説明

イソシアネート基を含有する付加化合物及び塗装される被着物に効果的に接着する組成物

【課題】接着剤または封止剤として使用されるポリウレタンのためには、これらの接着剤及び封止剤が弾性を有することが必須である。
【解決手段】接着剤、封止剤、またはコーティング剤の組成物に添加可能であり、硬化の直後に弾性値を急激に減少せずに塗装に対するその様な組成物の接着を促進することが可能であり、そのため、下塗り剤の予備的な使用無しで、塗装、特に車のトップコートに対する効果的な接着を示す弾性を有する接着剤の接着、封止、及びコーティングを生産するために使用されて良い物質を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート基を含む付加化合物、及びその様な付加化合物を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の被着体に対する接着剤、封止剤、及びコーティング剤の接着を達成することは非常に困難であることが知られている。
【0003】
塗装表面は接着を達成することが困難であることが既知の1つの被着体である。これに関連して、塗装、特に自動車のトップコートは、外観(色、光沢)のため、並びに機械的及び化学的な損傷に対する抵抗性のために主に最適化されるため接着の効果的な創出に対して一般的に障害である表面の特性を有するので、特に挑戦的な被着体である。
【0004】
そのため、予備的に適用される下塗り剤とも称されるアンダーコートを使用して、または接着促進剤を添加して接着を改善するための試みが為されている。しかしながら、適用の容易性のために、使用者側の願望は、例えば、M. Rieder, Kleben and Dichten, による文献「No primers required」Vol. 38, May 1994, pp. 10-17に開示されるような、下塗り剤無しで効果的な被着体への接着を示す接着剤に典型的に関する。効果的な塗装に対する接着を示す接着剤は多くの事例、例えばWO 99/33930において記載されている。しかしながら、特に自動車業界は絶えず新しい塗装物を開発しているという事実が接着剤及び封止剤の接着特性に対する高度な課題をもたらすために、接着の更なる改善が必要である。
【0005】
接着促進剤としてのイソシアヌレートの使用が同様に既知である。US 4,324,879は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートへの三量体化の改善された方法、及びこのポリイソシアネートを含む塗装の金属に対する驚くほどに効果的な接着を記載している。
【0006】
ポリイソシアネートの付加化合物は封止剤対する添加物としても知られている。US 5,623,044は、ポリイソシアネート及び第二級アミノシランまたはメルカプトシランの付加化合物を含むポリウレタン封止剤を記載しており、前記付加化合物は、平均的に少なくとも1つのシラン基及び少なくとも1つのイソシアネート基を有し、金属に対するガラスの定着のための封止剤の適性が開示されている。
【0007】
US 6,649,084はイソシアネート基を含有する張り合わせ用接着剤のための硬化剤、とりわけ、脂肪族ポリイソシアネート及び好ましくは少なくとも800の分子量を有するブロック-ポリエチレン-ポリプロピレン-モノオールの付加化合物を含む張り合わせ用接着剤のための硬化剤を記載している。
【0008】
EP-A-0 540 985は、水性の結合剤のために適切に架橋される親水性に修飾されるポリイソシアネートを記載しており、脂肪族ポリイソシアネート及び平均5から9.9エチレンオキシド単位を有する単官能ポリエーテルアルコールの付加化合物(イソシアネート基を含有している)を開示している。
【特許文献1】WO 99/33930
【特許文献2】US 4,324,879
【特許文献3】US 5,623,044
【特許文献4】US 6,649,084
【特許文献5】EP-A-0 540 985
【非特許文献1】「No primers required」Vol. 38, May 1994, pp. 10-17
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの先行技術のポリイソシアネートまたは付加化合物の使用のいずれも、接着において殆どまたは全く改善を生み出さず、またはそれらは架橋反応を誘導し、一方で硬化されない組成物の粘度を急激に増大し、他方で硬化される接着剤または封止剤の弾性値を急激に減少させる。
【0010】
しかしながら、接着剤または封止剤として使用されるポリウレタンのためには、これらの接着剤及び封止剤が弾性を有することが必須である。
【0011】
接着剤、封止剤、またはコーティング剤の組成物に添加可能であり、硬化の直後に弾性値を急激に減少せずに塗装に対するその様な組成物の接着を促進することが可能であり、そのため、下塗り剤の予備的な使用無しで、塗装、特に車のトップコートに対する効果的な接着を示す弾性を有する接着剤の接着、封止、及びコーティングを生産するために使用されて良い物質を提供することが本発明の主題である。
【0012】
驚くべきことに、請求項1に記載の付加化合物がこの主題を達成することがここで明らかになった。特に驚くべきことに、シラン基の非存在にも拘らず、この種の付加化合物は塗装に対する接着の促進を誘導することが可能である。
【0013】
これらの付加化合物が、請求項8に係る一液形の組成物においてのみで無く、請求項17に係る二液形の組成物においても使用されて良く、望まれる特性が達成されることが明らかになった。この種の硬化される組成物は、効果的な塗装の接着のみで無く、更に重要な機械的特性、特に高い拡張性と共に高い抗張力も有する。
【0014】
そのため、前記組成物は塗装物、特に自動車のトップコートの弾性接着剤の接着、封止、及びコーティングに適しており、従って、特に乗り物の製造における適用が見出される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は化学式(I)の付加化合物を提供する。
【0016】
【化1】

【0017】
この化学式では、R1は1から20のC原子を有する炭化水素基である。R1は任意に2までヘテロ原子を含んで良い。更に、置換基R1はシラン基を含まない。
【0018】
更に、前記化学式(I)におけるXは以下の置換基である。
【0019】
【化2】

【0020】
ここで、点線は形式的にC=O及びR1に対する結合を表す。
【0021】
更に、R2は1から20のC原子を有する直鎖または分枝の炭化水素基である。この炭化水素基は、任意に環状の部分を含む。この炭化水素基は、エーテル、スルホン、ニトリル、ニトロ、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、及びホスホン酸エステルを含む群より選択される少なくとも1つの官能基を任意に更に含んで良い。
【0022】
更に、他方で、R3及びR4は独立に、個々に1から20のC原子を有し、任意に環状の部分を含む直鎖または分枝の炭化水素基である。
【0023】
他方では、R3及びR4は尿素基と共に5または6員環を形成する。この環は置換されて良く、3から20のC原子を含む。
【0024】
更に、Yは後にそのいずれも除去される3つのイソシアネート基を有するオリゴマー脂肪族ポリイソシアネートの基である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本明細書では、用語「オルガノアルコキシシラン」または短縮して「シラン」は、第一に少なくとも1つ、典型的に2つまたは3つのケイ素原子に直接結合する(Si-O結合を介して)アルコキシ基が存在する、第二に少なくとも1つのケイ素原子に直接結合する(Si-C結合を介して)有機基を有する化合物を意味する。同様に、用語「シラン基」は、オルガノアルコキシシランの有機基に結合するケイ素を含有する基を意味する。前記オルガノアルコキシシランまたはそれらのシラン基は水分との接触で加水分解する特性を有する。この加水分解はオルガノシラノール、すなわち1つ以上のシラノール基(Si-OH基)を含有するオルガノシリコン化合物、及びそれに続く縮合反応の結果としてオルガノシロキサン、すなわち1つ以上のシロキサン基(Si-O-Si基)を含有するオルガノシリコン化合物の形成に伴う。
【0026】
本明細書で「シラン基」は、オルガノアルコキシシランの有機基に結合する加水分解性のケイ素を含む基を意味する。
【0027】
「アミノシラン」、「ヒドロキシシラン」、及び「メルカプトシラン」の様な用語は、対応する官能基、すなわちアミノアルキルアルコキシシラン、ヒドロキシアルキルアルコキシシラン、及びメルカプトアルキルアルコキシシランを含有するシランを意味して使用される。
【0028】
「オリゴマー」は、まさにオリゴマーとして分類される二量体及び三量体と共に、幾つかのモノマーの結合を介して構成される化合物である。「脂肪族オリゴマーポリイソシアネート」は、脂肪族ジイソシアネートの単一のオリゴマー又はオリゴマーの混合物であって、これらのオリゴマーは同種のまたは異種のジイソシアネートから構成される可能性があり、水または二酸化炭素のような小分子はそのオリゴマー化に含まれる、または除外される可能性がある。
【0029】
他方では、本明細書で用語「ポリマー」は、重合反応によって調製されている(付加重合、重付加、重縮合)、重合度、分子量、及び鎖の長さに関しては異なるが化学的に均一な高分子の群を意味する。他方で、前記用語は重合反応に由来する高分子のその様な群の誘導体、つまり例えば現在の高分子上の官能基の付加反応または置換反応のような反応によって得られており、化学的に均一または化学的に不均一であって良い化合物も意味する。前記用語はプレポリマーとして既知のもの、つまりその官能基が高分子の構造に含まれる、反応性オリゴマー前付加化合物(preadduct)を更に意味する。
【0030】
本明細書で、例えば「ポリイソシアネート」または「ポリオール」のような物質名の接頭語「ポリ」は、関連の物質が分子毎にその名前に現れる官能基(例えば、イソシアネート基またはヒドロキシル基)を2つ以上形式上含有するという事実を意味する。
【0031】
化学式(I)の付加化合物は、例えば、化学式(III)の少なくとも1つの化合物と化学式(II)の少なくとも1つの脂肪族オリゴマーポリイソシアネートとの反応を介して調製可能である。
【0032】
【化3】

【0033】
置換基R1、Y、及びXは上述のように規定される。
【0034】
適切な化学式(II)の脂肪族オリゴマーポリイソシアネートは、例えば以下の市販されている従来のジイソシアネートの三量体のような脂肪族ジイソシアネートの三量体である:ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(TMDI)、ドデカメチレン1,12-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート、及びこれらの異性体の所望の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロジフェニルメタン2,4'-及び4,4'-ジイソシアネート(HMDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、キシリレンm-及びp-ジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレン1,3-及び1,4-ジイソシアネート(TMXDI)、並びに1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、好ましくはHDI及びIPDIである。
【0035】
これらの三量体の工業的な形態は、典型的に異なる重合度及び化学構造を有する物質の混合物である。適切な形態は、好ましくは2.4から4.0の平均NCO官能価を有し、特にイソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、またはビウレット基を含む工業的なオリゴマー混合物である。更に、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン(uretonimine)、またはオキサジアジントリオン基が存在しても良い。これらのオリゴマー混合物は、二量体及びより低い、高いオリゴマーとの混合物において、好ましくは大多数の化学式(II)の三量体を含む。適切な市販されている工業的な脂肪族ジイソシアネートのオリゴマー混合物は、HDIビウレット、例えばDesmodur(登録商標)N100及びN3200(Bayer社)、Tolonate(登録商標)HDB及びHDB-LV(Rhodia社)、並びにDuranate(登録商標)24A-100(Asahi Kasei社);HDIイソシアヌレート、例えばDemodur(登録商標)N3300、N3600、及びN3790BA(全てBayer社)、Tolonate(登録商標)HDT、HDT-LV、及びHDT-LV2(Rhodia社)、Duranate(登録商標)TPA-100及びTHA-100(Asahi Kasei社)、並びにCoronate(登録商標)HX(Nippon Polyurethanes社);HDIウレトジオン、例えばDesmodur(登録商標)N3400(Bayer社);HDIイミノオキサジアジンジオン、例えばDesmodur(登録商標)XP2410(Bayer社);HDIアロファネート、例えばDesmodur(登録商標)VP LS 2102(Bayer社);並びにIPDIイソシアヌレート、例えば溶液のDesmodur(登録商標)Z4470(Bayer社)または固体のVestanat(登録商標)T1890/100(Degussa社)である。
【0036】
HDI及び/またはIPDI、特にイソシアヌレートの三量体が好ましい。
【0037】
適切な化学式(III)の化合物は、
−モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、及び20までのC原子を有し、3までのへテロ原子を含んで良い、更なる直鎖または分枝または環状のモノアルコール、例えばテトラヒドロフルフリルアルコールまたはD,L-α,β-イソプロピリデングリコール(Solketal(登録商標));
−モノフェノール、例えばフェノール、クレゾール、及び他のアルキルモノフェノール、例えばノニルフェノール、1-及び2-ナフトール、及びニトロフェノール;
−脂肪族モノチオール、例えばブタンチオール、ヘキサンチオール、オクタンチオール、シクロヘキサンチオール、またはベンジルメルカプタン;チオグリコール酸エステル、例えばメチルチオグリコレートまたは2-エチルヘキシルチオグリコレート;
−芳香族モノメルカプト化合物、例えば2-メルカプトベンゾチアゾールまたは2-メルカプトベンゾキサゾール;
−第二級脂肪族モノアミン、例えばジメチルアミン、N-エチルメチルアミン、ジエチルアミン、N-エチルイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N-メチルブチルアミン、N-メチルtert-ブチルアミン、n-エチルブチルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N-メチルヘキシルアミン、N-メチルアリルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-アリルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペルジン、ホモピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、デカヒドロキノリン、ペルヒドロイソキノリン、及び20までのC原子の炭化水素を有する更なる第二級脂肪族モノアミン;ポリオキシプロピレン主鎖に基づく第二級モノアミン;並びに第一級モノアミンのマイケル様付加反応(Michael-like addition)に由来する生産物、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アリルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、及びマイケル受容体と共に20までのC原子を有する更なる第一級モノアミン、例えばマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、桂皮酸エステル、イタコン酸ジエステル、ビニルホスホン酸ジエステル、ビニルスルホン酸アリールエステル、ビニルスルホン、ビニルニトリル、1-ニトロエチレン、または例えばマロン酸ジエステル、及びアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、若しくはベンズアルデヒドのKnoevenagel縮合反応の生産物、例えばジエチルN-ブチルアミノサクシネート;
−第二級芳香族モノアミン、例えばN-メチルアニリン、N-メチルトルイジン、及びジフェニルアミン;
−第二級モノカルボオキサミド、例えばN-メチル-ホルムアミド、N-メチルアセトアミド、及びラクタム、例えばピロリドン、バレロラクタム、及びカプロラクタム;
−三置換体のモノ尿素、例えばトリメチル尿素、トリブチル尿素、N-メチル-N,N'-エチレン尿素、及びN-メチル-N,N'-プロピレン尿素;
−モノカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、2-エチルカプロン酸、ラウリン酸、または安息香酸である。
【0038】
化学式(III)の好ましい化合物は、脂肪族モノアルコール、特に2-エチル-1-ヘキサノール、脂肪族モノチオール、特にチオグリコール酸エステル、例えば2-エチルヘキシルチオグリコレート、及び第二級脂肪族モノアミン、特にジブチルアミン、並びにN-メチルアミノ-、N-エチルアミノ-、N-プロピルアミノ-、N-ブチルアミノ-、及びN-(2-エチルヘキシル)アミノ-コハク酸のジエチルエステルである。
【0039】
化学式(III)の化合物が脂肪族ポリイソシアネートに関して単官能であること、つまり化学式(III)の化合物が唯一のイソシアネート基と反応すること、または換言すると置換基R1がNCO反応基を含まないことは当業者には明らかである。
【0040】
化学式(III)の化合物として不適切なものは、この種のモノアルコールを有するオキシエチレン単位の親水性のために顕著な量の水が導入されるので、第1にポリエチレングリコールモノアルコール(ポリエチレングリコールモノエーテル)、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーに基づくモノアルコールである。この水はイソシアネート基と反応し、弾性接着剤、封止剤、またはコーティング剤に使用するために望ましくない粘度を増大させる更なる反応を誘導する。この種の親水性のモノアルコールからの水の除去は非常に面倒であり、多大な費用を要するであろう。
【0041】
また、化学式(III)の化合物として不適切なものは全部で3つより多くのヘテロ原子を有するモノアルコールであり、例えば2つより多くのエーテル基を有するモノアルコールである。脂肪族オリゴマーポリイソシアネートと共にその様なモノアルコールに基づく付加化合物は、化学式(I)に係る付加化合物の接着性よりも有意に乏しい接着性を有する。
【0042】
カルボン酸と化学式(II)の脂肪族オリゴマーポリイソシアネートとの間の反応によって調製されている化学式(I)の付加化合物の場合、前記付加化合物は、アミド基の形成と共に、高温、例えば60から120℃で二酸化炭素を除去して良いことが当業者には明らかである。
【0043】
前記反応は、例えば0℃から100℃の温度で、適当には適切な触媒の更なる使用によって、標準的な方法による化学式(II)の脂肪族オリゴマーポリイソシアネートと化学式(III)の化合物との反応によって典型的に達成され、2つの遊離のイソシアネート基を有する化学式(I)の付加化合物を平均的に形成する方法で、化学式(II)のポリイソシアネートのイソシアネート基は化学式(III)の化合物のイソシアネート反応基であるHXに対応して導入される。適当な化学式(I)の付加化合物が溶剤及び/または可塑剤の更なる使用によって調製され得る場合では、使用される溶剤及び可塑剤はいずれのイソシアネート反応基も含有すべきでない。特に、化学式(II)若しくは(III)の出発物質の1つまたは化学式(I)の付加化合物が室温または反応温度で固体である場合は、溶剤及び/または可塑剤の存在下で反応を実施するのが有利であり、特に可塑剤の使用が好ましい。
【0044】
化学式(I)の付加化合物の調製のために、実質的に無水または少なくともかなり乾燥した反応物が使用され、化学式(I)の付加化合物の調製全体だけでなく保管についても実質的に水分が除去されて実施されることは非常に有利である。
【0045】
上述のように、化学式(II)のオリゴマー脂肪族ポリイソシアネートは、2.4から4.0の平均NCO官能価を有する工業的な混合物の一部として典型的に使用される。1つの成分として化学式(I)の少なくとも1つの付加化合物を含む反応生産物を形成する、化学式(III)の化合物を使用するこの種の工業的な混合物の反応では、NCO基とHX基との間の化学量論比は好ましくは、前記反応生産物が1.8から2.6、特に約2の平均NCO官能価を有するように選択される。
【0046】
前記化学式(I)の付加化合物は組成物、特にポリマーを含む組成物、例えば下塗り剤、塗装、ニス、接着剤、封止剤、コーティング剤、及び床仕上げ剤の1つの成分として、特に各種の被着体、例えばガラス、ガラス-セラミックス、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、プラスター、及び自然石、例えば花崗岩または大理石のような無機被着体、アルミニウム、鉄、非鉄金属、亜鉛メッキ金属のような金属または合金;木材、プラスチック、例えばPVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエステル、エポキシ樹脂のような有機被着体;粉末コーティング金属または合金のようなコーティングされた被着体;並びにインク及び塗装のための接着促進剤として使用されて良い。
【0047】
本発明は、化学式(I)の少なくとも1つの付加化合物、または、個々に上述されているようなそれらの好ましい実施態様、及び少なくとも1つのポリマーPも含む一液形の組成物を更に提供する。
前記ポリマーPはイソシアネート基及び任意にシラン基を含有する。
1つの実施態様では、前記ポリマーPはイソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーP1である。
他の実施態様では、ポリマーPはイソシアネート基だけでなくシラン基も含有するポリウレタンポリマーP2である。
【0048】
用語「ポリウレタンポリマー」は、本明細書のために、ジイソシアネート付加重合方法によって調製されるポリマーのいずれも意味する。これは、ウレタン基から実質的または完全に遊離しているポリマー、例えばポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリ尿素、ポリ尿素、ポリエステル-ポリ尿素、ポリイソシアヌレート、ポリカーボジイミドなどさえも意味する。
【0049】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーP1は、少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つのポリイソシアネートの反応を介して入手可能である。
【0050】
この反応は、適当には適切な触媒を更に使用して、例えば50℃から100℃の温度で、標準的な方法による前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとの反応によって達成されて良く、前記ポリイソシアネートは、前記ポリオールのヒドロキシル基に対して化学両論的に過剰にそのイソシアネート基が存在するような量で導入される。
【0051】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーを調製するために使用されて良いポリオールの例としては、以下の市販されている従来のポリオールまたはそれらの任意の所望の混合物:
−2つ以上の活性水素原子を有する出発分子、例えば水、アンモニア、または2つ以上のOHまたはNH基を有する化合物、例えば1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体及びトリプロピレングリコール異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチルオールエタン、1,1,1-トリメチルオールプロパン、グリセロール、アニリン、並びに上述の化合物の混合物によって任意に重合化される、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,3-若しくは2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合物の重合化反応生産物である、ポリエーテルポリオールまたはオリゴエーテルオールとも称されるポリオキシアルキレンポリオールが含まれる。例えば複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)と称されるものの助けで調製される、低い不飽和度(ASTM D-2849-69によって測定され、ポリオールのグラムあたりの不飽和のミリ当量(meq/g)で記録される)のポリオキシアルキレンポリオールだけでなく、例えばNaOH、KOH、CsOH、またはアルカリ金属アルコキシドのようなアニオン性触媒を使用して調製される高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールも使用されて良い。
【0052】
ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシプロピレンジオールまたはポリオキシプロピレントリオールは特に適切である。
【0053】
0.02meq/g未満の不飽和度、及び1000-30000g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、及び400-8000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びポリオキシプロピレントリオールは特に適切である。本明細書で用語「分子量」は、平均分子量Mnを意味する。
【0054】
同様に、エチレンオキシド末端(「EOエンドキャップ(EO-endchapped)」エチレンオキシドエンドキャップ)ポリオキシプロピレンポリオールと称されるものは特に適切である。後者は、例えば直鎖状のポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール及びトリオールを、ポリプロポキシル化反応の後に、エチレンオキシドを使用する更なるアルコキシル化を受けさせることによって得られ、結果として第一級ヒドロキシル基を含有する特殊なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
−スチレンアクリロニトリルまたはアクリロニトリル-メチルメタクリレートを枝状につないだポリエーテルポリオール。
−例えば二価または三価のアルコール、例えば1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチルオールプロパン、または有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、または前述の酸の混合物と前述のアルコールとの混合物若しくはそれらの無水物若しくはエステル、並びに例えばε-カプロラクトンのようなラクトンに由来するポリエステルポリオールより調製されるオリゴエステロールとも称されるポリエステルポリオール。
−例えば、上述のアルコール(ポリエステルポリオールを合成するために使用される)とジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはホスゲンとの反応によって得られる種類のポリカーボネートポリオール。
−ポリアクリレート-及びポリメタクリレートポリオール。
−Kraton Polymerによって調製される種類の例えばポリヒドロキシ官能性(functional)エチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、またはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー、例えばまたは1,3-ブタンジエンまたはジエン混合物のようなジエン、及びスチレン、アクリロニトリル、若しくはイソブチレンのようなビニルモノマーを含むポリヒドロキシ官能性コポリマー、または例えば1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの共重合によって調製されるようなポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオールのようなオリゴヒドロキシカルボノールとも称されるポリヒドロキシ官能性ポリ炭化水素。
−例えばエポキシドまたはアミノアルコール及びカルボキシル末端アクリロニトリル/ポリブタジエンコポリマー(Hanse Chemie社よりHycar(登録商標)という名称で市販されている)より調製可能である種類のポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ポリブタジエンコポリマー。
【0055】
これらの上述のポリオールは250-30000g/mol、特に1000-30000g/molの平均分子量を有し、1.6から3の範囲の平均OH官能価を有する。
【0056】
これら上述のポリオールに加えて、少量の低分子量2価または多価アルコール、例えば1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体及びトリプロピレングリコール異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、脂肪アルコール二量体、1,1,1-トリメチルオールエタン、1,1,1-トリメチルオールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール、例えばキシリトール、ソルビトール、またはマンニトール、スクロースのような糖、他の高多価アルコール、前述の二価及び高多価アルコールの低分子量アルコキシル化生産物、並びに前述のアルコールの混合物がポリウレタンポリマーの調製時に更に使用されて良い。
【0057】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーを調製するために使用されて良いポリイソシアネートの例としては、以下の市販されている従来のポリイソシアネートが含まれる:
芳香族ポリイソシアネート、例えばトルイレン2,4-及び2,6-ジイソシアネート及び任意の所望のこれらの異性体の混合物(TDI)、ジフェニルメタン4,4'-、2,4'-、及び2,2'-ジイソシアネート及び任意の所望のこれらの異性体の混合物(MDI)、MDIとMDIホモログの混合物(「MDIポリマー」(PMDI))、フェニレン1,3-及び1,4-ジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、トリス(4-イソシアナトフェニル)メタン、トリス(4-イソシアナトフェニル)チオホスフェート;環状脂肪族ポリイソシアネート、例えば、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート及び任意の所望のこれらの異性体の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ペルヒドロジフェニルメタン2,4'-及び4,4'-ジイソシアネート(HMDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI);脂肪族及びアラリファティック(araliphatic)なポリイソシアネート、例えば、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(TMDI)、ドデカメチレン1,12-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びリジンエステルジイソシアネート、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(BIC)、キシリレンm-及びp-ジイソシアネート(m-及びp-XDI)、1,3,5-トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、m-及びp-テトラメチルキシリレン1,3-及び1,4-ジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、α,α,α',α',α'',α''-ヘキサメチルメシチレン1,3,5-トリイソシアネート、二量体及び三量体脂肪酸イソシアネート、例えば、3,6-ビス(9-イソシアナトノニル)-4,5-ジ(1-ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメチルジイソシアネート);前述のポリイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、並びに任意の所望の前述のポリイソシアネート及びそれらのオリゴマーの混合物。MDI、TDI、HDI、及びIPDIが好ましい。
【0058】
イソシアネート基のみでなくシラン基も含有するポリウレタンポリマーP2は、例えば前述のイソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーP1と少なくとも1つのイソシアネート反応基を含有するオルガノアルコキシシランの反応を介して得られる。この場合では、ポリウレタンポリマーのイソシアネート基に対して不足当量でオルガノアルコキシシランを使用することを確実にすることが必要である。
【0059】
イソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーP1とNCO反応基を含有するシランとの反応は、適当には適切な触媒の存在下で、前記シランとポリウレタンポリマーのイソシアネート基との反応によって達成されて良く、前記シランは、そのイソシアネート反応基がポリウレタンポリマーのイソシアネート基に対して不足当量で存在するような量で導入される。この反応は、イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーの調製の後に即時に生じる可能性があり、または代替的に遅れた時点、例えばイソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーと更なる成分を混合する際、例えば接着剤を調製する際に生じる可能性がある。イソシアネート基とシラン基の両者を含有するポリウレタンポリマーP2は、10/1から1/1、好ましくは6/1から2/1の範囲のイソシアネート基とシラン基との間の比を典型的に有する。
【0060】
イソシアネート基を含有するポリウレタンポリマーP1を使用する反応に適切なNCO反応基を有するシランは、
−メルカプトシラン、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、及びケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシまたはイソプロポキシ基を有するそれらのアナログ;
−ヒドロキシシラン、例えば、3-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルジメトキシメチルシラン、及びケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシまたはイソプロピル基を有するそれらのアナログ;
−第一級アミノ基を有する市販されている従来のアミノシランに由来する、第二級アミノ基を有するアミノシラン(以下に「第二級アミノシロキサン」として参照される)。第一級アミノ基を有する市販されている従来のアミノシランの例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルジメトキシシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシメチルシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、7-アミノ-4-オキサヘプチルジメトキシメチルシラン、及びケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシまたはイソプロポキシ基を有するそれらのアナログ。第二級アミノ基を有する適切なアミノシランは、これに対応して、窒素原子上の炭化水素基、例えばメチル、エチル、ブチル、シクロヘキシル、またはフェニル基を有する第一級アミノ基を有する例示されているアミノシランの誘導体である;多価シラン官能性第二級アミノシラン、例えばビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン;及びマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、桂皮酸エステル、イタコン酸ジエステル、ビニルホスホン酸ジエステル、ビニルスルホン酸アリールエステル、ビニルスルホン、ビニルニトリル、1-ニトロエチレン、またはKnoevenagel縮合反応の生産物、例えばマロン酸エステルとアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはベンズアルデヒドのKnoevenagel縮合反応の生産物のようなマイケル受容体と共に第一級アミノ基を有する例示されているアミノシランのマイケル様付加反応の生産物である。
【0061】
第二級アミノ基を有する特に適切なアミノシランは、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、N-エチル-3-アミノ-2-メチルプロピルジメトキシメチルシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-ブチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-ブチル-4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノメチルジメトキシメチルシラン、ジメチル、ジエチルまたはジブチルマレート、テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ヘキシル、ラウリル、ステアリル、2-ヒドロキシエチル、若しくは3-ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチル、ジエチル、若しくはジブチルホスホネート、アクリロニトリル、2-ペンテンニトリル、フマロニトリル、またはβ-ニトロスチレンと3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、またはアミノメチルジメトキシメチルシランとのマイケル様付加反応の生産物、及びケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシ基を有する前述のアミノシランのアナログである。
【0062】
化学式(I)の付加化合物は、一液形の組成物に基づいて0.1重量%から10重量%、好ましくは0.3重量%から6重量%、特に0.5重量%から5重量%の量で典型的に存在する。
【0063】
化学式(I)の付加化合物の調製はポリマーPの調製とは別に実施することがここでは必須である。化学式(I)の付加化合物の調製に使用される化学式(II)の脂肪族オリゴマーポリイソシアネートは、ポリマーPの調製に使用されるポリイソシアネートまたはポリマーP自体のいずれとも、化学式(III)の化合物との反応が完了する前に接触した状態になるべきではない。このことが、化学式(III)の化合物のイソシアネート反応基HXが全く化学式(II)の脂肪族オリゴマーポリイソシアネートのイソシアネート基とのみ反応することを確実にする。そのため、一液形の組成物を調製するために、第一に化学式(I)の付加化合物を調製すること、及び別々に調製されるポリマーPを前記付加化合物と混合すること、または別々に調製される化学式(I)の付加化合物をポリマーPと混合することが可能である。
【0064】
化学式(I)の付加化合物及びポリマーPに加え、前記一液形の組成物が少なくとも1つの触媒KAT-1を含むことは有利である。適切なKAT-1はイソシアネート基及び適当にはシラン基と共に保存しても安定な化合物であり、組成物の硬化を誘導するイソシアネート基及び/または適当にはシラン基の反応を促進する化合物である。適切な触媒KAT-1として同定される触媒は、金属化合物、例えばスズ化合物、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジパルミテート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジオレート、ジブチルスズジリノレート、ジブチルスズジリノリエート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズビス(オクチルマレイネート)、ジブチルスズフタレート、ジメチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、またはジオクチルスズジラウレートのようなジアルキルスズジカルボキシレート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルメルカプトアセテート)またはジオクチルスズビス(2-エチルヘキシルメルカプトアセテート)のようなジアルキルスズメルカプチド、ジブチルスズジクロリド、モノブチルスズトリクロリド、アルキルスズチオエステル、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、スズ(II)オクトエート、スズ(II)2-エチルヘキサノエート、スズ(II)ラウレート、スズ(II)オレート、またはスズ(II)ナフテネートのようなスズ(II)カルボキシレート、ラウリルスタノキサンのようなスタノキサン、ビスマス(III)オクトエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、またはビスマス(III)オキシネートのようなビスマス化合物;例えば2,2'-ジモルホリノジエチルエーテル及び他のモルホリンエーテル誘導体のような弱い塩基性の第三級アミン化合物;並びに特定の化合物の組み合わせ、特に金属化合物及びアミノ基を含有する化合物の組み合わせである。
【0065】
化学式(I)の付加化合物、ポリマーP、及び任意に触媒KAT-1に加え、前記一液形の組成物は更なる成分を含んで良いが、前記成分は前記組成物の保存における安定性を弱めるべきではない、つまり前記成分は有意に保存の間にイソシアネート基、及び適当には組成物の架橋を誘導する種類のシラン基の一部と反応を開始すべきでない。特に、このことは、その様な更なる成分が微量より多くの水を含むまたは放出すべきではないことを意味する。存在して良い更なる成分は以下のよく知られた助剤またはアジュバントを含む:
−可塑剤、例えば有機カルボン酸のエステルまたはそれらの無水物、ジオクチルフタレートまたはジイソデシルフタレートのようなフタレート、ジオクチルアジペートのようなアジペート、セバケート、ポリオキシアルキレンポリオールまたはポリエステルポリオールのようなポリオール、例えば有機ホスホン酸エステル及びスルホン酸エステル、またはポリブテン;
−溶剤、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、並びにメチルシクロヘキサノン及びシクロヘキサノンのような環状ケトンのようなケトン;エチルアセテート、プロピルアセテート、またはブチルアセテート、ホルメート、プロピオネート、またはマロネートのようなエステル;ケトンエーテル、エステルエーテル、及びジアルキルエーテル、例えばジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びエチレングリコールジエチルエーテルのようなエーテル;トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタン、及び各種の石油画分、例えばナフサ、揮発油、石油エーテル、またはベンジンのような脂肪族及び芳香族炭化水素;メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素;及びN-メチルピロリドン、N-シクロヘキシルピロリドン、またはN-ドデシルピロリドンのようなN-アルキル化ラクタム;
−有機及び無機フィラー、例えば任意にステアレートコーティングされている粉末または沈殿のカルシウムカーボネート、特に微細コーティングカルシウムカーボネート、カーボンブラック、カオリン、アルミナ、シリカ、PVC粉末、または中空ビーズ;繊維、例えばポリエチレンの繊維;顔料;
−ポリウレタン化学で一般的な更なる触媒;
−反応希釈剤及び架橋剤、例えばMDI、PMDI、TDI、HDI、ドデカメチレン1,12-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-または1,4-ジイソシアネート、IPDI、ペルヒドロジフェニルメタン2,4'-及び4,4'-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレン1,3-及び1,4-ジイソシアネート、これらのポリイソシアネートのオリゴマー及びポリマー、特に前述のポリイソシアネートのイソシアヌレート、カーボジイミド、ウレトンイミン、ビウレット、アロファネート、及びイミノオキサジアジンジオン、ポリイソシアネートと短鎖ポリオールとの付加化合物のようなポリイソシアネート、並びにアジピン酸ジヒドラジド及び他のジヒドラジド;
−潜在性(latent)ポリアミン、例えばポリアルジミン、ポリケチミン、ポリエナミン、ポリオキサゾリジン、ポリアミンマイクロカプセルまたはポリアミン吸収ゼオライト、及びアミン金属錯体、好ましくは脂肪族第一級ポリアミンと脂肪族α-三置換体アルデヒド、例えば2,2-ジメチル-3-アシルオキシプロパナール、特に2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールより形成されるポリアルジミン、及びメチレンジアニリン(MDA)とナトリウムクロリドとの間で形成される錯体(Crompton Chemical社より販売されている商品名Caytur(登録商標)21としてジエチルヘキシルフタレートまたはジイソデシルフタレート中の分散液として得られる);
−乾燥剤、例えばp-トシルイソシアネート及び他の反応性イソシアネート、オルトギ酸エステル、カルシウムオキシド;ビニルトリメトキシシランまたは他の急速に加水分解するシラン、例えばシラン基に対するα位に官能基を有するオルガノアルコキシシラン、または分枝ふるい;
−レオロジー調整剤、例えば増粘剤、例として尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、または焼成シリカ;
−接着促進剤、特にシラン、例えばエポキシシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリロイルシラン、イソシアナトシラン、カルバマトシラン(carbamatosilane)、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン、及びアルジミノシラン、並びにオリゴマーの形態のこれらのシラン;
−熱、光、及びUV安定剤;難燃剤;
−界面活性剤、例えば湿潤剤、流れ制御剤(flow control agent)、脱気剤、または消泡剤:
−殺虫剤、例えば殺藻剤、殺菌剤、真菌の生育を阻害する物質;
及び一液形のポリウレタン組成物に典型的に使用される更なる物質。
【0066】
化学式(I)の少なくとも1つの付加化合物、少なくとも1つのポリマーP、及び適当には更なる成分を含む一液形の組成物が調製され、水分が存在しない状態にされる。前記組成物は保存上安定であり、これは、その適用の特性または硬化後の特性における任意の供給に関連する程度を変化させずに、水分の存在しない状態で適切なパッケージまたは適切な装置、例えば円筒形容器、袋、小容器の中で、数ヶ月から1年まで、またはそれ以上の期間にわたって保存されて良いことを意味する。
【0067】
この種のポリマー組成物が少なくとも1つの固体または固形の製品に適用される際に、前記ポリマーPのシラン基及び/またはイソシアネート基は水分と接触する。イソシアネート基と水分との反応は、二酸化炭素の除去を伴い、急速に更なるイソシアネート基と反応して尿素基を形成するアミノ基を形成する。前記シラン基は水分と接触して加水分解を遂げる能力を有する。そうして、それらがオルガノシラノール(1つ以上のシラノール基、Si-OH基を含有する有機ケイ素化合物)を形成し、続いて起こる縮合反応によってオルガノシロキサン(1つ以上のシロキサン基、Si-O-Si基を含有する有機ケイ素化合物)を形成する。その様な反応の結果として、前記組成物は最終的に弾性物質へと硬化する;この過程は架橋としても参照される。代替的に、前記硬化反応に必要とされる水は空気に由来するものであって良く(大気湿度)、または前記化合物は、例えば平滑剤を塗布されることによって、またはスプレーされることによって水を含有する成分と接触して良く、または前記組成物は添加される水を含有する成分を、例えば静的ミキサーで混合される水性のペーストの形態で有して良い。前記組成物は、この過程に必要な水が空気由来または添加されるかに関わらず、急速及び完全に硬化する。実際の適用で特に重要である、大気湿度を介する硬化の方法は適切な条件または気候条件、例えば23℃、50%の相対大気湿度において、数日間で完全に実施される。
【0068】
適当には、前記ポリマー組成物の硬化は熱の供給によって促進されても良く、特に、前記組成物が、活性化温度が例えば80から160℃を超えた際にのみポリマーPと反応する、熱的な潜在性ポリアミン、例えばアミン金属錯体またはポリアミンマイクロカプセルを含む際には熱の供給によって促進されて良い。
【0069】
本発明の更なる態様は2つの成分K1及びK2からなる二液形の組成物である。
【0070】
成分K1は化学式(I)の少なくとも1つの付加化合物を含み、または上述のその好ましい実施態様、及び少なくとも1つのポリイソシアネートを含む。
【0071】
成分K2は少なくとも1つのポリオール及び/または少なくとも1つのポリアミンを含む。
【0072】
適切な成分K1のポリイソシアネートはポリマーPを調製するための特殊なポリイソシアネートだけでなく、上述のイソシアナト官能性ポリウレタンポリマーP1も含む。好ましくは、例えばDesmodur(登録商標)VL、DesmodurVL50、DesmodurVLR10、DesmodurVLR20、DesmodurVKS20F(全てBayer社)、Isonate(登録商標)M309、Voranate(登録商標)M229、VoranateM580(全てDow社)、またはLupranatM10R(BASF社)のような商品名で知られているPMI(「ポリマーPMI」)、例えばMDIカーボジイミドまたはMDIウレトンイミンのような、例えばDesmodur(登録商標)CD、DesmodurPF、DesmodurPC(全てBayer社)のような商品名で既知のMDIとMDI誘導体との混合物である室温で液体の形状であるMDI(「変性MDI」)、及びMDI、HDI、TDI、またはHDIを使用して調製されるポリウレタンポリマーP1である。
【0073】
成分K2の適切なポリオールは、ポリマーPの調製に適切であると既に記載したものと同一のポリオールである。特に適切なポリオールは、高官能性ポリオール、例えばトリオール、テトロール、及び、より高い高官能性ポリオール;アミンを含有する、またはアミン(例えばエチレンジアミン)を出発物質として調製されるポリエーテル-ポリオール;300から2000の分子量を有する短鎖ポリエーテルポリオール;疎水性ポリオール、特に脂肪ポリオール、例えばヒマシ油またはCognis社から販売されている商品名Sovermol(登録商標)で既知のポリオール;並びにジオール鎖エクステンダー、例えば1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、1,4-シクロヘキサンジオール、またはN,N'-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジンである。
【0074】
成分K2の適切なポリアミンは、第一級脂肪族ポリアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-及び1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2,-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-及び1,4-ブタンジアミン、1,3-及び1,5-ペンタンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、及びそれらの混合物(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,9-ノナンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、イソデカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、環状脂肪族ポリアミン、例えば1,3-及び1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(H12MDA)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミンまたはIPDA);2-及び4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン及びそれらの混合物、1,3-及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(Mitsui Chemicals社のNBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-キシリレンジアミン(MXDA)、1,4-キシリエンジアミン(PXDA)、エーテル基を含有する脂肪族ポリアミン、例えばビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、及びそれらより高いオリゴマー、例えばJeffamine(登録商標)という名称で得られる(Hundtsman Chemicals社)、理論的に2つまたは3つのアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミン及びポリアミノアミド;第二級脂肪族ポリアミン、例えばN,N'-ジブチルエチレンジアミン;N,N'-ジ-tert-ブチル-エチレンジアミン、N,N'-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、1-(1-メチルエチルアミノ)-3-(1-メチルエチルアミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(Huntsman社のJefflink(登録商標)754)、N4-シクロヘキシル-2-メチル-N2-(2-メチルプロピル)-2,4-ペンタンジアミン、N,N'-ジアルキル-1,3-キシリレンジアミン、ビス(4-(N-アルキルアミノ)シクロヘキシル)メタン、N-アルキル化ポリエーテルアミン、例えばマレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、桂皮酸エステル、イタコン酸ジエステル、ビニルホスホン酸ジエステル、ビニルスルホンアリールエステル、ビニルスルホン、ビニルニトリル、1-ニトロエチレン、またはKnoevenagel縮合反応生産物、例えばマロン酸ジエステルとアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはベンズアルデヒドのKnoevenagel縮合反応生産物のようなマイケル受容体と例示されている第一級脂肪族ポリアミンのマイケル様付加反応の生産物;第一級及び第二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン、例えばN-ブチル-1,6-ヘキサンジアミン;並びに第一級及び/または第二級芳香族ポリアミン、例えばm-及びp-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,5-ジメチルチオ-2,4-及び-2,6-トリレンジアミンの混合物(Alvemarle社よりEthacure(登録商標)300として得られる)、3,5-ジエチル-2,4-及び-2,6-トリレンジアミンの混合物(DETDA
)、3,3',5,5'-テトラエチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-DEA)、3,3',5',5'-テトラエチル-2,2'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-CDEA)、3,3'-ジイソプロピル-5,5'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-MIPA)、3,3',5,5'-テトライソプロピル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(M-DIPA)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミド、5,5'-メチレンジアントラニル酸、ジメチル5,5'-メチレンジアントラニレート、1,3-プロピレンビス(4-アミノベンゾエート)、1,4-ブチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシドビス(4-アミノベンゾエート)(Air Products社よりVersalink(登録商標)として得られる)、1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタン、N,N'-ジアルキル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジアルキル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2-メチルプロピル4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエート、及びtert-ブチル4-クロロ-3,5-ジアミノベンゾエートである。
【0075】
幾つかのまたはいずれのアミノ基もブロックされて、加水分解または加熱によって活性化された後にのみイソシアネートと反応する誘導体の形態におけるポリアミンを使用しても良い。ブロックされたアミノ基を有するこの種のポリアミン誘導体の例としては、アルジミン、ケチミン、エナミン、オキサゾリジン、アミナール、アンモニウムカーボネート、アミン炭酸塩(カルバメート)、またはアミン-金属錯体である。同様に、マイクロカプセル化またはゼオライトに吸収させたポリアミンが使用されて良い。
【0076】
化学式(I)の付加化合物は二液系の組成物に基づいて0.1重量%から10重量%、好ましくは0.3重量%から6重量%、特に0.5重量%から5重量%の量で典型的に存在する。
【0077】
化学式(I)の付加化合物の調製は成分K1の調製とは別に実施されることがここでは必須である。化学式(I)の付加化合物の調製に使用される化学式(II)の脂肪族オリゴマーポリイソシアネートは、化学式(III)の化合物との反応が完了する前に成分K1の部分であるポリイソシアネートと接触させるべきではない。このことが、化学式(III)の化合物のイソシアネート反応基HXが全く化学式(II)の脂肪族オリゴマーポリイソシアネートのイソシアネート基とのみ反応することを確実にする。かくして、成分K1の調製のために、第1に化学式(I)の付加化合物を調製し、成分K1のポリイソシアネートを前記付加化合物に混合して、または別に調製した化学式(I)の付加化合物を成分K1のポリイソシアネートに混合して良い。
【0078】
前記二液形の組成物が少なくとも1つの触媒KAT-2を含むことが有利である。適切なKAT-2触媒は前記ポリマー組成物の硬化を促進する化合物である。具体的な適切なKAT-2触媒は上述の他方の触媒KAT-1、及び更なる触媒、例えば亜鉛、マンガン、鉄、クロム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、鉛、カドミウム、水銀、アンチモン、バナジウム、チタン、ジルコニウム、若しくはカリウムの化合物、例として、亜鉛(II)アセテート、亜鉛(II)2-エチルヘキサノエート、亜鉛(II)ラウレート、亜鉛(II)オレート、亜鉛(II)ナフテネート、亜鉛(II)アセチルアセトネート、亜鉛(II)サリチレート、マンガン(II)2-エチルヘキサノエート、鉄(III)2-エチルヘキサノエート、鉄(III)アセチルアセトネート、クロム(III)2-エチルヘキサノエート、コバルト(II)ナフテネート、コバルト(II)2-エチルヘキサノエート、銅(II)2-エチルヘキサノエート、ニッケル(II)ナフテネート、フェニル水銀ネオデカノエート、鉛(II)アセテート、鉛(II)2-エチルヘキサノエート、鉛(II)ネオデカノエート、鉛(II)アセチルアセトネート、アルミニウムラクテート、アルミニウムオレート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシチタンビス(アセチルアセトネート)、カリウムアセテート、カリウムオクトエート;第三級アミン化合物、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、及びそれらの高級ホモログ、N,N,N',-N'-テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、及びそれらの高級ホモログ、N,N,N',N'-テトラメチル-1-3-ブタンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、ビス(ジメチルアミノ)メタン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、ビス(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N-ジメチル-2-フェニルエチルアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ココモルホリン、N,N'-ジメチルピペラジン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、若しくはビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル;芳香族窒素化合物、例えば4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール、若しくは1,2-ジメチルイミダゾール;アミジン及びグアニジン、例えば1,1,3,3,-テトラメチルグアニジン;活性水素原子を含有する第三級アミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルジイソプロパノールアミン、ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イソプロパノールアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、3-(ジメチルアミノ)プロピル尿素、Mannichベース、例えば2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール若しくは2,4,6-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノメチル)フェノール、N-ヒドロキシプロピルイミダゾール、N-(3-アミノプロピル)イミダゾール、並びにこれらの化合物のアルコキシル化反応及びポリアルコキシル化反応生産物、例えばジメチルアミノエトキシエタノール;有機アンモニウム化合物、例えばベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド若しくはアルコキシル化第三級アミン;いわゆる「遅延作用」触媒、既知の金属触媒若しくはアミン触媒の変形物であり、例えば、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン若しくはDBUとギ酸若しくは酢酸より形成されるような第三級アミンとカルボン酸若しくはフェノールとの反応生産物;並びに上述の化合物の組み合わせ、特に金属化合物とアミノ基を含有する化合物の組み合わせを含む。
【0079】
化学式(I)の付加化合物、ポリイソシアネート、ポリオール及び/またはポリアミン、並びに任意にKAT-2に加え、二液形の組成物は更なる成分を含んで良く、一液形の組成物のために上述した、同一の可塑剤、溶剤、フィラー、触媒、反応希釈剤、架橋剤、潜在性ポリアミン、乾燥剤、レオロジー調整剤、接着促進剤、安定剤、界面活性剤、殺虫剤が使用されて良く、二液形の組成物に典型的に使用される更なる物質も使用されて良い。成分K1とK2の間のこれらの更なる成分の区別は、二液形のポリウレタン組成物に関する当業者に既知の方法で実施される。
【0080】
お互いに別々の状態であれば、成分K1とK2の各々は保存上安定である。特に成分K1は水分の存在しない状態で調製及び保存する必要がある。
【0081】
前記2つ成分K1及びK2は適用の直前にのみ適当な方法でお互いに混合され、混合の工程の間には、可能な限り少量の空気が混合される組成物に侵入すること、適切な混合比を守ることを確実にすることが必須である。前記2つの成分がお互いに接触するとすぐに、それらの含有する反応性の成分がお互いに反応し始め、混合された2液形の組成物の硬化を誘導する。特に、成分K1のイソシアネート基は成分K2のヒドロキシル及び/またはアミン基と反応する。混合された二液形の組成物の硬化は室温で起こり得る;代替的に、適当な場合、特に組成物が遅反応性ポリオール若しくはポリイソシアネートを含有する際、または活性化温度が例えば80から160℃を超えた後にのみポリマーPと反応する熱的な潜在性ポリアミン、例えばアミン金属錯体若しくはポリアミンマイクロカプセルを含有する際には、熱の供給によって促進されて良い。
【0082】
成分K1とK2との間の混合比は、イソシアネート基と反応するヒドロキシル基及びアミノ基のような基に対して、ある程度過剰のイソシアネート基が存在するように典型的に選択される。典型的には、前記混合比は、比([OH]+[NH])/[NCO]が0.5対0.95の値を有するように選択される。このことが、過剰のイソシアネート基の成分K2に由来する水または空気に由来する湿気のいずれかとの反応を伴って、混合された二液形の組成物がポリマー性物質に硬化することを確実にする。同様に、過剰な適用前の反応は効果的な被着体接着を創出することをより困難にするために、成分K1とK2との混合とその混合物の被着体表面への適用との間の経過時間は非常に大きいものでないことを確実にすることが必要である。
【0083】
硬化の工程では、一液形または二液形の組成物は、特に弾性接着剤、弾性封止剤、または弾性コーティング剤としての組成物の適用の重複に非常に重要である非常に良好な物理特性、特に、高い拡張性を有する。
【0084】
一液形及び二液形の組成物は使用、例えば接着剤、封止剤、またはコーティング剤としての適用のための広範な可能性を有する。
【0085】
適切な適用の例としては、建設または土木における構成材の接着剤の接着、及び工業製品または消費者製品における製造または修復、特に水または陸の乗り物、特に車、バス及び大型バス、バン及び貨物自動車、電車または船のような輸送手段の製造または修復;工業的な製造若しくは修復における接合箇所、縫い目、若しくは空洞の封止、または建設若しくは土木における封止;各種の被着体のコーティング、例えばオフィス、生活圏、病院、学校、倉庫、及び多階層駐車場のための、例えば塗装、ニス、下塗り剤、封止剤、若しくは保護コーティングとして、または床仕上げ剤としてのコーティングである。
【0086】
1つの好ましい実施態様では、記載されている一液形または二液形の組成物が接着剤または封止剤として使用される。
【0087】
接着剤としての適用では、前記一液形の組成物または混合されている二液形の組成物は被着体S1及び/または被着体S2に適用される。そのため、接着剤は1つの被着体または他の被着体または両者に適用されて良い。その後、接着された部分は固定され、前記接着剤が硬化する。両接着端がお互いに確かに接着することを確実にするために、前記部分の固定は開放時間として参照される時間内で実施されることをここで確実にすべきである。
【0088】
封止剤としての適用では、前記一液形の組成物または前記二液形の組成物は、被着体S1とS2の間に適用され、続いて硬化する。典型的には封止剤は接合箇所に加圧される。
【0089】
いずれの適用においても、被着体S1は被着体S2と類似のものまたは異なるものであって良い。
【0090】
適切な被着体S1またはS2は、例えばガラス、ガラス-セラミックス、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、プラスター、及び天然石、例えば花崗岩または大理石のような無機被着体;アルミニウム、鉄、非鉄金属、亜鉛メッキ金属のような金属または合金;木材、プラスチック、例えばPVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエステル、エポキシ樹脂のような有機被着体;粉末でコーティングされた金属または合金のようなコーティングされた被着体;並びにインク及び塗装である。被着体S1またはS2の少なくとも1つが塗装、特に自動車のトップコート、または塗装された表面であることが好ましい。塗装された表面は、特に塗装コーティングされた物質、例えば木材、天然石、例えば岩、コンクリート、レンガまたはその類似物、並びにプラスチック、金属及び金属合金を含む。特に、前記被着体は塗装された金属シートであることが好ましい。
【0091】
「塗装」は、本明細書では、表面の保護または増強のために被着体に適用される硬化合成樹脂コーティングを意味する;前記塗装は透明であって良く、または例えば顔料のようなアジュバントを含んで良い。
【0092】
「塗装された金属シート」は、本明細書では、薄く伸ばされており、1つ以上の塗装コーティングによってコーティングされている金属または金属合金の一片であり、最も上部の塗装コーティングは「トップコート」と称される。
【0093】
塗装された金属シートは通常唯一の塗装コーティングではなく、お互いに類似または異なって良い連続する2つ以上の塗装コーティングを有する。特に、乗り物の製造では、塗装された金属シートが、例えばプライムコート、1つ以上の着色されている塗装コート、及び透明なトップコートからなる、いわゆる塗装システムでコーティングされることが一般的である。乗り物の製造における典型的な塗装システムは、例えば、以下の外観;25μm陰極電気溶着プライムコート、35μmサーフェイサー、18μmカラーコートまたはメタリックコート、及び、最後に40μmのクリアコートを有する。乗り物の製造に使用されることが明らかであり、接着が通常困難である塗装の例として、メラミン-カルバメート、シラン修飾アクリル-メラミン、シラン修飾ウレタン-メラミン、ヒドロキシメラミン、二液形ウレタンまたは酸硬化エポキシドまたはエポキシ-ポリエステル混成体が挙げられる。
【0094】
必要とされる際には、前記被着体は接着剤または封止剤の適用前に事前処理されて良い。この種の事前処理は、特に、機械的及び/または化学的洗浄処理方法、例えば研磨、サンドブラスト、ブラッシング若しくはその類似処理、またはクリーナー若しくは溶剤を使用する処理、または接着促進剤、接着促進溶液若しくは下塗り剤の適用を含む。
【0095】
「下塗り剤」は、本明細書ではアンダーコートとして適切な組成物であって、不活性揮発性物質、及び任意に固形アジュバントに加え、少なくとも1つのポリマー及び/または少なくとも1つの反応基を含有する物質を含み、被着体への適用の度に硬化して、典型的に10-15μmの厚さで効果的に接着するフィルムである固体を形成し、前記硬化が溶剤または水のような不活性揮発性物質の蒸発単独、または例えば化学反応、またはこれらの因子の組み合わせのいずれかに由来し、前記下塗り剤は続いて適用される層(例えば接着剤)に対する効果的な接着を作り出す。
【0096】
前記一液形または二液形の組成物は、特に、接着剤または封止剤の適用前に、接着促進剤または下塗り剤を使用する事前処理を必要とせずに塗装に接着することが明らかになった。従って、下塗り剤なしで塗装に対する接着及び封止が可能である。
【0097】
前記接着剤または封止剤は好ましくは均一に適用される。
【0098】
前記一液形または二液形の組成物は、例えば40と80℃の間の温度の熱溶融性接着剤として、または80と200℃の間、特に100と150℃の間の温度の高熱溶融性接着剤として高温で適用されることが可能である。
【0099】
一液形または二液形の組成物による被着体S1とS2の接着または封止の後に、接着剤で接着または封止された製品が得られる。その様な製品は組立構成物、特に建設または土木における、または輸送手段の組立構成物であって良い。好ましくは、前記製品は輸送手段、例えば水または陸の乗り物、特に車、バス若しくは大型バス、バン若しくは貨物自動車、電車若しくは船、またはそれらの外装部品である。特に好ましくは、前記接着剤で接着または封止された製品は輸送手段、特に車、または輸送手段、特に車の外装部品である。
【0100】
本発明の1つの好ましい実施態様では、本発明は、化学式(I)の少なくとも1つの付加化合物並びにイソシアネート基及び任意にシラン基を含む少なくとも1つのポリマーPを含み、乗り物の製造において、特に塗装、特に自動車のトップコートを有する塗装された金属シートの下塗り剤無しでの接着のために弾性接着のための接着剤として使用される、水分硬化一液形接着剤に関する。
【0101】
大多数の場合では、弾性は接着剤、封止剤、及びコーティング剤の有用性のために実質的に重要である。この理由としては、接着剤または封止剤またはコーティング剤は、例えば寸法公差または接着面の部分若しくは接合箇所同士に位置する差によって生じる、接着面の間隔の差を確かに埋めることができる必要があるためである。更に、前記被着体の異なる熱膨張、または接着剤の接着、封止、若しくはコーティングの静的若しくは動的な負荷に由来する圧力、または力が、内部での接着力または前記被着体に対する接着を損失せずに、接着剤、封止剤、またはコーティング剤によって利用され、伝達されることが可能である必要がある。原則として、封止剤は接着剤よりも高い拡張性及び低い抗張力を有する。弾性接着剤は、硬化後に十分拡張可能である必要がある;一般的には、少なくとも300%、特に少なくとも400%、好ましくは少なくとも500%の破断点伸びを有するべきである。同様に、最小値が前記抗張性に対して課せられ、典型的には少なくとも5MPa、特に少なくとも7MPaの値である。
【0102】
一液形または二液形の組成物が乗り物の製造において弾性接着のための接着剤として使用される場合には、構造粘性の特性と共にペースト状の粘稠度を有することが好ましい。この種の接着剤は、好ましくはビーズの形態で適切な装置によって被着体に適用され、このビーズは実質的に円形または三角形の切断面領域を有して良い。前記接着剤を適用する適切な方法は、例えば、手動または圧縮空気の使用によって実施される市販の従来の小容器からの適用、または輸送ポンプまたは押出機による、適当には適用ロボットによる円形容器若しくはブリキのペール缶(hobbock)からの適用を含む。良好な適用の特性を有する接着剤は硬い粘稠度及び短い糸引きを特徴とする。つまり、適用後も適用された形態のままであり、換言すると分離せず、適用装置を下に置いた後に非常に短い糸引きを形成するのみであり、それが全く形成しない場合には前記被着体は汚染されない。
【0103】
乗り物の製造における弾性接着剤の接着は、例えば、部品、例えばプラスチックカバー、トリムストリップ、フランジ、バンパー、運転席、若しくは他の外装部品の輸送手段の塗装されている車体に対する連結箇所の接着、または車体に対するガラスの接着である。乗り物の例としては、車、バン及び貨物自動車、バス及び大型バス、列車、並びに船が挙げられる。
【0104】
化学式(I)の付加化合物を含む本発明の組成物は、化学式(I)の付加化合物を含まない類似の組成物と比較して、下塗り剤の事前処理なしで自動車のトップコートでコーティングされている金属シートに対する有意に良好な接着を示すことが明らかになった。
【実施例】
【0105】
試験方法
抗張力及び破断点伸びは、DIN EN 53504(引速度:200mm/min)によって2mmの厚みを有する標準条件(23±1℃、50±5%相対湿度)で7日間硬化したフィルムで決定した。
【0106】
接着は以下のように試験した:
以下に記載の塗装されている金属シートをイソプロパノールを染み込ませた布で一度しっかりと拭いた。
【0107】
一時間の蒸発時間後に、三角形のビーズ(約150mmの長さ、約10mmの直径)の形態で個々の接着剤を塗装されている金属シートに適用した。接着剤のビーズを有する金属シートを標準条件で7日間保存して、接着剤を硬化した。その後、接着剤のビーズを以下のように接着に関して試験した:
塗装表面の真上まで接着剤ビーズの一端に切り口を作製した。前記ビーズの切り込み端を手で保持し、ビーズの他端の方向に注意深くゆっくりと前記塗装表面から引いて剥離した。この剥離の間に、前記接着が前記ビーズの端が引かれてちぎれる恐れがあるほど強い場合には、カッターを使用してビーズを引く方向の直角方向への切り込みを裸の塗装表面までいれ、こうして前記ビーズの一片を切り取った。必要な場合には、連続する剥離の間に2から3mmの間隔でこの種の切り込みを繰り返した。こうして、塗装表面からビーズ全体を剥離及び/または切り込んだ。前記ビーズを除去した後に前記塗装表面に残存する硬化した接着剤(接着性画分)に基づいて、前記接着剤の特性を評価した。この評価は以下の基準に従って接着領域の接着性画分を概算することによって達成した。
【0108】
1=95%より大きい接着性画分
2=75-95%の接着性画分
3=25-75%の接着性画分
4=25%未満の接着性画分
5=0%の接着性画分(完全な接着剤除去)
【0109】
75%未満の接着性画分の除去の値の試験結果は不適切であろう。
【0110】
前記塗装されている金属シートを陰極電気溶着下塗り剤コート、サーフェイサー、メタリック塗装、及びトップコート(クリアコート)からなる塗装システムでコーティングして、以下のトップコート:
塗装されているシート1:トップコート=クリアコートRK-8013(DuPont社)
塗装されているシート2:トップコート=クリアコートRK-8046(DuPont社)
塗装されているシート3:トップコート=クリアコートRK-8045(DuPont社)
における前記接着試験を実施した。
【0111】
付加化合物の調製
A-1
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、5.5g(0.17mol)のメタノール、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で40℃まで加熱して40℃で5時間攪拌した。滴定法によって決定されたとおり、その生産物は13.2重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0112】
A-2
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、12.6g(0.17mol)のイソブタノール、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で5時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は12.6重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0113】
A-3
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、22.0g(0.17mol)の2-エチル-1-ヘキサノール、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で2時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は11.0重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0114】
A-4
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、32.4g(0.17mol)の2-ブチル-1-オクタノール、0.1gのジブチルスズジクロリド、及び60gのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で2時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は7.2重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0115】
A-5
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、23.1g(0.17mol)のD,L-α,β-イソプロピリデングリセロール(Solketal(登録商標)、Fluka社)、0.1gのジブチルスズジクロリド、及び51gのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で2時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は7.5重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0116】
A-6
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、及び22.0g(0.17mol)ジブチルアミンを水分の非存在下で混合し、その混合物を75℃まで暖めて発熱性の反応を生じさせた。1時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は10.7重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0117】
A-7
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、34.8g(0.17mol)の2-エチルヘキシルチオグリコレート、及び0.1gのジブチルスズジラウレートを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で10時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は10.7重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0118】
A-8
100g(0.55molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3600、Bayer社)、21.0g(0.16mol)の2-エチル-1-ヘキサノール、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で10時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は11.9重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0119】
A-9
100g(0.57molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イミノオキサジアジンジオンタイプ;Desmodur(登録商標)XP2410、Bayer社)、21.0g(0.16mol)の2-エチル-1-ヘキサノール、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で60℃まで加熱して、60℃で10時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は13.4重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0120】
A-10
100g(0.55molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(ビウレットタイプ;Desmodur(登録商標)N3200、Bayer社)、22.7g(0.18mol)の2-エチル-1-ヘキサノール、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で10時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は11.7重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0121】
A-11
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネートオリゴマー(ウレトジオンタイプ;Desmodur(登録商標)N3400、Bayer社)、13.5g(0.10mol)の2-エチル-1-ヘキサノール、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で2時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は15.0重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0122】
A-12
100g(0.40molのNCO基)のイソホロンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Vestanat(登録商標)T1890/100、Degussa社)、18.2g(0.14mol)の2-エチル-1-ヘキサノール、0.1gのジブチルスズジクロリド、及び60gのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で8時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は5.9重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0123】
V-1(比較)
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、36.7g(0.18mol)の3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A-189、GE Advanced Materials社)、0.1gのジブチルスズジクロリド、及び60gのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で8時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は6.9重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0124】
V-2(比較)
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレートタイプ;Desmodur(登録商標)N3300、Bayer社)、57.8g(0.17mol)の分子量340のポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、0.1gのジブチルスズジクロリド、及び70gのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で8時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は6.1重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0125】
V-3(比較)
100g(0.52molのNCO基)のヘキサメチレンジイソシアネートオリゴマー(ウレトジオンタイプ;Desmodur(登録商標)N3400、Bayer社)、260g(0.26mol)の分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、160gのテトラエチレングリコールジメチルエーテル、及び0.1gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で60℃まで加熱して60℃で2時間攪拌した。滴定法で決定されたとおり、その生産物は1.6重量%の遊離のイソシアネート基を有した。保存の間に粘度における明確な増大が現れた。
【0126】
接着剤の調製
実施例1から17
真空ミキサーで表1に記載の添加物を基礎接着剤配合物の各々の場合における100重量部に対して記載の量を添加して、その混合物を水分の存在しない状態で保存される均一なペーストに処理した。表1に記載の試験を実施するために各混合物を使用した。
【0127】
基礎接着剤配合物を以下のように調製した:
真空ミキサーで2000gのポリマー1、2100gのポリマー2、1100gのジイソデシルフタレート(Palatinol(登録商標)Z、BASF社)、600gの尿素増粘剤、10gのp-トルエンスルホニルイソシアネート(Zusatzmittel TI additive、Bayer社)、2000gの乾燥カーボンブラック、1700gの焼成カオリン、及び4gのジブチルスズジクロリドを水分の非存在下で保存される均一なペーストに処理した。
【0128】
ポリマー1を以下のように調製した:
1295gのAcclaim(登録商標)4200Nポリオール(low-monol ポリオキシプロピレンジオール、OH数 28.5mg KOH/g;Bayer社)、2585gのCaradol(登録商標)MD34-02ポリオール(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオール、OH数 35.0mg KOH/g;Shell社)、620gのメチレンジフェニル4,4'-ジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44MCL、Bayer社)、及び500gのジイソデシルフタレート(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF社)を80℃で既知の方法で反応させ、NCO末端ポリウレタンポリマーを形成した。滴定法で決定されたとおり、その反応生産物は2.03重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0129】
ポリマー2を以下のように調製した:
1770gのAcclaim(登録商標)4200Nポリオール(low-monol ポリオキシプロピレンジオール、OH数 28.5mg KOH/g;Bayer社)及び230gのメチレンジフェニル4,4'-ジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44MCL、Bayer社)を80℃で既知の方法によって反応させてNCO末端ポリウレタンプレポリマーを形成した。滴定法で決定されたとおり、その反応生産物は1.97重量%の遊離のイソシアネート基を有した。
【0130】
尿素増粘剤を以下のように調製した:
真空ミキサーに3000gのジイソデシルフタレート(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF社)及び480gのメチレンジフェニル4,4'-ジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44MCL、Bayer社)を導入し、穏やかに加温した。次いで、激しく攪拌しながら270gのモノブチルアミンをゆっくり滴状に添加した。結果として得られるペーストを真空条件で冷却しながら更に1時間攪拌した。
【0131】
【表1A】

【0132】
表1A:接着剤の組成、重量部における量(pbw)、及び試験結果
1 比較;2 付加化合物を含まず、Desmodur(登録商標)N3300(Bayer社)のみ;3 抗張力;4 破断点伸び
【0133】
【表1B】

【0134】
表1B:接着剤の組成、重量部における量(pbw)、及び試験結果
1 比較;3 抗張力;4 破断点伸び
【0135】
表1の結果は特に以下のことを示す:
化学式(I)の付加化合物が添加されていない実施例1(比較)は、破断点伸びの高い値を有したが、試験された塗装されている金属シートへの不適切な接着を有した。
【0136】
化学式(I)の付加化合物の代わりにDesmodur(登録商標)N3300を含有する実施例2(比較)、及びシラン基を含有する付加化合物V-1を含む実施例3(比較)の両者は、試験した塗装されている金属シートへの効果的な接着を有するが、破断点伸びの非常に低い値を有しているため、弾性接着剤としての使用には適さない。
【0137】
付加化合物A-1からA-12を含有する本発明の実施例4から15のいずれも、破断点伸びの高い値から非常に高い値、及び試験した塗装されている金属シートへの一般的に効果的な接着から非常に効果的な接着を有する。
【0138】
全部で3つより多くのヘテロ原子を有するモノアルコールの付加化合物を含有する実施例16及び17(比較例)は、試験した塗装されている金属シートへの不適切な接着を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)
【化1】

[式中、
R1は1から20のC原子を有する炭化水素基であり、2つまでのヘテロ原子を任意に含有して良いが、シラン基を含有しない;
Xは、
【化2】

式中、
R2は1から20のC原子を有する直鎖または分枝の炭化水素基であり、環状部分を任意に含有し、エーテル、スルホン、ニトリル、ニトロ、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、及びホスホン酸エステルを含む群より選択される少なくとも1つの官能基を任意に含有する;
R3及びR4は独立に、各々1から20のC原子を有し、任意に環状部分を含有する直鎖または分枝の炭化水素基であるか、
または、R3及びR4は尿素基と共に、任意に置換されており、3から20のC原子を含有する5または6員環を形成する;
並びに点線はC=O及びR1に対する結合を表す;
並びにYは、後にそのいずれも除去される3つのイソシアネート基を有するオリゴマー脂肪族ポリイソシアネートの基である。]の付加化合物。
【請求項2】
化学式(II)の少なくとも1つのオリゴマー脂肪族ポリイソシアネートと化学式(III)の少なくとも1つの化合物
【化3】

との間の反応より調製されることを特徴とする、請求項1に記載の化学式(I)の付加化合物。
【請求項3】
前記オリゴマー脂肪族ポリイソシアネートがヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)及び/またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)の三量体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化学式(I)の付加化合物。
【請求項4】
前記化学式(III)の化合物が脂肪族モノアルコールまたは脂肪族モノチオールまたは第二級脂肪族モノアミンであることを特徴とする、請求項2または3に記載の化学式(I)の付加化合物。
【請求項5】
前記化学式(III)の化合物が2-エチル-1-ヘキサノール、または2-エチルヘキシルチオグリコレート、またはジブチルアミン、またはN-メチルアミノ-、N-エチルアミノ-、N-プロピルアミノ-、N-ブチルアミノ-、若しくはN-(2-エチルヘキシル)アミノ-コハク酸のジエチルエステルである、請求項4に記載の化学式(I)に記載の付加化合物。
【請求項6】
化学式(II)の少なくとも1つのオリゴマー脂肪族ポリイソシアネートと化学式(III)の化合物の少なくとも1つの反応を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の化学式(I)の付加化合物の調製方法。
【請求項7】
イソシアネート基を含有するポリマー組成物のための接着促進剤としての、請求項1から5のいずれか一項に記載の化学式(I)の付加化合物の使用。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の化学式(I)の少なくとも1つの付加化合物、並びにイソシアネート基及び任意にシラン基を含有する少なくとも1つのポリマーPを含む一液形の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーPが、イソシアネート基を含有し、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応より得られるポリウレタンポリマーP1であることを特徴とする、請求項8に記載の一液形の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーPが、イソシアネート基だけでなくシラン基も含有し、イソシアネート基を含有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーP1(少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応より得られる)と少なくとも1つのイソシアネート反応基を有するオルガノアルコキシシラン(イソシアネート基に対して不足当量で使用される)の反応より得られるポリウレタンポリマーP2であることを特徴とする、請求項8に記載の一液形の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つのイソシアネート反応基を有するオルガノアルコキシシランが、第二級アミノシランまたはメルカプトシランであることを特徴とする、請求項10に記載の一液形の組成物。
【請求項12】
イソシアネート基対シラン基の比が10対1、特に6対2であることを特徴とする、請求項10または11に記載の一液形の組成物。
【請求項13】
前記化学式(I)の付加化合物の部分が、前記一液形の組成物に基づいて0.1重量%から10重量%、好ましくは0.3重量%から6重量%、特に0.5重量%から5重量%であることを特徴とする、請求項8から12のいずれか一項に記載の一液形の組成物。
【請求項14】
前記ポリオールが、ポリオキシアルキレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール若しくは-トリオール、またはエチレンオキシド末端ポリオキシプロピレンジオール若しくは-トリオールであることを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載の一液形の組成物。
【請求項15】
前記ポリオールが、1000から30000g/molの分子量及び0.02meq/g未満の不飽和度を有することを特徴とする、請求項14に記載の一液形の組成物。
【請求項16】
前記ポリイソシアネートが、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、トリレン2,4-及び2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン4,4'-、2,4'-、及び2,2'-ジイソシアネート(MDI)、並びにイソホロンジイソシアネート(IPDI)を含む群より選択されることを特徴とする、請求項9から15のいずれか一項に記載の一液形の組成物。
【請求項17】
2つの成分K1とK2からなる二液形の組成物であって、成分K1は請求項1から5のいずれか一項に記載の化学式(I)の少なくとも1つの付加化合物と少なくとも1つのポリイソシアネートを含み、成分K2は少なくとも1つのポリオール及び/または少なくとも1つのポリアミンを含む二液形の組成物。
【請求項18】
前記ポリイソシアネートが、ジフェニルメタン4,4'-、2,4'-、若しくは2,2'-ジイソシアネート(MDI)、若しくはポリマーMDI(PMDI)、若しくは室温で液体状のMDI、またはヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI);若しくはジフェニルメタン4,4'-、2,4'-、若しくは2,2'-ジイソシアネート(MDI);若しくはトリレン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート(TDI);若しくはジフェニルメタン4,4'-、2,4'-、若しくは2,2'-ジイソシアネート(MDI);若しくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)の使用によって調製されるポリウレタンポリマーP1であることを特徴とする、請求項17に記載の二液形の組成物。
【請求項19】
前記化学式(I)の付加化合物の部分が、前記二液形の組成物に基づいて0.1重量%から10重量%、好ましくは0.3重量%から6重量%、特に0.5重量%から5重量%であることを特徴とする、請求項17または18に記載の二液形の組成物。
【請求項20】
ヒドロキシル基及び/またはアミノ基に対して過剰に、特に([OH]+[NH])/[NCO]の比が0.5から0.95の値を有するようにイソシアネート基を使用して、請求項17から19のいずれか一項に記載の二液系の組成物の成分K1とK2を混合することによって得られる混合されている二液形の組成物。
【請求項21】
前記化学式(I)の付加化合物の調製及びポリマーPの調製がお互い別々に実施されることを特徴とする、請求項8から16のいずれか一項に記載の一液形の組成物の調製方法。
【請求項22】
前記ポリイソシアネートを前記化学式(I)の付加化合物と後者の調製後に混合することを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の二液形の組成物の調製方法。
【請求項23】
以下の工程
a)請求項8から16のいずれか一項に記載の一液形の組成物、または請求項20に記載の混合されている二液形の組成物を、被着体S1及び/または被着体S2に対して適用する工程、
b)接着面を固定する工程、
c)前記組成物を硬化する工程、
を含み、前記被着体S1は被着体S2と類似または異なるものである接着方法。
【請求項24】
以下の工程
a)請求項8から16のいずれか一項に記載の一液形の組成物、または請求項20に記載の混合されている二液形の組成物を、被着体S1及びS2の間に適用する工程、
b)前記組成物を硬化する工程、
を含み、前記被着体S1は被着体S2と類似または異なるものである封止方法。
【請求項25】
前記被着体S1またはS2の少なくとも1つが塗装、特に自動車のトップコート、または塗装されている表面であることを特徴とする、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記塗装が下塗り剤で事前に処理されていないことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項23から26のいずれか一項に記載の方法によって得られる接着剤で接着または封止されている製品。
【請求項28】
前記製品が輸送手段、特に車、または輸送手段、特に車の外装部品であることを特徴とする、請求項27に記載の接着剤で接着または封止されている製品。

【公開番号】特開2007−63281(P2007−63281A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234169(P2006−234169)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】