アリール/アルキル無水琥珀酸ヒアルロナン誘導体
本発明は、アリール/アルキル無水琥珀酸HA誘導体を生成するために、アリール/アルキル無水琥珀酸(ASA)によるヒアルロン酸(HA)の変性、誘導体、及び特に化粧品及び生物医薬産業におけるそれらの適用及び使用に関する。ASA-HA誘導体は、進行した配合物(変性されていないHAに比較して、皮膚に、より強く結合する)ために、たぶんまた、封入(ナノ/マイクロカプセル)又は超微小球の形成により活性剤又は薬物のための供給システムに使用され得る興味ある性質を有することが予測される。さらに、低MW ASA-HA誘導体は、同じMWの変性されていないHAよりも効果的に皮膚を透過することが予測される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アリール/アルキル無水琥珀酸HA誘導体(ASA-HA)を生成するために、アリール−又はアルキル無水琥珀酸(ASA)によるヒアルロン酸(HA)の変性、ASA-HA誘導体,及び特に化粧品及び生物医薬産業におけるそれらの適用及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
身体中の最も豊富なヘテロ多糖は、グリコサミノグリカンである。グリコサミノグリカンは、反復する二糖単位からなる枝なしの炭水化物ポリマーである(ケラタン硫酸のみが炭水化物のコアー領域において枝分かれされている)。二糖単位は一般的に、第1のサッカリド単位として、2種の変性された糖、すなわちN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)又はN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)の1つを含んで成る。第2の単位は通常、ウロン酸、例えばグルクロン酸(GlcUA)又はイズロネートである。
【0003】
グリコサミノグリカンは負に荷電された分子であり、そして溶液において高い粘度を付与する拡張されたコンホメーションを有する。グリコサミノグリカンは、細胞の表面上に又は細胞外マトリックスに位置する。グリコサミノグリカンはまた、溶液において低い圧縮性を有し、そして結果として、生理学的潤滑液、例えば関節として理想的である。グリコサミノグリカンの剛性が、細胞に構造的に結合性を付与し、そして細胞間に通路を提供し、細胞移動可能にする。最高の生理学的に重要なグリコサミノグリカンは、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸及びケラタン硫酸である。ほとんどのグリコサミノグリカンは、特定のオリゴ糖構造を通してプロテオグリカンコアータンパク質に共有結合する。ヒアルロナンは、一定のプロテオグリカンと大きな凝集体を形成するが、しかし遊離炭水化物鎖がプロテオグリカンと非共有複合体を形成する場合、例外である。
【0004】
身体中でのヒアルロナンの多くの役割は同定されている(Laurent T. C. and Fraser J. R. E. , 1992, FASEB J. 6: 2397-2404; 及び Toole B. P. , 1991, "Proteoglycans and hyaluronan in morphogenesis and differentiation."In : Cell Biology of the Extracellular Matrix, pp. 305-341, Hay E. D. , ed., Plenum, New Yorkを参照のこと)。ヒアルロナンは、硝子軟骨、滑膜関節液及び皮膚組織(真皮及び表皮の両者)に存在する。ヒアルロナンはまた、多くの生理学的機能、例えば付着、成長、細胞運動性、癌、脈管形成及び創傷治癒における役割を有すると思われる。ヒアルロナンのユニークな物理的及び生理学的性質のために、それは眼及び関節の手術に使用され、そして他の医学的方法においても評価される。
【0005】
用語“ヒアルロナン”又は“ヒアルロン酸”とは、細胞表面、脊椎贓物の結合組織の塩基性細胞外物質、関節の滑液、眼の眼内流体、ヒト臍帯組織及び鶏冠において天然において存在する、D−グルクロン酸及びN−アセチル−D−グルコサミン酸の残基により構成される、異なった分子量を有する酸性多糖類を意味するために文献において使用される。
【0006】
用語“ヒアルロン酸”とは、種々の分子量を有するD−グルクロン酸及びN−アセチル−D−グルコサミン酸の交互の残基、又はその分解された画分を有する一連の多糖類を意味するものとして実際使用され、そして従って、“ヒアルロン酸”の複数用語を用いることが、より正しいと思われる。しかしながら、単一用語は、この記載においてすべて同じに使用され;さらに、略語“HA”は時折、この集合的な用語の代わりに使用されるであろう。
【0007】
HAは、多くの組織、例えば皮膚、腱、筋肉及び軟骨の細胞のための機械的な支持体として、生物において重要な役割を演じ、すなわちそれは、細胞内マトリックスの主成分である。HAはまた、生物学的工程、例えば組織の保湿及び湿潤において他の重要な部分を演じている。
【0008】
HAは、上記天然の組織から抽出され得るが、但し今日、感染剤の移行の可能性ある危険性を低め、そして生成物の均等性、品質及び利用性を高めるために、微生物学的方法により、それを調製することが好ましい。
【0009】
HA及びその種々の分子サイズ画分、及びそれらのそれぞれの塩は、特に関節症の処理における薬剤として、特に眼科学及び美容外科における天然の器官及び組織のための助剤及び/又は置換剤として、及び化粧製品における剤として使用されて来た。ヒアルロナンの生成物はまた、整形外科、リウマチ学及び皮膚学への使用のためにも開発されて来た。
HAはまた、衛生及び手術製品のために使用される種々のポリマー材料、例えばポリウレタン、ポリエステル、等のための、それらの材料を生物適合性にする効果を有する添加剤としても使用され得る。
【0010】
ASA変性又は誘導体化は、紙産業においては十分に確立されており、ここでアルキル無水琥珀酸が、紙表面(セルロース)を、より耐水性にするために使用されている(Chen, G.C.I., Woodward, T.W. (1986) Optimizing the emulsification and sizing of alkenyl succinic anhydride, Tappi Journal, August, 95-97)。食品産業においては、2−オクテン−1−イル無水琥珀酸(OSA)変性澱粉が、油/水エマルジョン、例えば低脂肪マーガリン及びマヨネーズを安定化するために使用されて来た(Jarowenko, W. (In: Properties and uses of modified starches, 1986, Ed.: O. Wurzburg) Acetylated starch and miscellaneous organic esters, pp 55-77)。さらに、OSA変性された澱粉の流動学的性質は、変性されていない澱粉に比較して、非常に異なる(Park, S., Chung, M. -G., Yoo, B. (2004) Effects of octenylsuccinylation on rheological properties of corn starch pastes, Starch 56:399-406)。
【0011】
ASA誘導体化方法の利点は、生成物が非毒性であり、化学薬品が安価で、そして反応が1段階工程であることである(Trubiano, PC. [In: Properties and uses of modified starches, 1986, Ed.: O. Wurzburg] Succinate and substituted succinate derivatives of starch, pp 131-147; Wurzburg, OB. 1995. Modified starches, In: Food Science and Technology, Vol. 67, New York, pp. 67-97)。
【0012】
澱粉に対する初期の研究によれば、第一及び第二ヒドロキシル基の両者がOSAと反応する(Shogren, RL, Viswanathan, A., Felker, F., Gross, RA (2000), Distribution of octenyl succinate groups in octenyl succinic anhydride modified waxy maize starch, Starch 52:196-204)。
【発明の開示】
【0013】
発明の要約:
変性されていないHAに比較して、一定の変更された特性を有する、ヒアルロン酸に基づく化合物又は誘導体についての必要性が、特に化粧品及び生物医学産業において存在する。興味ある性質は、例えば典型的には、化粧品に使用される、気泡を安定化する改良された能力、及び非親水性材料とブレンドする能力である。
【0014】
本発明は、化粧品又は生物医学的適用において有益な性質を有する両親媒性HA−誘導体生成物を提供する。それらの生成物は、皮膚に対してより強く結合し、その結果、それらは容易には洗浄されない。ASA−HA誘導体はまた、より開発された化粧品又は生物医学的配合物への使用のために、例えば活性化合物又は薬剤の供給のためにナノ/マクロカプセル又は超微小/微小球体の形成において適切である。低分子量(MW)のASA−HA誘導体は、相当のMWの誘導体化されていないHAよりも、より効果的に皮膚を浸透するであろう。
【0015】
本明細書における例においては、ヒアルロン酸(HA)は、水中、アルカリ性条件(pH>8.0)下でアルキル/アリール無水琥珀酸(ASA)により変性された。得られる生成物は精製された(沈殿又は透析)。それらの精製された生成物は、水において部分的に水不溶性凝集体を形成した。1%溶液は、気泡を安定化することが示された(低められた表面張力及び高められた界面粘度)。1H NMR分光学は、得られる生成物におけるHA“主鎖”の化学構造が変更された(但し、約18%の置換度(DS)までのASA半−エステル基の導入を除く)ことを確証した。
従って、第1の観点においては、本発明は、n個の反復範囲を含んで成り、そしてpH8-9で、下記一般構造式(I):
【0016】
【化1】
【0017】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、pH8-9で、下記一般構造式(II):
【化2】
(式中、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8はアルキル−又はアリール−基を含んで成り、そして他方では、R5, R6, R7, R8は水素原子Hであり、そして“エステル”ラベルされた酸素は構造式(I)とのエステル結合を形成する)を有するエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕
を有するヒアルロン酸誘導体に関する。
【0018】
換言すれば、本発明の観点は、ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基が、反応において1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)により置換され、ヒアルロン酸と得られる1又は複数のアルキル−/アリール−琥珀酸との間にエステル結合が形成されている、ヒアルロン酸誘導体に関する。
【0019】
第2の観点においては、本発明は、
(a)ヒアルロン酸(HA)と、下記式(III ):
【化3】
【0020】
で示される一般構造式を有する、1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)とを、水溶液中、アルカリ性条件下で反応せしめ、それにより、ヒアルロン酸誘導体が形成され;そして
(b)前記ヒアルロン酸誘導体を回収する;
段階を含んで成るヒアルロン酸誘導体の生成方法に関する。
【0021】
第3の観点においては、本発明は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤を含んで成る組成物に関する。
本発明の第4の観点は、有効量の第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、及び医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤を含んで成る医薬組成物に関する。
【0022】
第5の観点は、ビークルとしての有効量の第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、及び薬理学的活性剤を含んで成る医薬組成物に関する。
第6の観点は、有効量の第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第2,3又は4の観点のいずれかにおいて定義されるような組成物を活性成分として含んで成る化粧製品に関する。
【0023】
第7の観点においては、本発明は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第2,3又は4の観点のいずれかにおいて定義されるような組成物を含んで成る、衛生、医学又は手術製品、好ましくはオムツ、衛生用タオル、手術用スポンジ、創傷治癒スポンジ、又はバンドエイド又は他の創傷包帯材料に含まれる部分に関する。
重要な観点は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第3,4又は5の観点のいずれかにおいて定義されるような組成物を含んで成る医薬カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、微晶球又は超微晶球に関する。
【0024】
本発明の最終観点は、眼科学的処理、変形性関節炎又は癌、抜け毛又は禿げの処理、創傷の処理、又は薬理学的活性剤の皮膚又は経皮投与又は化粧品の皮膚投与の実施方法に関し、ここで前記方法は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第2、第3又は第4の観点のいずれかに定義されるような組成物の使用を包含する。
【0025】
多くの観点は、変形性関節炎、癌の処理のための薬剤の製造、眼の処理のための薬剤の製造、創傷の処理のための薬剤の製造、脈管形成の処理のための薬剤の製造、抜け毛又は禿げの処理のための薬剤の製造、又はモイスチャライザーの製造のためへの、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体又は第3、第4又は第5の観点のいずれかに定義されるような組成物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
発明の特定の記載:
ヒアルロン酸:
“ヒアルロン酸”は、β−1,4及びβ−1,3グリコシド結合を変えることによって一緒に結合される、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びグルクロン酸(GlcUA)の反復二糖単位から構成される、硫酸化されていないグリコサミノグリカンとして、本明細書においては定義される。ヒアルロン酸はまた、ヒアルロナン、ヒアルロネート又はHAとして知られている。用語、ヒアルロナン及びヒアルロン酸は、本明細書においては、交換可能的に使用される。
【0027】
雄鶏の鶏冠は、ヒアルロナンのための有意な商業的源である。微生物は他の源である。アメリカ特許第4,801,539号は、1L当たり約3.6gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooepidemicus)の株を包含するヒアルロン酸の調製のための発酵方法を開示する。ヨーロッパ特許第0694616号は、1L当たり約3.5gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデシカスの改良された株を用いての発酵方法を開示する。引用により本明細書に組み込まれるWO03/054163号(Novozymes)に開示されるように、ヒアルロン酸又はその塩は、グラム陽性バシラス宿主において組換え的に生成され得る。
【0028】
ヒアルロナンシンターゼは、脊椎動物, 細菌病原体,及び藻類ウィルス (DeAngelis, P. L., 1999, Cell. Mol. Life Sci, 56: 670-682)から記載されている。WO99/23227号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスからのグループIヒアルロン酸シンターゼを開示する。WO99/51265号及びWO00/27437号は、パスツレラ・マルトシダからのグループIIヒアルロン酸シンターゼを記載する。Ferrettiなどは、それぞれヒアルロン酸シンターゼ、UDPグルコースデヒドロゲナーゼ及びUDP−グルコースピロホスホリラーゼをコードする3種の遺伝子、hasA, hasB及びhasCから構成される、ストレプトコーカス・ピオゲネスのヒアルロナンシンターゼオペロンを開示する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98, 4658-4663,2001)。WO99/51265号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスヒアルロナンシンターゼのためのコード領域を有する核酸セグメントを記載する。
【0029】
組換えバチルス細胞のヒアルロナンは、培養培地に直接的に発現されるので、単純な方法が、培養培地からヒアルロナンを単離するために使用され得る。第1に、バチルス細胞及び細胞残骸が培養培地から物理的に除去される。最初に、培養培地が、所望により、希釈され、培地の粘度が低められる。培養培地から細胞を除去するための多くの方法、例えば遠心分離又はマイクロフィルトレーションは、当業者に知られている。所望には、次に残る上清液が、例えば限外濾過により濾過され、濃縮され、そしてヒアルロナンから小さな分子汚染物が除去される。
【0030】
細胞及び細胞残骸の除去に続いて、培地からのヒアルロナンの単純な沈殿が既知機構により行われる。塩、アルコール、又は塩及びアルコールの組合せが、濾液からヒアルロナンを沈殿するために使用され得る。沈殿物に減じられると、ヒアルロナンは物理的手段により、溶液から容易に単離され得る。ヒアルロナンは、当業界において知られている蒸発技法、例えば噴霧乾燥により、濾液溶液から乾燥されるか又は濃縮され得る。
【0031】
本発明の第1の観点は、n個の反復範囲を含んで成り、そしてpH8-9で、下記一般構造式(I):
【化4】
【0032】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、pH8-9で、下記一般構造式(II):
【化5】
【0033】
(式中、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8はアルキル−又はアリール−基を含んで成り、そして他方では、R5, R6, R7, R8は水素原子Hであり、そして“エステル”ラベルされた酸素は構造式(I)とのエステル結合を形成する)を有するエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕
を有するヒアルロン酸誘導体に関する。
【0034】
前記第1の観点の好ましい態様においては、2又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り;好ましくは3又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成る。
【0035】
前記第1の観点のもう1つの好ましい態様においては、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り;好ましくは前記アルキル基は、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る。
【0036】
さらにもう1つの好ましい態様は、前記第1の観点のHA誘導体に関して、ここで少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り;そして好ましくは前記アリール基はフェニルである。
好ましくは、R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る。
【0037】
分子量:
ヒアルロン酸のレベルは、改良されたカルバゾール方法(Bitter and Muir, 1962, Anal Biochem. 4: 330-334)に従って決定され得る。さらに、ヒアルロン酸の平均分子量は、当業界における標準の方法、例えばUeno など, 1988, Chem. Pharm. Bull. 36, 4971-4975; Wyatt, 1993, Anal. Chim. Acta 272: 1-40; 及び Wyatt Technologies, 1999, "Light Scattering University DAWN Course Manual" and "DAWN EOS Manual" Wyatt Technology Corporation, Santa Barbara, Californiaにより記載されるそれらの方法を用いて決定され得る。
【0038】
好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約800〜約10,000,000Daの分子量を有する。より好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約1 ,000〜約9,000,000 Da; 約2,000 〜約10,000,000 Da; 約 4,000〜約10,000,000 Da; 約8,000〜約10,000,000 Da; 約 10,000〜約 10,000,000 Da;又は約 25,000〜約 5,000,000 Daの分子量を有する。さらにより好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約50,000〜約3,000,000Daの分子量を有する。
【0039】
もう1つの好ましい態様は、第1の観点の生成物に関し、ここで前記ヒアルロン酸又はその塩は、300,000〜3,000,000;好ましくは400,000〜2,500,000;より好ましくは500,000〜2,000,000;及び最も好ましくは600,000〜1,800,000Daの範囲の分子量を有する。
【0040】
組換え的に生成されるヒアルロン酸又はその塩が本発明の生成物又は組成物を製造するために本発明の方法に使用される場合、最初に、ヒアルロン酸又はその誘導体又はその塩の平均分子量を低めることがいくつかの適用のために好都合である。例えば、皮膚において天然含有量のヒアルロン酸を再確立するために皮膚バリヤーを浸透できることが、いわゆる低分子量画分のヒアルロン酸のいくつかの製造業者により言及されており、従って、そのような画分は抗−皮膚剤及び抗−しわ剤として市販されている化粧品組成物のために特に適切である。
【0041】
食品適用に関しては、低MWヒアルロン酸が、胃腸バリヤーを浸透し、それによりその生物利用能を高めることが示されている。最終的に、低MWヒアルロン酸は抗炎症効果を示し、そして炎症疾患の処理への可能性ある適用を有する。ヒアルロン酸又はその誘導体又は塩の平均分子量の低下は、当業界における標準方法、例えば単純な加熱処理、酵素分解、超音波処理又は酸加水分解により達成され得る。添加剤としてNaOClを包含するHAの超音波処理技法を記載するアメリカ特許第6,020,484号、及びT. Miyazakiなど (2001) Polymer Degradation and Stability, 74: 77-85を参照のこと。
【0042】
従って、好ましい態様は、本発明のHA誘導体に関して、ここで前記ヒアルロン酸又はその誘導体又は塩は、800〜10,000,000Da;好ましくは10,000〜1,500,000Da;好ましくは10,000〜50,000Da;又は好ましくは50,000〜500,000Da;さらにより好ましくは80,000〜300,000Daの範囲の低い平均分子量を有する。
【0043】
置換度(DS):
DSは、下記例6に従って、1H NMR分光法(10mg/ml、D2O, 80℃、128走査、400MHz)により決定され、ここでOSA基からのピークが2D−NMR(gCOSY)の使用により割り当てられた。次に、DSが、OSAのビニルプロトン(5.4及び5.6ppm)の強度と、アセチルプロトン(2.0ppm)の強度とを比較することにより、計算された。
【0044】
好ましい態様においては、第1の観点のHA誘導体は、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲の置換度(DS)を有する。
【0045】
アルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA):
本発明の好ましい態様においては、1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)は、下記一般構造式(III ):
【0046】
【化6】
を有する。
【0047】
1つの好ましい態様においては、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、さらにより好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り;そして好ましくは、前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る。
【0048】
もう1つの好ましい態様においては、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る(好ましくは、フェニル基を包含する)。
【0049】
さらにもう1つの好ましい態様においては、R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る。
さらにもう1つの好ましい態様においては、1又は複数のASAは、図3に示される構造式のいずれかを含んで成る。
【0050】
生成:
本発明の方法においては、次の方法により生成される、組換え的に生成されるHAが使用され得、ここで前記HA−生成宿主細胞が、当業界において知られている方法を用いて、ヒアルロン酸の生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、適切な培地において、及びヒアルロン酸合成に関与する酵素の発現及びヒアルロン酸の単離を可能にする条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。
【0051】
培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。分泌されたヒアルロン酸は、培地に直接的に回収され得る。
【0052】
得られるヒアルロン酸は、当業界において知られている方法により単離され得る。例えば、ヒアルロン酸は、便利な方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から単離され得る。次に単離されたヒアルロン酸は、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、又は抽出(例えば、Protein Purification, J. -C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照のこと)(但し、それらだけには限定されない)により、さらに精製され得る。
【0053】
宿主細胞:
好ましい態様は、好ましくはグラム陽性細菌又は宿主細胞により、より好ましくはバチルス属の細菌により、組換え的に生成されるヒアルロン酸又はその塩に関する。
【0054】
宿主細胞は、ヒアルロン酸の組換え生成のために適切ないずれかのバチルス細胞であり得る。バチルス宿主細胞は、野生型バチルス細胞又はその変異体であり得る。本発明の実施において有用なバチルス細胞は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:バチルス・アガラデルヘンス(Bacillus agaraderhens)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジ(Bacillus clausii)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)細胞。変異体バチルス・サブチリス細胞は、WO98/22598号に記載されるように、組換え発現のために特に適合される。非被包性バチルス細胞は、本発明において特に有用である。
【0055】
好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・クラウジ、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞である。より好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・クラウジ細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・レンタス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・リケニホルミス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリス細胞である。最も好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリスA164Δ5(アメリカ特許第5,891,701号を参照のこと)、又はバチルス・サブチリス168Δ4である。
【0056】
本発明の核酸構造体によるバチルス宿主細胞の形質転換は、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115を参照のこと)により、コンピテント細胞の使用(Young and Spizizen, 1961, Journal of Bacteriology 81 : 823- 829, 又は Dubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56 : 209-221を参照のこと)により、エレクトロポレーション(Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)により、又は接合(Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5271-5278を参照のこと)により行われ得る。
【0057】
塩及び架橋されたHA:
好ましい態様は、ヒアルロン酸の無機塩、好ましくはヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、又はヒアルロン酸コバルトを含んで成る、第1の観点のヒアルロン酸誘導体に関する。
【0058】
多官能エポキシ化合物によりHAを架橋することにより調製される、架橋されたHA又はその塩の調製が、EPO161887B1号に開示されている。脂肪族アルコールとHAとの合計の又は一部の架橋されたエステル、及び無機又は有機塩基とのそのような部分的エステルの塩が、アメリカ特許第4,957,744号に開示されている。HAを架橋する他の手段が、アメリカ特許第5,616,568号, 第5,652,347号及び 第5,874,417号に開示されている。
【0059】
架橋されたHAはまた、次の通りに、硼酸によりHAを処理することによって調製され得る:発酵によりバチルス・サブチリスにおいて組換え的に生成される、乾燥されたヒアルロン酸ナトリウム(Na-HA、203mg)(WO03/054163号;Novozymes)を、0.2MのNaOHに溶解し、4%溶液を得た。硼酸(35mg;約1当量のHA二糖)を添加し、そしてそのサンプルを室温で1.5時間、撹拌し、そして次に、5℃で約2.5日間、貯蔵した。対照サンプルを上記と正確に同じようにして同時に調製した(但し、硼酸は使用されなかった。)
【0060】
得られるHA−ボレートヒドロゲルの粘度を、Carrimed CSL制御された応力レオメーター(円錯幾何学:6cm、2°)を用いて、25℃で測定した。粘度は、剪断速度に依存し、そして対照サンプルに比較して、HA−ボレートヒドロゲルにおいて少なくとも4倍(4.2〜8.4倍)、上昇し、このことは、架橋された網状構造の形成を示す。1200及び945cm-1での新規ピークが、Na-HAの標準スペクトルに比較して、HA−ボレートヒドロゲルのFT−IRスペクトル上で観察され、これは、架橋されたHA−ボレートヒドロゲルにおける新規に形成されたボレートエステルの存在に対応する。
【0061】
従って、好ましい態様は、架橋されたヒアルロン酸又はその塩を含んで成る、第1の観点のHA誘導体に関し、好ましくは前記ヒアルロン酸は硼酸により架橋され、そしてより好ましくは、架橋されたヒアルロン酸はボレートエステルを含んで成る。
【0062】
粒度:
第1の観点の好ましいHA誘導体は、イソプロパノールに懸濁された粒子のレーザー回折測定により決定される場合、D50が10〜1,000ミクロン、好ましくは100〜1,000ミクロン、より好ましくは150〜900ミクロン、そしてさらに好ましくは200〜800ミクロンの間である50パーセントの粒度を有する。
【0063】
好ましい態様においては、第1の観点のHA誘導体の多分散性が、次の式に従って計算されるSPAN値として測定され:SPAN=(D90-D10)/D50、そしてSPAN値は1.0〜2.5であり;好ましくはSPAN値は1.2〜2.2であり;より好ましくはSPAN値は1.5〜1.9であり;そして最も好ましくはSPAN値は1.6〜1.8である。
【0064】
微粒子:
下記例に示されるように、本発明は、微粒子又は超微粒子、又はマイクロカプセル又はナノカプセルを形成できるASA-HA誘導体を提供する。そのような粒子又はカプセル、又はそれらを含んで成る組成物は、多数の商業的及び科学的適用、例えば化粧品又は一般的薬物供給に使用できる。
【0065】
他の成分:
好ましい態様においては、本発明のHA誘導体を含んで成る組成物はまた、他の成分、好ましくは1又は複数の活性成分、好ましくは1又は複数の薬理学的活性物質、及びまた、好ましくは水溶性賦形剤、例えばラクトースを含んで成ることができる。
【0066】
本発明においては使用され得る活性成分又は薬理学的活性物質の非制限的例は、タンパク質及び/又はペプチド薬剤、例えばヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン/ペプチド、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子、マクロファージ−コロニー刺激−因子、エリスロポイエチン、骨形態発生性タンパク質、インターフェロン又はその誘導体、インシュリン又はその誘導体、アトリオペプチン−III、モノクロナール抗体、腫瘍壊死因子、マクロファージ活性化因子、インターロイキン、腫瘍分解因子、インスリン様成長因子、表皮成長因子、組織プラスミノゲン活性化因子、第IIV因子、第IIIV因子、及びウロキナーゼを包含する。
【0067】
水溶性賦形剤は、活性成分を安定化するために包含され得、そのような賦形剤は、タンパク質、例えばアルブミン又はゼラチン;アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、グルタミン酸、アルギニン、リシン及びその塩;炭水化物、例えばグルコース、ラクトース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、サッカロース、デキストラン、マンニトール、ソルビトール、トレハロース及びコンドロイチンスルフェート;無機塩、例えばホスフェート;界面活性剤、例えばTWEEN(商標)(ICI)、ポリエチレングリコール及びその混合物を包含することができる。賦形剤又は安定剤は、生成物の0.001〜99重量%の範囲の量で使用され得る。
【0068】
本発明のいくつかの観点は、他の構成成分の中で、有効量の第1の観点において定義されるような生成物、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤;医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤、好ましくは水溶性賦形剤、及び最も好ましくはラクトースを含んで成る種々の医薬組成物に関する。
【0069】
さらに、本発明の観点は、第1の観点において定義されるようなHA誘導体又は上記観点及び態様において定義されるような組成物を含んで成る製品、例えば化粧品、衛生製品、医学又は手術製品に関する。最終観点においては、本発明は、第1の観点において定義されるような生成物、又は本発明の他の観点及び態様において定義されるような組成物を含んで成る薬剤カプセル又はマイクロカプセルに関する。
【実施例】
【0070】
材料:
高分子量(高−MW)ヒアルロン酸(HA):
−(バッチMAG30014)
−(バッチMAF145SD)
低分子量(低−MW)HA:
−100kDa(バッチ14919−021)
−30kDa(バッチ14919−032)
−23kDa
−14kDa
【0071】
アルキル/アリール無水琥珀酸:
−シスルトランス−2−オクテン−1−イル無水琥珀酸(OSA)、Aldrich Chemical Company (d.: 1.000, MW 220.27, 97% 純度)。
−フェニル無水琥珀酸(PhSA)(乾燥粉末、MW176.17)。
−ノネニル無水琥珀酸(NSA)Aldrich Chemical Company (d.: 1.032, MW 224.30, 95+% 純度, 1JS38, 246-00198-1)。
【0072】
−ドテセニル無水琥珀酸(DSA)(d.: 1.01, MW 266.38, 1JS38, 246-00168)。
−テトラプロピル無水琥珀酸(TpSA)。
−ヘキサデセニル無水琥珀酸(HDSA)。
−オクタデセニル無水琥珀酸(ODSA)。
−ODSA及びHDSAの混合物(50:50)。
【0073】
変性されたエタノール96%。
4MのHCl、及び4MのNaOH。
Na2CO3。
Milli-Q(商標)超純水 (Millipore)。
12〜14KDaの分子量カットオフを有する再生セルロースの透析管、Spectr/Por(TM) (Spectrum Medical Industries)。
Ultrafiltration 膜 (MWCO 10 kDa 及び 3kDa)。
【0074】
例1:高−MW OSA−HA、初期pH9.0、エタノール沈殿:
HA(バッチMAF145SD, 1.42g)を、Milli−Q水(200ml)に、室温で一晩、溶解し、その後、4MのNaOHによりpHを9.0に調節した。OSA(1ml、4.54mモル)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。20mlの飽和NaHCO3を添加し、反応を緩衝した。反応の後、pHを、1MのHClにより6.8に調節した。生成物を、96%エタノール(4体積)を添加し、80%v/vの最終濃度にすることによるエタノール沈殿により回収した。沈殿物を遠心分離(3000rpm、15分及び4℃)により回収した。ペレットを96%エタノールにより洗浄し、その後、MQ水に再溶液し、そして凍結乾燥した。
【0075】
例2:高−MW OSA−HA、初期pH11、エタノール沈殿:
3種のMilli−Q水の溶液の個々50mlに、HA(バッチMAF145SD、1.13g)を添加し、そして室温で一晩、溶解した。pHを、4MのNaOHにより11に調節した。異なった量のOSA(1.10ml(5,23mモル)、0.505ml(2.62mモル)、0.110(0.52mモル))を、3種の溶液の個々に強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で21時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。すべてのサンプルは、反応の後、約4〜5のpHを有した。生成物を、96%エタノール(4体積)を添加し、80%v/vの最終濃度にすることによるエタノール沈殿により回収した。沈殿物を遠心分離(3000rpm、15分及び4℃)により回収した。ペレットを96%エタノールにより洗浄し、その後、MQ水に再溶液し、そして凍結乾燥した。
【0076】
例3:高−MW OSA-HA、初期pH9.0、9〜11で維持されるpH、透析:
HA(バッチMAF145SD, 0.75g)を、Milli−Q水(150ml)に、室温で一晩、溶解し、その後、pHを9.0に調節した。OSA(1.42ml、6.25mモル)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約9〜11に維持した(1MのNaOHを添加する)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12-14,000Da)に対して3時間、3度透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0077】
例4:高−MW OSA-HA、初期pH8.5、9〜11で維持されるpH、透析:
HA(バッチMAF30014, 0.75g)を、Milli−Q水(150ml)に、室温で一晩、溶解し、その後、pHを8.5に調節した。OSA(1.42ml、6.25mモル)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約9〜11に維持した(1MのNaOHを添加する)。pHを、1MのHClの使用により6.5に調節した。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12-14,000Da)に対して3時間、3度透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0078】
例5:低−MW OSA-HA(30及び100kDa):
低−MW HA(30又は100KDa、2.5g)を、室温で一晩、Milli-Q水(50ml)に溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のOSA(3.35ml、HA:OSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.35ml、HA:OSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(1M又は0.5MのNaOHを添加する)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12-14,000Da)に対して3時間、3度透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0079】
例6:生成物の特徴化−結果及び論議:
分子量:
例5からの100KDaのOSA−HAを、SEC-MALLS-VISC (移動相: 15OmM NaCI, 5OmM NaH2PO4, pH 7.0, 0.5 ml/分, 注入される体積: 0.5 ml)を用いて分析した。使用されるカラム:PL aquagel OH-40/OH-50/OH60. System: Waters Alliance HPLC system Waters 2410 Rl detector and Wyatt MALLS detector。データは、Wyatt Technology Corp.からのASTRA Vソフトウェアを用いて処理された。
【0080】
置換度(DS):
DSを、1H NMR分光法(10 mg/ml, D2O, 8O℃, 128 の走査, 400MHz)により決定した。OSA基からのピークを、2D−NMR(gCOSY)の使用により割り当てた。
【0081】
結果及び論議;高−MW HA:
高−MW HAに対するすべての実験の間、観察は同じであった:OSAは、撹拌のために、徐々に、より小さな液滴に分割する琥珀色の油状液滴を形成する。反応の最後で、液滴は、ミセル又は微小規模の凝集体/小滴の形成として解釈され得る、乳白色且つ不透明であった。過剰のOSAが除去される、沈殿又は透析による精製の後でさえ、この現象はまだ、異なった程度、観察された。
【0082】
高−MW HAに対する最初の実験の間、80%エタノールにおける沈殿を用いて、OSA変性の過剰/副生成物を除去した。しかしながら、生成物を完全に沈殿する問題のために、Milli-Q水に対する透析を、より良好な方法として選択した。
【0083】
高−MW OSA-HAの初期調製物はすべて、溶液性質の変化を示した。1つの例は、それらすべて、数時間、非常に効果的に気泡を安定化した例であり;これは1%溶液を振盪し、続いて視覚による観察により単純に試験された。最初の実験の間のもう1つの観察は、溶液のpH値が反応の間、徐々に低下することであった。従って、例えばNaCO3により、又はpH安定装置の使用によりシステムを緩衝することが必要である。pH値は、反応の進行の間、8.0以上、及び加水分解によるOSA基の除去を回避するために9.0以下に維持することが重要である。
【0084】
NMR分光法が、高−MW OSA−HA生成物に対して試みられたが、しかし溶解性問題のために、OSA及びHAのいくつかの非常に弱いピークが観察され、そしてDSは決定され得なかった。すべての場合、収率は類似するか、又は出発材料HAの量よりもわずかに高かった(凍結乾燥された生成物を計量することにより決定された)。
【0085】
結果及び論議;低−MW HA:
4種の異なった実験を行い、そして1H−NMR分光法からのDS及び収率と一緒に、表1に要約する。DSは、OSAのビニルプロトン(5.4及び5.6ppm)の強度と、アセチルプロトン(2.0ppm)の強度とを比較することにより計算される。
【0086】
30kDaのOSA−HAの1H−NMRスペクトルを、2D NMR分光法(gCOSY)により解明し、そして部分的に割り当てられたピークが図2に与えられ、これは、100kDaのOSA−HA(14919−033)の1H−NMRスペクトルに示す。
結論的には、それらの実験においては、高−及び低−MWヒアルロン酸が2−オクテン−1−イル無水琥珀酸(OSA)により都合良く変性された。
【0087】
【表1】
【0088】
例7:低−MW OSA-HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のOSA(3.35ml、HA:OSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.34ml、HA:OSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.1g及び2.1gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ11.5%及び2.6%であった。
【0089】
例8:低−MWフェニル−無水琥珀酸(PhSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のPhSA(2.8g、HA:PhSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.28g、HA:PhSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.5g及び2.4gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ15.1%及び2.6%であった。
【0090】
例9:低−MW 2−ノネン−1−イル無水琥珀酸(NSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のNSA(3.55ml、HA:NSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.35ml、HA:NSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.4g及び2.2gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ11.4%及び2.1%であった。
【0091】
例10:低−MW 2−ドデセン−1−イル無水琥珀酸(DSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のDSA(4.20ml、HA:DSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.42ml、HA:DSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.2g及び2.2gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ2.2%及び1.7%であった。
【0092】
例11:低−MWテトラプロピル無水琥珀酸(TpSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のTpSA(3.25ml、HA:TpSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.33ml、HA:TpSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0093】
例12:種々の低−MW ASA HA誘導体(14kDa):
11種の別々の実験を、2種の異なったHA:ASAモル比(1:1及び10:1)で、5種の異なったASA(ASA名称、構造及び略語については図3を参照のこと)によりLMW HA(14kDa)を変性することにより実施した。得られる生成物を透析により精製し、過剰の試薬及び副生成物を除去した。置換度(DS)を、1H NMR分光法により、モノマーに基づいて決定した。収率を、凍結乾燥されたサンプルの重量分析により決定した。分子量を、SEC-MALLS-VISCにより決定した。GPCカラム上の材料の蓄積を回避するために、温度を、自動注入器により4℃〜15℃に調節した。この分析からのすべての結果は、表2に要約される。
【0094】
【表2】
【0095】
表2に要約される結果から見出され得るように、誘導体化反応は、低DSが所望する結果である場合、より平滑に作動する。得られるDSは、すべての異なったASAについて相当に類似するが、但しサンプル14658−148について低DS値(2.19)をもたらす、水において明らかに、非常に不安定性であるPhSAを除く。実験を反復し、ここでPhSA粉末がHA溶液に徐々に添加された。これは15%のDSをもたらし(15286−017)、これはASAの徐々の添加がHAに対する置換を高める手段であることを示す。
【0096】
DSAにより変性されたLMW HAに関しては、DS値はまた、より高いASA−HA比で、相当に低い。これはたぶん、DSA層の高い粘度のためである。さらに、反応されていないASAの液滴が、透析及び凍結乾燥の後、見出され得た。これは、ピペットにより手動的に除去されるべきである。
【0097】
たぶん、DSA−HAのDS及び純度は、強い撹拌と組み合わされる反応の間、温度を高めることにより改良され得る。DSAの徐々の添加はまた、HAと反応されるDSAの量を高めることができる。TpSAサンプル(15286−037及び15286−028)はまた分析されたことはない。
二重対数規模での分子量(MW)に対する回転(Rg)の半径をプロットすることにより、ポリマーの配座についての情報を得ることができる。Rg及びMWの関係が、Haug’s三角形に要約されている(図4)。
【0098】
配座プロットを、異なったASA-HAのすべてに対して行い、そしてその結果が表2に与えられる。ほとんどのサンプルは、変性されていないHAの配座でもある、ランダムコイルの因子に類似する因子を示す。球体の配座に類似する配座を有する高く変性されたOSA-HA, 及び凝集又は損なわれたカラム分離を示す非常に低い配座因子(0.20及び0.04)を示すNSA-HAが、たぶんカラム材料との相互反応のために、唯一の例外である。同様に、SEC-MALLS-VISC分析(図5を参照のこと)からの濃度プロフィール(RI-シグナル)を調べると、サンプル15286−010(11%NSA)に関して、初期溶出時間で、すなわち約35分で、凝集ピークが存在する。凝集現象はまた、サンプル14658−142(9.7%のOSA変性されたHA)及び15286−010(11%の変性されたNSA-HA)に関して、見掛けMWのわずかな上昇(表2)により示される。
【0099】
結論においては、低MWヒアルロン酸(14kDa)は、種々のアリール−/アルキル無水琥珀酸により都合よく変性された。OSA-HA及びNSA-HAの高DS生成物は、たぶん疎水性相互作用により引起される、いくらかの凝集傾向及び配座の変更を示す。
【0100】
例13:水溶液におけるOSA-HA(14kDa)の表面活性:
14kDaのOSA-HA(DS=9.7%、バッチ14658-142)及び変性されていないLMW HA(30kDa)の溶液を、表3に与えられる濃度に従って、MQ−水において調製した。サンプルを、表面張力計(Wilhelmyプレート)を用いての表面張力測定により分析した。溶媒(水)の表面張力は、同じ方法により72mN/m であることが決定された。表面張力測定の結果は図6に与えられ、そして表3に要約される。見られるように、表面張力は、OSA-HAの濃度の上昇と共に低下する。純粋な溶媒(MQ−水)及びLMW-HA(30kDa)と比較すれば、表面張力は、HA誘導体に関して、一層低い。
【0101】
さらに、表面張力は、OSA-HAに関して、時間依存性態様で低下し続けることが見出され得る。これは、OSA-HAが、溶媒の表面に拡散するために長時間、高MW界面活性剤として作用する事実により説明され得る(拡散速度はMWに半比例するので)。表面でのより表面活性のポリマーは、より低い表面張力を付与する。この時間依存性はまた、HAに実際的に共有結合され、そして溶液においてHAと単に同時存在しないOSA成分の追加の証明である。これはさらに、HAのOSA変性がそれを疎水性にしないが、しかし両親媒性にすることを包含する。それらの性質は、低い表面張力が必要とされ(例えば、局部眼)、又は乳化性質が化粧品又は医薬配合物においてエマルジョン又は気泡を安定化するために必要とされるシステムにおいて、潜在的に開発され得る。
【0102】
【表3】
【0103】
例14:高剪断混合による高MW ASA誘導体の調製:
HA(4g、MAG30021)を、400mlのMQ水に一晩、溶解した。溶液を室温(25℃)で維持し、又は60℃に加熱し、その後、炭酸ナトリウム(2g)を剪断(ULTRA-TURRAX 24000/分、5分)下で添加した。次に、ASAを、表4に表される反応スキームに従って添加し、そして強い剪断(ULTRA-TURRAX 24000/分、5分)下で混合した。得られるエマルジョンを、所定の温度で6時間、反応せしめ(表4)、次に室温に一晩、移動した。pHを中性に調節し、その後、生成物を導電率が15μSi/cm以下になるまで、限外濾過(MWCO 10000)により精製した。生成物を凍結し、そして凍結乾燥した。NMR分光法は、すべての生成物が変性されたことを確証した。すべてのサンプルは、1%w/v濃度で0.1MのNaClにおいて濁った溶液を付与した。
【0104】
【表4】
【0105】
例15:ASA HAがO/Wエマルジョンを安定化する:
例14において調製された、ASA−HA番号1, 3, 4, 5, 6, 7及び変性されていないHA(MAG30014)を、次のレシピに従って、3種の化粧用オイル(鉱油、ジエチルへキシルカーボネート及びエチルヘキシルパルミテート)と共に配合した:
1.6mlのオイルを、0.1MのNaCl及び0.29%のASA-HAの水溶液14mlに添加した。
2.その溶液を、強い剪断下で25秒間、混合した(24000/分でULTRA-TURRAX)。
3.前記エマルジョンを、暗室において室温で8週間、放置し、24時間及び8週間後、安定性について視覚的に評価した。
【0106】
すべての誘導体は、対照及び変性されていない出発HAに比較して、高められたエマルジョン安定性を示した(エチルヘキシルパルミテートについて、24時間及び8週後のサンプルについては、図7を参照のこと)。これは、ASA−HAがエマルジョンに基づいて化粧品又は進歩した薬剤供給システムにおいて乳化剤として使用され得ることを示す。
【0107】
例16:長いアルキル鎖を有する種々の低−MW ASA HA誘導体:
低MW ASA HAを、高MW HAについて例15に記載のようにして調製し、唯一の差異は、HA(23kDa)の出発濃度が2%w/vであったことである。表5におけるすべてのサンプルを、60℃で調製し、そして限外濾過(MWCO 3000kDa)により精製し、そして凍結乾燥した。DSを、例6に記載のようにして、1H NMR分光法により決定した。
【0108】
【表5】
【0109】
例17:フェニル琥珀酸の遊離基掃去性質:
水溶液中、PhSA-HA(14kDa)(10mg/ml)は、ヒドロキシル基(Cu2+/H2O2により生成される)の存在下で、変性されていないHAよりも、より早く分解することが示され、続いて、画線カメラ観察及び光散乱(DLS/SLS)研究の両者により示された。これは、PhSA-HAが化粧品配合物への可能性ある使用のために遊離基掃去剤としての可能性を有することを示す。
【0110】
例18:オクテニル無水琥珀酸−ヒアルロン酸誘導体(OSA-HA、DS16%)の決定的凝集濃度(CAC)の決定:
OSA-HA誘導体の決定的凝集濃度(CAC)を、等温滴定熱量計VP-ITC(Microcal LLC, USA)を用いて熱量法により決定した。OSA-HAの濃縮溶液(0.294ml、蒸留水中、15mg/ml)を用いて、熱量計サンプルセルにおける蒸留水(1.4615ml)を滴定した。OSA-HAの溶液(2μl、15mg/ml)を300秒ごとに注入し、そしてサンプルセルにおけるエンタルピー変動(ΔH)を、図8に示されるようにして、時間にわたって記録した。
【0111】
ΔHを、サンプルセルにおけるOSA-HA濃度の関数としてプロットし、そしてOSA-HAのCACを曲線の屈折点で決定した。個々の実験を3度、反復し、そしてCACを平均値として供給した。例えば、16%の置換度(DS)を有するOSA-HAのCACは0.45mg/mlであった(図9)。
この研究は、OSA-HAの結合性質の存在を確認した。さらに、それは、ミセル及び/又は微粒子/超微粒子へのそれらの誘導体の可能性ある配合を示し、それらを、疎水性化合物、例えば疎水性化粧生物活性剤及び薬剤の封入及び供給への使用のために適切にする。
【0112】
例19:オクテニル無水琥珀酸−ヒアルロン酸誘導体(OSA-HA、DS44%)の決定的凝集濃度(CAC)の決定:
44%の置換度を有するOSA-HAのCACを、水浴(Julabo F10, Merck, United States)により温度調節された分光蛍光計(FluoroMax, Spex, United States)を用いて、蛍光顕微鏡により決定した。ナイルレッドを、蛍光プローブとして使用した。蛍光を、異なったリン酸緩衝液(表7)において調製された広範囲のOSA-HA溶液(表6)に基づいて測定した。
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】
ナイルレッド(3.184mg)を、THF及びアセトンの混合物(50/50, 10ml)に溶解した。この溶液(10μl)を、個々のOSA-HA溶液(10ml)と共に、暗室において及び室温で一晩、撹拌下でインキュベートした。個々の溶液を、543nmの励起波長で25℃で分析し、そして発光スペクトルを580〜700nmで記録した。励起スリットを1に設定し、そして発光スリットを個々の溶液のために調節した。蛍光発光の強度(I)を、波長(λ)の関数としてプロットした。
【0116】
最大強度に対応する波長(λmax)を、オーダー6の多項関数により曲線I対λを適合することにより決定した。個々のλmax値は、3個の測定値の平均であった。
CACを決定するために、λmaxを、ポリマー濃度(C)の関数としてプロットした。CACは曲線λmax対Cの変曲点で推定された(図10)。
【0117】
図10においては、OSA-HA(DS=44%)のCACは、0.003〜0.004mg/ml間に存在した。この現象は、変性されていないHAについては観察されなかった。実際、蛍光はいずれのHA濃度でも検出され得ず、これは、HA溶液にナイルレッドを溶解することは不可能であることを意味する。これは、OSA-HA溶液においてポリマーアセンブリーの存在を示す。
【0118】
例20:OSA-HA(DS=44%)のCACに対する塩濃度の影響:
前記例に記載される実験設定と同じ設定を用いて、OSA-HA(DS=44%)のCACの値に対する塩濃度の影響を研究した。その結果は、下記表8が及び図11に示される。
【0119】
【表8】
【0120】
例21:OSA-HA(DS=44%)ポリマーミセルのZeta電位:
OSA-HA(DS=44%)ポリマーミセルZeta電位を、ドップラーレーザー干渉計にカップリングされた細管電気泳動(Zetasizer 3000HS, Malvern, United Kingdom)により決定した。測定値は25℃で記録された。CSA-HAを10〜3MのNaCl(1mg/mlの濃度で)に、測定の前、溶解した。OSA-HA(DS=44%、10〜3MのNaCl中、1mg/ml)のZeta電位を、約−25mVに評価した(図12)。
【0121】
例22:OSA−HA(DS=44%)ポリマーミセルの透過性電子顕微鏡検査:
OSA−HA(DS=44%)ポリマーミセルの顕微鏡観察を、透過性電子顕微鏡(EM 410, Philips, The Netherlands)により行った。サンプルをイオン化された炭素被覆された銅グリッド上に置き、そして酢酸ウラニル水溶液(2%)により染色した。顕微鏡スナップショットは、OSA-HAポリマーミセルが球形状であり、そして典型的には50〜200nmのミクロン以下の寸法を有することを明確に示した(データーは示されていない)。これは図13に示される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、HAのASA変性の略図を示す。
【図2】図2は、例5及び6の100kDaのOSA-HA (14919-033)の部分的に割り当てられた1H NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、HAを変性するために使用されるASAの化学構造を示す。
【図4】図4は、異なったポリマー配座についてRgとMwとの間の関係を要約するHaugの三角を示す。二重対数尺度において分子量(Mw)に対して回転(Rg)の半径をプロットすることにより、ポリマーの配座についての情報を得ることができる。
【0123】
【図5】図5は、下記例12のASA変性されたLMW HAについての濃度プロフィール(RI)を示す。
【図6】図6は、例13に記載されるような表面張力計(Wilhemyプレート)を用いて、LMW OSA-HAに対する表面張力測定の結果を示す。
【図7】図7は、例15に記載されるようにして調製されたエチルヘキシルパルミテート(化粧用オイル)による、24時間及び8週後のASA-HAの乳化性質を示す。
【0124】
【図8】図8は、例18に記載されるようにして熱量法により決定されたOSA-HA誘導体の決定的凝集濃度(CAC)、及び図8に示されるように時間にわたって記録されたサンプルセルにおけるエンタルピー変動(ΔH)を示す。
【図9】図9は、サンプルセルにおけるOSA-HA濃度の関数としてプロットされた例18のエンタルピー変動(ΔH)、及び曲線の屈折点で決定されたOSA-HAのCACを示す。個々の実験を3度、反復し、そしてCACを平均値として供給した。例えば、16%の置換度(DS)を有するOSA-HAのCACは0.45mg/mlであった。
【0125】
【図10】図10は、例19に記載のようにして、緩衝液1におけるOSA-HA(DS=44%)濃度の関数として最大発光の波長を示す。
【図11】図11は、例20に記載のように、OSA-HA(DS=44%)濃度の関数としての最大発光の波長、及びNaClの濃度の上昇と共にCACの下降を示す。
【図12】図12は、例21に記載のように、10〜3MのNaClにおけるOSA-HA(DS=44%、1mg/ml)のZeta電位を示す。
【図13】図13は、球形状であり、そして典型的には、50〜200nmのマイクロメーター以下の寸法を有する、例22からのOSA-HA(DS=44%)ポリマーミセルの透過電子写真を示す。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アリール/アルキル無水琥珀酸HA誘導体(ASA-HA)を生成するために、アリール−又はアルキル無水琥珀酸(ASA)によるヒアルロン酸(HA)の変性、ASA-HA誘導体,及び特に化粧品及び生物医薬産業におけるそれらの適用及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
身体中の最も豊富なヘテロ多糖は、グリコサミノグリカンである。グリコサミノグリカンは、反復する二糖単位からなる枝なしの炭水化物ポリマーである(ケラタン硫酸のみが炭水化物のコアー領域において枝分かれされている)。二糖単位は一般的に、第1のサッカリド単位として、2種の変性された糖、すなわちN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)又はN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)の1つを含んで成る。第2の単位は通常、ウロン酸、例えばグルクロン酸(GlcUA)又はイズロネートである。
【0003】
グリコサミノグリカンは負に荷電された分子であり、そして溶液において高い粘度を付与する拡張されたコンホメーションを有する。グリコサミノグリカンは、細胞の表面上に又は細胞外マトリックスに位置する。グリコサミノグリカンはまた、溶液において低い圧縮性を有し、そして結果として、生理学的潤滑液、例えば関節として理想的である。グリコサミノグリカンの剛性が、細胞に構造的に結合性を付与し、そして細胞間に通路を提供し、細胞移動可能にする。最高の生理学的に重要なグリコサミノグリカンは、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸及びケラタン硫酸である。ほとんどのグリコサミノグリカンは、特定のオリゴ糖構造を通してプロテオグリカンコアータンパク質に共有結合する。ヒアルロナンは、一定のプロテオグリカンと大きな凝集体を形成するが、しかし遊離炭水化物鎖がプロテオグリカンと非共有複合体を形成する場合、例外である。
【0004】
身体中でのヒアルロナンの多くの役割は同定されている(Laurent T. C. and Fraser J. R. E. , 1992, FASEB J. 6: 2397-2404; 及び Toole B. P. , 1991, "Proteoglycans and hyaluronan in morphogenesis and differentiation."In : Cell Biology of the Extracellular Matrix, pp. 305-341, Hay E. D. , ed., Plenum, New Yorkを参照のこと)。ヒアルロナンは、硝子軟骨、滑膜関節液及び皮膚組織(真皮及び表皮の両者)に存在する。ヒアルロナンはまた、多くの生理学的機能、例えば付着、成長、細胞運動性、癌、脈管形成及び創傷治癒における役割を有すると思われる。ヒアルロナンのユニークな物理的及び生理学的性質のために、それは眼及び関節の手術に使用され、そして他の医学的方法においても評価される。
【0005】
用語“ヒアルロナン”又は“ヒアルロン酸”とは、細胞表面、脊椎贓物の結合組織の塩基性細胞外物質、関節の滑液、眼の眼内流体、ヒト臍帯組織及び鶏冠において天然において存在する、D−グルクロン酸及びN−アセチル−D−グルコサミン酸の残基により構成される、異なった分子量を有する酸性多糖類を意味するために文献において使用される。
【0006】
用語“ヒアルロン酸”とは、種々の分子量を有するD−グルクロン酸及びN−アセチル−D−グルコサミン酸の交互の残基、又はその分解された画分を有する一連の多糖類を意味するものとして実際使用され、そして従って、“ヒアルロン酸”の複数用語を用いることが、より正しいと思われる。しかしながら、単一用語は、この記載においてすべて同じに使用され;さらに、略語“HA”は時折、この集合的な用語の代わりに使用されるであろう。
【0007】
HAは、多くの組織、例えば皮膚、腱、筋肉及び軟骨の細胞のための機械的な支持体として、生物において重要な役割を演じ、すなわちそれは、細胞内マトリックスの主成分である。HAはまた、生物学的工程、例えば組織の保湿及び湿潤において他の重要な部分を演じている。
【0008】
HAは、上記天然の組織から抽出され得るが、但し今日、感染剤の移行の可能性ある危険性を低め、そして生成物の均等性、品質及び利用性を高めるために、微生物学的方法により、それを調製することが好ましい。
【0009】
HA及びその種々の分子サイズ画分、及びそれらのそれぞれの塩は、特に関節症の処理における薬剤として、特に眼科学及び美容外科における天然の器官及び組織のための助剤及び/又は置換剤として、及び化粧製品における剤として使用されて来た。ヒアルロナンの生成物はまた、整形外科、リウマチ学及び皮膚学への使用のためにも開発されて来た。
HAはまた、衛生及び手術製品のために使用される種々のポリマー材料、例えばポリウレタン、ポリエステル、等のための、それらの材料を生物適合性にする効果を有する添加剤としても使用され得る。
【0010】
ASA変性又は誘導体化は、紙産業においては十分に確立されており、ここでアルキル無水琥珀酸が、紙表面(セルロース)を、より耐水性にするために使用されている(Chen, G.C.I., Woodward, T.W. (1986) Optimizing the emulsification and sizing of alkenyl succinic anhydride, Tappi Journal, August, 95-97)。食品産業においては、2−オクテン−1−イル無水琥珀酸(OSA)変性澱粉が、油/水エマルジョン、例えば低脂肪マーガリン及びマヨネーズを安定化するために使用されて来た(Jarowenko, W. (In: Properties and uses of modified starches, 1986, Ed.: O. Wurzburg) Acetylated starch and miscellaneous organic esters, pp 55-77)。さらに、OSA変性された澱粉の流動学的性質は、変性されていない澱粉に比較して、非常に異なる(Park, S., Chung, M. -G., Yoo, B. (2004) Effects of octenylsuccinylation on rheological properties of corn starch pastes, Starch 56:399-406)。
【0011】
ASA誘導体化方法の利点は、生成物が非毒性であり、化学薬品が安価で、そして反応が1段階工程であることである(Trubiano, PC. [In: Properties and uses of modified starches, 1986, Ed.: O. Wurzburg] Succinate and substituted succinate derivatives of starch, pp 131-147; Wurzburg, OB. 1995. Modified starches, In: Food Science and Technology, Vol. 67, New York, pp. 67-97)。
【0012】
澱粉に対する初期の研究によれば、第一及び第二ヒドロキシル基の両者がOSAと反応する(Shogren, RL, Viswanathan, A., Felker, F., Gross, RA (2000), Distribution of octenyl succinate groups in octenyl succinic anhydride modified waxy maize starch, Starch 52:196-204)。
【発明の開示】
【0013】
発明の要約:
変性されていないHAに比較して、一定の変更された特性を有する、ヒアルロン酸に基づく化合物又は誘導体についての必要性が、特に化粧品及び生物医学産業において存在する。興味ある性質は、例えば典型的には、化粧品に使用される、気泡を安定化する改良された能力、及び非親水性材料とブレンドする能力である。
【0014】
本発明は、化粧品又は生物医学的適用において有益な性質を有する両親媒性HA−誘導体生成物を提供する。それらの生成物は、皮膚に対してより強く結合し、その結果、それらは容易には洗浄されない。ASA−HA誘導体はまた、より開発された化粧品又は生物医学的配合物への使用のために、例えば活性化合物又は薬剤の供給のためにナノ/マクロカプセル又は超微小/微小球体の形成において適切である。低分子量(MW)のASA−HA誘導体は、相当のMWの誘導体化されていないHAよりも、より効果的に皮膚を浸透するであろう。
【0015】
本明細書における例においては、ヒアルロン酸(HA)は、水中、アルカリ性条件(pH>8.0)下でアルキル/アリール無水琥珀酸(ASA)により変性された。得られる生成物は精製された(沈殿又は透析)。それらの精製された生成物は、水において部分的に水不溶性凝集体を形成した。1%溶液は、気泡を安定化することが示された(低められた表面張力及び高められた界面粘度)。1H NMR分光学は、得られる生成物におけるHA“主鎖”の化学構造が変更された(但し、約18%の置換度(DS)までのASA半−エステル基の導入を除く)ことを確証した。
従って、第1の観点においては、本発明は、n個の反復範囲を含んで成り、そしてpH8-9で、下記一般構造式(I):
【0016】
【化1】
【0017】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、pH8-9で、下記一般構造式(II):
【化2】
(式中、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8はアルキル−又はアリール−基を含んで成り、そして他方では、R5, R6, R7, R8は水素原子Hであり、そして“エステル”ラベルされた酸素は構造式(I)とのエステル結合を形成する)を有するエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕
を有するヒアルロン酸誘導体に関する。
【0018】
換言すれば、本発明の観点は、ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基が、反応において1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)により置換され、ヒアルロン酸と得られる1又は複数のアルキル−/アリール−琥珀酸との間にエステル結合が形成されている、ヒアルロン酸誘導体に関する。
【0019】
第2の観点においては、本発明は、
(a)ヒアルロン酸(HA)と、下記式(III ):
【化3】
【0020】
で示される一般構造式を有する、1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)とを、水溶液中、アルカリ性条件下で反応せしめ、それにより、ヒアルロン酸誘導体が形成され;そして
(b)前記ヒアルロン酸誘導体を回収する;
段階を含んで成るヒアルロン酸誘導体の生成方法に関する。
【0021】
第3の観点においては、本発明は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤を含んで成る組成物に関する。
本発明の第4の観点は、有効量の第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、及び医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤を含んで成る医薬組成物に関する。
【0022】
第5の観点は、ビークルとしての有効量の第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、及び薬理学的活性剤を含んで成る医薬組成物に関する。
第6の観点は、有効量の第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第2,3又は4の観点のいずれかにおいて定義されるような組成物を活性成分として含んで成る化粧製品に関する。
【0023】
第7の観点においては、本発明は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第2,3又は4の観点のいずれかにおいて定義されるような組成物を含んで成る、衛生、医学又は手術製品、好ましくはオムツ、衛生用タオル、手術用スポンジ、創傷治癒スポンジ、又はバンドエイド又は他の創傷包帯材料に含まれる部分に関する。
重要な観点は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第3,4又は5の観点のいずれかにおいて定義されるような組成物を含んで成る医薬カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、微晶球又は超微晶球に関する。
【0024】
本発明の最終観点は、眼科学的処理、変形性関節炎又は癌、抜け毛又は禿げの処理、創傷の処理、又は薬理学的活性剤の皮膚又は経皮投与又は化粧品の皮膚投与の実施方法に関し、ここで前記方法は、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体、又は第2、第3又は第4の観点のいずれかに定義されるような組成物の使用を包含する。
【0025】
多くの観点は、変形性関節炎、癌の処理のための薬剤の製造、眼の処理のための薬剤の製造、創傷の処理のための薬剤の製造、脈管形成の処理のための薬剤の製造、抜け毛又は禿げの処理のための薬剤の製造、又はモイスチャライザーの製造のためへの、第1の観点において定義されるようなヒアルロン酸誘導体又は第3、第4又は第5の観点のいずれかに定義されるような組成物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
発明の特定の記載:
ヒアルロン酸:
“ヒアルロン酸”は、β−1,4及びβ−1,3グリコシド結合を変えることによって一緒に結合される、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びグルクロン酸(GlcUA)の反復二糖単位から構成される、硫酸化されていないグリコサミノグリカンとして、本明細書においては定義される。ヒアルロン酸はまた、ヒアルロナン、ヒアルロネート又はHAとして知られている。用語、ヒアルロナン及びヒアルロン酸は、本明細書においては、交換可能的に使用される。
【0027】
雄鶏の鶏冠は、ヒアルロナンのための有意な商業的源である。微生物は他の源である。アメリカ特許第4,801,539号は、1L当たり約3.6gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooepidemicus)の株を包含するヒアルロン酸の調製のための発酵方法を開示する。ヨーロッパ特許第0694616号は、1L当たり約3.5gのヒアルロン酸の報告される収率を伴って、ストレプトコーカス・ズーエピデシカスの改良された株を用いての発酵方法を開示する。引用により本明細書に組み込まれるWO03/054163号(Novozymes)に開示されるように、ヒアルロン酸又はその塩は、グラム陽性バシラス宿主において組換え的に生成され得る。
【0028】
ヒアルロナンシンターゼは、脊椎動物, 細菌病原体,及び藻類ウィルス (DeAngelis, P. L., 1999, Cell. Mol. Life Sci, 56: 670-682)から記載されている。WO99/23227号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスからのグループIヒアルロン酸シンターゼを開示する。WO99/51265号及びWO00/27437号は、パスツレラ・マルトシダからのグループIIヒアルロン酸シンターゼを記載する。Ferrettiなどは、それぞれヒアルロン酸シンターゼ、UDPグルコースデヒドロゲナーゼ及びUDP−グルコースピロホスホリラーゼをコードする3種の遺伝子、hasA, hasB及びhasCから構成される、ストレプトコーカス・ピオゲネスのヒアルロナンシンターゼオペロンを開示する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98, 4658-4663,2001)。WO99/51265号は、ストレプトコーカス・エクイシミリスヒアルロナンシンターゼのためのコード領域を有する核酸セグメントを記載する。
【0029】
組換えバチルス細胞のヒアルロナンは、培養培地に直接的に発現されるので、単純な方法が、培養培地からヒアルロナンを単離するために使用され得る。第1に、バチルス細胞及び細胞残骸が培養培地から物理的に除去される。最初に、培養培地が、所望により、希釈され、培地の粘度が低められる。培養培地から細胞を除去するための多くの方法、例えば遠心分離又はマイクロフィルトレーションは、当業者に知られている。所望には、次に残る上清液が、例えば限外濾過により濾過され、濃縮され、そしてヒアルロナンから小さな分子汚染物が除去される。
【0030】
細胞及び細胞残骸の除去に続いて、培地からのヒアルロナンの単純な沈殿が既知機構により行われる。塩、アルコール、又は塩及びアルコールの組合せが、濾液からヒアルロナンを沈殿するために使用され得る。沈殿物に減じられると、ヒアルロナンは物理的手段により、溶液から容易に単離され得る。ヒアルロナンは、当業界において知られている蒸発技法、例えば噴霧乾燥により、濾液溶液から乾燥されるか又は濃縮され得る。
【0031】
本発明の第1の観点は、n個の反復範囲を含んで成り、そしてpH8-9で、下記一般構造式(I):
【化4】
【0032】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、pH8-9で、下記一般構造式(II):
【化5】
【0033】
(式中、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8はアルキル−又はアリール−基を含んで成り、そして他方では、R5, R6, R7, R8は水素原子Hであり、そして“エステル”ラベルされた酸素は構造式(I)とのエステル結合を形成する)を有するエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕
を有するヒアルロン酸誘導体に関する。
【0034】
前記第1の観点の好ましい態様においては、2又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り;好ましくは3又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成る。
【0035】
前記第1の観点のもう1つの好ましい態様においては、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り;好ましくは前記アルキル基は、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る。
【0036】
さらにもう1つの好ましい態様は、前記第1の観点のHA誘導体に関して、ここで少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り;そして好ましくは前記アリール基はフェニルである。
好ましくは、R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る。
【0037】
分子量:
ヒアルロン酸のレベルは、改良されたカルバゾール方法(Bitter and Muir, 1962, Anal Biochem. 4: 330-334)に従って決定され得る。さらに、ヒアルロン酸の平均分子量は、当業界における標準の方法、例えばUeno など, 1988, Chem. Pharm. Bull. 36, 4971-4975; Wyatt, 1993, Anal. Chim. Acta 272: 1-40; 及び Wyatt Technologies, 1999, "Light Scattering University DAWN Course Manual" and "DAWN EOS Manual" Wyatt Technology Corporation, Santa Barbara, Californiaにより記載されるそれらの方法を用いて決定され得る。
【0038】
好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約800〜約10,000,000Daの分子量を有する。より好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約1 ,000〜約9,000,000 Da; 約2,000 〜約10,000,000 Da; 約 4,000〜約10,000,000 Da; 約8,000〜約10,000,000 Da; 約 10,000〜約 10,000,000 Da;又は約 25,000〜約 5,000,000 Daの分子量を有する。さらにより好ましい態様においては、本発明の方法により得られるヒアルロン酸誘導体は、約50,000〜約3,000,000Daの分子量を有する。
【0039】
もう1つの好ましい態様は、第1の観点の生成物に関し、ここで前記ヒアルロン酸又はその塩は、300,000〜3,000,000;好ましくは400,000〜2,500,000;より好ましくは500,000〜2,000,000;及び最も好ましくは600,000〜1,800,000Daの範囲の分子量を有する。
【0040】
組換え的に生成されるヒアルロン酸又はその塩が本発明の生成物又は組成物を製造するために本発明の方法に使用される場合、最初に、ヒアルロン酸又はその誘導体又はその塩の平均分子量を低めることがいくつかの適用のために好都合である。例えば、皮膚において天然含有量のヒアルロン酸を再確立するために皮膚バリヤーを浸透できることが、いわゆる低分子量画分のヒアルロン酸のいくつかの製造業者により言及されており、従って、そのような画分は抗−皮膚剤及び抗−しわ剤として市販されている化粧品組成物のために特に適切である。
【0041】
食品適用に関しては、低MWヒアルロン酸が、胃腸バリヤーを浸透し、それによりその生物利用能を高めることが示されている。最終的に、低MWヒアルロン酸は抗炎症効果を示し、そして炎症疾患の処理への可能性ある適用を有する。ヒアルロン酸又はその誘導体又は塩の平均分子量の低下は、当業界における標準方法、例えば単純な加熱処理、酵素分解、超音波処理又は酸加水分解により達成され得る。添加剤としてNaOClを包含するHAの超音波処理技法を記載するアメリカ特許第6,020,484号、及びT. Miyazakiなど (2001) Polymer Degradation and Stability, 74: 77-85を参照のこと。
【0042】
従って、好ましい態様は、本発明のHA誘導体に関して、ここで前記ヒアルロン酸又はその誘導体又は塩は、800〜10,000,000Da;好ましくは10,000〜1,500,000Da;好ましくは10,000〜50,000Da;又は好ましくは50,000〜500,000Da;さらにより好ましくは80,000〜300,000Daの範囲の低い平均分子量を有する。
【0043】
置換度(DS):
DSは、下記例6に従って、1H NMR分光法(10mg/ml、D2O, 80℃、128走査、400MHz)により決定され、ここでOSA基からのピークが2D−NMR(gCOSY)の使用により割り当てられた。次に、DSが、OSAのビニルプロトン(5.4及び5.6ppm)の強度と、アセチルプロトン(2.0ppm)の強度とを比較することにより、計算された。
【0044】
好ましい態様においては、第1の観点のHA誘導体は、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲の置換度(DS)を有する。
【0045】
アルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA):
本発明の好ましい態様においては、1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)は、下記一般構造式(III ):
【0046】
【化6】
を有する。
【0047】
1つの好ましい態様においては、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、さらにより好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り;そして好ましくは、前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る。
【0048】
もう1つの好ましい態様においては、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る(好ましくは、フェニル基を包含する)。
【0049】
さらにもう1つの好ましい態様においては、R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る。
さらにもう1つの好ましい態様においては、1又は複数のASAは、図3に示される構造式のいずれかを含んで成る。
【0050】
生成:
本発明の方法においては、次の方法により生成される、組換え的に生成されるHAが使用され得、ここで前記HA−生成宿主細胞が、当業界において知られている方法を用いて、ヒアルロン酸の生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、適切な培地において、及びヒアルロン酸合成に関与する酵素の発現及びヒアルロン酸の単離を可能にする条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。
【0051】
培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。分泌されたヒアルロン酸は、培地に直接的に回収され得る。
【0052】
得られるヒアルロン酸は、当業界において知られている方法により単離され得る。例えば、ヒアルロン酸は、便利な方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から単離され得る。次に単離されたヒアルロン酸は、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、又は抽出(例えば、Protein Purification, J. -C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照のこと)(但し、それらだけには限定されない)により、さらに精製され得る。
【0053】
宿主細胞:
好ましい態様は、好ましくはグラム陽性細菌又は宿主細胞により、より好ましくはバチルス属の細菌により、組換え的に生成されるヒアルロン酸又はその塩に関する。
【0054】
宿主細胞は、ヒアルロン酸の組換え生成のために適切ないずれかのバチルス細胞であり得る。バチルス宿主細胞は、野生型バチルス細胞又はその変異体であり得る。本発明の実施において有用なバチルス細胞は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:バチルス・アガラデルヘンス(Bacillus agaraderhens)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジ(Bacillus clausii)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)細胞。変異体バチルス・サブチリス細胞は、WO98/22598号に記載されるように、組換え発現のために特に適合される。非被包性バチルス細胞は、本発明において特に有用である。
【0055】
好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・クラウジ、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞である。より好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・アミロリケファシエンス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・クラウジ細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・レンタス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・リケニホルミス細胞である。もう1つのより好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリス細胞である。最も好ましい態様においては、バチルス宿主細胞は、バチルス・サブチリスA164Δ5(アメリカ特許第5,891,701号を参照のこと)、又はバチルス・サブチリス168Δ4である。
【0056】
本発明の核酸構造体によるバチルス宿主細胞の形質転換は、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115を参照のこと)により、コンピテント細胞の使用(Young and Spizizen, 1961, Journal of Bacteriology 81 : 823- 829, 又は Dubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56 : 209-221を参照のこと)により、エレクトロポレーション(Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)により、又は接合(Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5271-5278を参照のこと)により行われ得る。
【0057】
塩及び架橋されたHA:
好ましい態様は、ヒアルロン酸の無機塩、好ましくはヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、又はヒアルロン酸コバルトを含んで成る、第1の観点のヒアルロン酸誘導体に関する。
【0058】
多官能エポキシ化合物によりHAを架橋することにより調製される、架橋されたHA又はその塩の調製が、EPO161887B1号に開示されている。脂肪族アルコールとHAとの合計の又は一部の架橋されたエステル、及び無機又は有機塩基とのそのような部分的エステルの塩が、アメリカ特許第4,957,744号に開示されている。HAを架橋する他の手段が、アメリカ特許第5,616,568号, 第5,652,347号及び 第5,874,417号に開示されている。
【0059】
架橋されたHAはまた、次の通りに、硼酸によりHAを処理することによって調製され得る:発酵によりバチルス・サブチリスにおいて組換え的に生成される、乾燥されたヒアルロン酸ナトリウム(Na-HA、203mg)(WO03/054163号;Novozymes)を、0.2MのNaOHに溶解し、4%溶液を得た。硼酸(35mg;約1当量のHA二糖)を添加し、そしてそのサンプルを室温で1.5時間、撹拌し、そして次に、5℃で約2.5日間、貯蔵した。対照サンプルを上記と正確に同じようにして同時に調製した(但し、硼酸は使用されなかった。)
【0060】
得られるHA−ボレートヒドロゲルの粘度を、Carrimed CSL制御された応力レオメーター(円錯幾何学:6cm、2°)を用いて、25℃で測定した。粘度は、剪断速度に依存し、そして対照サンプルに比較して、HA−ボレートヒドロゲルにおいて少なくとも4倍(4.2〜8.4倍)、上昇し、このことは、架橋された網状構造の形成を示す。1200及び945cm-1での新規ピークが、Na-HAの標準スペクトルに比較して、HA−ボレートヒドロゲルのFT−IRスペクトル上で観察され、これは、架橋されたHA−ボレートヒドロゲルにおける新規に形成されたボレートエステルの存在に対応する。
【0061】
従って、好ましい態様は、架橋されたヒアルロン酸又はその塩を含んで成る、第1の観点のHA誘導体に関し、好ましくは前記ヒアルロン酸は硼酸により架橋され、そしてより好ましくは、架橋されたヒアルロン酸はボレートエステルを含んで成る。
【0062】
粒度:
第1の観点の好ましいHA誘導体は、イソプロパノールに懸濁された粒子のレーザー回折測定により決定される場合、D50が10〜1,000ミクロン、好ましくは100〜1,000ミクロン、より好ましくは150〜900ミクロン、そしてさらに好ましくは200〜800ミクロンの間である50パーセントの粒度を有する。
【0063】
好ましい態様においては、第1の観点のHA誘導体の多分散性が、次の式に従って計算されるSPAN値として測定され:SPAN=(D90-D10)/D50、そしてSPAN値は1.0〜2.5であり;好ましくはSPAN値は1.2〜2.2であり;より好ましくはSPAN値は1.5〜1.9であり;そして最も好ましくはSPAN値は1.6〜1.8である。
【0064】
微粒子:
下記例に示されるように、本発明は、微粒子又は超微粒子、又はマイクロカプセル又はナノカプセルを形成できるASA-HA誘導体を提供する。そのような粒子又はカプセル、又はそれらを含んで成る組成物は、多数の商業的及び科学的適用、例えば化粧品又は一般的薬物供給に使用できる。
【0065】
他の成分:
好ましい態様においては、本発明のHA誘導体を含んで成る組成物はまた、他の成分、好ましくは1又は複数の活性成分、好ましくは1又は複数の薬理学的活性物質、及びまた、好ましくは水溶性賦形剤、例えばラクトースを含んで成ることができる。
【0066】
本発明においては使用され得る活性成分又は薬理学的活性物質の非制限的例は、タンパク質及び/又はペプチド薬剤、例えばヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン/ペプチド、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子、マクロファージ−コロニー刺激−因子、エリスロポイエチン、骨形態発生性タンパク質、インターフェロン又はその誘導体、インシュリン又はその誘導体、アトリオペプチン−III、モノクロナール抗体、腫瘍壊死因子、マクロファージ活性化因子、インターロイキン、腫瘍分解因子、インスリン様成長因子、表皮成長因子、組織プラスミノゲン活性化因子、第IIV因子、第IIIV因子、及びウロキナーゼを包含する。
【0067】
水溶性賦形剤は、活性成分を安定化するために包含され得、そのような賦形剤は、タンパク質、例えばアルブミン又はゼラチン;アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、グルタミン酸、アルギニン、リシン及びその塩;炭水化物、例えばグルコース、ラクトース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、サッカロース、デキストラン、マンニトール、ソルビトール、トレハロース及びコンドロイチンスルフェート;無機塩、例えばホスフェート;界面活性剤、例えばTWEEN(商標)(ICI)、ポリエチレングリコール及びその混合物を包含することができる。賦形剤又は安定剤は、生成物の0.001〜99重量%の範囲の量で使用され得る。
【0068】
本発明のいくつかの観点は、他の構成成分の中で、有効量の第1の観点において定義されるような生成物、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤;医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤、好ましくは水溶性賦形剤、及び最も好ましくはラクトースを含んで成る種々の医薬組成物に関する。
【0069】
さらに、本発明の観点は、第1の観点において定義されるようなHA誘導体又は上記観点及び態様において定義されるような組成物を含んで成る製品、例えば化粧品、衛生製品、医学又は手術製品に関する。最終観点においては、本発明は、第1の観点において定義されるような生成物、又は本発明の他の観点及び態様において定義されるような組成物を含んで成る薬剤カプセル又はマイクロカプセルに関する。
【実施例】
【0070】
材料:
高分子量(高−MW)ヒアルロン酸(HA):
−(バッチMAG30014)
−(バッチMAF145SD)
低分子量(低−MW)HA:
−100kDa(バッチ14919−021)
−30kDa(バッチ14919−032)
−23kDa
−14kDa
【0071】
アルキル/アリール無水琥珀酸:
−シスルトランス−2−オクテン−1−イル無水琥珀酸(OSA)、Aldrich Chemical Company (d.: 1.000, MW 220.27, 97% 純度)。
−フェニル無水琥珀酸(PhSA)(乾燥粉末、MW176.17)。
−ノネニル無水琥珀酸(NSA)Aldrich Chemical Company (d.: 1.032, MW 224.30, 95+% 純度, 1JS38, 246-00198-1)。
【0072】
−ドテセニル無水琥珀酸(DSA)(d.: 1.01, MW 266.38, 1JS38, 246-00168)。
−テトラプロピル無水琥珀酸(TpSA)。
−ヘキサデセニル無水琥珀酸(HDSA)。
−オクタデセニル無水琥珀酸(ODSA)。
−ODSA及びHDSAの混合物(50:50)。
【0073】
変性されたエタノール96%。
4MのHCl、及び4MのNaOH。
Na2CO3。
Milli-Q(商標)超純水 (Millipore)。
12〜14KDaの分子量カットオフを有する再生セルロースの透析管、Spectr/Por(TM) (Spectrum Medical Industries)。
Ultrafiltration 膜 (MWCO 10 kDa 及び 3kDa)。
【0074】
例1:高−MW OSA−HA、初期pH9.0、エタノール沈殿:
HA(バッチMAF145SD, 1.42g)を、Milli−Q水(200ml)に、室温で一晩、溶解し、その後、4MのNaOHによりpHを9.0に調節した。OSA(1ml、4.54mモル)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。20mlの飽和NaHCO3を添加し、反応を緩衝した。反応の後、pHを、1MのHClにより6.8に調節した。生成物を、96%エタノール(4体積)を添加し、80%v/vの最終濃度にすることによるエタノール沈殿により回収した。沈殿物を遠心分離(3000rpm、15分及び4℃)により回収した。ペレットを96%エタノールにより洗浄し、その後、MQ水に再溶液し、そして凍結乾燥した。
【0075】
例2:高−MW OSA−HA、初期pH11、エタノール沈殿:
3種のMilli−Q水の溶液の個々50mlに、HA(バッチMAF145SD、1.13g)を添加し、そして室温で一晩、溶解した。pHを、4MのNaOHにより11に調節した。異なった量のOSA(1.10ml(5,23mモル)、0.505ml(2.62mモル)、0.110(0.52mモル))を、3種の溶液の個々に強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で21時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。すべてのサンプルは、反応の後、約4〜5のpHを有した。生成物を、96%エタノール(4体積)を添加し、80%v/vの最終濃度にすることによるエタノール沈殿により回収した。沈殿物を遠心分離(3000rpm、15分及び4℃)により回収した。ペレットを96%エタノールにより洗浄し、その後、MQ水に再溶液し、そして凍結乾燥した。
【0076】
例3:高−MW OSA-HA、初期pH9.0、9〜11で維持されるpH、透析:
HA(バッチMAF145SD, 0.75g)を、Milli−Q水(150ml)に、室温で一晩、溶解し、その後、pHを9.0に調節した。OSA(1.42ml、6.25mモル)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約9〜11に維持した(1MのNaOHを添加する)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12-14,000Da)に対して3時間、3度透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0077】
例4:高−MW OSA-HA、初期pH8.5、9〜11で維持されるpH、透析:
HA(バッチMAF30014, 0.75g)を、Milli−Q水(150ml)に、室温で一晩、溶解し、その後、pHを8.5に調節した。OSA(1.42ml、6.25mモル)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約9〜11に維持した(1MのNaOHを添加する)。pHを、1MのHClの使用により6.5に調節した。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12-14,000Da)に対して3時間、3度透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0078】
例5:低−MW OSA-HA(30及び100kDa):
低−MW HA(30又は100KDa、2.5g)を、室温で一晩、Milli-Q水(50ml)に溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のOSA(3.35ml、HA:OSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.35ml、HA:OSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(1M又は0.5MのNaOHを添加する)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12-14,000Da)に対して3時間、3度透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0079】
例6:生成物の特徴化−結果及び論議:
分子量:
例5からの100KDaのOSA−HAを、SEC-MALLS-VISC (移動相: 15OmM NaCI, 5OmM NaH2PO4, pH 7.0, 0.5 ml/分, 注入される体積: 0.5 ml)を用いて分析した。使用されるカラム:PL aquagel OH-40/OH-50/OH60. System: Waters Alliance HPLC system Waters 2410 Rl detector and Wyatt MALLS detector。データは、Wyatt Technology Corp.からのASTRA Vソフトウェアを用いて処理された。
【0080】
置換度(DS):
DSを、1H NMR分光法(10 mg/ml, D2O, 8O℃, 128 の走査, 400MHz)により決定した。OSA基からのピークを、2D−NMR(gCOSY)の使用により割り当てた。
【0081】
結果及び論議;高−MW HA:
高−MW HAに対するすべての実験の間、観察は同じであった:OSAは、撹拌のために、徐々に、より小さな液滴に分割する琥珀色の油状液滴を形成する。反応の最後で、液滴は、ミセル又は微小規模の凝集体/小滴の形成として解釈され得る、乳白色且つ不透明であった。過剰のOSAが除去される、沈殿又は透析による精製の後でさえ、この現象はまだ、異なった程度、観察された。
【0082】
高−MW HAに対する最初の実験の間、80%エタノールにおける沈殿を用いて、OSA変性の過剰/副生成物を除去した。しかしながら、生成物を完全に沈殿する問題のために、Milli-Q水に対する透析を、より良好な方法として選択した。
【0083】
高−MW OSA-HAの初期調製物はすべて、溶液性質の変化を示した。1つの例は、それらすべて、数時間、非常に効果的に気泡を安定化した例であり;これは1%溶液を振盪し、続いて視覚による観察により単純に試験された。最初の実験の間のもう1つの観察は、溶液のpH値が反応の間、徐々に低下することであった。従って、例えばNaCO3により、又はpH安定装置の使用によりシステムを緩衝することが必要である。pH値は、反応の進行の間、8.0以上、及び加水分解によるOSA基の除去を回避するために9.0以下に維持することが重要である。
【0084】
NMR分光法が、高−MW OSA−HA生成物に対して試みられたが、しかし溶解性問題のために、OSA及びHAのいくつかの非常に弱いピークが観察され、そしてDSは決定され得なかった。すべての場合、収率は類似するか、又は出発材料HAの量よりもわずかに高かった(凍結乾燥された生成物を計量することにより決定された)。
【0085】
結果及び論議;低−MW HA:
4種の異なった実験を行い、そして1H−NMR分光法からのDS及び収率と一緒に、表1に要約する。DSは、OSAのビニルプロトン(5.4及び5.6ppm)の強度と、アセチルプロトン(2.0ppm)の強度とを比較することにより計算される。
【0086】
30kDaのOSA−HAの1H−NMRスペクトルを、2D NMR分光法(gCOSY)により解明し、そして部分的に割り当てられたピークが図2に与えられ、これは、100kDaのOSA−HA(14919−033)の1H−NMRスペクトルに示す。
結論的には、それらの実験においては、高−及び低−MWヒアルロン酸が2−オクテン−1−イル無水琥珀酸(OSA)により都合良く変性された。
【0087】
【表1】
【0088】
例7:低−MW OSA-HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のOSA(3.35ml、HA:OSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.34ml、HA:OSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.1g及び2.1gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ11.5%及び2.6%であった。
【0089】
例8:低−MWフェニル−無水琥珀酸(PhSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のPhSA(2.8g、HA:PhSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.28g、HA:PhSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.5g及び2.4gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ15.1%及び2.6%であった。
【0090】
例9:低−MW 2−ノネン−1−イル無水琥珀酸(NSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のNSA(3.55ml、HA:NSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.35ml、HA:NSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.4g及び2.2gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ11.4%及び2.1%であった。
【0091】
例10:低−MW 2−ドデセン−1−イル無水琥珀酸(DSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のDSA(4.20ml、HA:DSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.42ml、HA:DSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。精製及び凍結乾燥の後の収率はそれぞれ2.2g及び2.2gであった。DSを、例6に記載のようにして決定し、それぞれ2.2%及び1.7%であった。
【0092】
例11:低−MWテトラプロピル無水琥珀酸(TpSA)HA誘導体(14kDa):
低−MW-HA(14kDa、2.5g)を、Milli-Q水(50ml)に室温で溶解し、その後、pHを8.5に調節した。等モル量のTpSA(3.25ml、HA:TpSAの比1:1)又は1/10のモル濃度のHA(0.33ml、HA:TpSAの比10:1)を、強い撹拌下で添加した。その溶液を、周囲温度で16時間、強い撹拌(約600rpm)下で反応せしめた。pHを、pH安定装置の使用により約8.5〜9.0に維持した(0.5MのNaOHの添加)。生成物を、MQ水(4℃、7L、MWCO 12〜14,000Da)に対して3時間、3度、透析し、凍結し、そして凍結乾燥した。
【0093】
例12:種々の低−MW ASA HA誘導体(14kDa):
11種の別々の実験を、2種の異なったHA:ASAモル比(1:1及び10:1)で、5種の異なったASA(ASA名称、構造及び略語については図3を参照のこと)によりLMW HA(14kDa)を変性することにより実施した。得られる生成物を透析により精製し、過剰の試薬及び副生成物を除去した。置換度(DS)を、1H NMR分光法により、モノマーに基づいて決定した。収率を、凍結乾燥されたサンプルの重量分析により決定した。分子量を、SEC-MALLS-VISCにより決定した。GPCカラム上の材料の蓄積を回避するために、温度を、自動注入器により4℃〜15℃に調節した。この分析からのすべての結果は、表2に要約される。
【0094】
【表2】
【0095】
表2に要約される結果から見出され得るように、誘導体化反応は、低DSが所望する結果である場合、より平滑に作動する。得られるDSは、すべての異なったASAについて相当に類似するが、但しサンプル14658−148について低DS値(2.19)をもたらす、水において明らかに、非常に不安定性であるPhSAを除く。実験を反復し、ここでPhSA粉末がHA溶液に徐々に添加された。これは15%のDSをもたらし(15286−017)、これはASAの徐々の添加がHAに対する置換を高める手段であることを示す。
【0096】
DSAにより変性されたLMW HAに関しては、DS値はまた、より高いASA−HA比で、相当に低い。これはたぶん、DSA層の高い粘度のためである。さらに、反応されていないASAの液滴が、透析及び凍結乾燥の後、見出され得た。これは、ピペットにより手動的に除去されるべきである。
【0097】
たぶん、DSA−HAのDS及び純度は、強い撹拌と組み合わされる反応の間、温度を高めることにより改良され得る。DSAの徐々の添加はまた、HAと反応されるDSAの量を高めることができる。TpSAサンプル(15286−037及び15286−028)はまた分析されたことはない。
二重対数規模での分子量(MW)に対する回転(Rg)の半径をプロットすることにより、ポリマーの配座についての情報を得ることができる。Rg及びMWの関係が、Haug’s三角形に要約されている(図4)。
【0098】
配座プロットを、異なったASA-HAのすべてに対して行い、そしてその結果が表2に与えられる。ほとんどのサンプルは、変性されていないHAの配座でもある、ランダムコイルの因子に類似する因子を示す。球体の配座に類似する配座を有する高く変性されたOSA-HA, 及び凝集又は損なわれたカラム分離を示す非常に低い配座因子(0.20及び0.04)を示すNSA-HAが、たぶんカラム材料との相互反応のために、唯一の例外である。同様に、SEC-MALLS-VISC分析(図5を参照のこと)からの濃度プロフィール(RI-シグナル)を調べると、サンプル15286−010(11%NSA)に関して、初期溶出時間で、すなわち約35分で、凝集ピークが存在する。凝集現象はまた、サンプル14658−142(9.7%のOSA変性されたHA)及び15286−010(11%の変性されたNSA-HA)に関して、見掛けMWのわずかな上昇(表2)により示される。
【0099】
結論においては、低MWヒアルロン酸(14kDa)は、種々のアリール−/アルキル無水琥珀酸により都合よく変性された。OSA-HA及びNSA-HAの高DS生成物は、たぶん疎水性相互作用により引起される、いくらかの凝集傾向及び配座の変更を示す。
【0100】
例13:水溶液におけるOSA-HA(14kDa)の表面活性:
14kDaのOSA-HA(DS=9.7%、バッチ14658-142)及び変性されていないLMW HA(30kDa)の溶液を、表3に与えられる濃度に従って、MQ−水において調製した。サンプルを、表面張力計(Wilhelmyプレート)を用いての表面張力測定により分析した。溶媒(水)の表面張力は、同じ方法により72mN/m であることが決定された。表面張力測定の結果は図6に与えられ、そして表3に要約される。見られるように、表面張力は、OSA-HAの濃度の上昇と共に低下する。純粋な溶媒(MQ−水)及びLMW-HA(30kDa)と比較すれば、表面張力は、HA誘導体に関して、一層低い。
【0101】
さらに、表面張力は、OSA-HAに関して、時間依存性態様で低下し続けることが見出され得る。これは、OSA-HAが、溶媒の表面に拡散するために長時間、高MW界面活性剤として作用する事実により説明され得る(拡散速度はMWに半比例するので)。表面でのより表面活性のポリマーは、より低い表面張力を付与する。この時間依存性はまた、HAに実際的に共有結合され、そして溶液においてHAと単に同時存在しないOSA成分の追加の証明である。これはさらに、HAのOSA変性がそれを疎水性にしないが、しかし両親媒性にすることを包含する。それらの性質は、低い表面張力が必要とされ(例えば、局部眼)、又は乳化性質が化粧品又は医薬配合物においてエマルジョン又は気泡を安定化するために必要とされるシステムにおいて、潜在的に開発され得る。
【0102】
【表3】
【0103】
例14:高剪断混合による高MW ASA誘導体の調製:
HA(4g、MAG30021)を、400mlのMQ水に一晩、溶解した。溶液を室温(25℃)で維持し、又は60℃に加熱し、その後、炭酸ナトリウム(2g)を剪断(ULTRA-TURRAX 24000/分、5分)下で添加した。次に、ASAを、表4に表される反応スキームに従って添加し、そして強い剪断(ULTRA-TURRAX 24000/分、5分)下で混合した。得られるエマルジョンを、所定の温度で6時間、反応せしめ(表4)、次に室温に一晩、移動した。pHを中性に調節し、その後、生成物を導電率が15μSi/cm以下になるまで、限外濾過(MWCO 10000)により精製した。生成物を凍結し、そして凍結乾燥した。NMR分光法は、すべての生成物が変性されたことを確証した。すべてのサンプルは、1%w/v濃度で0.1MのNaClにおいて濁った溶液を付与した。
【0104】
【表4】
【0105】
例15:ASA HAがO/Wエマルジョンを安定化する:
例14において調製された、ASA−HA番号1, 3, 4, 5, 6, 7及び変性されていないHA(MAG30014)を、次のレシピに従って、3種の化粧用オイル(鉱油、ジエチルへキシルカーボネート及びエチルヘキシルパルミテート)と共に配合した:
1.6mlのオイルを、0.1MのNaCl及び0.29%のASA-HAの水溶液14mlに添加した。
2.その溶液を、強い剪断下で25秒間、混合した(24000/分でULTRA-TURRAX)。
3.前記エマルジョンを、暗室において室温で8週間、放置し、24時間及び8週間後、安定性について視覚的に評価した。
【0106】
すべての誘導体は、対照及び変性されていない出発HAに比較して、高められたエマルジョン安定性を示した(エチルヘキシルパルミテートについて、24時間及び8週後のサンプルについては、図7を参照のこと)。これは、ASA−HAがエマルジョンに基づいて化粧品又は進歩した薬剤供給システムにおいて乳化剤として使用され得ることを示す。
【0107】
例16:長いアルキル鎖を有する種々の低−MW ASA HA誘導体:
低MW ASA HAを、高MW HAについて例15に記載のようにして調製し、唯一の差異は、HA(23kDa)の出発濃度が2%w/vであったことである。表5におけるすべてのサンプルを、60℃で調製し、そして限外濾過(MWCO 3000kDa)により精製し、そして凍結乾燥した。DSを、例6に記載のようにして、1H NMR分光法により決定した。
【0108】
【表5】
【0109】
例17:フェニル琥珀酸の遊離基掃去性質:
水溶液中、PhSA-HA(14kDa)(10mg/ml)は、ヒドロキシル基(Cu2+/H2O2により生成される)の存在下で、変性されていないHAよりも、より早く分解することが示され、続いて、画線カメラ観察及び光散乱(DLS/SLS)研究の両者により示された。これは、PhSA-HAが化粧品配合物への可能性ある使用のために遊離基掃去剤としての可能性を有することを示す。
【0110】
例18:オクテニル無水琥珀酸−ヒアルロン酸誘導体(OSA-HA、DS16%)の決定的凝集濃度(CAC)の決定:
OSA-HA誘導体の決定的凝集濃度(CAC)を、等温滴定熱量計VP-ITC(Microcal LLC, USA)を用いて熱量法により決定した。OSA-HAの濃縮溶液(0.294ml、蒸留水中、15mg/ml)を用いて、熱量計サンプルセルにおける蒸留水(1.4615ml)を滴定した。OSA-HAの溶液(2μl、15mg/ml)を300秒ごとに注入し、そしてサンプルセルにおけるエンタルピー変動(ΔH)を、図8に示されるようにして、時間にわたって記録した。
【0111】
ΔHを、サンプルセルにおけるOSA-HA濃度の関数としてプロットし、そしてOSA-HAのCACを曲線の屈折点で決定した。個々の実験を3度、反復し、そしてCACを平均値として供給した。例えば、16%の置換度(DS)を有するOSA-HAのCACは0.45mg/mlであった(図9)。
この研究は、OSA-HAの結合性質の存在を確認した。さらに、それは、ミセル及び/又は微粒子/超微粒子へのそれらの誘導体の可能性ある配合を示し、それらを、疎水性化合物、例えば疎水性化粧生物活性剤及び薬剤の封入及び供給への使用のために適切にする。
【0112】
例19:オクテニル無水琥珀酸−ヒアルロン酸誘導体(OSA-HA、DS44%)の決定的凝集濃度(CAC)の決定:
44%の置換度を有するOSA-HAのCACを、水浴(Julabo F10, Merck, United States)により温度調節された分光蛍光計(FluoroMax, Spex, United States)を用いて、蛍光顕微鏡により決定した。ナイルレッドを、蛍光プローブとして使用した。蛍光を、異なったリン酸緩衝液(表7)において調製された広範囲のOSA-HA溶液(表6)に基づいて測定した。
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】
ナイルレッド(3.184mg)を、THF及びアセトンの混合物(50/50, 10ml)に溶解した。この溶液(10μl)を、個々のOSA-HA溶液(10ml)と共に、暗室において及び室温で一晩、撹拌下でインキュベートした。個々の溶液を、543nmの励起波長で25℃で分析し、そして発光スペクトルを580〜700nmで記録した。励起スリットを1に設定し、そして発光スリットを個々の溶液のために調節した。蛍光発光の強度(I)を、波長(λ)の関数としてプロットした。
【0116】
最大強度に対応する波長(λmax)を、オーダー6の多項関数により曲線I対λを適合することにより決定した。個々のλmax値は、3個の測定値の平均であった。
CACを決定するために、λmaxを、ポリマー濃度(C)の関数としてプロットした。CACは曲線λmax対Cの変曲点で推定された(図10)。
【0117】
図10においては、OSA-HA(DS=44%)のCACは、0.003〜0.004mg/ml間に存在した。この現象は、変性されていないHAについては観察されなかった。実際、蛍光はいずれのHA濃度でも検出され得ず、これは、HA溶液にナイルレッドを溶解することは不可能であることを意味する。これは、OSA-HA溶液においてポリマーアセンブリーの存在を示す。
【0118】
例20:OSA-HA(DS=44%)のCACに対する塩濃度の影響:
前記例に記載される実験設定と同じ設定を用いて、OSA-HA(DS=44%)のCACの値に対する塩濃度の影響を研究した。その結果は、下記表8が及び図11に示される。
【0119】
【表8】
【0120】
例21:OSA-HA(DS=44%)ポリマーミセルのZeta電位:
OSA-HA(DS=44%)ポリマーミセルZeta電位を、ドップラーレーザー干渉計にカップリングされた細管電気泳動(Zetasizer 3000HS, Malvern, United Kingdom)により決定した。測定値は25℃で記録された。CSA-HAを10〜3MのNaCl(1mg/mlの濃度で)に、測定の前、溶解した。OSA-HA(DS=44%、10〜3MのNaCl中、1mg/ml)のZeta電位を、約−25mVに評価した(図12)。
【0121】
例22:OSA−HA(DS=44%)ポリマーミセルの透過性電子顕微鏡検査:
OSA−HA(DS=44%)ポリマーミセルの顕微鏡観察を、透過性電子顕微鏡(EM 410, Philips, The Netherlands)により行った。サンプルをイオン化された炭素被覆された銅グリッド上に置き、そして酢酸ウラニル水溶液(2%)により染色した。顕微鏡スナップショットは、OSA-HAポリマーミセルが球形状であり、そして典型的には50〜200nmのミクロン以下の寸法を有することを明確に示した(データーは示されていない)。これは図13に示される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、HAのASA変性の略図を示す。
【図2】図2は、例5及び6の100kDaのOSA-HA (14919-033)の部分的に割り当てられた1H NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、HAを変性するために使用されるASAの化学構造を示す。
【図4】図4は、異なったポリマー配座についてRgとMwとの間の関係を要約するHaugの三角を示す。二重対数尺度において分子量(Mw)に対して回転(Rg)の半径をプロットすることにより、ポリマーの配座についての情報を得ることができる。
【0123】
【図5】図5は、下記例12のASA変性されたLMW HAについての濃度プロフィール(RI)を示す。
【図6】図6は、例13に記載されるような表面張力計(Wilhemyプレート)を用いて、LMW OSA-HAに対する表面張力測定の結果を示す。
【図7】図7は、例15に記載されるようにして調製されたエチルヘキシルパルミテート(化粧用オイル)による、24時間及び8週後のASA-HAの乳化性質を示す。
【0124】
【図8】図8は、例18に記載されるようにして熱量法により決定されたOSA-HA誘導体の決定的凝集濃度(CAC)、及び図8に示されるように時間にわたって記録されたサンプルセルにおけるエンタルピー変動(ΔH)を示す。
【図9】図9は、サンプルセルにおけるOSA-HA濃度の関数としてプロットされた例18のエンタルピー変動(ΔH)、及び曲線の屈折点で決定されたOSA-HAのCACを示す。個々の実験を3度、反復し、そしてCACを平均値として供給した。例えば、16%の置換度(DS)を有するOSA-HAのCACは0.45mg/mlであった。
【0125】
【図10】図10は、例19に記載のようにして、緩衝液1におけるOSA-HA(DS=44%)濃度の関数として最大発光の波長を示す。
【図11】図11は、例20に記載のように、OSA-HA(DS=44%)濃度の関数としての最大発光の波長、及びNaClの濃度の上昇と共にCACの下降を示す。
【図12】図12は、例21に記載のように、10〜3MのNaClにおけるOSA-HA(DS=44%、1mg/ml)のZeta電位を示す。
【図13】図13は、球形状であり、そして典型的には、50〜200nmのマイクロメーター以下の寸法を有する、例22からのOSA-HA(DS=44%)ポリマーミセルの透過電子写真を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個の反復範囲を含んで成り、そしてpH8-9で、下記一般構造式(I):
【化1】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、pH8-9で、下記一般構造式(II):
【化2】
(式中、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8はアルキル−又はアリール−基を含んで成り、そして他方では、R5, R6, R7, R8は水素原子Hであり、そして“エステル”ラベルされた酸素は構造式(I)とのエステル結合を形成する)を有するエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕
を有するヒアルロン酸誘導体。
【請求項2】
2又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成る請求項1記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項3】
3又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成る請求項1又は2記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項4】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成る請求項1〜3のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項5】
前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項4記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項6】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る請求項4記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項7】
前記アリール基がフェニルである請求項6記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項8】
R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る請求項4〜6のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項9】
800〜10,000,000Da, 好ましくは10,000〜1,500,000Daの範囲で、平均分子量を有する請求項1〜8のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項10】
10,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項9記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項11】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項9記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項12】
置換度(DS)が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲である請求項1〜11のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項13】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス(Bacillus)宿主において組換え的に生成される請求項1〜12のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項14】
前記ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基が、反応において1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)により置換され、ヒアルロン酸と得られる1又は複数のアルキル−/アリール−琥珀酸との間にエステル結合が形成されているヒアルロン酸誘導体。
【請求項15】
10,000〜1,500,000Daの平均分子量を有する請求項14記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項16】
20,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項15記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項17】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項15記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項18】
前記1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)が、下記一般構造式(III ):
【化3】
を有する請求項14〜17のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項19】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成る請求項18記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項20】
前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項19記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項21】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る請求項18記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項22】
前記アリール基がフェニルである請求項21記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項23】
R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る請求項18〜22のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項24】
置換度(DS)が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲である請求項14〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項25】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス宿主において組換え的に生成される請求項14〜24のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項26】
(a)ヒアルロン酸(HA)と、(III )で示される一般構造式を有する、1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)とを、水溶液中、アルカリ性条件下で反応せしめ、それにより、ヒアルロン酸誘導体が形成され;そして
(b)前記ヒアルロン酸誘導体を回収する;
段階を含んで成るヒアルロン酸誘導体の生成方法。
【請求項27】
(III)で少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成る請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項27記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記アリール基がフェニルである請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記1又は複数のASAが、図3に示される構造式のいずれかを含んで成る請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記ヒアルロン酸が10,000〜1,500,000Daの平均分子量を有する請求項26〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
20,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項33記載の方法。
【請求項35】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記ヒアルロン酸誘導体が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲の置換度(DS)を有する請求項26〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス宿主において組換え的に生成される請求項26〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤を含んで成る組成物。
【請求項39】
水溶性賦形剤、好ましくはラクトースをまた含んで成る請求項38記載の組成物。
【請求項40】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項41】
ビークルとしての有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び薬理学的活性剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項42】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を含んで成る化粧品。
【請求項43】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を活性成分として含んで成る化粧品。
【請求項44】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を含んで成る、衛生、医学又は手術製品、好ましくはオムツ、衛生用タオル、手術用スポンジ、創傷治癒スポンジ、又はバンドエイド又は他の創傷包帯材料に含まれる部分。
【請求項45】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を含んで成る医薬カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、微晶球又は超微晶球。
【請求項46】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、眼科学的処置を実施するための方法。
【請求項47】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、変形性関節炎の処理工程を実施するための方法。
【請求項48】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、癌の処理工程を実施するための方法。
【請求項49】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、薬理学的活性剤の経皮投与を実施するための方法。
【請求項50】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、薬理学的活性剤の皮膚投与を実施するための方法。
【請求項51】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、化粧品の皮膚投与を実施するための方法。
【請求項52】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、抜け毛又は禿げの処理工程を実施するための方法。
【請求項53】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の眼科学的使用方法。
【請求項54】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に、好ましくは皮膚、経皮、経口又は注射投与することを含んで成る、変形性関節炎の処理方法。
【請求項55】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に投与することを含んで成る創傷の処理方法。
【請求項56】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に、好ましくは皮膚、経皮、経口又は注射投与することを含んで成る、抜け毛又は禿げの処理方法。
【請求項57】
変形性関節炎の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項58】
眼科学的処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項59】
癌の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項60】
創傷の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項61】
脈管形成のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項62】
モイスチュライザーの製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項63】
抜け毛又は禿げの処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項1】
n個の反復範囲を含んで成り、そしてpH8-9で、下記一般構造式(I):
【化1】
〔式中、少なくとも1つの反復単位において、1又は複数のR1, R2, R3, R4は、pH8-9で、下記一般構造式(II):
【化2】
(式中、少なくとも1つのR5, R6, R7, R8はアルキル−又はアリール−基を含んで成り、そして他方では、R5, R6, R7, R8は水素原子Hであり、そして“エステル”ラベルされた酸素は構造式(I)とのエステル結合を形成する)を有するエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成り、そして他方では、R1, R2, R3, R4はヒドロキシル基OHである〕
を有するヒアルロン酸誘導体。
【請求項2】
2又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成る請求項1記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項3】
3又は複数のR1, R2, R3, R4が、pH8-9で一般構造式(II)を有する1又は複数のエステル結合されたアルキル−/アリール−琥珀酸を含んで成る請求項1又は2記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項4】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成る請求項1〜3のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項5】
前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項4記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項6】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る請求項4記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項7】
前記アリール基がフェニルである請求項6記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項8】
R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る請求項4〜6のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項9】
800〜10,000,000Da, 好ましくは10,000〜1,500,000Daの範囲で、平均分子量を有する請求項1〜8のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項10】
10,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項9記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項11】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項9記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項12】
置換度(DS)が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲である請求項1〜11のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項13】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス(Bacillus)宿主において組換え的に生成される請求項1〜12のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項14】
前記ヒアルロン酸の1又は複数のヒドロキシル基が、反応において1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)により置換され、ヒアルロン酸と得られる1又は複数のアルキル−/アリール−琥珀酸との間にエステル結合が形成されているヒアルロン酸誘導体。
【請求項15】
10,000〜1,500,000Daの平均分子量を有する請求項14記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項16】
20,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項15記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項17】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項15記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項18】
前記1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)が、下記一般構造式(III ):
【化3】
を有する請求項14〜17のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項19】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成る請求項18記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項20】
前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項19記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項21】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る請求項18記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項22】
前記アリール基がフェニルである請求項21記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項23】
R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る請求項18〜22のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項24】
置換度(DS)が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲である請求項14〜23のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項25】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス宿主において組換え的に生成される請求項14〜24のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体。
【請求項26】
(a)ヒアルロン酸(HA)と、(III )で示される一般構造式を有する、1又は複数のアルキル−/アリール−無水琥珀酸(ASA)とを、水溶液中、アルカリ性条件下で反応せしめ、それにより、ヒアルロン酸誘導体が形成され;そして
(b)前記ヒアルロン酸誘導体を回収する;
段階を含んで成るヒアルロン酸誘導体の生成方法。
【請求項27】
(III)で少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアルキル基を含んで成る請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記アルキル基が、C1-C20アルキル基、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル又は2−オクタデセニルを含んで成る請求項27記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、好ましくは少なくとも2個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成り、より好ましくは少なくとも3個のR5, R6, R7, R8がアリール基を含んで成る請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記アリール基がフェニルである請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記1又は複数のASAが、図3に示される構造式のいずれかを含んで成る請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
R5, R6, R7, R8が、好ましくはプロピル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−ドデセニル、2−ヘキサデセニル、2−オクタデセニル及びフェニルから選択された2又は複数の異なったアルキル−及び/又はアリール−基を含んで成る請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記ヒアルロン酸が10,000〜1,500,000Daの平均分子量を有する請求項26〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
20,000〜50,000Daの平均分子量を有する請求項33記載の方法。
【請求項35】
50,000〜500,000Da, 好ましくは80,000〜300,000Daの平均分子量を有する請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記ヒアルロン酸誘導体が、本明細書に定義されるようにして決定される場合、0.1〜100%、好ましくは1〜90%、より好ましくは2〜80%、さらにより好ましくは4〜70%、さらにより好ましくは8〜60%、又は10〜50%、14〜40%、16〜30%、又は最も好ましくは18〜25%の範囲の置換度(DS)を有する請求項26〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
ヒアルロン酸が好ましくはバチルス宿主において組換え的に生成される請求項26〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び活性成分、好ましくは薬理学的活性剤を含んで成る組成物。
【請求項39】
水溶性賦形剤、好ましくはラクトースをまた含んで成る請求項38記載の組成物。
【請求項40】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び医薬的に許容できるキャリヤー、賦形剤又は希釈剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項41】
ビークルとしての有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、及び薬理学的活性剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項42】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を含んで成る化粧品。
【請求項43】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を活性成分として含んで成る化粧品。
【請求項44】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を含んで成る、衛生、医学又は手術製品、好ましくはオムツ、衛生用タオル、手術用スポンジ、創傷治癒スポンジ、又はバンドエイド又は他の創傷包帯材料に含まれる部分。
【請求項45】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を含んで成る医薬カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、微晶球又は超微晶球。
【請求項46】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、眼科学的処置を実施するための方法。
【請求項47】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、変形性関節炎の処理工程を実施するための方法。
【請求項48】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、癌の処理工程を実施するための方法。
【請求項49】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、薬理学的活性剤の経皮投与を実施するための方法。
【請求項50】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、薬理学的活性剤の皮膚投与を実施するための方法。
【請求項51】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、化粧品の皮膚投与を実施するための方法。
【請求項52】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用を包含する、抜け毛又は禿げの処理工程を実施するための方法。
【請求項53】
請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の眼科学的使用方法。
【請求項54】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に、好ましくは皮膚、経皮、経口又は注射投与することを含んで成る、変形性関節炎の処理方法。
【請求項55】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に投与することを含んで成る創傷の処理方法。
【請求項56】
有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物を哺乳類に、好ましくは皮膚、経皮、経口又は注射投与することを含んで成る、抜け毛又は禿げの処理方法。
【請求項57】
変形性関節炎の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項58】
眼科学的処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項59】
癌の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項60】
創傷の処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項61】
脈管形成のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項62】
モイスチュライザーの製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項63】
抜け毛又は禿げの処理のための薬剤の製造のためへの、請求項1〜25のいずれか1項記載のヒアルロン酸誘導体、又は請求項38〜41のいずれか1項記載の組成物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−510186(P2009−510186A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531534(P2008−531534)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000523
【国際公開番号】WO2007/033677
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504235872)ノボザイムス バイオポリマー アクティーゼルスカブ (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000523
【国際公開番号】WO2007/033677
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504235872)ノボザイムス バイオポリマー アクティーゼルスカブ (12)
【Fターム(参考)】
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