する各突出体は、その断面が、前記揺動中心軸に沿った方向の寸法を有する縦と、前記揺動中心軸と直交する方向の寸法を有する横とからなる矩形で、前記揺動中心軸と直交する方向で前記揺動中心軸から離れる方向に沿った寸法の長さを有する矩形柱状を呈している、
前記断面の横方向両端に位置する前記各突出体の2つの面のうちの一方の面が前記第1面を構成し、他方の面が前記第2面を構成している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記可動マグネットは前記ベースで揺動可能に支持されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記可動マグネットは、前記ベースで揺動可能に支持された支持部材を有し、
前記一対の突出体は前記支持部材で支持されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記一対の突出体はそれぞれ、前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石と、それら磁石の間に介在した可動側ヨークとで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記一対の突出体はそれぞれ、前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石と、それら磁石の間に介在した可動側ヨークとで構成され、
前記一対の突出体の中央に、各突出体の前記第1面を構成する磁石どうしが接続されるとともに、前記第2面を構成する磁石どうしが接続され、かつ、前記第1面を構成する磁石と前記第2面を構成する磁石とが接続された接続部が形成され、
前記接続部に揺動中心軸が位置している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記可動マグネットは、前記ベースで揺動可能に支持された支持部材を有し、
前記一対の突出体は前記支持部材で支持され、
前記一対の突出体はそれぞれ、前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石と、それら磁石の間に介在し可動側ヨークとで構成され、
前記支持部材で支持された前記一対の突出体の各基部に、各突出体の前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石とが接続された接続部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記一対の突出体はそれぞれ、各突出体の突出方向に延在し各突出体の前記第1面を構成する単一の磁石と、各突出体の突出方向に延在し各突出体の前記第2面を構成する単一の磁石と、それら磁石の間に介在され各突出体の突出方向に延在する単一の可動側ヨークとで構成され、
前記可動側ヨークの延在方向の中央に前記揺動中心軸が位置している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項14】
鏡筒に設けられた撮像素子と、
前記鏡筒の内部で被写体像を前記撮像素子に導く撮影光学系と、
前記撮影光学系の光路中に光学部材を出し入れするアクチュエータとを備えた撮像装置であって、
前記アクチュエータは、
揺動可能に支持された可動マグネットと、
前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、
前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、
前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、
前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、
前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、
前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、
前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されている、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
揺動可能に支持された可動マグネットと、
前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、
前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、
前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、
前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、
前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、
前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、
前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されている、
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の磁極部と前記第2の磁極部を結ぶ磁力線が前記第1の磁極面および前記第2の磁極面と交差するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記一対の突出体の前記第1面と前記第2面は、互いに平行する平坦面で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記一対の突出体の前記第1面と前記第2面は、互いに平行する平坦面で形成され、
前記一対の突出体の各第1面は、同一面上を延在し、
前記一対の突出体の各第2面は、同一面上を延在している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記一対の突出体を構成する各突出体は、前記揺動中心軸に沿った方向の寸法を有する縦と、前記揺動中心軸と直交する方向で前記揺動中心軸から離れる方向に沿った寸法を有する横と、前記縦および横と直交する方向の寸法を有する厚さを備える板状を呈し、
前記各突出体の厚さ方向の両面のうちの一方の面が前記第1面を構成し、他方の面が前記第2面を構成している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記一対の突出体を構成する各突出体は、前記揺動中心軸に沿った方向の寸法を有する縦と、前記揺動中心軸と直交する方向で前記揺動中心軸から離れる方向に沿った寸法を有する横と、前記縦および横と直交する方向の寸法を有する厚さを備え、互いに同一形状の板状を呈し、
前記各突出体の厚さ方向の両面のうちの一方の面が前記第1面を構成し、他方の面が前記第2面を構成している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記一対の突出体を構成する各突出体は、その断面が、前記揺動中心軸に沿った方向の寸法を有する縦と、前記揺動中心軸と直交する方向の寸法を有する横とからなる矩形で、前記揺動中心軸と直交する方向で前記揺動中心軸から離れる方向に沿った寸法の長さを有する矩形柱状を呈している、
前記断面の横方向両端に位置する前記各突出体の2つの面のうちの一方の面が前記第1面を構成し、他方の面が前記第2面を構成している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記可動マグネットは前記ベースで揺動可能に支持されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記可動マグネットは、前記ベースで揺動可能に支持された支持部材を有し、
前記一対の突出体は前記支持部材で支持されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記一対の突出体はそれぞれ、前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石と、それら磁石の間に介在した可動側ヨークとで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記一対の突出体はそれぞれ、前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石と、それら磁石の間に介在した可動側ヨークとで構成され、
前記一対の突出体の中央に、各突出体の前記第1面を構成する磁石どうしが接続されるとともに、前記第2面を構成する磁石どうしが接続され、かつ、前記第1面を構成する磁石と前記第2面を構成する磁石とが接続された接続部が形成され、
前記接続部に揺動中心軸が位置している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記可動マグネットは、前記ベースで揺動可能に支持された支持部材を有し、
前記一対の突出体は前記支持部材で支持され、
前記一対の突出体はそれぞれ、前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石と、それら磁石の間に介在し可動側ヨークとで構成され、
前記支持部材で支持された前記一対の突出体の各基部に、各突出体の前記第1面を構成する磁石と、前記第2面を構成する磁石とが接続された接続部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記アクチュエータは前記固定側ヨークを支持するベースを有し、
前記一対の突出体はそれぞれ、各突出体の突出方向に延在し各突出体の前記第1面を構成する単一の磁石と、各突出体の突出方向に延在し各突出体の前記第2面を構成する単一の磁石と、それら磁石の間に介在され各突出体の突出方向に延在する単一の可動側ヨークとで構成され、
前記可動側ヨークの延在方向の中央に前記揺動中心軸が位置している、
ことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項14】
鏡筒に設けられた撮像素子と、
前記鏡筒の内部で被写体像を前記撮像素子に導く撮影光学系と、
前記撮影光学系の光路中に光学部材を出し入れするアクチュエータとを備えた撮像装置であって、
前記アクチュエータは、
揺動可能に支持された可動マグネットと、
前記可動マグネットを挟んで対向する第1磁極部および第2磁極部を有する固定側ヨークと、
前記固定側ヨークに巻回されたコイルとを備え、
前記コイルへの通電によって前記第1、第2磁極部との間に生じる磁界と、前記可動マグネットの磁極から生じる磁界との相互作用によって前記可動マグネットを揺動させることで前記可動マグネットに連結された部材を揺動させるアクチュエータであって、
前記可動マグネットは、該可動マグネットの揺動中心軸から互いに反対方向に突出する一対の突出体を含んで構成され、
前記一対の突出体はそれぞれ前記第1磁極部に臨む第1面と、前記第2磁極部に臨む第2面とを有し、
前記一対の突出体のうちの一方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの一方の磁極に着磁された第1の磁極面として形成され、
前記一対の突出体のうちの他方の突出体の第1面および第2面はN極とS極のうちの他方の磁極に着磁された第2の磁極面として形成されている、
ことを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−5569(P2008−5569A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169891(P2006−169891)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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