説明

イルミネーション付きインストルメントパネル

【課題】 夜間において車室内に独特の高級感を持たせることのできるイルミネーション付きインストルメントパネルを提供する。
【解決手段】 車幅方向に沿ってインストルメントパネルの中央部にU字型のイルミネーション9が設けられ、このイルミネーション9には板状リブ17A〜17Eを有するチャンバ14が設けられている。チャンバ14の上部には取付穴15に光源が取り付けられている。板状リブ17A〜17Eの表面、およびチャンバ14の内壁面は青色に着色されており、前記光源からの光は、板状リブ17A〜17Eやチャンバ14の内壁面で反射し、青色の間接光となってイルミネーション9の下方に出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネルの中央部にイルミネーションが設けられたイルミネーション付きインストルメントパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両には、車室内前部にインストルメントパネルが設置されている。また、ドライバ席と助手席との間にはセンタコンソールが設置され、このセンタコンソールの前端部はインストルメントパネル中央下部に連結され固定されている。
【0003】
このような構成の車両においては、インストルメントパネルの中央部に開口部が設けられ、この開口部内にオーディオやヒータコントローラ等の電装機器が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−335150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、インストルメントパネル中央下部とセンタコンソールの前端部との連結部分をムラ無く一様に照明するようにしたものはなく、夜間における独特の高級感を車室内に作り出すという点では充分ではない。
【0005】
本発明の課題は、夜間における独特の高級感を車室内に作り出すことのできるイルミネーション付きインストルメントパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車幅方向に沿ってインストルメントパネルの中央部にイルミネーションが設けられ、該イルミネーションは、前記インストルメントパネルの中央部下方を間接照明する間接照射部を有することを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、間接照明部によってインストルメントパネルの中央部下方を間接光でムラ無く照明することができるので、夜間における独特の高級感を車室内に作り出すことが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記イルミネーションは、前記間接照明部とは別に、光源からの光で前記インストルメントパネルの中央部下方を直接照明する直接照射部も有することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、間接光と直接光とが交じり合った光でインストルメントパネルの中央部下方を照明することにより、明る過ぎず又暗過ぎないバランスの良い照明を実現することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記イルミネーションは、車室側に向けて配置された湾曲部分と、該湾曲部分両側の直線部分とからなるU字型に形成され、前記湾曲部分には前記間接照明部と前記直接照明部が、前記直線部分には前記間接照明部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、イルミネーションの湾曲部分からは、請求項2のように間接光と直接光とが交じり合った光で照明が行われ、湾曲部分両側の直線部分からは間接光だけによるソフトな照明が行われる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は3において、前記間接照明部は光源が設けられたチャンバ内に複数の反射板を有し、前記光源からの光を前記反射板と前記チャンバの内壁面とで反射させてから、間接光として出射することを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、光源(この光源は着色されていない裸の光源である)からの光は反射板とチャンバの内壁とで反射された後に、間接光となってインストルメントパネルの中央部下方に出射する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記チャンバの内壁と前記反射板は着色されていることを特徴としている。
【0015】
チャンバの内壁と反射板をある色(例えば青色)で着色しておけば、間接照明部から出射される間接光は、着色されたチャンバの内壁や反射板と同じ色(青色)となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、間接照明部からの間接照明光によって、インストルメントパネルの中央部の下方を照明することができ、夜間における独特の高級感を車室内に作り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、車室内前部に設置されるインストルメントパネルの斜視図である。このインストルメントパネル1の左右(車幅方向)中央部には、温度や湿度が調和された空気を車室内に吹き出すための左右一対のセンタ吹出し口2L,2Rが、また左右両端部には同様のサイド吹出し口3L,3Rがそれぞれ取り付けられている。
【0019】
インストルメントパネル1には、車室内から見て正面右側に、各種のメータが取り付けられたコンビネーションメータ4が設けられ、このコンビネーションメータ4の下側には、ステアリングシャフト(図示省略)が配置されるステアリングシャフト収容部5が設けられている。また、インストルメントパネル1には、車室内から見て正面左側下部にグローブボックス6が設けられている。
【0020】
さらに、インストルメントパネル1には、センタ吹出し口2L,2Rの下側に、オーディオまたはヒーターコントローラ等の電装機器7が取り付けられている。そして、電装機器7の下側には、イルミネーションユニット8が設けられている。
【0021】
図2および図3はイルミネーションユニット8を示しており、図2はイルミネーションユニット8を左斜め上方から見たときの斜視図、図3はイルミネーションユニット8を左斜め下方から見たときの斜視図である。
【0022】
イルミネーションユニット8は、図2および図3に示すように、イルミネーション9、カバー部材10、および基台11から構成されている。なお、イルミネーション9、カバー部材10、および基台11はそれぞれ合成樹脂で形成されている。
【0023】
図4〜図8はイルミネーション9の詳細構成を示しており、図4は正面図、図5は左側面図、図6は右側面図、図7はイルミネーション9を左斜め上方から見たときの斜視図、図8はイルミネーション9を右斜め上方から見たときの斜視図である。
【0024】
イルミネーション9は上方から見てU字型に形成され、そのU字型のうち湾曲部分9Aが車室側に向けて配置される。また、湾曲部分9Aの左右両側には直線部分9B,9Cが設けられ、これら直線部分9B,9Cは横から見ると台形状に形成されている。すなわち、直線部分9Bには台形状部12が、直線部分9Cには台形状部13がそれぞれ設けられている。本実施例では、台形状部12の上部先端は台形状部13の上部先端よりも高さが高くなっている。
【0025】
左側の台形状部12には、図5および図7に示すように、直方体の空間からなるチャンバ14が設けられている。このチャンバ14の上部には取付穴15(図7参照)に光源16が取り付けられる。チャンバ14は外側に開口部14Aを有し、内側(奥側)に縦壁14Bが設けられている。なお、光源16は着色されていない裸の電球である。
【0026】
縦壁14Bには正方形をなした5つの板状リブ17A〜17Eが水平に固定されている。板状リブ17A,17Bは光源16の直ぐ下側に、板状リブ17C,17Dは板状リブ17A,17Bの直ぐ下側に、板状リブ17Eは板状リブ17C,17Dの直ぐ下側にそれぞれ配置されている。板状リブ17A,17B、板状リブ17C,17D、および板状リブ17Eは光源16を通る垂線(図示省略)に関して対称に配置され、且つ板状リブ17A,17B間の間隔が板状リブ17C,17D間の間隔よりも広くなっている。また、縦壁14Bには、板状リブ17Eの下側に横断面T字型の補強部材18が固定されている。
【0027】
本実施例では、縦壁14Bを含めてチャンバ14の内壁面、および板状リブ17A〜17Eの表面は青色に着色されている。
【0028】
右側の台形状部13には、図6および図8に示すように、直方体の空間からなるチャンバ20が設けられている。このチャンバ20の上部には取付穴21(図8参照)に光源22が取り付けられる。チャンバ20は外側に開口部20Aを有し、内側(奥側)に縦壁20Bが設けられている。
【0029】
縦壁20Bには正方形をなした3つの板状リブ23A〜23Cが固定されている。板状リブ23A,23Bは光源22の直ぐ下側に、板状リブ23Cは板状リブ23A,23Bの直ぐ下側にそれぞれ配置されている。板状リブ23A,23Bおよび板状リブ23Cは光源22を通る垂線(図示省略)に関して対称に配置され、且つ板状リブ23A,23Bが逆ハの字状に、板状リブ23Cが水平に配置されている。また、縦壁20Bには、板状リブ23Cの下側に横断面T字型の補強部材24が固定されている。
【0030】
本実施例では、縦壁20Bを含めてチャンバ20の内壁面、および板状リブ23A〜23Cの表面は青色に着色されている。
【0031】
図9は図2のA−A線に沿った断面図である。図9に示すように、イルミネーション9の湾曲部分9Aには、上部に略半球状の上壁25Aを、側部に上壁25Aに繋がった縦壁25Bをそれぞれ有するチャンバ25が設けられている。チャンバ25には、取付穴26(図2および図7参照)に光源27が取り付けられる。そして、光源27の横方には板状リブ28が配置されており、この板状リブ28は上壁25Aに一体的に形成されている。
【0032】
本実施例では、上壁25Aと縦壁25Bを含めてチャンバ25の内壁面、および板状リブ28の表面は青色に着色されている。
【0033】
また、イルミネーション9には湾曲部分9Aの底面に複数のスリット29Aが、直線部分9Bの底面に複数のスリット29Bがそれぞれ直列に配列されている。図示してないが直線部分9Cの底面にも、同様に、複数のスリットが直列に配列されている。
【0034】
カバー部材10は、図2および図3に示すように、幅が両端で広く中間部で狭く形成された板状部材であり、イルミネーション9の外周を覆っている。これにより、イルミネーション9に設けられたチャンバ14の開口部14Aおよびチャンバ20の開口部20Aがそれぞれ塞がれている。なお、カバー部材10のうち、チャンバ14の開口部14Aを塞ぐ部分の内表面およびチャンバ20の開口部20Aを塞ぐ部分の内表面は青色に着色されている。
【0035】
イルミネーション9は基台11の上面に載置され、この基台11の正面側には図示しないセンタコンソールの前端部が連結される。基台11はイルミネーション9の形状に合わせて横断面が略U字型の周壁30を有している。また、基台11の周壁30には、スリット29Aの下方位置に透明材料からなる矩形状のレンズ31が設けられている。このレンズ31の表面は梨地状に形成され、光源27からの光を散乱させることができる。
【0036】
イルミネーション9を基台11の上面に載置したとき、複数のスリット29A,29B等は基台11の周壁30よりも外側に位置する。そして、イルミネーション9に設けられたチャンバ14,20,25はそれぞれスリット29A,29B等を介して基台11の周壁30外側に連通している。すなわち、チャンバ14は複数のスリット29Bのうちチャンバ14の下方に配列されたスリットを介して、チャンバ25は複数のスリット29Aのうちチャンバ25の下方に配列されたスリットを介してそれぞれ基台11の周壁30外側に連通している。チャンバ20も複数のスリットのうちチャンバ20の下方に配列されたスリットを介して基台11の周壁30外側に連通している。
【0037】
なお、チャンバ14において、光源16、板状リブ17A〜17E、およびチャンバ14の内壁面等は間接照明部を構成し、チャンバ20において、光源22、板状リブ23A〜23C、およびチャンバ20の内壁面等も間接照明部を構成している。また、チャンバ25において、光源27、板状リブ28、およびチャンバ25の内壁面等は間接照明部を構成している。さらに、チャンバ25においては、光源27、およびレンズ31は直接照明部を構成している。
【0038】
次に、本実施例の作用について説明する。
【0039】
チャンバ14においては、光源16からの光は、板状リブ17A〜17Eの表面、およびチャンバ14の内壁面(縦壁14Bやカバー部材10の内面等)で反射されて間接光となって、チャンバ14下方のスリット29Bから基台11の周壁30外側に照射される。
【0040】
また、チャンバ20においては、光源22からの光は、板状リブ23A〜23Cの表面、およびチャンバ20の内壁面(縦壁20Bやカバー部材10の内面)で反射されて間接光となって、チャンバ20下方のスリットから基台11の周壁30外側に照射される。
【0041】
チャンバ25においては、光源27からの光は、板状リブ28の表面、およびチャンバ25の上壁25A内面または縦壁25B内面で反射されて間接光となって、チャンバ25下方のスリット29Aから基台11の周壁30外側に照射される。また、チャンバ25においては、光源27からの光はレンズ31を介して直接光として基台11の周壁30外側に照射される。そして、スリット29Aからの間接光とレンズ31からの直接光は交じり合って、基台11の周壁30外側を明るくする。これにより、明る過ぎず又暗過ぎないバランスの良い照明を実現することができる。
【0042】
本実施例によれば、間接照明部によってインストルメントパネルの中央部下方を間接光でムラ無く照明することができるので、夜間において車室内に独特の高級感を持たせることが可能となる。
【0043】
なお、本実施例では、チャンバ14,20,25の内壁面や板状リブ17A〜17E,23A〜23C,28を青色に着色したが、これに限定されることなく、当該箇所を他の色で着色することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】車室内前部に設置されるインストルメントパネルの斜視図である。
【図2】イルミネーションユニットを斜め上方から見たときの斜視図である。
【図3】イルミネーションユニットを斜め下方から見たときの斜視図である。
【図4】イルミネーションの正面図である。
【図5】イルミネーションの左側面図である。
【図6】イルミネーションの右側面図である。
【図7】イルミネーションを左側斜め上方から見たときの斜視図である。
【図8】イルミネーションを右側斜め上方から見たときの斜視図である。
【図9】図2のA−A線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 インストルメントパネル
8 イルミネーションユニット
9 イルミネーション
9A 湾曲部分
9B,9C 直線部分
10 カバー部材
11 基台
14,20,25 チャンバ
16,22,27 光源
17A〜17E,23A〜23C,28 板状リブ
29A,29B スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に沿ってインストルメントパネルの中央部にイルミネーションが設けられ、該イルミネーションは、前記インストルメントパネルの中央部下方を間接照明する間接照射部を有することを特徴とするイルミネーション付きインストルメントパネル。
【請求項2】
前記イルミネーションは、前記間接照明部とは別に、光源からの光で前記インストルメントパネルの中央部下方を直接照明する直接照射部も有することを特徴とする請求項1に記載のイルミネーション付きインストルメントパネル。
【請求項3】
前記イルミネーションは、車室側に向けて配置された湾曲部分と、該湾曲部分両側の直線部分とからなるU字型に形成され、
前記湾曲部分には前記間接照明部と前記直接照明部が、前記直線部分には前記間接照明部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載のイルミネーション付きインストルメントパネル。
【請求項4】
前記間接照明部は光源が設けられたチャンバ内に複数の反射板を有し、前記光源からの光を前記反射板と前記チャンバの内壁面とで反射させてから、間接光として出射することを特徴とする請求項1又は3に記載のイルミネーション付きインストルメントパネル。
【請求項5】
前記チャンバの内壁と前記反射板は着色されていることを特徴とする請求項4に記載のイルミネーション付きインストルメントパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−96155(P2006−96155A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284117(P2004−284117)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】