説明

アルファ−メルカプト−アミド類

一般式(I)


〔式中、基A、RおよびRは明細書に記載する通りである。〕
置換アミド類。本化合物は、特に中性エンドペプチダーゼ阻害剤として適切であり、極めて強力である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はアルファ−メルカプト−アミド類、その製造、および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤としての該化合物の使用、特にかかる化合物を含む医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
種々のNEP阻害剤およびその使用が、例えば、WO1997/011717に開示されている。しかしながら、極めて強力でかつ選択的活性の化合物がまだ必要とされている。この状況で、良好な経口バイオアベイラビリティ、および/またはその全体的安全性プロファイルをもたらす化合物の薬物動態学的特性の改善が急務である。良好なバイオアベイラビリティに対する特性は、例えば、吸収、代謝安定性または溶解性の増加、または親油性最適化である。良好な安全性プロファイルに対する特性は、例えば、薬物代謝酵素群、例えばチトクロムP450酵素群に対する選択性増加または他の血管作動性亜鉛メタロプロテアーゼ類、例えばアンギオテンシン変換酵素(ACE)およびアミノペプチダーゼP(APP)に対する選択性増加である。
【発明の概要】
【0003】
発明の詳細な記載
本発明は、それ故一般式(I)
【化1】

〔式中、
Aは単環式C3−8−シクロアルキルまたは単環式、飽和ヘテロシクリルであり、これらの各々は置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
はC1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキル中のC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
はC1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル、アリール、アリール−C1−8−アルキル、ハロ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
ここで、該アリールまたはヘテロシクリル部分は置換されていないかまたは置換されており;
ここで、チオール基は保護されていないか、または生理学的条件下で加水分解して式(I)の化合物となる保護基Rで保護されている。〕
の置換ヘテロ環類、式(I)の化合物に由来するジスルフィド誘導体および式(I)の化合物の塩、好ましくはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0004】
チオール保護基Rは、例えば置換されていないか、または1個以上のハロゲン(フルオロまたは塩素)、ヒドロキシ、N,N−ジ−C1−8−アルキル−アミン、モルホリンまたはC1−8−アルコキシ、またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルで置換されたアシル基またはスルホニル基である。アシル基は、好ましくはアルカノイル基、より好ましくはC1−8−アルカノイル基、例えばホルミル、アセチル、フルオロアセチル、クロロアセチル、ジメチルアミノアセチル、またはアロイル基、例えばベンゾイルである。さらに適切なチオール保護基を、当業者に利用可能であり既知の試験系を使用して同定し得る。
【0005】
直鎖でも分枝鎖でもよいアルキル基およびアルコキシ基の例は、各々C1−8−アルキルおよびC1−8−アルコキシ基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびメトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシおよびt−ブトキシである。C1−8−アルキレンジオキシ基は好ましくはメチレンジオキシ、エチレンジオキシおよびプロピレンジオキシである。シクロアルキルは、3−12個の炭素原子を有する飽和、環状または多環状炭化水素基、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびアダマンチルである。アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルおよびヘテロシクリル−C1−8−アルキルおよび他の置換基中の直鎖でも分枝鎖でもよいC1−8−アルキル基は、例えば、メチレン、エチレン、1−メチルメチレン、プロピレン、メチルエチレン、1−エチルメチレン、1,1−ジメチルメチレン、2−メチルプロピレン、2−メチルブチレン、2−メチルブチル−2−エン、ブチル−2−エン、ブチル−3−エン、プロピル−2−エン、テトラ−、ペンタ−およびヘキサメチレンである。
【0006】
Aの場合、用語シクロアルキルは、3〜8個および好ましくは5〜7個の環炭素原子を有する単環式基、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルであり得る。
【0007】
アリールは単環または多環状芳香族基を意味してよく、それはアリール部分を一または多置換されていてよく、例えばフェニル、置換フェニル、ナフチルまたは置換ナフチルである。かかるアリール基上の置換基の例は、アセトアミジニル−C1−8−アルキル、アシル−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、(N−アシル)−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキルアミノ、C2−8−アルケニル、C2−8−アルケニルオキシ、C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、(N−C1−8−アルコキシ)−C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルコキシ、(N−C1−8−アルコキシ)−C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル−カルバモイル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル−カルボニル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル−カルボニルアミノ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル−ヘテロシクリル、2−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル−4−オキソ−イミダゾール−1−イル、6−アルコキシ−アミノカルボニル−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−アミノカルボニル−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシカルボニル、C1−8−アルコキシカルボニル−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシカルボニル−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシカルボニルアミノ−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシカルボニルフェニル、C1−8−アルキル、(N−C1−8−アルキル)−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル−カルバモイル、(N−C1−8−アルキル)−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル−カルボニルアミノ、(N−C1−8−アルキル)−C1−8−アルコキシ−カルボニルアミノ、(N−C1−8−アルキル)−C0−8−アルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルコキシ、(N−C1−8−アルキル)−C0−8−アルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、(N−C1−8−アルキル)−C1−8−アルキルスルホニルアミノ−C1−8−アルコキシ、(N−C1−8−アルキル)−C1−8−アルキルスルホニルアミノ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル−アミジニル、場合によりN−モノまたはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ、C1−8−アルキルアミノ−C2−8−アルコキシ、ジ−C1−8−アルキルアミノ−C2−8−アルコキシ、C1−8−アルキルアミノ−C1−8−アルキル、ジ−C1−8−アルキルアミノ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルコキシ、ジ−C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルキル、ジ−C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルキル、C1−8−アルキルアミノカルボニルアミノ−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルキルアミノカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル−カルバモイル、ジ−C1−8−アルキル−カルバモイル、C0−8−アルキルカルボニルアミノ、C0−8−アルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルコキシ、C0−8−アルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキルカルボニルオキシ、C1−8−アルキルカルボニルオキシ−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルキルカルボニルオキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキレンジオキシ、C1−8−アルキル−スルホニル、C1−8−アルキルスルホニル−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルキルスルホニル−C1−8−アルキル、C1−8−アルキルスルホニルアミノ−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルキルスルホニルアミノ−C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルカノイル、アリール−C0−8−アルコキシ、アリール−C0−8−アルキル、アリールアミノ、アリールオキシ、アリールチオ、ベンゾイルオキシ−C1−8−アルコキシ、ベンジルオキシ、カルバモイル−C0−8−アルコキシ、カルバモイル−C0−8−アルキル、カルボキシ、カルボキシ−C1−8−アルコキシ、カルボキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、カルボキシ−C1−8−アルキル、シアノ、シアノ−C1−8−アルコキシ、シアノ−C1−8−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−8−アルカノイル、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルコキシ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、シクロプロピル−C1−8−アルコキシ、シクロプロピル−C1−8−アルキル、O,N−ジメチルヒドロキシルアミノ−C1−8−アルキル、ジオキソラニル−C1−8−アルコキシ、ハロゲン、ハロゲン−C1−8−アルコキシ、ハロゲン−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8−アルカノイル、ヘテロシクリル−C1−8−アルコキシ、ヘテロシクリル−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ、ヘテロシクリル−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C2−8−アルコキシ、ヒドロキシ−C2−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ、ヒドロキシ−C2−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、ヒドロキシ−C1−8−アルキル、(N−ヒドロキシ)−C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルコキシ、(N−ヒドロキシ)−C1−8−アルキルアミノカルボニル−C1−8−アルキル、ヒドロキシ−C1−8−アルキルフェニル、(N−ヒドロキシ)−アミノカルボニル−C1−8−アルコキシ、(N−ヒドロキシ)−アミノカルボニル−C1−8−アルキル、ヒドロキシベンジルオキシ、メチレンジオキシベンジルオキシ、メトキシベンジル(benyl)オキシ、O−メチルオキシミル−C1−8−アルキル、ニトロ、2−オキソ−オキサゾリジニル−C1−8−アルコキシ、2−オキソ−オキサゾリジニル−C1−8−アルキルまたはピリジルカルボニルアミノ−C1−8−アルキルである。
【0008】
用語ヘテロシクリルは、基Aについて以外、1個以上のO、SまたはNを含む群から選択されるヘテロ原子、例えば1〜4個の窒素および/または1個または2個の硫黄および/または1個または2個の酸素原子を有し、一または多置換、特に一、二または三置換されていてよい単または多環状、飽和および不飽和ヘテロ環式基を意味する。さらに、用語ヘテロシクリルは上記のオキソ置換された基を含んでよい。不飽和ヘテロシクリル基の例は、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、ジヒドロ−3H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、1,4−ジヒドロ−ベンゾ[d][1,3]オキサジン、ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジニル、3,4−ジヒドロ−1H−キナゾリン、3,4−ジヒドロ−1H−キノリン、2,3−ジヒドロインドリル、ジヒドロ−1H−ピリド[2,3−b][1,4]オキサジニル、1,1−ジオキソ−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジニル、フリル、イミダゾリル、イミダゾ[1,5−a]ピリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル、インダゾリル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソキノリル、[1,5]ナフチリジル、オキサゾリル、1−オキシド−ピリジル、2−オキソ−ベンゾイミダゾリル、3−オキソ−4H−ベンゾ[1,4]オキサジニル、2−オキソ−ベンゾオキサゾリル、3−オキソ−4H−ベンゾ[1,4]チアジニル、2−オキソ−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール、2−オキソ−ジヒドロ−ベンゾ−[d][1,3]オキサジニル、2−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−キナゾリン、2−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−キノリン、4−オキソ−ジヒドロ−イミダゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロインドリル、1−オキソ−3H−イソベンゾフラニル、2−オキソ−1H−ピリド[2,3−b][1,4]オキサジニル、2−オキソ−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[b]アゼピン、2−オキソ−テトラヒドロ−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、4−オキソ−3H−チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5−オキソ−4H−[1,2,4]トリアジニル、フタラジニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、1H−ピロリジニル、ピロロ[3,2−c]ピリジニル、ピロロ[2,3−c]ピリジニル、ピロロ[3,2−b]ピリジニル、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジル、ピロリル、1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[b]アゼピン、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリル、1,1,3−トリオキソ−ジヒドロ−2H−1ラムダ−ベンゾ[1,4]チアジニル、[1,2,3]トリアゾロ[1,5−a]ピリジニルまたは[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジニルである。
【0009】
用語飽和ヘテロシクリルは、基Aについて以外、1個以上のO、S、またはNを含む群から選択されるヘテロ原子、例えば1〜4個の窒素および/または1個または2個の硫黄または酸素原子を有する3−16員単または二環式、飽和ヘテロ環式基を意味し得る。好ましいのは3−8員、特に好ましいのは5または6員単環式基であり、これは3−8員、炭素環式またはヘテロ環式環に縮合していてよい。飽和ヘテロ環式基の他の好ましい群は、スピロ環状または架橋環骨格を有する二環式基である。
【0010】
好ましいヘテロ環式基は、基Aについて以外、環当たり1個の窒素、酸素または硫黄原子、1−2個の窒素原子および1−2個の酸素原子または1−2個の窒素原子および1−2個の硫黄原子を有し、それにより、環当たり、少なくとも1個の炭素原子、優先的には1−7個の炭素原子が存在する。窒素原子を含むヘテロシクリル基は、該分子の残りにN原子またはC原子のいずれかを介して結合し得る。
【0011】
Aの場合、用語単環式、飽和ヘテロシクリルは、1個以上のO、SまたはNを含む群から選択されるヘテロ原子、例えば1〜2個の窒素および/または1個または2個の硫黄および/または1個または2個の酸素原子を有する3−8員単環式、飽和ヘテロ環式基を意味し得る。好ましいのは4−7員、特に好ましいのは5または6員単環式基である。好ましいヘテロ環式基は、環当たり1個の窒素、酸素または硫黄原子を有し、それにより、環当たり、少なくとも2個の炭素原子、優先的には2−7個の炭素原子が存在する。
【0012】
ヘテロシクリルのヘテロ原子Nは、NHまたはN−置換基およびさらに不飽和ヘテロシクリルにおいては−N=を含み得る。置換基は、前記置換基、例えばC1−8−アルキル、C2−8−アルケニル、C2−8−アルキニル、C3−12−シクロアルキル、C3−12−シクロアルキル−C1−8−アルキル、C6−18−アリール、C7−18−アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、ヘテロアリール−C1−8−アルキル、トリ−C1−8−アルキル−シリル、およびC1−12−アシルを含み得る。
【0013】
飽和ヘテロシクリル基の例はアゼパニル、アゼチジニル、アジリジニル、3,4−ジヒドロキシピロリジニル、2,6−ジメチルモルホリニル、3,5−ジメチルモルホリニル、ジオキサニル、[1,4]ジオキセパニル、ジオキソラニル、4,4−ジオキソチオモルホリニル、ジチアニル、ジチオラニル、2−ヒドロキシメチルピロリジニル、4−ヒドロキシピペリジニル、3−ヒドロキシピロリジニル、4−メチルピペラジニル、1−メチルピペリジニル、1−メチルピロリジニル、モルホリニル、オキサチアニル、オキセパニル、2−オキソ−アゼパニル、2−オキソ−イミダゾリジニル、2−オキソ−オキサゾリジニル、2−オキソ−ピペリジニル、4−オキソ−ピペリジニル、2−オキソ−ピロリジニル、2−オキソ−テトラヒドロ−ピリミジニル、4−オキソ−チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、チエパニルまたはチオモルホリニルである。
【0014】
飽和二環式ヘテロシクリル基の例は、2,5−ジオキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2−オキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−オキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、1−オキサ−スピロ[2.5]オクタニル、6−オキサ−スピロ[2.5]オクタニルまたは3−オキサ−ビシクロ[3.3.1]ノナニルである。
【0015】
ヘテロシクリル基は置換されていなくても、一または多置換、例えば一または二置換されていてもよい。かかるヘテロシクリル基上の置換基の例は、C1−6−アルカノイル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシカルボニルアミノ−C2−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシカルボニルアミノ−C0−6−アルキル、C1−6−アルキル、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ−C2−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルカルボニルオキシ、C1−6−アルキレンジオキシ、場合によりN−モノまたはN,N−ジ−C1−6−アルキル化されていてよいアミノ、アリール、場合によりN−モノまたはN,N−ジ−C1−6−アルキル化されていてよいカルバモイル、カルボニルアミノ、カルボニルアミノ−C2−6−アルコキシ、カルボニルアミノ−C1−6−アルキル、場合によりエステル化されていてよいカルボキシ、シアノ、C3−8−シクロアルコキシ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ニトロ、オキシド、オキソ、ポリハロゲン−C1−6−アルコキシまたはポリハロゲン−C1−6−アルキルである。
【0016】
用語ポリハロゲン−C1−6−アルキルは、2−8個のハロゲンで置換されていてよいC1−6−アルキル基、例えばトリフルオロメチルなどを意味する。
についての用語ハロ−C1−8−アルキルは、モノまたはポリハロゲンアルキル、例えばクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロエチル、モノフルオロエチルおよびペンタフルオロエチルを意味し得る。
【0017】
アリール−C1−8−アルキル基およびヘテロシクリル−C1−8−アルキル基中のC1−8−アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは、本アルキル基はC1−6−アルキルおよびより好ましくはC1−4−アルキル基、例えばメチレン、エチレン、1,2−または1,3−プロピレンおよび1,2−、1,3−または1,4−ブチレンである。
ハロゲンまたはハロは、例えば、フッ素、塩素または臭素を意味する。
【0018】
塩は主として式(I)の化合物の薬学的に許容されるまたは非毒性塩である。用語“薬学的に許容される塩”は、無機または有機酸類、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩を包含する。
【0019】
塩形成基を有する化合物の塩は、特に酸付加塩、塩基との塩であるか、または、複数の塩形成基の存在下では、混合塩または分子内塩である。
【0020】
かかる塩は、例えば、酸性基、例えばカルボキシルまたはスルホ基を有する式(I)の化合物から形成され、例えば、適当な塩基との塩、例えば元素周期表のIa、Ib、IIaおよびIIb族の金属由来の非毒性金属塩、例えばアルカリ金属塩、特にリチウム塩、ナトリウム塩、またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩またはカルシウム塩、およびまた亜鉛塩およびアンモニウム塩であり、有機アミン類、例えば場合によりヒドロキシ−置換されていてよいモノ−、ジ−またはトリアルキルアミン類、特にモノ−、ジ−またはトリ(低級アルキル)アミン類、または4級アンモニウム塩基、例えばメチル−、エチル−、ジエチル−またはトリエチルアミン、モノ−、ビス−またはトリス(2−ヒドロキシ(低級アルキル))アミン類、例えばエタノール−、ジエタノール−またはトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンまたは2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、N,N−ジ(低級アルキル)−N−(ヒドロキシ(低級アルキル))アミン、例えばN,N−ジ−N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはN−メチル−D−グルカミン、または4級水酸化アンモニウム類、例えばテトラブチル水酸化アンモニウムと形成される塩を含む。塩基性基、例えばアミノ基を有する式(I)の化合物は、例えば適当な無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸、一方または両方のプロトンが置き換えられた硫酸、1個以上のプロトンが置き換えられたリン酸、例えばオルトリン酸またはメタリン酸、または1個以上のプロトンが置き換えられたピロリン酸、または有機カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸またはN−置換スルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、エンボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、およびまたアミノ酸類、例えば上記アルファ−アミノ酸類、およびまたメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、2−または3−ホスホグリセラート、グルコース6−ホスフェート、N−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメート類の形成を伴う)または他の酸性有機化合物、例えばアスコルビン酸と酸付加塩を形成し得る。酸性および塩基性基を有する式(I)の化合物はまた分子内塩も形成できる。
【0021】
得られた塩を他の塩にそれ自体既知の方法で、酸付加塩は、例えば、形成される無機塩は不溶性であり、故に反応平衡から逸脱して分離される適当な溶媒中での他の酸の適当な金属塩、例えばナトリウム塩、バリウム塩または銀塩での処理により、そして塩基塩は遊離酸の遊離と塩再形成により、変換してよい。
【0022】
式(I)の化合物は、その塩を含み、結晶化工程で使用した溶媒を包含する水和物または溶媒和物の形でも得ることができる。
単離および精製目的で、薬学的に適当ではない塩の使用も見出され得る。
【0023】
式(I)の化合物はまた、1個以上の原子がその安定な、非放射性同位体で;例えば水素原子が重水素で置換されている化合物も含む。
【0024】
式(I)の化合物は、文献に記載された製造方法に準じる方法で製造し得る(WO2002/09262)(スキーム1)。特定の製造変法についての詳細は実施例から導かれ得る。本発明のさらなる目的は、スキーム1に従った式(I)の化合物の製造方法、およびスキーム1に示す一般式に従う新規中間体である。
【化2】

【0025】
式(I)の化合物は、少なくとも1個の不斉炭素原子を有し、故に、光学的に純粋な鏡像体、一方の鏡像体が優勢な混合物またはラセミ体、または −− 少なくとも1個の別の不斉炭素原子が存在しているとき −− ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物の形でまたはメソ化合物として存在し得る。本発明はこれらの形態の全てを包含する。ジアステレオマー混合物、ジアステレオマーラセミ体またはジアステレオマーラセミ体の混合物は、慣用法により、例えばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、HPLCなどにより分割し得る。
【0026】
式(I)の化合物はまた光学的に純粋な形態でも製造し得る。アンチポードへの分割はそれ自体既知の方法で、好ましくは合成の初期段階で光学活性酸、例えば(+)−または(−)−マンデル酸との塩形成と分別結晶によるジアステレオマー塩の分割により、または好ましくは比較的後の段階でキラル補助構成要素、例えば(+)−または(−)−カンファノイルクロライドで誘導体化し、そしてジアステレオマー生成物をクロマトグラフィーおよび/または結晶化により分割し、その後開裂を切断してキラル助剤を得ることにより行うことができる。純粋なジアステレオマー塩および誘導体を一般的分光法で存在するピペリジンの絶対配置を決定するために分析してよく、一結晶上のX線分光学が特に適切な方法を構成する。
【0027】
式(I)の化合物の個々のキラル中心での配置について選択的に逆にすることが可能である。例えば、求核性置換基、例えばアミノまたはヒドロキシルを担持する不斉炭素原子の配置を、適切であれば結合した求核性置換基の適当な離核性(nucleofugic)脱離基への変換および元の置換基を挿入する反応体との反応後に、二次求核性置換により逆にでき、またはヒドロキシル基を有する炭素原子の配置を、欧州特許出願EP−A−0236734の方法に準じて、酸化および還元により逆にできる。また遊離なのは、ヒドロキシル基の反応性官能基修飾と続く逆の配置を有するヒドロキシルでのその置換である。
【0028】
式(I)の化合物はまた、1個以上の原子がその安定な、非放射性同位体で置換された化合物も含む(例えば水素が重水素で)。
【0029】
本明細書に記載する化合物のプロドラッグ誘導体は、インビボ適用により、化学的または生理学的工程により元の化合物を放出するその誘導体である。プロドラッグは、例えば、生理学的pHに達したときまたは酵素的変換により元の化合物に変換され得る。プロドラッグ誘導体は、例えば、自由に利用できるカルボン酸類のエステル類、チオール類、アルコール類またはフェノール類のS−およびO−アシル誘導体であり、アシル基は本明細書で定義した通りである。優先されるのは、生理学的媒体中の加溶媒分解により元のカルボン酸に変換される薬学的に利用可能なエステル誘導体、例えば低級アルキルエステル類、シクロアルキルエステル類、低級アルケニルエステル類、ベンジルエステル類、一または二置換低級アルキルエステル類、例えば低級ω−(アミノ、モノ−またはジアルキルアミノ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル)−アルキルエステル類または例えば低級α−(アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニルまたはジアルキルアミノカルボニル)−アルキルエステル類であり;そのようなものとして、ピバロイルオキシメチルエステル類および類似のエステル類は慣用法で利用される。
【0030】
好ましい態様において、プロドラッグは、チオール基の水素原子が生理学的環境で切断される保護基R、例えばC−C−アシル(用語アシルはカルボン酸およびスルホン酸の残基を含み得る)、N,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニル(ジメチルアミノカルボニル)およびC−C−アルコキシカルボニル(メトキシ−、エトキシ−またはt−ブトキシカルボニル)により置換されている式(I)の化合物から選択される。
【0031】
遊離化合物、プロドラッグ誘導体および塩化合物の密接な関係のため、本発明のある種の化合物はまた、可能であり適切であるならば、そのプロドラッグ誘導体および塩形態も包含する。
【0032】
式(I)の化合物はまた、1個所以上を、例えば酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)および/または窒素を介してニトロソ化されている化合物も含む。この本発明のニトロソ化化合物は、当業者に既知の慣用法を使用して製造できる。例えば、化合物のニトロソ化に関する既知方法は、WO2004/098538A2に記載されている。
【0033】
式(I)の化合物はまた、硝酸エステル含有リンカーが存在する酸素および/または窒素に結合するように1個所以上が変換されている化合物も含む。かかる本発明の化合物の“ニトロ誘導体”は、当業者に既知の慣用法を使用して製造できる。例えば、化合物をそのニトロ誘導体に変換するための既知方法は、WO2007/045551A2に記載されている。
【0034】
中性エンドペプチダーゼ3.4.24.11(NEP)は、ネプリライシン、エンケファリナーゼ、共通急性リンパ芽球性白血病抗原またはCD10とも呼ばれ、特異的な生物学的に活性なペプチド類を開裂する亜鉛含有メタロプロテアーゼである。NEPは体内に広く分布し、腎臓、脳および腸組織から精製されている。数種のペプチド類が、インビトロでNEPの基質として同定されている;しかしながら、このペプチダーゼの分布と、その潜在的基質の分布が、インビボでNEPに機能的選択性を与える可能性がある。NEPの薬理学的阻害はこのペプチド類の代謝に影響し、故にその生物学的機能を増強する。
【0035】
中枢神経系において、NEPはMet−およびLeu−エンケファリンの加水分解に関係する。これらのペプチド類は鎮痛を仲介する能力を有する。それ故に、NEPの阻害は、抗侵害受容性活性を生じることが証明されている(Chipkin et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 1988;245:829-838)。
【0036】
心臓、腎臓および脈管構造において、NEPはナトリウム利尿ペプチド類およびブラジキニンの分解に関係する。ナトリウム利尿ペプチド類ANP、心房性ナトリウム利尿ペプチド、BNP、脳ナトリウム利尿ペプチド、CNP、C型ナトリウム利尿ペプチドおよびウロジラチンは、利尿、ナトリウム利尿、抗炎症性、抗線維化および抗分裂作用を仲介する。ブラジキニンは血管平滑筋組織の緊張を調節する。それ故に、NEPの阻害は血圧を下げ、末梢動脈疾患を改善し、利尿を増やし、心保護的および抗アテローム硬化性であり、同様に虚血性梗塞および内皮機能不全に対して保護的であることが証明されている(Mukassam-Daher, Expert Opinion Therapeutic Targets 2006;10:239-252)。
【0037】
感覚神経において、NEPは、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系、交感神経系およびエンドセリン系を含む高血圧促進性系との相互作用を介して;および血管平滑筋細胞の抗肥大および抗増殖を介して、高血圧の開始、進行および持続に重要な役割を有する強力な血管拡張因子であるカルシトニン遺伝子関連ペプチドであるCGRPの分解に関係する。CGRP合成および遊離の減少は血圧上昇に関与する。それ故に、NEPの阻害は、高血圧の発症におけるCGRPおよびその代償性降圧薬の役割の効果を増強し得る(Deng and Li, Peptides 2005; 26:1676-1685)。
【0038】
加えて、NEPは、血管作動性腸ペプチドの異化反応に関係する。血管作動性腸ペプチドは生殖器の血流を増やし、膣、口唇および陰核の血流の増加をもたらす。それ故に、NEPの阻害は血管作動性腸ペプチドの活性を増強し、女性の性的興奮障害(FSAD)の処置に有用である(Pryde et al., Journal of Medicinal Chemistry 2006;49:4409-4424)。
【0039】
NEPはまたインクレチングルカゴン様ペプチド−1の分解にも関係する。グルカゴン様ペプチド−1は、膵臓でインスリン分泌性活性を有し、そして摂食量も調節し得る。それ故に、NEPの阻害は、グルコース依存性インスリン遊離を増強し、摂食量を減らし、糖尿病、インスリン抵抗性および肥満の処置に有用である。NEP阻害剤のこのような適用の可能性により、薬剤開発に対する相当な努力が成されている。種々の化学的分類の選択的NEP阻害剤が開発され、幾つかは臨床で試験されている。
【0040】
ここに記載する式(I)の化合物がNEP活性を阻害する能力は、例えばOrlowskiおよびWilk(Biochemistry, 1981;20:4942-50)の変法を使用したラット腎臓皮質膜由来のNEPによる蛍光性基質の加水分解を決定するインビトロアッセイにより示すことができる。100μlのインキュベーション混合物は次のものを含む:
【表1】

【0041】
試験化合物を1mMの濃度でDMSOに溶解し、その後アッセイ緩衝液で連続希釈する。インキュベーション混合物中の最終化合物濃度は10μM〜1nMの範囲である。インキュベーション混合物を45分間、30℃でインキュベートする。加水分解生成物、7−アミド−4−メチルクマリンを、Victor V2 detector(Perkin Elmer)を使用して蛍光(λecc.:355nm;λem.:460nm)により定量する。
【0042】
インビトロNEP阻害の例:
【表2】

高い阻害活性は、低いIC50値となる。
【0043】
ここに開示する式(I)の化合物のNEP阻害活性はまた、例えばOrlowskiおよびWilk (Biochemistry, 1981;20:4942-50)の変法を使用したラット腎臓ホモジネート由来のNEPによる蛍光性基質の加水分解を決定するエクスビボアッセイによっても示すことができる。11−14週齢の雄本態性高血圧ラット(SHR)を、試験化合物または媒体のi.v.投与を受ける3群に分ける。試験化合物を、2〜20μmol/kg体重の範囲の濃度の1.0mlの容量で適用する。尾静脈注射5〜15分後、動物を屠殺し、腎臓を摘出して、トリス緩衝化Triton-X100溶液中で均質化する。ホモジネートのNEP活性を、45分間、30℃でインキュベートする次のものを含む100μl混合物中で測定する。
【表3】

その後、加水分解生成物、7−アミド−4−メチルクマリンを、Victor V2 detector (Perkin Elmer)を使用して蛍光(λecc.:355nm;λem.:460nm)により定量する。
【0044】
式(I)の化合物により阻害されたNEP活性のパーセントを次の通り計算する:
【数1】

式中、
・ Splはウェルで測定された蛍光
・ Bはブランクウェルで測定された蛍光
・ Contは、対照ウェルで測定された蛍光
【0045】
IC50値を、次の非線形式に従い、4パラメーターロジスティック曲線を特異的試験物濃度で記録された阻害%に適合させることにより計算する:
【数2】

【0046】
この数式を、S字状濃度−応答曲線に適合させ、ここで、
・ Yは従属変数としての観察された応答
・ Xは独立変数としての試験化合物濃度
・ cは各々最大の半分の効果を与える化合物濃度の負の対数である曲線の変曲点(EC50またはIC50)、すなわち、Yが漸近線Xの下部と上部の真ん中であるならばcに等しい。
・ aは、Xが0に近づくため制限応答である。
・ dはバックグラウンド効果またはX濃度無限大での効果である。
・ bはIC50またはヒル係数の領域での傾斜因子である。bの符号は応答が用量が増加するに連れて高まるならば正であり、応答が用量が増加するに連れて下がるならば負である(阻害)。
【0047】
NEP阻害活性の例:
【表4】

高い阻害活性は、高い阻害%値に対応する。
【0048】
ここに記載する化合物のバイオアベイラビリティは、インビボで次のプロトコールを使用して試験できる:
試験を、試験中自由に動くことができる予めカテーテル処置した(頚動脈)雄ラット(300g±20%)で行う。本化合物を、別の組の動物に静脈内におよび経口で(胃管栄養法)投与する。経口投与の適用量は0.5〜50mg/kg体重であり得る;静脈内投与の投与量は0.5〜20mg/kg体重であり得る。血液サンプルを化合物前、続いて24時間にわたり自動サンプリング装置(AccuSampler, DiLab Europe, Lund, Sweden)を使用してカテーテルを通して採る。化合物の血漿濃度を、有効なLC−MS分析法を使用して決定する。薬物動態学的分析を、各投与経路について全時点を通して全血漿濃度を平均化した後血漿濃度−時間曲線で行う。計算すべき典型的薬物動態学的パラメータは:最大濃度(Cmax)、最大濃度に至るまでの時間(tmax)、0時間から最後の定量可能な濃度の時点までの曲線下面積(AUC0−t)、0から無限大までの曲線下面積(AUC0−inf)、消失速度定数(K)、終末相半減期(t1/2)、絶対的経口バイオアベイラビリティまたは吸収画分(F)、クリアランス(CL)、および終末相における分布容積(Vd)を含む。
【0049】
5種の主要なCYP450酵素群CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4が、ヒトにおける薬物代謝活性の95%以上を担っている。
【0050】
インビトロ薬物代謝を評価する目的は:
(1)試験化合物およびその代謝物に作用する全ての主要な代謝経路を、形成された中間体の代謝にかかる特異的酵素の同定および中間体の解明を含め、決定すること;および
(2)試験薬の他の薬物の代謝に対する影響および他の薬物の試験薬の代謝における影響を調査し、予測すること
である。
【0051】
肝臓代謝についてのほとんど完全な像は、補助因子が自己充足(self-sufficient)され、関連酵素の自然配向および位置が保存されている無傷の肝臓系(例えば肝細胞、ミクロソーム)で得ることができる。しかしながら、多くの化合物を同時に試験しなければならないとき、より単純なスクリーニングツールが有利である。一般的CYP450類のためのcDNAはクローン化されており、組み換えヒト酵素タンパク質が種々の細胞で発現されている。これらの組み換え酵素の使用は、速く特異的酵素阻害活性を評価しおよび/またはミクロソームにおいて同定された結果を確認する優れた方法を提供する。
【0052】
ここに記載した化合物の代謝特性(ヒトチトクロムP450アイソフォームに対する阻害定数)は、次のプロトコールを使用してインビボで試験できる:
CYP450酵素群に対する阻害活性を試験するために、酵素反応を種々の濃度の試験化合物(連続希釈)の存在下にモニターし、最大酵素活性(対照:試験化合物なし)と比較する。原則として、阻害は3つの異なる機構により起こり得る:(1)競合的阻害、(2)非競合的阻害、および(3)機構に基づく阻害。いずれの場合も、阻害強度は試験化合物の濃度に依存する。CYP450酵素活性を一定範囲の試験化合物濃度で試験することにより、最大の半分の酵素阻害が観察される試験化合物濃度(IC50濃度)を同定する。
【0053】
スクリーニング目的で、試験化合物の阻害能を、上記の主要な5種のCYPアイソフォームの全てについて利用可能な、直ぐに使用できるキット(CYP450ハイスループット阻害剤スクリーニングキット、例えばCYP1A2/CEC, #459500, BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ USA)で試験できる。かかるキットで、昆虫細胞で発現させた組み換えヒトCYP450アイソフォームを、種々の濃度の試験化合物存在下、アイソフォーム特異的、蛍光性基質とインキュベートする。酵素活性は、この蛍光性基質を蛍光色素産物に変換し、その濃度を蛍光分光光度計で測定する。蛍光は、酵素活性に直接比例する。CYP450ハイスループット阻害剤スクリーニングキットを使用した典型的標準アッセイにおいて、グルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADP/NADPH産生系および適当な蛍光性基質:例えば3−シアノ−7−エトキシクマリン(CYP1A2)を含む、リン酸緩衝液(50mM、pH7.4)中、化合物を2nMから33μM濃度範囲で試験する。コントロール阻害剤として、次の物質を使用できる:フラフィリン(CYP1A2)、スルファフェナゾール(CYP2C9)、トラニルシプロミン(CYP2C19)、キニジン(CYP2D6)およびケトコナゾール(CYP3A4)。
【0054】
反応を2.5nM(最終濃度)CYP450アイソザイムの添加により開始させ、37℃で15〜45分間インキュベートし、次いで187.5mM トリス−ヒドロキシ−アミノメタン塩基/アセトニトリル(20/80、v/v)の添加により停止させる。
次いで、産生された蛍光色素の量を、適当な励起および放出波長設定:例えば410nm励起および460nm放出波長(CYP1A2)の蛍光分光学で測定する。
【0055】
これとは別におよび/または補完的に、R. L. Walsky and R. S. Obach in Validated assay for human cytochrome p450 activities; Pharmacokinetics, Pharmacodynamics, and Drug Metabolism, Pfizer, Groton, Connecticut; Drug Metabolism and Disposition: (2004)32, 647-660に記載のヒト肝臓ミクロソーム(例えばBD Biosciences, #452161)をCYPアイソフォーム特異的標準基質(例えばCYP3A4/5のためにミダゾラム)と組み合わせて使用するアッセイを使用できる。試験化合物がCYP3A酵素活性を阻害するか否かを決定するために、例えば、種々の濃度の試験化合物存在下のヒト肝臓ミクロソームによるミダゾラムのヒドロキシル化をモニターする。ヒドロキシ−ミダゾラム産生は酵素活性に直接比例し、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析で決定できる。加えて、ミクロソームアッセイを、ミクロソームの標準基質添加前の試験化合物との15分間プレインキュベーションをせずに、またはして、行うことができる。P450酵素を不可逆性に修飾する可能性のある試験化合物またはその代謝物は、プレインキュベーション後により強い効果を有する。
【0056】
ヒト肝臓ミクロソームアッセイを使用した典型的標準アッセイにおいて、化合物を、NADPH産生系(グルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、NADP、NADPH)および10μM基質(例えばCYP3A4/5についてミダゾラム)および0.1mg/mLミクロソームタンパク質を含むリン酸緩衝液(100mM リン酸カリウム、3.3mM MgCl、pH7.4)中、10nM〜50μM濃度範囲で試験する。コントロール阻害剤として、上記と同じ物質を使用できる(例えばケトコナゾール(CYP3A4/5))。化合物のプレインキュベーションを望むならば、基質以外の全てのアッセイ要素を混合し、15分間、37℃でインキュベートする。その期間の後、基質をアッセイ混合物に添加し、次いで37℃でのインキュベーションを15分間続ける。プレインキュベーションをしないならば、全てのアッセイ要素を同時に添加し、次いで37℃で15分間インキュベーションする。酵素反応の停止を、HCOOH/アセトニトリル/HO(4/30/66、v/v/v)溶液の添加により達成する。次いで、サンプルを冷蔵庫(4±2℃)で1時間±10分間インキュベートして、タンパク質沈降を増やす。LC/MSMSでの分析の直前に、サンプルを3,500gで60分間、4℃で遠心分離して、沈殿したタンパク質を分離する。上清をアセトニトリル/水(50/50、v/v)と混合し、次いで化合物含量についてLC/MSMSで直接分析する。
【0057】
次いで、いずれかの実験方法からのデータの評価を、下記の通り行う:特異的化合物濃度での残存活性分対化合物濃度の関数としてのコントロール活性を使用して、IC50値を計算する。これを実験データセットに対する4−パラメーターロジスティック関数に適合させることにより行う。
【0058】
ここに開示する式(I)の化合物の代謝安定性は、そのバイオアベイラビリティに影響する因子であり得る。代謝安定性を、例えばObach(Drug Metabolism and Disposition, 1999; 27(11):1350-1359)の方法を使用した肝臓内因性ミクロソームクリアランスにより試験できる。
【0059】
以下に記載する好ましい化合物の置換基の定義は閉じられたものと見なしてはならず、例えば、一般的な定義をより具体的な定義に置き換えるために、むしろこれらの定義の一部を互いにまたは上記の定義と分別のある方法で交換してよい。定義は、一般的な原子の結合手のような一般的な化学的原則に従い正当である。
【0060】
好ましい本発明の化合物は、一般式(IA)
【化3】

〔式中、A、RおよびRは式(I)の化合物について上で定義した通りである。〕
の化合物である。
【0061】
さらに、好ましい式(I)の化合物群、またはより好ましくは式(IA)の化合物群およびその塩、好ましくはその薬学的に許容される塩は
Aが単環式C3−8−シクロアルキルであり、これは、置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
がC1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;そして
がC1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル、アリール、アリール−C1−8−アルキル、ハロ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている
化合物である。
【0062】
さらに、好ましい式(I)の化合物群、またはより好ましくは式(IA)の化合物群およびその塩、好ましくはその薬学的に許容される塩は
Aが単環式、飽和ヘテロシクリルであり、これは、置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
がC1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;そして
がC1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル、アリール、アリール−C1−8−アルキル、ハロ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている
化合物である。
【0063】
さらに、好ましい式(I)の化合物群、またはより好ましくは式(IA)の化合物群およびその塩、好ましくはその薬学的に許容される塩は
Aが単環式C5−7−シクロアルキルまたはO、SまたはNを含む群から選択される1個のヘテロ原仔を有する単環式、飽和ヘテロシクリルであり;その各々は、置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている
化合物である。特に好ましくは、基Aがシクロヘキシル、シクロペンチルまたはテトラヒドロピラン−4−イルである。
【0064】
さらに、好ましい式(I)の化合物群、またはより好ましくは式(IA)の化合物群およびその塩、好ましくはその薬学的に許容される塩は
がC1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;Rが特に好ましいのはアリール−C2−4−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C2−4−アルキルであり、ここで、アリール−C2−4−アルキルまたはヘテロシクリル−C2−4−アルキルのC2−4−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている
化合物である。
【0065】
さらに、好ましい式(I)の化合物群、またはより好ましくは式(IA)の化合物群およびその塩、好ましくはその薬学的に許容される塩は
がC1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル、アリールまたはアリール−C1−8−アルキルであり、ここで、アリール−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;特に、Rがベンジル、イソプロピル、2−メトキシエチル、メチルまたはプロピルである
化合物である。
【0066】
式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物、およびそれらの薬学的に使用可能な塩は、例えば医薬製剤の形で、医薬として使用が見出され得る。従って、本発明はまた、式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物にも関する。
【0067】
本医薬製剤は経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル剤、溶液、エマルジョンまたは懸濁液の形で、経鼻的に、例えば経鼻スプレーの形で、直腸的に、例えば坐薬の形で、または経皮的に、例えば軟膏剤またはパッチ剤の形で投与してよい。投与はまた非経腸的に、例えば筋肉内または静脈内に、例えば注射溶液の形でも成し得る。
【0068】
錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬ゼラチンカプセルの製造のために、式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物、およびその薬学的に使用可能な塩を、薬学的に不活性な、無機または有機賦形剤と加工する。例えば錠剤、コーティング錠および硬ゼラチンカプセル剤に使用するかかる賦形剤は、ラクトース、コーンデンプン、またはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などであり得る。
軟ゼラチンカプセル用の適当な賦形剤は、例えば、植物油、蝋、脂肪、半固体および液体ポリオールなどである。
【0069】
溶液およびシロップ製造用の適当な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコースなどである。
注射溶液用の適当な賦形剤は、例えば、水、アルコール類、ポリオール、グリセロール、植物油、胆汁酸類、レシチンなどである。
坐薬用の適当な賦形剤は、例えば、天然または硬化油、蝋、脂肪、半固体または液体ポリオールなどである。
【0070】
本医薬製剤は、さらにまた防腐剤、可溶化剤、増粘物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、浸透圧改変用塩、緩衝剤、コーティングまたは抗酸化剤も含んでよい。また他の治療的に価値ある物質も含んでよい。
【0071】
故に、ここに開示する式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物、およびその薬学的に使用可能な塩は、中性エンドペプチダーゼEC.3.4.24.11を阻害することにより、高血圧(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性、孤立性収縮期、または他の二次性のタイプの高血圧を含む)、原発性および二次性肺高血圧、原発性および続発性アルドステロン症、浮腫、塩貯留、腹水、末梢血管抵抗、動脈肥大、末梢血管疾患、末梢閉塞性疾患、間欠性跛行、偏頭痛およびレイノー病を含む血管障害、管腔過形成、冠血管または末梢血管形成術後の再狭窄、急性または慢性拡張期および鬱血性心不全を含む心不全、左室機能不全、内皮機能不全、拡張期機能不全、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、心筋炎(myocarditits)、心膜炎、心内膜炎、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、心房粗動、有害血管リモデリング、プラーク安定化、冠血管動脈疾患や心筋梗塞およびその続発症を含むアテローム性動脈硬化症、塞栓性および血栓性卒中を含む脳血管疾患、不安定型および安定型を含む狭心症、糖尿病性および非糖尿病性形態を含む急性および慢性腎臓疾患、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓疾患、慢性腎臓疾患、腎不全状態、例えばネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓疾患および末期腎臓疾患(ESRD)のタンパク尿、腎臓移植、尿路障害、狼瘡腎炎、インスリン抵抗性、2型糖尿病、糖尿病性合併症、肥満、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパシー、メタボリック症候群、肥満、周期性浮腫、メニエール病および高カルシウム尿を含む、多くの障害の処置に有益な効果を有し得る。
【0072】
加えて、本発明の化合物は、例えば緑内障、白内障、月経障害、早期陣痛、子癇前症、子宮内膜症、および生殖障害(特に男性および女性不妊症、多嚢胞性卵巣症候群、着床不全)、勃起不全、女性性的機能不全、雄性的機能不全、性欲および性的興奮障害、生殖器感覚および感受性障害、オルガスム障害、膣および陰核血流障害、性交痛障害、子宮内膜症、骨盤炎症性疾患の処置を含む、他の治療領域で活性を有し得る。
【0073】
また、本発明の化合物は、喘息、炎症、白血病、疼痛、癲癇、疼痛、鬱病、精神病性状態、情動障害、認知障害、例えばアルツハイマー病および認知症および老人性錯乱、月経前緊張症、脳虚血、卒中、くも膜下出血、外傷性脳傷害、脳血管攣縮、脳虚血、卒中、くも膜下出血、偏頭痛、外傷性脳傷害、脳脈管炎、炎症性ニューロパシーおよび消化器障害(特に下痢および過敏性腸症候群)、肝臓疾患、硬変、肝−腎臓症候群、クローン病、創傷治癒(特に糖尿病性および静脈性潰瘍および褥瘡)、敗血症性ショック、胃酸分泌の調節および嚢胞性線維症も処置するはずである。好ましい態様において、本発明の化合物は、高血圧および心血管および腎臓系の高血圧が原因の病態の処置に有用である。
【0074】
ここに記載する化合物およびそれらの薬学的に使用可能な塩は次のものと組み合わせて使用できる:
(i) 1種以上の降圧性活性成分、それ自体例えば:
− レニン阻害剤、例えばアリスキレン、またはWO2005/090305、WO2006/005741、WO2006/095020、WO2006/103275、WO2006/103277およびWO2007/031558に開示された化合物など;
− アンギオテンシンII受容体ブロッカー、例えばカンデサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタンなど;
− ACE阻害剤、例えばキナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、リシノプリル、カプトプリル、エナラプリルなど;
− カルシウムアンタゴニスト、例えばニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミル、イスラジピン、ニモジピン、アムロジピン、フェロジピン、ニソルジピン、ジルチアゼム、フェンジリン、フルナリジン、ペルヘキシリン、ガロパミルなど;
− 利尿剤、例えばヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、アセタゾラミド、アミロライド、ブメタニド、ベンズチアジド、エタクリン酸、フロセミド、インダクリノン、メトラゾン、トリアムテレン、クロルタリドンなど;
− アルドステロン受容体ブロッカー、例えばスピロノラクトン、エプレレノン;
− アルドステロン合成阻害剤、例えばファドロゾール、FAD286など;
− エンドセリン受容体ブロッカー、例えばボセンタン、アボセンタン、ダルセンタン、アンブリセンタン、アトラセンタン、エンラセンタン、テゾセンタン、シタキセンタン、クラゾセンタンなど;
− ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばアムリノン、イオデナフィル(iodenafil)、シルデナフィル、バルデナフィル(vardenavil)、タダラフィル;
− 直接血管拡張剤、例えばジヒドララジン、ミノキシジル、ピナシジル、ジアゾキシド、ニトロプルシド、フロセキナンなど;
− グアニルシクラーゼアクティベーター、例えばBAY41−2272、BAY63−2521、BAY58−2667、HMR1776、
− α−およびβ−受容体ブロッカー、例えばフェントラミン、フェノキシベンズアミン、プラゾシン、ドキサゾシン、テラゾシン、カルベジロール、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、チモロール、カルテオロールなど;
− 副交感神経遮断剤、例えばメチルドーパ、クロニジン、グアナベンズ、レセルピン
【0075】
(ii) 変力活性を有する1種以上の薬剤、それ自体例えば:
− 心グリコシド類、例えばジゴキシン;
− β−受容体刺激剤、例えばドブタミン
− 甲状腺ホルモン、例えばチロキシン
【0076】
(iii) 抗糖尿病性活性を有する1種以上の薬剤、それ自体例えば:
− インスリン類、例えばインスリンアスパルト、インスリンヒト、インスリンリスプロ、インスリングラルギンおよびさらなる短時間、中程度および長時間作用型インスリン誘導体および組合せ
− インスリン増感剤、例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン;
− スルホニルウレア類、例えばグリメピリド、クロロプロパミド、グリピジド、グリブリドなど;
− ビグアナイド類、例えばメトホルミン;
− グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース、ミグリトール;
− メグリチナイド、例えばレパグリニド、ナテグリニド;
− ジペプチジルプロテアーゼIV阻害剤、例えばシタグリプチン、ビルダグリプチン、デナグリプチンなど;
【0077】
(iv) 1種以上の肥満軽減性成分、それ自体例えば:
− リパーゼ阻害剤、例えばオーリスタット;
− 食欲抑制剤、例えばシブトラミン、フェンテルミン;
【0078】
(v) 1種以上の脂質低下性活性成分、例えば、例えば、
− HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えばロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンなど;
− フィブラート誘導体、例えばフェノフィブラート、ゲムフィブロジルなど;
− 胆汁酸結合性活性成分、例えばコレスチポール、コレスチラミン、コレセベラム
− コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ
− ニコチン酸、例えばナイアシン
【0079】
(vi) 1種以上の抗炎症剤、例えば、例えば、
− 非選択的シクロオキシゲナーゼ−1/2阻害剤、例えばアセチルサリチル酸、イブプロフェン(ibuproven)、ジクロフェナク、パラセタモール、メフェナム酸、インドメタシン(indometacin)、ナプロキセンなど;
− 選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、例えばセレコキシブ(celcoxib)、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブなど;
− グルココルチコイド類、例えばコルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、デキサメサゾンなど;
および、ヒトおよび動物における糖尿病および腎臓障害と関連する高血圧、心不全または血管障害、例えば急性または慢性腎不全の処置に適当な他の薬剤。かかる組合せは、別々にまたは複数成分を含む製品で使用できる。
【0080】
投与量は広い範囲で変わってよく、当然に、各個々の症例における個々の状況に適合させるべきである。一般に、経口投与について、成人(70kg)当たり、好ましくは、例えば個々の投与量が等量であり得る1〜3回に分割される約3mg〜約3g、好ましくは約10mg〜約1g、例えば約300mgの1日量が適切であり得るが、特定した上限を、それが適切であると判明したならば超えてよい;典型的に、小児は年齢および体重に従う低用量を投与される。
【0081】
本発明の他の目的は、宿主に有効量の式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物を投与することを含む、宿主への式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物の送達方法である。
【0082】
本発明の別の目的は、中性エンドペプチダーゼEC.3.4.24.11の阻害に有用な医薬の製造における、式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物の使用である。
【実施例】
【0083】
実施例
次の実施例は、本発明を説明する。全ての温度は摂氏度で、圧力はmbarで報告する。特に断らない限り、反応は室温で行う。略語“Rf=xx(A)”は、例えば、Rf値xxが溶媒系Aで得られることを意味する。複数溶媒のお互いの比率は、常に体積部で報告する。最終生成物および中間体の化学名は、AutoNom 2000 (Automatic Nomenclature)の助けを借りて得た。
【0084】
X-Terra RP18(5μm)でのHPLC勾配;カラム:4.6×50mm;T=50℃;検出:220nmでのUV:
95%H/15%CHCNから5%H/95%CHCNを0.8分間+8.7分間(1.2ml/分);:0.1%ギ酸含有
【0085】
次の略語を使用する:
【表5】

【0086】
実施例1
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミド
1.0mmolのチオ酢酸S−{(S)−2−メチル−1−[1−(3−フェニル−プロピルカルバモイル)−シクロペンチルカルバモイル]−プロピル}エステルを、N雰囲気下、15mlのEtOHに、穏やかに加熱しながら溶解する。混合物を0℃に冷却し、3mlの1N NaOHを添加する。反応をN下4時間、RTで撹拌する。この後、pHを10%HClで2−3とする。溶媒を蒸発により濃縮し、残留物をHO(5ml)およびCHCl(5ml)に分配する。有機層を回収し、NaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下蒸発させる。得られた固体を石油エーテルで摩砕して、表題化合物を白色固体として得る。Rf=0.30 (Cy−EtOAc7:3);Rt=6.22。
【0087】
出発物質を次の通り製造する:
a) チオ酢酸S−{(S)−2−メチル−1−[1−(3−フェニル−プロピルカルバモイル)−シクロペンチルカルバモイル]−プロピル}エステル
1.0mmolの1−((R)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミドおよび1.5mmolのチオ酢酸カリウムの7mlのDMF中の懸濁液を、室温で48時間撹拌する。溶媒を蒸発により濃縮し、残留物を15mlのHOに溶解し、最初にエーテル(10ml)、次いでEtOAc(10ml)で抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下蒸発させる。残留物をCy−EtOAc9:1→7:3で溶出するVarian Mega Bond Elut(SI)で精製して、表題化合物を白色固体として得る(エーテルで摩砕後)。Rf=0.33(Cy−EtOAc 1:1);Rt=6.29。
【0088】
b) 1−((R)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミド
1.0mmolの1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミド、1.0mmolの(R)−2−ブロモ−3−メチル−酪酸[76792-22-8]および1.1mmolのDMAPの5mlのCHCl溶液を0℃に冷却する。1.1mmolのWSC・HClを添加し、反応混合物をRTで24時間撹拌する。この後、混合物をHO(2×10ml)およびCHClに分配する。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下蒸発させる。残留物を層をCy−EtOAc 95:5で溶出するVarian Mega Bond Elut(SI)で精製して、表題化合物を白色固体として得る。Rf=0.40(Cy−EtOAc 1:1);Rt=6.27。
【0089】
c) 1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミド
1.0mmolの[1−(3−フェニル−プロピルカルバモイル)−シクロペンチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを6mlのCHCl/TFA 1:1溶液に溶解する。反応混合物をRTで15時間撹拌する。溶媒を減圧下蒸発させて、表題化合物を黄色油状物として得る。Rf=0.30(CHCl−MeOH 1:1);Rt=2.82。
【0090】
d) [1−(3−フェニル−プロピルカルバモイル)−シクロペンチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
1.0mmolの3−フェニル−1−プロピルアミン[2038-57-5]、1.0mmolの1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−シクロペンタンカルボン酸[35264−09−6]および1.1mmolのDMAPの5mlのCHCl溶液を0℃に冷却する。1.1mmolのWSC・HClを添加し、反応混合物をRTで48時間撹拌する。この後、混合物をHO(2×10ml)およびCHClに分配する。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下蒸発させる。残留物をCy−EtOAc 8:2で溶出するBiotageフラッシュクロマトグラフィー(SI, 40+M)で精製して、表題化合物を白色固体として得る。Rf=0.42(Cy−EtOAc 1:1);Rt=6.52。
【0091】
次の化合物を実施例1に記載する方法に準じて製造する:
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−アミド
工程dで3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピルアミン[36397-23-6]を3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。灰白色固体;Rf=0.38(Cy−EtOAc 1:1);Rt=6.13。
【0092】
11 1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピル]−アミド
工程dで3−(4−フルオロ−フェニル)−プロピルアミン[101488-65-7]を3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。表題化合物をRf値に基づき同定する。
【0093】
12 1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]−アミド
工程dで3−(4−クロロ−フェニル)−プロピルアミン[18655-50-0]を3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。表題化合物をRf値に基づき同定する。
【0094】
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[2−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−アミド
工程dで1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロパン−2−オールヒドロクロライドを3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。白色固体;Rf=0.29(Cy−EtOAc 1:1);Rt=5.95。
【0095】
出発物質を次の通り製造する:
a) 1−アミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロパン−2−オールヒドロクロライド
1.0mmolの1−(3−アジド−2−メトキシ−プロピル)−4−メトキシ−ベンゼンおよび18mgのPd/Cの5mlのMeOH中の混合物を、30psiで4時間水素化する。触媒を濾取し、濾液を蒸発させる。残留物をEtOAcに溶解し、HCl/EtOAcを添加する。溶媒を減圧下蒸発させ、残留物をEtOで摩砕し、濾過する。表題化合物が白色固体として得られる。Rf=0.52(BuOH−AcOH−HO=3:1:1);Rt=1.94。
【0096】
b) 1−(3−アジド−2−メトキシ−プロピル)−4−メトキシ−ベンゼン
2.1molのNaH(油中60%分散)を、1.0molの1−アジド−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロパン−2−オール[845910-13-6]の7mlの乾燥DMFに少しずつ添加する。混合物をRTで2時間撹拌する。2.1molのMeIの2mlの乾燥DMF溶液を滴下する。反応をRTで一夜撹拌する。溶媒を蒸発させる;塩水を添加し、混合物をEtOAc(3×)で抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下蒸発させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を黄色油状物として得る。Rf=0.50(EtOAc−石油エーテル=20:80);Rt=5.93。
【0097】
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸ヘプチルアミド
工程dでヘプチルアミン[111-68-2]を3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。白色固体;Rf=0.22(Cy−EtOAc7:3);Rt=6.74。
【0098】
実施例3
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピル]−アミド
1.0mmolのチオ酢酸S−((S)−2−メチル−1−{1−[3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピルカルバモイル]−シクロペンチルカルバモイル}−プロピル)エステルを、N雰囲気下、10mlの脱気エタノールに溶解する。混合物を3.0mlの1N NaOHで処理する。反応をN下RTで3時間撹拌する。混合物を0℃に冷却し、pHを10%HClで5−6にする。溶媒を減圧下蒸発させ、残留物をHOおよびCHClに分配する。有機層を回収し、NaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下蒸発させる。得られた固体を石油エーテルで摩砕して、表題化合物を白色固体として得る。Rt=5.56。
【0099】
出発物質を次の通り製造する:
a) チオ酢酸S−((S)−2−メチル−1−{1−[3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピルカルバモイル]−シクロペンチルカルバモイル}−プロピル)エステル
150mmolのチオ酢酸のカリウム塩を、1.0mmolの1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピル]−アミドの10ml DMF懸濁液に窒素下、0℃で添加する。反応混合物を30分間撹拌し、その後それをRTにし、再び48時間撹拌する。反応溶液を減圧下濃縮し、EtOおよび水に分配し、EtOAc(3×)で抽出する。合わせた有機層をNaHCOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下蒸発させる。粗生成物を、石油エーテル/EtOAの最初は2:8混合物から8:2混合物で溶出するVarian Mega Bond Elut(SI)で精製して、表題化合物を無色油状物として得る。Rf=0.53(EtOAc);Rt=5.60。
【0100】
b) 1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピル]−アミド
0.66mmolの1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル[248263-14-1]、1.0mmolの3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピルアミンヒドロクロライドおよび1.3mmolのトリエチルアミンの5mlのトルエン溶液を、窒素下、0℃で1.3mmolのトリメチルアルミニウム(トルエン中2M)で処理する。混合物を1時間、RTで、そして2時間、60℃で撹拌する。反応混合物を1N NaOHと氷の混合物に注ぎ、EtOAc(1×)およびCHCl(4×)で抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、を減圧下蒸発させる。表題化合物が、残留物から、フラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)により白色固体として得られた。Rf=0.47(EtOAc);Rt=5.69。
【0101】
c) 3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピルアミンヒドロクロライド
1.0mmolの3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−アクリロニトリルを45mlのEtOHおよび5mlの30%NH溶液に取り込み、35psiで2時間、35mgの30%w/w Ra/Niを使用する水素化に付す。混合物をHyflowの短プラグを通して濾過し、濾液を蒸発させる。残留物をCHClおよびEtOHの混合物で繰り返し処理し、残存する水を除去するために蒸発させる。粗化合物を少量のEtOAcに溶解し、HCl/EtOAcを添加する。溶媒を蒸発により除去し、残留物をEtOで摩砕し、濾過する。得られた白色固体をCHClおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥させる。Rf=0.43(CHCl−MeOH−25%NH 80:20:2);Rt=1.08。
【0102】
d) 3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−アクリロニトリル
1.0mmolの6−ブロモ−2−メチル−ベンゾオキサゾール[151230-42-1]、2mmolのアクリロニトリル、1.0mmolの酢酸ナトリウム、0.1mmolのPd(OAc)および0.2mmolのP(o−トリル)の3mlのDMF中の混合物を、N雰囲気下、150℃で1時間、マイクロ波中で処理する。反応をHyflowの短プラグを通して濾過する。濾液の溶媒を蒸発により濃縮する。表題化合物が、残留物から、EtOAcから石油エーテル/EtOAc10:1混合物で溶出するVarian Mega Bond Elut(SI)クロマトグラフィーにより、cisおよびtrans幾何異性体として得られる。Rf=0.15(CHCl−MeOH 100:2);Rt=4.48。
【0103】
次の化合物を実施例3に記載する方法に準じて製造する:
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸(5−エチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−アミド
工程bで5−エチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イルアミン[14068-53-2]を3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピルアミンの代わりに使用。白色固体;Rf=0.53(石油エーテル−EtOAc60:40);Rt=3.24。
【0104】
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[4−(3−メトキシ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−アミド
工程bで4−(3−メトキシ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミンを3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。表題化合物をRf値に基づき同定する。
【0105】
出発物質を次の通り製造する:
a) 4−(3−メトキシ−ベンジル)−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミン
1.0mmolのN−ホルミルグアニジン[4471-51-6]および2mmolの(3−メトキシ−フェニル)−アセトニトリル[104-47-2]の混合物を200℃で6時間加熱する。反応混合物をRTに冷却し、HOに注ぎ、EtOAcで抽出する。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発により濃縮する。残留物ををフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を褐色固体として得る。Rf=0.57(CHCl−MeOH−25%NH=90:10:1)。
【0106】
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸(1H−ピラゾール−4−イル)−アミド
工程bで1H−ピラゾール−4−イルアミン[28466-26-4]を3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。表題化合物をRf値に基づき同定する。
【0107】
10 1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−アミド
工程bで1−エチル−1H−ピラゾール−4−イルアミン[876343-24-7]を3−フェニル−1−プロピルアミンの代わりに使用。表題化合物をRf値に基づき同定する。
【0108】
13 1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(2−メチル−ベンゾチアゾール−5−イル)−プロピル]−アミド
工程cで(E)−3−(2−メチル−ベンゾチアゾール−5−イル)−アクリロニトリル[03983-98-8]を3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−アクリロニトリルの代わりに使用。表題化合物をRf値に基づき同定する。
【0109】
実施例4
1−((S)−2−メルカプト−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−アミド
表題化合物を、実施例3に記載する方法に準じて、チオ酢酸S−((S)−1−{1−[2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピルカルバモイル]−シクロペンチルカルバモイル}−2−メチル−プロピル)エステルをチオ酢酸S−((S)−2−メチル−1−{1−[3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピルカルバモイル]−シクロペンチルカルバモイル}−プロピル)エステルの代わりに使用して製造する。白色固体。Rf=0.19(石油エーテル−EtOAc50:50)。
【0110】
出発物質を次の通り製造する:
a) チオ酢酸S−((S)−1−{1−[2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピルカルバモイル]−シクロペンチルカルバモイル}−2−メチル−プロピル)エステル
表題化合物を、実施例3に記載する方法に準じて、1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−アミドを1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[3−(2−メチル−ベンゾオキサゾール−6−イル)−プロピル]−アミドの代わりに使用して製造する。表題化合物が、残留物から、フラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)により白色固体として得られる。Rf=0.23(石油エーテル−EtOAc40:60);Rt=5.38。
【0111】
b) 1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−アミド
1.0mmolの1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−アミドの5mlのTHF溶液を、2.0mmolのテトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1M溶液)と混合し、溶液をRTで10時間撹拌する。次いで、反応溶液を水で希釈し、CHCl(2×)で抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、減圧下蒸発させる。表題化合物が、残留物からフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)により、白色固体として得られる。Rf=0.23(石油エーテル−EtOAc40:60);Rt=5.37。
【0112】
c) 1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピル]−アミド
表題化合物を、実施例1bに記載する方法に準じて、2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピルアミンを1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミドの代わりに使用し、そして1−((S)−2−ブロモ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸[248262-45-5]を(R)−2−ブロモ−3−メチル−酪酸[76792-22-8]の代わりに使用して製造する。粗化合物をヘキサンと摩砕して、表題化合物を白色固体として得る。Rf=0.80(ヘキサン−EtOAc50:50);Rt=7.88。
【0113】
d) 2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロピルアミン
1.0mmolの[2−アジド−1−(4−メトキシ−ベンジル)−エトキシ]−tert−ブチル−ジメチル−シランおよび150mgのPd/C 10%の5mlのMeOH中のこの愚物を、30psiで1時間水素化する。触媒を濾取し、濾液を蒸発させる。粗表題化合物が、残留物から無色油状物として得られる。Rf=0.25(石油エーテル−EtOAc70:30)。
【0114】
e) [2−アジド−1−(4−メトキシ−ベンジル)−エトキシ]−tert−ブチル−ジメチル−シラン
1.0mmolの1−アジド−3−(4−メトキシ−フェニル)−プロパン−2−オール[845910-13-6]および1.03mmolのイミダゾールの5mlのDMF溶液を、0℃で1.2mmolのtert−ブチル−ジメチル−シリルクロライドで処理し、溶液をRTで10時間撹拌する。次いで反応溶液を水に注ぎ、EtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、減圧下蒸発させる。表題化合物が、残留物から、フラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)により無色油状物として得られる。Rf=0.83(石油エーテル−EtOAc10:90)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
Aは単環式C3−8−シクロアルキルまたは単環式、飽和ヘテロシクリルであり、これらの各々は置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
はC1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
はC1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル、アリール、アリール−C1−8−アルキル、ハロ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
ここで、該アリールまたはヘテロシクリル部分は置換されていないかまたは置換されており;
ここで、チオール基は保護されていないか、または生理学的条件下で加水分解して式(I)の化合物となる保護基Rで保護されている。〕
の化合物、式(I)の化合物に由来するジスルフィド誘導体または式(I)の化合物の塩、好ましくはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(IA)
【化2】

〔式中、A、RおよびRは各々請求項1に定義した通りである。〕
に対応する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
基Rが置換されていないか、または1個以上のハロゲン、ヒドロキシ、N,N−ジ−C1−8−アルキル−アミン、モルホリンまたはC1−8−アルコキシで置換されているアシルまたはスルホニル基であるか、またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
ヘテロシクリルAが、1個以上のO、SまたはNを含む群から選択されるヘテロ原子を有する3−8員ヘテロ環式基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
Aが単環式C5−7−シクロアルキルまたはO、SまたはNを含む群から選択される1個のヘテロ原仔を有する単環式、飽和ヘテロシクリルであり;その各々は、置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
Aがシクロヘキシル、シクロペンチルまたはテトラヒドロピラン−4−イルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
がC1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項8】
がアリール−C2−4−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C2−4−アルキルであり、ここで、アリール−C2−4−アルキルまたはヘテロシクリル−C2−4−アルキルのC2−4−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
がC1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル、アリールまたはアリール−C1−8−アルキルであり、ここで、アリール−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項10】
がベンジル、イソプロピル、2−メトキシエチル、メチルまたはプロピルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Aが単環式、飽和ヘテロシクリルであり、これは、置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;
がC1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、C1−8−アルキル、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されており;そして
がC1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルキル、アリール、アリール−C1−8−アルキル、ハロ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルであり、ここで、アリール−C1−8−アルキルまたはヘテロシクリル−C1−8−アルキルのC1−8−アルキルは置換されていないか、または1〜3個のC1−8−アルコキシ、カルボキシ、ハロゲン、ヒドロキシまたはオキソで置換されている、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、または請求項2に記載の式(IA)の化合物または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
宿主に有効量の式(I)の化合物、または好ましくは式(IA)の化合物を投与することを含む、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、または請求項2に記載の式(IA)の化合物または薬学的に許容されるその塩を宿主に送達する方法。
【請求項14】
中性エンドペプチダーゼEC.3.4.24.11の阻害に有用な医薬の製造のための、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、または請求項2に記載の式(IA)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項15】
中性エンドペプチダーゼEC.3.4.24.11の阻害に有用な、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、または請求項2に記載の式(IA)の化合物または薬学的に許容されるその塩。

【公表番号】特表2011−520797(P2011−520797A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507794(P2011−507794)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055594
【国際公開番号】WO2009/135526
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】