説明

イオン注入装置及び半導体装置の製造方法

【課題】 ビーム電流が不安定でもウェハへの不純物面内分布が均一になるイオン注入装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 イオン注入装置10は、イオンビーム発生機構15、スキャナ部16、イオン注入室20を有する。スキャナ部16は、X方向静電偏向器16x、Y方向静電偏向器16yを有する。イオンビームIBの走査速度は、信号処理部17x、17yにおける各三角波電圧の周波数変調によって変更可能である。信号処理部17x、17yは、非接触ビーム電流計18の計測値の変動に応じて各三角波電圧を周波数変調する。イオンビームIBは、その変動によりビーム電流が通常より減少したときにはその走査速度が小さくなり、通常より増大したときにはその走査速度が大きくなるよう制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体プロセスにおいてデバイス特性を決定する不純物イオンを注入制御するイオン注入技術に係り、特に、半導体ウェハへの不純物面内分布を改善するイオン注入装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入装置は、イオン源より引き出されたイオンビームを質量分析して目的の不純物イオンのみ導出し、電界で加速する。イオンビームは、エンドステーションの半導体ウェハ(単にウェハともいう)に照射され、ウェハに所定量のイオンが注入される。イオンビームは、一般的に、一対の平行平板もしくは変形(多極)平板でなる静電偏向器に三角波電界を印加することでX方向(水平方向),Y方向(垂直方向)に偏向制御される。これにより、イオンビームは半導体ウェハ上に高速描画(スキャン)され、半導体ウェハに不純物が導入される。
【0003】
従来から、基板上の全領域におけるドーズ量が均一にできるよう工夫されてきた。例えば、イオンビームに関しX方向及びY方向に偏向させる電場を時間にリニアに変化させてラスターすると、ビームスポットの走行速度はウェハ周辺がウェハ中心に比べて遅くなる。これにより、ウェハの周辺部が過注入になり、ドーズ分布が等しくなくなる。そこで、基板の縦方向(Y方向)に段階的にステップ・アップまたはステップ・ダウンさせる偏向電圧の変化の速度は一定とし、基板の横方向(X方向)の偏向電場の変化の速度を基板の中心における偏向電場の速度を1として、ラスター偏向電圧の時間についての変化の割合を基板の場所場所に応じて変化させる構成とする。基板上をラスターするビームスポットの、基板上の走行速度は基板上の場所によらず一様となり、ドーズ分布を均一とする(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、ビームスポットの走行速度データを、アナログ電圧信号に変換し、このアナログ電圧信号を周波数信号に変換する。この周波数信号をアップダウンカウンタにより計数して基準座標データを形成し、静電偏向器を制御する信号電源電圧に反映させる。
【特許文献1】特開平7−142023号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[特許文献1]のような技術は、安定したイオンビームにおいて効果が発揮される。しかしながら、イオン源の不安定性、ビーム引き出し、加速系統の放電等により、イオンビームは著しく減少したり増加したりする懸念がある。このため、例えばラスター走査中に一瞬ビーム電流が増加するとウェハ上のある位置で不純物量が多くなり、逆にビーム電流が減少すると不純物が小さくなって半導体素子の不良となり得る。
【0005】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたもので、ビーム電流が不安定でもウェハへの不純物面内分布が均一になるイオン注入装置及び半導体装置の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るイオン注入装置は、イオン源から引き出されるイオンビームが磁界を利用した質量分析、電界による加速を経て走査されることにより半導体ウェハに所定の不純物イオンが注入されるイオン注入装置であって、前記イオンビームのビーム電流強度を測定する測定機構と、前記イオンビームのビーム電流強度に応じて前記イオンビームのX方向走査速度を変化させるX方向静電偏向器と、前記イオンビームのビーム電流強度に応じて前記イオンビームのY方向走査速度を変化させるY方向静電偏向器と、を含む。
【0007】
上記本発明に係るイオン注入装置によれば、イオンビームのビーム電流強度に応じて走査速度を変化させ得るX方向、Y方向の各静電偏向器が設けられている。これにより、イオンビームのビーム電流の増減に比例するようにイオンビームの走査速度を変えるイオン注入を実施することができる。これにより、ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上を図る。
【0008】
本発明に係るイオン注入装置は、イオン源から引き出されるイオンビームが磁界を利用した質量分析、電界による加速を経て走査されることにより半導体ウェハに所定の不純物イオンが注入されるイオン注入装置であって、前記イオンビームのビーム電流強度を測定する測定機構と、前記イオンビームのX方向、Y方向それぞれの走査の制御に用いられる三角波電圧が前記イオンビームのビーム電流強度に応じて周波数変調されるX方向静電偏向器及びY方向静電偏向器で構成されるスキャナ部と、を含む。
【0009】
上記本発明に係るイオン注入装置によれば、X方向静電偏向器及びY方向静電偏向器で構成されるスキャナ部は、各静電偏向器のX方向、Y方向それぞれの走査の制御に三角波電圧が用いられている。この三角波電圧をイオンビームのビーム電流強度に応じて周波数変調することにより、ビーム電流の増減に応じて走査速度を変化させることができる。これにより、ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上を図る。
【0010】
なお、上記本発明に係るイオン注入装置において、次のいずれかの特徴を有することによって、イオンビーム量の増減の情報をリアルタイムにスキャナ部に与えるようにする。
前記測定機構は、前記スキャナ部の前段または後段のビームラインに設けられる非接触ビーム電流計を含み、前記スキャナ部の走査は前記非接触ビーム電流計の変動に応じて制御されることを特徴とする。
前記測定機構は、前記半導体ウェハへ流れるビーム電流値を計測するドーズコントローラと、前記スキャナ部の前段または後段のビームラインに設けられ前記ドーズコントローラのビーム電流値を基準として計側値が校正される非接触ビーム電流計と、を含み、前記スキャナ部の走査は前記非接触ビーム電流計の変動に応じて制御されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るイオン注入装置は、イオン注入室内の半導体ウェハの保持部と、前記半導体ウェハに注入するイオン種のビームを発生するイオンビーム発生機構と、イオン注入のため前記半導体ウェハに照射する前記イオンビームを走査するスキャナ部と、少なくとも前記イオン注入中、前記イオンビームのビーム電流の強度に応じて前記スキャナ部の走査速度を可変とする制御系と、を含む。
【0012】
上記本発明に係るイオン注入装置によれば、スキャナ部の走査速度が可変であり、イオンビームのビーム電流の強度に依存する。すなわち、ビーム電流の増減に応じて走査速度を変化させることができ、ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上を図ることができる。
【0013】
なお、上記本発明に係るイオン注入装置において、好ましくは、前記スキャナ部は、前記制御系により前記イオンビームのX方向、Y方向それぞれの走査速度が制御されるX方向静電偏向器、Y方向静電偏向器を備え、前記制御系は、前記イオン注入室内のファラディ・カップ、前記スキャナ部の前段または後段のビームラインに設けられ前記ファラディ・カップのビーム電流値を基準として計側値が校正される非接触ビーム電流計、及び前記非接触ビーム電流計の所定の変動を前記X方向静電偏向器、前記Y方向静電偏向器それぞれにおける動作電圧の周波数制御に反映させる信号処理部を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、イオン源から引き出されるイオンが磁界を利用した質量分析、電界による加速を経て、イオンビームを半導体ウェハに照射して所定の不純物のイオン注入が実現される半導体装置の製造方法に関し、イオン注入中、前記イオンビームのビーム電流強度を測定し、少なくとも前記ビーム電流強度が通常の値の範囲から外れた前記イオンビームのビーム量が低下または増加する任意のイオン注入領域では、前記イオンビームの照射時間を長くまたは短く調整することによって前記イオンビームのビーム量が通常のイオン注入領域と同等にすることを特徴とする。
【0015】
上記本発明に係るイオン注入装置によれば、イオンビームのビーム電流強度を監視しており、ビーム電流が通常から外れた値に変化するのに合わせて、イオンビームの照射時間を調整する。これにより、イオンビームのビーム量が通常のイオン注入領域と同等になるように制御する。ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上に寄与する。
【0016】
なお、上記本発明に係るイオン注入装置において、前記イオンビームの照射時間は、前記イオンビームのX方向、Y方向それぞれの走査の電極制御に用いられる三角波電圧を前記イオンビームのビーム電流強度に応じて周波数変調することにより変化させることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係るイオン注入装置の要部構成を示すブロック構成図である。イオン注入装置10は、イオン源11、質量分析器12、加速管13、集束用レンズ14、及び図示しない各種スリットを含むイオンビーム発生機構15、スキャナ部16、イオン注入室20を有する。イオンビームIBは、イオン源11から引き出され、質量分析磁石や分析スリットを有する質量分析器12を介して注入すべきイオンのみ導出される。さらに、イオンビームIBは、電界を利用した加速管13により加速され、集束用レンズ(Qレンズ)14により集束された後、スキャナ部16を経る。
【0018】
スキャナ部16は、イオンビームIBを上下左右に掃引可能である。ここでは、スキャナ部16は、X方向静電偏向器16xと、Y方向静電偏向器16yを有する。信号処理部17xは、X方向静電偏向器16xにおけるイオンビームのX方向走査に利用される三角波電圧を周波数変調し、増幅する。成形された三角波信号はX方向静電偏向器16xの図示しないX走査電極に印加される。信号処理部17yは、Y方向静電偏向器16yにおけるイオンビームのY方向走査に利用される三角波電圧を周波数変調し、増幅する。成形された三角波信号はY方向静電偏向器16yの図示しないY走査電極に印加される。すなわち、スキャナ部16は、イオン注入室20に保持された半導体ウェハWFに照射するイオンビームIBを走査する。イオンビームIBの走査速度は、信号処理部17x、17yにおける各三角波電圧の周波数変調によって変更可能となっている。
【0019】
非接触ビーム電流計18は、スキャナ部16の後段のビームラインに設けられ、イオン注入中におけるビーム電流量が計測される。上記信号処理部17x、17yは、非接触ビーム電流計18の計測値の変動に応じて各三角波電圧を周波数変調する。これにより、イオンビームIBは、その変動によりビーム電流が通常より減少したときにはその走査速度が小さくなり、通常より増大したときにはその走査速度が大きくなるよう制御される。
【0020】
グランドマスク19は、イオン注入室20においてイオンビームIBの走査領域を略ウェハ領域に限定する。ドーズコントローラ21は、ビーム電流計測に関係し、例えばファラディ・カップ22からのビーム電流値を参照する。上記非接触ビーム電流計18は、ドーズコントローラ21のビーム電流値を基準として、計側値が校正される。これにより、非接触ビーム電流計18の計測値の精度を向上させ、もってイオンビームIBの走査速度の制御を高精度に達成する。
【0021】
図2は、信号処理部(17x、17y)の信号の流れを示すブロック図、図3は、ビーム電流に対するイオンビームIBのX方向,Y方向各走査に関わる三角波電圧の波形図である。図1を参照しながら説明する。
非接触ビーム電流計18によってビーム電流強度に変動が検出されると、信号処理部(17x、17y)で各三角波電圧の周波数変調が行われる。これにより、スキャナ部16におけるX方向静電偏向器16xと、Y方向静電偏向器16yの走査速度は変更される。図3では、ビーム電流が一瞬、通常の半分の値に落ち込んでしまった場合を示している(D1)。ビーム電流の落ち込みに応じてX方向静電偏向器16x、Y方向静電偏向器16yへ与えられるX走査三角波電圧、Y走査三角波電圧は、走査速度が遅くなるよう周波数変調される。
【0022】
上記実施形態の構成によれば、イオンビームIBのビーム電流強度に応じて走査速度を変化させ得るスキャナ部16、すなわちX方向、Y方向の各静電偏向器16x、16yが設けられている。これにより、イオンビームIBのビーム電流の増減に比例するようにイオンビームIBの走査速度を変えるイオン注入を実施することができる。これにより、ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上を図ることができる。スキャナ部16に関し、各静電偏向器16x,16yそれぞれの走査の制御に三角波電圧が用いられている。この三角波電圧をイオンビームIBのビーム電流強度に応じて周波数変調することにより、ビーム電流の増減に応じて走査速度を変化させることができる。これにより、ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上、デバイス性能の優れた安定性が期待できる。
【0023】
図4は、本発明の第2実施形態に係るイオン注入装置の要部構成を示すブロック構成図である。前記第1実施形態における図1の構成に比べて非接触ビーム電流計18の挿入箇所が異なっている。その他は図1と同様構成であるため、重複した説明は省略する。ここでは非接触ビーム電流計28は、スキャナ部16の前段のビームラインに設けられている。上記信号処理部17x、17yは、非接触ビーム電流計28の計測値の変動に応じて各三角波電圧を周波数変調する。これにより、イオンビームIBは、その変動によりビーム電流が通常より減少したときにはその走査速度が小さくなり、通常より増大したときにはその走査速度が大きくなるよう制御される。非接触ビーム電流計28は、ドーズコントローラ21のビーム電流値を基準として、計側値が校正される。これにより、非接触ビーム電流計28の計測値の精度を向上させ、もってイオンビームIBの走査速度の制御を高精度に達成する。
【0024】
上記実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、スキャナ部16に関し、各静電偏向器16x,16yそれぞれの走査の制御に用いられる三角波電圧を、イオンビームIBのビーム電流強度に応じて周波数変調する。これにより、ビーム電流の増減に応じて走査速度を変化させることができる。これにより、ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上、デバイス性能の優れた安定性が期待できる。
【0025】
また、上記各実施形態を利用して、イオン注入中、イオンビームIBのビーム電流強度を測定し監視する。そこで少なくともイオンビームIBのビーム量が通常値より低下または増加する任意のイオン注入領域において、イオンビームIBの照射時間を長くまたは短く調整する。これにより、イオンビームIBのビーム量が通常のイオン注入領域と同等にすることができる。よって、デバイス性能安定化、歩留り向上が期待できる半導体装置の製造方法が提供できる。
【0026】
以上説明したように本発明によれば、X方向静電偏向器及びY方向静電偏向器で構成されるスキャナ部は、各静電偏向器のX方向、Y方向それぞれの走査の制御に三角波電圧が用いられている。この三角波電圧をイオンビームのビーム電流強度に応じて周波数変調することにより、ビーム電流の増減に応じて走査速度を変化させることができる。これにより、ウェハ面内における不純物濃度の均一性向上が図れる。この結果、ビーム電流が不安定でもウェハへの不純物面内分布が均一になるイオン注入装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るイオン注入装置の要部構成を示すブロック構成図。
【図2】信号処理部の信号の流れを示すブロック図。
【図3】ビーム電流に対するX,Y方向各走査に関わる三角波電圧の波形図。
【図4】第1実施形態に係るイオン注入装置の要部構成を示すブロック構成図。
【符号の説明】
【0028】
10…イオン注入装置、11…イオン源、12…質量分析器、13…加速管、14…集束用レンズ、15…イオンビーム発生機構、16…スキャナ部、16x…X方向静電偏向器、16y…Y方向静電偏向器、17x,17y…信号処理部、18,28…非接触ビーム電流計、19…グランドマスク、20…イオン注入室、21…ドーズコントローラ、22…ファラディ・カップ、WF…半導体ウェハ、IB…イオンビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源から引き出されるイオンビームが磁界を利用した質量分析、電界による加速を経て走査されることにより半導体ウェハに所定の不純物イオンが注入されるイオン注入装置であって、
前記イオンビームのビーム電流強度を測定する測定機構と、
前記イオンビームのビーム電流強度に応じて前記イオンビームのX方向走査速度を変化させるX方向静電偏向器と、
前記イオンビームのビーム電流強度に応じて前記イオンビームのY方向走査速度を変化させるY方向静電偏向器と、
を含むイオン注入装置。
【請求項2】
イオン源から引き出されるイオンビームが磁界を利用した質量分析、電界による加速を経て走査されることにより半導体ウェハに所定の不純物イオンが注入されるイオン注入装置であって、
前記イオンビームのビーム電流強度を測定する測定機構と、
前記イオンビームのX方向、Y方向それぞれの走査の制御に用いられる三角波電圧が前記イオンビームのビーム電流強度に応じて周波数変調されるX方向静電偏向器及びY方向静電偏向器で構成されるスキャナ部と、
を含むイオン注入装置。
【請求項3】
前記測定機構は、前記スキャナ部の前段または後段のビームラインに設けられる非接触ビーム電流計を含み、前記スキャナ部の走査は前記非接触ビーム電流計の変動に応じて制御される請求項2記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記測定機構は、前記半導体ウェハへ流れるビーム電流値を計測するドーズコントローラと、前記スキャナ部の前段または後段のビームラインに設けられ前記ドーズコントローラのビーム電流値を基準として計側値が校正される非接触ビーム電流計と、を含み、前記スキャナ部の走査は前記非接触ビーム電流計の変動に応じて制御される請求項2記載のイオン注入装置。
【請求項5】
イオン注入室内の半導体ウェハの保持部と、
前記半導体ウェハに注入するイオン種のビームを発生するイオンビーム発生機構と、
イオン注入のため前記半導体ウェハに照射する前記イオンビームを走査するスキャナ部と、
少なくとも前記イオン注入中、前記イオンビームのビーム電流の強度に応じて前記スキャナ部の走査速度を可変とする制御系と、
を含むイオン注入装置。
【請求項6】
前記スキャナ部は、前記制御系により前記イオンビームのX方向、Y方向それぞれの走査速度が制御されるX方向静電偏向器、Y方向静電偏向器を備え、前記制御系は、前記イオン注入室内のファラディ・カップ、前記スキャナ部の前段または後段のビームラインに設けられ前記ファラディ・カップのビーム電流値を基準として計側値が校正される非接触ビーム電流計、及び前記非接触ビーム電流計の所定の変動を前記X方向静電偏向器、前記Y方向静電偏向器それぞれにおける動作電圧の周波数制御に反映させる信号処理部を備えている請求項5記載のイオン注入装置。
【請求項7】
イオン源から引き出されるイオンが磁界を利用した質量分析、電界による加速を経て、イオンビームを半導体ウェハに照射して所定の不純物のイオン注入が実現される半導体装置の製造方法に関し、
イオン注入中、前記イオンビームのビーム電流強度を測定し、少なくとも前記ビーム電流強度が通常の値の範囲から外れた前記イオンビームのビーム量が低下または増加する任意のイオン注入領域では、前記イオンビームの照射時間を長くまたは短く調整することによって前記イオンビームのビーム量が通常のイオン注入領域と同等にすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記イオンビームの照射時間は、前記イオンビームのX方向、Y方向それぞれの走査の電極制御に用いられる三角波電圧を前記イオンビームのビーム電流強度に応じて周波数変調することにより変化させることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−196385(P2006−196385A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8700(P2005−8700)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】