説明

インクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法

【課題】ヘッドクリーニングに要する時間や無駄なインク消費を低減できるインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法を提案すること。
【解決手段】プリンタ1の制御部30は、1回目のクリーニング工程の実行前にタイマAIDフラグ、衝撃検出フラグ、起動処理フラグ、AID保留フラグ、カバークローズフラグがセットされているか否かを確認し、いずれか1つでもセットされていた場合には、プリンタ1に多数の不良ノズルが発生している可能性が高いとして、少し強めのクリーニング処理(CL1またはCL2)を実行する。CL1とCL2のどちらを行うかは、1回目のノズルチェック工程における不良ノズルの検出数に応じて決定する。一方、どのフラグもセットされていなかった場合には、最も弱いクリーニング処理(CL0)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドのノズルにおけるインク液滴の吐出不良を回復するためのインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドの各ノズルが、ノズル内に残っているインクの増粘や気泡の混入、あるいはごみなどの異物の付着などによって目詰まりすることや、完全に目詰まりしなくても印刷対象の印刷用紙の所定位置に所定量のインクが吐出しないなどの吐出不良が起きることがあった。このような状態のノズルを不良ノズルという。不良ノズルのあるインクジェットヘッドで印刷を行うと印刷品位が低下するため、定期的にあるいは所定のタイミングでインクジェットヘッドを印刷領域外へ移動させてヘッドクリーニング処理などを行っている。特許文献1のインクジェットプリンタは、ノズル面に付着したインクをワイパなどで除去するワイパクリーニング処理と、ノズル内のインクを吸引して目詰まり等を予防あるいは回復するノズル吸引処理の2種類のヘッドクリーニングを行っている。
【0003】
特許文献2のプリンタは、プリンタの電源投入時に、起動処理の一部としてノズルチェックおよびヘッドクリーニングを行う。このプリンタでは、電源投入前にはノズルからインクが吐出されていない状態が長時間続いていた可能性が高いことにより、ノズルの目詰まり等が発生している可能性が高いとして、電源投入時に自動的にノズルチェック処理を行うようにしている。また、このプリンタでは、ノズルチェックを行って不良ノズルの個数をチェックし、不良ノズル数がユーザが設定した閾値以上ならば不良ノズル数に対応する内容のヘッドクリーニングを行い、不良ノズル数が閾値未満ならばヘッドクリーニングを行わないようにしている。
【特許文献1】特開2003−1835号公報
【特許文献2】特開2007−7960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ノズルチェックなどを行ってノズルの状態に応じた内容のヘッドクリーニングを行うことや、ヘッドクリーニング実行時のプリンタの状態に応じた内容のヘッドクリーニングを行うことは提案されていなかった。また、特許文献2では、ノズルの目詰まり等が発生している可能性が高いタイミングでヘッドクリーニングを実行することは記載されているものの、ノズルの目詰まり等が通常よりも多数発生している可能性が高い状態とそうでない状態、例えば、電源投入直後とそうでない時、あるいは、プリンタに衝撃を加えた直後とそうでない時、などの条件の違いによってクリーニング処理の内容を変えることは提案されていなかった。従って、多数の不良ノズルが発生している可能性が高い状態において弱すぎるクリーニングが行われる可能性があり、クリーニングが完了するまでに時間がかかってしまったり、無駄にインクを消費してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、多数の不良ノズルが発生している可能性が高いか否かの判定結果に基づいてクリーニングの強さを決めることができ、ヘッドクリーニングに要する時間や無駄なインク消費を低減できるインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、インクジェットプリンタにおけるインクジェットヘッドのノズルが不良ノズルであるか否かを検出する第1ノズルチェック工程と、
前記インクジェットプリンタが予め設定した不良ノズル多発条件に該当する状態であるか否かの判定結果に基づき、前記不良ノズルを回復するための第1クリーニング処理の内容を決定する第1クリーニング処理内容決定工程と、
前記第1ノズルチェック工程で前記不良ノズルが検出された場合に、前記第1クリーニング処理を行う第1クリーニング工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明では、このように、ノズルチェックによって不良ノズルを検出した場合にクリーニング処理を行うので、不要なクリーニング処理を行ってしまうことがなく、無駄なインク消費を抑制できる。また、プリンタが予め設定した不良ノズル多発条件に該当する状態であるか否かを判定することにより、多数のノズルが目詰まり等している可能性が高い状態か、そうでない状態かを判別することができるので、その判定結果に基づき、ノズルの状態に応じた内容のクリーニング処理を行うことができる。よって、多数の不良ノズルが発生していても短時間で吐出不良を回復できる。また、無駄に強いクリーニングを行わないようにすることができるので、インクの消費量を削減できる。
【0008】
本発明において、前記第1クリーニング工程後のノズルが前記不良ノズルであるか否かを検出する第2ノズルチェック工程と、前記不良ノズルを回復するための第2クリーニング処理の内容を、前記不良ノズル多発条件とは無関係に決定する第2クリーニング処理内容決定工程と、前記第2ノズルチェック工程で前記不良ノズルが検出された場合に、前記第2クリーニング処理を行う第2クリーニング工程、および、前記第2クリーニング工程後のノズルが前記不良ノズルであるか否かを検出する第3ノズルチェック工程、の2工程を1回または複数回繰り返す繰り返し工程と、を含むとよい。このように、1回目のクリーニング処理だけを予め設定した不良ノズル多発条件に該当するか否かの判定結果に基づいて決定し、2回目以降のクリーニング処理は当該判定結果とは無関係に行うようにすれば、無駄に強いクリーニングを続けないようにすることができる。よって、インクの消費量を削減できる。
【0009】
本発明において、前記第1クリーニング処理内容決定工程では、前記インクジェットプリンタが、前記インクジェットプリンタに衝撃が加えられたこと、前記インクジェットプリンタの開閉部材が閉じたこと、前記インクジェットプリンタが起動したこと、直近に行われたクリーニング処理または印刷処理から所定時間以上経過したこと、前記クリーニング処理の実行が保留されたこと、を含む複数の不良ノズル多発条件の少なくともいずれかに該当する状態であるか否かの判定結果に基づき、前記第1クリーニング処理の内容を決定するとよい。より具体的には、前記第1クリーニング処理は、前記インクジェットプリンタが、前記複数の不良ノズル多発条件の少なくともいずれかに該当する状態にあると判定された場合には、前記複数の不良ノズル多発条件のいずれにも該当しない状態であると判定された場合よりも、前記各ノズルからのインクの吐出量あるいは吸引量が多いとよい。このように、多数のノズルが目詰まり等している可能性が高い状態か否かを複数の不良ノズル多発条件に基づいて判定することができるので、不良ノズル多発条件に該当する場合にのみインクの吐出量あるいは吸引量が多いクリーニング処理を行えば、少ない回数、且つ、少ないインク消費量でヘッドクリーニングを完了させることができる。
【0010】
本発明において、前記第2クリーニング処理内容決定工程では、前記第2クリーニング工程の実行回数に応じて、前記第2クリーニング処理の内容を決定するとよい。このようにすると、不良ノズルが回復せずクリーニング処理を繰り返す場合に順次クリーニング処理の内容を変えることができ、目詰まり等がひどい状態であるのに弱いクリーニングを繰り返し行ってしまうことがない。よって、不良ノズルを短時間で回復できる。
【0011】
本発明において、前記第1クリーニング処理内容決定工程では、前記判定結果、および、前記第1ノズルチェック工程における前記不良ノズルの検出結果に基づき、前記第1クリーニング処理の内容を決定するとよい。このようにすると、1回目のクリーニング工程では、その直前に行ったノズルチェックの結果を加味してクリーニング処理の内容を決定できるので、よりノズルの状態に適したクリーニング処理を行うことができる。よって、吐出不良の回復までにかかる時間を短縮できる。
【0012】
また、本発明のインクジェットプリンタは、ノズルチェック機構と、インクジェットヘッドのクリーニング機構と、前記ノズルチェック機構および前記クリーニング機構を制御する制御部を有し、前記制御部は、上述のヘッドクリーニング方法を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プリンタが予め設定した不良ノズル多発条件に該当する状態であるか否かを判定することにより、多数のノズルが目詰まり等している可能性が高い状態がそうでない状態かを判別することができるので、その判定結果に基づき、ノズルの状態に応じた内容のクリーニング処理を行うことができる。よって、多数の不良ノズルが発生していても短時間で回復できる。また、無駄に強いクリーニングを行わないようにすることができるので、インクの消費量を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1はインクジェットプリンタの斜視図、図2は外装ケースから取り出したインクジェットプリンタ内部の機構を示す斜視図である。インクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1という)は、箱型の外装ケース2の内部に印刷用紙であるロール紙3を転動可能に保持している。プリンタ1は、ロール紙3から引き出された連続紙にインク滴を吐出して印刷を行うための印刷機構10と、印刷機構10におけるインク滴の吐出不良状態あるいは吐出不能状態を回復するためのヘッドクリーニング機構20と、ホスト装置などからの印刷データやコマンドを受信して印刷機構10およびヘッドクリーニング機構20を制御する制御部30を有している。また、プリンタ1は、ロール紙3から連続紙を引き出して搬送するための紙送り機構、外装ケース2に形成された排紙口の内側で連続紙を切断する切断機構、などの各種機構を有している。
【0016】
外装ケース2の前面には、ロール紙カバー2aおよびインクカートリッジカバー2b(開閉部材)が左右に並んでおり、これらは手前側に開閉可能に取り付けられている。ロール紙カバー2aを開くと外装ケース2内のロール紙収容部4が開放状態になるので、ロール紙3の補充や交換を行うことができる。また、インクカートリッジカバー2bを開くと、インク液を封入したインクカートリッジ5を装着するためのカートリッジ装着部6が開放状態になるので、インクカートリッジ5の装着や取り外しが可能になる。
【0017】
外装ケース2の前面部分には、ロール紙収容部4あるいはカートリッジ装着部6に連通する開口の縁部に、ロール紙カバー2aが閉じたことを検出するための開閉センサ2c、および、インクカートリッジカバー2bが閉じたことを検出するための開閉センサ2dが取り付けられている。開閉センサ2c,2dには、例えば、ホールセンサやリードスイッチなどが用いられる。なお、ロール紙カバー2aやインクカートリッジカバー2bの下端に設けられたヒンジ部に開閉センサを取り付けてもよい。また、外装ケース2の内側の所定位置には、プリンタ1に外部から加えられた衝撃を検出するための衝撃センサ2eが取り付けられている。衝撃センサ2eは、例えば、衝撃時の加速度による錘の動きを圧電材料や位置センサなどにより検出するものが用いられる。開閉センサ2c,2dや衝撃センサ2eの検出信号は、制御部30に入力される。また、制御部30は、後述する積算カウンタACLやタイマなどを内蔵している。
【0018】
インクカートリッジ5は、カートリッジケース内に所定個数のインクパックを収容したものである。カラー印刷が可能なプリンタの場合には、異なる色のインクを封入した複数個のカラーインクパックがインクカートリッジ5内に収容されている。インクカートリッジ5は、インクカートリッジカバー2bを開く動作に連動して手前側に引き出される。インクカートリッジ5をカートリッジ装着部6に装着すると、カートリッジ装着部6側に設けられたインク供給針がインクカートリッジ5内のインクパックのインク供給口に差込接続される。インク供給針は、カートリッジ装着部6の奥側を通って上向きに延びるインク流路7に接続されている。インク流路7の上端には可撓性のインク供給チューブ8が接続されている。
【0019】
プリンタ1の内部には、ロール紙収容部4およびカートリッジ装着部6が左右に並んで設けられており、ここに装着されたロール紙3およびインクカートリッジ5の上部に印刷機構10が配置されている。印刷機構10は、インクジェットヘッド11(以下、ヘッド11という)を搭載したキャリッジ12を、ロール紙3の紙幅方向に延びる水平なキャリッジ軸13にスライド可能に取り付けた構成である。キャリッジ12は無端ベルト14によりキャリッジモータ15の出力軸に連結されており、キャリッジモータ15の回転に基づいてヘッド11がプリンタ幅方向すなわちロール紙の紙幅方向に往復移動する。
【0020】
ヘッド11は、インクを吐出するための複数のノズルが形成されたノズル面11aを備えており、ノズル面11aがキャリッジ12の下側において下向きになって露出している。キャリッジ12の上面にはヘッド11に接続された背圧調整ユニット16が搭載されており、背圧調整ユニット16は、その背面側に接続されたダンパユニット17を介してインク供給チューブ8の先端に接続されている。ヘッド11は、ロール紙3の上側に配置されたプラテン18の上の印刷位置を通って往復移動するときに、プラテン18の上に送り出された印刷用紙にノズル面11a上の各ノズルからインク滴を吐出し、印刷を行う。印刷を行わないときには、ヘッド11は、キャリッジ軸13の右端まで移動してインクカートリッジ5の上方の待機位置で止まる。
【0021】
(ヘッドクリーニング機構の構成)
図3はヘッドクリーニング機構の斜視図である。ヘッドクリーニング機構20は、カートリッジ装着部6に装着されたインクカートリッジ5の直上に配置されており、ヘッド11が待機位置に移動したときにはその下方に位置する。ヘッドクリーニング機構20は、ヘッド11のノズル面11aを封止するためのヘッドキャップ21と、ノズル面11aに付着しているインクや異物などを払拭するためのワイパ22と、ヘッド11のノズル内に残留あるいは目詰まり等しているインクを吸引するためのインク吸引部23を備えている。ヘッドキャップ21、ワイパ22、およびインク吸引部23はヘッドクリーニング機構20のフレーム24に取り付けられている。フレーム24は、キャリッジ軸13やプラテン18などを支持するプリンタ1の本体フレームに固定されている。
【0022】
ヘッドキャップ21は、待機位置におけるノズル面11aの真下に配置されており、ノズル面11aに正対する上向きの封止面21aを有している。ヘッドキャップ21は、図示しない駆動機構を作動させることにより、ノズル面11aに対して垂直な方向、すなわち、キャリッジ軸13と直交する方向に上下にスライド可能に構成されている。これにより、封止面21aがノズル面11aに対して近づく方向または遠ざかる方向にヘッドキャップ21が移動する。ヘッドキャップ21の駆動源である駆動機構は、制御部30からの制御信号に基づいて作動し、ヘッドキャップ21を上昇または下降させる。
【0023】
図4はヘッド11およびヘッドキャップ21が正対している状態を示す部分断面図である。この図に示すように、ヘッドキャップ21は、封止面21aの縁部21bが垂直に立ち上がっている箱型状であり、ゴムなどの弾力性のある素材で形成されている。ヘッドキャップ21は、ノズル面11aのノズル形成部分を覆って縁部21bをノズル面11aに密着させることが可能な大きさおよび形状である。封止面21aおよび縁部21bで囲まれる凹部21c内には、インク吸引部23が備える図示しないポンプモータから延びる吸引用チューブが接続されている。縁部21bをノズル面11aに密着させた状態でポンプモータが作動すると、ポンプモータの吸引力により凹部21cとノズル面11aで囲まれた密閉空間が減圧され、ヘッド11の各ノズルに残留しているインクが吸引されて凹部21c内に吐出される。
【0024】
凹部21c内には、吸引された廃インクを吸収するための吸収材21dが保持されており、吸収材21dと電気的に導通するように導電材21eが取り付けられている。導電材21eを流れた電気信号は配線などによって取り出され、制御部30に入力される。本実施形態では、ヘッド11のノズルから帯電したインクを吐出して、帯電したインクが吸収材21dに着弾する際に生じる電流変化の信号を取り出すことができる。インクを吐出したにも関わらず、この信号が所定の閾値以下の場合、ノズルの吐出不良と判断することができる。この他に、不良ノズルの検出方法として、吐出したインク滴をレーザーなど光学的な手段で検出する方法がある。
【0025】
ワイパ22はゴムなどの弾性材からなる板状の部材であり、ヘッドクリーニング機構20のフレーム24に固定された図示しないガイド部材によって上下にスライド可能に保持されている。ワイパ22は、図示しない駆動機構を作動させることにより、ヘッドキャップ21と同様に、ノズル面11aに対して垂直な方向に移動可能に構成されている。ワイパ22でノズル面11aを払拭する際には、ノズル面11aをワイパ22の真上からどけた状態でワイパ22を上昇させ、ワイパ22の先端をノズル面11aの高さよりもわずかに上に突出させ、この状態でヘッド11をキャリッジ軸13に沿って移動させ、ワイパ22の先端をノズル面11aに摺接させる。これにより、ノズル面11aに付着した異物やインクがワイパ22の先端によって掻きとられる。
【0026】
(ヘッドクリーニング機構の制御)
印刷ジョブが終了してヘッド11を待機位置で待機させる場合には、制御部30は、縁部21bがノズル面11aの周囲に密着する位置までヘッドキャップ21を移動させてノズルを封鎖する。これにより、待機時におけるノズル内のインクを増粘しにくくして目詰まり等を発生しにくくすることができる。また、制御部30は、ヘッド11を待機位置側あるいは印刷位置側に移動させるタイミングに同期させて上記ワイパ22を上昇させることにより、ワイパ22でノズル面11aを払拭するワイピング処理を行うことができる。
【0027】
ノズルの目詰まり等によりヘッドクリーニングが必要になった場合には、制御部30は、ノズルを封鎖する位置にヘッドキャップ21を移動させた状態でポンプモータを作動させて凹部21cとノズル面11aで囲まれた密閉空間内を吸引し、各ノズルからインクを吐出させるインク吸引処理を実行することができる。
【0028】
また、制御部30は、ノズル内のインク滴の状態を適切に保つために、ヘッド11をヘッドキャップ21と対向させた状態で、ヘッド11の全ノズルから、印刷動作とは関係なく、所定量のインクをヘッドキャップ21の凹部21c内に吐出させるフラッシング処理を定期的に行う。また、定期的なフラッシング処理で吐出するインク滴よりも多量のインク滴をまとめて吐出させるフラッシング処理を所望のタイミングで実行し、これによりヘッドクリーニングを行ってノズルの目詰まり等を回復することもできる。
【0029】
制御部30は、クリーニング処理として、上記ワイピング処理、インク吸引処理、フラッシング処理のどれか、あるいは、これらの処理を適宜組み合わせて行うことができるが、これらの処理を実際に行う前に、ノズルからのインクの吐出状態を検査するノズルチェック処理を行う。また、クリーニング処理の後にノズルチェック処理を行うことにより、クリーニング処理によって吐出不良が回復されたかどうかを確認し、さらにクリーニング処理を続ける必要があるかどうかを判定することができる。
【0030】
ノズルチェック処理は、具体的には、ヘッド11のノズルから帯電したインクを吐出し、このインクが凹部21c内の吸収材21dに着弾する際の電流変化の信号に基づき、ノズルからのインク吐出状態を検査する。ノズルチェック処理の際には、ノズル面11aとヘッドキャップ21における縁部21bの上端との隙間L1、および、ノズル面11aと吸収材21dの表面との隙間L2が所定寸法になるようにヘッドキャップ21を位置決めし、この状態で、ヘッド11とヘッドキャップ21が所定のしきい値以上の電位差になるように電圧を印加した状態で行う。このようにすると、インク滴の吐出状態を精度良く検査することができる。
【0031】
(ヘッドクリーニング実行時の制御)
次に、上記構成のプリンタ1において、不良ノズルが多数発生する可能性がある所定の状態(不良ノズル多発条件に該当する状態)でヘッドクリーニングを行った場合には、最初に行う1回目のクリーニング処理を通常よりも強めにすることにより、できるだけ少ない回数および少ないインク消費量でヘッドクリーニングを完了させる方法について説明する。
【0032】
本実施形態では、インク吸引処理、フラッシング処理、ワイピング処理やこれらを組み合わせた様々なクリーニング処理のうち、一例として、インクの吸引量が異なる4種類のインク吸引処理のいずれかを、不良ノズル多発条件やその他の実施条件により適宜選択して行う場合について説明する。図5は本実施形態のヘッドクリーニング処理のフローチャートである。制御部30は、ヘッドクリーニング処理の開始前には、以下の(1)〜(5)に示すように、プリンタ1が不良ノズル多発条件に該当する状態になったことを検出し、そのことを示す所定のフラグをセットする。
【0033】
(1)タイマAIDフラグ
本実施形態のプリンタ1は、定期的にあるいは所定のタイミングで、ヘッドクリーニング処理を行う。そのため、制御部30は、直近の印刷処理あるいはヘッドクリーニング処理から所定時間経過したことを内蔵するタイマにより検出した場合に、タイマAIDフラグをセットする。なお、印刷処理およびヘッドクリーニング処理以外の所定の処理から所定時間経過した場合にタイマAIDフラグをセットするようにしてもよい。
【0034】
(2)衝撃検出フラグ
制御部30は、プリンタ1に所定の衝撃が発生したことを衝撃センサ2eで検出した場合には、衝撃検出フラグをセットする。なお、すでに衝撃検出フラグがセットされている状態で更にプリンタ1の衝撃を検出した場合には、引き続き衝撃検出フラグをセットしたままにする。
【0035】
(3)起動処理フラグ
制御部30は、プリンタ1の電源スイッチがオン状態になった場合や、ホスト装置などから入力された起動信号あるいはリセット信号や、プリンタ1の内部からのリセット信号を検出した場合には、起動処理あるいは再起動処理を行うと共に、起動処理フラグをセットする。
【0036】
(4)ヘッドクリーニング実行保留フラグ(AID保留フラグ)
制御部30は、定期的あるいは所定のタイミングで行われるヘッドクリーニングが、その実行開始タイミングにおいてプリンタ1が丁度印刷処理を実行中だったなどの何らかの理由によって実行できなかった場合に、その回のヘッドクリーニングの実行を保留すると共に、ヘッドクリーニング実行保留フラグ(以下、AID保留フラグという)をセットする。
【0037】
(5)カバークローズフラグ
制御部30は、プリンタ1のロール紙カバー2a(開閉部材)が閉じたことを開閉センサ2cで検出した場合と、プリンタ1のインクカートリッジカバー2b(開閉部材)が閉じたことを開閉センサ2dで検出した場合の、2つの場合には、カバークローズフラグをセットする。なお、すでにカバークローズフラグがセットされている状態で更にロール紙カバー2aあるいはインクカートリッジカバー2bの開閉を検出した場合には、引き続きカバークローズフラグをセットしたままにする。
【0038】
制御部30は、上記タイマAIDフラグがセットされているか否かを定期的にチェックし、タイマAIDフラグがセットされていることを検出した場合に、ヘッドクリーニング処理を開始する。また、制御部30は、プリンタ1の操作部で所定のヘッドクリーニング開始操作が行われた場合、あるいはホスト装置からヘッドクリーニング実行指令が入力された場合、あるいはプリンタ1の内部からのヘッドクリーニング実行指令を検出した場合に、当該開始操作あるいはヘッドクリーニング実行指令に基づき、タイマAIDフラグの有無とは無関係にヘッドクリーニング処理を開始する。
【0039】
制御部30は、ヘッドクリーニング処理を開始すると、まず最初に、1回目のノズルチェック処理を行う(S1a:第1ノズルチェック工程)。そして、このノズルチェック処理における不良ノズルの検出結果に基づき、クリーニングの要否判定を行う(S2)。要否判定では、不良ノズルが1箇所でも検出された場合にはクリーニング処理が必要と判定し、全く検出されなかった場合には不要と判定する。なお、ヘッドクリーニング処理を開始する際にヘッド11が待機位置にいなかった場合には、第1ノズルチェック工程(S1a)を行う前に、まず、ヘッド11を待機位置に戻す処理を行う。また、クリーニング要否判定(S2)における閾値は任意に設定することができる。例えば、不良ノズルがn箇所以上(n:2以上)検出された場合にクリーニング処理が必要と判定してもよい。
【0040】
制御部30は、クリーニング要否判定(S2)においてクリーニング処理が必要であると判定した場合には(S2:Yes)、積算カウンタACLのカウント値が4未満かそうでないかの判定を行う(S3)。ここで、積算カウンタACLは制御部30などに内蔵されるカウンタであり、制御部30は、クリーニング処理を実行した場合には、その都度、積算カウンタACLに必ず1を加算している。従って、積算カウンタACLのカウント値は、今回のヘッドクリーニング処理において現在までに行ったクリーニング処理の実行回数を示す。なお、積算カウンタACLは、後述するように、ヘッドクリーニングの終了ごとにリセットされるので、ヘッドクリーニングの開始時には、必ずACL=0の状態になっている。
【0041】
制御部30は、S3工程で積算カウンタACLのカウント値が4未満であった場合には、積算カウンタACLのカウント値が0であるか否かの判定(S4)を行う。積算カウンタACLのカウント値が0であった場合(S4:Yes)、すなわち、まだ1度もクリーニング処理を行っていない場合には、制御部30は、S5〜S6工程により、1回目に行うクリーニング処理の内容を決定する(第1クリーニング処理内容決定工程)。まず、制御部30は、(1)〜(5)で説明したタイマAIDフラグ、衝撃検出フラグ、起動処理フラグ、AID保留フラグ、カバークローズフラグの各フラグがセットされているか否かを判定し(S5)、どのフラグもセットされていないと判定した場合には(S5:No)、クリーニング処理として、最もインク吸引量が少ないインク吸引処理(CL0)を選択し、実行する(S8a)。すなわち、この場合には、制御部30は、(1)〜(5)のどのフラグもセットされていないことにより、プリンタ1が不良ノズル多発条件に該当しない状態であると判定する。そして、この判定結果に基づき、最も弱いクリーニング処理であるCL0を行う。
【0042】
一方、制御部30は、タイマAIDフラグ、衝撃検出フラグ、起動処理フラグ、AID保留フラグ、カバークローズフラグの各フラグのうち1つあるいはそれ以上がセットされていると判定した場合には(S5:Yes)、プリンタ1が、予め設定した不良ノズル多発条件のうち、少なくとも1つに該当する状態であると判定する。そして、この場合には、次に、1回目のノズルチェック工程(S1)における不良ノズルの検出数が3未満であるか否かを判定する(S6)。すなわち、S6工程では、不良ノズルの検出数に基づき、ノズルの目詰まり等の程度を判定する。そして、不良ノズルの検出数が3未満であった場合には(S6:Yes)、それほど目詰まり等がひどくないと判定して、2番目にインクの吸引量が少ないインク吸引処理(CL1:2番目に弱いクリーニング処理)を行う(S8b)。これに対し、不良ノズルの検出数が3以上であった場合には(S6:No)、不良ノズルが多発していると判定して、3番目にインクの吸引量が少ないインク吸引処理(CL2:3番目に弱いクリーニング処理)を行う(S8c)。
【0043】
このように、制御部30は、1回目のクリーニング処理の実行前にはS5〜S6工程を行うことにより、プリンタ1が不良ノズル多発条件に該当する状態か否かの判定結果、および、不良ノズルの検出数が所定の閾値未満か否かの判定結果に基づいて、1回目のクリーニング処理の内容を決定している。なお、S6工程における不良ノズル検出数の判定閾値は3以外の数であってもよい。
【0044】
制御部30は、S8a〜S8cのいずれかの内容のクリーニング処理(第1クリーニング工程)を実行した後には、積算カウンタACLに1を加算する(S9)。そして、再びノズルチェック工程を行い(S1b:第2ノズルチェック工程)、不良ノズルが検出されれば、さらに処理を継続してS3、S4工程に進む。1回目のクリーニング処理を行った後には、S4工程において積算カウンタACLのカウント値が0でないと判定されるので(S4:No)、S7工程に進む。S7工程では、制御部30は、不良ノズル多発条件やノズルチェック工程における不良ノズルの検出数とは無関係に、積算カウンタACLのカウント値に基づいてクリーニング処理の内容を決定している(S7:第2クリーニング処理内容決定工程)。
【0045】
制御部30は、S7工程では、ACL=1の場合、すなわち、これが2回目のクリーニングである場合には、2番目にインクの吸引量が少ないインク吸引処理(CL1)を選択し、実行する(S8d)。また、ACL=2の場合、すなわち、今回が3回目のクリーニングである場合には、3番目にインクの吸引量が少ないインク吸引処理(CL2)を選択し、実行する(S8e)。そして、ACL=3の場合、すなわち、今回が4回目のクリーニングである場合には、最もインク吸引量が多いインク吸引処理(CL3:最も強いクリーニング処理)を選択し、実行する(S8f)。
【0046】
制御部30は、S8d〜S8fのいずれかの内容のクリーニング処理(第2クリーニング工程)を実行した後には、積算カウンタACLに更に1を加算する(S9)。そして、再びノズルチェック工程を行い(S1c:第3ノズルチェック工程)、不良ノズルが検出されれば、さらに処理を継続する。そして、積算カウンタACLの値に対応するインク吸引処理を選択して実行する工程(S8d〜S8f)と、ノズルチェック工程(S1c)の2つの工程をこの順で繰り返し行い、後述するエラー処理(S10)、あるいは、ヘッドクリーニング終了処理(S11〜S12)に進むまでは、この2工程の繰り返しを継続する。
【0047】
制御部30は、S3工程において積算カウンタACLの値が4未満でないと判定した場合には(S3:No)、すでに規定回数以上のクリーニング処理を繰り返したにも拘らず、まだ不良ノズルが検出されているとして、エラー処理に進む(S10)。エラー処理では、例えば、ホスト装置にクリーニングエラーの発生を示すエラー信号を送信してホスト装置画面上でエラー表示を行ったり、プリンタ1のエラー表示ランプの点灯やプリンタ1の液晶表示部へのエラー表示を行ったり、あるいは、音声でのエラー報知を行うなどの処理が考えられる。
【0048】
また、制御部30は、ノズルチェック工程(S1a〜Sc)を行っても不良ノズルが1つも検出されなかった場合には、クリーニング要否判定でクリーニングが不要と判定し(S2:No)、積算カウンタACLをリセットしてそのカウント値を0にする(S11)。そして、ヘッド11を待機位置に戻してその位置でキャリッジ12をロックする(S12)。これにより、ヘッドクリーニングが終了する。制御部30は、ヘッドクリーニングが正常に終了した場合には、タイマAIDフラグ、衝撃検出フラグ、起動処理フラグ、AID保留フラグ、カバークローズフラグを全てクリアする。
【0049】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、このように、1回目のクリーニング処理(S8a〜S8c)の前に、タイマAIDフラグ、衝撃検出フラグ、起動処理フラグ、AID保留フラグ、カバークローズフラグの各フラグがセットされているか否かをチェックする(S5)ことにより、プリンタ1が不良ノズル多発条件に該当する状態か否かを判定する。そして、上記各フラグが少なくとも1つはセットされていることにより、不良ノズルが発生している可能性が高いと判定した場合には、その可能性がない場合に行うクリーニング処理(CL0)よりも強いクリーニング処理(CL1またはCL2)を行うようにしている。また、CL1とCL2のどちらを行うかは、1回目のノズルチェック工程(S1a)で検出された不良ノズルの検出数に基づいて決めている。このようにすると、1回目のクリーニング処理の内容をノズルの状態に応じた強さにすることができるので、従来のように最も弱いクリーニング処理を1回目に行う場合と比較して、少ないクリーニング処理回数で目詰まり等を回復できる。また、2回目以降のクリーニング処理では、クリーニング処理の実行回数(繰り返し回数)が増えるに従ってインクの吸引量を多くしてクリーニングの強さを順次強くしているので、目詰まり等がひどい状態であるのに弱いクリーニングを繰り返し行ってしまうことがない。よって、少ないクリーニング処理回数で目詰まり等を回復することができる。以上により、短時間で不良ノズルを回復できる。また、無駄に強いクリーニングを行わないようにすることができるので、インクの消費量を削減できる。
【0050】
本実施形態では、インク吸引処理を行う前には必ずノズルチェック工程(S1a〜S1c)により不良ノズルの有無を確認するので、実際にノズルが目詰まり等しているかをチェックして、チェック結果に基づいてインク吸引処理を行うことができる。従って、目詰まり等が回復したら速やかにヘッドクリーニングを終了させることができるので、ヘッドクリーニングにかかる時間を短縮でき、インクなどの消耗品の消費量を削減できる。また、一旦ヘッドクリーニングを実行開始すれば、予め設定した上限回数までクリーニング処理を自動的に繰り返し行うことができる。
【0051】
(改変例)
(1)上記実施形態では、タイマAIDフラグ、衝撃検出フラグ、起動処理フラグ、AID保留フラグ、カバークローズフラグの少なくとも1つがセットされているか否かの判定を行っていたが、セットされているフラグの種類やその組み合わせに応じて、1回目のクリーニング工程で行うクリーニング処理の強さを変えても良い。例えば、セットされているフラグの数が多いほど強いクリーニング処理を行っても良い。また、タイマAIDフラグ、衝撃検出フラグ、起動処理フラグ、AID保留フラグ、カバークローズフラグ以外のフラグ、例えば、プリンタ1が傾いていることを検出した場合にセットされるフラグ、ヘッド11などの部品が交換された場合にセットされるフラグ、などを不良ノズル多発条件に加えてもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では、クリーニング処理としてインクの吸引量が異なる4種類のインク吸引処理を行っていたが、フラッシング処理あるいはワイピング処理を行ってもよく、これらの処理を適宜組み合わせて行っても良い。また、インク吸引処理におけるインク吸引量、フラッシング処理におけるインク吐出量、などは適宜変更可能である。また、直前のノズルチェック工程における不良ノズルの検出数に応じてインクの吸引量や吐出量を変えてもよい。
【0053】
(3)上記実施形態では、不良ノズル多発条件に該当するか否かをカバークローズフラグなどのフラグセットおよびフラグチェックにより判定していたが、他の方法でもよい。例えば、ノズルチェックを実施する際には、その実施要求元、すなわち、何に起因してノズルチェックを行うかを記憶させておき、この記憶内容に基づいて1回目のクリーニング処理の内容を決めるようにしてもよい。実施要求元としては、上述したカバークローズ、衝撃検出、タイマAID、電源オンなどの起動処理のほか、印刷終了やマニュアルクリーニング実行指令、工場コマンド入力などが想定できるので、これらを区別できるように実施要求元を記憶させる。なお、ノズルチェック実施中には他のノズルチェック要求を受け付けられないものとし、他の実施要求元をセットできないものとする。また、AID保留フラグについては、上記実施形態と同様にセットするものとする。
【0054】
この場合、上記実施形態のS5工程において、実施要求元の記憶内容と、AID保留フラグをチェックし、実施要求元が予め設定したものであった場合、あるいは、AID保留フラグがセットされていた場合に、プリンタ1が不良ノズル多発条件に該当すると判定すればよい。また、実施要求元が予め設定したものでなく、且つ、AID保留フラグがセットされていない場合には、プリンタ1が不良ノズル多発条件に該当しないと判定すればよい。そして、ヘッドクリーニングが正常に終了した場合には、AID保留フラグがセットされていた場合にのみ、AID保留フラグをクリアすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンタの斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタ内部の機構を示す斜視図である。
【図3】ヘッドクリーニング機構の斜視図である。
【図4】ヘッドおよびヘッドキャップが正対している状態を示す部分断面図である。
【図5】ヘッドクリーニング時の制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…インクジェットプリンタ(プリンタ)、2…外装ケース、2a…ロール紙カバー、2b…インクカートリッジカバー、2c,2d…開閉センサ、2e…衝撃センサ、3…ロール紙、4…ロール紙収容部、5…インクカートリッジ、6…カートリッジ装着部、7…インク流路、8…インク供給チューブ、10…印刷機構、11…インクジェットヘッド(ヘッド)、11a…ノズル面、12…キャリッジ、13…キャリッジ軸、14…無端ベルト、15…キャリッジモータ、16…背圧調整ユニット、17…ダンパユニット、18…プラテン、20…ヘッドクリーニング機構、21…ヘッドキャップ、21a…封止面、21b…縁部、21c…凹部、21d…吸収材、21e…導電材、22…ワイパ、23…インク吸引部、24…フレーム、30…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタにおけるインクジェットヘッドのノズルが不良ノズルであるか否かを検出する第1ノズルチェック工程と、
前記インクジェットプリンタが、予め設定した不良ノズル多発条件に該当する状態であるか否かの判定結果に基づき、前記不良ノズルを回復するための第1クリーニング処理の内容を決定する第1クリーニング処理内容決定工程と、
前記第1ノズルチェック工程で前記不良ノズルが検出された場合に、前記第1クリーニング処理を行う第1クリーニング工程と、を含むことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法であって、
前記第1クリーニング工程後のノズルが前記不良ノズルであるか否かを検出する第2ノズルチェック工程と、
前記不良ノズルを回復するための第2クリーニング処理の内容を、前記不良ノズル多発条件とは無関係に決定する第2クリーニング処理内容決定工程と、
前記第2ノズルチェック工程で前記不良ノズルが検出された場合に、前記第2クリーニング処理を行う第2クリーニング工程、および、前記第2クリーニング工程後のノズルが前記不良ノズルであるか否かを検出する第3ノズルチェック工程、の2工程を1回または複数回繰り返す繰り返し工程と、を含むことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法であって、
前記第1クリーニング処理内容決定工程では、前記インクジェットプリンタが、
前記インクジェットプリンタに衝撃が加えられたこと、
前記インクジェットプリンタの開閉部材が閉じたこと、
前記インクジェットプリンタが起動したこと、
直近に行われたクリーニング処理または印刷処理から所定時間以上経過したこと、
前記クリーニング処理の実行が保留されたこと、を含む複数の不良ノズル多発条件の少なくともいずれかに該当する状態であるか否かの判定結果に基づき、前記第1クリーニング処理の内容を決定することを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法。
【請求項4】
請求項3に記載のインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法であって、
前記第1クリーニング処理は、前記インクジェットプリンタが、前記複数の不良ノズル多発条件の少なくともいずれかに該当する状態にあると判定された場合には、前記複数の不良ノズル多発条件のいずれにも該当しない状態であると判定された場合よりも、前記各ノズルからのインクの吐出量あるいは吸引量が多いことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかの項に記載のインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法であって、
前記第2クリーニング処理内容決定工程では、前記第2クリーニング工程の実行回数に応じて、前記第2クリーニング処理の内容を決定することを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかの項に記載のインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法であって、
前記第1クリーニング処理内容決定工程では、前記判定結果、および、前記第1ノズルチェック工程における前記不良ノズルの検出結果に基づき、前記第1クリーニング処理の内容を決定することを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドクリーニング方法。
【請求項7】
ノズルチェック機構と、
インクジェットヘッドのクリーニング機構と、
前記ノズルチェック機構および前記クリーニング機構を制御する制御部を有し、
前記制御部は、請求項1ないし6のいずれかの項に記載のヘッドクリーニング方法を行うことを特徴とするインクジェットプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−208420(P2009−208420A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55891(P2008−55891)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】