アンテナ装置
【課題】アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、アンテナの指向性を調整可能とする。
【解決手段】携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ8とを、車載アンテナ装置1が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ8から見て携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が車両前方側となるように配置した。車々間通信用アンテナ8の給電状態では携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が導波器として動作し、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性が高まる。
【解決手段】携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ8とを、車載アンテナ装置1が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ8から見て携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が車両前方側となるように配置した。車々間通信用アンテナ8の給電状態では携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が導波器として動作し、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性が高まる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用周波数帯が異なる複数のアンテナを有するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のアンテナを有するアンテナ装置が供されている。例えば特許文献1には、複数のアンテナを有するアンテナ装置において、リアクタンスを可変な複数の無給電素子をアンテナ間に配置することで、各々のアンテナの指向性を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−211586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているように複数の無給電素子をアンテナ間に配置する構成では、複数の無給電素子を配置する分、アンテナ装置全体の体格が大きくなり、搭載性の面で不利になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、アンテナの指向性を調整することができるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載したアンテナ装置によれば、第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有し、第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、アンテナ装置が車両に搭載されたときに第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向側となるように第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置した。
【0007】
これにより、第2のアンテナから見て所望の方向側に配置されている第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯である第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では第1のアンテナを導波器として動作させることができる。その結果、第2のアンテナの所望の方向側への指向性を高めることができる。例えば電波の到来方向が車両前方側であれば、第2のアンテナから見て車両前方側に第1のアンテナを配置することで、第2のアンテナの車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0008】
請求項2に記載したアンテナ装置によれば、第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有し、第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、アンテナ装置が車両に搭載されたときに第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置した。
【0009】
これにより、第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側に配置されている第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯である第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では第1のアンテナを反射器として動作させることができる。その結果、第2のアンテナの所望の方向側への指向性を高めることができる。例えば電波の到来方向が車両前方側であれば、第2のアンテナから見て車両前方とは反対の方向である車両後方側に第1のアンテナを配置することで、第2のアンテナの車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0010】
請求項3に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナが第2のアンテナよりも幅広パターンを有するようにした。これにより、第1のアンテナを第2のアンテナよりも広帯域な特性とすることで、第1のアンテナをより適切に反射器として動作させることができる。
【0011】
請求項4に記載したアンテナ装置によれば、第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する複数の第1のアンテナと、第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、複数の第1のアンテナのうち一の第1のアンテナの一の第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、複数の第1のアンテナのうち他の第1のアンテナの他の第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、アンテナ装置が車両に搭載されたときに一の第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向側となり且つ他の第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように配置した。
【0012】
これにより、第2のアンテナから見て所望の方向側に配置されている一の第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯である一の第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では一の第1のアンテナを導波器として動作させると共に、第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側に配置されている他の第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯である他の第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では他の第1のアンテナを反射器として動作させることができる。その結果、第2のアンテナの所望の方向側への指向性を高めることができる。例えば電波の到来方向が車両前方側であれば、第2のアンテナから見て車両前方側に一の第1のアンテナを配置し、第2のアンテナから見て車両後方側に他の第1のアンテナを配置することで、第2のアンテナの車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0013】
請求項5に記載したアンテナ装置によれば、他の第1のアンテナが第2のアンテナよりも幅広パターンを有するようにした。これにより、他の第1のアンテナを第2のアンテナよりも広帯域な特性とすることで、他の第1のアンテナをより適切に反射器として動作させることができる。
【0014】
請求項6に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナを同一の基板上に配置した。これにより、第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置する際に、第1のアンテナ及び第2のアンテナを別々の基板上に配置する構成と対比すると、部品点数や製造コスト等を削減することができる。
【0015】
請求項7に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナを別々の基板上に配置し、別々の基板を各々のアンテナの放射面が対向するように配置した。これにより、第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置する際に、各々のアンテナの放射面同士の距離を任意に調整することができ、各々のアンテナの放射面同士の距離を十分に確保することで、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。
【0016】
請求項8に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離が第2の使用周波数帯の中心周波数の電波の波長に「1/4」を乗じた値以下であるようにした。これにより、第1のアンテナと第2のアンテナとを近接して配置する構成としながらも、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0017】
請求項9に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナは、携帯電話システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、第2のアンテナは、車々間通信システム又は路車間通信システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、第1の使用周波数帯及び第2の使用周波数帯は700〜800[MHz]である。これにより、携帯電話システムの電波を送受信するアンテナと、車々間通信システム又は路車間通信システムの電波を送受信するアンテナとを例えば同一筐体内に配置する構成において、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信システム又は路車間通信システムの電波を送受信するアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。例えば前方車両に対する追突防止を目的とする車々間通信用アンテナの車両前方側への指向性を調整することで、前方車両の検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、全体構成を示す斜視図
【図2】各アンテナのVSWRを示す図
【図3】原理を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図5】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図6】図2相当図
【図7】図3相当図
【図8】各アンテナの指向性を示す図
【図9】比較対象を示す図1相当図
【図10】図2相当図
【図11】図8相当図
【図12】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【図13】本発明の第5の実施形態を示す図1相当図
【図14】図3相当図
【図15】本発明の第6の実施形態を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明を、車両に搭載可能な車載アンテナ装置に適用した第1の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、車載アンテナ装置の全体構成を概略的に示している。車載アンテナ装置1において、矩形状の地板(グランド板)2上には矩形状の基板3が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。地板2は例えばガラスエポキシ樹脂に導電性膜が形成された材料又はアルミニウム材料から構成されており、基板3は例えばガラスエポキシ樹脂から構成されている。
【0020】
基板3の片方の面(図1では正面)3aにあって一端側(図1では右端側)には、携帯電話システム(第1の無線通信システムに相当)の電波を送受信する携帯電話用アンテナ4(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン(エレメント)5により形成されている。基板3の片方の面3aにあって中央側には、上記した携帯電話用アンテナ4と同様に携帯電話システムの電波を送受信する携帯電話用アンテナ6(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン7により形成されている。基板3の片方の面3aにあって他端側(図1では左端側)には、車々間通信システム(第2の無線通信システムに相当)の電波を送受信する車々間通信用アンテナ8(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン9により形成されている。
【0021】
携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8が同一の基板3上に配置されていることから、携帯電話用アンテナ4の放射面4a(第1のアンテナの放射面に相当)、携帯電話用アンテナ6の放射面6a(第1のアンテナの放射面に相当)及び車々間通信用アンテナ8の放射面8a(第2のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いている。又、導体パターン5と導体パターン7とは同一の形状である。又、携帯電話用アンテナ4と携帯電話用アンテナ6とは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)を行う関係にある。尚、車々間通信用アンテナ8は、例えば前方車両に対する追突防止を目的とする車々間通信の電波を前方車両に搭載されている車載アンテナ装置との間で送受信することから、車両前方への指向性を有することが望ましい。
【0022】
導体パターン5及び導体パターン7は、携帯電話システムの使用周波数帯(第1の使用周波数帯に相当)である730〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されており、導体パターン9は、車々間通信システムの使用周波数帯(第2の使用周波数帯に相当)である715〜725[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されている。即ち、携帯電話用アンテナ4と携帯電話用アンテナ6の使用周波数帯は、車々間通信用アンテナ8の使用周波数帯の全体よりも高い周波数帯である。
【0023】
導体パターン5は、下端側(地板2に近い側)が先細り形状となっており、導体パターン5の下端部と地板2とが接する部分には給電点10が設けられている。同様に、導体パターン7は、下端側が先細り形状となっており、導体パターン7の下端部と地板2とが接する部分には給電点11が設けられている。又、導体パターン9の下端部と地板2とが接する部分には給電点12が設けられている。尚、給電点11は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点10〜12は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0024】
携帯電話用アンテナ4(導体パターン5)の中心軸a1と携帯電話用アンテナ6(導体パターン7)の中心軸a2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ6(導体パターン7)の中心軸a2と車々間通信用アンテナ8(導体パターン9)の中心軸a3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置1は、携帯電話用アンテナ4が配置されている側が車両前方側(所望の方向側)となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0025】
図2は、上記した構成における携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8のVSWR(電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio))を示している。携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6のVSWRは、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。又、車々間通信用アンテナ8のVSWRは、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。
【0026】
上記した構成において、携帯電話用アンテナ4が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置1が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ8から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ8が給電点12から給電されている状態(給電状態)では、図3に示すように、放射器13として動作する車々間通信用アンテナ8に対し、携帯電話用アンテナ4が導波器14として動作し、携帯電話用アンテナ6が導波器15として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ8の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性が高まる。
【0027】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ8とを、車載アンテナ装置1が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ8から見て携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が車両前方側となるように配置した。これにより、車々間通信用アンテナ8の給電状態では携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6を導波器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置1全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性を調整することができる。尚、導波器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第1の実施形態は、携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8が同一の基板3上に配置されているが、第2の実施形態は、携帯電話用アンテナ及び車々間通信用アンテナが別々の基板3上に配置されている。
【0029】
即ち、車載アンテナ装置21において、地板2上には矩形状の基板22〜24が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板22〜24は第1の実施形態で説明した基板3と同様に例えばガラスエポキシ樹脂から構成されている。基板22の片方の面22aには第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ4と同等の携帯電話用アンテナ25(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン26により形成されている。基板23の片方の面23aには第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ6と同等の携帯電話用アンテナ27(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン28により形成されている。基板24の片方の面24aには第1の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ8と同等の車々間通信用アンテナ29(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン30により形成されている。
【0030】
基板22〜24が各々の面が互いに平行となるように配置されていることから、携帯電話用アンテナ25の放射面25a(第1のアンテナの放射面に相当)、携帯電話用アンテナ27の放射面27a(第1のアンテナの放射面に相当)及び車々間通信用アンテナ29の放射面29a(第2のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いており且つ対向している。又、導体パターン26と導体パターン28とは同一の形状である。又、導体パターン26の下端部と地板2とが接する部分には給電点31が設けられており、導体パターン28の下端部と地板2とが接する部分には給電点32が設けられており、導体パターン30の下端部と地板2とが接する部分には給電点33が設けられている。尚、給電点32は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点31〜33は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0031】
この場合も、携帯電話用アンテナ25(導体パターン26)の中心軸b1と携帯電話用アンテナ27(導体パターン28)の中心軸b2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ27(導体パターン28)の中心軸b2と車々間通信用アンテナ29(導体パターン30)の中心軸b3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置21も、携帯電話用アンテナ25が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0032】
上記した構成においても、携帯電話用アンテナ25が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置21が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ29から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ29が給電点33から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ29に対し、携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27が導波器として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ29の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ29の車両前方側への指向性が高まる。
【0033】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、上記した第1の実施形態と同様に、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ29とを、車載アンテナ装置21が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ29から見て携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27が車両前方側となるように配置した。これにより、車々間通信用アンテ29の給電状態では携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27を導波器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ29の車両前方側への指向性を高めることができる。
【0034】
又、第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8が同一の基板3上に配置されており、放射面4a、放射面6a及び放射面8a同士が対向しない構成では、隣り合う導体パターン5、導体パターン7及び導体パターン9の端部同士の距離が当該導体パターン5、導体パターン7及び導体パターン9の幅分だけ中心軸a1〜a3同士の距離よりも短くなり(図1ではL3<L1、L4<L2)、導体パターン5、導体パターン7及び導体パターン9の端部同士の距離を十分に確保することができないが、第2の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ25、携帯電話用アンテナ27及び車々間通信用アンテナ29が別々の基板22〜24上に配置されており、放射面25a、放射面27a及び放射面29a同士が対向する構成では、隣り合う導体パターン26、導体パターン28及び導体パターン30の端部同士の距離が中心軸b1〜b3同士の距離よりも短くなることはない(等しい)。そのため、導体パターン26、導体パターン28及び導体パターン30の端部同士の距離を十分に確保することができ(望ましいとされる波長λに「1/4」を乗じた値に近付けることができ)、第1の実施形態と対比すると、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。尚、この場合も、導波器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図5乃至図11を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。車載アンテナ装置41において、地板2上には基板3が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板3の片方の面3aにあって一端側(図5では右端側)には、第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ4と同等の携帯電話用アンテナ42(一の第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン43により形成されている。基板3の片方の面3aにあって中央側には第1の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ8と同等の車々間通信用アンテナ44(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン45により形成されている。基板3の片方の面3aにあって他端側(図5では左端側)には、携帯電話用アンテナ46(他の第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン47により形成されている。
【0036】
携帯電話用アンテナ42、車々間通信用アンテナ44及び携帯電話用アンテナ46が同一の基板3上に配置されていることから、携帯電話用アンテナ42の放射面42a(第1のアンテナの放射面に相当)、車々間通信用アンテナ44の放射面44a(第2のアンテナの放射面に相当)及び携帯電話用アンテナ46の放射面46a(第1のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いている。尚、この場合も、携帯電話用アンテナ42と携帯電話用アンテナ46とは、MIMOを行う関係にある。
【0037】
導体パターン47は、導体パターン43が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されているのに対し、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されている。即ち、携帯電話用アンテナ46の使用周波数帯は、車々間通信用アンテナ44の使用周波数帯の全体よりも高い周波数帯であり、車々間通信用アンテナ44の使用周波数帯の一部よりも低い周波数帯であり、導体パターン47は、携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有する。
【0038】
導体パターン43の下端部と地板2とが接する部分には給電点48が設けられており、導体パターン45の下端部と地板2とが接する部分には給電点49が設けられており、導体パターン47の下端部と地板2とが接する部分には給電点50が設けられている。尚、給電点49は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点48〜50は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0039】
この場合も、携帯電話用アンテナ42(導体パターン43)の中心軸c1と車々間通信用アンテナ44(導体パターン45)の中心軸c2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、車々間通信用アンテナ44(導体パターン45)の中心軸c2と携帯電話用アンテナ46(導体パターン47)の中心軸c3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置41も、携帯電話用アンテナ42が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0040】
図6は、上記した構成における携帯電話用アンテナ42、車々間通信用アンテナ44及び携帯電話用アンテナ46のVSWRを示している。携帯電話用アンテナ42のVSWRは、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。又、車々間通信用アンテナ44のVSWRは、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。又、この第3の実施形態では、携帯電話用アンテナ46のVSWRは、車々間通信システムの使用周波数帯から携帯電話システムの使用周波数帯にかけての広帯域な715〜770[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。
【0041】
上記した構成において、携帯電話用アンテナ42が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置41が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ44から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ42が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ44が給電点49から給電されている状態では、図7に示すように、放射器51として動作する車々間通信用アンテナ44に対し、携帯電話用アンテナ42が導波器52として動作する。
【0042】
又、車々間通信用アンテナ44から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ46が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ44が給電点49から給電されている状態では、図7に示すように、放射器51として動作する車々間通信用アンテナ44に対し、携帯電話用アンテナ46が反射器53として動作する。その結果、図8に示すように、車々間通信用アンテナ44の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への指向性が高まる。
【0043】
図9は、比較対象として、上記した携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信する携帯電話用アンテナ46に代えて、携帯電話システムの使用周波数帯だけの電波を送受信する携帯電話用アンテナ54(導体パターン55、放射面54a)を配置した構成を示し、図10は、その比較対象における各アンテナのVSWRを示し、図11は、各アンテナの指向性を示している。図8と図11とを対比すると明らかなように、図9に示した構成、即ち、携帯電話システムの使用周波数帯だけの電波を送受信する携帯電話用アンテナ54を採用した構成では、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への最大利得が−4[dBi]程度であるが(図11(b)参照)、図5に示した構成、即ち、携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信する携帯電話用アンテナ46を採用した構成では、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への最大利得が−1.5[dBi]程度であり(図8(b)参照)、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への最大利得が−4[dBi]から−1.5[dBi]へ向上することが判る。
【0044】
以上に説明したように第3の実施形態によれば、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ42及び携帯電話用アンテナ46と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ44とを、車載アンテナ装置41が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ44から見て携帯電話用アンテナ42が車両前方側となるように配置し且つ携帯電話用アンテナ46が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ46を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ44の給電状態では携帯電話用アンテナ42を導波器として動作させることができ、又、携帯電話用アンテナ46を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合も、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置41全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への指向性を調整することができる。尚、導波器として動作する携帯電話用アンテナは2個以上であっても良いし、反射器として動作する携帯電話用アンテナも2個以上であっても良い。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。尚、上記した第3の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第3の実施形態と第4の実施形態との構成上の相違点は、上記した第1の実施形態と第2の実施形態との構成上の相違点と同等の関係である。
【0046】
即ち、車載アンテナ装置61において、地板2上には矩形状の基板62〜64が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板62の片方の面62aには第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ42と同等の携帯電話用アンテナ65(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン66により形成されている。基板63の片方の面63aには第3の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ44と同等の車々間通信用アンテナ67(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン68により形成されている。基板64の片方の面64aには第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ46と同等の携帯電話用アンテナ69(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン70により形成されている。
【0047】
この場合も、基板62〜64が各々の面が互いに平行となるように配置されていることから、携帯電話用アンテナ65の放射面65a(第1のアンテナの放射面に相当)、車々間通信用アンテナ67の放射面67a(第2のアンテナの放射面に相当)及び携帯電話用アンテナ69の放射面69a(第1のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いており且つ対向している。又、導体パターン66の下端部と地板2とが接する部分には給電点71が設けられており、導体パターン68の下端部と地板2とが接する部分には給電点72が設けられており、導体パターン70の下端部と地板2とが接する部分には給電点73が設けられている。尚、給電点72は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点71〜73は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0048】
この場合も、携帯電話用アンテナ65(導体パターン66)の中心軸d1と車々間通信用アンテナ67(導体パターン68)の中心軸d2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、車々間通信用アンテナ67(導体パターン68)の中心軸d2と携帯電話用アンテナ69(導体パターン70)の中心軸d3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置61も、携帯電話用アンテナ65が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0049】
上記した構成においても、携帯電話用アンテナ65が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置61が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ67から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ65が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ67が給電点72から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ67に対し、携帯電話用アンテナ65が導波器として動作する。
【0050】
又、車々間通信用アンテナ67から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ69が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ67が給電点72から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ67に対し、携帯電話用アンテナ69が反射器として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ67の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ67の車両前方側への指向性が高まる。
【0051】
以上に説明したように第4の実施形態によれば、上記した第3の実施形態と同様に、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ65及び携帯電話用アンテナ69と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ67とを、車載アンテナ装置61が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ67から見て携帯電話用アンテナ65が車両前方側となるように配置し且つ携帯電話用アンテナ69が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ69を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ67の給電状態では携帯電話用アンテナ65を導波器として動作させることができ、又、携帯電話用アンテナ69を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ67の車両前方側への指向性を高めることができる。
【0052】
又、第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ42、車々間通信用アンテナ44及び携帯電話用アンテナ46が同一の基板3上に配置されており、放射面42a、44a、46a同士が対向しない構成では、隣り合う導体パターン導体パターン43、導体パターン45及び導体パターン47の端部同士の距離が当該導体パターン導体パターン43、導体パターン45及び導体パターン47の幅分だけ中心軸c1〜c3同士の距離よりも短くなり(図5ではL5<L1、L6<L2)、導体パターン43、導体パターン45及び導体パターン47の端部同士の距離を十分に確保することができないが、第4の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ65、車々間通信用アンテナ67及び携帯電話用アンテナ69が別々の基板62〜64上に配置されており、放射面65a、放射面67a及び放射面69a同士が対向する構成では、隣り合う導体パターン66、導体パターン68及び導体パターン70の端部同士の距離が中心軸d1〜d3同士の距離よりも短くなることはない(等しい)。そのため、導体パターン66、導体パターン68及び導体パターン70の端部同士の距離を十分に確保することができ(望ましいとされる波長λに「1/4」を乗じた値に近付けることができ)、第3の実施形態と対比すると、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。尚、この場合も、導波器として動作する携帯電話用アンテナは2個以上であっても良いし、反射器として動作する携帯電話用アンテナも2個以上であっても良い。
【0053】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図13及び図14を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。車載アンテナ装置81において、地板2上には基板3が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板3の片方の面3aにあって一端側(図13では右端側)には、第1の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ8と同等の車々間通信用アンテナ82(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン83により形成されている。基板3の片方の面3aにあって中央側には第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ46と同等の携帯電話用アンテナ84(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン85により形成されている。基板3の片方の面3aにあって他端側(図13では左端側)には、携帯電話用アンテナ84と同等の携帯電話用アンテナ86(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン87により形成されている。
【0054】
車々間通信用アンテナ82、携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86が同一の基板3上に配置されていることから、車々間通信用アンテナ82の放射面82a(第2のアンテナの放射面に相当)、携帯電話用アンテナ84の放射面84a(第1のアンテナの放射面に相当)及び携帯電話用アンテナ86の放射面86a(第1のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いている。尚、この場合も、携帯電話用アンテナ84と携帯電話用アンテナ86とは、MIMOを行う関係にある。
【0055】
導体パターン85及び導体パターン87は、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されている。即ち、導体パターン85及び導体パターン87は、携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有する。
【0056】
導体パターン83の下端部と地板2とが接する部分には給電点88が設けられており、導体パターン85の下端部と地板2とが接する部分には給電点89が設けられており、導体パターン87の下端部と地板2とが接する部分には給電点90が設けられている。尚、給電点89は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点88〜90は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0057】
この場合も、車々間通信用アンテナ82(導体パターン83)の中心軸e1と携帯電話用アンテナ84(導体パターン85)の中心軸e2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ84(導体パターン85)の中心軸e2と携帯電話用アンテナ86(導体パターン87)の中心軸e3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置81は、車々間通信用アンテナ82が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0058】
上記した構成において、車々間通信用アンテナ82が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置81が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ82から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ82が給電点89から給電されている状態では、図14に示すように、放射器91として動作する車々間通信用アンテナ82に対し、携帯電話用アンテナ84が反射器92として動作し、携帯電話用アンテナ86が反射器93として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ82の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ82の車両前方側への指向性が高まる。
【0059】
以上に説明したように第5の実施形態によれば、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ82とを、車載アンテナ装置81が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ82から見て携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ82の給電状態では携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ82の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合も、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置81全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ82の車両前方側への指向性を調整することができる。尚、反射器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0060】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について、図15を参照して説明する。尚、上記した第5の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第5の実施形態と第6の実施形態との構成上の相違点も、上記した第1の実施形態と第2の実施形態との構成上の相違点と同等の関係である。
【0061】
即ち、車載アンテナ装置101において、地板2上には矩形状の基板102〜104が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板102の片方の面102aには第5の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ82と同等の車々間通信用アンテナ105(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン106により形成されている。基板103の片方の面103aには第5の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ84と同等の携帯電話用アンテナ107(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン108により形成されている。基板104の片方の面104aには第5の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ86と同等の携帯電話用アンテナ109(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン110により形成されている。
【0062】
又、導体パターン106の下端部と地板2とが接する部分には給電点111が設けられており、導体パターン108の下端部と地板2とが接する部分には給電点112が設けられており、導体パターン110の下端部と地板2とが接する部分には給電点113が設けられている。尚、給電点112は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点111〜113は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0063】
この場合も、車々間通信用アンテナ105(導体パターン106)の中心軸f1と携帯電話用アンテナ107(導体パターン108)の中心軸f2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ107(導体パターン108)の中心軸f2と携帯電話用アンテナ109(導体パターン110)の中心軸f3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置101も、車々間通信用アンテナ105が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0064】
上記した構成においても、車々間通信用アンテナ105が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置101が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ105から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ105が給電点111から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ105に対し、携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109が反射器として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ105の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ105の車両前方側への指向性が高まる。
【0065】
以上に説明したように第6の実施形態によれば、上記した第5の実施形態と同様に、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ105とを、車載アンテナ装置101が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ105から見て携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ105の給電状態では携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ105の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合も、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置101全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ105の車両前方側への指向性を調整することができる。
【0066】
又、第2の実施形態や第4の実施形態に記載したものと同様に、導体パターン106、導体パターン108及び導体パターン110の端部同士の距離を十分に確保することができ(図13ではL7<L1、L8<L2)、第5の実施形態と対比すると、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。尚、この場合も、反射器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0067】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
アンテナ装置は、車両に搭載される車載アンテナ装置に限らず、例えば携帯情報端末等の他の機器に搭載されるアンテナ装置であっても良い。
第1のアンテナ及び第2のアンテナは、携帯電話用アンテナ及び車々間通信用アンテナに限らず、例えば2.4[GHz]を使用周波数帯とするBluetooth(登録商標)用アンテナ及び2〜11[GHz]を使用周波数帯とするWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)用アンテナ等、他の無線通信システムを対象とするアンテナであっても良い。又、Bluetooth用アンテナ及びWiMAX用アンテナのうち何れが第1のアンテナであっても良く、何れが第2のアンテナであっても良い。又、車々間通信用アンテナに代えて路車間通信用アンテナであっても良い。
【0068】
アンテナの指向性を高める方向である所望の方向は、車両前方側に限らず、車両後方側や車両側方側であっても良い。即ち、通信相手の対象(電波の到来方向)に応じて車両後方側や車両側方側への感度を高めたい要望があれば、車両後方側や車両側方側への指向性が高まるようにアンテナ装置の方向を考慮して車両に搭載すれば良い。又、アンテナ装置の方向を通信相手の対象に応じて自在に変更可能(調整可能)に構成しても良い。
【符号の説明】
【0069】
図面中、1、21、41、61、81、101は車載アンテナ装置(アンテナ装置)、3、22〜24、62〜64、102〜104は基板、4、6、25、27、42、46、65、69、84、86、107、109は携帯電話用アンテナ(第1のアンテナ)、4a、6a、25a、27a、42a、46a、65a、69a、84a、86a、107a、109aは放射面(第1のアンテナの放射面)、8、29、44、67、82、105は車々間通信用アンテナ(第2のアンテナ)、8a、29a、44a、67a、82a、105aは放射面(第2のアンテナの放射面)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用周波数帯が異なる複数のアンテナを有するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のアンテナを有するアンテナ装置が供されている。例えば特許文献1には、複数のアンテナを有するアンテナ装置において、リアクタンスを可変な複数の無給電素子をアンテナ間に配置することで、各々のアンテナの指向性を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−211586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているように複数の無給電素子をアンテナ間に配置する構成では、複数の無給電素子を配置する分、アンテナ装置全体の体格が大きくなり、搭載性の面で不利になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、アンテナの指向性を調整することができるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載したアンテナ装置によれば、第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有し、第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、アンテナ装置が車両に搭載されたときに第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向側となるように第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置した。
【0007】
これにより、第2のアンテナから見て所望の方向側に配置されている第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯である第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では第1のアンテナを導波器として動作させることができる。その結果、第2のアンテナの所望の方向側への指向性を高めることができる。例えば電波の到来方向が車両前方側であれば、第2のアンテナから見て車両前方側に第1のアンテナを配置することで、第2のアンテナの車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0008】
請求項2に記載したアンテナ装置によれば、第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有し、第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、アンテナ装置が車両に搭載されたときに第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置した。
【0009】
これにより、第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側に配置されている第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯である第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では第1のアンテナを反射器として動作させることができる。その結果、第2のアンテナの所望の方向側への指向性を高めることができる。例えば電波の到来方向が車両前方側であれば、第2のアンテナから見て車両前方とは反対の方向である車両後方側に第1のアンテナを配置することで、第2のアンテナの車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0010】
請求項3に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナが第2のアンテナよりも幅広パターンを有するようにした。これにより、第1のアンテナを第2のアンテナよりも広帯域な特性とすることで、第1のアンテナをより適切に反射器として動作させることができる。
【0011】
請求項4に記載したアンテナ装置によれば、第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する複数の第1のアンテナと、第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、複数の第1のアンテナのうち一の第1のアンテナの一の第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、複数の第1のアンテナのうち他の第1のアンテナの他の第1の使用周波数帯が第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、アンテナ装置が車両に搭載されたときに一の第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向側となり且つ他の第1のアンテナが第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように配置した。
【0012】
これにより、第2のアンテナから見て所望の方向側に配置されている一の第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯である一の第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では一の第1のアンテナを導波器として動作させると共に、第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側に配置されている他の第1のアンテナが第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯である他の第1の使用周波数帯にて動作するので、第2のアンテナの給電状態では他の第1のアンテナを反射器として動作させることができる。その結果、第2のアンテナの所望の方向側への指向性を高めることができる。例えば電波の到来方向が車両前方側であれば、第2のアンテナから見て車両前方側に一の第1のアンテナを配置し、第2のアンテナから見て車両後方側に他の第1のアンテナを配置することで、第2のアンテナの車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0013】
請求項5に記載したアンテナ装置によれば、他の第1のアンテナが第2のアンテナよりも幅広パターンを有するようにした。これにより、他の第1のアンテナを第2のアンテナよりも広帯域な特性とすることで、他の第1のアンテナをより適切に反射器として動作させることができる。
【0014】
請求項6に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナを同一の基板上に配置した。これにより、第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置する際に、第1のアンテナ及び第2のアンテナを別々の基板上に配置する構成と対比すると、部品点数や製造コスト等を削減することができる。
【0015】
請求項7に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナ及び第2のアンテナを別々の基板上に配置し、別々の基板を各々のアンテナの放射面が対向するように配置した。これにより、第1のアンテナ及び第2のアンテナを配置する際に、各々のアンテナの放射面同士の距離を任意に調整することができ、各々のアンテナの放射面同士の距離を十分に確保することで、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。
【0016】
請求項8に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナと第2のアンテナとの間の距離が第2の使用周波数帯の中心周波数の電波の波長に「1/4」を乗じた値以下であるようにした。これにより、第1のアンテナと第2のアンテナとを近接して配置する構成としながらも、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、第2のアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。
【0017】
請求項9に記載したアンテナ装置によれば、第1のアンテナは、携帯電話システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、第2のアンテナは、車々間通信システム又は路車間通信システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、第1の使用周波数帯及び第2の使用周波数帯は700〜800[MHz]である。これにより、携帯電話システムの電波を送受信するアンテナと、車々間通信システム又は路車間通信システムの電波を送受信するアンテナとを例えば同一筐体内に配置する構成において、アンテナ装置全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信システム又は路車間通信システムの電波を送受信するアンテナの車両前方側への指向性を調整することができる。例えば前方車両に対する追突防止を目的とする車々間通信用アンテナの車両前方側への指向性を調整することで、前方車両の検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、全体構成を示す斜視図
【図2】各アンテナのVSWRを示す図
【図3】原理を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図5】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図6】図2相当図
【図7】図3相当図
【図8】各アンテナの指向性を示す図
【図9】比較対象を示す図1相当図
【図10】図2相当図
【図11】図8相当図
【図12】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【図13】本発明の第5の実施形態を示す図1相当図
【図14】図3相当図
【図15】本発明の第6の実施形態を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明を、車両に搭載可能な車載アンテナ装置に適用した第1の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、車載アンテナ装置の全体構成を概略的に示している。車載アンテナ装置1において、矩形状の地板(グランド板)2上には矩形状の基板3が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。地板2は例えばガラスエポキシ樹脂に導電性膜が形成された材料又はアルミニウム材料から構成されており、基板3は例えばガラスエポキシ樹脂から構成されている。
【0020】
基板3の片方の面(図1では正面)3aにあって一端側(図1では右端側)には、携帯電話システム(第1の無線通信システムに相当)の電波を送受信する携帯電話用アンテナ4(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン(エレメント)5により形成されている。基板3の片方の面3aにあって中央側には、上記した携帯電話用アンテナ4と同様に携帯電話システムの電波を送受信する携帯電話用アンテナ6(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン7により形成されている。基板3の片方の面3aにあって他端側(図1では左端側)には、車々間通信システム(第2の無線通信システムに相当)の電波を送受信する車々間通信用アンテナ8(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン9により形成されている。
【0021】
携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8が同一の基板3上に配置されていることから、携帯電話用アンテナ4の放射面4a(第1のアンテナの放射面に相当)、携帯電話用アンテナ6の放射面6a(第1のアンテナの放射面に相当)及び車々間通信用アンテナ8の放射面8a(第2のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いている。又、導体パターン5と導体パターン7とは同一の形状である。又、携帯電話用アンテナ4と携帯電話用アンテナ6とは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)を行う関係にある。尚、車々間通信用アンテナ8は、例えば前方車両に対する追突防止を目的とする車々間通信の電波を前方車両に搭載されている車載アンテナ装置との間で送受信することから、車両前方への指向性を有することが望ましい。
【0022】
導体パターン5及び導体パターン7は、携帯電話システムの使用周波数帯(第1の使用周波数帯に相当)である730〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されており、導体パターン9は、車々間通信システムの使用周波数帯(第2の使用周波数帯に相当)である715〜725[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されている。即ち、携帯電話用アンテナ4と携帯電話用アンテナ6の使用周波数帯は、車々間通信用アンテナ8の使用周波数帯の全体よりも高い周波数帯である。
【0023】
導体パターン5は、下端側(地板2に近い側)が先細り形状となっており、導体パターン5の下端部と地板2とが接する部分には給電点10が設けられている。同様に、導体パターン7は、下端側が先細り形状となっており、導体パターン7の下端部と地板2とが接する部分には給電点11が設けられている。又、導体パターン9の下端部と地板2とが接する部分には給電点12が設けられている。尚、給電点11は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点10〜12は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0024】
携帯電話用アンテナ4(導体パターン5)の中心軸a1と携帯電話用アンテナ6(導体パターン7)の中心軸a2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ6(導体パターン7)の中心軸a2と車々間通信用アンテナ8(導体パターン9)の中心軸a3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置1は、携帯電話用アンテナ4が配置されている側が車両前方側(所望の方向側)となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0025】
図2は、上記した構成における携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8のVSWR(電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio))を示している。携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6のVSWRは、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。又、車々間通信用アンテナ8のVSWRは、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。
【0026】
上記した構成において、携帯電話用アンテナ4が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置1が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ8から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ8が給電点12から給電されている状態(給電状態)では、図3に示すように、放射器13として動作する車々間通信用アンテナ8に対し、携帯電話用アンテナ4が導波器14として動作し、携帯電話用アンテナ6が導波器15として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ8の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性が高まる。
【0027】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ8とを、車載アンテナ装置1が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ8から見て携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6が車両前方側となるように配置した。これにより、車々間通信用アンテナ8の給電状態では携帯電話用アンテナ4及び携帯電話用アンテナ6を導波器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置1全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ8の車両前方側への指向性を調整することができる。尚、導波器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第1の実施形態は、携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8が同一の基板3上に配置されているが、第2の実施形態は、携帯電話用アンテナ及び車々間通信用アンテナが別々の基板3上に配置されている。
【0029】
即ち、車載アンテナ装置21において、地板2上には矩形状の基板22〜24が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板22〜24は第1の実施形態で説明した基板3と同様に例えばガラスエポキシ樹脂から構成されている。基板22の片方の面22aには第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ4と同等の携帯電話用アンテナ25(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン26により形成されている。基板23の片方の面23aには第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ6と同等の携帯電話用アンテナ27(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン28により形成されている。基板24の片方の面24aには第1の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ8と同等の車々間通信用アンテナ29(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン30により形成されている。
【0030】
基板22〜24が各々の面が互いに平行となるように配置されていることから、携帯電話用アンテナ25の放射面25a(第1のアンテナの放射面に相当)、携帯電話用アンテナ27の放射面27a(第1のアンテナの放射面に相当)及び車々間通信用アンテナ29の放射面29a(第2のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いており且つ対向している。又、導体パターン26と導体パターン28とは同一の形状である。又、導体パターン26の下端部と地板2とが接する部分には給電点31が設けられており、導体パターン28の下端部と地板2とが接する部分には給電点32が設けられており、導体パターン30の下端部と地板2とが接する部分には給電点33が設けられている。尚、給電点32は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点31〜33は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0031】
この場合も、携帯電話用アンテナ25(導体パターン26)の中心軸b1と携帯電話用アンテナ27(導体パターン28)の中心軸b2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ27(導体パターン28)の中心軸b2と車々間通信用アンテナ29(導体パターン30)の中心軸b3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置21も、携帯電話用アンテナ25が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0032】
上記した構成においても、携帯電話用アンテナ25が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置21が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ29から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ29が給電点33から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ29に対し、携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27が導波器として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ29の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ29の車両前方側への指向性が高まる。
【0033】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、上記した第1の実施形態と同様に、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ29とを、車載アンテナ装置21が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ29から見て携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27が車両前方側となるように配置した。これにより、車々間通信用アンテ29の給電状態では携帯電話用アンテナ25及び携帯電話用アンテナ27を導波器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ29の車両前方側への指向性を高めることができる。
【0034】
又、第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ4、携帯電話用アンテナ6及び車々間通信用アンテナ8が同一の基板3上に配置されており、放射面4a、放射面6a及び放射面8a同士が対向しない構成では、隣り合う導体パターン5、導体パターン7及び導体パターン9の端部同士の距離が当該導体パターン5、導体パターン7及び導体パターン9の幅分だけ中心軸a1〜a3同士の距離よりも短くなり(図1ではL3<L1、L4<L2)、導体パターン5、導体パターン7及び導体パターン9の端部同士の距離を十分に確保することができないが、第2の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ25、携帯電話用アンテナ27及び車々間通信用アンテナ29が別々の基板22〜24上に配置されており、放射面25a、放射面27a及び放射面29a同士が対向する構成では、隣り合う導体パターン26、導体パターン28及び導体パターン30の端部同士の距離が中心軸b1〜b3同士の距離よりも短くなることはない(等しい)。そのため、導体パターン26、導体パターン28及び導体パターン30の端部同士の距離を十分に確保することができ(望ましいとされる波長λに「1/4」を乗じた値に近付けることができ)、第1の実施形態と対比すると、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。尚、この場合も、導波器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図5乃至図11を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。車載アンテナ装置41において、地板2上には基板3が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板3の片方の面3aにあって一端側(図5では右端側)には、第1の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ4と同等の携帯電話用アンテナ42(一の第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン43により形成されている。基板3の片方の面3aにあって中央側には第1の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ8と同等の車々間通信用アンテナ44(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン45により形成されている。基板3の片方の面3aにあって他端側(図5では左端側)には、携帯電話用アンテナ46(他の第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン47により形成されている。
【0036】
携帯電話用アンテナ42、車々間通信用アンテナ44及び携帯電話用アンテナ46が同一の基板3上に配置されていることから、携帯電話用アンテナ42の放射面42a(第1のアンテナの放射面に相当)、車々間通信用アンテナ44の放射面44a(第2のアンテナの放射面に相当)及び携帯電話用アンテナ46の放射面46a(第1のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いている。尚、この場合も、携帯電話用アンテナ42と携帯電話用アンテナ46とは、MIMOを行う関係にある。
【0037】
導体パターン47は、導体パターン43が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されているのに対し、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されている。即ち、携帯電話用アンテナ46の使用周波数帯は、車々間通信用アンテナ44の使用周波数帯の全体よりも高い周波数帯であり、車々間通信用アンテナ44の使用周波数帯の一部よりも低い周波数帯であり、導体パターン47は、携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有する。
【0038】
導体パターン43の下端部と地板2とが接する部分には給電点48が設けられており、導体パターン45の下端部と地板2とが接する部分には給電点49が設けられており、導体パターン47の下端部と地板2とが接する部分には給電点50が設けられている。尚、給電点49は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点48〜50は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0039】
この場合も、携帯電話用アンテナ42(導体パターン43)の中心軸c1と車々間通信用アンテナ44(導体パターン45)の中心軸c2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、車々間通信用アンテナ44(導体パターン45)の中心軸c2と携帯電話用アンテナ46(導体パターン47)の中心軸c3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置41も、携帯電話用アンテナ42が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0040】
図6は、上記した構成における携帯電話用アンテナ42、車々間通信用アンテナ44及び携帯電話用アンテナ46のVSWRを示している。携帯電話用アンテナ42のVSWRは、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。又、車々間通信用アンテナ44のVSWRは、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。又、この第3の実施形態では、携帯電話用アンテナ46のVSWRは、車々間通信システムの使用周波数帯から携帯電話システムの使用周波数帯にかけての広帯域な715〜770[MHz]の周波数帯で概ね「3」以下となっており、アンテナ特性が良好であることが判る。
【0041】
上記した構成において、携帯電話用アンテナ42が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置41が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ44から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ42が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ44が給電点49から給電されている状態では、図7に示すように、放射器51として動作する車々間通信用アンテナ44に対し、携帯電話用アンテナ42が導波器52として動作する。
【0042】
又、車々間通信用アンテナ44から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ46が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ44が給電点49から給電されている状態では、図7に示すように、放射器51として動作する車々間通信用アンテナ44に対し、携帯電話用アンテナ46が反射器53として動作する。その結果、図8に示すように、車々間通信用アンテナ44の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への指向性が高まる。
【0043】
図9は、比較対象として、上記した携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信する携帯電話用アンテナ46に代えて、携帯電話システムの使用周波数帯だけの電波を送受信する携帯電話用アンテナ54(導体パターン55、放射面54a)を配置した構成を示し、図10は、その比較対象における各アンテナのVSWRを示し、図11は、各アンテナの指向性を示している。図8と図11とを対比すると明らかなように、図9に示した構成、即ち、携帯電話システムの使用周波数帯だけの電波を送受信する携帯電話用アンテナ54を採用した構成では、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への最大利得が−4[dBi]程度であるが(図11(b)参照)、図5に示した構成、即ち、携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信する携帯電話用アンテナ46を採用した構成では、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への最大利得が−1.5[dBi]程度であり(図8(b)参照)、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への最大利得が−4[dBi]から−1.5[dBi]へ向上することが判る。
【0044】
以上に説明したように第3の実施形態によれば、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ42及び携帯電話用アンテナ46と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ44とを、車載アンテナ装置41が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ44から見て携帯電話用アンテナ42が車両前方側となるように配置し且つ携帯電話用アンテナ46が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ46を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ44の給電状態では携帯電話用アンテナ42を導波器として動作させることができ、又、携帯電話用アンテナ46を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合も、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置41全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ44の車両前方側への指向性を調整することができる。尚、導波器として動作する携帯電話用アンテナは2個以上であっても良いし、反射器として動作する携帯電話用アンテナも2個以上であっても良い。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。尚、上記した第3の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第3の実施形態と第4の実施形態との構成上の相違点は、上記した第1の実施形態と第2の実施形態との構成上の相違点と同等の関係である。
【0046】
即ち、車載アンテナ装置61において、地板2上には矩形状の基板62〜64が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板62の片方の面62aには第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ42と同等の携帯電話用アンテナ65(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン66により形成されている。基板63の片方の面63aには第3の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ44と同等の車々間通信用アンテナ67(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン68により形成されている。基板64の片方の面64aには第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ46と同等の携帯電話用アンテナ69(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン70により形成されている。
【0047】
この場合も、基板62〜64が各々の面が互いに平行となるように配置されていることから、携帯電話用アンテナ65の放射面65a(第1のアンテナの放射面に相当)、車々間通信用アンテナ67の放射面67a(第2のアンテナの放射面に相当)及び携帯電話用アンテナ69の放射面69a(第1のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いており且つ対向している。又、導体パターン66の下端部と地板2とが接する部分には給電点71が設けられており、導体パターン68の下端部と地板2とが接する部分には給電点72が設けられており、導体パターン70の下端部と地板2とが接する部分には給電点73が設けられている。尚、給電点72は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点71〜73は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0048】
この場合も、携帯電話用アンテナ65(導体パターン66)の中心軸d1と車々間通信用アンテナ67(導体パターン68)の中心軸d2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、車々間通信用アンテナ67(導体パターン68)の中心軸d2と携帯電話用アンテナ69(導体パターン70)の中心軸d3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置61も、携帯電話用アンテナ65が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0049】
上記した構成においても、携帯電話用アンテナ65が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置61が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ67から見て車両前方側に配置されている携帯電話用アンテナ65が車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯よりも高い携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯にて動作する。そのため、車々間通信用アンテナ67が給電点72から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ67に対し、携帯電話用アンテナ65が導波器として動作する。
【0050】
又、車々間通信用アンテナ67から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ69が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ67が給電点72から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ67に対し、携帯電話用アンテナ69が反射器として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ67の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ67の車両前方側への指向性が高まる。
【0051】
以上に説明したように第4の実施形態によれば、上記した第3の実施形態と同様に、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ65及び携帯電話用アンテナ69と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ67とを、車載アンテナ装置61が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ67から見て携帯電話用アンテナ65が車両前方側となるように配置し且つ携帯電話用アンテナ69が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ69を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ67の給電状態では携帯電話用アンテナ65を導波器として動作させることができ、又、携帯電話用アンテナ69を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ67の車両前方側への指向性を高めることができる。
【0052】
又、第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ42、車々間通信用アンテナ44及び携帯電話用アンテナ46が同一の基板3上に配置されており、放射面42a、44a、46a同士が対向しない構成では、隣り合う導体パターン導体パターン43、導体パターン45及び導体パターン47の端部同士の距離が当該導体パターン導体パターン43、導体パターン45及び導体パターン47の幅分だけ中心軸c1〜c3同士の距離よりも短くなり(図5ではL5<L1、L6<L2)、導体パターン43、導体パターン45及び導体パターン47の端部同士の距離を十分に確保することができないが、第4の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ65、車々間通信用アンテナ67及び携帯電話用アンテナ69が別々の基板62〜64上に配置されており、放射面65a、放射面67a及び放射面69a同士が対向する構成では、隣り合う導体パターン66、導体パターン68及び導体パターン70の端部同士の距離が中心軸d1〜d3同士の距離よりも短くなることはない(等しい)。そのため、導体パターン66、導体パターン68及び導体パターン70の端部同士の距離を十分に確保することができ(望ましいとされる波長λに「1/4」を乗じた値に近付けることができ)、第3の実施形態と対比すると、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。尚、この場合も、導波器として動作する携帯電話用アンテナは2個以上であっても良いし、反射器として動作する携帯電話用アンテナも2個以上であっても良い。
【0053】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図13及び図14を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。車載アンテナ装置81において、地板2上には基板3が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板3の片方の面3aにあって一端側(図13では右端側)には、第1の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ8と同等の車々間通信用アンテナ82(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン83により形成されている。基板3の片方の面3aにあって中央側には第3の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ46と同等の携帯電話用アンテナ84(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン85により形成されている。基板3の片方の面3aにあって他端側(図13では左端側)には、携帯電話用アンテナ84と同等の携帯電話用アンテナ86(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン87により形成されている。
【0054】
車々間通信用アンテナ82、携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86が同一の基板3上に配置されていることから、車々間通信用アンテナ82の放射面82a(第2のアンテナの放射面に相当)、携帯電話用アンテナ84の放射面84a(第1のアンテナの放射面に相当)及び携帯電話用アンテナ86の放射面86a(第1のアンテナの放射面に相当)は、同一の方向を向いている。尚、この場合も、携帯電話用アンテナ84と携帯電話用アンテナ86とは、MIMOを行う関係にある。
【0055】
導体パターン85及び導体パターン87は、携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能な形状に形成されている。即ち、導体パターン85及び導体パターン87は、携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有する。
【0056】
導体パターン83の下端部と地板2とが接する部分には給電点88が設けられており、導体パターン85の下端部と地板2とが接する部分には給電点89が設けられており、導体パターン87の下端部と地板2とが接する部分には給電点90が設けられている。尚、給電点89は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点88〜90は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0057】
この場合も、車々間通信用アンテナ82(導体パターン83)の中心軸e1と携帯電話用アンテナ84(導体パターン85)の中心軸e2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ84(導体パターン85)の中心軸e2と携帯電話用アンテナ86(導体パターン87)の中心軸e3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置81は、車々間通信用アンテナ82が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0058】
上記した構成において、車々間通信用アンテナ82が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置81が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ82から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ82が給電点89から給電されている状態では、図14に示すように、放射器91として動作する車々間通信用アンテナ82に対し、携帯電話用アンテナ84が反射器92として動作し、携帯電話用アンテナ86が反射器93として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ82の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ82の車両前方側への指向性が高まる。
【0059】
以上に説明したように第5の実施形態によれば、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ82とを、車載アンテナ装置81が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ82から見て携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ82の給電状態では携帯電話用アンテナ84及び携帯電話用アンテナ86を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ82の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合も、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置81全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ82の車両前方側への指向性を調整することができる。尚、反射器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0060】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について、図15を参照して説明する。尚、上記した第5の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第5の実施形態と第6の実施形態との構成上の相違点も、上記した第1の実施形態と第2の実施形態との構成上の相違点と同等の関係である。
【0061】
即ち、車載アンテナ装置101において、地板2上には矩形状の基板102〜104が当該地板2の平面に対して垂直に立設されている。基板102の片方の面102aには第5の実施形態で説明した車々間通信用アンテナ82と同等の車々間通信用アンテナ105(第2のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン106により形成されている。基板103の片方の面103aには第5の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ84と同等の携帯電話用アンテナ107(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン108により形成されている。基板104の片方の面104aには第5の実施形態で説明した携帯電話用アンテナ86と同等の携帯電話用アンテナ109(第1のアンテナに相当)が例えば銅膜からなる所定形状の導体パターン110により形成されている。
【0062】
又、導体パターン106の下端部と地板2とが接する部分には給電点111が設けられており、導体パターン108の下端部と地板2とが接する部分には給電点112が設けられており、導体パターン110の下端部と地板2とが接する部分には給電点113が設けられている。尚、給電点112は地板2の略中央部に配置されており、3個の給電点111〜113は地板2の長手方向に沿って一直線上に配置されている。
【0063】
この場合も、車々間通信用アンテナ105(導体パターン106)の中心軸f1と携帯電話用アンテナ107(導体パターン108)の中心軸f2との間の距離L1は、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値であり、又、携帯電話用アンテナ107(導体パターン108)の中心軸f2と携帯電話用アンテナ109(導体パターン110)の中心軸f3との間の距離L2も、車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の中心周波数である720[MHz]の電波の波長λに「1/8」を乗じた値である。このように構成されてなる車載アンテナ装置101も、車々間通信用アンテナ105が配置されている側が車両前方側となるように車両ボデーの例えばルーフ部分等に実装される。
【0064】
上記した構成においても、車々間通信用アンテナ105が配置されている側が車両前方側となるように車載アンテナ装置101が車両に搭載された状態では、車々間通信用アンテナ105から見て車両後方側に配置されている携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109が携帯電話システムの使用周波数帯である730〜770[MHz]の周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯である715〜725[MHz]の周波数帯との双方を含む715〜770[MHz]の周波数帯の電波を送受信可能であり、715〜770[MHz]の広帯域に対応したインピーダンス特性を有する。そのため、車々間通信用アンテナ105が給電点111から給電されている状態では、放射器として動作する車々間通信用アンテナ105に対し、携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109が反射器として動作する。その結果、車々間通信用アンテナ105の指向性が車両前方側へと傾き、車々間通信用アンテナ105の車両前方側への指向性が高まる。
【0065】
以上に説明したように第6の実施形態によれば、上記した第5の実施形態と同様に、携帯電話システムで使用する携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109と車々間通信システムで使用する車々間通信用アンテナ105とを、車載アンテナ装置101が車両に搭載されたときに車々間通信用アンテナ105から見て携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109が車両後方側となるように配置し、携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109を携帯電話システムの使用周波数帯と車々間通信システムの使用周波数帯との双方に対応したインピーダンス特性を有するようにした。これにより、車々間通信用アンテナ105の給電状態では携帯電話用アンテナ107及び携帯電話用アンテナ109を反射器として動作させることができ、その結果、車々間通信用アンテナ105の車両前方側への指向性を高めることができる。この場合も、複数の無給電素子を配置する必要もないので、車載アンテナ装置101全体の体格の大型化を回避しつつ、車々間通信用アンテナ105の車両前方側への指向性を調整することができる。
【0066】
又、第2の実施形態や第4の実施形態に記載したものと同様に、導体パターン106、導体パターン108及び導体パターン110の端部同士の距離を十分に確保することができ(図13ではL7<L1、L8<L2)、第5の実施形態と対比すると、各々のアンテナ間の相互インピーダンスを減少させることができ、各々のアンテナの利得を高めることができる。尚、この場合も、反射器として動作する携帯電話用アンテナは1個であっても良いし3個以上であっても良い。
【0067】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
アンテナ装置は、車両に搭載される車載アンテナ装置に限らず、例えば携帯情報端末等の他の機器に搭載されるアンテナ装置であっても良い。
第1のアンテナ及び第2のアンテナは、携帯電話用アンテナ及び車々間通信用アンテナに限らず、例えば2.4[GHz]を使用周波数帯とするBluetooth(登録商標)用アンテナ及び2〜11[GHz]を使用周波数帯とするWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)用アンテナ等、他の無線通信システムを対象とするアンテナであっても良い。又、Bluetooth用アンテナ及びWiMAX用アンテナのうち何れが第1のアンテナであっても良く、何れが第2のアンテナであっても良い。又、車々間通信用アンテナに代えて路車間通信用アンテナであっても良い。
【0068】
アンテナの指向性を高める方向である所望の方向は、車両前方側に限らず、車両後方側や車両側方側であっても良い。即ち、通信相手の対象(電波の到来方向)に応じて車両後方側や車両側方側への感度を高めたい要望があれば、車両後方側や車両側方側への指向性が高まるようにアンテナ装置の方向を考慮して車両に搭載すれば良い。又、アンテナ装置の方向を通信相手の対象に応じて自在に変更可能(調整可能)に構成しても良い。
【符号の説明】
【0069】
図面中、1、21、41、61、81、101は車載アンテナ装置(アンテナ装置)、3、22〜24、62〜64、102〜104は基板、4、6、25、27、42、46、65、69、84、86、107、109は携帯電話用アンテナ(第1のアンテナ)、4a、6a、25a、27a、42a、46a、65a、69a、84a、86a、107a、109aは放射面(第1のアンテナの放射面)、8、29、44、67、82、105は車々間通信用アンテナ(第2のアンテナ)、8a、29a、44a、67a、82a、105aは放射面(第2のアンテナの放射面)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、前記第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、
前記第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、前記アンテナ装置が車両に搭載されたときに前記第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向側となるように前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、前記第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、
前記第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、前記アンテナ装置が車両に搭載されたときに前記第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナが前記第2のアンテナよりも幅広パターンを有することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する複数の第1のアンテナと、前記第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、
前記複数の第1のアンテナのうち一の第1のアンテナの一の第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、前記複数の第1のアンテナのうち他の第1のアンテナの他の第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、前記アンテナ装置が車両に搭載されたときに前記一の第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向側となり且つ前記他の第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように配置したことを特徴とすることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項4に記載したアンテナ装置において、
前記他の第1のアンテナが前記第2のアンテナよりも幅広パターンを有することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを同一の基板上に配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを別々の基板上に配置し、前記別々の基板を各々のアンテナの放射面が対向するように配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間の距離が前記第2の使用周波数帯の中心周波数の電波の波長に「1/4」を乗じた値以下であることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナは、携帯電話システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、
前記第2のアンテナは、車々間通信システム又は路車間通信システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、
前記第1の使用周波数帯及び前記第2の使用周波数帯は700〜800[MHz]であることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項1】
第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、前記第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、
前記第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、前記アンテナ装置が車両に搭載されたときに前記第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向側となるように前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する第1のアンテナと、前記第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、
前記第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、前記アンテナ装置が車両に搭載されたときに前記第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナが前記第2のアンテナよりも幅広パターンを有することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
第1の無線通信システムにおける第1の使用周波数帯の電波を送受信する複数の第1のアンテナと、前記第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムにおける第2の使用周波数帯の電波を送受信する第2のアンテナとを有するアンテナ装置であって、
前記複数の第1のアンテナのうち一の第1のアンテナの一の第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも高い周波数帯であり、前記複数の第1のアンテナのうち他の第1のアンテナの他の第1の使用周波数帯が前記第2の使用周波数帯の一部又は全体よりも低い周波数帯であり、前記アンテナ装置が車両に搭載されたときに前記一の第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向側となり且つ前記他の第1のアンテナが前記第2のアンテナから見て所望の方向とは反対の方向側となるように配置したことを特徴とすることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項4に記載したアンテナ装置において、
前記他の第1のアンテナが前記第2のアンテナよりも幅広パターンを有することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを同一の基板上に配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを別々の基板上に配置し、前記別々の基板を各々のアンテナの放射面が対向するように配置したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間の距離が前記第2の使用周波数帯の中心周波数の電波の波長に「1/4」を乗じた値以下であることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかに記載したアンテナ装置において、
前記第1のアンテナは、携帯電話システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、
前記第2のアンテナは、車々間通信システム又は路車間通信システムにおける使用周波数帯の電波を送受信するアンテナであり、
前記第1の使用周波数帯及び前記第2の使用周波数帯は700〜800[MHz]であることを特徴とするアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−51492(P2013−51492A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187341(P2011−187341)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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