アクチュエータ
【課題】作動時のピストンロッドが、所定の移動ストロークを安定して確保でき、かつ、受止材を安定して支持できるアクチュエータを提供すること。
【解決手段】アクチュエータ21は、作動時、シリンダ22内のピストンロッド50を前進移動させ、ロック機構Rによりロッド50の後退移動を規制する。ロッド50のピストン部51から延びる支持ロッド部54は、保護対象物を受け止める受止材を支持する。シリンダは、ピストン部を摺動させる本体部23と、支持ロッド部を挿通させる挿通孔32を有した先端壁部31と、先端側に配設されてピストン部を収納可能な拡径収納部27と、を備える。ロック機構Rは、ピストン部の底部側外周縁52と、本体部における拡径収納部側の開口周縁25と、から構成されて、拡径収納部27に収納されたピストン部51の底部側外周縁52を本体部23の開口周縁25に係止させて、ロッド50の後退移動を規制する。
【解決手段】アクチュエータ21は、作動時、シリンダ22内のピストンロッド50を前進移動させ、ロック機構Rによりロッド50の後退移動を規制する。ロッド50のピストン部51から延びる支持ロッド部54は、保護対象物を受け止める受止材を支持する。シリンダは、ピストン部を摺動させる本体部23と、支持ロッド部を挿通させる挿通孔32を有した先端壁部31と、先端側に配設されてピストン部を収納可能な拡径収納部27と、を備える。ロック機構Rは、ピストン部の底部側外周縁52と、本体部における拡径収納部側の開口周縁25と、から構成されて、拡径収納部27に収納されたピストン部51の底部側外周縁52を本体部23の開口周縁25に係止させて、ロッド50の後退移動を規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用安全装置に使用されるアクチュエータに関し、例えば、保護対象物としての歩行者を受け止める際のフードパネルを持ち上げる等の作動に使用されるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される自動車用安全装置のアクチュエータとしては、フードパネルの塑性変形時のエネルギー吸収を利用して、フードパネル自体で歩行者を受け止めることができるように、フードパネルの後端側を上昇させるものがあった。具体的には、従来、アクチュエータとして、筒状のシリンダ内に配置されたピストンロッドを、シリンダ内に作動用流体を流入させることにより、移動させるピストンシリンダタイプとして構成されて、前進移動したピストンロッドの後退移動を規制するロック機構を備える構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のアクチュエータでは、ピストンロッドが、ピストン部と支持ロッド部とから構成され、ロック機構として、支持ロッド部におけるピストン部近傍の部位に、くびれ部を設けて、上昇移動後に、支持ロッド部を、くびれ部の部位で屈曲させ、屈曲部位をストッパとして作用させて、ピストンロッドの後退移動を規制していた。
【特許文献1】特開2002−29366公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のアクチュエータでは、支持ロッド部に強度を弱くしたくびれ部を設け、このくびれ部を屈曲させてストッパとすることにより、支持ロッド部の後退移動を規制する構成であることから、支持ロッド部の上昇移動後に、ストッパを形成するようにくびれ部が屈曲すれば、フードパネルが歩行者を受け止める際に、さらに、くびれ部が屈曲することが避けられない。すなわち、アクチュエータのピストンロッドがフードパネル等の受止材を安定して支持できず、フードパネル等の受止材によって歩行者を受け止めることができなくなって、フードパネル等の受止材が、歩行者の運動エネルギーを吸収しつつ受け止める挙動を、確保し難くなってしまう。
【0005】
さらに、従来のアクチュエータでは、支持ロッド部の上昇移動完了前に、シリンダ内でくびれ部が屈曲される虞れもあり、その場合には、ピストンロッドが所定の前進移動位置に配置されず、ピストンロッドの支持する受止材を所定位置に配置できなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作動時のピストンロッドが、所定の移動ストロークを安定して確保でき、かつ、受止材を安定して支持できるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアクチュエータは、自動車用安全装置に使用されて、
作動時、シリンダ内のピストン部とピストン部に連結されてシリンダ外へ突出する支持ロッド部とを有したピストンロッドを、前進移動させる構成とするとともに、
前進移動したピストンロッドの後退移動を規制するロック機構を備えて構成され、
シリンダから突出した支持ロッド部が、保護対象物を受け止めるための受止材を支持する構成のアクチュエータであって、
シリンダが、
前進移動するピストン部を摺動させる本体部と、
受止材側となる先端側に配設されて、支持ロッド部を挿通させ、かつ、ピストン部を挿通不能とする挿通孔を有した先端壁部と、
先端壁部と本体部との間に配設されて、本体部の内周面より拡径し、かつ、ピストン部の長さ寸法と同等以上の長さ寸法として、ピストン部を収納可能な拡径収納部と、
を備えて構成され、
本体部の少なくとも拡径収納部側の開口形状が、本体部から拡径収納部に移動したピストン部が本体部側へ挿入不能とするように、ピストン部の底部側外周縁の外形形状と、略同一に形成され、
ロック機構が、ピストン部の底部側外周縁と、本体部における拡径収納部側の開口周縁と、から構成されて、拡径収納部に収納されたピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させて、ピストンロッドの後退移動を規制する構成としていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るアクチュエータでは、作動時、ピストンロッドのピストン部が、シリンダの本体部を摺動しつつ前進移動して、拡径収納部に収納される。その際、本体部の少なくとも拡径収納部側の開口形状が、本体部から拡径収納部に移動したピストン部が本体部側へ挿入不能とするように、ピストン部の底部側外周縁の外形形状と、略同一に形成されている。そのため、ピストン部は、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させるロック機構の作用により、本体部側に戻ることなく、すなわち、後退移動を規制されることとなって、その結果、ピストン部から延びる支持ロッド部は、作動前の状態から拡径収納部に収納されるまでのピストン部の移動分の移動ストロークを、安定して確保でき、そして、受止材を安定して支持することとなる。
【0009】
したがって、本発明に係るアクチュエータでは、作動時のピストンロッドが、所定の移動ストロークを安定して確保でき、かつ、受止材を安定して支持することができる。さらに、ロック機構は、単に、ピストン部の底部側外周縁と本体部における拡径収納部側の開口周縁とを相互に対応させる形状によって、構成できることから、別途、新たな部品を使用することなく、アクチュエータの構成部品点数を増加させずに、簡便に構成することができる。
【0010】
そして、支持ロッド部は、前進移動後における受止材の保護対象物の受け止め時、保護対象物の運動エネルギーを吸収可能に、先端壁部から突出した挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形可能に、配設することが望ましい。
【0011】
このような構成では、受止材が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ保護対象物を受け止める際、支持ロッド部も、曲げ塑性変形することが可能となり、支持ロッド部が曲げ塑性変形すれば、支持ロッド部自体でも、保護対象物の運動エネルギーを吸収できることとなり、支持ロッド部が支持している受止材は、一層円滑に、保護対象物を受け止めることができる。特に、この曲げ塑性変形時、支持ロッド部は、先端壁部から突出した挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形するため、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、保護対象物の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。なお、この支持ロッド部の曲げ塑性変形は、従来のアクチュエータにおける支持ロッド部の絞り部を曲げる塑性変形と相違して、受止材を保護対象物を受け止める受止位置に受止材を配置させた後、その受止材を支持している状態で、所定以上の荷重が支持ロッド部に作用した際に、支持ロッド部が曲げ塑性変形されるものであって、保護対象物の運動エネルギーの吸収を考慮していない、従来のロック機構を構成するためのストッパを形成する従来の曲げ塑性変形と、全く相違するものである。
【0012】
そして、本発明に係るアクチュエータでは、支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を案内可能に、拡径収納部に収納されたピストン部の底部側外周縁が本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止される際に、ピストンロッドの軸方向をシリンダの軸方向に対して傾斜させて、支持ロッド部の傾斜方向に沿わせて支持ロッド部を曲げるための傾斜付与手段を、ピストンロッド若しくはシリンダとの相互の接触部位の少なくとも一方側に、配設することが望ましい。
【0013】
このような構成では、ピストン部が拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁が本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止される際に、傾斜付与手段により、シリンダの軸方向に対して、ピストンロッドのピストン部が、支持ロッド部側を支持ロッド部の曲げ方向側に傾斜させて、係止される。そして、受止材が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ保護対象物を受け止めて、支持ロッド部が、先端壁部から突出した挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形する際、支持ロッド部における先端壁部から突出している部位は、既に、先端壁部の挿通孔近傍の部位から支持ロッド部の先端側にかけて、曲げ方向側に傾斜されており、そのため、受止材を介在させて、保護対象物の荷重が、支持ロッド部に加われば、支持ロッド部は、屈曲点を屈曲させて、傾斜方向に沿って円滑に曲げ塑性変形することとなる。すなわち、支持ロッド部が、一定の傾斜した方向側に沿って曲げ塑性変形することとなり、一層、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、保護対象物の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。さらにまた、このような構成では、ピストン部も、シリンダの軸方向に対して傾斜して、シリンダの本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止されることから、ピストン部の底部側外周縁が、一層、離脱した本体部における拡径収納部側の開口に嵌り難くなり、ピストンロッドの後退移動を安定して確実に規制できることとなる。
【0014】
このような傾斜付与手段としては、次のようなものが例示できる。例えば、ピストン部の底面として、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、支持ロッド部側に接近させるように、シリンダの軸直交方向に沿う面から傾斜した傾斜面として、形成し、このようなピストン部の底面を、傾斜付与手段として構成することができる。このような構成では、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させる際に、ピストン部の底面が、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁より先に、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の縁を、まず、開口周縁に接触させる。そのため、ピストン部が、シリンダの軸方向に対して、支持ロッド部を曲げ塑性変形させようとする方向側に、傾斜し、その状態で、底部側外周縁を、本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させることとなる。
【0015】
また、本体部における拡径収納部側の開口周縁において、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成し、このような本体部における拡径収納部側の開口周縁を、傾斜付与手段として構成することができる。このような構成でも、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させる際に、ピストン部の底面が、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁より先に、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の縁を、まず、開口周縁に接触させる。そのため、ピストン部が、シリンダの軸方向に対して、支持ロッド部を曲げ塑性変形させようとする方向側に傾斜し、そして、その状態で、底部側外周縁を、本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させることとなる。
【0016】
さらに、前進移動時のピストン部を先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁に当接可能な長さ寸法として、拡径収納部を形成しておき、先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁として、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成して、先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁を、傾斜付与手段として構成してもよい。このような構成でも、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁に当接する際、挿通孔の周縁における支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、先に、接触させる。そのため、ピストン部が、シリンダの軸方向に対して、支持ロッド部を曲げ塑性変形させようとする方向側に傾斜し、その傾斜状態で、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させれば、ピストンロッドが後退移動を規制され、かつ、支持ロッド部は、曲げ塑性変形する側に、傾斜して配置可能となる。
【0017】
さらに、先端壁部の挿通孔を、曲げ塑性変形時に支持ロッド部を支持可能として、支持ロッド部の曲げ塑性変形の方向に内周面を広げて配設し、先端壁部の挿通孔を、傾斜付与手段として構成してもよい。このような構成では、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させる際に、支持ロッド部は、先端壁部の挿通孔における内周面を広げた側に、容易に収納され、その支持ロッド部の収納状態は、曲げ塑性変形する方向に傾斜する状態であり、支持ロッド部とともに、ピストン部も、その傾斜状態で、底部側外周縁を、本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させることとなる。
【0018】
そして、自動車用安全装置が、受止材としてのフードパネルの後端を上昇させるフード跳ね上げ装置として構成される場合には、アクチュエータは、上記の支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を、後方側とし、かつ、ピストンロッドを上昇させるように、フードパネルの後端の下方に配設することが望ましい。このような構成では、保護対象物としての歩行者が、フードパネルの後端側に対して、上方から斜め後下方向に移動してくることから、支持ロッド部が、前方側でなく後方側に曲げ塑性変形される構成であれば、その歩行者の移動方向に対して、支持ロッド部の軸方向を正対させる虞れが無く、変形荷重値を増大させるような座屈変形を招くことなく、支持ロッド部の変形を、曲げ塑性変形として安定させることができ、支持ロッド部が、歩行者の運動エネルギーを安定して円滑に吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のアクチュエータ21が使用される自動車用安全装置は、フード跳ね上げ装置(以下「跳ね上げ装置」と省略する)Uであり、この跳ね上げ装置Uは、図1,2に示すように、車両Vにおけるフードパネル10の後端10c側における左縁10d付近と右縁10e付近とに配設されるもので、それぞれ、アクチュエータ21と、フードパネル10の後端10cの下面に配置される受け座16と、を備えて構成されている。そして、跳ね上げ装置Uは、作動時に、図3,4に示すように、アクチュエータ21がピストンロッド50を上昇させ、受け座16を介在させて、フードパネル10の後端10cを跳ね上げるように上昇させることとなる。
【0020】
なお、本明細書では、特に断らない限り、前後と上下の方向は、それぞれ、車両V(図1参照)の前後と上下の方向に一致し、左右の方向は、車両Vの前方側から後方側を見た際の左右の方向に一致させている。
【0021】
また、第1実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ5には、図1に示すように、歩行者との衝突を検知若しくは予測可能なセンサ6が、配設されており、センサ6からの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサ6からの信号に基づいて車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、跳ね上げ装置Uのアクチュエータ21における駆動源としてのガス発生器43(図6参照)を作動させるように、構成されている。
【0022】
さらに、フードパネル10は、図1,2に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端10c近傍に配置されるヒンジ部11により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル10は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製として、図3に示すように、上面側のアウタパネル10aと、下面側に位置してアウタパネル10aより強度を向上させたインナパネル10bと、から構成されている。フードパネル10は、歩行者を受け止めた際に、歩行者の運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に構成されている。そして、実施形態では、車両Vと歩行者との衝突時に、アクチュエータ21が作動されて、図4に示すように、上昇したフードパネル10の後端10cと、エンジンルームERと、の間に、変形スペースSを形成できることから、塑性変形時の塑性変形量を増大させることができる。
【0023】
ヒンジ部11は、フードパネル10の後端10c側における左縁10dと右縁10eとに配設され(図1参照)、それぞれ、ボディ1側のフードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2aに固定されるヒンジベース12と、フードパネル10側に固定されるヒンジアーム14と、を備えて構成されている(図3参照)。各ヒンジアーム14は、図3に示すように、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略半円弧状に湾曲させた形状として構成され、ヒンジベース12側の元部端14aが、支持軸13を利用してヒンジベース12に対して回動可能に連結されている。また、各ヒンジアーム14は、元部端14aから離れる先端14b側に、先端14bから前後方向に略沿うように延びる連結板部15を備え、この連結板部15が、フードパネル10の後端10cにおける下面側に溶接等を利用して結合されている。
【0024】
そして、実施形態の場合、連結板部15は、前部側の下面を、上昇時のピストンロッド50の先端(上端)50a(支持ロッド部54の頭部55)の当接部位15aとしている。すなわち、連結板部15の前部側は、ピストンロッド50の上端50aの受け座16となって、受け座16の下面が、上端50aの受面16aとしている(図3,4参照)。
【0025】
各支持軸13は、それらの軸方向を、車両Vの左右方向に沿わせるように、配設されている。そして、フードパネル10を開く際には、図3の実線から二点鎖線に示すように、左右の支持軸13を回転中心として、各ヒンジアーム14の先端14b側とともに、フードパネル10の前端10f側(図1参照)を前開きで上昇させれば、フードパネル10を前開きで開くことができる。
【0026】
また、ヒンジアーム14の先端14b付近には、下縁を略円形状に切り欠くように構成される切欠凹部14cが、形成されており、この切欠凹部14cの周囲の部位が、アクチュエータ21の作動時においてピストンロッド50がフードパネル10の後端10cを押し上げる際に、塑性変形する塑性変形部14dとして、フードパネル10の後端10cの上昇を可能にしている(図4参照)。なお、フードパネル10の前端10f側には、通常閉塞時として、前端10fに配置された図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構が配設されており、フードパネル10の後端10cの上昇時でも、フードパネル10の前端10fは、図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構により、ボディ1側から外れない。
【0027】
さらに、フードパネル10の後方には、図2,3に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方における合成樹脂製のカウルルーバ7bと、からなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウィンドシールド3の下部3a側に連ならせるように配設されている。また、フロントウィンドシールド3の左右には、図1,2に示すように、フロントピラー4,4が、配設されている。
【0028】
なお、カウルルーバ7bは、実施形態の場合、アクチュエータ21の上方を覆うアクチュエータカバー8を備え、アクチュエータカバー8は、カウルルーバ7bの他の一般部とともに、一体的に成形されている。アクチュエータカバー8は、左右のアクチュエータ21の上方に配置されて、円筒状のスリーブ部8aで囲まれたエリアに、作動時のアクチュエータ21における支持ロッド部54の頭部55に押されて開く扉部8b、を配設させて構成されている。カウルルーバ7bは、柔軟性を異ならせた部位を設けて成形されており、硬質部7cと、硬質部7cより柔軟性を有した軟質部7dと、を備えて構成され、軟質部7dは、既述のアクチュエータカバー8の扉部8bを含めたスリーブ部8a付近を構成している。
【0029】
第1実施形態のアクチュエータ21は、図3に示すように、フードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2bに対してボルト19止めされる断面U字形状の取付ブラケット18により保持されて、フードパネル10の後端10c側における左縁10d及び右縁10eの下方となる各ヒンジ部11の下方に配設されている。各アクチュエータ21は、図6に示すように、軸方向を上下方向に沿わせるように配置させて取付固定されるシリンダ22と、シリンダ22内に作動用流体としてのガスを流入させるガス発生器43と、シリンダ22から上方へ突出するように配設されるピストンロッド50と、前進移動後(上昇移動後)のピストンロッド50の後退移動(下降移動)を防止するロック機構Rと、を備えて構成されている。
【0030】
シリンダ22は、図6に示すように、上端側の先端壁部31と下端側の元部端壁部40との間に、ピストンロッド50のピストン部51を摺動させる本体部23と、上昇移動後のピストン部51を収納する拡径収納部27と、を配設させた略円筒状としている。拡径収納部27は、本体部23と先端壁部31との間に形成され、本体部23の上端に溶接等により固定された円筒状のスリーブ28の内周面側から構成されている。先端壁部31は、スリーブ28の上端に固定されたキャップ30に設けられている。元部端壁部40は、本体部23の下端に固定されたキャップ39に形成されている。
【0031】
本体部23は、ピストン部51の外形形状に対応した円形の開口24bを設けた摺動孔24を、上下方向に貫通させており、アクチュエータ21の作動時、ピストン部51が摺動孔24の内周面24aを摺動して、上昇(前進移動)することとなる。第1実施形態の場合、摺動孔24の内径寸法d0は、ガス発生器43によって急激に発生する作動用ガスGの圧力によってピストン部51が摺動可能な範囲内で、ピストン部51の外径寸法DPと略同等として、外径寸法DPより僅かに大きな寸法に設定されている(図7のA参照)。
【0032】
拡径収納部27は、ピストン部51の外径寸法DPより大きな内径寸法d1とした円柱状の空間を設けて構成され、さらに、ピストン部51を収納可能に、その長さ寸法L1も、ピストン部51の長さ寸法LPより、僅かに大きな寸法に設定されている。
【0033】
シリンダ22の本体部23の上端側に配置されるキャップ30は、シリンダ22の上端を塞ぐ先端壁部31を備えて構成され、下端側における外周面には、スリーブ28に設けられた雌ねじ28aを螺合させる雄ねじ30aを備えている。先端壁部31は、ピストンロッド50の支持ロッド部54を挿通させるための挿通孔32を、中央に配設させている。そして、キャップ30は、挿通孔32に支持ロッド部54の軸部56を挿通させた状態で、雄ねじ30aを雌ねじ28aに螺合させて、本体部23に固定されたスリーブ28に取り付けられている。
【0034】
挿通孔32は、先端壁部31の中央で上下方向に貫通するように配設されて、ピストンロッド50の軸部56を挿通可能で、かつ、ピストン部51を挿通不能に形成されている。第1実施形態の場合、挿通孔32は、軸部56を挿通可能な挿通本体部33と、車両Vの左右方向へ延ばすことなく、車両Vの後方側だけへ内周面32aを延ばした張出凹部34と、を備えて構成されている。張出凹部34は、その内周面(挿通孔32の内周面32aにおける後側面)34aを、軸部56を挿通可能でかつ支持可能に配設させている(図7,8参照)。そして、第1実施形態の場合、ピストンロッド50のピストン部51が、拡径収納部27に収納され、かつ、ロック機構Rでロックされた際、ピストンロッド50の軸心PCが、シリンダ22の軸心CCに対して、角度θPを約3〜5°(図例では5°)程度、上端50a側を後方側に向けて傾斜させるように、この張出凹部34は、傾斜させる角度θPと一致させるように、シリンダ22の軸心CCからの内周面34aの角度θHが、設定されている。すなわち、第1実施形態の場合、この張出凹部34は、傾斜付与手段C1を構成しており、支持ロッド部54の曲げ塑性変形時の曲げ方向を後方側へ案内可能に、ピストンロッド50がロック機構Rによってロックされた際、ピストンロッド50の軸方向PD(軸心PC)を、シリンダ22の軸方向CD(軸心CC)に対して、角度θP分、傾斜させることが可能となる。
【0035】
また、先端壁部31には、上端面31aに、ピストンロッド50の上端50aの円柱状の頭部55を収納可能な収納凹部36が形成されている。挿通孔32は、収納凹部36の底面36aに開口されている。また、収納凹部36の内周面36bには、凹溝36cが形成され、凹溝36cには、頭部55のガタツキを防止し、かつ、シリンダ22内への雨水の侵入を防止するOリング37が配設されている。
【0036】
本体部23の下端側に結合されるキャップ39は、図6に示すように、本体部23の下端側を塞ぐように配設される略円板状の元部端壁部40と、元部端壁部40の外周縁から上方に延びる略円筒状の周壁部41と、を備えて構成されている。元部端壁部40には、ガス発生器43のコネクタ44を挿通可能な挿通孔40aが、形成されている。周壁部41は、上端側内周面に、シリンダ22の本体部23における下端外周側に設けられた雄ねじ23aに螺合する雌ねじ34aを配設させている。キャップ39は、元部端壁部40における挿通孔40a周縁の部位と、周壁部41における下部側の部位と、を利用して、元部端壁部40にガス発生器43を取り付けた状態で、雌ねじ34aを雄ねじ23aに螺合させて、本体部23に取り付けられている。
【0037】
ガス発生器43としては、マイクロガスジェネレータが使用されており、ガス発生器43の下端面には、図示しない制御回路からの電気信号を入力させるリード線44aを結線させたコネクタ44が、配置されている(図6参照)。ガス発生器43は、リード線44aを経て、図示しない制御回路からの電気信号を入力させると、内蔵されている火薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させ、その作動用ガス(燃焼ガス)Gを作動用流体として、シリンダ22内のピストン部51の底面(下面)51b側へ供給することとなる。
【0038】
ピストンロッド50は、シリンダ22内に配置されるピストン部51と、ピストン部51から上方に延びる支持ロッド部54と、を備えて構成されている。ピストン部51は、シリンダ22の本体部23における摺動孔24の内周面24aに対して摺動可能な外径寸法DPを有した円柱状とされている。支持ロッド部54は、シリンダ22の軸方向(上下方向)PDに沿って配設される丸棒状の軸部56と、軸部56の上端側に配設されて軸部56より外径寸法を大径とした円柱状の頭部55と、を備えている。頭部55は、ピストンロッド50の上昇移動時に、フードパネル10側に設けられた受け座16の受面16aに当接して、フードパネル10の後端10cを上方に押し上げることとなる。ピストン部51は、底面51bと支持ロッド部54を延ばしている天井面51eとが、シリンダ22の軸直交方向CVに沿って、相互に平行に形成されている。
【0039】
なお、支持ロッド部54は、フードパネル10の後端10cを押し上げ完了位置(フードパネル10の歩行者の受止位置RP、図4参照)まで上昇(前進移動)して、ロック機構Rにロックされた際、先端壁部31から突出した挿通孔32の近傍の軸部56の部位を、屈曲点57として、曲げ塑性変形可能に、鋼等の金属材から構成されるもので、実施形態の場合、ピストン部51と一体的に構成されている(図7参照)。
【0040】
そして、第1実施形態のアクチュエータ21では、ロック機構Rが、ピストン部51の底部側外周縁52と、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25と、から構成されている。そして、本体部23の拡径収納部27側の開口24bの開口形状が、本体部23から拡径収納部27に移動したピストン部51が本体部23側へ挿入不能とするように、ピストン部51の底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されている。すなわち、第1実施形態の場合、ガス発生器43によって急激に発生する作動用ガスGの圧力によって、ピストン部51が本体部23の摺動孔24の内周面24aを摺動可能な範囲内で、開口24bの内径寸法d0が、ピストン部51の外径寸法DPと略同等として、設定されている。そのため、このロック機構Rでは、ピストン部51が、ガス発生器43によって急激に発生する作動用ガスGの圧力によって、本体部23の摺動孔24の内周面24aを摺動して、摺動孔24から離脱し、そして、拡径収納部27に収納されれば、底部側外周縁52が、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止されて、ピストンロッド50の下降(後退移動)を規制することとなる。
【0041】
なお、ピストン部51の底部側外周縁52は、ピストン部51の外周面51aと底面51bとの境界付近を指すものであり、外周面51a側だけ、あるいは、底面51b側だけ、に限るものではない。同様に、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25も、摺動孔24の内周面24aと拡径収納部27の底面27a(本体部23の上端面)との境界付近を指すものであり、内周面24a側だけ、あるいは、底面27a側だけ、に限るものではない。
【0042】
第1実施形態の跳ね上げ装置Uでは、センサ6からの信号により、図示しない作動回路が、車両Vの歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータ21におけるガス発生器43が作動されることとなり、シリンダ22内にガス発生器43から発生した作動用ガスが流入されれば、図6のA,Bに示すように、シリンダ22内の内圧が高まり、ピストンロッド50のシリンダ22内のピストン部51がその圧力を受けて、ピストンロッド50の支持ロッド部54とともに上昇する。そして、支持ロッド部54が、図3,4に示すように、アクチュエータカバー8の扉部8bを押し開き、さらに、頭部55を受け座16の受面16aに押し当ててフードパネル10の後端10cを上昇させ、そして、ピストン部51が拡径収納部27内に収納されて、ピストンロッド50が上昇完了位置(前進完了位置)UPに配置されれば(図6のB参照)、ピストン部51の底部側外周縁52が、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止されて、ピストンロッド50の下降(後退移動)が規制されてロックされる。そして、フードパネル10が、上方から斜め後下方向に移動する歩行者を受け止めて塑性変形するととともに、歩行者の受け止め時におけるフードパネル10の後端10c下面(受け面)16aの下降に伴って、フードパネル10の受面16aに上端50aの頭部55を当接させていた支持ロッド部54が、図5に示すように、屈曲点57から上方の頭部55側を後方側へ折曲させるように、曲げ塑性変形することから、歩行者は、フードパネル10の塑性変形と支持ロッド部54の塑性変形とによって、運動エネルギーを多く吸収され、好適にフードパネル10に受け止められることとなる。
【0043】
そして、第1実施形態の場合、ピストン部51が拡径収納部27に収納された際、図7のA,Bに示すように、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口24bの形状が、本体部23から拡径収納部27に移動したピストン部51が本体部23側へ挿入不能とするように、ピストン部51の底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されており、ピストン部51は、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23おける拡径収納部27側の開口周縁25に係止させるロック機構Rの作用により、本体部23側に戻ることなく、すなわち、下降(後退移動)を規制されることとなって、ピストン部51から延びる支持ロッド部54が、作動前の状態から拡径収納部27に収納されるまでのピストン部51の移動分の移動ストロークTS(図4,6のB参照)を、安定して確保でき、そして、受止材としてのフードパネル10を安定して支持することとなる。
【0044】
したがって、第1実施形態のアクチュエータ21では、作動時のピストンロッド50が、所定の移動ストロークTSを安定して確保でき、かつ、受止材としてのフードパネル10を安定して支持することができる。さらに、ロック機構Rは、単に、ピストン部51の底部側外周縁52と本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25とを相互に対応させる形状によって、構成できることから、別途、新たな部品を使用することなく、アクチュエータ21の構成部品点数を増加させずに、簡便に構成することができる。
【0045】
そして、第1実施形態では、受止材としてのフードパネル10が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ保護対象物としての歩行者を受け止める際、支持ロッド部54も、曲げ塑性変形し、支持ロッド部54が曲げ塑性変形すれば、支持ロッド部54自体でも、歩行者の運動エネルギーを吸収できて、支持ロッド部54が支持しているフードパネル10は、一層円滑に、歩行者を受け止めることができる。特に、この曲げ塑性変形時、支持ロッド部54は、先端壁部31から突出した挿通孔32近傍の部位を屈曲点57として、曲げ塑性変形するため、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、歩行者の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。なお、この支持ロッド部54の曲げ塑性変形は、従来のアクチュエータにおける支持ロッド部の絞り部を曲げる塑性変形と相違して、図4,5に示すように、フードパネル10を歩行者を受け止める受止位置RPにフードパネル10を配置させた後、そのフードパネル10を支持している状態で、所定以上の荷重Fが支持ロッド部54に作用した際に、支持ロッド部54が曲げ塑性変形されるものであって、保護対象物の運動エネルギーの吸収を考慮していない、従来のロック機構を構成するためのストッパを形成する従来の曲げ塑性変形と、全く相違するものである。
【0046】
さらに、第1実施形態のアクチュエータ21では、支持ロッド部54の曲げ塑性変形時の曲げ方向を後方側へ案内可能とするように、支持ロッド部54を傾斜させるための傾斜付与手段C1を配設させている。この傾斜付与手段C1は、拡径収納部27に収納されたピストン部51の底部側外周縁52が本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止される際に、ピストンロッド50の軸方向PDをシリンダ22の軸方向CDに対して傾斜させ、そして、支持ロッド部54の傾斜方向に沿わせて、支持ロッド部54を曲げ易くするためのものである。そして、第1実施形態の傾斜付与手段C1では、ピストンロッド50の軸部56が摺動するシリンダ22の挿通孔32に、配設されている。
【0047】
そして、第1実施形態では、先端壁部31の挿通孔32がその内周面32aで曲げ塑性変形する支持ロッド部54を支持可能として、先端壁部31の挿通孔32における支持ロッド部54の曲げ塑性変形の方向である後方側だけに、張出凹部34を設けて、内周面32aを広げた先端壁部31の挿通孔32を、傾斜付与手段C1として構成している(図8参照)。このような構成では、まず、アクチュエータ21の作動時、ピストン部51が、拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させることとなる。その際に、支持ロッド部54は、先端壁部31の挿通孔32における内周面32aを広げた側の張出凹部34側に、容易に収納される。この支持ロッド部54の収納状態は、曲げ塑性変形する方向の後方側に傾斜する状態であり、支持ロッド部54とともに、ピストン部51も、その傾斜状態で、底部側外周縁52を、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させることとなる。
【0048】
そして、受止材としてのフードパネル10が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ歩行者を受け止めて、支持ロッド部54が、先端壁部31から突出した挿通孔32近傍の部位を屈曲点57として、曲げ塑性変形する際、支持ロッド部54における先端壁部31から突出している部位(突出部位)54aは、既に、先端壁部31の挿通孔32近傍の部位から支持ロッド部54の先端における頭部55側にかけて、曲げ方向側となる後方側に傾斜されている。そのため、フードパネル10を介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重Fが、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿って円滑に曲げ塑性変形することとなる。すなわち、支持ロッド部54が、一定の傾斜した後方側に沿って曲げ塑性変形することとなり、一層、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、歩行者の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。なお、上昇したフードパネル10の受面16aも、水平後方からの角度θF(図5参照)を、10〜15°としており、荷重Fが、受面16a付近を介在させて、斜め後下向きに、ピストンロッド50の頭部55に作用すれば、一層円滑に、支持ロッド部54は、後方側へ曲げ塑性変形されることとなる。
【0049】
さらにまた、このような構成では、ピストン部51も、シリンダ22の軸方向CDに対して傾斜して、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止されることから、ピストン部51の底部側外周縁52が、一層、離脱した本体部23における拡径収納部27側の開口24bに嵌り難くなり、ピストンロッド50の後退移動を安定して確実に規制できることとなる。
【0050】
また、第1実施形態のアクチュエータ21は、受止材としてのフードパネル10の後端10cを上昇させる跳ね上げ装置Uに使用され、そして、支持ロッド部54の曲げ塑性変形時の曲げ方向を、後方側とし、かつ、ピストンロッド50を上昇させるように、フードパネル10の後端10cの下方に配設されている。そのため、このような構成では、保護対象物としての歩行者が、フードパネル10の後端10c側に対して、上方から斜め後下方向に移動してくることから、支持ロッド部54が、前方側でなく後方側に曲げ塑性変形される構成であれば、その歩行者の移動方向に対して、支持ロッド部54の軸方向PDを正対させる虞れが無く、変形荷重値を増大させるような座屈変形を招くことなく、支持ロッド部54の変形を、曲げ塑性変形として安定させることができ、支持ロッド部54が、歩行者の運動エネルギーを安定して円滑に吸収することができる。
【0051】
なお、第1実施形態では、傾斜付与手段C1として、シリンダ22の先端壁部31に設けた挿通孔32の内周面32aから構成したが、この挿通孔32では、張出凹部34の内周面34a側を、傾斜させずに、上縁34bから挿通本体部33と平行に形成してもよい(図11のBの二点鎖線で示す内周面34a参照)。さらに、ピストン部51が拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51の底部側外周縁52が本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止される際に、シリンダ22の軸方向CDに対して、ピストンロッド50のピストン部51が、支持ロッド部54側を支持ロッド部54の曲げ方向側に傾斜させて、係止されれば、傾斜付与手段は、挿通孔32だけでなく、ピストンロッド50若しくはシリンダ22との相互の接触部位の少なくとも一方側に、配設することができる。
【0052】
例えば、図9,10に示す第2実施形態のアクチュエータ21Aのように、ピストン部51Aの底面51bとして、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側となる後方側の縁(後縁)51cを、支持ロッド部54側に接近させるように、シリンダ22の軸直交方向CVに沿う面から傾斜した傾斜面として、形成し、このピストン部51Aの底面51bを、傾斜付与手段C2として構成することができる。なお、この第2実施形態では、ピストン部51Aの底面51bが傾斜している点が、第1実施形態と相違しているだけであり、第2実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第2実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。
【0053】
この第2実施形態のアクチュエータ21Aでは、図9,10に示すように、作動時、ピストン部51Aが、拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51Aの底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させる際に、ピストン部51Aの底面51bが、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の後縁51cより先に、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の縁(前縁)51dを、まず、開口周縁25に接触させる。そのため、ピストン部51Aが、シリンダ22の軸方向CDに対して、支持ロッド部54を曲げ塑性変形させようとする方向の後方側に、傾斜し、その状態で、底部側外周縁52を、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させることとなる。そのため、この第2実施形態のアクチュエータ21Aでも、図示しないフードパネルを介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重が、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿う後方側へ円滑に曲げ塑性変形することとなる。
【0054】
また、図11,12に示す第3実施形態のアクチュエータ21Bのように、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bにおいて、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の縁(後縁)25bを、反対側の縁(前縁)25aより、後退移動側に下げるように、下方側に低く形成し、このような本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bを、傾斜付与手段C3として構成してもよい。なお、この第3実施形態では、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bが傾斜している点が、第1実施形態と相違しているだけであり、第3実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第3実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。付言すれば、第3実施形態のピストン部51は、円柱状として、両端面の底面51bと支持ロッド部54の軸部56を突設させた天井面51eとを、相互に平行とし、かつ、シリンダ22の軸直交方向CVと平行に配設させている。
【0055】
そして、この第3実施形態のアクチュエータ21Bでも、作動時、ピストン部51が、拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bに係止させる際に、ピストン部51の底面51bが、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の後縁51cより先に、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の前縁51dを、まず、開口周縁25の前縁25aに接触させる。そのため、ピストン部51が、シリンダ22の軸方向CDに対して、支持ロッド部54を曲げ塑性変形させようとする方向の後方側に傾斜し、そして、その状態で、底部側外周縁52を、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bに係止させることとなる。そのため、この第3実施形態のアクチュエータ21Bでも、図示しないフードパネルを介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重が、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿う後方側へ円滑に曲げ塑性変形することとなる。
【0056】
さらに、図13,14に示す第4実施形態のアクチュエータ21Cのように、上昇時のピストン部51の天井面51eが先端壁部31Cにおける拡径収納部27側となる下面31b側の挿通孔32の周縁(挿通孔周縁)35に当接可能な長さ寸法L1として、拡径収納部27を形成しておき、先端壁部31Cの下面31b側における挿通孔周縁35の構成として、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の縁(後縁)35bを、反対側の縁(前縁)35aより、後退移動側に下げるように、下方側へ突出させて形成して、先端壁部31Cにおける拡径収納部27側の挿通孔周縁35を、傾斜付与手段C4として構成してもよい。なお、この第4実施形態では、先端壁部31Cの拡径収納部27側の挿通孔周縁35が傾斜している点が、第1実施形態と相違しているだけであり、第4実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第4実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。付言すれば、第4実施形態のピストン部51も、円柱状として、両端面の底面51bと支持ロッド部54の軸部56を突設させた天井面51eとを、相互に平行とし、かつ、シリンダ22の軸直交方向CVと平行に配設させている。
【0057】
そして、この第4実施形態のアクチュエータ21Cでも、作動時、ピストン部51が、拡径収納部27に収納されて、先端壁部31Cにおける拡径収納部27側の挿通孔周縁35に当接する際、挿通孔周縁35における支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の後縁35b側が、反対側の前縁35a側を天井面51eの前縁51fに接触させるより先に、天井面51eの後縁51gに接触させることとなる。そのため、ピストン部51が、シリンダ22の軸方向CDに対して、支持ロッド部54を曲げ塑性変形させようとする方向の後側に傾斜し、その傾斜状態で、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させれば、ピストンロッド50が下降移動を規制され、かつ、支持ロッド部54は、曲げ塑性変形する側に、傾斜して配置可能となる。そのため、この第4実施形態のアクチュエータ21Cでも、図示しないフードパネルを介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重が、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿う後方側へ円滑に曲げ塑性変形することとなる。
【0058】
なお、第2〜4実施形態体のアクチュエータ21A,21B,21Cでは、それぞれ、傾斜付与手段C2〜C4と併用して、挿通孔32の内周面32aを後方側だけへ延ばした傾斜付与手段C1を使用した場合を示したが、これらの各実施形態では、傾斜付与手段C1を併用せずに、挿通孔32を、単に、傾斜時の支持ロッド部54の軸部56を支持可能として、後方側だけでなく、左右両側へ広げるように拡径させる構成としてもよい。
【0059】
また、各実施形態では、シリンダ22のピストン部51,51Aを摺動させる本体部23の摺動孔24の開口24bの内径寸法d0を、本体部23の全長にわたって、同一寸法とした場合を示した。しかし、図15,16に示す第5実施形態のアクチュエータ21Dのロック機構Rのように、本体部23Dの少なくとも拡径収納部27側の開口24bの形状が、本体部23Dから拡径収納部27に移動したピストン部51Dが本体部23D側へ挿入不能とするように、ピストン部51Dの底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されていればよい。この第5実施形態のアクチュエータ21Dは、本体部23Dの拡径収納部27側の開口周縁25から離れたガス発生器43側が、拡径され、本体部23Dが、開口周縁25の部位23bとその下方の部位23cとが別体で構成され、開口周縁25の部位23bが下方の部位23cより剛性の高い材料で形成されている点が、第1実施形態と相違するだけであり、第5実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第5実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。
【0060】
この第5実施形態のアクチュエータ21Dでも、作動時、ガス発生器43が作動用ガスGを吐出すれば、シリンダ22内の内圧が高まり、ピストンロッド50のピストン部51Dが、シリンダ22の本体部23Dを摺動しつつ上昇して、拡径収納部27に収納される。そしてその際、本体部23Dの拡径収納部27側の開口24bの形状が、本体部23Dから拡径収納部27に移動したピストン部51Dが本体部23D側へ挿入不能とするように、ピストン部51Dの底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されている。そのため、ピストン部51Dは、ピストン部51Dの底部側外周縁52を本体部23Dにおける拡径収納部27側の開口周縁25に係止させるロック機構Rの作用により、本体部23D側に戻ることなく、すなわち、下降を規制されることとなる。その結果、ピストン部51Dから延びる支持ロッド部54は、作動前の状態から拡径収納部27に収納されるまでのピストン部51Dの移動分の移動ストロークTSを、安定して確保でき、そして、図示しないフードパネルを安定して支持することができ、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。さらに、第5実施形態では、本体部23Dの下部側の部位23dが、拡径収納部27側の開口24bより拡径されており、ピストン部51Dとの摺動抵抗を低減させており、ピストン部51Dの移動速度を速めることができ、フードパネルを迅速に上昇させることが可能となる。
【0061】
また、各実施形態のアクチュエータ21,21A,21B,21C,21Dでは、前進移動を上昇させる移動とし、後退移動を下降させる移動とした場合を示したが、作動方向は、これに限定されず、例えば、水平方向の作動方向に本発明のアクチュエータを使用してもよく、また、本発明のアクチュエータが使用される自動車用安全装置は、フードパネル10を上昇させる跳ね上げ装置U以外でもよい。例えば、運転者や助手席の乗員の膝をニーパネルにより受け止める自動車用安全装置としての膝保護装置のアクチュエータに、本発明を適用してもよい。
【0062】
さらに、各実施形態のアクチュエータ21,21A,21B,21C,21Dでは、作動信号の入力時に着火させてガスを発生させるガス発生器43をシリンダ22の内部に配設させた場合を示したが、ピストンロッド50を移動させる駆動源として、水、油、空気等を作動用流体として、それらの水圧、油圧、エア圧等を利用して、ピストンロッド50を上昇させてもよい。
【0063】
さらに、ピストンロッドを前進移動させる駆動源としては、ソレノイドの吸引力を利用したり、圧縮させたばねの付勢力(復元力)等を利用することができる。例えば、ソレノイドの吸引力を利用する場合には、可動鉄心をピストンロッドとしてシリンダ内に配設し、シリンダ内の可動鉄心の周囲に配置させた励磁コイルに通電すれば、ピストンロッドを前進移動させることができる。また、ばねを利用する場合には、圧縮させたコイルばねの自由端側にピストンロッドを接続させるとともに、引き込み可能にソレノイド等から構成するストッパで、ピストンロッド若しくは圧縮コイルばねの先端を係止させておき、係止を解除させるようにストッパを引き込ませれば、ピストンロッドが圧縮コイルばねの復元する付勢力により、前進移動することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態のアクチュエータが使用される跳ね上げ装置(フード跳ね上げ装置)を搭載させた車両の斜視図である。
【図2】第1実施形態の跳ね上げ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
【図3】第1実施形態の跳ね上げ装置と車両のヒンジ部とを示す前後方向に沿った概略縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】第1実施形態の跳ね上げ装置の作動時を示す概略断面図である。
【図5】第1実施形態のフードパネルの跳ね上げ後におけるアクチュエータの支持ロッド部の塑性変形状態を示す概略図である。
【図6】第1実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図7】第1実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図8】第1実施形態のアクチュエータの部分拡大横断面図であり、図7のVIII−VIII部位に対応する。
【図9】第2実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図10】第2実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図11】第3実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図12】第3実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図13】第4実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図14】第4実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図15】第5実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図16】第5実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【符号の説明】
【0065】
10…フードパネル、
10c…後端、
21,21A,21B,21C,21D…アクチュエータ、
22…シリンダ、
23,23D…本体部、
24…摺動孔、
24b…開口、
25,25B…開口周縁、
27…拡径収納部、
31,31C…先端壁部、
32…挿通孔、
32a…内周面、
50…ピストンロッド、
51,51A,51D…ピストン部、
52…底部側外周縁、
54…支持ロッド部、
R…ロック機構、
G…作動用ガス、
V…車両、
U…フード跳ね上げ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用安全装置に使用されるアクチュエータに関し、例えば、保護対象物としての歩行者を受け止める際のフードパネルを持ち上げる等の作動に使用されるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される自動車用安全装置のアクチュエータとしては、フードパネルの塑性変形時のエネルギー吸収を利用して、フードパネル自体で歩行者を受け止めることができるように、フードパネルの後端側を上昇させるものがあった。具体的には、従来、アクチュエータとして、筒状のシリンダ内に配置されたピストンロッドを、シリンダ内に作動用流体を流入させることにより、移動させるピストンシリンダタイプとして構成されて、前進移動したピストンロッドの後退移動を規制するロック機構を備える構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のアクチュエータでは、ピストンロッドが、ピストン部と支持ロッド部とから構成され、ロック機構として、支持ロッド部におけるピストン部近傍の部位に、くびれ部を設けて、上昇移動後に、支持ロッド部を、くびれ部の部位で屈曲させ、屈曲部位をストッパとして作用させて、ピストンロッドの後退移動を規制していた。
【特許文献1】特開2002−29366公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のアクチュエータでは、支持ロッド部に強度を弱くしたくびれ部を設け、このくびれ部を屈曲させてストッパとすることにより、支持ロッド部の後退移動を規制する構成であることから、支持ロッド部の上昇移動後に、ストッパを形成するようにくびれ部が屈曲すれば、フードパネルが歩行者を受け止める際に、さらに、くびれ部が屈曲することが避けられない。すなわち、アクチュエータのピストンロッドがフードパネル等の受止材を安定して支持できず、フードパネル等の受止材によって歩行者を受け止めることができなくなって、フードパネル等の受止材が、歩行者の運動エネルギーを吸収しつつ受け止める挙動を、確保し難くなってしまう。
【0005】
さらに、従来のアクチュエータでは、支持ロッド部の上昇移動完了前に、シリンダ内でくびれ部が屈曲される虞れもあり、その場合には、ピストンロッドが所定の前進移動位置に配置されず、ピストンロッドの支持する受止材を所定位置に配置できなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作動時のピストンロッドが、所定の移動ストロークを安定して確保でき、かつ、受止材を安定して支持できるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアクチュエータは、自動車用安全装置に使用されて、
作動時、シリンダ内のピストン部とピストン部に連結されてシリンダ外へ突出する支持ロッド部とを有したピストンロッドを、前進移動させる構成とするとともに、
前進移動したピストンロッドの後退移動を規制するロック機構を備えて構成され、
シリンダから突出した支持ロッド部が、保護対象物を受け止めるための受止材を支持する構成のアクチュエータであって、
シリンダが、
前進移動するピストン部を摺動させる本体部と、
受止材側となる先端側に配設されて、支持ロッド部を挿通させ、かつ、ピストン部を挿通不能とする挿通孔を有した先端壁部と、
先端壁部と本体部との間に配設されて、本体部の内周面より拡径し、かつ、ピストン部の長さ寸法と同等以上の長さ寸法として、ピストン部を収納可能な拡径収納部と、
を備えて構成され、
本体部の少なくとも拡径収納部側の開口形状が、本体部から拡径収納部に移動したピストン部が本体部側へ挿入不能とするように、ピストン部の底部側外周縁の外形形状と、略同一に形成され、
ロック機構が、ピストン部の底部側外周縁と、本体部における拡径収納部側の開口周縁と、から構成されて、拡径収納部に収納されたピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させて、ピストンロッドの後退移動を規制する構成としていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るアクチュエータでは、作動時、ピストンロッドのピストン部が、シリンダの本体部を摺動しつつ前進移動して、拡径収納部に収納される。その際、本体部の少なくとも拡径収納部側の開口形状が、本体部から拡径収納部に移動したピストン部が本体部側へ挿入不能とするように、ピストン部の底部側外周縁の外形形状と、略同一に形成されている。そのため、ピストン部は、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させるロック機構の作用により、本体部側に戻ることなく、すなわち、後退移動を規制されることとなって、その結果、ピストン部から延びる支持ロッド部は、作動前の状態から拡径収納部に収納されるまでのピストン部の移動分の移動ストロークを、安定して確保でき、そして、受止材を安定して支持することとなる。
【0009】
したがって、本発明に係るアクチュエータでは、作動時のピストンロッドが、所定の移動ストロークを安定して確保でき、かつ、受止材を安定して支持することができる。さらに、ロック機構は、単に、ピストン部の底部側外周縁と本体部における拡径収納部側の開口周縁とを相互に対応させる形状によって、構成できることから、別途、新たな部品を使用することなく、アクチュエータの構成部品点数を増加させずに、簡便に構成することができる。
【0010】
そして、支持ロッド部は、前進移動後における受止材の保護対象物の受け止め時、保護対象物の運動エネルギーを吸収可能に、先端壁部から突出した挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形可能に、配設することが望ましい。
【0011】
このような構成では、受止材が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ保護対象物を受け止める際、支持ロッド部も、曲げ塑性変形することが可能となり、支持ロッド部が曲げ塑性変形すれば、支持ロッド部自体でも、保護対象物の運動エネルギーを吸収できることとなり、支持ロッド部が支持している受止材は、一層円滑に、保護対象物を受け止めることができる。特に、この曲げ塑性変形時、支持ロッド部は、先端壁部から突出した挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形するため、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、保護対象物の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。なお、この支持ロッド部の曲げ塑性変形は、従来のアクチュエータにおける支持ロッド部の絞り部を曲げる塑性変形と相違して、受止材を保護対象物を受け止める受止位置に受止材を配置させた後、その受止材を支持している状態で、所定以上の荷重が支持ロッド部に作用した際に、支持ロッド部が曲げ塑性変形されるものであって、保護対象物の運動エネルギーの吸収を考慮していない、従来のロック機構を構成するためのストッパを形成する従来の曲げ塑性変形と、全く相違するものである。
【0012】
そして、本発明に係るアクチュエータでは、支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を案内可能に、拡径収納部に収納されたピストン部の底部側外周縁が本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止される際に、ピストンロッドの軸方向をシリンダの軸方向に対して傾斜させて、支持ロッド部の傾斜方向に沿わせて支持ロッド部を曲げるための傾斜付与手段を、ピストンロッド若しくはシリンダとの相互の接触部位の少なくとも一方側に、配設することが望ましい。
【0013】
このような構成では、ピストン部が拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁が本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止される際に、傾斜付与手段により、シリンダの軸方向に対して、ピストンロッドのピストン部が、支持ロッド部側を支持ロッド部の曲げ方向側に傾斜させて、係止される。そして、受止材が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ保護対象物を受け止めて、支持ロッド部が、先端壁部から突出した挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形する際、支持ロッド部における先端壁部から突出している部位は、既に、先端壁部の挿通孔近傍の部位から支持ロッド部の先端側にかけて、曲げ方向側に傾斜されており、そのため、受止材を介在させて、保護対象物の荷重が、支持ロッド部に加われば、支持ロッド部は、屈曲点を屈曲させて、傾斜方向に沿って円滑に曲げ塑性変形することとなる。すなわち、支持ロッド部が、一定の傾斜した方向側に沿って曲げ塑性変形することとなり、一層、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、保護対象物の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。さらにまた、このような構成では、ピストン部も、シリンダの軸方向に対して傾斜して、シリンダの本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止されることから、ピストン部の底部側外周縁が、一層、離脱した本体部における拡径収納部側の開口に嵌り難くなり、ピストンロッドの後退移動を安定して確実に規制できることとなる。
【0014】
このような傾斜付与手段としては、次のようなものが例示できる。例えば、ピストン部の底面として、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、支持ロッド部側に接近させるように、シリンダの軸直交方向に沿う面から傾斜した傾斜面として、形成し、このようなピストン部の底面を、傾斜付与手段として構成することができる。このような構成では、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させる際に、ピストン部の底面が、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁より先に、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の縁を、まず、開口周縁に接触させる。そのため、ピストン部が、シリンダの軸方向に対して、支持ロッド部を曲げ塑性変形させようとする方向側に、傾斜し、その状態で、底部側外周縁を、本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させることとなる。
【0015】
また、本体部における拡径収納部側の開口周縁において、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成し、このような本体部における拡径収納部側の開口周縁を、傾斜付与手段として構成することができる。このような構成でも、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させる際に、ピストン部の底面が、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁より先に、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の縁を、まず、開口周縁に接触させる。そのため、ピストン部が、シリンダの軸方向に対して、支持ロッド部を曲げ塑性変形させようとする方向側に傾斜し、そして、その状態で、底部側外周縁を、本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させることとなる。
【0016】
さらに、前進移動時のピストン部を先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁に当接可能な長さ寸法として、拡径収納部を形成しておき、先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁として、支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成して、先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁を、傾斜付与手段として構成してもよい。このような構成でも、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、先端壁部における拡径収納部側の挿通孔周縁に当接する際、挿通孔の周縁における支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、先に、接触させる。そのため、ピストン部が、シリンダの軸方向に対して、支持ロッド部を曲げ塑性変形させようとする方向側に傾斜し、その傾斜状態で、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させれば、ピストンロッドが後退移動を規制され、かつ、支持ロッド部は、曲げ塑性変形する側に、傾斜して配置可能となる。
【0017】
さらに、先端壁部の挿通孔を、曲げ塑性変形時に支持ロッド部を支持可能として、支持ロッド部の曲げ塑性変形の方向に内周面を広げて配設し、先端壁部の挿通孔を、傾斜付与手段として構成してもよい。このような構成では、作動時、ピストン部が、拡径収納部に収納されて、ロック機構の作用により、ピストン部の底部側外周縁を本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させる際に、支持ロッド部は、先端壁部の挿通孔における内周面を広げた側に、容易に収納され、その支持ロッド部の収納状態は、曲げ塑性変形する方向に傾斜する状態であり、支持ロッド部とともに、ピストン部も、その傾斜状態で、底部側外周縁を、本体部における拡径収納部側の開口周縁に係止させることとなる。
【0018】
そして、自動車用安全装置が、受止材としてのフードパネルの後端を上昇させるフード跳ね上げ装置として構成される場合には、アクチュエータは、上記の支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を、後方側とし、かつ、ピストンロッドを上昇させるように、フードパネルの後端の下方に配設することが望ましい。このような構成では、保護対象物としての歩行者が、フードパネルの後端側に対して、上方から斜め後下方向に移動してくることから、支持ロッド部が、前方側でなく後方側に曲げ塑性変形される構成であれば、その歩行者の移動方向に対して、支持ロッド部の軸方向を正対させる虞れが無く、変形荷重値を増大させるような座屈変形を招くことなく、支持ロッド部の変形を、曲げ塑性変形として安定させることができ、支持ロッド部が、歩行者の運動エネルギーを安定して円滑に吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のアクチュエータ21が使用される自動車用安全装置は、フード跳ね上げ装置(以下「跳ね上げ装置」と省略する)Uであり、この跳ね上げ装置Uは、図1,2に示すように、車両Vにおけるフードパネル10の後端10c側における左縁10d付近と右縁10e付近とに配設されるもので、それぞれ、アクチュエータ21と、フードパネル10の後端10cの下面に配置される受け座16と、を備えて構成されている。そして、跳ね上げ装置Uは、作動時に、図3,4に示すように、アクチュエータ21がピストンロッド50を上昇させ、受け座16を介在させて、フードパネル10の後端10cを跳ね上げるように上昇させることとなる。
【0020】
なお、本明細書では、特に断らない限り、前後と上下の方向は、それぞれ、車両V(図1参照)の前後と上下の方向に一致し、左右の方向は、車両Vの前方側から後方側を見た際の左右の方向に一致させている。
【0021】
また、第1実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ5には、図1に示すように、歩行者との衝突を検知若しくは予測可能なセンサ6が、配設されており、センサ6からの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサ6からの信号に基づいて車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、跳ね上げ装置Uのアクチュエータ21における駆動源としてのガス発生器43(図6参照)を作動させるように、構成されている。
【0022】
さらに、フードパネル10は、図1,2に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端10c近傍に配置されるヒンジ部11により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル10は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製として、図3に示すように、上面側のアウタパネル10aと、下面側に位置してアウタパネル10aより強度を向上させたインナパネル10bと、から構成されている。フードパネル10は、歩行者を受け止めた際に、歩行者の運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に構成されている。そして、実施形態では、車両Vと歩行者との衝突時に、アクチュエータ21が作動されて、図4に示すように、上昇したフードパネル10の後端10cと、エンジンルームERと、の間に、変形スペースSを形成できることから、塑性変形時の塑性変形量を増大させることができる。
【0023】
ヒンジ部11は、フードパネル10の後端10c側における左縁10dと右縁10eとに配設され(図1参照)、それぞれ、ボディ1側のフードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2aに固定されるヒンジベース12と、フードパネル10側に固定されるヒンジアーム14と、を備えて構成されている(図3参照)。各ヒンジアーム14は、図3に示すように、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略半円弧状に湾曲させた形状として構成され、ヒンジベース12側の元部端14aが、支持軸13を利用してヒンジベース12に対して回動可能に連結されている。また、各ヒンジアーム14は、元部端14aから離れる先端14b側に、先端14bから前後方向に略沿うように延びる連結板部15を備え、この連結板部15が、フードパネル10の後端10cにおける下面側に溶接等を利用して結合されている。
【0024】
そして、実施形態の場合、連結板部15は、前部側の下面を、上昇時のピストンロッド50の先端(上端)50a(支持ロッド部54の頭部55)の当接部位15aとしている。すなわち、連結板部15の前部側は、ピストンロッド50の上端50aの受け座16となって、受け座16の下面が、上端50aの受面16aとしている(図3,4参照)。
【0025】
各支持軸13は、それらの軸方向を、車両Vの左右方向に沿わせるように、配設されている。そして、フードパネル10を開く際には、図3の実線から二点鎖線に示すように、左右の支持軸13を回転中心として、各ヒンジアーム14の先端14b側とともに、フードパネル10の前端10f側(図1参照)を前開きで上昇させれば、フードパネル10を前開きで開くことができる。
【0026】
また、ヒンジアーム14の先端14b付近には、下縁を略円形状に切り欠くように構成される切欠凹部14cが、形成されており、この切欠凹部14cの周囲の部位が、アクチュエータ21の作動時においてピストンロッド50がフードパネル10の後端10cを押し上げる際に、塑性変形する塑性変形部14dとして、フードパネル10の後端10cの上昇を可能にしている(図4参照)。なお、フードパネル10の前端10f側には、通常閉塞時として、前端10fに配置された図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構が配設されており、フードパネル10の後端10cの上昇時でも、フードパネル10の前端10fは、図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構により、ボディ1側から外れない。
【0027】
さらに、フードパネル10の後方には、図2,3に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方における合成樹脂製のカウルルーバ7bと、からなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウィンドシールド3の下部3a側に連ならせるように配設されている。また、フロントウィンドシールド3の左右には、図1,2に示すように、フロントピラー4,4が、配設されている。
【0028】
なお、カウルルーバ7bは、実施形態の場合、アクチュエータ21の上方を覆うアクチュエータカバー8を備え、アクチュエータカバー8は、カウルルーバ7bの他の一般部とともに、一体的に成形されている。アクチュエータカバー8は、左右のアクチュエータ21の上方に配置されて、円筒状のスリーブ部8aで囲まれたエリアに、作動時のアクチュエータ21における支持ロッド部54の頭部55に押されて開く扉部8b、を配設させて構成されている。カウルルーバ7bは、柔軟性を異ならせた部位を設けて成形されており、硬質部7cと、硬質部7cより柔軟性を有した軟質部7dと、を備えて構成され、軟質部7dは、既述のアクチュエータカバー8の扉部8bを含めたスリーブ部8a付近を構成している。
【0029】
第1実施形態のアクチュエータ21は、図3に示すように、フードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2bに対してボルト19止めされる断面U字形状の取付ブラケット18により保持されて、フードパネル10の後端10c側における左縁10d及び右縁10eの下方となる各ヒンジ部11の下方に配設されている。各アクチュエータ21は、図6に示すように、軸方向を上下方向に沿わせるように配置させて取付固定されるシリンダ22と、シリンダ22内に作動用流体としてのガスを流入させるガス発生器43と、シリンダ22から上方へ突出するように配設されるピストンロッド50と、前進移動後(上昇移動後)のピストンロッド50の後退移動(下降移動)を防止するロック機構Rと、を備えて構成されている。
【0030】
シリンダ22は、図6に示すように、上端側の先端壁部31と下端側の元部端壁部40との間に、ピストンロッド50のピストン部51を摺動させる本体部23と、上昇移動後のピストン部51を収納する拡径収納部27と、を配設させた略円筒状としている。拡径収納部27は、本体部23と先端壁部31との間に形成され、本体部23の上端に溶接等により固定された円筒状のスリーブ28の内周面側から構成されている。先端壁部31は、スリーブ28の上端に固定されたキャップ30に設けられている。元部端壁部40は、本体部23の下端に固定されたキャップ39に形成されている。
【0031】
本体部23は、ピストン部51の外形形状に対応した円形の開口24bを設けた摺動孔24を、上下方向に貫通させており、アクチュエータ21の作動時、ピストン部51が摺動孔24の内周面24aを摺動して、上昇(前進移動)することとなる。第1実施形態の場合、摺動孔24の内径寸法d0は、ガス発生器43によって急激に発生する作動用ガスGの圧力によってピストン部51が摺動可能な範囲内で、ピストン部51の外径寸法DPと略同等として、外径寸法DPより僅かに大きな寸法に設定されている(図7のA参照)。
【0032】
拡径収納部27は、ピストン部51の外径寸法DPより大きな内径寸法d1とした円柱状の空間を設けて構成され、さらに、ピストン部51を収納可能に、その長さ寸法L1も、ピストン部51の長さ寸法LPより、僅かに大きな寸法に設定されている。
【0033】
シリンダ22の本体部23の上端側に配置されるキャップ30は、シリンダ22の上端を塞ぐ先端壁部31を備えて構成され、下端側における外周面には、スリーブ28に設けられた雌ねじ28aを螺合させる雄ねじ30aを備えている。先端壁部31は、ピストンロッド50の支持ロッド部54を挿通させるための挿通孔32を、中央に配設させている。そして、キャップ30は、挿通孔32に支持ロッド部54の軸部56を挿通させた状態で、雄ねじ30aを雌ねじ28aに螺合させて、本体部23に固定されたスリーブ28に取り付けられている。
【0034】
挿通孔32は、先端壁部31の中央で上下方向に貫通するように配設されて、ピストンロッド50の軸部56を挿通可能で、かつ、ピストン部51を挿通不能に形成されている。第1実施形態の場合、挿通孔32は、軸部56を挿通可能な挿通本体部33と、車両Vの左右方向へ延ばすことなく、車両Vの後方側だけへ内周面32aを延ばした張出凹部34と、を備えて構成されている。張出凹部34は、その内周面(挿通孔32の内周面32aにおける後側面)34aを、軸部56を挿通可能でかつ支持可能に配設させている(図7,8参照)。そして、第1実施形態の場合、ピストンロッド50のピストン部51が、拡径収納部27に収納され、かつ、ロック機構Rでロックされた際、ピストンロッド50の軸心PCが、シリンダ22の軸心CCに対して、角度θPを約3〜5°(図例では5°)程度、上端50a側を後方側に向けて傾斜させるように、この張出凹部34は、傾斜させる角度θPと一致させるように、シリンダ22の軸心CCからの内周面34aの角度θHが、設定されている。すなわち、第1実施形態の場合、この張出凹部34は、傾斜付与手段C1を構成しており、支持ロッド部54の曲げ塑性変形時の曲げ方向を後方側へ案内可能に、ピストンロッド50がロック機構Rによってロックされた際、ピストンロッド50の軸方向PD(軸心PC)を、シリンダ22の軸方向CD(軸心CC)に対して、角度θP分、傾斜させることが可能となる。
【0035】
また、先端壁部31には、上端面31aに、ピストンロッド50の上端50aの円柱状の頭部55を収納可能な収納凹部36が形成されている。挿通孔32は、収納凹部36の底面36aに開口されている。また、収納凹部36の内周面36bには、凹溝36cが形成され、凹溝36cには、頭部55のガタツキを防止し、かつ、シリンダ22内への雨水の侵入を防止するOリング37が配設されている。
【0036】
本体部23の下端側に結合されるキャップ39は、図6に示すように、本体部23の下端側を塞ぐように配設される略円板状の元部端壁部40と、元部端壁部40の外周縁から上方に延びる略円筒状の周壁部41と、を備えて構成されている。元部端壁部40には、ガス発生器43のコネクタ44を挿通可能な挿通孔40aが、形成されている。周壁部41は、上端側内周面に、シリンダ22の本体部23における下端外周側に設けられた雄ねじ23aに螺合する雌ねじ34aを配設させている。キャップ39は、元部端壁部40における挿通孔40a周縁の部位と、周壁部41における下部側の部位と、を利用して、元部端壁部40にガス発生器43を取り付けた状態で、雌ねじ34aを雄ねじ23aに螺合させて、本体部23に取り付けられている。
【0037】
ガス発生器43としては、マイクロガスジェネレータが使用されており、ガス発生器43の下端面には、図示しない制御回路からの電気信号を入力させるリード線44aを結線させたコネクタ44が、配置されている(図6参照)。ガス発生器43は、リード線44aを経て、図示しない制御回路からの電気信号を入力させると、内蔵されている火薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させ、その作動用ガス(燃焼ガス)Gを作動用流体として、シリンダ22内のピストン部51の底面(下面)51b側へ供給することとなる。
【0038】
ピストンロッド50は、シリンダ22内に配置されるピストン部51と、ピストン部51から上方に延びる支持ロッド部54と、を備えて構成されている。ピストン部51は、シリンダ22の本体部23における摺動孔24の内周面24aに対して摺動可能な外径寸法DPを有した円柱状とされている。支持ロッド部54は、シリンダ22の軸方向(上下方向)PDに沿って配設される丸棒状の軸部56と、軸部56の上端側に配設されて軸部56より外径寸法を大径とした円柱状の頭部55と、を備えている。頭部55は、ピストンロッド50の上昇移動時に、フードパネル10側に設けられた受け座16の受面16aに当接して、フードパネル10の後端10cを上方に押し上げることとなる。ピストン部51は、底面51bと支持ロッド部54を延ばしている天井面51eとが、シリンダ22の軸直交方向CVに沿って、相互に平行に形成されている。
【0039】
なお、支持ロッド部54は、フードパネル10の後端10cを押し上げ完了位置(フードパネル10の歩行者の受止位置RP、図4参照)まで上昇(前進移動)して、ロック機構Rにロックされた際、先端壁部31から突出した挿通孔32の近傍の軸部56の部位を、屈曲点57として、曲げ塑性変形可能に、鋼等の金属材から構成されるもので、実施形態の場合、ピストン部51と一体的に構成されている(図7参照)。
【0040】
そして、第1実施形態のアクチュエータ21では、ロック機構Rが、ピストン部51の底部側外周縁52と、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25と、から構成されている。そして、本体部23の拡径収納部27側の開口24bの開口形状が、本体部23から拡径収納部27に移動したピストン部51が本体部23側へ挿入不能とするように、ピストン部51の底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されている。すなわち、第1実施形態の場合、ガス発生器43によって急激に発生する作動用ガスGの圧力によって、ピストン部51が本体部23の摺動孔24の内周面24aを摺動可能な範囲内で、開口24bの内径寸法d0が、ピストン部51の外径寸法DPと略同等として、設定されている。そのため、このロック機構Rでは、ピストン部51が、ガス発生器43によって急激に発生する作動用ガスGの圧力によって、本体部23の摺動孔24の内周面24aを摺動して、摺動孔24から離脱し、そして、拡径収納部27に収納されれば、底部側外周縁52が、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止されて、ピストンロッド50の下降(後退移動)を規制することとなる。
【0041】
なお、ピストン部51の底部側外周縁52は、ピストン部51の外周面51aと底面51bとの境界付近を指すものであり、外周面51a側だけ、あるいは、底面51b側だけ、に限るものではない。同様に、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25も、摺動孔24の内周面24aと拡径収納部27の底面27a(本体部23の上端面)との境界付近を指すものであり、内周面24a側だけ、あるいは、底面27a側だけ、に限るものではない。
【0042】
第1実施形態の跳ね上げ装置Uでは、センサ6からの信号により、図示しない作動回路が、車両Vの歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータ21におけるガス発生器43が作動されることとなり、シリンダ22内にガス発生器43から発生した作動用ガスが流入されれば、図6のA,Bに示すように、シリンダ22内の内圧が高まり、ピストンロッド50のシリンダ22内のピストン部51がその圧力を受けて、ピストンロッド50の支持ロッド部54とともに上昇する。そして、支持ロッド部54が、図3,4に示すように、アクチュエータカバー8の扉部8bを押し開き、さらに、頭部55を受け座16の受面16aに押し当ててフードパネル10の後端10cを上昇させ、そして、ピストン部51が拡径収納部27内に収納されて、ピストンロッド50が上昇完了位置(前進完了位置)UPに配置されれば(図6のB参照)、ピストン部51の底部側外周縁52が、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止されて、ピストンロッド50の下降(後退移動)が規制されてロックされる。そして、フードパネル10が、上方から斜め後下方向に移動する歩行者を受け止めて塑性変形するととともに、歩行者の受け止め時におけるフードパネル10の後端10c下面(受け面)16aの下降に伴って、フードパネル10の受面16aに上端50aの頭部55を当接させていた支持ロッド部54が、図5に示すように、屈曲点57から上方の頭部55側を後方側へ折曲させるように、曲げ塑性変形することから、歩行者は、フードパネル10の塑性変形と支持ロッド部54の塑性変形とによって、運動エネルギーを多く吸収され、好適にフードパネル10に受け止められることとなる。
【0043】
そして、第1実施形態の場合、ピストン部51が拡径収納部27に収納された際、図7のA,Bに示すように、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口24bの形状が、本体部23から拡径収納部27に移動したピストン部51が本体部23側へ挿入不能とするように、ピストン部51の底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されており、ピストン部51は、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23おける拡径収納部27側の開口周縁25に係止させるロック機構Rの作用により、本体部23側に戻ることなく、すなわち、下降(後退移動)を規制されることとなって、ピストン部51から延びる支持ロッド部54が、作動前の状態から拡径収納部27に収納されるまでのピストン部51の移動分の移動ストロークTS(図4,6のB参照)を、安定して確保でき、そして、受止材としてのフードパネル10を安定して支持することとなる。
【0044】
したがって、第1実施形態のアクチュエータ21では、作動時のピストンロッド50が、所定の移動ストロークTSを安定して確保でき、かつ、受止材としてのフードパネル10を安定して支持することができる。さらに、ロック機構Rは、単に、ピストン部51の底部側外周縁52と本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25とを相互に対応させる形状によって、構成できることから、別途、新たな部品を使用することなく、アクチュエータ21の構成部品点数を増加させずに、簡便に構成することができる。
【0045】
そして、第1実施形態では、受止材としてのフードパネル10が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ保護対象物としての歩行者を受け止める際、支持ロッド部54も、曲げ塑性変形し、支持ロッド部54が曲げ塑性変形すれば、支持ロッド部54自体でも、歩行者の運動エネルギーを吸収できて、支持ロッド部54が支持しているフードパネル10は、一層円滑に、歩行者を受け止めることができる。特に、この曲げ塑性変形時、支持ロッド部54は、先端壁部31から突出した挿通孔32近傍の部位を屈曲点57として、曲げ塑性変形するため、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、歩行者の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。なお、この支持ロッド部54の曲げ塑性変形は、従来のアクチュエータにおける支持ロッド部の絞り部を曲げる塑性変形と相違して、図4,5に示すように、フードパネル10を歩行者を受け止める受止位置RPにフードパネル10を配置させた後、そのフードパネル10を支持している状態で、所定以上の荷重Fが支持ロッド部54に作用した際に、支持ロッド部54が曲げ塑性変形されるものであって、保護対象物の運動エネルギーの吸収を考慮していない、従来のロック機構を構成するためのストッパを形成する従来の曲げ塑性変形と、全く相違するものである。
【0046】
さらに、第1実施形態のアクチュエータ21では、支持ロッド部54の曲げ塑性変形時の曲げ方向を後方側へ案内可能とするように、支持ロッド部54を傾斜させるための傾斜付与手段C1を配設させている。この傾斜付与手段C1は、拡径収納部27に収納されたピストン部51の底部側外周縁52が本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止される際に、ピストンロッド50の軸方向PDをシリンダ22の軸方向CDに対して傾斜させ、そして、支持ロッド部54の傾斜方向に沿わせて、支持ロッド部54を曲げ易くするためのものである。そして、第1実施形態の傾斜付与手段C1では、ピストンロッド50の軸部56が摺動するシリンダ22の挿通孔32に、配設されている。
【0047】
そして、第1実施形態では、先端壁部31の挿通孔32がその内周面32aで曲げ塑性変形する支持ロッド部54を支持可能として、先端壁部31の挿通孔32における支持ロッド部54の曲げ塑性変形の方向である後方側だけに、張出凹部34を設けて、内周面32aを広げた先端壁部31の挿通孔32を、傾斜付与手段C1として構成している(図8参照)。このような構成では、まず、アクチュエータ21の作動時、ピストン部51が、拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させることとなる。その際に、支持ロッド部54は、先端壁部31の挿通孔32における内周面32aを広げた側の張出凹部34側に、容易に収納される。この支持ロッド部54の収納状態は、曲げ塑性変形する方向の後方側に傾斜する状態であり、支持ロッド部54とともに、ピストン部51も、その傾斜状態で、底部側外周縁52を、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させることとなる。
【0048】
そして、受止材としてのフードパネル10が塑性変形して運動エネルギーを吸収しつつ歩行者を受け止めて、支持ロッド部54が、先端壁部31から突出した挿通孔32近傍の部位を屈曲点57として、曲げ塑性変形する際、支持ロッド部54における先端壁部31から突出している部位(突出部位)54aは、既に、先端壁部31の挿通孔32近傍の部位から支持ロッド部54の先端における頭部55側にかけて、曲げ方向側となる後方側に傾斜されている。そのため、フードパネル10を介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重Fが、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿って円滑に曲げ塑性変形することとなる。すなわち、支持ロッド部54が、一定の傾斜した後方側に沿って曲げ塑性変形することとなり、一層、安定した塑性変形モードで塑性変形できて、歩行者の運動エネルギーの吸収量を安定させることができる。なお、上昇したフードパネル10の受面16aも、水平後方からの角度θF(図5参照)を、10〜15°としており、荷重Fが、受面16a付近を介在させて、斜め後下向きに、ピストンロッド50の頭部55に作用すれば、一層円滑に、支持ロッド部54は、後方側へ曲げ塑性変形されることとなる。
【0049】
さらにまた、このような構成では、ピストン部51も、シリンダ22の軸方向CDに対して傾斜して、シリンダ22の本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止されることから、ピストン部51の底部側外周縁52が、一層、離脱した本体部23における拡径収納部27側の開口24bに嵌り難くなり、ピストンロッド50の後退移動を安定して確実に規制できることとなる。
【0050】
また、第1実施形態のアクチュエータ21は、受止材としてのフードパネル10の後端10cを上昇させる跳ね上げ装置Uに使用され、そして、支持ロッド部54の曲げ塑性変形時の曲げ方向を、後方側とし、かつ、ピストンロッド50を上昇させるように、フードパネル10の後端10cの下方に配設されている。そのため、このような構成では、保護対象物としての歩行者が、フードパネル10の後端10c側に対して、上方から斜め後下方向に移動してくることから、支持ロッド部54が、前方側でなく後方側に曲げ塑性変形される構成であれば、その歩行者の移動方向に対して、支持ロッド部54の軸方向PDを正対させる虞れが無く、変形荷重値を増大させるような座屈変形を招くことなく、支持ロッド部54の変形を、曲げ塑性変形として安定させることができ、支持ロッド部54が、歩行者の運動エネルギーを安定して円滑に吸収することができる。
【0051】
なお、第1実施形態では、傾斜付与手段C1として、シリンダ22の先端壁部31に設けた挿通孔32の内周面32aから構成したが、この挿通孔32では、張出凹部34の内周面34a側を、傾斜させずに、上縁34bから挿通本体部33と平行に形成してもよい(図11のBの二点鎖線で示す内周面34a参照)。さらに、ピストン部51が拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51の底部側外周縁52が本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止される際に、シリンダ22の軸方向CDに対して、ピストンロッド50のピストン部51が、支持ロッド部54側を支持ロッド部54の曲げ方向側に傾斜させて、係止されれば、傾斜付与手段は、挿通孔32だけでなく、ピストンロッド50若しくはシリンダ22との相互の接触部位の少なくとも一方側に、配設することができる。
【0052】
例えば、図9,10に示す第2実施形態のアクチュエータ21Aのように、ピストン部51Aの底面51bとして、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側となる後方側の縁(後縁)51cを、支持ロッド部54側に接近させるように、シリンダ22の軸直交方向CVに沿う面から傾斜した傾斜面として、形成し、このピストン部51Aの底面51bを、傾斜付与手段C2として構成することができる。なお、この第2実施形態では、ピストン部51Aの底面51bが傾斜している点が、第1実施形態と相違しているだけであり、第2実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第2実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。
【0053】
この第2実施形態のアクチュエータ21Aでは、図9,10に示すように、作動時、ピストン部51Aが、拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51Aの底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させる際に、ピストン部51Aの底面51bが、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の後縁51cより先に、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の縁(前縁)51dを、まず、開口周縁25に接触させる。そのため、ピストン部51Aが、シリンダ22の軸方向CDに対して、支持ロッド部54を曲げ塑性変形させようとする方向の後方側に、傾斜し、その状態で、底部側外周縁52を、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させることとなる。そのため、この第2実施形態のアクチュエータ21Aでも、図示しないフードパネルを介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重が、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿う後方側へ円滑に曲げ塑性変形することとなる。
【0054】
また、図11,12に示す第3実施形態のアクチュエータ21Bのように、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bにおいて、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の縁(後縁)25bを、反対側の縁(前縁)25aより、後退移動側に下げるように、下方側に低く形成し、このような本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bを、傾斜付与手段C3として構成してもよい。なお、この第3実施形態では、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bが傾斜している点が、第1実施形態と相違しているだけであり、第3実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第3実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。付言すれば、第3実施形態のピストン部51は、円柱状として、両端面の底面51bと支持ロッド部54の軸部56を突設させた天井面51eとを、相互に平行とし、かつ、シリンダ22の軸直交方向CVと平行に配設させている。
【0055】
そして、この第3実施形態のアクチュエータ21Bでも、作動時、ピストン部51が、拡径収納部27に収納されて、ロック機構Rの作用により、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bに係止させる際に、ピストン部51の底面51bが、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の後縁51cより先に、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側から離れた反対側の前縁51dを、まず、開口周縁25の前縁25aに接触させる。そのため、ピストン部51が、シリンダ22の軸方向CDに対して、支持ロッド部54を曲げ塑性変形させようとする方向の後方側に傾斜し、そして、その状態で、底部側外周縁52を、本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25Bに係止させることとなる。そのため、この第3実施形態のアクチュエータ21Bでも、図示しないフードパネルを介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重が、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿う後方側へ円滑に曲げ塑性変形することとなる。
【0056】
さらに、図13,14に示す第4実施形態のアクチュエータ21Cのように、上昇時のピストン部51の天井面51eが先端壁部31Cにおける拡径収納部27側となる下面31b側の挿通孔32の周縁(挿通孔周縁)35に当接可能な長さ寸法L1として、拡径収納部27を形成しておき、先端壁部31Cの下面31b側における挿通孔周縁35の構成として、支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の縁(後縁)35bを、反対側の縁(前縁)35aより、後退移動側に下げるように、下方側へ突出させて形成して、先端壁部31Cにおける拡径収納部27側の挿通孔周縁35を、傾斜付与手段C4として構成してもよい。なお、この第4実施形態では、先端壁部31Cの拡径収納部27側の挿通孔周縁35が傾斜している点が、第1実施形態と相違しているだけであり、第4実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第4実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。付言すれば、第4実施形態のピストン部51も、円柱状として、両端面の底面51bと支持ロッド部54の軸部56を突設させた天井面51eとを、相互に平行とし、かつ、シリンダ22の軸直交方向CVと平行に配設させている。
【0057】
そして、この第4実施形態のアクチュエータ21Cでも、作動時、ピストン部51が、拡径収納部27に収納されて、先端壁部31Cにおける拡径収納部27側の挿通孔周縁35に当接する際、挿通孔周縁35における支持ロッド部54の曲げ塑性変形方向側の後縁35b側が、反対側の前縁35a側を天井面51eの前縁51fに接触させるより先に、天井面51eの後縁51gに接触させることとなる。そのため、ピストン部51が、シリンダ22の軸方向CDに対して、支持ロッド部54を曲げ塑性変形させようとする方向の後側に傾斜し、その傾斜状態で、ピストン部51の底部側外周縁52を本体部23における拡径収納部27側の開口周縁25に係止させれば、ピストンロッド50が下降移動を規制され、かつ、支持ロッド部54は、曲げ塑性変形する側に、傾斜して配置可能となる。そのため、この第4実施形態のアクチュエータ21Cでも、図示しないフードパネルを介在させて、上方から斜め後下方向に向かう歩行者の荷重が、支持ロッド部54に加われば、支持ロッド部54は、屈曲点57を屈曲させて、傾斜方向に沿う後方側へ円滑に曲げ塑性変形することとなる。
【0058】
なお、第2〜4実施形態体のアクチュエータ21A,21B,21Cでは、それぞれ、傾斜付与手段C2〜C4と併用して、挿通孔32の内周面32aを後方側だけへ延ばした傾斜付与手段C1を使用した場合を示したが、これらの各実施形態では、傾斜付与手段C1を併用せずに、挿通孔32を、単に、傾斜時の支持ロッド部54の軸部56を支持可能として、後方側だけでなく、左右両側へ広げるように拡径させる構成としてもよい。
【0059】
また、各実施形態では、シリンダ22のピストン部51,51Aを摺動させる本体部23の摺動孔24の開口24bの内径寸法d0を、本体部23の全長にわたって、同一寸法とした場合を示した。しかし、図15,16に示す第5実施形態のアクチュエータ21Dのロック機構Rのように、本体部23Dの少なくとも拡径収納部27側の開口24bの形状が、本体部23Dから拡径収納部27に移動したピストン部51Dが本体部23D側へ挿入不能とするように、ピストン部51Dの底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されていればよい。この第5実施形態のアクチュエータ21Dは、本体部23Dの拡径収納部27側の開口周縁25から離れたガス発生器43側が、拡径され、本体部23Dが、開口周縁25の部位23bとその下方の部位23cとが別体で構成され、開口周縁25の部位23bが下方の部位23cより剛性の高い材料で形成されている点が、第1実施形態と相違するだけであり、第5実施形態の他の部位・部品は、第1実施形態と同様であり、第5実施形態における第1実施形態と同様な部位・部品には、第1実施形態と同じ符号を付して、説明を省略する。
【0060】
この第5実施形態のアクチュエータ21Dでも、作動時、ガス発生器43が作動用ガスGを吐出すれば、シリンダ22内の内圧が高まり、ピストンロッド50のピストン部51Dが、シリンダ22の本体部23Dを摺動しつつ上昇して、拡径収納部27に収納される。そしてその際、本体部23Dの拡径収納部27側の開口24bの形状が、本体部23Dから拡径収納部27に移動したピストン部51Dが本体部23D側へ挿入不能とするように、ピストン部51Dの底部側外周縁52の外形形状と、略同一に形成されている。そのため、ピストン部51Dは、ピストン部51Dの底部側外周縁52を本体部23Dにおける拡径収納部27側の開口周縁25に係止させるロック機構Rの作用により、本体部23D側に戻ることなく、すなわち、下降を規制されることとなる。その結果、ピストン部51Dから延びる支持ロッド部54は、作動前の状態から拡径収納部27に収納されるまでのピストン部51Dの移動分の移動ストロークTSを、安定して確保でき、そして、図示しないフードパネルを安定して支持することができ、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。さらに、第5実施形態では、本体部23Dの下部側の部位23dが、拡径収納部27側の開口24bより拡径されており、ピストン部51Dとの摺動抵抗を低減させており、ピストン部51Dの移動速度を速めることができ、フードパネルを迅速に上昇させることが可能となる。
【0061】
また、各実施形態のアクチュエータ21,21A,21B,21C,21Dでは、前進移動を上昇させる移動とし、後退移動を下降させる移動とした場合を示したが、作動方向は、これに限定されず、例えば、水平方向の作動方向に本発明のアクチュエータを使用してもよく、また、本発明のアクチュエータが使用される自動車用安全装置は、フードパネル10を上昇させる跳ね上げ装置U以外でもよい。例えば、運転者や助手席の乗員の膝をニーパネルにより受け止める自動車用安全装置としての膝保護装置のアクチュエータに、本発明を適用してもよい。
【0062】
さらに、各実施形態のアクチュエータ21,21A,21B,21C,21Dでは、作動信号の入力時に着火させてガスを発生させるガス発生器43をシリンダ22の内部に配設させた場合を示したが、ピストンロッド50を移動させる駆動源として、水、油、空気等を作動用流体として、それらの水圧、油圧、エア圧等を利用して、ピストンロッド50を上昇させてもよい。
【0063】
さらに、ピストンロッドを前進移動させる駆動源としては、ソレノイドの吸引力を利用したり、圧縮させたばねの付勢力(復元力)等を利用することができる。例えば、ソレノイドの吸引力を利用する場合には、可動鉄心をピストンロッドとしてシリンダ内に配設し、シリンダ内の可動鉄心の周囲に配置させた励磁コイルに通電すれば、ピストンロッドを前進移動させることができる。また、ばねを利用する場合には、圧縮させたコイルばねの自由端側にピストンロッドを接続させるとともに、引き込み可能にソレノイド等から構成するストッパで、ピストンロッド若しくは圧縮コイルばねの先端を係止させておき、係止を解除させるようにストッパを引き込ませれば、ピストンロッドが圧縮コイルばねの復元する付勢力により、前進移動することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態のアクチュエータが使用される跳ね上げ装置(フード跳ね上げ装置)を搭載させた車両の斜視図である。
【図2】第1実施形態の跳ね上げ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
【図3】第1実施形態の跳ね上げ装置と車両のヒンジ部とを示す前後方向に沿った概略縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】第1実施形態の跳ね上げ装置の作動時を示す概略断面図である。
【図5】第1実施形態のフードパネルの跳ね上げ後におけるアクチュエータの支持ロッド部の塑性変形状態を示す概略図である。
【図6】第1実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図7】第1実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図8】第1実施形態のアクチュエータの部分拡大横断面図であり、図7のVIII−VIII部位に対応する。
【図9】第2実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図10】第2実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図11】第3実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図12】第3実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図13】第4実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図14】第4実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【図15】第5実施形態のアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図16】第5実施形態のアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を説明する作動前と作動完了時とを示す。
【符号の説明】
【0065】
10…フードパネル、
10c…後端、
21,21A,21B,21C,21D…アクチュエータ、
22…シリンダ、
23,23D…本体部、
24…摺動孔、
24b…開口、
25,25B…開口周縁、
27…拡径収納部、
31,31C…先端壁部、
32…挿通孔、
32a…内周面、
50…ピストンロッド、
51,51A,51D…ピストン部、
52…底部側外周縁、
54…支持ロッド部、
R…ロック機構、
G…作動用ガス、
V…車両、
U…フード跳ね上げ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用安全装置に使用されて、
作動時、前記シリンダ内のピストン部と該ピストン部に連結されて前記シリンダ外へ突出する支持ロッド部とを有したピストンロッドを、前進移動させる構成とするとともに、
前進移動した前記ピストンロッドの後退移動を規制するロック機構を備えて構成され、
前記シリンダから突出した前記支持ロッド部が、保護対象物を受け止めるための受止材を支持する構成のアクチュエータであって、
前記シリンダが、
前進移動する前記ピストン部を摺動させる本体部と、
前記受止材側となる先端側に配設されて、前記支持ロッド部を挿通させ、かつ、前記ピストン部を挿通不能とする挿通孔を有した先端壁部と、
該先端壁部と前記本体部との間に配設されて、前記本体部の内周面より拡径し、かつ、前記ピストン部の長さ寸法と同等以上の長さ寸法として、前記ピストン部を収納可能な拡径収納部と、
を備えて構成され、
前記本体部の少なくとも前記拡径収納部側の開口形状が、前記本体部から前記拡径収納部に移動した前記ピストン部が前記本体部側へ挿入不能とするように、前記ピストン部の底部側外周縁の外形形状と、略同一に形成され、
前記ロック機構が、前記ピストン部の底部側外周縁と、前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁と、から構成されて、前記拡径収納部に収納された前記ピストン部の底部側外周縁を前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁に係止させて、前記ピストンロッドの後退移動を規制する構成としていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記支持ロッド部が、前進移動後における前記受止材の前記保護対象物の受け止め時、前記保護対象物の運動エネルギーを吸収可能に、前記先端壁部から突出した前記挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形可能に、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を案内可能に、前記拡径収納部に収納された前記ピストン部の底部側外周縁が前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁に係止される際に、前記ピストンロッドの軸方向を前記シリンダの軸方向に対して傾斜させて、前記支持ロッド部の傾斜方向に沿わせて前記支持ロッド部を曲げるための傾斜付与手段が、前記ピストンロッド若しくは前記シリンダとの相互の接触部位の少なくとも一方側に、配設されていることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ピストン部の底面が、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、前記支持ロッド部側に接近させるように、前記シリンダの軸直交方向に沿う面から傾斜した傾斜面として、形成され、
前記ピストン部の底面が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁が、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成され、
前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記拡径収納部が、前進移動時の前記ピストン部を、前記先端壁部における前記拡径収納部側の前記挿通孔周縁に当接可能な長さ寸法として、形成されるとともに、
前記先端壁部における前記拡径収納部側の前記挿通孔周縁が、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成され、
前記先端壁部における前記拡径収納部側の前記挿通孔周縁が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記先端壁部の前記挿通孔が、曲げ塑性変形時に前記支持ロッド部を支持可能として、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形の方向に、内周面を広げて、配設され、
前記先端壁部の前記挿通孔が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記自動車用安全装置が、前記受止材としてのフードパネルの後端を上昇させるフード跳ね上げ装置として構成され、
前記支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を、後方側とし、かつ、前記ピストンロッドを上昇させるように、前記フードパネルの後端の下方に配設されていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項1】
自動車用安全装置に使用されて、
作動時、前記シリンダ内のピストン部と該ピストン部に連結されて前記シリンダ外へ突出する支持ロッド部とを有したピストンロッドを、前進移動させる構成とするとともに、
前進移動した前記ピストンロッドの後退移動を規制するロック機構を備えて構成され、
前記シリンダから突出した前記支持ロッド部が、保護対象物を受け止めるための受止材を支持する構成のアクチュエータであって、
前記シリンダが、
前進移動する前記ピストン部を摺動させる本体部と、
前記受止材側となる先端側に配設されて、前記支持ロッド部を挿通させ、かつ、前記ピストン部を挿通不能とする挿通孔を有した先端壁部と、
該先端壁部と前記本体部との間に配設されて、前記本体部の内周面より拡径し、かつ、前記ピストン部の長さ寸法と同等以上の長さ寸法として、前記ピストン部を収納可能な拡径収納部と、
を備えて構成され、
前記本体部の少なくとも前記拡径収納部側の開口形状が、前記本体部から前記拡径収納部に移動した前記ピストン部が前記本体部側へ挿入不能とするように、前記ピストン部の底部側外周縁の外形形状と、略同一に形成され、
前記ロック機構が、前記ピストン部の底部側外周縁と、前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁と、から構成されて、前記拡径収納部に収納された前記ピストン部の底部側外周縁を前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁に係止させて、前記ピストンロッドの後退移動を規制する構成としていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記支持ロッド部が、前進移動後における前記受止材の前記保護対象物の受け止め時、前記保護対象物の運動エネルギーを吸収可能に、前記先端壁部から突出した前記挿通孔近傍の部位を屈曲点として、曲げ塑性変形可能に、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を案内可能に、前記拡径収納部に収納された前記ピストン部の底部側外周縁が前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁に係止される際に、前記ピストンロッドの軸方向を前記シリンダの軸方向に対して傾斜させて、前記支持ロッド部の傾斜方向に沿わせて前記支持ロッド部を曲げるための傾斜付与手段が、前記ピストンロッド若しくは前記シリンダとの相互の接触部位の少なくとも一方側に、配設されていることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ピストン部の底面が、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、前記支持ロッド部側に接近させるように、前記シリンダの軸直交方向に沿う面から傾斜した傾斜面として、形成され、
前記ピストン部の底面が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁が、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成され、
前記本体部における前記拡径収納部側の開口周縁が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記拡径収納部が、前進移動時の前記ピストン部を、前記先端壁部における前記拡径収納部側の前記挿通孔周縁に当接可能な長さ寸法として、形成されるとともに、
前記先端壁部における前記拡径収納部側の前記挿通孔周縁が、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形方向側の縁を、反対側の縁より、後退移動側に下げるように、形成され、
前記先端壁部における前記拡径収納部側の前記挿通孔周縁が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記先端壁部の前記挿通孔が、曲げ塑性変形時に前記支持ロッド部を支持可能として、前記支持ロッド部の曲げ塑性変形の方向に、内周面を広げて、配設され、
前記先端壁部の前記挿通孔が、前記傾斜付与手段として構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記自動車用安全装置が、前記受止材としてのフードパネルの後端を上昇させるフード跳ね上げ装置として構成され、
前記支持ロッド部の曲げ塑性変形時の曲げ方向を、後方側とし、かつ、前記ピストンロッドを上昇させるように、前記フードパネルの後端の下方に配設されていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−208696(P2009−208696A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55555(P2008−55555)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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