説明

イスラム教徒の喜捨回数登録システム

【課題】 ムスリムがいずれの地においてもメッカの方向を容易に知ることができ、同時に、携帯端末の課金システムを利用して、喜捨に貢献することを可能とする。
【解決手段】イスラム教徒の喜捨回数登録方法であって、ムスリムの所有する携帯端末から礼拝申告を、所定の通信媒体を通して統括制御部に送信し、前記統括制御部は、前記礼拝申告に応じて前記ムスリムを認証し、前記認証が正しければ、前記携帯端末の位置からメッカに向かう矢印指標データを含む画像データを前記携帯端末に送り、前記ムスリムの携帯端末に、メッカの方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示し、礼拝の実行後に前記統括制御部は、前記ムスリムの礼拝回数を更新し、前記礼拝回数が所定回数に達する毎に、喜捨回数データを歩進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イスラム教徒(ムスリム)の喜捨回数登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
中近東、東南アジアを含めたイスラム圏においてイスラム教信者(ムスリム)は、一日5回のお祈り(礼拝)をはじめイスラムの文化に沿った様々な行為が、生活に密着している。
【0003】
特に、一日5回の礼拝は信徒が守るべき義務の一つであり、メッカの方向に向かってお祈りを行う。
【0004】
そのために、イスラム圏の地域におけるホテルには、床、室内の天井、壁、テーブルなどにメッカの方角を指し示す矢印指標が備えられている。すなわち、この矢印指標はイスラムのメッカの方向を示している標識であって、ムスリムの旅行者やそこに滞在しているムスリムの人たちには大切な目印である。この矢印の方向に即ち、メッカの方向に向かってお祈りをするための標識となる。
【0005】
したがって、ムスリムにとって、地方、他国の旅先でメッカの方向を知ることは大変重要なリサーチであり、そのため各ホテルではメッカの方向を指す矢印指標を設けて宿泊者のために便宣を図っている。
【0006】
しかし、ムスリムにとって、旅先において、かかる矢印指標のないところで、メッカ方向を認識することは、容易でない場合がある。
【0007】
一方、一生に一度はハッジ(メッカ巡礼)をするのがイスラム教徒の義務であり夢であるが、メッカ巡礼のためには、多額の費用を要することであり、ムスリムの全てが可能ということではない。このため、それぞれのムスリムは、多数のイスラム教徒が一緒に礼拝することの出来るイスラム寺院(モスク)に所属登録し、モスクの代表にメッカ巡礼を行わせる場合も多い。
【0008】
さらに、ムスリムの義務として喜捨を行い、喜捨の貢献度から所属するモスクの巡礼代表とされる場合もある。
【0009】
上記に鑑みて、ムスリムが世界中のどの地に旅する、あるは居住する場合であって、移動先において、容易にメッカの方向を知ることができる手段として近年の通信技術を利用することが考えられる。
【0010】
そして、かかる場合の通信機器として携帯端末を利用することが好ましい。
【0011】
ここで、携帯端末において、方向を識別可能とする従来システムとして、特許文献1、2に記載の技術がある。特許文献1に記載の発明は、所望の場所への方位、地図情報を携帯電話端末が向いている方位に合わせるように表示するものである。
【0012】
また、特許文献2に記載の発明は、携帯通信端末を携行するユーザが、携帯通信端末を介して現在位置に係る地域関連情報を把握しやすい態様で取得するようにしたシステムに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003-299136号公報
【特許文献2】特開2003-199140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、携帯端末を用いて、ムスリムが容易にメッカの方向を識別することができ、更に喜捨を行うことを可能とするイスラム教徒の喜捨回数登録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を達成する本発明に従う第1の態様は、イスラム教徒の喜捨回数登録方法であって、ムスリムの所有する携帯端末から礼拝申告を、所定の通信媒体を通して統括制御部に送信し、前記統括制御部は、前記礼拝申告に応じて前記ムスリムを認証し、前記認証が正しければ、前記携帯端末の位置からメッカに向かう矢印指標データを含む画像データを前記携帯端末に送り、
前記ムスリムの携帯端末に、メッカに方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示し、礼拝の実行後に前記統括制御部は、前記ムスリムの礼拝回数を更新し、前記礼拝回数が所定回数に達する毎に、喜捨回数データを歩進することを特徴とする。
【0016】
上記課題を達成する本発明に従う第2の態様は、イスラム教徒の喜捨回数登録システムであって、ムスリムの所有する携帯端末と、所定の通信媒体を通して、前記ムスリムの所有する携帯端末から送られる礼拝申告を受ける統括制御部を有し、前記統括制御部は、前記礼拝申告に応じて前記ムスリムを認証する手段と、前記認証が正しければ、前記携帯端末の位置からメッカに向かう矢印指標データを含む画像データを前記携帯端末に送る手段を有し、前記ムスリムの所有する携帯端末は、前記メッカに方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示する手段を有し、さらに前記統括制御部は、前記ムスリムによる礼拝の実行後に、前記ムスリムの礼拝回数を更新し、前記礼拝回数が所定回数に達する毎に、喜捨回数データを歩進する手段を有することを特徴とする。
【0017】
上記課題を達成する本発明に従う第3の態様は、イスラム教徒の喜捨回数登録システムであって、複数のムスリムの所有する携帯端末と、前記複数のムスリムが所属し、所定の通信媒体を通して、所属するムスリムの所有する携帯端末から送られる礼拝申告を受ける複数の制御部と、前記複数の制御部を統括する統括制御部を有し、前記制御部は、前記礼拝申告に応じて前記ムスリムを認証する手段と、前記認証が正しければ、前記携帯端末の位置からメッカに向かう矢印指標データを含む画像データを前記携帯端末に送る手段を有し、前記ムスリムの所有する携帯端末は、前記メッカに方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示する手段を有し、さらに前記制御部は、前記ムスリムによる礼拝の実行後に、前記ムスリムの礼拝回数を更新し、前記更新された礼拝回数を前記統括制御部に通知し、前記前記統括制御部は、前記制御部から通知される礼拝回数が所定回数に達する毎に、喜捨回数データを歩進する手段を有することを特徴とする。
【0018】
上記課題を達成する本発明に従う第4の態様は、第2又は3の態様において、前記メッカに向かう矢印指標データを含む画像データは、世界地図を所定の経緯度で分割された複数の小領域のマップ画像データであって、前記矢印指標が、前記小領域とメッカとを結ぶ線上に前記メッカに向かう方向を示す矢印指標であることを特徴とする。
【0019】
上記課題を達成する本発明に従う第5の態様は、第2又は3の態様において、前記携帯端末の前記統括部又は制御部との通信費用の一部が、前記統括制御部に帰属させることにより喜捨に当てることを特徴とする。
【0020】
上記課題を達成する本発明に従う第6の態様は、第2又は3の態様において、前記携帯端末は、前記携帯端末の位置する経緯度を測定する手段と、 前記携帯端末から礼拝の申告に対し、前記ムスリムを認証されたときに、前記携帯端末の置かれる経緯度に対応し、前記メッカに向かう指標矢印を含む小領域のマップ画像データを受信することを特徴とする。
【0021】
上記課題を達成する本発明に従う第7の態様は、第2又は3の態様において、更に南北の方位を測定する地磁気測定部を有し、前記前記メッカに方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示する手段は、前記地磁気測定部により測定される南北の方位に対応して前記矢印指標データを表示する画像を回転制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記の本発明の構成により、ムスリムはいずれの地においても、メッカの方向を容易に知ることができる。同時に、携帯端末の課金システムを利用して、喜捨に貢献することが可能であり、その喜捨の回数を容易に知ることができる。
【0023】
また、いずれかのモスクにムスリムは、携帯端末と共に登録が必要であり、従って、ムスリムの移動先についても容易に把握可能であり、イスラム教徒間の連帯感をより高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施例のシステム概略図である。
【図2】ムスリム情報データベースの登録内容を例示す図である。
【図3】大モスクである統括制御部の構成例の機能ブロック図である。
【図4】世界地図を複数の小ブロック領域に分割する例を示す図である。
【図5】図4で説明した分割された一つの小領域を示す図である。
【図6】矢印表示画像について説明する図である。
【図7】携帯端末の構成例の機能ブロック図である。
【図8】第1の実施例に従う処理シーケンスフローである。
【図9】表示部に表示された登録ID及びパスワード入力エリア表示の一例である。
【図10】表示部に表示される画像を示す図である。
【図11】第2の実施例のシステム概略図である。
【図12】第2の実施例に従う処理シーケンスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施例を図面に従い説明する。
【0026】
図1は、第1の実施例のシステム概略図である。
【0027】
図1において、ムスリムのそれぞれは、所有する携帯端末と共に、所属するモスクに登録されている。図1において、一例として、それぞれモスクI,II…N に登録されているムスリムの所有する携帯端末20,21(グループGI)、30,31(グループGII)及び、N0、N1(グループGN)を示している。
【0028】
さらに、モスクI,II…Nの登録情報は、例えば、メッカにある大モスク1に送られ、ムスリム情報データベースに登録保持されている。ここで、モスクI,II…Nのそれぞれを制御部として、大モスク1を総括制御部と捉えることができる。
【0029】
図2に、かかるムスリム情報データベースの登録内容を例示している。図2において、(1)、(2)、(N)は、対応するモスクI,II,…Nのそれぞれに登録されているデータと同じである。
【0030】
たとえば、制御部としてのモスクIには、ムスリムa,ムスリムb,…ムスリムxが所属し、所有する携帯端末No.が登録されている。携帯端末No.として、携帯端末電話番号が登録されている。
【0031】
さらに、ムスリムa,ムスリムb,…ムスリムxは、統括制御部としての大モスク1にアクセスするための個別のパスワードが登録されている。さらに喜捨回数が登録される。このようにモスクIに対して所属するムスリムのムスリム情報が構成されている。
【0032】
かかる登録項目を有するムスリム情報は、モスクII・・・モスクNについても同様である。
【0033】
ムスリムの携帯端末20(21,30,31、N0,N1)と統括制御部としての大モスク1とは、インターネット等の所定のネットワーク2を通して接続される(図1参照)。
【0034】
図3は、大モスク1である統括制御部の構成例機能ブロック図である。
【0035】
統括制御部は、通信手段即ち、有線、地上無線、あるいは衛星通信等の通信媒体に対応する送受信機100を有する。ムスリムデータベース101は、図2において説明した、全てのモスクI, II…Nの登録情報を格納している。
【0036】
大モスク1である統括制御部は、更に認証サーバ102と、地図データベース103を有している。
【0037】
認証サーバ102は、ムスリムの所有する携帯端末20(21、30、31…N0、N1)からの、後に説明する礼拝申告に対して、ムスリムの資格を認証するための機能を有する。
【0038】
地図データベース103は、世界地図を複数の小ブロック領域に分割し、メッカの位置を含む小ブロックを基準(例えば番号1とする)として、それぞれの小ブロックにアドレス番号を付してマップデータとして保持している。
【0039】
図4は、世界地図を複数の小ブロック領域に分割する例を示す図である。地軸を中心に、東西経度の方向に所定角度で分割され、更に南北緯度の方向に等間隔で分割して、それぞれ複数の領域アドレス番号1、1-1、1-2,…, 1+1,1+2,…,2,3,…, -2,-3 …が特定された複数の小領域が得られる。したがって、分割された小領域は、対応する経緯度情報を有している。
【0040】
さらに、図5には、図4で説明した分割された一つの小領域、例えば、アドレス番号3-4の小領域を、更に均等の領域の大きさに分割した複数の小領域3-4+1, 3-4+2, 3-4+3,…を示している。複数の小領域3-4+1, 3-4+2, 3-4+3,…を、必要であれば、同様に更なる小領域に分割してもよい。
【0041】
このように分割された小領域は、それぞれ対応する大きさ領域のマップ画像データと、経緯度情報を有している。さらに、このマップ画像の中心を起点にメッカの方向を指す矢印表示画像データを有している。
【0042】
図6は、更にかかる矢印表示画像について説明する図である。図6において、メッカの位置を含む図4において分割された小領域(1)と、図5に示した小領域3-4を更に分割して得られる一の小領域3-4+mとの位置関係を示している。すなわち、小領域3-4+mの中心とメッカを結ぶ線上に沿う方向に矢印指標DLの画像が小領域3-4+mのマップ画像データに付属して重畳して地図データベース103に登録されている。
【0043】
同様に、図5に示す分割された小領域のマップ画像データに、それぞれの領域の中心とメッカを結ぶ線上に沿う方向の矢印指標DLが付属している。
【0044】
なお、矢印指標DLの起点は、小領域の中心でなくてもよく、例えば、小領域の4角頂点の1点に置くようにしてもよい。中心と頂点角の距離が小さければ、メッカを向く方向に大きな差は生じないからである。
【0045】
図7は、携帯端末20(21,30,31・・・N0,N1:以降単に20という)の構成例の機能ブロック図である。携帯端末20は、一例として、移動体通信システムの移動体電話端末であり、かかる移動体通信システムにおけるキャリアとの必要な通信機能部は送受信機能部200に含まれている。
【0046】
制御部201は、各部を制御する機能を有し、入力設定部202は、携帯端末20に備わる各種機能ボタンに対するムスリムの操作に対応する信号を入力する。地磁気測定部203は、磁針機能を有し、携帯端末20の置かれる地点における南北方位を測定する機能を有する。
【0047】
画像生成部204は、送受信機能部200により受信される、先に説明した大モスク1である統括制御部の地図データベース103のマップ情報画像データ及び付属する方向矢印のデータに基づき、地磁気測定部203により測定される南北方位に合せて表示部205に表示する画像を生成する。
【0048】
送受信機能部200は、更にGPS衛星4(図1参照)からの電波を受信する機能を有する。送受信機能部200により受信されたGPS衛星4から受信信号は、制御部201に送られ、三角法により経緯度を計算し、携帯端末20の位置が特定される。求められた経緯度情報は、後に処理を説明するように、大モスク1から送られるマップ画像情報を有する小領域のいずれとするかを特定する際に利用される。
【0049】
図8は、上記のシステム概略図(図1)、大モスク1である統括制御部の機能ブロック図(図3)及び、携帯端末20の機能ブロック図(図7)に対応して実行される第1の実施例に従う処理シーケンスフローである。
【0050】
図8の手順に沿って以下にイスラム教徒の喜捨回数登録システムの動作を説明する。
【0051】
いま、モスクIに所属し、携帯端末20を所有するムスリムaが礼拝を申告すると想定する。図7において、ムスリムaは、所定の入力ボタンにより礼拝の申告を入力すると、入力設定部202は、これを検知し、制御部201に通知する。制御部201は、図示しないROMに格納されている礼拝申告手順を実行制御するアプリケーションを起動する。
【0052】
このアプリケーションの実行により、画像生成部204で、登録ID及びパスワード入力画像が生成され、表示部205に表示される。
【0053】
図9は、表示部205に表示された登録ID及びパスワード入力エリア表示の一例である。
【0054】
登録IDは、ムスリムaの所属するモスクIと関係づけられて予め付与されたIDである。パスワードは、ムスリムaが予め設定し、IDとともに登録されている。
【0055】
入力された登録IDとパスワードが、礼拝申告として所定のネットワーク2を通して大モスク1に送られる(ステップS1)。大モスク1である統括制御部は、礼拝申告として送られた登録IDとパスワードを統括制御部の送受信機100で受信する。受信された登録IDとパスワードについて、認証サーバ102により認証処理が行なわれる(ステップS2、S3)。
【0056】
すなわち、先に図2について説明したように、統括制御部のムスリムデータサーバ101には、モスクごとに所属するムスリム名、対応するパスワード、携帯端末No.及び喜捨回数が登録されたテーブルを有する。ムスリムデータサーバ101は、かかるテーブルを参照して、登録IDに対応するモスクデータが存在するか否かを判定する(ステップS2)。
【0057】
送信された登録IDに対応するモスクデータが存在しない場合は、礼拝申告を否認する(ステップS2、No)。登録IDに対応するモスクデータが存在すれば(ステップS2、YES)、次いで、対応するモスクに登録されているムスリムのパスワードと一致するパスワードの有無を判定する(ステップS3)。一致するパスワードがなければ、礼拝申告を否認する(ステップS3、NO)。
【0058】
一致するパスワードがあれば(ステップS3、YES)、礼拝申告時刻を登録する(ステップS4)。
【0059】
ここで、ムスリムは一日5回の礼拝が義務とされている。本実施例においては、一日5回の礼拝が終わると、後に更に説明するように一回の喜捨が行われたとして喜捨回数を更新登録する。
【0060】
このために、喜捨回数の更新を安易に受けるために、ムスリムの不正な礼拝申告が行われると本来の礼拝が行われなくなる恐れがある。そこで、認証サーバ102は、礼拝申告登録(ステップS4)の結果に基づき礼拝申告の頻度を判定する(ステップS5)。すなわち、一日5回という礼拝回数に対して、礼拝申告の頻度が高い場合には、不正な申告と判断して礼拝申告を否認する(ステップS5、NO)。
【0061】
礼拝申告が正常と判定される場合(ステップS5、YES)は、礼拝の容認と、登録されている喜捨回数を、礼拝申告をしたムスリムaに通知する(ステップS6)。
【0062】
ムスリムa側は、所有する携帯端末20で礼拝の容認通知を受けると、通知された登録済みの喜捨回数を表示部205に表示するとともに、制御部201は、GPS衛星4から電波を受け、ムスリムaの所在する位置を求める(ステップS7)。
【0063】
同時に地磁気測定部203で測定される南北方位データを画像生成部204に送るように制御する。
【0064】
制御部201で求められたムスリムaの所在する位置の経緯度データが、送受信機機能部200により、大モスク1である統括制御部に送信される(ステップS8)。
【0065】
統括制御部では、送られたムスリムaの所在する経緯度データに基づき、図5に説明したマップ画像データを地図データベース103から検索する。検索により、ムスリムデータベース101に登録されている分割小領域から通知されたムスリムaの所在する位置の経緯度を含む小領域を特定する(ステップS9)。
【0066】
次いで、小領域にはそれぞれ、メッカの方向を示す矢印指標が付属されているので、特定された小領域のマップ画像データと付属する矢印指標(方角)データをムスリムaの携帯端末20に送信する(ステップS10)。
【0067】
ムスリムaの携帯端末20において、受信したマップ画像データと矢印指標データに基づき、表示部205に表示する画像を画像生成部204で生成する(ステップS11)。
【0068】
このとき、統括制御部から送られるマップ画像データは、基準の南北方角に基づくデータである。したがって、画像生成部204で統括制御部から送られるマップ画像データを処理して生成され、表示部205に表示される画像は、図10(a)に示すようである。
【0069】
かかる画像においてメッカの方向に向かう矢印指標Aが表示されている。したがって、モスリムaは、所有する携帯端末20に表示される矢印指標Aにより、容易にメッカの方向を知ることができる。
【0070】
ここで、図10(a)に示す画像は、携帯端末20の置かれた方角と、地磁気測定部203により判定される南北方位が一致している場合である。しかし、携帯端末20の置かれる方位が、地磁気測定部203により判定される方角と不一致である場合は、画像生成部204において、マップ画像データを地磁気測定部203により判定される方角と一致するように回転する。図10(b)に示す図は、かかる地磁気測定部203により判定される携帯端末20の置かれる方角に、マップ画像データの方位が一致するように回転表示された図である。
【0071】
図10(a)との比較により明らかなようにメッカの方向の矢印指標Aが、変位されていることが理解できる。
【0072】
図8に戻り、モスリムaは、携帯端末20に表示されるメッカの方向の矢印指標Aに従って礼拝を実行する(ステップS12)。そして、礼拝の実行を大モスク1に通知する(ステップS13)。
【0073】
これにより、大モスク1は、礼拝実行を通知されると礼拝回数を更新する(ステップS14)。さらに、更新された礼拝回数が5回に達するとき(ステップS15、YES)、喜捨回数を更新登録する(ステップS16)。更新登録された喜捨回数の状態は、定期的に大モスク1から対応するモスクに通知される。これによりそれぞれのモスクは、所属するムスリムの喜捨回数を把握することができる。
【0074】
ここで、所定の礼拝回数に達したときに喜捨回数を歩進させる意味は次のようである。
【0075】
本発明において、ムスリムは携帯端末を所有し、これを用いて礼拝の申告を行うようにしている。したがって、礼拝申告の都度、携帯端末に通信費用が発生し、ムスリムに請求が通信事業体から行われる。この際、通信費用の一部に喜捨分の費用を上乗せする。この上乗せ分を大モスク(統括制御部)1に帰属させることにより、礼拝の都度喜捨を行うことが実現できる。これにより、所定回数の礼拝実行の都度、喜捨回数が歩進される意味が生じる。
【0076】
図11は、第2の実施例のシステム概略図である。
【0077】
先に説明した第1の実施例では、ムスリムはそれぞれのモスクI,II・・・Nを統括する大モスク1に携帯端末20を用いて礼拝の申告をするものである。
【0078】
かかる実施例においては、大モスク1がメッカの近傍にあると想定すると、メッカから遠い地に居るそれぞれのムスリムは、礼拝申告の都度、大きな通信費用を要することになり、更に喜捨分の額を考慮すると大きな金銭的な負担となる。
【0079】
したがって、第2の実施例は、かかる不都合を解消するものである。
【0080】
図11において、ムスリムのそれぞれの情報は、所有する携帯端末情報とともに、所属するモスクのムスリムデータベースに登録されている。図11において、モスクのムスリムデータベースの内容は、先に図2で説明したと同様であり、図2(1)、(2)・・・(N)のそれぞれが、モスクI,II…Nのデータベース内容である。
【0081】
たとえば、モスクIには、ムスリムa,ムスリムb,…ムスリムxが所属し、所有する携帯端末No.が登録されている。携帯端末No.として、携帯端末電話番号が登録されている。
【0082】
さらに、ムスリムa,ムスリムb,…ムスリムxは、それぞれ所属するモスクI,II…Nにアクセスするための個別のパスワードが登録されている。さらに喜捨回数が登録される。
【0083】
かかる登録項目を有するムスリム情報は、モスクII・・・モスクNについても同様である。
【0084】
ムスリムの携帯端末20(21,30,31、N0,N1)と所属するモスクとは、インターネット等の所定のネットワーク2を通して接続される(図11参照)。
【0085】
モスクI,II・・・Nの構成は、先に図3に示した大モスク1である統括制御部の構成と同様である。
【0086】
さらに、各ムスリムの所有する携帯端末の構成は図7に示したと同様である。
【0087】
図12は、第2の実施例に従う処理シーケンスフローである。
【0088】
図12の手順に沿って以下にイスラム教徒の喜捨回数登録システムの第2の実施例動作を説明する。
【0089】
いま、モスクIに所属し、携帯端末20を所有するムスリムaが礼拝を申告すると想定する。図7において、ムスリムaは、所定の入力ボタンにより礼拝の申告を入力すると、入力設定部202は、これを検知し、制御部201に通知する。制御部201は、図示しないROMに格納されている礼拝申告手順を実行制御するアプリケーションを起動する。
【0090】
このアプリケーションの実行により、画像生成部204で、登録ID及びパスワード入力画像が生成され、表示部205に表示される。
【0091】
図9に示したように、表示部205に表示された登録ID及びパスワード入力エリア表示に従い、それぞれ登録IDとパスワードを入力する。
【0092】
登録IDは、ムスリムaの所属するモスクIと関係づけられて予め付与されたIDである。パスワードは、ムスリムaが予め設定し、所属するムスリムIのムスリムデータベース101に登録されている。
【0093】
入力された登録IDとパスワードが、礼拝申告として所定のネットワーク2を通してモスクIに送られる(ステップS20)。モスクIは、礼拝申告として送られた登録IDとパスワードを送受信機100で受信する。受信された登録IDとパスワードについて、認証サーバ102により認証処理が行なわれる(ステップS21、S22)。
【0094】
すなわち、先に図2について説明したように、それぞれのモスクのムスリムデータサーバ101には、所属するムスリム名、対応するパスワード、携帯端末No.及び喜捨回数が登録されたテーブルを有する。
【0095】
ムスリムデータサーバ101は、かかるテーブルを参照して、ムスリムを認証する。ムスリムaから送信された登録IDが、自モスクのIDであるか否かを判定する(ステップS21)。送信された登録IDが、モスクIのIDであるとき(ステップS21、YES)は、次いでパスワードと一致するかを判定する(ステップS22)。パスワードと一致しないときは、礼拝申告を否認する(ステップS22、NO)。
【0096】
ステップS21において、自モスクのIDでない時は(ステップS21、NO)、他のモスクの登録IDである場合があるので、その検索を大モスク1に要求するために、ムスリムaから受信した登録IDとパスワードを大モスク1に通知する(ステップS23)。
【0097】
大モスク1は、図8におけるステップS2、S3と同様に、大モスク1のムスリムデータベース101を参照して登録IDとパスワードを判定する(ステップS24)。登録IDとパスワードの一致が判定されると(ステップS24、YES)、モスクIに当該他モスク情報を通知する(ステップS25)。
【0098】
モスクIは、自モスクに所属するムスリムあるいは、大モスク1から他のモスク情報が通知されるときは、認証がパスしたとして、礼拝時刻の頻度を、礼拝申告時刻を登録する(ステップS4)。
【0099】
先に説明したように、ムスリムは一日5回の礼拝が義務とされている。第2の実施例においても、一日5回の礼拝が終わると一回の喜捨が行われたとして喜捨回数を更新登録する。
【0100】
このために、喜捨回数の更新を安易に受けるために、ムスリムの不正な礼拝申告が行われると本来の礼拝が行われなくなる恐れがある。そこで、モスクIの認証サーバ102は、礼拝申告時刻登録(ステップS26)の結果に基づき礼拝申告の頻度を判定する(ステップS27)。すなわち、一日5回という礼拝回数に対して、礼拝申告の頻度が高い場合には、不正な申告と判断して礼拝申告を否認する(ステップS27、NO)。
【0101】
礼拝申告が正常と判定される場合(ステップS27、YES)は、礼拝の容認と、登録されている喜捨回数を、礼拝申告をしたムスリムaに通知する(ステップS28)。
【0102】
ムスリムa側は、所有する携帯端末20で礼拝の容認通知を受けると、通知された登録済みの喜捨回数を表示部205に表示するとともに、制御部201は、GPS衛星4から電波を受け、ムスリムaの所在する位置を求める(ステップS29)。
【0103】
同時に地磁気測定部203で測定される南北方位データを画像生成部204に送るように制御する。
【0104】
制御部201で求められたムスリムaの所在する位置の経緯度データが、送受信機機能部200により、モスクIに送信される(ステップS30)。
【0105】
モスクIは、送られたムスリムaの所在する経緯度データに基づき、図5に説明したマップ画像データを地図データベース103から検索する。検索により、ムスリムデータベース101に登録されている分割小領域からムスリムaの所在する位置の経緯度を含む小領域を特定する(ステップS31)。
【0106】
なお、ムスリムaが、自モスクに所属しない場合、大モスク1から他のモスク情報が通知されている(ステップS25)。かかる場合は、通知されている他のモスクの地図データベース103を検索して(ステップS32)、分割小領域からムスリムaの所在する位置の経緯度を含む小領域を特定する(ステップS31)。
【0107】
このように特定された小領域にはそれぞれ、メッカの方向を示す矢印指標が付属されているので、特定された小領域のマップ画像データと付属する矢印指標(方角)データをムスリムaの携帯端末20に送信する(ステップS33)。
【0108】
ムスリムaの携帯端末20において、受信したマップ画像データと矢印指標データに基づき、表示部205に表示する画像を画像生成部204で生成する(ステップS34)。
【0109】
このとき、統括制御部から送られるマップ画像データは、基準の南北方角に基づくデータである。したがって、画像生成部204で統括制御部から送られるマップ画像データを処理して生成され、表示部205に表示される画像は、図10(a)に示すようである。
【0110】
かかる画像においてメッカの方向に向かう矢印指標Aが表示されている。したがって、モスリムaは、所有する携帯端末20に表示される矢印指標Aにより、容易にメッカの方向を知ることができる。
【0111】
なお、携帯端末20の置かれる方位が、地磁気測定部203により判定される方角と不一致である場合の処理も、第1の実施例と同様に処理して図10(b)のように表示される。
【0112】
図12に戻り、モスリムaは、携帯端末20に表示されるメッカの方向の矢印指標Aに従って礼拝を実行する(ステップS35)。そして、礼拝の実行をモスクIに通知する(ステップS36)。
【0113】
これにより、モスクIは、礼拝実行を通知されると礼拝回数を更新する(ステップS37)。ついで、更新された礼拝回数を、大モスク1に通知する(ステップS38)。大モスク1は、更新された礼拝回数が5回に達するとき(ステップS39、YES)、喜捨回数を更新登録する(ステップS40)。
【0114】
ここで、所定の礼拝回数に達したときに喜捨回数を歩進させる意味は、先の第1の実施例において説明したと同様である。
【0115】
かかる第2の実施例においても、ムスリムはいずれの地においても、メッカの方向を容易に知ることができる。同時に、携帯端末の課金システムを利用して、喜捨に貢献することが可能であり、その喜捨の回数を容易に知ることができる。
【符号の説明】
【0116】
1 大モスク(統括制御部)
2,3 ネットワーク
4 GPS衛星
20(21,30,31・・・N0,N1) 携帯端末
10,11・・・モスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムスリムの所有する携帯端末から礼拝申告を、所定の通信媒体を通して統括制御部に送信し、
前記統括制御部は、前記礼拝申告に応じて前記ムスリムを認証し、
前記認証が正しければ、前記携帯端末の位置からメッカに向かう矢印指標データを含む画像データを前記携帯端末に送り、
前記ムスリムの携帯端末に、メッカの方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示し、
礼拝の実行後に前記統括制御部は、前記ムスリムの礼拝回数を更新し、前記礼拝回数が所定回数に達する毎に、喜捨回数データを歩進する、
ことを特徴とするイスラム教徒の喜捨回数登録方法。
【請求項2】
ムスリムの所有する携帯端末と、
所定の通信媒体を通して、前記ムスリムの所有する携帯端末から送られる礼拝申告を受ける統括制御部を有し、
前記統括制御部は、
前記礼拝申告に応じて前記ムスリムを認証する手段と、
前記認証が正しければ、前記携帯端末の位置からメッカに向かう矢印指標データを含む画像データを前記携帯端末に送る手段を有し、
前記ムスリムの所有する携帯端末は、
前記メッカの方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示する手段を有し、
さらに前記統括制御部は、前記ムスリムによる礼拝の実行後に、前記ムスリムの礼拝回数を更新し、前記礼拝回数が所定回数に達する毎に、喜捨回数データを歩進する手段を有する、
ことを特徴とするイスラム教徒の喜捨回数登録システム。
【請求項3】
複数のムスリムの所有する携帯端末と、
前記複数のムスリムが所属し、所定の通信媒体を通して、所属するムスリムの所有する携帯端末から送られる礼拝申告を受ける複数の制御部と、
前記複数の制御部を統括する統括制御部を有し、
前記制御部は、
前記礼拝申告に応じて前記ムスリムを認証する手段と、
前記認証が正しければ、前記携帯端末の位置からメッカに向かう矢印指標データを含む画像データを前記携帯端末に送る手段を有し、
前記ムスリムの所有する携帯端末は、
前記メッカの方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示する手段を有し、
さらに前記制御部は、前記ムスリムによる礼拝の実行後に、前記ムスリムの礼拝回数を更新し、前記更新された礼拝回数を前記統括制御部に通知し、
前記統括制御部は、前記制御部から通知される礼拝回数が所定回数に達する毎に、喜捨回数データを歩進する手段を有する、
ことを特徴とするイスラム教徒の喜捨回数登録システム。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記メッカに向かう矢印指標データを含む画像データは、世界地図を所定の経緯度で分割された複数の小領域のマップ画像データであって、前記矢印指標が、前記小領域とメッカとを結ぶ線上に前記メッカに向かう方向を示す矢印指標であることを特徴とするイスラム教徒の喜捨回数登録システム。
【請求項5】
請求項2又は3において、
前記携帯端末の前記統括部又は制御部との通信費用の一部が、前記統括制御部に帰属させることにより喜捨に当てることを特徴とするイスラム教徒の喜捨回数登録システム。
【請求項6】
請求項2又は3において、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の位置する経緯度を測定する手段と、
前記携帯端末から礼拝の申告に対し、前記ムスリムを認証されたときに、前記携帯端末の置かれる経緯度に対応し、前記メッカに向かう指標矢印を含む小領域のマップ画像データを受信する、
ことを特徴とするイスラム教徒の喜捨回数登録システム。
【請求項7】
請求項2又は3において、更に
南北の方位を測定する地磁気測定部を有し、
前記メッカの方向に向かい礼拝を可能とする前記矢印指標データを表示する手段は、前記地磁気測定部により測定される南北の方位に対応して前記矢印指標データを表示する画像を回転制御する、
ことを特徴とするイスラム教徒の喜捨回数登録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−187278(P2010−187278A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31097(P2009−31097)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(505438719)
【Fターム(参考)】