説明

アリールピペラジン誘導体およびその使用

式(式中、m、n、X、Y、Z、Ar、R、R、R、R、R、R、およびRは明細書に定義されたとおりある)で示される化合物または薬学的に許容されるその塩。また、医薬組成物、その化合物を使用する方法および製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【化1】


{式中、
mは、1〜3であり;
nは、0〜2であり;
Arは、場合により置換されていてもよいインドリル;場合により置換されていてもよいインダゾリル;場合により置換されていてもよいアザインドリル;場合により置換されていてもよいアザインダゾリル;場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリル;場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニル;場合により置換されていてもよいベンゾイミダゾリル;場合により置換されていてもよいベンゾオキサゾリル;場合により置換されていてもよいベンゾチアゾリル;場合により置換されていてもよいキノリニル;場合により置換されていてもよいイソキノリニル;場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、場合により置換されていてもよいフェニルであり;
X、YおよびZのうち一つはNであり且つ他はCRであるか、または、X、YおよびZはCR[式中、各々のRは、独立して水素またはRである]であり;
は、水素;C1−6アルキル;またはアミン保護基であり;
、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;または、Rは、R、RおよびRのうち一つならびにそれらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;または、RならびにRおよびRのうち一つは、それらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;
およびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;そして、
各々のRは、独立して、C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;ヒドロキシ;アミノ;C1−6アルキルアミノ;N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;ハロ;ハロ−C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルコキシ;ヘテロ−C1−6アルキル;C1−6アルキルスルホニル;C1−6アルキルスルファニル;シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−R[式中、
pおよびqは、各々独立して0または1であり、
AおよびBは、各々独立して−O−、−NH−または結合であり;そして、
は、C1−6アルキル;C1−6アルキルオキシ;ヒドロキシ;アミノ;C1−6アルキルアミノ;N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;ハロ−C1−6アルキル;ハロ−C1−6アルコキシ;またはヘテロ−C1−6アルキルである]
である}
で示されるアリール−およびヘテロアリール−置換ピペラジン化合物または薬学的に許容されるその塩に関するものである。
【0002】
本発明はさらに、式Iで示される同じアリール−およびへテロアリール−置換ピペラジン化合物を使用する方法に関するものである。特に本発明化合物は、モノアミン再取り込みインヒビターに関連する疾患の処置に有用である。
【0003】
モノアミンの欠乏は、抑うつ、抗不安およびその他の障害と長く結びつけられてきた(例えば、Charney et al., J. Clin. Psychiatry(1998)59, 1-14;Delgado et al., J. Clin. Psychiatry(2000)67, 7-11;Resser et al., Depress, Anxiety(2000)12(Suppl 1)2-19;およびHirschfeld et al., J. Clin. Psychiatry(2000)61, 4-6を参照されたい)。特に、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)およびノルエピネフリンは、気分調節において重要な役割を果たす主要な調節性神経伝達物質として認識されている。フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラムおよびエスシタロプラムといった選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)は、抑うつ障害の処置を提供している(Masand et al., Harv. Rev. Psychiatry(1999)7, 69-84)。レボキセチン、アトモキセチン、デシプラミンおよびノルトリプチリンといったノルアドレナリンまたはノルエピネフリン再取り込みインヒビターは、抑うつ、注意欠陥多動性障害の有効な処置を提供している(Scates et al., Ann. Pharmacother. (2000)34, 1302-1312;Tatsumi et al., Eur. J. Pharmacol. (1997)340, 249-258)。
【0004】
セロトニンおよびノルエピネフリン神経伝達の亢進は、セロトニンまたはノルエピネフリン単独の神経伝達の亢進に比較して、抑うつおよび抗不安障害の薬物療法において相乗的であることが認識されている(Thase et al., Br. J. Psychiatry (2001)178, 234, 241;Tran et al., J. Clin. Psychopharmacology (2003)23, 78-86)。セロトニンおよびノルエピネフリン両者の二重再取り込みインヒビター、例えばデュロキセチン、ミルナシプランおよびベンラファキシンが、抑うつおよび抗不安障害の処置のために現在開発中である(Mallinckrodt et al., J. Clin. Psychiatry (2003)5(1)19-28;Bymaster et al., Expert Opin. Investig. Drugs (2003)12(4)531-543)。セロトニンおよびノルエピネフリンの二重再取り込みインヒビターは、さらに、統合失調症およびその他の精神病、ジスキネジア、薬物嗜癖、認知障害、アルツハイマー病、強迫性行動、注意欠陥障害、パニック障害、社会恐怖、摂食障害、例えば肥満、食欲不振、過食症および「無茶食い」、ストレス、高血糖、高脂血症、インスリン非依存性糖尿病、発作性疾患、例えばてんかんの潜在的処置、ならびに卒中、脳損傷、脳虚血、頭部外傷および出血によって起こる神経損傷に関連する状態の処置を提供する。セロトニンおよびノルエピネフリンの二重再取り込みインヒビターは、さらに、尿路の障害および病態、ならびに疼痛および炎症の潜在的処置を提供する。
【0005】
最近になって、ノルエピネフリン、セロトニン、およびドパミンの再取り込みを阻害する「三重再取り込み」インヒビター(「広域抗うつ薬」)が、うつ病の処置およびその他のCNS適応に有用であると認識された(Beer et al., J. Clinical Pharmacology(2004) 44:1360-1367;Skolnick et al., Eur J Pharmacol. (2003) Feb 14;461(2-3):99-104)。
【0006】
したがって、セロトニン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ドパミン再取り込みインヒビター、ならびに/あるいはセロトニン、ノルエピネフリンおよび/またはドパミンの二重再取り込みインヒビター、あるいはノルエピネフリン、セロトニン、およびドパミンの三重再取り込みインヒビターとして有効な化合物、ならびに係る化合物の製造方法、ならびに抑うつ、抗不安、尿生殖器、疼痛、およびその他の障害の処置における係る化合物の使用方法に対する必要性がある。本発明はこの必要性を満足させる。
【0007】
本発明の一つの側面は、式I:
【化2】


{式中、
mは、1〜3であり;
nは、0〜2であり;
Arは、場合により置換されていてもよいインドリル;
場合により置換されていてもよいインダゾリル;
場合により置換されていてもよいアザインドリル;
場合により置換されていてもよいアザインダゾリル;
場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニル;
場合により置換されていてもよいベンゾイミダゾリル;
場合により置換されていてもよいベンゾオキサゾリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチアゾリル;
場合により置換されていてもよいキノリニル;
場合により置換されていてもよいイソキノリニル;
場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、
場合により置換されていてもよいフェニルであり;
X、YおよびZのうち一つはNであり且つ他はCRであるか、またはX、YおよびZはCR[式中、各々のRは、独立して水素またはRである]であり;
は、水素;C1−6アルキル;またはアミン保護基であり;
、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;
または、Rは、R、RおよびRのうち一つならびにそれらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;
または、RならびにRおよびRのうち一つは、それらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;
およびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;そして、
各々のRは独立して、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
1−6アルキルスルホニル;
1−6アルキルスルファニル;
シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−R[式中、
pおよびqは、各々独立して、0または1であり;
AおよびBは、各々独立して、−O−、−NH−または結合であり;そして、
は、C1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;または、
ヘテロ−C1−6アルキルである]
である}
で示される化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0008】
さらに本発明は、医薬組成物、前記化合物を使用する方法および製造する方法を提供する。
【0009】
特に明記のない限り、明細書および請求項を含む本出願で使用される以下の用語は、下記の定義を有する。明細書および付記する請求項で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそれに反する旨を記載していない限り、複数の指示対象を包含するという事に留意せねばならない。
【0010】
「アゴニスト」は、他の化合物またはレセプター部位の活性を増強する化合物を指す。
【0011】
「アルキル」は、1〜12個の炭素原子を有する、炭素および水素原子のみから成る一価直線状または分岐飽和炭化水素部分を意味する。「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、即ちC−Cアルキルを指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、オクチル、ドデシル等を包含するがこれらに限定される訳ではない。「分岐アルキル」は、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチルを意味する。
【0012】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子を有する直線状飽和二価炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する分岐飽和二価炭化水素基、例えばメチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を意味する。
【0013】
「アルコキシ」は、式:−OR[式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル部分である]で示される部分を意味する。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ等を包含するが、これらに限定される訳ではない。
【0014】
「アルコキシアルキル」は、式:−R'−R”[式中、R'はアルキレンであり、そしてR”は本明細書に定義されるアルコキシである]で示される部分を意味する。例としてのアルコキシアルキル基には、例として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル、および1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルがある。
【0015】
「アルキルカルボニル」は、式:−C(O)−R[式中、R'は本明細書に定義されるアルキルである]で示される部分を意味する。
【0016】
「アルキルスルホニル」は、式:−SO−R'[式中、R'は本明細書に定義されるアルキルである]で示される部分を意味する。
【0017】
「アルキルスルホニルアルキル」は、式:−R−SO−R[式中、Rはアルキルであり、そしてRは本明細書に定義されるアルキレンである]で示される部分を意味する。例としてのアルキルスルホニルアルキル基には、例として、3−メタンスルホニルプロピル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホニルプロピル等がある。
【0018】
「アルキルスルホニルオキシ」は、式:R−SO−O−[式中、Rは本明細書に定義されるアルキルである]で示される部分を意味する。
【0019】
「アンタゴニスト」は、他の化合物またはレセプター部位の作用を低下させるかまたは妨げる化合物を指す。
【0020】
「アリール」は、単環、二環または三環式芳香環より成る一価環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、場合により本明細書に定義されるように置換されていてもよい。アリール部分の例には、場合により置換されていてもよい、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル等があり、これらの部分的に水素化された誘導体も包含するが、それらに限定されない。
【0021】
「アリールオキシ」は、式:−OR[式中、Rは本明細書に定義されるアリール部分である]で示される部分を意味する。
【0022】
互換的に使用され得る「アリールアルキル」および「アラルキル」は、基:−R[式中、Rはアルキレン基であり、そしてRは、本明細書に定義されるアリール基である]を意味し、例えば、ベンジル、フェニルエチル、3−(3−クロロフェニル)−2−メチルペンチル等のフェニルアルキルが、アリールアルキルの例である。
【0023】
「アラルコキシ」は、式:−OR[式中、Rは本明細書に定義されるアラルキル部分である]で示される部分を意味する。
【0024】
「アザインドール」は、式:
【化3】


[式中、X、X、XおよびXのうち任意の1または2個はN(アザ)であり、他は炭素である]
で示される基を意味する。「アザインドール」は、本明細書でヘテロアリールについて定義されているように、場合により、1、2および3位、ならびに窒素ではない4〜7位のうち任意の位置で置換されていてもよい。したがって「アザインドール」は、上の式[式中、XおよびXはNである]で示される「ピロロピリミジン」;上の式[式中、XおよびXはNである]で示される「ピロロピリミジン」;上の式[式中、XおよびXはNである]で示される「ピロロピラジン」;上の式[式中、XはNである]で示される「ピロロピリジン」;上の式[式中、XはNである]で示される「ピロロピリジン」;上の式[式中、XはNである]で示される「ピロロピリジン」;および上の式[式中、XはNである]で示される「ピロロピリジン」を包含する。
【0025】
「アザインダゾール」は、式:
【化4】


[式中、X、X、XおよびXのうち任意の1または2個はN(アザ)であり、他は炭素である]
で示される基を意味する。「アザインダゾール」は、本明細書でヘテロアリールについて定義されているように、場合により、1、2および3位、ならびに窒素ではない4〜7位のうち任意の位置で置換されていてもよい。したがって「アザインダゾール」は、上の式[式中、XおよびXはNである]で示される「ピラゾロピリミジン」;上の式[式中、XおよびXはNである]で示される「ピラゾロピリミジン」;上の式[式中、XおよびXはNである]で示される「ピラゾロピラジン」;上の式[式中、XはNである]で示される「ピラゾロピリジン」;上の式[式中、XはNである]で示される「ピラゾロピリジン」;上の式[式中、XはNである]で示される「ピラゾロピリジン」;および上の式[式中、XはNである]で示される「ピラゾロピリジン」を包含する。
【0026】
「シアノアルキル」は、式:−R'−R”[式中、R'は本明細書に定義されるアルキレンであり、そしてR”は、シアノまたはニトリルである]で示される部分を意味する。
【0027】
「シクロアルキル」は、単環または二環式環より成る一価飽和炭素環式部分を意味する。シクロアルキルは場合により、1以上の置換基で置換されていてもよく、ここで、特に記載の無い限り、各々の置換基は独立して、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。シクロアルキル部分の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等があり、それらの部分不飽和誘導体も包含するが、これらに限定されない。
【0028】
互換的に使用され得る「シクロアルキルオキシ」および「シクロアルコキシ」は、式:−OR[式中、Rは本明細書に定義されるシクロアルキルである]で示される基を意味する。例としてのシクロアルキルオキシには、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等がある。
【0029】
「シクロアルキルアルキル」は、式:−R'−R”[式中、R'はアルキレンであり、そしてR”は、本明細書に定義されるシクロアルキルである]で示される部分を意味する。
【0030】
互換的に使用され得る「シクロアルキルアルキルオキシ」および「シクロアルキルアルコキシ」は、式:−OR[式中、Rは本明細書に定義されるシクロアルキルアルキルである]で示される基を意味する。例としてのシクロアルキルアルキルオキシには、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシ等がある。
【0031】
「ヘテロアルキル」は、分岐C−Cアルキルを含む、本明細書に定義されるアルキル基を意味し、ここで、このヘテロアルキル基の結合点が炭素原子を介しているという了解の下に、1、2または3個の水素原子は、−OR、−NR、および−S(O)[式中、nは、0〜2の整数である]より成る群から独立して選ばれる置換基に置き換わっており、Rは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;RおよびRは、互いに独立して、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;そして、nが0である時、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり、そしてnが1または2である時、Rは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。代表例には、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等があるが、これらに限定される訳ではない。
【0032】
「ヘテロアリール」は、このヘテロアリール基の結合点が芳香環上にあるという了解の下に、N、OまたはSから選ばれる1、2、または3個の環上ヘテロ原子を含み、残りの環上原子はCである、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環上原子を有する単環、二環または三環式基を意味する。ヘテロアリール環は、場合により本明細書に定義されるように置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例には、場合により置換されていてもよい、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等があり、これらの部分的に水素化された誘導体も包含するが、それらに限定される訳ではない。
【0033】
互換的に使用され得る「ヘテロアリールアルキル」および「ヘテロアラルキル」は、基:−R[式中、Rはアルキレン基であり、そしてRは、本明細書に定義されるヘテロアリール基である]を意味する。
【0034】
互換的に使用され得る「ハロ」および「ハロゲン」という語は、置換基フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
【0035】
「ハロアルキル」は、1以上の水素が同じまたは異なるハロゲンに置き換わっている、本明細書に定義されるアルキルを意味する。例としてのハロアルキルには、−CHCl、−CHCF、−CHCCl、ペルフルオロアルキル(例えば−CF)等がある。
【0036】
「ハロアルコキシ」は、式:−OR[式中、Rは、本明細書に定義されるハロアルキル部分である]で示される部分を意味する。ハロアルコキシ部分の例には、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ等があるが、これらに限定されない。
【0037】
「ヒドロキシアルキル」はヘテロアルキルのサブセットを指し、特に、1個以上の、好ましくは1、2または3個のヒドロキシ基で置換されている、本明細書に定義されるアルキル部分を意味し、但し、同じ炭素原子が1個以上のヒドロキシ基を担持することはない。代表例には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルがあるが、これらに限定される訳ではない。
【0038】
「ヘテロシクロアミノ」は、少なくとも1個の環上原子がN、NHまたはN−アルキルであり、残りの環上原子がアルキレン基を形成している飽和環を意味する。
【0039】
「ヘテロシクリル」は、1、2、または3もしくは4個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄から選ばれる)を含む1〜3個の環より成る、一価飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は場合により、本明細書に定義されるように置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例には、場合により置換されていてもよい、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等があるが、これらに限定される訳ではない。
【0040】
「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」(インドール−1−イル、インドール−2−イルおよびインドール3−イルなどのインドリル、2,3−ジヒドロインドール−1−イル、2,3−ジヒドロインドール−2−イルおよび2,3−ジヒドロインドール−3−イルなどの2,3−ジヒドロインドリル、インダゾール−1−イル、インダゾール−2−イルおよびインダゾール−3−イルなどのインダゾリル、ベンゾイミダゾール−1−イルおよびベンゾイミダゾール−2−イルなどのベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェン−2−イルおよびベンゾチオフェン−3−イルなどのベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、チエニル、フラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびキノリニルを包含する)または「ヘテロシクリル」に関連して使用される場合の「場合により置換されていてもよい」は、場合により、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、ヘテロアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ベンジルオキシ、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アルキルスルホニルオキシ、場合により置換されていてもよいチエニル、場合により置換されていてもよいピラゾリル、場合により置換されていてもよいピリジニル、モルホリノカルボニル、−(CH−S(O);−(CH−NR;−(CH−C(=O)−NR;−(CH−C(=O)−C(=O)−NR;−(CH−SO−NR;−(CH−N(R)−C(=O)−R;−(CH−C(=O)−R;または−(CH−N(R)−SO−R[式中、qは、0または1であり、rは、0〜2であり、R、R、およびRは、各々独立して水素またはアルキルであり、そして各々のRは、独立して、水素、アルキル、ヒドロキシ、またはアルコキシである]から選ばれる1〜4個の置換基、好ましくは1または2個の置換基で、独立して置換されていてもよい、アリール、フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルを意味する。
【0041】
「脱離基」は、合成有機化学において通常それに付随している意義を有する基、即ち、置換反応条件下で置換され得る原子または基を意味する。脱離基の例には、ハロゲン、アルカン−またはアリーレンスルホニルオキシ、例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、およびチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されていてもよいベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシ等があるが、これらに限定される訳ではない。
【0042】
「調節因子」は、標的と相互作用する分子を意味する。この相互作用には、本明細書に定義されるアゴニスト、アンタゴニスト等があるが、これらに限定される訳ではない。
【0043】
「場合による」または「場合により」は、その後に記載される事象または状況が起こるかも知れないが起こらなければならない訳ではなく、その記載が、当該事象または状況が起こる事例および起こらない事例を包含することを意味する。
【0044】
「疾患」および「病態」は、任意の疾患、状態、症状、障害または適応性を意味する。
【0045】
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、その溶媒がそれと共に記載されている反応条件下で不活性であることを意味し、例えばベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンまたはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等を包含する。それに反する旨の記載がない限り、本発明の反応で使用される溶媒は不活性溶媒である。
【0046】
「薬学的に許容される」は、それが、一般的に安全、非毒性、且つ生物学的にもその他の点でも有害でない医薬組成物を製造する際に有用であることを意味し、獣医学的およびヒトの薬学的使用に許容できることを包含する。
【0047】
或る化合物の「薬学的に許容される塩」は、本明細書に定義される薬学的に許容される塩であって、親化合物の望ましい薬理活性を有する塩を意味する。そのような塩には、
塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸によって形成されるか;または、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸等の有機酸によって形成される酸付加塩;あるいは、
親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンに置き換わっているか;または、有機もしくは無機塩基に配位している場合に形成される塩、がある。許容される有機塩基には、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミン等がある。許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムがある。
【0048】
好ましい薬学的に許容される塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムから形成される塩である。
【0049】
当然の事ながら、薬学的に許容される塩に対する全ての言及は、本明細書に定義される、同じ酸付加塩の溶媒付加型(溶媒和物)または結晶型(多形)を包含する。
【0050】
「保護基(protective group)」または「保護基(protecting group)」は、合成化学において通常それに関係する意義において、化学反応が、別の非保護反応部位で選択的に行われるよう、多官能性化合物における一つの反応部位を選択的に遮断する基を意味する。本発明の或るプロセスは、反応体中に存在する反応性窒素および/または酸素原子を遮断する保護基に依拠している。例えば、用語「アミノ保護基」および「窒素保護基」は本明細書において互換的に使用され、合成操作の間、窒素原子を望ましくない反応から保護する意図を持つこれらの有機基を指す。例としての窒素保護基には、トリフルオロアセチル、アセトアミド、ベンジル(Bn)、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)等があるが、これらに限定される訳ではない。当業者は、容易な除去のため、および後の反応に耐える能力のために、基を如何にして選択したらよいかを知悉しているであろう。
【0051】
「溶媒和物」は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含む溶媒付加型を意味する。幾つかの化合物は、結晶性固体状態における一定のモル比の溶媒分子を捕捉する傾向があり、そのようにして溶媒和物を形成する。溶媒が水の場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールの場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1以上の水分子と、水がその物質中でHOとしてその分子状態を維持できる物質のうちの一つとの結びつきによって形成され、そのような結びつきは1以上の水和物を形成できる。
【0052】
「対象」は、哺乳動物または非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、哺乳綱の任意の成員を意味し、ヒト;ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジーおよびその他の類人猿ならびにサルの種;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタ;飼い慣らされた動物、例えばウサギ、イヌ、およびネコ;齧歯類、例えばラット、マウス、およびモルモットを包含する実験動物;等を包含するが、これらに限定される訳ではない。非哺乳類の例にはトリ等があるが、これに限定されない。「対象」という語は特定の年齢および性別を意味するものではない。
【0053】
セロトニン、ノルエピネフリンおよび/またはドパミン神経伝達に関連する「病態」は、抑うつおよび抗不安障害、ならびに統合失調症およびその他の精神病、ジスキネジア、薬物嗜癖、認知障害、アルツハイマー病、ADHDなどの注意欠陥障害、強迫性行動、パニック障害、社会恐怖、摂食障害、例えば肥満、食欲不振、過食症および「無茶食い」、ストレス、高血糖、高脂血症、インスリン非依存性糖尿病、発作性疾患、例えばてんかん、ならびに、卒中、脳損傷、脳虚血、頭部外傷、出血に起因する神経損傷に関連する状態、ならびに尿路の障害および病態の処置を包含する。セロトニン、ノルエピネフリンおよび/またはドパミン神経伝達に関連する「病態」はさらに、対象における炎症状態を包含する。本発明化合物は、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデスおよび若年性関節炎、変形性関節症、痛風性関節炎およびその他の関節炎状態を包含する(但しこれらに限定されない)関節炎の処置に有用である。
【0054】
本明細書で使用する「抑うつ」は、大うつ病、長期うつ病、気分変調、ならびに、悲哀感、絶望、落胆、「憂うつ(blues)」、メランコリー、低い自己評価感、罪悪感および自責感、人間同士の交流からの離脱、ならびに摂食および睡眠障害といった身体症状を特徴とする、憂うつな気分の精神状態を包含するが、これらに限定される訳ではない。
【0055】
本明細書で使用する「不安」は、現実でない、想像上の、または誇張された危険もしくは被害の予想に対する精神生理学的反応に関連する、不愉快または望ましくない感情状態、ならびに、身体的随伴症状、例えば心拍数増加、呼吸数変化、発汗、震え、虚弱および疲労、切迫した危険の感情、無力感、不安および緊張を包含するが、これらに限定される訳ではない。
【0056】
「尿路の症状」と互換的に使用される「尿路の障害」または「尿路疾患」は、尿路における病理学的変化を意味する。尿路障害の例には、緊張性失禁、切迫性失禁、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿筋過反射、排尿開口部閉塞、頻尿、夜間頻尿、尿意促迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、前立腺痛、膀胱炎、特発性膀胱過敏症等があるが、これらに限定されない。
【0057】
「尿路の症状」と互換的に使用される「尿路に関連する病態」または「尿路病態」または「尿路疾患」は、尿路における病理学的変化、または、異常な尿貯留もしくは排尿を引き起こす、膀胱平滑筋もしくはその神経支配の機能不全を意味する。尿路の症状には、過活動膀胱(排尿筋過活動とも言う)、排尿開口部閉塞、排尿開口部機能不全、および骨盤過敏症があるが、これらに限定されない。
【0058】
「過活動膀胱」または「排尿筋過活動」には、尿意促迫、頻尿、膀胱容量の変化、失禁、排尿閾値、不安定な膀胱収縮、括約筋痙縮、排尿筋過反射(神経因性膀胱)、排尿筋不安定等として症状が現れる変化があるが、これらに限定されない。
【0059】
「排尿開口部閉塞」には、良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄疾患、腫瘍、低流速、排尿開始困難、尿意促迫、恥骨上疼痛等があるが、これらに限定されない。
【0060】
「排尿開口部機能不全」には、尿道過可動性、内因性括約筋不全、混合型尿失禁、腹圧性尿失禁等があるが、これらに限定されない。
【0061】
「骨盤過敏症」には、骨盤痛、間質(細胞)性膀胱炎、前立腺痛、前立腺炎、外陰部痛、尿道炎、睾丸痛、過活動膀胱等があるが、これらに限定されない。
【0062】
「疼痛」は、特化した神経終末の刺激がもたらす、多少限局した不快、苦痛、または苦悩の感覚を意味する。電撃痛、幻肢痛、刺すような疼痛、急性疼痛、炎症痛、神経障害性疼痛、複合性局所疼痛、神経痛、神経障害等を包含する(但しこれらに限定されない)多くの型の疼痛がある(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, 28th Edition, W. B. Saunders Company, Philadelphia, PA)。疼痛処置の到達点は、処置対象が知覚する疼痛の重篤度を低下させることである。
【0063】
「神経障害性疼痛」は、機能障害および/または病理学的変化による疼痛ならびに末梢神経系の非炎症病変を意味する。神経障害性疼痛の例には、温熱性または機械的痛覚過敏、温熱性または機械的異痛症、糖尿病性疼痛、エントラップメント疼痛等があるが、これらに限定されない。
【0064】
「治療有効量」は、或る病態を処置するために対象に投与する時、そのような病態の処置を奏功させるに充分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、その化合物、処置される病態、処置される疾患の重篤度、対象の年齢および相対的健康状態、投与経路および投与形態、担当している医師または獣医師の判断、およびその他の因子に依存して変わる。
【0065】
「上に定義される」および「本明細書に定義される」という語は、可変対象を指す場合、言及によってその可変対象の最も広い定義、ならびに、もし存在するならば好ましい、より好ましい、および最も好ましい定義を包含する。
【0066】
病態を「処置する」または「処置」は、
(i)病態を予防する、即ち、当該病態に暴露され得るまたは罹患し易いが、その病態の症状を未だ経験していないまたは表出していない対象において、その病態の臨床症状を発現しないようにさせる、
(ii)病態を阻害する、即ち、当該病態またはその臨床症状の発現を阻む、または、
(iii)病態を軽減する、即ち、当該病態またはその臨床症状の一時的または永続的な後退を惹起する、
ことを包含する。
【0067】
化学反応に言及した場合の「処理する」、「接触させる」および「反応させる」という語は、2またはそれ以上の試薬を適当な条件下で添加または混合して、示されたおよび/または所望の生成物を生成することを意味する。示されたおよび/または所望の生成物を生成する反応は、最初に添加された二つの試薬の組み合わせによって直接もたらされる訳では必ずしもなく、即ち、その混合物中に生成される1以上の中間体があり、それが最終的に、示されたおよび/または所望の生成物の形成を導くことがある。
【0068】
一般に、本出願で使用される命名法は、AUTONOM(登録商標)v.4.0、IUPAC体系的命名法創出のためのBeilstein Instituteコンピューターシステムに基づいている。本明細書に示される化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作成された。本明細書に記載の構造において炭素、酸素または窒素原子上に出現するオープンな原子価は、水素原子の存在を示す。
【0069】
化学構造中にキラル炭素が存在する場合は常に、そのキラル炭素に関連する全ての立体異性体が当該構造に包含されることを意図している。
【0070】
本明細書中で特定される全ての特許および刊行物は、引用によりその全体を本明細書の一部とする。
【0071】
本発明は、式I:
【化5】


{式中、
mは、1〜3であり;
nは、0〜2であり;
Arは、
場合により置換されていてもよいインドリル;
場合により置換されていてもよいインダゾリル;
場合により置換されていてもよいアザインドリル;
場合により置換されていてもよいアザインダゾリル;
場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニル;
場合により置換されていてもよいベンゾイミダゾリル;
場合により置換されていてもよいベンゾオキサゾリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチアゾリル;
場合により置換されていてもよいキノリニル;
場合により置換されていてもよいイソキノリニル;
場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、
場合により置換されていてもよいフェニルであり;
X、YおよびZのうち一つはNであり且つ他はCRであるか、または、X、YおよびZはCR[式中、各々のRは、独立して水素またはRである]であり;
は、水素;C1−6アルキル;またはアミン保護基であり;
、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;または、
は、R、RおよびRのうち一つならびにそれらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;または、
ならびにRおよびRのうち一つは、それらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;
およびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;そして、
各々のRは、独立して、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
1−6アルキルスルホニル;
1−6アルキルスルファニル;
シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−R[式中、
pおよびqは、各々独立して0または1であり、
AおよびBは、各々独立して−O−、−NH−または結合であり;そして、
は、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;または、
ヘテロ−C1−6アルキルである]
である}
で示される化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0072】
或る態様では、本発明化合物は、式Iaまたは式Ib:
【化6】


[式中、m、n、X、Y、Z、Ar、R、R、R、R、R、RおよびRは本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0073】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、X、YおよびZはCRである。
【0074】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、mは1である。
【0075】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドリル;インダゾリル;アザインドリル;2,3−ジヒドロ−インドリル;ベンゾチオフェニル;キノリニル;イソキノリニル;ナフタレニル;またはフェニルである。
【0076】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、インドリル;インダゾリル;アザインドリル;アザインダゾリル;2,3−ジヒドロ−インドリル;ベンゾチオフェニル;キノリニル;またはイソキノリニルである。
【0077】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、場合により置換されていてもよいフェニルである。
【0078】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドリル;インダゾリル;アザインドリル;アザインダゾリル;または、2,3−ジヒドロ−インドリルである。
【0079】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインドリルである。
【0080】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインダゾリルである。
【0081】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいアザインドリルである。
【0082】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニルである。
【0083】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾイミダゾリルである。
【0084】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾオキサゾリルである。
【0085】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾチアゾリルである。
【0086】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいキノリニルである。
【0087】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいイソキノリニルである。
【0088】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいナフタレニルである。
【0089】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリルである。
【0090】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいアザインダゾリルである。
【0091】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいフェニルである。
【0092】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドール−4−イル、インドール−5−イルまたはインドール−6−イルである。
【0093】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドール−5−イルまたはインドール−6−イルである。
【0094】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインドール−5−イルである。
【0095】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインダゾール−5−イルである。
【0096】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾチオフェン−5−イルである。
【0097】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいナフタレン−2−イルである。
【0098】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいキノリン−6−イルである。
【0099】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいイソキノリン−6−イルである。
【0100】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルである。
【0101】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Arは、場合によりハロ、C1−6アルコキシまたはシアノで1回または2回置換されていてもよいフェニルである。
【0102】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、nは0である。
【0103】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、RおよびRは、水素である。
【0104】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、RおよびRは、水素である。
【0105】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、Rは水素である。
【0106】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、RおよびRは、水素である。
【0107】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素である。
【0108】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素であり、そしてmは1である。
【0109】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素であり、mは1であり、そしてX、YおよびZはCRである。
【0110】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素であり、mは1であり、X、YおよびZはCRであり、そして各々のRは水素である。
【0111】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素であり、mは1であり、X、YおよびZはCRであり、各々のRは水素であり、そしてnは0である。
【0112】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素であり、mは1であり、X、YおよびZはCRであり、各々のRは水素であり、nは0であり、そしてArは、場合により置換されていてもよいインドール−5−イルである。
【0113】
式I、IaまたはIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素であり、mは1であり、X、YおよびZはCRであり、各々のRは水素であり、nは0であり、そしてArは、場合により置換されていてもよいインダゾール−5−イルである。
【0114】
本発明の或る態様では、本化合物は、式II:
【化7】


[式中、
nは、0〜5であり;そして、
Ar、RおよびRは、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0115】
或る態様では、本発明化合物は、式IIaまたは式IIb:
【化8】


[式中、
nは、0〜5であり;そして、
Ar、RおよびRは本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0116】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドリル;インダゾリル;アザインドリル;2,3−ジヒドロ−インドリル;ベンゾチオフェニル;キノリニル;イソキノリニル;ナフタレニル;またはフェニルである。
【0117】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、インドリル;インダゾリル;アザインドリル;アザインダゾリル;2,3−ジヒドロ−インドリル;ベンゾチオフェニル;キノリニル;またはイソキノリニルである。
【0118】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、場合により置換されていてもよいフェニルである。
【0119】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドリル;インダゾリル;アザインドリル;アザインダゾリル;または、2,3−ジヒドロ−インドリルである。
【0120】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインドリルである。
【0121】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインダゾリルである。
【0122】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいアザインドリルである。
【0123】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニルである。
【0124】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾイミダゾリルである。
【0125】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾオキサゾリルである。
【0126】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾチアゾリルである。
【0127】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいキノリニルである。
【0128】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいイソキノリニルである。
【0129】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいナフタレニルである。
【0130】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリルである。
【0131】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいアザインダゾリルである。
【0132】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいフェニルである。
【0133】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドール−4−イル、インドール−5−イルまたはインドール−6−イルである。
【0134】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、各々場合により置換されていてもよい、インドール−5−イルまたはインドール−6−イルである。
【0135】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインドール−5−イルである。
【0136】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいインダゾール−5−イルである。
【0137】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいベンゾチオフェン−5−イルである。
【0138】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいナフタレン−2−イルである。
【0139】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいキノリン−6−イルである。
【0140】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいイソキノリン−6−イルである。
【0141】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Arは、場合により置換されていてもよいピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルである。
【0142】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、nは0である。
【0143】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Rは水素である。
【0144】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、R、R、RおよびRは、水素である。
【0145】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、R、R、R、R、RおよびRは、水素である。
【0146】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Rは水素であり、そしてnは0である。
【0147】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Rは水素であり、nは0であり、そしてArは、場合により置換されていてもよいインドール−5−イルである。
【0148】
式II、IIaまたはIIbで示される或る態様では、Rは水素であり、nは0であり、そしてArは、場合により置換されていてもよいインダゾール−5−イルである。
【0149】
本発明の或る態様では、本化合物は、式III:
【化9】


[式中、
nは、0〜5であり;
rは、0〜3であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
およびR10は、各々独立して、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
1−6アルキルスルホニル;
1−6アルキルスルファニル;
シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−Rであり;そして、
、R、p、q、A、BおよびRは、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0150】
或る態様では、本発明化合物は、式IIIaまたは式IIIb:
【化10】


[式中、n、Ar、RおよびRは、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0151】
本発明の或る態様では、本化合物は、式IV:
【化11】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0152】
或る態様では、本発明化合物は、式IVaまたは式IVb:
【化12】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0153】
本発明の或る態様では、本化合物は、式V:
【化13】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0154】
或る態様では、本発明化合物は、式Vaまたは式Vb:
【化14】


[式中、n、Ar、RおよびRは、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0155】
本発明の或る態様では、本化合物は、式VI:
【化15】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0156】
或る態様では、本発明化合物は、式VIaまたは式VIb:
【化16】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0157】
本発明の或る態様では、本化合物は、式VII:
【化17】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0158】
或る態様では、本発明化合物は、式VIIaまたは式VIIb:
【化18】


[式中、n、Ar、RおよびRは、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0159】
本発明の或る態様では、本化合物は、式VIII:
【化19】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0160】
或る態様では、本発明化合物は、式VIIIaまたは式VIIIb:
【化20】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、本明細書に定義のとおりである]
を有する。
【0161】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、Rは水素である。
【0162】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、Rは水素である。
【0163】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、Rは水素である。
【0164】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、RはC1−6アルキルである。
【0165】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、rは、0または1である。
【0166】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、rは、0または1であり、そしてR10は、ハロ、シアノまたはC1−6アルコキシである。
【0167】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、Rは、ハロ、シアノまたは−C(O)−NHである。
【0168】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、nは0である。
【0169】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、nは0であり、そしてRは水素である。
【0170】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、nは0であり、Rは水素であり、Rは水素であり、そしてRは水素である。
【0171】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、nは0であり、Rは水素であり、Rは水素であり、Rは水素であり、そしてrは0または1である。
【0172】
式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII、VIIa、VIIb、VIII、VIIIa、またはVIIIbのいずれかを有する或る態様では、nは0であり、Rは水素であり、Rは水素であり、Rは水素であり、rは0または1であり、そしてR10は、ハロ、C1−6アルコキシまたはシアノである。
【0173】
本明細書中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10またはRのいずれかがアルキルであるか、またはアルキル部分を含む時、そのようなアルキルは、好ましくは低級アルキル、即ちC−Cアルキル、より好ましくはC−Cアルキルである。
【0174】
本発明方法による代表的化合物を表1に示す。
【表1】













【0175】
本発明化合物は、下に示し説明する例示的合成反応スキームに示される様々な方法によって製造できる。
【0176】
これらの化合物の製造に使用される出発材料および試薬は一般に、商業的供給者、例えばAldrich Chemical Co.,から入手可能であるか、またはFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15;Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals;およびOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40のような文献に開示される方法に従い、当業者の知悉する方法によって製造される。以下の合成反応スキームは本発明化合物が合成され得る幾つかの方法の例に過ぎず、これらの合成反応スキームに対して種々の修飾を施すことが可能であり、また、本出願に含まれる内容を参照した当業者にそれらが示唆されるであろう。
【0177】
合成反応スキームの出発材料および中間体は所望により、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含む(但しこれらに限定される訳ではない)慣用技術を用いて単離精製できる。このような材料は、物理定数およびスペクトルデータを含む慣用手段を用いて特性決定できる。
【0178】
特にそれに反する旨の記載がない限り、本明細書に記載の反応は、好ましくは不活性雰囲気下に大気圧下で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の範囲の反応温度で、そして最も好ましく且つ簡便には、ほぼ室温(または周囲温度)、例えば約20℃で実施する。
【0179】
下のスキームAは、本発明化合物[式中、PGは保護基であり、そしてn、Ar、R、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書に定義のとおりである]の製造に使用可能な1つの合成手順を説明するものである。
【0180】
【化21】

【0181】
スキームAにおいて、アラルキルピペラジン化合物を、トリアルキルホスフィンまたはトリアリールホスフィンと共にPdCl[(o−Tol)P]またはPd(OAc)などのパラジウム触媒を用いて、アリールブロミド化合物とのブッフバルド反応に付し、アリールピペラジン化合物を得る。化合物は、例えばブロモインドール、ブロモインダゾール、ブロモベンゾチオフェン、ブロモキノリン、ブロモイソキノリン、ブロモナフタレン、ブロモフェニル等を含み得る。
【0182】
工程2では、アリールピペラジン化合物を脱保護して化合物を得てもよい。化合物およびは、本発明による式Iの化合物である。
【0183】
或る態様では、さらなる工程(示されていない)を実施してピペラジン化合物の遊離第二アミンをアルキル化し、Rがアルキルである式Iの化合物を得てもよい。
【0184】
スキームAの手順に関して数多くの変法が可能であり、それらは当業者には極めて明白である。本発明化合物を製造するための具体的な詳細を下記の実施例の項に記載する。
【0185】
本発明化合物は、セロトニン神経伝達、ノルエピネフリン神経伝達および/またはドパミン神経伝達に関連する疾患または状態の処置に使用できる。このような疾患および状態には、抑うつおよび抗不安障害、ならびに統合失調症およびその他の精神病、ジスキネジア、薬物嗜癖、認知障害、アルツハイマー病、ADHDなどの注意欠陥障害、強迫性行動、パニック障害、社会恐怖、摂食障害、例えば肥満、食欲不振、過食症および「無茶食い」、ストレス、高血糖、高脂血症、インスリン非依存性糖尿病、発作性疾患、例えばてんかん、ならびに、卒中、脳損傷、脳虚血、頭部外傷および出血によって生ずる神経学的損傷に関連する状態の処置がある。
【0186】
本発明化合物はさらに、尿路の障害および病態、例えば緊張性失禁、切迫性失禁、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎、排尿筋過反射、排尿開口部閉塞、頻尿、夜間頻尿、尿意促迫、過活動膀胱、骨盤過敏症、尿道炎、前立腺痛、膀胱炎、特発性膀胱過敏症の処置に使用できる。
【0187】
本発明化合物はさらに、インビボで抗炎症および/または鎮痛性を有し、したがって、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛、内臓痛、歯痛、月経前疼痛、中心性疼痛、火傷による疼痛、片頭痛または群発頭痛、神経損傷、神経炎、神経痛、中毒、虚血性障害、間質性膀胱炎、癌の疼痛、ウイルス、寄生虫または細菌感染、外傷後障害(骨折およびスポーツ障害を含む)、および、過敏性腸症候群などの機能性腸障害に関連する疼痛、を包含する(但しこれらに限定される訳ではない)多岐にわたる原因による疼痛状態に関連する病態の処置に用途を見いだせると期待できる。
【0188】
本発明化合物はさらに、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身エリテマトーデスおよび若年性関節炎を包含する(但しこれらに限定されない)関節炎、変形性関節症、痛風性関節炎およびその他の関節炎状態の処置に有用である。
【0189】
本発明は、少なくとも一つの本発明化合物、あるいはその個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、少なくとも一つの薬学的に許容される担体、ならびに場合によりその他の治療的および/または予防的成分と共に含む医薬組成物を包含する。
【0190】
一般に、本発明化合物は、類似の用途を提供する物質の容認された任意の投与様式により、治療有効量で投与される。好適な用量範囲は、処置される疾患の重篤度、対象の年齢および相対的健康状態、使用される化合物の力価、投与経路および形態、投与が目指す適応、ならびに関わっている医師の好みおよび経験といった数多くの因子に依存し、典型的には一日に1〜500mg、好ましくは一日に1〜100mg、そして最も好ましくは一日に1〜30mgである。このような疾患の処置の分野における通常の知識を有する者は、過度の実験を行うことなく、個人の知識および本出願内容に依拠して、与えられた疾患のための本発明化合物の治療有効量を確認できるであろう。
【0191】
本発明化合物は、経口(バッカルおよび舌下を包含する)、直腸内、鼻内、局所、肺内、腟内、または非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下および静脈内を包含する)投与に適した形態、または吸入もしくは吹送による投与に適した形態を包含する剤型で投与できる。好ましい投与様式は一般に、都合の良い毎日の投与レジメンを用いた経口投与であり、それは罹患程度に従って調節できる。
【0192】
1以上の慣用の佐剤、担体、または希釈剤と合した本発明化合物または化合物群を、医薬組成物および単位投薬形態の形とすることができる。この医薬組成物および単位投薬形態は、さらなる活性化合物または成分を伴うまたは伴わない、慣用的な比率の慣用成分を含み、そして単位投薬形態は、使用を意図する日用量範囲に応じた適切な有効量の活性成分を含有できる。医薬組成物は、固体、例えば錠剤もしくは充填カプセル剤、半固体、散剤、持続放出製剤、または液体、例えば液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤もしくは経口用充填カプセル剤;または、直腸もしくは膣投与のための坐剤の形態;または、非経口使用のための無菌注射溶液の形態として使用できる。したがって、錠剤あたり活性成分約1ミリグラム、またはより広範に約0.01〜約100ミリグラムを含有する製剤が、好適な代表的単位投薬形態である。
【0193】
本発明化合物は多岐にわたる経口投与剤型に製剤化することができる。医薬組成物および剤型は、本発明化合物もしくは化合物群またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含み得る。薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかとすることができる。固体形態の調製物は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、および分散性顆粒を包含する。固体担体は、希釈剤、香料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても働き得る1以上の物質であってよい。散剤において、担体は一般に、微粉化した活性成分との混合物である微粉化した固体である。錠剤においては、一般に活性成分を、必要な結合能を有する担体と、適当な比率で混合し、所望の形状およびサイズに圧縮する。散剤および錠剤は、好ましくは約1〜約70パーセントの活性化合物を含有する。好適な担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオ脂等があるが、これらに限定される訳ではない。「調製物」という語は、担体を伴うまたは伴わない活性成分がそれに関係している担体に取り囲まれているカプセルを提供する、担体としてカプセル化材料を伴う活性化合物の調合物を包含することを意図している。同様に、カシェ剤およびトローチ剤(lozenge)が包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびトローチ剤(lozenge)は、固体形態として経口投与に好適となり得る。
【0194】
経口投与に好適なその他の形態には、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を包含する液体形態調製物、または、使用直前に液体形態調製物へと変換することを意図している固体形態調製物がある。乳剤は、溶液、例えばプロピレングリコール水溶液として製造でき、または、乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレアート、またはアラビアゴムを含有できる。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、適当な着色料、香料、安定剤、および増粘剤を添加することによって製造できる。水性懸濁剤は、粘着性材料、例えば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびその他の周知の懸濁化剤を添加した水に、微粉化した活性成分を分散させることによって製造できる。固体形態調製物には、液剤、懸濁剤、および乳剤があり、活性成分に加えて着色料、香料、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有し得る。
【0195】
本発明化合物は非経口投与用(例えば、注射、例えばボーラス注射または持続注入による)に調合でき、アンプル、充填済みシリンジ、少量輸液の単位投薬形態で、または保存剤を添加した多用量容器で提供できる。この組成物は、油性または水性媒質中の懸濁剤、液剤、または乳剤、例えば水性ポリエチレングリコール溶液といった形態をとることができる。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒または媒質の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、および注射用有機エステル(例えばオレイン酸エチル)があり、保存剤、湿潤剤、乳化剤もしくは懸濁化剤、安定剤および/または分散剤といった製剤用物質を含有させることができる。或いは、活性成分は、無菌固体の無菌的単離により得られる、または、適当な媒質、例えば無菌の発熱性物質不含水で使用前に構成するための、溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態であってもよい。
【0196】
本発明化合物は、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤として、または経皮パッチとして、上皮に局所適用するために製剤化できる。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、適当な増粘剤および/またはゲル化剤を添加した水性または油性基剤によって製剤化できる。ローション剤は、水性または油性基剤によって製剤化でき、一般に1以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色料をも含有する。口への局所投与に好適な製剤には、風味付き基剤、通常は蔗糖およびアラビアゴムまたはトラガカント中に活性物質を含むトローチ剤(lozenge);不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたは蔗糖およびアラビアゴム中に活性成分を含むトローチ剤(pastille);ならびに適当な液体担体中に活性成分を含む洗口剤がある。
【0197】
本発明化合物は、坐剤として投与するために製剤化できる。まず低融点ロウ、例えば脂肪酸グリセリド混合物またはカカオ脂を融解し、活性成分を例えば撹拌によって均一に分散させる。次に、融解させた均一な混合物を都合の良いサイズの鋳型に注ぎ、放冷し、固化させる。
【0198】
本発明化合物は、膣投与のために製剤化できる。活性成分に加えて当分野で公知の担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡剤またはスプレー剤が適当である。
【0199】
本化合物は鼻内投与のために製剤化できる。液剤または懸濁剤を、例えば点鼻器、ピペットまたはスプレーを用いる慣用手段によって鼻腔に直接適用する。この製剤は単回投与型または複数回投与型で提供され得る。点鼻器またはピペットである後者の場合、これは、前もって定められた適切な体積の溶液または懸濁液を患者が投与することによって達成され得る。スプレーの場合、これは、例えば定量噴霧スプレーポンプによって達成できる。
【0200】
本発明化合物は、特に気道への、そして鼻内投与を包含する、エアロゾル投与のために製剤化できる。本化合物は一般に例えばおよそ5ミクロンまたはそれ以下の小さな粒子径を有する。このような粒子径は、当分野で公知の手段、例えば微粉化によって達成できる。活性成分は、適当な推進剤、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素またはその他の適当な気体と共に加圧パックに入れて提供される。エアロゾルはさらに、レシチンのような界面活性剤を含有するのが好都合となり得る。薬物の用量は定量バルブによって調節できる。或いは活性成分は、乾燥粉末、例えば適当な粉末基剤、例えば乳糖、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリジン(PVP)に入れた本化合物の粉末混合物の形態で提供できる。この粉末担体は鼻腔内でゲルを形成する。この粉末組成物は、例えば、当該粉末がそこから吸入器によって投与される、ゼラチンもしくはブリスターパックのカプセルまたはカートリッジに入った単位投薬形態で提供され得る。
【0201】
所望により、活性成分の持続または制御放出投与に適合させた腸溶被覆を施した製剤を製造できる。例えば、本発明化合物を経皮または皮下薬物デリバリー器具に入れて製剤化することができる。これらのデリバリーシステムは、当該化合物の持続放出が必要な場合、そして処置レジメンに対する患者のコンプライアンスが不可欠である場合に有利である。経皮デリバリーシステム中の化合物はしばしば皮膚粘着性固体支持体に付着させる。目的化合物はまた、浸透促進剤、例えばAzone(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と合することもできる。持続放出デリバリーシステムは、手術または注射によって皮下層内部に皮下挿入する。この皮下インプラントは、脂溶性膜、例えばシリコーンゴム、または生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸中に当該化合物を内包している。
【0202】
この薬学的調製物は、好ましくは単位投薬形態である。このような形態において、この調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分化されている。単位投薬形態は、パッケージ化された調製物、別個の量の調製物が入ったパッケージ、例えばパケット化された錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の粉末であってよい。さらに、単位投薬形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはトローチ剤(lozenge)自身であってよく、または、パッケージ化された適当な数の、これら任意のものであってもよい。
【0203】
その他の好適な薬学的担体およびそれらの製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, E. W. Martin編, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明化合物を含有する代表的な医薬製剤を下に記載する。
【0204】
実施例
下記の調製例及び実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施できるために示されている。これらは、本発明の範囲を制限すると考えられるべきではなく、本発明の例示及び代表例としてのみ考えられるべきである。下記の略語を実施例において使用することがある。
【0205】
DCM ジクロロメタン/塩化メチレン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
tBuOH tert−ブタノール
gc ガスクロマトグラフィー
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
hplc 高速液体クロマトグラフィー
mCPBA m−クロロ過安息香酸
MeCN アセトニトリル
NMP N−メチルピロリジノン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
LDA リチウムジイソプロピルアミン
LHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0206】
実施例1
5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール
この実施例の合成手順を、以下のスキームCに概説する。
【0207】
【化22】

【0208】
工程1 5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール
THF 130mL中の5−ブロモ−インドール(5.12g、26.1mmol)の撹拌溶液に、−78℃で、LHMDS(28.7mL、THF中1.0M、28.7mmol)を滴下した。添加の間、内部温度を−60℃より低く維持した。冷却浴を取り外し、撹拌溶液を室温に温めた。6時間後、水を加え、混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルで抽出し、HO及びブラインで洗浄した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中0〜5%EtOAc)により精製して、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール(7.56g、98%)を無色の油状物として得た;MS (M+H) = 311.
【0209】
工程2 ベンジル−4−[1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール−5−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ねじ蓋管内のキシレン(7.0mL)中のPd(OAc)(0.054g、0.2mmol)、NaOtBu(0.64g、6.6mmol)の混合物に、tBuP(0.049g、0.2mmol)を加えた。10分後、キシレン(7.0mL)中の5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール(1.30g、4.4mmol)の溶液及びキシレン(8.0mL)中の3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.34g、4.8mmol)の溶液を加えた。混合物を80℃に30分間加熱し、次に室温に冷却した。反応混合物を酢酸エチルに取り、セライトパッドで濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中2%〜20%EtOAc)により精製して、3−ベンジル−4−[1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール−5−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.65g、74%)を淡黄色の固体として得た;MS (M+H) = 506.
【0210】
工程3 3−ベンジル−4−(1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF 20mL中の3−ベンジル−4−[1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール−5−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.61g、3.2mmol)の撹拌溶液に、0℃で、TBAF(3.5mL、THF中1.0M、3.5mmol)を加えた。15分後、水を加えて溶液をクエンチし、減圧下で濃縮し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中5%〜40%EtOAc)により精製して、3−ベンジル−4−(1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.17g、93%)を白色の泡状物として得た;MS (M+H) = 392.
【0211】
工程4 5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール
塩化メチレン10mL中の3−ベンジル−4−(1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.309g、0.8mmol)の撹拌溶液に、0℃で、TFA(16.5g、80mmol)を加えた。冷却浴を取り外し、溶液を16時間撹拌し、次に減圧下で濃縮し、飽和NaHCOを加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗ピペラジンを得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配:DCM中8%〜80%のDCM/MeOH/NHOH 60:10:1の混合物)により精製して、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール(0.17g、75%)を黄色の固体として得た;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 8.14 (bs, 1H), 7.36 (dt, J = 8.7, 0.7 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.26-7.03 (m, 7H), 6.51-6.49 (m, 1H), 3.6 (ddd, J = 10.5, 8.2, 3.4 Hz, 1H), 3.26-2.94 (m, 6H), 2.86-2.71 (m, 2H), 2.67 (dd, J = 13.1, 3.4 Hz, 1H); MS (M+H) = 292.
【0212】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、ブロモ−3,4−ジクロロベンゼン(0.42g、1.8mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、2−ベンジル−1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジン(0.17g)を油状物として調製した;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 7.33-7.26 (m, 3H), 7.23-7.11 (m, 3H), 6.97 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 6.78 (dd, J = 9.0, 2.9 Hz, 1H), 3.84-3.76 (m, 1H), 3.27-3.07 (m, 4H), 2.97-2.90 (m, 1H), 2.84 (ddd, J = 12.2, 3.7, 1.1 Hz, 1H) ), 2.60 (dd, J = 13.1, 3.4 Hz, 1H), 1.55 (bs, 1H); MS (M+H) = 322.
【0213】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、ブロモベンゼン(0.37g、2.4mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、2−ベンジル−1−フェニル−ピペラジン(0.26g)を油状物として得た;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 7.34-7.21 (m, 4H), 7.11-7.20 (m, 3H), 7.0-6.96 (m, 2H), 6.90-6.83 (m, 1H), 3.91-3.83 (m, 1H), 3.33-3.23 (m, 1H), 3.20-2.83 (m, 6H), 2.61 (dd, J = 13.0, 3.2 Hz), 1.72 (bs, 1H); MS (M+H) = 353.
【0214】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、5−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン(0.36g、1.7mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、1−ベンゾ[b]チオフェン−5−イル−2−ベンジル−ピペラジン(0.32g)を泡状物として得た;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 7.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.27-7.01 (m, 3H), 7.20-7.07 (m, 4H), 3.90-3.81 (m, 1H), 3.26-3.13 (m, 3H), 3.07-2.87 (m, 4H), 2.61 (dd, J = 13.0, 3.1 Hz, 1H), 1.70 (bs, 1H); MS (M+H) = 309.
【0215】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1.64g、8.3mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(0.14g)を淡黄色の固体として調製した;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 9.74 (bs, 1H), 8.26 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.33 (d, J= 3.5 Hz, 1H), 7.26-7.10 (m, 3H), 7.07-7.03 (m, 2H), 6.46 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 3.64-3.54 (m, 1H), 3.27-2.97 (m, 5H), 2.86-2.73 (m, 2H), 2.65 (dd, J = 13.2, 3.5 Hz, 1H); MS (M+H) = 293.
【0216】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、5−ブロモ−7−フルオロ−1H−インドール(0.65g、3.1mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−7−フルオロ−1H−インドール(0.22g)を白色の固体として得た;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 8.33 (bs, 1H), 7.27-7.04 (m, 6H), 7.03 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.80 (dd, J = 13.5 Hz, 1.9 Hz, 1H), 3.64-3.56 (m, 1H), 3.25-2.80 (m, 7H), 2.66 (dd, J = 13.1, 3.2 Hz, 1H), 2.0 (bs, 1H); MS (M+H) = 310.
【0217】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、5−ブロモ−1H−インダゾール(1.03g、5.2mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インダゾール(0.18g)を白色の泡状物として調製した;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) ae 12.81 (bs, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.48 (d, J = 9.0 H, 1H), 7.31-7.20 (m, 3H), 7.28-7.04 (m, 4H), 3.77-3.67 (m, 1H), 3.31 (bs, 1H), 3.07-3.96 (m, 重複, 2H), 2.84-2.81 (m, 4H), 2.65 (dd, J = 12.3, 2.8 Hz, 1H), 2.36 (dd, J = 10.0, 3.0 Hz, 1H); MS (M+H) = 293.
【0218】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、4−ブロモ−1H−インドール(3.0g、15.3mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、4−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール(0.16)を白色の泡状物として得た;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 8.23 (bs, 1H), 7.21-7.07 (m, 6H), 7.00-6.93 (2H), 6.76 (dd, J = 6.7, 1.7 Hz, 1H), 6.62-6.57 (m, 1H), 4.03-3.91 (m, 1H), 3.54-3.41 (m, 1H), 3.23-3.03 (m, 4H), 2.95 (dd, J = 13.1, 11.0 Hz, 1H), 2.85 (dd, J = 13.1, 11.0, 1H), 2.64 (dd, J = 13.2, 3.1 Hz, 1H); MS (M+H) = 292.
【0219】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、6−ブロモ−1H−インドール(0.50g、25.5mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、6−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール(0.23g)を無色の泡状物として得た;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 8.05 (bs, 1h), 7.60 (d, J = 9.4, 1H), 7.26-7.20 (m, 3H), 7.19-7.06 (m, 3H), 7.03-6.97 (m, 2H), 6.51-6.49 (m, 1H), 3.81-3.71 (m, 1H), 3.29-3.11 (m, 3H), 3.10-2.83 (m, 3H), 2.65 (dd, J = 12.9, 2.9 Hz, 1H); MS (M+H) = 292.
【0220】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、5−ブロモ−1−メチル−1H−インドール(0.35g、1.7mmol、Soll, Richard M. Eur. J. Med. Chem. Chim Ther. 1990, 25, 191により記載のN−メチル化を用いて調製)に置き換えたことを除いては、同様にして、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1−メチル−1H−インドール(0.28g)を調製した。MS (M+H) = 306.
【0221】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、4−ブロモ−フェニル)−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.46g、1.6mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、[4−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−メチル−アミン(0.05g)を調製した;1H NMR (300, MHz, CDCl3) ae 7.24-7.13 (m, 3H), 7.06-6.99 (m, 4H), 6.65 (d, J = 8.7, 1H), 3.62-3.50 (m, 1H), 3.26-3.12 (m, 重複, 2H), 3.08 (dd, 重複, J = 12.5, 2.8 Hz, 1H), 2.91-2.73 (m, 重複, 2H), 2.83 (s, 重複, 3H), 2.51 (dd, J = 13.8, 10.8 Hz, 1H); MS (M+H) = 282.
【0222】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、1−ブロモ−4−メトキシ−ベンゼン(0.30g、1.6mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、2−ベンジル−1−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジンを調製した;1H NMR (300, MHz, DMSO-d6) ae 8.34 (bs, 1H), 7.43-7.36 (m, 2H), 7.35-7.13 (m, 3H), 7.07 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 6.93 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 3.90-3.80 (m, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.33-3.06 (m, 5H), 3.00-2.90 (m, 1H), 2.80 (dd, J = 15.4, 11.0 Hz, 1H), 2.53 (dd, J = 15.4, 3.5 Hz, 1H); MS (M+H) = 283.
【0223】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、6−ブロモ−キノリン(0.33g、1.6mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、6−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−キノリン(0.18g)を調製した;1H NMR (300, MHz, CDCl3) ae 8.81 (dd, J = 4.3, 1.6 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 8.07 (dd, J = 7.3, 1.6 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 9.2, 2.7 Hz, 1H), 7.40 ), 7.40 (dd, J = 8.2, 4.2 Hz, 1H), 7.30-7.11 (m, 6H), 4.24-4.13 (m, 1H), 3.65-2.94 (m, 3H), 3.33-3.20 (m, 3H), 3.13 (dd, J = 13.2, 11.0 Hz, 1H), 2.80 (dd, J = 9.9, 4.4 Hz, 1H); MS (M+H) = 304.
【0224】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、6−ブロモ−イソキノリン(0.33g、1.6mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、6−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−イソキノリン(0.30g)を調製した;1H NMR (300, MHz, CDCl3) ae 9.03 (s, 1H), 8.36 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 7.41-7.24 (m, 3H), 7.23-7.16 (m, 2H), 7.20 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 4.20-4.10 (m,, 1H), 3.60-3.51 (m, 1H), 3.40-3.18 (m, 3H), 3.06-2.90 (m, 3H), 2.67 (dd, J = 12.9, 4.0 Hz, 1H); MS (M+H) = 304.
【0225】
工程1及び3を省略し、工程2において、5−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールを、2−ブロモ−ナフタレン(0.34g、1.6mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、2−ベンジル−1−ナフタレン−2−イル−ピペラジン(0.14g)を調製した;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 7.79 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.74 (d, 重複, J = 8.7 Hz, 1H), 7.72 (d, 重複, J = 8.0 Hz, 1H), 7.44-7.24 (m, 6H), 7.21-7.12 (m, 3H), 4.06-3.96 (m, 1H), 3.43-3.20 (m, 3H), 3.13 (dd, J = 13.0, 10.9 Hz, 1H), 2.60 (dd, J = 13.0, 3.2 Hz, 1H); MS (M+H) = 303.
【0226】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、5−ブロモ−7−クロロ−1H−インドール(1.13g、4.9mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−7−クロロ−1H−インドール(0.10g)を調製した;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 8.25 (bs, 1H), 7.27-7.12 (m, 5H), 7.11-7.12 (m, 3H), 6.54 (dd, J = 3.1, 2.1, 1H), 3.64-3.05 (m, 1H), 3.24-2.94 (m, 5H), 2.89-2.77 (m, 2H), 2.65 (dd, J = 13.1, 3.1 Hz, 1H); MS (M+H) = 326.
【0227】
工程1において、5−ブロモ−1−1H−インドールを、5−ブロモ−7−メトキシ−1H−インドール(0.50g、2.20mmol)に置き換えたことを除いては、同様にして、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−7−メトキシ−1H−インドール(0.17g)を調製した;1H NMR (300 MHz, CDCl3) ae 8.28 (s, 1H), 7.25-7.19 (m, 2H), 7.18-7.11 (m, 2H), 7.09-7.04 (m, 2H), 6.93 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.55 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.48 (dd, J = 3.6, 1.8 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.63-3.54 (m, 1H), 3.27-2.98 (m, 5H), 2.88-2.67 (m, 3H); MS (M+H) = 322.
【0228】
実施例1の手順により調製したさらなる化合物を表1に示す。
【0229】
実施例2
5−(2−ベンジル−4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール
この実施例の合成手順を、以下のスキームDに概説する。
【0230】
【化23】

【0231】
THF 30mL中の3−ベンジル−4−(1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.39g、1.0mmol)の溶液に、LiAlH(2.5mL、THF中1.0M)を加えた。溶液を2時間温めて還流し、次に室温に冷却し、飽和ロッシェル塩(Rochelle's salt)50mLをゆっくりと加えてクエンチした。混合物をEtOAで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(94:5:1 DCM/MeOH/NHOH)により精製して、5−(2−ベンジル−4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール(0.21g、76%)を得た;1H NMR (300, MHz, CDCl3) ae 8.14 (bs, 1H), 7.37 (J = 8.7 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.26-7.05 (m, 1H), 6.52-6.49 (m, 1H), 3.64-3.71 (m, 1H), 3.31-3.21 (m, 1H), 3.20-3.11 (m, 1H), 2,82-2.70 (m, 重複, 2H), 2.64 (dd, J = 13.2, 7.7, 1H), 2.53-2.36 (m, 3H), 2.30 (s, 3H); MS (+H) = 306).
【0232】
実施例3
5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−3−カルボニトリル
この実施例の合成手順を、以下のスキームEに概説する。
【0233】
【化24】

【0234】
工程1 4−(1−ベンゼンスルホニル−3−ヨード−1H−インドール−5−イル)−3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DMF 2.5mL中の3−ベンジル−4−(1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.17g、0.4mmol)の溶液に、粉末KOH(0.060g、1.1mmol)、続いてDMF中のI(0.11g、0.4mmol)を加えた。溶液を45分間撹拌し、次に10%Na水溶液で処理した。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を直ちにDMF 2mLに取り、60%NaH(0.02g、0.5mmol)で処理した。20分後、溶液をベンゼンスルホニルクロリド(0.07mL、0.5mmol)で処理した。30分間の攪拌後、混合物をHOでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をHOで洗浄し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30%EtOAc)により精製して、4−(1−ベンゼンスルホニル−3−ヨード−1H−インドール−5−イル)−3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.23g、83%)を白色の泡状物として得た;MS (M+H) = 658.
【0235】
工程2 4−(1−ベンゼンスルホニル−3−シアノ−1H−インドール−5−イル)−3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−(1−ベンゼンスルホニル−3−ヨード−1H−インドール−5−イル)−3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.23g、0.4mmol)、CuCN(0.13g、1.4mmol)、Pd(ジベンジリデンアセトン)(0.017g、0.02mmol)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.040g、0.07mmol)の混合物を1,4ジオキサン5mLに取り、1時間温めて還流した。混合物を室温に冷却し、セライトのパッドで濾過した。フィルターケーキをEtOAcで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中15〜25%EtOAc)により精製して、4−(1−ベンゼンスルホニル−3−シアノ−1H−インドール−5−イル)−3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.20g、97%)を白色の泡状物として得た;MS (M+H) = 557.
【0236】
工程3 3−ベンジル−4−(3−シアノ−1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
MeOH 10mL中の4−(1−ベンゼンスルホニル−3−シアノ−1H−インドール−5−イル)−3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.37g、0.7mmol)の懸濁液に、HO 2mL中のKCO(0.27g、2.0mmol)を加えた。反応混合物を30分間撹拌し、次に溶液を減圧下で濃縮し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%EtOAc)により精製して、3−ベンジル−4−(3−シアノ−1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.23g、85%)を白色の泡状物として得た;MS (M+H) = 417.
【0237】
工程4 5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−3−カルボニトリル
Boc基を、実施例1の工程4の手順を用いて、3−ベンジル−4−(3−シアノ−1H−インドール−5−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルから除去して、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−3−カルボニトリル(0.13g、76%)を白色の泡状物として得た。1H NMR (300, MHz, CDCl3) ae 8.57 (bs, 1H), 7.67 (d, J = 2.7, Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.31-7.20 (m, 3H), 7.20-7.06 (m, 4H), 3.86-3.76 (m, 1H), 3.30-3.14 (m, 3H), 3.09-2.84 (m, 4H), 2.59 (dd, J = 13.3, 3.5 Hz, 1H); MS (M+H) = 317.
【0238】
実施例4
5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール
この実施例の合成手順を、以下のスキームGに概説する。
【0239】
【化25】

【0240】
工程1 5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF 40mL中の5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール(2.11g、10.7mmol)の溶液に、BocO(2.56g、11.7mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中8%EtOAc)により残留物を精製して、5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.59g、95%)を白色の固体として得た;MS (M+H) = 298.
【0241】
工程2 5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール
実施例1の工程2及び4の手順に従って、5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.48g、1.6mmol)を、3−ベンジル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルとカップリングさせて、5−(2−ベンジル−4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得て、次にそれを、TFAを用いた反応により脱保護して、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール(0.16g)を黄色の泡状物として得た;1H NMR (300, MHz, CDCl3) ae 7.24-7.10 (m, 3H), 7.17-1.01 (m, 2H), 6.96 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.82 (dd, J = 8.2, 2.2 Hz, 1H), 3.61-3.46 (m, 3H), 3.20-2.69 (m, 7H), 2.84-2.72 (m, 2H), 2.56 (dd, J = 10.5, 13.6 Hz, 1H); MS (M+H) = 294.
【0242】
実施例5
製剤
種々の経路によるデリバリーのための薬学的調製物を、以下の表に示すように製剤化する。この表で使用される、「活性成分」または「活性化合物」は、1以上の式Iの化合物を意味する。
【0243】
【表2】

【0244】
成分を混合し、各々約100mgが入るカプセルに分注する。1カプセルは総日用量に近似する。
【0245】
【表3】

【0246】
成分を合し、メタノールなどの溶媒を用いて造粒する。次いでこの調合物を乾燥し、適当な打錠機を用いて錠剤とする(活性化合物約20mgを含有)。
【0247】
【表4】

【0248】
成分を混合し、経口投与のための懸濁剤とする。
【0249】
【表5】

【0250】
活性成分を注射用水の一部に溶解する。次いで充分量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加え、等張溶液を作製する。この溶液を、残りの注射用水で規定重量とし、0.2ミクロンのメンブレンフィルターで濾過し、無菌条件下で包装する。
【0251】
【表6】

【0252】
成分を一緒に融解し、蒸気浴上で混合し、総重量2.5gが入る鋳型に注ぐ。
【0253】
【表7】

【0254】
水を除く全ての成分を合し、撹拌しながら約60℃に加熱する。次に、約60℃の充分量の水を激しく撹拌しながら加えて成分を乳化し、次いで水を適量加えて約100gとする。
【0255】
鼻内スプレー製剤
活性化合物約0.025〜0.5パーセントを含有する幾つかの水性懸濁液を鼻内スプレー製剤として製造する。この製剤は、場合により不活性成分、例えば微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース等を含有していてもよい。塩酸を加えてpHを調節できる。この鼻内スプレー製剤は、典型的には、作動あたり約50〜100マイクロリットルの製剤をデリバリーする鼻内スプレー定量ポンプを介してデリバリーされ得る。典型的な投与スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4スプレーである。
【0256】
実施例6
シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用する、ヒトセロトニントランスポーター(hSERT)アンタゴニストのスクリーニング
【0257】
この実施例のスクリーニングアッセイを用いて、[H]−シタロプラムとの競合によりhSERTトランスポーターにおけるリガンドの親和性を決定した。
【0258】
シンチレーション近接アッセイ(SPA)は、発光を刺激するため、放射性リガンドをビーズシンチラントのごく近傍に持ってくることによって奏功する。このアッセイにおいては、レセプターを有する膜をSPAビーズに前もってカップリングさせ、適当な放射性リガンドとこのトランスポーターの結合を測定した。発光は、結合した放射性リガンドの量に比例した。結合していない放射性リガンドは、シンチラントの遠方にあることの結果として、シグナルを生成しなかった(エネルギー移動の欠如)。
【0259】
組換えhSERTを安定に発現するHEK−293細胞(Tatsumi et al., Eur. J. Pharmacol. 1997, 30, 249-258)を培地(10% FBS、300μg/ml G418および2mM L−グルタミンを含有するDMEM高グルコース)に維持し、5%COと共に37℃でインキュベートした。細胞を、1〜2分間PBSを用いて培養フラスコから遊離させた。続いてこの細胞を1000gで5分間遠心し、膜の調製に使用する前にPBSに再懸濁した。
【0260】
50mM TRIS(pH7.4)の膜調製緩衝液を用いて細胞膜を調製した。単一の立方体から細胞膜を調製した(計7.5x10細胞)。ポリトロンを用いて細胞をホモジナイズした(中等度に設定し4秒間のバースト)。次にホモジネートを48000xgで15分間遠心し、その後上清を取り除いて廃棄し、ペレットを新鮮な緩衝液に再懸濁した。2回目の遠心の後、ペレットを再度ホモジナイズし、アッセイ中に決定された最終体積とした。典型的には、膜部分を3mg/ml(w:v)にアリコート化し、−80℃で保存した。
【0261】
シンチレーション近接アッセイのIC50/Kを決定するため、50mMTris−HClおよび300mMNaCl、(pH7.4)緩衝液を利用した。本発明化合物を、連続希釈プロトコルを用いてBeckman Biomek 2000により、10mM〜0.1nM FAC(10点曲線、全対数/半対数希釈)に希釈した。次に被験化合物を移し(20μl/ウェル)、[H]−シタロプラム放射性リガンドを50μl/ウェル添加した。ウェルあたり0.7mg PVT−WGA Amershamビーズ(Cat#RPQ0282V)を加え、膜およびビーズを10μg:0.7mgの比率で調製した。130μlの膜:ビーズ混合物をアッセイプレートに添加した。この混合物を室温で1時間放置し、次いで、一般的シンチレーション近接アッセイ計数プロトコル設定のPackard TopCount LCSでカウントした(エネルギー範囲:低、効率モード:標準、領域A:1.50〜35.00、領域B:1.50〜256.00、カウント時間(分):0.40、バックグラウンド減算:なし、半減期補正:なし、クエンチインディケーター:tSIS、プレートマップブランク減算:なし、クロストーク低減:オフ)。
【0262】
各々の被験化合物について阻害%を算出した[(最大濃度における分あたりの化合物のカウント(CPM)−非特異的CPM)/総CPM100]。以下の式:
【数1】


[式中、max=総結合、min=非特異結合、x=被験化合物の濃度(M)であり、そしてn=ヒル傾斜である]
を使用するActivity Base/Xlfitによる反復非線形曲線当てはめ技術を用いて、50%阻害を産む濃度(IC50)を決定した。Cheng-Prusoff法に従って各化合物の阻害解離定数(Ki)を決定し、次いでKiの負の対数(pKi)に変換した。
【0263】
上の方法を使用して、本発明化合物がヒトセロトニントランスポーターに対する親和性を有することが見いだされた。例えば、6−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−イソキノリンは、上のアッセイを使用するとおよそ9.87のpKiを示した。
【0264】
実施例7
シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用する、ヒトノルエピネフリントランスポーター(hNET)において活性な化合物のスクリーニング
【0265】
H]−ニソキセチンとの競合によりhNETトランスポーターに対するリガンドの親和性を決定するため、このアッセイを利用した。上記実施例のhSERTアッセイと同様に、レセプターを有する膜をSPAビーズに前もってカップリングさせ、適当な放射性リガンドとこのトランスポーターの結合を測定した。発光は、結合した放射性リガンドの量に比例し、非結合放射性リガンドはシグナルを生成しなかった。
【0266】
組換えhNET(クローン:HEK−hNET#2)を安定に発現するHEK−293細胞(Tatsumi et al., Eur. J. Pharmacol. 1997, 30, 249-258)を培地(10% FBS、300μg/ml G418および2mM L−グルタミンを含有するDMEM高グルコース)に維持し、5%COと共に37℃でインキュベートした。細胞を、1〜2分間PBSを用いて培養フラスコから遊離させた。続いてこの細胞を1000gで5分間遠心し、膜の調製に使用する前にPBSに再懸濁した。
【0267】
50mM TRIS(pH7.4)の膜調製緩衝液を用いて細胞膜を調製した。単一の立方体から細胞膜を調製した(計7.5x10細胞)。ポリトロンを用いて細胞をホモジナイズした(中等度に設定し4秒間のバースト)。次にホモジネートを48000xgで15分間遠心し、その後上清を取り除いて廃棄し、ペレットを新鮮な緩衝液に再懸濁した。2回目の遠心の後、ペレットを再度ホモジナイズし、アッセイ中に決定された最終体積とした。典型的には、膜部分を3〜6mg/ml(w:v)にアリコート化し、−80℃で保存した。
【0268】
シンチレーション近接アッセイのIC50/K決定のため、[H]ニソキセチン放射性リガンド(Amersham Cat.#TRK942またはPerkin Elmer Cat.#NET1084。比活性:70〜87Ci/mmol、保存液濃度:1.22e−5M、最終濃度:8.25e−9M)、および50mMTris−HCl、300mMNaCl、(pH7.4)緩衝液を利用した。本発明化合物を、連続希釈プロトコルを用いてBeckman Biomek 2000により、10mM〜0.1nM FAC(10点曲線、全対数/半対数希釈)に希釈した。次に被験化合物を移し(20μl/ウェル)、放射性リガンドを50μl/ウェル添加した。ウェルあたり0.7mg PVT−WGA Amershamビーズ(Cat#RPQ0282V)を加え、膜およびビーズを10μg:0.7mgの比率で調製した。130μlの膜:ビーズ混合物をアッセイプレートに添加した。この混合物を室温で1時間放置し、次いで、一般的SPA計数プロトコル設定のPackard TopCount LCSでカウントした(エネルギー範囲:低、効率モード:標準、領域A:1.50〜35.00、領域B:1.50〜256.00、カウント時間(分):0.40、バックグラウンド減算:なし、半減期補正:なし、クエンチインディケーター:tSIS、プレートマップブランク減算:なし、クロストーク低減:オフ)。
【0269】
各々の被験化合物について阻害%を算出した[(最大濃度における化合物のCPM−非特異的CPM)/総CPM100]。以下の式:
【数2】


[式中、max=総結合、min=非特異結合、x=被験化合物の濃度(M)であり、そしてn=ヒル傾斜である]
を使用するActivity Base/Xlfitによる反復非線形曲線当てはめ技術を用いて、50%阻害を産む濃度(IC50)を決定した。Cheng-Prusoff法に従って各化合物の阻害解離定数(Ki)を決定し、次いでKiの負の対数(pKi)に変換した。
【0270】
上の方法を使用して、本発明化合物がヒトノルエピネフリントランスポーターに対する親和性を有することが見いだされた。例えば、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−7−フルオロ−1H−インドールは、上のアッセイを使用するとおよそ8.19のpKiを示した。
【0271】
実施例8
シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用する、ヒトドパミントランスポーターにおいて活性な化合物のスクリーニング
【0272】
このアッセイを用いて、[H]−バノキセリンとの競合によりドパミントランスポーターに対するリガンドの親和性を決定した。
【0273】
組換えhDATを安定に発現するHEK−293細胞(Tatsumi et al., Eur. J. Pharmacol. 1997, 30, 249-258)を培地(10% FBS、300μg/ml G418および2mM L−グルタミンを含有するDMEM高グルコース)に維持し、5%COと共に37℃でインキュベートした。白色の不透明なCell-Tak被覆した96ウェルプレートにウェルあたりおよそ30000細胞(PBS中)を入れることにより、実験の4時間前に細胞を撒いた。ELx405プレート洗浄器を用いて余分な緩衝液を細胞プレートから吸引した。
【0274】
シンチレーション近接アッセイのIC50/K決定のため、[H]バノキセリン(CBR12909)放射性リガンド、比活性およそ59Ci/mmol、保存液濃度400nM、および50mMTris−HCl、300mMNaCl、(pH7.4)緩衝液を使用した。本発明化合物を、10点希釈プロトコルを用いてBeckman Biomek 2000により、10mM〜0.1nM FAC(10点曲線、全対数/半対数希釈)に希釈した。この混合物を室温で30分間放置し、次いで、一般的SPA計数プロトコル設定、カウント時間(分):0.40、バックグラウンド減算:なし、半減期補正:なし、クエンチインディケーター:tSIS、プレートマップブランク減算:なし、クロストーク低減:オフのPackard TopCount LCSでカウントした。
【0275】
各々の被験化合物について阻害%を算出した[(最大濃度における化合物のCPM−非特異的CPM)/総CPM100]。以下の式:
【数3】


[式中、max=総結合、min=非特異結合、x=被験化合物の濃度(M)であり、そしてn=ヒル傾斜である]
を使用するActivity Base/Xlfitによる反復非線形曲線当てはめ技術を用いて、50%阻害を産む濃度(IC50)を決定した。Cheng-Prusoff法に従って各化合物の阻害解離定数(Ki)を決定し、次いでKiの負の対数(pKi)に変換した。
【0276】
上の方法を使用して、本発明化合物がヒトドパミントランスポーターに対する親和性を有することが見いだされた。例えば、5−(2−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−1H−インドール−2−カルボン酸アミドは、上のアッセイを使用するとおよそ8.54のpKiを示した。
【0277】
本発明を具体的な態様に関連して記載してきたが、本発明の真の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変化が施され、そして同等物に置き換え得ることを、当業者は理解すべきである。さらに、特定の状況、材料、合成物、プロセス、プロセス工程または工程群に適合させるため、本発明の目的とする精神および範囲に対して多くの改変を施すことができる。このような改変の全ては本明細書に付記する特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0278】
【表8】

























【0279】
)SpKi/)SIC50 実施例6(シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用する、ヒトセロトニントランスポーター(hSERT)アンタゴニストのスクリーニング)を参照されたい。
)NpKi/)NIC50 実施例7(シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用する、ヒトノルエピネフリントランスポーター(hNET)において活性な化合物のスクリーニング)を参照されたい。
)DpKi/)DIC50 実施例8(シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用する、ヒトドパミントランスポーターにおいて活性な化合物のスクリーニング)を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化26】


{式中、
mは、1〜3であり;
nは、0〜2であり;
Arは、場合により置換されていてもよいインドリル;
場合により置換されていてもよいインダゾリル;
場合により置換されていてもよいアザインドリル;
場合により置換されていてもよいアザインダゾリル;
場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニル;
場合により置換されていてもよいベンゾイミダゾリル;
場合により置換されていてもよいベンゾオキサゾリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチアゾリル;
場合により置換されていてもよいキノリニル;
場合により置換されていてもよいイソキノリニル;
場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、
場合により置換されていてもよいフェニルであり;
X、YおよびZのうち一つはNであり且つ他はCRであるか、またはX、YおよびZはCR[式中、各々のRは、独立して水素またはRである]であり;
は、水素;C1−6アルキル;またはアミン保護基であり;
、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;
または、Rは、R、RおよびRのうち一つならびにそれらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;
または、RならびにRおよびRのうち一つは、それらの結合している原子と一緒になって六員飽和環を形成でき;
およびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルであり;そして、
各々のRは、独立して、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
1−6アルキルスルホニル;
1−6アルキルスルファニル;
シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−R[式中、
pおよびqは、各々独立して、0または1であり;
AおよびBは、各々独立して、−O−、−NH−または結合であり;そして、
は、C1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;または、
ヘテロ−C1−6アルキルである]
である}
で示される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Arが、
場合により置換されていてもよいインドリル;
場合により置換されていてもよいインダゾリル;
場合により置換されていてもよいアザインドリル;
場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニル;
場合により置換されていてもよいキノリニル;
場合により置換されていてもよいイソキノリニル;
場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、
場合により置換されていてもよいフェニルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arが、
場合により置換されていてもよいインドリル;
場合により置換されていてもよいインダゾリル;
場合により置換されていてもよいアザインドリル;
場合により置換されていてもよいアザインダゾリル;
場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリル;
場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニル;
場合により置換されていてもよいキノリニル;または、
場合により置換されていてもよいイソキノリニルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、
場合により置換されていてもよいナフタレニル;または、
場合により置換されていてもよいフェニルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Arが、
場合により置換されていてもよいインドリル;
場合により置換されていてもよいインダゾリル;
場合により置換されていてもよいアザインドリル;
場合により置換されていてもよいアザインダゾリル;または、
場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Arが、場合により置換されていてもよいインドリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Arが、場合により置換されていてもよいインダゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Arが、場合により置換されていてもよいアザインドリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Arが、場合により置換されていてもよいベンゾチオフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、場合により置換されていてもよいベンゾイミダゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Arが、場合により置換されていてもよいベンゾオキサゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Arが、場合により置換されていてもよいベンゾチアゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Arが、場合により置換されていてもよいキノリニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Arが、場合により置換されていてもよいイソキノリニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Arが、場合により置換されていてもよいナフタレニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Arが、場合により置換されていてもよい2,3−ジヒドロ−インドリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Arが、場合により置換されていてもよいアザインダゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Arが、場合により置換されていてもよいフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
Arが、各々場合により置換されていてもよい、インドール−4−イル、インドール−5−イルまたはインドール−6−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
Arが、各々場合により置換されていてもよい、インドール−5−イルまたはインドール−6−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
Arが、場合により置換されていてもよいインドール−5−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
Arが、場合により置換されていてもよいインダゾール−5−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
Arが、場合により置換されていてもよいベンゾチオフェン−5−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
Arが、場合により置換されていてもよいナフタレン−2−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
Arが、場合により置換されていてもよいキノリン−6−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
Arが、場合により置換されていてもよいイソキノリン−6−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
Arが、場合により置換されていてもよいピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
nが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
mが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
X、YおよびZがCRである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
およびRが水素である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
、RおよびRが水素である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
が水素である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
およびRが水素である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
nが0または1である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
Arが、場合により置換されていてもよいインドール−5−イルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Arが、場合により置換されていてもよいインダゾール−5−イルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
化合物が、式II:
【化27】


[式中、
nは、0〜5であり;そして、
Ar、RおよびRは、請求項1に記載のとおりである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
化合物が、式III:
【化28】


[式中、
nは、0〜5であり;
rは、0〜3であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
およびR10は、各々独立して、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
1−6アルキルスルホニル;
1−6アルキルスルファニル;
シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−Rであり;そして、
、R、p、q、A、BおよびRは、請求項1に記載のとおりである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
化合物が、式IV:
【化29】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、請求項39に記載のとおりである]
を有する、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
化合物が、式V:
【化30】


[式中、
nは、0〜5であり;
rは、0〜3であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
およびR10は、各々独立して、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
1−6アルキルスルホニル;
1−6アルキルスルファニル;
シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−Rであり;そして、
、R、p、q、A、BおよびRは、請求項1に記載のとおりである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項42】
化合物が、式VI:
【化31】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、請求項41に記載のとおりである]
を有する、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
化合物が、式VII:
【化32】


[式中、
nは、0〜5であり;
rは、0〜3であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
およびR10は、各々独立して、
1−6アルキル;
1−6アルキルオキシ;
ヒドロキシ;
アミノ;
1−6アルキルアミノ;
N,N−ジ−(C1−6アルキル)−アミノ;
ハロ;
ハロ−C1−6アルキル;
ハロ−C1−6アルコキシ;
ヘテロ−C1−6アルキル;
1−6アルキルスルホニル;
1−6アルキルスルファニル;
シアノ;または、
−(CH−A−C(O)−B−(CH−Rであり;そして、
、R、p、q、A、BおよびRは、請求項1に記載のとおりである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項44】
化合物が、式VIII:
【化33】


[式中、n、r、R、R、R、RおよびR10は、請求項43に記載のとおりである]
を有する、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
化合物が、
【表9】














より成る群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項46】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項47】
セロトニン、ノルエピネフリンもしくはドパミン神経伝達、またはそれらの組み合わせによって仲介される、抑うつ、不安、またはそれらの組み合わせを処置する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項48】
セロトニン、ノルエピネフリンもしくはドパミン神経伝達、またはそれらの組み合わせによって仲介される、抑うつ、不安、またはそれらの組み合わせを処置する医薬を製造するための、請求項1〜45のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項49】
本明細書上記の発明。

【公表番号】特表2010−500985(P2010−500985A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524170(P2009−524170)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058158
【国際公開番号】WO2008/019971
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】