説明

アリールイミダゾールおよびその抗癌剤としての使用

治療的に有効な2,4,5−トリ置換イミダゾール化合物が提供される。また、該化合物の製造方法、および該化合物を単独でまたは他の薬剤と組合わせて含有する医薬粗製物が提供される。さらに、本発明は該化合物の抗癌剤としての使用を提供する;式中、R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗癌性化合物の分野に関係し、取分け、癌の処置における治療的に活性な2,4,5−トリ置換イミダゾール化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は潜在的に無制限に成長する悪性の腫瘍である。それは主として人体に見出される様々な一定型の細胞の病原性複製(正常な調節管理能力の喪失)である。一次損傷から生じる選択突然変異により癌細胞DNAが発生し、そのDNAが細胞を自立システムに変換する。常套的な癌の処置は、多くの場合、癌細胞を殺すことに焦点が当てられている。現在抗癌/抗腫瘍治療に使用されている化学療法剤は、急速に増殖する細胞に対するその毒性を求めて選択される。それらの殆どは、望ましくない全身性作用、例えば、心臓もしくは腎臓の毒性、骨髄形成不全、脱毛、悪心嘔吐などを惹き起こす。この数年間に、多くの研究者が、腫瘍部位での薬物の利用能を増大させるような適切な理化学的性質をもつ医薬品を開発することにより、これらの副作用を除去しようと試みてきた。天然資源から抽出した新規分子、合成によりまたは半合成により製造した分子、酵素、放射性同位体、DNA毒素、種々の高分子、およびフィブリンに対するまたは腫瘍特異表面抗原に対する抗体などが、化学療法剤の選択性を増大させる試行において医薬品につながっている。
【0003】
殆どの抗癌剤の有効性は、その高い毒性と病気の性質のために著しく低下する。抗癌剤の高毒性の問題は、全身的毒性を上昇させることなく、腫瘍細胞に対しより特異的に作用するような方法でそれらの構造を化学的に修飾することにより巧みに回避し得ると信じられている。従って、この分野の研究は、主として、高い抗新生細胞活性、低い全身的毒性および正常細胞に対する低変異原性を有するような抗癌剤の合成に向けられている。
【0004】
ヘテロ環状化合物、取分けヘテロ環状アゾール誘導体は、広範囲スペクトルの生物活性を有することが示されている。興味深い生物活性を有する一群の化合物はイミダゾール(5員へテロ環状アゾールを含む誘導体)である。異なる置換パターンをもつイミダゾール誘導体については、様々な生物活性が報告されている(Lee et al., Nature 1994, 327:739-745; Abdel-Meguid et al., Biochemistry, 1994, 33:11671; Heerding et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11:2061-2065; Bu et al., Tetrahedron Lett. 1996, 37:7331-7334; Lewis JR, Nat, Prod. Rep. 1999, 16:389-418; Lewis JR. Nat. Prod. Rep. 1998, 15:417-437 and 371-395)。
【0005】
また、生物活性はアリール−イミダゾール誘導体についても報告されており、例えば、これらの化合物は、癌細胞における多剤耐性のモジュレーター(Zhang et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10:2603-2605)として、p38MAPキナーゼのインヒビター(Adams et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11:867-2870, McLay et al., Bioorg. Med. Chem. 2001, 9:537-554)およびサイトカインのインヒビター(米国特許第5,656,644;5,686,455;5,916,891;5,945,418;および6,268,370)として、また細菌増殖のインヒビター(Antolini et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9:1023-1028)として作用し得る。
【0006】
二三の報告は、トリアリール−イミダゾール化合物が、p38MAPキナーゼのインヒビターとして(例えば、LoGrasso et al. Biochemistry, 1997, 36:10422-10427 参照)、また癌細胞における多剤耐性のモジュレーターとして(Sarshar et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10:2599-2601)作用し得ることを示しているが、しかし、大多数の文献は、これらの化合物が、多くの場合に、一般には二量体の形状で、発色剤として(米国特許第4,089,747;5,024,935;5,047,318;5,496,702;5,514,550;および5,693,589)および光重合開始剤として(米国特許第6,117,609および6,060,216)使用し得ることが判明したことを示している。
【0007】
多くの化合物の潜在的な抗癌活性が国立癌研究所(NCI)により研究されており、そこでは数千もの化合物について大規模なスクリーニングがなされ、癌処置において潜在的な治療適用性をもつ化合物を同定しようとしている(NCI酵母抗癌薬選抜)。この選抜は、細胞周期制御とDNA修復障害に関係する遺伝子に突然変異をもつパン酵母(Saccharmyces cerevisiae)株の増殖を阻害する候補化合物の能力に基づくものである。化合物は最初に6種の酵母菌株のパネルに対して、単一濃度でスクリーニングする(段階0)。段階0で活性のあった化合物は、同じパネルに対し2つの濃度で再スクリーニングする(段階1)。段階1でも活性を示し、選択性をも示す選択化合物は、13種の酵母菌株パネルに対し、5つの濃度で再スクリーニングする(段階2)。スクリーニング結果の多くは、NCI/DTPウエブサイトで利用できるようになっている。この選抜に適合する方法は、ある細胞経路(すなわち、細胞周期制御またはDNA修復障害)にその活性を及ぼす候補化合物に依存するものである。従って、このタイプの選抜により生じた結果は、潜在的な抗癌性医薬品のスクリーニングにおける非常に予備的な段階であり、必ずしもインビトロまたはインビボで癌細胞の成長を阻害する化合物の能力と相関するものではない。
【0008】
また、NCIはインビボのスクリーニングプログラムを提供し、潜在的な抗癌性医薬品を同定しようとしている(NCIインビボ抗癌性医薬品選抜)。このスクリーニングプログラムの結果の多くもまたNCI/DTPウエブサイトで利用可能である。
【0009】
NCI選抜の一方または両方で試験したこれら化合物の中に、いくつかのアリールイミダゾール化合物がある(NCI#322334、338970、144033)。これら3種の化合物のいずれもが、インビボ抗癌性医薬品選抜において活性を示さなかったが、これら化合物の一つ(NCI#338970)は酵母抗癌剤選抜における段階0試験において活性であると報告されていたものである。この化合物が酵母選抜で活性であったか、インビボの検査においては活性を示さなかったという事実は、酵母選抜での肯定的な結果が、必ずしも抗癌性治療薬としての化合物の有用性を予言するものではないということを確認するものである。
【0010】
この背景情報は、既知の情報が本発明と関連しそうに見える場合のあり得ることを示す目的で、本出願人が提供するものである。前記の情報のいずれかが本発明に対して先行技術となることを必ずしも認めるものではなく、またそう解釈すべきでもない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、抗癌活性を有する一群の化合物、2,4,5−トリ置換イミダゾール誘導体を提供することにある。本発明の一側面によると、構造式(I)を有する化合物またはその塩の、抗癌剤としての使用が提供される。
【化1】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールもしくは置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、または置換へテロアリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオール、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノ、−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]。
【0012】
本発明のもう一つの側面によると、構造式(I)を有する化合物またはその塩の、抗癌組成物の製造における使用が提供される。
【0013】
本発明のもう一つの側面によると、構造式:
【化2】

[ただし、式中、
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールもしくは置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロ環、または置換ヘテロアリールを形成する;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;また、
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、−CH−アリール、または−CH−へテロアリールである]
を有する化合物またはその塩が提供される。
【0014】
本発明のもう一つの側面によると、構造式:
【化3】


[ただし、式中、
Ph1およびPh2は独立してフェニルおよび置換フェニルから選択される;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、−CH−アリール、または−CH−へテロアリールである]
を有する化合物またはその塩が提供される。
【0015】
本発明のもう一つの側面によると、構造式:
【化4】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、−CH−アリール、または−CH−へテロアリールである;
xはCR11またはNである;
yはCR12またはNである;
zはCR13またはNである;
rはCR14またはNである;
x’はCR15またはNである;
y’はCR16またはNである;
z’はCR17またはNである;
r’はCR18またはNである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルケニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
を有する化合物またはその塩が提供される。
【0016】
本発明のもう一つの側面によると、構造式:
【化5】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、−CH−アリール、または−CH−へテロアリールである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルケニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
を有する化合物またはその塩が提供される。
【0017】
本発明のもう一つの態様によると、哺乳動物において、新生細胞(neoplastic
cell)の成長または増殖を阻害する治療有効量の式(I):
【化6】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物の使用が提供される。
【0018】
本発明のもう一つの態様によると、哺乳動物の癌の処置において、それを必要とする場合の、治療有効量の式(I):
【化7】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物の使用が提供される。
【0019】
本発明のもう一つの態様によると、下記構造式の化合物から選択される化合物が提供される:
【化8】

[ただし、式中、
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロ環、または置換ヘテロアリールを形成する;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される]。
【0020】
本発明のもう一つの態様によると、下記構造式の化合物から選択される化合物またはその塩が提供される:
【化9】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
xはCR11またはNである;
yはCR12またはNである;
zはCR13またはNである;
rはCR14またはNである;
x’はCR15またはNである;
y’はCR16またはNである;
z’はCR17またはNである;
r’はCR18またはNである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]。
【0021】
本発明のもう一つの態様によると、新生細胞の成長または増殖を阻害するための医薬の製造における式(I)で示される化合物の使用が提供される。
【0022】
本発明のもう一つの態様によると、癌処置用の医薬の製造における式(I)で示される化合物の使用が提供される。
【0023】
本発明のもう一つの側面によると、治療有効量の構造式(I)を有する化合物またはその塩および担体、希釈剤または賦形剤を含有してなる抗癌組成物が提供される。
【0024】
本発明のもう一つの側面によると、哺乳動物において新生細胞の成長または増殖を阻害する方法であって、一般式 (I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII) および(XIII) で示される化合物から選択される化合物またはその塩の治療有効量を当該哺乳動物に投与することを特徴とする方法が提供される。
【0025】
本発明のもう一つの側面によると、哺乳動物における癌の処置方法であって、一般式 (I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII) および (XIII) で示される化合物から選択される化合物またはその塩の治療有効量を当該哺乳動物に投与することを特徴とする方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は一群の2,4,5−トリ置換イミダゾール化合物および抗癌剤としてのその使用を提供する。さらに、本発明は動物における新生細胞の成長および/または増殖を阻害する方法であって、式(I)で示される化合物の治療有効量を、単独で、または1種以上の標準的化学療法剤と組合わせて、当該動物に投与することによる方法を提供する。
【0027】
定義
特に断りのない限り、本明細書にて使用する技術的および科学的用語は、すべて本発明が関わる当業者が共通して理解する意味と同じ意味を有する。
【0028】
用語は以下のように定義する:
用語「ハロゲン」はフッ素、臭素、塩素、およびヨウ素原子をいう。
【0029】
用語「ヒドロキシル」は基−OHをいう。
【0030】
用語「チオール」または「メルカプト」とは基−SHおよび−S(O)0−2をいう。
【0031】
用語「低級アルキル」は1ないし10個の炭素原子の直鎖または分枝のアルキル基または3ないし10個の炭素原子の環状アルキル基をいう。この用語はさらに、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、1−ブチル(または2−メチルプロピル)、シクロプロピルメチル、i−アミル、n−アミル、ヘキシルなどの基により例示される。
【0032】
用語「置換低級アルキル」とは、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロ環、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アシル、カルボキシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘタリール、置換ヘタリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノなどの1つ以上の基を含む上記の低級アルキルをいう。これらの基は低級アルキル部分のいずれの炭素原子に結合してもよい。
【0033】
用語「低級アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、2ないし10個の炭素原子の直鎖もしくは分枝の炭化水素または3ないし10個の炭素原子の環状炭化水素をいう。
【0034】
用語「置換低級アルケニル」とは、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロ環、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アシル、カルボキシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘタリール、置換ヘタリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノなどの1つ以上の基を含む上記の低級アルケニルをいう。これらの基は安定な化合物を生じるいずれの炭素原子に結合してもよい。
【0035】
用語「低級アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する2ないし10個の炭素原子の直鎖もしくは分枝の炭化水素をいう。
【0036】
用語「置換低級アルキニル」とは、ヒドロキシル、チオール、アルキルチオール、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロ環、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アシル、カルボキシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘタリール、置換ヘタリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノなどの1つ以上の基を含む上記の低級アルキニルをいう。これらの基は安定な化合物を生じるいずれの炭素原子に結合してもよい。
【0037】
用語「アルコキシ」とは基−ORをいい、その場合のRは、以下に定義するように、低級アルキル、置換低級アルキル、アシル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロへテロアルキル、または置換シクロへテロアルキルである。
【0038】
用語「アルキルチオ」は基−SR、−S(O)n=1−2−Rを意味し、その場合のRは以下に定義するように、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、アラルキルまたは置換アラルキルである。
【0039】
用語「アシル」とは基−C(O)Rをいい、その場合のRは、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキルまたは置換シクロアルキルである。
【0040】
用語「アリールオキシ」とは基−OArをいい、その場合のArは以下に定義するように、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換へテロアリールである。
【0041】
用語「アミノ」とは基NRR’をいい、その場合のRおよびR’は独立して、以下に定義するように、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、へテロアリール、シクロアルキル、または置換ヘテロアリールであり、アシル、DもしくはLアミノ酸またはその保護体でもよい。
【0042】
用語「アミド」とは基−C(O)NRR’をいい、その場合のRおよびR’は独立して、以下に定義するように、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、へタリール、置換ヘタリールでよい。
【0043】
用語「カルボキシル」は基−C(O)ORをいい、その場合のRは以下に定義するように、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、へタリール、置換ヘタリールなどでよい。
【0044】
用語「アリール」または「Ar」は、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニルまたはビフェニル)または少なくとも1つの環が芳香族である多重縮合環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、9−フルオレニル、ジベンゾシクロヘプタトリエニルなど)を有する芳香族炭素環基をいう。
【0045】
用語「置換アリール」とは、1つ以上の官能基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、トリフルオロメチル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換へテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルファミド、シアノまたは−N=CRR’(ただし、RおよびR’は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリールまたは置換へテロアリールから選択される)が任意に置換するアリールをいう。
【0046】
用語「ヘテロ環」とは、環内に少なくとも1個のN、OもしくはSなどのヘテロ原子を有する、単一の環をもつ飽和、不飽和、もしくは芳香族の炭素環基(例えば、モルホリノ、ピリジルまたはフリル)または多重縮合環(例えば、ナフトピリジル、キノキサリル、キノリニル、インドリジニル、インダニルまたはベンゾ[b]チエニル)をいう。
【0047】
用語「置換ヘテロ環」とは、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、トリフルオロメチル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換へテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルファミドまたはシアノなどが任意に置換するヘテロ環をいう。
【0048】
用語「ヘテロアリール」または「ヘタリール」とは、その少なくとも1つのヘテロ環状環が芳香族であるヘテロ環をいう。
【0049】
用語「置換へテロアリール」とは、1つ以上の官能基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、トリフルオロメチル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアルキル、置換へテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルファミド、シアノまたは−N=CRR’(ただし、RおよびR’は独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリールまたは置換へテロアリールなどから選択される)などが任意にモノまたはポリ置換するヘテロ環をいう。
【0050】
用語「アラルキル」とは基−R−Arをいい、その場合のArはアリール基であり、Rは低級アルキル基または置換低級アルキル基である。アリール基は非置換であるか、または例えば、ハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、トリフルオロメチル、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、アルキルチオ、チオール、スルファミドなどが任意に置換し得る。
【0051】
用語「ヘテロアルキル」とは基−R−Hetをいい、この場合のHetはヘテロ環基であり、またRは低級アルキル基である。ヘテロアルキル基は非置換であるか、または例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、アルキルチオ、チオール、スルファミドなどが任意に置換し得る。
【0052】
用語「ヘテロアリールアルキル」とは、−R−HetArをいい、その場合のHetArはヘテロアリール基であり、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルである。ヘテロアリールアルキル基は非置換であるか、または例えば、ハロゲン、低級アルキル、置換低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、アルキルチオ、チオール、スルファミドなどが任意に置換し得る。
【0053】
用語「シクロアルキル」とは3ないし15個の炭素原子を含む単環状または多環状のアルキル基をいう。多環状基の場合、これらは末端環の1つが芳香族でもよい多重縮合環(例えば、テトラヒドロナフタレンなど)でもよい。
【0054】
用語「置換シクロアルキル」とは、1つ以上の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロドキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、トリフルオロメチル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、スルファミドまたはシアノなどを含んでなるシクロアルキル基をいう。
【0055】
用語「シクロへテロアルキル」とは、1個以上の環炭素原子をヘテロ原子(例えば、N、O、SまたはP)と置き換えたシクロアルキル基をいう。
【0056】
用語「置換シクロへテロアルキル」とは、1つ以上の置換基、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、アルキルチオ、チオール、スルファミドなどを含む本明細書に定義のシクロヘテロアルキル基をいう。
【0057】
用語「アルキルシクロアルキル」とは、基−R−シクロアルキルをいい、その場合のシクロアルキルとはシクロアルキル基であり、Rは低級アルキルまたは置換低級アルキルである。シクロアルキル基は非置換であるか、または例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、アルキルチオ、チオール、スルファミドなどが任意に置換し得る。
【0058】
用語「治療」および「処置」は、本明細書にて相互に交換して使用し得るものであり、疾患、障害または症状と関連する症候を軽減し、その進行を阻止し、またはその病理を変化させることを企図して行う行為をいう。従って、この用語治療および処置はもっとも広い意味で使用し、様々な段階での疾患、障害または症状の阻止(予防)、穏和化、低減、および治癒を含む。治療/処置の必要なものとは、すでに疾患、障害または症状を有するもの、ならびに疾患、障害または症状の発症の傾向のあるもの、またはその危険のあるもの、およびその疾患、障害または症状が予防されるべきものである。
【0059】
用語「被験対象」または「患者」とは、本明細書で使用する場合、処置を必要とする動物をいう。
【0060】
用語「動物」とは、本明細書で使用する場合、ヒトおよび非ヒト動物の両方をいい、限定されるものではないが、哺乳動物、鳥類および魚類を包含する。
【0061】
本発明化合物を1種以上のさらなる治療薬と組合わせて投与することは、同時に(併用して)投与すること、および連続的に投与することを包含するものとする。連続的な投与とは、治療薬と本発明化合物を様々な順序で被験対象に投与することをも包含するものとする。
【0062】
本明細書にて使用する場合、用語「約」は名目値から±10%の変動をいう。理解すべきは、かかる変動値は具体的に参照しているか否かに関わらず、本明細書に提供した所定の数値に常に含まれることである。
【0063】
I.2,4,5−トリ置換イミダゾール化合物
本発明は一般式(I);
【化10】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールもしくは置換アリール、へテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールを形成する;
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0064】
本発明のもう一つの態様において、式(I)で示される化合物は、ノルトプセンチン(Nortopsentin)A、ノルトプセンチンB、ノルトプセンチンCおよびノルトプセンチンD以外である。
【0065】
本発明のもう一つの態様において、式(I)で示される化合物は、下記構造式の化合物またはその塩を包含する:
【化11】

[ただし、式中、
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールもしくは置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロ環、または置換ヘテロアリールを形成する;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、−CH−アリール、または−CH−へテロアリールである]。
【0066】
本発明のもう一つの態様において、式(II)で示される化合物は、ノルトプセンチンA、ノルトプセンチンB、ノルトプセンチンCおよびノルトプセンチンD以外である。
【0067】
本発明のもう一つの態様において、式(II)で示される化合物は、構造式(III):
【化12】

[ただし、式中、
Ph1およびPh2は独立してフェニルおよび置換フェニルから選択される;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシルである]
で示される化合物またはその塩を包含する。
【0068】
本発明のもう一つの態様において、式(III)で示される化合物は、以下の化合物またはその塩から選択される:
【化13】

[ただし、式中、
R5、R6、R9、R11、R12およびR13は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシルである]。
【0069】
本発明のもう一つの態様において、式(I)で示される化合物は、以下の構造式:
【化14】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
xはCR11またはNである;
yはCR12またはNである;
zはCR13またはNである;
rはCR14またはNである;
x’はCR15またはNである;
y’はCR16またはNである;
z’はCR17またはNである;
r’はCR18またはNである;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシルである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
で示される化合物またはその塩を包含する。
【0070】
本発明のもう一つの態様において、式(I)で示される化合物は、以下の構造式:
【化15】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシルである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
で示される化合物またはその塩を包含する。
【0071】
本発明のもう一つの態様において、式(I)で示される化合物は、以下の構造式:
【化16】

[ただし、式中、
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロ環、または置換ヘテロアリールを形成する;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される]
で示される化合物を包含する。
【0072】
本発明のもう一つの態様において、式(I)で示される化合物は、以下の構造式:
【化17】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
xはCR11またはNである;
yはCR12またはNである;
zはCR13またはNである;
rはCR14またはNである;
x’はCR15またはNである;
y’はCR16またはNである;
z’はCR17またはNである;
r’はCR18またはNである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
で示される化合物またはその塩を包含する。
【0073】
もう一つの態様において、式(XI)で示される化合物においては、R11ないしR18の少なくとも一つがH以外である。
【0074】
もう一つの態様において、式(XI)で示される化合物においては、x、y、z、r、x’、y’、z’またはr’の内の少なくとも一つが窒素である。
【0075】
もう一つの態様において、式(XI)で示される化合物は、
2−フェニル−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール;
2−(2−メチルフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール;
2−(3−ヨードフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール;
2−(4−ジメチルアミノフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール;
2−(4−ニトロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール;
1,2−ジフェニル−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール;
以外の化合物である。
【0076】
もう一つの態様において、式(I)で示される化合物は:
【化18】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8、R9、R11、R12およびR13は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される]
で示される化合物から選択される。
【0077】
本発明のもう一つの態様において、式(I)で示される化合物は:
【化19】

[ただし、式中、
R5、R6、R7、R8、R9、R11およびR12は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
で示される化合物から選択される。
【0078】
本発明の化合物は以下の例示化合物を含むが、これらに限定されるものではない:
【化20】
























【0079】
本発明は式(I)により定義される化合物の医薬的に許容し得る塩を包含する。本発明による化合物は、十分な酸性、十分な塩基性、または両方の官能基を有し得るものであり、従って、多くの有機および無機の塩基、また、有機および無機の酸と反応して医薬的に許容し得る塩を形成する。
【0080】
本明細書にて使用する場合の用語「医薬的に許容し得る塩」は、生体にとって実質的に非毒性の式(I)で示される化合物の塩をいう。代表的な医薬的に許容し得る塩は、本発明化合物と医薬的に許容し得る鉱酸もしくは有機酸または有機塩基もしくは無機塩基との反応により調製される塩である。かかる塩は酸付加塩および塩基付加塩として知られる。
【0081】
酸付加塩を形成するために一般的に採用される酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、およびp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。かかる医薬的に許容し得る塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、臭化塩、ヨウ化塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などである。好適な医薬的に許容し得る酸付加塩は塩酸および臭化水素酸などの鉱酸と形成する塩、およびマレイン酸およびメタンスルホン酸などの有機酸と形成する塩である。
【0082】
アミン基の塩はまた四級アンモニウム塩を含み得るもので、その場合、アミノ窒素はアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、またはアラルキル部分などの適当な有機基を担持する。
【0083】
塩基付加塩は無機塩基、例えば、アンモニウムまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などから誘導されるものを含む。従って、本発明の塩の調製に有用な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどを含む。
【0084】
当業者が理解し得るであろうことは、本発明の塩の一部を形成する特定の対イオンが、通常、その塩が全体として薬理学的に許容し得るものである限り、またその対イオンが全体としてその塩に望ましくない特性を付与するものでない限り、決定的な性質とはならないことである。本発明はさらに医薬的に許容し得る式(I)で示される化合物の溶媒和物を包含する。式(I)で示される化合物の多くは、水、メタノール、エタノールおよびアセトニトリルなどの溶媒と組合わさって、対応する水和物、メタノール付加物、エタノール付加物およびアセトニトリル付加物などの医薬的に許容し得る溶媒和物を形成し得る。
【0085】
本発明化合物は複数の不斉(キラル)中心を有し得る。これらキラル中心の結果として、本発明化合物はラセミ体、エナンチオマーの混合物として、またそれぞれのエナンチオマーとして、ならびにジアステレオマーおよびジアステレオマーの混合物として存在する。すべての不斉形状物、個々の異性体およびその組合せは、本発明の範囲内のものである。
【0086】
当業者が容易に理解し得ることは、もし式(I)で示される化合物の立体化学がその活性に決定的であるならば、その化合物の関連する立体化学を、合成の初期段階において、その後の立体異性体の分離の問題を回避するために確立する。その分子をさらに取り扱うには、所望のキラリティを維持するような立体特異的な手法を採用する。
【0087】
式(I)で示される化合物の非毒性の代謝に不安定なエステルまたはアミドは、インビボで加水分解を受け、式(I)で示される化合物および医薬的に許容し得るアルコールまたはアミンを生じるものである。代謝に不安定なエステルの例は、(1−6C)アルカノールとで形成されるエステルを含み、その場合のアルカノール部分には(1−8C)アルコキシ基が任意に置換し得るもので、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびメトキシエタノールである。代謝に不安定なアミドの例は、限定するものではないが、メチルアミンなどのアミンと形成するアミドである。
【0088】
II.式(I)で示される化合物の調製
技術上知られるように、トリアリールイミダゾール化合物は、多くの標準的技法により調製し得る。それ故、式(I)で示される化合物は、幾つかの一般的合成法、例えば、グリメットが記載する方法(Grimmett, M.R., Comprehensive Heterocyclic Chemistry; The Structure, Reaction, Synthesis and Uses of Heterocyclic Compounds, A.R. Katrizky and C.W. Rees, eds., Vol.5, Pergamon Press. Oxford, 1984, pp. 457-498; Grimmett, M.R., Imidazole and Benzimidazole Synthesis, Academic Press, San Diego CA, 1997)により調製し得る。
【0089】
本発明の一態様において、式(I)で示される化合物は、式(II)で示されるジオンとアルデヒド(III)とを酢酸中、酢酸アンモニウムの存在下に上昇温度にて反応させることにより、溶液または固相合成を経て調製する(参照例:Krieg et al., Naturforsch. 1967, 22b:132; Sarshar et al., Tetrahedron Lett. 1996, 37:835-838)。
【0090】
【化21】

【0091】
式(XXXI)および(XXXII)で示される化合物は市販品として入手し得るか、または関連当業者に既知の標準的な方法を用いて調製し得る。式(XXXI)で示される化合物は、それ故、幾つかの一般的合成法、例えば、フィッシャーら(Fischer et al., J. Am. Chem. Soc., 1961, 83, 4208-4210)、グイヤロら(Guijarro et al., J. Am. Chem. Soc., 1999, 121, 4155-4157)、カイら(Chi et al., Synth. Comm., 1994, 24(15), 2119-2122)およびアルメストら(Armesto et al., Synthesis, 1988, 799-801)が記載する方法により調製し得る。
【0092】
式(XXXI)で示される化合物はまた以下のように調製し得る:
i)式(XXXIII)で示される化合物の酸化反応による:式(XXXIII)で示される化合物は、順次、式(XXXIV)で示される化合物とシアン化ナトリウムとを下記に示すように溶媒の存在下で反応させることにより調製し得る;ただし、R3=R2で、R2は上記定義のとおりである;
【化22】

または、
ii)式(XXXV)で示される化合物の酸化反応による:式(XXXV)で示される化合物は、順次、式(XXXIV)で示される化合物および式(XXXVI)で示される化合物とシアン化ナトリウムとを下記に示すように溶媒の存在下で反応させることにより調製し得る;ただし、R2およびR3は上記定義のとおりである:
【化23】

または、
iii)式(XXXVII)で示される化合物の酸化反応による:式(XXXVII)で示される化合物は、同様に、式(XXXVIII)または(XXXIX)で示される化合物を下記に示すように酸化することにより調製し得る;ただし、R2およびR3は上記定義のとおりである:
【化24】

または、
iv)式(XXXIX)で示される化合物をDMSO中、PdClを用いて酸化することによる;
または、
v)式(XL)で示される化合物の脱保護および酸化反応による:式(XL)で示される化合物は、順次、式(XLI)で示される化合物と式(XLII)で示される化合物とを適切な塩基の存在下に反応させることにより調製し得る;
【化25】

(ただし、R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、へテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)
または、
vi)式(XLIII)で示される化合物と、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールとをフリーデル−クラフトのアシル化反応条件下に反応させるか、または式(XLIII)で示される化合物のクロリドを求核置換させることによる:式(XLIII)で示される化合物は、順次、置換もしくは非置換のアリールまたは置換へテロアリールまたは非置換のヘテロアリールと、塩化オキサリルとをフリーデル−クラフトのアシル化反応条件下に反応させることにより調製し得る:
【化26】

(ただし、R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、へテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)
または、
vii)式(XLIV)で示される化合物の酸化反応による:式(XLIV)で示される化合物は、順次、式(XLV)で示される化合物と、ベンゼンと触媒のジメチルホルムアミド中、塩化チオニルと反応させることにより、中間体(XLVI)を形成させ、調製し得る。この中間体(XLVI)は、次いで精製することなしに直接フリーデル−クラフト反応に使用し、ケトン(XLIV)を生成する。
【化27】

【0093】
III. 式(I)で示される化合物の抗癌活性
式(I)で示される候補化合物の新生細胞成長および/または増殖を阻害する能力は、技術上既知の標準的技法を用いて試験し得る。加えて、阻害活性を示す式(I)で示される化合物は、組合せ療法におけるその潜在的な用途を評価するために、種々の既知化学療法剤と組合わせて、インビトロおよび/またはインビボでさらに試験することができる。式(I)で示される候補化合物を試験する典型的な方法を以下に提示し、また本明細書の実施例中に示す。当業者が理解するであろうことは、当該化合物の他の試験方法も技術上既知であり、それもまた候補化合物の試験に適していることである。
【0094】
A.インビトロ試験
式(I)で示される候補化合物は、先ずインビトロで、その細胞の成長を阻害する能力(すなわち、その細胞毒性)について、標準技法を用いてアッセイすることができる。一般には、特定の試験細胞株(典型的には癌細胞株)を適当な密度まで(例えば、約1×10)増殖させて、候補化合物を添加する。適切なインキュベーション時間(典型的には約48時間ないし74時間)の後、細胞の生存率を、例えば、テトラゾリウム塩(または修飾テトラゾリウム塩)の開裂をアッセイすることによるか、またはレサズリン還元試験(参照:Fields & Lancaster (1993) Am. Biotechnol. Lab. 11:48-50; O’Brien et al., (2000) Eur J. Biochem. 267:5421-5426、および米国特許第5,501,959)、スルホローダミンアッセイ(Rubinstein et al., (1990) J. Natl. Cancer Inst. 82:113-118)またはニューラルレッド色素試験(Kitano et al., (1991) Euro. J. Clin. Investg. 21:53-58; West et al., (1992) J. Investigative Derm. 99:95-100)を用いることにより評価する。細胞成長の阻害は、処理培養物中の細胞生存率と、1種以上の対照培養物、例えば、候補化合物により前処理しなかった培養物および/または対照化合物(一般的に既知治療薬)で前処理した培養物での細胞生存率と、を比較することにより決定する。他の適当な細胞毒性評価法は技術上既知である。
【0095】
代謝活性を測定するアッセイ法(テトラゾリウムに基づくアッセイ法など)もまた、細胞の活性化および/または増殖に対する候補化合物の効果を、増殖する細胞が代謝的に休止細胞よりもより活性であるという事実に基づき評価するために使用し得る。
【0096】
候補化合物はまた腫瘍細胞の付着非依存性成長を阻害するそれらの能力について、インビトロで試験することもできる。付着非依存性成長は腫瘍発生のよい指標であることは技術上既知である。一般的に、付着非依存性成長は、適切な癌細胞株からの細胞を軟寒天上に播種し、適切なインキュベーション期間後に、形成されたコロニー数を決定することにより評価する。候補化合物により処理した細胞の成長を、次いで、適切な対照(上記)で処理した細胞の成長と比較し得る。
【0097】
候補化合物の試験に適する多様な癌細胞株が技術上既知である。本発明の一態様において、候補化合物のインビトロ試験は、ヒト癌細胞株で実施する。本発明化合物のインビトロ試験に適するヒト癌細胞株の例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:結腸および結腸直腸癌細胞株、例えば、HT−29、CaCo、LoVo、COLO320およびHCT−116;非小細胞肺癌細胞株、例えば、NCI−H460、小細胞肺癌細胞株、例えば、H209;乳癌細胞株、例えば、MCF−7、T47DおよびMDA−MB−231;卵巣癌細胞株、例えば、SK−OV−3;前立腺癌細胞株、例えば、PC−3およびDU−145;慢性骨髄性白血病細胞株、例えば、K562;膀胱癌細胞株、例えば、T24;脳癌細胞株、例えば、U−87−MG;膵臓癌細胞株、例えば、AsPC−1、SU.86.86およびBxPC−3;腎臓癌細胞株、例えば、A498およびCaki−1;肝臓癌細胞株、例えば、HepG2、および皮膚癌細胞株、例えば、A2058およびC8161。薬物抵抗性癌細胞株は、薬物−または多剤−耐性新生細胞の成長および/または増殖を阻害する本発明化合物の能力を決定するために使用し得る。
【0098】
式(I)で示される候補化合物の選択性、すなわち、正常増殖細胞に比較して、新生(または癌)細胞に対するあるレベルの選択的作用を証明するための化合物の能力もまた試験し得る。化合物についての正常細胞と癌細胞間の感受性差を評価する方法の一例は、バッシレフらが記載している(Vassilev et al., Anti-Cancer Drug Design (2001) 16:7)。この方法はIC90値、すなわち、指数関数的に増殖する細胞を90%増殖阻害するために要する試験化合物のモル濃度、の比較を含む。従って、候補化合物のIC90値は、種々の癌細胞株(上記概説の株)と正常細胞(HUVECおよび/またはWI38細胞)で評価し、比較することができる。IC90値は細胞毒性試験について上記した方法も含め、様々な標準的技法により測定し得る。
【0099】
式(I)で示される化合物の作用メカニズムは本発明に関連ないが、当該化合物の潜在的な作用メカニズムを研究するためのアッセイ法は、所望であれば、腫瘍成長のどの側面に当該化合物が影響しているかを決定する際に有用な情報を提供するために、実施し得る。この種の情報は、当該化合物での処理から利益を得る癌のタイプを決定する一助となり得る。かかるアッセイ法の例としては、限定されるものではないが、細胞周期分析(例えば、フロー・サイトメトリー法の採用)、アポトーシスアッセイ(DNA断片化分析など)、抗血管形成分析(例えば、種々のマトリゲルアッセイ;コード形成およびマトリゲル・プラグアッセイを含む)および免疫組織化学的分析などである。
【0100】
候補化合物の毒性は最初に標準的技法を用いてインビトロでも評価し得る。例えば、ヒト初代線維芽細胞をインビトロにおいて式(I)の化合物で処理し、次いで、上記アッセイ法またはトリパン−ブルー排除アッセイ法などの標準的生死判別アッセイ法により、その生死を、処理後の異なる時点で試験することができる。細胞はまたそのDNAの合成能力についても、例えば、チミジン取り込みアッセイ法によりアッセイし、また細胞周期動態の変化についても、例えば、蛍光細胞数測定セルソーター(FACS)と接続した標準的細胞分別アッセイ法によりアッセイすることができる。
【0101】
B.インビボ試験
腫瘍の成長、増殖および/または転移をインビボで阻害する候補化合物の能力は、技術上既知の標準的技法を用いて、適切な動物モデルで決定し得る(参照例:Enna, et al., Current Protocols in Pharmacology, J. Wiley & Sons, Inc., New York, NY)。模範的プロトコールは以下に、また実施例に示す。限定されるものではないが、適当な動物モデルの例を表1に示す。
【0102】
一般に、抗腫瘍性化合物をスクリーニングするための現行の動物モデルは、ヒトの腫瘍を動物に移植した異種移植片モデルである。例えば、候補化合物は、30〜60mgの腫瘍フラグメントまたは適切な数の腫瘍細胞(例えば、約10〜10)を0日目に皮下移植または注射したマウスを用いて、固形腫瘍上、インビボで試験し得る。腫瘍を担持する動物は種々の処理と対照処理に付す前に混ぜ合わせる。進行した腫瘍の処置の場合には、腫瘍を所望の大きさまで成長させ、腫瘍の成長が不十分であった動物は除外する。選択した動物は無作為に処置群と対照群とに振り分ける。腫瘍を担持しない動物もまた、腫瘍に対する特定の作用と毒性作用とを分離するために、腫瘍担持動物と同様に処置され得る。化学療法は、腫瘍のタイプにもよるが、一般に移植後3〜22日目に開始し、動物は毎日観察する。候補化合物は、例えば、ボーラス投与(bolus infusion)により動物に投与し得る。異なる動物群は最大体重減少が達成されるまで、週に約3〜4回体重測定し、その後は治験終了時まで少なくとも週に1回体重測定する。
【0103】
腫瘍は、腫瘍が予め定められた大きさおよび/または重量に達するまで、または予め定めた期間が経過するまで、または動物が死ぬ(腫瘍が予め定められた大きさ/重量に達する前に死んだ場合)まで、週に約2〜3回測定する。次いで、動物を犠牲とし、その腫瘍組織の組織学、大きさおよび/または増殖を評価する。
【0104】
所望により、腫瘍の成長、分化、アポトーシスおよび/または血管形成に対する化合物の効果を決定するために、試験動物から分離した組織に対し、1種以上の標準的免疫組織化学的試験をも実施し得る。かかる試験の例は、限定されるものではないが、特異抗体の使用(例えば、増殖評価のためのKi−67に対する抗体、血管形成を評価するCD31に対する抗体、NK細胞の存在を示すものとしてのNK1.1に対する抗体、マクロファージの存在を示すものとしてのF4/80に対する抗体)およびアポトーシスを決定するTUNELアッセイ法を含む。
【0105】
動物に腫瘍を整形外科的に移植する(すなわち、膵臓癌細胞を膵臓に移植するなど、特定の型の癌細胞を動物の対応する組織に移植すること)など、他の方法もまた腫瘍の成長および増殖に対する候補化合物の効果を評価するために使用し得る。加えて、正常マウスの自然発生腫瘍に対する候補化合物の効果を評価することができる。
【0106】
薬剤耐性腫瘍に対する候補化合物の効果は、異種移植実験において、薬剤−または多剤耐性癌細胞を利用することによりインビボで評価し得る。
【0107】
リンパ腫または白血病など、血液学的腫瘍に対する候補化合物の効果の研究のために、動物には特定数の細胞を移植または注射し、その抗腫瘍活性を対照群に対する処置マウスの生存時間の延長により決定する。
【0108】
腫瘍転移に対する候補化合物の効果を検討するために、典型的には腫瘍細胞をエキソビボで当該化合物により処置し、次いで、適当な試験動物に注射する。次いで、注射部位からの腫瘍細胞の拡散を適当な期間モニターする。
【0109】
別の化学療法剤と組合わせて作用するか、または別の化学療法剤の効果に対して腫瘍を感受性とする候補化合物の能力もまた、上記のモデルで試験することができる。この場合、試験動物は化学療法剤および式(I)で示される候補化合物の両方で処置することとなる。対照動物は、化学療法剤のみで処置した動物、候補化合物のみで処置した動物、および/または未処置の動物を含み得る。
【0110】
式(I)で示される化合物のインビボ毒性効果は、標準的技法により、例えば、処置の間の動物体重に対する効果を測定することにより、また、動物を犠牲とした後に、血液学的プロファイルと肝臓酵素分析を実施する(生存率アッセイ)ことにより、評価し得る。
【0111】
【表1】

【0112】
IV. 毒性試験
重要なことは、本発明の抗癌性化合物がインビボで毒性の低いことである。潜在的な薬物の毒性試験は技術上周知である(参照例:Hayes, A.W., ed., (1994), Principles and Methods of Toxicology, 3rd ed., Raven Press, NY; Maines, M., ed., Current Protocols in Toxicology, John Wiley & Sons, Inc., NY)。
【0113】
式(I)で示される化合物のインビトロ急性毒性試験は、哺乳動物細胞株を用いて実施し得る(参照例:Ekwall, B., Ann. N.Y. Acad. Sci., (1983) 407:64-77)。適切な細胞株の選択は、候補化合物の可能性のある適用に左右されるものであり、当業者ならば容易に決定することができる。
【0114】
インビトロの毒性試験は、標準的な方法論により実施し得る。例えば、適切な動物モデルに、濃度を変えて候補化合物を注射することによる。化合物は一度注射するだけでもよいし、または投与を数日間繰り返すこともできる。化合物の毒性効果は、適切な期間、動物の全身健康状態と体重をモニターすることにより評価し得る。評価期間の終了後、動物を犠牲とし、関連する臓器の外観と重量を判定する。化合物の毒性徴候もまた、当該化合物のインビボ抗癌試験に際して得ることができる。
V. 式(I)で示される化合物の治療用途
【0115】
式(I)で示される化合物は、種々タイプの癌の処置および/または安定化に使用し得る。この関連において、化合物は細胞毒性または細胞増殖抑制性を示し、結果として、腫瘍サイズの減少、腫瘍サイズの増加の減速または予防、腫瘍の消失もしくは除去とその再出現との間の無病生存期間の増大、腫瘍の最初の発生または引き続く発生(例えば、転移)の予防、進行に至る時間の延長、腫瘍と関連する1つ以上の不利益な症候の減少、または癌をもつ被験者の総生存時間の延長などに至る。化合物は単独で使用し得るし、または1種以上の既知治療薬と組合わせて多剤投与計画の一部としても使用し得る。
【0116】
本発明に従って処置または安定化し得る癌の例は、限定されるものではないが、白血病およびリンパ腫を含む血液学的新生物;腺癌を含む癌腫;黒色腫および肉腫である。癌腫、腺癌および肉腫はしばしば「固形腫瘍」ともいわれる。共通して発生する固形腫瘍の例は、限定されるものではないが、脳、乳房、子宮頚部、結腸、頭頚部、腎臓、肺、卵巣、膵臓、前立腺、胃および子宮の癌、非小細胞肺癌および結腸直腸癌である。種々形状のリンパ腫もまた固形腫瘍の形成に至り得る;従って、これもしばしば固形腫瘍と考える。本発明の一態様では、固形腫瘍の処置および/または安定化における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0117】
用語「白血病」は、広い意味で、血液形成器官の進行性の悪性疾患をいう。白血病は典型的には血液と骨髄中の白血球およびその前駆体のゆがめられた増殖と発達を特徴とするが、未成熟の赤血球細胞に影響を与える赤白血病などの他の血液細胞の悪性疾患をもいう。白血病は一般に臨床的に以下に基づき分類される:(1)疾患の期間と特性−急性または慢性;(2)関与する細胞の型−骨髄(骨髄性)、リンパ球様(リンパ形成性)または単球性;および(3)血液中における異常細胞数の増加または非増加−白血病性または無白血病性(亜白血病性)。白血病は、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T−細胞白血病、無白血病性白血病、無白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、毛様細胞性白血病、血球芽性白血病、血球芽細胞性白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ形成性白血病、リンパ球様白血病、リンパ肉腫性白血病、肥満細胞性白血病、骨髄巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄性単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、プラズマ細胞性白血病、前骨髄細胞性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血病性白血病、および未分化細胞性白血病などを含む。
【0118】
用語「肉腫」は一般に結合組織、例えば、筋肉、骨、軟骨または脂肪などに発生する腫瘍をいい、胎児性結合組織様の物質で形成されており、また繊維状または均一の物質に埋め込まれた密に詰まった細胞から一般に構成される。肉腫は軟組織肉腫、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アベメチ肉腫、脂肪肉腫、脂質肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ぶどう状肉腫、緑色肉腫、絨毛肉腫、胚性肉腫、ウイルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、ストロマ肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽細胞性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽細胞性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液のう胞性肉腫、滑膜内腫、および末梢血管拡張性肉腫などである。
【0119】
用語「黒色腫」は、皮膚その他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味するものとする。黒色腫は、例えば、末端部黒子黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング−パッセイ黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、および表在拡大型黒色腫などである。
【0120】
用語「癌腫」は、周囲の組織に侵入し、転移を起こす傾向のある上皮細胞で形成された悪性の新成長物をいう。代表的な癌腫は、例えば、腺房癌、小葉癌、腺のう胞癌、腺様のう胞癌、腺癌、副腎皮質癌、胞巣状癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌、基底細胞性癌、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、肺細気管支癌、細気管支癌、気管支原生癌、大脳様癌、胆管細胞性癌、絨毛癌、結腸直腸癌、膠様癌、コメド癌、子宮体部癌、篩状癌、胸鎧部癌、皮膚癌、円柱癌、円柱細胞癌、腺管癌、硬性癌、胎生期癌、脳様癌、類表皮癌、腺上皮癌、外向発育癌、潰瘍癌、線維癌、膠様癌、ゼラチン様癌、巨細胞癌、巨大細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母組織癌、血様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子状癌、副腎様癌、乳児胎生期癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、クロムペッヘル癌、クルチッキー細胞癌、大細胞癌、レンズ様癌(lenticular carcinoma)、レンズ様癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫様癌、リンパ上皮腫、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色癌、軟性癌、粘液性癌腫、粘液分泌癌、粘液細胞癌、粘液性類表皮癌、粘膜癌、粘液性癌、粘液腫様癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、非小細胞癌、骨化性癌、骨状癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、前侵襲性癌、有棘細胞癌、軟性癌、腎臓の腎細胞癌、貯蔵細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、硬性癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、バレイショ状癌、球状細胞癌、紡錘体細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、単線癌、血管拡張癌、毛細管拡張癌、移行上皮癌、結節様癌、結節癌、いぼ状癌、および絨毛様癌である。
【0121】
用語「癌腫」は、腺癌も包含する。腺癌は腺の(分泌)性質をもつ臓器を造る細胞に起原をもつ癌腫、または胃腸管もしくは気管支の上皮などの中空の内臓を裏打ちする細胞に起原をもつ癌腫である。その例は、限定されるものではないが、乳房、肺、結腸、膵臓および前立腺の腺癌である。
【0122】
本発明に包含されるさらなる癌は、例えば、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、悪性膵臓インスリノーマ、悪性類癌腫、尿路膀胱癌、前悪性皮膚病変、グリオーマ、睾丸癌、甲状腺癌、食道癌、尿生殖器管癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、中皮腫および髄芽腫である。
【0123】
処置または安定化すべき癌は無痛性であり得るし、または攻撃的であり得る。本発明の化合物は難治性の癌、進行性癌、再発癌および転移癌を処置するために使用し得る。当業者はこれらカテゴリーの多くが重複していることを認識していよう;例えば、攻撃的癌は一般に転移性でもある。
【0124】
「攻撃的癌」は、本明細書にて使用する場合、急速に成長する癌をいう。当業者も認識するように、乳癌または前立腺癌などの一部の癌について、用語「攻撃的癌」は、所定の癌については再発時間スペクトル内の初期3分の2で再発する進行性の癌をいい、それに対して、小細胞肺癌(SCLC)などの他の型の癌では、殆どすべての場合に、攻撃的であると考えられる急速に成長する癌を惹き起こす。この用語は、従って特定の癌タイプの小さな部分をカバーするか、または他の癌タイプのすべてを包含し得る。「難治性の」癌または腫瘍は、処置に応答しない癌または腫瘍をいう。「進行性癌」は、外科手術または放射線療法などの処置の局所的物理療法により治癒し得ない患者の顕性疾患をいう。進行した疾患は局所的に進行した癌をいうか、または転移癌をいうこともある。用語「転移癌」は身体の一部分から別の部分に広がった癌をいう。
【0125】
本発明ではまた、癌細胞の成長を選択的に阻害する「増感剤」として、式(I)で示される化合物を使用することが考えられる。この場合、化合物単独では癌細胞に対して細胞毒効果を示さないが、癌細胞を弱める手段を提供し、それによって従来の抗癌性治療剤からの利益を助長する。
【0126】
従って、本発明は式(I)で示される1種以上の化合物の治療有効量を、1種以上の抗癌性治療と共に被験対象に投与することを企図する。化合物は抗癌性治療での処置前、処置中、または処置後に投与し得る。「抗癌性治療」とは、癌細胞の成長および/または転移を予防または遅延する化合物、組成物または処置である。かかる抗癌性治療は、限定されるものではないが、化学療法薬での処置、放射線照射、遺伝子療法、ホルモン操作、免疫療法およびアンチセンス・オリゴヌクレオチド療法である。多様な化学療法薬が技術上既知であり、本発明化合物と組合わせて使用し得る。有用な化学療法薬の例は、広範囲スペクトル化学療法剤、すなわち、ある範囲の癌の処置に有用なもの、例えば、ドキソルビシン、カペシタビン、ミトキサントロン、イリノテカン(CPT−11)、シスプラチンおよびゲムシタビンである。有用な化学療法剤のその他の例は、限定されるものではないが、ヒドロキシ尿素、ブスルファン、カルボプラチン、クロランブシル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファミド、ダノルビシン、エピルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ナベルビン(Navelbine; 登録商標)(ビノレルビン)、エトポシド、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、シトシン、アラビノシド、ブレオマイシン、ネオカルシノスタチン、スラミン、タキソール、ミトマイシンCなどである。本発明化合物は、2種以上の化学療法剤を採用する標準的組合せ療法と共に使用するのにも適している。理解すべきことは、本発明にて使用する抗癌性治療は、将来開発される新規化合物および処置をも包含することである。
【0127】
VI.医薬組成物
本発明化合物は一般的に、投与に先立ち製剤化する。従って、本発明は1種以上の式(I)で示される化合物と、医薬的に許容し得る担体、希釈剤、または賦形剤とを含有してなる医薬組成物を提供する。この医薬組成物は既知の手法により、周知の、また容易に入手可能な成分を用いて調製する。1種以上の既知の抗癌性化学療法剤と組合わせた1種以上の式(I)で示される化合物を含有してなる医薬組成物もまた本発明の企図するものである。
【0128】
一般式(I)で示される化合物または当該化合物を含有してなる医薬組成物は、常套の非毒性である医薬的に許容し得る担体、アジュバント及び媒体を含有する投与単位製剤として、経口的に、局所に、非経口的に、吸引もしくは噴霧により、または直腸に投与し得る。通常の治療コースにおいて、活性化合物は許容し得る媒体に取り込ませ、罹患した領域に局所投与するための組成物、例えば、疎水性もしくは親水性クリームもしくはローション、または経口、直腸もしくは非経口投与に適する形状、例えば、シロップ、エリキシル、錠剤、トローチ、ロゼンジ、硬もしくは軟カプセル、ピル、坐剤、油性もしくは水性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、注射用剤、または溶液を形成する。用語の非経口とは、本明細書にて使用する場合、皮下注射、内皮、関節内、静脈内、筋肉内、脈管内、胸骨内、鞘内注射または注入技法を含む。
【0129】
経口使用を意図する組成物は、固体または液体の単位投与形態に調製し得る。液体の単位投与形態は、医薬組成物製造のための技術上既知の手法に従って調製可能であり、かかる組成物は、医薬的に洗練された味のよい製剤を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される1種以上の薬剤を含有し得る。エリキシルはヒドロアルコール(例、エタノール)性媒体と、砂糖およびサッカリンなどの適当な甘味剤、ならびに芳香性着香剤と共に使用することにより調製する。懸濁液は、アラビアゴム、トラガカント、メチルセルロースなどの懸濁剤を助剤として、水性媒体で調製し得る。
【0130】
錠剤などの固形製剤は、錠剤の製造に適する非毒性の医薬的に許容し得る賦形剤と混合して、有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えば、コーンスターチまたはアルギン酸などの顆粒化剤および崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴムなどの結合剤;および、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤;およびその他の常套の成分、例えば、リン酸二カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、硫酸カルシウム、デンプン、ラクトース、メチルセルロース、および機能的に同類の物質などであり得る。錠剤は被覆されていなくても、あるいは胃腸管での崩壊および吸収を遅延させるために、既知方法により被覆し、それによって、長時間、作用を持続させるようにしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用してもよい。
【0131】
また、経口用製剤はまた、有効成分が不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどと混合された硬ゼラチンカプセルとして、また、有効成分が水または油性媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油などと混合された軟ゼラチンカプセルとしても調製し得る。軟ゼラチンカプセルは、化合物と許容し得る植物油、軽流動パラフィンまたは他の不活性油とのスラリーを、機械的にカプセル化することにより調製する。
【0132】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して活性物質を含む。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアラビアゴムなどである;分散剤または湿潤剤は、天然産ホスファチド、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)との縮合産物、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合産物(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなど)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)でもよい。水性懸濁液は、1種以上の保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上の着香剤、または1種以上の甘味剤(スクロースまたはサッカリンなど)をも含有し得る。
【0133】
油性懸濁液は、有効成分を植物油、例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油などに、または鉱油、例えば、流動パラフィンなどに懸濁することにより製剤化し得る。油性懸濁液は増粘剤、例えば、蜂蜜、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどを含有し得る。上述のような甘味剤および着香剤を加えて、口当たりのよい経口製剤とすることができる。これらの組成物はアスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して保存することができる。
【0134】
水を加えて水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末および顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤および1種以上の保存剤と混合した有効成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤、懸濁剤は、すでに上述したものにより例示される。さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、着香剤および着色剤も存在し得る。
【0135】
本発明の医薬組成物は、水中油型のエマルジョンの形状であってもよい。油相は植物油、例えば、オリーブ油もしくはピーナッツ油、または鉱油、例えば、流動パラフィン、またはそれらの混合物でもよい。適切な乳化剤は天然産のゴム類、例えば、アラビアゴムもしくはトラガカントガム、天然産のホスファチド、例えば、大豆、レシチン、および脂肪酸とヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル、無水物、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、および当該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどでもよい。エマルジョンは甘味剤および着香剤をも含み得る。
【0136】
医薬組成物は無菌の注射用水性または油性懸濁液の形状でもよい。この懸濁液は既知技術に従って、上述の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて製剤化することができる。無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁液でもよく、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液としてもよい。採用し得る許容可能な媒体および溶媒は、水、リンゲル溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液であり得る。加えて、無菌の不揮発性油を溶媒または懸濁媒体として常套的に採用し得る。この目的のために、無刺激性の不揮発性油、例えば、合成モノ−またはジグリセリドなどを採用し得る。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤調製に使用し得る。局所麻酔剤、保存剤および緩衝剤などのアジュバントも注射用溶液または懸濁液に含有させ得る。
【0137】
一般式(I)で示される化合物は、薬物の直腸投与用坐剤の形状で、一緒にまたは別個に投与し得る。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液状であり、従って直腸内で融解して薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤と薬物とを混合することにより調製し得る。かかる材料はカカオバターおよびポリエチレングリコールを含む。
【0138】
他の医薬組成物および医薬組成物の製造法は技術上既知であり、例えば、文献に記載されている(Remington: The Science and Practice of Pharmacy (以前は、Remingtons Pharmaceutical Sciences); Gennaro, A., Lippincott, Williams & Wilkins, Philidelphia, PA (2000))。
【0139】
VII.式(I)で示される化合物の投与
式(I)で示される化合物は処置すべき癌に応じて様々なルートで被験対象に投与し得る;例えば、当該化合物は投与単位製剤として経口的に、局所に、非経口的に、吸引もしくは噴霧により、または直腸に投与し得る。一態様において、化合物は被験対象に全身的に、例えば、被験対象の血流にボーラス注入もしくは連続注入することにより、または経口投与により投与する。1種以上の既知化学療法剤と同時に使用する場合、化合物は化学療法剤の投与に先立って、またはその後で投与するか、または同時に投与し得る。1種以上の化学療法剤は全身的に、例えば、ボーラス注入、連続注入、または経口投与により投与し得る。
【0140】
式(I)で示される化合物は、ネオ−アジュバント療法(一次療法まで)の一部として、またはアジュバント療法投与計画の一部として使用可能であり、その場合の意図するところは被験対象の癌を治癒することである。本発明は腫瘍の発生および進行の様々な段階で、式(I)で示される化合物を使用することを企図する;例えば、進行した、および/または攻撃性の新生組織形成(すなわち、外科手術または放射線療法など、局所様式の処置により、治癒することのできない被験対象における顕性疾患)、転移性疾患、局所的に進行した疾患および/または抵抗性の腫瘍(すなわち、処置に応答しない癌または腫瘍)の処置などである。
【0141】
「一次療法」とは被験対象における癌の最初の診断に基づく第一線の処置をいう。典型的な一次療法は、外科手術、広範囲の化学療法および放射線療法であり得る。「アジュバント療法」とは一次療法に続く治療であり、また再発の危険のある被験対象に投与する治療をいう。アジュバントシステム治療は、通常、再発を遅延させ、生存を延ばし、または被験対象を治癒するために、一次療法の後、間もなく開始する。
【0142】
考慮すべきことは、本発明化合物は、一次療法もしくはアジュバント療法の一部として、単独で、または他の1種以上の化学療法剤と組合わせて使用し得ることである。式(I)で示される化合物と標準的化学療法との組合せは、化学療法の有効性を改善するように作用し得るものであり、従って、標準の癌治療を改善するために使用し得る。この適用は標準的処置に応答しない薬物耐性癌の処置に重要であり得る。薬物耐性癌は、例えば、腫瘍細胞母集団の不均質性、化学療法への応答の変化、および増大した悪性ポテンシャルから生じ得る。かかる変化は疾患の進行した段階でしばしばより顕著である。
【0143】
投与すべき用量は明確な限度を条件とするものではないが、通常は有効量である。通常、それはその所望の薬理学的生理学的効果を達成する活性は、活性遊離薬物の代謝放出に基づく剤形から生じる薬理学的に活性な遊離の形状のモルに基づき、等価である。組成物は単位用量の形態に製剤化し得る。「単位用量形態」という用語は、ヒトの被験対象および他の哺乳動物にとって単位投与量として適当な物理的に個別の単位をいい、それぞれの単位は、適当な医薬賦形剤と関連して、所望の治療効果を生じるように計算した予め定められた量の活性物質を含有する。各投与量単位における化合物の例示範囲は、約0.05ないし約100mg、またはより一般的には約1.0ないし約50mgである。
【0144】
本発明化合物の日用量は、一般に、約0.01ないし約100mg/kg体重の範囲内で、単回または分割して投与する。しかし、理解すべきことは、投与すべき化合物の実際の量は、関連する状況、例えば、処置すべき症状、選択した投与経路、投与される実際の化合物、年齢、体重、および個々の患者の応答、および患者症候の重篤度に照らして、医師が決定する。上記の投与量範囲は例示のみのために示すものであり、如何なる方法でも本発明の範囲を限定しようとするものではない。一部の事例においては、上記の低値限度以下の用量レベルがより適切であり得、他の場合には、より多い容量が有害な副作用を惹き起こすことなく採用し得る;例えば、最初、多量の用量を一日の投与のために数回の小用量に分割する。
【0145】
VIII.キット
本発明はさらに癌の処置に使用するために、1種以上の式(I)で示される化合物を含む治療用キットを提供する。キットの内容は凍結乾燥可能であり、キットはさらに凍結乾燥した成分を再構築するための適当な溶媒を含み得る。キットの個々の成分は別々の容器に詰め、医薬品または生物製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定める形式の注意書きをかかる容器と関連させる;当該注意書きは、ヒトまたは動物に投与するに際しての使用または販売の、製造管理機関による承認を反映するものである。
【0146】
キットの成分が1種以上の液状溶液として提供される場合、当該液状溶液は水溶液、例えば、無菌水溶液であり得る。インビボでの使用の場合、化合物は医薬的に許容し得る注射器用組成物に製剤化し得る。この場合の容器は、それ自体が吸入器、注射筒、ピペット、点眼容器、またはその他同様の装置でよく、そこから当該製剤を被験対象の肺などの患部に適用するか、被験対象に注射するか、またはさらにキットの他の成分に添加し、混合し得る。
【0147】
組合せ療法に使用するために、1種以上の本発明化合物と1種以上の標準的化学療法とを組合わせてなる医薬キットまたは包装も、本発明の企図するところである。本明細書に記載した発明についてよりよい理解を得るために、以下に実施例を示す。これらの実施例は説明を目的とするためのみのものであることを理解すべきである。従って、これらの実施例は如何なる方法でも本発明を限定するものではない。
【0148】
実施例
化合物の製造:
すべての反応は以下に示す反応工程図に従って実施した:
【化28】

代表的な実験手法においては、1mmol(1当量)のカルボキシアルデヒドを、1.05〜1.10mmole(1.05〜1.10当量)のジオンおよび20mmole(20当量)の酢酸アンモニウムおよび5mlの酢酸と組合わせた。この混合物をマグネティックスターラーにより攪拌し、3〜5時間加熱還流した。反応の進行は、インドールの完全な消失が達成されるまで、TLCにてモニターした。反応混合物を室温に冷却し、よく攪拌しながら氷水中に滴下した。懸濁した固体を次いで濾取し、粗製の固体を酢酸エチルに溶かし、硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、有機溶媒を減圧除去した。次いで、生成物をアルコールで再結晶するか、または石油エーテル−酢酸エチルを溶出液とするカラム・クロマトグラフィーにより分離した。
【0149】
融点はMEL−TEMPキャピラリー融点測定装置により記録したが、融点は未補正である。H−NMRは500MHzブルッカー(Brucker)装置により適当な重水素化溶媒を用いて、室温で実施した。
【0150】
実施例1:化合物2の製造
【化29】

インドールカルボキシアルデヒド(1mmol;1当量)をベンジル(1.05〜1.10mmole;1.05〜1.1当量)、酢酸アンモニウム(20mmole;20当量)および5mlの酢酸と組合わせた。この混合物をマグネティックスターラーにより攪拌し、3〜5時間加熱還流した。反応の進行は、インドールの完全な消失が達成されるまで、TLCにてモニターした。反応混合物を室温に冷却し、よく攪拌しながら氷水中に滴下した。懸濁した固体を次いで濾取し、粗製の固体を酢酸エチルに溶かし、硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、有機溶媒を減圧除去した。次いで、生成物をアルコールで再結晶するか、または石油エーテル−酢酸エチルを溶出液とするカラム・クロマトグラフィーにより分離した。
【0151】
注目すべきことは、生成物のTLCがUV(波長λ=254nm)照射下に、特徴的な青色の蛍光を示すことである;この性質はさらなる特徴として使用する。
1H-NMR: δ (DMSO-d6), 12.10 (s, 1H), 11.30 (s, 1H), 7.98 (d, 1H), 7.62 (d, 2H), 7.56 (d, 2H), 7.45 (t, 2H), 7.28-7.40 (m, 4H), 7.24 (t, 1H), 7.03-7.14 (m, 2H), 2.70 (s, 3H)。
HRMS m/z C24H19N3として計算値:349.157898; 測定値:349.157897。
M.p.=260-264 で分解。
【0152】
以下の代表的化合物も上に示した一般的合成手法に従って、適切な出発原料から調製した。
【0153】
実施例2:化合物5
【化30】

【0154】
1H-NMR (CDCl3): δ= 8.02 (d, 2H), 7.53 (d, 1H), 7.43-7.52 (m, 6H), 7.41 (d, 1H), 7.21-7.34 (m, 6H), 2.81 (s, 3H), 2.75 (s, 3H)。
EIMS [M+] m/z C28H23N3O2として:433。
M.p.=224-227。
【0155】
実施例3:化合物10
【化31】

【0156】
1H-NMR (CDCl3): δ= 10.68 (bs, 1H), 7.73 (bs, 1H), 7.22 (d, 4H), 6.99 (bs, 1H), 6.92 (bd, 2H), 6.85 (bd, 2H), 6.611 (d, 4H), 3.70 (s, 6H)。
EIMS [M+] m/z C25H20N3BrO2として: 474。
M.p.= 135。
【0157】
実施例4:化合物11
【化32】

【0158】
1H-NMR (CDCl3): δ= 7.70 (d, 1H), 7.41 (d, 4H), 7.32 (d, 1H), 7.09 (q, 2H), 6.77 (d, 4H), 2.95 (s, 12H), 2.67 (s, 3H)。
EIMS [M+] m/z C28H29N5として: 435。
M.p.= 236-238 で分解。
【0159】
実施例5:化合物13
【化33】

【0160】
1H-NMR (CDCl3): δ= 7.47 (d, 4H), 7.44 (d, 4H), 7.30-7.34 (m, 1H), 7.14-7.19 (m, 3H), 2.68 (bs, 3H)。
EIMS [M+] m/z C24H17N3Br2として: 507。
M.p.= 240-245。
【0161】
実施例6:化合物19
【化34】

【0162】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.13 (s, 1H), 11,33 (s, 1H), 7.94 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.52 (bd, 2H), 7.39 (bd, 2H), 7.35 (d, 1H), 7.05-7.12 (m, 3H), 2.50 (s, 3H)。
EIMS [M+] m/z C24H17N3Cl2として: 418。
M.p.= 165-167。
【0163】
実施例7:化合物22
【化35】

【0164】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.176 (s) 1H, 12.130 (s) 1H, 8.996 (d) 1H, 8.889 (d) 1H, 8.852 (d) 1H, 8.671 (d) 1H, 8.412 (d) 1H, 8.378 (d) 1H, 7.775-7.750 (m) 2H, 7.640-7.600 (m) 2H。
【0165】
実施例8:化合物26
【化36】

【0166】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.60 (s, 1H), 11.70 (s, 1H), 8.60 (d, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.68 (bs, 1H), 7.46 (d, 2H), 7.33 (d, 2H), 7.25 (bs, 2H), 7.09 (bs, 1H)。
EIMS [M+] m/z C19H12N3BrS2として: 426。
【0167】
実施例9:化合物28
【化37】

【0168】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.60 (s, 1H), 11.65 (s, 1H), 8.44-8.64 (m, 3H), 8.01-8.14 (m, 1H), 7.22-7.66 (m, 8H)。
EIMS [M+] m/z C22H14N4BrFとして: 433。
M.p.= 343 にて分解。
【0169】
実施例10:化合物29
【化38】

1H-NMR (DMSO-d6): δ= 8.83 (q, 2H), 8.73 (m, 1H), 8.68 (d, 1H), 8.46 (d, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.74 (t, 2H), 7.62 (t, 2H), 7.51-7.56 (m, 1H), 7.23-7.27 (m, 2H), 2.71 (s, 3H)。
EIMS [M+] m/z C23H15N3として: 303。
M.p.= 135-137。
【0170】
実施例11:化合物31
【化39】

【0171】
1H-NMR (CDCl3): δ= 8.90 (bs, 1H), 7.62 (bs, 1H), 7.48 (bd, 4H), 7.34 (m, 4H),.7.21 (m, 1H), 7.13 (m, 2H), 2.43 (bs, 3H)。
EIMS [M+] m/z C23H15N3ClBrとして: 448。
M.p.= 218-220 にて分解。
【0172】
実施例12:化合物32
【化40】

【0173】
1H-NMR (CDCl3):δ=8.12 (bs, 1H), 7.48 (d, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.23-7.34 (m, 8H)。
M.p.= 230-232。
【0174】
実施例13:化合物34
【化41】

【0175】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.63 (s, 1H), 11.67 (s, 1H), 8.62 (d, 1H), 8.21 (d, 2H), 8.08 (d, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.39-7,64 (m, 6H), 7.32 (dd, 1H)。
EIMS [M+] m/z C23H15N4BrFO2として: 459。
M.p.= 250-253 にて分解。
【0176】
実施例14:化合物35
【化42】

【0177】
1H-NMR (CDCl3): δ= 7.78 (bs, 1H), 7.59 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.35-7.39 (m, 2H), 7.28-7.34 (m, 2H), 7.13-7.18 (m, 2H), 7.01-7.05 (m, 2H), 2.72 (bs, 3H)。
EIMS [M+] m/z C24H18N3Fとして: 367。
M.p.= 247-250 にて分解。
【0178】
実施例15:化合物36
【化43】

【0179】
1H-NMR (CDCl3): δ= 10.42 (bs, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.16-7.33 (m, 6H), 7.04 (dd, 2H), 6.95 (dd, 2H), 6.88 (t, 3H)。
EIMS [M+] m/z C23H15N3BrFとして: 432。
M.p.= 83-86 にて分解。
【0180】
実施例16:化合物37
【化44】

【0181】
1H-NMR (CDCl3): δ= 9.92 (bs, 1H), 8.17 (bs, 1H), 7.87 (t, 1H), 7.55 (bs, 1H), 7.21-7.33 (m, 6H), 7.15-7.2 (m, 1H), 7.04-7.07 (m, 2H), 6.90 (t, 2H)。
EIMS [M+] m/z C23H16N3Fとして: 353。
M.p.= 51。
【0182】
実施例17:化合物38
【化45】

【0183】
1H-NMR (アセトン-d6): δ= 11.12 (bs, 1H), 10.46 (bs, 1H), 8.12 (d, 1H), 7.80 (bd, 2H), 7.62 (bd, 2H), 7.38-7.48 (m, 5H), 6.98-7.22 (m, 12H), 2.84 (bs, 3H)。
EIMS [M+] m/z C36H27N3O2として: 533。
M.p.= 128-130 にて分解。
【0184】
実施例18:化合物40
【化46】

【0185】
1H-NMR (CDCl3): δ= 8.12 (dd, 2H), 7.60 (m, 6H), 7.24-7.53 (m, 10H), 6.87 (bd, 2H), 6.61 (bd, 2H), 2.08 (s, 3H)。
M.p.= 142 にて分解。
【0186】
実施例19:化合物41
【化47】

【0187】
1H-NMR (CDCl3): δ= 8.08 (d, 4H), 8.07 (bs, 1H), 7.75 (d, 4H), 7.28-7.50 (m, 10H), 7.12 (bd, 2H), 6.97 (bs, 1H)。
M.p.= 155-158。
【0188】
実施例20:化合物42
【化48】

【0189】
1H-NMR (CDCl3): δ= 9.39 (bs, 1H), 7.39-7.50 (m, 4H), 7.28-7.38 (m, 6H), 7.06 (bs, 1H), 6.94 (bs, 2H), 2.08 (bs, 3H)。
EIMS [M+] m/z C24H18N3Brとして: 428。
M.p.= 155-157 にて分解。
【0190】
実施例21:化合物43
【化49】

【0191】
1H-NMR (CDCl3): δ= 9.75 (bs, 1H), 7.83 (bs, 1H), 7.36 (m, 3H), 7.25-7.29 (m, 5H), 7.12 (m, 3H), 7.10 (bd, 1H)。
EIMS [M+] m/z C23H15N3Br2として: 493。
M.p.= 230 にて分解。
【0192】
実施例22:化合物44
【化50】

【0193】
1H-NMR (CDCl3): δ= 8.78 (dd, 2H), 8.19 (dd, 1H), 7.96 (bs, 1H), 7.80 (dd, 1H), 7.80 (dd, 1H), 7.55-7.77 (m, 6H), 7.16-7.42 (m, 2H), 2.87 (bs, 3H)。
EIMS [M+] m/z C24H17N3として: 347。
M.p.= 167 にて分解。
【0194】
実施例23:化合物45
【化51】

【0195】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.30 (bs, 1H), 11.62 (d, 1H), 8.87 (bd, 2H), 8.64 (bs, 1H), 8.44 (bs, 1H), 8.29 (t, 1H), 7.76 (t, 2H), 7.62 (t, 2H), 7.52 (d, 1H), 7.35-7.41 (m, 2H)。
EIMS [M+] m/z C23H14N3Brとして: 412。
【0196】
実施例24:化合物46
【化52】

【0197】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.09 (s, 1H), 11.61 (d, 1H), 8.83 (q, 2H), 8.73 (m, 1H), 8.68 (d, 1H), 8.46 (d, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.74 (t, 2H), 7.62 (t, 2H), 7.51-7.56 (m, 1H), 7.23-7.27 (m, 2H)。
EIMS [M+] m/z C23H15N3として: 333。
M.p.= 135-137。
【0198】
実施例25:化合物74
【化53】

【0199】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 11.74 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.32-7.57 (m, 6H), 7.17-7.31 (m, 2H), 7.12 (t, 1H), 6.70 (d, 1H), 6.66 (bd, 1H)。
EIMS [M+] m/z C23H19N2FO2として: 374。
【0200】
実施例26:化合物83
【化54】

【0201】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.40 (s, 1H), 11.80 (s, 1H), 8.56 (d, 1H), 8.24 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.65 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.47 (t, 2H), 7.32-7.42 (m, 3H), 7.24 (t, 1H), 3.90 (s, 3H)。
EIMS [M+] m/z C25H19N3O2
として: 393。
M.p.= 293-295。
【0202】
実施例27:化合物84
【化55】

【0203】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 8.64 (d, 1H), 8.17 (d, 1H), 7.47 (d, 1H), 7.39 (t, 1H), 7.33 (dd, 1H), 7.20-7.31 (m, 2H), 7.12 (bd, 2H), 6.97 (bd, 1H), 6.84 (bd, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.72 (s, 3H)。
EIMS [M+] m/z C25H20N3BrO2として: 474。
M.p.= 250-253 にて分解。
【0204】
実施例28:化合物88
【化56】

【0205】
Mp 335-336oC。
1H-NMR (DMSO-d6): 2つの異性体:
1)δ=13.160 (s) 1H, 11.602 (s) 1H, 9.720 (s) 1H, 9.143 (dd) 1H, 8.975 (dd) 1H, 8.680 (d) 1H, 8.345 (t) 1H, 8.160 (d) 1H, 7.870 (t) 1H, 7.720 (t) 1H, 7.420 (d) 1H, 7.200 (d) 2H, 2.862 (s) 3H。
2):δ=13.090 (s) 1H, 11.602 (s) 1H, 9.370 (s) 1H, 9.143 (dd) 1H, 8.975 (dd) 1H, 8.680 (d) 1H, 8.345 (t) 1H, 8.099 (d) 1H, 7.870 (t) 1H, 7.720 (t) 1H, 7.420 (d) 1H,7.200 (d) 2H, 2.847 (s) 3H。
EI-MS (C24H16N4O2)
= 392。
【0206】
実施例29:化合物90
【化57】

【0207】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.083 (s) 1H, 11.595 (s) 1H, 9.040-9.010 (m) 4H, 8.950 (d) 1H, 8.120 (m) 1H, 7.821 (t) 1H, 7.432 (m) 1H, 7.176 (m) 2H, 2.830 (s) 3H。
【0208】
実施例30:化合物92
【化58】

【0209】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.729 (s) 1H, 11.724 (s) 1H, 8.578 (d) 1H, 8.325 (d) 2H, 8.260 (d) 2H, 8.127 (d) 1H, 7.871 (m) 2H, 7.810-7.785 (m) 2H, 7.454 (d) 1H, 7.330 (d) 1H。
【0210】
実施例31:化合物94
【化59】

【0211】
Mp 300-303 oC。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.55 (s) 1H, 8.83 (m) 3H, 8.68 (m) 1H, 8.50 (m) 1H, 8.15 (m) 1H, 7.75 (m) 2H, 7.65 (m) 1H, 7.47 (m) 1H, 7.40 (m) 1H。
ESI-MS (C23H15BrN4)
= 427。
【0212】
実施例32:化合物96
【化60】

【0213】
Mp 265-266 oC。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.1 (s) 1H, 11.6 (s) 1H, 8.7 (d) 1H, 8.0 (d) 1H, 7.3 (m) 10H, 3.8 (d) 3H, 3.6 (d) 3H。
ESI-MS (C25H20BrN3O2)
= 474。
【0214】
実施例33:化合物97
【化61】

【0215】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.460(s)1H, 11.890 (s) 1H, 9.080-8.985 (m) 4H, 8.860-8.825 (m) 1H, 8.285 (d) 1H, 7.890-7.840 (m) 2H, 7.560-7.540 (m) 1H, 7.420-7.390 (m) 1H。
ESI-MS (C21H12BrN5)
= 414。
【0216】
実施例34:化合物101
【化62】

【0217】
EI-MS: 484.00 (C25H18BrN5O
の計算値:483.07)。
1H-NMR (DMSO-d6): d = 13.167 (s) 1H, 11.845 (s) 1H, 8.839-8.781 (m) 4H, 8.292-8.405 (m) 2H, 7.364-7.697 (m) 5H, 3.543 (s) 1H, 3.410 (s) 2H, 1.463 (s) 2H。
【0218】
実施例35:化合物140
【化63】

【0219】
Mp 210-215℃。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.18 (s) 1H, 11.54 (s) 1H, 9.08 (d) 1H, 8.62 (s) 1H, 8.65 (s) 1H, 7.20 (m) 10H。
【0220】
実施例36:化合物141
【化64】

【0221】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.30 (s) 1H, 11.70 (s) 1H, 7.79 (m) 3H, 7.58 (m) 2H, 7.43 (m) 7H, 7.32 (m) 2H, 7.23 (m) 2H, 7.14 (m) 2H。
【0222】
実施例37:化合物146
【化65】

【0223】
Mp 240-242℃。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.20 (s) 1H, 11.90 (s) 1H, 8.85 (m) 2H, 8.60 (d) 1H, 8.40 (d) 1H, 7.70 (m) 8H, 7.30 (m) 5H。
【0224】
実施例38:化合物152
【化66】

【0225】
Mp 258-259℃。
1H-NMR (DMSO-d6): 2つの異性体:1)δ= 12.160 (s) 1H, 11.350 (s) 1H, 8.480 (t) 1H, 7.995 (d) 1H, 6.995 (d) 1H, 7.440-7.420 (m) 2H, 7.360-7.300 (m) 2H, 7.220-7.020 (m) 5H, 3.805 (s) 3H, 3.695 (s) 3H。
2)δ= 12.190 (s) 1H, 11.350 (s) 1H, 8.480 (t) 1H, 7.995 (d) 1H, 6.995 (d) 1H, 7.440-7.420 (m) 2H, 7.360-7.300 (m) 2H, 7.220-7.020 (m) 5H, 3.762 (s) 3H, 3.617 3H。
【0226】
実施例39:化合物156
【化67】

【0227】
Mp 365-366℃。
1H-NMR (DMSO-d6): 2つの異性体:a) δ= 13.410 (s) 1H, 11.670 (s) 1H, 9.40 (d) 1H, 9.11 (d) 1H, 8.96 (d) 1H, 8.70 (d) 1H, 8.35-8.18 (m) 2H, 7.96 (s) 1H, 7.70 (t) 1H, 7.56 (t) 1H, 7.28 (m) 2H。
b) δ= 13.290 (s) 1H, 11.67 (s) 1H, 9.305 (d) 1H, 9.095 (d) 1H, 8.960 (d) 1H, (d) 1H, 8.70 (d) 1H, 8.495 (d) 1H, 7.87 (d) 1H, 7.70 (t) 1H, 7.56 (t) 1H, 7.28 (m) 2H。
EI-MS (C23H14N4O2)= 378。
【0228】
実施例40:化合物157
【化68】

【0229】
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.102 (s) 1H, 11.702 (s) 1H, 8.900-8.840 (m) 3H, 8.690 (d) 1H, 8.445-8.400 (m) 3H, 8.301 (d) 1H, 7.747 (t) 1H, 7.644-7.624 (m) 1H, 7.622-7.605 (m) 1H, 7.585-7.529 (m) 1H, 7.128-7.086 (m) 1H。
EI-MS (C23H14N3F)= 351。
【0230】
実施例41:化合物160
【化69】

【0231】
Mp 320=330℃。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.30 (exc.) 1H, 12.92 (d) 1H, 8.64 (d) 1H, 8.56 (d) 1H, 8.43 (m) 2H, 7.62 (m) 4H, 7.34 (t) 1H, 7.03 (d) 1H, 5.95 (exc.) 2H。
【0232】
実施例42:化合物162
【化70】

【0233】
Mp >400℃。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13. (s) 1H, 12.25 (s) 1H, 9.41 (d) 1H, 9.13 (t) 1H, 8.98 (m) 2H, 8.37 (m) 3H, 7.96 (s) 1H, 7.89 (t) 1H, 7.73 (t) 1H, 7.36 (m) 1H。
EI-MS (C22H13N5O2)= 379。
【0234】
実施例43:化合物169
【化71】

【0235】
Mp 236-237℃。
EI-MS: 633.87 (C32H19Br2N5)
の計算値:633.33。
1H-NMR (DMSO-d6): 2つの異性体:1)δ= 13.190 (s) 1H, 11820 (s) 1H, 8.955 (s) 1H, 8.910-8.883 (m) 3H, 8.640 (d) 1H, 8.590 (d) 1H, 8.280 (d) 2H, 8.157 (d) 1H 7.730 (t) 1H, 8.620 (t) 1H, 7.525 (s) 1H, 7.509 (s) 1H, 7.410 (d) 1H, 7.375 (d)
1H。
2) δ= 13.190 (s) 1H, 12.060 (s) 1H, 8.955 (s) 1H, 8.910-8.883 (m) 3H, 8.640 (d) 1H, 8.590 (d) 1H, 8.280 (d) 2H, 8.157 (d) 1H 7.730 (t) 1H, 8.620 (t) 1H, 7.525 (s) 1H, 7.509 (s) 1H, 7.410 (d) 1H, 7.375 (d) 1H。
【0236】
実施例44:化合物175
【化72】

【0237】
EI-MS: 440.11 (C25H18BrN3
の計算値:440.07。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 13.141 (s) 1H, 11.779 (s) 1H, 8.842 (d) 1H, 8.673 (s) 1H, 8.636 (s) 1H, 8.508 (d) 1H, 8.295 (d) 1H, 8.242 (d) 1H, 7.553 (d) 2H, 7.508 (d) 1H, 7.365 (d) 1H, 2.612 (s) 6H。
【0238】
実施例45:化合物180
【化73】

【0239】
Mp 239-240℃。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.12 (s) 1H, 11.30 (s) 1H, 8.07 (d) 1H, 8.03 (d) 1H, 7.93 (d) 1H, 7.72 (d) 1H, 7.65 (m) 2H, 7.54 (t) 1H, 7.47 (m) 3H, 7.28 (m) 3H, 7.08 (m) 4H, 2.70 (s) 3H。
EI-MS (C28H21N3)= 399。
【0240】
実施例46:化合物181
【化74】

【0241】
Mp 308-310℃。
1H-NMR (DMSO-d6): 2つの異性体:1) δ= 12.547 (s) 1H, 11.570 (s) 1H, 8.739 (d) 1H, 8.200-8.790 (m) 3H, 7.695 (m) 2H, 7.570-7.060 (m) 10H。
2) δ= 12.575 (s) 1H, 11.620 (s) 1H, 8.478 (d) 1H, 8.200-8.790 (m) 3H, 7.695 (m) 2H, 7.570-7.060 (m) 10H。
ESI-MS (C27H18BrN3)= 464。
【0242】
実施例47:化合物182
【化75】

【0243】
Mp 264-265℃。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.0 (s) 1H, 11.3 (s) 1H, 8.46 (d) 1H, 7.96 (d) 1H, 7.67 (d) 2H, 7.51 (d) 1H, 7.43 (d) 1H, 7.39 (t) 1H, 7.28 (t) 2H, 7.15 (m) 1H, 6.62 (d) 2H。
EI-MS (C23H18N4)= 350。
【0244】
実施例48:化合物183
【化76】

【0245】
Mp 240-242℃。
1H-NMR (DMSO-d6): δ= 12.20 (s) 1H, 11.90 (s) 1H, 8.85 (m) 2H, 8.60 (d) 1H, 8.40 (d) 1H, 7.70 (m) 8H, 7.30 (m) 5H。
【0246】
実施例49:癌細胞増殖のインビトロ阻害#1
選択した式(I)の化合物について、ヒト結腸癌細胞(HT−29)およびヒト非小細胞肺癌細胞(H460)を用いて、インビトロ抗癌活性を試験した。細胞は10%FBSを添加したα−MEM培地(ウィセント(Wisent)、セント−ブルノ、Qc)に維持し、5%CO雰囲気下に37℃で成長させた。細胞を150mmの組織培養プレートに移し、その使用に先立って、サブコンフルエント(70−80%)となるまで成長させた。
【0247】
インビトロ抗癌活性は、生存細胞のテトラゾリウム塩XTTを橙色着色したホルマザン化合物に還元する能力に基づき、細胞増殖アッセイにより評価した(XTT細胞増殖キットII、ロシュ・アプライド・サイエンス、モントリオール、QC)。
【0248】
完全培地100μl中、結腸癌細胞(HT−29)約4×10個または非小細胞肺癌細胞(NCI−H460)2×10個を、96穴マイクロタイタープレートに播種し、37℃で一夜培養した。次いで、培地はプレートを反転することで除去し、無菌の吸収布上で軽く叩いた。試験化合物を25μMまたは100μM含有する培地50μlを、細胞を容れたウエルに加え、5%CO雰囲気下に37℃で48時間インキュベートした。インキュベーションの後、XTT反応混合物25μl(XTT最終濃度0.3mg/ml)を各ウエルに加え、プレートをさらに4時間インキュベートした。次いで、各サンプルの吸光度を対照として490nm/650nmの波長で決定した。各化合物について、二重測定で試験し、結果は平均値として報告する。表IIはヒト結腸癌細胞HT−29の成長に対し式(I)で示される異なる化合物が有する効果を示す。表IIIはヒト非小細胞肺癌細胞(H460)の成長に対し式(I)で示される異なる化合物が有する効果を示す。
【0249】
【表2】

【0250】
【表3】

【0251】
実施例50:癌細胞のインビトロ増殖阻害#2
下記リストに掲載した化合物について、下記、および実施例51〜53に記載の様々な癌腫細胞株に対する抗癌活性を試験した。
【0252】
【化77】

【0253】
細胞を10%FBSを添加したα−MEM培地(ウィセント(Wisent)、セント−ブルノ、QC)に維持し、5%CO雰囲気下に37℃で成長させた。細胞を150mmの組織培養プレートに移し、その使用に先立って、サブコンフルエント(70−80%)となるまで成長させた。
【0254】
インビトロ抗癌活性は、生存細胞のテトラゾリウム塩XTTを橙色着色したホルマザン化合物に還元する能力に基づき、細胞増殖アッセイにより評価した(XTT細胞増殖キットII、ロシュ・アプライド・サイエンス、モントリオール、QC)。以下の癌細胞株について試験した:HT−29結腸癌、A498腎臓癌、Caki−1腎臓癌、C8161黒色腫、MDA−MB−231乳房腺癌、A2058転移黒色腫、SK−OV−3卵巣腺癌、HepG2肝臓癌、AsPC−1膵臓腺癌、PC3転移前立腺腺癌。WI38はヒト肺線維芽細胞株である。
【0255】
完全培地100μl中、約2〜3×10個の細胞を、96穴マイクロタイタープレートに播種し、37℃で一夜培養し、プレートを反転することで培地を除去し、無菌の吸収布上で軽く叩いた。異なる化合物を異なる濃度で含有する培地50μlを加え、ウエルを5%CO雰囲気下に37℃で48時間インキュベートした。インキュベーションの後、XTT反応混合物25μl(XTT最終濃度0.3mg/ml)を加え、ウエルを4時間インキュベートした。各サンプルの吸光度を、対照として490nm/650nmの波長で決定した。生存率は、異なる化合物とインキュベートした細胞の吸光度値およびそのそれぞれの対照(媒体のみでインキュベートした細胞)間の比により決定した。その結果を図1〜4に示す。
【0256】
図1は化合物92での結果を描出する;図2は化合物28での結果を描出する;図3は化合物50での結果を描出する;また、図4は化合物42での結果を描出する;
実施例51:化合物45によるインビトロでの癌細胞増殖阻害の濃度依存性
【0257】
種々の癌細胞株に対する種々濃度の化合物45の効果について、実施例50に概要を示した一般プロトコールに従い、以下を例外として試験した。細胞の生存は、細胞をXTTと共に2時間インキュベートすることにより、処置後、48時間目、72時間目および6日目に評価した。この例で利用した癌細胞株は、子宮頚部癌細胞株KBと共に、実施例50に掲載したものと同じであった。その結果を図5および6に示す;これらの図は種々濃度の化合物45で処置した後の細胞の生存を描出する。A:処置後48時間;B:処置後72時間;およびC処置後6日。
【0258】
実施例52:化合物45、33および99によるインビトロでの癌細胞増殖阻害の濃度依存性
種々濃度の化合物45、33および99の結腸癌細胞株LS513に対する効果について、実施例50に概要を示した一般プロトコールに従い、試験した;細胞の生存は処置後6日目に評価した。その結果を図7に示す。
実施例53:結腸癌細胞のインビトロ増殖阻害#1
【0259】
HT−29結腸癌細胞の増殖に対する式(I)で示される種々化合物の効果について、実施例50に概要を示した一般プロトコールに従い、試験した;ただし、細胞の生存は処置の5〜7日後に評価した。2、10および25μMの各化合物濃度を用いた結果は、図8に示す。結果は処置5〜7日目での異なる実験から集めた。殆どのサンプルの変動係数は5%以内であった。
【0260】
実施例54:癌細胞のインビトロ増殖阻害#3
以下に示す23種の式(I)で示される化合物について、60種のヒト癌細胞株のパネルにおける抗増殖効果を評価した;このパネルは米国国立癌研究所(NCI)のDTP(発生治療プログラム)が提供するインビトロ抗癌スクリーニングサービスの一部である。国立衛生研究所(NIH)の国立癌研究所(NCI)はメリーランド州ロックウエルに在る。この選抜に使用する癌細胞株を図9に提供する。
【0261】
【化78】

【0262】
NCIは標準的な48/72時間の60種細胞株でのアッセイと、アレイら(Alley
et al., Cancer Res (1988) 48:589)が記載するインビトロ経時的なアッセイを行う。標準的な60種細胞株のアッセイにおいては、試験化合物の5種濃度の最小濃度を60種の細胞株に対して10倍希釈で試験し、細胞成長について、スルホローダミンBアッセイにより、48時間および72時間目にアッセイする。経時的分析のために、腫瘍細胞を様々な時点で、試験化合物により処置し、次いで、洗浄し、144時間の実験終了まで、試験化合物を含まない培地で成長させる。このアッセイ法では、インビボで活性を達成するために必要な最少のc×t(濃度および時間)試験化合物接触条件によりよく近似させるために、20%FBSを採用する。細胞の成長はMTTアッセイ(上記のXTTアッセイに類似する)により定量し、成長阻害に必要な試験化合物の濃度を決定する。試験化合物の阻害効果はGI50値として表す;この値は50%の成長阻害を生じる試験化合物のモル濃度を表す。
【0263】
化合物はすべて、NSCLC、白血病、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、卵巣癌、腎臓癌、CNS癌および乳癌を含むヒト腫瘍細胞株すべてに対し、0.61μMないし12.3μMの範囲、平均2μMのGI50(50%の成長阻害)値を有する抗増殖活性を示した。化合物45は2.0μMのGI50値を示したが、最も有効な化合物は90であった(図10A)。該化合物はすべての細胞株の成長にほぼ同等に影響を与えた。化合物45に対する平均GI50値は1.3μM(腎臓)ないし3.4μM(白血病)の範囲であった(図10B)。これらの結果は化合物45が遍在する標的に影響を与えることを示唆する。白血病細胞株に対する本化合物のTGI(総成長阻害)は他の細胞型と有意に異なっていた。これらの細胞株は、使用した最高濃度の100μMでさえ、100%成長阻害されることはなかった(図10C)。
【0264】
実施例55:肺癌細胞のインビトロ増殖阻害
以下の化合物について、H460非小細胞肺癌細胞の増殖をインビトロで阻害するその能力を試験した。実施例50に記載のプロトコールを利用した;ただし、例外として細胞生存は処置の6日後に評価した。各化合物は、0.2、2、10および25μMの濃度で試験した。その結果を図11に示す。
【0265】
【化79】

【0266】
実施例56:結腸癌細胞のインビトロ増殖阻害#2
上記化合物(実施例55に示した)について、以下に示す化合物と共に、HT−29結腸癌細胞の増殖をインビトロで阻害するその能力を試験した。実施例50に記載のプロトコールを利用した;ただし、例外として細胞生存は処置の2日または6日後に評価した。各化合物は、0.2、2、10および25μMの濃度(化合物110、30、101、113、103、107、108および109)または2.5、10および25μMの濃度(化合物112、114、78、111および45)で試験した。その結果を図12および13に示す。図12に示した結果は掲載化合物での処置後6日の細胞生存を反映する。図13Aは掲載化合物での処置後2日の細胞生存を示し、また図13Bは処置後6日の細胞生存を示す。
【0267】
【化80】

【0268】
実施例57:結腸癌成長のインビボ阻害#1
本実施例および次の実施例58では、ヒト結腸腺癌細胞株HT−29による異種移植モデルを用いて実施した式(I)で示される種々化合物のインビボ有効性について記載する。以下の化合物を試験した。
【0269】
【化81】

【0270】
5ないし10匹のCD−1メス・ヌードマウス(6〜7週)の群に、その低中心背部にヒト結腸腺癌細胞HT−29(3×10個/0.1mlのPBS)を皮下注射し、接種後5日目に処置を開始した(腫瘍サイズ=20〜40mm)。処置スケジュールは、5mg/ml(100mg/Kg/日)を1日あたり2×200μl腹腔内に5日間注射すること、2日の間を置いて、4週間注射することから構成した。処置期間中、腫瘍のサイズをキャリパーで測定し、次いで、マウスを頚部脱臼で犠牲とし、腫瘍を外科的に取出し、重量測定した。図14は異なる群のマウスの平均腫瘍サイズ(mm)を示す。図15および16はマウス1群あたりの平均腫瘍重量および個々のマウスにつての平均腫瘍重量をそれぞれ示す。
【0271】
実施例58:結腸癌成長のインビボ阻害#2
実施例55に記載したプロトコールに従った。その結果を図17に示す;この図は異なるマウス群の平均腫瘍サイズ(mm)を描出する。図17で用いた略号は以下のとおりである:V−ip=媒体(腹腔);42(5−ip)=5mg/Kg(腹腔);42(25−lp)=25mg/Kg;42(100−ip);100mg/Kg(腹腔);43(ip)=100mg/Kg(腹腔);45(ip)=100mg/Kg(腹腔);44(ip)=100mg/Kg(腹腔);46=100mg/Kg(腹腔);28=100mg/Kg(腹腔);V−op=媒体、経口;42(100−op)=100mg/Kg(経口)。
【0272】
実施例59:化合物45による癌細胞成長のインビボ阻害
化合物45がインビボで癌細胞の成長を阻害する能力について、肝細胞(肝臓)癌のマウス異種移植モデルでさらに検討した。5ないし10匹のCD−1メス・ヌードマウスの群に、その中心右わき腹にHepG2ヒト肝臓癌細胞(1×10個)を皮下注射した。処置は接種後7日目に開始し、1日あたり2×200μl腹腔内注射とした(100mg/Kg/日)。処置期間中、腫瘍のサイズをキャリパーで測定した:10週後に腫瘍を外科的に取出し、重量測定した。得られた結果を図18AおよびBに示す。
【0273】
留意すべきことは、前記実施例57〜59にて試験した化合物が、いずれもインビボで毒性を示さなかったことである。
【0274】
実施例60:種々のヒトキナーゼ酵素の活性に対する化合物45の効果#1
アップステート・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnologies)からの供与品キナーゼ観測記録装置を用いて、化合物45につき、キナーゼインヒビターとして機能する能力を試験した。採用した一般的プロトコールは以下のとおりである:組換えキナーゼを、特異的基質、10mM酢酸Mg、および[γ−33P−ATP]とインキュベートした。反応はMgATP混合物の添加により開始した。室温で40分間インキュベーションした後、3%リン酸溶液5μlを加えて反応を停止した。次いで、反応物10μlをP30フィルターマットにスポットし、75mMリン酸中で5分間3回およびメタノール中で1回洗浄し、次いで乾燥し、シンチレーション計測した。各反応は100μM−ATP±10μM化合物45により二重測定で実施した。結果を表IVに提示し、%対照(化合物なし)の平均値として表す。PI3−キナーゼ−γ(PI3K−γ)活性はPIプロファイラー(商標)アッセイで決定した;このアッセイでは、GRP1プレクストリン相同体(PH)ドメインとPIP3との結合を測定する;PI3Kの産物はその生理的基質PIP2に作用する。
【0275】
79種の組換えキナーゼを試験した。これらの内、87%が10μM−ML−220の存在下に60%を超える活性を保持していた。4種のキナーゼは40%ないし60%の活性を保持していた(Alk−60%;Aurora−A、54%;PKD2,52%;SAPK3、54%;TrkA、56%);一方、5種のキナーゼの活性は40%未満であった(CaMKII、32%;PI3Kα、30%;PI3Kβ、11%;PI3Kδ、9%;およびPI3Kγ、22%)。これらの結果は、化合物45がキナーゼインヒビターとして機能し得ること、またそれが特定のキナーゼに高度の選択性を有することを示している。
【0276】
【表4】


【0277】
実施例61:種々のヒトキナーゼ酵素の活性に対する式(I)で示される他の化合物の効果
式(I)で示される他の化合物も同じキナーゼに影響するかどうかを評価するために、化合物30または化合物90の10μMでの阻害活性を、5種のキナーゼ、Aurora−A、CaMKII、PKD2、SAPK3、TrkAおよびPI3K、について試験した。その結果を図19に示す。この結果は、これら2種の化合物が化合物45とは異なるパターンのキナーゼ阻害性を有することを示した。
実施例62:種々癌細胞における化合物45の細胞内存在部位の決定
【0278】
化合物45は本来的に蛍光性であり、この蛍光が蛍光顕微鏡観察での本化合物の細胞内存在部位の試験を可能とする。蛍光顕微鏡観察は、トロント大学医学部の顕微鏡画像センターで実施した。細胞を100μMの化合物45(図20A、B、D、E)または1μMのドキソルビシン(図20C)で1時間処理し、PBSで1回洗浄し、3.7%ホルムアルデヒド/PBSで10分間固定し、PBSで3回洗浄し、イムノ−フルオロで固定した。画像はツアイス・レーザー走査蛍光顕微鏡により、励起フィルター範囲360〜370nm(化合物45)または530〜560nm(ドキソルビシン)で得た。図20BおよびCでは、微分干渉コントラスト画像を蛍光画像と重ね合わせた。
【0279】
化合物45はHT−29結腸腺癌細胞の核周縁領域にスポットとなって局在し(図20A)、核と原形質膜領域から排除されている(図20B)。対照的に、抗癌剤ドキソルビシン(これも本来的に蛍光性である)は核に局在する(図20C)。A498腎臓癌細胞(図20D)およびC8161黒色腫細胞(図20E)において化合物45の同様の局在が観察される。
【0280】
実施例63:化合物45で処理した細胞における形態学的変化の決定
化合物45で24時間処置すると、HT29結腸腺癌細胞(図21)、A498腎臓癌細胞およびMDA−MB−231乳房腺癌細胞の細胞質内に大きな空胞が形成される。これらの空胞はDMSO−またはドキソルビシン−で処置された細胞には形成されない。さらに、DAPI染色により示されるように、核はなお無傷であるが、化合物45で処置した細胞の位相差画像において、核膜はもはや明らかではない。図21は微分干渉コントラスト(DIC)画像(上段)およびDAPI(核の細胞浸透性マーカー)により染色した同じ細胞の蛍光画像(下段)を示す。
【0281】
実施例64:細胞周期分析
HT−29結腸腺癌細胞における細胞周期進行に対する化合物45による処置の効果をフローサイトメトリーにより試験した(図22)。値はフローサイトメトリー・プロットのゲート分析により決定し、2倍値を除いた後、総細胞集団のパーセントとして図22に示す。アポトーシス事象はG1期に先立つ表面積により推論した。細胞は3日間飢餓状態とし、10%血清の存在下に、24時間または48時間、15μMまたは25μMの化合物で処置し、次いで、フローサイトメトリー分析に付した。化合物45での処置によりG1期の細胞が増加し、またSおよびG2/M期では減少した。
【0282】
本実施例および実施例58、60および61に示した結果は、化合物45がHT−29結腸癌細胞の成長をGI50値2.6μMで抑制し、また細胞周期のG0/G1期に部分的な停止を誘導することを示している。蛍光顕微鏡観察では、細胞質内に化合物45が存在するが、細胞の核膜または原形質膜領域には存在しないことが明らかとなった。加えて、化合物45はタンパク質キナーゼの選抜において、キナーゼ活性を阻害することが判明した;このことは細胞性標的が細胞質タンパク質キナーゼであり得ることを示している。これらの結果は、化合物45とその関連誘導体がヒト癌処置の治療薬として有力であることを示している。
【0283】
実施例65:式(I)で示される化合物の選択性
少なくとも1種の癌細胞株の成長または増殖を低下させる能力を示す式(I)で示される化合物は、癌細胞に対するその選択性を評価するためにさらに試験を受ける。本発明化合物の選択性を測定する模範となる方法を以下に提供する。
【0284】
正常な活性で増殖する細胞(HUVECおよびW138)、および結腸(HT−29)、肺(NCI−H460)、乳房(MDA−MB−231)と前立腺癌(PC−3)を提示する癌細胞のパネルに対する選択した化合物のIC90値を測定する。IC90で癌細胞株パネルに2倍以上の総体的選択性を有する化合物を有力な治療剤として同定する。
【0285】
IC90値は成長停止および/または細胞毒性の指標としてXTTアッセイを用いて決定する。このアッセイは実施例50に概説したとおりに実施する。各細胞株についてパーセント阻害を計算し、各化合物と細胞型のIC90値を決定する。正常細胞についての平均IC90値を計算し、癌細胞株の平均IC90値で割る。選択性比>2を有する化合物を同定し、さらなる最適化および/または試験用に選定する。
【0286】
実施例66:さらなるインビボ抗腫瘍効力評価
選択した化合物のさらなる薬理学的評価は、ヒト腫瘍成長の動物モデルで実施する。これらの研究からのデータは、様々なタイプの癌に対する選択した化合物の治療有効性の証拠を提供し、よりよい薬理学的性質と効力をもつ化合物を同定する一助となる。
【0287】
選択した化合物の有効性を検討するために利用し得るマウスモデルの例は、限定されるものではないが、種々のヒトの腫瘍型をヌードマウスまたは上記の深刻な複合免疫不全障害(SCID)をもつマウスに皮下接種した異種移植片;標的臓器の腫瘍に対する効果を検討するための、また正常マウスの自然発生腫瘍を検討するための、ヌードマウスまたはSCIDマウスにおける種々のヒト腫瘍の同所移植片(例えば、動物の膵臓に直接移植した膵臓癌細胞移植片)を含む。
【0288】
単一薬剤として選択した化合物の有効性を証明するためには、例えば、膵臓、皮膚(黒色腫)、腎臓、結腸、乳房、肺、肝臓、卵巣、前立腺、膀胱および脳などの代表的なヒトの癌のための特別のモデル(異種移植片または同所移植片)でそれを評価し得る。同様の研究は、ヒトの癌の処置に使用する他の標準的な治療様式と組合わせて、試験化合物の性能を評価するために実施し得る。
【0289】
典型的な異種移植片研究の場合、5〜6週令の胸腺欠損ヌードマウス(チャールス・リバー、モントリオール、QC)を病原菌のない設備で、少なくとも1週間、訓化する。従った動物のプロトコールはカナダにおける実験室動物の注意と使用のための手引きによる。PBS100ml中のヒト腫瘍細胞約10〜10個を、各マウスの右わき腹皮下に注射する。腫瘍が約100mmの容積に達したところで(腫瘍細胞注射後数日)、マウスを腫瘍の大きさによって無作為に対照群と処置群に分ける。試験化合物を週に5日間、種々の用量で数週間投与する。対照動物には媒体のみ(陰性対照)および/または標準の化学療法(陽性対照)を同じ期間与える。腫瘍の寸法(長さ、幅、および高さ)を、処置期間中、週に2回カリパーにより測定する。腫瘍体積は式:L×W×H/2(ただし、Lは長さを示し、Wは幅を示し、Hは高さを示す)により計算する。腫瘍の荷重が総体重の約10%に達したところでマウスを犠牲とし、切除した腫瘍の重量を測定した。標準的な棒グラフを用いて腫瘍重量の差を示す;各棒は平均腫瘍重量を示す。
【0290】
実施例67:潜在的な作用メカニズムを検討するためのさらなるアッセイ
選択した化合物の潜在的な作用メカニズムは、細胞周期分析、アポトーシスアッセイ、抗血管形成アッセイ、および免疫組織化学分析などのアッセイ法を用いて検討し得る。各タイプのアッセイの代表例を以下に提供する。
【0291】
i)細胞周期分析
細胞周期の変調はフローサイトメトリー分析により決定する。試験化合物に感受性の腫瘍細胞を、0.5%FBS含有培地中で24時間培養し、次いでFBSを含まない培地で48時間培養することにより同調させる。次いで、0.1%DMSO(媒体対照)または適切な濃度(例えば、3×IC90値)の試験化合物を含む完全培地中に細胞を放出させ、処理の16〜24時間後に収穫し、冷PBSで2回洗浄し、70%エタノール中、4℃で少なくとも4時間固定化する。固定化細胞を1500rpm、4℃で4分間遠心分離し、2%FBS含有冷PBSで2回洗浄し、3mg/mlのリボヌクレアーゼ(シグマ・ケミカル、オークビル、ON)および50μg/mlのヨウ化プロピジウム(PI)(シグマ・ケミカル)により37℃で30分間、処理する。染色した細胞の蛍光をFACSスキャン・フローサイトメーターおよびセル・クエスト(Cell Quest)プログラム(べクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)、サンホセ、CA)により測定する。データをモッドフィット(Modfit)ソフトウェア(ベリティ(Verity)ソフトウエア・ハウス、トップシャム、ME)により評価し、細胞周期に対する選択化合物の効果を評価する。
【0292】
DNA断片化分析を用い、試験化合物のアポトーシス効果を評価する。簡単に説明すると、細胞は処置の24時間前に6穴培養プレートに播種する。試験化合物とインキュベーションした後、脱着した細胞を含む培地を15ml容の円錐型チューブに移し、一方、なおプレートに付着する細胞はトリプシン処理して、同じチューブに加える。遠心分離した後、集めた細胞をPBSで洗浄し、50mMトリス−HCl、pH8.0、1.0M−NaCl、10mM−EDTAおよび0.5%SDSを含有する0.5mlの溶解バッファーに再懸濁する。細胞溶解液をミクロ遠沈管に移し、プロティナーゼKを最終濃度0.2ml/mlとして加え、37℃で一夜インキュベートした。DNAをフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(24:24:1)で抽出し、乾燥して、40μMの10μMトリス−HCl(pH8.0)と0.1mM−EDTAに溶解した。DNアーゼを含まないRNアーゼを各サンプルに37℃で30分間加え、各サンプル12μlを0.5μg/ml臭化エチジウム含有2%アガロースゲルに負荷し、電気泳動に付す。UV光照射下にDNAを可視化し、試験化合物によるアポトーシスの誘発を、ヌクレオソーム−サイズDNAラダーの生成に基づき評価する。
【0293】
iii)抗血管形成アッセイ
新毛細管の増殖、すなわち、血管形成または新生血管形成は、小さな局在腫瘍が大きく悪性に成長し拡大する遷移状態にとって重大な意味をもつ。マトリゲル・プラグ・アッセイ(参照:Passaniti et al., Lab. Invest. (1992) 67:519)は、血管形成の評価、およびマウスにおける選択した化合物の可能な抗血管形成作用を評価するための簡単な方法である。簡単に説明すると、液状マトリゲル(べクトン・ディッキンソン、NJ)を、25ゲージ針を用いて、動物の腹部中腺近辺または背側隣接位置に皮下注射する。8.3nM塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF、コラボラティブ・バイオメディカル・プロダクツ、MA)を添加した成長因子−還元マトリゲルは、4℃で液状形態に留まる。bFGFは証明された血管形成の強力な誘発因子である。マウスは注射した場合(0.5ml/マウス)、マトリゲルは直ちに容易に回収し得る固体ゲルを形成し、これを様々な時点で取出し(10日を超えない)、ゲル周辺およびゲル内の新生血管成長を評価する。試験化合物は適切な用量とスケジュールに従って投与する。一般には、5日の時点でマウスを犠牲とし、上皮を除き、ゲルを切り出して、支持のために内側を被う腹膜は保持する。血管形成の定量のために、2つの方法を採用する;1.ドラブキン法(Drabkin and Austin, J. Biol. Chem. (1932) 98:719)およびドラブキン試薬キット525(シグマ、MO)によりゲル中のヘモグロビン含量を測定する;2.ゲルを固定化し、パラフィン中に埋め込み、切片とし、染色した後、マトリゲル中に侵入した血管の数を顕微鏡の分析によって決定する。
【0294】
iv)免疫組織化学
試験化合物の抗癌効果は、マウス異種移植モデル(上記)において、腫瘍の成長、分化、アポトーシスおよび血管形成に対するこれら化合物の効果を、免疫組織化学的方法を用いて定量することにより評価し得る。
【0295】
腫瘍細胞の増殖、血管形成および腫瘍免疫浸潤は、特異抗体(増殖についてはKi-67、血管形成についてはCD31およびNK細胞についてはNK1.1、またマクロファージについてはF4/80)を用いて、免疫組織化学的に描写する。アポトーシスはTUNELアッセイ法(インシチュー細胞死検出キット;ベーリンガー・マンハイム、ラバル、QC)を利用して描出する。シグナル生成は、ペルオキシダーゼ触媒により酵素産物を生成させ、これを顕微鏡下に可視化することにより実施する。組織についての組織学は、別の切片をH&E染色して判定する。
【0296】
簡単に説明すると、処置したマウスから腫瘍異種移植片を単離し、固定化し、それぞれをパラフィンに埋め込みブロックとし、数個の5μm切片を免疫染色およびTUNELアッセイ用にカットする。もう一つの切片はH&E染色用に得る。すべて免疫組織学的に標識するために、事前抗原検索を採用し、検出を改善する。一般的には、3工程の増幅方法を用いて免疫組織化学的にシグナルを生成させる;当該方法は本質的に一次抗体を認識するビオチニル化二次抗体を使用し、次いでアビジン−ペルオキシダーゼとインキュベーションすることからなる。最終工程は安定なDAB溶液中での酵素反応である。免疫組織化学的切片は、組織学用のヘマトキシリンで対比染色する。マウス組織に適用したマウスモノクローナル抗体による非特異的免疫染色を除去するために、特異的なブロッキングの工程をこの手法に含める。染色パターンは写真により記録し、少なくとも2人の独立した観察者がそれを審査し、予め定めた細胞数を計数することにより定量する。
【0297】
本明細書に引用したすべての特許、刊行物の開示は、公開特許出願およびデータベース事項を含め、その全体を同様の範囲で、参照により特に本明細書の一部とする;かかる個々の特許、刊行物、およびデータベースは、参照により本明細書の一部とするために、特に個別に示した。
【0298】
本明細書に記載された発明については、当該発明を多くの方法で変更することが可能であることは自明である。かかる変更は本発明の精神と範囲から逸脱するものとみなすべきではなく、当業者にとって自明のかかる改変は、すべて上記の請求項の範囲内のものとする。
【図面の簡単な説明】
【0299】
【図1】図1は種々の癌細胞株の増殖に対するインビトロでの化合物92の効果を描出する。
【図2】図2は種々の癌細胞株の増殖に対するインビトロでの化合物28の効果を描出する。
【図3】図3は種々の癌細胞株の増殖に対するインビトロでの化合物50の効果を描出する。
【図4】図4は種々の癌細胞株の増殖に対するインビトロでの化合物42の効果を描出する。
【図5】図5A−Cは種々の癌細胞株の増殖に対するインビトロでの化合物45の種々濃度の効果を異なる時間間隔で描出する。
【図6】図6A−Cは種々の癌細胞株の増殖に対するインビトロでの化合物45の種々濃度の効果を異なる時間間隔で描出する。
【図7】図7はLS513結腸癌細胞株の増殖に対するインビトロでの化合物83および99の効果を描出する。
【図8】図8はHT−29結腸腺癌細胞株の増殖に対するインビトロでの式(I)の化合物の効果を描出する。
【図9A】図9Aは癌細胞の増殖をインビトロで阻害する式(I)で示される化合物の能力を決定するために使用したNCI選抜に使用した癌細胞株の一部(A)を表す。
【図9B】図9Bは癌細胞の増殖をインビトロで阻害する式(I)で示される化合物の能力を決定するために使用したNCI選抜に使用した癌細胞株の他の一部(A)を表す。
【図9C】図9Cは癌細胞の増殖をインビトロで阻害する式(I)で示される化合物の能力を決定するために使用したNCI選抜に使用した癌細胞株のさらに他の一部(C)を表す。
【図10】図10Aは多数の癌細胞株に対する式(I)で示される種々化合物のAve平均およびMean平均GI50値を描出する;Bは癌細胞型による化合物45に対するAve平均GI50値を描出する;また、Cは癌細胞型による化合物45に対するAve平均完全発育阻害(TGI)を描出する。
【図11】図11は式(I)の化合物によるインビトロでのH460NSCLC細胞増殖の阻害を描出する。
【図12】図12は式(I)の化合物によるインビトロでのHT−29結腸癌細胞増殖の阻害を描出する。
【図13】図13は式(I)の化合物によるインビトロでのHT−29結腸癌細胞増殖の阻害を描出する。
【図14】図14はCD−1ヌードマウスにおけるインビボでのHT−29結腸腺癌細胞の成長に対する式(I)で示される化合物の効果を描出する。
【図15】図15はCD−1ヌードマウスにおける腫瘍の平均重量に対する式(I)で示される化合物の効果を描出する(マウス1群あたりの平均重量)。
【図16】図16はCD−1ヌードマウスにおける腫瘍の重量に対する式(I)で示される化合物の効果を描出する(個々の腫瘍重量)。
【図17】図17はCD−1ヌードマウスにおけるインビボでのHT−29結腸腺癌細胞の成長に対する式(I)で示される化合物の効果を描出する。
【図18】図18はCD−1ヌードマウスにおけるインビボでのHepG2肝臓癌細胞の成長に対する化合物45の効果を描出する;Aは腫瘍サイズ、Bは腫瘍重量を示す。
【図19】図19は種々のヒトキナーゼ活性に対する化合物45、33および90の効果を描出する。
【図20】図20はHT−29結腸癌細胞における化合物45の細胞下の位置を描出する(A、B);また、HT−29結腸癌細胞におけるドキソルビシンの(C)、A498腎臓癌細胞における化合物45の(D)、およびC8161黒色腫細胞における化合物45(E)の細胞下位置を描出する。
【図21】図21は化合物45またはドキソルビシンで処置したHT−29結腸癌細胞における液胞の形成を描出する。
【図22】図22はHT−29結腸癌細胞における細胞周期に対する化合物45の効果を描出する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において、新生細胞の成長または増殖を阻害する治療有効量の式(I):
【化1】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物の使用。
【請求項2】
哺乳動物の癌の処置において、それを必要とする場合の、治療有効量の式(I):
【化2】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物の使用。
【請求項3】
前記化合物が構造式:
【化3】

[ただし、式中、
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールもしくは置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロ環、または置換ヘテロアリールを形成する;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;また、
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、アシル、−CH−アリール、または−CH−へテロアリールである]
で示される化合物群から選択される化合物またはその塩である請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
前記化合物が式(III):
【化4】

[ただし、式中、
Ph1およびPh2は独立してフェニルおよび置換フェニルから選択される;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、またはアシルである]
で示される化合物またはその塩である請求項1または2記載の使用。
【請求項5】
前記化合物が構造式:
【化5】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
xはCR11またはNである;
yはCR12またはNである;
zはCR13またはNである;
rはCR14またはNである;
x’はCR15またはNである;
y’はCR16またはNである;
z’はCR17またはNである;
r’はCR18またはNである;
R10はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換へテロアリール、またはアシルである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
で示される化合物群から選択される化合物またはその塩である請求項1または2記載の使用。
【請求項6】
前記化合物が下記化合物群から選択されるものである請求項1または2記載の使用。
【化6】




























【請求項7】
前記新生細胞成長が固形腫瘍と関連するものである請求項1記載の使用。
【請求項8】
前記癌が固形腫瘍である請求項2記載の使用。
【請求項9】
前記新生細胞成長が、乳癌、中枢神茎系癌、子宮頚部癌、結腸癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、および白血病からなる群より選択される癌と関連する請求項1記載の使用。
【請求項10】
前記癌が、乳癌、中枢神茎系癌、子宮頚部癌、結腸癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、および白血病からなる群より選択される請求項2記載の使用。
【請求項11】
前記化合物が1種以上の抗癌剤と組合わせて投与するために製剤化したものである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記化合物が全身投与用に製剤化したものである請求項1ないし11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
下記構造式の化合物から選択される化合物:
【化7】


[ただし、式中、
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロ環、または置換ヘテロアリールを形成する;
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される]。
【請求項14】
構造式:
【化8】

[ただし、式中、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)から選択される;
xはCR11またはNである;
yはCR12またはNである;
zはCR13またはNである;
rはCR14またはNである;
x’はCR15またはNである;
y’はCR16またはNである;
z’はCR17またはNである;
r’はCR18またはNである;
R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、またはシアノから選択される]
で示される化合物から選択される化合物またはその塩。
【請求項15】
新生細胞の成長または増殖を阻害するための医薬の製造における式(I):
【化9】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物の使用。
【請求項16】
癌処置用の医薬の製造における式(I):
【化10】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物の使用。
【請求項17】
担体、希釈剤または賦形剤および有効量の式(I):
【化11】

[ただし、式中、
R1はアリール、置換アリール、ヘテロ環、置換へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロアリールまたはアミノである;
R2およびR3は独立してアリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールであるか、またはR2およびR3は、それらが結合する炭素原子と共にアリールまたは置換アリールを形成する;また、
R4は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、低級アルキニル、置換低級アルキニル、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アリールオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アリール、置換アリール、へテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、ヘテロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アルキルシクロへテロアルキル、ニトロ、シアノまたは−S(O)0−2R(ただし、Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロ環、ヘテロアリール、置換へテロ環、または置換へテロアリールである)である]
で示される化合物またはその塩を含有してなる抗癌組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図22】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2007−511504(P2007−511504A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539065(P2006−539065)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052433
【国際公開番号】WO2005/047266
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(505061919)ローラス セラピューティクス インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】