説明

アルカリ電池

【課題】優れた電流遮断機構を有するアルカリ電池を提供する。
【解決手段】本発明のアルカリ電池は、有底円筒形の電池ケース1に、円筒の正極2とその中空部分に有底円筒のセパレータ4を介して負極3とを収容し、封口体6によって電池ケースの開口部が密封され、封口体は外から内へ順に、端子板8と円形薄板の第2接続部材11と円形薄板の第1接続部材10と蓋板7とを備え、蓋板には通気孔13が設けられ且つ負極集電体12が電気的接続されており、第1接続部材は円周状の薄肉部10aを有し、その内周側で第2接続部材と電気的接続されており、電流は負極集電体から蓋板、第1接続部材、第2接続部材及び端子板の順に流れていき、内部圧力が所定圧力に達すると薄肉部が破断して電流導通が遮断され、セパレータの開口端は蓋板に押し付けられ密閉されており、通気孔は蓋板においてセパレータが接触する位置の最外周部分よりもさらに外側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電池における防爆安全機構に関して、様々な検討がなされている。例えば、所定の内部圧力で動作する電流遮断機構の検討が行われている(特許文献1参照)。ここでは、電流が流れ続けるとその電流によって電池内部で温度上昇が起こったり、電池内部のガス圧が異常に上昇したりするので、電流を遮断することによって温度上昇やガス圧上昇を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−60454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は防爆形の二次電池に係るものであり、電池ケース内に収容された発電要素と、端子板及び電流遮断機構を備える封口体とが、前記発電要素から延出するリボン状のリードで電気的に接続される構造である。しかしながら、インサイドアウト型アルカリ電池においてこのような構造を取ろうとすると、電流遮断機構を設けた封口体と、中空円筒状の正極の中空部に配置されるゲル状負極とを電気的に接続する場合に、前記ゲル状負極にリボン状のリードを固着する必要があるが、このように固着を行うことは困難であり、電気的な接続がされない可能性がある。また、アルカリ電池の亜鉛粉体からなる負極が、ガス抜き用の孔から電流遮断機構の方へ移動して、遮断部分に付着して再び電流が導通してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するものであり、優れた電流遮断機構を有するインサイドアウト型のアルカリ電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアルカリ電池は、正極端子が設けられた有底円筒形の電池ケースに、中空円筒状の正極と、該正極の中空部分に配置されているゲル状負極と、前記正極と前記負極との間に配置されている有底円筒形のセパレータと、アルカリ電解液とを収容し、負極端子を備えた封口体によって前記電池ケースの開口部が密封されており、前記封口体は、外部から内部に向かって順に、前記開口部を覆い負極端子となる負極端子板と、導電部材からなり前記開口部を塞ぐ円形薄板状の第2接続部材と、導電部材からなり前記開口部を塞ぐ円形薄板状の第1接続部材と、導電部材からなり前記開口部を覆う蓋板とを備えており、前記蓋板には前記電池ケースの内部側と前記第1接続部材側とを連通させる通気孔が設けられ、前記ゲル状負極に挿入されている負極集電体が電気的に接続されており、前記第1接続部材は円周状の薄肉部を有しており、該薄肉部よりも内周側において前記第2接続部材と電気的に接続されており、電流は、前記負極集電体から前記蓋板、前記第1接続部材、前記第2接続部材及び前記負極端子板の順に流れていき、内部圧力が所定圧力に達すると当該内部圧力によって前記第1接続部材の薄肉部が破断し、前記第1接続部材と前記第2接続部材との間の電流導通が遮断されて、前記負極端子からの電流出力が遮断され、前記セパレータの開口端は、前記蓋板に押し付けられて密閉されており、前記通気孔は、前記蓋板において前記セパレータが接触する位置の最外周部分よりもさらに外周側に配置されている構成としている。ゲル状負極とは、アルカリ電解液を含有するゲル状物質に負極活物質を混合させたものである。
【0007】
前記セパレータの開口端は、前記蓋板の中心方向に向かって折曲され、折れ曲がって前記蓋板に接触している前記セパレータの折曲部の径方向長さL1は、前記セパレータの厚みT1に対して、L1≧T1の関係を有し、前記セパレータの先端は前記負極集電体と前記蓋板との接続部分よりも手前に位置しているようにすることができる。
【0008】
前記負極集電体は、円板状の頭部と前記ゲル状負極に挿入される棒状部とを有する釘形状を有しており、前記頭部は前記蓋板とは溶着されており、前記蓋板の厚みT2と、前記頭部の厚みT3とは、T2≧T3、の関係式を満たすようにすることができる。
【0009】
前記蓋板は、銅または銅を主体とした合金からなり、表面にSnめっきが施されていることが好ましい。
【0010】
前記第1接続部材は、銅または銅を主体とした合金からなり、少なくとも前記蓋板に面する表面にSnめっきが施されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内部圧力が大きくなると、第1接続部材と第2接続部材とによって電流が遮断されて安全であり、蓋板の通気孔とゲル状負極とをセパレータが確実に隔離していて電流が再度流れ出すことを防止する、インサイドアウト型のアルカリ電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るアルカリ電池の模式的な一部破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施の形態を図1を参照しながら説明する。図1は、一実施の形態としてインサイドアウト型のアルカリ電池の半断面正面図である。インサイドアウト型のアルカリ電池というのは、正極の内側に負極が存している構造のアルカリ電池のことである。
【0014】
正極端子が設けられ、正極集電体を兼ねた有底円筒形である金属製の電池ケース1には、中空円筒状の正極2が内接するように収納されている。正極2は、例えば、正極活物質、導電剤、およびアルカリ電解液を含む。正極活物質には、例えば、粉末状の二酸化マンガンが用いられる。導電剤には、例えば、黒鉛が用いられる。アルカリ電解液には、例えば、水酸化カリウムを含む強アルカリ水溶液が用いられる。
【0015】
正極2の中空部には有底円筒形のセパレータ4を介してゲル状負極3が配置されている。セパレータ4には、例えば、ポリビニルアルコール繊維およびレーヨン繊維を主体として混抄した不織布が用いられる。ゲル状負極3は、例えば、負極活物質、ゲル化剤、アルカリ電解液を含む。負極活物質には、例えば、粉末状の亜鉛または亜鉛合金が用いられる。ゲル化剤には、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムのようなポリアクリル酸塩が用いられる。なお、電池ケース1内に入れられているアルカリ電解液は正極2、ゲル状負極3及びセパレータ4にしみ込んでいるため、図示をしていない。
【0016】
樹脂製の絶縁ガスケット5を介して、負極端子を備えた封口体6を電池ケース1の開口端部にかしめつけることによって電池は密封される。
【0017】
封口体6は、電池の外部から内部に向かって、即ち図の上側から順に、負極端子となる金属製の負極端子板8、金属製であって円形薄板状の第2接続部材11、金属製であって円形薄板状の第1接続部材10、通気孔13が設けられた金属製の蓋板7の4つから形成されている。負極端子板8はハット状(帽子)であって、その有底円筒部の底部分は電池の外部側に配置されており、外周縁は有底円筒部から外側へ拡がるフランジ状の部分である。蓋板7もハット状の形状であるが、有底円筒部の底部分は電池の内部側に配置されており、外周縁は有底円筒部から外側へ拡がるフランジ状の部分である。
【0018】
負極端子板8と蓋板7とのそれぞれの外周端の間には、樹脂からなるリング状の絶縁部材9が配置されて両者を電気的に絶縁している。また、第1接続部材10の外周縁と第2接続部材11の外周縁との間にも絶縁部材9が介在しており、外周縁部分を電気的に絶縁している。さらに、負極端子板8の外周端と第2接続部11の外周端とが重なって接触するように絶縁部材9が両者を挟み込んで固定し、両者を電気的に接続させている。
【0019】
即ち、絶縁部材9はリング状の薄板であって周に沿って内周側へ折り重ねられ、折り重ねられた間に負極端子板8外周端と第2接続部材11外周端とが重ねられて挟まれており、折り重ねられた上側部分の上面側に蓋板7の外周端が回り込んで該上側部分が蓋板7外周端と負極端子板8の外周端との間に挟み込まれて両者の絶縁を行っている。さらに、折り重ねられた下側部分の下面と蓋板7外周部とが第1接続部材10を挟み込んでいる。なお、封口体6を構成している4つの部材は、それぞれ電池ケース1の開口部分を閉塞しているが、負極端子板8と蓋板7とはそれぞれ通気孔14,13を有しているので、実際に電池ケース1の開口部分を密閉しているのは、第1接続部材10と第2接続部材11である。
【0020】
蓋板7と第1接続部材10、および、負極端子板8と第2接続部材11は、蓋板7の外縁部を内方に折り曲げて、間に絶縁部材9を挟んでかしめつけることで、互いに強く押し付けられて電気的に接続される。
【0021】
第1接続部材10は、円周状の薄肉部10aが設けられ、薄肉部10aの内周部で第2接続部材11と溶接等により電気的に接続されることで、蓋板7から負極端子板8までの電気的な導通が確保される。即ち、蓋板7から、第1接続部材10、第2接続部材11、負極端子板8の順で電流が流れていく。
【0022】
封口体6は、負極3内でガスが発生するなどして電池の内部圧力が大きくなり所定圧力に達すると、第1接続部材10の薄肉部10aが破断して、第1接続部材10と第2接続部材11との間の電気的な導通が遮断される、電流遮断機構を有している。電池の内部圧力は、蓋板7の通気孔13により、そのまま第1接続部材10にかかるため、薄肉部10aが破断するようになる。この電流遮断機構によって、電池自体が破裂するほどの高圧に内圧が達する前に電池内部での電流導通が遮断される。そのため、例えば、誤使用による充電で、電池内部にガスが発生しているときに、充電を停止させて、それ以上のガスの発生を防ぐことができ、電池自体の破裂することがなく安全である。
【0023】
ゲル状負極3の中心部分には、金属製で釘形状の負極集電体12が配置され、負極集電体12の釘形状の棒状部12bの下側の大半は、ゲル状負極3の中に埋め込まれている。
【0024】
負極集電体12の釘形状の頭部12aに、蓋板7の有底円筒部の底部中央部を溶接することで、封口体6と負極集電体12は電気的に接続され、封口体6とゲル状負極3は電気的な導通が確保される。
【0025】
セパレータ4の開口端部は、蓋板7の有底円筒部の底部で押圧されることで、蓋板7の有底円筒部の底部に密着するように電池の中心軸(蓋板7の円筒部の中心)方向へと折り曲げられ、結果としてセパレター4の開口端は蓋板7によって密閉されている。蓋板7の通気孔13は、セパレータ4が蓋板7に当接して折れ曲がっている折曲部4aの最外周部分よりもさらに外周側に配置されている。折曲部4aは全体に蓋板7に接触してセパレータ4の開口部分を密閉している。このような配置により、ゲル状負極3はセパレータ4と蓋板7とで閉塞されて、通気孔13から封口体6の内部へのゲル状負極3の浸入を防止することができる。ゲル状負極3が封口体6の内部に浸入すると、第1接続部材10の薄肉部10aが破断しても、ゲル状負極3を通して、第1接続部材10と第2接続部材11との電気的な導通が維持されたり、いったん電流遮断された後に再度電気的導通が復活したりして、さらにガスが発生するおそれがあり、好ましくない。
【0026】
さらに、セパレータ4の開口端部が蓋板7の底部に押圧状態で接触している折曲部4aの径方向(蓋板7における径方向)の長さL1は、セパレータ4の厚みT1に対して、L1≧T1という関係を有していて、且つセパレータ4の先端は負極集電体12の頭部12bと蓋板7との接続部分よりも手前に位置していることが好ましい。即ち、セパレータ4の先端が負極集電体12の頭部12bに接触せず、両者が離間している位置関係とすることが好ましい。
【0027】
上記の関係を満たすことで、セパレータ4の開口端部と蓋板7の底部の間に隙間が生じず、ゲル状負極3の封口体6の内部への浸入の防止を確実にする。仮にセパレータ4の先端が負極集電体12の頭部12bに接触する場合を考えると、セパレータ4の折曲部4aが蓋板7と密着せずに浮き上がってしまう部分がでてくるおそれがあり、このようになるとゲル状負極3がその浮き上がった部分を通過して封口体6の内部へ侵入するおそれがある。また、L1がT1未満であるとセパレータ4の開口端の一部が蓋板7に密着せずに隙間を生じさせるおそれがある。
【0028】
負極集電体12の頭部12aはゲル状負極3に埋め込まれる棒状部12bの直径より径が大きく、この頭部12aは蓋板7の底部中央部に溶接される。蓋板7の底面側とセパレータ4の開口端部との間に隙間が生じないよう、蓋板7の底部は、平坦であることが好ましい。そのため、蓋板7の底部が、負極集電体12の頭部12aを溶接する際の発熱により、熱変形しないよう、蓋板7の底部の厚みT2と頭部12aの厚みT3とは、T2≧T3、の関係式を満たすことが好ましい。この関係式を満たすことで、蓋板7の底部は、負極集電体12の頭部12aを溶接する際に、十分に放熱されて熱変形を生じない。
【0029】
蓋板7は、銅または銅を主体とした合金からなり、表面にSnめっきが施されていることが好ましい。第1接続部材10は、銅または銅を主体とした合金からなり、少なくとも蓋板7に面した表面にはSnめっきが施されていることが好ましい。銅を主体とした合金とは、銅の含有量が50mol%以上の合金である。正極2、およびゲル状負極3に含まれるアルカリ電解液は、銅または銅を主体とした合金以外の金属に通電時に付着すると、水素ガスを発生させるからである。
【実施例】
【0030】
以下に本実施形態の実施例を詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
【0031】
以下の手順で単3形インサイドアウト型のアルカリ電池を作製した。なお、単3形とは、IEC60086におけるアルカリ乾電池のLR6のことであり、米国ではAAで表される。
【0032】
まず正極2を作製した。電解二酸化マンガン及び黒鉛を質量比94:6の割合で混合して混合粉を得た。この混合粉100質量部に対してアルカリ電解液2質量部を加えた後、ミキサーで攪拌して混合粉とアルカリ電解液とを均一に混合し、一定粒度に整粒した。なお、アルカリ電解液は、35質量%水酸化カリウム水溶液(ZnO:1質量%含む)とした。
【0033】
上記の整粒した混合粉を、中空円筒型を用いて加圧成形した。これにより正極2(正極合剤ペレット)を得た。
【0034】
有底円筒形の金属製の電池ケース1に正極合剤ペレットを複数個挿入して加圧し、正極合剤ペレットを電池ケース1内面に密着させて正極2とした。
【0035】
次にセパレータ4を作製した。ビニロン−リヨセル複合繊維からなる不織布とセロハンとを重ねて丸めて円筒形にし、円筒の一方の開口部にも不織布とセロハンを重ねたものをホットメルトにより接着させて底部としてセパレータ4とした。セパレータ4の厚みT1は0.24mmとした。
【0036】
このセパレータ4を正極2の内側の中空部分に底部を下にして挿入した。その後、セパレータ4と正極2を湿潤させる目的で、アルカリ電解液を注入した。
【0037】
続いてゲル状負極3を作製した。
【0038】
まず、Al:0.005質量%、Bi:0.015質量%、In:0.02質量%を含有する亜鉛合金粉をガスアトマイズ法によって作製した。次に、作製された亜鉛合金の粉末を、篩を用いて分級した。そして、BET比表面積が0.040cm/gとなるように、亜鉛合金の粉末を調整した。
【0039】
それから、亜鉛合金粉100質量部に対して、アルカリ電解液50質量部と、架橋型ポリアクリル酸0.35質量部、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム0.7質量部を混合し、分散媒であるゲル状アルカリ電解液を作製した。前記亜鉛合金の粉末と前記ゲル状アルカリ電解液とを混合してゲル状負極3を作製し、セパレータ4の中空部分に注入した。その後、セパレータ4の開口端部を、中心方向に向かって内方に折曲するよう、くせ付けした。
【0040】
次に、上述した図1に示す封口体6を用意した。蓋板7は、黄銅製で表面にSnめっきを施したものを使用し、電池の中心軸を対称中心として、5mm離れた2つの通気孔13を設けた。蓋板7の厚みは0.4mmとした。
【0041】
直径1.5mmの棒状部12bと、直径2.5mmで厚み0.3mmの頭部12aとを有する、黄銅製で表面にSnめっきを施した負極集電体12を用意し、蓋板7の底部に前記頭部12aを溶接した。溶接後においても、蓋板7の底部は、元の平坦性を保っていた。
【0042】
第1接続部材10は、厚み0.1mmの円形の銅板を用いて作製した。第1接続部材10の一方の表面にはSnめっきを施して、もう一方の面の中央部に、厚み0.15mmの円形銅板である第2接続部材11の中央部を溶接した。なお、第1接続部材10の第2接続部材11を溶接した面には、当該溶接部分よりも外周側に溝状の薄肉部10aを溶接部分の周囲全周にわたって設けている。
【0043】
この封口体6を、電池ケース1の開口部分に差し込んでかしめつけ、密封した。こうして本実施例の電池を作製した。ここで、セパレータ4は折り曲げられた状態で、蓋板7の底部に押圧状態で接触しており、この接触した折曲部4aの長さL1は1mmであった。また、折曲部4aと通気孔13とは隔離していた。
【0044】
本実施例の電池に対して、150mAの定電流充電を行った。充電1時間後、本電池の電流遮断機構が作動して電流導通が遮断され、充電ができなくなった。その後、24時間放置しておいたが、電池自体が破裂することはなかった。さらに、電池を振動させても、電池ケース1の正極端子と、封口体6の負極端子板8との間の電気的な導通は甦ることはなかった。
【0045】
本実施例の電池は、誤使用による充電で、電池内部にガスが発生しているときに、充電を停止させて、それ以上のガスの発生を防ぐことができ、電池自体の破裂することがなく安全であり、優れた信頼性が得られることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のアルカリ電池は優れた信頼性を有し、アルカリ電池を電源とするあらゆる機器に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 電池ケース
2 正極
3 ゲル状負極
4 セパレータ
5 絶縁ガスケット
6 封口体
7 蓋板
8 負極端子板
9 絶縁部材
10 第1接続部材
10a 薄肉部
11 第2接続部材
12 負極集電体
12a 頭部
13 通気孔
14 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子が設けられた有底円筒形の電池ケースに、中空円筒状の正極と、該正極の中空部分に配置されているゲル状負極と、前記正極と前記負極との間に配置されている有底円筒形のセパレータと、アルカリ電解液とを収容し、
負極端子を備えた封口体によって前記電池ケースの開口部が密封されており、
前記封口体は、外部から内部へ向かって順に、前記開口部を覆う負極端子板と、導電部材からなり前記開口部を塞ぐ円形薄板状の第2接続部材と、導電部材からなり前記開口部を塞ぐ円形薄板状の第1接続部材と、導電部材からなり前記開口部を覆う蓋板とを備えており、
前記蓋板には前記電池ケースの内部側と前記第1接続部材側とを連通させる通気孔が設けられているとともに、前記ゲル状負極に挿入されている負極集電体が電気的に接続されており、
前記第1接続部材は円周状の薄肉部を有しており、該薄肉部よりも内周側において前記第2接続部材と電気的に接続されており、
電流は、前記負極集電体から前記蓋板、前記第1接続部材、前記第2接続部材及び前記負極端子板の順に流れていき、
内部圧力が所定圧力に達すると当該内部圧力によって前記第1接続部材の薄肉部が破断し、前記第1接続部材と前記第2接続部材との間の電流導通が遮断されて、前記負極端子からの電流出力が遮断され、
前記セパレータの開口端は、前記蓋板に押し付けられて密閉されており、
前記通気孔は、前記蓋板において前記セパレータが接触する位置の最外周部分よりもさらに外周側に配置されている、アルカリ電池。
【請求項2】
前記セパレータの開口端は、前記蓋板の中心方向に向かって折曲され、
折れ曲がって前記蓋板に接触している前記セパレータの折曲部の径方向長さL1は、前記セパレータの厚みT1に対して、L1≧T1の関係を有し、
前記セパレータの先端は、前記負極集電体と前記蓋板との接続部分よりも手前に位置している、アルカリ電池。
【請求項3】
前記負極集電体は、円板状の頭部と前記ゲル状負極に挿入される棒状部とを有する釘形状を有しており、
前記頭部は前記蓋板とは溶着されており、
前記蓋板の厚みT2と、前記頭部の厚みT3とは、T2≧T3、の関係式を満たす、請求項1に記載されているアルカリ電池。
【請求項4】
前記蓋板は、銅または銅を主体とした合金からなり、表面にSnめっきが施された、請求項1に記載されているアルカリ電池。
【請求項5】
前記第1接続部材は、銅または銅を主体とした合金からなり、少なくとも前記蓋板に面する表面にSnめっきが施された、請求項1に記載されているアルカリ電池。

【図1】
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【公開番号】特開2012−151020(P2012−151020A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9568(P2011−9568)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】