説明

アシル化アミノプロパンジオール並びにその窒素及び硫黄含有類似物の使用

本発明は、分子の使用、特にヒト及び動物の健康及び化粧品の分野における使用に関する。より詳細には、本発明は、アシル化アミノプロパンジオールであり、有利な化粧用及び薬理学的特性を有する化合物、並びにその硫黄及び窒素類似物に関する。本発明の化合物は、例えば、異常脂肪血症、心血管疾患、X症候群、再狭窄、糖尿病、肥満、高血圧、幾つかの癌及び皮膚疾患の予防及び/又は治療のため、並びに化粧品の分野では、皮膚の老化及びしわの出現のようなその影響と戦うために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシル化アミノプロパンジオール誘導体並びにその窒素−及び硫黄含有類似物、それを含有する医薬及び化粧品組成物の使用、特に心血管疾患、X症候群、再狭窄、糖尿病、肥満、高血圧、いくつかの癌、皮膚疾患の予防又は治療、並びに化粧品の分野においては、皮膚の老化作用、特にしわの発生などの予防又は治療におけるその治療上の用途に関する。
【0002】
特に本発明の化合物は、有利な抗酸化剤及び抗炎症医薬特性を有する。本発明は、また、該化合物及びそれを含む医薬及び化粧品組成物を使用する治療的処置の方法を記載する。
【0003】
アテローム動脈硬化及びその心血管合併症は、高度な工業国における疾病及び死亡の主な原因である。アテローム動脈硬化及びその合併症はまた、II型糖尿病の重大な帰結である。異常脂肪血症と心血管疾患の間に、明確な因果関係が証明されている。循環血中LDL−コレステロール濃度の上昇は好ましくない。高LDL−コレステロールに伴うリスクは、トリグリセリド濃度の上昇により増幅される。心血管発作の発生におけるアテローム動脈硬化病変の安定性の重要性もまた証明されている。アテローム斑の発生及びその衰えにおけるLDL酸化の役割は、理解が進んでいる。
【0004】
アテローム動脈硬化の薬物治療は、コレステロール及びトリグリセリドの循環血中濃度の低下、アテローム斑の安定性の増加、血管への機械的拘束の低減(血圧の低下)並びに糖尿病のような付帯的危険因子の縮小を目的とする。
【0005】
フィブラート類(fibrates)及びスタチン類(statins)は、異常脂肪血症の治療において現在使用されている医薬の中に含まれる。メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン類は、II型糖尿病の治療に使用される。
【0006】
フィブラート類は、高トリグリセリド血症の治療に広く使用されている。これらはまた、高コレステロール血症に及ぼす有益な作用を持つ。一般に、これらは耐用性が良好であるが、皮膚反応、神経作用、筋肉及び胃腸作用のような副作用を引き起こすこともある。毒性は稀である(腎、筋肉、関節、皮膚、肝炎など)。これらの発癌可能性は、齧歯類では高いが、ヒトでは証明されていない。
【0007】
スタチン類は、高コレステロール血症の治療に広く使用されている。最初の血管発作を起こした患者を治療すると、再発のリスクはかなり低下することが証明されている。肝炎又はミオパシーの徴候又は症候が時折報告されている。
【0008】
チアゾリジンジオン類(トログリタゾン(troglitazone))は最近、インスリン抵抗性の治療に関して用いられるようになった。このため、市販後経験は、これらの薬物の完全な有害作用プロフィールの客観的評価を行うには不十分である。これに関連して、結腸癌に罹りやすい動物モデル(APC遺伝子突然変異を持つミン(Min)マウス)において、結腸腫瘍の頻度の増加が観測されたことは好ましくない。更に、1つのチアゾリジンジオン(トログリタゾン)が、肝毒性の問題のため、極めて最近になって市場から撤退した。
【0009】
アテローム動脈硬化の薬物治療に使用される主要な薬物(フィブラート類、スタチン類)は、多面的範囲の作用を有する。フィブラート類は、脂質輸送又は代謝を担うタンパク質の発現を統合することに関係する、ある種の核内受容体(PPARα、PPARγなど)を活性化する。フィブラートの作用の範囲の多面性は、PPAR標的遺伝子の多様性による。スタチン類は、HMG−CoAレダクターゼの活性を阻害することにより、コレステロールのデノボ合成を減少させる。
【0010】
本発明は、有利な薬理学的性質を示し、種々の病状の予防的又は治療的処置に使用することができる化合物のファミリーの、医薬としての使用に関する。
【0011】
本発明の化合物は、一般式(I):
【0012】
【化2】

【0013】
〔式中、
G2及びG3は、独立して酸素原子、硫黄原子又はN−R4基を表し(G2及びG3は、同時にN−R4基を表すことはない)、
R及びR4は、独立して水素原子、又は飽和若しくはそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、
R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、水素原子、CO−R5基、又は式:CO−(CH22n+1−X−R6に対応する基を表し(R1、R2及びR3基の少なくとも1つは、式:CO−(CH22n+1−X−R6に対応する基である)、
R5は、飽和又はそうではない、場合により置換されている、可能であれば環状基を含む、その主鎖が1〜25個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基であり、
Xは、硫黄原子、セレン原子、SO基又はSO2基であり、
nは、0〜11の間に含まれる整数であり、
R6は、飽和又はそうではない、場合により置換されている、可能であれば環状基を含む、その主鎖が3〜23個の炭素原子、好ましくは10〜23個の炭素原子及び場合により酸素原子、硫黄原子、セレン原子、SO基及びSO2基からなる群より選択される1個以上のヘテロ基を含む、直鎖又は分岐のアルキル基である〕により表される。
【0014】
本発明の一般式(I)により表される化合物において、R5基は、同一であるか又は異なって、好ましくは、飽和又は不飽和の、置換されているか又はされていない、その主鎖が、1〜20個の炭素原子、さらにより好ましくは7〜17個の炭素原子、またさらに好ましくは14〜17個を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表す。本発明の一般式(I)により表される化合物において、R5基は、同一であるか又は異なって、また、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tertブチル、ペンチル又はヘキシル基のような、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキルを表すことができる。
【0015】
本発明の一般式(I)により表される化合物において、R6基は、同一であるか又は異なって、好ましくは、飽和又は不飽和の、置換されているか又はされていない、その主鎖が、3〜23個の炭素原子、好ましくは13〜20個の炭素原子、さらにより好ましくは14〜17個の炭素原子、またさらに好ましくは14個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表す。
【0016】
R5又はR6の飽和長鎖アルキル基の具体的な例は、特にC715、C1021、C1123、C1327、C1429、C1531、C1633、C1735基である。R5又はR6の不飽和長鎖アルキル基の具体的な例は、特にC1427、C1425、C1529、C1729、C1731、C1733、C1929、C1931、C2131、C2135、C2137、C2139、C2345基、又はエイコサペンタン酸(EPA)C20:5(5,8,11,14,17)及びドコサヘキサン酸(DHA)C22:6(4,7,10,13,16,19)のアルキル鎖である。
【0017】
分岐長鎖アルキル基の例は、特に(CH2n′−CH(CH3)C25、(CH=C(CH3)−(CH22n″−CH=C(CH32又は(CH22x+1−C(CH32−(CH2n″′−CH3基〔xは、1〜11と等しいか又はその間に含まれる整数であり、n′は、1〜22と等しいか又はその間に含まれる整数であり、n″は、1〜5と等しいか又はその間に含まれる整数であり、n″′は、0〜22と等しいか又はその間に含まれる整数であり、そして(2x+n″′)は、22以下、好ましくは20以下である〕である。
【0018】
前記で示したように、アルキル基R5又はR6は、場合により環状基を含むことができる。環状基の例は、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。
【0019】
前記で示されるように、アルキル基R5又はR6は、同一であるか又は異なって、場合により1個以上の置換基で置換されていることができる。置換基は、好ましくはハロゲン原子(ヨウ素、塩素、フッ素、臭素)及び−OH、=O、−NO2、−NH2、−CN、−O−CH3、−CH2−OH、−CH2OCH3、CF3及び−COOZ基(Zは、水素原子又は好ましくは1〜5個の炭素原子を含むアルキル基である)からなる群より選択される。
【0020】
本発明は、またその目的として、該化合物の光学及び幾何異性体、そのラセミ体、塩、水和物、並びにこれらの混合物を有する。
【0021】
好ましい方法において、本発明は、G2、R2基及びG3、R3基が同時にヒドロキシル基を表さない式(I)により表される化合物の使用に関する。
【0022】
式(Ia)により表される化合物は、R1、R2又はR3基のうちの1つのみが水素原子を表す、本発明の式(I)に対応する化合物である。
【0023】
式(Ib)により表される化合物は、R1、R2又はR3基のうちの2つが水素原子を表す、本発明の式(I)に対応する化合物である。
【0024】
本発明は、またその目的として、被検者に投与された後、式(I)により表される化合物と同様の治療上の活性を示す式(I)により表される化合物に変換される、式(I)により表される化合物のプロドラッグ又はそれを含む組成物の使用を有する。
【0025】
更に、CO−(CH22n+1−X−R6基において、Xは、最も好ましくは硫黄又はセレン原子、そして有利には硫黄原子を表す。
【0026】
更に、CO−(CH22n+1−X−R6基において、nは、好ましくは0〜3の間に含まれ、とりわけ0〜2の間に含まれ、特に0と等しい。
【0027】
本発明の一般式(I)により表される化合物において、R6は、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、SO基及びSO2基からなる群より選択される、1個以上、好ましくは0、1又は2個、より好ましくは0又は1個のヘテロ基を含むことができる。
【0028】
本発明のCO−(CH22n+1−X−R6基の特定の例は、CO−CH2−S−C1429基である。
【0029】
したがって本発明の精神において好ましい化合物は、R1、R2及びR3基のうちの少なくとも1個が、CO−(CH22n+1−X−R6基(ここで、Xは、硫黄又はセレン原子、好ましくは硫黄原子を表し、そして/又はR6は、3〜23個の炭素原子、好ましくは13〜20個の炭素原子、好ましくは14〜17個、より好ましくは14〜16個、さらにより好ましくは14個の炭素原子を含む、飽和した直鎖のアルキル基である)を表す、上記記載の一般式(I)により表される化合物である。
【0030】
本発明の他の特定の化合物は、R1、R2及びR3基のうちの少なくとも2個が、同一であるか又は異なって、CO−(CH22n+1−X−R6基(ここで、Xは、硫黄又はセレン原子、好ましくは硫黄原子を表す)であるものである。
【0031】
本発明の特定の化合物は、G2が酸素原子又は硫黄原子、好ましくは酸素原子を表すものである。該化合物において、R2は、有利には上記で定義された式:CO−(CH22n+1−X−R6に対応する基を表す。
【0032】
特に好ましい化合物は、上記の一般式(I)〔式中、
G3はN−R4基(ここで、R4は、水素原子又はメチル基である)であり、そしてG2は酸素原子である;及び/又は
R2は、上記で定義されたCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕
により表される化合物である。
【0033】
他の好ましい化合物は、R1、R2及びR3が、同一であるか又は異なって、好ましくは同一で、上記で定義されたCO−(CH22n+1−X−R6基(ここで、Xは、硫黄又はセレン原子、好ましくは硫黄原子を表し、そして/又はR6は、13〜17個の炭素原子、好ましくは14〜17個、さらにより好ましくは14個の炭素原子を含む、飽和した直鎖のアルキル基であり、ここでnは、好ましくは0〜3に間に含まれ、特に0と等しい)を表す、上記の一般式(I)により表される化合物である。より詳細には、好ましい化合物は、R1、R2及びR3がCO−CH2−S−C1429基である、一般式(I)により表される化合物である。
【0034】
本発明の好ましい化合物の例は、図1に与えられている。
【0035】
したがって本発明は、より詳細にはその目的として、
3−(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパン−1,2−ジオール;
1−テトラデシルチオアセチルアミノ−2,3−(ジパルミトイルオキシ)プロパン;
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1,2−(ジテトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
-3−パルミトイルアミノ−1,2−(ジテトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジ(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパン−2−オール;
1,3−ジアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジオレイルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン;及び
1−テトラデシルチオアセチルアミノ−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン
からなる群より選択される式(I)により表される化合物の使用を有する。
【0036】
したがって、本発明は、その目的として、種々の病状、特に脂質及び/若しくは糖の代謝の調節解除に関与する病状、炎症に関連する病状、並びに/又は細胞の増殖及び/若しくは分化に関連する病状の治療が意図される医薬組成物を調製するための、上記記載の少なくとも1つの化合物の使用を有する。
【0037】
本発明により治療される脂質及び/又は糖の代謝の調節解除に関連する病状は、特に、代謝症候群(X症候群)、糖尿病、アテローム性動脈硬化及び肥満からなる群より選択される。
【0038】
本発明により治療される炎症に関連する病状は、特に、アテローム性動脈硬化、アレルギー、喘息、湿疹、乾癬及びそう痒からなる群より選択される。
【0039】
本発明により治療される細胞の増殖及び/又は分化に関連する病状は、特に、発癌、乾癬及びアテローム性動脈硬化からなる群より選択される。
【0040】
とりわけ、本発明は、その目的として、心血管疾患、X症候群、再狭窄、I型又はII型糖尿病、好ましくはII型糖尿病、肥満、高血圧、特に動脈性高血圧、癌、特に肛門、直腸、結腸、腸、十二指腸、胃、前立腺、睾丸、膀胱、腎臓、膵臓、肝臓、喉頭、乳房、肺の癌、白血病及び黒色腫、並びに皮膚疾患の治療又は予防のための医薬組成物の調製における、上記で定義された式(I)により表される化合物の使用を有する。本発明は、また、特にしわ、しみなどの発生により特徴付けられる内因性又は外因性(特に太陽光線による)の皮膚の老化作用を予防又は治療するための、化粧品組成物における、又は化粧品組成物の調製のためのその使用に関する。事実、驚くべきことに、式(I)により表される化合物は、PPAR活性化剤、抗酸化及び抗炎症特性を同時に示すことが見出された。
【0041】
本発明は、またその目的として、上記記載の一般式(I)により表される化合物を、場合により、上記で示された病状及び障害の予防的又は治療的処置が意図される別の活性治療剤と共に、薬学的に又は化粧品として許容されうる支持体中に含む医薬又は化粧品組成物を有する。
【0042】
本発明は、またその目的として、上記で示された病状又は障害を治療する方法であって、被検者に、特に動物又はヒトに式(I)により表される化合物又は上記で定義された医薬組成物の有効用量を投与することを含む方法を有する。治療は、予防的又は治療的処置のいずれかを意味することが理解される。
【0043】
有利には、使用される式(I)により表される化合物は、上記と同義のものである。
【0044】
本発明の医薬又は化粧品組成物は、有利には、1つ以上の薬学的に又は化粧品として許容されうる賦形剤又はビヒクルを含む。例としては、当業者に既知である、薬学的に又は化粧品として適合されうる生理的な等張性の緩衝されている食塩水などが挙げられる。本組成物は、分散剤、可溶化剤、安定剤、界面活性剤、防腐剤などから選択される、1つ以上の作用物質又はビヒクルを含んでいてもよい。製剤(液体及び/又は注射用及び/又は固体)に使用してよい作用物質又はビヒクルは、特に、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、乳糖、植物油、アカシアなどが含まれる。組成物は、可能であれば、持続性及び/又は遅延性放出を可能にする医薬剤形又は装置により、注射用懸濁剤、ゲル剤、油剤、錠剤、坐剤、散剤、ゼラチンカプセル剤、カプセル剤などとして処方されてよい。この種類の処方には、有利にはセルロース、カーボネート又はデンプンのような作用物質が使用される。
【0045】
本発明の化合物又は組成物は、異なる方法及び異なる剤形で投与してよい。例えば、これらは、経口経路により、非経口的に、吸入により、あるいは例えば、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、動脈内経路などのような注射により、全身的に投与してよい。注射には、本化合物は一般に液体懸濁剤の剤形に調製され、これはシリンジにより、又は例えば点滴により注入してよい。この点に関して、本化合物は一般に、当業者に既知の薬学的に適合されうる生理的な等張性の緩衝された食塩水などに溶解される。例えば、本組成物は、分散剤、可溶化剤、乳化剤、安定剤、界面活性剤、防腐剤、緩衝剤などから選択される、1つ以上の作用物質又はビヒクルを含んでもよい。液体及び/又は注射用製剤に使用してよい作用物質又はビヒクルは、特に、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、乳糖、植物油、アカシア、リポソームなどを含む。
【0046】
したがって本組成物は、ゲル剤、油剤、錠剤、坐剤、粉剤、ゼラチンカプセル剤、カプセル剤、エアゾールなどの剤形で、可能であれば徐放及び/又は遅延放出を可能にする医薬剤形又は装置により投与してよい。この種類の処方には、有利にはセルロース、カーボネート又はデンプンのような作用物質が使用される。
【0047】
本化合物は、使用される作用物質又はビヒクルが、好ましくは水、ゼラチン、ゴム、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、油、ポリアルキレングリコールなどからなる群より選択される場合には、経口投与してもよい。
【0048】
非経口投与には、本化合物は、特に水、油又はポリアルキレングリコールを用いる、好ましくは液剤、懸濁剤又は乳剤の剤形で投与されるが、ここには保存料、安定剤、乳化剤などの他に、浸透圧を調整するための塩、緩衝剤などを加えることも可能である。
【0049】
化粧品としての使用には、本発明の化合物は、例えば、ケアクリーム、サンクリームのようなクリーム、オイル、ジェル、ローションなどで任意の通常の化粧品用処方で投与してもよい。
【0050】
注入速度及び/又は注入用量は、当業者により患者、病状、投与の様式などに適合されてよいことが理解される。典型的には、本化合物は、1用量当たり1μg〜2g、好ましくは1用量当たり0.1mg〜1gの範囲の用量で投与される。用量は、場合に応じて、1日に1回又は1日に数回投与することができる。更には、本発明の組成物は、更に、他の活性物質又は活性剤を含んでもよい。
【0051】
本発明は、また、上記化合物の製造方法に関する。本発明の化合物は、当業者に既知の化学反応の組合せを使用して、市販の製品から調製することができる。
【0052】
本発明の1つの方法によると、式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素若しくは硫黄原子、又はN−R4基であり、(ii)R及び場合によってはR4は、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、同一の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そして(iii)R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(I)〔式中、(i)G2又はG3は、酸素若しくは硫黄原子、又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物及び式:A1−LG〔式中、A1は、基R又は場合によってはR4を表し、そしてLGは、例えば、Cl、Br、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物から、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で得られる。
【0053】
第1の実施態様において、式(I)〔式中、(i)G2及びR3は、酸素若しくは硫黄原子、又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、同一であって、CO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(I)〔式中、(i)G2又はG3は、酸素若しくは硫黄原子、又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、水素原子である〕により表される化合物及び式:A°−CO−A〔式中、Aは、例えば、OH、Cl、O−CO−A°及びO−R7(R7はアルキル基である)からなる群より選択される反応基であり、そしてA°は、(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物から、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で得られる。
【0054】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、異なる方法により得ることができ、それは、同じヘテロ原子(窒素又は酸素)で担持される基が同じ意味を有する化合物の合成を可能にする。
【0055】
第1実施態様によると、1−アミノグリセロール、1,3−ジアミノグリセロール又は1,2−ジアミノグリセロールの分子((Morris, Atassi et al. 1997)により記載されたプロトコールを適用することにより得られる)を、式:A°−CO−A1〔式中、A1は、例えば、OH、Cl及びOR7(R7はアルキル基である)からなる群より選択される反応基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させる。該反応は、それぞれ式(I)により表される化合物の特定の形態(化合物(IIa−c)と称する)を生じ、(Urakami and Kakeda 1953)、(Shealy, Frye et al. 1984)、(Marx, Piantadosi et al. 1988)、(Rahman, Ziering et al. 1988) 及び (Nazih, Cordier et al. 1999)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。化合物(IIb−c)において、それぞれ同じヘテロ原子に担持されている基(R1及びR3)並びに(R1及びR2)は、同じ意味を有する。
【0056】
【化3】

【0057】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(IIa−c)を有する化合物及び式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物から、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で得ることができる。該反応は、それぞれ同じヘテロ原子(窒素又は酸素)に担持されている基(R1及びR2)、(R1及びR3)又は(R2及びR3)が同じ意味を有する化合物の合成を可能にする。有利には、該反応は、例えば、(Urakami and Kakeda 1953) 及び (Nazih, Cordier et al. 1999)により記載されたプロトコールに従って実施される。
【0058】
本発明の別の特定の方法(ダイアグラム1)によると、式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R5基を表す〕により表される化合物は、下記の工程により得ることができる:
【0059】
a)1−アミノグリセロール、1,3−ジアミノグリセロール又は1,2−ジアミノグリセロールを化合物(PG)2O(ここで、PGは、保護基である)と反応させて一般式(IIIa−c)を有する化合物を得る工程。有利には、反応は、(Nazih, Cordier et al. 2000) 及び (Kotsovolou, Chiou et al. 2001)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる(ここで、(PG)2Oは、ジ−tert−ブチルジカルボネートを表す)。
【0060】
b)式(IIIa−c)を有する化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕を有する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させることにより、一般式(IVa−c)〔式中、R2及びR3は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そしてPGは、保護基である〕により表される化合物を得る工程。
【0061】
c)化合物(IVa−c)を当業者に既知の従来の条件に従って脱保護して、一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子又はNH基を表し、(ii)R及びR1は、水素原子であり、そして(iii)R2及びR3はCO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得る工程。
【0062】
d)一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子又はNH基を表し、(ii)R及びR1は、水素原子であり、そして(iii)R2及びR3は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させる工程。
【0063】
【化4】

【0064】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、異なる方法で得ることができる。
【0065】
第1の方法によると、本発明の一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子であり、(ii)R及びR2は、水素原子であり、そして(iii)R1、R3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させる。
【0066】
この調製方法によると、一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子であり、(ii)R及びR2は、水素原子であり、そして(iii)R1及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、上記で定義された式(IIa)により表される化合物及び式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物から、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で得ることができる。
【0067】
本発明の別の特定の方法によると、式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−C−R6基を表す〕により表される化合物は、本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子であり、(ii)R、R2及びR3は、水素原子を表し、そして(iii)R1は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基である〕により表される化合物(式(IIa)の化合物)から、下記の工程に従って得ることができる(ダイアグラム2):
【0068】
a)式(IIa)により表される化合物を、化合物PG−E(ここで、PGは、保護基であり、そしてEは、例えば、OH及びハロゲンからなる群より選択される反応性基である)と反応させることにより、一般式(V)〔式中、R1は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基である〕により表される化合物を得る工程。有利には、本反応は、(Marx, Piantadosi et al. 1988) 及び (Gaffney and Reese 1997) に記載されたプロトコールを適用して実行することができる(ここで、PG−Eはトリフェニルメチルクロリド又は9−フェニルキサンテン−9−オール、あるいはまた9−クロロ−9−フェニルキサンテンを表すことができる)。
【0069】
b)式(V)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させることにより、一般式(VI)〔式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そしてPGは、保護基である〕により表される化合物を得る工程。
【0070】
c)化合物(VI)を当業者に既知の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子であり、(ii)R及びR3は、水素原子であり、そして(iii)R1及びR2は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得る工程。
【0071】
d)一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、酸素原子であり、(ii)R及びR3は、水素原子であり、そして(iii)R1及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させる工程。
【0072】
【化5】

【0073】
有利な方法において、上記の工程は、(Marx, Piantadosi et al. 1988)により記載されたプロトコールに従って実施される。
【0074】
本発明の別の方法によると、式(I)〔式中、(i)G2又はG3は、酸素原子又はN−R4基を表し、(ii)G2又はG3基の少なくとも1つは、N−R4基を表し、(iii)R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そして(iv)R1、R2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5基又はCO−(CH22+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(I)〔式中、(i)それぞれ、G2、R2又はG3、R3基のうちの一方が、ヒドロキシル基を表し、G2、R2又はG3、R3基のうちの他方が、NR4R2又はNR4R3基を表し(ここで、R2又はR3は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す)、(ii)R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そしてR1は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させることにより得られる。
【0075】
本発明の式(I)〔式中、(i)それぞれ、G2、R2又はG3、R3基のうちの一方は、ヒドロキシル基を表し、G2、R2又はG3、R3基のうちの他方は、NR4R2又はNR4R3基を表し(ここで、R2又はR3は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す)、(ii)R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そして(iii)R1は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、本発明の式(I)〔式中、それぞれ、G2、R2又はG3、R3基のうちの一方は、ヒドロキシル基を表し、G2、R2又はG3、R3基のうちの他方は、NR4R2又はNR4R3基を表し(ここで、R2又はR3は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す)、(ii)R及びR4は、独立して、上記で定義された基を表し、そして(iii)R1は、水素原子である〕により表される化合物及び式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物から、可能であれば当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で得られる。
【0076】
第1の実施態様において、本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、酸素原子であり、(ii)G3は、N−R4基を表し、(iii)R及びR4は、独立して、異なる、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、(iv)R1及びR2は、水素原子であり、そして(v)R3は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、下記の方法により得られる(ダイアグラム3):
【0077】
a)1−アミノグリセロールを、式:R−CHO〔式中、Rは、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そしてCHOは、アルデヒド官能基である〕に対応する化合物と、当業者に既知の還元剤の存在下で反応させて、式(VII)〔式中、Rは、上記で定義された基である〕により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Antoniadou-Vyzas, Foscolos et al. 1986)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0078】
b)式(VII)により表される化合物を、化合物(PG)2O(ここで、PGは、保護基である)と反応させて、一般式(VIII)により表される化合物を得ること。有利には、反応は、(Nazih, Cordier et al. 2000) 及び (Kotsovolou, Chiou et al. 2001)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる(ここで、(PG)2Oは、ジ−tert−ブチルジカルボネートを表す)。
【0079】
c)式(VIII)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と、(Kitchin, Bethell et al. 1994)に記載された方法を適用して反応させて、一般式(IX)により表される化合物を得ること。
【0080】
d)式(IX)により表される化合物を、式:R4−NH2〔式中、R4は、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そしてNH2は、アミン官能基を表す〕に対応する化合物と、(Ramalingan, Raju et al. 1995)により記載された方法に従って反応させて、式(X)〔式中、R及びR4は、場合により異なって、上記と同義である〕に対応する化合物を得ること。
【0081】
e)式(X)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させることにより、一般式(XI)〔式中、R及びR4は、異なって、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R3は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基を表し、そしてPGは、保護基である〕により表される化合物を得ること。
【0082】
f)化合物(XI)を当業者に既知の条件で脱保護すること。
【0083】
【化6】

【0084】
第2の実施態様によると、本発明の式(I)〔式中、(i)G3は、酸素原子であり、(ii)G2は、N−R4基を表し、(iii)R及びR4は、異なって、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、(iv)R1及びR3は、水素原子であり、そして(v)R2は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、下記の方法により得られる(ダイアグラム4):
【0085】
a)式(VIII)により表される化合物を、化合物PG′−E(ここで、PG′は、保護基であり、そしてEは、例えば、OH又はハロゲンからなる群より選択される反応性基である)と反応させて、一般式(XII)〔式中、Rは、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そしてPGは、上記で定義された別の保護基である〕により表される化合物を得ること。有利には、本反応は、(Marx, Piantadosi et al. 1988) 及び (Gaffney and Reese 1997) に記載されたプロトコールを適用して実施することができる(ここでPG′−E、はトリフェニルメチルクロリド又は9−フェニルキサンテン−9−オールあるいはまた9−クロロ−9−フェニルキサンテンを表すことができる)。
【0086】
b)上記で定義された式(XII)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メチル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と、(Kitchin, Bethell et al. 1994)により記載された方法を適用して反応させて、一般式(XIII)〔式中、Rは、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そしてPG及びPG′は、保護基である〕により表される化合物を得ること。
【0087】
c)上記で定義された式(XIII)により表される化合物を、式:R4−NH2〔式中、R4は、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そしてNH2は、アミン官能基を表す〕に対応する化合物と、(Ramalingan, Raju et al. 1995)により記載された方法に従って反応させて、式(XIV)〔式中、R及びR4は、独立して、上記と同義である〕により表される化合物を得ること。
【0088】
d)式(XIV)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させることにより、一般式(XV)〔式中、R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そしてPG及びPG′は、保護基である〕により表される化合物を得ること。
【0089】
e)式(XV)により表される化合物を当業者に既知の従来の条件で脱保護して、本発明の一般式(I)〔式中、(i)R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、(ii)R1及びR3は、水素原子であり、そして(iii)R2は、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0090】
【化7】

【0091】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、水素原子であるか又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、異なる方法で得ることができる。
【0092】
第1の実施態様によると、本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す(ここで、R1、R2及び/又はR3は、同じヘテロ原子(硫黄又は窒素)により担持されている場合、同じ意味を有する)〕により表される化合物は、下記の方法により得ることができる(ダイアグラム5A):
【0093】
a)式(IIa−c)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XVIa−c)により表される化合物を得ること。
【0094】
b)式(XVIa−c)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウムからなる群、好ましくはカリウムより選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、式(XVIIa−c)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0095】
c)式(XVIIa−c)により表される化合物を、当業者に既知の従来の条件、及び例えば、塩基性媒体中で脱保護して、一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基を表し、そして(ii)R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、水素原子又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0096】
d)一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基を表し、そして(ii)R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である)に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0097】
【化8】

【0098】
同様の合成方法によると、本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す(ここで、R1、R2及び/又はR3は、同じヘテロ原子(硫黄又は窒素)により担持されている場合、同じ意味を有する)〕を有する化合物は、下記の方法により調製することができる(ダイアグラム5B):
【0099】
a)式(IIa−c)により表される化合物を、式(LG)2〔式中、LGは、ヨウ素、臭素などからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知の活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XVId−f)により表される化合物を得ること。
【0100】
b)式(XVId−f)により表される化合物を、式:HS-+〔式中、Bは、例えば、ナトリウム又はカリウム、好ましくはナトリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基を表し、そして(ii)R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0101】
c)一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基を表し、そして(ii)R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である)に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0102】
【化9】

【0103】
該反応は、一般式(I)〔式中、それぞれ同じヘテロ原子(窒素又は酸素)より担持されている基(R2及びR3)、(R1及びR3)並びに(R1及びR2)は同じ意味を有する〕により表される化合物の合成を可能にする。
【0104】
上記工程は、(Adams, Doyle et al. 1960) 及び (Gronowitz, Herslof et al. 1978)で記載されたプロトコールに従って有利な方法で実施することができる。
【0105】
本発明の別の方法によると、本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基であり、(ii)Rは、水素原子であり、そして(iii)R1、R2及びR3は、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(IIIa−c)により表される化合物から下記の方法で調製することができる(ダイアグラム6):
【0106】
a)式(IIIa−c)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XVIIIa−c)〔式中、PGは、保護基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0107】
b)式(XVIIIa−c)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XIXa−c)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0108】
c)化合物(XIXa−c)の硫黄原子を当業者に既知の条件で脱保護して、一般式(XXa−c)により表される化合物を得ること。
【0109】
d)一般式(XXa−c)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XXIa−c)〔式中、R2及びR3は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0110】
e)式(XXIa−c)により表される化合物を当業者に既知の従来の条件に従って脱保護して、本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基であり、(ii)R及びR1は、水素原子であり、そして(iii)R2及びR3は、水素原子、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0111】
f)本発明の式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はNH基を表し、(ii)R及びR1は、水素原子であり、そして(iii)R2及びR3は、水素原子、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0112】
該反応は、一般式(I)〔式中、それぞれ同じヘテロ原子(窒素又は酸素)より担持されている基(R2及びR3)、(R1及びR3)並びに(R1及びR2)は同じ意味を有する〕により表される化合物の合成を可能にする。
【0113】
有利には、上記の工程は、(Adams, Doyle et al. 1960)、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)、(Bhatia and Hajdu 1987) 及び (Murata, Ikoma et al. 1991)により記載されたプロトコールに従って実施することができる。
【0114】
【化10】

【0115】
一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3は、硫黄原子又はN−R4基を表し、(ii)R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、(iii)R1、R2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、一般式(I)〔式中、(i)G2又はG3は、硫黄原子又はN−R4基を表し、(ii)R及びR4は、独立して、上記で定義された基を表し、(iii)R1は、水素原子であり、そして(iv)R2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基を表す〕に対応する化合物と、可能であれば当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させることにより得られる。
【0116】
一般式(I)〔式中、(i)G2及びG3基は、硫黄原子又はN−R4基を表し、(ii)R及びR4は、独立して、上記で定義された基を表し、(iii)R1は、水素原子であり、そして、(iv)R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕による表される化合物は、下記の方法により得ることができる:
【0117】
第1の実施態様において、本発明の式(I)〔式中、(i)G2基は、硫黄原子であり、(ii)G3は、N−R4基を表し、(iii)R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、異なる直鎖又は分岐のアルキル基を表し、(iv)R1は、水素原子であり、そして(v)R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、下記の方法により得られる(ダイアグラム7):
【0118】
a)式(XI)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXII)〔式中、PGは、保護基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0119】
b)式(XXII)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXIII)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施される。
【0120】
c)式(XXIII)により表される化合物の硫黄原子を当業者に既知の従来の条件で脱保護して、一般式(XXIV)により表される化合物を得ること。
【0121】
d)一般式(XXIV)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XXV)〔式中、R2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0122】
e)式(XXV)の化合物を当業者に既知の条件で脱保護すること。
【0123】
【化11】

【0124】
別の方法によると、本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、N−R4基を表し、(ii)G3は、硫黄原子であり、(iii)R及びR4は、独立して、異なって、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、(iv)R1は、水素原子であり、そして(v)R2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5基又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、下記の方法により得られる(ダイアグラム8):
【0125】
a)式(IX)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXVI)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0126】
b)式(XXVI)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXVII)〔式中、PGは、保護基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0127】
c)化合物(XXVII)を、式:R4−NH2〔式中、R4は、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表し、そしてNH2は、アミン官能基を表す〕により表される化合物と、(Ramalingan, Raju et al. 1995)により記載された方法に従って反応させて、式(XXVIII)〔式中、R及びR4は、独立して、飽和又はそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0128】
d)一般式(XXVIII)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XXIX)により表される化合物を得ること。
【0129】
e)式(XXIX)により表される化合物の硫黄原子を当業者に既知の従来の条件で脱保護して、一般式(XXX)により表される化合物を得ること。
【0130】
f)一般式(XXX)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XXXI)〔式中、R2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0131】
g)式(XXXI)により表される化合物を当業者に既知の従来の条件で脱保護すること。
【0132】
【化12】

【0133】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、硫黄原子であり、(ii)G3は、酸素原子であり、(iii)Rは、水素原子であり、(iv)R1及びR2は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そして(v)R3は、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(V)を有する化合物から下記の方法により調製することができる(ダイアグラム9A):
【0134】
a)化合物(V)を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXXII)〔式中、PGは、保護基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0135】
b)式(XXXII)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXXIII)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0136】
c)化合物(XXIII)の硫黄原子を当業者に既知の従来の条件で脱保護して、一般式(XXXIV)により表される化合物を得ること。
【0137】
d)一般式(XXXIV)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XXXV)〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0138】
e)化合物(XXXV)を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G2は、硫黄原子であり、G3は、酸素原子であり、R及びR3は、水素原子であり、そしてR1及びR2は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0139】
f)一般式(I)〔式中、(i)G2は、硫黄原子であり、(ii)G3は、酸素原子であり、(iii)R及びR3は、水素原子であり、そして(iv)R1及びR2は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0140】
【化13】

【0141】
同様の合成方法によると、本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、硫黄原子であり、(ii)G3は、酸素原子であり、(iii)Rは、水素原子であり、(iv)R1及びR2は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そして(v)R3は、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(V)の化合物から下記の方法により調製することができる(ダイアグラム9B):
【0142】
a)化合物(V)を、式(LG)2〔式中、LGは、例えば、ヨウ素、臭素などからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXXIIa)〔式中、PGは、保護基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0143】
b)式(XXXIIa)により表される化合物を、式:HS-+〔式中、Bは、ナトリウム及びカリウム、好ましくはナトリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXXIV)により表される化合物を得ること。
【0144】
c)一般式(XXXIV)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XXXV)〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0145】
d)化合物(XXXV)を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G2は、硫黄原子であり、G3は、酸素原子であり、R及びR3は、水素原子であり、そしてR1及びR2は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0146】
e)一般式(I)〔式中、(i)G2は、硫黄原子であり、(ii)G3は、酸素原子であり、(iii)R及びR3は、水素原子であり、そして(iv)R1及びR2は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0147】
【化14】

【0148】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、硫黄原子であり、(ii)G3は、酸素原子であり、(iii)Rは、水素原子であり、(iv)R1及びR3は、同一であるか又は異なって、水素原子又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そして(v)R2は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(IIIa)を有する化合物から下記の方法により調製することができる(ダイアグラム10):
【0149】
a)式(IIIa)により表される化合物を、化合物PG′−E(ここで、PG′は、保護基であり、そしてEは、例えば、OH及びハロゲンからなる群より選択される反応性基である)と反応させて、一般式(XXXVI)〔式中、PGは、前に定義された別の保護基である〕により表される化合物を得ること。有利な方法において、本反応は、(Marx, Piantadosi et al. 1988) 及び (Gaffney and Reese 1997) に記載されたプロトコールを適用して実行することができる(ここでPG−Eは、トリフェニルメチルクロリド又は9−フェニルキサンテン−9−オール、あるいはまた9−クロロ−9−フェニルキサンテンを表すことができる)。
【0150】
b)化合物(XXXVI)を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXXVII)〔式中、PG及びPG′は、上記で定義されたような、賢明に選択された保護基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0151】
c)式(XXXVII)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XXXVIII)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0152】
d)化合物(XXXVIII)の硫黄原子を当業者に既知の従来の条件で脱保護して、一般式(XXXIX)により表される化合物を得ること。
【0153】
e)一般式(XXXIX)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XL)〔式中、R2は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0154】
f)化合物(XL)を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G2は、硫黄原子であり、G3は、酸素原子であり、R、R1及びR3は、水素原子であり、そしてR2は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物(化合物XLI)を得ること。
【0155】
g)式(XLI)により表される化合物を、化合物(PG)2O(ここで、PGは、保護基である)と反応させて、一般式(XLII)により表される化合物を得ること。有利には、反応は、(Nazih, Cordier et al. 2000) 及び (Kotsovolou, Chiou et al. 2001)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる(ここで、(PG)2Oは、ジ−tert−ブチルジカルボネートを表す)。
【0156】
h)一般式(XLII)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、式(XLIII)により表される化合物を得ること。
【0157】
i)化合物(XLIII)を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G2は、硫黄原子であり、G3は、酸素原子であり、R及びR1は、水素原子であり、そしてR2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0158】
j)一般式(I)〔式中、(i)G2は、硫黄原子であり、G3は、酸素原子であり、R及びR1は、水素原子であり、そしてR2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0159】
【化15】

【0160】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、酸素原子であり、(ii)G3は、硫黄原子であり、(iii)Rは、水素原子であり、(iv)R1及びR3は、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そして(v)R2は、水素原子又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(IIa)を有する化合物から下記の方法により調製することができる(ダイアグラム11):
【0161】
a)上記で定義された式(IIa)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物(理論量)と反応させて、一般式(XLIV)により表される化合物を得ること。
【0162】
b)式(XLIV)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(XLV)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0163】
c)式(XLV)により表される化合物を、化合物PG−E(ここで、PGは、保護基であり、そしてEは、例えば、OH及びハロゲンからなる群より選択される反応性基である)と反応させて、一般式(XLVI)により表される化合物を得ること。有利には、本反応は、(Marx, Piantadosi et al. 1988) 及び (Gaffney and Reese 1997) に記載されたプロトコールを適用して実行することができる(ここでPG−Eは、トリフェニルメチルクロリド又は9−フェニルキサンテン−9−オール、あるいはまた9−クロロ−9−フェニルキサンテンを表すことができる)。
【0164】
d)化合物(XLVI)の硫黄原子を当業者に既知の条件で脱保護して、一般式(XLVII)により表される化合物を得ること。
【0165】
e)一般式(XLVII)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(XLVIII)〔式中、R1及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0166】
f)式(XLVIII)により表される化合物を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G2は、硫黄原子であり、G3は、酸素原子であり、R及びR3は、水素原子であり、そしてR1及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0167】
g)一般式(I)〔式中、(i)G2は、酸素原子であり、G3は、硫黄原子であり、R及びR2は、水素原子であり、そしてR1及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0168】
【化16】

【0169】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、酸素原子であり、(ii)G3は、硫黄原子であり、(iii)Rは、水素原子であり、(iv)R1及びR3は、同一であるか又は異なって、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そして(v)R3は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(IIIa)を有する化合物から下記の方法により調製することができる(ダイアグラム12):
【0170】
a)上記で定義された式(IIIa)により表される化合物を、式:LG−E〔式中、Eは、ハロゲンを表し、そしてLGは、例えば、メシル、トシルなどからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物(理論量)と反応させて、一般式(XLIX)により表される化合物を得ること。
【0171】
b)式(XLIX)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(L)により表される化合物を得ること。有利には、該反応は、(Gronowitz, Hersloef et al. 1978)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる。
【0172】
c)式(L)により表される化合物を、化合物PG′−E(ここで、PG′は、保護基であり、そしてEは、例えば、OH及びハロゲンからなる群より選択される反応性基である)と反応させて、一般式(LI)により表される化合物を得ること。有利には、本反応は、(Marx, Piantadosi et al. 1988) 及び (Gaffney and Reese 1997) に記載されたプロトコールを適用して実施することができる(ここでPG′−E、はトリフェニルメチルクロリド又は9−フェニルキサンテン−9−オールあるいはまた9−クロロ−9−フェニルキサンテンを表すことができる)。
【0173】
d)化合物(LI)の硫黄原子を当業者に既知の条件で脱保護して、一般式(LII)により表される化合物を得ること。
【0174】
e)一般式(LII)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(LIII)〔式中、R3は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0175】
f)式(LIII)により表される化合物を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G2は、酸素原子であり、G3は、硫黄原子であり、R及びR2は、水素原子であり、そしてR3は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物(化合物LIV)を得ること。
【0176】
g)式(LIV)により表される化合物を、化合物(PG)2O(ここで、PGは、保護基である)と反応させて、一般式(LV)により表される化合物を得ること。有利には、反応は、(Nazih, Cordier et al. 2000) 及び (Kotsovolou, Chiou et al. 2001)により記載されたプロトコールを適用して実施することができる(ここで、(PG)2Oは、ジ−tert−ブチルジカルボネートを表す)。
【0177】
h)一般式(LV)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、式(LVI)により表される化合物を得ること。
【0178】
i)化合物(LVI)を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G3は、硫黄原子であり、G2は、酸素原子であり、R及びR1は、水素原子であり、そしてR2及びR3は、同一であるか又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0179】
j)一般式(I)〔式中、(i)G3は、硫黄原子であり、G2は、酸素原子であり、R及びR1は、水素原子であり、そしてR2及びR3は、同一又は異なって、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0180】
【化17】

【0181】
本発明の式(I)〔式中、(i)G2は、酸素原子であり、(ii)G3は、硫黄原子であり、(iii)Rは、水素原子であり、(iv)R2及びR3は、同一であるか又は異なって、水素原子であるか、又はCO−R5若しくはCO−(CH22n+1−X−R6基を表し、そして(v)R1は、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物は、式(IIIa)を有する化合物から下記の方法により調製することができる(ダイアグラム13):
【0182】
a)上記で定義された式(IIIa)により表される化合物を、式(LG)2〔式中、LGは、例えば、ヨウ素、臭素などからなる群より選択される反応性基である〕に対応する化合物(理論量)と反応させて、一般式(XLIXa)により表される化合物を得ること。
【0183】
b)式(XLIXa)により表される化合物を、式:Ac−S-+〔式中、Acは、短アシル基、好ましくはアセチル基を表し、そしてBは、例えば、ナトリウム及びカリウム、好ましくはカリウムからなる群より選択される対イオンである〕に対応する化合物と反応させて、一般式(L)により表される化合物を得ること。
【0184】
c)化合物(L)の硫黄原子を当業者に既知の条件で脱保護して、一般式(LVII)により表される化合物を得ること。
【0185】
d)一般式(LVII)により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させて、一般式(LVI)〔式中、R2及びR3は、同一で、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0186】
e)式(LVI)により表される化合物を当業者に既知の従来の条件で脱保護することにより、一般式(I)〔式中、G2は、酸素原子であり、G3は、硫黄原子であり、R及びR2は、水素原子であり、そしてR2及びR3は、同一で、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を得ること。
【0187】
f)一般式(I)〔式中、(i)G2は、酸素原子であり、G3は、硫黄原子であり、R及びR2は、水素原子であり、そしてR2及びR3は、同一で、CO−R5又はCO−(CH22n+1−X−R6基を表す〕により表される化合物を、式:A°−CO−A2〔式中、A2は、例えば、OH及びClからなる群より選択される反応性基であり、そしてA°は、R5基又は(CH22n+1−X−R6基である〕に対応する化合物と、可能であれば、当業者に既知のカップリング剤又は活性化剤の存在下で反応させること。
【0188】
【化18】

【0189】
本発明の実行可能性、実現性及び他の利点は、以下の実施例において更に詳述されるが、これらの実施例は、説明の目的で与えられるものであり、限定を目的とするものではない。
【0190】
実施例:
文書のより容易な理解のために、活性の測定及び評価に関わる実施例で使用される本発明の化合物は、次のように省略され、例えば「Ex2」は、その調製が実施例2で記載されている本発明の化合物を示す。
【0191】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、0.2mm厚のMERCKシリカゲル60F254で被覆されたプレート上で実施された。保持因子はRfと省略される。
粒径40〜63μm(Merck参照番号9385−5000)を有するシリカゲル60でカラムクロマトグラフィーを実施した。
キャピラリー法によりBuchiB540装置で融点(MP)を測定した。
赤外線(IR)スペクトルをBruker Fourier変換スペクトロメーター(Vector 22)で記録した。
Bruker AC300スペクトロメーター(300MHz)で核磁気共鳴(NMR)スペクトルを記録した。各信号は、その化学シフト、強度、多重度(注:一重項はs、広帯一重項はsl、二重項はd、分離二重項はdd、三重項はt、分離三重項はtd、五重項はquint及び多重項はm)、及びその結合定数(J)により同定された。
Perkin Elmer Sciex API 1(ESI−MS:エレクトロスプレーイオン化質量分析(ElectroSpray lonization Mass Spectrometry))又はApplied Biosystems Voyager DE-STR製のMALDI-TOF型(マトリックス補助レーザー脱着/イオン化−飛行時間(Matrix-Assisted Laser Desorption/lonization - Time Of Flight))により質量スペクトル(MS)を測定した。
【0192】
実施例1:テトラデシルチオ酢酸の調製
水酸化カリウム(34.30g、0.611mol)、メルカプト酢酸(20.9ml、0.294mol)及び1−ブロモテトラデカン(50ml、0.184mol)をこの順序でメタノール(400ml)に加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。次に水(800ml)に溶解した濃塩酸溶液(60ml)を加えた。テトラデシルチオ酢酸が沈殿した。この混合物を室温で一晩撹拌した。次に沈殿物を濾過し、水で5回洗浄し、デシケーター中で乾燥した。この生成物をメタノール中で再結晶した。
【0193】
【表1】

【0194】
実施例2:3−(テトラデシルチオアセトアミノ)プロパン−1,2−ジオールの調製
テトラデシルチオ酢酸(実施例1)(14.393g、50mmol)及び3−アミノ−プロパン−1,2−ジオール(5g、55mmol)をフラスコに入れて、190℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、クロロホルムにとって、水で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、乾燥した。残渣をエーテル中で撹拌し、生成物を濾過により単離した。
【0195】
【表2】

【0196】
実施例3:3−(パルミトイルアミノ)プロパン−1,2−ジオール
この化合物は、3−アミノ−プロパン−1,2−ジオール及びパルミチン酸から上記の方法(実施例2)に従って合成した。
【0197】
【表3】

【0198】
実施例4:1,2−(ジパルミトイルオキシ)−3−テトラデシルチオアセチルアミノプロパンの調製
3−(テトラデシルチオアセトアミノ)プロパン−1,2−ジオール(実施例2)(1g、2.77mmol)をジクロロメタン(200ml)に溶解した。次にジシクロヘキシルカルボジイミド(1.426g、6.91mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.845g、6.91mmol)及びパルミチン酸(1.773g、6.91mmol)を加え、混合物を室温で48時間撹拌した。沈殿したジシクロヘキシル尿素を濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を真空留去した。残渣を、シリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/シクロヘキサン 6:4)により精製した。
【0199】
【表4】

【0200】
実施例5:1,2−(ジテトラデシルチオアセチルオキシ)−3−テトラデシルチオアセチルアミノプロパンの調製
この化合物は、3−(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパン−1,2−ジオール(実施例2)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)から上記の方法(実施例4)に従って合成した。
【0201】
【表5】

【0202】
実施例6:1,2−(ジテトラデシルチオアセチルオキシ)−3−パルミトイルアミノプロパンの調製
この化合物は、3−(パルミトイルアミノ)プロパン−1,2−ジオール(実施例3)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)から上記の方法(実施例4)に従って合成した。
【0203】
【表6】

【0204】
実施例7:1,3−ジ(オレイルアミノ)プロパン−2−オールの調製
オレイン酸(5.698g、0.020mol)及び1,3−ジアミノプロパン−2−オール(1g、0.011mol)をフラスコに入れて、190℃で2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次にクロロホルムにとって、水で洗浄した。水相をクロロホルムで抽出し、有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固して、油状の黒色残渣(6.64g)を得て、それをシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール 99:1)により精製した。次に得られた生成物をエーテルで洗浄し、濾過した。
【0205】
【表7】

【0206】
実施例8:1,3−ジ(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパン−2−オールの調製
この化合物は、1,3−ジアミノプロパン−2−オール及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)から上記の方法(実施例7)に従って合成した。
【0207】
【表8】

【0208】
実施例9:1,3−ジ(ステアロイルアミノ)プロパン−2−オールの調製
この化合物は、1,3−ジアミノプロパン−2−オール及びステアリン酸から上記の方法(実施例7)に従って合成した。
【0209】
【表9】

【0210】
実施例10:1,3−ジアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン二塩酸塩の調製
1,3−ジ(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)プロパン−2−オールの調製(実施例10a)
1,3−ジアミノプロパン−2−オール(3g、0.033mol)をメタノール(300ml)に溶解し、続いてトリエチルアミン(33ml滴下)及びジ−tert−ブチルジカルボネート〔(BOC)2O〕(21.793g、0.100mol)(ここでBOCは、tertブチルオキシカルボニルである)を加えた。反応媒体を40〜50℃で20分間加熱し、次に室温で1時間撹拌した。溶媒を留去した後、無色の油状残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール 95:5)により精製した。反応より無色の油状物が生じ、それはゆっくりと結晶化した。
【0211】
【表10】

【0212】
1,3−ジ(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパンの調製(実施例10b)
1,3−(ジ−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−プロパン−2−オール(実施例10a)(1g、3.45mmol)、テトラデシルチオ酢酸(実施例1)(0.991g、3.45mmol)及びジメチルアミノピリジン(0.042g、0.34mmol)をジクロロメタン(40ml)に0℃で溶解した。次にジクロロメタンで希釈されたジシクロヘキシルカルボジイミド(0.709g、3.45mmol)を滴加し、混合物を0℃で30分間撹拌し、次に室温にした。20時間の反応の後、ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、濾液を乾燥した。油状残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/シクロヘキサン 5:5、続いてジクロロメタン/酢酸エチル 98:2)により精製した。
【0213】
【表11】

【0214】
1,3−ジアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン二塩酸塩の調製(実施例10)
1,3−(ジtert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−テトラデシルチオアセチルオキシプロパン(実施例10b)(0.800g、1.43mmol)を、ガス状塩酸で飽和されたジエチルエーテル(50ml)に溶解した。反応媒体を室温で20時間撹拌した。次に形成された沈殿物を濾過し、エーテル洗浄した。生成物を二塩酸塩として得た。
【0215】
【表12】

【0216】
実施例11:1,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパンの調製
1,3−ジアミノ−2−テトラデシルチオアセチルオキシプロパン二塩酸塩(実施例10)(0.400g、0.92mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(0.532g、1.84mmol)をジクロロメタン(50ml)に0℃で溶解し、続いてトリエチルアミン(0.3ml、2.1mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.571g、2.77mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(0.249g、1.84mmol)を加えた。反応媒体を0℃で1時間撹拌し、次に48時間で室温にした。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を真空留去した。得られた残渣(1.40g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、続いてジクロロメタン/酢酸エチル 9:1)により精製した。
【0217】
【表13】

【0218】
実施例12:
1,3−ジオレイルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパンの調製
この化合物は、1,3−ジアミノ−2−テトラデシルチオアセチルオキシプロパン二塩酸塩(実施例10)及びオレイン酸から、実施例11に記載の方法に従って合成した。
【0219】
【表14】

【0220】
実施例13:2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノプロパン−1−オールの調製
2,3−ジアミノプロパン酸メチル二塩酸塩の調製(実施例13a)
2,3−ジアミノプロピオン酸塩酸塩(1g、7mmol)をメタノール(40ml)に溶解した。媒体を氷浴で冷却し、続いて塩化チオニル(2.08ml、28mmol)を滴加した。媒体を室温にし、次に20時間還流した。溶媒を留去し、残渣をヘプタンで粉砕した。得られた沈殿物を濾過し、洗浄し、乾燥して、黄色を帯びた白色固体を得た。
【0221】
【表15】

【0222】
2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノプロパン酸メチルの調製(実施例13b)
2,3−ジアミノプロパン酸メチル二塩酸塩(実施例13a)(0.500g、2.62mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(1.51g、5.23mmol)をジクロロメタン(80ml)に0℃で溶解し、続いてトリエチルアミン(0.79ml)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.62g、7.85mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(0.707g、5.23mmol)を加えた。反応媒体を0℃で1時間撹拌し、次に48時間で室温にした。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を留去した。得られた残渣(3.68g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル 95:5)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0223】
【表16】

【0224】
2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノプロパン−1−オールの調製(実施例13)
水素化ホウ素ナトリウム(316mg、8.4mmol)をテトラヒドロフラン(40ml)に溶解した。反応混合物を氷浴で冷却し、次に2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノプロパン酸メチル(実施例13b)(500mg、0.76mmol)を少量ずつ加えた。混合物を室温にし、撹拌した。4日間の反応の後、水20mlを加えた。沈殿した生成物を濾過し、水で洗浄し、次にデシケーター中で乾燥して、白色の粉末を得た。
【0225】
【表17】

【0226】
実施例14:2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−1−テトラデシルチオアセチルオキシプロパンの調製
2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノプロパン−1−オール(実施例13)(0.200g、0.32mmol)をテトラヒドロフラン(40ml)に溶解し、続いてジシクロヘキシルカルボジイミド(65mg、0.32mmol)、ジメチルアミノピリジン(39mg、0.32mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(91mg、0.32mmol)を加えた。混合物を室温で20時間撹拌した。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、テトラヒドロフランで洗浄し、濾液を留去した。得られた残渣(1g)をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で生成した。
【0227】
【表18】

【0228】
実施例15:1,3−ジアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン二塩酸塩の調製
1,3−ジ(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロパンの調製(実施例15a)
1,3−ジ(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)プロパン−2−オール(実施例10a)(2.89g、10mmol)及びトリエチルアミン(2.22ml、16mmol)を無水ジクロロメタン(100ml)に溶解した。反応混合物を氷浴で冷却し、続いてジクロロメタン(30ml)に溶解した塩化トシル(2.272g、12mmol)を滴加した。次に反応混合物を室温で72時間撹拌した。48時間後に1当量の塩化物及びトリエチルアミン1.6 を加えた。水を加えて反応を止め、媒体を沈降させた。有機相を水で数回洗浄した。水相を合わせ、ジクロロメタンで再び抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。得られた残渣(6.44g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、続いてジクロロメタン/メタノール 99:1)により精製して、目的化合物を白色の固体として得た。
【0229】
【表19】

【0230】
1,3−ジ(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2−アセチルチオプロパンの調製(実施例15b)
1,3−(ジtert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)プロパン(実施例15a)(0.500g、1.12mmol)及びチオ酢酸カリウム(0.161g、1.41mmol)をアセトンに溶解し、媒体を48時間還流した。24時間の還流の後で、1当量のチオ酢酸カリウムを加えた。反応を室温にし、溶媒を留去した。残渣をジエチルエーテルにとって、セライト(登録商標)で濾過した。濾液を留去した。得られた生成物(0.48g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル 98:2)により精製して、目的化合物を黄土色の固体として得た。
【0231】
【表20】

【0232】
1,3−ジ(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2−メルカプトプロパンの調製(実施例15c)
メタノール(10ml)で希釈された1,3−ジ(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(アセチルチオ)プロパン(実施例15b)(0.380g、1.2mmol)を、窒素流下で脱酸素化しながらメタノール中の20%炭酸カリウム溶液(2.14ml、12.4mmol)に加えた。反応混合物を窒素下、室温で20時間撹拌し、次に酢酸でpH6に酸性化した。溶媒を真空留去した。残渣を水にとって、クロロホルムで抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、次に濾過し、乾燥して、目的生成物を白色固体の形態で得て、直ちにそれを次の反応に使用した。
【0233】
【表21】

【0234】
1,3−ジ(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2−(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパンの調製(実施例15d)
1,3−〔ジ(tert−ブトキシカルボニルアミノ)〕−2−メルカプトプロパン(実施例15c)(0.295g、0.963mmol)をジクロロメタン(40ml)に溶解した。次にジシクロヘキシルカルボジイミド(0.199g、0.963mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.118g、0.963mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(0.278g、0.963mmol)を加えた。反応混合物を室温で撹拌し、反応の進行を、薄層クロマトグラフィーで監視した。20時間の反応の後、ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を留去した。得られた残渣(0.73g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0235】
【表22】

【0236】
1,3−ジアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン二塩酸塩の調製(実施例15)
1,3−〔ジ(tert−ブトキシカルボニルアミノ)〕−2−テトラデシルチオアセチルチオプロパン(実施例15d)(0.300g、0.52mmol)を、ガス状塩酸で飽和されたエーテル(55ml)に溶解した。この混合物を室温で撹拌した。96時間の反応の後、形成された沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで数回洗浄し、乾燥して、目的化合物を二塩酸塩(白色の粉末)として得た。
【0237】
【表23】

【0238】
実施例16:1,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパンの調製
1,3−ジアミノ−2−テトラデシルチオアセチルチオプロパン二塩酸塩(実施例15)(100mg、0.225mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(130mg、0.450)をジクロロメタン(30ml)に0℃で溶解し、続いてトリエチルアミン(68μl)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(139mg、0.675mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(61mg、0.450mmol)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次に48時間で室温にした。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を留去した。得られた残渣(430mg)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル 95:5)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0239】
【表24】

【0240】
実施例17:1−アミノ−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン塩酸塩の調製
1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)プロパン−2,3−ジオールの調製(実施例17a)
1−アミノプロパン−2,3−ジオール(5g、55mol)をメタノール(200ml)に溶解し、続いてトリエチルアミン(アミン1mmol当たり0.5ml)及びジ−tert−ブチルジカルボネート〔(BOC)2O〕(ここでBOCは、tertブチルカルボニルである)(17.97g、82mmol)を滴加した。反応媒体を40〜50℃で20分間加熱し、次に室温で1時間撹拌した。溶媒を留去した後、無色の油状物残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール 95:5)により精製して、目的化合物を無色油状物の形態で得て、それはゆっくりと結晶化した。
【0241】
【表25】

【0242】
1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジ(p−トルエンスルホニルオキシ)プロパンの調製(実施例17b)
この化合物は、1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−プロパン−2,3−ジオール(実施例17a)及びp−トルエンスルホニルクロリドから上記(実施例15a)で記載された方法に従って合成した。反応は白色の粉末を生成した。
【0243】
【表26】

【0244】
1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジ(アセチルチオ)プロパンの調製(実施例17c)
この化合物は、1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジ(p−トルエンスルホニルオキシ)−プロパン(実施例17b)及びチオ酢酸カリウムから上記(実施例15d)で記載された方法に従って合成した。反応は白色の固体を生成した。
【0245】
【表27】

【0246】
1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジメルカプトプロパンの調製(実施例17d)
この化合物は、1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジ(アセチルチオ)−プロパン(実施例17c)を鹸化し、上記(実施例15c)で記載された方法に従って合成した。反応は白色の固体を生成し、直ちにそれを次の反応に使用した。
【0247】
【表28】

【0248】
1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパンの調製(実施例17e)
この化合物は、1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジメルカプトプロパン(実施例17d)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)から上記(実施例15d)で記載された方法に従って合成した。反応は白色の固体を生成した。
【0249】
【表29】

【0250】
1−アミノ−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン塩酸塩の調製(実施例17)
この化合物は、1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−2,3−ジテトラデシルチオアセチル−チオプロパン(実施例17e)から上記(実施例15)で記載された方法に従って合成した。生成物を塩酸塩(白色の固体)として得た。
【0251】
【表30】

【0252】
実施例18:1−テトラデシルチオアセチルアミノ−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパンの調製
1−アミノ−2,3−ジテトラデシルチオアセチルチオプロパン塩酸塩(実施例17)(100mg、0.140mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(62mg、0.210)をジクロロメタン(40ml)に0℃で溶解し、続いてトリエチルアミン(43ml)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(59mg、0.28mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(29mg、0.210mmol)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次に24時間で室温にした。次に穏やかに還流しながら48時間加熱し、次に乾燥した。得られた残渣(310mg)を、シリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/シクロヘキサン 8:2)により精製して、目的化合物を白色の粉末として生成した。
【0253】
【表31】

【0254】
実施例19:1−テトラデシルチオアセチルチオ−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパンの調製
2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルアミノ)−1−ヨードプロパンの調製(実施例19a)
2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノプロパン−1−オール(実施例13)(0.200g、0.317mmol)をトルエン(30ml)に溶解した。次にイミダゾール(0.054g、0.792mmol)、トリフェニルホスフィン(0.208g、0.792mmol)及びヨウ素(0.161g、0.634mmol)をこの順序で加え、反応を撹拌しながら75〜80℃で加熱した。6時間の反応の後、溶媒を留去し、残留生成物を更に精製することなく使用した。
【0255】
【表32】

【0256】
2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルアミノ)−1−メルカプトプロパンの調製(実施例19b)
硫化水素ナトリウム(0.089g、1.59mmol)を、アセトン(80ml)に溶解した2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−1−ヨードプロパン(実施例19a)(0.235g、0.32mmol)に加えた。反応媒体を70℃で16時間加熱した。溶媒を留去し、残渣を水にとって、クロロホルムで抽出した。水相を酢酸でpH6に酸性化し、次にクロロホルムで再び抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。得られた残渣を、更に精製することなく使用した。
【0257】
1−テトラデシルチオアセチルチオ−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパンの調製(実施例19)
2,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−1−メルカプトプロパン(実施例19b)(0.205g、0.32mmol)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解した。次にジシクロヘキシルカルボジイミド(98mg、0.47mmol)、ジメチルアミノピリジン(58mg、0.47mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(137mg、0.47mmol)を加えた。混合物を室温で20時間撹拌した。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、テトラヒドロフランで洗浄し、濾液を留去した。得られた残渣(1.14g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製して、目的化合物を黄土色粉末の形態で得た。
【0258】
【表33】

【0259】
実施例20:3−テトラデシルチオアセチルアミノ−2−テトラデシルチオアセチルチオプロパン−1−オールの調製
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1−トリフェニルメチルオキシプロパン−2−オールの調製(実施例20a)
クロロトリフェニルメタン(2.833g、10.16mmol)を、ピリジン(2.5ml)中の3−テトラデシルチオアセチルアミノプロパン−1,2−ジオール(実施例2)(3g、8.30mmol)の溶液に加えた。反応混合物を50℃で24時間撹拌し、次に溶媒を真空留去した。残渣を水にとって、ジクロロメタンで抽出した。有機相を、1N塩酸水溶液、次に塩化ナトリウムで飽和した水溶液で洗浄した。それを硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。得られた残渣(6.36g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル 98:2)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0260】
【表34】

【0261】
2−ヨード−3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1−トリフェニルメチルオキシプロパンの調製(実施例20b)
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1−トリフェニルメチルオキシプロパン−2−オール(実施例20a)(2g、3.31mmol)をトルエン(100ml)に溶解した。次にイミダゾール(0.564g、8.28mmol)、トリフェニルホスフィン(2.171g、8.28mmol)及びヨウ素(1.681g、6.62mmol)をこの順序で加えた。反応媒体を室温で20時間撹拌した。飽和重亜硫酸ナトリウム溶液を、反応媒体が完全に白くなるまで加えた。相を分離し、水相をトルエンで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を留去した後で得られた残渣(4.65g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製して、目的化合物を黄色油状物の形態で得た。
【0262】
【表35】

【0263】
2−メルカプト−3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1−トリフェニルメチルオキシプロパンの調製(実施例20c)
硫化水素ナトリウム水和物(38mg、0.68mmol)をエタノール(20ml)中の懸濁液として調製し、続いて2−ヨード−3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1−トリフェニルメチルオキシプロパン(実施例20b)(200mg、0.28mmol)を加えた。反応媒体を70℃で加熱した。硫化水素ナトリウム水和物238mgを数日間かけて加えた。6.5日後、溶媒を留去し、残渣をジクロロメタンにとって、水で洗浄した。水相を再抽出し、合わせた有機相を、0.5N塩酸、次に飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次に硫酸マグネシウムで乾燥した。塩を濾過し、溶媒を留去した。得られた残渣を、更に精製することなく使用した。
Rf(ジクロロメタン/酢酸エチル 95:5):0.33
【0264】
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−2−テトラデシルチオアセチルチオ−1−トリフェニルメチルオキシ−プロパンの調製(実施例20d)
2−メルカプト−3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1−トリフェニルメチルオキシトプロパン(実施例20c)(174mg、0.28mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解した。次にジシクロヘキシルカルボジイミド(88mg、0.42mmol)、ジメチルアミノピリジン(51mg、0.42mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(121mg、0.42mmol)を加え、反応媒体を室温で撹拌した。20時間の反応の後、溶媒を留去し、得られた残渣(45mg)をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/シクロヘキサン 3:7〜5:5)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0265】
【表36】

【0266】
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−2−テトラデシルチオアセチルチオプロパン−1−オールの調製(実施例20)
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−2−テトラデシルチオアセチルチオ−1−トリフェニルメチルオキシ−プロパン(実施例20d)(187mg、0.21mmol)を、ガス状塩酸で飽和されたエーテル(12ml)に溶解した。反応媒体を室温で20時間撹拌した。形成された沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0267】
【表37】

【0268】
実施例21:3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1−テトラデシルチオアセチルオキシ−2−テトラデシルチオアセチルチオプロパンの調製
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−2−テトラデシルチオアセチルチオプロパン−1−オール(実施例20)(64mg、0.10mmol)をテトラヒドロフラン(7ml)に溶解した。次にジシクロヘキシルカルボジイミド(31mg、0.15mmol)、ジメチルアミノピリジン(18mg、0.15mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(43mg、0.15mmol)を加えた。混合物を室温で20時間撹拌した。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、濾液を留去した。得られた残渣(140mg)をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0269】
【表38】

【0270】
実施例22:3−アミノ−2−テトラデシルチオアセチルオキシ−1−テトラデシルチオアセチルチオプロパン塩酸塩の調製
1−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−3−ヨードプロパン−2−オールの調製(実施例22a)
1−〔(tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ〕プロパン−2,3−ジオール(実施例17a)(3.88g、20mmol)をトルエン(250ml)に溶解した。次にイミダゾール(1.73g、25mmol)、トリフェニルホスフィン(6.65g、25mmol)及びヨウ素(5.15g、20mmol)をこの順序で加えた。反応媒体を室温で17時間撹拌し、0.5当量のイミダゾール、トリフェニルホスフィン及びヨウ素を加えた。21時間の反応の後、飽和亜硫酸ナトリウム溶液を、反応媒体が完全に白くなるまで加えた。相を沈降させ、水相をトルエンで2回抽出した。合わせた有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。得られた残渣(11.02g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル 95:5)により精製して、目的化合物を黄色のペーストとして得て、直ちにそれを次の反応に使用した。
【0271】
【表39】

【0272】
3−アセチルチオ−1−tert−ブチルオキシカルボニルアミノプロパン−2−オールの調製(実施例22b)
1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−3−ヨードプロパン−2−オール(実施例22a)(2g、6.64mmol)及びチオ酢酸カリウム(0.948g、8.30mmol)をアセトン(30ml)に溶解し、媒体を16時間還流した。溶媒を真空留去し、残渣をジエチルエーテルにとって、次にセライト(登録商標)で濾過した。濾液を留去した。得られた残渣(1.69g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル 98:2)により精製し、次にフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製して、目的化合物を黄色油状物の形態で得た。
【0273】
【表40】

【0274】
1−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−3−メルカプトプロパン−2−オールの調製(実施例22c)
最小限のメタノール(7ml)で希釈された3−アセチルチオ−1−tert−ブチルオキシカルボニルアミノプロパン−2−オール(実施例22b)(0.307g、1.23mmol)を、窒素流下で脱酸素化しながらメタノール中の20%炭酸カリウム溶液(3.49ml、12.31mmol)に加えた。媒体を窒素流下、室温で20時間撹拌し、次に酢酸でpH6に酸性化し、濃縮乾固した。得られた残渣を水にとって、ジクロロメタンで抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた油状残渣を、更に精製することなく直ちに次に反応に使用した。
収率:78%
Rf(ジクロロメタン/酢酸エチル):0.07
【0275】
1−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−2−テトラデシルチオアセチルオキシ−3−テトラデシルチオアセチルチオプロパンの調製(実施例22d)
1−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−3−メルカプトプロパン−2−オール(実施例22c)(0.200g、96mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶解した。次にジシクロヘキシルカルボジイミド(0.398g、1.93mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.236g、1.93mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(0.557g、1.93mmol)を加えた。混合物を室温で20時間撹拌した。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を留去した。得られた残渣(1.2g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)により精製して、目的化合物を白色ペーストの形態で得た。
【0276】
【表41】

【0277】
1−アミノ−2−テトラデシルチオアセチルオキシ−3−テトラデシルチオアセチルチオプロパン塩酸塩の調製(実施例22)
1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−テトラデシルチオアセチルオキシ−3−テトラデシルチオアセチルチオプロパン(実施例22d)(300mg、0.40mmol)を、ガス状塩酸で飽和されたジエチルエーテル(70ml)に溶解し、反応媒体を室温で72時間撹拌した。形成された沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0278】
【表42】

【0279】
実施例23:1−テトラデシルチオアセチルアミノ−2−テトラデシルチオアセチルオキシ−3−テトラデシルチオアセチルチオプロパンの調製
1−アミノ−2−テトラデシルチオアセチルオキシ−3−テトラデシルチオアセチル−チオプロパン塩酸塩(実施例22)(100mg、0.15mmol)及びテトラデシルチオ酢酸(実施例1)(63mg、0.22mmol)をジクロロメタン(30ml)に0℃で溶解し、続いてトリエチルアミン(0.044ml)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(60mg、0.29mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(30mg、0.22mmol)を加えた。反応媒体を0℃で1時間撹拌し、次に48時間で室温にした。ジシクロヘキシル尿素沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を留去した。得られた残渣(263mg)をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/酢酸エチル 98:2)により精製して、目的化合物を白色粉末の形態で得た。
【0280】
【表43】

【0281】
実施例24:本発明の化合物の調製方法
下記実施例で記載されるインビトロ実験を実施するために、本発明の化合物を下記で記載されるように乳剤の形態で調製した。
【0282】
Spoonerらにより記載されたように(Spooner, Clark et al., 1988)、本発明の化合物及びホスファチジルコリン(PC)を含む乳剤を調製した。本発明の化合物をPCと、クロロホルム中、4:1(m/m)比で混合し、この混合物を窒素下で乾燥し、次に一晩真空留去し、得られた粉末を、0.01M EDTAを含有する0.16M KClにとって、次にこの脂質粒子を超音波により37℃で30分間分散させた。このようにして形成されたリポソームを次に超遠心分離(XL80超遠心分離機、Beckman Coulter, Villepinte, France)により25,000rpmで45分間分離することにより、100nmを超えてキロミクロンに近い大きさを有するリポソームを回収した。陰性対照として使用するために、PCだけからなるリポソームを同時に調製した。
本発明の化合物におけるリポソームの組成は、酵素比色トリグリセリド測定法キットを用いて推定した。この測定法は、脂質較正物質のCFAS、参照番号759350(Boehringer Mannheim GmbH, Germany)で作製した標準曲線に対して実行した。この標準曲線は、16〜500μg/mlの範囲の濃度を包含した。滴定プレート(96ウェル)上に1ウェルにつき各試料希釈液又は較正標準液100μlを滴下した。次にトリグリセリド試薬、参照番号701912(Boehringer Mannheim GmbH, Germany)200μlを各ウェルに加え、プレート全体を37℃で30分間インキュベートした。光学密度(OD)は、分光光度計により492nmで読みとった。各試料におけるトリグリセリド濃度は、一次関数:y=ax+b〔式中、yは、ODを表し、そしてxは、トリグリセリド濃度を表す〕としてプロットした標準曲線から計算した。
【0283】
このようにして調製された、本発明の化合物を含有するリポソームを、下記の実施例に記載されているインビトロ実験で使用した。
【0284】
実施例25:インビトロでのPPAR活性化の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0285】
異常脂肪血症及び糖尿病の治療に外来で広く使用されている2つの主な医薬分類であるフィブラート系及びグリタゾン系(glitazones)により活性化される、PPARサブファミリーの核内受容体は、脂質及びブドウ糖のホメオスタシスにおいて重要な役割を演じる。下記の実験データは、本発明の化合物がPPARαをインビトロで活性化することを示す。
【0286】
PPAR活性化を、酵母菌gal4転写因子のDNA結合ドメイン及び異なるPPARのリガンド結合ドメインから構成されるキメラの転写活性を測定することにより、RK13線維芽細胞の細胞株又は血液細胞HepG2においてインビトロで試験した。下記の例は、HepG2細胞で示す。
【0287】
A−培養プロトコール:
HepG2細胞は、ECACC(Porton Down, UK)から得て、10%(V/V)ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン(Gibco, Paisley, UK)及び2mM L−グルタミン(Gibco, Paisley, UK)を補足したDMEM培地で増殖させた。培地は2日毎に取り換えた。細胞は、37℃で加湿95%空気/5%CO2雰囲気中で保持した。
【0288】
B−トランスフェクションに使用したプラスミドの記載:
プラスミドpG5TkpGL3、pRL−CMV、pGal4−hPPARα、pGal4−hPPARγ及びpGal4−fは、Raspeらにより記載された(Raspe、Madsen et al., 1999)。pGal4−mPPARα及びpGal4−hPPARβ作成体は、マウスPPARα及びヒトPPARβ核内受容体のDEFドメインに対応するPCR増幅DNA断片をそれぞれpGal4−fベクター中にクローン化することにより得た。
【0289】
C−トランスフェクション:
HepG2細胞を24ウエル培養皿に5×104細胞/ウエルで接種し、前述のプロトコール(Raspe, Madsen et al., 1999)に従って、レポータープラスミドpG5TkpGL3(50ng/ウエル)、発現ベクターpGal4−f、pGal4−mPPARα、pGal4−hPPARα、pGal4−hPPARγ、pGal4−hPPARβ(100ng/ウエル)及びトランスフェクション効率制御ベクターpRL−CMV(1ng/ウエル)で2時間トランスフェクトし、次に試験化合物で36時間インキュベートした。実験の終了時に、細胞を溶解し(Gibco, Paisley, UK)、ルシフェラーゼ活性を、供給者の使用説明書に従って、Dual-Luciferase(商標)Reporter Assay Systemキット(Promega, Madison, WI, USA)により測定した。次に、供給業者による指示によりBio-Rad Protein Assayキット(Bio-Rad, Munich, Germany)で細胞抽出物中のタンパク含有量を測定した。
【0290】
発明者は、本発明の化合物で処理され、pGal4−hPPARαプラスミドでトランスフェクトされた細胞のルシフェラーゼ活性が増加したことを示した。前記のルシフェラーゼ活性の誘導は、本発明の化合物がPPARαの活性化剤であることを示した。図2は、本発明の化合物により得られた結果の例を示す。
図2:Gal4−/PPARαプラスミドでトランスフェクトされたHepG2細胞を、異なる濃度(5、15、50及び100μM)の本発明の化合物(Ex2、Ex4、Ex5、Ex6、Ex11)と共に24時間、並びに本発明の化合物の濃度5、15、50及び100μM用の対照として1、2、3、4と示されている異なる濃度のビヒクル(PC)と共にインキュベートした(実施例24で記載された4:1(m/m)比に従う(本発明の化合物の調製方法))。結果は、異なる処理の後で、誘導係数(処理細胞の発光信号を未処理細胞の発光信号で割る)として表される。誘導係数が高いほど、PPARαアゴニスト活性が強力である。結果は、本発明の化合物Ex2が50μMで最大19.8倍の発光信号の誘導を生じ、100μMでは19.2倍、15μMでは7.7倍、5μMでは1.5倍であることを示す。本発明の化合物Ex5は、また、100μMで10.5、50μMで7、15μMで2.5、5μMで1.2である誘導係数の用量依存的増加を示した。本発明の化合物Ex6は、また、発光信号の増加を誘導し、PPARα核内受容体に対する活性を明らかにした。本発明の化合物Ex6の誘導係数は、100μMで14.5、50μMで9.6、15μMで2.2、5μMで1.1であった。一方、細胞をビヒクル(PCリポソーム)と共にインキュベートした場合、有意な誘導は観察されなかった。
これらの結果は、試験された本発明の化合物が有意なPPARαリガンド活性を示し、したがってそれらの転写活性を可能にすることを示す。
【0291】
D−RNA分析:
メッセンジャーRNAは、HepG2細胞から、供給業者の指示書に従ってAbsolutely RNA RT-PCRミニプレップキット(Stratagene, France)を使用して抽出し、次に分光光度計により測定し、Light Cycler System (Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland)でLight Cycler Fast Start DNA Master Sybr Green Iキット(Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland)を使用して、半定量又は定量RT−PCRにより定量した。PPARα標的遺伝子である、ACO及びApo AI遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。36B4、β−アクチン及びGAPDH遺伝子に特異的なプライマー対を対照プローブとして使用した(下記の表1を参照のこと)。
【0292】
【表44】



【0293】
得られた結果は、試験された化合物は、PPARα核内受容体の極めて強力な活性化が可能であることを確認する(結果は示されず)。
【0294】
実施例26:インビボでの脂質代謝に対する効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0295】
先進工業国における疾病及び死亡の主な原因の1つである、アテローム動脈硬化の進行に関係する異常脂肪血症の治療のためのヒトの医療において広く使用されているフィブラート類は、PPARα核内受容体の強力な活性化剤である。後者は、脂質の輸送(ApoAI、ApoAII及びApoC−IIIのようなアポリポタンパク質、FAT(脂肪酸トランスポーター)のような膜トランスポーター又は脂質の異化(ACO(アシルCOAオキシダーゼ)、CPT−I又はCPT−II(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI及びII))に関係する遺伝子の発現を調節する。したがってPPARα活性化剤で齧歯類を処置すると、血漿中コレステロール及びトリグリセリド濃度の低下を引き起こす。
【0296】
以下のプロトコールは、循環血中トリグリセリド及びコレステロール濃度の低下を証明するため、また心血管疾患の予防及び/又は治療に関する本発明の化合物の利益を強調するために策定した。
【0297】
1)動物の処置
体重200〜230gのSprague-Dawleyラット(Charles River, L'Arbresle, France)は、12時間の明/暗サイクル、20±3℃の一定温度で飼育した。1週間の順化期間後、ラットを秤量して、血漿中コレステロール及びトリグリセリド濃度が均一であるように選択された8匹ずつの群に分配した。試験化合物をビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)及び0.1%ツイーン)に懸濁し、指定された用量を胃内胃管栄養法により1日1回、15日間投与した。動物は食餌及び水を適宜に入手した。実験の最後に、5時間の絶食後動物を秤量して、麻酔下で屠殺した。血液をEDTAに収集した。血漿は、3000rpmで20分間の遠心分離により単離した。肝臓試料を摘出して、その後の分析のために液体窒素で冷凍保存した。
使用したカルボキシメチルセルロースは、中間粘度のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩である(参照番号C4888、Sigma-Aldrich, France)。使用されたツイーンは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである(ツイーン80、参照番号P8074、Sigma-Aldrich, France)。
【0298】
2)血清中脂質及びアポリポタンパク質の測定
血漿中脂質濃度(総コレステロール及びトリグリセリド)は、比色測定法(Bio-Merieux, Marcy l'Etoile, France)により供給業者の指示書に従って測定した。アポポリタンパク質AII、AI及びCIIIの血漿濃度を、予め記載されたようにして(Raspe, Madsen et al. 1999)及び(Asset, Staels et al. 1999)測定した。
サイズによりリポタンパク質を分離するために、血漿300μlをセファロース6HR10/30カラム(Pharmacia, Uppsala, Sweden)に載せて、PBS(pH7.2)中で一定流量(0.2ml/分)で溶出した。溶出液の光学密度は280nmで記録した。画分0.3mlを回収した。比色定量法(Bio-Merieux, Marcy l'Etoile, France)により供給業者の指示書に従って、異なる画分の脂質濃度を求めた。
結果は、図3A及び3Bに与えられる。
図3Aは、総血漿中コレステロールに及ぼす、実施例11の本発明の化合物(300mg/kg/日)によるSprague-Dawleyラットの処置の効果を示す。図3Aは、総血漿中コレステロール濃度が、実施例11の本発明の化合物で動物を処置することにより低下したことを示す。
【0299】
図3Bは、血漿中トリグリセリドに及ぼす、実施例11の本発明の化合物(300mg/kg/日)によるSprague-Dawleyラットの処置の効果を示す。図3Bは、血漿中トリグリセリド濃度が、実施例11の本発明の化合物で動物を処置することにより低下したことを示す。
サイズによりリポタンパク質を分離するために、血漿300μlをセファロース6HR10/30カラム(Pharmacia, Uppsala, Sweden)に載せて、PBS(pH7.2)中で一定流量(0.2ml/分)で溶出した。溶出液の光学密度は280nmで記録した。画分0.3mlを回収した。比色定量法(Bio-Merieux, Marcy l'Etoile, France)により供給業者の指示書に従って、異なる画分の脂質濃度を求めた。
得られた結果は、本発明の化合物のインビボにおける効果を確認する。更に、異なる脂肪粒子分類においてコレステロールの低下が、特に大粒子(VLDL)及び小粒子(HDL)で見られた。加えて、トリグリセリドの典型的な分布が、主に大型の脂肪粒子中で観察され、そこではトリグリセリド濃度が、著しく低下した。この低下は、PPARα活性化剤の作用に特有である。
【0300】
3)RNA分析
総RNAは、以前に報告されている(Raspe, Madsen et al., 1999)ように、チオシアン酸グアニジン/フェノール酸/クロロホルムの混合物での抽出により、肝臓断片から単離した。メッセンジャーRNAは、Light Cycler System(Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland)でLight Cycler Fast Start DNA Master Sybr Green I キット(Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland)を用いる、半定量又は定量RT−PCRにより定量した。ACO、Apo CIII、Apo AI、CPT−I及びCPT−II遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。36B4、β−アクチン及びGAPDH遺伝子に特異的なプライマー対を対照プローブとして使用した。
【0301】
このようにして本発明者たちは、脂質の輸送及び異化に関与する遺伝子の発現が増加することを示し、前記の結果(PPAR活性化、及び血漿中コレステロール及びトリグリセリド濃度の低下)を確認する。
【0302】
実施例27:本発明の化合物の抗酸化特性の評価
A−銅により誘導されるLDL酸化に対する保護:
LDLの酸化は、アテローム動脈硬化の発症及び進展において主要な役割を演じる、重要な変性である(Jurgens, Hoff et al., 1987)。以下のプロトコールにより、化合物の抗酸化特性を証明することができる。特に示されない限り、全ての試薬はSigma(St Quentin, France)製であった。
LDLは、Lebeauらで記載された(Lebeau, Furman et al., 2000)ように調製した。試験化合物の溶液は、最終濃度が、1%(V/V)の総エタノール濃度で0.1〜100μMの範囲になるように、エタノール中10-2Mで調製し、PBSで希釈した。
【0303】
酸化の前に、透析によりLDL調製物からEDTAを除去した。次に、16.6μM CuSO4溶液100μlを、LDL(125μgタンパク質/ml)800μl及び試験化合物溶液100μlに加えることにより、酸化反応を30℃で行った。追跡すべき種であるジエンの形成は、銅の存在下又は不在下で、本化合物により処理した試料中の234nmの光学密度により測定した。234nmの光学密度は、10分毎に8時間、サーモスタット付き分光光度計(Kontron Uvikon 930)で測定した。分析は三重に行った。対照試料に対して遅滞期潜伏時間をシフトした場合、化合物は抗酸化活性を有すると考えられた。発明者たちは、本発明の化合物が、LDL酸化(銅により誘導)を遅延させたことを証明したが、このことは、本発明の化合物が、固有の抗酸化活性を有することを示している。図4は、本発明の化合物により得られた結果の一例を表す。
【0304】
図4は、本発明の化合物Ex2、4、5、6及び11が、固有の抗酸化特性を示し、また、銅により誘導されるLDL酸化の速度の遅延を促進することを示す。事実、本発明の化合物は、遅滞期潜伏時間のシフトを誘導し、それは、細胞が化合物Ex2で処理されたとき、13.4%遅延し、化合物Ex4では、34.3%まで遅延した(図4A)。本発明の化合物は、酸化速度(図4b)又は形成されたジエンの量(図4C)を変えるようには見えなかった。
【0305】
B−脂質過酸化に対して本発明の化合物により与えられる保護の評価:
LDL酸化は、TBARS法(チオバルビツール酸反応性物質)により測定した。
上述のものと同じ原理により、LDLをCuSO4の存在下で酸化させて、脂質の過酸化を以下のように評価した:
TBARSは、分光光度法により測定し、脂質ヒドロペルオキシド化は、ヨウ化物のヨウ素への脂質過酸化物依存性酸化を利用して測定した。結果は、マロンジアルデヒド(MDA)のnmolとして、又はnmolヒドロペルオキシド/mgタンパク質として表される。
結合ジエン形成の阻害を測定することにより得られた結果は、LDL脂質過酸化を測定する実験により確認した。したがって、本発明の化合物は、また、銅(酸化剤)により誘導された脂質の過酸化に対するLDLの効率的に保護することができた。
【0306】
実施例28:細胞培養物に及ぼす本発明の化合物の抗酸化特性の測定
A−培養プロトコール:
ニューロン、ニューロブラストーマ(ヒト)及びPC12細胞(ラット)がこの種類の試験に使用した細胞株であった。PC12細胞は、ラットのクロム親和性細胞種から調製し、Greene 及び Tischler により特徴づけられた(Greene and Tischler, 1976)。これらの細胞は、通常、神経細胞の分化、信号伝達及び神経細胞死の試験に使用される。PC12細胞を前述された(Farinelli, Park et al., 1996)ように、10%ウマ血清及び5%ウシ胎仔血清を補足した完全なRPMI培地(Invitrogen)中で増殖した。
内皮及び平滑筋細胞の初代培養物も使用した。細胞はPromocell(Promocell GmBH, Heidelberg)から得て、供給業者の指示書に従って培養した。
細胞を5〜100μMの範囲の異なる用量の本発明の化合物で24時間処理した。次に細胞を回収し、標的遺伝子の発現の増加を定量PCRで評価した。
【0307】
B−mRNA測定:
mRNAは、本発明の化合物で処理したか、又はしなかった細胞培養物から抽出した。抽出は、Absolutely RNA RT-PCR ミニプレップキット(Stratagene, France)の試薬で供給業者により指示されたとおりに実行した。次にmRNAは、分光法により測定して、Light Cycler System (Roche, France) のLight Cycler Fast Start DNA Master Sybr Green Iキット(Roche)を用いる、定量RT−PCRにより定量した。抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ及びグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)をコードする遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。β−アクチン及びシクロフィリン遺伝子に特異的なプライマー対を対照プローブとして使用した。
【0308】
定量RT−PCRで測定した抗酸化酵素遺伝子のmRNA発現の増加は、細胞が本発明の化合物で処理されたとき、使用した異なる細胞の種類で実証された。
【0309】
C−酸化ストレスの制御:
培養細胞における酸化種の測定:
化合物の抗酸化特性も、蛍光標識を用いて評価し、その酸化は、蛍光信号の出現により追跡した。発光した蛍光信号の強度の減少は、化合物で処理された細胞において下記の方法で測定した:前記のように培養されたPC12細胞(ブラック96ウェルプレート、透明底、Falcon)を、血清無含有培地で、用量を増加させる過酸化水素(0.25mM〜1mM)と共に2及び24時間インキュベートした。インキュベーションの後、培地を除去し、細胞をPBS中の10μMジクロロジヒドロフルオレセインジアセタート溶液(DCFDA、Molecular Probes, Eugene, USA)と共に37℃、5%CO2雰囲気で30分間インキュベートした。次に細胞をPBSですすいだ。酸化標識により発光している蛍光を、蛍光計(Tecan Ultra 384)により、励起波長495nm及び発光波長535nmで測定した。結果は、酸化対照に対する保護の百分率として表す。
蛍光強度は、未処理細胞よりも本発明の化合物とインキュベートした細胞において低かった。これらの所見は、本発明の化合物が、酸化ストレスに曝された細胞において酸化種の産生の阻害を促進することを示す。予め述べた抗酸化特性も、培養された細胞における抗ラジカル保護の誘導に有効である。
【0310】
D−脂質の過酸化の測定:
異なる細胞株(上記の細胞モデル)及び初代細胞培養物を前記のように処理した。処理の後、細胞上清を回収し、細胞を溶解し、タンパク質濃度の測定のために回収した。脂質の過酸化を下記のように検出した:脂質の過酸化は、マロンジアルデヒド(MDA)のようなアルデヒドの脂質過酸化と反応する、チオバルビツール酸(TBA)を用いて測定した。処置のあと、細胞上清を収集し(900μl)し、ブチル化ヒドロキシトルエン90μlを加えた(Morliere, Moysan et al., 1991)。15%トリクロロ酢酸を含有する0.25M塩酸中のTBAの0.375%溶液1ミリリットルもこの反応媒体に加えた。この混合物を80℃で15分間加熱し、氷上で冷却して、有機相をブタノールで抽出した。有機相は、Shimazu 1501分光蛍光計(Shimadzu Corporation, Kyoto, Japan)で、分光蛍光法(λexc=515nm及びλem=550nm)により分析した。TBARSを、テトラ−エトキシプロパンを標準として使用し、MDA当量として表した。結果は、タンパク質濃度に対して標準化した。
【0311】
本発明の化合物で処理された細胞において観察された脂質の過酸化の減少は、前記の結果を確認する。
本発明の化合物は、有利には、酸化ストレスの影響を遅延及び/又は阻害する、固有の抗酸化特性を示す。発明者たちは、また、本発明の化合物が、抗酸化酵素をコードする遺伝子の発現を誘導することができることも示す。これらの本発明の化合物の特定の特徴は、細胞が酸化ストレスとより有効に戦うことを可能にし、したがってフリーラジカル誘発損傷から保護することを可能にする。
【0312】
実施例29:ミトコンドリア及びペルオキシソームのβ酸化に関係する酵素の発現に及ぼす効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0313】
脂肪酸は、エネルギーの絶対不可欠なレサバーである。ミトコンドリア及びペルオキシソームの脂肪酸のβ酸化は、主要な異化経路であり、これによってこのエネルギーが動員される。したがってこれら2つのプロセスは、遊離脂肪酸の血清中濃度を制御する、及びトリグリセリド合成を調節するのに重要な役割を演じる。ペルオキシソームのβ酸化の律速酵素は、ACOである。ミトコンドリアのβ酸化は、ミトコンドリアへの脂肪酸の輸送により制限され、これは酵素のCPT−I及びCPT−IIの活性に依存する。酵素ACO、CPT−I及びCPT−IIの発現の調節は、それぞれペルオキシソーム及びミトコンドリアのβ酸化を制御する決定的な工程である。
【0314】
本発明の化合物は、ACO、CPT−I及びCPT−IIの発現を誘導する。該活性は、以下の方法で証明した:
【0315】
体重175〜225gの雄WistarOFAラット(Charles River, L'Arbresle, France)から、コラゲナーゼとサーモリシンの混合物(Blendzyme 3, Roche, Basel, Switzerland)による肝臓の灌流によってラット肝細胞を単離した。ラットは、ペントバルビタールにより麻酔をかけ、(Raspe, Madsen et al. 1999)により記載されたプロトコールの改変に従って、最初に洗浄緩衝液(肝臓灌流媒体、Gibco, Paisley, UK)100ml、続いて消化媒体:10mMヘペス(pH7.6)、4mM 塩化カルシウム及びBlendzyme 3 7mgを補足した、塩化カルシウム及び硫酸マグネシウムの欠乏したHBSS(Sigma, St Louis, MI, USA)200mlにより、門脈経由で灌流した。トリパンブルー試験(Sigma, St Louis, MI, USA)により測定した細胞生存率が80%を超えたとき、肝細胞を、メッセンジャーRNAの定量のために105細胞/cm2で6ウェル培養皿に塗布した。細胞を接種して、100U/mlペニシリン(Gibco, Paisley, UK)、2mM L−グルタミン(Gibco, Paisley, UK)、2%(V/V)UltroSER SF(Biosepra, Cergy St-Christophe, France)、0.2%(m/V)ウシ血清アルブミン(Sigma. St Louis. MO, USA)、1μMデキサメサゾン(Sigma. St Louis. MO, USA)及び100nM T3(Sigma. St Louis. MO, USA)を補足したWilliams E培地中で4時間インキュベートした。次にUltroserを欠いた同一培地中で実験を続けた。試験化合物は、所定の濃度で培地に直接加えた。
【0316】
総RNAは、以前に記載されている(Raspe, Madsen et al., 1999)ように、チオシアン酸グアニジン/フェノール酸/クロロホルムの混合物を用いる抽出により、肝臓断片から単離した。メッセンジャーRNAはa Light Cycler System (Hoffman-La Roche, Basel, Switzerland).Light Cycler Fast Start DNA Master Sybr Green Iキット(Hoffman-La Roche, Basel. Switzerland)を用いる、半定量又は定量RT−PCRにより定量した。ACO、Apo CIII、Apo AI、CPT−I及びCPT−II遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。36B4、β−アクチン及びGAPDH遺伝子に特異的なプライマー対を対照プローブとして使用した(表Iを参照のこと)。
上記記載の初代培養物のラット肝細胞から単離した、又は試験化合物で処理したラットから採取した肝臓断片から単離したRNAを、実施例25及び26に記載されたように、ACO、CPT−I及びCPT−II遺伝子に特異的なプライマー対の助けを借りて、半定量又は定量RT−PCRにより定量した。
【0317】
実施例30:脂肪酸酸化能力の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0318】
脂肪酸の酸化能力は、遊離脂肪酸の血清中の濃度、並びにトリグリセリド合成の潜在性を決定する。血液中の遊離脂肪酸の蓄積又は脂肪組織の外側のトリグリセリドの蓄積は、インスリン抵抗性を招く。更に、現在、血漿中のトリグリセリド濃度の上昇は、心血管疾患の危険因子であると考えられている。したがって脂肪酸の酸化能力の増大は、治療上の関心事である。
【0319】
本発明の化合物は、ミトコンドリア及びペルオキシソームによる脂肪酸酸化を活性化する。該能力は、以下のように証明した:
【0320】
ミトコンドリアCPT−I及びCPT−II活性は、Madsenら(Madsen et al., 1999)により記載された方法に従って試験した。
ACO活性は、Asieduら(Asideu et al., 1995)と同様にして測定した。
ミトコンドリア及びペルオキシソームの脂肪酸のβ酸化は、Hovikら(Hovik et al, 1990)による記載と同様にして評価した。
【0321】
実施例31:コレステロール逆転送に及ぼす効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0322】
HDL−コレステロール濃度と心血管疾患の間の負の相関は、今では充分に確立されている。コレステロール逆転送(RCT)を増大させる化合物の能力は、HDLがアテローム動脈硬化に対して防御する機序と考えられる
【0323】
RCTは、肝外組織に存在する過剰なコレステロールを回収することができ、そして肝臓へ運び出すことができるプロセスであって、肝臓でコレステロールは胆汁酸へ変換されて、次に胆汁中に排出される。
マクロファージ由来泡沫細胞の存在は、アテローム動脈硬化の病変の形成における第1工程を特徴づける。
したがってマクロファージからのコレステロールの流出は、泡沫細胞の形成を防ぐための決定的に重要な局面であり、そして結果として、アテローム動脈硬化の進行に対して防御的に作用する。RCTの決定的に重要な工程は、過剰なコレステロール及び細胞膜リン脂質の発生期HDLへの移行である。この点に関して、ABCA1(ATP結合カセットA1)トランスポーターは、このプロセスにおいて重要な役割を演じ、そしてその発現は、マクロファージからのコレステロール流出の刺激によるアテローム動脈硬化プラーク発生の減少と相関している。
また最近になって、ABCA1が、LXRα核内受容体(それ自体が、PPARα及びPPARγ受容体の標的遺伝子である)の標的遺伝子であることが示されている。
【0324】
本発明の化合物は、LXRα及びABCA1の発現を誘導し、そして初代及びTHP1マクロファージの2つのインビトロモデルにおいてコレステロール流出を刺激した。
【0325】
1−ABCA1及びLXRα発現の測定:
a−初代及びTHP−1ヒトマクロファージの分化及び処理
THP−1単球(ATCC, Rockville, MD, USA)は、PMA(ホルボールミリステートアセテート)及びウシ胎仔血清の存在下で6ウェル培養皿に入れ、37℃で6日間インキュベートすることにより、マクロファージに分化させた。初代マクロファージを得るために、以前に記載されている(Chinetti et al., Nat. Medecine 7(1), 53-58, 2001)ようにヒト血液から単核細胞を単離し、6ウェル培養皿に入れ、ヒト血清の存在下で10日間増殖させることにより、初代単球をマクロファージに付着及び分化させることができた。
【0326】
ヒト又はウシ胎仔血清を含まないが、1%Nutridoma HU血清(Boehringer)を補足した培地中で異なる化合物による処理を48時間行った。
【0327】
b−メッセンジャーRNA定量
総RNAは、ミニRNeasyキット(Qiagen, Hilden, Germany)により供給業者の指示書に従って処理したマクロファージから抽出し、分光法により測定して、Light Cycler System (Hoffman-La Riche, Basel, Switzerland)で Light Cycler Fast DNA Master Green Iキット(Hoffman-La Riche, Basel, Switzerland)を用いる定量RT−PCRにより定量した。ABCA1及びLXRα遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。
【0328】
2−コレステロール流出の測定:
a−初代及びヒトTHP−1マクロファージの分化及び処理
マクロファージは、THP−1又は初代単球から前の実験(1−ABCA1及びLXRα発現の測定)と同様にして分化させた。
【0329】
b−マクロファージは、本化合物で24時間前処理し、それだけでなく実験の期間にわたって24時間毎に処理した。コレステロール負荷は、1%Nutridoma HU (Boehringer)を補足したRPMI 1640培地中で、アセチル化LDL(トリチウム標識コレステロールを含む50μg/ml)の存在下での48時間のインキュベーションにより達成した。
この工程後、細胞をPBSで2回洗浄して、Nutridomaを含まず、アポリポタンパク質A−1を含むか又は含まない、RPMI培地中で24時間インキュベートした。この工程の終了後、培地を回収して、細胞内脂質をヘキサン/イソプロパノールの混合物で抽出し、次に窒素下で乾燥した。
流出は、Tri-Carb(登録商標)2100TRシンチレーションカウンター(Packard, Meriden, CT, USA)で、培地中でカウントされる崩壊の数を、培地中及び細胞内でカウントされる崩壊の総数で割ることにより定量した。
【0330】
実施例32:代謝症候群(X症候群)及び糖尿病に及ぼす効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0331】
インスリン抵抗性は、代謝症候群の根底をなすものであり、そしてこれは、耐糖能異常、高インスリン血症、異常脂肪血症及び高血圧を特徴とする。アテローム動脈硬化に続発する心血管疾患のリスクの増大を導く幾つかの心血管危険因子の組合せは、2型糖尿病に関連する疾病及び死亡のほとんどの原因である。したがって代謝症候群の薬理学的処置は、主にインスリン抵抗性を標的とする。
【0332】
本発明の化合物は、遊離脂肪酸の上昇、高インスリン血症、高血糖症及びブドウ糖に対するインスリン血応答(ブドウ糖負荷試験)のような、代謝症候群(X症候群)の症状発現、並びに代謝症候群に関係したインスリン抵抗性の2つの動物モデル:高脂肪飼料で維持したC57BL/6マウス、及び肥満Zuckerラット(fa/fa)における糖尿病の症状発現を減衰させた。これらの性質は、以下のように証明した:
【0333】
1)動物の処置
実験の開始時に6週齢の雄C57BL/6マウス(Charles River, L'Arbresle, France)を、体重分布が均一になるように6匹ずつの群にランダムに分割した。マウスに低脂肪飼料(UAR AO4)、高脂肪飼料(29%(m/m)ココナツ油)又は試験化合物を補足した同じ栄養強化飼料を与えた。5又は21週齢の肥満(fa/fa)又は非肥満の(fa/+)雄Zuckerラット(Charles River, L'Arbresle, France)を、血漿中コレステロール及びトリグリセリド濃度の分布が均一になるように選択した8匹ずつの群に分割して、標準飼料で維持した。動物は、12時間の明/暗サイクル、20℃±3℃の一定温度で飼育した。動物は食餌及び水を適宜に入手した。食物摂取量及び体重増加を記録した。試験化合物をビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)及び0.1%ツイーン)に懸濁し、指定された用量を胃内胃管栄養法により1日1回、15日間投与した。処置の最後に、後述されるように動物数匹にブドウ糖負荷試験を行った。実験の最後に、5時間の絶食後、他の動物を秤量して、麻酔下で屠殺した血液をEDTAに収集した。3000rpmで20分間遠心分離して血漿を調製した。肝臓試料を摘出して、その後の分析のために液体窒素で冷凍保存した。
【0334】
2)遊離脂肪酸及び脂質の測定
糖尿病ラットでは遊離脂肪酸濃度は様々であった。血清又は血漿中の遊離脂肪酸濃度は、血清又は血漿での比色酵素反応“NEFA/FFA”WAKO(Labo Immuno Systems, Neuss, Germany)により測定した。
血漿中脂質濃度(総コレステロール及びトリグリセリド)は、比色測定法(Bio-Merieux, Marcy l'Etoile, France)により供給業者の指示書に従って測定した。
【0335】
3)血糖症測定
血中ブドウ糖は、比色酵素測定法(Sigma Aldrich, St Louis, MO, USA)により測定した。
【0336】
4)インスリン測定
高インスリン血症を証明するために、放射測定法キット(Mercodia, Uppsala, Sweden)でインスリン濃度を測定した。インスリン血症は、EDTAに回収した血清又は血漿で測定した。
【0337】
5)ブドウ糖負荷試験
8時間絶食後、動物をペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)の腹腔内注入により麻酔した。ブドウ糖負荷試験を開始するために、ブドウ糖(1g/kg)を腹腔に注入し、次いでブドウ糖負荷の0、15、30、45、及び60分後に尾静脈からヘパリン処理試験管中に血液試料を回収した。試料は、氷上に貯蔵し、血漿を単離して、分析まで−20℃で貯蔵した。
【0338】
実施例33:肥満に及ぼす効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0339】
肥満は、インスリン抵抗性の増大、2型糖尿病、並びに心血管疾患及び癌のリスクの増大を伴う。したがって肥満は、先進工業世界で流行する病気の幾つかにおいて中心的役割を演じており、このために薬理学的に大きな課題を提起する。
【0340】
本発明の化合物は、肥満の2つの動物モデル:高脂肪飼料を与えたC57BL/6マウス、及び肥満Zuckerラット(fa/fa)において体重増加を軽減した。これらの性質は、以下のように証明した:
【0341】
1)動物の処置
実験の開始時に6週齢の雄C57BL/6マウス(Charles River, L'Arbresle, France)を、体重分布が均一になるように6匹ずつの群にランダムに分割した。マウスに低脂肪飼料(UAR AO4)、高脂肪飼料(29%(m/m)ココナツ油)又は試験化合物を補足した同じ栄養強化飼料を与えた。5週齢の雄の肥満Zuckerラット(fa/fa)(Charles River, L'Arbresle, France)を、血漿中コレステロール及びトリグリセリド濃度の分布が均一になるように選択した8匹ずつの群に分割して、標準飼料で維持した。動物は、12時間の明/暗サイクル、20℃±3℃の一定温度で飼育した。動物は食餌及び水を適宜に入手した。食物摂取量及び体重増加を記録した。実験の終了時に動物を計量し、麻酔下で殺処分した。3000rpmで20分間遠心分離して血漿を調製した。肝臓及び脂肪組織試料を摘出して、秤量し、次の分析のために液体窒素中に凍結貯蔵した。
【0342】
2)レプチンの測定
肥満マーカーであるレプチンは、Linco Research (St Charles, MI, USA)製の「ラットレプチンアッセイ」キットにより測定した。
【0343】
実施例34:細胞増殖に及ぼす効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0344】
本発明の化合物は、腫瘍細胞の増殖を低下させた。
【0345】
この活性は、Hvattumら、(Hvattum et al. 1993)により記載されたプロトコールを使用して観察した。
【0346】
実施例35:再狭窄に及ぼす本化合物の効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0347】
平滑筋細胞の増殖は、心血管疾患に関連するアテローム発生、再狭窄及び高血圧の主要構成成分の1つである。したがって該増殖の阻害物質の同定は、薬理学における価値ある課題である。
【0348】
本発明の化合物は、血管平滑筋細胞の増殖をインビトロで低下させ、ラットバルーン血管形成モデルにおいてインビボで再狭窄を減少させた。これらの性質は、以下のように証明した:
【0349】
1)平滑筋細胞増殖の測定
冠動脈又は大動脈からの平滑筋細胞をPromocell(Heidelberg, Germany)から得て、供給業者の指示書により、10%ウシ胎仔血清を補足した特別な平滑筋細胞培地で培養した。50%コンフルエンスになるまで増殖した細胞は、血清を24時間除外することにより静止状態にした。次に細胞は、マイトジェン(10%血清、20ng/ml βFGF又は2U/ml α−トロンビン)及び本発明の化合物の存在下で3〜6日間処置した。実験の最後に、細胞はトリプシン処理して、血球計で数えた。
【0350】
2)ラットバルーン冠血管形成モデルにおける再狭窄の測定
体重200〜300gの成体Sprague-Dawleyラット(Iffa Credo, L'Arbresle, France)は、12時間の明/暗サイクル、20℃±3℃の一定温度で飼育した。1週間の順化期間後、ラットを秤量して、体重分布が均一になるように選択した6匹ずつの群に分割した。左内冠動脈を以前に記載された(Ruef et al., 2000)ようにバルーンで損傷させた。本発明の化合物をビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)及び0.1%ツイーン)に懸濁し、異なる用量を胃内胃管栄養法により1日1回、4、10及び21日間投与した。処置はバルーンによる介入の1日前に始めた。動物は食餌及び水を適宜に入手した。次いで動物を屠殺し、冠動脈を固定して、以前に記載された(Ruef et al. 2000)ように分析した。
【0351】
実施例36:高血圧に及ぼす本化合物の効果の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0352】
高血圧は、心血管疾患の主要な危険因子であり、そして重要な薬理学的課題に相当する。
【0353】
本発明の化合物は、高血圧のモデルとして使用した自然発生高血圧ラット(SHRラット)に投与すると、インビボで血圧を低下させた。これらの性質は、以下のように証明した:
【0354】
1)動物の処置
体重200〜300gの成体SHRラット(Harlan France, Gannat, France)を12時間の明/暗サイクル、20℃±3℃の一定温度で飼育した。1週間の順化期間後、ラットを秤量して、体重分布が均一になるように選択した6匹ずつの群に分割した。本発明の化合物をビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)及び0.1%ツイーン)に懸濁し、異なる用量を胃内胃管栄養法により1日1回、7日間投与した。動物は食餌及び水を適宜に入手した。
【0355】
2)血圧測定
血圧は、以前に記載された(Siragy and Carey 1997)ようにして測定した。
【0356】
実施例37:細胞培養物に及ぼす抗酸化特性の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0357】
a)正常ヒト角化細胞の獲得及び培養
正常ヒト角化細胞(NHK)は、皮膚試料から培養した。試料は、最初にPBS(リン酸緩衝食塩水−Invitrogen, France)中で4回洗浄し、次に70%エタノールの2個の連続浴に30秒間浸漬することにより浄化した。次にできる限り多くの脂肪組織及び真皮を入念に取り除いて、3mm幅ストリップを切り出した。次いでこのストリップを0.25%トリプシン溶液(Invitrogen, France)中、37℃で4時間インキュベートした。
【0358】
真皮から表皮を分離した後、表皮調製物を濾過して、1000rpmで5分間遠心分離した。ペレットをKHN−D培地(DMEM+10%ウシ胎仔血清(FCS)+ヒドロコルチゾン0.4μg/ml+EGF 10ng/ml+10-9Mコレラ毒素(Sigma, St Quentin, France))にとった。細胞を数え、次いで10×106細胞/75cm2に接種した。
【0359】
24時間培養した後、培地を交換し、細胞をPBS中で洗浄して、次いでK−SFM増殖培地(Invitrogen, France)を使用した。細胞を所望の密度で接種した。細胞は、5%CO2雰囲気、37℃で培養し、培地を48時間毎に交換した。細胞がコンフルエンスに達する前(70〜80%)に本発明の化合物によるか、またはなしで処理を行うが、このとき本化合物は、1〜100μMの範囲の濃度で培地に直接加えた。
【0360】
b)ヒト線維芽細胞の獲得及び培養
正常ヒト線維芽細胞は、皮膚試料から培養した。試料は、最初にPBS(リン酸緩衝食塩水−Invitrogen, France)中で4回洗浄し、次に70%エタノールの2個の連続浴に30秒間浸漬することにより浄化した。約5mm2の面積を有する真皮の断片を、ペトリ皿の底に入れた。この断片が支持体に付着したら(約5分)、これらを20%FCSを補足したDMEM培地4mlで覆った。培地を2日毎に置換した。1週間後、細胞は外植片から遊走して、ペトリ皿にコロニーを作った。細胞が支持体にコロニーを作ったら、トリプシンで処理し、再接種し、DMEM+10%FCS(Invitrogen, France)中で、37℃、5%CO2雰囲気で培養した。コンフルエンスに達したら細胞を処理したが、このとき本発明の化合物は、1〜100μMの範囲の濃度で培地に直接加えた。
【0361】
c)メッセンジャーRNA定量
mRNAは、本発明の化合物で処理した(又はしていない)正常ヒト角化細胞及び線維芽細胞培養液から抽出した。抽出は、Absolutely RNA RT-PCRミニプレップキット(Stratagene, France)の試薬で供給業者の指示書に従って実行した。次にmRNAは、分光法により測定して、Light Cycler System (Roche, France)で Light Cycler Fast Start DNA Master Sybr Green I キット(Roche, France)を用いる、定量RT−PCRにより定量した。2つの抗酸化酵素である、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)及びグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)をコードする遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。36B4、β−アクチン及びGAPDH遺伝子に特異的なプライマー対を対照として使用した(表Iを参照のこと)。
【0362】
d)グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)活性の測定
グルタチオンペルオキシダーゼ活性は、1〜100μMの範囲の濃度で本発明の化合物で処理した(又はしていない)細胞(角化細胞、線維芽細胞)のタンパク質抽出物で測定した。GPx活性はまた、細胞内ストレス(0.5mMパラコート又は0.6mM H22、これらは反応性酸素種の生成を誘導する)の条件下で測定した。タンパク質抽出物の活性は、Glutathione Peroxidase Cellular Activity Assay Kit(Sigma)により供給業者の指示書に従って測定した。間接測定は、グルタチオンペルオキシダーゼにより触媒される、酸化型グルタチオンへのグルタチオンの酸化に基づく。非酸化型への再変換は、グルタチオンレダクターゼ及びNADPH(β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)により触媒される。NADPH吸光度の低下は、Shimazu1501分光蛍光計(Shimadzu Corporation, Kyoto, Japan)により340nmで測定したが、これは、GPxがこの反応における律速因子であるため、GPx活性を反映している。
【0363】
e)脂質過酸化の測定
特に示されない限り、試薬はSigma(St Quentin, France)製であった
【0364】
脂質過酸化は、チオバルビツール酸(TBA)を用いてマロンジアルデヒド(MDA)をアッセイすることにより測定した。処置のあと、細胞上清を収集し(900μl)し、ブチル化ヒドロキシトルエン90μlを加えた(Morliere, P. et al., 1991)。15%トリクロロ酢酸を含む0.25M HCl中のTBAの0.375%溶液1ミリリットルもこの上清に加えた。この混合物を80℃で15分間加熱し、氷上で冷却して、有機相をブタノールで抽出した。有機相は、Shimazu1501分光蛍光計(Shimadzu Corporation. Kyoto, Japan)で、分光蛍光法(λex=515nm及びλem=550nm)により分析した。TBARSは、テトラ−エトキシプロパンを標準として使用し、MDA当量として表された。結果は、細胞のタンパク質含量に対して標準化した。脂質過酸化は、細胞を0.5mMパラコート(反応性酸素種の誘導物質)又は0.6mM過酸化水素で4時間処理することにより誘導した。1〜100μMの濃度で本発明の化合物により提供される抗ラジカル防御は、脂質過酸化の誘導前、24時間の前処理により評価した。
【0365】
本発明の化合物による細胞(角化細胞及び線維芽細胞)の処置は、抗酸化酵素SOD及びGPxをコードするmRNAの発現の増加を促進した。この転写活性の増加は、また、該酵素の活性の増加によっても明示された。本発明の化合物での細胞のインキュベーションは、酸化剤により誘導される脂質の過酸化を減少する。
【0366】
この方法において、本発明の化合物の細胞培養物に対する抗酸化特性が実証された。
【0367】
実施例38:再建表皮に及ぼす抗炎症性の評価
再建表皮は、SkinEthic(Nice, France)により供給された。表皮は、角質層が存在し、かつ表皮の超微細構造がインビボのヒト表皮と似てくる17日目(0.63cm2)に使用した。再建表皮は、供給業者の指示のとおりに培養液中で維持した。再建表皮は、本発明の化合物により、2〜10mg/cm2の範囲の用量で24及び72時間処理した。
【0368】
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0369】
a)抗炎症性の測定
再建表皮は、本発明の化合物と共に、2〜10mg/cm2の範囲の濃度で24時間プレインキュベートし、次に0.4%SDS又はTPA(12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート)1μgで6時間処理した。化合物の抗炎症性の潜在能力は、ELISA法により評価した。対照又は処理表皮の培地(下記)を回収し、−20℃で凍結した。インターロイキン1−α(IL1−α)は、ELISA IL1−αキット(R&D System, UK)により供給業者の指示書に従って定量した。
【0370】
b)メッセンジャーRNA定量
mRNAは、上述のように本発明の化合物で処理した(又はしていない)再建表皮から抽出した。抽出は、Absolutely RNA RT-PCRミニプレップキット(Stratagene)の試薬で供給業者の指示書により実行し、そして次にmRNAは、分光法により測定し、Light Cycler System (Roche)でLight Cycler Fast Start DNA Master Sybr Green Iキット(Roche)を用いる定量RT−PCRにより定量した。IL1(インターロイキン1)及びIL6遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。36B4、β−アクチン及びGAPDH遺伝子に特異的なプライマー対を対照プローブとして使用した(表Iを参照のこと)。
【0371】
炎症性ストレスの後、本発明の化合物の再建表皮への適用は、炎症性サイトカイン、インターロイキン1の分泌の著しい減少となる。この分泌の減少は、定量RT−PCRにより測定すると、このサイトカインをコードするmRNAの発現の減少と相関していた。本発明の化合物による再建表皮の処置に関するこれらの知見は、後者が抗炎症特性を有することを示す。
【0372】
実施例39:再建表皮に及ぼす抗酸化特性の評価
試験した本発明の化合物は、その調製が上記の実施例2〜23に記載されている化合物である。
【0373】
再建表皮は、SkinEthic (Nice, France)により供給された。表皮は、角質層が存在し、かつ表皮の超微細構造がインビボのヒト表皮と似てくる17日目(0.63cm2)に使用した。再建表皮は、供給業者に指示されるように培養液中で維持した。再建表皮は、本発明の化合物により、2〜10mg/cm2の範囲の用量で24及び72時間処理した。
【0374】
a)メッセンジャーRNA定量
mRNAは、角化細胞(本発明の化合物で処理した(又はしていない)再建表皮由来)から抽出した。抽出は、Absolutely RNA RT-PCRミニプレップキット(Stratagene)の試薬により供給業者の指示書に従って実行し、そして次にmRNAは、分光法により測定して、Light Cycler System (Roche)でLight Cycler Fast Start DNA Master Sybr Green Iキット(Roche)を用いる定量RT−PCRにより定量した。2つの抗酸化酵素である、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)及びグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)をコードする遺伝子に特異的なプライマー対をプローブとして使用した。36B4、β−アクチン及びGAPDH遺伝子に特異的なプライマー対を対照として使用した(表Iを参照のこと)。
【0375】
b)グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)活性の測定
グルタチオンペルオキシダーゼ活性は、本発明の化合物(2〜10mg/cm2)で処理した(又はしていない)再建表皮のタンパク質抽出物で測定した。GPx活性はまた、細胞内ストレス(0.5mMパラコート、反応性酸素種の誘導物質)の条件下で測定した。タンパク質抽出物の活性は、Glutathione Peroxidase Cellular Activity Assay Kit (Sigma)により供給業者の指示書に従って測定した。間接測定は、グルタチオンペルオキシダーゼにより触媒される、酸化型グルタチオンへのグルタチオンの酸化に基づく。非酸化型への再変換は、グルタチオンレダクターゼ及びNADPH(β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)により触媒される。NADPH吸光度の低下は、Shimazu1501分光蛍光計(Shimadzu Corporation, Kyoto, Japan)により340nmで測定したが、これは、GPxがこの反応における律速因子であるため、GPx活性を反映している。
【0376】
定量RT−PCR分析は、抗酸化遺伝子(SOD及びGPx)の発現が著しく増加したことを示した。GPxをコードするmRNAの量の増加は、再建表皮における抗酸化酵素の活性の増加と相関することがある。これらの結果は、本発明の化合物の抗酸化特性を強調する。
【0377】
実施例40:化粧品組成物:老化防止昼用化粧クリーム
【0378】
【表45】

【0379】
実施例41:化粧品組成物:しわ防止化粧用エマルション−ゲル
【0380】
【表46】

【0381】
【表47】





【図面の簡単な説明】
【0382】
【図1】本発明の特定の化合物の構造である。その調製は、実施例2、4、5、6、8、10〜14、16、18、19、21及び23に記載されており、図においてそれぞれ1A.2、1A.4、1A.5、1A.6、1A.8、1A.10、1A.11、1A.12、1A.13、1A.14、1A.16、1A.18、1A.19、1A.21及び1A.23と示されている。
【図2】Gal4/PPARαトランス活性化系における本発明の化合物のPPARαアゴニスト特性の評価である。
【図3A】Zuckerラットにおける血漿中コレステロール及びトリグリセリド代謝に及ぼす本発明の化合物(実施例11)の効果の評価である。対照動物及び化合物Ex11で処置した動物におけるD0、D7及びD14での総血漿中コレステロールの測定である。
【図3B】Zuckerラットにおける血漿中コレステロール及びトリグリセリド代謝に及ぼす本発明の化合物(実施例11)の効果の評価である。対照動物及び化合物Ex11で処置した動物におけるD0、D7及びD14での血漿中トリグリセリドの測定である。
【図4A】銅(Cu)によるLDL酸化に対する本発明の化合物の抗酸化特性の評価である。経時的な又は遅延期における共役ジエン形成である。
【図4B】銅(Cu)によるLDL酸化に対する本発明の化合物の抗酸化特性の評価である。LDL酸化の速度である。
【図4C】銅(Cu)によるLDL酸化に対する本発明の化合物の抗酸化特性の評価である。形成された共役ジエンの最大量である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質及び/若しくは糖の代謝の調節解除に関与する病状、炎症に関連する病状、並びに/又は細胞の増殖及び/若しくは分化に関連する病状の処置が意図される医薬組成物を調製するための、一般式(I):
【化1】


〔式中、
G2及びG3は、独立して酸素原子、硫黄原子又はN−R4基を表し(G2及びG3は、同時にN−R4基を表すことはない)、
R及びR4は、独立して水素原子、又は飽和若しくはそうでない、場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を含む、直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、
R1、R2及びR3は、同一であるか又は異なって、水素原子、CO−R5基、又は式:CO−(CH22n+1−X−R6に対応する基を表し(R1、R2及びR3基の少なくとも1つは、式:CO−(CH22n+1−X−R6に対応する基である)、
R5は、飽和又はそうではない、場合により置換されている、可能であれば環状基を含む、その主鎖が1〜25個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐のアルキル基であり、
Xは、硫黄原子、セレン原子、SO基又はSO2基であり、
nは、0〜11の間に含まれる整数であり、
R6は、飽和又はそうではない、場合により置換されている、可能であれば環状基を含む、その主鎖が3〜23個の炭素原子、好ましくは10〜23個の炭素原子及び場合により酸素原子、硫黄原子、セレン原子、SO基及びSO2基からなる群より選択される1個以上のヘテロ基を含む、直鎖又は分岐のアルキル基である〕により表される少なくとも1つの本発明の化合物、
その光学及び幾何異性体、ラセミ体、塩、水和物、及びこれらの混合物の使用。
【請求項2】
R1、R2又はR3基のうちの1つのみが水素原子を表すことを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
CO−(CH22n+1−X−R6基において、Xが、硫黄又はセレン原子、有利には硫黄原子を表すことを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の使用。
【請求項4】
CO−(CH22n+1−X−R6基において、nが、0〜3の間に含まれ、とりわけ0〜2の間に含まれ、特に0と等しいことを特徴とする、請求項1、2又は3のいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
R6が、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、SO基及びSO2基からなる群より選択される、1個以上、好ましくは0、1又は2個、より好ましくは0又は1個のヘテロ基を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
式:CO−(CH22n+1−X−R6を有する基がCO−CH2−S−C1429基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
R1、R2及びR3基のうちの少なくとも1つが、CO−(CH22n+1−X−R6基(ここで、Xは、硫黄又はセレン原子、好ましくは硫黄原子を表し、そして/又はR6は、3〜23個の炭素原子、好ましくは13〜20個の炭素原子、好ましくは14〜17個、より好ましくは14〜16個、さらにより好ましくは14個の炭素原子を含む、飽和した直鎖のアルキル基である)を表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
R1、R2及びR3基のうちの少なくとも2つが、同一であるか又は異なって、CO−(CH22n+1−X−R6基(ここで、Xは、硫黄又はセレン原子、好ましくは硫黄原子を表す)であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
G2が、酸素又は硫黄原子、好ましくは酸素原子を表すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
R2が、式:CO−(CH22n+1−X−R6に対応する基を表すことを特徴とする、請求項9記載の使用。
【請求項11】
G3が、N−R4基(ここで、R4は、水素原子又はメチル基である)であり、そしてG2が酸素原子である;及び/又は
R2が、CO−(CH22n+1−X−R6基を表す
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
R1、R2及びR3が、同一であるか又は異なって、好ましくは同一で、CO−(CH22n+1−X−R6基(ここで、Xは、硫黄又はセレン原子、好ましくは硫黄原子を表し、そして/又はR6は、13〜17個の炭素原子、好ましくは14〜17個、さらにより好ましくは14個の炭素原子を含む、飽和した直鎖のアルキル基であり、ここでnは、好ましくは0〜3に間に含まれ、特に0と等しい)を表し、とりわけR1、R2及びR3は、同一又は異なって、CO−CH2−S−C1429基を表すことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
式(I)により表される化合物が、下記:
3−(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパン−1,2−ジオール;
1−テトラデシルチオアセチルアミノ−2,3−(ジパルミトイルオキシ)プロパン;
3−テトラデシルチオアセチルアミノ−1,2−(ジテトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
3−パルミトイルアミノ−1,2−(ジテトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジ(テトラデシルチオアセチルアミノ)プロパン−2−オール;
1,3−ジアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジオレイルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルオキシ)プロパン;
1,3−ジテトラデシルチオアセチルアミノ−2−(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン;及び
1−テトラデシルチオアセチルアミノ−2,3−ジ(テトラデシルチオアセチルチオ)プロパン
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項14】
脂質及び/又は糖の代謝の調節解除に関連する病状が、X症候群、糖尿病、アテローム性動脈硬化及び肥満からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
炎症に関連する病状が、アテローム性動脈硬化、アレルギー、喘息、湿疹、乾癬及びそう痒からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の使用。
【請求項16】
細胞の増殖及び/又は分化に関連する病状が、発癌、乾癬及びアテローム性動脈硬化からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の使用。
【請求項17】
病状が、心血管疾患、X症候群、再狭窄、I型又はII型糖尿病、好ましくはII型糖尿病、肥満、高血圧、特に動脈性高血圧、癌、特に肛門、直腸、結腸、腸、十二指腸、胃、前立腺、睾丸、膀胱、腎臓、膵臓、肝臓、喉頭、乳房、肺の癌、白血病及び黒色腫、並びに皮膚疾患からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の使用。
【請求項18】
内因性又は外因性の皮膚の老化の作用を予防又は治療するための、化粧品組成物における、又は化粧品組成物を調製するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2006−518358(P2006−518358A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502144(P2006−502144)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000320
【国際公開番号】WO2004/073593
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(503067111)
【氏名又は名称原語表記】GENFIT
【Fターム(参考)】