説明

イメージインテンシファイア

【課題】高感度であるとともに撮影領域を広領域としたイメージインテンシファイアを提供する。
【解決手段】放射線に対して発光する蛍光体を有する複数の針状のシンチレータからなる入力側シンチレータ17と、複数本の光ファイバを束ねてなり入力側シンチレータ17から放出された光を伝送するFOP12と、FOP12から伝送された光を受光して電子を放出する受光センサ13と、放出された電子を増幅するイメージインテンシファイア管4と、増幅された電子を光に変換する出力側シンチレータ22とを具備し、複数本の光ファイバをテーパー状に束ねてファイバ群16を構成して入力側シンチレータ17及びファイバオプティックプレート12間に設置し、入力側シンチレータ17からの光をファイバ群16に入力するとともに、ファイバ群16からファイバオプティックプレート12へ伝送させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医用診断装置や非破壊検査装置に用いられるイメージインテンシファイアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線、γ線等の放射線を用いたイメージインテンシファイアにおいて、電子レンズが作り出す電場を考慮して感光センサの光電面及びシンチレータを曲面にする必要があった。そのため、放射線と反応するシンチレータの発光面の外周部分では放射線が斜めに入射するため解像度が悪化してしまっていた。
【0003】
この問題を解決するために、シンチレータの放射線入射面を平面にしたイメージインテンシファイアが提案されてきた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−106541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線の入射面を平面にしたイメージインテンシファイアにおいて、シンチレータの入射面を曲面の感光センサに内接させる必要があり、撮影不能領域が大きくなってしまうという別の問題があった。
【0005】
また、放射線照射による被曝低減の観点から高感度・低照射線量が望まれているとともに、イメージ全体において歪みがなく優れた解像度が得られることが要求される。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑みなされたもので、高感度であるとともに撮影領域を広領域としたイメージインテンシファイアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るイメージインテンシファイアは、放射線に対して発光する蛍光体を有する複数の針状のシンチレータからなる入力側シンチレータと、複数本の光ファイバを束ねてなり前記入力側シンチレータから放出された光を伝送するファイバオプティックプレートと、前記ファイバオプティックプレートから伝送された光を受光して電子を放出する受光センサと、前記放出された電子を増幅するイメージインテンシファイア管と、前記増幅された電子を光に変換する出力側シンチレータとを具備し、複数本の光ファイバをテーパー状に束ねてファイバ群を構成して前記入力側シンチレータ及び前記ファイバオプティックプレート間に設置し、前記入力側シンチレータからの光を前記ファイバ群に入力するとともに、前記ファイバ群から前記ファイバオプティックプレートへ伝送させたことを特徴とする。
【0008】
また、放射線に対して発光する蛍光体を有する複数の針状のシンチレータからなる入力側シンチレータと、前記入力側シンチレータから放出された光を伝送するガラス基材と、前記ガラス基材から伝送された光を受光すると電子を放出する受光センサと、前記放出された電子を増幅するイメージインテンシファイア管と、前記増幅された電子を光に変換する出力側シンチレータとを具備し、複数本の光ファイバをテーパー状に束ねてファイバ群を構成して前記入力側シンチレータ及び前記ガラス基材間に設置し、前記入力側シンチレータからの光を前記ファイバ群に入力するとともに、前記ファイバ群から前記ガラス基材へ伝送させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るイメージインテンシファイアによると、撮影不能領域を大幅に減少させ、被測定物との密着性を高めて撮影領域を大きくし且つ少ない線量で効率よく撮影することを可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るイメージインテンシファイアの実施の形態について図1ないし図14に基づいて説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1に、本発明に係るイメージインテンシファイア1の構成図を示す。イメージインテンシファイア1は、円筒状の管容器2を有し、この管容器2の一端には開口部3が設けられる。また管容器2の内部には、光を数万倍に増幅するイメージインテンシファイア管4と高電圧電源5とレンズ6及びカメラ7とが収納される。
【0012】
イメージインテンシファイア管4は、管容器2と同様に筒状に設けられ、一端に開口部8を有する。イメージインテンシファイア管4の開口部8は、管容器2の開口部3と同方向に向けて開口される。また、イメージインテンシファイア管4は、開口部8から軸方向の管底部の奥底部側に近づくにつれて段階的に絞り込まれる段差を有するとともに、管内部に真空空間9と、電圧が印加されると電界を形成する内部電極10及び陽極11とを備える。
【0013】
イメージインテンシファイア管4の開口部8は、円筒状に光ファイバを束ねたファイバオプティックプレート12(Fiber Optic Plate:以下FOPと言う)で閉塞される。また、FOP12は、光をイメージインテンシファイア管4の内外に伝送するように備えられる。イメージインテンシファイア管4の内部が真空に保たれ、FOP12は、光学基板として機能する。
【0014】
イメージインテンシファイア管4のFOP12の内部側には、所定の曲率を有する受光センサ13が設けられ、受光センサ13には光が当たると電子を放出する光電面14が形成される。受光センサ13は、例えばCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサ等の二次元の面センサである。
【0015】
また、イメージインテンシファイア管4のFOP12の外部側には、受光センサ13と同様の曲率を有する光の入力面15が形成される。また、FOP12は、イメージインテンシファイア管4を閉塞するとともに、管容器2をも閉塞する。
【0016】
FOP12は管容器2の開口部3に露出している。FOP12の開口部3には、複数の光ファイバをテーパー状に束ねてなるファイバ群16が備えられ、このファイバ群16は、各光ファイバが光をFOP12に伝送する。また、ファイバ群16には光ファイバ内部に光を送り込むように入力側シンチレータ17が備えられる。また、ファイバ群16の外周には、内部を真空に保つためにガラス基材21が融着される。
【0017】
入力側シンチレータ17は、図2に示すように、ファイバオプティックプレート層19(以下FOP層と言う)とシンチレータ層18と保護樹脂層20とが積層されて構成される。
【0018】
シンチレータ層18は、針状シンチレータ18aとコーティングシンチレータ18bとから形成される。すなわち、シンチレータ層18の厚さを増加させて感度を向上させつつ解像度の低下を少なく抑えるために、針状シンチレータ18aを針状に形成するとともに、針状シンチレータ18aの放射線入射側を、コーティングシンチレータ18bによりコーティングする。コーティングシンチレータ18bは、粒径が数ミクロンから数十ミクロンの複数種類の粉末状シンチレータ微粒子を組合せて構成される。コーティングシンチレータ18bにより放射線の斜方向成分が軽減され、シンチレータ層18の厚さを増加させて感度を向上させても解像度の低下を少なく抑えることができる。
【0019】
入力側シンチレータ17には、エネルギーや種類の異なる放射線に対してそれぞれ異なる反応を示すようにエネルギーや種類の異なる放射線の分離識別機能が備えられる。シンチレータ層18を構成する材料には、様々な種類の様々なエネルギーをもった放射線と反応する蛍光体が複数用いられる。すなわち、針状シンチレータ18a及びコーティングシンチレータ18bは単一あるいは複数の蛍光体で構成され、互いに異なる蛍光体を含む。
【0020】
保護樹脂層20には、例えばポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料が用いられる。樹脂の色が白色の場合には、シンチレータ11で発光した光を受光センサ13側に反射させる反射膜としての機能を有するため、感度向上が望める。
【0021】
FOP層19は複数本の光ファイバを束ねてなり、シンチレータ層18から放出される光をファイバ群16に伝送する。
【0022】
イメージインテンシファイア管4内部の閉口端側内面には、複数のシンチレータが二次元方向に並べられてプレート状に形成された出力側シンチレータ22が設けられる。
【0023】
また、イメージインテンシファイア管4の管内部側には、被測定物の画像を出力する出力側シンチレータ22の出力蛍光面24が平面状に形成され、出力側シンチレータ22の出力蛍光面24にカメラ7のレンズ6が向けられる。
【0024】
なお、受光センサ13で変換した電気信号をイメージインテンシファイア管4内で増幅してからカメラで撮影する構成とせずに、入力側シンチレータ17からの光を増幅させずにカメラで撮影するように構成してもよい。
【0025】
図3に、イメージインテンシファイア1の正面図(放射線入射方向から見た図)を示す。ファイバ群16において光の出口となる出力端面16Fは受光センサ13に内接するのに対し、ファイバ群16において光の入口となる入力端部16Eは、受光センサ13より広い面積を有する。受光センサ13側に先細りのテーパー状のファイバ群16を用いて、放射線の入射面25を受光センサ13より広面積とすることにより、イメージインテンシファイア1の撮影不能領域を小さくすることが可能となる。
【0026】
次に、本発明に係るイメージインテンシファイア1の作用を説明する。
【0027】
イメージインテンシファイア管4の開口部8に設けられたFOP12は、管容器2の開口部3に配置される。そして、画像を得ようとする物体を透過した放射線が、入力側シンチレータ17の入射面25に入射するように構成される。図1に示すように、入射面25の面積が、放射線の入射面有効面積となる。
【0028】
そして、入力側シンチレータ17の入射面25に入射した放射線は、シンチレータ層18において光に変換されてFOP層19、ファイバ群16及びFOP12を経由して受光センサ13に受光されるように構成される。
【0029】
受光センサ13は受光した光を光電面14において電子に変換し、イメージインテンシファイア管4の内部で増幅する。そして、イメージインテンシファイア管4の内部の電子は、出力側シンチレータ22において光に変換される。この際、出力側シンチレータ22には、電子の強度に応じて赤色、緑色、青色の発光割合の異なる光に変換できる機能、すなわちカラーシンチレータとしての機能が備えられる。
【0030】
イメージインテンシファイア管4は、受光センサ13の光電面14を陰極とする放電管として機能し、かつ陽極11との間に電子レンズが形成される。すなわち、イメージインテンシファイア管4、内部電極10、高電圧電源5、所定の曲面をもった陰極として機能する光電面14、及び陽極11により電子レンズが形成されて、電界の作用により電子を加速する電気信号増幅手段が構成される。
【0031】
そして、受光センサ13の入力面15において受光された光が電気信号に変換され、電気信号として光電面14から出力される。受光センサ13の光電面14から電気信号として放出された電子は、電子レンズの作用により増幅されて出力側シンチレータ22に照射されるように構成される。
【0032】
出力側シンチレータ22は、電気信号を受信しその電子の入射量に応じた光量の光を発光する。そして、出力側シンチレータ22に照射された増幅電気信号は、カラー画像に変換されて出力蛍光面24において結像し、カメラ7でこのカラー画像が撮影されるように構成される。
【0033】
ここで、FOP12は、針状性シンチレータ18aの構造に整合するように光ファイバを束ねた構造であるため、光を減衰させることなく伝送する。すなわち、受光センサ13として受光面が平面のCMOSセンサやCCDセンサを用いれば、レンズ等の非効率な伝送手段ではなく、光を効率的に伝送可能なFOP12を光学基板として用いることができる。
【0034】
また、FOP12は、シンチレータ層18を透過したX線等の放射線を遮蔽する機能を有する。すなわち、測定対象がX線やβ線等の放射線の場合には、シンチレータ層18を透過した放射線によりカメラ7が損傷する恐れがあるが、FOP12及びファイバ群16がカメラ7を放射線から遮蔽する。
【0035】
さらに、受光センサ13で変換された電気信号を増幅させるために、電子レンズを形成させるのに、FOP12で閉塞されたイメージインテンシファイア管4の内部を真空状態としなければならない。そこで、例えば、一定の強度を有する細いガラスを複数本束ねたFOP12を入力側シンチレータ17の光学基板として用いることにより、イメージインテンシファイア管4の内部を真空状態に保つことができるとともに、入力側シンチレータ17に所要の強度を付加させることができる。
【0036】
また、受光センサ13には、カラーフィルタ等のフィルタ機構とタイミング調整機構とが設けられる。受光センサ13のフィルタ機構は、受光させる光の波長を選別する機能を有する。このため、受光センサ13は、シンチレータ11で発光した種々の波長の光から所要の波長の光を選別して受光することができる。すなわち、シンチレータ11でエネルギーや種類の異なる放射線が色別に光に変換された場合には、適切に放射線を識別できるように光を電気信号に変換することができる。
【0037】
また、受光センサ13のタイミング調整機構は、シンチレータ11で発光した光を受光するタイミングを調整する機能を有する。このため、シンチレータ11でエネルギーや種類の異なる放射線が発光寿命の異なる蛍光体により光に変換された場合には、適切なタイミングで光を受光し、放射線を識別できるように光を電気信号に変換することができる。
【0038】
タイミング調整機構の例としては、受光のタイミングと測定時間ゲートをコントロールするためのタイミング調整回路が挙げられる。
【0039】
また、入力面15の形状が変わってもイメージインテンシファイア管4全体を作り直すのではなく、入射面の光学系(ファイバ群16に相当)を交換させる事で対応できるように2種類のファイバオプティックプレートを組み合わせて用いる構造とした。
【0040】
第1実施形態によると、入力側シンチレータ17を備えたテーパー状のファイバ群16の形状を調整して、シンチレータ17が放出した光の全てを円形の感光センサ13内に入力させることにより、撮影不能領域を軽減することが可能となる。
【0041】
〔第2実施形態〕
本発明に係るイメージインテンシファイアの第2実施形態について図4及び図5に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0042】
図4に示すように、第2実施形態のイメージインテンシファイア23は、第1実施形態で示したイメージインテンシファイア1を複数台、例えば6台を、各々の入射面25が全体として平面を形成するように縦横に並べてイメージインテンシファイア1、1・・群を構成し、撮影面積を増大させたものである。
【0043】
図5に示すように、各々のイメージインテンシファイア1の入射面を電子レンズの口径よりも大きい四角形とすることにより、各々の隣接するイメージインテンシファイア1の各々の入射面間に隙間ができぬよう縦横に並べ、撮影領域を大面積化することを可能とした。
【0044】
すなわち、テーパー状のファイバ群16を用いて放射線の入射面25をイメージインテンシファイア1の本体より広面積としたことにより、イメージインテンシファイア1を隙間なく並べることができ、また、入射面25の全面において撮影が可能となるため、つなぎ目における撮影不能領域を最小限にすることが可能となった。
【0045】
なお、入射面25の形状は四角形に限らず、複数のイメージインテンシファイア1を隙間なく並べられる形状であればよい。
【0046】
〔第3実施形態〕
本発明に係るイメージインテンシファイア1Aの第3実施形態を示す。
【0047】
イメージインテンシファイア1Aの正面図である図6に示すように、ファイバ群16Aの入力端部16E及び出力端部16Fの一辺をそれぞれ曲線30A及び曲線30Bとした。その他の構成及び作用は第1実施形態のイメージインテンシファイア1と同様なので、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0048】
なお、イメージインテンシファイア1Aのファイバ群16Aの入力端部16E及び出力端部16Fの形状は、被測定物の形状に合わせて自在に設定することができる。
【0049】
図7に示すように、イメージインテンシファイア1Aを被測定物(被検体)X1にフィットさせて、被測定物(被検体)X1に対してイメージインテンシファイア1Aを押し付けて測定することができ、特にマンモグラフィ等の際に、少ない線量で正確に測定でき有用である。
【0050】
〔第4実施形態〕
図8に、本発明に係るイメージインテンシファイア1Bの第4実施形態を示す。イメージインテンシファイア1Bは、FOP12の光の入射面と入射側シンチレータ17の入射面25との角度を傾けたものである。イメージインテンシファイア1Bでは、ファイバ群16Bを長さの異なる複数の光ファイバにより構成し、各々の光ファイバの長さはファイバ群16Bの入力端面16Eが平面となるように設定される。その他の構成及び作用は第1実施形態のイメージインテンシファイア1と同様なので、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
イメージインテンシファイア1Bを放射線入射側から見た正面図である図9に示すように、ファイバ群16Bの入力端部16Eの垂直方向の位置をずらしてと感光センサ13が設置される。
【0052】
図10に、イメージインテンシファイア1Bを用いた乳がん検査時の撮影状態を表す横断図を示す。被検査対象X2をサポートフレーム28で支持し、イメージインテンシファイア1Bと被検査対象X2とを結んだ延長線上に放射線源Sを配置する。また、検査対象物X2以外の部位への照射を回避するために、遮蔽プレート29で照射を回避すべき場所を覆っている。
【0053】
サポートフレーム28は、プラスチック材からなるプレートであり、乳房を圧迫しながら挟み込む。遮蔽プレート29は、鉛または鉄の素材からなるプレートであり、撮影に用いられるX線等の放射線をすべて遮蔽する。マンモグラフィの撮影の際に、被爆したくない部位をこの遮蔽プレート29で覆うことにより、不必要な被爆を最低限に抑える。
【0054】
特にマンモグラフィの検査では、ファイバ群16Bの入力端部16Eと感光センサ13との位置をずらすことにより、イメージインテンシファイア1Bを体から離して撮影することができるため、圧迫感なく検査することができる。また、反応面表面にフリースなどX線等の放射線が透過しやすい樹脂や綿繊維でイメージインテンシファイア1Bの表面を覆うことで、接触時の冷たい感触を和らげる事ができる。
【0055】
また、入射する放射線の種類、例えば、高エネルギーのγ線やX線、中性子線等の放射線の種類によっては入射側シンチレータ11内で全てエネルギーを失うとは限らず、透過してしまう場合がある。この場合、透過した放射線がカメラ7に照射されてカメラ7がダメージを受ける場合がある。そこで、ファイバ群16Bの入力端部16Eの垂直線上のからカメラをずらすように設置することにより、カメラ7がダメージを受けるのを防ぐ効果も得られる。
【0056】
また、検査において微少な欠陥をわずかな変化量から求める必要がある。その場合、一般的な透過画像だけでは変化量がわかりにくくなる場合でも、透過画像の輪郭を強調する測定方法を用いれば埋もれてしまう欠陥部も導出することが可能となる。
【0057】
よって、導出したい欠陥の幅以内でずらした画像を2枚取得し、画像間の差分を求めることで輪郭部が微分されたようになり強調して表示できるようになる。図11に示すように、イメージインテンシファイア取り付け部に駆動機構を設けてイメージインテンシファイア1Bを所定量だけ移動させるとよい。
【0058】
すなわち、撮影される画像のボケ(ぼやけ)を少なくするために、イメージインテンシファイア1Bを被測定物に対して平行方向にずらして、画像間の距離の積算あるいは減算処理を行うことにより、画像内のエッジ部分で微分処理した様に強調されてはっきりと見える画像になる。例えば、イメージインテンシファイア1Bを、あるいは被測定物X3を、あるいは放射線源Sをずらして積算あるいは減算処理を行う。
【0059】
特に撮影位置の移動量が測定対象としている部分に依存して数ミクロンから数ミリ程度の場合が多いため、移動するためにはマイクロステージやピエゾなどの圧電素子で微少に動かすとよい。
【0060】
また、図12に示すように、カメラ7を2セットずらして配置したり、撮像素子のCCDを2枚ずらして付ける画素ずらしを行ったりするとよい。
【0061】
〔第5実施形態〕
次に、本発明に係るイメージインテンシファイア1Cの第5実施形態を図13に基づいて説明する。イメージインテンシファイア1Cは、長さの異なる複数の光ファイバでファイバ群16Cを構成し、各々の光ファイバの長さを調整して放射線入力側面16Eを曲面、特に円弧面としたものである。その他の構成及び作用は第1実施形態のイメージインテンシファイア1と同様なので、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
なお、被検体X4の形状に合わせてファイバ群16Cの入力端部16Eの形状を設定することにより、被検体X4の表面が複雑な形状をしている場合であっても、イメージインテンシファイア1Cを被保険対象物X4に密着させて撮影することができる。
【0063】
この様な球面形状は、タンクや配管部に多く見られ、放射線源Sを配管内部に入れて撮影することもある。イメージインテンシファイア1Cの入射面25が被検体X4の表面に密着するため、放射線源Sの焦点サイズによる周辺部の幾何学的なボケを少なくすることができる。
【0064】
〔第6実施形態〕
次に、本発明に係るイメージインテンシファイア1Dの第6実施形態を図14に基づいて説明する。
【0065】
イメージインテンシファイア1DはFOP12を備えず、ファイバ群16において伝送された光を直接感光センサに入射させる点が、第1実施形態のイメージインテンシファイア1と異なる。その他の構成及び作用は第1実施形態のイメージインテンシファイア1と同様なので、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0066】
また、図13に示すように、イメージインテンシファイア管4の内部を真空に保つために、管容器2の開口部3及びイメージインテンシファイア管4の開口部8には、ガラス基材27が融着される。
【0067】
第6実施形態では、入力側シンチレータ17からの光をファイバ群16が入力し、ファイバ群16から出力した光を入力面15に入力する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係るイメージインテンシファイアの第1実施形態の構成を示す横断図。
【図2】図1のA部の拡大横断図。
【図3】図1のIII−III線に沿う正面図。
【図4】本発明に係るイメージインテンシファイアの第2実施形態の構成を示す図。
【図5】図4のV−V線に沿う正面図。
【図6】本発明に係るイメージインテンシファイアの第3実施形態の構成を示す図。
【図7】第3実施形態のマンモグラフィ撮影状況を示した横断図。
【図8】本発明に係るイメージインテンシファイアの第4実施形態の構成を示す縦断図。
【図9】図8のIX−IX線に沿う正面図。
【図10】第4実施形態のマンモグラフィ撮影状況を示した縦断図。
【図11】第4実施形態の撮影法の例を示した図。
【図12】第4実施形態の撮影法の例を示した図。
【図13】本発明に係るイメージインテンシファイアの第5実施形態のイメージインテンシファイアを球面を持つ被測定物に適用した横断図。
【図14】本発明に係るイメージインテンシファイアの第6実施形態の構成を示す横断図。
【符号の説明】
【0069】
1、23、1A、1B、1C、1D イメージインテンシファイア
2 管容器
3 開口部
4 イメージインテンシファイア管
5 高電圧電源
6 レンズ
7 カメラ
8 開口部
9 真空空間
10 内部電極
11 陽極
12 FOP(ファイバオプティックプレート)層
13 受光センサ
14 光電面
15 入力面
16、16A、16B、16C ファイバ群
16E 入力端部
16F 出力端部
17 入力側シンチレータ
18 シンチレータ層
18a 針状シンチレータ
18b コーティングシンチレータ
19 FOP(ファイバオプティックプレート)層
20 保護樹脂層
21 ガラス基材
22 出力側シンチレータ
24 出力蛍光面
25 入射面
27 ガラス基材
28 サポートフレーム
29 遮蔽フレーム
30A、30B 曲線
S 放射線源
X1ないしX4 被測定物(被検体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線に対して発光する蛍光体を有する複数の針状のシンチレータからなる入力側シンチレータと、複数本の光ファイバを束ねてなり前記入力側シンチレータから放出された光を伝送するファイバオプティックプレートと、前記ファイバオプティックプレートから伝送された光を受光して電子を放出する受光センサと、前記放出された電子を増幅するイメージインテンシファイア管と、前記増幅された電子を光に変換する出力側シンチレータとを具備し、
複数本の光ファイバをテーパー状に束ねてファイバ群を構成して前記入力側シンチレータ及び前記ファイバオプティックプレート間に設置し、前記入力側シンチレータからの光を前記ファイバ群に入力するとともに、前記ファイバ群から前記ファイバオプティックプレートへ伝送させたことを特徴とするイメージインテンシファイア。
【請求項2】
放射線に対して発光する蛍光体を有する複数の針状のシンチレータからなる入力側シンチレータと、前記入力側シンチレータから放出された光を伝送するガラス基材と、前記ガラス基材から伝送された光を受光すると電子を放出する受光センサと、前記放出された電子を増幅するイメージインテンシファイア管と、前記増幅された電子を光に変換する出力側シンチレータとを具備し、
複数本の光ファイバをテーパー状に束ねてファイバ群を構成して前記入力側シンチレータ及び前記ガラス基材間に設置し、前記入力側シンチレータからの光を前記ファイバ群に入力するとともに、前記ファイバ群から前記ガラス基材へ伝送させたことを特徴とするイメージインテンシファイア。
【請求項3】
前記入力側シンチレータ及び出力側シンチレータは多種類の蛍光体を有する結晶構造に形成されたことを特徴とする請求項1または2記載のイメージインテンシファイア。
【請求項4】
前記入力側シンチレータの入射面を前記感光センサより大径の四角形にしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のイメージインテンシファイア。
【請求項5】
入力側シンチレータの入射面の少なくとも一辺が被測定物の形状に合わせて曲線に形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のイメージインテンシファイア。
【請求項6】
出力側シンチレータから出力された光を撮影するカメラを有し、放射線の入射角に対して前記カメラの位置をずらして設置したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のイメージインテンシファイア。
【請求項7】
放射線の照射軸を被測定物の幅内で微小に移動させて複数枚の画像を撮影し、前記画像のカラー情報の差分を強調させるような補正を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載のイメージインテンシファイア。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか記載のイメージインテンシファイアを、前記各々の入射面が全体として平面になるように縦横複数並べて構成されることを特徴とするイメージインテンシファイア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−251211(P2008−251211A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87765(P2007−87765)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】