アモルファス金属・金属ガラス接合体
【課題】ΔT(=Tx−Tg)(Tx:結晶化温度、Tg:ガラス点)が小さい、アモルファス金属もしくは金属ガラスについて、接合面が結晶化していない接合体を提供する。
【解決手段】不規則な結晶構造を持つアモルファス金属を、熱的方法もしくは塑性変形を利用した方法で接合することにより得られたアモルファス金属接合体。特に、接合部分において析出したナノ結晶を有することが好ましい。また、アモルファス金属のうち広範囲な過冷却融体範囲と明確なガラス転移点を持つ金属ガラスが熱的方法もしくは塑性変形を利用したで方法で接合される。
【解決手段】不規則な結晶構造を持つアモルファス金属を、熱的方法もしくは塑性変形を利用した方法で接合することにより得られたアモルファス金属接合体。特に、接合部分において析出したナノ結晶を有することが好ましい。また、アモルファス金属のうち広範囲な過冷却融体範囲と明確なガラス転移点を持つ金属ガラスが熱的方法もしくは塑性変形を利用したで方法で接合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急速な冷却速度で作成されるアモルファス金属もしくは広範囲な過冷却融体範囲と明確なガラス転移点を持つ金属ガラスの接合体に関し、同種組成もしくは異種組成からなるアモルファス金属もしくは金属ガラスないしは結合部分に析出されたナノ結晶を含むコンポジットあるいは結晶金属と接合された接合体、更には結晶金属を面方向、層方向あるいは任意の部所に配列接合された構造用、機能性を有する大型部材、複雑部材に関する。
【背景技術】
【0002】
アモルファス金属もしくは金属ガラスは106-8 K/sの大きな冷却速度で急冷させなくてはならないため、大型の部材を作成することが困難であり、大型部材や複雑形状物の作成ができないため、用途に大きな制約があった。
【0003】
母材と同程度の強度を有する大型の部材や複雑形状物の作成には従来の結晶金属接合で広範囲に行われている溶接や半田・蝋接合が考えられるが、アモルファス金属もしくは金属ガラスはガラス転移点が300-900℃と結晶金属の融点に較べて一般に低いため熱に弱く、またその組織は脆弱なため、従来の結晶金属に適用してきた通常の溶接や半田・蝋接合法では結晶化してしまいアモルファス金属もしくは金属ガラスの部品を作成することは困難である。
【0004】
また有機系の接着剤で接着するという方法も考えられるが、部材間の均一接合や部材強度に問題があり、また高価となり、100度以上の高温での使用では剥離や強度低下が生じ、場合によっては火災の危険も生じるため、用途は著しく制約される。
【0005】
本発明に関連して、非特許文献1には最安定化金属ガラスZr41Ti14Cu12Ni10Be23の電子ビーム接合が、非特許文献2には超安定化金属ガラスPd40Ni40P20の超塑性を用いた摩擦接合例が、非特許文献3には最安定化金属ガラスZr55Al10Ni5Cu30のパルス電流接合法が報じられている。
【0006】
これらはいずれも最安定化金属ガラスであり、ΔT(=Tx-Tg)(Tx:結晶化温度、Tg:ガラス点)が大きい。金属ガラスは組成によってΔTが小さいものもあり、またアモルファス金属のようにΔT=0のものもあり、広範囲の用途にはアモルファス金属もしくはΔTが小さい金属ガラスの接合体も必要である。更には結晶金属と接合された接合体も必要である。
【0007】
特許文献1には、Tg以上Tx以下の温度で回転プローブによる摩擦熱による金属ガラスの接合方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−285170号公報
【非特許文献1】電子ビーム接合;Y.Kawamura and Y.Ohno,Mater.Trans.,42,(2001), 2476
【非特許文献2】摩擦接合:Y.Kawamura and Y.Ohno,Scripta Materia,45(2001)279.
【非特許文献3】パルス電流接合:Y.Kawamura, Mater.Sci. & Eng.A, 375-377(2004)112.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、同種もしくは異種のアモルファス金属もしくは金属ガラスないしは結合部分に析出されたナノ結晶を含むコンポジット、あるいは結晶金属と接合された接合体、更には結晶金属を面方向、層方向、任意の場所で接合させ、大型で複雑形状を有する構造用及び機能性部材を作ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、新たな発想のもとに鋭意研究を行い、レーザ、電子ビーム加熱、電気抵抗加熱、超音波加熱あるいは摩擦熱等を利用し直接母材を接合させるか、あるいは半田や蝋材等の接合材を介して、アモルファス金属もしくは金属ガラスを結晶化させる前に結合させるという条件を見つけることによって、本発明を完成することに至った。
【0011】
この場合、結晶化を起こさせないで直接結合させるには接合速度を大きくして温度の拡散上昇を抑えるか、結晶化が起こりにくい熱源として電子ビーム源を用いる等の工夫が必要である。また接合体組成にも制限があることが判明した。さらに電気抵抗加熱法では電気抵抗の多寡によって電流値の制御、超音波加熱、摩擦撹拌接合法等では短い印加時間、適度の接触圧力等が必要である。
【0012】
半田・蝋接合においては耐酸化性のPd基−、Au基金属ガラス以外の金属ガラスやアモルファス金属は酸化皮膜に覆われているため、直接には接合しにくい。従ってこの酸化皮膜を接合直前に除去する必要がある。金属ガラスを蝋材として用いた蝋接では蝋材部分に脆い結晶層が析出することを抑えるために、蝋材と母材を接合温度からガラス転移点まで臨界冷却速度以上で冷却する必要がある。
【0013】
さらに、摩擦攪拌接合法では100rpm以上の高速で工具を回転しその摩擦熱で被接合体を軟化し、塑性変形を利用して固相状態で接合する方法である。被接合体の材料硬度によって圧入深さ、回転速度を変える必要がある。母材の強度を保ったまま接合を行うと、接合ツールの寿命の問題があり、ガラス遷移点(Tg)以上かつ結晶化温度(Tx)以下で接合する必要がある。
【0014】
電気抵抗加熱法では10A以上の電流を短時間流し、急熱加熱による接合方法である。被接合体の固有電気抵抗度によって印加電流を変える必要がある。
【0015】
超音波法は、固定された一方の材料に対して超音波振動する他方の材料を押し当てることにより、摺動界面の接合阻害層を破壊して界面凝着を形成し、さらに初期凝着形成後は半田・蝋材を用いることなく材料の超音波誘起変形により変形部表面の接合阻害層破壊と密着面積拡大を促進する接合技術である。材料の接合界面に供給されるエネルギーが上記摩擦攪拌法と同様に熱エネルギーではないことから、エネルギーを接合界面近傍に効果的に集中することができる。その結果、単位面積の接合に必要となるエネルギーが少なくて済み、かつ、非常に短時間で接合できる。すなわち、接合部近傍の温度上昇を低く抑えることができる。また、固相状態のまま接合するため、非常に寸法精度の高い接合が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、アモルファス金属もしくは金属ガラスを結晶化させる前に結合させるという条件を見つけることによって、あるいは準安定結晶相を形成させることによってアモルファス金属もしくは金属ガラスを主体とした、あるいは結晶金属と接合された大型で複雑形状を有する構造用及び小型の機能性部材を提供する。すなわち、大型の部材を作成することが困難であるというアモルファス金属もしくは金属ガラスの弱点を本発明は解決した。更に付加価値の高いアモルファス金属もしくは金属ガラスを微細成型体に加工することも可能となった。
【0017】
各種の熱的接合方法は小型・大型・複雑部材の部位によって、複数方式で多面的に重複使用されることも必要である。例えば比較的大型のものはレーザや電子ビーム接合で、比較的小さい箇所は超音波接合で、曲率のある場所は半田接合等の組み合わせが望ましい。また複雑形状や多層材の接合には拡散接合や電気抵抗加熱法が適している場合もある。
【0018】
例えば、レーザや電子ビーム、超音波接合および半田接合ではアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体作製の完全自動化も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明における各種組成のアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体について、各種接合条件を用いてその実施例を説明する。
【0020】
表1は各種材料の原料組成及び反応条件である。なお、本発明が適用される材料は、上記請求項において包含される全てのアモルファス金属もしくは金属ガラスであり、表1に記載された材料に限定されるものではない。
【0021】
以下は、各種組成のアモルファス金属もしくは金属ガラスの組成及びガラス点、試料サイズを表した表である。
【表1】
【実施例1】
【0022】
図1及び図2は表1中の番号1の試料2枚を用いて半導体YAGレーザ(26W,ビーム径0.3m)及び電子ビーム(加速電圧60kV、電流3-5mA, 真空度0.1Pa)で接合し、その接合部をX線と透過電子顕微鏡で構造解析した結果である。
【0023】
図1のグラフはビード表裏面のX線回折結果を示しており、グラフの横軸は〜の角度を示しており、縦軸は信号強度を示している。左上の図(a)は接合速度2m/min.の場合、右上の図(b)は接合速度2.5m/min.の場合、左下の図(c)は接合速度3m/min.の場合における結果を示している。図1の右下の図(d)は、ビード表裏面の透過電子顕微鏡構造解析結果を示している。
【0024】
図2のグラフは、電子ビーム接合後のX線解析結果であり、グラフの横軸は〜の角度を、縦軸は信号強度を示している。グラフの結果は、下から(a) 熱影響のない領域、 (b) 酸化物相 、(c) 熱影響領域における結果を示す。また、図2の画像は透過電子顕微鏡解析結果であり、左から(d) 溶接領域の高分解能像、(e) 非晶質相領域の回折像, (f)明視野像 (g) hR-14 Ni4Ti3 単相を示している。
【0025】
半導体レーザの接合速度が2m/minから3m/minへ増加すると、接合部の組織は結晶相からほぼ単一の非晶質相に変化した。低速度ではナノ準安定稜面体hR14-Ni4Ti3が出現した(図1(d))。結晶化を防ぐには4m/min以上の接合速度が必要である。ナノ準結晶が生成してもアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の強度を低下させるものではない。
【0026】
一方、電子ビーム接合では、図2における電子ビーム接合後のX線解析図a-c)と透過電子顕微鏡解析結果(d-g)から明らかなように、接合領域は非晶質相であった。試料番号7の金属ガラスCu60Zr30Ti10を用いた場合も同様の結果が得られた。
【実施例2】
【0027】
図3は金属ガラスの電流圧接法の概略図である。試料番号3の金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10を積層して急速に電流加熱することにより、接合部のみが優先的に加熱される。この接法は金属ガラスなど急速加熱、冷却が必要不可欠な接合に最も適した接合法の一つである。得られた接合体断面の組織を図4に示す。図4は、50ミクロンの厚さのZr55Cu30Ni5Al104層を抵抗溶接により接合した試料の断面組織である。図5は、この試料のZr基金属ガラス接合部のX線回折結果である。
【0028】
厚さ50ミクロンの試料番号4のZr65Ni10Cu5Al7.5Pd12.5を4枚重ねて4層にして10MPaの圧力を負荷し、399℃のガラス遷移温度以上の過冷却液体領域の450℃に急速に電流加熱し、5秒保持して接合を行い、急速冷却した。その断面組織では4層の金属ガラスは層間が検出されないほどきれいに接合が行われ、溶接接合欠陥は見られない。また組成の変化はなく、非晶質である。
【実施例3】
【0029】
図6は試料番号3(Zr55Cu30Ni5Al10)の試料2枚を用いて、摩擦攪拌接合(FSW)で接合した接合体の外観図である。この時、ツールの回転速度を500rpm、移動速度(接合速度)を50mm/min、荷重を550kgfとした。ツールはSKD61工具鋼であり、ショルダ径15mm、プローブ径5mmで左ネジが施してある。図7は、ツールの回転速度を500rpmと一定にし、移動速度を25mm/minと50mm/minに変化した場合のZr55Cu30Ni5Al10継手の接合部におけるX線回折結果を示す。二つのグラフのうち、上のグラフが移動速度を25mm/minの場合の解析結果であり、下のグラフが移動速度を50mm/minの場合の解析結果である。25mm/minの場合には、移動速度が遅すぎるため単位距離あたりの入熱量が多く、接合温度が結晶化温度(Tx)の768Kを超えてしまったため、結晶化を示すピークが存在するのに対し、50mm/minに速度を向上させ、単位距離あたりの入熱量を減少させると、温度がTx以下となり、ガラス状態を維持できることがわかる。さらに接合速度を増加させると、徐々に温度が減少するが、125mm/min以上では温度がガラス遷移温度(Tg)以下となり、塑性流動性が悪くなるためショルダが試料から浮いた状態となり、接合が不可能であった。
【0030】
図8は回転速度500rpm、接合速度50mm/min、荷重 550kgfで接合した場合の、Zr55Cu30Ni5Al10継手の接合方向に垂直な断面における、表面から0.5mm(三角で示す)、1.0mm(四角で示す)、1.5mm(丸で示す)の位置の硬さ分布である。このように、結晶化した場合の900Hvより大幅に小さく、概ね非晶質の状態を保っているものと考えられる。母材の500Hvより若干高いのは、微細に結晶化した粒子がわずかに分散しているためと考えられる。なお試料番号9(La55Al20Cu20)についても同様の結果が得られた。
【実施例4】
【0031】
アモルファス合金あるいは金属ガラスの超音波接合における接合阻害層の破壊は、上記アモルファス合金あるいは金属ガラスの特徴のひとつである低いヤング率のため、比較的容易に達成できる。しかし、アモルファス合金あるいは金属ガラスはガラス転移点よりも低いプロセス温度では塑性変形させることが困難であるため、接合面全域での凝着を達成するには、接合過程における局所温度や接合面の粗さの精緻な制御が不可欠となる。
【0032】
超音波接合装置の代表的な構成を図9に示す。超音波接合装置は、荷重を発生・制御する機構と、荷重をワーク接合部に印加する機構と、超音波振動を発生・制御する機構と、超音波振動をワーク接合部に伝達する機構と、ワークを把握あるいは固定する機構を最低限具備しており、ワークの材質や寸法により必要に応じて、加熱および冷却によりワークの温度を制御する機構と、接合位置を精度良く決定する位置決め機構を装着することができる。なお、本発明が適用される超音波接合装置は図9に示す形態に限定されるものではなく、上述の構成条件を満足する装置全てを包含する。
【0033】
図10は試料番号3のZr55Cu30Ni5Al10金属ガラス薄帯の急冷ロール接触面どうしを超音波周波数75 kHz、超音波出力7.25 W、超音波印加時間600 ms、予熱なしの条件にて接合した界面の断面光学顕微鏡組織である。図11は、室温で超音波接合された金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10の接合界面のX線回折パターン(a)と金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10のX線回折パターン(b)の比較である。
【0034】
予熱なしでは金属ガラスの塑性変形を十分に誘起することができないため、接合は部分的にしか生じていない。しかし、図11の微小領域X線回折パターンに示すように、この接合は母材である金属ガラスの非晶質構造を全く損なうことなく達成されている。これは、室温での超音波接合が金属ガラスの仮組み技術として好適であることを意味している。仮組みは接合における寸法精度を決定づける工程であるので、金属ガラスの特性に影響を及ぼさないで仮組みを達成する技術は重要である。
【0035】
なお、試料番号2の試料Ni39.8Nb26.5Zr28.4H5.2も水素が入った金属ガラスであるが、接合でき、エレクトロニクス素子への期待がもたれる。試料番号8(Fe70Hf10B20)と試料番号10(Fe80Nb10B10)の組成が異なる2枚の試料片の接合も可能であった。
【実施例5】
【0036】
図12は表中の番号5の試料(Pd40Cu30Ni10P20)を蝋材としてCu試験片(φ6mm、長さ20mm)を923Kで1分保持した後平均冷却速度30K/秒で急冷して拡散接合したときの温度履歴である。接合部に厚み1mmの石英スペーサーを挿入することで金属ガラス蝋は約1mmの厚みを持って接合される。図13はCuをPd40Cu30Ni10P20で蝋接した接合体の微小部X線回折パターン(スポット径φ50μm)である。3つあるグラフのうち、上から、母材部分、金属ガラス蝋部分(中心から400μm)、金属ガラス蝋部分(中心)の結果を示している。尚、金属ガラス蝋は非晶質状態で母材と接合した。
【実施例6】
【0037】
図14は試料番号5(Pd40Cu30Ni10P20)のPd基金属ガラス試料2枚の間にSn-3.0Ag-0.5Cu鉛フリー半田を使用し、250℃、1分間、窒素雰囲気下で加熱した試料断面の光学顕微鏡写真の結果である。金属ガラス界面は結晶化することなく接合している。なお試料番号6(Pd42.5Cu30Ni7.5P20)の場合も同様の結果が得られた。
【0038】
接合体の結果を表2にまとめる。試料番号1(Ni53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3)、試料番号2(Ni53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3)、試料番号3(Zr55Cu30Ni5Al10)の接合体は接合部分が完全非晶質であり、引張強度も母材強度と同等値を示した。
【0039】
以下は、各種接合体の結果を示した表である。
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、実施例1−6で詳述したように、小型・大型で複雑形状を有する構造用及び機能性部材を作ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】レーザ接合したNi53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3金属ガラスの各部所でのX線解析図(a-c)と透過電子顕微鏡解析結果(d)。
【図2】電子ビーム接合したNi53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3金属ガラスのX線解析図(a-c)と透過電子顕微鏡解析結果(d-g)
【図3】金属ガラスの電流圧接法の概略図
【図4】50ミクロンの厚さのZr55Cu30Ni5Al104層を抵抗溶接により接合した試料の断面組織
【図5】Zr基金属ガラス接合部のX線回折結果
【図6】摩擦攪拌接合したZr55Cu30Ni5Al10継手の外観写真
【図7】摩擦攪拌接合したZr55Cu30Ni5Al10継手のX線回折結果(ツールの回転速度を500rpm)
【図8】摩擦攪拌接合したZr55Cu30Ni5Al10継手の断面硬さ分布(回転速度500rpm、接合速度50mm/min、荷重 550kgf)
【図9】代表的な超音波接合装置の構成例
【図10】室温で超音波接合された金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10の接合界面組織
【図11】室温で超音波接合された金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10の接合界面のX線回折パターン(a)と金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10のX線回折パターン(b)の比較。
【図12】金属ガラス蝋Pd40Cu30Ni10P20でCuを蝋接するときの温度履歴。
【図13】CuをPd40Cu30Ni10P20で蝋接した接合体の微小部X線回折パターン(スポット径φ50μm)。 1,母材部分、2,金属ガラス蝋部分(中心から400μm)、3,金属ガラス蝋部分(中心)
【図14】金属ガラスPd40Cu30Ni10P20をSn-3.0Ag-0.5Cu鉛フリー半田により接合された試料断面の光学顕微鏡写真の結果
【技術分野】
【0001】
本発明は、急速な冷却速度で作成されるアモルファス金属もしくは広範囲な過冷却融体範囲と明確なガラス転移点を持つ金属ガラスの接合体に関し、同種組成もしくは異種組成からなるアモルファス金属もしくは金属ガラスないしは結合部分に析出されたナノ結晶を含むコンポジットあるいは結晶金属と接合された接合体、更には結晶金属を面方向、層方向あるいは任意の部所に配列接合された構造用、機能性を有する大型部材、複雑部材に関する。
【背景技術】
【0002】
アモルファス金属もしくは金属ガラスは106-8 K/sの大きな冷却速度で急冷させなくてはならないため、大型の部材を作成することが困難であり、大型部材や複雑形状物の作成ができないため、用途に大きな制約があった。
【0003】
母材と同程度の強度を有する大型の部材や複雑形状物の作成には従来の結晶金属接合で広範囲に行われている溶接や半田・蝋接合が考えられるが、アモルファス金属もしくは金属ガラスはガラス転移点が300-900℃と結晶金属の融点に較べて一般に低いため熱に弱く、またその組織は脆弱なため、従来の結晶金属に適用してきた通常の溶接や半田・蝋接合法では結晶化してしまいアモルファス金属もしくは金属ガラスの部品を作成することは困難である。
【0004】
また有機系の接着剤で接着するという方法も考えられるが、部材間の均一接合や部材強度に問題があり、また高価となり、100度以上の高温での使用では剥離や強度低下が生じ、場合によっては火災の危険も生じるため、用途は著しく制約される。
【0005】
本発明に関連して、非特許文献1には最安定化金属ガラスZr41Ti14Cu12Ni10Be23の電子ビーム接合が、非特許文献2には超安定化金属ガラスPd40Ni40P20の超塑性を用いた摩擦接合例が、非特許文献3には最安定化金属ガラスZr55Al10Ni5Cu30のパルス電流接合法が報じられている。
【0006】
これらはいずれも最安定化金属ガラスであり、ΔT(=Tx-Tg)(Tx:結晶化温度、Tg:ガラス点)が大きい。金属ガラスは組成によってΔTが小さいものもあり、またアモルファス金属のようにΔT=0のものもあり、広範囲の用途にはアモルファス金属もしくはΔTが小さい金属ガラスの接合体も必要である。更には結晶金属と接合された接合体も必要である。
【0007】
特許文献1には、Tg以上Tx以下の温度で回転プローブによる摩擦熱による金属ガラスの接合方法が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−285170号公報
【非特許文献1】電子ビーム接合;Y.Kawamura and Y.Ohno,Mater.Trans.,42,(2001), 2476
【非特許文献2】摩擦接合:Y.Kawamura and Y.Ohno,Scripta Materia,45(2001)279.
【非特許文献3】パルス電流接合:Y.Kawamura, Mater.Sci. & Eng.A, 375-377(2004)112.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、同種もしくは異種のアモルファス金属もしくは金属ガラスないしは結合部分に析出されたナノ結晶を含むコンポジット、あるいは結晶金属と接合された接合体、更には結晶金属を面方向、層方向、任意の場所で接合させ、大型で複雑形状を有する構造用及び機能性部材を作ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、新たな発想のもとに鋭意研究を行い、レーザ、電子ビーム加熱、電気抵抗加熱、超音波加熱あるいは摩擦熱等を利用し直接母材を接合させるか、あるいは半田や蝋材等の接合材を介して、アモルファス金属もしくは金属ガラスを結晶化させる前に結合させるという条件を見つけることによって、本発明を完成することに至った。
【0011】
この場合、結晶化を起こさせないで直接結合させるには接合速度を大きくして温度の拡散上昇を抑えるか、結晶化が起こりにくい熱源として電子ビーム源を用いる等の工夫が必要である。また接合体組成にも制限があることが判明した。さらに電気抵抗加熱法では電気抵抗の多寡によって電流値の制御、超音波加熱、摩擦撹拌接合法等では短い印加時間、適度の接触圧力等が必要である。
【0012】
半田・蝋接合においては耐酸化性のPd基−、Au基金属ガラス以外の金属ガラスやアモルファス金属は酸化皮膜に覆われているため、直接には接合しにくい。従ってこの酸化皮膜を接合直前に除去する必要がある。金属ガラスを蝋材として用いた蝋接では蝋材部分に脆い結晶層が析出することを抑えるために、蝋材と母材を接合温度からガラス転移点まで臨界冷却速度以上で冷却する必要がある。
【0013】
さらに、摩擦攪拌接合法では100rpm以上の高速で工具を回転しその摩擦熱で被接合体を軟化し、塑性変形を利用して固相状態で接合する方法である。被接合体の材料硬度によって圧入深さ、回転速度を変える必要がある。母材の強度を保ったまま接合を行うと、接合ツールの寿命の問題があり、ガラス遷移点(Tg)以上かつ結晶化温度(Tx)以下で接合する必要がある。
【0014】
電気抵抗加熱法では10A以上の電流を短時間流し、急熱加熱による接合方法である。被接合体の固有電気抵抗度によって印加電流を変える必要がある。
【0015】
超音波法は、固定された一方の材料に対して超音波振動する他方の材料を押し当てることにより、摺動界面の接合阻害層を破壊して界面凝着を形成し、さらに初期凝着形成後は半田・蝋材を用いることなく材料の超音波誘起変形により変形部表面の接合阻害層破壊と密着面積拡大を促進する接合技術である。材料の接合界面に供給されるエネルギーが上記摩擦攪拌法と同様に熱エネルギーではないことから、エネルギーを接合界面近傍に効果的に集中することができる。その結果、単位面積の接合に必要となるエネルギーが少なくて済み、かつ、非常に短時間で接合できる。すなわち、接合部近傍の温度上昇を低く抑えることができる。また、固相状態のまま接合するため、非常に寸法精度の高い接合が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、アモルファス金属もしくは金属ガラスを結晶化させる前に結合させるという条件を見つけることによって、あるいは準安定結晶相を形成させることによってアモルファス金属もしくは金属ガラスを主体とした、あるいは結晶金属と接合された大型で複雑形状を有する構造用及び小型の機能性部材を提供する。すなわち、大型の部材を作成することが困難であるというアモルファス金属もしくは金属ガラスの弱点を本発明は解決した。更に付加価値の高いアモルファス金属もしくは金属ガラスを微細成型体に加工することも可能となった。
【0017】
各種の熱的接合方法は小型・大型・複雑部材の部位によって、複数方式で多面的に重複使用されることも必要である。例えば比較的大型のものはレーザや電子ビーム接合で、比較的小さい箇所は超音波接合で、曲率のある場所は半田接合等の組み合わせが望ましい。また複雑形状や多層材の接合には拡散接合や電気抵抗加熱法が適している場合もある。
【0018】
例えば、レーザや電子ビーム、超音波接合および半田接合ではアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体作製の完全自動化も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明における各種組成のアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体について、各種接合条件を用いてその実施例を説明する。
【0020】
表1は各種材料の原料組成及び反応条件である。なお、本発明が適用される材料は、上記請求項において包含される全てのアモルファス金属もしくは金属ガラスであり、表1に記載された材料に限定されるものではない。
【0021】
以下は、各種組成のアモルファス金属もしくは金属ガラスの組成及びガラス点、試料サイズを表した表である。
【表1】
【実施例1】
【0022】
図1及び図2は表1中の番号1の試料2枚を用いて半導体YAGレーザ(26W,ビーム径0.3m)及び電子ビーム(加速電圧60kV、電流3-5mA, 真空度0.1Pa)で接合し、その接合部をX線と透過電子顕微鏡で構造解析した結果である。
【0023】
図1のグラフはビード表裏面のX線回折結果を示しており、グラフの横軸は〜の角度を示しており、縦軸は信号強度を示している。左上の図(a)は接合速度2m/min.の場合、右上の図(b)は接合速度2.5m/min.の場合、左下の図(c)は接合速度3m/min.の場合における結果を示している。図1の右下の図(d)は、ビード表裏面の透過電子顕微鏡構造解析結果を示している。
【0024】
図2のグラフは、電子ビーム接合後のX線解析結果であり、グラフの横軸は〜の角度を、縦軸は信号強度を示している。グラフの結果は、下から(a) 熱影響のない領域、 (b) 酸化物相 、(c) 熱影響領域における結果を示す。また、図2の画像は透過電子顕微鏡解析結果であり、左から(d) 溶接領域の高分解能像、(e) 非晶質相領域の回折像, (f)明視野像 (g) hR-14 Ni4Ti3 単相を示している。
【0025】
半導体レーザの接合速度が2m/minから3m/minへ増加すると、接合部の組織は結晶相からほぼ単一の非晶質相に変化した。低速度ではナノ準安定稜面体hR14-Ni4Ti3が出現した(図1(d))。結晶化を防ぐには4m/min以上の接合速度が必要である。ナノ準結晶が生成してもアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の強度を低下させるものではない。
【0026】
一方、電子ビーム接合では、図2における電子ビーム接合後のX線解析図a-c)と透過電子顕微鏡解析結果(d-g)から明らかなように、接合領域は非晶質相であった。試料番号7の金属ガラスCu60Zr30Ti10を用いた場合も同様の結果が得られた。
【実施例2】
【0027】
図3は金属ガラスの電流圧接法の概略図である。試料番号3の金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10を積層して急速に電流加熱することにより、接合部のみが優先的に加熱される。この接法は金属ガラスなど急速加熱、冷却が必要不可欠な接合に最も適した接合法の一つである。得られた接合体断面の組織を図4に示す。図4は、50ミクロンの厚さのZr55Cu30Ni5Al104層を抵抗溶接により接合した試料の断面組織である。図5は、この試料のZr基金属ガラス接合部のX線回折結果である。
【0028】
厚さ50ミクロンの試料番号4のZr65Ni10Cu5Al7.5Pd12.5を4枚重ねて4層にして10MPaの圧力を負荷し、399℃のガラス遷移温度以上の過冷却液体領域の450℃に急速に電流加熱し、5秒保持して接合を行い、急速冷却した。その断面組織では4層の金属ガラスは層間が検出されないほどきれいに接合が行われ、溶接接合欠陥は見られない。また組成の変化はなく、非晶質である。
【実施例3】
【0029】
図6は試料番号3(Zr55Cu30Ni5Al10)の試料2枚を用いて、摩擦攪拌接合(FSW)で接合した接合体の外観図である。この時、ツールの回転速度を500rpm、移動速度(接合速度)を50mm/min、荷重を550kgfとした。ツールはSKD61工具鋼であり、ショルダ径15mm、プローブ径5mmで左ネジが施してある。図7は、ツールの回転速度を500rpmと一定にし、移動速度を25mm/minと50mm/minに変化した場合のZr55Cu30Ni5Al10継手の接合部におけるX線回折結果を示す。二つのグラフのうち、上のグラフが移動速度を25mm/minの場合の解析結果であり、下のグラフが移動速度を50mm/minの場合の解析結果である。25mm/minの場合には、移動速度が遅すぎるため単位距離あたりの入熱量が多く、接合温度が結晶化温度(Tx)の768Kを超えてしまったため、結晶化を示すピークが存在するのに対し、50mm/minに速度を向上させ、単位距離あたりの入熱量を減少させると、温度がTx以下となり、ガラス状態を維持できることがわかる。さらに接合速度を増加させると、徐々に温度が減少するが、125mm/min以上では温度がガラス遷移温度(Tg)以下となり、塑性流動性が悪くなるためショルダが試料から浮いた状態となり、接合が不可能であった。
【0030】
図8は回転速度500rpm、接合速度50mm/min、荷重 550kgfで接合した場合の、Zr55Cu30Ni5Al10継手の接合方向に垂直な断面における、表面から0.5mm(三角で示す)、1.0mm(四角で示す)、1.5mm(丸で示す)の位置の硬さ分布である。このように、結晶化した場合の900Hvより大幅に小さく、概ね非晶質の状態を保っているものと考えられる。母材の500Hvより若干高いのは、微細に結晶化した粒子がわずかに分散しているためと考えられる。なお試料番号9(La55Al20Cu20)についても同様の結果が得られた。
【実施例4】
【0031】
アモルファス合金あるいは金属ガラスの超音波接合における接合阻害層の破壊は、上記アモルファス合金あるいは金属ガラスの特徴のひとつである低いヤング率のため、比較的容易に達成できる。しかし、アモルファス合金あるいは金属ガラスはガラス転移点よりも低いプロセス温度では塑性変形させることが困難であるため、接合面全域での凝着を達成するには、接合過程における局所温度や接合面の粗さの精緻な制御が不可欠となる。
【0032】
超音波接合装置の代表的な構成を図9に示す。超音波接合装置は、荷重を発生・制御する機構と、荷重をワーク接合部に印加する機構と、超音波振動を発生・制御する機構と、超音波振動をワーク接合部に伝達する機構と、ワークを把握あるいは固定する機構を最低限具備しており、ワークの材質や寸法により必要に応じて、加熱および冷却によりワークの温度を制御する機構と、接合位置を精度良く決定する位置決め機構を装着することができる。なお、本発明が適用される超音波接合装置は図9に示す形態に限定されるものではなく、上述の構成条件を満足する装置全てを包含する。
【0033】
図10は試料番号3のZr55Cu30Ni5Al10金属ガラス薄帯の急冷ロール接触面どうしを超音波周波数75 kHz、超音波出力7.25 W、超音波印加時間600 ms、予熱なしの条件にて接合した界面の断面光学顕微鏡組織である。図11は、室温で超音波接合された金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10の接合界面のX線回折パターン(a)と金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10のX線回折パターン(b)の比較である。
【0034】
予熱なしでは金属ガラスの塑性変形を十分に誘起することができないため、接合は部分的にしか生じていない。しかし、図11の微小領域X線回折パターンに示すように、この接合は母材である金属ガラスの非晶質構造を全く損なうことなく達成されている。これは、室温での超音波接合が金属ガラスの仮組み技術として好適であることを意味している。仮組みは接合における寸法精度を決定づける工程であるので、金属ガラスの特性に影響を及ぼさないで仮組みを達成する技術は重要である。
【0035】
なお、試料番号2の試料Ni39.8Nb26.5Zr28.4H5.2も水素が入った金属ガラスであるが、接合でき、エレクトロニクス素子への期待がもたれる。試料番号8(Fe70Hf10B20)と試料番号10(Fe80Nb10B10)の組成が異なる2枚の試料片の接合も可能であった。
【実施例5】
【0036】
図12は表中の番号5の試料(Pd40Cu30Ni10P20)を蝋材としてCu試験片(φ6mm、長さ20mm)を923Kで1分保持した後平均冷却速度30K/秒で急冷して拡散接合したときの温度履歴である。接合部に厚み1mmの石英スペーサーを挿入することで金属ガラス蝋は約1mmの厚みを持って接合される。図13はCuをPd40Cu30Ni10P20で蝋接した接合体の微小部X線回折パターン(スポット径φ50μm)である。3つあるグラフのうち、上から、母材部分、金属ガラス蝋部分(中心から400μm)、金属ガラス蝋部分(中心)の結果を示している。尚、金属ガラス蝋は非晶質状態で母材と接合した。
【実施例6】
【0037】
図14は試料番号5(Pd40Cu30Ni10P20)のPd基金属ガラス試料2枚の間にSn-3.0Ag-0.5Cu鉛フリー半田を使用し、250℃、1分間、窒素雰囲気下で加熱した試料断面の光学顕微鏡写真の結果である。金属ガラス界面は結晶化することなく接合している。なお試料番号6(Pd42.5Cu30Ni7.5P20)の場合も同様の結果が得られた。
【0038】
接合体の結果を表2にまとめる。試料番号1(Ni53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3)、試料番号2(Ni53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3)、試料番号3(Zr55Cu30Ni5Al10)の接合体は接合部分が完全非晶質であり、引張強度も母材強度と同等値を示した。
【0039】
以下は、各種接合体の結果を示した表である。
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、実施例1−6で詳述したように、小型・大型で複雑形状を有する構造用及び機能性部材を作ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】レーザ接合したNi53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3金属ガラスの各部所でのX線解析図(a-c)と透過電子顕微鏡解析結果(d)。
【図2】電子ビーム接合したNi53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3金属ガラスのX線解析図(a-c)と透過電子顕微鏡解析結果(d-g)
【図3】金属ガラスの電流圧接法の概略図
【図4】50ミクロンの厚さのZr55Cu30Ni5Al104層を抵抗溶接により接合した試料の断面組織
【図5】Zr基金属ガラス接合部のX線回折結果
【図6】摩擦攪拌接合したZr55Cu30Ni5Al10継手の外観写真
【図7】摩擦攪拌接合したZr55Cu30Ni5Al10継手のX線回折結果(ツールの回転速度を500rpm)
【図8】摩擦攪拌接合したZr55Cu30Ni5Al10継手の断面硬さ分布(回転速度500rpm、接合速度50mm/min、荷重 550kgf)
【図9】代表的な超音波接合装置の構成例
【図10】室温で超音波接合された金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10の接合界面組織
【図11】室温で超音波接合された金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10の接合界面のX線回折パターン(a)と金属ガラスZr55Cu30Ni5Al10のX線回折パターン(b)の比較。
【図12】金属ガラス蝋Pd40Cu30Ni10P20でCuを蝋接するときの温度履歴。
【図13】CuをPd40Cu30Ni10P20で蝋接した接合体の微小部X線回折パターン(スポット径φ50μm)。 1,母材部分、2,金属ガラス蝋部分(中心から400μm)、3,金属ガラス蝋部分(中心)
【図14】金属ガラスPd40Cu30Ni10P20をSn-3.0Ag-0.5Cu鉛フリー半田により接合された試料断面の光学顕微鏡写真の結果
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不規則な結晶構造を持つアモルファス金属が熱的方法もしくは塑性変形を利用したで方法で接合されたアモルファス金属接合体。
【請求項2】
請求項1に記載されたアモルファス金属のうち広範囲な過冷却融体範囲と明確なガラス転移点を持つ金属ガラスが熱的方法もしくは塑性変形を利用したで方法で接合された金属ガラス接合体。
【請求項3】
請求項1、2に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラスが熱的方法で接合された接合部分において析出したナノ結晶が含まれることを特長とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体。
【請求項4】
請求項1、2、3に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラスあるいは接合部分において析出したナノ結晶が含まれることを特長とするアモルファス金属もしくは金属ガラスが結晶金属と接合された接合体。
【請求項5】
請求項1、2、3、4に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の組成が面方向に少なくとも2種類以上からなることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項6】
請求項1、2、3、4に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の組成が層方向に重ねられて少なくとも2種類以上からなることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項7】
請求項1、2、3、4に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体が任意の特定部所で任意の組成の組み合わせから構成されていることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6、7に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の接合部分が構成母材の元素から構成されていることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体が半田、蝋材等の異種金属で接合されたことを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体が母材と同等かそれ以上の強度を有することを特徴とする請求項1−9記載のアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体において、電磁気的性質が異なるアモルファス金属もしくは金属ガラスを面方向もしくは層方向あるいは任意の特定部所で任意の組成のものが接合されたことを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体において、機械的、電磁気的、耐蝕性質が異なるアモルファス金属もしくは金属ガラスあるいは他種類結晶金属を面方向もしくは層方向あるいは任意の特定部所で任意の組成に接合されたことを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項1】
不規則な結晶構造を持つアモルファス金属が熱的方法もしくは塑性変形を利用したで方法で接合されたアモルファス金属接合体。
【請求項2】
請求項1に記載されたアモルファス金属のうち広範囲な過冷却融体範囲と明確なガラス転移点を持つ金属ガラスが熱的方法もしくは塑性変形を利用したで方法で接合された金属ガラス接合体。
【請求項3】
請求項1、2に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラスが熱的方法で接合された接合部分において析出したナノ結晶が含まれることを特長とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体。
【請求項4】
請求項1、2、3に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラスあるいは接合部分において析出したナノ結晶が含まれることを特長とするアモルファス金属もしくは金属ガラスが結晶金属と接合された接合体。
【請求項5】
請求項1、2、3、4に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の組成が面方向に少なくとも2種類以上からなることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項6】
請求項1、2、3、4に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の組成が層方向に重ねられて少なくとも2種類以上からなることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項7】
請求項1、2、3、4に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体が任意の特定部所で任意の組成の組み合わせから構成されていることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6、7に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体の接合部分が構成母材の元素から構成されていることを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体が半田、蝋材等の異種金属で接合されたことを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体が母材と同等かそれ以上の強度を有することを特徴とする請求項1−9記載のアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体において、電磁気的性質が異なるアモルファス金属もしくは金属ガラスを面方向もしくは層方向あるいは任意の特定部所で任意の組成のものが接合されたことを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9に記載されたアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体において、機械的、電磁気的、耐蝕性質が異なるアモルファス金属もしくは金属ガラスあるいは他種類結晶金属を面方向もしくは層方向あるいは任意の特定部所で任意の組成に接合されたことを特徴とするアモルファス金属もしくは金属ガラス接合体あるいは結晶金属と接合された接合体。
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図10】
【図14】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図10】
【図14】
【公開番号】特開2008−214704(P2008−214704A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55093(P2007−55093)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年9月6日 「ICCCI2006 第2回新しい金属ガラスと無機材料のための高品位高度材料と接合技術のための特性および界面制御に関する国際会議のプログラムおよび抄録」に発表
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年9月6日 「ICCCI2006 第2回新しい金属ガラスと無機材料のための高品位高度材料と接合技術のための特性および界面制御に関する国際会議のプログラムおよび抄録」に発表
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]