説明

イソオキサゾリン誘導体及びその殺虫剤としての使用

本発明は、遊離形態及び塩形態の式(I)


(式中、変数は特許請求の範囲に示されている意味を有する)を有する新規なイソオキサゾリン化合物、及び場合によりそのエナンチオマー及び幾何異性体に関する。式(I)を有する化合物は、温血動物の中及び上に集っている寄生虫(特に、外部寄生虫)の防除において有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なイソオキサゾリン、そのN−オキシド及び塩、その製造方法、非ヒト動物(特に、生産家畜及び家畜)に集っている外部寄生虫(特に、昆虫及びダニ)の防除におけるその使用、更に1つ以上の前記化合物を含む殺虫組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
PCT特許公開WO 2007/075459は、植物殺虫剤としての式(A)
【0003】
【化1】

(式中、特にA、A及びB〜Bの各々はC(R)であり、AはNであり、Rはハロアルキルであり、Qはヘテロ環式ラジカルである)
を有するイソオキサゾリン誘導体を開示している。
【0004】
上記化合物は主に農業環境中の無脊椎害虫の防除において使用されている。この目的で多くの製品が市販されているが、より有効である、より安価である、毒性がより少ない、環境上より安全である、または異なる作用モードを有している新規化合物に対する要望が続いている。今回、修飾されたヘテロ環式側鎖を有する新規誘導体が害虫の防除において優れた特性を有していることが知見された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/075459号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、すべての幾何及び立体異性体、N−オキシド及び塩を含めた式
【0007】
【化2】

[式中、
XはS(O)、OまたはNR’であり;
及びXは各々他から独立してCR’またはNであり;
nは0〜4の整数であり;
mは0〜2の整数であり;
、B及びBは各々独立してCR’及びNからなる群から選択され;
各R’は他から独立してHまたはRであり;
各R’は他から独立してHまたはRであり;
は各々が未置換であるかまたはRから独立して選択される1個以上の置換基で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;
はハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノまたはニトロであり;
各Rは独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ(−CN)またはニトロ(−NO)であり;
各Rは独立してH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、或いは未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、アミノ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル、ピリジルまたはピリミジルであり;
Zはハロゲン、ラジカルQまたは基−C(W)−NRであり;
Qは各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル,C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、スルホンアミド、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルスルホンアミド、C−C−アルキルカルボニルアミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルカノイル、基(alk)−C(W’)N”R、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、フェノキシ、ピリジル、ピリジル−(alk)−、ピリミジル及びピリミジル(alk)−(ここで、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、フェノキシ、ピリジル及びピリミジルは各々未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノで置換される)から独立して選択される1個以上の置換基で置換される5または6員ヘテロ環式環、C−C10−炭素環式環系、または8、9または10員縮合ヘテロ二環式環系であり;
(alk)は直鎖または分岐状C−C−アルキレンであり;
W及びW’は各々他から独立してOまたはSであり;
、R’及びR”は各々他から独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキル、C−C−シクロアルキルアルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり;
はH、Q’(ここで、Q’は独立してQの意味を有する)であり、または各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニル、基−C(W’)NR”RまたはラジカルQ”(ここで、Q”は独立してQの意味を有する)で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;或いは
及びRはこれらが結合しているN原子と一緒に、任意にN、S及びOからなる群から選択される追加ヘテロ原子を含有し、更に未置換であるかまたはC−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロで置換される3〜7員環を形成し;
は各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、ピリジル、ピリミジルまたはチアゾリル(ここで、ピリジル、ピリミジルまたはチアゾリルはハロゲン、シアノ、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルでモノ−またはジ−置換される)で置換され得るC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルである]
を有する化合物、前記化合物を含む組成物及び寄生虫を防除するためのその使用に関する。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記式(I)
[式中、
XはS(O)、OまたはNR’であり;
及びXは各々他から独立してCR’またはNであり;
nは0〜4の整数であり;
mは0〜2の整数であり;
、B及びBは各々独立してCR’及びNからなる群から選択され;
各R’は他から独立してHまたはRであり;
各R’は他から独立してHまたはRであり;
は各々が未置換であるかまたはRから独立して選択される1個以上の置換基で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;
はハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノまたはニトロであり;
各Rは独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ(−CN)またはニトロ(−NO)であり;
各Rは独立してH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Zはハロゲン、ラジカルQまたは基−C(W)−NRであり;
Qは、各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、スルホンアミド、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルスルホンアミド、C−C−アルキルカルボニルアミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルカノイル、並びに未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノ、ニトロで置換されるフェニル、ベンジル、ベンゾイルまたはフェノキシから独立して選択される1個以上の置換基で置換される5または6員ヘテロ環式環、C−C10−炭素環式環系、または8、9または10員縮合ヘテロ二環式環系であり;
WはOまたはSあり;
及びR’は各々他から独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキル、C−C−シクロアルキルアルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり;
はH、Q’(ここで、Qは独立してQの意味を有する)であり、または各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルまたはラジカルQ”(ここで、Q”は独立してQの意味を有する)で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;或いは
及びRはこれらが結合しているN原子と一緒に、任意にN,S及びOからなる群から選択される追加ヘテロ原子を含有し、更に未置換であるかまたはC−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロで置換される3〜7員環を形成する]
を有する化合物が提供される。
【0009】
本発明は、式(I)を有する化合物、そのN−オキシドまたは塩、及び界面活性剤、固体希釈剤及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加成分を含む組成物も提供する。
【0010】
1つの実施形態において、本発明は、生物学的有効量の式(I)を有する化合物、そのN−オキシドまたは塩、及び界面活性剤、固体希釈剤及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加成分を含む寄生虫(特に、外部寄生虫)を防除するための組成物も提供し、前記組成物は任意に更に生物学的有効量の少なくとも1つの追加の生物学的活性化合物または物質を含む。
【0011】
更に、本発明は、固体希釈剤及び/または液体希釈剤が1つ以上の食品原料を含む餌組成物の形態の上記組成物を提供し、前記組成物は任意に誘引剤及び/また保湿剤を含む。
【0012】
更に、本発明は、前記餌組成物及び当該餌組成物を収容するように改造したハウジングを含む寄生虫(特に、外部寄生虫)を防除するためのトラップデバイスを提供し、前記ハウジングは無脊椎害虫がハウジングの外部の場所から餌組成物に接近できるように寄生虫が通過できる大きさの開口部を少なくとも1つ有し、前記ハウジングは更に寄生害虫が活動する可能性があるまたは活動することが知られている場所またはその近くに配置されるように改造されている。
【0013】
本発明は、寄生虫またはその環境に生物学的有効量の式(1)を有する化合物、そのN−オキシドまたは塩(例えば、本明細書中に記載されている組成物として)を接触させることを含む寄生虫の防除方法も提供する。本発明は、寄生虫またはその環境に生物学的有効量の式(I)を有する化合物、そのN−オキシドまたは塩、界面活性剤、固体希釈剤及び液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加成分、及び任意に更に生物学的有効量の少なくとも1つの追加の生物学的活性化合物または物質を含む組成物を接触させることを含む上記方法にも関する。
【0014】
本発明は、殺寄生虫有効量の式(I)を有する化合物、そのN−オキシドまたは塩及び少なくとも1つの担体を含む寄生害虫から動物を保護するための組成物をも提供する。更に、本発明は、経口投与のための形態の上記組成物を提供する。本発明は、動物に対して殺寄生虫有効量の式(I)を有する化合物、そのN−オキシドまたは塩を投与することを含む前記動物を寄生害虫から保護する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記説明において、単独でまたはアルキルチオまたはハロアルキルのような化合物名中で使用されている用語「アルキル」には直鎖または分岐状アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、或いは各種のブチル、ペンチルまたはヘキシル異性体が含まれる。
【0016】
ラジカル(alk)は、例えば直鎖または分岐状C−C−アルキレン、例えばメチレン、1,1−または1,2−エチレン、或いは直鎖または分岐状のプロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンを指す。好ましくは、(alk)は直鎖または分岐状C−C−アルキレン、より好ましくはC−C−アルキレン、最も好ましくはメチレンまたは1,2−エチレン、特にメチレンである。
【0017】
「アルケニル」には直鎖または分岐状アルケン、例えばエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、並びに異種のブテニル、ペンテニル及びヘキセニル異性体が含まれる。「アルケニル」にはポリエン、例えば1,2−プロパジエニル及び2,4−ヘキサジエニルも含まれる。
【0018】
「アルキニル」には直鎖または分岐状アルキン、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、並びに異種のブチニル、ペンチニル及びヘキシニル異性体が含まれる。「アルキニル」には複数の三重結合を含む部分、例えば2,5−ヘキサジイニルも含まれる。
【0019】
「アルコキシ」の例にはメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、並びに異種のブトキシ、ペントキシ及びヘキシルオキシ異性体が含まれる。
【0020】
「アルキルチオ」には直鎖または分岐状アルキルチオ部分、例えばメチルチオ、エチルチオ、並びに異種のプロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ及びヘキシルチオ異性体が含まれる。
【0021】
「アルキルスルフィニル」にはアルキルスルフィニル基の両エナンチオマーが含まれる。「アルキルスルフィニル」の例にはCHS(O)−、CHCHS(O)−、CHCHCHS(O)−、(CHCHS(O)−、並びに異種のブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル及びヘキシルスルフィニル異性体が含まれる。
【0022】
「アルキルスルホニル」の例にはCHS(O)−、CHCHS(O)−、CHCHCHS(O)−、(CHCHS(O)−、並びに異種のブチルスルホニル、ペンチルスルホニル及びヘキシルスルホニル異性体が含まれる。
【0023】
「N−アルキルアミノ」、「N,N−ジ−アルキルアミノ」等も上記例と同様に定義される。
【0024】
「シクロアルキル」の例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる。用語「アルキルシクロアルキル」はシクロアルキル部分上のアルキル置換を指し、その例にはエチルシクロプロピル、1−プロピルシクロブチル、3−メチルシクロペンチル及び4−メチルシクロヘキシルが含まれる。用語「シクロアルキルアルキル」はアルキル部分上のシクロアルキル置換を指す。「シクロアルキルアルキル」の例にはシクロプロピルメチル、シクロペンチルエチル、並びに直鎖または分岐状アルキル基に結合している他のシクロアルキル部分が含まれる。
【0025】
単独でまたはハロアルキルのような化合物名中における用語「ハロゲン」にはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素が含まれる。更に、「ハロアルキル」のような化合物名中に使用される場合、そのアルキルは同一でも異なっていてもよいハロゲン原子で部分的または完全に置換され得る。「ハロアルキル」の例にはFC−、ClCH−、CFCH−及びCFCCl−が含まれる。用語「ハロシクロアルキル」、「ハロアルコキシ」、「ハロアルキルチオ」等は用語「ハロアルキル」と同様に定義される。「ハロアルコキシ」の例にはCFO−、CClCHO−、HCFCHCHO−及びCFCHO−が含まれる。「ハロアルキルチオ」の例にはCClS−、CFS−、CClCHS−及びClCHCHCHS−が含まれる。「ハロアルキルスルフィニル」の例にはCFS(O)−、CClS(O)−、CFCHS(O)−及びCFCFS(O)−が含まれる。「ハロアルキルスルホニル」の例にはCFS(O)−、CClS(O)−、CFCHS(O)−及びCFCFS(O)−が含まれる。
【0026】
「アルキルカルボニル」はC(=O)部分に結合している直鎖または分岐状アルキル部分を指す。「アルキルカルボニル」の例にはCHC(=O)−、CHCHCHC(=O)−及び(CHCHC(=O)−が含まれる。「アルコキシカルボニル」の例にはCHOC(=O)−、CHCHOC(=O)−、CHCHCHOC(=O)−、(CHCHOC(=O)−、並びに異種のブトキシ−またはペントキシカルボニル異性体(例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc))が含まれる。
【0027】
置換基中の炭素原子の総数は「C−C」接頭語(ここで、i及びjは整数である)で示す。例えば、C−Cアルキルスルホニルはメチルスルホニル〜ブチルスルホニルを指す。C−アルコキシアルキルはCHOCHを指す。C−アルコキシアルキルは例えばCHCH(OCH)、CHOCHCHまたはCHCHOCHを指す。C−アルコキシアルキルは総炭素数が4のアルコキシ基で置換されるアルキル基の各種異性体を指し、その例にはCHCHCHOCH及びCHCHOCHCH−が含まれる。
【0028】
化合物が置換基の数が1を超え得ることを示す下付文字のある置換基で置換される場合、その置換基(1を超える場合)は定義されている置換基の群から独立して選択され、例えば(R、nは1または2である。
【0029】
「芳香族」は、環原子の各々が本質的に同一平面にあり、環平面に対して垂直な軌道を有しており、(4n+2)π電子(ここで、nは正整数である)がヒュッケル則を満たすように環と会合していることを示す。
【0030】
用語「ヘテロ環式環」または「ヘテロ環」は、環骨格を形成する少なくとも1つの原子が炭素でなく、例えば窒素、酸素または硫黄である環を指す。典型的には、ヘテロ環式環は4個以下の窒素、2個以下の酸素及び2個以下の硫黄を含む。特に明記されていない限り、ヘテロ環式環は飽和、部分不飽和または完全不飽和環であり得る。完全不飽和ヘテロ環式環がヒュッケル則を満たしている場合、その環は「ヘテロ芳香族環」、「芳香族ヘテロ環式環」とも称される。特に明記されていない限り、ヘテロ環式環及び環系は利用可能な炭素または窒素上の水素の置換により前記炭素または窒素を介して結合され得る。
【0031】
Qが5または6員の窒素含有ヘテロ環式環である場合、Qは特に明記されていない限り利用可能な炭素または窒素環原子を介して式(I)の残りに結合され得る。
【0032】
好ましくは、各Rは他から独立してハロゲン、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシまたはシアノ、より好ましくはハロゲン、CF、OCFまたはシアノ、特にハロゲンである。
【0033】
変数nは、6員環中のすべてのラジカルRを要約することを意味する。nは好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、特に2または3である。
【0034】
好ましくは、B、B及びBは各々他から独立して基CR’(ここで、R’はHまたはRであり、Rについては上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)である。最も好ましくは、R’はHまたはハロゲンである。
【0035】
好ましくは、Rは任意にRから独立して選択される1個以上の置換基で置換されるC−C−アルキル、より好ましくは任意にハロゲンで置換されるC−C−アルキル、更により好ましくはハロ−C−C−アルキル、特に好ましくはFで置換されるC−C−アルキル、特にCFである。
【0036】
好ましくは、Rはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、シアノまたはニトロ、より好ましくはハロゲン、シアノまたはニトロ、特にハロゲンである。
【0037】
好ましくは、各Rは他から独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、シアノまたはニトロ、より好ましくはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、シクロプロピル、C−C−アルコキシ、シアノまたはニトロ、更により好ましくはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、シアノまたはニトロ、特にC−Cアルキルである。
【0038】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、Rは未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、アミノ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル、ピリジルまたはピリミジル、好ましくは未置換であるかまたはフッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル、ピリジルまたはピリミジル、特に未置換であるかまたは塩素、フッ素、メチルまたはトリフルオロメチルで置換されるフェニルである。
【0039】
またはXが基CR’を指すとき、R’はHまたはR(ここで、Rについては上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)である。好ましくは、R’はH、C−C−アルキル、ハロゲンまたはシアノ、最も好ましくはHまたはC−C−アルキルである。
【0040】
好ましくは、XはS(O)、OまたはNR’であり、X及びXは各々独立してCR’またはNである。より好ましくは、XはS(O)、OまたはNR’であり、X及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立して別のCR’である。更により好ましくは、XはS(O)であり、X及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立して別のCR’である。mは例えば0、1または2、特に0である。
【0041】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、XはS(O)であり、mは0、1または2であり、X及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立して別のCRであり、R’はH、メチル、ハロゲン、シアノまたはフェニルである。
【0042】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、Qは各々が未置換であるかまたはQについて先に定義した置換基の群から選択される1個以上の同一または異なる置換基で置換されるC−C10−炭素環式環系、例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、ヒドリンダニルまたはオクタヒドロペンタレン、特にフェニルである。好ましくは、Qはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、C−C−アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C−C−アルカノイル、並びに未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル、ベンジル、ベンゾイル及びフェノキシからなる群から選択される1〜4個、好ましくは1〜3個、特に1または2個の同一または異なる置換基で置換されるフェニルである。より好ましくは、Qはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、並びに未置換であるかハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル及びフェノキシからなる群から選択される1〜3個、特に1または2個の同一または異なる置換基で置換されるフェニルである。
【0043】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、Qは基−(alk)−C(W’)NR”R(ここで、(alk)、W、R”及びRの各々については上に挙げた及び下に挙げる意味及び好ましいが当てはまる)で置換されるフェニルである。
【0044】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、Qは飽和または好ましくは不飽和であり得、未置換であるかまたはQについて先に定義した置換基の群から選択される1個以上の置換基で置換される5または6員ヘテロ環式環である。
【0045】
ヘテロ環式環Qの好ましい置換基の例はC−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、C−C−アルコキシカルボニル、スルホンアミド、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルカノイル、並びに未置換であるかまたはハロゲンまたはC−Cアルキルで置換されるフェニル、ベンジル、ベンゾイル及びフェノキシである。ヘテロ環式環Qの更により好ましい置換基はハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ及びC−C−アルコキシカルボニル、特にC−C−アルキル、C−C−ハロアルキル及びC−C−アルコキシカルボニルからなる群から選択される。
【0046】
適切なヘテロ環式環の例は、N、O及びSからなる群から選択される1〜4個、好ましくは1〜3個の同一または異なるヘテロ原子を有し、更に未置換であるかまたは好ましいと挙げられているものを含めてQについて先に定義した1個以上の置換基で置換される5または6員ヘテロ芳香族環である。好ましくは、ヘテロ環式ラジカルQはQについて先に定義した置換基の群から選択される0〜3個、特に0、1または2個の置換基で置換される。
【0047】
任意に1個以上の置換基で置換される5または6員の不飽和芳香族ヘテロ環式環の例には、証拠1(ここで、Rは好ましいと挙げられているものを含めてQについて先に定義した置換基であり、rは0〜4の整数であり、各Q基上の数上の利用可能な位置の数により限定される)に示されている環Q−1〜Q−60が含まれる。加えて、(R)とQ基間の結合ポイントが流動的として示されている場合には、(R)はQ基の利用可能な炭素原子または窒素原子に結合され得る。Q−28、Q−29、Q−35、Q−36、Q−37、Q−38、Q−39、Q−40、Q−41及びQ−42は1個しか利用可能な位置を有していないので、これらのQ基についてのrは整数0または1に限定され、r=0はQ基は未置換であり、水素は(R)で示す位置に存在することを意味する。
【0048】
【化3】



【0049】
適切なヘテロ環式ラジカルの更なる群の例は、N、O及びSからなる群から選択される1〜4個、好ましくは1〜3個の同一または異なるヘテロ原子を有し、更に未置換であるかまたは好ましいと挙げられているものを含めてQについて先に定義した1個以上の置換基で置換される5または6員のヘテロ脂肪族または部分不飽和環を含む。
【0050】
ヘテロ脂肪族または部分不飽和環の例には以下の証拠2(ここで、R及びrは好ましいと挙げられているものを含めて上に定義されている通りである)に示すラジカルが含まれる。(R)とQ基間の結合ポイントに関して、ラジカルQ−1〜Q−60について先に言及したのと同じことが当てはまる。
【0051】
【化4】


【0052】
好ましいヘテロ環式ラジカルQは式
【0053】
【化5】

(式中、(R)は好ましいものを含めてQについて挙げた群から選択される0〜3個の同一または異なる置換基である)
を有する。特に好ましくは、Qは未置換のラジカルQ−34、Q−43またはQ−47(ここで、rはそれぞれ0である)である。更に好ましい実施形態によれば、Qは上に挙げたラジカルQ−8、Q−44またはQ−47(ここで、R及びrの各々については上に挙げた及び下に挙げる意味及び好ましいが当てはまる)である。
【0054】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、Qは式
【0055】
【化6】

(式中、rは1であり、Rはラジカル−(alk)−C(W’)−NR”Rであり、(alk)は直鎖または分岐状C−C−アルキレンであり、W’はOまたはSであり、R”及びRは各々上に定義した通りである)
を有するラジカルである。
【0056】
特に好ましいラジカルQは、式
【0057】
【化7】

(式中、Rはラジカル−(alk)−C(O)−NHRであり、(alk)はメチレンまたは1,2−エチレン、特にメチレンであり、Rは未置換であるかまたはハロゲン、シアノまたはピリジルで置換されるC−C−アルキルであり、またはC−C−アルキニルまたはC−C−シクロアルキルである)
を有するラジカルである。
【0058】
適切な縮合ヘテロ二環式環系の例は、N、O及びSからなる群から選択される1〜4個、好ましくは1〜3個の同一または異なるヘテロ原子を有する5または6員ヘテロ環式環に環状環が結合しているものからなる。加えて、前記した縮合二環式環系は更に未置換であるかまたは好ましいと挙げられているものを含めてQについて先に定義した1個以上の置換基で置換される。これらの環は飽和環でも不飽和環でもよい。
【0059】
縮合ヘテロ二環式環系Qの例を以下の証拠3
【0060】
【化8】

(ここで、(R)の各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)
に示す。証拠3中、Q基上の結合ポイントが流動的として示されている場合には、Q基は水素原子を置換することによりQ基の利用可能な炭素または窒素を介して式(I)の残りに結合され得る。加えて、(R)とQ基間の結合ポイントが流動的として示されている場合には、(R)はQ基の利用可能な炭素原子または窒素原子に結合され得る。
【0061】
更により好ましくは、Qは未置換のラジカルQ−105、Q106、Q−107、Q−108、Q−109、Q−110またはQ−111(ここで、rはそれぞれ0である)である。特に好ましい縮合二環式構造Qは式
【0062】
【化9】

を有する。
【0063】
Q’は独立して上に挙げた好ましいを含めてQの意味を有する。最も好ましくは、Q’は、未置換であるかまたはQについて上に定義したように置換されるフェニルラジカルであり、または証拠1に示されているラジカルQ−1〜Q−60(ここで、R及びrの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)である。特に好ましくは、Q’は未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ、並びに未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル及びフェノキシからなる群から選択される1〜3個、特に1または2個の同一または異なる置換基で置換されるフェニルであり、またはラジカルQ−5、Q−6、Q−7、Q−14、Q−15、Q−16、Q−17、Q−24、Q−26、Q−30、Q−31、Q−32、Q−33、Q−34、Q−43、Q−47、Q−48、Q−49、Q−50及びQ−54(ここで、rは0である)である。
【0064】
Q”は独立して上に挙げた好ましいを含めてQの意味を有する。最も好ましくは、Q”はラジカルQ−34、Q−48、Q−49またはQ−50(ここで、R及びrの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)である。特に好ましくは、Q”はラジカルQ−34またはQ−48(ここで、rは0である)である。
【0065】
ハロゲンとしてのZは、好ましくはBr、ClまたはF、特にBrを示す。
【0066】
Zが基−C(W)−NRであれば、Wは好ましくはOである。
【0067】
好ましくは、R、R’及びR”は各々他から独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニル、より好ましくはH、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニル、特にHである。
【0068】
好ましくは、Rは各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、シアノ、ニトロ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルカルボニルアミノまたはラジカルQ’(ここで、Q’は独立して好ましいと挙げられているものを含めてQの意味を有する)で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルである。
【0069】
より好ましくは、Rはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、シアノ、ニトロ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルカルボニルアミノで、またはラジカルQ’(ここで、Q’は独立して好ましいと挙げられているものを含めてQの意味を有する)で置換されるC−C−アルキルである。
【0070】
更により好ましくは、Rはハロゲン、シアノ、ニトロまたはラジカルQ’{ここで、Q’は上に挙げたラジカルQ−34、Q−48、Q−49またはQ−50(ここで、R及びrの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)である}で置換されるC−C−アルキルである。
【0071】
特に好ましくは、Rはハロゲン(特に、フッ素)で、またはラジカルQ−34またはQ−48(ここで、rはそれぞれ0である)で置換されるC−C−アルキルである。
【0072】
好ましくは、Rは未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、ピリジル、ピリミジル、チアゾリル、或いは各々がハロゲン、シアノ、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルでモノ−またはジ−置換されるピリジル、ピリミジルまたはチアゾリルで置換されるC−C−アルキルであり、またはRはC−C−アルケニル、C−C−アルキニルまたはC−C−シクロアルキルである。より好ましくは、Rは未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、ピリジル、ピリミジルまたはチアゾリルで置換されるC−C−アルキルであり、またはRはC−C−アルケニル、C−C−アルキニルまたはC−C−シクロアルキルである。特に、Rは未置換であるかまたはハロゲン、シアノまたはピリジルで置換されるC−C−アルキルであり、またはC−C−アルキニルまたはC−C−シクロアルキルである。
【0073】
好ましくは、Zはハロゲン、またはラジカルQ−5、Q−6、Q−7、Q−14、Q−15、Q−16、Q−17、Q−24、Q−26、Q−30、Q−31、Q−32、Q−33、Q−34、Q−43、Q−47、Q−48、Q−49、Q−50及びQ−54(ここで、R及びrの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)であり、または基−C(O)−NR{ここで、RはH、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり、Rはハロゲン、シアノ、ニトロ、またはラジカルQ−34、Q−48、Q−49またはQ−50(ここで、R及びrの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)で置換されるC−C−アルキルである}である。
【0074】
最も好ましくは、Zはハロゲン、またはラジカルQ−34、Q−43またはQ−47(ここで、rはそれぞれ0である)であり、または基−C(O)−NR{ここで、RはHであり、Rはハロゲンで、またはラジカルQ−34またはQ−48(ここで、rは0である)である}で置換されるC−C−アルキルである}である。
【0075】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、Zはラジカル−C(W)−NR{ここで、WはOまたはSであり、Rについては上に挙げた意味及び好ましいが当てはまり、Rはラジカル−C(W’)−NR”R(ここで、W’、R”及びRについては上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)で置換されるC−C−アルキルである}である。最も好ましくは、Zはラジカル−C(O)−NR{ここで、RはHであり、Rは−C(O)NR”Rで置換されるC−C−アルキル、特に−C(O)NR”R(ここで、R”はそれぞれHであり、Rは未置換であるかまたはハロゲン、シアノまたはピリジルで置換されるC−C−アルキルである)で置換されるメチルである}であり、またはC−C−アルキニルまたはC−C−シクロアルキルである。
【0076】
本発明の好ましい実施形態によれば、すべての幾何及び立体異性体、N−オキシド及び塩を含めた式
【0077】
【化10】

(式中、R、R、X、X、X、Z及びnの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)
を有する化合物が提供される。
【0078】
特に、nは1〜3の整数であり、Rはハロゲンで置換されるC−C−アルキルであり、各Rは独立してハロゲン、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ及びシアノからなる群から選択され、XはS(O)、OまたはNR’であり、mは0〜2の整数であり、R’はHまたはC−C−アルキルであり、X及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立してCR’であり、R’はHまたはC−C−アルキルであり、Zはハロゲン、またはラジカルQ−5、Q−6、Q−7、Q−14、Q−15、Q−16、Q−17、Q−24、Q−26、Q−30、Q−31、Q−32、Q−33、Q−34、Q−43、Q−47、Q−48、Q−49、Q−50及びQ−54(ここで、R及びrの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)であり、または基−C(O)−NR{ここで、RはH、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり、Rはハロゲン、シアノ、ニトロ、またはラジカルQ−34、Q−48、Q−49またはQ−50(ここで、R及びrの各々については上に挙げた意味及び好ましいが当てはまる)で置換されるC−C−アルキルである}である。
【0079】
本発明の特に好ましい実施形態は、上記式(Ia)[式中、nは1〜3の整数であり、RはCFであり、各Rは独立してハロゲン、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ及びシアノからなる群から選択され、XはS(O)であり、mは0〜2の整数、特に0であり、X及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立してCR’であり、R’はHまたはC−C−アルキルであり、ZはラジカルQ−34(ここで、rは0である)であり、または基−C(O)−NR(ここで、RはHであり、Rはハロゲン、またはラジカルQ−34またはQ−48(ここで、rはそれぞれ0である)で置換されるC−C−アルキルである]を有する化合物に関する。
【0080】
本発明の更に特に好ましい実施形態は、上記式(Ia)[式中、nは1〜3の整数であり、RはCFであり、各Rは独立してハロゲン、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ及びシアノからなる群から選択され、XはS(O)であり、mは0〜2の整数であり、X及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立してCR’であり、R’はHまたはC−C−アルキルであり、Zは基−C(O)−NR{ここで、RはHであり、Rはそれぞれラジカル−C(O)−NR”R(ここで、R”はHであり、Rは未置換であるかまたはハロゲン、シアノまたはピリジルで置換されるC−C−アルキルであり、またはC−C−アルキニルまたはC−C−シクロアルキルである)で置換されるC−C−アルキル、特にメチルである}である]
を有する化合物に関する。
【0081】
本発明の化合物は1つ以上の立体異性体として存在し得る。各種立体異性体にはエナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体及び幾何異性体が含まれる。当業者は、1つの立体異性体が他の立体異性体に比して富化されていたり他の立体異性体から分離されているときにより活性であり得及び/または有利な効果を発揮し得ることを認識している。加えて、当業者は前記立体異性体を分離、富化及び/または選択的に製造する方法を周知している。本発明の化合物は立体異性体の混合物として、個々の立体異性体として、光学的に活性な異性体として存在し得る。
【0082】
当業者は、窒素はN−オキシドへの酸化のために利用可能な孤立電子対を必要としているので窒素含有ヘテロ環式環のすべてがN−オキシドを形成できないことを認識している。当業者はN−オキシドを形成し得る窒素含有ヘテロ環式環を認識している。当業者は第3級アミンがN−オキシドを形成し得ることも認識している。ヘテロ環式環及び第3級アミンのN−オキシドを製造するための合成方法は当業者により十分知られており、その中にはヘテロ環式環及び第3級アミンを過酸(例えば、過酢酸及びm−クロロ過安息香酸(MCPBA))、過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド)、過ホウ酸ナトリウム及びジオキシラン(例えば、ジメチルジオキシラン)を用いて酸化する方法が含まれる。N−オキシドを製造するためのこれらの方法は文献中に詳細に記載されており、精査されている。
【0083】
当業者は、環境及び生理学的条件下で化合物の塩はその対応する非塩形態と平衡状態にあるので、塩は非塩形態の生物学的有用性を共有していることを認識している。よって、式(I)を有する化合物の各種塩は無脊椎害虫を防除するために有用である(すなわち、獣医学的または農業的に適切である)。式(I)を有する化合物の塩には臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸または吉草酸のような無機または有機酸との酸付加塩が含まれる。式(I)を有する化合物が酸性部分(例えば、カルボン酸またはフェノール)を含んでいる場合、塩にはピリジン、トリエチルアミンまたはアンモニア、或いはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムのアミド、水素化物、水酸化物または炭酸塩のような有機または無機塩基を用いて形成されるものも含まれる。従って、本発明は、式(I)から選択される化合物、そのN−オキシド、並びに獣医学的及び農業的に許容され得る適切な塩を含む。
【0084】
本発明の化合物は、例えばWO 2007/75459の29〜31頁に概説されている方法と同様にして製造され得る。従って、式(I)または(Ia)を有する化合物は、例えば式
【0085】
【化11】

を有する化合物に式
【0086】
【化12】

を有するオキシムから誘導されるニトリルオキシドをシクロ付加することにより製造され得る。上記式中、B〜B、R、R、X、X、X及びZは各々上記した意味を有する。
【0087】
上記反応は、典型的にはその場で生成されるヒドロキシアミルクロリドを介して進行する。典型的な手順では、塩素化試薬(例えば、次亜塩素酸ナトリウム、N−クロロスクシンイミドまたはクロラミン−T)をスチレンの存在下でオキシムと組み合わせる。条件に応じて、アミン塩基(例えば、ピリジンまたはトリエチルアミン)が必要なことがある。反応はテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジオキサン及びトルエンを含めた広範囲の溶媒中、室温からその溶媒の還流温度の範囲の最適温度で行われ得る。
【0088】
式(I)または(Ia)を有する化合物は、WO 2009/025983と同様に式(VI)を有する化合物をヒドロキシルアミン及び塩基と接触させて式(I)を有するイソオキサゾールを形成する方法によっても製造され得る。
【0089】
【化13】

上記式中、B〜B、R、R、X、X、X、Z及びnは各々上記した意味を有する。この反応はWO 2009/025983の29〜31頁に記載されているように実施され得る。加えて、式(VI)を有する中間体を製造するための合成ルートもWO 2009/025983の31〜34頁に開示されている。
【0090】
式(I)または(Ia)(式中、Zは5員のN−結合ヘテロ環式環である)を有する化合物は、式
【0091】
【化14】

(式中、B〜B、R、R、X、X及びXは各々上記した意味を有し、YはBrまたはFのようなハロゲン、トシレート、トリフレートまたはニトロである)
を有する離脱基を塩基の存在下で式
Z’−H (V)
(式中、Z’はアゾールヘテロ環式環である)
を有する化合物で直接置換することによっても製造され得る。式(V)を有する典型的なアゾールヘテロ環式環には任意に置換されるピラゾール、イミダゾール、トリアゾール及びテトラゾールが含まれる。ブロミドはヨウ化銅及びパラジウム触媒を用いて置換され得る。例えば、Kanemasaら,European Journal of Organic Chemistry,2004,695−709を参照されたい。直接フッ素置換の場合、反応は典型的には極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド)中、無機塩基(例えば、炭酸ナトリウムまたはカリウム)の存在下で行われる。
【0092】
式(I)または(Ia)(式中、Zは基−C(W)−NRである)を有する化合物を製造するための別の方法は、アミノ化合物HNR及びCOを用いる、上記式(IV)(式中、YはBrまたはIである)を有するアリールブロミドまたはヨージドのアミノカルボニル化を含む。この反応は、典型的にはCO雰囲気中パラジウム触媒の存在下で実施される。多くの触媒がこのタイプの変換のために使用される。典型的な触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。溶媒(例えば、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミドまたはトルエン)が適切である。上記方法は広範囲の温度で、例えば約25〜約150℃、特に60〜110℃で実施され得る。
【0093】
式(II)を有する化合物は例えばWO 2006/49459から公知であり、またはそこに開示されている方法と同様にして製造され得る。
【0094】
式(III)を有する化合物は、例えばまず式
【0095】
【化15】

(式中、X、X及びXは各々上記されている通りであり、Yは上記した離脱基である)
を有する化合物のアルデヒド基を例えば有機化学の教科書から公知の方法により環状アセタールに変換した後、適切なラジカルZを導入し、Yを置換することにより保護し、次いでアルデヒドを脱保護し、WO 2007/75459から公知の方法で式IIIを有するヒドロキシアミノ化合物に変換することにより製造され得る。
【0096】
本発明に記載の式(I)を有する化合物は、広い活性スペクトルの点で優れており、害虫を防除する際に使用するための価値のある活性成分である。これらの化合物は温血動物により十分許容されつつ、外部寄生虫の防除において及びある程度は動物の外及び中に集っている内部寄生虫を防除するために、更には衛生分野において特に適している。
【0097】
本発明の関係で、動物は家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ及びヤギ)、家禽(例えば、ニワトリ、七面鳥、ホロホロチョウ及びガチョウ)、毛皮を持つ動物(例えば、ミンク、キツネ、チンチラ、家兎等)及び伴侶動物(例えば、フェレット、モルモット、ラット、ハムスター、ネコ及びイヌ)を含めた温血動物及びヒトを含むと理解される。
【0098】
本発明の文脈で、外部寄生虫は特に昆虫、コナダニ属(ダニ及びマダニ)及び甲殻類(ウオジラミ)であると理解される。これらには以下の目:鱗翅目(Lepidoptera)、鞘翅目(Coleoptera)、同翅目(Homoptera)、半翅目(Hemiptera)、異翅目(Heteroptera)、双翅目(Diptera)、網翅目(Dictyoptera)、総翅目(Thysanoptera)、直翅目(Orthoptera)、シラミ目(Anoplura)、陰翅目(Siphonaptera)、ハジラミ目(Mallophaga)、総尾目(Thysanura)、等翅目(Isoptera)、噛虫目(Psocoptera)及び膜翅目(Hymenoptera)の昆虫が含まれる。しかしながら、特に言及され得る外部寄生虫はヒトまたは動物を悩まし、病原体を有しているもの、例えばハエ(例えば、イエバエ(Musca domestica)、ムスカ・ベツスチシマ(Musca vetustissima)、カオバエ(Musca autumnalis)、ヒメイエバエ(Fannia canicularis)、サルコファガ・カルナリア(Sarcophaga carnaria)、ヒツジキンバエ(Lucilia cuprina)、セリカキンバエ(Lucilia sericata)、ウシバエ(Hypoderma bovis)、キスジウシバエ(Hypoderma lineatum)、クリソミア・クロロピガ(Chrysomyia chloropyga)、ヒトヒフバエ(Dermatobia hominis)、コクリオミア・ホミニボラックス(Cochliomyia hominivorax)、ウマバエ(Gasterophilus intestinalis)、ヒツジバエ(Oestrus ovis)、刺咬ハエ(例えば、ヘマトビア・イリタンス・イリタンス(Haematobia irritans irritans)、ヘマトビア・イリタンス・エクシグア(Haematobia irritans exigua)、ストモクシス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans))、アブ科(Tabanidae)の亜科、例えばハエマトポタ属(Haematopota spp.)(例えば、ウマバエ(Haematopota pluvialis)及びアブ属(Tabanus spp.)(例えば、タバヌス・ニクロビッタツス(Tabanus nigrovittatus))及びメクラアブ(Chrysopsinae)(例えば、クリソプス属(Chrysops spp.)(例えば、クリソプス・セクチエンス(Chrysops caecutiens))のアブ(Tabanids);シラミバエ科(Hippoboscids)、例えばヒツジシラミバエ(Melophagus ovinus)(ヒツジシラミバエ);ツェツェバエ(例えば、サシバエ属(Glossinia spp.));ユスリカ(例えば、ヌカカ科(Ceratopogonidae)(ヌカカ)、ブヨ科(Simuliidae)(ブヨ)、チョウバエ科(Psychodidae)(サシチョウバエ))のような他の刺咬昆虫;並びに吸血昆虫、例えばカ(例えば、アノフェレス属(Anopheles spp.)、ヤブ蚊属(Aedes spp.)及び斑蚊属(Culex spp.))、ノミ(例えば、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、インドネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ニワトリノミ(Ceratophyllus gallinae)、スナノミ(Dermatophilus penetrans))、吸血シラミ目(Anoplura)(例えば、イヌノミ属(Linognathus spp.)、ケモノジラミ属(Haematopinus spp.)、ソレノポテス属(Solenopotes spp.)、ヒトジラミ(Pediculus humanis));並びにハジラミ目(Mallophaga)、例えばヒツジハジラミ(Bovicola(Damalinia) ovis)、ウシハジラミ(Bovicoia(Damalinia) bovis)及び他のハジラミ属(Bovicola spp.)である。外部寄生虫にはダニ目(Acarina)、例えばダニ(例えば、ウシショクヒヒゼンダニ(Chorioptes bovis)、シャレティエラ属(Cheyletiella spp.)、ニワトリダニ(Dermanyssus gallinae)、イエダニ属(Ortnithonyssus spp.)、デモデクス・カニス(Demodex canis)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、ヒツジキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes ovis)及びヒツジツメダニ属(Psorergates spp.)、並びにマダニのメンバーも含まれる。マダニの公知の代表例は、ウシマダニ属(Boophilus)、マダニ属(Amblyomma)、アノセントル属(Anocentor)、カクマダニ属(Dermacentor)、チマダニ属(Haemaphysalis)、マダニ属(Hyalomma)、マダニ属(Ixodes)、リピセンター属(Rhipicentor)、マルガローブス属(Margaropus)、リピセファルス属(Rhipicephalus)、ヒメダニ属(Argas)、棘状耳虫属(Otobius)及びオルニトドロス属(Ornithodoros)等であり、好ましくは家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ及びヤギ)、家禽(例えば、ニワトリ、七面鳥、ホロホロチョウ及びガチョウ)、毛皮を持つ動物(例えば、ミンク、キツネ、チンチラ、家兎等)及び伴侶動物(例えば、フェレット、モルモット、ラット、ハムスター、ネコ及びイヌ)を含めた温血動物及びヒトに寄生するものである。
【0099】
本発明に記載の式(I)を有する化合物は、通常の感受性を示す動物害虫及び広く使用されている殺寄生虫剤に対して耐性を示す動物害虫のすべてまたは個々の発育段階に対しても活性である。このことは特にダニ目(Acarina)の耐性昆虫及びメンバーに対して当てはまる。本発明の活性物質の殺昆虫、殺卵及び/または殺ダニ効果は、直ぐにまたは脱皮が起こるような少し時間が経過した後に害虫が死んだり、または卵が壊れることにより直接的に、或いは例えば産卵した卵の数及び/または孵化率が低下したり、少なくとも50〜60%の殺虫率(死亡率)に相当する良好な効果により間接的に発現し得る。式(I)を有する化合物は衛生害虫、特にイエバエ科(Muscidae)、ニクバエ科(Sarcophagidae)、アノフィリダエ科(Anophilidae)及びカ科(Culicidae)の双翅目(Diptera);直翅目(Orthoptera)、網翅目(Dictyoptera)(例えば、ゴキブリ科(Blattidae)(ゴキブリ)(例えば、チャバネゴキブリ(Blatella germanica)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana))及び膜翅目(Hymenoptera)(例えば、アリ科(Formicidae)(アリ)及びスズメバチ科(Vespidae)(スズメバチ))の衛生害虫に対しても使用され得る。
【0100】
驚くことに、式(I)を有する化合物は、魚類により十分に許容されつつ、魚類の外部寄生虫、特にカイアシ属(Copepoda)のサブクラス(例えば、シファノストマトイダ目(Siphonostomatoida)(ウオジラミ)に対しても有効である。
【0101】
式(I)を有する化合物は衛生害虫、特にニクバエ科(Sarcophagidae)、アノフィリダエ科(Anophilidae)及びカ科(Culicidae)の双翅目(Diptera);直翅目(Orthoptera)、網翅目(Dictyoptera)(例えば、ゴキブリ科(Blattidae))及び膜翅目(Hymenoptera)(例えば、アリ科(Formicidae))の衛生害虫に対しても使用され得る。
【0102】
式(I)を有する化合物は植物の寄生ダニ及び昆虫に対して持続的効果も有する。ダニ目(Acarina)のハダニの場合、これらの化合物はハダニ科(Tetranychidae)(テトラニクス属(Tetranychus spp.)及びパノニクス属(Panonychus spp.))の卵、若虫及び成虫に対して有効である。
【0103】
これらの化合物は、同翅目(Homoptera)、特にアリマキ科(Aphididae)、ウンカ科(Delphacidae)、ヨコバイ科(Cicadellidae)、キジラミ科(Psyllidae)、ロシダエ科(Loccidae)、マルカイガラムシ科(Diaspididae)及びエリオフィジダエ科(Eriophydidae)(例えば、柑橘類に集っているサビダニ)の吸収害虫;半翅目(Hemiptera)、異翅目(Heteroptera)及び総翅目(Thysanoptera)の吸収昆虫;並びに鱗翅目(Lepidoptera)、鞘翅目(Coleoptera)、双翅目(Diptera)及び直翅目(Orthoptera)の植食昆虫に対して高い活性を有する。
【0104】
これらは土壌中の害虫に対する土壌殺虫剤としても適切である。
【0105】
従って、式(I)を有する化合物は作物(例えば、穀物、綿、稲、トウモロコシ、大豆、ジャガイモ、野菜、果物、タバコ、ホップ、柑橘類、アボカド及び他の作物)に集っているあらゆる発育段階の吸収昆虫及び摂食昆虫に対して有効である。
【0106】
式(I)を有する化合物は、メロイドギネ属(Meloidogyne)、ヘテロデラ属(Heterodera)、プラティレンクス属(Pratylenchus)、ジチレンクス属(Ditylenchus)、ラドホルス属(Radopholus)、リゾグリフス属(Rizoglyphus)等の植物線虫に対しても有効である。
【0107】
式(I)を有する特定化合物は特定属の蠕虫に対しても有効であると見られる。
【0108】
蠕虫は、哺乳動物及び家禽(例えば、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、ロバ、ラクダ、イヌ、ネコ、家兎、モルモット、ハムスター、ニワトリ、七面鳥、ホロホロチョウ及び他の飼育鳥類)並びに外来鳥類において重大な病気を引き起こすので商業上重要である。典型的な線虫はヘモンカス属(Haemonchus)、毛様線虫属(Trichostrongylus)、オステルタジア属(Ostertagia)、ネマトディルス属(Nematodirus)、クーペリア属(Cooperia)、アスカリス属(Ascaris)、ブノストヌム属(Bunostonum)、腸結節虫属(Oesophagostonum)、チャルベルチア属(Charbertia)、トリクリス属(Trichuris)、ストロンギルス属(Strongylus)、トリコネマ属(Trichonema)、ジクチロカウルス属(Dictyocaulus)、カピラリア属(Capillaria)、ヘテラキス属(Heterakis)、トキソカラ属(Toxocara)、回虫属(Ascaridia)、蟯虫属(Oxyuris)、鉤虫属(Ancylostoma)、鉤虫属(Uncinaria)、トキサスカリス属(Toxascaris)及びパラアスカリス属(Parascaris)である。吸虫類には、特にファスキオリデアエ(Fasciolideae)の科、特に肝蛭(Fasciola hepatica)が含まれる。
【0109】
本発明の式(I)を有する化合物の良好な殺虫活性は、挙げられている害虫の少なくとも50〜60%の死亡率、より好ましくは90%を超える死亡率、最も好ましくは95〜100%の死亡率に相当する。好ましくは、式(I)を有する化合物は非修飾形態で、好ましくは製剤業界で慣用されている補助剤と一緒に内部及び外部に対して使用され、従って公知の方法で加工して、例えば液体製剤(例えば、スポットオン剤、ポアオン剤、スプレーオン剤、エマルション剤、サスペンジョン剤、液剤、乳剤、溶液濃厚物)、半固体製剤(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、ゲル剤、リポソーム製剤)及び固体製剤(例えば、カプセル剤を含めた餌添加錠剤、可溶性粉剤を含めた粉剤、粒剤、またはインプラントやミクロ粒子のような活性成分を高分子物質中に封入させたもの)を与え得る。組成物と同様に、施用方法は所期目的及び主な環境に従って選択される。
【0110】
製剤、すなわち式(I)を有する活性成分または前記活性成分と他の活性成分の組合せ及び任意に固体、半固体または液体補助剤を含有する製剤はそれ自体公知の方法で、例えば活性成分を賦形剤の組成物と均質に混合、混練または分散させることにより作製され、その際製剤賦形剤の生理学的相容性を考慮しなければならない。
【0111】
当該溶媒はアルコール(脂肪族及び芳香族)(例えば、ベンジルアルコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノール)、脂肪族アルコール(例えば、オレイルアルコール及びグリコール)及びそれらのエーテル及びエステル(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルまたは−エチルエーテル及びブチルジオキシトール)、カーボネート(例えば、プロピレンカーボネート)、ケトン(例えば、シクロヘキサノン、イソホロンまたはジアセタノールアルコール)及びポリエチレングリコール(例えば、PEG 300)であり得る。加えて、組成物は強極性溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミド、または水)、脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはパルミチン酸イソプロピル)、植物油(例えば、ナタネ油、ヒマシ油、ヤシ油または大豆油)、合成モノ−、ジ−、トリグリセリド(例えば、グリセリルモノステアレート及び中鎖トリグリセリド)等、及び適切ならばシリコーン油を含み得る。上記した成分は粒状施用形態に対する担体としても役立ち得る。
【0112】
軟膏基剤それぞれの構造構成成分として、次の賦形剤を使用してもよい:石油を主成分とする物質(例えば、ワセリンまたはパラフィン)、羊毛脂から作成される基剤(例えば、ラノリンまたはラノリンアルコール)、ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール)、脂質基剤(例えば、リン脂質または硬化植物油のようなトリグリセリド)。
【0113】
レシチン(例えば、大豆レシチン)、脂肪酸とアルカリ土類金属及びアルカリ金属との塩、硫酸アルキル(例えば、セチルステアリル硫酸ナトリウム)、コレート、脂肪アルコール(例えば、セチルアルコール)、ステロール(例えば、コレステロール)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート20)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノラウレート)、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル及び脂肪アルコールエーテル(例えば、ポリオキシオレイルエーテル)、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックコポリマー(例えば、Pluronic(商標))、サッカロースエステル(例えば、サッカロースジステアレート)、ポリグリセリル脂肪酸エステル(例えば、ポリグリセロールオレエート)及び脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはミリスチル酸イソプロピル)のような乳化剤、湿潤剤及び展着剤の使用が通常必要なことがある。
【0114】
製剤は、ポリアクリル酸誘導体、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及び微分散性二酸化ケイ素のようなゲル化剤及び硬化剤も含み得る。
【0115】
徐放性を有する高分子物質として、例えばポリ乳酸、ポリ乳酸−コ−グリコール酸、ポリオルトエステル、ポリエチレンカーボネート、ポリ無水物及びデンプンより作成される誘導体、並びにPVCを主成分とするマトリックスが適用され得る。
【0116】
ケトン、スルホキシド、アミド、脂肪酸エステル及び脂肪族アルコールのような浸透増強剤の添加が必要なことがある。
【0117】
ソルビン酸、ベンジルアルコール及びパラベンのような保存剤及びα−トコフェロールのような抗酸化剤を添加してもよい。
【0118】
活性成分または活性成分の組合せをハードゼラチンカプセル剤またはソフトカプセル剤のようなカプセル剤中に適用してもよい。
【0119】
錠剤及びボーラス剤用結合剤は、水またはアルコール中に可溶性の化学修飾した高分子天然物質、例えば澱粉、セルロースまたはタンパク質誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ゼイン、ゼラチン等のようなタンパク質)、並びに合成ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等であり得る。錠剤は、増量剤(例えば、デンプン、結晶セルロース、糖、ラクトース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)及び崩壊剤(例えば、セルロース誘導体)、並びにアクリル酸エステルのような耐酸性コーティングも含有している。
【0120】
本発明に記載の式(I)を有する化合物は単独でまたは他の殺生物剤と一緒に使用され得る。これらの化合物は、活性を高めるような同一範囲の活性を有する殺虫剤、または活性の範囲を広げるような別の範囲の活性を有する物質と一緒に組み合わされ得る。所謂忌避剤を添加することは良識的でもあり得る。例えば、殺成虫剤として特殊な効果を有する式(I)を有する化合物の場合、すなわち標的寄生虫の成虫期に対して特に有効であるので、むしろ寄生虫の幼虫期を攻撃する殺虫剤を添加することは非常に有利であり得、またはその逆であり得る。このようにして、大きな経済的損失を与える寄生虫の大部分がカバーされる。更に、この作用により耐性形成が実質的に避けられる。多くの組合せにより相乗効果ももたらされ得る。すなわち、活性成分の全量を低減させることができ、このことはエコロジーの観点から望ましい。組合せパートナー及び特に好ましい組合せパートナーの好ましい群を以下に挙げるが、組合せは式(I)を有する化合物に加えてこれらのパートナーの1つ以上を含有することができる。
【0121】
混合物中の適切なパートナーは殺生物剤、例えば以下に挙げられており、当業者に長い間知られているいろいろな活性機構有する殺虫剤及び殺ダニ剤、例えばキチン合成阻害剤、成長調節剤;幼若ホルモンとして作用する活性成分;殺成虫剤として作用する活性成分;広域殺虫剤、広域殺ダニ剤及び殺線虫剤;並びに公知の駆虫薬及び昆虫−及び/またはダニ阻害物質、忌避剤または分離剤であり得る。適切な殺虫剤及び殺ダニ剤の非限定例はWO 2009/071500の18〜21頁の化合物番号1〜284に挙げられている。適切な駆虫薬の非限定例はWO 2009/071500の21頁の化合物(A1)〜(A31)に挙げられている。適切な忌避剤及び分離剤の非限定例はWO 2009/071500の21及び22頁の化合物(R1)〜(R3)に挙げられている。適切な相乗剤の非限定例はWO 2009/071500の22頁の化合物(S1)〜(S3)に挙げられている。混合物中の上記パートナーはこの分野のスペシャリストに良く知られている。多くはthe Pesticide Manualの各種版、The British Crop Protection Council,London及びThe Merck Index、Merck & Co.Inc.,Rahway,New Jersey,USAの各種版、または特許文献に記載されている。
【0122】
上記詳細の結果として、本発明の更なる態様は、式(I)を有する化合物に加えて、同一または異なる範囲の活性を有する少なくとも1つの追加活性成分及び少なくとも1つの生理学的に許容され得る担体を含む温血動物に集っている寄生虫を防除するための配合製剤に関する。本発明は、2成分配合剤に限定されない。概して、本発明の殺虫及び殺ダニ組成物は、0.1〜99重量%、特に0.1〜95重量%の1つ以上の式(I)を有する活性成分、(0〜25重量%、特に0.1〜25重量%の界面活性剤を含めた)99.9〜1重量%、特に99.8〜5重量%の固体または液体添加剤を含有している。本発明に記載の組成物の処理しようとする動物への適用は局所的、経口的、非経口的または皮下的に実施され得、組成物は例えば液剤、エマルション剤、サスペンジョン剤、(ドレンチ剤)、粉剤、錠剤、ボーラス剤、カプセル剤、チュアブルトリート、カラー、耳タグ及びポアオン製剤の形態で存在している。
【0123】
好ましい局所用製剤は、多くの場合活性成分と展着助剤の組合せの分散液またはサスポエマルションから構成されるスポットオン、ポアオンまたはスプレーオン製剤の形態のすぐ使用できる溶液を指すと理解される。表現「スポットオン」または「ポアオン」方法は、動物に対して局所的及び局部的に適用されると意図されるすぐ使用できる濃厚物を指すと理解される。この種の製剤は、動物の比較的小面積に、好ましくは動物の背部及び臀部上、または背部及び臀部の線に沿った少なくとも1箇所または数箇所に直接適用することが意図されている。約0.05〜1ml/kg、好ましくは約0.1ml/kgの低容量、0.1〜100ml/動物の全容量で適用し、最大を約50mlに限定することが好ましい。しかしながら、総容量は処理を要する動物に対して適応させなければならず、例えば若いネコ及びウシで明らかに異なることは言うまでもない。これらのポアオン及びスポットオン製剤は保護または処理を与える動物の周囲すべてに展着させ、または動物の殆どの部分に対して処理するように設計されている。ポアオンまたはスポットオン製剤のスワッブまたはスプレーを外被の比較的小面積に適用することにより投与を実施したとしても、製剤中の成分の展着性により、動物の動作により助けられて活性物質は殆ど自動的に毛皮の広い面積に分散されることが観察される。
【0124】
ポアオンまたはスポットオン製剤は、適切には宿主動物の皮膚表面上または外被中への迅速分散を促進し、通常展着油として見なされる担体を含有している。適切な担体は、例えば油性溶液;アルコール及びイソプロパノール溶液、例えば2−オクチルドデカノールまたはオレイルアルコールの溶液;モノカルボン酸のエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸オキシルエステル、オレイン酸オレイルエステル、オレイン酸デシルエステル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、鎖長C12−C18の飽和脂肪アルコールのカプリン酸エステル)中の溶液;ジカルボン酸のエステル(例えば、フタル酸ジブチル、イソフタル酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピルエステル、アジピン酸ジ−n−ブチル)の溶液;脂肪酸のエステル(例えば、グリコール)の溶液である。医薬品または化粧品業界から公知のもののような分散剤を更に存在させることが有利であり得る。その例は2−ピロリドン、2−(N−アルキル)ピロリドン、アセトン、ポリエチレングリコール、並びにそのエーテル及びエステル、プロピレングリコールまたは合成トリグリセリドである。油性溶液は例えば植物油(例えば、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、松油、アマニ油またはヒマシ油)を含む。植物油はエポキシ化形態でも存在し得る。パラフィン及びシリコーン油も使用し得る。
【0125】
ポアオンまたはスポットオン製剤は、通常1〜98.9重量%の式(I)を有する化合物、0.1〜80重量%の分散剤及び1〜98.9重量%の溶媒を含有している。
【0126】
ポアオンまたはスポットオン方法は、すべての動物を経口的または注射により処理するのが困難であったり時間がかかる群れをなす動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジまたはブタ)に対して使用するために特に有利である。簡単であるので、この方法は勿論個々の家畜またはペットを含めたすべての他の動物に対しても使用され得、多くの場合獣医を特に存在させなくても実施できるので動物飼育者にかなり喜ばれている。
【0127】
市販品を濃厚物として調合することが好ましいが、一般使用者はしばしば希釈製剤を使用している。しかしながら、これは投与モードに依存する。経口投与される製品はしばしば希釈形態で、または飼料添加物として使用されているのに対して、市販のポアオン及びスポットオン製剤は通常すぐ使用できる濃厚物である。
【0128】
上記組成物は、追加添加剤(例えば、安定化剤、消泡剤、粘度調節剤、結合剤または粘着付与剤)及び特殊効果を達成するための他の活性成分も含有し得る。
【0129】
一般使用者が使用するこのタイプの殺虫及び殺ダニ組成物も本発明の構成要素を形成する。
【0130】
害虫を防除するための本発明の方法の各々または本発明の害虫防除組成物の各々において、式(I)を有する活性成分はすべての立体配置またはその混合物の形態で使用され得る。
【0131】
本発明は、式(I)を有する活性成分またはそこから調合した活性成分製剤を動物(特に、生産家畜、家畜及びペット)に対して飼料または飲料に対する添加物として、または固体または液体形態で経口的、注射によりまたは非経口的に投与することを含む前記動物を寄生蠕虫から予防的に保護する方法をも含む。本発明は、前記方法の1つにおいて使用するための本発明に記載の式(I)を有する化合物も含む。
【0132】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するためにのみ役立つ。用語「活性成分」は製造例に記載されている物質を表す。特に、好ましい製剤は次のように構成される:
(%=重量%)
製剤例
1.粒剤 a) b)
(i)活性成分 5% 10%
カオリン 94% −
高分散性ケイ酸 1% −
アタパルジャイト − 90%
【0133】
活性成分をジクロロメタン中に溶解し、担体に噴霧した後、溶媒を真空下で蒸発させることにより濃縮させる。この種の粒剤を動物飼料と混合してもよい。
(ii)活性成分 3%
ポリエチレングリコール 3%
(mw 200)
カオリン 94%
(mw=分子量)
【0134】
微細活性成分をミキサーにおいて予めポリエチレングリコールで湿らしたカオリンに均一に適用する。このようにして、無塵被覆粒剤が得られる。
【0135】
2.錠剤またはボーラス剤
I.活性成分 33.00%
メチルセルロース 0.80%
高分散性ケイ酸 0.80%
コーンスターチ 8.40%
II.結晶性ラクトース 22.50%
コーンスターチ 17.00%
微結晶セルロース 16.50%
ステアリン酸マグネシウム 1.00%
【0136】
I.メチルセルロースを水中に攪拌して入れる。物質を膨潤させた後、ケイ酸を攪拌して入れ、混合物を均質に懸濁させる。活性成分及びコーンスターチを混合する。懸濁水溶液をこの混合物に混入し、混練して練り粉とする。生じた塊を12Mシーブを介して顆粒化し、乾燥させる。
【0137】
II.4つすべての賦形剤を十分に混合する。
【0138】
III.I及びIIに従って得た予備ミックスを混合し、錠剤またはボーラス剤にプレスする。
【0139】
3.注射剤
A.油性ビヒクル(徐放性)
(i)活性成分 0.1〜1.0g
落花生油 100mlまで
(ii)活性成分 0.1〜1.0g
ゴマ油 100mlまで
【0140】
調製:活性成分を攪拌し、所要によりやさしく加熱しながら油の一部中に溶解し、次いで冷却した後、所望容量に調合し、孔径0.22μmの適切な膜フィルターを介して滅菌濾過する。
B.水混和性溶媒(平均放出速度)
(i)活性成分 0.1〜1.0g
4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン
(グリセロールホルマール) 40g
1,2−プロパンジオール 100mlまで
(ii)活性成分 0.1〜1.0g
グリセロールジメチルケタール 40g
1,2−プロパンジオール 100mlまで
【0141】
調製:活性成分を攪拌しながら溶媒の一部中に溶解し、所望容量に調合し、孔径0.22μmの適切な膜フィルターを介して滅菌濾過する。
【0142】
C.水性可溶化物(急速放出)
(i)活性成分 0.1〜1.0g
ポリエトキシル化ヒマシ油 10g
(40エチレンオキシド単位)
1,2−プロパンジオール 20g
ベンジルアルコール 1g
注射用水 100mlまで
(ii)活性成分 0.1〜1.0g
ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート
(20エチレンオキシド単位) 8g
4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン
(グリセロールホルマール) 20g
ベンジルアルコール 1g
注射用水 100mlまで
【0143】
調製:活性成分を溶媒及び界面活性剤中に溶解し、水で所望容量に調合する。孔径0.22μmの適切な膜フィルターを介して滅菌濾過する。
【0144】
4.ポアオン剤
(i)活性成分 5g
ミリスチン酸イソプロピル 10g
イソプロパノール 100mlまで
(ii)活性成分 2g
ラウリン酸ヘキシル 5g
中鎖トリグリセリド 15g
エタノール 100mlまで
(iii)活性成分 2g
オレイン酸オレイル 5g
N−メチルピロリドン 40g
イソプロパノール 100mlまで
【0145】
5.スポットオン剤
(i)活性成分 0〜15g
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 100mlまで
(ii)活性成分 10〜15g
パルミチン酸オクチル 10g
イソプロパノール 100mlまで
(iii)活性成分 10〜15g
イソプロパノール 20g
ベンジルアルコール 100mlまで
【0146】
6.スプレーオン剤
(i)活性成分 1g
イソプロパノール 40g
プロピレンカーボネート 100mlまで
(ii)活性成分 1g
プロピレングリコール 10g
イソプロパノール 100mlまで
【0147】
経口及び/または第1胃内適用のためには水性系も好ましく使用され得る。組成物は安定化剤、例えば適切ならばエポキシ化植物油(エポキシ化ヤシ油、菜種油または大豆油);消泡剤(例えば、シリコーン油)、保存剤、粘度調節剤、結合剤、粘着付与剤のような追加添加剤、並びに肥料または特殊効果を達成するための他の活性成分も含有し得る。
【0148】
式(I)を有する化合物に対して中性で、処理しようとする宿主動物に対して有害作用を持たない追加の生物活性物質または添加剤、並びに無機塩またはビタミンを本発明の組成物に添加してもよい。
【0149】
以下の実施例は本発明を説明するのに役立つ。文字“h”は時間を示す。出発物質は公知であり、一部は市販されており、またはそれ自体公知の方法と同様にして製造され得る。
【0150】
精製したサンプルはそれぞれ独国レオンバーグに所在のBischoff製逆相カラム(Daisogel SP−120−ODS−AP 5μm,150×3mm)を備えたWaters Autopurification(HPLC/MS)システムを用いて分析した。サンプルはm/z及び保持時間により特性決定される。上記した保持時間はそれぞれ溶媒A:HO+0.01% HCOOH及び溶媒B:CHCN+0.01% HCOOHの2つの異なる溶媒からなる溶媒系の使用に関連する。これら2つの溶媒A及びBを2.00ml/分の流速、表1に示す時間依存性の勾配で使用する。
【0151】
【表1】

【実施例1】
【0152】
本実施例は、5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド(表1中の化合物1.8)の製造を説明する。
【0153】
ステップA:3,5−ジクロロフェニルボロン酸をTHF(20ml)中に含む溶液に窒素下で3,3,3−トリフルオロプロペン(3.2g)、炭酸カリウム(4.6g)及びビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムクロリド(0.2g)を添加する。還流下で3時間後、反応物を酢酸エチル(50ml)及び水(50ml)でクエンチする。次いで、有機相を水及び飽和NaCl水溶液で抽出し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物をシリカゲル(35×45mm)、溶離液としてヘプタン(150ml)を用いて精製して、1,3−ジクロロ−5−(1−トリフルオロメチル−ビニル)−ベンゼン(2.7g)を無色油状物として得る。MS(HPLC/MS):イオン化なし。保持時間:5.10分。
【0154】
ステップB:ディーン・スターク装置において2−ブロモ−3−メチル−5−ホルミルチオフェン(4.0g)をトルエン(98ml)中に含む溶液にエチレングリコール(2.18ml)及びp−トルエンスルホン酸(0.74g)を添加する。還流下で18時間後、反応物を水でクエンチする。有機相を分離し、水性相を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、2−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−[1,3]ジオキソラン(4.04g)を黄色油状物として得る。MS(HPLC/MS):250(MH)。保持時間:4.02分。
【0155】
ステップC:2−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−[1,3]ジオキソラン(3.0g)をTHF(120ml)中に含む溶液に−78℃でBuLi(5.78ml,THF中2.5M)を添加する。−78℃で1時間後、反応溶液にCOを緩やかに1時間通気する。次いで、飽和塩化アンモニウム溶液(48ml)を添加し、反応物をゆっくり室温まで加温する。pH=1に達するまでHCl(1N)を添加し、反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、5−[1,3]ジオキソラン−2−イル−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(957mg)を黄色っぽい固体として得る。MS(HPLC/MS):215(MH)。保持時間:2.28分。
【0156】
ステップD:5−[1,3]ジオキソラン−2−イル−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(400mg)をTHF(9ml)中に含む溶液にピリジン(0.90ml)及び塩化チオニル(0.54ml)を添加する。室温で20時間後、反応混合物を真空中で濃縮する。粗生成物をジクロロメタン(6ml)中に溶解し、3,3,3−トリフルオロエチルアミン(0.28g)及びDIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン,0.52ml)をジクロロメタン(6ml)中に含む溶液に添加する。室温で1時間後、反応物を飽和NaHCO溶液でクエンチする。反応混合物をジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を水及び飽和NaCl水溶液で抽出し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、5−[1,3]ジオキソラン−2−イル−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド(491mg)を褐色油状物として得る。得られた粗生成物を更に精製することなく使用する。MS(HPLC/MS):296(MH)。保持時間:2.85分。
【0157】
ステップE:5−[1,3]ジオキソラン−2−イル−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド(450mg)をアセトン(10ml)中に含む溶液にHCl(2N,4ml)を添加する。50℃で4時間及び室温で一晩後、反応物を水でクエンチする。反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、5−ホルミル−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド(196mg)を黄色っぽい油状物として得る。MS(HPLC/MS):252(MH)。保持時間:2.54分。
【0158】
ステップF:ヒドロキシルアミン塩酸塩(60mg)及び5−ホルミル−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド(190mg)をTHF(5ml)、水(1ml)及びDMSO(1ml)中に含む溶液に酢酸ナトリウム(90mg)を添加する。室温で3時間後、反応物を水でクエンチする。反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、5−(ヒドロキシイミノ−メチル)−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミドを得る。得られた粗生成物(206mg,黄色っぽい油状物)を更に精製することなく使用する。MS(HPLC/MS):267(MH)、保持時間:2.56分及び2.64(2つのジアステレオ異性体)。
【0159】
ステップG:Chlorox(4%,1.02ml)及びNaOH(1N,0.1ml)を予備混合した後、5−(ヒドロキシイミノ−メチル)−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド(200mg)及び1,3−ジクロロ−5−(1−トリフルオロメチル−ビニル)−ベンゼン(170mg,実施例1,ステップA)をTHF(3ml)及びジエチルエーテル(3ml)中に含む溶液に5℃で添加する。次いで、冷却浴を外す。21時間後、水を添加し、反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。有機相を合わせ、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−アミド(56mg)を明黄色油状物として得る。MS(HPLC/MS):505(MH)。保持時間:4.38分。
【実施例2】
【0160】
本実施例は、4−{5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロ−メチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−イル}−ピリジン(表1中の化合物1.45)の製造を説明する。
【0161】
ステップA:AlCl(11.53g)をジクロロメタン(310ml)中に含む懸濁液に0℃でアセチルクロリド(7.09g)を添加する。0℃で45分後、2−ブロモ−3−メチルチオフェン(5.0g)を一滴ずつ添加する。0℃で1時間後、水(100ml)を添加することにより反応物をクエンチする。混合物をジクロロメタンで3回抽出する。有機相を合わせ、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を酢酸エチルとヘプタンの混合物(1:6)で溶離させるシリカゲル(180g)クロマトグラフィーにより精製して、1−(5−ブロモ−4−メチルチオフェン−2−イル)−エタノン(3.5g)を褐色固体として得る。
【0162】
ステップB:3’,5’−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(48.0g)及び1−(5−ブロモ−4−メチルチオフェン−2−イル)−エタノン(30.3g)をTHF(1000ml)中に含む溶液にLiH(2.06g)を添加する。60℃で2時間後、MTBE(300ml)を添加し、反応混合物を0℃で水(500ml)に注ぐ。有機相を水及び飽和NaCl水溶液で抽出し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、1−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−ブタン−1−オン(71.2g)を得る。粗生成物を更に精製することなく使用する。
【0163】
ステップC:1−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−ブタン−1−オン(63.9g)及びトリエチルアミン(38.5ml)をジクロロメタン(900ml)中に含む溶液に無水トリフルオロ酢酸(27.1ml)を一滴ずつ添加する。室温で2時間後、反応物を水で希釈する。反応混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を飽和NaHCO水溶液で1回、飽和NaCl水溶液で1回洗浄し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、(E/Z)−1−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−ブタ−2−エン−1−オン(72.3g)を得る。粗生成物を更に精製することなく使用する。
【0164】
ステップD:(E/Z)−1−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−ブタ−2−エン−1−オン(62.7g)をエタノール(600ml)中に含む溶液にNaOH(13.6g)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(9.8g)を添加する。室温で2時間後、反応混合物を真空中で濃縮する。残渣に酢酸エチルを添加する。有機相を飽和NaCl水溶液で抽出し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物をヘプタンと酢酸エチルの混合物(100:0→95:5)で溶離させるシリカゲル(2000g)クロマトグラフィーにより精製して、3−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾール(41.6g,表1中の化合物1.9)を褐色固体として得る。
【0165】
ステップE:3−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾール(100mg)、KCO(90mg)及びPd(PPh(20mg)をTHFと水の混合物(0.4ml、9:1)中に含む溶液にピリジン−4−ボロン酸(30mg)を添加する。70℃で22時間後、反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで3回抽出する。有機相を合わせ、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、4−{5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−イル}−ピリジン(40mg)を無色油状物として得る。MS(HPLC/MS):457(MH)。保持時間:5.20分。
【実施例3】
【0166】
本実施例は、1−ベンジル−4−{5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−イル}−1H−[1,2,3]トリアゾール(表1中の化合物1.46)の製造を説明する。
【0167】
ステップA:1−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−エタノン(16.9g,実施例1,ステップA)、Pd(PPhCl(3.78g)、CuI(1.46g)及びトリエチルアミン(16ml)をDMF(15ml)中に含む溶液にトリメチルシリルアセチレン(16ml)を添加する。室温で3時間後、反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで3回抽出する。有機相を合わせ、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物をジクロロメタンで溶離させるシリカゲルプラグを用いる濾過により精製して、1−(4−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チオフェン−2−イル)−エタノン(18.2g)を黄色固体として得る。化合物を更に精製することなく使用する。
【0168】
ステップB:3’,5’−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(26.6g)及び1−(4−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チオフェン−2−イル)−エタノン(18.2g)をTHF(100ml)中に含む溶液にLiH(1.72g)を添加する。60℃で30分後、MTBE(200ml)を添加し、反応混合物を5℃の水(30ml)に注ぐ。有機相を水及び飽和NaCl水溶液で抽出し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−(4−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チオフェン−2−イル)−ブタン−1−オン(20.7g)を得る。粗生成物を更に精製することなく使用する。
【0169】
ステップC:3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−(4−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チオフェン−2−イル)−ブタン−1−オン(20.7g)及びトリエチルアミン(12.0ml)をジクロロメタン(40ml)中に含む溶液に無水トリフルオロ酢酸(8.46ml)を一滴ずつ添加する。室温で3時間後、反応物を飽和NaHCO水溶液で希釈し、ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、(E/Z)−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−1−(4−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チオフェン−2−イル)−ブタ−2−エン−1−オン(17.6g)を褐色油状物として得る。粗生成物を更に精製することなく使用する。
【0170】
ステップD:(E/Z)−3−(3,5−ジクロロ−フェニル)−4,4,4−トリフルオロ−1−(4−メチル−5−トリメチルシラニルエチニル−チオフェン−2−イル)−ブタ−2−エン−1−オン(17.6g)をエタノール(120ml)中に含む溶液にNaOH(3.66g)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(2.65g)を添加する。室温で2時間後、反応物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−3−(5−エチニル−4−メチル−チオフェン−2−イル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾール(6.32g)を赤色固体として得る。融点105〜107℃。
【0171】
ステップE:ベンジルアジド(33mg)、DIPEA(1.05ml)及び5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−3−(5−エチニル−4−メチル−チオフェン−2−イル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾール(100mg)をDMF(2.0ml)中に含む溶液にCuI(47mg)を添加する。室温で16時間後、反応物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、1−ベンジル−4−{5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−イル}−1H−[1,2,3]トリアゾール(34mg)を黄色っぽい泡状物として得る。MS(HPLC/MS):537(MH)。保持時間:5.04分。
【実施例4】
【0172】
本実施例は、5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−アミド(表1中の化合物1.28)の製造を説明する。
【0173】
ステップA:N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン(5.0g)、PYBOP(ベンゾトリアゾル−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(16.3g)及び2,2,2−トリフルオロエチルアミン(2.47ml)をジクロロメタン(48ml)中に含む溶液にDIPEA(15ml)を添加する。室温で24時間後、反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相をHCl(2M)、NaCO(1M)及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を酢酸エチルとヘキサンの混合物(2:3→3:2)で溶離させるカラムクロマトグラフィー(450g)により精製して、[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.89g)を得る。
【0174】
ステップB:[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.89g)をジクロロメタン(75ml)中に含む溶液にトリフルオロ酢酸(23.4ml)を一滴ずつ添加する。室温で18時間後、反応混合物を真空中で濃縮する。粗油状物をジエチルエーテル中で結晶化することにより精製して、(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル−アンモニウムトリフルオロ酢酸塩(4.12g)を白色固体として得る。
【0175】
ステップC:3−(5−ブロモ−4−メチル−チオフェン−2−イル)−5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾール(10.0g,実施例2,ステップD)をTHF(15ml)中に含む溶液に0℃でエチルマグネシウムクロリド(10.9ml,THF中2M)を30分間かけて添加する。室温で1時間後、シアノギ酸エチル(2.81g)をTHF(15ml)中に含む溶液を反応混合物に添加する。40分後、反応物を飽和NHCl水溶液でクエンチする。混合物をMTBEで3回抽出する。有機相を合わせ、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取用HPLCで精製して、5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステル(5.6g)を黄色っぽい油状物として得る。
【0176】
ステップD:5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルエステル(9.88g)をTHFと水の混合物(240ml,9:1)中に含む溶液にLiOH(3.2g)を添加する。室温で16時間後、LiOH(1.05g)及びTHF(150ml)を添加した。反応混合物を50℃で10時間加熱した。pH1〜2が得られるまで反応混合物にHCl(2N)を添加した。次いで、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。有機相を合わせ、水及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(9.3g)を褐色樹脂として得た。粗生成物を更に精製することなく使用する。
【0177】
ステップE:(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル−アンモニウムトリフルオロ酢酸塩(0.170g,実施例4,ステップB)、PYBOP(0.270g)及び5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(0.2g)をジクロロメタン(3ml)中に含む溶液に0℃でDIPEA(0.246ml)を添加する。室温で30分後、反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液及び飽和NaHCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮する。粗生成物を半分取逆相HPLCで精製して、5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−カルボン酸[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−アミド(8.73g)をベージュ色泡状物として得る。MS(HPLC/MS):562(MH)。保持時間:3.94分。
【0178】
下表1に挙げた物質は上記方法と同様にして製造される。化合物は式
【0179】
【化16】

(式中、Aの意味は表1に記載されている)
を有している。
【0180】
以下の物性データは上記したHPLC/MS特性決定方法に従って得る。融点の値は℃で示す。
【0181】
【表2】











【0182】
下表2に挙げた物質は上記方法と同様にして製造される。化合物は式
【0183】
【化17】

(式中、Aの意味は表2に記載されている)
を有している。
【0184】
以下の物性データは上記したHPLC/MS特性決定方法に従って得る。融点の値は℃で示す。
【0185】
【表3】

【0186】
生物学的例
1.ネコノミ(Ctenocephalides felis)に対するインビトロ活性
ノミの混合成虫集団をノミが人工飼養システムに近づき、このシステムを介して処理血液を食うことができるように適切にフォーマットした96ウェルプレート中に置く。ノミが処理血液を24時間食った後、化合物の効果を記録する。殺虫活性を飼養システムから回収した死亡ノミの数に基づいて調べる。
【0187】
化合物1.1、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.13、1.14、1.19、1.20、1.21、1.23、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.35、1.47、1.48、1.49、1.50、1.52、1.54、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.68、1.69、1.70、1.76、1.78、1.84、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90、1.91、1.92、1.93、1.99、1.102、1.104、1.105、1.106、1.107、1.108、1.109、1.110、1.112、1.113、1.114、2.1、2.2、2.3、2.4及び2.5は100ppmで80%(EC80)以上の効果を示した。
【0188】
2.イヌマダニ(Rhipicephatus sanguineus)に対するインビトロ活性
清潔な成マダニ集団を駆虫活性について評価しようとする試験物質を収容している適切にフォーマットした96ウェルプレートに接種するために使用する。最小有効量(MED)を調べるために各化合物を連続希釈により試験する。マダニを試験化合物と10分間接触させた後、28℃及び80%の相対湿度で7日間インキュベートする。この間試験化合物の効果をモニターする。成マダニが死亡したならば、殺ダニ活性が確認される。
【0189】
この試験において以下の実施例:1.1、1.8、1.13、1.14、1.19、1.21、1.23、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.35、1.47、1.48、1.49、1.58、1.59、1.60、1.62、1.63、1.72、1.75、1.85、1.90、1.104、1.108.1.109、1.112、2.2、2.3、2.4及び2.5は640ppmで80%(EC80)以上の効果を示した。
【0190】
3.スナネズミ(Meriones unquiculatus)に集っているイヌマダニ(Rhipicephatus sanguineus)若虫に対するインビボ活性(噴霧施用)
0日目にスナネズミを所与用量の試験化合物で噴霧適用により処理する。+1(+2)日目に動物にイヌマダニ若虫を寄生させる。満腹になるまでマダニを動物に集らしておく。寄生から7日後、満腹の死んだ若虫を集め、カウントする。死滅効果をアボット式を用いてプラセボ処理群と比較したマダニ数の減少として表す。
【0191】
本試験では、下記実施例が表3に示す用量で80%(EC80)以上の効果を示した。
【0192】
【表4】

【0193】
4.スナネズミ(Meriones unquiculatus)に集っているイヌマダニ(Rhipicephatus sanguineus)若虫に対するインビボ活性(経口適用による)
処理前日にスナネズミにイヌマダニ若虫を寄生させる。0日目に動物に所要用量で調合した試験化合物を用いてチューブによる栄養補給により経口的に処理する。満腹になるまでマダニを動物に集らしておく。寄生から7日後、満腹の死んだ若虫を集め、カウントする。死滅効率をアボット式を用いてプラセボ処理群と比較したマダニ数の減少として表す。
【0194】
本試験では、下記実施例:1.28、1.31、1.48、1、49、1.58、2.3、2.4及び2.5が100mg/kgで90%(EC80)以上の効果を示した。
【0195】
5.スナネズミ(Meriones unquiculatus)に集っているネコノミ(Ctenocephalides felis)に対するインビボ活性(経口適用による)
0日目にスナネズミに所要用量で調合した試験化合物を用いてチューブによる栄養補給により経口的に処理する。処理直後に、ネコノミの混合成虫集団を寄生させる。48時間寄生後、スナネズミから回収した生存ノミの数をカウントすることにより有効性を評価する。有効性はアボット式を用いてプラセボ処理群と比較して表す。
【0196】
本試験では、下記実施例:1.28、1.31、1.48、1.49、2.3及び2.4が100mg/kgで90%(EC80)以上の効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべての幾何及び立体異性体、N−オキシド及び塩を含めた式(I)
【化1】

[式中、
XはS(O)、OまたはNR’であり;
及びXは各々他から独立してCR’またはNであり;
nは0〜4の整数であり;
mは0〜2の整数であり;
、B及びBは各々独立してCR’及びNからなる群から選択され;
各R’は他から独立してHまたはRであり;
各R’は他から独立してHまたはRであり;
は各々が未置換であるかまたはRから独立して選択される1個以上の置換基で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;
はハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノまたはニトロであり;
各Rは独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ(−CN)またはニトロ(−NO)であり;
各Rは独立してH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ、ニトロ、或いは未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、アミノ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル、ピリジルまたはピリミジルであり;
Zはハロゲン、ラジカルQまたは基−C(W)−NRであり;
Qは各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、スルホンアミド、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルスルホンアミド、C−C−アルキルカルボニルアミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルカノイル、基(alk)−C(W’)N”R、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、フェノキシ、ピリジル、ピリジル−(alk)−、ピリミジル及びピリミジル(alk)−(ここで、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、フェノキシ、ピリジル及びピリミジルは各々未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノ、ニトロまたはアミノで置換される)から独立して選択される1個以上の置換基で置換される5または6員ヘテロ環式環、C−C10−炭素環式環系、または8、9または10員縮合ヘテロ二環式環系であり;
(alk)は直鎖または分岐状C−C−アルキレンであり;
W及びW’は各々他から独立してOまたはSであり;
、R’及びR”は各々他から独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキル、C−C−シクロアルキルアルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり;
はH、Q’(ここで、Q’は独立してQの意味を有する)であり、または各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニル、基−C(W’)NR”RまたはラジカルQ”(ここで、Q”は独立してQの意味を有する)で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;或いは
及びRはこれらが結合しているN原子と一緒に、任意にN、S及びOからなる群から選択される追加ヘテロ原子を含有し、更に未置換であるかまたはC−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロで置換される3〜7員環を形成し;
は各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、ピリジル、ピリミジルまたはチアゾリル(ここで、ピリジル、ピリミジルまたはチアゾリルはハロゲン、シアノ、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルでモノ−またはジ−置換される)で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルである]
を有する化合物。
【請求項2】
XはS(O)、OまたはNR’であり;
及びXは各々他から独立してCR’またはNであり;
nは0〜4の整数であり;
mは0〜2の整数であり;
、B及びBは各々独立してCR’及びNからなる群から選択され;
各R’は他から独立してHまたはRであり;
各R’は他から独立してHまたはRであり:
は各々が未置換であるかまたはRから独立して選択される1個以上の置換基で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;
はハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノまたはニトロであり;
各Rは独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノ(−CN)またはニトロ(−NO)であり;
各Rは独立してH、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、シアノまたはニトロであり;
Zはハロゲン、ラジカルQまたは基−C(W)−NRであり;
Qは各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、スルホンアミド、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルスルホンアミド、C−C−アルキルカルボニルアミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルカノイル、並びに未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノまたはニトロで置換されるフェニル、ベンジル、ベンゾイルまたはフェノキシから独立して選択される1個以上の置換基で置換される5または6員ヘテロ環式環、C−C10−炭素環式環系、または8、9または10員縮合ヘテロ二環式環系であり;
WはOまたはSであり;
及びR’は各々他から独立してH、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキル、C−C−シクロアルキルアルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり;
はH、Q’(ここで、Q’は独立してQの意味を有する)であり、または各々が未置換であるかまたはハロゲン、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルカノイル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルまたはラジカルQ”(ここで、Q”は独立してQの意味を有する)で置換されるC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルシクロアルキルまたはC−C−シクロアルキルアルキルであり;或いは
及びRはこれらが結合しているN原子と一緒に、任意にN、S及びOからなる群から選択される追加ヘテロ原子を含有し、更に未置換であるかまたはC−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロで置換される3〜7員環を形成する
請求項1に記載の式(I)を有する化合物。
【請求項3】
、B及びBは各々CR’である請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
XはS(O)、OまたはNR’であり、X及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立してCR’(ここで、R’は各々独立してHまたはC−C−アルキルである)であり、R’はHまたはC−C−アルキルであり、mは0〜2の整数である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
はハロ−C−C−アルキル、特にCFである請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】

【化2】

(式中、R、R、X、X、X、Z及びnは請求項1に定義されている通りである)
を有する請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
ZはN、O及びSからなる群から選択される1〜4個、好ましくは1〜3個の同一または異なるヘテロ原子を有し、更に未置換であるかまたはC−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、シアノ、ニトロ、C−C−アルコキシカルボニル、スルホンアミド、N−モノ−またはN,N−ジ−C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルカノイル、並びに未置換であるかまたはハロゲンまたはC−C−アルキルで置換されるフェニル、ベンジル、ベンゾイル及びフェノキシからなる群から選択される1個以上の置換基で置換される5または6員のヘテロ環式環である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Zは式
【化3】

(式中、(R)はハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ及びC−C−アルコキシカルボニルからなる群から選択される0〜3個の同一または異なる置換基である)
を有するラジカルQである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
ZはラジカルQ−34(ここで、rは0である)である請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Zは基−C(O)−NR[ここで、RはH、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり、Rはハロゲン、シアノ、ニトロまたはラジカルQ’(ここで、Q’は請求項7に記載されている通りのQの意味を有する)で置換されるC−C−アルキルである]である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
はHであり、Rはハロゲンで、または請求項7に記載されているラジカルQ−34またはQ−48(ここで、rは0である)で置換されるC−C−アルキルである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
nは1〜3の整数であり;
はハロゲンで置換されるC−C−アルキルであり;
各Rは独立してハロゲン、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ及びシアノからなる群から選択され;
XはS(O)、OまたはNR’であり;
mは0〜2の整数であり;
’はHまたはC−C−アルキルであり;
及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立してCR’(ここで、R’は各々独立してHまたはC−C−アルキルである)であり;
Zは
(i)ハロゲン、または
(ii)式
【化4】

(式中、(R)はハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキルチオ、シアノ、ニトロ及びC−C−アルコキシカルボニルからなる群から選択される0〜3個の同一または異なる置換基である)
を有するラジカルQのいずれかである、または
(iii)基−C(O)−NR[ここで、RはH、C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニルであり、Rはハロゲン、シアノ、ニトロ、または上記ラジカルQ−34、Q−48、Q−49またはQ−50(ここで、R及びrは定義されている通りである)で置換されるC−C−アルキルである]である
請求項6に記載の式(Ia)を有する化合物。
【請求項13】
nは1〜3の整数であり;
はCFであり;
各Rは独立してハロゲン、C−C−ハロアルキル、C−Cハロアルコキシ及びシアノからなる群から選択され;
XはS(O)(ここで、mは0〜2の整数、特に0である)であり;
及びXの一方はCR’であり、他方はNであり、または独立してCR’(ここで、R’は各々独立してHまたはC−C−アルキルである)であり;
Zは(ii)請求項7に記載されているラジカルQ−34(ここで、rは0である)、または(iii)基−C(O)−NR[ここで、RはHであり、Rはハロゲンで、または請求項7に記載されているラジカルQ−34またはQ−48(ここで、rは0である)で置換されるC−Cアルキルである]のいずれかである
請求項6に記載の式(Ia)を有する化合物。
【請求項14】
Zはラジカル−C(W)−NRであり、Rはラジカル−(alk)−C(W’)−NR”Rであり、W及びW’は各々独立してOまたはSであり、(alk)は直鎖または分岐状C−C−アルキレンであり、R、R”及びRは各々請求項1に定義されている通りである請求項1または6に記載の式(I)を有する化合物。
【請求項15】
Zはラジカル−C(O)−NR(ここで、RはHであり、Rはラジカル−(alk)−C(O)−NR”Rであり、(alk)はメチレンまたは1,2−エチレン、特にメチレンであり、R”はHであり、Rは未置換であるかまたはハロゲン、シアノまたはピリジルで置換されるC−C−アルキルであり、またはC−CアルキニルまたはC−C−シクロアルキル)である請求項6に記載の式(Ia)を有する化合物。
【請求項16】
ZはラジカルQであり、Qは式
【化5】

(式中、rは1であり、Rはラジカル−(alk)−C(W’)−NR”Rであり、(alk)は直鎖または分岐状C−Cアルキレンであり、WはOまたはSであり、R”及びRは各々請求項1に定義されている通りである)
を有するラジカルである請求項1または6に記載の式(I)を有する化合物。
【請求項17】
ZはラジカルQであり、Qは式
【化6】

(式中、Rはラジカル−(alk)−C(O)−NHRであり、(alk)はメチレンまたは1,2−エチレン、特にメチレンであり、Rは未置換であるかまたはハロゲン、シアノまたはピリジルで置換されるC−C−アルキルであり、またはC−C−アルキニルまたはC−C−シクロアルキルである)
を有するラジカルである請求項6に記載の式(Ia)を有する化合物。
【請求項18】
5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−アミド、
5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸(4−トリフルオロメチル−チアゾル−2−イル)−アミド、
5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸エチルカルバモイルメチル−アミド、
5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸プロパ−2−イニルカルバモイルメチル−アミド、
5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[(シアノメチル−カルバモイル)−メチル]−アミド、
5−[5−(3,5−ジクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[(2,2,2−トリフルオロ−エチルチオカルバモイル)−メチル]−アミド、
5−[5−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−アミド、
5−[5−(3,4,5−トリクロロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−アミド、または
5−[5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−イソオキサゾル−3−イル]−3−メチル−チオフェン−2−カルボン酸[(2,2,2−トリフルオロ−エチルカルバモイル)−メチル]−アミド
である請求項1に記載の式(I)を有する化合物。
【請求項19】
担体及び/または分散剤に加えて、活性成分として少なくとも1つの請求項1〜18のいずれか1項に記載の式(I)を有する化合物を含む寄生虫を防除するための組成物。
【請求項20】
温血動物に対して少なくとも1つの請求項1〜18のいずれか1項に記載の式(I)を有する化合物を医薬有効量適用することを含む温血動物の中及び上に集っている寄生虫の防除方法。
【請求項21】
寄生虫の防除における請求項1〜18のいずれか1項に記載の式(1)を有する化合物の使用。
【請求項22】
温血動物の中及び上に集っている寄生虫の防除方法における請求項1〜18のいずれか1項に記載の式(I)を有する化合物の使用。
【請求項23】
温血動物の中及び上に集っている寄生虫に対する医薬組成物の製造における請求項1〜18のいずれか1項に記載の式(I)を有する化合物の使用。

【公表番号】特表2012−512838(P2012−512838A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541454(P2011−541454)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067450
【国際公開番号】WO2010/070068
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】