説明

アバランシェフォトダイオード

【課題】 本発明は、背面発光デバイスに適し、かつノイズの小さなフォトダイオードを供することを目的とする。
【解決手段】 フォトダイオードは実質的に真性の半導体材料を有する第1領域を有して良い。前記第1領域は第1面及び該第1面に対向する第2面を有する。当該フォトダイオードはまた、前記第1領域の第1面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたp型半導体材料をも有して良い。当該フォトダイオードはまた、前記第1領域の第2面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたn型半導体材料をも有して良い。当該フォトダイオードはさらに第4領域をも有して良い。前記第4領域は、(i)前記第1領域と前記第3領域との間に形成される高濃度ドーピングされたp型半導体、又は(ii)前記第1領域と前記第2領域との間に形成される高濃度ドーピングされたn型半導体のうちの1つを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して光検出に関し、より詳細には1つ以上のアバランシェフォトダイオードを利用する光検出システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光検出器回路(たとえば焦点面アレイ)は、可視及び不可視スペクトルの入射光を検知する様々なデバイスに利用されている。光検出器回路は典型的には、各検出器画素の位置で受光される光強度に比例する電荷、電流、又は電圧を発生させるフォトダイオードのアレイからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来そのようなフォトダイオードには、PNダイオード、PiNダイオード、及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。APDは、光電子増倍管とみなすことのできる光検出器である。逆バイアス電圧をAPDに(典型的にはシリコンであれば10V以上)印加することによって、APDは、衝突電離又はアバランシェ効果として知られている現象により、内部電流利得効果を示す(利得は約10以上)。この大きな利得のため、APDは高感度光検出において特に有用であることが分かっている。しかし従来のAPDは通常、ある特定の光検出用途-具体的には大型焦点面アレイ-にとって必要とされると思われる「背面」発光デバイスには適さない。それに加えて従来のAPDは信号(つまり入射光)を増幅させるだけではなく、ノイズまで増幅してしまうことが知られている。このことは高感度用途にとって望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
フォトダイオードは実質的に真性の半導体材料を有する第1領域を有して良い。前記第1領域は第1面及び該第1面に対向する第2面を有する。当該フォトダイオードはまた、前記第1領域の第1面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたp型半導体材料をも有して良い。当該フォトダイオードはまた、前記第1領域の第2面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたn型半導体材料をも有して良い。当該フォトダイオードはさらに第4領域をも有して良い。前記第4領域は、(i)前記第1領域と前記第3領域との間に形成される高濃度ドーピングされたp型半導体、又は(ii)前記第1領域と前記第2領域との間に形成される高濃度ドーピングされたn型半導体のうちの1つを有する。
【0005】
ある特定の実施例の技術的利点には、従来のフォトダイオードと比較して信号対雑音比が大きいフォトダイオードを供することが含まれて良い。
【0006】
他の技術的利点は、以降の図、明細書、及び特許請求の範囲から当業者にはすぐに明らかとなる。しかも具体的な利点は上に列挙されているが、様々な実施例は、その利点をすべて含む場合もあれば、一部だけを含む場合もあるし、又は全く含まない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示の実施例による光検出システムを図示する単純化された概略図である。
【図2】本開示の実施例による図1に図示された光検出器の集積部分であるリバース・リーチスルー型APDを図示している。
【図3】本開示の実施例による図2に図示されたAPDの逆バイアス状態における電場強度プロファイルを図示している。
【図4】本開示の実施例による図1に図示された光検出器の集積部分である別なリバース・リーチスルー型APDを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示及びその利点をより完全に理解するため、ここでは、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することにする。
【0009】
本開示の実施例及びその利点は、図1〜4を参照することによって最も良く理解される。図中、同一の参照番号は様々な図の同一又は類似の部品に相当する。
【0010】
図1は、本開示の実施例による光検出システム100を表すブロック図である。たとえば光検出システム100は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、他の光起電力デバイス、イメージキャプチャデバイス、及び/又は高速光子計数デバイスであって良い。光検出システム100は検出デバイス120及び信号処理ユニット140を有して良い。検出デバイス120は、焦点面アレイ(FPA)、能動画素センサ(APS)、又は光子の捕獲が可能な他の適切な光検知デバイスであって良い。検出デバイス120はたとえば、1つ以上のダイオード、相補型金属-酸化物半導体(CMOS)、電荷結合デバイス(CCD)、又は他の適切な光起電力検出器若しくはトランスデューサを有して良い。信号処理ユニット140は、ハードウエア、ソフトウエア、又はファームウエアの結合であって、検出デバイス120からの信号情報を受け取り、かつその信号情報を電気データへ変換するように動作することができる。
【0011】
検出デバイス120は単位セル160のアレイを有して良い。単位セル160は、電荷を蓄積するか、又はその単位セル上に入射する光の光強度に比例する電流及び/又は電圧を発生させて良く、かつ取得された電子信号での画素に相当して良い。蓄積された電荷又は発生した電流及び/若しくは電圧は、入射光を処理する(たとえば入射光を表す信号を生成する)ための処理ユニット140によって用いられて良い。ある特定の実施例では、1つ以上の単位セル160がリバース・リーチスルー型APD-たとえば図2及び図4に図示されているようなリバース・リーチスルー型APD-を有して良い。
【0012】
図2は、本開示の実施例による図1に図示された光検出器の集積部分であるリバース・リーチスルー型APDを図示している。図2に図示されているように、APD200は、基板202、高濃度ドーピングされた前面p型領域204、コンタクト206、フィールド酸化膜208、オーバーガラス210、バンプ212、高濃度ドーピングされた背面p型領域214、高濃度ドーピングされた背面n型領域216、及び反射防止コーティング218を有して良い。
【0013】
基板202は任意の実質的に真性の半導体基板(たとえばドーピングされていない真性半導体、又は低濃度ドーピングされた真性半導体)を有して良い。任意の実質的に真性の半導体基板には、Si、Ge、SiC、GaSb、GaAs、GaN、GaP、InSb、InAs、InN、InP、又は他の適切な半導体材料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一部の実施例では、基板202は低濃度p型ドーピング(π)半導体(たとえばB又は他のアクセプタ原子がドーピングされたSi)であって良い。基板202がシリコンを有する実施例では、基板202は約10μm〜約40μmの厚さを有して良い。基板202がシリコンを有する実施例では、基板202は約10kΩ・cm以上の抵抗率を有して良い。
【0014】
高濃度ドーピングされた前面p型領域204は、注入、堆積、エピタキシー、又は他の適切な製造手法によって、基板202内又は基板202上に形成されて良い。たとえば高濃度ドーピングされた前面p型領域204は、基板202の前面にアクセプタ原子を注入する(たとえばB原子をSi基板へ注入する)ことによって形成されて良い。他の実施例では、高濃度ドーピングされた前面p型領域204はエピタキシーによって形成されて良い。基板202がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた前面p型領域204は約0.5μmの深さに注入されて良い。基板202がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた前面p型領域204は約5×1018cm-3〜約1×1019cm-3のp型ドーパント濃度を有して良い。一部の実施例では、高濃度ドーピングされた前面p型領域204は検出デバイス(たとえば検出デバイス120)の画素領域を画定して良い。
【0015】
コンタクト206は、高濃度ドーピングされた前面p型領域204と結合し、かつ概して伝導性である材料(たとえばAl、Cu、Au、又は他の適切な金属)を有して良い。その伝導性である材料は、高濃度ドーピングされた前面p型領域204をバンプ212並びに/又はAPD200の外部に設けられている他の電気及び/若しくは電子回路と電気的に接続する。コンタクト206は、堆積又は他の適切な製造手法によって、基板202上に形成されて良い。たとえばコンタクト206は、高濃度ドーピングされた前面p型領域204上にAlを堆積することによって形成されて良い。
【0016】
基板202の表面を保護するため、フィールド酸化膜208が基板202の前面に形成されて良い。フィールド酸化膜208は任意の適切な手法で形成されて良い。たとえば基板202がSiを有する実施例では、フィールド酸化膜208は、基板上にSiO2を成長させることによって形成されて良い。
【0017】
基板202の表面を外部環境から保護するため、オーバーガラス210がフィールド酸化膜208全体にわたって形成されて良い。オーバーガラス210は適切な手法で形成されて良い。たとえば基板202がSiを有する実施例では、SiO2オーバーガラスがプラズマ酸化によって形成されて良い。あるいはシリコン窒化物(Si2N3)オーバーガラスがプラズマ化学気相成長法によって形成されて良い。
【0018】
バンプ212は、コンタクト206と結合し、かつ概して伝導性である材料(たとえばIn又は他の適切な金属)を有して良い。その伝導性である材料は、コンタクト206をAPD200の外部に設けられている他の電気及び/若しくは電子回路と電気的に接続する。バンプ212は、任意の適切な製造手法によって基板202上に形成されて良い。たとえばバンプ212は、電気化学メッキ、Inの真空蒸着、直接結合による相互接続、又は他の適切な製造手法によって形成されて良い。
【0019】
高濃度ドーピングされた背面p型領域214は、注入、堆積、エピタキシー、又は他の適切な製造手法によって、基板内又は基板上に形成されて良い。たとえば高濃度ドーピングされた背面p型領域214は、基板202の背面にアクセプタ原子を注入する(たとえばB原子をSi基板へ注入する)ことによって形成されて良い。他の実施例では、高濃度ドーピングされた背面p型領域214はエピタキシーによって高濃度ドーピングされたp型層が生成されることで形成されて良い。基板202がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた背面p型領域214は約1.0μm〜約2.0μmのピーク注入深さで約0.5μm〜約3.0μmの厚さを有して良い。基板202がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた背面p型領域214は約8×1016cm-3〜約2×1017cm-3のp型ドーパント濃度を有して良い。
【0020】
高濃度ドーピングされた背面n型領域216は、注入、堆積、エピタキシー、又は他の適切な製造手法によって、基板202内又は基板202上に形成されて良い。たとえば高濃度ドーピングされた背面n型領域216は、基板202の背面にドナー原子を注入する(たとえばAs又はP原子をSi基板へ注入する)ことによって形成されて良い。他の実施例では、高濃度ドーピングされた背面n型領域216はエピタキシーによって形成されて良い。基板202がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた背面n型領域216は約0.1μmの注入深さで約0.1μmの厚さを有して良い。注入後、基板202は(レーザー又は熱によって)アニーリングされることで、注入されたドーパントが活性化されて良い(たとえば注入されたドーパントが、高濃度ドーピングされた背面p型領域214及び高濃度ドーピングされた背面n型領域216を生成する)。一部の実施例では、高濃度ドーピングされた背面n型領域216は約5×1019cm-3〜約1×1020cm-3のn型ドーパント濃度を有して良い。高濃度ドーピングされた背面n型領域216はコンタクトで電気的に結合して良い。そのコンタクトはさらに、APD200の外部に設けられている電気及び/又は電子回路と結合して良い。
【0021】
反射防止コーティング218は、基板202の背面上に形成され、かつAPD200に入射する光の反射を減少させる。それにより反射により失われる光の量が減少するので、APD200の効率が改善される。基板202がSiを有する実施例では、反射防止コーティング218はMgF2又は他の適切な材料(たとえば多層材料)を有して良い。反射防止コーティング218は、物理気相成長法又は他の適切な製造手法を用いることによって基板202上に形成されて良い。基板202がSiを有する実施例では、反射防止コーティング218は約0.16μmの厚さを有して良い。
【0022】
多数のAPD200が複数の単位セルからなるアレイ(たとえば検出デバイス120)内で用いられている用途では、1つ以上のAPD200の特定部分が互いに共通して良い。たとえばアレイ中の各APD200は、共通の基板202、共通の高濃度ドーピングされた背面p型領域214、共通の高濃度ドーピングされた背面n型領域216、及び共通の反射防止コーティング218を有して良い。係るアレイでは、各独立したAPD200は、独自の高濃度ドーピングされた前面p型領域204、コンタクト206、及びそのアレイ中での画素を画定するバンプ212を有して良い。
【0023】
図2に図示された構成では、APD200は、高濃度ドーピングされた背面p型領域214と高濃度ドーピングされた背面n型領域216によって形成されるp-n接合を有する。動作時においては、逆バイアスがp-n接合に印加されて良い(たとえば高濃度ドーピングされた背面n型領域216に印加された、コンタクト206及び/又はバンプ212に対する負の電位)。係る逆バイアスは、APD200内部において、図3に図示された電場強度プロファイルと類似の電場強度プロファイルを生成して良い。印加された逆バイアス電圧が十分に大きい場合(たとえば基板202がSiを有する実施例では約30V以上)、相対的に電場強度の大きなアバランシェ領域がp-n接合に隣接した場所に生成され、それによりそのアバランシェ領域内に存在する自由電子はそのアバランシェ領域内の電場によって加速される。その加速によって、その自由電子はそのアバランシェ領域内の他の原子と衝突することで、衝突電離によって次々に自由電子を生成する。逆バイアスはまた、基板202のドーピングされていない部分又は低濃度ドーピング部分にわたって空乏領域をも生成して良い。その空乏領域では、自由キャリア(たとえば電子及び正孔)は、電流を発生させるように加速されて良い。
【0024】
従って、APD200の背面上に入射する光220の光子が電子を励起することで、可動電子及び正に帯電した正孔がアバランシェ領域内に生成されて良い。続いて衝突電離によってより多くの可動電子及び正孔が次々に生成される。そのような電子及び正孔は、空乏領域及びアバランシェ領域のビルトイン電場によって掃引されて良い(たとえば電子を高濃度ドーピングされたn型領域216へ向かわせ、かつ正孔をコンタクト206へ向かわせる)。それにより衝突光220の強度に比例する光電流が発生する。
【0025】
図4は、本開示の実施例による図1に図示された光検出器の集積部分である別なリバース・リーチスルー型APDを図示している。図4に図示されているように、APD400は、基板402、高濃度ドーピングされた前面n型領域404、コンタクト406、フィールド酸化膜408、オーバーガラス410、バンプ412、高濃度ドーピングされた背面n型領域414、高濃度ドーピングされた背面p型領域416、及び反射防止コーティング418を有して良い。APD400はAPD200と類似する。しかし、高濃度ドーピングされた前面p型領域204が高濃度ドーピングされた前面n型領域404に置き換えられ、高濃度ドーピングされた背面p型領域214が高濃度ドーピングされた背面n型領域414に置き換えられ、高濃度ドーピングされた背面n型領域216が高濃度ドーピングされた背面p型領域416に置き換えられ、かつ基板202が基板402に置き換えられている点で異なっている。
【0026】
基板402は任意の実質的に真性の半導体基板(たとえばドーピングされていない真性半導体、又は低濃度ドーピングされた真性半導体)を有して良い。任意の実質的に真性の半導体基板には、Si、Ge、SiC、GaSb、GaAs、GaN、GaP、InSb、InAs、InN、InP、又は他の適切な半導体材料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一部の実施例では、基板402は低濃度n型ドーピング(ν)半導体(たとえばAs、P、又は他のドナー原子がドーピングされたSi)であって良い。同一又は他の実施例では、基板402は約10μm〜約40μmの厚さを有して良い。基板402がシリコンを有する実施例では、基板402は約10kΩ・cm以上の抵抗率を有して良い。
【0027】
高濃度ドーピングされた前面n型領域404は、注入、堆積、エピタキシー、又は他の適切な製造手法によって、基板402内又は基板402上に形成されて良い。たとえば高濃度ドーピングされた前面n型領域404は、基板202の前面にドナー原子を注入する(たとえばAs及び/又はPをSi基板へ注入する)ことによって形成されて良い。他の実施例では、高濃度ドーピングされた前面n型領域404はエピタキシーによって形成されて良い。基板402がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた前面n型領域404は約0.5μmの深さに注入されて良い。基板402がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた前面n型領域404は約5×1018cm-3〜約1×1019cm-3のn型ドーパント濃度を有して良い。一部の実施例では、高濃度ドーピングされた前面n型領域404は検出デバイス(たとえば検出デバイス120)の画素領域を画定して良い。
【0028】
コンタクト406は、高濃度ドーピングされた前面n型領域404と結合し、かつ概して伝導性である材料(たとえばAl、Cu、Au、又は他の適切な金属)を有して良い。その伝導性である材料は、高濃度ドーピングされた前面n型領域404をバンプ412並びに/又はAPD400の外部に設けられている他の電気及び/若しくは電子回路と電気的に接続する。コンタクト406は、堆積又は他の適切な製造手法によって、基板402上に形成されて良い。たとえばコンタクト406は、基板402上にAlを堆積することによって形成されて良い。
【0029】
基板402の表面を保護するため、フィールド酸化膜408が基板402の前面に形成されて良い。フィールド酸化膜408は任意の適切な手法で形成されて良い。たとえば基板402がSiを有する実施例では、フィールド酸化膜408は、基板上にSiO2を成長させることによって形成されて良い。
【0030】
基板402の表面を外部環境から保護するため、オーバーガラス210がフィールド酸化膜408全体にわたって形成されて良い。オーバーガラス410は適切な手法で形成されて良い。たとえば基板402がSiを有する実施例では、SiO2オーバーガラスがプラズマ酸化によって形成されて良い。あるいはシリコン窒化物(Si2N3)オーバーガラスがプラズマ化学気相成長法によって形成されて良い。
【0031】
バンプ412は、コンタクト406と結合し、かつ概して伝導性である材料(たとえばIn又は他の適切な金属)を有して良い。その伝導性である材料は、コンタクト406をAPD400の外部に設けられている他の電気及び/若しくは電子回路と電気的に接続する。バンプ412は、任意の適切な製造手法によって基板402上に形成されて良い。たとえばバンプ412は、電気化学メッキ、Inの真空蒸着、直接結合による相互接続、又は他の適切な製造手法によって形成されて良い。
【0032】
高濃度ドーピングされた背面n型領域414は、注入、堆積、エピタキシー、又は他の適切な製造手法によって、基板内又は基板上に形成されて良い。たとえば高濃度ドーピングされた背面n型領域414は、基板402の背面にドナー原子を注入する(たとえばAs又はPをSi基板へ注入する)ことによって高濃度ドーピングされたn型層が生成されることで形成されて良い。他の実施例では、高濃度ドーピングされた背面n型領域414はエピタキシーによって形成されて良い。基板402がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた背面n型領域414は約1.0μm〜約2.0μmのピーク注入深さで約1.0μmの厚さを有して良い。基板402がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた背面n型領域414は約8×1016cm-3〜約2×1017cm-3のn型ドーパント濃度を有して良い。
【0033】
高濃度ドーピングされた背面p型領域416は、注入、堆積、エピタキシー、又は他の適切な製造手法によって、基板402内又は基板402上に形成されて良い。たとえば高濃度ドーピングされた背面p型領域416は、基板402の背面にアクセプタ原子を注入する(たとえばB原子をSi基板へ注入する)ことによって形成されて良い。他の実施例では、高濃度ドーピングされた背面p型領域416はエピタキシーによって形成されて良い。基板402がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた背面p型領域416は約0.1μmの注入深さで約0.1μmの厚さを有して良い。注入後、基板202は(レーザー又は熱によって)アニーリングされることで、注入されたドーパントが活性化されて良い(たとえば注入されたドーパントが、高濃度ドーピングされた背面n型領域414及び高濃度ドーピングされた背面p型領域416を生成する)。基板402がシリコンを有する実施例では、高濃度ドーピングされた背面p型領域416は約5×1019cm-3〜約1×1020cm-3のp型ドーパント濃度を有して良い。高濃度ドーピングされた背面p型領域416はコンタクトで電気的に結合して良い。そのコンタクトはさらに、APD400の外部に設けられている電気及び/又は電子回路と結合して良い。
【0034】
反射防止コーティング418は、基板402の背面上に形成され、かつAPD400に入射する光の反射を減少させる。それにより反射により失われる光の量が減少するので、APD400の効率が改善される。反射防止コーティング418はMgF2又は他の適切な材料(たとえば多層材料)を有して良い。反射防止コーティング418は、物理気相成長法又は他の適切な製造手法を用いることによって基板202上に形成されて良い。基板402がSiを有する実施例では、反射防止コーティング418は約0.16μmの厚さを有して良い。
【0035】
多数のAPD400が複数の単位セルからなるアレイ(たとえば検出デバイス120)内で用いられている用途では、1つ以上のAPD400の特定部分が互いに共通して良い。たとえばアレイ中の各APD400は、共通の基板402、共通の高濃度ドーピングされた背面n型領域414、共通の高濃度ドーピングされた背面p型領域416、及び共通の反射防止コーティング418を有して良い。係るアレイでは、各独立したAPD400は、独自の高濃度ドーピングされた前面n型領域404、コンタクト406、及びそのアレイ中での画素を画定するバンプ412を有して良い。
【0036】
図4に図示された構成では、APD400は、高濃度ドーピングされた背面n型領域414と高濃度ドーピングされた背面p型領域416によって形成されるp-n接合を有する。動作時においては、逆バイアスがp-n接合に印加されて良い(たとえばコンタクト406及び/又はバンプ412に印加された、高濃度ドーピングされた背面p型領域416に対する正の電位)。係る逆バイアスは、APD400内部において、図3に図示された電場強度プロファイルと類似の電場強度プロファイルを生成して良い。印加された逆バイアス電圧が十分に大きい場合(たとえば基板402がSiを有する実施例では約30V以上)、相対的に電場強度の大きなアバランシェ領域がp-n接合に隣接した場所に生成され、それによりそのアバランシェ領域内に存在する自由電子はそのアバランシェ領域内の電場によって加速される。その加速によって、その自由電子はそのアバランシェ領域内の他の原子と衝突することで、衝突電離によって次々に自由電子を生成する。逆バイアスはまた、基板402のドーピングされていない部分又は低濃度ドーピング部分にわたって空乏領域をも生成して良い。その空乏領域では、自由キャリア(たとえば電子及び正孔)は、電流を発生させるように加速されて良い。
【0037】
従って、APD200の背面上に入射する光420の光子が電子を励起することで、可動電子及び正に帯電した正孔がアバランシェ領域内に生成されて良い。続いて衝突電離によってより多くの可動電子及び正孔が次々に生成される。そのような電子及び正孔は、空乏領域及びアバランシェ領域のビルトイン電場によって掃引されて良い(たとえば正孔を高濃度ドーピングされたp型領域416へ向かわせ、かつ電子をコンタクト406へ向かわせる)。それにより衝突光420の強度に比例する光電流が発生する。
【0038】
たとえばAPD200やAPD400のようなAPDの利点は、係るAPDは、従来のAPDと比較して大きな信号対雑音比を有することができることである。従来のリーチスルー型APDでは、空乏領域内で発生するノイズは大抵、アバランシェ領域内での衝突電離によって増幅される。しかしリバース・リーチスルー型APD-たとえば図2及び図4に図示されたAPD-では、光学的に生成された自由電子が増幅される一方で、ノイズの増幅は従来手法と比較して減少することが可能である。それに加えて、埋め込みp-n接合によって、APDは表面条件に対して敏感ではなくなる。その結果、従来手法と比較して表面暗電流が小さくなり、かつ放射線硬化特性が強化される。
【0039】
それに加えて、リバース・リーチスルー型APD-たとえば図2及び図4に図示されたAPD-は相対的に製造が単純である。その理由は、図2及び図4に図示されたAPDの構造は、従来のPiNダイオードの構造に、高濃度ドーピングされたp型領域(たとえば図2の高濃度ドーピングされたp型領域214)又は高濃度ドーピングされたn型領域(たとえば図4の高濃度ドーピングされたn型領域414)のいずれかを追加したものと同様だからである。
【0040】
本開示の実施例が詳細に記載されているが、多数の変化型、置換型、変更型、代替型、及び修正型は、当業者によって想到しうる。それに加えて又はあるいはその代わりに、本開示が可視検出器を主に参照しながら記載されているとしても、本明細書にて開示された実施例は多くの種類の検出器-たとえば可視、赤外、紫外、X線、又は他の放射線検出器を含む-で利用可能である。本開示は、全ての変化型、置換型、変更型、代替型、及び修正型を、特許請求の範囲の技術的範囲及び技術的思想の範囲内に含むものと解される。
【符号の説明】
【0041】
100 光検出システム
120 検出デバイス
140 処理ユニット
160 単位セル
200 アバランシェフォトダイオード
202 基板
204 高濃度ドーピングされた前面p型領域
206 コンタクト
208 フィールド酸化膜
210 オーバーガラス
212 バンプ
214 高濃度ドーピングされた背面p型領域
216 高濃度ドーピングされた背面n型領域
218 反射防止コーティング
220 光
400 アバランシェフォトダイオード
402 基板
404 高濃度ドーピングされた前面n型領域
406 コンタクト
408 フィールド酸化膜
410 オーバーガラス
412 バンプ
414 高濃度ドーピングされた背面n型領域
416 高濃度ドーピングされた背面p型領域
418 反射防止コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に真性の半導体材料を有し、かつ第1面及び該第1面に対向する第2面を有する第1領域;
前記第1領域の第1面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたp型半導体材料をも有する第2領域;
前記第1領域の第2面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたn型半導体材料をも有する第3領域;並びに、
(i)前記第1領域と前記第3領域との間に形成される高濃度ドーピングされたp型半導体、又は(ii)前記第1領域と前記第2領域との間に形成される高濃度ドーピングされたn型半導体のうちの1つを有する第4領域;
を有するフォトダイオード。
【請求項2】
前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、及び前記第4領域が、同一半導体基板上に形成される、請求項1に記載のフォトダイオード。
【請求項3】
前記第2領域及び前記第4領域のうちの少なくとも1つが、(i)前記半導体基板へのアクセプタ原子の注入、及び(ii)アクセプタをドーピングしたエピタキシャル成長のうちのいずれかによって形成される、請求項1に記載のフォトダイオード。
【請求項4】
前記第3領域及び前記第4領域のうちの少なくとも1つが、(i)前記半導体基板へのドナー原子の注入、及び(ii)ドナーをドーピングしたエピタキシャル成長のうちのいずれかによって形成される、請求項1に記載のフォトダイオード。
【請求項5】
前記第4領域が、前記第1領域と前記第3領域の間に形成された高濃度ドーピングされたp型半導体を有し、かつ
前記第1領域が、低濃度ドーピングされたp型半導体を有する、
請求項1に記載のフォトダイオード。
【請求項6】
前記第4領域が、前記第1領域と前記第2領域の間に形成された高濃度ドーピングされたn型半導体を有し、かつ
前記第1領域が、低濃度ドーピングされたn型半導体を有する、
請求項1に記載のフォトダイオード。
【請求項7】
前記第2領域と前記第3領域のうちの少なくとも1つが当該フォトダイオードの画素領域を画定する、請求項1に記載のフォトダイオード。
【請求項8】
少なくとも1つのフォトダイオード及び該少なくとも1つのフォトダイオードとやり取り可能なように結合する処理ユニットを有する光検出用システムであって、
前記少なくとも1つのフォトダイオードは、該少なくとも1つのフォトダイオードに入射する光の強度に比例する電気信号を発生させるように動作することが可能で、
前記少なくとも1つのフォトダイオードは:
実質的に真性の半導体材料を有し、かつ第1面及び該第1面に対向する第2面を有する第1領域;
前記第1領域の第1面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたp型半導体材料をも有する第2領域;
前記第1領域の第2面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたn型半導体材料をも有する第3領域;並びに、
(i)前記第1領域と前記第3領域との間に形成される高濃度ドーピングされたp型半導体、又は(ii)前記第1領域と前記第2領域との間に形成される高濃度ドーピングされたn型半導体のうちの1つを有する第4領域;
を有する、
システム。
【請求項9】
前記電気信号が、電圧、電流、及び電荷のうちの1つである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのフォトダイオードを含む焦点面アレイを有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、及び前記第4領域が、同一半導体基板上に形成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2領域及び前記第4領域のうちの少なくとも1つが、(i)前記半導体基板へのアクセプタ原子の注入、及び(ii)アクセプタをドーピングしたエピタキシャル成長のうちのいずれかによって形成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記第3領域及び前記第4領域のうちの少なくとも1つが、(i)前記半導体基板へのドナー原子の注入、及び(ii)ドナーをドーピングしたエピタキシャル成長のうちのいずれかによって形成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記第4領域が、前記第1領域と前記第3領域の間に形成された高濃度ドーピングされたp型半導体を有し、かつ
前記第1領域が、低濃度ドーピングされたp型半導体を有する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記第4領域が、前記第1領域と前記第2領域の間に形成された高濃度ドーピングされたn型半導体を有し、かつ
前記第1領域が、低濃度ドーピングされたn型半導体を有する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2領域と前記第3領域のうちの少なくとも1つが当該フォトダイオードの画素領域を画定する、請求項8に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのフォトダイオードが複数のフォトダイオードを有し、かつ
前記第1領域と前記第4領域は前記複数のフォトダイオードに共通し、かつ
前記第2領域と前記第3領域のうちの1つは前記複数のフォトダイオードに共通する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項18】
実質的に真性の半導体材料を有し、かつ第1面及び該第1面に対向する第2面を有する第1領域を形成する工程;
前記第1領域の第1面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたp型半導体材料をも有する第2領域を形成する工程;
前記第1領域の第2面に隣接して形成される高濃度ドーピングされたn型半導体材料をも有する第3領域を形成する工程;並びに、
(i)前記第1領域と前記第3領域との間に形成される高濃度ドーピングされたp型半導体、又は(ii)前記第1領域と前記第2領域との間に形成される高濃度ドーピングされたn型半導体のうちの1つを有する第4領域を形成する工程;
を有する光検出方法。
【請求項19】
前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、及び前記第4領域が、同一半導体基板上に形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2領域及び前記第4領域のうちの少なくとも1つが、(i)前記半導体基板へのアクセプタ原子の注入、及び(ii)アクセプタをドーピングしたエピタキシャル成長のうちのいずれかによって形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第3領域及び前記第4領域のうちの少なくとも1つが、(i)前記半導体基板へのドナー原子の注入、及び(ii)ドナーをドーピングしたエピタキシャル成長のうちのいずれかによって形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第4領域が、前記第1領域と前記第3領域の間に形成された高濃度ドーピングされたp型半導体を有し、かつ
前記第1領域が、低濃度ドーピングされたp型半導体を有する、
請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第4領域が、前記第1領域と前記第2領域の間に形成された高濃度ドーピングされたn型半導体を有し、かつ
前記第1領域が、低濃度ドーピングされたn型半導体を有する、
請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−9749(P2011−9749A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144976(P2010−144976)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】